特許第5933492号(P5933492)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5933492照明装置、イメージセンサユニット、画像読取装置および画像形成装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933492
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】照明装置、イメージセンサユニット、画像読取装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20160526BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20160526BHJP
   H04N 1/107 20060101ALI20160526BHJP
   H04N 1/028 20060101ALI20160526BHJP
   G03B 27/54 20060101ALI20160526BHJP
   G03B 27/50 20060101ALI20160526BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20160526BHJP
【FI】
   H04N1/04 101
   H04N1/10
   H04N1/028 Z
   G03B27/54 A
   G03B27/50 A
   F21S2/00 432
   F21S2/00 443
   F21S2/00 436
【請求項の数】14
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-143999(P2013-143999)
(22)【出願日】2013年7月9日
(65)【公開番号】特開2014-33440(P2014-33440A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2015年1月26日
(31)【優先権主張番号】特願2012-158073(P2012-158073)
(32)【優先日】2012年7月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000104629
【氏名又は名称】キヤノン・コンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英将
【審査官】 石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−234049(JP,A)
【文献】 特開2004−053961(JP,A)
【文献】 特開平09−243828(JP,A)
【文献】 特開2005−295093(JP,A)
【文献】 特開2005−024739(JP,A)
【文献】 特開2006−041600(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/070760(WO,A1)
【文献】 特開平11−084490(JP,A)
【文献】 特開2001−154028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04 − 1/20
G03B 27/50
G03B 27/52 −27/56
G03B 27/66 −27/70
F21S 2/00
F21V 8/00
H04N 1/024− 1/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状に形成され、長手方向の一方の端部に形成され位置決め部と長手方向の前記一方の端面に形成され光入射面と長手方向に延伸する光出射面とを有する導光体と、
前記導光体の長手方向の前記一方の端部に配設され、前記光入射面に光を入射する光源と、
を有し、
前記導光体は射出成形によって形成されていると共に、
前記位置決め部は、前記長手方向に直角な方向に突出しており、
射出成形における樹脂材料の流入口であるゲート部により形成されたゲートが切断されたゲートカット面は、前記位置決め部の先端面に位置している
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記光入射面は、前記導光体の長手方向の両方の端面に形成され、
前記光源は、前記導光体の長手方向の両方の端部に配設されてい
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記ゲート部は、凹凸を備えている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記先端面の周辺はR面取りまたはC面取りされている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
棒状に形成され、長手方向の一方の端部に形成され位置決め部と長手方向の前記一方の端面に形成され光入射面と長手方向に延伸する光出射面とを有する導光体と、
前記導光体の長手方向の前記一方の端部に配設され、前記光入射面に光を入射する光源と、
被照明体からの反射光を集光する集光体と、
前記集光体によって集光された反射光を受光して電気信号に変換するイメージセンサと、
前記イメージセンサが実装された回路基板と、
前記導光体と、前記光源と、前記集光体と、前記回路基板とを支持するフレームと、
を有し、
前記導光体は射出成形によって形成されていると共に、
前記位置決め部は、前記長手方向に直角な方向に突出しており、
射出成形における樹脂材料の流入口であるゲート部により形成されたゲートが切断されたゲートカット面は、前記位置決め部の先端面に位置している
ことを特徴とするイメージセンサユニット。
【請求項6】
前記光入射面は、前記導光体の長手方向の両方の端面に形成され、
前記光源は、前記導光体の長手方向の両方の端部に配設されてい
ことを特徴とする請求項5に記載のイメージセンサユニット。
【請求項7】
前記ゲート部は、凹凸を備えている
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のイメージセンサユニット。
【請求項8】
前記先端面の周辺はR面取りまたはC面取りされている
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のイメージセンサユニット。
【請求項9】
棒状に形成され、長手方向の一方の端部に形成され位置決め部と長手方向の前記一方の端面に形成され光入射面と長手方向に延伸する光出射面とを有する導光体と、
係合部を有し、前記係合部と前記位置決め部とが係合することにより前記導光体に位置決めされた導光体カバーと、
前記導光体の長手方向の前記一方の端部に配設され、前記光入射面に光を入射する光源と、
被照明体からの反射光を集光する集光体と、
前記集光体によって集光された反射光を受光して電気信号に変換するイメージセンサと、
前記イメージセンサが実装された回路基板と、
前記導光体カバーと、前記光源と、前記集光体と、前記回路基板とを支持するフレームと、
を有し、
前記導光体は射出成形によって形成されていると共に、
前記位置決め部は、前記長手方向に直角な方向に突出しており、
射出成形における樹脂材料の流入口であるゲート部により形成されたゲートが切断されたゲートカット面は、前記位置決め部の先端面に位置している
ことを特徴とするイメージセンサユニット。
【請求項10】
前記光入射面は、前記導光体の長手方向の両方の端面に形成され、
前記光源は、前記導光体の長手方向の両方の端部に配設されてい
ことを特徴とする請求項9に記載のイメージセンサユニット。
【請求項11】
前記ゲート部は、凹凸を備えている
ことを特徴とする請求項9又は10に記載のイメージセンサユニット。
【請求項12】
前記先端面の周辺はR面取りまたはC面取りされている
ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載のイメージセンサユニット。
【請求項13】
イメージセンサユニットと被照明体とを相対的に移動させながら、前記被照明体からの反射光を読み取る画像読取装置であって、
前記イメージセンサユニットは、請求項5乃至12のいずれか1項に記載のイメージセンサユニットである
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項14】
イメージセンサユニットと被照明体とを相対的に移動させながら、前記被照明体からの反射光を読み取る画像読取手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
を備える画像形成装置であって、
前記イメージセンサユニットは、請求項5乃至12のいずれか1項に記載のイメージセンサユニットである
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、イメージセンサユニット、画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージセンサユニットに用いられる照明装置には、点光源を棒状の導光体によって線光源化する構成のものがある。このような照明装置に適用される導光体は、一般的にアクリル樹脂などの樹脂材料からなり、射出成形によって形成される。射出成形の際に樹脂材料の流入口となるゲート部(湯口部)が、射出成形の後にホットニッパーなどによって切断(ゲートカット)されることで導光体が切り離される。このような構成であると、ゲートカット面(ゲート部における切断面)には、切断によって凹凸が生じることがある。そうすると、この凹凸での光学特性が不安定となったり、凹凸から漏れ光が生じて照射光の照度分布が不均一になったりすることがある。
このため、被照明体に光を照射する部分から離れた箇所にゲート部が設けられる構成が提案されている。たとえば、特許文献1には、導光体の一方の端部に光源が設けられる照明装置において、他方の端部に射出成形のゲート部が設けられる構成が開示されている。
ところで、イメージセンサユニットの読み取り速度の向上のため、照明装置の光量の増加が求められている。照明装置の光量を増加するには、導光体の両端に光源を設ける方法が一般的である。しかしながら、特許文献1の構成では、長手方向の他方の端面にゲート部が設けられる構成であるため、研磨などによってゲートカット面に生じる凹凸を平滑にする必要が生じ、コストが上昇する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−126581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、導光体の長手方向の両端に光源が設けられる構成において、照射光の照度分布の均一化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の照明装置は、棒状に形成され、長手方向の一方の端部に形成され位置決め部と長手方向の前記一方の端面に形成され光入射面と長手方向に延伸する光出射面とを有する導光体と、前記導光体の長手方向の前記一方の端部に配設され、前記光入射面に光を入射する光源と、を有し、前記導光体は射出成形によって形成されていると共に、前記位置決め部は、前記長手方向に直角な方向に突出しており、射出成形における樹脂材料の流入口であるゲート部により形成されたゲートが切断されたゲートカット面は、前記位置決め部の先端面に位置していることを特徴とする。
【0006】
前記光入射面は、前記導光体の長手方向の両方の端面に形成され、前記光源は、前記導光体の長手方向の両方の端部に配設されている構成が好ましい。前記ゲート部は、凹凸を備えている構成が好ましい。前記先端面の周辺はR面取りまたはC面取りされていることが好ましい。
【0007】
本発明のイメージセンサユニットは、棒状に形成され、長手方向の一方の端部に形成され位置決め部と長手方向の前記一方の端面に形成され光入射面と長手方向に延伸する光出射面とを有する導光体と、前記導光体の長手方向の前記一方の端部に配設され、前記光入射面に光を入射する光源と、被照明体からの反射光を集光する集光体と、前記集光体によって集光された反射光を受光して電気信号に変換するイメージセンサと、前記イメージセンサが実装された回路基板と、前記導光体と、前記光源と、前記集光体と、前記回路基板とを支持するフレームと、を有し、前記導光体は射出成形によって形成されていると共に、前記位置決め部は、前記長手方向に直角な方向に突出しており、射出成形における樹脂材料の流入口であるゲート部により形成されたゲートが切断されたゲートカット面は、前記位置決め部の先端面に位置していることを特徴とする。
【0008】
前記光入射面は、前記導光体の長手方向の両方の端面に形成され、前記光源は、前記導光体の長手方向の両方の端部に配設されている構成が好ましい。前記ゲート部は、凹凸を備えている構成が好ましい。前記先端面の周辺はR面取りまたはC面取りされていることが好ましい。
【0009】
本発明のイメージセンサユニットは、棒状に形成され、長手方向の一方の端部に形成され位置決め部と長手方向の前記一方の端面に形成され光入射面と長手方向に延伸する光出射面とを有する導光体と、係合部を有し、前記係合部と前記位置決め部とが係合することにより前記導光体に位置決めされた導光体カバーと、前記導光体の長手方向の前記一方の端部に配設され、前記光入射面に光を入射する光源と、被照明体からの反射光を集光する集光体と、前記集光体によって集光された反射光を受光して電気信号に変換するイメージセンサと、前記イメージセンサが実装された回路基板と、前記導光体カバーと、前記光源と、前記集光体と、前記回路基板とを支持するフレームと、を有し、前記導光体は射出成形によって形成されていると共に、前記位置決め部は、前記長手方向に直角な方向に突出しており、射出成形における樹脂材料の流入口であるゲート部により形成されたゲートが切断されたゲートカット面は、前記位置決め部の先端面に位置していることを特徴とする。
【0010】
前記光入射面は、前記導光体の長手方向の両方の端面に形成され、前記光源は、前記導光体の長手方向の両方の端部に配設されている構成が好ましい。前記ゲート部は、凹凸を備えている構成が好ましい。前記先端面の周辺はR面取りまたはC面取りされていることが好ましい。
【0011】
本発明の画像読取装置は、イメージセンサユニットと被照明体とを相対的に移動させながら、前記被照明体からの反射光を読み取る画像読取装置であって、前記イメージセンサユニットは、本発明のイメージセンサユニットであることを特徴とする。
【0012】
本発明の画像形成装置は、イメージセンサユニットと被照明体とを相対的に移動させながら、前記被照明体からの反射光を読み取る画像読取手段と、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、を備える画像形成装置であって、前記イメージセンサユニットは、本発明のイメージセンサユニットであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、導光体を通じて出射される照射光の照度分布の均一化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、照明装置の構成を模式的に示す分解斜視図である。
図2A図2Aは、導光体の主走査方向(長手方向)の一方の端部近傍の構成を模式的に示す図である。
図2B図2Bは、導光体の主走査方向の一方の端部近傍の構成の他の例を模式的に示す図である。
図3図3は、導光体に導光体カバーが取り付けられた状態を模式的に示す外観斜視図である。
図4A図4Aは、導光体カバーが取り付けられた導光体の主走査方向端部近傍を示す斜視図である。
図4B図4Bは、導光体カバーが取り付けられた導光体の主走査方向端部近傍を示す斜視図である。
図5図5は、導光体と光源の位置関係を模式的に示す平面図である。
図6A図6Aは、位置決め部が反対側に突出する構成の例を示す図である。
図6B図6Bは、位置決め部が反対側に突出する構成の例を示す図である。
図7A図7Aは、導光体に導光体カバーが取り付けられた状態を模式的に示す斜視図であり、長手方向の端部近傍を示す図である。
図7B図7Bは、導光体に導光体カバーが取り付けられた状態を模式的に示す斜視図であり、長手方向の端部近傍を示す図である。
図8図8は、イメージセンサユニットの構成を模式的に示す分解斜視図である。
図9図9は、イメージセンサユニットの構成を模式的に示す外観斜視図である。
図10図10は、イメージセンサユニットの内部構造を模式的に示す断面図である。
図11図11は、比較例にかかる導光体の構成を模式的に示す斜視図である。
図12図12は、本発明の実施例と比較例の照明装置による照射光の主走査方向の照度分布を示すグラフである。
図13A図13Aは、本発明の実施例の照明深度特性を示すグラフである。
図13B図13Bは、比較例の照明深度特性を示すグラフである。
図14図14は、本発明の実施形態である画像読取装置の外観斜視図である。
図15図15は、本発明の実施形態である画像形成装置の外観斜視図である。
図16図16は、本発明の実施形態である画像形成装置の筐体の内部に設けられる画像形成部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用できる実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施形態は、照明装置と、この照明装置を有するイメージセンサユニットと、このイメージセンサユニットを有する画像読取装置および画像形成装置である。各図においては、三次元の各方向を、X,Y,Zの各矢印で示す。X方向は、イメージセンサユニットの主走査方向である。Y方向は、イメージセンサユニットの副走査方向である。Z方向は、イメージセンサユニットの上下方向である。本発明の実施形態であるイメージセンサユニットは、被照明体としての原稿Pに対して副走査方向に相対的に移動しながら、照明装置によって原稿Pに光を照射し、その反射光によって原稿Pの画像を読み取る。
【0016】
(照明装置)
まず、照明装置9の構成について説明する。
図1は、照明装置9の構成を模式的に示す分解斜視図である。図1に示すように、照明装置9は、導光体3と、導光体カバー8と、光源6とを含む。
導光体3は、光源6が発する光を線光源化する光学部材である。導光体3は、アクリル系の樹脂などといった透明の樹脂材料からなり、射出成形によって一体に形成される。図1に示すように、導光体3は、全体として主走査方向に細長い棒状の構成を有する。
導光体3の主走査方向(長手方向)の両方の端面は、光源6が発する光が入射する光入射面31である。
導光体3の側面には、光出射面32と光拡散面33とが形成される。
光出射面32は、光入射面31から入射した光を原稿Pに向けて出射する面である。光出射面32は、主走査方向に延伸する細長い帯状に形成される。光出射面32は、原稿Pの読取ラインO(図10参照)に向けて照射光を出射するため、たとえば、原稿Pの読取ラインOの方向に向けて凸となる曲面に形成される。
なお、光出射面32の主走査方向の寸法は、原稿Pの幅(主走査方向寸法)に応じて設定される。たとえば、A4サイズの原稿Pの読取りに対応する場合には、光出射面32の主走査方向の寸法は、A4サイズの原稿Pの幅に応じた寸法に設定される。
光拡散面33は、光入射面31から入射した光を反射・拡散する面である。光拡散面33は、光出射面32に対向するように形成される。光拡散面33には、たとえば、複数のプリズム状の拡散部が、所要の間隔で形成される。これらの複数の拡散部の間隔は、主走査方向の両端部において大きく、主走査方向の中心部において小さい。
なお、拡散部として、たとえば、シルク印刷などによる光反射性の塗料からなる印刷パターンであっても構わない。この場合も光源6からの距離に応じて、光源6に近い部分は低密度、遠方では高密度へと徐々に印刷パターンの密度を変化させることは同様である。
導光体3の外周面のその他の面は、それぞれ、光を反射する反射面として作用する。
【0017】
図2A図2Bは、導光体3の主走査方向の一方の端部近傍の構成を模式的に示す図である。なお、図2Bは、図2Aと構成の一部が異なる他の例を示す。
図2A図2Bに示すように、導光体3の主走査方向の一方の端部には、位置決め部34が形成される。位置決め部34は、導光体カバー8との相対的な位置関係を規定する(位置決めをする)ための部分である。この時、後述する先端面35を除く位置決め部34周囲の少なくとも1面が位置決め基準面となる。位置決め部34は、主走査方向(長手方向)に対して略直角な方向に突出する突起状の構成を有する。図1図2Aおよび図2Bにおいては、位置決め部34が副走査方向の後側に突出する構成を示す。
前述のとおり、導光体3は射出成形によって形成される。そして、射出成形において樹脂材料の流入口となるゲート部G(湯口部)は、位置決め部34の先端面35に対応する位置に開口する。このような構成であると、ゲート部Gによって成型されるランナーおよびゲートを、光入射面31および光出射面32から離れた位置に形成することができる。このため、切断(ゲートカット)時にゲートカット面Cの凹凸に起因して照射光の照度分布が不均一になることを防止または抑制できる。
また、このような構成によれば、導光体3の主走査方向(長手方向)の端面にゲート部Gを設けなくてもよい。このため、導光体3の主走査方向の両方の端面は平滑となり光学特性が安定する。したがって、導光体3の主走査方向の両端面を、そのまま光入射面31として用いることができる。さらに、位置決め部34の先端面35の周辺には例えばR面取りまたはC面取り(本発明の実施例ではC面取り)がされており、ゲートカット面Cは先端面35に設けられている。ここでR面取りとはコーナーを円弧状に丸めること、C面取りとはコーナーをテーパー面にすることを意味する。
なお、ゲート部Gの開口は先端面35より狭くても構わない。また、図2Bに示すように、位置決め部34の先端面35の周辺に段差が設けられる等の構成であってもよい。要は、ゲートカット面Cと位置決め基準面との間に間隔が生じる構成であれば、どのような構成であっても構わない。
【0018】
導光体カバー8は、光の利用効率の向上を図る部材である。導光体カバー8は、光の反射率が高い材料により形成される。たとえば、導光体カバー8には、酸化チタンの粉末が混合された白色のポリカーボネートが適用される。
導光体カバー8は、少なくとも光拡散面33を覆う主走査方向に長い構成を有する。そして、主走査方向(長手方向)の両端部には、導光体3に取り付けるための取付部81が設けられる。取付部81には、導光体3の両端部のそれぞれを嵌め込むことができる取付孔811が形成される。取付孔811は、主走査方向に貫通する貫通孔である。また、一方の取付部81には、導光体3の位置決め部34を係合可能な係合部812が形成される。したがって、導光体3の両端部のそれぞれは、導光体カバー8の取付部81のそれぞれの取付孔811に嵌め込むことができる。そして、その状態で、導光体3の位置決め部34が導光体カバー8の係合部812に係合する。これにより、導光体カバー8と導光体3との位置関係が決まる。なお、取付部81、取付孔811および係合部812の構成の詳細は後述する。
【0019】
このほか、導光体カバー8は、反射面82と付勢部83とを有する。
反射面82は、導光体カバー8が導光体3に取り付けられた状態において、導光体3の光拡散面33に対向する面である。そして、反射面82は、導光体3の光拡散面33から外部に出射した光を反射して、再び導光体3の内部に入射させる。このため、反射面82は、主走査方向に延伸する帯状に形成される。
付勢部83は、導光体3をイメージセンサユニット1のフレーム2(後述)に付勢して接触させることにより、導光体3をフレーム2に対して位置決めする。付勢部83は、副走査方向に弾性変形可能な舌片状の構成を有し、導光体カバー8に一体に形成される。
【0020】
照明装置9は、2つの光源6を有する。そして、2つの光源6のそれぞれは、導光体3の両端部の光入射面31のそれぞれに光を照射する。光源6は、たとえば、赤(R)と緑(G)と青(B)の各色の発光波長を有する発光素子を有する。各色の発光波長を有する発光素子には、公知の各種LEDが適用できる。また、光源6は、回路基板5(後述)の上面に実装される。
なお、光源6は前述の構成に限定されない。光源6には、公知の各種点光源が適用できる。
【0021】
次に、照明装置9の組み付け構成について、図3図5を参照して説明する。図3は、導光体3に導光体カバー8が取り付けられた状態を、模式的に示す外観斜視図である。図4A図4Bは、導光体カバー8が取り付けられた導光体3の主走査方向端部近傍を示す斜視図である。なお、図4Aは副走査方向の後側から見た図であり、図4Bは副走査方向の前側から見た図である。図5は、導光体3と光源6の位置関係を模式的に示す平面図である。
図3図4Aおよび図4Bに示すように、導光体3に導光体カバー8が取り付けられる。
導光体カバー8の取付部81は、副走査方向に突出する板状またはブロック状の構成を有する。そして、取付部81には、主走査方向に貫通する取付孔811が形成される。取付孔811は、導光体3の端部を挿通可能なように、導光体3の断面寸法・形状に応じて形成される。
さらに、一方の取付部81には、導光体3の位置決め部34が係合する係合部812が形成される。係合部812は、主走査方向の端部側と副走査方向の一方の側(図の例では後側)が開放する凹部状に形成される。なお、係合部812は、導光体3の位置決め部34が嵌め込むことができるように、位置決め部34に応じた寸法および形状を有する。
【0022】
取付時においては、導光体3の位置決め部34が設けられない側の端部を、係合部812が形成される側の取付部81の取付孔811に、主走査方向の外側から挿入する。そして、導光体3を導光体カバー8に対して主走査方向に相対的にスライドさせる。そして、導光体3の端部を、係合部812が形成されない側の取付部81の取付孔811に、主走査方向の中心側から挿入する。そうすると、導光体3の主走査方向の両端部のそれぞれは、導光体カバー8の両端部の取付部81のそれぞれの取付孔811に嵌め込むことができる。さらに、導光体3の他方の端部に設けられる位置決め部34が、取付部81の係合部812に嵌め込むことができる。
このように、導光体3の位置決め部34が導光体カバー8の係合部812に嵌め込むことによって、導光体3と導光体カバー8とが互いに位置決めされる。
【0023】
前述のとおり、導光体カバー8の取付部81に形成される取付孔811は、主走査方向に貫通する貫通孔である。このため、導光体3に導光体カバー8が取り付けられた状態においては、導光体3の光入射面31は、導光体カバー8の取付部81の取付孔811から露出する。
そして、図5に示すように、導光体3の両端部近傍には、光入射面31に対して光を入射できるように、それぞれの光源6が配設される。前述のとおり、導光体3の光入射面31は露出しているため、光源6は導光体3の光入射面31に対して、光を入射できる。
また、導光体3の光拡散面33と、導光体カバー8の反射面82とは、互いに対向している。このため、導光体3の光拡散面33から外部に出射した光は、導光体カバー8の反射面82で反射して再び導光体3の内部に入射する。
【0024】
このような構成の照明装置9によれば、2つの光源6が発する光は、導光体3の光入射面31から内部に入射する。導光体3の内部に入射した光は、側面において反射しながら、その内部を伝搬する。光拡散面33に達した光は、拡散部を通じて外部に出射するほか、拡散部において拡散して光出射面32に達する。光拡散面33から外部に出射した光は、導光体カバー8の反射面82で反射して再び導光体3の内部に入射し、光出射面32に達する。光出射面32に達した光は、原稿Pに向かって出射する。
【0025】
ゲートカット面Cには、ホットニッパーなどの切断によって生じた凹凸が存在する。このため、ゲートカット面Cの凹凸が拡散面として作用することがある。そうすると意図しない拡散光が生じるほか、ゲートカット面Cの凹凸から外部への意図しない漏れ光などが生じる。したがって、ゲートカット面Cが導光体3の側面に直接的に形成されるという従来の構成では、ゲートカット面Cからの意図しない反射光および漏れ光などによって、照射光の照度分布が不均一になるものであった。
これに対して、本発明の実施形態は、ゲート部Gが位置決め部34の先端面35に形成される構成である。そして、位置決め部34は、主走査方向(長手方向)に対して略直角な方向に突起する突起状の構成を有する。このため、ゲート部Gが導光体3の側面に直接形成される構成と比較して、ゲートカット面Cに到達する光の量が少なくなる。したがって、ゲートカット面Cからの意図しない拡散光および漏れ光を少なくすることができ、結果として出射される照射光の主走査方向の照度分布の均一化を図ることができる。さらに、位置決め部34の先端面35の周辺が面取りされ、先端面35にゲート部Gが設けられることで、ゲートカット面Cと位置決め基準面との間に間隔が生じる。このため、ゲートカット面Cに生じたバリ状の凹凸が位置決め基準面に達することを低減でき、位置決め基準面の平面性を保つことで位置決め精度の低下を低減できる。
このように、本実施形態によれば、導光体3の主走査方向(長手方向)の両端面を光入射面31とすることによって光量の増加の要求に応えつつ、出射される照射光の照度分布の均一化を図ること(または不均一化を防止もしくは抑制すること)ができる。
【0026】
なお、前述の説明においては、位置決め部34が副走査方向の後側に突出する構成を示したが、位置決め部34の突出方向は前述の方向に限定されない。図6A図6Bは、位置決め部34が、副走査方向の前側に突出する構成の例を示す図である。図7A図7Bは、図6A図6Bに示す導光体3に導光体カバー8が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図6A図6Bに示すように、位置決め部34は、副走査方向前側に突出する構成であってもよい。そして、位置決め部34の先端面35に、射出成形におけるゲート部Gが設けられる。なお、位置決め部34が突出する向き以外の構成は、前述の構成と共通である。この場合には、図7A図7Bに示すように、位置決め部34が係合する係合部812は、取付孔811の副走査方向の前側に形成される。そして、導光体3の位置決め部34が導光体カバー8の係合部812に係合することにより、導光体カバー8が導光体3に位置決めされた状態で取り付けられる。
また、上述の実施形態では、照明装置9が導光体カバー8を有し、導光体3の位置決め部34が導光体カバー8の取付部81の係合部812に係合する構成を示すが、このような構成でなくてもよい。たとえば、照明装置9が導光体カバー8を有さない構成であってもよい。この場合には、イメージセンサユニット1のフレーム2などに係合部が設けられ、導光体3の位置決め部34が、フレーム2の係合部に係合する構成が適用できる。
なお、これら以外の構成は、前述の構成と共通の構成が適用できる。
このように、位置決め部34は、副走査方向の前後いずれの向きに突出する構成であってもよい。位置決め部34が前後いずれの向きに突出する構成であっても、同様の効果を奏する。
【0027】
(イメージセンサユニット)
次に、イメージセンサユニット1の構成について、図8図10を参照して説明する。図8は、イメージセンサユニット1の構成を模式的に示す分解斜視図である。図9は、イメージセンサユニット1の構成を模式的に示す外観斜視図である。図10は、イメージセンサユニット1の内部構造を模式的に示す断面図であり、主走査方向に直角な面で切断した図である。
図8図10に示すように、イメージセンサユニット1は、主走査方向に長い直方体状の構成を有する。そして、イメージセンサユニット1は、照明装置9(光源6、導光体3、導光体カバー8)と、フレーム2と、集光体4と、回路基板5と、イメージセンサ7とを含む。
【0028】
フレーム2は、イメージセンサユニット1の筐体である。フレーム2には、導光体カバー8が取り付けられた導光体3と、集光体4と、イメージセンサ7および光源6が実装された回路基板5とが収容されて取り付けられる。フレーム2は、たとえば、黒色に着色された遮光性を有する樹脂材料により一体に形成される。樹脂材料には、たとえば、ポリカーボネートが適用できる。
図8図9に示すように、フレーム2は、主走査方向に長い略直方体の部材である。
フレーム2には、導光体収容室27と、集光体収容室28と、回路基板収容室29(図10参照)とが形成される。導光体収容室27は、上側に開放する領域であり、導光体カバー8が取り付けられた導光体3を収容可能に構成される。集光体収容室28は、上側に開放する領域であり、集光体4を収容可能に構成される。回路基板収容室29は、下側に開放する領域であり、光源6およびイメージセンサ7が実装された回路基板5を収容可能に構成される。なお、フレーム2には、集光体収容室28と回路基板収容室29とを光が通過可能に連通する開口部Sが形成される。
このほかフレーム2には、導光体収容室27に収容された導光体カバー8を位置決めして固定する押さえ爪21が形成される。導光体押さえ爪21は、導光体収容室27の内部に向かって突出する弾性変形可能な構造物であり、フレーム2に一体に形成される。
【0029】
集光体4は、原稿Pからの反射光をイメージセンサ7の表面に結像する光学部材である。集光体4には、たとえば、複数の正立等倍結像型の結像素子(ロッドレンズ)が主走査方向に直線状に配列された構成のロッドレンズアレイが適用される。なお、集光体4は、結像素子が直線的に配列される構成であればよく、構成は限定されない。たとえば、集光体4は、結像素子が複数列配列されている構成であってもよい。また、集光体4には、各種マイクロレンズアレイなど、従来公知の各種集光機能を有する光学部材が適用できる。
【0030】
イメージセンサ7は、集光体4により結像した反射光を電気信号に変換する。イメージセンサ7には、たとえば、イメージセンサICアレイが適用される。イメージセンサICアレイは、複数のイメージセンサICが回路基板5の表面に主走査方向に直線状に実装されることによって構成される。イメージセンサICは,イメージセンサユニット1の読取の解像度に応じた複数の受光素子(光電変換素子と称することもある)から構成される。このように、イメージセンサ7は、複数のイメージセンサIC(受光素子)が、主走査方向に直線状に配列されて構成される。なお、イメージセンサ7は、複数のイメージセンサICが直線状に配列される構成のものであればよく、それ以外の構成は特に限定されない。たとえば、イメージセンサICが千鳥配列のように複数列配列される構成であってもよい。なお、イメージセンサ7およびイメージセンサICアレイを構成するイメージセンサICには、従来公知の各種イメージセンサおよびイメージセンサICが適用できる。
【0031】
回路基板5は、主走査方向に長い矩形状の構成を有する。そして、回路基板5の上面には、イメージセンサ7と光源6とが実装される。図8に示すように、2つの光源6は、それぞれ回路基板5の主走査方向の端部近傍に、主走査方向中心に向かって光を照射できるように実装される。また、イメージセンサ7は、集光体4からの光を受光できるように、受光面を上側に向けて実装される。さらに、回路基板5には、外部との配線を接続するためのコネクタ類などが実装される。
【0032】
このほか、イメージセンサユニット1には、画像読取装置10(後述)または画像形成装置50(後述)に取り付けるための取付部や、画像読取装置10または画像形成装置50に電気接続するためのコネクタなどが設けられる。なお、取付部やコネクタの構成は、特に限定されるものではない。取付部は、イメージセンサユニットを画像読取装置10または画像形成装置50に取り付けることができる構成であればよい。また、コネクタは、イメージセンサユニット1と画像読取装置10または画像形成装置50の所定の機器とを、電力や電気信号を送受信可能に接続できる構成であればよい。
【0033】
そして、図8図10に示すように、導光体カバー8が取り付けられた導光体3が、フレーム2の導光体収容室27に収容される。そうすると、フレーム2に設けられる押さえ爪21が、導光体カバー8に係合する。これにより、導光体3および導光体カバー8は、導光体収容室27に収容された状態に保持される。また、図10に示すように、導光体3の側面が、導光体カバー8の付勢部83の付勢力によって、導光体収容室27の内周面に接触した状態に維持される。これにより、導光体3および導光体カバー8は、フレーム2に位置決めされる。
なお、イメージセンサユニット1が導光体カバー8を有さない構成であってもよい。この場合には、導光体カバー8の取付部81や取付孔811や係合部812に相当する構造が、フレーム2に設けられる。そして、フレーム2に設けられた押さえ爪21は、導光体収容室27に収容された導光体3を直接固定して位置決めを行う。
また、集光体4は、フレーム2の集光体収容室28に収容される。さらに、光源6とイメージセンサ7とが実装された回路基板5は、回路基板収容室29に収容される。
導光体3が導光体収容室27に収容され、2つの光源6が実装された回路基板5が回路基板収容室29に収容されると、2つの光源6のそれぞれが、導光体3の両端部に形成される光入射面31のそれぞれに対向する(図5参照)。したがって、2つの光源6が発する光は、導光体3の両端部に形成される光入射面31のそれぞれに入射する。
【0034】
原稿Pに光を照射する場合には、光源6は、各色の発光素子を順次点灯する。光源6が発する光は、導光体3の光入射面31からその内部に入射し、光拡散面33やその他の反射面において反射するなどして内部を伝搬する。そして、導光体3の光出射面32から原稿Pの読取ラインOに向けて出射する。なお、図10に示すように、イメージセンサユニット1が画像読取装置10または画像形成装置50に組み込まれた状態においては、イメージセンサユニット1の上側に原稿支持体105が配設される(後述)。イメージセンサユニット1の照明装置9は、原稿支持体105に載置された原稿Pの読取ラインOに向けて光を照射する。原稿Pの読取ラインOからの反射光は、集光体4によってイメージセンサ7の表面に結像される。イメージセンサ7は、集光体4によって結像した光学像を電気信号に変換する。
そして、イメージセンサユニット1は、原稿Pに対して副走査方向に相対的に移動しながら、このような動作を行う。これにより、イメージセンサユニット1は、原稿Pを読取ることができる。
【0035】
(実施例)
次に、本発明を適用できる実施形態の効果の検証結果について説明する。図11は、比較例にかかる導光体900の構成を模式的に示す斜視図である。図11に示すように、比較例にかかる導光体900には、主走査方向(長手方向)の端部に光入射面901が形成される。そして、主走査方向の端部の直近の側面に、射出成形のためのゲート部Gが設けられる。射出成形により形成された後に、ホットニッパーなどによって切断されることで導光体900が切り離される。このため、ゲートカット面Cには、切断によって凹凸が生じることで他の部分に比較して表面が粗い。
図12は、本発明の実施例と比較例の照明装置による照射光の主走査方向の照度分布を示すグラフである。なお、実線が本発明の実施例を示し、破線が比較例を示す。このグラフの横軸は、導光体3,900の端面(光入射面31,901)からの距離(主走査方向位置[mm])を示し、縦軸は出射された照射光の照度(センサ出力値[mV])を示す。比較例においては、端部(ゲートカット面C)近傍で照度が高くなっており、照射光の照度分布が不均一である。これは、ゲートカット面Cが拡散面として作用して拡散光を生じているほか、光入射面901から入射した光が、ゲートカット面Cから外部に出射しているため(すなわち、ゲートカット面Cからの漏れ光によるもの)と考えられる。
これに対して、本発明の実施例は、主走査方向の端部近傍における照射光の照度の変動が、比較例よりも小さい。これは、本発明の実施形態におけるゲート部Gが位置決め部34の先端面35にあるため、導光体900の端部の直近の側面にゲート部Gを設けた場合と比較して光源6からの距離が大きくなり、それに伴い光源6からの配光角が比較例に対して大きくなるためである。このため、光源6にランバート配光のLEDを用いた場合、ゲートカット面Cに到達する光の照度が比較例に対して小さくなり、ゲートカット面Cからの拡散光およびゲートカット面Cから出射する漏れ光が少なくなったためと考えられる。
このように、本発明の実施例によれば、ゲートカット面Cに起因する照射光の照度分布の不均一化を防止または抑制できることが確認された。
【0036】
図13A図13Bは、本発明の実施例と比較例の照明深度特性を示すグラフである。照明深度特性とは、原稿PのZ方向位置と照射光の照度の関係についての特性である。図13Aが本発明の実施例を示し、図13Bが比較例を示す。両図のグラフの横軸は、導光体3,900の端面からの距離を示す。両図のグラフの縦軸は、原稿Pが原稿支持体105に密着している位置をZ=0mmの位置とし、原稿PがZ方向の各位置にある場合の出力値を、Z=0mmの位置にある場合の出力値で除算した値(出力比)を示す。
原稿Pの読取において、原稿Pが原稿支持体105から浮いた状態にあることや、原稿Pが押圧されて原稿支持体105が沈み、イメージセンサユニット1に接近することがある。このため、照明深度特性が主走査方向に関して不均一であると、読取った画像に、輝度の高い線や輝度の低い線が現れることがある。そうすると、読取の精度や画質が低下するおそれがある。このため、前述の出力比は、主走査方向の全長に亘って変動が少ないことが好ましい。
図13Bに示すように、従来例においては、原稿Pが原稿支持体105から浮いた状態(Z=0.5mm)では、主走査方向の端部近傍において局所的に出力値が低下する。一方、原稿Pがイメージセンサユニット1に接近した状態(Z=−0.5mm)では、主走査方向の端部近傍において局所的に出力値が上昇している。したがって、これらのような場合には、読取った原稿に、輝度の高い線または輝度の低い線が現れることがある。
これに対して、図13Aに示すように、実施例によれば、原稿Pが浮いた状態(Z=0.5mm)であっても、イメージセンサユニット1に接近した状態(Z=−0.5mm)であっても、主走査方向の全長に亘って出力値比の変動が少なく、局所的な低下や上昇が存在しない。このように、本発明の実施例によれば、原稿PのZ方向位置が本来の位置からずれても、読取の精度や画質の低下を防止または抑制できることが確認された。
これにより照明深度特性の均一化、すなわち、Z方向位置における照射光の照度分布の均一化を図ることが可能となる。
【0037】
(画像読取装置)
次に、本発明の実施形態である画像読取装置10について、図14を参照して説明する。本発明の実施形態である画像読取装置10には、本発明の実施形態であるイメージセンサユニット1が適用される。図14は、本発明の実施形態である画像読取装置10の外観斜視図である。図14に示すように、本発明の実施形態である画像読取装置10は、フラットベッド方式のスキャナーであり、本発明の実施形態であるイメージセンサユニット1が組み込まれる。本発明の実施形態である画像読取装置10は、筐体102と、ユニット台100と、ユニット台駆動機構を有する。ユニット台100は、本発明の実施形態であるイメージセンサユニット1を搭載できる部材である。ユニット台駆動機構は、イメージセンサユニット1が搭載されるユニット台100を、副走査方向に移動させるための機構である。たとえば、ユニット台駆動機構は、駆動モータ103と、駆動モータ103の動力をユニット台100に伝達するワイヤー104と、ユニット台100をガイドするガイドシャフト107とを含む。なお、ユニット台100およびユニット台駆動機構の構成は、特に限定されるものではなく、従来公知の構成が適用できる。また、筐体102の上面には、原稿支持体105が設けられる。原稿支持体105には、たとえば、透明のガラス板が適用される。さらに、筐体102の副走査方向の端部には、圧板106がヒンジなどによって開閉可能に取付けられる。圧板106は、原稿支持体105の上面に載置された原稿Pを押さえる機能を有する。
【0038】
本発明の実施形態である画像読取装置10の動作および使用方法は次のとおりである。原稿支持体105の上面に、原稿Pを下向きに載置し、圧板106を閉じる。そして、駆動モータ103を駆動させてワイヤー104を動かすことによって、イメージセンサユニット1を副走査方向に移動させる。この際、ユニット台100は、ガイドシャフト107によってガイドされる。これにより、イメージセンサユニット1は、原稿Pに対して副走査方向に相対的に移動する。そしてイメージセンサユニット1を移動させながら、原稿Pの画像を読取ライン毎に読み取る。イメージセンサユニット1が読み取った画像は、信号処理部109において必要に応じて画像処理を行った後、画像データとして記憶される。これにより、原稿Pの読み取りが完了する。
【0039】
本発明の実施形態である画像読取装置10は、本発明の実施形態であるイメージセンサユニット1が適用されるため、原稿Pに出射される照射光の照度分布の均一化を図ることができる。
【0040】
なお、本発明の実施形態である画像読取装置10において、説明を省略した部分には、従来公知の画像読取装置と同じ構成が適用できる。
また、画像読取装置10としてフラットベッド方式のスキャナーについて説明したが、シートフィード方式のスキャナーについても適用できる。
【0041】
(画像形成装置)
次に、本発明の実施形態である画像形成装置50について、図15図16を参照して説明する。本発明の実施形態である画像形成装置50には、本発明の実施形態であるイメージセンサユニット1が適用される。図15は、本発明の実施形態である画像形成装置50の外観斜視図である。図16は、本発明の実施形態である画像形成装置50の筐体の内部に設けられる画像形成部51を抜き出して示した斜視図である。図15図16に示すように、画像形成装置50は、フラットベッド方式のスキャナーとインクジェット方式のプリンタとの複合機(MFP;Multifunction Printer)であり、画像を読取る画像読取手段としての画像読取部59と、画像を形成する画像形成手段としての画像形成部51とを有する。そして、画像形成装置50の画像読取部59には、本発明の実施形態であるイメージセンサユニット1が組み込まれる。なお、画像形成装置50の画像読取部59は、前述の画像読取装置10と共通の構成が適用できる。したがって、画像読取装置10と共通の構成については同じ符号を付して示し、説明は省略する。
【0042】
図15に示すように、画像形成装置50には、操作部501が設けられる。操作部501には、操作メニューや各種メッセージなどを表示する表示部502と、画像形成装置50を操作するための各種操作ボタン503が設けられる。
また、図16に示すように、画像形成装置50の筐体504の内部には、画像形成部51が設けられる。画像形成部51は、搬送ローラ52と、ガイドシャフト53と、インクジェットカートリッジ54と、モータ55と、一対のタイミングプーリ56とを有する。搬送ローラ52は、駆動源の駆動力によって回転し、記録媒体としての印刷用紙Rを副走査方向に搬送する。ガイドシャフト53は棒状の部材であり、その軸線が印刷用紙Rの主走査方向に平行となるように画像形成装置50の筐体に固定される。インクジェットカートリッジ54は、ガイドシャフト53上をスライドすることによって、印刷用紙Rの主走査方向に往復動できる。インクジェットカートリッジ54は、たとえば、シアンC、マゼンタM、イエローY、黒Kのインクを備えたインクタンク541(541C,541M,541Y,541K)と、これらのインクタンク541にそれぞれ設けられた吐出ヘッド542(542C,542M,542Y,542K)から構成される。一対のタイミングプーリ56の一方は、モータ55の回転軸に取り付けられる。そして、一対のタイミングプーリ56は、印刷用紙Rの主走査方向に互いに離れた位置に設けられる。タイミングベルト57は、一対のタイミングプーリ56に平行掛けに巻き掛けられ、所定の箇所がインクジェットカートリッジ54に連結される。
【0043】
画像形成装置50の画像読取部59は、イメージセンサユニット1が読み取った画像を、印刷に適した形式の電気信号に変換する。そして、画像形成装置50の画像形成部51は、画像読取部59のイメージセンサユニット1が変換した電気信号に基づいて、搬送ローラ52、モータ55、インクジェットカートリッジ54を駆動し、印刷用紙Rに画像を形成する。このほか、画像形成装置50の画像形成部51は、外部から入力された電気信号に基づいて画像を形成することができる。なお、画像形成装置50のうち、画像形成部51の構成および動作は、従来公知の各種プリンタと同じ構成が適用できる。したがって、詳細な説明は省略する。
【0044】
本発明の実施形態にかかる画像形成装置50は、画像読取部59に、本発明の実施形態であるイメージセンサユニット1が適用される。このため、原稿Pに出射される照射光の照度分布の均一化を図ることができる。
【0045】
以上、本発明の各種実施形態について詳細に説明したが、前述の実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、前述の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
【0046】
たとえば、本発明にかかる画像読取装置は、前述の実施形態に記載される構成のイメージスキャナーに限定されるものではない。また、画像形成装置も、インクジェット方式に限定されず、電子写真方式、熱転写方式、ドットインパクト方式などどのような方式であってもよく、前述の実施形態に記載される複合機に限定されるものではない。本発明にかかるイメージセンサユニットが適用される複写機やファクシミリも、本発明の画像読取装置に含まれる。
【0047】
また、光源6と導光体3とからなる照明装置を、原稿Pに対する反射用光源として用いたが、透過用光源として用いても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、イメージセンサユニットと、このイメージセンサユニットが適用される画像読取装置や画像形成装置(たとえば、イメージスキャナー、ファクシミリ、複写機、複合機など)に有効に利用できるものである。
【符号の説明】
【0049】
1:イメージセンサユニット、2:フレーム、3:導光体、4:集光体、5:回路基板、6:光源、7:イメージセンサ、8:導光体カバー、9:照明装置、10:画像読取装置、31:光入射面、34:位置決め部、35:先端面、50:画像形成装置、51:画像形成部、52:搬送ローラ、53:ガイドシャフト、54:インクジェットカートリッジ、55:モータ、56:一対のタイミングプーリ、57:タイミングベルト、G:ゲート部、C:ゲートカット面、P:原稿、O:読取ライン
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16