特許第5933491号(P5933491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933491
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】ガスタービン燃焼システム
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/34 20060101AFI20160526BHJP
   F23R 3/14 20060101ALI20160526BHJP
   F23R 3/18 20060101ALI20160526BHJP
   F23R 3/24 20060101ALI20160526BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20160526BHJP
   F23R 3/30 20060101ALI20160526BHJP
   F02C 7/24 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   F23R3/34
   F23R3/14
   F23R3/18
   F23R3/24
   F23R3/28 D
   F23R3/30
   F02C7/24 B
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-143565(P2013-143565)
(22)【出願日】2013年7月9日
(65)【公開番号】特開2014-16146(P2014-16146A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2014年1月6日
(31)【優先権主張番号】12175593.8
(32)【優先日】2012年7月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
(74)【復代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】フランクリン マリー ジェナン
(72)【発明者】
【氏名】ナレシュ アルリ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン サーニー
(72)【発明者】
【氏名】アドナン エログル
(72)【発明者】
【氏名】エニオ パスカロット
【審査官】 佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−050177(JP,A)
【文献】 特開平09−088628(JP,A)
【文献】 特開平08−114307(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0011769(US,A1)
【文献】 米国特許第06332313(US,B1)
【文献】 特開平07−280223(JP,A)
【文献】 特開2003−014232(JP,A)
【文献】 特開2002−372240(JP,A)
【文献】 特表2002−522741(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0103018(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/00− 7/00
F02C 1/00− 9/58
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン燃焼システムであって、ガスタービンは、少なくとも1つの圧縮機と、作動ガスを発生するための少なくとも1つの燃焼室であって、該燃焼室は、前記圧縮機から圧縮空気を受け取るように接続されている燃焼室と、該燃焼室から作動ガスを受け取るように接続されている少なくとも1つのタービンと、を有し、前記燃焼室は、1つの缶燃焼器から成るか、または環状の缶構造に配置された複数の個々のもしくは独立した缶燃焼器を含み、該缶燃焼器は、少なくとも1つの予混合バーナを有し、混合物の点火は前記予混合バーナの出口において開始し、火炎は、逆流ゾーンによって予混合バーナの出口の領域において安定化され、前記缶燃焼器は、該缶燃焼器内で少なくとも2つのグループに分割された複数の予混合バーナを有し、第1のグループは、前記缶燃焼器の表面に配置され、第2のグループは、前記第1のグループの下流に配置され、該第2のグループの前記予混合バーナは前記缶燃焼器の周方向で対称的に配置されていることを特徴とする、ガスタービン燃焼システム。
【請求項2】
ガスタービン燃焼システムであって、ガスタービンは、少なくとも1つの圧縮機と、作動ガスを発生するための第1の燃焼室であって、前記圧縮機から圧縮空気を受け取るように接続されている第1の燃焼室と、を備え、前記第1の燃焼室の高温ガスは、少なくとも中間タービンへまたは直接的にまたは間接的に第2の燃焼室へ提供され、該第2の燃焼室の高温ガスは、別のタービンまたは直接的にまたは間接的にエネルギ回収部へ提供され、第1および/または第2の燃焼室は、1つの缶燃焼器から成るか、または環状の缶構造に配置された複数の個々のまたは独立した缶燃焼器を含み、該缶燃焼器は、少なくとも1つの予混合バーナを有し、混合物の点火は前記予混合バーナの出口において開始し、火炎は、逆流ゾーンによって前記予混合バーナの出口の領域において安定化され、前記缶燃焼器は、該缶燃焼器内で少なくとも2つのグループに分割された複数の予混合バーナを有し、第1のグループは、前記缶燃焼器の表面に配置され、第2のグループは、前記第1のグループの下流に配置され、該第2のグループの前記予混合バーナは前記缶燃焼器の周方向で対称的に配置されていることを特徴とする、ガスタービン燃焼システム。
【請求項3】
なくとも1つの予混合バーナ、他の予混合バーナに対して軸方向で後退させられている、請求項1または2記載のガスタービン燃焼システム。
【請求項4】
前記第2のグループの予混合バーナは、前記缶燃焼器の軸方向の延在に対して斜めの位置で作動する、請求項1または2記載のガスタービン燃焼システム。
【請求項5】
前記予混合バーナは、旋回流発生器と、該旋回流発生器の下流に設けられた混合管とから成り、
前記旋回流発生器は、接線方向空気流入スロットと気体燃料および液体燃料のための供給チャネルとを有、完全なボディを構成する中空の部分円錐ボディから成り、
記中空の部分円錐ボディの中心軸線は、流れ方向で増大する円錐角を有しかつ相互にずれて長手方向に延びており、
の燃料噴射が前記部分円錐ボディの相互にずれた中心軸線の接続線の中央に配置されている燃料ノズル、前記部分円錐ボディによって形成された円錐形内部におけるバーナヘッドに配置されており、
前記混合管は、混合管の横断面への、前記旋回流発生器において形成された流れの引渡しのために、流れ方向における経路の第1の部分内に延びているトランザクションダクトを有し、前記トランザクションダクトの下流に接続している、
請求項1から4までのいずれか1項記載のガスタービン燃焼システム。
【請求項6】
接線方向空気流入スロットと気体燃料および/または液体燃料のための供給チャネルとを有する、完全なボディを構成する中空の部分円錐ボディから成る旋回流発生器であって、前記中空の部分円錐ボディの中心軸線は、流れ方向で増大する円錐角を有しかつ相互にずれて長手方向に延びており、燃料ノズルであって、その燃料噴射が前記部分円錐ボディの相互にずれた中心軸線の接続線の中央に配置されている燃料ノズルは、前記部分円錐ボディによって形成された円錐形内部におけるバーナヘッドに配置されている、旋回流発生器を備える、請求項5記載のガスタービン燃焼システム。
【請求項7】
前記混合管は、前記予混合バーナの軸線に沿って異なり得る直径および/または長さを備えて成形されている、請求項5記載のガスタービン燃焼システム。
【請求項8】
前記予混合バーナには、点火、および部分負荷運転における希薄ブローオフ温度の低下のための、予混合される、部分的に予混合されるまたは予混合されないパイロットノズルが装備されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のガスタービン燃焼システム。
【請求項9】
パイロットノズルが、予混合バーナの出口、または旋回流発生器の燃料ノズルに配置されているか、または予混合バーナの間に配置されている、請求項5から8までのいずれか1項記載のガスタービン燃焼システム。
【請求項10】
前記缶燃焼器の低周波数動力学的挙動がヘルムホルツダンパによって制御され、該ヘルムホルツダンパは、自立した円筒状のヘルムホルツキャビティおよびネックとして、前記予混合バーナが備える混合管の間の自由空間におけるヘルムホルツキャビティとして設計されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のガスタービン燃焼システム。
【請求項11】
前記ヘルムホルツダンパは、低周波数圧力振動を防止するために、予混合バーナグループのセクタに分割されている、請求項10記載のガスタービン燃焼システム。
【請求項12】
前記缶燃焼器の前面は、高周波数音響圧力振動の減衰のための音響ダンパとして設計されている、請求項1から11までのいずれか1項記載のガスタービン燃焼システム。
【請求項13】
前記圧縮機から個々の予混合バーナへの圧縮空気の分配は、円錐形の旋回流発生器の周囲に配置されたふるい、またはストレーナによって補助される、請求項1から12までのいずれか1項記載のガスタービン燃焼システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1および2によるガスタービン燃焼システムに関する。本発明は、加えて、詳細な説明による複数の予混合バーナを有する缶燃焼器を備えたガスタービンを運転する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6935116号明細書は、より低い負荷条件において安定した燃焼を提供することができつつ、NOxおよびCOなどの汚染物質エミッションを低減するためのガスタービン燃焼システムを開示している。燃焼システムは、機関圧縮機と流体接続した、中心軸線を有するケーシングと、ケーシングに固定された端部カバーとを含む。好適な実施の形態において、端部カバーは、端部カバーの周囲に第1の配列で配置された複数の第1のインジェクタと、端部カバーの周囲に第2の配列で配置された複数の第2のインジェクタとを含み、第2の配列は第1の配列の半径方向外側に位置している。端部カバーの近くには、圧縮空気の第1の部分のほぼ半径方向内方に旋回流を生ぜしめるための、ケーシング中心軸線に対してほぼ垂直に向けられた複数の通路を有する、旋回流発生器とも称される第1のスワーラが配置されている。第1および第2のインジェクタを通じて噴射される燃料は、ドームセクションを通ってライナに進入する前に第1のスワーラからの圧縮空気の第1の部分と混合される。付加的な燃料も、後方インジェクタアセンブリのマニホルドに配置された複数の第3のインジェクタを通じて、圧縮空気の第2の部分に導入される。第3のインジェクタは、後方インジェクタアセンブリの周囲における周方向での様々な燃料段階付けを可能にするために、複数の周方向部分に分割されている。第3のインジェクタからの燃料と圧縮空気の第2の部分との混合を高めるために、第2のスワーラが、圧縮空気の第2の部分に旋回流を付与するために後方インジェクタアセンブリに隣接して配置されている。この燃料および空気は、ライナの第1の部分とドームとの間に配置された第2の通路において混合され、その後、ライナに進入して、第1のスワーラ領域からの燃料および圧縮空気の第1の部分と混合される。ライナに進入すると、第2の通路からの予混合物は、流れ方向が完全に反転されなければならず、これは、ライナの前端において強い再循環ゾーンを生じる。これらの再循環ゾーンは、流入する予混合された燃料および圧縮空気に連続的な点火を提供するように高温燃焼ガスの一部が連行されかつ再循環させられることができる領域を提供することによって、燃焼器安定性を高めるのを助ける。インジェクタの第1、第2および第3のセットのそれぞれへの燃料流は、独立して制御され、これにより、それぞれの負荷設定におけるNOxおよびCOエミッションを制御するために様々な負荷条件を通じて、燃料段階付けを可能にする。
【0003】
米国特許第5577378号明細書は、少なくとも1つの圧縮機ユニットと、作動ガスを発生するための第1の燃焼室とを備え、第1の燃焼室は圧縮機ユニットからの圧縮空気を受け取るように接続されている、ガスタービングループを開示している。さらに、第1の燃焼室は、複数の予混合バーナを有する環状の燃焼室である。第1のタービンは、第1の燃焼室から作動ガスを受け取るように接続されている。第2の燃焼室は、第1のタービンからの排出された作動ガスを受け取り、作動ガスを第2のタービンへ供給するように接続されている。第2の燃焼室は、流れ方向で第1のタービンの出口から第2のタービンの入口まで延びた燃焼空間を形成する環状ダクトと、燃料の自己点火のために燃料を第2の燃焼室へ導入するための手段とを備える。複数の渦発生エレメントは、燃料を導入するための手段の上流において第2の燃焼室に取り付けられている。2つ以下の軸受によって支持された1つのロータシャフトと、少なくとも1つの圧縮機ユニットとを備え、第1のタービンおよび第2のタービンはロータシャフトにおいて接続されており、圧縮機ユニットは少なくとも1つの圧縮機から成る。環状の燃焼室は、ロータシャフトに対して周方向に配置された燃焼空間を形成する複数の個々の管状ユニットを含む。第1のタービンから排出される作動ガスが第2の燃焼室における燃料の自己点火のために十分な温度を有するように、第1のタービンは、作動ガスを部分的に膨張させるように構成されている。第2の燃焼室における渦発生器は、それぞれが流れに渦を発生するように成形および配置されている。したがって、欧州特許出願公開第0321809号明細書および/または欧州特許出願公開第0704657号明細書による予混合バーナを利用する従来の燃焼システムは、サイロもしくは環状設計タイプのものであり、これらの文献は、この説明の一体的な部分を形成する。
【0004】
これらの予混合バーナのうちの1つは、接線方向の空気流入スロットと、気体燃料および液体燃料用の供給チャネルとを有する、完全なボディを構成する中空の部分円錐ボディから成り、中空の部分円錐ボディの中心軸線は、流れ方向で増大する円錐角を有し、相互にずれて長手方向に延びている。燃料ノズルであって、その燃料噴射が部分円錐ボディの相互にずれた中心軸線の接続線の中央に配置されている燃料ノズルは、部分円錐ボディによって形成された円錐形内部における予行号バーナヘッドに配置されている。
【0005】
別の予混合バーナは実質的に旋回流発生器から成り、この旋回流発生器は、実質的に、接線方向空気流入スロットおよび気体燃料および液体燃料用の供給チャネルを有する、完全なボディを構成する中空の部分円錐ボディから成る。中空の部分円錐ボディの中心軸線は、流れの方向で増大する円錐角を有し、かつ相互にずれて長手方向に延びており、燃料ノズルであって、その燃料噴射が部分円錐ボディの相互にずれた中心軸線の接続線の中央に配置されている燃料ノズルは、部分円錐ボディによって形成された円錐形内部における予混合バーナヘッドに配置されている。混合経路が前記旋回流発生器の下流に設けられており、前記混合経路は、移行ダクトを有し、この移行ダクトは、前記移行ダクトの下流に接続された前記混合経路の流れの横断面内への、前記旋回流発生器において形成された流れの受渡しのために、流れ方向で経路の第1の部分内に延びている。
【0006】
環状タイプの設計と比較して、従来技術は、制限されないより高い保守可能性を提供しない。周方向に分配された複数の予混合バーナは、互いに隣接する予混合バーナの作用的な干渉により、それぞれの予混合バーナ負荷および燃料タイプのために最適な燃焼を調節するための可能性を提供しない。
【0007】
欧州特許出願公開第1055879号明細書は、管状燃焼室である缶燃焼器を有する燃焼室アセンブリを開示している(第8欄第35行参照)。管状燃焼室の軸線に沿って、燃料インジェクタおよび混合ダクトから成るバーナ配列が設けられており、このバーナ配列は、缶燃焼器内の第1の燃焼ゾーン内に燃料・空気混合物を供給する。缶燃焼器の側壁に沿って、2つの別の配列が設けられており、それぞれの配列は缶燃焼器内へ燃料・空気混合物を噴射する。この文献は、「予混合バーナ」という用語が開示されているいかなる一節をも含まない。燃焼ゾーンは、第2および第3の燃料・空気混合ダクトから著しく間隔を置かれている。したがって、この文献に開示された燃焼器はいわゆる拡散バーナ配列であるという推定が明らかである。
【0008】
欧州特許出願公開第1752709号明細書は、ガスタービンシステムにおける再熱燃焼を開示している。主な態様は、第1のタービンの下流に配置された再熱装置に関し、この再熱装置内に、部分的に膨張した作動ガス流の温度上昇を高める別の燃料流が噴射される。この文献は、燃焼器の形状および実施の形態に関しては何も述べていない。さらに、予混合バーナの使用に関する開示はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6935116号明細書
【特許文献2】米国特許第5577378号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0321809号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0704657号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第1055879号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第1752709号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、NOxおよびCOなどの汚染物質エミッションが少ない単独またはシーケンシャル燃焼を行い、より低いCOエミッションでの作動を可能にする、気体燃料および液体燃料におけるより低い負荷条件を含む全作動範囲において安定した燃焼を提供することができ、これはより低いCOエミッションでの運転を可能にする、ガスタービンを作動させるための実施の形態および方法を提案するという課題に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0011】
少なくとも1つの缶燃焼器チャンバを利用するガスタービンシステムの少なくとも1つの燃焼経路、および少なくとも1つの予混合バーナを利用する全ての缶燃焼器が提供される。
【0012】
「缶燃焼器」という用語は、様々な異なる断面積で形成されてよい、自立した円筒状または準円筒状の燃焼室(管状燃焼空間)を指す公知の技術用語である。
【0013】
燃焼室は、ロータ軸線を中心とする、水平、斜め、らせん状などのリングの形態で配置された、1つのまたは複数の個々のまたは互いに相互依存した缶燃焼器から成ることができる。
【0014】
第1の予混合バーナは、接線方向空気流入スロットと、気体燃料および液体燃料用の供給チャネルとを有する複合ボディを形成する中空の部分円錐ボディから成り、中空の部分円錐ボディの中心軸線は、流れ方向で増大する円錐角を有し、相互にずれて長手方向に延びている。燃料ノズルであって、その燃料噴射が部分円錐ボディの相互にずれた中心軸線の接続線の中央に配置されている燃料ノズルは、欧州特許出願公開第0321809号明細書によれば、部分円錐ボディによって形成された円錐形内部における予混合バーナヘッドに配置されており、この文献はこの説明の一体の部分を形成する。
【0015】
熱発生器用の別の予混合バーナ配列は、実質的に、燃焼用空気流および燃料を噴射するための手段のための、実質的に欧州特許出願公開第0321809号明細書による、旋回流発生器と、前記旋回流発生器の下流に設けられた混合管とから成り、前記混合管は、前記混合管の流れの断面内への前記旋回流発生器において形成された流れの引渡しの流れ方向における混合管の第1の部分内に延びたトランザクションダクトを有し、このトランザクションダクトは、欧州特許出願公開第0704657号明細書による、前記移行ダクトの下流に接合しており、前記文献はこの説明の一体の部分を形成する。
【0016】
別の燃焼バーナは、予混合燃焼のための様々なタイプの円錐形の特徴、すなわち、旋回流なしバーナ、少なくとも1つの軸方向、半径方向または円錐形スワーラを備えたバーナ、または様々な流れ通路のためのそれらの組合せを含む。
【0017】
少なくとも上記で特定した予混合バーナによれば、缶燃焼器は、様々な異なる予混合バーナの組合せから成ることができる。
【0018】
予混合バーナの混合管は、円錐形スワーラまたは缶燃焼器の前面と一体化されることができる。円錐形スワーラと混合管との結合部における間隙は、混合管に進入する小さな空気流を許容し、逆火保護空気境界層を生ぜしめるように設計されている。混合管は、缶燃焼器への出口において所望の流れ場を形成するために出口において直線的又は成形されている。
【0019】
したがって、円錐形スワーラは、どのようなタイプの燃料ランスが使用されるかに応じて最適化される。
【0020】
一次予混合ガスインジェクタは、円錐形スワーラの最適化された空気スロットに配置されている(欧州特許出願公開第0321809号明細書参照)。二次ガス予混合インジェクタは燃料ランスに配置することができる。ガスパイロットインジェクタは、混合管の出口リングまたはランスに配置することができる。解離されたパイロットガスインジェクタは、予混合バーナの間に配置することができる。
【0021】
主オイルインジェクタはランスまたは円錐形スワーラの上部に配置されている。パイロットオイルインジェクタは、混合管の出口リングまたは燃料ランスに配置されている。解離されたパイロットオイルインジェクタは予混合バーナの間に配置することができる。
【0022】
全てのバーナは、スワーラの同じ回転方向を有することができるか、2つのバーナグループ、1つの共回転および第2の逆回転スワール方向の組合せであることができる。
【0023】
説明された複数のインジェクタ箇所および異なる軸方向位置における異なるタイプのインジェクタは、2つの予混合バーナグループの間の可能な軸方向距離と、予混合バーナの方位方向段階付けと組み合わせて、全作動範囲にわたる缶燃焼器の最適な作動のための条件を提供する。
【0024】
加えて、燃焼システムは、タービンケーシングに取り付けられかつ機関圧縮機と流体相互接続した圧力ケアリングケーシングから成る。燃焼システムのアウトゴーイングはタービンと流体連通している。
【0025】
さらに、燃焼システムは、それぞれ規定された正確な機能を備える構成部材から成る。高温の燃焼器ライナは、燃焼空間を含み、高温ガスを出口ノズルを通じてタービンへ引き渡す。ライナの高温側は、有利には、熱バリアコーティングによって熱保護されている。燃焼器ライナの外側において、冷却チャネルは、シェルによっておよび/または燃焼システム自体のケーシングによって形成されている。燃焼空気は、このチャネルを通って流れており、高温燃焼器ライナを冷却する。冷却効率を高めるために、ライナの表面には渦発生器とも称されるタービュレータが設けられており(独国特許出願公開第10330023号明細書参照。この文献はこの説明の一体的部分を形成する)、チャネルの高さは、できるだけ小さな圧力降下で十分な冷却のために必要な最適な空気速度を生じるように選択されている。付加的な軸方向衝撃を導入するための目標とされる形式において、渦発生器においてまたは渦発生器の近くにおいて冷却穴を使用することがさらに提案される。これは、波形渦のコア流れに増大した軸方向衝撃が導入されるように、冷却穴の一部を変更することによって達成することができる。この目的のために、出口開口のジオメトリは、たとえばそれらの向きおよび/またはスループットに関して、対応して構成されている。
【0026】
動圧の回収のために、予混合バーナフードへの冷却チャネルの出口は有利にはディフューザとして成形されている。予混合バーナにおける空気流れ場の平衡は、フードを包囲する穴の最適化された分配を備えるストレーナに関連して可能である。択一的な設計において、ストレーナは、必要であるならば、それぞれの個々の予混合バーナの入口において、個々のふるいによって置き換えられる。
【0027】
上で特定された実施の形態による円錐形スワーラを備えた装着される予混合バーナの数は、燃焼システムの所要の電力出力のために、および全作動範囲における燃焼安定性および汚染物質エミッションを考慮した所要の概念のために、最適に選択される。
【0028】
絶対的なまたはそれぞれの缶燃焼器に対する、予混合バーナの合計数は、火炎に相互作用することなく、空気側(別個のフード)と、燃焼サイズとにおいて、互いから分離された、2つの独立したグループに分割することができる。
【0029】
さらに、缶燃焼器のキャップは、予混合バーナへの容易なアクセスおよびシステムの保守しやすい取扱いのために設計されている。円錐形スワーラおよび燃料ランスは、キャップとともに取り外すために一体化することができるのに対し、混合管は前面と一体化されている。混合管と一体化された円錐形スワーラを備えた設計(欧州特許出願公開第0704657号明細書)、および結果的にふるいを備えた設計の場合、それぞれ個々の予混合バーナを別個に取り外すことができる。これに関して、燃料ランスは、常に個々の取外しのために設計されている。
【0030】
さらに、缶燃焼器の前面は、開放冷却ループにおいて冷却することができ、この場合、冷却空気は、音響ライナセグメントにおいて円錐形スワーラをバイパスしている。閉鎖冷却ループにおいて、冷却空気は、燃焼器前面の後側のインピンジメント冷却後にフードへ戻り、スワーラへ戻る。
【0031】
本発明の設計は、缶燃焼器オペラビリティのさらなる向上のために燃焼動力学の制御のための複数の手段を提供する。高周波数燃焼動力学は、必要であるならば、燃焼器ライナの周縁部に取り付けられた音響ライナのセグメントによって、または音響フロントパネルによって制御される。
【0032】
低周波数動力学的挙動は、必要であるならば、ヘルムホルツタイプダンパによって制御される。バーナスペースに応じて、ダンパは、有利には、自立した円筒状ヘルムホルツキャビティおよびネックとして、またはガス摂取を防止しかつ個々の調整を許容するためにセクタに分割された、混合管の間の自由スペースにおけるヘルムホルツキャビティとして設計される。
【0033】
加えて、燃焼動力学は、さらに、個々にそれぞれのバーナのために、混合管の長さの調整により改良することができる。
【0034】
本発明の設計の主な利点は以下の通りであり、順序は格付けを反映しない。
−別の設計と比べて高い保守容易性であり、缶構成と組み合わされた環状設計は、好適な保守容易性を改良することができる。
−機関において実施する前の完全な「インハウス」開発のための可能性による開発期間の短縮およびコストの低減
−円錐形スワーラおよび成形された混合管を備えた予混合バーナの次世代のための燃焼システムの改変
−缶燃焼器の比較的小さなサイズは、費用対効果の高い金属薄板設計を可能にする。機関保守時間およびコストは、缶燃焼器のコストおよび寿命が適切に最適化されることを考慮して減じられることができる。
−コンパクトサイズは、摩耗および裂断する部品の数が制限された設計、ひいては、燃焼動力学のための低い感度を可能にする。
−2つ以上の位置における予混合バーナの軸方向、半径方向、方位方向の段階付け、グルーピング、同時スワーリングまたは混合された同時スワーリングおよびカウンタースワーリングバーナの実施の可能性。
−広い作動範囲にわたる低エミッションおよび制御された燃焼動力学のための音響およびその他の受動的な減衰装置の実施。
−缶燃焼器は、モジュール設計を考慮して広範囲の機関サイズをカバーすることができる。燃焼システムのサイズは、アクセス可能な高圧燃焼試験プラントのサイズによってのみ制限される。機関のための缶燃焼器の数は機関サイズに基づいて選択される。
−缶燃焼器構造は、タービン入口における周方向温度勾配を減じるのを助ける。これらは、タービン部材の寿命を増大するという利点を有する。
−缶燃焼器構造のためのCOエミッションの観点から、個々の缶燃焼器の間の相互作用は最小限であるかまたは存在しない。これに加えて、環状概念のためのCOに影響することが知られる、分割平面における漏れは、缶燃焼器機関のためのCOに影響しない。なぜならば、この構造のために、燃焼器内への分割線漏れは、移行片の最後の端部にのみ存在するからである。
【0035】
これらの発見に基づき、この概念は、缶構造におけるシーケンシャル燃焼(中間高圧タービンを備えるまたは備えない)において作動する機関のために機能することが予測されることができる。
【0036】
基本的に、多数の予混合バーナを有する1つの缶燃焼器は、1つの燃焼室として作動させられることができる。
【0037】
シーケンシャル燃焼に関して、2つの主燃焼器(燃焼室)の組合せを以下のように配置することができる。
−主要な実施の形態:少なくとも1つの燃焼室は、少なくとも1つの作動タービンを備えた、環状の缶燃焼器構造として構成される。
−主要な実施の形態:第1および第2の燃焼室の両方が、少なくとも1つの作動するタービンを備えた、シーケンシャル缶燃焼器構造として構成される。
−主要な実施の形態:第1および第2の燃焼室の両方が、第1および第2の燃焼室の間に少なくとも1つの中間作動タービンを備えたシーケンシャル缶燃焼器構造として構成される。
−別の実施の形態:第1の主燃焼器は、環状燃焼室として構成されており、第2の主燃焼器は、少なくとも1つの作動するタービンを備えた、缶構成として組み込まれている。
−別の実施の形態:第1の主燃焼器は、缶構造として構成されており、第2の主燃焼器は、少なくとも1つの作動するタービンを備えて、環状燃焼室として構成されている。
−別の実施の形態:両方の主燃焼器、すなわち第1および第2の燃焼器は、少なくとも1つの作動するタービンを備えて、環状燃焼室として構成されている。
−別の実施の形態:両方の主燃焼器、すなわち第1および第2の燃焼器は、中間作動タービンを備えて、環状燃焼室として構成されている。
【0038】
発明は、典型的な実施の形態に基づいて図1図5に概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】5つの取外し可能な予混合バーナを有する個々の缶燃焼器を示す図である。
図1a】5つの取外し可能な予混合バーナを有する個々の缶燃焼器を示す図である。
図2】7つの取外し可能な予混合バーナを有する個々の缶燃焼器を示す図である。
図2a】7つの取外し可能な予混合バーナを有する個々の缶燃焼器を示す図である。
図3】軸方向に段階づけられた2×3の取外し可能な予混合バーナを有する缶燃焼器を示す図である。
図3a】軸方向に段階づけられた2×3の取外し可能な予混合バーナを有する缶燃焼器を示す図である。
図3b】軸方向に段階づけられた2×3の取外し可能な予混合バーナを有する缶燃焼器を示す図である。
図4】1つの中央のバーナが、他のバーナとの相互作用を回避するために軸方向で後退させられている、7つの取外し可能な予混合バーナを有する缶燃焼器を示す図である。
図4a】1つの中央のバーナが、他のバーナとの相互作用を回避するために軸方向で後退させられている、7つの取外し可能な予混合バーナを有する缶燃焼器を示す図である。
図5】一体化された音響フロントを備えた、キャップと一体化された、6つの予混合バーナを備えた缶燃焼システムを示す図である。
図5a】一体化された音響フロントを備えた、キャップと一体化された、6つの予混合バーナを備えた缶燃焼システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、缶燃焼器100を示す。缶燃焼器100は、個々の燃焼運転を可能にし、燃焼運転中に他の個々の缶燃焼器の間の有害な相互作用を生じない。缶燃焼器100は、複数の取外し可能な予混合バーナ10を有する。すなわち、図1に示した缶構造は、缶燃焼器前面15に配置された複数の予混合バーナ10を有し、これは、個々の燃焼運転を可能にする。
【0041】
たとえば燃焼空気流のためのおよび燃料噴射のための、実質的に欧州特許出願公開第0321809号明細書による旋回流発生器と、手段のための前記旋回流発生器の下流に設けられた、混合管から形成された混合経路とから成る、欧州特許出願公開第0704657号明細書による予混合バーナ10において、前記混合経路は、前記混合経路の流れの断面への前記旋回流発生器に形成された流れの引渡しのための、流れ方向で経路の第1の部分内に延びたトランザクションダクトを有し、前記混合経路は前記移行ダクトの下流に接続している。
【0042】
完成したボディを構成する中空の部分円錐ボディから成る、欧州特許出願公開第0321809号明細書による旋回流発生器は、接線方向空気流入スロットと、気体燃料および液体燃料用の供給チャネルとを有し、中空の部分円錐ボディの中心軸線は、流れ方向で増大する円錐角を有し、相互にずれて長手方向に延びている。燃料ノズルであって、その燃料噴射が、部分円錐ボディの相互にずれた中心軸線の接続線の中央に配置されている燃料ノズルは、部分円錐ボディによって形成された円錐形内部におけるバーナヘッドに配置されている。
【0043】
旋回流発生器におけるスワール強度およびスワール方向は、渦崩壊が、混合管において生じるのではなく、さらに下流で燃焼室入口において生じるようにそのジオメトリを介して選択されている。混合管の長さは、全てのタイプの燃料のために十分な混合の質が得られるように選択されている。混合管において、軸方向速度分布は、軸線上で明らかに最大となり、これにより、この領域における逆火を防止する。軸方向速度は壁部に向かって減少する。この領域においても逆火を防止するために、様々な手段が採られている。1つには、たとえば、全体的な速度レベルを、十分に小さな直径を有する混合管を使用することによって高めることができる。渦崩壊は、断面積の拡大を有する燃焼室が混合管の端部に隣接している設計から十分に独立している。燃料/空気混合物の点火は、予混合バーナ出口において開始し、火炎は、逆流ゾーンによって予混合バーナ出口の領域において安定させられる。欧州特許出願公開第0321809号明細書および/または欧州特許出願公開第0704657号明細書はこの記載の一体的な部分を形成する。
【0044】
特に、前記予混合バーナを、全ての種類の液体および/または気体燃料で作動させることができる。つまり、個々の缶内に様々な異なる燃料を提供することが容易に可能である。これは、予混合バーナ10を様々な異なる燃料で同時に作動させることもできることを意味する。
【0045】
音響フロントパネル13が缶燃焼器前面15に配置されている。全ての予混合バーナ10の上流において、音響フロントパネル13は、その後の効率的な予混合運転のために空気プレナム14に能動的に接続されている。
【0046】
ガスタービンシステムは、基本的に、少なくとも1つの圧縮機と、圧縮機の下流に接続された第1の主燃焼器とを有する。第1の主燃焼器の高温ガスは、少なくとも中間タービンへまたは直接的にまたは間接的に第2の主燃焼器へ提供される。第2の燃焼室の高温ガスは、別のタービンへまたは直接的にまたは間接的にエネルギ回収部へ、たとえば蒸気発生器へ提供される。
【0047】
したがって、シーケンシャル燃焼経路を提供し、第1および/または第2の燃焼室の作動される缶燃焼器の全体が、環状缶構造として設計および配置されている。
【0048】
加えて、図1aは、缶燃焼器100の予混合バーナ配列内におけるヘルムホルツダンパ11およびパイロットノズル12の配置を示す。さらに、複数のヘルムホルツダンパ11は、フロントパネル13における開口を介して燃焼室に接続される低周波数圧力振動の減衰のために提供されている。
【0049】
1つの缶燃焼器100内における予混合バーナ配列の組合せは、これにより、ガスタービンシステムの様々な負荷条件における低エミッション燃焼を発生するための機会を提供する。さらに、全ての缶燃焼器100の予混合バーナ配列内におけるヘルムホルツダンパ11およびパイロットノズル12の最適な配置は、付加的に、より低い負荷条件において安定した燃焼を提供することができつつ、NOxおよびCOなどの汚染物質エミッションを低減するための機会を提供する。予混合バーナシステムには、出口リングまたは、点火および部分負荷運転における希薄ブローオフ温度の低下のための燃料ランスにおけるバーナ出口に、予混合されたまたは部分的に予混合されたパイロットノズル12を装備することができる。択一的に、複数の部分負荷パイロットノズルが予混合バーナ10の間に配置されている。
【0050】
図2は、個々の燃焼運転を可能にし、かつ燃焼運転中に他の個々の缶燃焼器の間の有害な相互作用を有さない缶燃焼器110を示す。缶燃焼器110は、複数の取外し可能な予混合バーナ10を有する。つまり、図2に示した缶構造は、個々の燃焼運転を可能にする、缶燃焼器前面15に配置された複数の予混合バーナ10を有する。
【0051】
たとえば、燃焼用空気流のためのおよび燃料噴射のための手段のための、実質的に欧州特許出願公開第0321809号明細書による旋回流発生器と、前記旋回流発生器の下流に設けられた混合管から形成された混合経路と、から成る、たとえば欧州特許出願公開第0704657号明細書による予混合バーナ10において、前記混合経路は、前記混合経路の流れの断面への前記旋回流発生器に形成された流れの引渡しのための、流れ方向における経路の第1の部分内に延びるトランザクションダクトを有し、混合経路は、前記移行ダクトの下流に接合する。
【0052】
接線方向空気流入スロットと、気体燃料および液体燃料のための供給チャネルとを有する、完成したボディを構成する中空の部分円錐ボディから成る欧州特許出願公開第0321809号明細書による旋回流発生器において、中空の部分円錐ボディの中心軸線は、流れ方向で増大する円錐角を有し、相互にずれて長手方向に延びている。燃料ノズルであって、その燃料噴射が部分円錐ボディの相互にずれた中心軸線の接続線の中央に配置されている燃料ノズルは、部分円錐ボディによって形成された円錐形内部におけるバーナヘッドに配置されている。
【0053】
旋回流発生器におけるスワール強度は、渦崩壊が混合管においてではなく、さらに下流で燃焼室入口において生じるように、そのジオメトリによって選択される。混合管の長さは、全てのタイプの燃料のための十分な混合の質が得られるように選択される。混合管において、軸方向速度分布は、軸線において明らかに最大であり、これにより、この領域における逆火を防止する。軸方向速度は、壁部に向かって減少する。この領域においても逆火を防止するために、様々な手段が採られている。1つには、たとえば、十分により小さな直径を有する混合管の使用により全体的な速度レベルを高めることができる。渦崩壊は、横断面の拡大を有する燃焼室が混合管の端部に隣接している設計から十分に独立している。中央逆流ゾーンは、この場合、火炎保持バッフルのものである特性を形成する。
【0054】
欧州特許出願公開第0321809号明細書および/または欧州特許出願公開第0704657号明細書は、この説明の一体的な部分を形成する。
【0055】
特に、前記予混合バーナは、全ての種類の液体燃料および/または気体燃料で作動させることができる。つまり、個々の缶内で様々な異なる燃料を提供することが容易に可能である。これは、予混合バーナ10を様々な異なる燃料で同時に作動させることができることも意味する。
【0056】
音響ライナの多数の6つのセグメント16が予混合バーナ10の間に配置されている。全ての予混合バーナ10の上流において、セグメント16は、その後の効率的な予混合運転のために空気プレナム14に能動的に接続されている。
【0057】
ガスタービンシステムは、基本的に少なくとも1つの圧縮機と、圧縮機の下流に接続された第1の主燃焼器とを有する。第1の燃焼室の高温ガスは、少なくとも中間タービンにまたは直接的にまたは間接的に第2の燃焼室へ提供される。第2の燃焼室の高温ガスは、別のタービンへまたは直接的にまたは間接的にエネルギ回収部へ、たとえば蒸気発生器へ提供される。
【0058】
したがって、シーケンシャル燃焼経路を提供し、第1および/または第2の燃焼室の作動させられる缶燃焼器の全体は、環状缶構造として設計および配置されている。
【0059】
加えて、図2aは、缶燃焼器110の予混合バーナ配列内における、ヘルムホルツダンパ11およびパイロットノズル12の配置を示す。1つには、缶燃焼器10のフロントにおける開口を介して燃焼空間に接続される低周波数圧力振動の減衰のために複数のヘルムホルツダンパ11が設けられることができる。図2に関して、高周波数音響圧力振動の減衰のために最適化された、連続的なまたはセグメントに分割された音響ライナ16を燃焼器前面15の近くに配置することができる。図2と組み合わされた図2aは、閉鎖冷却ループ17を示し、この場合、冷却空気は、マニホルドへ流れ、衝突キャビティへ分配され、缶燃焼器前面18の後側のインピンジメント冷却の後、フードへ戻り、バーナ旋回流発生器19に進入する。この過程のために、閉鎖冷却ループのための冷却空気は、図2に示したように、フードにおける圧力より高い静圧を有する空気源から供給される。
【0060】
1つの缶燃焼器110内の予混合バーナ配列の組合せは、これにより、ガスタービンシステムの様々な負荷条件における低エミッション燃焼を提供する機会を提供する。さらに、図1および図1aに示したようなヘルムホルツダンパ11およびパイロットノズル12の最適な配置、または全ての缶燃焼器110の予混合バーナ配列内の連続的なまたは分割された音響ライナ16は、より低い負荷条件において安定した燃焼を提供することができつつ、NOxおよびCOなどの汚染物質エミッションを減じるための機会を付加的に提供する。
【0061】
さらに、図2に関する缶燃焼器は、先行する図1に記載された全ての特徴を含むことができる。
【0062】
図3は、図2による閉鎖冷却を備えた、軸方向で段階づけられた、2×3の取外し可能なバーナ10を含む缶燃焼器120を示す。缶燃焼器の予混合バーナは、2つのグループに分割されており(図3aおよび図3b)、各グループは1つ以上の予混合バーナを有する。第1のグループ(図3a)は燃焼器面15に配置されており、第2のグループ(図3b)は、第1のグループ(図3a)の再循環ゾーンによる妨害が終了する軸方向位置において、第1のグループの下流に配置されている。第2のグループ(図3b)の予混合バーナ10は、缶燃焼器120の軸方向の延在に対して斜めの位置において作動する。したがって、バーナ直径およびバーナの数に関する第1のグループ(図3a)のサイズは、第2のグループ(図3b)の部分負荷非燃焼予混合バーナからの低温空気流によって妨害されることなく、低排出で、低いガスタービン部分負荷において安定して作動することができるように選択される。
【0063】
1つの缶燃焼器120内の少なくとも2つのグループにおけるシーケンシャル作動予混合バーナの組合せは、これにより、ガスタービンシステムの様々な負荷条件における低エミッション燃焼を生じる機会を提供する。さらに、ヘルムホルツダンパ(図示せず)のための最適な配置、または全ての缶燃焼器120の予混合バーナ配列内の連続的なまたは分割された音響ライナ16は、より低い負荷条件において安定した燃焼を提供することができつつ、NOxおよびCOなどの汚染物質排出を減じるための機会を付加的に提供する。
【0064】
さらに、図3に関する缶燃焼器は、前述の図面に記載された全ての特徴を含むことができる。
【0065】
図4および図4aは、1つの中央のバーナ20が他のバーナ30との相互作用を回避するように軸方向で後退させられた、7つの取外し可能な予混合バーナを有する缶燃焼器を示す。予混合バーナの全体は2つのグループに分割されている。第1のグループは、その再循環ゾーンが第2のグループの再循環ゾーンと相互作用しない位置まで軸方向で後退させられた少なくとも1つの予混合バーナから成る。バーナ直径およびバーナの数に関する第1のグループ20のサイズは、部分負荷非燃焼の第2のグループ予混合バーナ30からの低温空気流によって妨害されることなく、低排出での低ガスタービン部分負荷において安定して作動することができるように選択されている。
【0066】
さらに、図4に関する缶燃焼器は、前述の図面に記載された全ての特徴を含むことができる。
【0067】
図5および図5aは、キャップ44と一体化された、円錐形スワーラおよび長いランス47を備えた6つの予混合バーナ40を含む缶燃焼器140を示す。したがって、円錐形スワーラおよび燃料ランスは缶燃焼器40の一部である。個々の予混合バーナ40への空気の均等な分配は、必要であれば、円錐形スワーラの周囲に配置されるふるいによって、または円錐形スワーラに接近する空気流れ場の平衡のためのストレーナ41によって補助される。円錐形スワーラおよび燃料ランスをキャップ44と一体化することができる。混合管42は音響フロントパネル43と一体化されている。セグメントに分割されたヘルムホルツキャビティ45は音響フロントパネル43と一体化されている。予混合バーナ40には、点火または部分負荷運転における希薄ブローオフ温度の低下のための、バーナ出口における予混合されたまたは予混合されていないまたは部分的に予混合されたパイロットノズル12(図5a)が装備されている。択一的に、複数の部分負荷パイロットノズルが予混合バーナ40の間に配置されている。音響フロントパネル43をセグメントに分割することができ、これらのセグメントは、様々な缶燃焼器高周波数圧力振動を制御するために、およびフロントパネル43の面を冷却するために調整されている。フード内でセグメントに分割され、方位角で案内されたヘルムホルツキャビティ45が、混合管の間に配置されている。キャビティのセグメントは、それらのネック46によって燃焼室に個々に接続されており、様々な缶燃焼器低周波数圧力振動を制御するように個々に調整されている。
【0068】
さらに、図5に関する缶燃焼器は、前記図面に記載された全ての特徴を含むことができる。
【0069】
明らかに、上記説明を考慮して複数の変更および変化態様が可能である。したがって、添付の請求広範囲において、発明が、ここで特に説明されたもの以外で実施されてよいことが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0070】
10,20,30,40 予混合バーナ、 11 ヘルムホルツダンパ、 12 パイロットノズル、 13 音響フロントパネル、 14 空気プレナム、 15 缶燃焼器フロント面、 16 音響ライナ、 17 閉鎖冷却ループ、 18 缶燃焼器フロント面、 19 バーナ旋回流発生器、 41 ストレーナ、 43 音響フロントパネル、 44 キャップ、 46 ネック、 100 缶燃焼器、 120 缶燃焼器
図1
図1a
図2
図2a
図3
図3a
図3b
図4
図4a
図5
図5a