【実施例】
【0049】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
表4、5、7、9、10、および12に示す条件で発酵培地を発酵させて発酵飲食品を製造し、得られた発酵飲食品の官能評価試験を行った。結果を表6、8、11、および13に示す。発酵培地の基質には、ニンジン果汁またはトマト果汁を用い(「発酵培地の条件」を参照)、該発酵培地を発酵させて野菜発酵液を調製し、これを発酵飲食品とした。発酵には前培養したラクトバチルス ブレビスBP−4693株またはラクトバチルス ブレビスJCM1059株を用いた(「菌株」を参照)。発酵中のpH低下は、クエン酸の添加またはラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養で行った(「pH低下方法」を参照)。以下、より詳細に説明する。
【0050】
<発酵飲食品の製造>
(1)前培養物の調製
市販の乳酸菌用培地(M.R.S培地、OXOID社製)を、濃度が62g/Lとなるように蒸留水に溶解させ、121℃で15分間オートクレーブ滅菌した。続いて、該滅菌済み培地にラクトバチルス ブレビスBP−4693株またはラクトバチルス ブレビスJCM1059株を植菌し、30℃で18時間前培養した。
【0051】
(2)発酵培地の調製
(A)ニンジン果汁を基質に用いた場合
pH5.5、Brix.42%のニンジン濃縮果汁を蒸留水で希釈し、pH5.7、リンゴ酸含量0.3質量%、Brix.12%に調整後、さらに表4、5、および7に示すように、pH、リンゴ酸含量、Brix.を適宜再調整した(「発酵培地の条件」を参照)。この時、表4、5、および7に示すように、一部の実施例において乳として脱脂粉乳を、一部の比較例において脱脂粉乳および/またはグルタミン酸を添加した。そして、121℃で15分間オートクレーブ滅菌して発酵培地を調製した。植物性原料として透明ニンジン果汁を用いる場合は、前記ニンジン濃縮果汁を蒸留水で希釈した後、公知の方法によりUF膜処理して透明果汁としてから、pH、リンゴ酸含量およびBrix.を調整した。
【0052】
(B)トマト果汁を基質に用いた場合
pH4.3、Brix.20%のトマト濃縮果汁を蒸留水で希釈し、pH4.4、フラクトース含量2.5質量%、Brix.12%に調整後、さらに表9、10、および12に示すように、pH、フラクトース含量、Brix.を適宜再調整した(「発酵培地の条件」を参照)。この時、表9、10、および12に示すように、一部の実施例において乳として脱脂粉乳を、一部の比較例において脱脂粉乳および/またはグルタミン酸を添加した。そして、121℃で15分間オートクレーブ滅菌して発酵培地を調製した。植物性原料として透明トマト果汁を用いる場合は、前記トマト濃縮果汁を蒸留水で希釈した後、公知の方法によりUF膜処理して透明果汁としてから、pH、フラクトース含量およびBrix.を調整した。
【0053】
(3)対数増殖期終了時間の決定
前記前培養物を前記発酵培地に1容量%植菌し、30℃で18時間培養して発酵を行った。
発酵中、1時間ごとに生菌数を測定し、ラクトバチルス ブレビスBP−4693株およびラクトバチルス ブレビスJCM1059株の対数増殖期終了時間が、いずれも10時間であることを確認した。
【0054】
(4)野菜発酵液の調製
(a)クエン酸添加でのpH調整
pH調整剤であるクエン酸を、40質量%となるように蒸留水に溶解させ、121℃で15分間オートクレーブ滅菌し、滅菌済みクエン酸水溶液を調製した。
そして、前記前培養物を前記発酵培地に1容量%植菌し、30℃で18時間(比較例2および比較例2'は108時間)培養して発酵を行った。
発酵中、1時間ごとにpHを測定し、前記滅菌済みクエン酸水溶液を用いて、対数増殖期終了時間(発酵開始後10時間)まで表4、5、7、9、10、および12に示す速度でpHを低下させた(「対数増殖期後培地pH」を参照)。
発酵終了後、得られた発酵培地を直ちに10℃に冷却して、野菜発酵液を得た。
【0055】
(b)共培養でのpH調整
市販の乳酸菌用培地(M.R.S培地、OXOID社製)を、濃度が62g/Lとなるように蒸留水に溶解させ、121℃で15分間オートクレーブ滅菌した。続いて、該滅菌済み培地にラクトバチルス ペントーサスBP−10958株を植菌し、30℃で18時間前培養した。
そして、前記前培養物とラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の前培養物とを前記発酵培地に各1容量%植菌し、30℃で18時間培養して発酵を行った。
発酵中、1時間ごとにpHを測定した。ラクトバチルス ブレビスBP−4693株またはラクトバチルス ブレビスJCM1059株の対数増殖期終了時(10時間)のpHは表4、5、9、および10に示す通りであった(「対数増殖期後培地pH」を参照)。
発酵終了後、得られた発酵培地を直ちに10℃に冷却して、野菜発酵液を得た。
【0056】
なお、表4、5、7、9、10、および12に示すリンゴ酸、フラクトース、乳(無脂乳固形分)およびグルタミン酸の含有量は、いずれも培地中における質量%表示である。また、乳およびグルタミン酸が「×」であることは、培地中にこれらを別途添加していないことを示す。
なお、一部の比較例においては発酵中のpH調整を行わず、そのまま10℃で3週間保存した。この場合は、表7および12において、「pH低下速度」を「−」と表示した。
【0057】
(5)野菜発酵液の保存
pH調整済みの前記野菜発酵液を容器に充填して密封し、10℃で3週間保存した。
【0058】
以下、製造方法の主たる特徴となる部分を抜粋し、各実施例および比較例ごとに示す。
(A)ニンジン果汁を基質に用いた場合
(実施例1−1〜1−13)
植物性原料として、ニンジン果汁(実施例1−1〜1−6、1−10〜1−13)または透明ニンジン果汁(実施例1−7〜1−9)を用いて、表4に示すpH、リンゴ酸含量に調整し、Brix.を12%(実施例1−1〜1−12)または7%(実施例1−13)に調整して発酵培地を調製した。そして、ラクトバチルス ブレビスBP−4693株を用いて発酵を行った。また、発酵中のpH低下をクエン酸の添加で行った。
【0059】
以下の実施例および比較例については、実施例1−1〜1−13とは異なる特徴部分を記載した。
(実施例2−1〜2−4)
乳を無脂乳固形分として表4に示す量を添加して発酵培地を調製した。
(実施例3−1〜3−3)
発酵時におけるpH低下速度を表5に示すように、実施例3−1では最初の5時間は0.25、続く5時間は0.1とし、実施例3−2では最初の5時間は0.30、続く5時間は0.1とし、実施例3−3では最初の5時間は0.30、続く5時間は0.2とした。
(実施例4−1〜4−3)
乳を無脂乳固形分として3質量%添加して発酵培地を調製し、さらに、発酵時におけるpH低下速度を表5に示すように、実施例4−1では最初の5時間は0.25、続く5時間は0.1とし、実施例4−2では最初の5時間は0.30、続く5時間は0.1とし、実施例4−3では最初の5時間は0.30、続く5時間は0.2とした。
(実施例5)
発酵中のpH低下をラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養で行った。なお、この時のpH低下速度を
図2に示す。
(実施例6)
乳を無脂乳固形分として3.0質量%添加して発酵培地を調製し、さらに、発酵中のpH低下をラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養で行った。なお、この時のpH低下速度を
図3に示す。
(実施例7)
ラクトバチルス ブレビスJCM1059株を用いて発酵を行った。
(実施例8)
乳を無脂乳固形分として3.0質量%添加して発酵培地を調製し、さらに、ラクトバチルス ブレビスJCM1059株を用いて発酵を行った。
(実施例9)
ラクトバチルス ブレビスJCM1059株を用い、さらに、発酵中のpH低下をラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養で行った。なお、この時のpH低下速度を
図4に示す。
(実施例10)
乳を無脂乳固形分として3.0質量%添加して発酵培地を調製し、ラクトバチルス ブレビスJCM1059株を用い、さらに、発酵中のpH低下をラクトバチルス ペントーサス FERM BP−10958株の共培養で行った。なお、この時のpH低下速度を
図5に示す。
【0060】
(比較例1−1〜1−3、および比較例2)
クエン酸の添加またはラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養による発酵中のpH低下を行わなかった。
(比較例3)
乳を無脂乳固形分として3.0質量%添加して発酵培地を調製し、さらに、クエン酸の添加またはラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養による発酵中のpH低下を行わなかった。
(比較例4−1〜4−6)
リンゴ酸含量を0.2質量%より小さく(比較例4−1)、または2.0質量%より大きく(比較例4−2)して発酵培地を調製し、あるいは、pHを5.0より小さく(比較例4−3、4−5)、または7.0より大きく(比較例4−4、4−6)して発酵培地を調製し、発酵を行った。さらに、比較例4−1では、発酵培地中のBrix.を7%とした。
(比較例5)
発酵時におけるpH低下速度を0.3より大きくした。
(比較例6)
乳を無脂乳固形分として3.0質量%添加して発酵培地を調製し、さらに、発酵時におけるpH低下速度を0.3より大きくした。
(比較例7)
グルタミン酸を0.3質量%添加して発酵培地を調整した。
(比較例8)
乳を無脂乳固形分として3.0質量%、グルタミン酸を0.3質量%添加して発酵培地を調製した。
(比較例9)
ラクトバチルス ブレビスJCM1059株を用いて発酵を行い、さらに、クエン酸の添加またはラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養による発酵中のpH低下を行わなかった。
(比較例10)
乳を無脂乳固形分として3.0質量%添加して発酵培地を調製して、ラクトバチルス ブレビスJCM1059株を用いて発酵を行い、さらに、クエン酸の添加またはラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養による発酵中のpH低下を行わなかった。
【0061】
(B)トマト果汁を基質に用いた場合
(実施例1'−1〜1'−10)
植物性原料として、トマト果汁(実施例1'−1〜1'−3、1'−7〜1'−10)または透明トマト果汁(実施例1'−4〜1'−6)を用いて、表9に示すpH,フラクトース含量に調整し、Brix.を12%(実施例1'−1〜1'−9)または7%(実施例1'−10)に調整して発酵培地を調製した。そして、ラクトバチルス ブレビスBP−4693株を用いて発酵を行った。また、発酵中のpH低下をクエン酸の添加で行った。
【0062】
以下の実施例および比較例については、実施例1'−1〜1'−10とは異なる特徴部分を記載した。
(実施例2'−1〜2'−4)
乳を無脂乳固形分として表9に示す量を添加して発酵培地を調製した。
(実施例3'−1〜3'−3)
発酵時におけるpH低下速度を表10に示すように、実施例3'−1では最初の5時間は0.25、続く5時間は0.1とし、実施例3'−2では最初の5時間は0.30、続く5時間は0.1とし、実施例3'−3では最初の5時間は0.30、続く5時間は0.2とした。
(実施例4'−1〜4'−3)
乳を無脂乳固形分として3質量%添加して発酵培地を調製し、さらに、発酵時におけるpH低下速度を表10に示すように、実施例4'−1では最初の5時間は0.25、続く5時間は0.1とし、実施例4'−2では最初の5時間は0.30、続く5時間は0.1とし、実施例4'−3では最初の5時間は0.30、続く5時間は0.2とした。
(実施例5')
発酵中のpH低下をラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養で行った。なお、この時のpH低下速度を
図6に示す。
(実施例6')
乳を無脂乳固形分として3.0質量%添加して発酵培地を調製し、さらに、発酵中のpH低下をラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養で行った。なお、この時のpH低下速度を
図7に示す。
(実施例7')
ラクトバチルス ブレビスJCM1059株を用いて発酵を行った。
(実施例8')
乳を無脂乳固形分として3.0質量%添加して発酵培地を調製し、さらに、ラクトバチルス ブレビスJCM1059株を用いて発酵を行った。
(実施例9')
ラクトバチルス ブレビスJCM1059株を用い、さらに、発酵中のpH低下をラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養で行った。なお、この時のpH低下速度を
図8に示す。
(実施例10')
乳を無脂乳固形分として3.0質量%添加して発酵培地を調製し、ラクトバチルス ブレビスJCM1059株を用い、さらに、発酵中のpH低下をラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養で行った。なお、この時のpH低下速度を
図9に示す。
【0063】
(比較例1'−1〜1'−3、および比較例2')
クエン酸の添加またはラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養による発酵中のpH低下を行わなかった。
(比較例3')
乳を無脂乳固形分として3.0質量%添加して発酵培地を調製し、さらに、クエン酸の添加またはラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養による発酵中のpH低下を行わなかった。
(比較例4'−1〜4'−6)
フラクトース含量を2.0質量%より小さく(比較例4'−1)、または20.0質量%より大きく(比較例4'−2)して発酵培地を調製し、あるいは、pHを5.0より小さく(比較例4'−3、4'−5)、または7.0より大きく(比較例4'−4、4'−6)して発酵培地を調製し、発酵を行った。さらに、比較例4'−1では、発酵培地中のBrix.を7%とした。
(比較例5')
発酵時におけるpH低下速度を0.3より大きくした。
(比較例6')
乳を無脂乳固形分として3.0質量%添加して発酵培地を調製し、さらに、発酵時におけるpH低下速度を0.3より大きくした。
(比較例7')
グルタミン酸を0.3質量%添加して発酵培地を調製した。
(比較例8')
乳を無脂乳固形分として3.0質量%、グルタミン酸を0.3質量%添加して発酵培地を調製した。
(比較例9')
ラクトバチルス ブレビスJCM1059株を用いて発酵を行い、さらに、クエン酸の添加またはラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養による発酵中のpH低下を行わなかった。
(比較例10')
乳を無脂乳固形分として3.0質量%添加して発酵培地を調製して、ラクトバチルス ブレビスJCM1059株を用いて発酵を行い、さらに、クエン酸の添加またはラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養による発酵中のpH低下を行わなかった。
【0064】
<発酵飲食品の生菌数の測定>
野菜発酵液の発酵終了直後および保存後のラクトバチルス ブレビスBP−4693株またはラクトバチルス ブレビスJCM1059株の生菌数を、以下の方法により測定した。測定結果を表6、8、11および13に示す(「発酵終了直後菌数」、「保存後菌数」を参照)。
(1)ラクトバチルス ブレビスBP−4693株またはラクトバチルス ブレビスJCM1059株のみで発酵させた場合の測定方法
ブロモクレゾールパープル(BCP)加プレートカウント寒天培地(栄研化学株式会社製)を所定の濃度に溶解し、121℃で15分間滅菌した。そして得られた発酵液を適宜段階希釈し、この希釈液を前記滅菌培地に添加して、35℃で72時間培養し、菌数を測定した。
(2)ラクトバチルス ブレビスBP−4693株またはラクトバチルス ブレビスJCM1059株と、ラクトバチルス ペントーサスBP−10958株とで共発酵させた場合の測定方法
(a)総菌数の測定
BCP加プレートカウント寒天培地(栄研化学株式会社製)を所定の濃度に溶解し、121℃で15分間滅菌した。そして得られた発酵液を適宜段階希釈し、この希釈液を前記滅菌培地に添加して、35℃で72時間培養し、培養物中の総菌数を測定した。
(b)ラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の菌数の測定
上記BCP加プレートカウント寒天培地に食塩を最終濃度が6.5質量%となるように添加した培地を調製した。そして得られた発酵液を適宜段階希釈し、この希釈液を前記滅菌培地に添加して、35℃で72時間培養し、培養物中のラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の菌数を測定した。
(c)ラクトバチルス ブレビスBP−4693株またはラクトバチルス ブレビスJCM1059株の菌数の測定
前記(a)の総菌数から前記(b)のラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の菌数を差し引いて、ラクトバチルス ブレビスBP−4693株またはラクトバチルス ブレビスJCM1059株の菌数とした。
【0065】
<発酵飲食品の官能評価>
(1)評価方法
発酵後の野菜発酵液を別途凍結保存しておき、その解凍品と、前記10℃保存発酵液とを比較して、どちらが好ましいかを、男性25名、女性25名、合計50名の評価員により官能評価した(評価1)。
また、前記10℃保存発酵液を各実施例および比較例の間で比較して、どちらが好ましいかを、男性25名、女性25名、合計50名の評価員により官能評価した(評価2)。
結果を表6、8、11および13に示す(「保管後官能評価を参照」)。
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
【0070】
【表8】
【0071】
【表9】
【0072】
【表10】
【0073】
【表11】
【0074】
【表12】
【0075】
【表13】
【0076】
(2)評価結果
(A)ニンジン果汁を基質に用いた場合
実施例1−1〜1−12の結果より、これらはいずれも、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められなかった。
すなわち、発酵培地中のリンゴ酸含量が0.3〜1.8質量%で、かつ発酵培地のpHが5.0〜7.0の範囲内においては、pH低下速度が0.1〜0.3のいずれにおいても、官能評価結果に有意差はなく、いずれも味や香り、保存性が良好であることが確認された。
一方、実施例1−13の結果より、Brix.7%の場合も、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められなかった。
【0077】
実施例2−1〜2−4の結果より、発酵培地への乳の添加量を0.2〜20.0質量%の範囲内で変化させても、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められず、いずれも、味や香り、保存性が良好であることが確認された。
【0078】
実施例3−1〜3−3の結果より、発酵培地のpHが5.0〜7.0の範囲内においてはpH低下速度を途中で変化させても、いずれも、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められず、味や香り、保存性が良好であることが確認された。
【0079】
実施例4−1〜4−3の結果より、発酵培地へ乳を3.0質量%添加した場合でも、pH低下速度を途中で変化させても、いずれも、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められず、味や香り、保存性が良好であることが確認された。
【0080】
実施例5および6の結果より、発酵中のpH低下をラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養で行った場合、発酵培地への乳の添加有無に関わらず、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められず、いずれも、味や香り、保存性が良好であることが確認された。
また、実施例5のサンプルは実施例1−2のサンプルよりも、また実施例6のサンプルは実施例2−2のサンプルよりも、それぞれ発酵風味が付与されて味や香りが一層良好であり、官能上より好ましいものであることが確認された。すなわち、ラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養によるpH低下が、発酵飲食品の呈味向上に効果的であることが示された。
【0081】
実施例7および8の結果より、ラクトバチルス ブレビスJCM1059株を用いて発酵を行った場合、発酵培地への乳の添加有無に関わらず、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められず、いずれも、味や香り、保存性が良好であることが確認された。
【0082】
実施例9および10の結果より、ラクトバチルス ブレビスJCM1059株を用い、さらに、発酵中のpH低下をラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養で行った場合、発酵培地への乳の添加有無に関わらず、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められず、いずれも、味や香り、保存性が良好であることが確認された。
また、実施例9のサンプルは実施例7のサンプルよりも、また実施例10のサンプルは実施例8のサンプルよりも、それぞれ発酵風味が付与されて味や香りが一層良好であり、官能上より好ましいものであることが確認された。すなわち、ラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養によるpH低下が、発酵飲食品の呈味向上に効果的であることが示された。
【0083】
比較例1−1〜1−3のサンプルは、いずれも凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差が認められた。これは、発酵直後および保存後の菌数から明らかな通り、保存中に発酵が進行したことによるものであった。
そして、比較例1−1と実施例1−1、比較例1−2と実施例1−2、比較例1−3と実施例1−3の各サンプル間にも、いずれも官能評価結果に有意差が認められ、比較例1−1〜1−3のサンプルは、いずれも味や香りが満足できるものではなかった。
これらの結果は、比較例1−1〜1−3において、発酵中のpH低下を行わなかった結果、対数増殖期終了時のpHが大きくなり過ぎたことが原因であった。
【0084】
比較例2のサンプルは、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められなかったものの、実施例1−1のサンプルに対して官能評価結果に有意差が認められ、発酵直後の段階ですでに味や香りが満足できるものではなかった。これは、発酵中にpH低下を行わず、野菜発酵液の発酵度が高いことが原因であった。
【0085】
比較例3のサンプルは、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差が認められた。これは、保存中に発酵が進行したことによるものであった。
そして、実施例2−2のサンプルに対して官能評価結果に有意差が認められ、味や香りが満足できるものではなかった。
これらの結果は、比較例3において、発酵中のpH低下を行わなかった結果、対数増殖期終了時のpHが大きくなり過ぎたことが原因であると考えられた。
【0086】
比較例4−1〜4−6のサンプルは、いずれも、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められなかった。しかし、比較例4−1と実施例1−13、比較例4−2〜4−4と実施例1−2、比較例4−5〜4−6と実施例1−11の各サンプル間には、いずれも官能評価結果に有意差が認められた。すなわち、比較例4−1〜4−6のサンプルは、いずれも保存前の段階ですでに、味や香りが満足できるものではなかった。
比較例4−1では、発酵直後の菌数から明らかなように、リンゴ酸含量が低いために発酵度が低いことが原因であった。
比較例4−2では、リンゴ酸含量が高いために、発酵前の発酵培地のpH調整に用いた炭酸カリウムの量が多くなり、塩の副生量が多くなったことが原因であった。
比較例4−3および4−5では、発酵直後の菌数から明らかなように、発酵前の発酵培地のpHが低いために、発酵度が低いことが原因であった。
比較例4−4および4−6では、発酵直後の菌数から明らかなように、発酵前の発酵培地のpHが高いために発酵度が低いことに加え、発酵前のpH調整に用いた炭酸カリウムおよび発酵中のpH低下に用いたクエン酸の量がいずれも多く、その結果、塩の副生量が多くなったことが原因であった。
【0087】
比較例5および比較例6のサンプルは、いずれも凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められなかった。しかし、比較例5のサンプルは実施例1−2のサンプルに対して、比較例6のサンプルは実施例2−2のサンプルに対して、それぞれ官能評価結果に有意差が認められ、いずれも保存前の段階ですでに、味や香りが満足できるものではなかった。
これは、発酵直後の菌数から明らかなように、発酵培地への乳の添加の有無に関わらず、pH低下速度が大き過ぎ、その結果、対数増殖期終了時のpHが低くなり過ぎたために、発酵度が低いことが原因であった。
【0088】
比較例7および比較例8のサンプルは、いずれも凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められなかった。しかし、比較例7のサンプルは実施例1−2のサンプルに対して、比較例8のサンプルは実施例2−2のサンプルに対して、それぞれ官能評価結果に有意差が認められ、いずれも保存前の段階ですでに、味や香りが満足できるものではなかった。
これは、発酵培地への乳の添加の有無に関わらず、発酵培地へ添加したグルタミン酸が野菜発酵液中に残存していることと、ラクトバチルス ブレビスBP−4693株が発酵中にγ−アミノ酪酸(GABA)を産生したことが原因であった。
【0089】
比較例9および比較例10のサンプルは、いずれも凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差が認められた。これは、発酵直後および保存後の菌数から明らかな通り、保存中に発酵が進行したことによるものであった。そして、比較例9のサンプルは実施例7のサンプルに対して、比較例10のサンプルは実施例8のサンプルに対して、それぞれ官能評価結果に有意差が認められ、比較例9および比較例10のサンプルは、いずれも味や香りが満足できるものではなかった。
これは、用いた菌株がラクトバチルス ブレビスJCM1059株であっても、発酵培地への乳の添加の有無に関わらず、発酵中のpH低下を行わなかった結果、対数増殖期終了時のpHが高くなり過ぎたことが原因であった。
【0090】
(B)トマト果汁を基質に用いた場合
実施例1'−1〜1'−9の結果より、これらはいずれも、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められなかった。
すなわち、発酵培地中のフラクトース含量が2.0〜20.0質量%で、かつ発酵培地のpHが5.0〜7.0の範囲内においては、pH低下速度が0.1〜0.3のいずれにおいても、官能評価結果に有意差はなく、いずれも味や香り、保存性が良好であることが確認された。
一方、実施例1'−10の結果より、Brix.7%の場合も、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められなかった。
【0091】
実施例2'−1〜2'−4の結果より、発酵培地への乳の添加量を0.2〜20.0質量%の範囲内で変化させても、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められず、いずれも、味や香り、保存性が良好であることが確認された。
【0092】
実施例3'−1〜3'−3の結果より、pH低下速度を途中で変化させても、いずれも、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められず、味や香り、保存性が良好であることが確認された。
【0093】
実施例4'−1〜4'−3の結果より、発酵培地へ乳を3.0質量%添加した場合でも、pH低下速度を途中で変化させても、いずれも、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められず、味や香り、保存性が良好であることが確認された。
【0094】
実施例5'および6'の結果より、発酵中のpH低下をラクトバチルス ペントーサス BP−10958株の共培養で行った場合、発酵培地への乳の添加有無に関わらず、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められず、いずれも、味や香り、保存性が良好であることが確認された。
また、実施例5'のサンプルは実施例1'−2のサンプルよりも、また実施例6'のサンプルは実施例2'−2のサンプルよりも、それぞれ発酵風味が付与されて味や香りが一層良好であり、官能上より好ましいものであることが確認された。すなわち、ラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養によるpH低下が、発酵飲食品の呈味向上に効果的であることが示された。
【0095】
実施例7'および8'の結果より、ラクトバチルス ブレビスJCM1059株を用いて発酵を行った場合、発酵培地への乳の添加有無に関わらず、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められず、いずれも、味や香り、保存性が良好であることが確認された。
【0096】
実施例9'および10'の結果より、ラクトバチルス ブレビスJCM1059株を用い、さらに、発酵中のpH低下をラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養で行った場合、発酵培地への乳の添加有無に関わらず、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められず、いずれも、味や香り、保存性が良好であることが確認された。
また、実施例9'のサンプルは実施例7'のサンプルよりも、また実施例10'のサンプルは実施例8'のサンプルよりも、それぞれ発酵風味が付与されて味や香りが一層良好であり、官能上より好ましいものであることが確認された。すなわち、ラクトバチルス ペントーサスBP−10958株の共培養によるpH低下が、発酵飲食品の呈味向上に効果的であることが示された。
【0097】
比較例1'−1〜1'−3のサンプルは、いずれも凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差が認められた。これは、発酵直後および保存後の菌数から明らかな通り、保存中に発酵が進行したことによるものであった。
そして、比較例1'−1と実施例1'−1、比較例1'−2と実施例1'−2、比較例1'−3と実施例1'−3の各サンプル間にも、いずれも官能評価結果に有意差が認められ、比較例1'−1〜1'−3のサンプルは、いずれも味や香りが満足できるものではなかった。
これらの結果は、比較例1'−1〜1'−3において、発酵中のpH低下を行わなかった結果、対数増殖期終了時のpHが大きくなり過ぎたことが原因であった。
【0098】
比較例2'のサンプルは、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められなかったものの、実施例1'−1のサンプルに対して官能評価結果に有意差が認められ、発酵直後の段階ですでに味や香りが満足できるものではなかった。これは、発酵中にpH低下を行わず、野菜発酵液の発酵度が高いことが原因であった。
【0099】
比較例3'のサンプルは、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差が認められた。これは、保存中に発酵が進行したことによるものであった。
そして、実施例2'−2のサンプルに対して官能評価結果に有意差が認められ、味や香りが満足できるものではなかった。
これらの結果は、比較例3'において、発酵中のpH低下を行わなかった結果、対数増殖期終了時のpHが大きくなり過ぎたことが原因であると考えられた。
【0100】
比較例4'−1〜4'−6のサンプルは、いずれも、凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められなかった。しかし、比較例4'−1と実施例1'−10、比較例4'−2〜4'−4と実施例1'−2、比較例4'−5〜4'−6と実施例1'−8の各サンプル間には、いずれも官能評価結果に有意差が認められた。すなわち、比較例4'−1〜4'−6のサンプルは、いずれも保存前の段階ですでに、味や香りが満足できるものではなかった。
比較例4'−1では、発酵直後の菌数から明らかなように、フラクトース含量が低いために発酵度が低いことが原因であった。
比較例4'−2では、フラクトース含量が高いために、甘味が強過ぎることが原因であった。
比較例4'−3および4'−5では、発酵直後の菌数から明らかなように、発酵前の発酵培地のpHが低いために、発酵度が低いことが原因であった。
比較例4'−4および4'−6では、発酵直後の菌数から明らかなように、発酵前の発酵培地のpHが高いために発酵度が低いことに加え、発酵前のpH調整に用いた炭酸カリウムおよび発酵中のpH低下に用いたクエン酸の量がいずれも多く、その結果、塩の副生量が多くなったことが原因であった。
【0101】
比較例5'および比較例6'のサンプルは、いずれも凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められなかった。しかし、比較例5'のサンプルは実施例1'−2のサンプルに対して、比較例6'のサンプルは実施例2'−2のサンプルに対して、それぞれ官能評価結果に有意差が認められ、いずれも保存前の段階ですでに、味や香りが満足できるものではなかった。
これは、発酵直後の菌数から明らかなように、発酵培地への乳の添加の有無に関わらず、pH低下速度が大き過ぎ、その結果、対数増殖期終了時のpHが低くなり過ぎたために、発酵度が低いことが原因であった。
【0102】
比較例7'および比較例8'のサンプルは、いずれも凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差は認められなかった。しかし、比較例7'のサンプルは実施例1'−2のサンプルに対して、比較例8'のサンプルは実施例2'−2のサンプルに対して、それぞれ官能評価結果に有意差が認められ、いずれも保存前の段階ですでに、味や香りが満足できるものではなかった。
これは、発酵培地への乳の添加の有無に関わらず、発酵培地へ添加したグルタミン酸が野菜発酵液中に残存していることと、ラクトバチルス ブレビスBP−4693株が発酵中にγ−アミノ酪酸(GABA)を産生したことが原因であった。
【0103】
比較例9'および比較例10'のサンプルは、いずれも凍結保存サンプルと10℃保存サンプルとの間に、官能評価結果の有意差が認められた。これは、発酵直後および保存後の菌数から明らかな通り、保存中に発酵が進行したことによるものであった。そして、比較例9'のサンプルは実施例7'のサンプルに対して、比較例10'のサンプルは実施例8'のサンプルに対して、それぞれ官能評価結果に有意差が認められ、比較例9'および比較例10'のサンプルは、いずれも味や香りが満足できるものではなかった。
これは、用いた菌株がラクトバチルス ブレビスJCM1059株であっても、発酵培地への乳の添加の有無に関わらず、発酵中のpH低下を行わなかった結果、対数増殖期終了時のpHが高くなり過ぎたことが原因であった。
【0104】
以上の結果より、本発明の製造方法により製造された発酵飲食品は、味や香りに優れ、10℃で3週間保存しても変質し難いことが確認された。