(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被測定物の測定内容に応じて装置本体のスロット(S)に着脱可能に装着され、有線系の通信規格に基づく前記被測定物の測定を行うための複数の測定ハードウェア(5A)と、設定内容に応じて前記複数の測定ハードウェアを任意に組み合わせて制御するための複数の測定アプリケーション(11)とを備えたネットワーク試験装置(1)であって、
前記ネットワーク試験装置の資源を管理する資源管理部(7a)と、日付が変わったとき、装置の稼働時間が指定時間を経過したとき、前記測定ハードウェアの稼働時間が指定時間を経過したとき、前記測定ハードウェアが交換されたとき、前回自己診断を実施したときから指定時間が経過したとき、前記測定ハードウェアの異常が検出されたとき、自己診断の異常が検出されたときの何れかの条件、又は前記条件を選択的に組み合わせた条件を自己診断実行条件とし、前記資源管理部が管理する資源の使用状況、時間情報、日付情報に基づいて装置起動時に前記自己診断実行条件を満たすか否かを判別する判別部(7c)とを含み、該判別部が前記自己診断実行条件を装置起動時に満たすと判断したときのみ自己診断を実行する処理制御部(7)を備えたことを特徴とするネットワーク試験装置。
有線系の通信規格に基づく被測定物の測定を行うための複数の測定ハードウェア(5A)を前記被測定物の測定内容に応じて装置本体のスロット(S)に着脱可能に装着し、複数の測定アプリケーション(11)により前記複数の測定ハードウェアを設定内容に応じて任意に組み合わせて制御するネットワーク試験方法であって、
ネットワーク試験装置(1)の資源を管理するステップと、
日付が変わったとき、装置の稼働時間が指定時間を経過したとき、前記測定ハードウェアの稼働時間が指定時間を経過したとき、前記測定ハードウェアが交換されたとき、前回自己診断を実施したときから指定時間が経過したとき、前記測定ハードウェアの異常が検出されたとき、自己診断の異常が検出されたときの何れかの条件、又は前記条件を選択的に組み合わせた条件を自己診断実行条件とし、前記管理する資源の使用状況、時間情報、日付情報に基づいて装置起動時に前記自己診断実行条件を満たすか否かを判別するステップと、
前記自己診断実行条件を装置起動時に満たすと自己診断を実行するステップとを含むことを特徴とするネットワーク試験方法。
【背景技術】
【0002】
特定の信号方式として、例えば、SDH(Synchronous Digital Hierarchy ),PDH(plesiochronous digital hierarchy),OTN(Optical Transport Network ),Ethernet(登録商標)などの有線系の各種通信規格に基づく被測定物の各種測定を行う機能を有するネットワーク試験装置では、複数の測定ハードウェアと複数の測定アプリケーションを1台の装置に備えている。この種のネットワーク試験装置では、個々の測定アプリケーションが一定の手順に沿って所定の測定ハードウェアを制御することにより被測定物の測定を行い、その測定結果をユーザに提供している。
【0003】
そして、この種の複数の測定ハードウェアと複数の測定アプリケーションを1台の装置に備えたネットワーク試験装置としては、例えば下記特許文献1に開示される測定装置が知られている。特許文献1に開示される測定装置は、各種測定内容の複数の測定アプリケーションが記憶された共通ユニットと、バッテリユニットとの間に、測定ハードウェアとしての測定ユニットを挟み込むようにそれぞれコネクタ接続され、測定内容に応じて測定ユニットの増設、取り外し、組み換えが自由に行える構成となっている。
【0004】
これにより、1つの測定アプリケーションが1つの測定ハードウェアを制御するだけでなく、1つの測定アプリケーションが複数の測定ハードウェアを連動して制御したり、1台の測定装置上で複数の測定アプリケーションを同時に並行起動して実行することが可能であり、様々な形態で被測定物の測定を行うことができる。
【0005】
なお、下記特許文献2には、同様のネットワーク試験装置として、複数のポートを備えた送受信モジュールが筐体内に複数収容され、これら送受信モジュールと被測定物との間のデータの送受信により被測定物の様々な測定を行う測定装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した特許文献1や特許文献2を含む従来のネットワーク試験装置は、装置自身が正常に動作可能であるか否かを判定する自己診断機能を備えている。そして、この種のネットワーク試験装置では、ユーザが所望する試験内容に応じて測定ユニットの増設、取り外し、組み換えが自由に行える構成となっており、使用環境が不定期に変わる恐れがあるため、装置を起動した際に毎回自己診断を行っていた。
【0008】
このように、従来のネットワーク試験装置では、毎回起動時に自己診断を行うため、自己診断が終了するまでの待ち時間がユーザにとってストレスの要因になることがあった。しかも、自己診断が不要な場合であっても必ず実行されてしまうので、その分が余計な時間を消費し、装置を起動から即座に被測定物の測定を開始することができなかった。
【0009】
このため、被測定物の測定を行う場合には、必要なときだけ自己診断を行い、起動時間を短縮して速やかに使用可能な状態に移行することができるネットワーク試験装置の提供が望まれていた。
【0010】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、起動時間の短縮を図ることができるネットワーク試験装置及びネットワーク試験方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載されたネットワーク試験装置は、被測定物の測定内容に応じて装置本体のスロットSに着脱可能に装着され、有線系の通信規格に基づく前記被測定物の測定を行うための複数の測定ハードウェア5Aと、設定内容に応じて前記複数の測定ハードウェアを任意に組み合わせて制御するための複数の測定アプリケーション11とを備えたネットワーク試験装置1であって、
前記ネットワーク試験装置の資源を管理する資源管理部7aと、日付が変わったとき、装置の稼働時間が指定時間を経過したとき、前記測定ハードウェアの稼働時間が指定時間を経過したとき、前記測定ハードウェアが交換されたとき、前回自己診断を実施したときから指定時間が経過したとき、前記測定ハードウェアの異常が検出されたとき、自己診断の異常が検出されたときの何れかの条件、又は前記条件を選択的に組み合わせた条件を自己診断実行条件とし、前記資源管理部が管理する資源の使用状況、時間情報、日付情報に基づいて装置起動時に前記自己診断実行条件を満たすか否かを判別する判別部7cとを含み、該判別部が前記自己診断実行条件を装置起動時に満たすと
判断したときのみ自己診断を実行する処理制御部7を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載されたネットワーク試験装置は、請求項1のネットワーク試験装置において、
前記資源管理部(7a)は、測定の開始が指示されたときに、少なくとも前記スロット(S)毎の測定ハードウェア(5A)の装着状態、前記スロット毎の測定ポート(5a)の空き状態、前記測定ポート毎の使用者情報、前記スロット毎の測定ハードウェアの種類を前記ネットワーク試験装置(1)の資源として管理することを特徴とする。
請求項3に記載されたネットワーク試験装置は、請求項1又は2のネットワーク試験装置において、
前記指定時間は、ユーザ毎の前記ネットワーク試験装置(1)の使用形態の違いや各測定ハードウェア(5A)毎の使用頻度に応じて予め設定されることを特徴とする。
【0013】
請求項
4に記載されたネットワーク試験方法は、有線系の通信規格に基づく被測定物の測定を行うための複数の測定ハードウェア5Aを前記被測定物の測定内容に応じて装置本体のスロットSに着脱可能に装着し、複数の測定アプリケーション11により前記複数の測定ハードウェアを設定内容に応じて任意に組み合わせて制御するネットワーク試験方法であって、
ネットワーク試験装置1の資源を管理するステップと、
日付が変わったとき、装置の稼働時間が指定時間を経過したとき、前記測定ハードウェアの稼働時間が指定時間を経過したとき、前記測定ハードウェアが交換されたとき、前回自己診断を実施したときから指定時間が経過したとき、前記測定ハードウェアの異常が検出されたとき、自己診断の異常が検出されたときの何れかの条件、又は前記条件を選択的に組み合わせた条件を自己診断実行条件とし、前記管理する資源の使用状況、時間情報、日付情報に基づいて装置起動時に前記自己診断実行条件を満たすか否かを判別するステップと、
前記自己診断実行条件を装置起動時に満たすと自己診断を実行するステップ
とを含むことを特徴とする。
【0014】
請求項
5に記載されたネットワーク試験方法は、請求項
4のネットワーク試験方法において、
測定の開始が指示されたときに、少なくとも前記スロット(S)毎の測定ハードウェア(5A)の装着状態、前記スロット毎の測定ポート(5a)の空き状態、前記測定ポート毎の使用者情報、前記スロット毎の測定ハードウェアの種類を前記ネットワーク試験装置(1)の資源として管理するステップを含むことを特徴とする。
請求項6に記載されたネットワーク試験方法は、請求項4又は5のネットワーク試験方法において、
ユーザ毎の前記ネットワーク試験装置(1)の使用形態の違いや各測定ハードウェア毎の使用頻度に応じて前記指定時間を設定するステップを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、自己診断条件を満たしたときのみ自己診断が行われるので、自己診断の目的を損なうことなく、起動時間の短縮を図って速やかに装置を使用可能にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
本発明に係るネットワーク試験装置及びネットワーク試験方法は、特定の信号方式(例えば、SDH(Synchronous Digital Hierarchy ),PDH(plesiochronous digital hierarchy),OTN(Optical Transport Network ),Ethernet(登録商標)などの有線系の各種通信規格)に基づく被測定物(例えば、ルータ、ハブ、伝送装置などの複数のポートを有するデータ伝送システム)の複数種類の測定を1台の装置で可能とし、装置起動時に予め決めた自己診断実行条件を満たすときのみ、装置自身が正常に動作可能であるか否かを判定する自己診断の機能を有するものである。
【0019】
(ネットワーク試験装置の全体構成について)
ネットワーク試験装置1は、装置本体をなす筐体に対し、
図1に示すように、操作部2、入出力部3、記憶部4、測定ハードウェア部5、表示部6、処理制御部7を備えている。
【0020】
ネットワーク試験装置1は、装置本体をなす筐体に複数のスロットS(
図1の例では、3つのスロットS1,S2,S3)が設けられている。各スロットS1,S2,S3には、測定ハードウェア部5の複数の測定ハードウェア5A(測定ハードウェアA、測定ハードウェアB、測定ハードウェアC)が被測定物の測定内容に応じて任意に着脱交換可能に装着される。
【0021】
操作部2は、装置本体をなす筐体に設けられ、例えば各種キー、スイッチ、ボタンなどで構成される。操作部2は、被測定物の測定開始や停止の指示を行うとき、後述する設定ファイル12の各種設定を表示部6の表示画面上で行うとき、後述する自己診断実行条件14の詳細内容を決めるときなどに適宜操作される。
【0022】
入出力部3は、例えば外部端末(PCなど)や外部記憶媒体(USBメモリ、外付けハードディスクなど)と接続される外部インターフェースで構成される。入出力部3は、処理制御部7により外部端末や外部記憶媒体との間の情報のやり取りが制御され、後述する設定ファイル12や測定結果ファイル13の入力や出力を行っている。
【0023】
記憶部4は、被測定物の各種測定に必要不可欠な測定アプリケーション11(
図1の例では、2つの測定アプリケーション11a,11b)、設定ファイル12、測定結果ファイル13、自己診断実行条件14を記憶している。
【0024】
測定アプリケーション11は、処理制御部7が複数の測定ハードウェア5Aを任意に組み合わせて制御する際の被測定物の所定種類の測定(例えば、誤り検出測定、遅延測定、パケット損失測定、スループット測定など)を行うための一連の処理プログラムからなるソフトウェアで構成される。測定アプリケーション11は、誤り検出測定、遅延測定、パケット損失測定、スループット測定などの被測定物の測定内容の種類と、SDH,PDH,OTN,Ethernet(登録商標)などの信号方式に応じて選択される。
【0025】
尚、
図1の例では、測定アプリケーション11(11a,11b)として、測定アプリケーションαと測定アプリケーションβを図示しているが、その数が限定されるものではない。
【0026】
設定ファイル12は、被測定物に対してどんな測定を行いたいかを示すファイルであり、ネットワーク試験装置1によって被測定物の測定を行う際に、被測定物の測定内容に応じて操作部2の操作により適宜設定される情報からなり、記憶部4に一時的に保存記憶される。尚、設定ファイル12は、測定の終了・開始とは無関係に、ユーザの操作により任意のタイミングで生成される。但し、ユーザが必要な設定操作を済ませたことを前提とする。
【0027】
さらに説明すると、設定ファイル12は、基本設定情報、使用通信方式・レート情報、ポート数情報、使用ポート情報から構成される。
【0028】
基本設定情報は、測定ハードウェア5Aによる被測定物の測定に必要な測定アプリケーション11(11a,11b)毎の基本的な設定情報からなる。基本設定情報の具体例としては、信号生成基準クロックの選択(内部水晶、又は外部信号取り込み)、SDH/OTNにおける信号多重化階梯の選択、試験用Ethernet(登録商標)フレームのプロトコルスタック構成(例えば、Ethernet(登録商標)の中にIPv4を載せるかIPv6を載せるか、VLANタグを付与するか否か、MPLSラベルを付与するか否かなど)、試験用Ethernet(登録商標)フレームに含まれる各種プロトコルヘッダの内容(例えば、IPアドレスを何にするか、VLANダグやMPLSラベルのIDの値など)、試験用OTN/SDHフレームに含まれる各種オーバーヘッドバイトの内容(例えば、通信事業者コードの付与など)、試験用送信Ethernet(登録商標)フレームの転送レートの設定(例えば、フルワイヤレートに対して何%で送信するか、どのような周期で送信を繰り返すかなど)、試験用疑似ランダムビットシーケンス信号の選択(例えば、PRBS7/PRBS9など)、試験合否判定の閾値、測定結果取得のサンプリング周期などがある。
【0029】
使用通信方式・レート情報は、使用される通信方式(例えば、SDH,PDH,OTN,Ethernet(登録商標)などの有線系の通信規格)と、使用される通信方式のレートに関する情報である。
【0030】
ポート数情報は、使用される測定アプリケーション11で必要とするポート数に関する情報である。
【0031】
使用ポート情報は、使用される測定アプリケーション11により制御される測定ハードウェア5Aの各測定ポート5aと紐付けされる論理ポート番号と、使用されるコネクタおよび光トランシーバの種類に関する情報である。
【0032】
尚、論理ポート番号は、同じグループに属する測定ポート5aに対して同一の番号が付与される。また、上述した設定ファイル12は、同じ設定条件で被測定物の繰り返し測定を行う場合、例えば図示しない外部端末や外部記憶媒体から入出力部3を介して読み出され、記憶部4に一時的に保存記憶される。
【0033】
測定結果ファイル13は、設定内容に基づく測定アプリケーション11により測定ハードウェア5Aを制御して実行される被測定物の測定結果に関するファイルであり、設定ファイル12の設定内容に基づく所定サンプリング周期の被測定物の測定結果を示す履歴情報(被測定物の測定結果によるグラフや表の情報を含む)である。
【0034】
測定結果ファイル13は、測定終了時に作成され、被測定物の測定結果に関する情報を測定時の設定ファイル12と紐付けて記憶部4に一時的に保存記憶される。
【0035】
自己診断実行条件14は、自己診断を実施するために必要不可欠な情報である。自己診断実行条件14は、(1)日付が変わったとき、(2)装置の稼働時間(通電時間)が指定時間を経過したとき、(3)測定ハードウェア5Aの稼働時間(通電時間)が指定時間を経過したとき、(4)測定ハードウェア5Aが交換されたとき、(5)前回自己診断を実施したときから指定時間が経過したとき、(6)測定ハードウェア5Aの異常が検出されたとき、(7)自己診断の異常が検出されたときの何れかの条件、又は(1)〜(7)の条件を選択的に組み合わせた条件からなる。尚、それぞれの指定時間は、ユーザ毎のネットワーク試験装置1の使用形態の違いや各測定ハードウェア5A毎の使用頻度などに応じて予め設定されるものである。
【0036】
測定ハードウェア部5は、複数の測定ハードウェア5A(
図1の例では、3つの測定ハードウェア5A1,5A2,5A3)を備えている。
【0037】
個々の測定ハードウェア5Aは、測定対象となる被測定物と有線接続される測定ポート5aを備えており、装置本体をなす筐体のスロット1aに対し、測定内容に応じて個々に組み合わせて任意に着脱交換可能に装着される。
【0038】
また、個々の測定ハードウェア5A(5A1,5A2,5A3)は、測定ポート5aと接続されるFPGA(field-programmable gate array )5bを備えている。FPGA5bは、ユーザが製造後に構成を設定できる集積回路であり、処理制御部7の制御により、設定ファイル12の設定に基づく所定の測定を測定アプリケーション11で実行するべく被測定物との間でデータの送受信を行っている。
【0039】
表示部6は、液晶などの表示装置で構成される。表示部6は、処理制御部7の制御により、操作部2の操作により設定ファイル12の設定内容を適宜設定する際の設定画面の表示、設定ファイル12の設定内容に基づく測定結果の表示などを行っている。
【0040】
処理制御部7は、例えばCPU(Central Processing Unit )やROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)等のプロセッサで構成され、操作部2、入出力部3、記憶部4、測定ハードウェア部5、表示部6を統括制御している。
【0041】
処理制御部7は、ユーザが所望する被測定物の測定を行うように、操作部2からの操作信号の設定や設定ファイル12に基づいて測定ハードウェア部5の測定ハードウェア5Aを制御している。また、処理制御部7は、ネットワーク試験装置1に電源を投入して装置を起動したときに、記憶部4に記憶された自己診断実行条件14を満たしていると判断したときのみ自己診断を実行している。さらに、処理制御部7は、資源管理部7a、時計部7b、判別部7cを備えている。
【0042】
資源管理部7aは、被測定物に対してどんな測定が行えるかを示す情報として、ネットワーク試験装置1の資源(測定ハードウェア5A、測定ポート5a、使用者などの情報)の使用状況を管理している。
【0043】
資源管理部7aは、操作部2の操作により測定開始が指示されると、スロットS(S1,S2,S3)毎の測定ハードウェア5Aの装着状態、スロットS(S1,S2,S3)毎の測定ポート5aの空き状態、測定ポート5a毎の使用者情報(IPアドレス)、設定ファイル12の測定アプリケーション11に対する各測定ポート5aの能力(アビリティ)情報、スロットS(S1,S2,S3)毎の測定ハードウェア5Aの種類をネットワーク試験装置1における測定開始直前の資源の使用状況として取得して管理している。
【0044】
時計部7bは、ネットワーク試験装置1の稼働時間(通電時間)や各測定ハードウェア5Aの稼働時間(通電時間)を認識する目的で時間を計るための内部時計であり、計測した時間情報を判別部7cに出力している。
【0045】
判別部7cは、ネットワーク試験装置1に電源を投入して装置を起動したときに、記憶部4に記憶された自己診断実行条件14を満たしているか否かを判別している。この自己診断実行条件14を満たしているか否かの判別は、資源管理部7aが管理する資源の使用状況(スロットS毎の測定ハードウェア5Aの装着状態)、時計部7bが計測する時間情報(ネットワーク試験装置1や各測定ハードウェア5Aの稼働時間)、内部カレンダの日付情報に基づいて行われる。
【0046】
そして、処理制御部7は、判別部7cの判別により、自己診断実行条件14を満たしていると判断したときのみ、自己診断を実行している。自己診断の具体的な内容としては、装置本体側の状態や動作のチェック(リアルタイムクロック、制御EEPROM、タッチスクリーン制御、オーディオコーデック、バッテリ充電制御、バッテリ状態(充電量、電圧)、ファームウェアバージョンなどのチェック)や測定ハードウェア5A毎の状態や動作のチェック(EEPROM、FPGA、電圧、FPGAインタフェース、測定データキャプチャのバッファ用ROM、クロック発生器、イーサネット(登録商標)物理層動作などのチェック)、測定ハードウェア5A間のインタフェースの動作チェック、ポート拡張、装置内部温度のチェックなどがある。
【0047】
尚、
図1において、操作部2と処理制御部7との間、ならびに表示部6と処理制御部7との間はLANで接続される。このLAN接続は、HUB機構によりネットワーク試験装置1の外からも接続可能な構成となっている。また、PCを使ってLAN経由で接続することにより、ネットワーク試験装置1を遠隔操作することができる。そして、使用者情報としてのIPアドレスとは、この外部PCのIPアドレスを意味する。
【0048】
ところで、
図1の例では、操作部2と表示部6を機能的に別々の構成として図示して説明したが、タッチパッドなどの位置入力装置(操作部2に相当)と液晶パネルなどの表示装置(表示部6に相当)を一体化した電子部品からなるタッチパネルで構成すれば、操作部2と表示部6を一つにまとめた構成とすることができる。
【0049】
また、
図1の例では、2つの測定アプリケーション11a,11bと3つの測定ハードウェア5A1,5A2,5A3を備えた構成について図示したが、その数が限定されるものではない。
【0050】
次に、上記のように構成されるネットワーク試験装置1における自己診断の動作について
図2を参照しながら説明する。
【0051】
(自己診断の動作について)
まず、被測定物の所望の各種試験を行うため、電源を投入してネットワーク試験装置1を起動する(ST1)。処理制御部7は、電源の投入によりネットワーク試験装置1が起動すると、自己診断実行条件14を満たしているか否かを判別する(ST2)。処理制御部7は、自己診断実行条件14を満たしていると判断すると、自己診断を実行する(ST3)。
【0052】
尚、自己診断実行条件14とは、自己診断を実施するために必要不可欠な情報であり、前述したように、(1)日付が変わったとき、(2)装置の稼働時間(通電時間)が指定時間を経過したとき、(3)測定ハードウェアの稼働時間(通電時間)が指定時間を経過したとき、(4)測定ハードウェアが交換されたとき、(5)前回自己診断を実施したときから指定時間が経過したとき、(6)測定ハードウェアの異常が検出されたとき、(7)自己診断の異常が検出されたときの何れかの条件、又は(1)〜(7)の条件を選択的に組み合わせた条件からなり、記憶部4に記憶されている。
【0053】
そして、ネットワーク試験装置1は、自己診断が終了すると、ネットワーク試験装置1の起動を終了し(ST4)、設定ファイル12の設定に基づく測定アプリケーション11の起動によりFPGA5bが測定ハードウェア5Aを制御して被測定物の測定を行う測定処理動作に移行する。
【0054】
ST2において、処理制御部7が自己診断実行条件14を満たしていないと判断すると、ST3の自己診断を実行せず、ネットワーク試験装置1の起動を終了し(ST4)、設定ファイル12の設定に基づく測定アプリケーション11の起動によりFPGA5bが測定ハードウェア5Aを制御して被測定物の測定を行う測定処理動作に即座に移行する。
【0055】
このように、従来の装置では、毎回起動する度に自己診断機能を実行した場合、装置が使用可能になるまでの時間が自己診断にかかる時間だけ長くなっていたのに対し、本発明によれば、自己診断実行条件14を満たしたときのみ自己診断が実行されるので、自己診断機能の目的を損なわずに、起動時間を短縮して速やかに装置を使用可能にすることができる。
【0056】
また、自己診断実行条件14として、測定ハードウェア5Aの稼働時間(通電時間)が指定時間を経過したときや、測定ハードウェア5Aが交換されたときを条件とすれば、ユーザ毎のネットワーク試験装置1の使用形態の違いや各測定ハードウェア5A毎の使用頻度などに応じて自己診断を実行することができる。
【0057】
以上、本発明に係るネットワーク試験装置及びネットワーク試験方法の最良の形態について説明したが、この形態による記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。