特許第5933448号(P5933448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933448
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】高温チャック及びそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20160526BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   H01L21/306 K
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-543941(P2012-543941)
(86)(22)【出願日】2010年12月2日
(65)【公表番号】特表2013-514654(P2013-514654A)
(43)【公表日】2013年4月25日
(86)【国際出願番号】IB2010055552
(87)【国際公開番号】WO2011073842
(87)【国際公開日】20110623
【審査請求日】2013年11月28日
(31)【優先権主張番号】12/642,101
(32)【優先日】2009年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510141648
【氏名又は名称】ラム・リサーチ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラッガー・ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】ラッハ・オット
【審査官】 平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−295751(JP,A)
【文献】 特開2009−038231(JP,A)
【文献】 特開平11−307513(JP,A)
【文献】 特開2004−356624(JP,A)
【文献】 特開2006−086230(JP,A)
【文献】 特開2007−270232(JP,A)
【文献】 特開2003−224100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ状物品を支えるためのチャックであって、
処理作業中にウエハ状物品を所定の向きに配置するように適応された本体であって、上面と、ウエハ状物品の縁又は表面に係合するように構成されるとともに前記上面に相対的に上向きに突き出した複数のピンとを含む、本体と、
前記本体の前記上面との間に隙間を形成するように前記本体の前記上面の実質的に上方に配置されるとともに前記本体の前記上面の上方に所定の距離に維持される遮蔽板を含む少なくとも一つの遮蔽部材と
を備え、
記遮蔽板は、複数の貫通孔を備え、前記複数の貫通孔の各々に、前記複数のピンがそれぞれ通された
チャック。
【請求項2】
前記本体は、半導体ウエハの枚葉式ウエハ処理での使用に適応された回転式の支えである請求項1に記載のチャック。
【請求項3】
請求項1に記載のチャックであって、
記遮蔽板は、前記貫通孔の各々を取り巻くとともに処理液を集めて該処理液を前記本体から半径方向外向きに離れるように方向付けるように構成された凹所を更に含む
チャック。
【請求項4】
前記遮蔽板は、更に、前記複数のピンの各々を取り巻く環状フランジを含む請求項3に記載のチャック。
【請求項5】
前記遮蔽板は、更に、中央開口と、前記中央開口を取り巻く上向きに突き出した環状フランジとを含む請求項3に記載のチャック。
【請求項6】
前記本体の上方部分の下に配置される金属製の補強部材を更に備える請求項1に記載のチャック。
【請求項7】
前記少なくとも1つの遮蔽部材は、1つ又は2つ以上のピンカバーを含む請求項1に記載のチャック。
【請求項8】
請求項7に記載のチャックであって、
前記ピンカバーの各々は、ピン本体を覆うとともに、ピンロッドを通らせる開口を形成し、前記ピンカバーは、前記ピン基部本体の長手方向軸に相対的に半径方向外向きに且つ下向きに広がる
チャック。
【請求項9】
前記少なくとも1つの遮蔽部材は、1つ又は2つ以上のピンカバーを更に含む請求項3に記載のチャック。
【請求項10】
請求項9に記載のチャックであって、
前記ピンカバーの各々は、ピン本体を覆うとともに、ピンロッドを通らせる開口を形成し、前記ピンカバーは、前記ピン基部本体の長手方向軸に相対的に半径方向外向きに且つ下向きに広がるとともに、処理液を前記ピンカバーの上面からその下の凹所へ方向付けられるように前記凹所に相対的に配置される
チャック。
【請求項11】
ウエハ状物品を湿式処理で使用するための処理方法であって、
本体と、ウエハ状物品の縁又は表面に係合するように構成され、前記本体から上向きに突き出した複数のピンを含むチャック上に、前記ウエハ状物品を所定の向きで配置し、
前記本体の前記上面、及び前記ピンの少なくとも1本の一部分であって前記上面よりも上方に位置する一部分のうちの、少なくともいずれかの上に配置される少なくとも1つの遮蔽部材を設け、
前記少なくとも1つの遮蔽部材は、前記本体の前記上面との間に隙間を形成するように前記本体の前記上面の実質的に上方に配置されるとともに前記本体の前記上面の上方に所定の距離に維持される遮蔽板を含み、前記遮蔽板は、複数の貫通孔を有し、前記複数の貫通孔の各々に、前記複数のピンがそれぞれ通され、
前記ウエハ状物品が80℃よりも高い温度に達するように、前記ウエハ状物品上に処理液を施し、
前記遮蔽板により、前記本体及び前記ピンの少なくともいずれかを80℃又はそれ未満の温度に維持する
処理方法。
【請求項12】
前記ウエハ状物品は、120℃又はそれを超える温度に達する請求項11に記載の処理方法。
【請求項13】
前記ウエハ状物品は、120℃から180℃の範囲の温度に達する請求項11に記載の処理方法。
【請求項14】
請求項11に記載の処理方法であって、
前記チャックは、前記本体及び前記ピンの少なくともいずれかの上に配置される少なくとも1つの遮蔽部材であって、前記遮蔽部材の上面上に広がる温度が120℃又はそれよりも高いときに前記本体及び前記ピンの少なくともいずれかを80℃以下の温度に維持するように構成された少なくとも1つの遮蔽部材を含む
処理方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、高温ウエハ表面処理プロセスでの使用に適応された、半導体ウエハなどのウエハ状物品のための支えに関するものである。
【0002】
半導体ウエハは、エッチング、洗浄、研磨、及び材料蒸着などの様々な表面処理プロセスを経る。このようなプロセスに対応するためには、例えば、参照によって各々その全体を明示的に本明細書に組み込まれた米国特許第4,903,717号及び第5,513,668号に記載されるように、1枚のウエハを、回転式キャリアに伴われるチャックによって、1つ又は2つ以上の処理流体ノズルに関係付けて支えることができる。いわゆる「両面チャック」は、やはり参照によってその全体を明示的に本明細書に組み込まれた米国特許第6,536,454号に記載されるように、ウエハを、その両側に配置された処理流体ノズルに関係付けて支えるものである。
【0003】
発明者らは、ウエハ処理に伴う流体温度及び/又はウエハ温度が約80℃を超える場合に、従来のチャックが、例えば、高温の腐食性流体との接触によって引き起こされるチャック部品の熱変形又は劣化のせいで損傷を受ける又は最終的には故障に至る恐れがあることを発見した。これまでは、高温ウエハ処理に十分に耐えられるように適応されたチャックは提案されていなかった。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、高温での使用に適応された新しいチャック及びそれを使用する方法に関する。本発明にしたがうと、半導体ウエハなどの物品を支えるためのチャックは、ウエハ又はその他の物品を高温処理流体に接触させることに起因するチャック部品の劣化又は変形を低減させるように構成及び配置された1つ又は2つ以上の遮蔽部材を含む。本発明のチャックは、半導体ウエハの流体処理での使用に限られず、通常は必ずしも円盤である必要はない物品を1つ又は2つ以上の処理流体に接触させるために支える必要がある任意の表面処理プロセスで有用である。本発明のチャックは、高温プロセスのために特別に適応される一方で、80℃又はそれ未満の温度を伴うプロセスでの使用も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付の図面を参照にして与えられる本発明の好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことによって、本発明のその他の目的、特徴、及び利点が明らかになる。
【0006】
図1】本発明にしたがったチャックの概略斜視図である。
【0007】
図2図1のチャックの軸方向断面図である。
【0008】
図3図2の細部IIIの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1において、本発明の好ましい実施形態にしたがったチャック(1)は、図2及び図3を参照にして後ほど更に詳しく説明されるチャック本体を実質的に覆う、リング状の遮蔽板(50)を含む。遮蔽板(50)は、その周領域に基本的に等間隔で設けられた複数の貫通孔(52)を含み、これらの孔には、対応する保持ピン(60)がチャック本体から上向きに通されて、遮蔽板(50)の上方に所定の高さまで突き出している。遮蔽板(50)の周縁には、ピン(60)から、なかでも特に後述のピンカバー(63)から滴下する流体が捕捉されて、チャック(1)から外向きに離れるように方向付けられるように、凹所(56)が形成されて、周縁まで達している。
【0010】
遮蔽板(50)は、上向きに突き出して遮蔽板(50)の中央開口を一周するフランジ(55)も含む。好ましくは、図2に示されるように、フランジ(55)は、遮蔽板(50)の中央開口の周縁を形成している。遮蔽板(50)は、図2を参照にして後ほど更に詳しく説明されるように、チャック本体に形成された貫通孔(42)を同心円状に取り巻く。
【0011】
使用に際して、ピン(60)は、ウエハ(不図示)が遮蔽板(50)の上方に所定の距離に且つ遮蔽板(50)に平行に、そして好ましくは遮蔽板(50)のフランジ(55)の上方に所定の距離に固定されて位置付けられるように、ウエハの周縁に作動式に係合する。したがって、高温流体を含む1つ又は2つ以上の処理流体は、チャック(1)の方を向いていないウエハの上面に、及び随意には貫通孔(42)を通じて反対側のウエハの下面に送出可能である。例えば米国特許第4,903,717号、第5,513,668号、及び第6,536,454号に記載されるように、チャック(1)は、その中心軸を中心として回転可能であるように、駆動機構(不図示)に回転式に取り付け可能である。
【0012】
遮蔽板(50)は、チャック本体を実質的に覆うものであり、該チャック本体の各種部品は、図2及び図3に描かれた本発明の実施形態を参照にしてこれから説明される。
【0013】
図2において、チャック(1)は、その下位部分に、中央開口を取り巻くほぼ環状カップ形状の基部本体(20)を含む。基部本体(20)の内周及び外周の各々は、上向きに突き出した周縁として形成され、それによって、基部本体(20)の上面は、上向きの環状凹面を形成している。基部本体(20)は、更に、内側に位置する下向きの中央凹所(24)と、半径方向外側に位置する下向きの環状凹所(26)とが形成されるように、その下面に、下向きに突き出した環状隆起を含む。
【0014】
基部本体(20)の下向きの中央凹所(24)内には、中央開口を有する基本的に平面状の内側基部リング(15)が収まり、基部本体(20)にゆるみなく付けられる。基部本体(20)の下向きの環状凹所(26)内には、外側基部リング(10)が位置付けられ、更に、基部本体(20)の上向き突き出し外周縁の外面に沿って上向きに突き出している。外側基部リング(10)は、基部本体(20)にゆるみなく付けられる。
【0015】
中央貫通孔(42)を有する基本的に平面状の上方本体部分(40)は、基部本体(20)の上向き突き出し外周縁及び内周縁の両方と境界を接するように基部本体(20)を同じ広さで覆う下面を有する。したがって、上方部分(40)は、基部本体(20)の上向きの環状凹面を、間に環状空間を形成するように囲い込む。
【0016】
上方部分(40)の外周に基本的に等間隔で設けられた複数の貫通孔は、上方に突き出した複数のピン(60)と互いに合わさるように、遮蔽板(50)内の対応する複数の貫通孔と位置を揃えられる。
【0017】
上方部分(40)は、図3に示されるように、更に、その上部の外周縁に、外向きに且つ下向きに突き出したフランジ(43)を含む。上方部分(40)は、好ましくは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)で形成される。
【0018】
図2に示されるように、内側基部リング(15)の中央開口及び基部本体(20)の中央開口は、中央空間(48)を囲い込むために連携的に位置を揃えられ、この中央開口(48)は、チャック(1)の全断面を貫く貫通路を形成するために上方部分(40)の貫通孔(42)と連携的に位置を揃えられる。したがって、空間(48)内には、貫通孔(42)を通じてウエハの底面に液体及び/又は気体を送出可能であるように非回転式のノズルヘッド(不図示)を配置することができる。
【0019】
遮蔽板(50)は、上方部分(40)の上方に基本的に同じ広さで広がり、使用に際して遮蔽板(50)が上方部分(40)を高温処理流体から物理的に且つ熱的に保護するように上方部分(40)の上面を約50%を超える割合で、好ましくは約75%を超える割合で、最大では100%の割合で覆うものである。図3に示されるように、遮蔽板(50)は、その周縁に、上方部分(40)の外向き且つ下向き突き出しフランジ(43)を同じ広さで覆う外向き且つ下向き突き出しフランジ(57)を含む。
【0020】
遮蔽板(50)及び上方部分(40)は、同じ又は異なる材料で形成することができる。遮蔽板(50)は、好ましくは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)で形成される。
【0021】
図2及び図3に描かれた本発明の実施形態に再び言及すると、遮蔽板(50)は、上方部分(40)との間に隙間(51)を形成するように上方部分(40)の上方に所定の均一距離に維持される。遮蔽板(50)は、隙間(51)を提供するのに適した任意の方式で上方部分(40)に固定することができる。例えば、距離スリーブ(41)を遮蔽板(50)と上方部分(40)との間の均一スペーサとして機能させ、取り付けネジ(53,54)を遮蔽板(50)内の対応する取り付けネジ穴(52)に通して上方部分(40)の上面に入らせて装着することができる。このような取り付けネジ(53,54)及び関連の距離スリーブ(41)は、図1に示されるように、チャック(1)の内周及び外周に基本的に等間隔で設けられることが好ましい。
【0022】
隙間(51)は、空気又はその他の流体で満たされてよく、更には、使用中に高温処理流体による望ましくない熱的効果から上方部分(40)を保護する。遮蔽板(50)と上方部分(40)との間の均一距離に対応する望ましい隙間(51)高さは、予期される処理流体温度と、遮蔽板(50)の熱力学特性とに基づいて決定することができる。好ましくは、隙間(51)は、約3mmである。より好ましくは、遮蔽板(50)及び隙間(51)は、たとえ処理中のウエハの温度が例えば120℃又はそれ以上のように大幅に高く、ひいては180℃もの高さであるときでも、使用に際して上方部分(40)が経験する温度が約80℃以下であるように、連携的に構成される。
【0023】
図2及び図3では、チャック(1)は、更に、上方部分(40)と基部本体(20)との間に位置する環状補強板(30)を含む。具体的には、補強板(30)は、上方部分(40)の下面と境界を接し、(図1に示された)ネジ(46)によって上方部分(40)の下面に取り付けられる。補強板(30)は、上方部分(40)と基部本体(20)との間に形成された環状空間とほぼ同じ広さを持つように、おおよそ基部本体(20)の上向き突き出し内周縁から基部本体(20)の上向き突き出し外周縁まで広がる。
【0024】
補強板(30)は、少なくとも一部には、上昇したウエハ処理温度に起因する基部本体(20)及び/又は上方部分(40)の変形を抑制又は阻止する働きをする。したがって、補強板(30)は、熱的に且つ構造的に適した任意の材料で形成されてよく、好ましくはアルミニウムである。
【0025】
図3に最も良く示されるように、各ピン(60)は、上方部分(40)の嵌め合い貫通孔(44)及び遮蔽板(50)の嵌め合い貫通孔(52)に収まるピン基部本体(61)を含む。ピン基部本体(61)は、遮蔽板(50)の上方に所定の距離だけ上向きに突き出し、その上端に、外向きに且つ下向きに広がるピンカバー(63)を被せられる。
【0026】
ピン基部本体(61)内に偏心して位置付けられた縦方向の貫通孔に収まるピンロッド(62)は、ピンカバー(63)の上方に所定の距離だけ上向きに突き出し、そのほぼ上端に、ウエハの縁に接触してウエハを半径方向に及び軸方向に固定するように構成された溝を彫り込まれている。ピンロッド(62)は、ピン基部本体(61)の貫通孔内に、止めネジ(64)によって取り付けられる。好ましくは、ピンロッド(62)は、セラミック又はサファイアで形成される。
【0027】
ピン基部本体(61)の下端は、上方部分(40)内に形成された嵌め合い段部に収まる拡大直径ピンギア部分(74)によって形成される。各ピン基部本体(61)は、基部本体(20)の上向き突き出し外周縁内に形成された凹所内に各々位置する針軸受け(77)及び関連のコイルバネ(76)によって、上方部分(40)に向かって上向きに圧迫される。
【0028】
このようにして、ピンカバー(63)は、そうでなければピン本体(61)にぶつかるだろうあらゆる流体を、ピン(60)から外向きに離れて遮蔽板(50)の凹所(56)に向かうように方向付けることによって、ピン基部本体(61)及びピンギア部分(64)を処理流体から保護する。更に、遮蔽板(50)は、ピン(60)も更に物理的に且つ熱的に高温処理流体から保護されるように、各ピン(60)を取り巻いて遮蔽板(50)の上面からピンカバー(63)の底面まで達する環状フランジ(58)も含む。
【0029】
上方部分(40)と基部本体(20)との間に形成された環状空間には、基本的に平面状のギアリング(70)が収まる。ギアリング(70)は、その外周縁に、ピンギア部分(74)から半径方向外向きに突き出した対応する歯と噛み合う半径方向外向きに突き出した歯を含む。ギアリング(70)は、その内周縁では、玉軸受け(72)を通じて基部本体(20)の上向き突き出し内周縁に回転式に寄りかかる。
【0030】
ギアリング(70)は、ギアリング(70)の回転の際にピンギア部分(74)がその中心軸を中心として回転されるように、基部本体(20)に相対的に回転可能であるように構成及び位置付けられる。その結果、偏心して位置付けられた各ピンロッド(62)は、ウエハが解放可能となる外側の「開」位置と、ウエハがピン(60)によって半径方向に及び軸方向に固定される内側の「閉」位置との間で回転される。偏心して位置付けられたピンを回転させるようにギア歯車とチャック本体との相対運動を提供するための機構は、例えば米国特許第4,903,717号及び第5,513,668号に記載されるように既知である。
【0031】
当業者にならば、本開示を読むことによって明らかになるように、本発明にしたがったチャックは、ウエハ又はその他の物品を高温処理流体に接触させることに起因するチャック部品の劣化又は変形を各々が低減させることができる複数の遮蔽部材を提供する。本発明は、その様々な好ましい実施形態との関連で説明されてきたが、これらの実施形態は、発明を例示するために提供されたにすぎず、添付の特許請求の範囲の真の範囲及び趣旨によって与えられる保護の範囲を制限する口実として使用されるべきでない。例えば本願発明は、以下の適用例としても実施可能である。
[適用例1]ウエハ状物品を支えるためのチャックであって、
処理作業中にウエハ状物品を所定の向きに配置するように適応された本体であって、上面と、ウエハ状物品の縁又は表面に係合するように構成されるとともに前記上面に相対的に上向きに突き出した複数のピンとを含む、本体と、
前記本体の前記上面、及び前記上面よりも上方に位置する前記ピンの少なくとも1本の一部分のうちの、少なくともいずれかの上に配置される少なくとも1つの遮蔽部材と
を備えるチャック。
[適用例2]前記本体は、半導体ウエハの枚葉式ウエハ処理での使用に適応された回転式の支えである適用例1に記載のチャック。
[適用例3]適用例1に記載のチャックであって、
前記少なくとも1つの遮蔽部材は、前記本体の前記上面との間に隙間を形成するように前記本体の前記上面の実質的に上方に配置されるとともに前記本体の前記上面の上方に所定の距離に維持される遮蔽板を含む
チャック。
[適用例4]適用例1に記載のチャックであって、
前記少なくとも1つの遮蔽部材は、複数の貫通孔を有する遮蔽板を含み、前記ピンの各々は、前記複数の貫通孔の1つに通され、前記遮蔽板は、前記貫通孔の各々を取り巻くとともに処理液を集めて該処理液を前記本体から半径方向外向きに離れるように方向付けるように構成された凹所を更に含む
チャック。
[適用例5]前記遮蔽板は、更に、前記複数のピンの各々を取り巻く環状フランジを含む適用例4に記載のチャック。
[適用例6]前記遮蔽板は、更に、中央開口と、前記中央開口を取り巻く上向きに突き出した環状フランジとを含む適用例4に記載のチャック。
[適用例7]前記本体の上方部分の下に配置される金属製の補強部材を更に備える適用例1に記載のチャック。
[適用例8]前記少なくとも1つの遮蔽部材は、1つ又は2つ以上のピンカバーを含む適用例1に記載のチャック。
[適用例9]適用例8に記載のチャックであって、
前記ピンカバーの各々は、ピン本体を覆うとともに、ピンロッドを通らせる開口を形成し、前記ピンカバーは、前記ピン基部本体の長手方向軸に相対的に半径方向外向きに且つ下向きに広がる
チャック。
[適用例10]前記少なくとも1つの遮蔽部材は、1つ又は2つ以上のピンカバーを更に含む適用例4に記載のチャック。
[適用例11]適用例10に記載のチャックであって、
前記ピンカバーの各々は、ピン本体を覆うとともに、ピンロッドを通らせる開口を形成し、前記ピンカバーは、前記ピン基部本体の長手方向軸に相対的に半径方向外向きに且つ下向きに広がるとともに、処理液を前記ピンカバーの上面からその下の凹所へ方向付けられるように前記凹所に相対的に配置される
チャック。
[適用例12]ウエハ状物品を湿式処理で使用するための処理方法であって、
本体と、ウエハ状物品の縁又は表面に係合するように構成され、前記本体から上向きに突き出した複数のピンを含むチャック上に、前記ウエハ状物品を所定の向きで配置し、
前記ウエハ状物品が80℃よりも大幅に高い温度に達するように、前記ウエハ状物品上に処理液を施し、
前記本体及び前記ピンの少なくともいずれかを80℃又はそれ未満の温度に維持する
処理方法。
[適用例13]前記ウエハ状物品は、120℃又はそれを超える温度に達する適用例12に記載の処理方法。
[適用例14]前記ウエハ状物品は、120℃から180℃の範囲の温度に達する適用例12に記載の処理方法。
[適用例15]適用例12に記載の処理方法であって、
前記チャックは、前記本体及び前記ピンの少なくともいずれかの上に配置される少なくとも1つの遮蔽部材であって、前記遮蔽部材の上面上に広がる温度が120℃又はそれよりも高いときに前記本体及び前記ピンの少なくともいずれかを80℃以下の温度に維持するように構成された少なくとも1つの遮蔽部材を含む
処理方法。
図1
図2
図3