【課題を解決するための手段】
【0011】
少なくとも1つの缶燃焼器チャンバを利用するガスタービンシステムの少なくとも1つの燃焼経路、および少なくとも1つの予混合バーナを利用する全ての缶燃焼器が提供される。
【0012】
「缶燃焼器」という用語は、様々な異なる断面積で形成されてよい、自立した円筒状または準円筒状の燃焼室(管状燃焼空間)を指す公知の技術用語である。
【0013】
燃焼室は、ロータ軸線を中心とする、水平、斜め、らせん状などのリングの形態で配置された、1つのまたは複数の個々のまたは互いに相互依存した缶燃焼器から成ることができる。
【0014】
第1の予混合バーナは、接線方向空気流入スロットと、気体燃料および液体燃料用の供給チャネルとを有する複合ボディを形成する中空の部分円錐ボディから成り、中空の部分円錐ボディの中心軸線は、流れ方向で増大する円錐角を有し、相互にずれて長手方向に延びている。燃料ノズルであって、その燃料噴射が部分円錐ボディの相互にずれた中心軸線の接続線の中央に配置されている燃料ノズルは、欧州特許出願公開第0321809号明細書によれば、部分円錐ボディによって形成された円錐形内部における予混合バーナヘッドに配置されており、この文献はこの説明の一体の部分を形成する。
【0015】
熱発生器用の別の予混合バーナ配列は、実質的に、燃焼用空気流および燃料を噴射するための手段のための、実質的に欧州特許出願公開第0321809号明細書による、旋回流発生器と、前記旋回流発生器の下流に設けられた混合管とから成り、前記混合管は、前記混合管の流れの断面内への前記旋回流発生器において形成された流れの引渡しの流れ方向における混合管の第1の部分内に延びたトランザクションダクトを有し、このトランザクションダクトは、欧州特許出願公開第0704657号明細書による、前記移行ダクトの下流に接合しており、前記文献はこの説明の一体の部分を形成する。
【0016】
別の燃焼バーナは、予混合燃焼のための様々なタイプの円錐形の特徴、すなわち、旋回流なしバーナ、少なくとも1つの軸方向、半径方向または円錐形スワーラを備えたバーナ、または様々な流れ通路のためのそれらの組合せを含む。
【0017】
少なくとも上記で特定した予混合バーナによれば、缶燃焼器は、様々な異なる予混合バーナの組合せから成ることができる。
【0018】
予混合バーナの混合管は、円錐形スワーラまたは缶燃焼器の前面と一体化されることができる。円錐形スワーラと混合管との結合部における間隙は、混合管に進入する小さな空気流を許容し、逆火保護空気境界層を生ぜしめるように設計されている。混合管は、缶燃焼器への出口において所望の流れ場を形成するために出口において直線的又は成形されている。
【0019】
したがって、円錐形スワーラは、どのようなタイプの燃料ランスが使用されるかに応じて最適化される。
【0020】
一次予混合ガスインジェクタは、円錐形スワーラの最適化された空気スロットに配置されている(欧州特許出願公開第0321809号明細書参照)。二次ガス予混合インジェクタは燃料ランスに配置することができる。ガスパイロットインジェクタは、混合管の出口リングまたはランスに配置することができる。解離されたパイロットガスインジェクタは、予混合バーナの間に配置することができる。
【0021】
主オイルインジェクタはランスまたは円錐形スワーラの上部に配置されている。パイロットオイルインジェクタは、混合管の出口リングまたは燃料ランスに配置されている。解離されたパイロットオイルインジェクタは予混合バーナの間に配置することができる。
【0022】
全てのバーナは、スワーラの同じ回転方向を有することができるか、2つのバーナグループ、1つの共回転および第2の逆回転スワール方向の組合せであることができる。
【0023】
説明された複数のインジェクタ箇所および異なる軸方向位置における異なるタイプのインジェクタは、2つの予混合バーナグループの間の可能な軸方向距離と、予混合バーナの方位方向段階付けと組み合わせて、全作動範囲にわたる缶燃焼器の最適な作動のための条件を提供する。
【0024】
加えて、燃焼システムは、タービンケーシングに取り付けられかつ機関圧縮機と流体相互接続した圧力ケアリングケーシングから成る。燃焼システムのアウトゴーイングはタービンと流体連通している。
【0025】
さらに、燃焼システムは、それぞれ規定された正確な機能を備える構成部材から成る。高温の燃焼器ライナは、燃焼空間を含み、高温ガスを出口ノズルを通じてタービンへ引き渡す。ライナの高温側は、有利には、熱バリアコーティングによって熱保護されている。燃焼器ライナの外側において、冷却チャネルは、シェルによっておよび/または燃焼システム自体のケーシングによって形成されている。燃焼空気は、このチャネルを通って流れており、高温燃焼器ライナを冷却する。冷却効率を高めるために、ライナの表面には渦発生器とも称されるタービュレータが設けられており(独国特許出願公開第10330023号明細書参照。この文献はこの説明の一体的部分を形成する)、チャネルの高さは、できるだけ小さな圧力降下で十分な冷却のために必要な最適な空気速度を生じるように選択されている。付加的な軸方向衝撃を導入するための目標とされる形式において、渦発生器においてまたは渦発生器の近くにおいて冷却穴を使用することがさらに提案される。これは、波形渦のコア流れに増大した軸方向衝撃が導入されるように、冷却穴の一部を変更することによって達成することができる。この目的のために、出口開口のジオメトリは、たとえばそれらの向きおよび/またはスループットに関して、対応して構成されている。
【0026】
動圧の回収のために、予混合バーナフードへの冷却チャネルの出口は有利にはディフューザとして成形されている。予混合バーナにおける空気流れ場の平衡は、フードを包囲する穴の最適化された分配を備えるストレーナに関連して可能である。択一的な設計において、ストレーナは、必要であるならば、それぞれの個々の予混合バーナの入口において、個々のふるいによって置き換えられる。
【0027】
上で特定された実施の形態による円錐形スワーラを備えた装着される予混合バーナの数は、燃焼システムの所要の電力出力のために、および全作動範囲における燃焼安定性および汚染物質エミッションを考慮した所要の概念のために、最適に選択される。
【0028】
絶対的なまたはそれぞれの缶燃焼器に対する、予混合バーナの合計数は、火炎に相互作用することなく、空気側(別個のフード)と、燃焼サイズとにおいて、互いから分離された、2つの独立したグループに分割することができる。
【0029】
さらに、缶燃焼器のキャップは、予混合バーナへの容易なアクセスおよびシステムの保守しやすい取扱いのために設計されている。円錐形スワーラおよび燃料ランスは、キャップとともに取り外すために一体化することができるのに対し、混合管は前面と一体化されている。混合管と一体化された円錐形スワーラを備えた設計(欧州特許出願公開第0704657号明細書)、および結果的にふるいを備えた設計の場合、それぞれ個々の予混合バーナを別個に取り外すことができる。これに関して、燃料ランスは、常に個々の取外しのために設計されている。
【0030】
さらに、缶燃焼器の前面は、開放冷却ループにおいて冷却することができ、この場合、冷却空気は、音響ライナセグメントにおいて円錐形スワーラをバイパスしている。閉鎖冷却ループにおいて、冷却空気は、燃焼器前面の後側のインピンジメント冷却後にフードへ戻り、スワーラへ戻る。
【0031】
本発明の設計は、缶燃焼器オペラビリティのさらなる向上のために燃焼動力学の制御のための複数の手段を提供する。高周波数燃焼動力学は、必要であるならば、燃焼器ライナの周縁部に取り付けられた音響ライナのセグメントによって、または音響フロントパネルによって制御される。
【0032】
低周波数動力学的挙動は、必要であるならば、ヘルムホルツタイプダンパによって制御される。バーナスペースに応じて、ダンパは、有利には、自立した円筒状ヘルムホルツキャビティおよびネックとして、またはガス摂取を防止しかつ個々の調整を許容するためにセクタに分割された、混合管の間の自由スペースにおけるヘルムホルツキャビティとして設計される。
【0033】
加えて、燃焼動力学は、さらに、個々にそれぞれのバーナのために、混合管の長さの調整により改良することができる。
【0034】
本発明の設計の主な利点は以下の通りであり、順序は格付けを反映しない。
−別の設計と比べて高い保守容易性であり、缶構成と組み合わされた環状設計は、好適な保守容易性を改良することができる。
−機関において実施する前の完全な「インハウス」開発のための可能性による開発期間の短縮およびコストの低減
−円錐形スワーラおよび成形された混合管を備えた予混合バーナの次世代のための燃焼システムの改変
−缶燃焼器の比較的小さなサイズは、費用対効果の高い金属薄板設計を可能にする。機関保守時間およびコストは、缶燃焼器のコストおよび寿命が適切に最適化されることを考慮して減じられることができる。
−コンパクトサイズは、摩耗および裂断する部品の数が制限された設計、ひいては、燃焼動力学のための低い感度を可能にする。
−2つ以上の位置における予混合バーナの軸方向、半径方向、方位方向の段階付け、グルーピング、同時スワーリングまたは混合された同時スワーリングおよびカウンタースワーリングバーナの実施の可能性。
−広い作動範囲にわたる低エミッションおよび制御された燃焼動力学のための音響およびその他の受動的な減衰装置の実施。
−缶燃焼器は、モジュール設計を考慮して広範囲の機関サイズをカバーすることができる。燃焼システムのサイズは、アクセス可能な高圧燃焼試験プラントのサイズによってのみ制限される。機関のための缶燃焼器の数は機関サイズに基づいて選択される。
−缶燃焼器構造は、タービン入口における周方向温度勾配を減じるのを助ける。これらは、タービン部材の寿命を増大するという利点を有する。
−缶燃焼器構造のためのCOエミッションの観点から、個々の缶燃焼器の間の相互作用は最小限であるかまたは存在しない。これに加えて、環状概念のためのCOに影響することが知られる、分割平面における漏れは、缶燃焼器機関のためのCOに影響しない。なぜならば、この構造のために、燃焼器内への分割線漏れは、移行片の最後の端部にのみ存在するからである。
【0035】
これらの発見に基づき、この概念は、缶構造におけるシーケンシャル燃焼(中間高圧タービンを備えるまたは備えない)において作動する機関のために機能することが予測されることができる。
【0036】
基本的に、多数の予混合バーナを有する1つの缶燃焼器は、1つの燃焼室として作動させられることができる。
【0037】
シーケンシャル燃焼に関して、2つの主燃焼器(燃焼室)の組合せを以下のように配置することができる。
−主要な実施の形態:少なくとも1つの燃焼室は、少なくとも1つの作動タービンを備えた、環状の缶燃焼器構造として構成される。
−主要な実施の形態:第1および第2の燃焼室の両方が、少なくとも1つの作動するタービンを備えた、シーケンシャル缶燃焼器構造として構成される。
−主要な実施の形態:第1および第2の燃焼室の両方が、第1および第2の燃焼室の間に少なくとも1つの中間作動タービンを備えたシーケンシャル缶燃焼器構造として構成される。
−別の実施の形態:第1の主燃焼器は、環状燃焼室として構成されており、第2の主燃焼器は、少なくとも1つの作動するタービンを備えた、缶構成として組み込まれている。
−別の実施の形態:第1の主燃焼器は、缶構造として構成されており、第2の主燃焼器は、少なくとも1つの作動するタービンを備えて、環状燃焼室として構成されている。
−別の実施の形態:両方の主燃焼器、すなわち第1および第2の燃焼器は、少なくとも1つの作動するタービンを備えて、環状燃焼室として構成されている。
−別の実施の形態:両方の主燃焼器、すなわち第1および第2の燃焼器は、中間作動タービンを備えて、環状燃焼室として構成されている。
【0038】
発明は、典型的な実施の形態に基づいて
図1〜
図5に概略的に示されている。