(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ヒートシンクが、前記基体上に並列配置された略四角柱部材である複数の挟持部材と、前記挟持部材の間に前記放熱フィンの基端部を挿入した状態で、前記複数の挟持部材を互いに密着させる方向に前記複数の挟持部材に圧力を加えることにより、前記放熱フィンを挟持する押圧手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2記載の投光器。
前記ヒートシンクが、前記密着させる方向に直交する方向において、前記複数の挟持部材の両端部を前記基体に押し付けて保持する押付保持手段をさらに備えたことを特徴とする請求項3記載の投光器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、発光ダイオード(LED,Light Emitting Diode)を光源とする投光器の場合、光源が高温になると、発光効率を維持し、半導体を長寿命化させるために好ましくない。屋外に設置される投光器に動力源を有する冷却装置を設けることが難しいため、光源の光量をより大きくするためには、ヒートシンクの放熱効果をより向上させることが重要である。ヒートシンク本体の大きさには限界があるので、特に高い出力を有する投光器に適用されるヒートシンクにおいては、放熱性能を高めるために、投光器の発熱部分から離れる方向に放熱フィン内の熱伝達の速度を大きくすることが望まれている。しかしながら、特許文献1に示されるヒートシンクは、放熱フィンの全体が炭素繊維強化樹脂で構成されているため、放熱フィンの炭素繊維の間に充填された樹脂による熱伝導率低下の影響が大きく、放熱フィン内の熱伝達の速度が抑制されたものとなっている。
【0005】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、炭素繊維性の放熱フィンの熱伝達効率を向上させて、迅速且つ良好に放熱可能な放熱フィンを有するヒートシンクを備えた投光器を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る投光器は、炭素繊維からなる繊維層と、炭素繊維を樹脂で補強した補強層であって、前記繊維層を挟んで設けられた一対の補強層とを有する放熱フィンと、該放熱フィンに接続される基体とを有するヒートシンクを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
上記「炭素繊維を樹脂で補強した」とは、複数の炭素繊維間に樹脂を含浸させて強化したことを意味し、例えば、いわゆる炭素繊維強化樹脂、あるいは、炭素繊維強化樹脂となる前の炭素繊維に樹脂を含浸させた成
形用中間材料であるプリプレグが炭素繊維を樹脂で補強したものに相当する。また、上記「補強層」は、実質的に複数の炭素繊維間に樹脂を含浸させて強化したとみなせるものであれば、炭素繊維と樹脂のみからなるものだけでなく、実質的に炭素繊維と樹脂による放熱性能と軽量化と形状維持の効果を維持できる範囲で、別の材料が含まれているものも含む。
【0008】
なお、上記「繊維層」は、実質的に炭素繊維のみからなるものであるとみなせるものであれば、炭素繊維のみからなるものだけでなく、実質的に炭素繊維による放熱性能と軽量化の効果を維持できる範囲で、別の材料が含まれているものも含む。
【0009】
また、上記放熱フィンは「炭素繊維からなる繊維層と、炭素繊維を樹脂で補強した補強層であって、前記繊維層を挟んで設けられた一対の補強層」を有するものであれば、すなわち、繊維層を補強層でサンドイッチした構造を有するものであれば、さらなる層を備えてもよい。例えば、補強層、繊維層、補強層を順に積層した3層構成であってもよく、補強層、繊維層、補強層、繊維層、補強層の順に積層された5層構成としてもよく、さらに繊維層と補強層を交互に任意の回数積層したものとしてよい。また、例えば、補強層、繊維層、補強層を順に積層した3層に加えて、さらなる保護層など任意の層を設けてもよい。
【0010】
上記「接続される」とは、ヒートシンクの基体から放熱フィンに熱を伝えることができるように固定されることを意味する。なお、放熱フィンは、ヒートシンクの基体から放熱フィンに熱を伝えることができるように接続されるものであれば、いかなる方法でヒートシンクの基体に接続されていてもよいが、放熱効率を高めるために、基体の熱を伝える部分が放熱フィンに直接接触していることが好ましい。また、例えば、放熱フィンを、炭素繊維よりも高い熱伝導率を有する素材から構成される間接部材に当接させ、間接部材を任意の方法で基体に固定することにより、間接部材を介して放熱フィンと基体とを熱交換可能に固定してもよい。
【0011】
また、上記投光器において、前記繊維層は、該繊維層における前記炭素繊維の伸びる方向が前記基体から離れる方向に平行になるように構成されていることが好ましい。
【0012】
また、前記ヒートシンクは、前記基体上に並列配置された略四角柱部材である複数の挟持部材と、前記挟持部材の間に前記放熱フィンの基端部を挿入した状態で、前記複数の挟持部材を互いに密着させる方向に前記複数の挟持部材に圧力を加えることにより、前記放熱フィンを挟持する押圧手段をさらに備えていることが好ましい。
【0013】
また、前記ヒートシンクは、前記密着させる方向に直交する方向において、前記複数の挟持部材の両端部を前記基体に押し付けて保持する押付保持手段をさらに備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の投光器によれば、炭素繊維からなる繊維層と、炭素繊維を樹脂で補強した補強層であって、前記繊維層を挟んで設けられた一対の補強層とを有する放熱フィンと、該放熱フィンに接続される基体とを有するヒートシンクを備えたことにより、放熱フィンの外形を保持しつつ、放熱フィン内に高い熱伝導率を有する繊維層による放熱経路を確保することができる。このため、基体からの熱を基体から離れる方向に迅速且つ良好に伝えることができ、放熱フィンの熱伝導効率を向上させて良好な放熱性能を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るヒートシンクを備えた投光器の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る投光器100の概略構成を示す斜視図であり、
図2は、
図1の投光器100を構成するヒートシンク10の概略構成を示す斜視図であり、
図3は、
図2に示すヒートシンク10の構成を模式的に示す概略図であり、
図4は、
図2のヒートシンク10を構成する放熱フィン1の構成を模式的に示す図であり、
図5は、
図2に示すヒートシンク10のA−A断面図であり、
図6は、
図2に示すヒートシンク10のB−B断面図である。なお、
図3は、説明のため、
図2とは角度を異ならせ、
図2における一部の部品を省略してヒートシンク10を示している。
【0017】
投光器100は、発熱源となる光源としての複数の発光ダイオード素子が配設されている図示しない基板と、基板を包囲するように取り付けられたリフレクタ32と、基板の全面が密接するように設けられる基体11を有するヒートシンク10と、ヒートシンク10の両側面に設けられる不図示の回転軸を介してヒートシンク10を回転可能に支持する本体支持部34と、ヒートシンク10を本体支持部34に対して所望の姿勢で保持するための姿勢ネジ35とを備える。なお、本体支持部34には、本体支持部34に対する投光器本体の角度を示す角度標識板が備えられている。投光器100を手動で回転させながら所望の照射方向に合わせて適する姿勢に位置決めした後で姿勢ネジ35を締め付けることにより、ヒートシンク10の回動が制限されて投光器100の姿勢が保持される。
【0018】
図2、3、5および6に示すように、投光器100のヒートシンク10は、基板からの熱を受け取るために不図示の基板に接続された基体11と、基体11に接続され、Z軸方向に並列配置された複数の放熱フィン1と、基体11からY軸方向に立設され全体として断面略扇形状の4本の支柱16と、4本の支柱16の先端部に固定され、複数の放熱フィン1をY軸方向に保護する蓋板2
1と、基体11のZ軸方向の一端部に固定された第1固定部材14と、および基体11のZ軸方向の他端部に固定された第2固定部材15と、第1固定部材14と第2固定部材15にそれぞれ固定されてY軸方向に立設した一対の保護板22A、22Bと、一対の保護板22A、22Bに架け渡されるように固定され、複数の放熱フィン1をZ軸方向に貫通する2本の補強材18を備える。一対の保護板22A、22Bは、Z軸方向の外力に対して放熱フィン1を保護するものであり、複数の放熱フィン1を挟んで各放熱フィン1に平行に設けられている。また、一対の保護板22A、22Bは、ヒートシンク10の軽量化と放熱性能の向上のために、それぞれ炭素繊維強化樹脂によって構成されている。また、蓋板2
1には、放熱フィン1と外気との熱交換を高めるように不図示の複数の開放孔が設けられている。
【0019】
また、ヒートシンク10は、放熱フィン1を基体11に接続するための好ましい構成として、基体11上に並列配置された略四角柱部材である複数の挟持部材12と、複数の挟持部材12を挟んで対向する位置に設けられた第1固定部材14および第2固定部材15と、第1固定部材14の挿入孔14Aに挿入されて複数の挟持部材12を密着させる方向(図中Z方向)に向かって複数の挟持部材12を締め付ける押圧ネジ13と、挟持部材12のX軸方向における両端部にそれぞれ設けられ、複数の挟持部材12を基体11に押し付けて保持するための一対の押付部材19と、押付部材19を基体11に固定するための位置決めネジ20を備える。本実施形態における第1固定部材14と第2固定部材15と押圧ネジ13とは、挟持部材12の間に放熱フィン1の基端部を挿入した状態で、複数の挟持部材12を互いに密着させる方向に複数の挟持部材12に圧力を加えることにより、放熱フィン1を挟持する押圧手段に相当する。また、押付部材19と位置決めネジ20とは、複数の挟持部材12の上記密着させる方向に直交する方向における両端部を基体11に押し付けて保持する押付保持手段に相当する。なお、
図3において、ヒートシンク10の支柱16と保護板22A、22Bと蓋板2
1と補強材18は省略されている。
【0020】
図4に示すように、本実施形態に係る放熱フィン1は、炭素繊維からなる繊維層2と、炭素繊維を樹脂で補強した補強層3であって、繊維層2を挟んで設けられた一対の補強層3とを有する。
【0021】
繊維層2は、炭素繊維から構成される層である。繊維層2は、実質的に炭素繊維素材のみからなるものであるとみなせるものであればよく、炭素繊維のみからなるものだけでなく、実質的に炭素繊維による放熱性能と軽量化の効果を維持できる範囲で、別の材料が含まれているものも含む。繊維層2は、基端部において基体11に接続され、基体11から離れる方向に向かって伸びる形状である。このため、放熱フィン1が繊維層2を備えることにより、放熱フィン1中に繊維層2による良好な放熱経路を確保することができ、基体11から離れる方向に迅速かつ効率よく熱を伝えることができる。
【0022】
繊維層2は、良好な熱伝導性能を有する炭素繊維であればいかなる素材から構成してもよく、例えば特許文献1に示されるようなピッチを原料とするピッチ系炭素繊維から構成されてもよく、ポリアクリロニトリル(PAN)を原料とするPAN系炭素繊維から構成されてもよい。本実施形態においては、繊維層2はピッチ系炭素繊維からなる。
【0023】
また、繊維層2に含まれる炭素繊維の伸びる方向は、基体11から離れる方向である
図3に示すY軸方向に略平行に構成されている。このように、繊維層2に含まれる繊維の方向が基体11から離れる方向に平行になるように放熱フィンを構成した場合には、基体11から離れる方向と繊維層2の炭素繊維の伸びる方向が一致しているため、繊維層2の炭素繊維の伸びる方向である基体11から離れる方向により迅速に熱を伝達することができる。また、ヒートシンクの冷却対象物の種類や使用目的に応じて、繊維層2を複数の方向に熱を伝達しやすくしたい場合には、炭素繊維の方向を、熱を伝達したい各方向に向かうように任意に組み合わせて繊維層2を形成してもよい。
【0024】
また、高い放熱性能を得るために、繊維層2の厚さを大きくすることが好ましい。また、放熱フィン1の形状の保持、軽量化、低コスト化のためには、繊維層2の厚さを小さくすることが好ましい。ここでは、繊維層2を約0.2mmとしている。例えば、繊維層2を約0.05mm以上の厚さとすることができる。このように、所望の放熱性能を維持可能な範囲で繊維層2の厚さを小さくすることにより、高い放熱性能を実現しつつ、放熱フィン1の省スペース化、軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0025】
補強層3は、炭素繊維と樹脂から構成される層であって、複数の炭素繊維間に樹脂を含浸させて強化したものである。補強層3は、複数の炭素繊維間に樹脂を含浸させて強化されたものであればよく、例えば、いわゆる炭素繊維強化樹脂、あるいは、炭素繊維強化樹脂となる前の炭素繊維に樹脂を含浸させた成
形用中間材料であるプリプレグとすることができる。また、補強層3は、実質的に複数の炭素繊維間に樹脂を含浸させて強化したとみなせるものであれば、炭素繊維と樹脂のみからなるものだけでなく、実質的に炭素繊維に樹脂による放熱性能と軽量化と形状維持の効果を維持できる範囲で、別の材料が含まれているものも含む。
【0026】
また、本実施形態における放熱フィン1において、一対の補強層3が繊維層2を挟んで設けられている。このため、高い熱伝導率を有する繊維層2を好適に保持しつつ、放熱フィン1の外形を保持して、放熱フィン1の強度の確保と放熱フィン1内の熱伝達の速度の向上の両方を実現することができる。また、補強層3を炭素繊維強化樹脂とした場合には、放熱フィン1をより強固に保持することができる。また、補強層3をプリプレグとした場合には、補強層3を炭素繊維強化樹脂とした場合よりも補強層3の熱伝導率を高くすることができ、好適な放熱性能を実現することができる。
【0027】
また、補強層3に含まれる炭素繊維は、ピッチ系炭素繊維から構成されてもよく、PAN系炭素繊維から構成されてもよい。また、放熱フィン1を構成する複数の補強層3は、ピッチ系の炭素繊維からなる層とPAN系の炭素繊維からなる層を組み合わせて構成されたものであってもよい。
【0028】
本実施形態においては、一対の補強層3はピッチ系炭素繊維からなり、補強層3の炭素繊維の伸びる方向は、基体11から離れる方向である
図3に示すY軸方向に略平行に構成されている。補強層3は、炭素繊維間に充填された樹脂の影響を受けて、繊維層2よりも放熱性能はやや劣るものの、補強層3に内包される炭素繊維による放熱性能を有するものである。このため、補強層3に含まれる炭素繊維によって、熱を伝達したい方向である基体11から離れる方向に向かってより迅速に熱を伝達してより放熱性能を高めることができる。また、ヒートシンクの冷却対象物の種類や使用目的に応じて、補強層3を複数の方向に熱を伝達しやすくしたい場合には、炭素繊維の方向を、熱を伝達したい各方向に向かうように任意に組み合わせて補強層3を形成してもよい。
【0029】
また、ここでは、補強層3と繊維層2の全ての層の厚みをそれぞれ約0.2mmとしている。放熱性能を高めるためには、放熱フィン1の外形を保持できる範囲内で補強層3に対してできるだけ繊維層2の割合を大きくすることが好ましい。このように、補強層3を、放熱フィン1の外形を保持できる範囲内でできるだけ小さな厚みとなるように構成することにより、高い放熱性能を実現するとともに、放熱フィン1の外形を好適に保持することができる。また、好適に放熱フィン1の軽量化を図ることができる。
【0030】
なお、補強層3の樹脂の割合は、放熱フィン1の外形を保持できる範囲内でできるだけ小さいほうが好ましい。このことにより、放熱フィン1のさらなる軽量化とより高い放熱性能を実現することができる。例えば、補強層3の炭素繊維と樹脂の比率を8:2〜7:3とすることができる。
【0031】
また、放熱フィン1は、上記繊維層2を補強層3でサンドイッチした構造を有するものであれば、さらなる層を備えてもよく、繊維層2を補強層3でサンドイッチした構造を複数備えてもよい。例えば、
図1に係るヒートシンク10は、
図4に示す3層構成の放熱フィン1に代えて、補強層3、繊維層2、補強層3、繊維層2、補強層3の順に5層構成とした放熱フィン1を備えるようにしてもよい。また、例えば、補強層、繊維層以外にさらなる保護層など任意の層を任意の厚みで任意の数設けてもよい。また、本実施形態のように、放熱フィン1を0.4mm−1mmの厚さの薄板形状とした場合には、ヒートシンク10内に放熱フィン1を互いに適切に離間しつつ多数配置することができ、ヒートシンク10の放熱性能をより高めることができる。
【0032】
また、繊維層2と補強層3を任意の枚数分重ねて放熱フィン1を形成する場合に、発熱体の接続される部分がいつも固定されている場合など、熱を伝えたい方向が既知である場合には、各繊維層2と補強層3の炭素繊維の方向を、熱を伝えたい方向に一致させることが好ましい。一方、発熱体の接続される部分が変動する場合など、熱を伝えたい方向が複数存在する場合には、各層の炭素繊維の伸びる方向を異ならせてもよい。
【0033】
本実施形態における放熱フィン1の製造方法を説明する。まず、X軸方向の長さ255mm、Y軸方向の長さ155mm、Z軸方向の長さ(厚み)0.2mmの矩形の1枚のピッチ系炭素繊維シートと、同形状のピッチ系炭素繊維シートに樹脂を含浸した2枚のプリプレグシートとを用意し、プリプレグシート、ピッチ系炭素繊維シート、プリプレグシートの順番に重ねて配置する。なお、炭素繊維シートとプリプレグシートは、各シートを構成する炭素繊維の方向が同一方向となるように重ねられて配置されている。そして、60分間130°Cに加熱しつつプレスする(200t)。その後、10℃の水で約30分間冷却することにより、放熱フィン1が製造される。上記のように、放熱フィンを製造した場合には、簡易な工程で低コストに放熱フィン1を形成できる。
【0034】
なお、放熱フィン1は、繊維層2を一対の補強層3でサンドイッチした構造を備えた放熱フィン1を得られるものであれば、任意の製造方法を適用可能である。例えば、プリプレグシート、炭素繊維シート、プレプリグシートの順に重ねて配置した3枚のシートを、オートクレーブ成形により加熱してプレプリグシートを硬化させて炭素繊維強化樹脂とすることにより、放熱フィンを製造してもよい。また、放熱フィン1の補強層3をプリプレグシートによって構成してもよい。この場合には、例えば、プリプレグシート、炭素繊維シート、プリプレグシートを、この順に重ねて配置し、繊維層2と補強層3との間を所望の熱伝導率を備えた熱伝導性樹脂などで接着することにより放熱フィン1を製造することができる。
【0035】
以下に、放熱フィン1を基体11に接続するための好ましい構成について以下に説明する。
【0036】
図3,5などに示すように、ヒートシンク10は、基体11の各部材に熱伝導可能に接続するための接続面上に、Z方向に並列配置された略四角柱形状の複数の挟持部材12と、基体11上のZ軸方向の一端部に固定された略四角柱形状の第1固定部材14と、基体11上のZ軸方向の他端部に固定され、第1固定部材14と略平行に延びる略四角柱形状の第2固定部材15とを備える。第1固定部材14と第2固定部材15はZ軸方向に複数の挟持部材12を挟んで対向する位置に設けられている。第1固定部材14にはZ軸方向に貫通する2つの挿通孔14Cが設けられている。隣接する挟持部材12の間に各放熱フィン1の所定の幅の基端部をそれぞれ挿入した状態で、押圧ネジ13を2つの挿通孔14Cにそれぞれ挿入して締め付けると、押圧ネジ13のネジ先が挟持部材12(
図5右端の挟持部材12)の側面に
図5におけるZ軸方向の負の向きに押しつけられる。これによって、複数の挟持部材12が互いに密着する向きに(
図5におけるZ軸方向の負の向きに)押圧されて、複数の挟持部材12の間隔が狭められることにより放熱フィン1の基端部を挟持する。
【0037】
本実施形態によれば、基体11上に略四角柱部材である複数の挟持部材12を並列配置し、挟持部材12の間に放熱フィン1の基端部を挿入した状態で、複数の挟持部材12を互いに密着させる方向に複数の挟持部材12に圧力を加える押圧手段を備えたことにより、簡易な構成により、放熱フィン1をしっかりと当接させて挟持することができる。また、挟持部材12を放熱フィン1の所定の幅の基端部に押し当てて挟持することにより、挟持部材12と放熱フィン1とが当接する面積を確保して、放熱フィン1の厚みを小さくした場合でも好適に放熱フィン1を保持することができる。また、基体11に平坦な接続面を設けて、平坦な面に略四角柱部材である複数の挟持部材12を並列配置し、挟持部材12の間に放熱フィン1を挟持しているため、基体11から略垂直方向に延びるように放熱フィン1を固定して、基体11から離れる方向に好適に熱伝導効率を高めることができる。
【0038】
また、挟持部材12は高い熱伝導率を有するアルミニウム素材から構成されている。このように、高い熱伝導率を有する素材で構成される挟持部材12を基体11に固定し、挟持部材12を密着させて放熱フィン1をすることにより、挟持部材12を介して基体11から放熱フィン1に好適に熱を伝えることができ、ヒートシンク10の放熱性能をより高めることができる。
【0039】
また、さらに放熱性能を高めるために、放熱フィン1の基端部において補強層3の樹脂を部分的に除去して補強層3の炭素繊維を露出させることが好ましい。この場合には、挟持部材12に補強層3の炭素繊維を直接当接させることができるため、補強層3の炭素繊維の伸びる方向に効率良く熱を伝えることができ、さらに放熱効果を向上させることができる。
【0040】
押圧手段は、基体11上に略四角柱部材である複数の挟持部材12を並列配置し、挟持部材12の間に放熱フィン1の基端部を挿入した状態で、複数の挟持部材12を互いに密着させる方向に複数の挟持部材12に圧力を加えることができるものであれば、任意の構成としてよい。また、本実施形態では、複数の挟持部材を密着させる方向に複数の挟持部材12を片側から押圧する構成としたが、複数の挟持部材を密着させる方向に複数の挟持部材を両側から押圧する構成としてもよい。また、本実施形態は、第1固定部材14と第2固定部材15のそれぞれを2つの角柱形状の部材からなるものとしたが、例えば、1つの角柱形状の部材からなるものとしてもよい。
【0041】
なお、本実施例においては、第1固定部材14は2つの四角柱形状の第1部材14A、第2部材14Bから構成され、第1部材14A、第2部材14Bの間に保護板22Aの基端部を挿入して挟持した状態で第1部材14Aに第2部材14Bをネジ止めして固定している。また、第2固定部材15は2つの角柱形状の第1部材15A、第2部材15Bから構成され、第1部材15A、第2部材15Bの間に保護板22Bの基端部を挿入して挟持した状態で、第1部材15Aに第2部材15Bをネジ止めして固定している。なお、上記実施形態に限定されず、第1固定部材14と第2固定部材15に保護板22A、22Bを保持する機能を備えないものとして構成してもよく、保護板22A、22Bを省略してもよい。
【0042】
また、
図3、6などに示すように、ヒートシンク10は、さらに、押付部材19が、基体11のX軸方向(複数の挟持部材12が互いに密着する方向に直交する方向)の両端部にそれぞれ配置されている。押付部材19は、断面L字型形状の長手部材であり、基体11に固定される基部19Aと、基部19Aから略垂直方向に延び、複数の挟持部材12の端部を基体11側(
図6におけるY軸方向負の向き)に押し付けて固定する押圧部19Bからなる。基部19Aには、位置決め孔19Cが設けられている。
図3、
図6に示すように、押圧部19Bを基体11上に並列配置された複数の挟持部材12のX軸方向の一方の端部に当接させるとともに、基部19Aを基体11のX軸方向の側壁に当接する位置に配置し、位置決めネジ20を基部19Aの位置決め孔19Cに挿通して、基体11のX軸方向の側壁に設けられた不図示のネジ穴に螺合することにより、押付部材19が基体11に固定される。
【0043】
また、本実施形態において、位置決めネジ20を固定位置まで締め付けると、押圧部19Bが複数の挟持部材12の端部を基体11に押し付けた状態(
図6におけるY軸方向負の向き押しつけた状態)に相対的に位置決めされるように、位置決め孔19Cが設けられている。このため、位置決めネジ20を固定位置まで締め付けることにより、押圧部19Bにより複数の挟持部材12を基体11に好適に密着させて押圧保持することができる。また、本実施形態において、押付部材19を位置決め固定するためのネジとして、皿ネジを用いている。このように、ネジ頭部分にネジ頭側に向かう程径が大きくなる略円錐台形状を有する位置決めネジ20を用いて基部19Aと基体11を固定することにより、位置決めネジ20を締め付けるほど位置決め孔19Cと位置決めネジ20の円錐台部分との間隙が小さくなり、押圧部19Bにより複数の挟持部材12を基体11により好適に密着させて押圧保持することができる。
【0044】
なお、上記実施形態に拘わらず、押付保持手段を複数の挟持部材12の両端部を基体11に押し付けて保持することができる任意の構成としてよい。例えば、皿ネジの替わりに、他のネジを用いてもよい。また、例えば、基部19Aや押圧部19Bは、挟持部材12を基体11に固定できる構成であれば、任意の形状としてよく、複数の部品により構成してもしてよい。
【0045】
また、本実施形態において、放熱フィン1は隣接する挟持部材12に挟持された状態で、放熱フィン1の基端部側の端面と、挟持部材12が基体11に接する面とが、挟持部材12を基体11に押圧する方向であるY軸方向に略同一の位置に配置されている。このため、挟持部材12を基体11に押圧して固定することにより、挟持部材12に挟持された放熱フィン1の繊維層2の端面を基体11に好適に密着させて、基体11から繊維層2に好適に熱を伝えることができ、放熱効果をより高めることができる。なお、放熱フィン1は、ヒートシンク10の基体11から放熱フィン1の繊維層2に熱を伝えることができるように固定されるものであれば、他の方法で固定されてよい。
【0046】
以上に示すように、本実施形態に係る投光器100は、炭素繊維からなる繊維層2と、炭素繊維を樹脂で補強した補強層3であって、繊維層2を挟んで設けられた一対の補強層3とを有する放熱フィン1と、放熱フィン1に接続される基体11とを有するヒートシンク10を備えたことにより、放熱フィンの外形を保持しつつ、放熱フィン内に高い熱伝導率を有する繊維層による放熱経路を確保することができる。このため、基体からの熱を基体から離れる方向に迅速且つ良好に伝えることができ、熱伝達効率を向上させて放熱フィン全体に迅速かつ良好に熱を行き渡らせて良好な放熱性能を実現することができる。また、金属等で放熱フィン1を構成する場合よりも、放熱フィン1を軽量化することができる。
【0047】
本実施形態では、
図1に示すヒートシンク10の例では、第1固定部材14、第2固定部材15、支柱16など、放熱フィン1と保護板22A、22B以外の構成のほぼ全てをアルミニウムで構成している。ヒートシンク10を構成する各部材を上記のように軽量で熱伝導率の高い素材で構成することにより、好適に放熱性能を高めつつ、軽量化を図ることができる。このため、放熱対象の投光器100の全体で20kg程度の質量となるところ、本実施形態の構成にすることより、半分以下程度の質量に軽量化が見込まれる。
【0048】
なお、上記実施形態に限定されず、放熱フィン1の間隔、枚数、大きさなどを任意の構成としてよい。また、ヒートシンク10全体としてその機能を発揮のできるものであれば、基体11を、放熱フィン1に接続可能な任意の形状に構成することができ、熱伝導性の高い素材であれば、任意の素材で構成できる。また、同様に、ヒートシンク10全体としてその機能を発揮できるものであれば、一部の部品を省略してもよく、新たな構成を追加してもよく、任意の構成することができる。
【0049】
また、本実施形態に限定されず、様々なサイズの様々な種類の照明手段が搭載された投光器に、本実施形態の投光器を適用することができ、放熱対象の照明手段とヒートシンクを熱交換可能な任意の方法によって接続することができる。特に、発光ダイオードを用いた照明手段が搭載された投光器に、本実施形態の投光器を適用した場合には、軽量化、放熱性能の向上を好適に実現でき、投光器の高寿命化を図ることができる。
【0050】
以上説明した本発明は、この発明の精神および必須の特徴的事項から逸脱することなく他のいろいろな形態で実施することができる。したがって、本明細書に記載した実施例は例示的なものであり、これに限定して解釈されるべきものではない。