(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933511
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】エレベータピット昇降用梯子
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20160526BHJP
B66B 7/00 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
B66B5/00 D
B66B7/00 F
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-240777(P2013-240777)
(22)【出願日】2013年11月21日
(65)【公開番号】特開2015-101412(P2015-101412A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】太田 武男
【審査官】
大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−096626(JP,A)
【文献】
特開平11−173045(JP,A)
【文献】
実開昭49−031199(JP,U)
【文献】
実開平07−032199(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3096037(JP,U)
【文献】
実開昭54−098742(JP,U)
【文献】
実開昭54−098744(JP,U)
【文献】
実開昭59−138700(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピットに設けられ、間口方向に延びた回動軸を中心に回動することによって、前記回動軸から水平方向に延びる水平位置と前記回動軸から下方に延びる下延位置との間で変位する第1踏段部と、
前記第1踏段部に設けられ、前記第1踏段部の変位にともなって下端部が前記ピットの壁に沿って昇降する連結板と、
前記連結板に設けられ、前記連結板の昇降にともなって昇降する第2踏段部と
を備えたことを特徴とするエレベータピット昇降用梯子。
【請求項2】
前記第1踏段部に設けられ、前記第1踏段部を変位させるための取手をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータピット昇降用梯子。
【請求項3】
前記第1踏段部の位置が前記水平位置である場合に前記第2踏段部を水平状態に維持する水平状態維持部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータピット昇降用梯子。
【請求項4】
前記第2踏段部は、網状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか一項に記載のエレベータピット昇降用梯子。
【請求項5】
前記連結板の下端部は、前記第1踏段部の位置が前記水平位置である場合に、前記ピットの壁に形成された凹部に支持されることを特徴とする請求項1から請求項4までの何れか一項に記載のエレベータピット昇降用梯子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業者が昇降路のピットと乗場との間を移動する際に用いられるエレベータピット昇降用梯子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降路のピットに固定された取付装置と、取付装置に取り付けられ、長手方向に伸縮可能な梯子本体と、梯子本体が延びている状態を保持するロック装置と、梯子本体に接続され、梯子本体から最下階の乗場に達する梯子引上用連続体とを備え、作業者が梯子引上用連続体を操作することによって、梯子本体が、ピットに収容された収納位置とピットの床から最下階の乗場まで達する立掛位置との間で変位するエレベータピット昇降用梯子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−58879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、梯子引上用連続体を用いて梯子本体を伸張させ、さらに、ロック装置を操作して梯子本体が伸張している状態を保持させるので、エレベータピット昇降用梯子の組立作業の効率が悪いという問題点があった。
【0005】
この発明は、組立作業の効率を向上させることができるエレベータピット昇降用梯子を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータピット昇降用梯子は、ピットに設けられ、間口方向に延びた回動軸を中心に回動することによって、回動軸から水平方向に延びる水平位置と回動軸から下方に延びる下延位置との間で変位する第1踏段部と、第1踏段部に設けられ、第1踏段部の変位にともなって下端部がピットの壁に沿って昇降する連結板と、連結板に設けられ、連結板の昇降にともなって昇降する第2踏段部とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るエレベータピット昇降用梯子によれば、第1踏段部の位置を下方位置から水平位置に変位させることによって組み立てることができるので、組立作業の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータピット昇降用梯子を示す斜視図である。
【
図2】
図1のエレベータピット昇降用梯子を示す側面図である。
【
図3】
図1のエレベータピット昇降用梯子が変位した状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3のエレベータピット昇降用梯子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータピット昇降用梯子を示す斜視図、
図2は
図1のエレベータピット昇降用梯子を示す側面図、
図3は
図1のエレベータピット昇降用梯子が変位した状態を示す斜視図、
図4は
図3のエレベータピット昇降用梯子を示す側面図である。エレベータ昇降用梯子は、乗場敷居100に上端部が固定され、乗場敷居100から下方に延びた板状の基部1と、基部1に取り付けられた一対の蝶番2と、蝶番2を介して基部1に回動可能に設けられた板状の第1踏段部3と、第1踏段部3に設けられた取手4と、第1踏段部3に設けられた一対の蝶番5と、蝶番5を介して第1踏段部3に回動可能に設けられた連結板6と、連結板6に設けられた第2踏段部7と、第2踏段部7に設けられた一対のチェーン(水平状態維持部材)8と、連結板6に設けられた一対のローラ9とを備えている。エレベータピット昇降用梯子は、ピット101に配置されている。この例では、エレベータピット昇降用梯子は、乗場のトーガードを構成している。つまり、エレベータピット昇降用梯子は、トーガードと兼用となっている。
【0010】
基部1の上部には、チェーン8と係合する係合孔(係合部)11が2個形成されている。係合孔11は、基部1の間口方向両端部に配置されている。この例では、間口方向とは、乗場についての間口方向であり、
図1の矢印Aの方向である。
【0011】
一対の蝶番2は、基部1の下部と第1踏段部3の一端部とに渡って設けられている。また、一対の蝶番2は、間口方向に互いに離れて配置されている。それぞれの蝶番2は、間口方向に延びた回動軸(図示せず)を有している。
【0012】
第1踏段部3は、蝶番2の回動軸を中心に回動することによって、この回動軸から水平方向に延びる水平位置(
図3)とこの回動軸から下方に延びる下延位置(
図1)との間で変位する。取手4は、第1踏段部3における間口方向中間部に配置されている。取手4は乗場にいる作業者が手を伸ばして届く位置に配置されている。
【0013】
下延位置にある場合の第1踏段部3の下部には、チェーン8と係合する係合孔(係合部)31が2個形成されている。係合孔31は、第1踏段部3の間口方向に互いに離れて配置されている。
【0014】
一対の蝶番5は、下延位置にある場合の第1踏段部3の下端部と連結板6の上端部とに渡って設けられている。また、一対の蝶番5は、間口方向に互いに離れて配置されている。それぞれの蝶番5は、間口方向に延びた回動軸(図示せず)を有している。
【0015】
一対のローラ9は、連結板6の下端部に取り付けられている。また、一対のローラ9は、間口方向に互いに離れて配置されている。それぞれのローラ9は、間口方向に延びた回動軸を中心に回転する。また、それぞれのローラ9は、ピット101の壁102に形成された溝103に案内されている。図示していないが、溝103は、ローラ9が溝103から離れる方向へ移動することを規制するように形成されている。つまり、ローラ9は、溝103から離れる方向に移動することが規制されている。
【0016】
連結板6は、第1踏段部3の昇降にともなって、連結板6の下端部が壁102に沿って昇降しながら、ピット101の中を昇降する。
【0017】
第2踏段部7は、連結板6の昇降にともなって昇降する。第2踏段部7は、第2踏段部7が昇降することによって、ピット101の底面104の上に載せられる収納位置と底面104から所定の高さとなる上昇位置との間で変位する。具体的には、第1踏段部3の位置が下延位置である場合に、第2踏段部7の位置が収納位置となり、第1踏段部3の位置が水平位置である場合に、第2踏段部7の位置が上昇位置となる。第2踏段部7の位置が上昇位置である場合に、第1踏段部3と第2踏段部7との高さ方向の寸法は、作業者が上り下りすることができる程度の大きさとなっている。乗場敷居100からピット101の底面104までの寸法は、1.8m程度となっている。
【0018】
それぞれのチェーン8の一端部は、第2踏段部7における壁102から最も離れた位置に接続されている。また、それぞれのチェーン8の一端部は、間口方向に互いに離れて第2踏段部7に接続されている。それぞれのチェーン8の他端部は、フック形状に形成された係合部となっており、係合孔11および係合孔31のそれぞれに係合可能となっている。チェーン8の他端部が係合孔11に係合する場合に、チェーン8は、第2踏段部7を水平状態に維持する。これにより、作業者が第2踏段部7に乗った場合であっても、第2踏段部7が水平状態に維持される。
【0019】
溝103の上部には、ローラ9を支持する凹部105(
図2、
図4)が形成されている。ローラ9は、第1踏段部3の位置が水平位置である場合に、凹部105に支持される。これにより、連結板6の下端部は、第1踏段部3の位置が水平位置である場合に、凹部105に支持される。その結果、第1踏段部3は、水平位置に維持される。
【0020】
次に、エレベータピット昇降用梯子の組立手順について説明する。作業者は、取手4を持ち上げることによって、下延位置にある第1踏段部3を水平位置に変位させる。これにより、第2踏段部7が収納位置から上昇位置に変位する。また、第2踏段部7の位置が上昇位置となることによって、ローラ9が凹部105に支持される。最後に、チェーン8の他端部を係合孔31から外し、係合孔11に係合させる。以上により、エレベータピット昇降用梯子の組立が終了する。
【0021】
エレベータピット昇降用梯子を収納する場合には、作業者は、チェーン8の他端部を係合孔11から外し、係合孔31に係合させる。その後、取手4を僅かに持ち上げて、凹部105によるローラ9の支持を解除させる。最後に、取手4を下げることによって、第1踏段部3が水平位置から下延位置に変位し、第2踏段部7が上昇位置から収納位置に変位する。以上により、エレベータピット昇降用梯子の収納が終了する。
【0022】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るエレベータピット昇降用梯子によれば、第1踏段部3の位置を下方位置から水平位置に短時間のワンタッチで変位させることによって組み立てることができるので、組立作業の効率を向上させることができる。
【0023】
また、エレベータピット昇降用梯子は、第1踏段部3に設けられ、第1踏段部3を変位させるための取手4を備えているので、作業者は、第1踏段部3を容易に変位させることができる。
【0024】
また、エレベータピット昇降用梯子は、第1踏段部3の位置が水平位置である場合に第2踏段部7を水平状態に維持するチェーン8を備えているので、第2踏段部7に作業者が乗った場合であっても、第2踏段部7を水平状態に維持することができる。
【0025】
また、第2踏段部7は、網状に形成されているので、第2踏段部7に埃などの異物が体積することを抑制することができる。
【0026】
また、連結板6の下端部は、第1踏段部3の位置が水平位置である場合に、ピット101の壁102に形成された凹部105に支持されるので、第1踏段部3に作業者が乗った場合であっても、第1踏段部3を水平位置に維持することができる。
【0027】
なお、上記実施の形態1では、基部1を備えたエレベータピット昇降用梯子の構成について説明したが、基部1を備えないエレベータピット昇降用梯子の構成であってもよい。この場合、第1踏段部3は、蝶番2を介してピット101の壁102に回動可能に設けられる。
【0028】
また、上記実施の形態1では、水平状態維持部材として、チェーンを例に説明したが、これに限らず、第1踏段部3の位置が水平位置である場合に第2踏段部7を水平状態に維持することができる部材であればよい。
【符号の説明】
【0029】
1 基部、2 蝶番、3 第1踏段部、4 取手、5 蝶番、6 連結板、7 第2踏段部、8 チェーン(水平状態維持部材)、9 ローラ、11 係合孔(係合部)、31 係合孔(係合部)、100 乗場敷居、101 ピット、102 壁、103 溝、104 底面、105 凹部。