【実施例】
【0013】
本発明の一実施形態に係るワークチャック装置100を、
図1乃至
図4に基づいて説明する(なお、図示では、爪部材120が上方に位置しているが、一般的なワークを上方から把持する使用形態では、上下が逆の状態で使用される。)。
ワークチャック装置100は、チャック本体110と、ワークの側面に当接して把持する3本の爪部材120と、爪部材120を開閉する開閉手段とを有している。
開閉手段は、チャック本体110にホルダ軸受137で回転可能に支持されたホルダ131と、ホルダ131の中心に駆動軸軸受138で回転可能に支持され太陽歯車133を有する駆動軸132と、太陽歯車133と噛み合う遊星歯車135を有する3本の遊星軸134と、ホルダ131に固定され遊星軸134を回転可能に支持する遊星ベース136とを備えている。
また3本の爪部材120は、それぞれ遊星軸134に固定された揺動アーム121の揺動によって同時に開閉動作可能に設けられている。
本実施形態においては、爪部材120と揺動アーム121とが一体に形成されており、揺動アーム121が遊星軸134を挟むよう取付けられてネジ固定されているが、これらの部材の形成手段、固定手段は公知のいかなるものであってもよい(なお、
図1乃至
図4において、ネジ固定のためのネジは一部のみ図示した。)。
【0014】
また、ホルダ131に外嵌された弾性部材である皿ばね151、押圧板153およびホルダ131に外嵌螺合された調節ナット152によって、チャック本体110とホルダ131との間の回転抵抗を調節する抵抗調節手段150が構成されている。
すなわち、皿ばね151はホルダ軸受137を押圧するようにホルダ131に外嵌されており、ホルダ131に外嵌螺合された調節ナット152を進退させることで、押圧板153を介して皿ばね151の圧縮力が調節されてホルダ軸受137の回転抵抗が調節され、チャック本体110とホルダ131との間の回転抵抗が調節される。
【0015】
以上のように構成された本発明の一実施形態に係るワークチャック装置100の動作について説明する。
チャック本体110は、移動手段(図示せず)に固定され、ワークチャック装置100がワーク(図示せず)に対してアクセス可能に設置されている。
まず、爪部材120がワークの周囲に位置するようにワークチャック装置100が移動される。
その位置で、駆動接続部材139を介して駆動軸132と回転接続された回転駆動手段(図示せず)を動作させることで、駆動軸132が回転駆動される。
【0016】
この時、ホルダ131は、抵抗調節手段150によってチャック本体110に対して回転抵抗が付与されているため、ホルダ131はチャック本体110に対して回転せず、駆動軸132のみがホルダ131に対して回転する。
駆動軸132の回転によって太陽歯車133が回転し、太陽歯車133と噛み合う遊星歯車135が回転駆動されて、3本の遊星軸134が同時に回転する。
遊星軸134の回転によって、遊星軸134に固定された揺動アーム121が揺動し、爪部材120がワークを把持する方向に移動する。
【0017】
爪部材120がワークに接触して把持すると、揺動アーム121の揺動が停止されホルダ131と駆動軸132との相対回転が停止するが、さらに回転駆動手段による駆動軸132の駆動を続けることで、ホルダ131とチャック本体110との回転抵抗を超えるトルクがホルダ131にかかり、ホルダ131がチャック本体110に対して相対回転する。
この時、チャック本体110とホルダ131との間の回転抵抗を適宜に抵抗調節手段150によって調節することにより、爪部材120がワークを把持する把持力を調節することが可能となる。
【0018】
爪部材120がワークを把持した状態で、移動手段(図示せず)によってワークチャック装置100を移動させることにより、ワークを回転させながら移動させることができる。
ワークを適宜の場所に移動させてワークの把持を解除する場合は、回転駆動手段を逆転することで、直ちに駆動軸132のみがホルダ131に対して前述と逆方向に回転し、爪部材120がワークの把持を解除する方向に移動する。
【0019】
本発明に係るワークチャック装置100は、上述した実施形態のものに限定されるものではなく、個々の具体的な構成はいかなるものであってもよい。
例えば、上述した実施形態では爪部材120を3本とし、全てを開閉可能に構成したが、2本以上であれば何本であってもよく、全ての爪部材が開閉可能に構成されていなくてもよい。
また、爪部材の配置間隔も、円周上に等間隔でなくてもよい。
さらに、爪部材は、図示では真っ直ぐな円柱状のものであるが、他の断面形状や途中で屈曲した形状、中空状等のいかなる形状であってもよく、ワークとの接触部に凹凸加工を施したものや緩衝部材を有するものであってもよく、複数の爪部材が異なる形状、材質のものを含んでいてもよい。
【0020】
また、ホルダとチャック本体との回転抵抗の付与は、ホルダ側の質量が大きくなるように設計したり、ホルダ軸受を駆動軸軸受より回転抵抗が元々大きいものを選択するようにしてもよい。
さらに、上述の実施形態では、駆動軸がホルダ内で回転可能に支持されているが、チャック本体に直接回転可能に支持されていてもよい。
また、駆動軸が軸芯側にあり、ホルダがその外側に位置しているが、同様の駆動伝達効果を有するものであれば、その位置関係が逆になるように設計したもの(ホルダ相当が軸芯側、駆動軸相当がその外側)でもよい。
【0021】
また、それぞれの回転可能な支持のための軸受部は、公知のいかなる軸受構造(ボール軸受、プレーン軸受、磁気軸受等)であってもよい。
さらに、駆動軸を回転駆動する回転駆動手段(図示せず)は、駆動軸と同軸上になくてもよく(チェーンなどを介して離れたところに設置等)、また、その動力源も、電動機、内燃機関、水力、手動等いかなるものであってもよい。
また、本発明に係るワークチャック装置により把持されるワークは、創薬研究用試料や薬品等を収容したバイアル瓶やマイクロチューブ等に限定されるものではなく、各種組立機械、工作機械等のワークの把持に用いられてもよい。