(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933512
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】レーザ付加製造法により金属部品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B22F 3/105 20060101AFI20160526BHJP
B23K 26/34 20140101ALI20160526BHJP
B23K 15/00 20060101ALI20160526BHJP
B22F 5/04 20060101ALI20160526BHJP
B22F 7/02 20060101ALI20160526BHJP
F01D 5/28 20060101ALI20160526BHJP
F01D 9/02 20060101ALI20160526BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20160526BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20160526BHJP
F23R 3/42 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
B22F3/105
B23K26/34
B23K15/00 505
B22F5/04
B22F7/02
F01D5/28
F01D9/02 102
F02C7/00 C
F02C7/00 D
F01D25/00 L
F01D25/00 X
F23R3/42 C
F23R3/42 A
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-249275(P2013-249275)
(22)【出願日】2013年12月2日
(65)【公開番号】特開2014-129597(P2014-129597A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2014年2月4日
(31)【優先権主張番号】12008074.2
(32)【優先日】2012年12月1日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(72)【発明者】
【氏名】トーマス エター
(72)【発明者】
【氏名】マキシム コンター
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ヘーベル
(72)【発明者】
【氏名】ユリウス シュアプ
【審査官】
米田 健志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−277368(JP,A)
【文献】
特開2003−181941(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0241392(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00〜8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元の金属製の部品(11)の一部または全部の製造方法であって、
a)付加製造法を用いて、エネルギービーム(14)を走査することにより、金属のベース材料(12)から前記部品(11)を順次造形するステップを有し、ただし、前記付加製造法は、選択的レーザ溶解法(SLM)、選択的レーザ焼結法(SLS)または電子ビーム融解法(EBM)のうちのいずれか一つであり、かつ、粉末体の金属のベース材料を使用し、
なお、
b)前記部品(11)の1次方位および2次方位において制御された結晶粒配向を実行し、ただし、前記1次方位は造形方位(z)に相当し、前記2次方位はx−y平面内にあり、
c)前記2次方位において制御された前記結晶粒配向は、ヤング係数を最小値にしたい前記部品(11)の方向に連続する各層内において、平行方向と直交方向とに交互に走査経路を配置することによって、かつ、更に、前記連続する層の各層における各領域(島)間において、平行方向と直交方向とに交互に走査経路を配置することによって実現される、
ことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
一定かつ均等な厚さ(d)の粉末層(12)を形成するのに必要である良好な流動性を実現するために、粉末の粒度分布を前記粉末層(12)の層厚(d)に合わせて調整する、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記粉末の粒形は球形であり、
前記粉末の正確な粒度分布を、ふるいおよび/または風選(空気分離)により実現する、請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
前記粉末は粉末金属冶金法を用いて準備される、請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
前記粉末金属冶金法は、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、プラズマ回転電極法または機械的ミリング法のうちいずれか1つである、請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
金属の前記ベース材料は、高温用のNiベース合金、Coベース合金またはFeベース合金のうちいずれか1つであるか、または前記合金の組み合わせである、請求項1から5までのいずれか1項記載の製造方法。
【請求項7】
前記合金は、微細分散された酸化物を含む、請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
前記微細分散された酸化物はY2O3,AlO3,ThO2,HfO2,ZrO2のうちいずれか1つである、請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
前記2次結晶粒配向の有利な配列は、特定の部分体積にのみ適用される、請求項1記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐高温性部品の技術に関し、特に、ガスタービン用の高温ガス系統部品の分野に関する。本発明は、たとえば選択的レーザ溶解法(SLM)、選択的レーザ焼結法(SLS)または電子ビーム溶解法(EMB)等の付加製造技術により金属部品/3次元製品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
付加製造法は、金属製の機能的試作品や機能的部品の製造方法として、ますます魅力的なものとなってきている。SLM法、SLS法およびEBM法は、ベース材料として粉末材料を用いることが知られており、粉末床から直接、部品や製品を生成する。他に、既存の部品に金属を局所的に融接する付加製造法もあり、たとえばレーザ金属造形法(LMF)、レーザエンジニアドネットシェイピング(LENS:Laser engineered net shape)または直接金属堆積法(DMD)等がある。このように新しい手法で生成される材料は、ロボットまたはCNC機器を用いて粉末積層装置を所定の経路に沿って移動させることにより、ワイヤまたは粉末のいずれかとして堆積させることができる。
【0003】
図1に、従来技術から知られているSLMの基本的構成10を示す。このSLMでは、所定の層厚d、面積および外形の粉末層12を順次追加していき、その後、制御ユニット15によって制御して、レーザ装置13からのレーザビーム14を走査してこの粉末層12を融解することにより、3次元製品(部品)11を製造する。
【0004】
通常、1層の中では各走査ベクトルが相互に平行であるか(
図2a参照)、または、1層の中で所定の領域において、各走査ベクトル間の角度が固定である(いわゆるチェストボードパターン。
図3a参照)。連続した各層間では(すなわち、層nと層n+1との間、層n+1と層n+2との間、等々)、走査ベクトルをたとえば90°の角度だけ回転させるか(
図2b,3b参照)、または、90°またはn×90°と異なる角度だけ回転させる(
図4a,4b参照)。(連続した各層ごと、または、製品の1層の中でたとえばチェストボード等のパターンの所定の各領域ごとに、スキャナ経路を交互に変えて)上記工程を終えると、SLMにより作製される製品と比較して良好な品質(最大限の部品/製品密度および幾何学的精度)を実現することができる。
【0005】
従来技術におけるSLMの典型的な軌道配列を
図5に示す。
【0006】
溶解槽内の典型的な温度分布プロフィールと、その結果、当該溶解槽近傍において生じる温度勾配とに起因して、粉末面(x‐y平面)に対して垂直方向の結晶粒成長がより高速かつ有利に行われるのが促進される。このことにより、粒形がz方向(=1次結晶粒方位、[001]結晶方向)に伸長した、特徴的な微細構造が生じる。この方向はxy平面に対して垂直である。それゆえ、z方向に延在する第1の試料(
図1参照)は、xy平面(=2次結晶粒配向方位、2次結晶方位)に延在する第2の試料の特性とは異なる特性を示し、たとえば、z方向におけるヤング係数は一般的に、粉末面(xy平面)におけるヤング率と異なる。
【0007】
それゆえ、粉末方式の付加製造技術または他の付加製造技術の1つの特徴的な特性として、物性の異方性が強いという特性がある(たとえば、ヤング率、降伏強さ、引張強度、低サイクル疲労特性、クリープ)。これは、公知の積層造形法と、SLM粉末床処理中の局所的な固化条件とに起因するものである。
【0008】
物性のこのような異方性が欠点となる用途は幾つか存在する。それゆえ本出願人はすでに、レーザ付加製造技術を用いて製造された後の部品の異方性の物性を適切な「造形後」熱処理により縮小させることにより物性をより等方性にできることを開示する2件の特許出願を提出している。これら2件の特許出願は、現時点では未公開である。
【0009】
最近30年の間に、方向性凝固(DS)された単結晶(SX)のタービン部品が開発されている。これはインベストメント鋳造によって製造され、このようなタービン部品では、1次結晶粒配向および2次結晶粒配向(1次成長方向に対して垂直)における、たとえばヤング率の低い値が、熱機械的負荷状態と整合している。このような整合は、種結晶と結晶粒セレクタとを適用することにより実現され、このような整合により、部品の性能および寿命が格段に向上する。
【0010】
しかし現在のところ、1次結晶配向および2次結晶配向の両方を制御する上述のような技術は、SLMにより製造されるパーツ/部品では知られていない。
【0011】
エピタキシャルレーザ金属造形法(E‐LMF)と称されるジェネレーティブレーザ処理により、単結晶(SX)基板上に形成される堆積物の微細構造を制御することが可能になってきている。このような手法は、有利な結晶粒配向(DS)を持つパーツ、または、結晶粒境界が無いパーツ(SX)を製造することができる。
【0012】
将来の高温ガス系統部品の構成がより複雑になると、このようなSXまたはDSパーツ/部品をキャスト法によって経済的に製造することはますます困難になる。というのも、薄い壁の部品または2重壁の部品のキャスト歩留まりが低下することが予測されるからである。さらには、エピタキシャルレーザ金属造形は、ベース材料が既に単結晶配向を有しているパーツにしか適用することができない。
【0013】
SLM技術は、非常に精巧な構成を粉末床から直接生成することができるので、高性能かつ複雑な形状のパーツを製造することができる。それゆえ、キャスト法により製造されるSX部品またはDS部品について上記で述べたのと同様に微細構造を制御することは、SLM技術または他のレーザ付加製造技術により製造される部品や試作品に非常に有利となる。さらにヤング率の制御も行ってこれを整合させることにより、上述のように製造される部品の性能が向上し、この部品の可能な使用範囲が一層拡大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、付加製造法によって、特性が改善された金属部品/3次元製品の全部または一部を製造できる方法であって、部品の所望の構成に応じて、異方性の特性を有利に活用できるか、または、異方性の特性を低減または回避できる方法を実現することである。また本発明の課題は、製品の異方性の特性が局所的な熱機械的負荷条件に適合するのを実現するのに適した方法を実現することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載の方法により、前記課題および他の課題が解決される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】従来技術のSLM製造装置の基本的構成を示す図であり、同装置は本発明でも用いることが可能である。
【
図2】SLM製造の第1の走査手法(隣接する各層間において90°の角度を有する走査ベクトルを交互に入れ替える)を示す図である。
【
図3】SLM製造の第2の走査手法(チェストボード手法)を示す図である。
【
図4】SLM製造の他の2つの走査手法(隣接する各層間において63°の角度を有する走査ベクトルを、または、無作為の角度で走査ベクトルを交互に変える)を示す図である。
【
図5】従来技術の典型的なSLMの軌道の配列を示す図である。
【
図6】ハステロイ(登録商標)Xから成る試料の、「造形後」の状態で試験温度として室温と750℃とで測定された、2つの異なる走査手法の場合のヤング率の値を示す図である。
【
図7】エッチングされた状態のNiベース超合金の光学顕微鏡写真と、電子後方散乱回折(EBSD)走査から導出された配向マップとを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、付加製造技術により処理された、Ni,CoまたはFeをベースとする超合金から成る金属部品/3次元製品(たとえば切出片、部品用のインサート)の結晶粒の2次結晶配向の制御を対象とする。この制御を行うためには、製品生成中のスキャナ経路の適切な配置が重要である。
【0018】
生成される材料の微細構造を制御し、その特徴的な物性異方性を利用するのが有利である。
【0019】
本発明は、走査および造形の制御により2次結晶配向を制御できるという事実認識に基づいている。
【0020】
本発明により製造された部品/製品は、制御された2次結晶粒配向を示し、これにより、従来技術の付加製造法により製造された部品と比較して、金属製のパーツや試作品の寿命が長くなり、動作性能が高くなる。
【0021】
本発明の3次元金属製品/部品の全部または一部の製造方法は、
a)付加製造法を用いて、エネルギービームを走査することにより、金属ベース材料から前記製品/部品を順次造形するステップを有し、
なお、
b)前記製品/部品の1次方位および2次方位において制御された結晶粒配向を実現し、
c)その際に、前記製品/部品の断面形状に整合しているか、または、前記製品/部品の局所的な負荷条件に整合した、前記エネルギービームの特定の走査パターンを用いることにより、前記2次結晶粒配向は実現される。
【0022】
本発明の有利な実施形態では、前記2次結晶粒配向の能動的な制御を行うために、ヤング率を最小値にしたい前記部品の方向に対して平行方向(最初の層)と直交方向(次の層)とに交互に、前記スキャナ経路を配置することを繰り返す。
【0023】
前記方法は特に、構成が複雑な高温ガス用の小型から中型までのパーツおよび試作品を製造するのに使用することができる。このようなパーツはたとえば、ガスタービンの第1のタービン段、圧縮器または燃焼器において見られる。利点として、新品のパーツの製造にも、再調整プロセス/修理プロセスにおいても、前記方法を使用することができる。
【0024】
本発明の1実施形態では前記付加製造法は、選択的レーザ溶解法(SLM)、選択的レーザ焼結法(SLS)または電子ビーム融解法(EBM)のいずれかであり、粉末体の金属ベース材料を用いる。
【0025】
特に、前記SLM法またはSLS法またはEBM法は、
a)前記製品の3次元モデルを生成し、その後、スライス分割プロセスを行って断面を計算するステップと、
b)次に、計算した前記断面を機器制御ユニット(15)へ供給するステップと、
c)処理に必要な前記ベース材料の粉末を準備するステップと、
d)基板上に、または、既に処理された粉末層上に、一定かつ均等な厚さの粉末層(12)を設けるステップと、
e)前記制御ユニット(15)に記憶されている3次元モデルに従い、前記製品の断面に対応してエネルギービーム(14)を走査することにより溶解を行うステップと、
f)形成された前記断面の上表面を1層の厚さ(d)だけ下降させるステップと、
g)前記3次元モデルにおける最後の断面に達するまで、前記ステップd)〜f)を繰り返すステップと、
h)オプションとして、前記3次元製品(11)の熱処理を行うステップと
を有し、
前記ステップe)において、
・特定の所望の2次結晶粒配向を実現するため、連続する各層間において、または1層の特定の各領域(島)間において、走査ベクトルが相互に垂直になるように、前記エネルギービームを走査する、
または、
・2次結晶粒配向が特定の配向にならないように、連続する各層間において、または1層の特定の各領域(島)間において、走査ベクトル相互間の角度がランダムになるように、前記エネルギービームを走査する。
【0026】
エネルギービーム、たとえば高密度エネルギーレーザビームは、2次結晶粒配向を部品の所望の構成に整合させる所定の走査パターンで走査される。
【0027】
具体的には、一定かつ均等な厚さの粉末層を形成するのに必要である良好な流動性を実現するために、前記粉末の粒度分布を粉末層の層厚に合わせて調整する。本発明の他の1つの実施形態では、粉末粒は球形である。
【0028】
本発明の他の1つの実施形態では、粉末の正確な粒度分布を実現するために、ふるいおよび/または風選(空気分離)を用いる。
【0029】
本発明の他の1つの実施形態では、前記粉末は粉末金属冶金法を用いて、とりわけ、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、プラズマ回転電極法または機械的ミリング法のうちいずれか1つの手法により準備される。
【0030】
本発明の他の1つの実施形態では、前記金属ベース材料は高温Niベース合金である。
【0031】
本発明の他の1つの実施形態では、前記金属ベース材料は高温Coベース合金である。
【0032】
本発明の他の1つの実施形態では、前記金属ベース材料は高温Feベース合金である。
【0033】
特に、前記合金は微細分散された酸化物であり、特に、Y
2O
3、AlO
3、ThO
2、HfO
2、ZrO
2のうちいずれか1つである。
【0034】
本発明の重要な点は、有利な微細構造を部品全体の体積において実現しなくてもよいということである。その代わりに、局所的な機械的完全性(MI)の要件に応じて、異なる区域ごとに整合を任意にオンオフすることが可能である。このことは、エピタキシャル成長条件が満たされなくなり、等軸結晶粒成長が生じてしまうと、微細構造の制御が失われてしまうインベストメント鋳造法やE(エピタキシャル)‐LMFに比して有利な点である。
【実施例】
【0035】
以下、複数の異なる実施例と、添付の図面とを参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0036】
従来技術において既に述べたように、粉末を用いた付加製造技術の1つの特徴的な特性として、積層造形法により生じる物性の異方性が強いという特性がある。
【0037】
z方向における機械的特性は、粉末平面内にあるxy平面における機械的特性と異なっていることが判明した。一般的に、z方向(造形方向)におけるヤング率はxy平面におけるヤング率より低い。このことは、2つの異なる走査手順すなわち2つの異なる走査パターンを用いて付加製造法により作製されたハステロイ(登録商標)X製の試料の場合を示す
図6から明らかであり、この試験は、室温RTと750℃の温度とにおいて行った。このヤング率は、「造形後」の状態において測定したものである。粉末ベースの製品の製造と、このプロセス中のエネルギービームと材料との相互作用の内在的な冷却速度が高いこととに起因して、材料の化学的組成は非常に均質であり、基本的にセグリゲーションが無い。さらに、「造形後」の状態における材料は非常に緻密な微細構造を有しており(たとえば沈殿および粒度)、従来の手法で鋳造または鍛造された超合金と比較して格段に緻密である。走査手順Iにより実現されるヤング率は常に、別の走査手順Mと比較して格段に低いものとなった。このことは、1次方位(z方向)および2次方位(xy平面)の双方に当てはまり、また、2つの異なる温度(室温RTおよび750℃)にも当てはまる。
【0038】
[001]方位における柱状結晶粒成長について観察される様子は周知である。しかし、xy平面にも同様の方向依存性が存在する。特定の処理設備を用いると、2次平面(スキャナ移動平面)内における[001]成長を制御できることが判明した。
【0039】
本発明の3次元金属製品/部品の製造方法は、
a)付加製造法を用いて、エネルギービームを走査することにより、金属ベース材料から前記製品/部品を順次造形するステップを有し、
なお、
b)前記製品/部品の1次方位および2次方位において制御された結晶粒配向を実現し、
c)その際に、2次結晶粒配向は、前記製品/部品の断面形状に整合した、前記エネルギービームの特定の走査パターンを用いることにより、または、前記製品/部品の局所的な負荷条件に整合した、前記エネルギービームの特定の走査パターンを用いることにより実現される。
【0040】
本発明に重要なのは、2次結晶粒配向が部品の特徴的な負荷条件に整合すること、たとえば、部品の断面形状に合っていることである。
【0041】
本発明の1つの実施形態では、前記2次結晶粒配向の能動的な制御を行うために、前記部品の、ヤング率の値を最小値にしたい方向に対して、前記スキャナ経路を交互に平行方向(最初の層)と直交方向(次の層)とに配置し、後続の層においてもこの交互配置を繰り返す。
【0042】
前記付加製造技術はとりわけ、選択的レーザ溶解法(SLM)、選択的レーザ焼結法(SLS)、および電子ビーム溶解法(EBM)である。上記粉末ベースの付加製造技術は、たとえばガスタービンのブレードまたは翼等の製品の全部または一部を造形するために、たとえばブレード冠部造形に用いることができる。前記製品は、たとえば部品全体の修理工程に使用されるインサートまたは切出片とすることもできる。
【0043】
前記付加製造技術として、選択的レーザ溶解法SLM、選択的レーザ焼結法SLSまたは電子ビーム融解法EBMを使用する場合、本発明の方法は、
a)前記製品の3次元モデルを生成し、その後、スライス分割プロセスを行って断面を計算するステップと、
b)次に、計算した前記断面を機器制御ユニット(15)へ供給するステップと、
c)処理に必要な前記ベース材料の粉末、たとえばNiベース超合金の粉末を準備するステップと、
d)基板上に、または、既に処理された粉末層上に、一定かつ均等な厚さの粉末層(12)を設けるステップと、
e)前記制御ユニット(15)に記憶されている3次元モデルに従い、前記製品の断面に応じてエネルギービーム(14)を走査することにより溶解を行うステップと、
f)形成された前記断面の上表面を1層の厚さ(d)だけ下降させるステップと、
g)前記3次元モデルの最後の断面に達するまで、前記ステップd)〜f)を繰り返すステップと、
h)オプションとして、前記3次元製品(11)の熱処理を行うステップと
を有し、
前記ステップe)において、
・2次結晶粒配向が特定の所望の配向になるようにするため、連続する各層間において、または1層の特定の各領域(島)間において、走査ベクトルが相互に垂直になるように、前記エネルギービームを走査する、
または、
・2次結晶粒配向が特定の配向にならないようにするため、連続する各層間において、または1層の特定の各領域(島)間において、走査ベクトル相互間の角度がランダムになるように、前記エネルギービームを走査する。
【0044】
図7は、エッチングされた状態のNiベース超合金の光学顕微鏡写真と、電子後方散乱回折(EBSD)走査から得られた配向マップとを示す図である。さらに、EBSDにより得られた有利な結晶方位を、造形方向zを基準とし、極点図(001)および逆極点図として表されている。配向マップはすべて、造形方向zを基準として標準的な逆極点図(IPF)カラーコードを用いて色表示している。結晶粒はz軸上のみでなく、xy平面内にも有利な配向を示すことが分かる。さらに、2次結晶粒配向は、行ったレーザ移動にも応じて決まる(たとえばxy平面内において45°)。
【0045】
このように調整したSLM造形法により、加わる負荷が最も大きい領域において最適な機械的特性を有する部品を、たとえばガスタービンブレードを製造することができる。こうするためには、ヤング率が最小値となる方位をブレードの負荷条件に合わせる。
【0046】
ここで重要なのは、1次結晶粒配向だけでなく2次結晶粒配向も、部品の所期の構成に有利に合致することである。このことにより動作寿命が長くなる。
【0047】
2次結晶粒配向を能動的に制御するためには、部品の、ヤング率を最小にしたい方向に対してスキャナ経路を平行かつ直交方向に配置することである。各異なる層ごとにスキャナ経路の方向を角度変化するときには、この角度変化は常に90°または90°の倍数でなければならない(
図2a,2b参照)。
【0048】
本発明は、1層の各所定領域(島)間または各層間において走査ベクトルを相互に垂直にして用いることにより、2次結晶配向が形成されるという事実認識に基づいている。
【0049】
また、有利な2次配向を用いずに(特定の決まった2次配向にならないように)、各層の各島内において相互に平行な複数の走査ベクトルを使用し、各次の層ではこの走査ベクトルをたとえば63°回転させるか(
図4a,4b)、または、各層の各島内においてランダムな角度で走査ベクトルをそれぞれバラバラに変化させることも可能である(
図4c,4d)。この不定の第2配向の最適な走査パターンは、63°/xx°である。
【0050】
本発明の重要な点は、有利な微細構造をパーツ全体の体積において実現しなくてもよいということである。その代わりに、局所的な機械的完全性(MI)の要件に応じて、異なる区域ごとに整合を任意にオンオフすることが可能である。このことは、エピタキシャル成長条件が満たされなくなり、等軸結晶粒成長が生じてしまうと、微細構造の制御が失われてしまうインベストメント鋳造法やE‐LMFに比して有利な点である。
【0051】
有利には、一定かつ均等な厚さdを有する粉末層を形成するのに必要である良好な流動性を実現するために、SLM法、SLS法またはEBM法にて使用される粉末の粒度分布を層厚dに合わせて調整する。
【0052】
有利には、これらの手法にて使用される粉末の粉末粒は球形である。粉末の正確な粒度分布は、ふるいおよび/または風選(空気分離)により実現することができる。さらに、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、プラズマ回転電極法、機械的ミリング、または類似の粉末冶金法によって粉末を得ることも可能である。
【0053】
他に、粉末の代わりに懸濁物を用いることが可能な場合もある。
【0054】
上記高温材料がNiベース合金である場合、使用できる市販の合金は多数存在し、たとえばWaspaloy(登録商標)、ハステロイ(登録商標)X、IN617(登録商標)、IN718(登録商標)、IN625(登録商標)、Mar-M247(登録商標)、IN100(登録商標)、IN738(登録商標)、1N792(登録商標)、Mar-M200(登録商標)、B1900(登録商標)、RENE 80(登録商標)、Alloy 713(登録商標)、Haynes 230(登録商標)、Haynes 282(登録商標)、または他の誘導体を用いることができる。
【0055】
上記高温材料がCoベース合金である場合、たとえばFSX 414(登録商標)、X-40(登録商標)、X-45(登録商標)、MAR-M 509(登録商標)またはMAR-M 302(登録商標)等、使用可能な市販の合金は多数存在する。
【0056】
上記高温材料がFeベース合金である場合、たとえばA 286(登録商標)、Alloy 800 H(登録商標)、N 155(登録商標)、S 590(登録商標)、Alloy 802(登録商標)、インコロイ MA 956(登録商標)、インコロイ MA 957(登録商標)またはPM 2000(登録商標)等、使用可能な市販の合金は多数存在する。
【0057】
特に上記合金は、たとえばY
2O
3、AlO
3、ThO
2、HfO
2、ZrO
2等の微細分散された酸化物を含むことができる。
【0058】
1つの有利な実施形態では、本発明の方法により製造される部品はターボ機械用のブレードまたは翼である。このブレード/翼は、断面を有する翼形を持ち、2次結晶粒配向はこの翼形断面に合わせて配列され、2次結晶粒配向を翼形の形状に漸次的かつ連続的に適合していく。このことにより、非常に良好な機械的特性および疲労特性を実現することができる。
【0059】
発明の概要:
機械的試験および微細構造評価を行った結果、SLM法または他の付加製造法により造形された試料の特性の異方性が非常に高いことが判明した。第2結晶粒配向が部品の所期の構成に適合するようにエネルギービームを走査および制御することにより(特徴的な負荷条件に整合)、加わる負荷が最も大きい領域において最適な機械的特性を有する部品を製造することができる。こうするためには、ヤング率が最小値となる方位を、部品の負荷条件に整合する。
【符号の説明】
【0060】
10 SLM装置
11 製品(3D)、部品
12 粉末層
13 レーザ装置
14 レーザビーム
15 制御ユニット
d 層厚(粉末層)