特許第5933440号(P5933440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5933440難燃性であり、光学的に透明な熱可塑性成形組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933440
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】難燃性であり、光学的に透明な熱可塑性成形組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 69/00 20060101AFI20160526BHJP
   C08K 5/49 20060101ALI20160526BHJP
   C08K 5/42 20060101ALI20160526BHJP
   C08K 5/109 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   C08L69/00
   C08K5/49
   C08K5/42
   C08K5/109
【請求項の数】15
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-530858(P2012-530858)
(86)(22)【出願日】2010年9月20日
(65)【公表番号】特表2013-505349(P2013-505349A)
(43)【公表日】2013年2月14日
(86)【国際出願番号】US2010002559
(87)【国際公開番号】WO2011037611
(87)【国際公開日】20110331
【審査請求日】2013年8月1日
(31)【優先権主張番号】12/565,167
(32)【優先日】2009年9月23日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503349707
【氏名又は名称】バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
(73)【特許権者】
【識別番号】504037346
【氏名又は名称】バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】マリナ・ログノバ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・サンダーランド
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・ピー・メイソン
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・フランセン
(72)【発明者】
【氏名】ベリト・クラウター
【審査官】 新留 豊
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/020575(WO,A1)
【文献】 特開2001−200151(JP,A)
【文献】 特開平10−298421(JP,A)
【文献】 特開2007−114264(JP,A)
【文献】 特開2007−031583(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/056241(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K3/00− 13/08
C08L1/00−101/14
C08G63/00−64/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)芳香族ポリカーボネートを60〜97pbw;
B)臭素置換オリゴカーボネートを1〜20pbw;
C)式(V)の構造を有するリン含有化合物を1〜20pbw;
【化1】
[式中、
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、C−C−アルキル、または、C−C−シクロアルキル、C−C20−アリールまたはC−C12−アラルキルを示し、
nはそれぞれ独立して0または1を示し、
qは0.5〜30を示し、
Xは、炭素原子数6〜30の単核または多核芳香族基、または炭素数2〜30の脂肪族基である]
D)ペルフルオロアルカンスルホン酸のアルカリまたはアルカリ土類塩、ジフェニルスルホン−スルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホン−スルホン酸カリウム、またはジフェニルスルホン−スルホン酸テトラエチルアンモニウムの少なくとも1種を0.01〜1pbw;
E)ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィットを0.01〜1pb
を含む、難燃性であり、光学的に透明な熱可塑性成形組成物であって、
該難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物が、フッ素化ポリオレフィンを含まず、かつ、UL−94によれば3.00mmのとき5VAおよび1.5mmのときV−0と評価される組成物。
【請求項2】
前記ポリカーボネートが70〜90pbwの量で存在する、請求項に記載の難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物。
【請求項3】
前記ポリカーボネートが80〜85pbwの量で存在する、請求項に記載の難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物。
【請求項4】
前記臭素置換オリゴカーボネートが5〜15pbwの量で存在する、請求項に記載の難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物。
【請求項5】
前記臭素置換オリゴカーボネートが8〜12pbwの量で存在する、請求項に記載の難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物。
【請求項6】
前記臭素置換オリゴカーボネートが下記式(IV)の構造を有する、請求項に記載の難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物;
【化2】
[式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、H、BrまたはCHを示し、但しR、R、R、Rのうち少なくとも1種はBrを示すことを条件とし、および、
は、アリール、アルキルアリールまたはアルキル基を示し、および、
nは1〜100である。]。
【請求項7】
前記臭素置換オリゴカーボネートが、下記式(IVa);
【化3】
の構造を有し、かつ当該重量に対して40%を超える臭素含有量を示す、請求項に記載の難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物。
【請求項8】
前記リン含有化合物が2〜7pbwの量で存在する、請求項に記載の難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物。
【請求項9】
前記リン含有化合物が3〜10pbwの量で存在する、請求項に記載の難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物。
【請求項10】
前記リン含有化合物が下記式(VII);
【化4】
の構造を有する、請求項に記載の難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物。
【請求項11】
前記ペルフルオロアルカンスルホン酸のアルカリまたはアルカリ土類塩の少なくとも1種が0.02〜0.5pbwの量で存在する、請求項に記載の難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物。
【請求項12】
前記ペルフルオロアルカンスルホン酸の塩が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、C1−6−アルキルアンモニウムおよびアンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種の、ペルフルオロアルカンスルホン酸塩である、請求項に記載の難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物。
【請求項13】
前記塩が、ペルフルオロメチルブタンスルホン酸ナトリウム、ペルフルオロメチルブタンスルホン酸カリウム、ペルフルオロメチルブタンスルホン酸テトラエチルアンモニウム;ペルフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、ペルフルオロメタンスルホン酸カリウム、ペルフルオロメタンスルホン酸テトラエチルアンモニウム;ペルフルオロエタンスルホン酸ナトリウム、ペルフルオロエタンスルホン酸カリウム、ペルフルオロエタンスルホン酸テトラエチルアンモニウム;ペルフルオロプロパンスルホン酸ナトリウム、ペルフルオロプロパンスルホン酸カリウム、ペルフルオロプロパンスルホン酸テトラエチルアンモニウム;ペルフルオロヘキサンスルホン酸ナトリウム、ペルフルオロヘキサンスルホン酸カリウム、ペルフルオロヘキサンスルホン酸テトラエチルアンモニウム;ペルフルオロヘプタンスルホン酸ナトリウム、ペルフルオロヘプタンスルホン酸カリウム、ペルフルオロヘプタンスルホン酸テトラエチルアンモニウム;ペルフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸カリウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸テトラエチルアンモニウム;ペルフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、ペルフルオロブタンスルホン酸カリウム、およびペルフルオロブタンスルホン酸テトラエチルアンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項に記載の難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物。
【請求項14】
前記ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィットが0.02〜0.5pbwの量で存在する、請求項に記載の難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物。
【請求項15】
前記ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィットが0.04〜0.1pbwの量で存在する、請求項に記載の難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱可塑性成形組成物に関し、特に光学的に透明な難燃性ポリカーボネート組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1962年に市場に導入されて以来、芳香族ポリカーボネートは広く知られるようになっており、そして射出成形、押出成形およびフィルム形成などを含む幅広い種類の用途に適した熱可塑性樹脂として受け入れられている。これらのポリカーボネートの化学、合成、特性および用途については、スクニール(Schnell)著、インターサイエンス(Interscience)出版、1964年の「ポリカーボネートの化学と物理学」およびクリストファー(Christopher)およびフォックス(Fox)著、ラインホールド(Reinhold)出版、1962年の「ポリカーボネート」において広範囲にわたって論じられている。ポリカーボネートは自己消炎性があり、多少の固有の耐燃性を有しているが、耐燃性の必要性に対するさらなる要求が、この性能を向上させる幾多の試みを生みだしている。2つの一般的手法は以下の通りである。
【0003】
手法の1つは、相当量のハロゲン、特に臭素または塩素を、ポリカーボネート組成物に加える方法である。ハロゲンは、米国特許第3,751,400号明細書および米国特許第3,334,154号明細書に記載されているようなポリカーボネートポリマー鎖によって、または米国特許第3,382,207号明細書に記載されている単量体化合物によって、担持させることができる。しかしながら、相当量のハロゲンが存在する場合は、ポリカーボネートの特性に対して不利となることが判明してきており、これらの不利な効果を克服するために、米国特許第3,647,747号明細書および米国特許第3,733,295号明細書中で見い出された添加剤などのような様々な添加剤が提案されている。
【0004】
2つ目の手法は、米国特許第3,775,367、4,469,833、4,626,563、4,626,563および4,649,168号明細書に記載されているように、ポリカーボネート用難燃剤として、種々の塩、特に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のペルフルオロアルカンスルホン酸塩のいずれかを、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)と共にまたはPTFEなしに、使用する方法である。
【0005】
スルホン酸のアルカリ金属塩は、米国特許第4,469,833号明細書に、チオジフェノールから誘導された構造単位を含むポリカーボネート組成物との関連で、難燃性添加剤として教示されている。
【0006】
米国特許第4,220,583号明細書には、部分フッ素化ポリオレフィンおよびアルカリ金属またはアルカリ土類金属の有機塩を含む、難燃性ポリカーボネート組成物が開示されている。米国特許第3,933,734号明細書には、単量体のおよび/または重合体の芳香族スルホン酸の金属塩を含む難燃性ポリカーボネート組成物が記載されている。米国特許第3,948,851号明細書には、単量体のおよび/または重合体の芳香族スルホン−スルホン酸の金属塩を含む難燃性ポリカーボネート組成物が教示されている。部分フッ素化ポリオレフィンおよび有機アルカリ(またはアルカリ土類)金属塩を含む、難燃性、半透明のポリカーボネート組成物が、米国特許第4,220,583号明細書に記載されている。
【0007】
米国特許第6,607,814号明細書において、ピケット等は実質的に溶剤フリーの多層品を提供し、当該多層品は優れた保色性および光沢保留性、耐溶剤性およびリサイクル性を有するものとされている。ピケット等の当該多層品は、金属、セラミック、ガラスからなる群から選択される第1材料、セルロース系材料、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂を含有する支持層、および少なくとも1種の補助的色安定剤(auxiliary color stabilizer additive)およびレソルシノールまたはアルキルレソルシノールイソフタレート−テレフタレートから誘導されたエステル構造単位を含むアクリレートポリマーを含有する樹脂被覆層からなっている。中間層は存在してもよい。
【0008】
ピケット等により発行された米国特許第6,610,409号明細書には、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、セルロース系材料、ガラス、または金属を含む支持層、および少なくとも1種の被覆層からなる多層品が記載されている。当該被覆層は、少なくとも1種の安定剤、およびポリマー鎖の少なくとも2種の単量体単位において結合する無水物結合が実質的にないレソルシノールアクリレートポリエステル鎖体を含む熱的に安定なポリマーから製造され、以下の工程に従う界面法により製造される;(a)水および水と実質的に不混和性の有機溶媒の少なくとも1種の混合液中、少なくとも1種のレソルシノール部および少なくとも1種の触媒を併用する工程;および(b)酸受容体の存在によりpH3〜8.5を維持しながら、(a)由来の混合物に対して、少なくとも1種のジカルボン酸ジクロリドを添加する工程であって、酸クロリド基の総モル量がフェノール性基の総モル量に対して化学量論的に不足している工程。
【0009】
米国特許第6,689,474号明細書において、ピケット等は、(a)ポリマー鎖の少なくとも2種の単量体単位において結合する無水物結合が実質的にないレソルシノールアクリレートポリエステル鎖体を含む熱的に安定なポリマー、および(b)2,2'−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン)および1,3−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパンからなる群から選択される補助的安定剤の少なくとも1種からなる組成物を提供する。多層品および単一品の両方がピケット等により提供されている。
【0010】
マスキ等により発行された米国特許第6,884,864号明細書には、溶融法により得ることができるポリカーボネートであって、250℃および角速度10rad/sの条件下で測定された損失角δおよび複素粘度η(Pa・s)が以下の関係(1)を満足するポリカーボネートが開示されている。
【数1】
【0011】
米国特許第7,084,233号明細書において、ミヤモト等は、色相および溶融強度などの溶融特性に優れているとされる分枝状芳香族ポリカーボネートを提供する。ミヤモト等の発明は、粘度平均分子量が16,000以上であって、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定され、標準ポリスチレン換算された、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比率(Mw/Mn)が2.8〜4.5であり、エステル交換法により得られる分枝状芳香族ポリカーボネートを提供するものであり、重合反応の間に転位反応により生じた全ての構造単位のモル数の割合は、出発原料として使用された芳香族ジヒドロキシ化合物のフレーム構造を有する構造単位1モルに対して0.3mol%超0.95mol以下とされている。
【0012】
ネギシ等により発行された米国特許第7,125,920号明細書には、下記一般式(I)で示されるトリアジン化合物からなる合成樹脂用紫外線吸収剤が教示されている;
【化1】
(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、nは0または2以下の整数であり、およびXは以下に示される基(a)〜(d)からなるものから選択される基を示す);
【0013】
【化2】
(式中、Rは炭素原子数5〜60の脂肪族基を示し、炭素原子数に応じて、脂環式基、脂環式基を末端またはその鎖に有するアルキル基、分枝を有するアルキル基、または線状アルキル基である;Rは炭素原子数1〜18のアルキル基または(ポリ)アルキレンオキシアルキル基を示す;R'は炭素原子数5〜60の脂肪族ジイル基(diyl group)を示す;Rおよびnは上記一般式(I)で説明したものと同意である)。
【0014】
米国特許第7,317,067号明細書において、イケダ等は、優れた耐熱性および寸法安定性を有するとされているポリカーボネートコポリマーを提供し、該コポリマーからなる耐熱性部品は様々な用途での使用に適しているとされている。当該ポリカーボネートコポリマーは下記一般式(I)で示される反復単位(成分a)を5〜95mol%、および下記一般式(II)で示される反復単位(成分b)を95〜5mol%含有する;
【化3】
【化4】
(式中、RからRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含有してもよい炭化水素基またはハロゲン原子であり、Wは単結合、炭素原子数1〜20の芳香族基を含有してもよい炭化水素基またはO、SO、SO、COまたはCOO基である)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第3,647,747号明細書
【特許文献2】米国特許第3,733,295号明細書
【特許文献3】米国特許第3,775,367号明細書
【特許文献4】米国特許第4,469,833号明細書
【特許文献5】米国特許第4,626,563号明細書
【特許文献6】米国特許第4,649,168号明細書
【特許文献7】米国特許第4,469,833号明細書
【特許文献8】米国特許第4,220,583号明細書
【特許文献9】米国特許第3,933,734号明細書
【特許文献10】米国特許第3,948,851号明細書
【特許文献11】米国特許第4,220,583号明細書
【特許文献12】米国特許第6,607,814号明細書
【特許文献13】米国特許第6,610,409号明細書
【特許文献14】米国特許第6,689,474号明細書
【特許文献15】米国特許第6,884,864号明細書
【特許文献16】米国特許第7,084,233号明細書
【特許文献17】米国特許第7,125,920号明細書
【特許文献18】米国特許第7,317,067号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
当業者等は、アルカリまたはアルカリ土類金属のスルホン酸塩およびフッ素化ポリオレフィンの導入によって付与された耐燃性を有するポリカーボネート組成物が、しばしば、特に厚みのある成形品において、望ましくないヘイズを示すことに気付いている。この不具合は、光学的に透明な製品が望まれる場合において、導入される難燃剤の量を制限することとなる。従って、当該分野においては、難燃性があり、光学的に透明な熱可塑性成形組成物の必要性が継続して存在している。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、本発明は、このような難燃性があり、光学的に透明な熱可塑性成形組成物を提供する。該組成物は、ポリカーボネート樹脂、臭素置換カーボネートオリゴマー、リン含有化合物およびペルフルオロアルカンスルホン酸のアルカリまたはアルカリ土類塩、ならびに所望によりホスフィット安定剤を、該組成物に耐燃性を付与するのに有効な量で含有し、フッ素化ポリオレフィンを含まない。該難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物の一実施態様は、UL−94標準によれば、3.00mmのとき5VAおよび2.3mmのときV−0と評価され、別の実施態様は1.5mmのときV−0と評価される。これらの、および他の、本発明の利点および利益は、本明細書における以下の発明の詳細な説明から明らかになるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、以下、説明を目的として記載され、限定を目的とするものではない。実施例を実施するとき、または別の方法で示されるとき以外、本明細書中の量、割合などを表現する全ての数字は、全ての場合、「約」という用語により修飾されているものとして理解されるべきである。
【0019】
本発明は、A)ポリカーボネートを60〜97pbw、B)臭素置換オリゴカーボネートを1〜20pbw、C)リン含有化合物を1〜20pbwおよびD)ペルフルオロアルカンスルホン酸のアルカリまたはアルカリ土類塩の少なくとも1種を0.01〜1pbwならびに所望によりE)ホスフィット酸化防止剤/安定剤を0.01〜1pbw含有する、難燃性であり、光学的に透明な熱可塑性成形組成物であって、該難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物が、フッ素化ポリオレフィンを含まず、かつ、UL−94によれば3.00mmのとき5VAおよび2.3mmのときV−0、より好ましくは1.5mmのときV−0と評価される組成物を提供する。
【0020】
本発明はさらに、A)ポリカーボネートを60〜97pbw、B)臭素置換オリゴカーボネートを1〜20pbw、C)リン含有化合物を1〜20pbwおよびD)ペルフルオロアルカンスルホン酸のアルカリまたはアルカリ土類塩の少なくとも1種を0.01〜1pbw反応させることを含む、難燃性であり、光学的に透明な熱可塑性成形組成物の製造方法であって、該難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物が、フッ素化ポリオレフィンを含まず、かつ、UL−94によれば3.00mmのとき5VAおよび2.3mmのときV−0、より好ましくは1.5mmのときV−0と評価されるものである方法を提供する。
【0021】
本発明はまた、A)芳香族ポリカーボネートを60〜97pbw、B)臭素置換オリゴカーボネートを1〜20pbw、C)リン含有化合物を1〜20pbw、D)ペルフルオロアルカンスルホン酸のアルカリまたはアルカリ土類塩の少なくとも1種を0.01〜1pbwおよびE)ホスフィット酸化防止剤/安定剤を0.01〜1pbw含む、難燃性であり、光学的に透明な熱可塑性成形組成物であって、該難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物が、フッ素化ポリオレフィンを含まず、かつ、UL−94によれば3.00mmのとき5VAおよび1.5mmのときV−0と評価される組成物を提供する。
【0022】
本発明はさらに、A)芳香族ポリカーボネートを60〜97pbw、B)臭素置換オリゴカーボネートを1〜20pbw、C)リン含有化合物を1〜20pbw、D)ペルフルオロアルカンスルホン酸のアルカリまたはアルカリ土類塩の少なくとも1種を0.01〜1pbwおよびE)ホスフィット安定剤を0.01〜1pbw反応させることを含む、難燃性であり、光学的に透明な熱可塑性成形組成物の製造方法であって、該難燃性であり光学的に透明な熱可塑性成形組成物が、フッ素化ポリオレフィンを含まず、かつ、UL−94によれば3.00mmのとき5VAおよび1.5mmのときV−0と評価されるものである方法を提供する。
【0023】
成分A
本発明の組成物の調製において適した熱可塑性芳香族ポリカーボネート樹脂は、ホモポリカーボネートおよびコポリカーボネート(ポリエステルカーボネートを含む)であり、線状または分枝状の樹脂およびそれらの混合物であってもよい。
【0024】
これら(本明細書において「ポリカーボネート」)は、重量平均分子量が好ましくは10,000〜200,000、より好ましくは20,000〜80,000(ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定)であり、そしてASTM D−1238による300℃でのメルトフローレートが好ましくは1〜65g/10分、より好ましくは2〜15g/10分である。ポリカーボネートは、例えば、ホスゲンなどの炭酸誘導体およびジヒドロキシ化合物からの重縮合による、既知の2相界面法によって調製することができる(独国特許出願公開明細書2,063,050、2,063,052、1,570,703、2,211,956、2,211,957および2,248,817号;仏国特許明細書1,561,518号;およびH.スクニールによる論文「ポリカーボネートの化学と物理学」、インターサイエンス出版、ニューヨーク、N.Y.、1964年を参照のこと)。
【0025】
このようなポリカーボネートは公知であり、例えば、バイエル・マテリアル・サイエンス(Bayer MaterialScience)社製の製品として、マクロロン(MAKROLON)という商品名の元で広く市販されている。
【0026】
芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートの調製に適した、芳香族ジヒドロキシ化合物は下記式(I)で示されるものである;
【化5】
式中、Aは、単結合、C−C−アルキレン、C−C−アルキリデン、C−C−シクロアルキリデン、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−SO−、C−C12−アリーレン(これらは任意にヘテロ原子を含有する他の芳香族環と縮合していてもよい)、または下記式(II)または(III)の構造を有する基を示し、
【化6】
Bは、それぞれ独立して、C−C12−アルキル、好ましくはメチル、を示し、
xは、それぞれ独立して、0、1または2を示し、
pは1または0を示し、および
およびRは、それぞれXから独立して選択され、そして、互いに独立して、水素またはC−〜C−アルキルを示し、好ましくは水素、メチルまたはエチルを示し、
は炭素を示し、およびmは4〜7の整数、好ましくは4または5であり、但し、少なくとも1種の原子X上において、RおよびRが同時にアルキル基であることを条件とする。
【0027】
好ましい芳香族ジヒドロキシ化合物は、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシジフェノール、ビス−(ヒドロキシフェニル)−C〜C−アルカン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−C〜C−シクロアルカン、ビス−(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス−(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス−(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルホンおよびα,α−ビス−(ヒドロキシフェニル)−ジイソプロピルベンゼンである。特に好ましい芳香族ジヒドロキシ化合物は、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−スルホンである。格別に好ましいものは2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA)である。これらの化合物は単独で用いてもよく、あらゆる望ましい混合状態で用いてもよい。
【0028】
ポリカーボネートの調製に適した連鎖停止剤として、フェノール、p−クロロフェノール、p−tert−ブチルフェノール、さらには長鎖アルキルフェノール類、例えば4−(1,3−テトラメチルブチル)−フェノールなど、または、アルキル置換基中の炭素原子の総数が8〜20であるモノアルキルフェノールまたはジアルキルフェノール類、例えば3,5−ジ−tert−ブチルフェノール、p−イソオクチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−ドデシルフェノールおよび2−(3,5−ジメチルヘプチル)−フェノールおよび4−(3,5−ジメチルヘプチル)−フェノールなどが挙げられる。用いられる連鎖停止剤の量は、好ましくは、用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物の総モル量に対して0.5〜10%である。
【0029】
適したポリカーボネートとして、米国特許第4,334,053号、6,566,428号(これらの全てを参照することにより本明細書に援用する)、およびカナダ特許第1,173,998号に開示されたポリエステルカーボネートが挙げられる。適した芳香族ポリエステルカーボネートの調製における芳香族ジカルボン酸ジハロゲン化物として、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルエーテル4,4’−ジカルボン酸およびナフタレン−2,6−ジカルボン酸の二酸二塩化物が挙げられる。本発明において特に好ましいものは、イソフタル酸およびテレフタル酸(比率1:20〜20:1)の二酸二塩化物の混合物である。
【0030】
ポリエステルカーボネート中のカーボネート構造単位の含量は、エステル基およびカーボネート基の総量に対して、好ましくは100mol%以下であり、特に80mol%以下であり、特に好ましくは50mol%以下である。芳香族ポリエステルカーボネート中に含まれるエステルおよびカーボネートの両方は、ブロック形態のまたはランダム分散型の重縮合物として存在してもよい。
【0031】
本発明の組成物はポリカーボネート(線状または分枝状)を好ましくは60〜97pbw、より好ましくは70〜90pbw、最も好ましくは80〜85pbw含有する。ポリカーボネートは、本発明の組成物中において、当該列挙された値を含む、これらの値のあらゆる組み合わせの数値間の範囲内の量で存在してもよい。
【0032】
成分B
本発明の臭素置換オリゴカーボネートは、好ましくは、下記式(IV)の構造を有するものである;
【化7】
【0033】
[式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、H、BrまたはCHを示し、但しR、R、R、Rのうち少なくとも1種はBrを示すことを条件とし、および
は、アリール、アルキルアリールまたはアルキル基、好ましくはフェニル、p−tert−ブチルフェニル、クミル、ノニルまたはイソノニル基を示し、
nは1〜100、好ましくは2〜50、およびより好ましくは3〜5である。]
【0034】
最も適したものは、下記式(IVa)により示され、臭素含有量が、当該重量に対して40%超、より好ましくは50〜55%である、オリゴカーボネートである。
【化8】
【0035】
本発明の組成物は臭素置換オリゴカーボネートを好ましくは1〜20pbw、より好ましくは5〜15pbw、最も好ましくは8〜12pbw含有する。臭素置換オリゴカーボネートは、本発明の組成物中において、当該列挙された値を含む、これらの値のあらゆる組み合わせの数値間の範囲内の量で存在してもよい。
【0036】
成分C
本発明において適したリン含有化合物として、下記式(V)の構造を有する、オリゴマーの有機リン酸またはホスホン酸エステルが挙げられる。
【化9】
【0037】
式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、C−C−アルキル、またはC−C−シクロアルキル、C−C20−アリールまたはC−C12−アラルキルを示し、これらは任意にアルキル、好ましくはC−C−アルキルによって置換されていてもよく、
nはそれぞれ独立して0または1を示し、好ましくは1を示し、
qは0.5〜30を示し、好ましくは0.8〜15を示し、特に好ましくは1〜5を示し、最も好ましくは1〜2を示し、および
Xは、炭素原子数6〜30の単核または多核芳香族基、または炭素数2〜30の脂肪族基であり、これらはOH−置換されていてもよく、8つ以下のエーテル結合を有していてもよい。この脂肪族基は線状であってもよくまたは分枝状であってもよい。
【0038】
好ましくは、R、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、C−C−アルキル、フェニル、ナフチルまたはフェニル−C−C−アルキルである。この態様において、R、R、RおよびRのいずれかが芳香族基である場合は、アルキル基、好ましくはC−C−アルキル基で置換されていてもよい。特に好ましいアリール基は、クレシル、フェニル、キシレニル、プロピルフェニルまたはブチルフェニルである。
【0039】
一実施態様において、Xは、炭素原子数6〜30の単核または多核芳香族基である。好ましくは、前記式(I)の芳香族ジヒドロキシ化合物の何れかから誘導されるものである。
【0040】
Xは特に好ましくは、下記からなる群から選択される少なくとも1種の基を示す。
【化10】
【0041】
特に、Xは、レゾルシノール、ヒドロキノン、ビスフェノールAまたはジフェニルフェノールから誘導され、特に好ましくはビスフェノールAから誘導される。さらに適したリン含有化合物は、下記式(VIa)の化合物である。
【化11】
【0042】
式中、R、R、R、R、nおよびqは、式(VI)において上記したものと同様であり、
mはそれぞれ独立して0、1、2、3または4を示し、
およびRは、それぞれ独立して、C1−4−アルキルを示し、好ましくはメチルまたはエチルを示し、および
Yは、C−C−アルキリデン、C−C−アルキレン、C−C12−シクロアルキレン、C−C12−シクロアルキリデン、−O−、−S−、−SOまたは−CO−を示し、好ましくはイソプロピリデンまたはメチレンを示す。
【0043】
特に好ましいものは、
【化12】
[式中、qは1〜2である。]
である。
【0044】
このようなリン化合物は当業者にとって公知であるか(例えば、米国特許5,204,394号および5,672,645号明細書を参照;両方共に、その内容を参照することにより本明細書に援用する)、または公知の方法によって調製することができる(例えば、「Ullmanns Enzyklopadie der technischen Chemie」、第18巻、第301頁以降、1979年;「Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie」、第12/1巻、第43頁;「Beilstein」第6巻、第177頁)。
【0045】
本発明の組成物はリン含有化合物、好ましくは有機リン酸またはホスホン酸エステル、を好ましくは1〜20pbw、より好ましくは2〜10pbw、最も好ましくは3〜7pbw含有する。リン含有化合物は、本発明の組成物中において、当該列挙された値を含む、これらの値のあらゆる組み合わせの数値間の範囲内の量で存在してもよい。
【0046】
成分D
本発明の組成物との関係において適した無機塩は、ペルフルオロアルカンスルホン酸のアルカリまたはアルカリ土類塩である。このような塩の具体例として、ペルフルオロブタンスルホン酸ナトリウムおよびカリウム、ペルフルオロメチルブタンスルホン酸ナトリウムおよびカリウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸ナトリウムおよびカリウム、ペルフルオロメタンスルホン酸ナトリウムおよびカリウム、ペルフルオロエタンスルホン酸ナトリウムおよびカリウム、ペルフルオロプロパンスルホン酸ナトリウムおよびカリウム、ペルフルオロヘキサンスルホン酸ナトリウムおよびカリウム、ペルフルオロヘプタンスルホン酸ナトリウムおよびカリウム、ペルフルオロブタンスルホン酸テトラエチルアンモニウム、ペルフルオロメチルブタンスルホン酸テトラエチルアンモニウムおよびこれらの類似物ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0047】
適したスルホン酸塩の非限定的な例は、ペルフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属、ペルフルオロアルカンスルホン酸アルカリ土類金属、C1−6−アルキルアンモニウム、またはアンモニウム塩である。このような塩は、上述の米国特許第3,775,367号に記載されており、例えば、ペルフルオロメチルブタンスルホン酸ナトリウム、カリウム、またはテトラエチルアンモニウム;ペルフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、カリウム、またはテトラエチルアンモニウム;ペルフルオロエタンスルホン酸ナトリウム、カリウム、またはテトラエチルアンモニウム;ペルフルオロプロパンスルホン酸ナトリウム、カリウム、またはテトラエチルアンモニウム;ペルフルオロヘキサンスルホン酸ナトリウム、カリウム、またはテトラエチルアンモニウム;ペルフルオロヘプタンスルホン酸ナトリウム、カリウム、またはテトラエチルアンモニウム;ペルフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、カリウム、またはテトラエチルアンモニウム;ペルフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、カリウム、またはテトラエチルアンモニウム;およびジフェニルスルホン−スルホン酸ナトリウム、カリウム、またはテトラエチルアンモニウム;などの塩、および少なくとも1種のこれらの塩を含む混合物が挙げられる。ペルフルオロブタンスルホン酸カリウム(KPFBS)およびジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム(KSS)が特に好ましい。
【0048】
このようなスルホン酸またはそれらの混合物は、調製時においてポリカーボネートに加えてもよいし、または、例えば、押出機またはポリカーボネート樹脂中への完全な分散を保証するあらゆる他の適した手段による均質化により、完成したポリカーボネートの溶融物に加えてもよい。幾つかの適した方法は、例えば米国特許3,509,091号に記載されており、その全ての内容を参照することにより本明細書に援用する。
【0049】
本発明の組成物はペルフルオロアルカンスルホン酸のアルカリまたはアルカリ土類塩の少なくとも1種を好ましくは0.01〜1pbw、より好ましくは0.02〜0.5pbw含有する。ペルフルオロアルカンスルホン酸のアルカリまたはアルカリ土類塩の少なくとも1種は、本発明の組成物中において、当該列挙された値を含む、これらの値のあらゆる組み合わせの数値間の範囲内の量で存在してもよい。
【0050】
成分E
ホスフィット安定剤は当業者に知られている二次酸化防止剤であり、「プラスチック添加剤ハンドブック」第5版(ハンサー・ガードナー・パブリケーション社(Hanser Gardner Publications, Inc.)、シンシナティー、オハイオ、米国、2001)の第109〜112頁に例示されている構造により示されているものであってもよい。市販のホスフィット安定剤の幾つかとして以下のものが挙げられる;ウルトラノックス(ULTRANOX)626(GEスペシャルティー・ケミカルズ(GE Specialty Chemicals))、イルガフォス(IRGAFOS)168(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))、ウェストン(WESTON)619(GEスペシャルティー・ケミカルズ)およびドバーフォス(DOVERPHOS)S−9228(ドバー・ケミカルズ(Dover Chemicals)固形ホスフィット酸化防止剤/安定剤)。
【0051】
本発明の組成物はホスフィット安定剤の少なくとも1種、最も好ましくは(ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィット、を好ましくは0.01〜1pbw、より好ましくは0.02〜0.5pbw、最も好ましくは0.04〜0.1pbw含有する。ホスフィット安定剤の少なくとも1種は、本発明の組成物中において、当該列挙された値を含む、これらの値のあらゆる組み合わせの数値間の範囲内の量で存在してもよい。
【0052】
他の成分
本発明の組成物はさらに、熱可塑性ポリカーボネート成形組成物の分野において機能が知られているあらゆる添加剤を有効量で含有してもよい。このようなものとして、1またはそれ以上の、潤滑剤、離型剤、例えばペンタエリスリトールテトラステアレートなど、核形成剤、帯電防止剤、他の酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、加水分解安定剤、フィラーおよび補強材、着色剤または顔料、加えてさらなる難燃剤、他のタレ抑制剤(drip suppressants)または難燃性相乗剤が挙げられる。当該添加剤は、有効な量、好ましくはポリカーボネート成分の総重量に対して全量で0.01〜30%の量で用いることができる。
【0053】
本発明の組成物は、通常用いられる装置を用いた通常の手順で製造することができる。あらゆる種類の成形品の製造において、射出成形法、押出成形法およびブロー成形法などの任意の熱可塑性処理法を用いることができる。以下の実施例で本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0054】
本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、本発明は当該実施例により限定されるものではない。「部」および「%」で表される全ての量は、特記しない限り、重量に基づくものと理解されるべきである。
【0055】
以下に示す組成物の調製において、以下の成分を用いた;
PC−A ASTM D 1238によるメルトフローレートが約4g/10分(300℃、1.2kg)である、ビスフェノールAを基礎材料とした線状ホモポリカーボネート(マクロロン3208、バイエル・マテリアル・サイエンスLLC社製);
PC−B ASTM D 1238によるメルトフローレートが約2.5g/10分(300℃、1.2kg)である、ビスフェノールAを基礎材料とした分枝状ホモポリカーボネート(マクロロンWB1239、バイエル・マテリアル・サイエンスLLC社製);
【0056】
Br−OC 下記式(IVa)で示される、ビスフェノールAを基礎材料としたテトラ臭素化オリゴカーボネート(BC−52、ケムチュラ・コーポレーション(Chemtura Corporation)社製);
【化13】
【0057】
P−化合物A 下記式(VII)で示されるリン化合物(レオフォス(REOFOS)BAPP、グレート・レークス・ケミカル(Great Lakes Chemical)社製);
【化14】
【0058】
P−化合物B トリフェニルホスフィン;
スルホン酸塩A ペルフルオロブタンスルホン酸カリウム(ベイオウェット(BAYOWET)C4 TPAC 2001、ランクセス(Lanxess)AG社製);
スルホン酸塩B ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(KSS、アリケム(Arichem)LLC社製);
【0059】
酸化防止剤A イルガノクス(IRGANOX)1076、チバ・スペシャルティーズ(Ciba Specialties)社製;
酸化防止剤B 二次酸化防止剤(PEP Q、クラリアント(Clariant)社製);
酸化防止剤C ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィット(ドバーフォスS−9228、ドバー・ケミカルズ社製);
酸化防止剤D イルガフォス168、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製;
【0060】
UV安定剤 2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(チヌビン(TINUVIN)329、チバ・スペシャルティーズ社製);
フッ素化ポリオレフィン:共沈(co-precipitated)PTFEおよびSAN(50/50重量%)。
【0061】
例示される各組成物には熱安定剤0.1重量%および潤滑剤(グリコルーベ(GLYCOLUBE)P)0.25重量%を含有させた。これらは本発明との関係において臨界性を示さないと考えられているものである。例示される組成物の調製では、重量%で示される成分および添加剤を、2軸スクリュー押出機ZSK30中、300〜400℃の温度分布で溶融混合した。得られたペレットを、強制エア対流式オーブン中、120℃で4〜6時間乾燥させた。試験片を射出成形により調製した。
【0062】
組成物のメルトフローレート(MFR)を、ASTM D−1238に従って、300℃、1.2Kg負荷で測定した。多軸衝撃強度を、試料1/8”を用いて、ASTM D3763に従って室温で測定した。燃焼性評価を、厚さ2.3mmの試料でUL−94に従って行った。燃焼性評価は、6''×6''寸法のプラークおよび厚さ3.0mmのバーでUL−94 5Vプロトコルに従っても行った。
【0063】
【表1】
【0064】
実施例C1、C2およびC3は劣った特性を示す比較実施例である。実施例4および5は本発明の代表例であり、優れた透明度(すなわち、ヘイズ値<1.0%)と非常に優れた耐燃性が両立されていることを示し、実施例4では3.00mmで5VAおよび2.3mmでV−0の組み合わせを示し、分枝状ポリカーボネートを用いた実施例5では3.00mmで5VAおよび1.5mmでV−0の組み合わせを示している。
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
表IIIを参照することにより理解できるように、実施例12および13は、良好な透明度(約1%ヘイズ)および1.5mmのときV−0という非常に優れた耐燃性を示す。
【0068】
【表4】
【0069】
実施例C14、C15およびC16は劣った特性を示す比較実施例である。本発明の代表例である実施例18は、非常に優れた耐燃性(3.00mmで5VAおよび2.3mmでV0の組み合わせ)と透明度(ヘイズ値<1.0%と共に)が両立されていることを示し、最小の黄色度指数を示している。
【0070】
本発明の上記実施例は、本発明を説明するために提供されたものであり、限定するためのものではない。本明細書に記載された具体例は、本発明の目的および範囲から逸脱しなければ、多様に変形または変更してもよいことは、当業者であれば明らかである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲により判断されるべきものである。