(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の軸方向セクション内の前記クラッドの厚さがゼロであり、且つ、前記第2の軸方向セクションの前記複数の光ファイバが、オーバークラッドチューブで取り囲まれる、又は、前記第2の軸方向セクションの前記複数の光ファイバが、複数の低インデックス・ロッドで包まれる、請求項1に記載の光ファイバ・カプラ。
前記第1の軸方向セクションの前記複数の光ファイバの前記ファイバと、前記第2の軸方向セクションの前記複数の光ファイバの前記ファイバとが連続しており、前記2つのセクションの間に光学的不連続がない、請求項1に記載の光ファイバ・カプラ。
前記第2の軸方向セクションの前記複数の光ファイバの前記ファイバの各々が、前記第1の軸方向セクションの前記複数の光ファイバの整合するファイバに、前記2つのセクションの間の光学インタフェースにおいて、位置合わせされ、光学的に結合される、請求項1に記載の光ファイバ・カプラ。
前記テーパ化するステップの前に低インデックスの円周方向クラッド領域で前記第2のセクションの前記一部の全体を包むステップをさらに備え、前記円周方向クラッド領域が、前記第2の軸方向セクションの前記少なくとも2つのファイバの前記コアの屈折率よりも小さい屈折率を有する、請求項13に記載の光ファイバ・カプラを製作する方法。
前記第1のセクションの前記複数の光ファイバの前記ファイバと、前記第2のセクションの前記複数の光ファイバの前記ファイバとが連続しており、前記2つのセクションの間に光学的不連続がない、請求項13に記載の光ファイバ・カプラを製作する方法。
前記クラッドを除去するステップが、前記第2の軸方向セクションの前記少なくとも2つの光ファイバの前記一部の前記クラッドをエッチングして除去するステップをさらに含む、請求項17に記載の光ファイバ・カプラを製作する方法。
【背景技術】
【0003】
ハイパワー光(光学)源を利用する用途は多様であり、機械加工および溶接から光増幅器およびレーザのポンピングまで及ぶ。これらの用途では、テーパ化ファイバ束(TFB)光カプラは、多くの場合、多数の光源からの多数の光入力を単一の光出力ポートに結合するために使用される。[例えば、両方とも参照により本明細書に組み込まれる、DiGiovanniおよびStentzの米国特許第5,864,644号(1999)、ならびにDiGiovanniおよびTiptonの米国特許第5,935,288号(1999)を参照]。
【0004】
従来のTFBの光カプラ10の概略図が
図1に示される。多数の入力ファイバ11(
図2A、2Bに示されるような)は多数の光源18からの入力光P
inをTFB10に結合し、TFB10は、組み合わされた光入力を出力ポート12に、かつオプションとして出力ポート12にスプライス接続された出力ファイバ19(
図2D)に結合する。[簡単化のために、入力光は
図1では3つの入力ファイバ11にのみ入力するように示されているが、実際には、より多くの入力を使用することが一般的であり、実際には、光は、一般に、より多くのファイバ、例えば、7つ(
図2B)または19個(図示せず)のファイバに入力される。さらに、一般的な先行技術のTFBの構成では、ファイバは束ねられ、中心のファイバは単一モード信号ファイバであり、周囲のファイバは多モードポンプ・ファイバである。]
【0005】
図1に示されるように、第1のセクション15では、ファイバ11は互いに一緒に束ねられて融着され、光は各ファイバ11を別々に伝搬する。第1のセクション15と縦列して配設された第2のセクション16では、ファイバ11は束ねられて融着される(第1のセクション15のように)だけでなく、インタフェース17でのより大きい(最大)等価直径D
17(
図2Bに示されるような)からインタフェース(出力ポート)12でのより小さい(最小)等価直径D
12(
図2Cに示されるような)にテーパ化もされる。等価直径は、
D
eq=D
fiber√n (1)
で与えられ、ここで、nは束中のファイバの数であり、D
fiberは個別のファイバの直径である。この公式は、束の内のファイバのすべてが同じ直径を有すると仮定している。束ねられているがテーパ化されていないファイバ(
図2B)の最大等価直径(D
17)の束ねられてテーパ化されたファイバ(
図2C)の最小等価直径(D
12)に対する比は、テーパ・ダウン・レーション(tapered−down−ration)(TDR)として知られており、
D
17/D
12=TDR (2)
で与えられる。言い換えると、TDRは、単に、
(A
17/A
12)
0.5=TDR (3)
のように、それぞれ、インタフェース17および12での断面積A
17、A
12に関係する。TDRは、一般に、約2から3の範囲の値を有する。第2のセクション16では、光はより小さい断面積に閉じ込められ、伝搬光のNAがファイバ導波路のNAを超えない限りにおいてのみ別個のファイバに閉じ込められたままになることになる。したがって、光のある部分は、テーパ化された第2のセクション16に沿ったあるポイントでファイバの間で拡がることになる。したがって、出力ポート12での光のNAはインタフェース17におけるよりも高い。
【0006】
いくつかの用途(例えば、光増幅器およびレーザ)では、出力ファイバ19の一方の端部は、例えば、インタフェース12において第2のセクション16に融着スプライス接続することができ、他方の端部は利得生成ファイバ(GPF、図示せず)に融着スプライス接続することができる。出力ファイバ19の光出力はP
outで示される。他方、切断および溶接などの他のハイパワー用途では、出力ファイバ19のハイパワー光出力は、切断または溶接されるべき加工物に直接与えることができる。
【0007】
従来のTFBカプラに関する1つの問題は、テーパ化プロセスが出力面12での光のNAを増加させ(上記で述べたように)、それが意味するところは、その結果として、出力面12から出てくる光線がさらに発散し、それにより、他のデバイスへの(例えば、出力ファイバ19への)結合がより困難で、かつより低い効率となることである。理想的なTFBでは、輝度は入力と出力との間で保存されるが、光の開口数は依然として増加しており、それは多くの用途では望ましくない。
【0008】
したがって、当技術分野では、光がTFB光カプラを通過するときNAの増加を、
図1および2を参照して説明したタイプの先行技術のTFBカプラと比較して最小にするTFB光カプラへの必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らの発明の第1の態様によれば、ファイバ光カプラは、複数の入力光源からの光を出力ポートに結合するように構成された、単一モード、多モード、または両方の組合せのいずれかの複数の光ファイバを含み、ファイバのうちの少なくとも1つは、コア領域と、コア領域を囲むクラッド領域とを有する。束は、縦列して配列される第1および第2の軸方向セクションを有し、第1の軸方向セクションのファイバのうちの少なくとも1つのコア領域が直径D
core1を有し、囲むクラッド領域が直径D
clad1および断面積A
clad1を有し、第2の軸方向セクションのファイバのうちの少なくとも1つのコア領域が直径D
core2を有し、囲むクラッド領域が直径D
clad2および断面積A
clad2を有し、D
clad1>D
clad2またはより一般的にはA
clad1>A
clad2のようにする。1つの実施形態によれば、第1のセクションのファイバのコアは、D
core1=D
core2であるように第2のセクションのファイバのコアに整合することができる。しかし、他の実施形態は、D
core1≠D
core2であるように第1のセクションのファイバと第2のセクションのファイバとの間で異なるサイズのコアを使用することを包含する。
【0011】
1つの実施形態では、第1の軸方向セクションのファイバは第2の軸方向セクションのファイバとは別個のファイバであり、第1の軸方向セクションの各ファイバは各々出力端部で第2のセクションのファイバの各々の入力端部に光学的に結合され、それによって光インタフェースが生成され、その結果、第1のセクションのファイバの各々のコアは第2のセクションのファイバの各々のコアと位置合わせされる。光結合は、任意の既知の技法、例えば、スプライス接続または機械的コネクタの使用によって行うことができる。第2のセクションのファイバは、D
clad1>D
clad2またはより一般的にはA
clad1>A
clad2であるように低減されたクラッド厚を有する。
【0012】
別の実施形態では、第2のセクションは、ファイバの各々のある長さ(一般には、必ずではないが、各ファイバに対して同じ長さ)からクラッドの一部を除去することによって第1の軸方向セクションの同じファイバから生成され、それによって、クラッド厚および直径が減少され、A
clad1>A
clad2が達成される。クラッドの減少は、機械的手段またはフッ化水素酸の使用などの化学的手段によって行うことができる。[例えば、参照により本明細書に組み込まれるFishteynの米国特許第7209615号を参照]
【0013】
次に、第2の軸方向セクションのある長さが出力ポートでのより小さい直径まで細くテーパ化され、その結果、D
core2およびD
clad2の両方が低減され、それによって、テーパ化セクションが生成される。このテーパ化セクションは第2の軸方向セクションの全長よりも短くすることができ、その結果、テーパ化は、第1の軸方向セクションと第2の軸方向セクションとの間のインタフェースから離れた距離で始まることになる。代替として、第2の軸方向セクションの全長をテーパ化することができる。本発明の1つの態様は、テーパ化される前に第2のセクションのファイバを束ねることを含む。
【0014】
テーパ化するステップは依然としてカプラの出力ポートでNAの増加を発生させるが、クラッド直径の減少により、テーパ化セクションにおいて(第2の軸方向セクションの一部またはすべての中で)クラッドに対するコアの直径比を増加させ、それを使用して、
図1および2に示したものなどの先行技術のTFBおよびテーパ化の方法によって一般に発生するNA増加と比較してテーパ比を減少させ、かつ/または出力光学光または信号のNAの増加を低減することができる。したがって、輝度が先行技術に比べてTFBカプラで増加し、それは全体的性能の向上をもたらす。
【0015】
本発明者らの発明の第1の態様のさらなる別の実施形態では、第2のセクションのファイバ内では、クラッド・ファイバ領域の減少により、その中の光の閉込めが低下し、それにより、クラッドの厚さに応じて、特にクラッドが第2のセクションで各ファイバから完全に除去される場合、光が漏洩するようになることがある。この現象に対処するために、第2のセクションの複数のファイバは、テーパ化する前に「オーバークラッド」チューブで取り囲むことができる。さらに、第2のセクションのクラッド領域がテーパ化の間に十分に薄くなり、その結果、光が漏洩することがある場合、オーバークラッド・チューブは光閉込めを支援することができる。いずれの事例でも、オーバークラッド・チューブの屈折率はテーパ化の後でさえ、覆われたクラッド領域またはコア領域のいずれの屈折率よりも低くなければならない。代替として、第2のセクションの複数のファイバのうちの1つまたは複数は、潜在的な光閉込めの低下に対処するために低インデックス・ロッドで包むことができる。
【0016】
本発明者らの発明の第2の態様によれば、テーパ化ファイバ光カプラを製作する方法は、
(a)複数の光ファイバを用意するステップであり、前記ファイバのうちの少なくとも1つは、コア領域と、コア領域を囲む環状クラッド領域とを有し、第1の軸方向セクションのファイバのうちの少なくとも1つのコア領域が直径D
core1を有し、囲むクラッド領域が直径D
clad1を有し、第2の軸方向セクションのファイバのうちの少なくとも1つのコア領域が直径D
core2を有し、囲むクラッド領域が直径D
clad2を有する、ステップと、
(b)ファイバを束に配列するステップであり、束が互いに縦列して配列される第1および第2の軸方向セクションを有する、ステップと、
(c)D
clad1>D
clad2、より一般的には、A
clad1>A
clad2であるように、第2のセクションのファイバのクラッドを減少させるように第1および第2のセクションのファイバを構成するステップと、
(d)ファイバの第2のセクションの一部をテーパ化するステップと
を含む。本実施形態の1つの態様では、テーパ化される部分は第2のセクションの全長よりも短い。別の態様では、テーパ化される部分は第2のセクションの全長である。
【0017】
この方法は、第2のセクションのファイバを互いに融着させるステップをさらに含むことができる。別の実施形態では、この方法は、テーパ化することなしに、第2のセクションを加熱するステップを含む。
【0018】
本発明の別の実施形態では、第1および第2のセクションのファイバは連続しており、それらの間に光学的不連続がなく(例えば、スプライス接続)、ステップ(c)では、クラッド厚は、第2の領域のファイバのうちの少なくとも1つのクラッドの一部を機械的または化学的に除去することによって減少される。
【0019】
本発明のさらなる別の実施形態では、ステップ(a)および(b)において、複数のファイバは、第1の厚さのクラッド領域を有する第1の群ファイバと、第2のより小さい厚さのクラッド領域を有する第2の群のファイバとを含む。最初に、第1の群のファイバは、第2の群のファイバと位置合わせされてスプライス接続される。スプライス接続された後、ファイバは2つの束に配列され、一方の束のファイバは第1のセクションを形成し、他方の束のファイバは第2のセクションを形成する。次に、第2のセクションのファイバはテーパ化される。
【0020】
本発明者らの発明は、本発明の様々な特徴および利点と共に、添付図面と関連してなされる以下のより詳細な説明から容易に理解することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
前記の図のうちの様々なものは、原寸に比例して描かれておらず、かつ/または図の簡単化および明瞭化のために、描写される実際の光ファイバまたは生成物の詳細のすべてを含むわけではないという点で概略的に示されている。
【0023】
用語集
輝度:光ビーム源の輝度は、遠視野での発散の単位立体角当たりのビーム焦点での単位モード面積当たりのパワー(P)として定義される。それは、W/(sr cm
2)の単位で測定される。より詳細については、例えば、インターネットにおいてURL http://www.rp−photonics.com/brightness.htmlで見いだすことができ、参照により本明細書に組み込まれる「Encyclopedia of Laser Physics and Technology」を参照されたい。輝度は、パワーをエテンデュで除算したものとして示すことができ、エテンデュは、光源の面積と、光が伝搬する立体角との関数である。簡単なシステムでは、エテンデュはπ・S・NA
2で近似することができ、ここで、Sは光源の面積である。
【0024】
直径dおよび開口数NAのコアをもつファイバ・ピグテイルによって光をGPFに供給する従来の低輝度レーザダイオード・アレイを考えよう。典型的な市販のレーザダイオード・アレイは、105μm直径および0.15から0.22のNA(概略で1.3×10
3sr μm
2のエテンデュ)のピグテイル・コアに概略で10W〜25Wのパワーを供給し、これは、出力ビームが約7.6mW/(sr μm
2)の輝度を有することを意味する。本発明者らが意味する高輝度とは、ポンプ源の輝度は従来の低輝度レーザダイオード・アレイの輝度よりも少なくとも30倍大きく、好ましくは、100倍大きい。したがって、例示として、高輝度ポンプ源はGPF12に少なくとも760mW/(sr μm
2)を供給することになる。
【0025】
中心波長:本説明の全体にわたって、波長への言及は特定の光放出の中心波長を意味するように意図され、すべてのそのような放出は中心波長の上下に周知の範囲の波長を含む固有の線幅を有することを理解されたい。
【0026】
ガラス・ファイバ:本明細書で説明するタイプの光ファイバは、一般に、ガラス(例えば、シリカ)で製作され、クラッド領域の屈折率は、当技術分野で周知のように、1つまたは複数のドーパント(例えば、P、Al、Ge、F、B)の量およびタイプによって、またはファイバの製作中にクラッド領域に組み込まれる低インデックス中空ボイド(例えば、空気孔)によって制御される。コア/クラッド領域のこれらの屈折率ならびに厚さ/直径は、やはり当技術分野で周知のように、重要な動作パラメータを決定する。特に多モード・ポンプ・ファイバでは、コアは、一般に、「純」シリカであり、すなわち、コア材料はドープされていないシリカであり、一方、クラッドは、一般に、フッ素でダウンドープされたシリカである。
【0027】
インデックス:インデックス(indexおよびindices)という用語は屈折率(refractive indexおよびrefractive indices)を意味するものとする。
【0028】
モード:モードという用語は、電磁波(例えば、信号光)の横モードを意味するものとする。さらに、光ファイバの基本モードという用語は、一般に、LP
01モードを指す。
【0029】
半径/直径:前記の(さらに以下の)説明における半径および直径という用語の使用は、様々な領域(例えば、コア、ペデスタル、トレンチ、クラッド)の断面が円形および/または環状であることを意味するが、実際には、これらの領域は非円形であることがあり、例えば、それらは楕円、多角形、不規則、または他のより複雑な形状であることがある。それにもかかわらず、当技術分野において一般的であるように、本発明者らはしばしば簡単化および明瞭化のために半径および/または直径という用語を使用する。
【0030】
ドープされていない:ドープされていない、または故意でなくドープされたという用語は、ファイバの領域、またはそのような領域を形成するために使用される最初のチューブが領域に故意に添加されないドーパントを製作中に含むことを意味するが、この用語は、製作プロセス中に本質的に組み込まれることがある低レベルのバックグラウンド・ドーピングを除外しない。そのようなバックグラウンド・ドーピング・レベルは、ドープされていない領域の屈折率への影響が軽微であるという点で低い。
【0031】
テーパ化ファイバ束 − 設計
この表題の下、本発明者らは、一束化ファイバの第2のセクションがテーパ化された本発明者らのファイバ光カプラの様々な実施形態を説明する、すなわち、それらは本発明者らの発明に従って変更されたTFBカプラ設計である。しかし、前に記述し、以下でより詳細に説明するように、本発明者らの発明のいくつかの実施形態では、テーパ化は必須ではない。
【0032】
本発明者らの発明の第1の態様の1つの実施形態によれば、インタフェース12で出力ポートから出てくる光のNA増加を低減するために、
図1に示されるような従来のTFB光カプラ10が変更される。従来のTFBの光カプラ10を前に説明したが、明瞭化のために、本発明者らは簡単に繰り返すと、カプラ10は、多数の入力光源18からの光を出力ポート12に結合するように構成された単一モードまたは多モードのいずれかの一束の光ファイバ11を含み、ファイバ11の1つまたは複数は、例として多モード・ファイバについて
図2Aに示されるように、コア領域11.1と、コア領域を囲むクラッド領域11.2とを有する。その束は、それぞれ、縦列して配置され、光インタフェース17を含む軸方向移行ゾーン(図示せず)を介して互いに結合される第1の軸方向セクション15と第2の軸方向セクション16とを有する。第2のセクション16内のファイバは、インタフェース17でのより大きい断面の束から出力ポート12でのより小さい断面の束までテーパ化される。[インタフェース17の識別は教育的便宜の事柄であり、すなわち、ファイバ11はセクション15とセクション16との間で連続しており、すなわち、インタフェース17で光学的不連続はない。]
【0033】
例として、TFBカプラ10は、
図2Bに示されるように束ねられた7つのファイバ11で製作することができる。セクション15の各ファイバ11は、一般に、105μmの直径をもつコア領域11.1と、125μmの外径をもつクラッド領域11.2とを有し、それは、第1のセクション15の束の最大外径がD
15=375μmであることを意味する。第2のセクション16のインタフェース12での125μmの直径=D
12まで束を引き下げる(または引っ張り下げる)ために、この従来のTFBカプラで必要とされるTDR
convは、
TDR
conv=125μm×(7)
1/2/125μm=2.65 (4)
で与えられる。この例示のTFBカプラでは、出力ポート12での光のNAは同じ係数だけ、すなわち、2.65だけ増加することになる。
【0034】
対照的に、本発明者らの発明の例示的な実施形態に従って構成された
図3Aに示されるような第2の例示のTFBカプラ30を考えよう。比較のために、本発明のTFBカプラも
図2Bに示されるように束ねられた7つのファイバ31で製作される。第1のセクション35の各ファイバ31は、例示として、105μmの直径をもつコア領域31.1と、125μmの外径をもつクラッド領域31.2とを有する。
図1および2と比較して、第2のセクション36の各ファイバ31は、やはり、105μmの直径をもつコア領域31.1を有するが、クラッド領域31.2は薄く、ただ116μmのみの外径を有する。その結果、第1のセクション35の(インタフェース37での)束の最大外径は、再度、D
15=375μmであるが、第2のセクションの(インタフェース37での)束の最大外径はD
15=348μmである。第2のセクション16の束をインタフェース12での125μmの外径=D
12まで引き下げる(または引っ張り下げる)ために、本発明のTFBカプラで必要とされるTDR
invは、
TDR
inv=116μm×(7)
1/2/125μm=2.45 (5)
で与えられる。したがって、本発明者らの発明のカプラの本実施形態のNAは、単に2.45の係数だけ(上述の第1の例示的なTFBの2.65の係数と比較して)増加することになり、それは、出力ポート12から出てくる光の輝度が、対応して、約17%の係数だけ増加する[すなわち(2.65/2.45)
2=1.17である]ことになることを意味する。
図1と
図3との間で見て分かるように、この変更により、より小さいTDRが可能になり、それは、(i)テーパ化された第2のセクション36は、出力ポート12で所望の直径を生成するのに長さにおいてそれほど多く引く必要がない、(ii)NAはその結果としてそれほど多くは増加しないという2つの利点を有する。
【0035】
本発明のTFBカプラが
図3B〜Eにさらに示され、それらはテーパ化の前(
図3B、3D)、およびテーパ化の後(
図3C、3E)の例示的な光ファイバの様々な断面を示す。
図3Bはファイバ11a(ファイバ31と同様の)を示し、それは、
図1に示した従来のTFBカプラの第1のセクション15に配置される一般的なファイバ、および
図3Aに示されるような本発明者らの発明のTFBカプラの第1のセクション35に配置されるような一般的なファイバを示す。従来の手法を使用して、第2のセクション15のファイバ11a(
図3B)の各々はテーパ化するステップT1を受けることになる。テーパ化するステップT1は、ファイバ11b(
図3B)で示されるようにファイバ断面積を減少させるが、断面コア面積の断面全面積に対する比(R)を変化させず、すなわち、R
2(第2のセクション16のファイバ11bのA
core2/(A
core2+A
clad2)として定義される)は、R
1(第1のセクション15のファイバ11aのA
core1/(A
core1+A
clad1)として定義される)に等しい。対照的に、本発明者らの発明の手法の1つの実施形態を使用して、テーパ化する前に、第2のセクション36内のファイバ11(すなわち、ファイバ11c、
図3D)のうちの少なくともいくつかは薄化するステップT2を受け、ファイバ11cのクラッド領域は
図3Dに示されるように薄化される。ファイバ11cのクラッド領域を薄化すると、断面コア面積の断面全面積に対する比が増加し、すなわち、
図3Dの薄化ファイバ11cの比のR
1’は
図3Bのオリジナルのファイバ11aの比のR
1よりも大きい。したがって、第2のセクションのファイバ11cがテーパ化するステップT3を受ける場合、各薄化ファイバ11cの断面積は減少させられるが、テーパ化するステップT1と同様に、ステップT2は断面コア面積の断面全面積に対する比を変化させず、すなわち、R
2’(第2のセクション36のファイバ11dに対してR
2と同様に定義される)は、R
1’(第1のセクション35のファイバ11cに対してR
1と同様に定義される)に等しい。本発明者らの発明の第1の態様の好ましい実施形態では、第2のセクション36のファイバのすべてが、テーパ化される前に第1のセクション35よりも薄いクラッド領域を有する。
【0036】
図3A〜Eは、さらに凡例TDR
convおよびTDR
invを含み、それらは、それぞれ、テーパ化するステップT1およびT2に関連するTDRである。実際には、これらのTDRは互いに等しい場合もあり、等しくない場合もある。式(4)および(5)は、それらが等しくない場合を示す。
【0037】
第2のセクション36内では、その中のファイバのうちの少なくともいくつか(好ましくは、すべて)のクラッド領域が第1のセクション35内の対応するファイバの断面積よりも小さい断面積を有することが当業者には明らかであろう。同様に、ファイバのクラッド領域は、例示として、半径方向の厚さによって特徴づけられる環形の形状を有し、第2のセクション36内では、その中のファイバのクラッド領域のうちの少なくともいくつか(好ましくは、すべて)の半径方向の厚さは、第1のセクション35内の対応するクラッド領域の半径方向の厚さよりも小さい。
【0038】
第2のセクション16のファイバのうちの少なくともいくつかのクラッド領域を薄化すると、それらのファイバ中を伝搬する光モードの光閉込めが、ファイバの設計詳細および/または特定用途の性能仕様に応じて不十分となることがある可能性が高まる。本発明の1つの態様は、ファイバ11が多モード・ファイバであることを含み、光エネルギーの大部分が基本モードと比べて高次モードで伝搬する。
図6は、1つのそのような高次モード、すなわち、ファイバ6のコア領域6.1を伝搬するが、薄化クラッド領域6.2による閉込めが不十分である2次モード6.3を示す。(他の高次モードも多モード・ファイバ11中を伝搬することになるが、それらは図の明瞭化および簡単化のために示されていない。)光閉込めが不十分である場合、本発明者らは、薄化ファイバを含むファイバ束を、
図4および
図5に示すタイプの低インデックスの円周方向クラッド領域で囲むことを提案する。本発明者らが意味する低インデックスとは、円周方向クラッド領域のインデックスが、束内のファイバ6のファイバのコア領域6.1のインデックスよりも小さく、ファイバ6中を伝搬する光を閉じ込めるのに十分な低さである。
【0039】
図4では、束4(第2のTFB領域36内の)は、例示として、7つのネスト状ファイバ6を含み、それらのうちの少なくともいくつかは、伝搬高次モード(HOM、例えば、ファイバ6の1つまたは複数のHOMを代表するように意図された2次モード6.3、
図6)の十分な光閉込めを行うには薄すぎるクラッド領域を有する。束4は、低インデックス・クラッド領域として働く低インデックス・ガラス・チューブ4.1で囲まれる。束4の外側ファイバに外接するチューブ4.1は、ステップT3(
図3)などの任意のテーパ化するステップが実行される前に所定位置に置かれる。したがって、チューブ4.1およびファイバ6の両方がテーパ化を受ける。
【0040】
同様に、
図5では、束5(第2のTFB領域16内の)は、例示として、7つのネスト状ファイバ6を含み、それらのうちの少なくともいくつかは、伝搬HOM(例えば、再度、2次モード6.3、
図6、で代表される)の十分な光閉込めを行うには薄すぎるクラッド領域を有する。束5は、例示として、隣接するより低いインデックスのガラス・ロッド5.1の線状六角形アレイで囲まれ、それにより、7つの内側ファイバ6をもつネスト構成が形成される。束5の外側ファイバに外接するロッド5.1は低インデックス・クラッド領域として働く。ロッドのアレイは、ステップT3(
図3)などの任意のテーパ化するステップが実行される前に所定位置に置かれる。したがって、ロッド5.1およびファイバ6の両方がテーパ化を受ける。
【0041】
ロッド5.1は、低インデックス・ガラスまたは他の材料で製作することができ、または光ファイバ(束5の動作中に光ファイバのコア領域で光を導波しないコアおよびクラッド領域を含む)とすることができる。
【0042】
どの場合にも、低インデックス・チューブ4.1または低インデックス・ロッド5.1は、それぞれ、束4および5中を伝搬するHOMの十分な光閉込めを行う。
【0043】
テーパ化ファイバ束 − 製作
TFBカプラおよびその製作は、上述で引用したDiGiovanni−Stentzの特許およびDiGiovanni−Tiptonの特許、ならびに参照により本明細書に組み込まれる以下の特許、すなわち、2002年6月4日にDiGiovanniおよびFishteynに発行された米国特許第6,397,636号と、2007年4月24日にFishteynに発行された米国特許第7,209,615号とに説明されている。
【0044】
本発明者らの発明の本態様は、共に従来のTFBを製作するのに使用される技法に対する改善である2つの製作手法を包含することが当業者には明らかであろう。特に、本発明者らの手法によれば、(i)本発明者らは、第2のセクション16を、従来の技法で達成される全直径と同じである出力ポート12での全直径までテーパ化する(すなわち、本発明者らは同じTDRを使用する)が、本発明者らは出力ポートでより低いNAを達成することができ、または(ii)本発明者らは、第2のセクション16を、従来の技法で達成される全直径よりも小さい出力ポート12での全直径までテーパ化する(すなわち、本発明者らはより小さいTDRを使用する)が、本発明者らは出力ポートでのNAを実質的に増加させずにそうすることができるTFBの製作が可能になる。
【0045】
本発明者らの発明の第2の態様によれば、これらの既知のTFBカプラ製作技法が上述で示唆したように変更される。特に、光カプラ10(
図1)を製作する本発明者らの方法の1つの実施形態は、
(a)
図2Aに示すように、各ファイバがコア領域11.1と、コア領域を囲むクラッド領域11.2とを有する多数の光ファイバ11を用意するステップと、
(b)
図1に示すように、第1の軸方向セクション15と、縦列の第2の軸方向セクション16とを有する束(
図2B)に多数のファイバを配列するステップと、
(c)D
clad1>D
clad2、より一般的には、A
clad1>A
clad2であるように、第2のセクションのファイバのクラッドを減少させるように第1および第2のセクションのファイバを構成するステップと、
(d)ファイバの第2のセクションの一部をテーパ化するステップと
を含む。本実施形態の1つの態様では、テーパ化される部分は第2のセクションの全長よりも短い。別の態様では、テーパ化される部分は第2のセクションの全長である。
【0046】
この方法は、第2のセクションのファイバを互いに融着させるステップをさらに含むことができる。別の実施形態では、この方法は、テーパ化することなしに、第2のセクションを加熱するステップを含む。
【0047】
本発明者らの発明の第2の態様の別の実施形態では、第1のセクション15および第2のセクション16のファイバは連続しており、それらの間に光学的不連続がなく(例えば、スプライス接続)、構成するステップ(c)は、第2のセクションのファイバ(
図3B、3D)のうちの少なくともいくつかのクラッド領域の厚さを減少させるステップを含む。好ましい実施形態では、構成するステップ(c)は、第2のセクションのファイバのすべて(11c、
図3D)のクラッド領域の厚さを減少させるステップを含む。当業者には既知の様々な技法を使用して、クラッド領域の薄化を達成することができる。例えば、第2のセクションのファイバのうちの少なくともいくつかの(好ましくは、すべての)クラッドは化学的にエッチングするか、またはプラズマ・エッチングして、クラッド領域材料を除去することができる。好ましくは、クラッド領域材料はファイバ円周のまわりを均一に除去される。構成するステップ(c)の1つの実施形態では、本発明者らは、以下で説明するように第2のセクション内の多モード・シリカ光ファイバの外側クラッド材料を除去する(化学的にエッチングする)のにフッ化水素酸(HF)を使用した。
【0048】
実験I:エッチング・プロセスによって構成された第2のセクションのより薄いファイバ・クラッド
ドープされていないコアおよびFドープされたクラッドをもつ多モードシリカ・ファイバが以下で説明するすべての場合に使用された。本発明者らは、入力ファイバ(105μmコア径、125μmクラッド外径、および0.22NA)の測定したNAを、
図1および2に示したタイプであるが、本発明者らの発明の本実施形態に従って変更したタイプの7つのファイバの多モードTFBの出力と比較した。TFBは、インタフェース17での330μmの初期の直径をインタフェース17での300μmの最終直径に減少させるように10%TDRで製作された。光は各ファイバのNAを完全に満たすように送り出された。
【0049】
10%テーパの光のNAは、入力ファイバ中の光よりも約0.02大きい(入力ファイバのNAよりも10%大きい)と測定された。このNAの増加は光学理論で予測されるものと一致する。
【0050】
TFBのNA増加は、テーパ化された第2のセクション内部のコア/クラッド・インタフェースから光が反射することに起因しているので、この反射光のNAはTDRに正比例して増加することになる。このTFBは、(i)テーパ化の結果として生じるNA増加を低減するために、かつ(ii)ネスト状ファイバの7つのすべてを出力ファイバ19の300μm直径コア以内に適合させるためにいくつかの設計要求事項を有していた。これらの競争する設計要求事項の両方を達成するために、本発明者らは、テーパ化する前に第2のセクションのファイバの各々のクラッドを薄化するのにフッ化水素(HF)エッチング・プロセスを使用した。HF水溶液は、所望のエッチング速度に応じて40体積%HFから52体積%HFの範囲であった。より速いエッチング速度はより高いHF濃度により達成された。
【0051】
エッチング・プロセスは、上述のHF溶液の浴槽を準備することと、次に、第2のセクション16の所望の長さ(すなわち、おおよそインタフェース17と出力ポート12との間の距離)に対応する深さまでファイバの端部を浴槽に漬けることとを含んでいた。ファイバ端部は、除去されるべきクラッド材料の量に応じて数十秒の期間漬けたままにされた。
【0052】
HF浴槽(エッチング液)を使用してシリカ・ファイバをエッチングすることは、例えば上記のFishteynの特許に説明されているように、当技術分野では周知である。同様に、エッチング液の濃度、エッチング液の温度、ファイバ端部がエッチング液にさらされる時間、およびファイバ端部をエッチング液に漬ける速度などのパラメータを制御することによってエッチング速度を注意深く管理することが必要であることは周知である。
【0053】
本発明者らは、2つのTFB、すなわち、第2のセクション16のファイバのクラッドをエッチングしなかったTFBと、そうするのではなく、第2のセクションのファイバをエッチングしてクラッド厚を低減した同一のTFBとを比較した。上記で述べたように、入力ファイバ・クラッドの外径は125μmであった。したがって、ネスト状ファイバの最大外径は375μmであったが、そのために、ネスト状ファイバは出力ファイバの300μm直径コア内に適合することができなかった。第2のセクションのファイバの各々のクラッドを125μmから113μmの外径(339μmのネスト状ファイバの最大外径)まで薄化するためのHFエッチングと、それに続く最小のテーパ化(約10%)とによって、本発明者らは、最小のNA増加(約0.02の)で出力ファイバの300μm直径以内に7つのファイバ・コアをすべて適合させることができた。
【0054】
本発明者らの発明の第2の態様の別の実施形態では、構成するステップ(c)は、(c1)第2のセクション16内に別個のファイバの束を形成するステップであり、それら(11c、
図3D)のうちの少なくともいくつかは第1のセクション15のファイバ(11、
図3B)よりも薄いクラッド領域(例えば、線引きしたままの)を有する、ステップと、(c2)第1および第2のセクションのファイバを互いに位置合わせするステップと、(c3)第2のセクションのファイバを第1のセクションのファイバにスプライス接続するステップとを含む。好ましい実施形態では、形成するステップ(c1)は、第2の領域16内に別個のファイバの束を形成するステップであり、それら(11c、
図3D)のすべてが第1のセクションのファイバ(11、
図3B)よりも薄いクラッド領域を有する、ステップと、上述のステップ(c2)および(c3)を行うステップとを含む。本発明者らはこの手法を使用して、本発明者らの発明の例示的な実施形態の有効性を以下のように実証した。
【0055】
実験II:より薄い線引きしたままのファイバを使用することによって構成された第2のセクションのより薄いファイバ・クラッド
ドープされていないコアおよびFドープされたクラッドをもつ多モードシリカ・ファイバが以下で説明するすべての場合に使用された。線引きしたままであり、第1のセクションのファイバよりも小さい直径を有するが、コア径は両方のセクションで同じである(105μm)ファイバの第2のセクションを形成することによって、実験Iの結果と同様の結果が達成された。これらの別個のセクションは互いに融着スプライス接続されて、
図1および2に示したタイプであるが、本発明者らの発明の本実施形態に従って変更したタイプのTFBが形成された。次に、第2のセクションが、しかもこのセクションのみがTFB技術分野で周知の技法によってテーパ化された。
【0056】
第2のセクションのファイバはすべて105μm直径コアを有していたが、異なる外径のクラッド(116μmまたは111μm)を有していた。
【0057】
NAの結果は実験Iのものと同等であった。
【0058】
上述の構成は、本発明の原理の適用例となるように工夫することができる多くの可能な特定の実施形態の単なる例示であることが理解されるべきである。多数の多様な他の構成が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によってこれらの原理に従って考案され得る。特に、例えば、本発明者らのTFBは、かなり小さい利用デバイス(例えば、200μm直径入力ポートを有するデバイス)に整合させる必要がある状況がある場合がある。そのような場合、例えば、300μm直径コア出力ファイバを利用し、300μm直径出力ポートを達成するために本発明者らの発明の先の実施形態のうちの1つを使用し、300μm出力ポートを出力ファイバの一方の端部に結合し、利用デバイスの入力ポートに整合するように出力ファイバの他方の端部を300μmから200μmまでテーパ化し、テーパ化した端部を利用デバイスの入力ポートに結合することが望ましいことがある。