(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
冠状動脈は一般に、大動脈から分岐し、含酸素血液を心筋に供給する動脈を指す。末梢動脈は一般に心臓及び脳の外側の血管を指す。
【0017】
冠状動脈疾患及び末梢動脈疾患の双方において、動脈は硬く且つ狭くなり、又は狭窄し、血流を制限する。冠状動脈の場合、血流は心臓に限定される一方で、末梢動脈では、腎臓、胃、腕、脚及び足につながる血流が制限される。血管の内壁にプラークと呼ばれるコレステロール及びその他の物質が蓄積することによって狭窄が引き起こされる。そのような狭くなった又は狭窄した部分は病変と呼ばれることが多い。動脈疾患にはまた、血管形成治療の後、生じる狭窄の再発又は再狭窄も含まれる。動脈の再狭窄をもたらす幾つかのメカニズムが多分存在するが、重要な1つは炎症反応であり、それは血管形成部位の周囲で組織の増殖を誘導する。炎症反応は、血管を開放するのに使用されるバルーン拡張が原因で、又はステントが留置される際、ステント自体の異物が原因で起こり得る。
【0018】
末梢治療の領域では、浅大腿動脈の病変の治療が問題のままである。現在の最良の治療は、経皮経管的血管形成(PTA)とその後の自己拡張型ステントの埋め込みである。しかしながら、再狭窄比率は、特に長期の病変については高いままである。たとえば、Dynalinkステント又はAbsoluteステントを用いた平均病変長133mmの試験の1つでは、1年での再狭窄比率は37%だった。ニチノールステント上の薬剤溶出性コーティングから成る薬剤溶出性ステントが試みられている。最良の例は、SCIROCCO試験及びSTRIDES試験である。これらの試験の双方では、1年での開存率は非コーティングのニチノールステントと変わらなかった。当然のことながら、薬剤溶出性の全体的に生体吸収性のステントは溶液として提案されている。SFAでは、6ヵ月での良好な開存率は、試験の圧倒的大多数において、12ヵ月時点で再狭窄と晩期損失が増え続けているので十分ではない。このことは、決定的な12ヵ月時点での薬剤溶出性ニチノールステントよりも高い開存率を有する生体吸収性のSFAステントをどのように設計することができるのかという疑問を生じる。
【0019】
覆われていないニチノールステント又は薬剤溶出性ニチノールステントと同様の12ヵ月での開存率を有する生体吸収性の薬剤溶出性足場は価値ある製品であることが提案されている。これは、生体吸収性の足場が12ヵ月で再狭窄したとしても、生体吸収性の足場は再介在し得るからである。
【0020】
全体的に生体吸収性のSFAステント足場、たとえば、ポリ(L−ラクチド)足場は、埋め込み後、程度の高い屈曲、伸長、及び捩れを経験する。動きの量は、冠状足場が冠状動脈で経験するものよりも多い。高分子SFA足場は埋め込み数週間後、十分な支材の亀裂を経験し得る。ステントの破損は、以下の事項:必要な時間の長さについて圧裂強度を維持するための足場の要求が制御下にある限り、本質的に有害であるわけではない。圧裂強度は、ステントにおける連結ではなく、環の整合性に主として起因し;支材の破損は多すぎるので破片が放出される;支材の破損は高レベルの粒子状物質を放出しない;及び破損した支材は、組織の刺激又はさらには血管の解離や穿孔をもたらすような、血管に対して機械的に有害であってはならない。
【0021】
本発明の実施形態は、冠状動脈並びに浅大腿動脈、腸骨動脈、及び頚動脈を含む種々の末梢動脈における冠状及び末梢の疾患の血管内治療に適用することができる。実施形態はさらに、自己拡張型ステント及びバルーン拡張型ステントのような種々のステント型に適用することができる。実施形態はさらに、管、ワイヤ構造及び布メッシュ構造から形成される足場構造を含む種々のステント設計に適用することができる。
【0022】
本発明の一実施形態では、ステントには連結要素に接続された又は結合された複数の円筒状の環が含まれる。血管の一部に配置されると、円筒状の環は、耐荷重性であり、血管における円筒状に力によって拡張した直径又は直径範囲で血管壁を支える。耐荷重性は、放射状の内向きの力によってかかる負荷の支持を指す。たとえば、連結要素や支材のような構造的要素は耐荷重性ではなく、環の間での接続性を維持するように役立つ。たとえば、ステントは、相互に接続する要素又は支材のパターン又はネットワークで構成される足場を含んでもよい。
【0023】
図1は代表的なステント100の図を示すものである。一部の実施形態では、ステントは相互接続する構造要素105のパターン又はネットワークを有する本体、背骨又は足場を含み得る。ステント100はチューブ(示さず)から形成されてもよい。
図1は、連結要素110によって接続される円筒状の環107を含む多数のステントのパターンの典型的である特徴を説明する(
図1は107及び110を欠く)。上述のように、円筒状の環は、それらが放射状に向く力を提供して血管の壁を支えるという点で耐荷重性である。連結要素は一般に円筒状の環を一緒に保持するように機能する。ステント100は、たとえば、頂点又は頭頂部114にて接合する支材112A及び112Bから構成される曲げ要素を含む。ステント100が配置される直径又は配置直径に拡張されると、支材112A及び112Bは曲がり、頂点114にて可塑性の変形を生じる。
【0024】
図1における構造パターンは単に代表的なものであり、ステントパターンの基礎的な構造と特徴を説明するのに役立つ。ステント100のようなステントは、シートを回転させ、接着させてチューブを形成することによって高分子のチューブ又はシートから製造してもよい。押し出し成形又は射出成形によってチューブ又はシートを形成することができる。
図1で示されるもののようなステントパターンは、レーザーカット又は化学エッチングのような技法でチューブ又はシートの上に形成することができる。次いでステントを身体上の管腔への送達のためにバルーン又はカテーテルにて圧縮することができる。
【0025】
本発明の実施形態では、血管の患部に生体吸収性のステントを配置する。配置されたステントは患部を配置直径に拡張し、ステント留置区分を形成する。任意のステントについての当初の臨床的な必要性は、開存性を維持する、又は血管を配置直径に又はそれに近い直径に開けて保持する機械的な支援を提供することである。ステントは一時期そのような開存性を維持するのに十分な圧裂強度を有するように設計される。
【0026】
ステントによって提供された開存性によって、血管のステント留置区分が増大した直径にて治癒又はリモデリングを受けることが可能になる。リモデリングは、その耐荷重能力を高める血管壁における構造的変化を一般に指す。ステントの高い圧裂強度は、血管のサイズを一時期制限し、増大したサイズでリモデリングを可能にする傾向がある。この時間の間、ステントは血管の天然の拍動機能を抑制する又は妨害する。一般に、バルーン拡張型ステントでは、一部の拍動性の動きは依然存在するが、自己拡張型ステントでは、血管はさらに多くの拍動性の動きを経験する。
【0027】
ステント構造はリコイルを防ぎ、円形の管腔を維持する一方で、血管はそれ自体をステント留置直径に再造形し、成形するが、それは陽性リモデリングに相当する。十分な造形が生じる前の早期のリコイルは陰性リモデリングを生じ、元々のステント留置直径よりも有意に小さい直径へのステントの成形を指す。
【0028】
永続的な陽性リモデリングと血管の治癒を得るために開存性の期間が求められる。しかしながら、血管はそのような陽性リモデリングを得るのに限定された時間のみの開存性を必要とする。ステントのポリマーが分解するにつれて、ステントの圧裂強度が低下し、血管の負荷はステントから再造形された血管壁へと徐々に移行する。血管壁のリモデリングはステントの圧裂強度を喪失した後でさえ継続することができる。
【0029】
圧裂強度の低下は、必ずしもステント足場の破損又は破壊によるものではない。たとえば、
図1に示すようなステント足場については、圧裂強度の喪失は好ましくは曲げ領域におけるポリマーの強度の分解によるものである。これらの領域におけるポリマーの分子量が低下し、最終的にはポリマーは、血管壁によってかかる内向きの力に対抗することができない。ポリマーの分子量の低下は強度の喪失をもたらす。次いでステント足場は圧裂強度にて制御された喪失を示す。圧裂強度の制御された喪失は、血栓/塞栓事象の原因であり得る粒子状物質を除去しない喪失を指す。ステント足場の破損又は破壊による圧裂強度の低下は、そのような除去を招き得る。
【0030】
圧裂強度の低下に加えて、ステントの分解はまた、機械的な整合性の穏やかな低下の原因となり得る。機械的な整合性は、支材の接続性及びステント構造全体のサイズと形状を指す。ステントは、血栓/塞栓事象を起こし得るステント材料の除去を回避する制御された方法で機械的な整合性を失うように設計され得る。一部の実施形態では、耐荷重性ではない部材が耐荷重性の部材より前に破損する又は壊れるように設計される。そのような実施形態では、耐荷重性ではない部材はそのような破損を導入するように選択的に改変される。
【0031】
さらに、生体吸収性のステントは、高分子の薬剤放出コーティングを含むことができる。コーティングは、平滑筋細胞の増殖(SMP)の制御のための増殖抑制剤と混合した生体吸収性のポリマーを含むことができる。SMPは血管の生物学的反応であり、リモデリング過程の一部である。しかしながら、それが制御されなければ、SMPは再狭窄の原因となり得る。本発明のステントは、増殖する刺激が最大である場合、最初の相の間に平滑筋細胞の増殖を制御する薬剤放出特性を提供するように設計されるが、実質的な質量喪失及び機械的整合性の喪失に先立ってステントの支材を完全に又はほぼ完全に内皮化させるのに十分に早く終了する。「ほぼ完全な」は、内皮層に覆われた少なくとも90%の支材に相当し得る。具体的には、ステントは介入後3〜4ヵ月の間でゼロに低下する薬剤放出特性を有するように設計され得る。
【0032】
内皮化は、生体吸収性ステントによる治癒過程の重要な部分である。他のステント挙動に関して内皮化の程度及び内皮化のタイミングの双方は重要な特徴である。内皮化は、内皮組織又は内皮細胞による表面の被覆を指す。血管壁とステント支材の完全な又はほぼ完全な内皮化は血液と接触するステント表面に関連する血栓を防止するのに必須である。制御された量の新生内膜形成による血管壁へのステントの取り込みは、不完全な支材の並置(持続する又は後期獲得した)、及び粒子状のステント材料の除去を妨げる。さらに、機械的整合性の喪失と質量喪失に関する内皮化のタイミングは治癒過程の重要な側面である。
【0033】
血液適合性のレベルにかかわらず異物の血液接触面の存在は血栓のリスクを提示する。一般に、内皮化は、血管血栓及び血管内膜の肥厚を軽減し、又は防止することにおいて決定的な役割を担う。具体的には、内皮の被覆は、血管壁及びステント支材におけるタンパク質、フィブリン及び血栓の沈着を軽減し、防止する。そのような沈着は血栓症のリスクに寄与し、リスクを高める。従って、血管壁及びステントの早期の及び完全な内皮化は必須である。ステントは、設置後4〜6ヵ月の間にステント支材の完全な又はほぼ完全な内皮化を可能にするように設計される。そのような範囲は、十分に小さい寸法(150×150マイクロメートルの断面)の支材、たとえば、生分解性ポリエステルのような生体適合性の足場材料、及び約4ヵ月までの完全な放出を提供する薬剤放出特性の使用を介して達成することができる。
【0034】
本発明の種々の実施形態では、他の要素より前に破損するように特定の構造要素又は構造要素の種類を設計することができる。特定の実施形態では、ステント構造の環の間の連結要素が破損し、その結果、隣接する円筒状の環の間の接続性の部分的な又は完全な喪失を生じ得る。円筒状の環は一時期、無傷のままでいることができ、円形形状を維持することができる。円筒状の環が切り離され、それは、ステント留置の血管のさらに大きな屈曲又は拍動の動きを可能にする。切り離された環は連結要素によって別の環に接続されない環を指す。
【0035】
一部の実施形態では、機械的な整合性の当初の喪失は連結要素で生じる。一実施形態では、ステント構造の環の間の連結要素は破損し、それが、隣接する円筒状の環の間での接続性の部分的な又は完全な喪失を生じる。切り離された環は配置直径で又はそれに近い直径で血管を支えるのに十分な圧裂強度を保持する。
【0036】
特定の実施形態では、機械的な整合性が破損し始めると、環は内皮組織によって覆われない又は部分的にしか覆われない。機械的な整合性が破損し始めた後、具体的には連結要素の破損のために環が切り離された後、環を内皮組織で覆うことができる。他の実施形態では、機械的な整合性が破損し始める前に、環が内皮層によって完全に覆われてもよいし、それに取り込まれてもよい。
【0037】
図2A〜Cは、ステントパターンの連結要素の破損を説明するものである。
図2A〜Cは、壁132を持つ血管の部位に配置されたステント130の二次元投影を示すものである。ステント130は、壁132に対して対向する環134と136を有する。環134と136の構造は示さない。連結要素138によって例示される連結要素によって環134を接続する。
【0038】
図2Bは、138Cで途切れて部位138Aと138Bになっている連結要素138の破損を示す。
図2Cは、環136と連結要素138の交差点である138Eで途切れて138Dになっている連結要素138の破損を示す。
【0039】
一部の実施形態では、環の一部又はすべてを互いに切り離すことができる。一実施形態では、環のすべてが切り離される。別の実施形態では、環の対又は三つ組は結合されたままであり、隣接する単一の環、環の対、又は環の三つ組から切り離される。
【0040】
図3Aは、壁152を持つ血管の一部分に配置されたステント150の二次元投影を示すものである。ステント150は、血管壁152に対向する環154、156、158及び160を有する。環は連結要素162、164、166、168及び170を有する。連結要素164、168及び170は、接続された環154〜156及び158〜160の対を残せないように設計される。
図3Bは、接続された環の対154〜156及び接続された環の対158〜160を伴ったステント150を示すものである。環の対154〜156及び158〜160は連結要素164、168及び170(示さず)の破損によって接続を断たれる。
【0041】
これらの実施形態は、圧縮、捩れ、屈曲、拡張及び収縮による有意な力にさらされるSFAのような血管における開存性を維持するのに有用である。一般に、放射状に向いていないステント構造上の応力、たとえば、長手、屈曲又は螺旋の方向に沿ってステント上に応力を置く力を付与する血管にてそれは特に有用である。長手の応力は長手の圧縮及び拡張から生じ、屈曲の応力は側面の屈曲によって課せられるが、螺旋の応力は捩れの力から生じる。そのような応力はステントの長さに沿って伝播し、ステント構造全体にわたって十分な応力と歪みを付与することができる。特に、圧縮、捩れ、屈曲及び拡張による力は環から環に接続する連結支材によって伝達することができ、環への破損の原因となる。構造の部分にて、及び耐荷重性であるように設計されていない軸に沿って、応力及び歪みを付与することができる。環又は環の部分を互いに切り離すことはそのような応力や環の破損を軽減し、又は排除する。
【0042】
さらに、切り離した環の実施形態は、有意な程度の湾曲を有する血管の一部分にて有利である。環の切り離しは、その軸に沿ったステント構造の曲げによる環に対する破損の伝播を軽減する又は防止する。切り離しはまた、個々の環又は切り離した部分の環が管腔の支えを最大化する方法で自由に方向付けることを可能にする、すなわち、環の開口部が管腔の開口部にさらに密接に一致する。
【0043】
環の切り離しは、冠状血管及び末梢血管双方の湾曲した部分を治療するのに特に有利である。血管における湾曲は、身体的な労作又は運動が原因で生じる生理的要求の増大から生じ、増加し得る。この場合、湾曲は身体的な労作のレベルに応じて経時的に変化する。さらに、生理的な要求の増大が存在しなくても湾曲を有する血管の部分がある。環が切り離されるので、環は血管の自然な湾曲の周りに適合する又はそれに従う。切り離された環は、自然の状態から離れて湾曲を減らす傾向がある応力を最小限にするか、又は応力を起こさない。切り離された環はまた、生理的な要求による湾曲での変化を抑制する傾向がある応力を最小限にするか、又は応力を起こさない。血管の湾曲が生理的な要求により経時的に変化する場合、切り離された環は血管の湾曲が変化するのを可能にする。これは、自然な湾曲を減らす傾向がある又は部分に対する追加の応力を起こす湾曲での変化を抑制する傾向がある金属ステントとは対照的である。
【0044】
切り離された単一の環又は環の部分に対する優先性は、非放射性指向力の程度及び血管の曲げの程度に左右される。力、曲げの程度又はその双方が大きければ大きいほど、切り離された単一の環又はさらに小さい部分(たとえば、環の対)が好まれる。
【0045】
切り離された環は、ステント配置の後のいずれにおいても非常に有利であり得るが、最初に製造された状態でのステントにはそれらは好まれない。連結なしで、互いに関して適切な方向性で環要素を維持するのは非常な難題である。これは、ステント製造の間、送達系へのステントの組立の間、及び標的病変へのステントの送達の間での事例である。
【0046】
本発明のさらなる実施形態は、上述の機械的強度の制御された喪失を提供するように構造要素の選択的破損を有するように設計された生体吸収性のステントを含む。そのような実施形態では、選択された構造要素は、一時期破損を含まないまま又は壊れないままである他の構造要素よりも前に破損するように又は壊れるように設計することができる。これらの選択された構造要素をほぼ同時に破損するように設計することができる。
【0047】
選択される構造要素は、連結支材のように耐荷重性ではない要素であり得る。耐荷重性ではない支材又は連結支材は、たとえば、上述のような方法で破損するように又は壊れるように設計することができる。選択された構造要素が壊れると、壊れていない構造要素は血管壁の支えを提供する環のような臨床上の必要性を供給し続ける。さらに、又は代わりに、壊れていない要素は内皮組織で覆われるまで無傷のままでいることができる。
【0048】
選択される構造要素は、生体内でのステントの配置の際、特性又は特徴を持たない構造要素よりも素早く構造要素を破損に感受性にする特性又は特徴を有することができる。選択される構造要素又はその領域は改変されない領域とは異なる特性又は特徴を有するように選択的に設計する又は改変することができる。
【0049】
図4は、ステント支材の選択的破損を説明する代表的なステントパターン200を示すものである。ステントパターン200は平坦な状態で示されるので、パターンを明瞭に見ることができる。ステントパターン200の平坦な部分が円筒形状である場合、それは放射状に拡張できるステントを形成する。ステントパターン200は、複数の円筒状の環202を含み、各環は複数の菱形形状の小部屋204で構成される。連結支材216は隣接する円筒状の環を接続する。連結要素216は線A−Aに平行であり、環の1つの円筒状に隣接する菱形形状の要素204の交差点218と隣接する環の円筒状に隣接する菱形形状の要素204の交差点218の間の隣接する環を接続する。
【0050】
ステントパターン200はステントの所望の長さに応じて任意の数の環202を有することができる。参考までに、線A−Aは
図4で示されたパターンを用いたステントの長手軸を表す。菱形形状の小部屋204は湾曲要素を形成する支材206と208及び対向する湾曲要素を形成する支材210と212から構成される。パターン200はステントの両端で支材にて穴の対を含んで放射線不透過性のマーカーを収容する。
【0051】
特定の実施形態では、構造要素の選択的破損は少なくとも一対の隣接する環の接続を断つ又は環を切り離す。一実施形態では、一対の隣接する環を接続する連結支材のそれぞれが選択的に改変されて破損する。
図4のパターンを示す
図5では、連結支材235A、235B及び235Cの選択的破損によって一対の隣接する環230と232が切り離される。そのような破損は結果的にステントを同じ数の2セットの環に切り離してしまう。
【0052】
あらゆる実施形態では、ヒト患者での配置の直後、接続している連結の10〜50%、50〜90%又は90〜99%が完全なまま(切り離されていない)であってもよい。あらゆる実施形態では、ヒト患者での配置の直後、接続している連結の10%、50%、90%又は99%が完全なままであってもよい。
【0053】
選択的破損には、少なくとも1つの環又は連続している環の群を隣接する環から完全に切り離すことが含まれる。選択される構造要素には、隣接する環に環又は環の連続する群を接続する連結支材すべてが含まれる。
図6では、それぞれ連結支材235A〜C及び連結支材237A〜Cの選択的破損によって環230が環232及び環234から切り離される。
【0054】
同様に、
図7を参照して、それぞれ連結支材237A〜C及び連結支材239A〜Cの破損によって連続する環の対230〜232が環234及び環236から切り離される。
図6では、ステントは、不均等な数、2、1及び3の3種の環に壊される。
図7では、ステントは等しい数の3種の環に壊される。
【0055】
選択される破損には、環すべて又は連続する環の群すべてを完全に切り離すことが含まれる。
図5のパターンと共に、連結支材すべての破損は6つの切り離された環を生じる。
【0056】
望ましい破損の方法は、配置されたステントがさらされる力の種類及び程度に左右される。屈曲、捩れ、長手の圧縮及び拡張の程度が増すにつれて、さらに小さな及びさらに多くのセットの切り離された環が望ましい。
【0057】
図8は、ステント支材の選択的破損を説明する別の代表的なステントパターン300を示すものである。ステントパターン300も平坦な状態で示される。ステントパターン300は、複数の円筒状の環302を含み、各環は山302A及び谷302Bを伴った複数の波状の支材から構成される。連結支材304は、ある環の谷を隣接する環の谷に接続することによって隣接する円筒状の環を接続する。
【0058】
図9Aは、圧縮した又は押し込んだ状態での別の代表的なステントパターン500の一部を示すものである。ステントパターン500は、複数の円筒状の環502を含み、各環は山502A及び谷502Bを持つ複数の波状支材から構成される。連結支材506は、ある環の谷を隣接する環の谷に接続することによって隣接する円筒状の環を接続する。
図9Bは、バルーンカテーテルに圧縮されたそのような代表的なステントパターンの写真を示すものである。特定の実施形態では、血管への埋め込み後一時期、ステントの近位軸部分、たとえば、
図8における近位軸部分306は、環310の連結支材の選択的破損を介して遠位軸部分308から切り離すように又は分離するように設計される。代表的な実施形態では、約10cm又は約15cmの代表的な長さによってSFAを治療するためにステントを設計することができる。一実施形態では、埋め込み後、数週間又は数ヵ月で、10cmのステントが5cmの2つの部分に分離する。別の実施形態では、15cmのステントが5cmの3つの部分に分離することができる。
【0059】
たとえば、環310にて時期を早めて選択的に破損するように設計される又は事前にプログラムされる連結支材は、選択的に破損する又は壊れて、ステントの軸部分の分離を生じる連結支材を生じる構造を有することができる。
【0060】
レーザーカットの高分子足場については、高分子のハイポチューブの壁厚によって支材の厚さは大部分決定される。一定の壁厚のハイポチューブを作るのが最も簡単なので、すべて同じ厚さの環にて連結及び棒アームを作るのが最も簡単である。その結果、破砕性ので選択的に破損する連結を作る方法の1つは、それをさらに狭くすることである。従って、一実施形態では、選択された軸位置又は環における連結支材の一部又はすべては、時期を早めて選択的に破損するように設計されていない円筒状の環における支材又は連結支材、たとえば、位置306や308における連結支材における支材よりも小さい側壁から側壁への厚さtsを有する。たとえば、連結支材は、時期を早めて破損するように設計されていない円筒状の環の支材又は連結支材の幅の0.1〜2/3である側壁から側壁への厚さを有する。一部の実施形態では、環の周りの連結支材はすべて、選択される軸位置にて、たとえば、6cm±3cmごとに選択的に破損するように設計することができる。
【0061】
別の例は、さらに広く又は厚い円筒状の環の支材512及び環の支材512のtsよりも小さいtsを持つさらに狭い又は細い連結支材514を示すステントパラーンの一部510を示す
図10Aに示される。
【0062】
他の実施形態では、選択される軸位置又は環における連結支材の一部又はすべては、時期を早めて選択的に破損するように設計されていない円筒状の環における支材又は連結支材よりも小さい肉厚trを有する。肉厚は、管腔面から反管腔側の面までの支材の厚さである。たとえば、連結支材は、時期を早めて破損するように設計されていない円筒状の環における支材又は連結支材の厚さの0.1〜2/3である肉厚を有することができる。一部の実施形態では、環の周りの連結支材はすべて選択される軸位置にて、たとえば、6cm±3cmごとに選択的に破損するように設計することができる。
【0063】
図10Bは、さらに広く又は厚い環支材522及び環支材522の肉厚より小さい肉厚を持つさらに狭く又は細い連結524を示すステントパターンの一部520を示すものである。示すように、環支材522の肉厚から連結支材523の厚さへの遷移領域又は先細り523があり得る。先細りは
図10Bで示すように短い距離にわたって生じることができ、連結支材の残りは均一な厚さである。或いは、先細りは連結支材の長さのほとんど又はすべてに沿って生じる段階的であり得る。一実施形態では、肉厚は、環支材への連結支材の接続点から連結支材の中間点まで徐々に減り得る。
【0064】
連結が環における支材よりも小さな肉厚を有する足場は様々な壁厚のハイポチューブから作られ得る。様々な厚さの高分子ハイポチューブは壁溶剤を機械加工することによって作製され得る。別の方法は、押出し機のチューブから出す速度を変えて様々な厚さのハイポチューブを製造することである。ステントを切断する際、ステントパターンと共にさらに細いチューブ領域の適正な位置合わせを維持することができる。
【0065】
さらに細い支材による不都合の可能性は、連結の破損の位置が予測できないことである。破損は幾分制御不良であり、支材の接合近傍又は接合にて生じる可能性がある。これは、壊れた長い支材を生じ得るので望ましくなくてもよい。これは、それぞれ破損点532A及び534Aにて小片532及び534に破損して、血管への損傷を生じ得る、壊れた長い支材536を生じるステントパターンの一部530を示す
図11で説明する。従って、連結がどこで破損するのかを正確に判定することが望ましい。
【0066】
連結支材は、多数の方法で連結支材における特定の位置にて選択的に破損するように事前にプログラムすることができる。一部の実施形態では、破損が望まれる連結支材上の位置でくぼみ又は穴を切り取ることができる。穴は破損の時間を加速する応力濃縮器として作用することができる。そのような位置を最初に弱化することに加えて、そのような位置での分解を増やし、環に隣接する破損及び分離がより早く生じる。穴は反管腔側の面にて開口部を有し、レーザー機械加工によって切り取られる。連結支材の破損の時間は穴の直径と深さの変動を介して調整することができる。
【0067】
穴は曲げモーメントが最大である連結支材の中央又はその近傍に位置することができる。穴の直径は、たとえば、支材の幅の50%〜80%の間であることができる。
【0068】
連結支材における穴は貫通穴(すなわち、支材の反管腔側面から管腔面までの始めから終わりまで)であることができ、又は連結支材の厚さを部分的に(たとえば、厚さの20%、40%、60%又は80%未満)を介し得る。
図12Aは直径Dを持つ穴324を伴った連結支材320の反管腔側の面322を示すものである。
図12Bは、深さHを持つ穴324を示す連結支材320の断面側面図を示すものである。一部の実施形態では、破損を誘導するために連結に配置される穴以外、放射線不透過性要素のための穴以外、ステントの支材には他の穴又はくぼみを配置しない。
【0069】
一部の実施形態では、選択的破損を誘導するために本明細書で配置される穴又はくぼみには、たとえば、ポリマー、薬剤又は放射線不透過性物質のような物質は充填されない。そのような穴又はくぼみに充填することは選択的破損を減らす又は妨げ得る。
【0070】
さらに、連結支材の選択的破損は、破損の選択された領域で狭い間隔で並べた2つ以上の穴によって誘導することができる。あらゆる方法で穴を配置することができる。たとえば、ステントの軸に垂直な線で穴を配置することができる。この配置は連結支材の幅に沿った応力のさらに局所的な濃縮を提供することができる。
図12Cは、連結536によって接続される円筒状の環の支材532と534を伴うステントパターンの一部530を示すものである。2つの穴538は、環の間のどの位置に置かれてもよいが、環支材532及び534の間の中間に配置される。どの方向性も可能ではあるが、穴は、ステントの軸である軸A−Aに垂直な線に沿って配置される。
【0071】
連結支材の選択的な破損を誘導するくぼみは、長径と短径を持つ細長い形状を有するノッチ又はスロットの形態でもあり得る。スロットは、たとえば、溝又は細隙のような狭い開口部を持つ空洞を指す。スロットの方向はあらゆる方法で配置することができる。たとえば、長径がステントの軸に垂直であるようにスロットを配置することができる。この配置は、連結の幅に沿った応力のさらに局所的な濃縮を提供することができる。
図12Dは、連結546によって接続される円筒状の支材542及び544を伴うステントパターンの一部540を示すものである。スロット548は、環の間のどの位置に配置されてもよいが、支材要素542の間の中間に配置される。どの方向性も可能ではあるが、長径がステントの軸である軸A−Aに垂直であるようにスロットが配置される。スロットはその長径に沿った高さhと短径に沿った幅wを有する。hとwの比は2/1〜10/1の範囲であることができ、又はhはwの2〜10倍変化することができる。応力の局在化の程度はh及びwを変化させることによって制御することができる。応力は、wが減り、及び/又はhが増えるにつれてさらに局在化するようになる。12A〜12Dにおける設計は、レーザー機械加工によって行われ得るが、かなり鈍く、外傷性ではない支材の破損面も提供すべきである。
【0072】
加えて、連結支材の選択的な破損は、連結支材に沿って小さくした断面の領域によって誘導し、促進することができる。その領域は破損及び破損を助長する応力の濃縮器として作用することができる。領域は表面積の増大により分解を高めることができる。破損に対する感受性は小さくした断面の厚さと長さに関係する。長さが細く、短いほど、その領域で応力がさらに濃縮され、さらに早く破損する可能性が高い。小さくした断面領域はレーザー切断によって形成することができる。
【0073】
図13Aは、環の支材287及び288に接続されている連結支材280の反管腔側の面を示すものである。連結支材280は、領域283及び284の間で小さくした断面領域282を有する。領域282は長さLr及び幅Trを有し、幅Trは領域283及び284の幅Tlよりも小さい。Lr及びTrが小さくなるにつれて、領域282は破損にさらに感受性になる。
【0074】
一部の実施形態では、小さくした断面の領域も、レーザー機械加工によって連結で容易に切り取ることができるノッチであり得る。ノッチは一般に物体、表面又は端部における角のある若しくはV字の切れ目、刻み目又は細隙を指す。ノッチは、たとえば、連結の中央に位置することができる。その結果、破損後、連結の小さな片が各環の上に残り得る。これは、血管への外傷の原因となる切断された連結の可能性を低下させる。ノッチはまた、壊れた連結の面が鈍いことも保証する。これはまた、外傷の原因となる壊れた連結の機会を低下させる。
【0075】
反管腔側(外側)の面、管腔面(内面)又は側壁にて連結支材に沿ってノッチを配置し、ノッチの位置で破損を誘導することができる。1つ又は2つの対称のノッチがあり得る。ノッチは側壁表面の片方又は両方にあってもよい。双方の側面におけるノッチは対称であり得る。
図13Bは、環支材297及び298に接続する連結支材290の反管腔側の面を示すものである。連結支材290は深さDn及び角度αを持つノッチ292を有する。領域292でDnが増大し、αが小さくなるにつれて、ノッチにて応力がさらに濃縮されればされるほど、ノッチにてさらに早く連結支材が破損する可能性が高くなると考えられる。たとえば、αは10〜45°であってもよく、Dnは連結支材の幅の25〜75%であってもよい。
図13Cは、連結556によって接続された円筒状の環の支材552及び554を伴ったステントパターンの一部550を示すものである。連結556は、連結556の側壁558のノッチ558Aを、及び側壁559の別のノッチ559Aを有する。ノッチは各面で開口部を伴って反管腔側の面と管腔面の間で伸長する。ノッチは、連結軸A−Aに垂直な線に沿って互いに対称であるか又は直接対向する。これによって清浄で鈍い破損を促進し、血管への外傷を回避し得る。しかしながら、連結は相殺されて異なった破損挙動を可能にし、たとえば、破損を遅らせる。ノッチ558A及び559Aは高さhと幅dを有する。hが増大し、dが小さくなるにつれて、ノッチにて応力がさらに濃縮されればされるほど、ノッチにてさらに早く連結支材が破損する可能性が高くなると考えられる。
【0076】
さらに、連結は、一方の側壁から側壁にて開口部を持つ対向する側壁に伸びる反管腔側にてノッチを有することができる。
図13Dは、連結566によって接続された円筒状の環の支材562及び564を伴ったステントパターンの一部560を示すものである。連結566は、連結566の反管腔側の面568にてノッチ569を有する。ノッチは、側壁570から各側壁面で開口部を伴う対向する側壁(示さず)に伸びる。ノッチは連結支材の軸A−Aに垂直に伸びる。
【0077】
連結支材又は特定の連結支材の破損を助長するために、長さの中央にて又はその近傍にて連結支材の端で2つの対向する半円形状の空洞によって連結支材の慣性のモーメントを減らすことができる。
図13Eは、環の支材332及び334に接続される連結支材330の反管腔側の面336を示すものである。連結支材330は、連結支材の側壁に切り込まれた2つの対向する半円の空洞338と340を有する。半円338及び340は半径R(半径は同一である必要はない)を有し、半円間の連結支材の最も狭い幅はWnである。Rは連結支材の幅Wの約5%〜30%の間であることができる。R及びWnを調整して所望の破損挙動を得ることができる。
【0078】
支材の破損、さらに破損するように設計されたものに関する懸念は、血管壁の外傷、解離又は穿孔についての可能性である。従って、一部の実施形態では、たとえば、ノッチのような選択的な破損を提供する特徴を有する連結支材は、ノッチに隣接して丸みを帯びた形体を有する。そのような実施形態では、ノッチで連結が壊れた後、次いで、破壊で形成された2つの端部がこれらの丸みを帯びた形体によって終端処理される。丸みを帯びた形体は湾曲した又は曲線状の面を有する構造を指す。丸みを帯びた形体には、円筒、球、円板、扁球、回転楕円体、扁球円板又は丸みを帯びた端部を持つ円筒である又はそれらに類似する形状を持つ構造を挙げることができる。
【0079】
一部の実施形態では、連結支材には、互いに隣接し、接続される連結支材の長さに沿って位置する2つの丸みを帯びた形体が含まれる。その形体からそれぞれの環支材に伸びる連結支材の部分は典型的な直線の細長い支材の構造を有してもよい。形体は直線の部分より大きな断面を有する。形体は、接線状にそれぞれの湾曲した面の部分に接続されて、接続点で少なくとも1つのノッチを生じてもよい。従って、ノッチを形成する壁は湾曲を有する。接続点での破損の際、破損した片の端部は丸みを帯びた又は曲線状の面を有する。
【0080】
壊れた連結支材の端部で丸みを帯びた形体を有することによって、できるだけ血管を傷つけないように連結支材の端部を設計する。たとえば、円板のような形体が望ましくない量の材料に相当するのであれば、形体に穴を有することによってポリマーの量を減らすことができる。一部の実施形態では、破砕性連結が放射線不透過性のマーカーとしても役立つように、これらの穴は、たとえば、白金/イリジウムのビーズのような放射線不透過性物質で満たされ得る。
【0081】
図14Aは、それぞれの環支材にそれぞれ伸びる2つの直線部分602及び604を有する連結600の反管腔側の面を示すものである。直線部分の反対の端部は点609にてその湾曲した面で接続されてノッチを形成する円板606及び608を含む。示されるように、円板の円筒状の軸は反管腔側の面に垂直である。
図14Bは、ステントの配置後、接続点が破損する場合の連結600を示し、2つの連結の一部分600A及び600Bの端部609A及び609Bは湾曲し、丸みを帯びる。
【0082】
図15Aは、それぞれの環支材にそれぞれ伸びる2つの直線部分702及び704を有する連結700を示すものである。直線部分の反対の端部は、点709にて外側の湾曲した面で接続し、ノッチを形成する環706及び708を含む。環706及び708はそれぞれ穴705及び707を有する。
図15Bは、ステントの配置後、接続点が破損する場合の連結支材700を示し、2つの連結の一部分700A及び700Bの端部709Aと709Bは湾曲し、丸みを帯びる。
【0083】
代わりに又はさらに、扁球円板の形体を用いて形体における材料の量を減らしてもよい。
図16Aは、それぞれの環支材にそれぞれ伸びる2つの直線部分802及び804を有する連結支材800を示すものである。直線部分の反対の端部は、点809にて外側の湾曲した面で接続し、ノッチを形成する扁球円板806及び808を含む。扁球円板806及び808は長径hと短径wを有する。扁球円板は、短径が連結軸A−Aに平行になるように配置される。代替の実施形態では、扁球円板は、長径が連結軸と平行になるように配置することができる。
図16Bは、ステントの配置後、接続点が破損する場合の連結800を示し、2つの連結の一部分800A及び800Bの端部809A及び809Bは湾曲し、丸みを帯びる。
【0084】
さらなる実施形態では、丸みを帯びた形体は直線部分に接続する湾曲した一部分又は弓部を含むことができる。湾曲した一部分の幅は連結支材の直線部分の幅と同一であってもよいし、又は類似してもよい。或いは、湾曲した一部分の幅は直線部分の幅よりも大きくてもよいし、又は小さくてもよい。湾曲した部分と組み合わせた直線部分は錨形状の外見を有し得る。
【0085】
図17Aは、それぞれの環支材にそれぞれ伸びる2つの直線部分902及び904を有する連結900を示すものである。直線部分の反対の端部は、湾曲した一部分906及び908に接続される。湾曲した一部分906及び908は、湾曲した一部分の長さの中間で直線部分と接続されるが、湾曲した一部分に沿った他の位置で接続され得る。湾曲した一部分は点909で湾曲した凸面に接続されて2つの対称のノッチを形成する。湾曲した一部分の幅wcは、直線部分の幅wsと同一であることが示される。上述のように、wcはwsより大きくてもよいし、又は小さくてもよい。
【0086】
図17Bは、ステントの配置後、接続点が破損する場合の連結900を示し、2つの連結一部分900A及び900Bの端部909A及び909Bは湾曲し、丸みを帯びる。
【0087】
ステントは、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリマンデリド(PM)、ポリ(DL−ラクチド)(PDLLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(炭酸トリメチレン)(PTMC)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリ(酪酸4−ヒドロキシ)(PHB)及びポリ(コハク酸ブチレン)(PBS)を含むが、これらに限定されない種々の生分解性ポリマーから作製することができる。ステントはまた、上記ポリマーのランダムコポリマー及びブロックコポリマー、特に、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)及びポリ(L−ラクチド−co−カプロラクトン)PLGA−PCLから作製することもできる。ステントは、L−ラクチド(LLA)とグリコリド(GA)を任意の比率で含むPLGAから作製することができる。特に、ステントは、85:15(又は82:18〜88:12の範囲)、95:5(又は93:7〜97:3の範囲)のモル比を持つPLGA又はこれらのモル比を有すると特定された市販のPLGA製品から作製することができる。体温を超えるTgを持つ高強度の半結晶性ポリマーには、PLLA、PGA及びPLGAが挙げられる。高い破壊靭性のポリマーには、PCL、PTMC、PDO、PHB及びPBSが挙げられる。
【0088】
ステントの「圧裂強度」は、ステントが回復できない変形を経験する圧力として定義される。
【0089】
「応力」は、ある平面の範囲内で小さな面積を介して作用する力で見られるような単位面積当たりの力を指す。応力は、平面に対して垂直な及び平行の2つの成分に分割することができ、それぞれ法線応力及び剪断応力と呼ばれる。引張応力は、たとえば、拡張(長さが伸びる)をもたらす適用された応力の法線成分である。加えて、圧縮応力は、結果的にその圧縮を生じる(長さが縮む)、物質に適用される応力の法線成分である。応力は物質の変形を生じてもよく、長さの変化を指す。「拡張」又は「圧縮」は試料が応力にさらされた場合の物質の試料の長さにおける増減として定義され得る。
【0090】
「歪み」は、所与の応力又は負荷のもとにある物質にて生じる拡張又は圧縮の量を指す。歪みは、元々の長さの比又は比率として、すなわち、元々の長さで割った長さの変化として表され得る。従って、歪みは拡張については正であり、圧縮については負である。
【0091】
「強度」は、物質が破損の前に耐える軸に沿った最大応力を指す。最大強度は、元々の断面積で割った試験の間に適用される最大負荷から算出される。
【0092】
「係数」は、適応された力から生じる適用された力の軸に沿った応力で割った物質に適用される単位面積当たりの応力又は力の成分の比として定義され得る。たとえば、物質は、引張係数と圧縮係数の双方を有する。
【0093】
たとえば、ステントのような埋め込み可能な医療用具の基本的な構造又は基材は、完全に又は少なくとも部分的に、生分解性ポリマー又は生分解性ポリマーの併用、生体安定性ポリマー又は生体安定性ポリマーの併用、又は生分解性ポリマーと生体安定性ポリマーの併用から作製することができる。さらに、用具の表面に対するポリマー系のコーティングは、生分解性ポリマー又は生分解性ポリマーの併用、生体安定性ポリマー又は生体安定性ポリマーの併用、又は生分解性ポリマーと生体安定性ポリマーの併用であり得る。
【0094】
本発明の特定の実施形態を示し、記載してきたが、さらに広い態様にて本発明から逸脱することなく変更及び改変を為し得ることが当業者には明白であろう。従って、添付のクレームは、本発明の真の精神と範囲の中に入るとしてそのような変更及び改変すべてをその範囲内に包含するものである。
[発明の例]
[発明例1]
血管の患部を治療するためのステントであって
支材のパターンから構成される生体吸収性の高分子足場を含み、前記パターンは支材の第1の円筒状の環と支材の第2の円筒状の環を含み、
円筒状の環の支材よりも薄い肉厚を有する一揃いの破砕性連結支材によって前記第1の環と前記第2の環が接続され、
患者の血管にステントを配置した後、円筒状の環における支材に先立って細い連結支材が壊れるステント。
[発明例2]
前記破砕性連結支材が、第1の環と環のセットとの間で均一な厚さを有する発明例1に記載のステント。
[発明例3]
前記破砕性連結支材が、第1の環と第2の環との間で均一な厚さを有する発明例1に記載のステント。
[発明例4]
前記破砕性連結支材の肉厚が、環の支材への破砕性連結支材の接続点から破砕性連結支材の中間点まで徐々に先細る発明例1に記載のステント。
[発明例5]
血管の患部を治療するためのステントであって
支材のパターンから構成される生体吸収性の高分子足場を含み、前記パターンは支材の第1の円筒状の環と支材の第2の円筒状の環を含み、
前記第1の環と前記第2の環が一揃いの破砕性連結支材によって接続され、その際、前記第1と第2の円筒状の環の間の各連結支材の中間の反管腔側の面にて2つ以上の隣接する穴が配置され、
患者の血管にステントを配置した後、円筒状の環における支材に先立って、各連結が穴の位置にて壊れるステント。
[発明例6]
前記2つ以上の穴が連結支材の軸に垂直な線にて配置される発明例1に記載のステント。
[発明例7]
前記穴が管腔面に伸びる貫通穴である発明例1に記載のステント。
[発明例8]
血管の患部を治療するためのステントであって
支材のパターンから構成される生体吸収性の高分子足場を含み、前記パターンは支材の第1の円筒状の環と支材の第2の円筒状の環を含み、
前記第1の環と前記第2の環が一揃いの破砕性連結支材によって接続され、
前記第1と第2の円筒状の環の間での各連結支材の中間の反管腔側の面にてスロットが配置され、
患者の血管にステントを配置した後、円筒状の環における支材に先立って、各連結がスロットの位置にて壊れるステント。
[発明例9]
前記スロットの長径が、ステントの軸に垂直である発明例8に記載のステント。
[発明例10]
前記スロットの長径と短径の比が、3より大きい発明例8に記載のステント。
[発明例11]
前記スロットが管腔表面を介してあらゆる方向に拡張する発明例8に記載のステント。
[発明例12]
血管の患部を治療するためのステントであって
支材のパターンから構成される生体吸収性の高分子足場を含み、前記パターンは支材の第1の円筒状の環と支材の第2の円筒状の環を含み、
前記第1の環と前記第2の環が一揃いの破砕性連結支材によって接続され、
各破砕性連結支材が環の間で配置される2つの円板様の形体を有し、
前記円板様の形体がその湾曲した面で接続されて接続点でノッチを形成し、
患者の血管にステントを配置した後、円筒状の環における支材に先立って、各連結が接続点にて壊れるステント。
[発明例13]
前記少なくとも1つの破砕性連結支材の接続された円板様の形体が各円板様の形体を介して穴を含み、ドーナツ様の構造を形成する発明例12に記載のステント。
[発明例14]
前記少なくとも1つの破砕性連結支材の接続された円板様の形体が円状である発明例12に記載のステント。
[発明例15]
前記少なくとも1つの破砕性連結支材の接続された円板様の形体が、その長径に沿った面で接続される扁球円板である発明例12に記載のステント。
[発明例16]
前記円板様の形体の円筒状の軸が、反管腔側の面に対して垂直である発明例12に記載のステント。
[発明例17]
血管の患部を治療するためのステントであって
支材のパターンから構成される生体吸収性の高分子足場を含み、前記パターンは支材の第1の円筒状の環と支材の第2の円筒状の環を含み、
前記第1の環と前記第2の環が一揃いの破砕性連結支材によって接続され、
各破砕性連結支材が2つの対向する錨形状の要素を含み、
各錨形状の要素が環の間に配置される直線の一部分と湾曲した一部分から構成され、
破砕性連結支材の湾曲した一部分が凸部の湾曲した面で接続され、接続点でノッチを形成し、
患者の血管にステントを配置した後、円筒状の環における支材に先立って、各連結が接続点にて壊れるステント。
[発明例18]
血管の患部を治療するためのステントであって
支材のパターンから構成される生体吸収性の高分子足場を含み、前記パターンは支材の第1の円筒状の環と支材の第2の円筒状の環を含み、
前記第1の環と前記第2の環が、円筒状の環の支材よりも小さな幅を有する一揃いのさらに狭い破砕性連結支材によって接続され、
患者の血管にステントを配置した後、円筒状の環における支材に先立って、前記さらに狭い連結支材が壊れるステント。
[発明例19]
前記破砕性連結支材が、第一の環と環のセットの間で均一な幅を有する発明例18に記載のステント。
[発明例20]
前記破砕性連結支材が第一の環と第2の環の間で均一な幅を有する発明例18に記載のステント。
[発明例21]
前記破砕性連結支材の幅が、環の支材への破砕性連結支材の接続点から破砕性連結支材の中間点まで徐々に先細る発明例18に記載のステント。