(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駆動トランジスタのしきい値電圧が前記上限値より大きい場合、前記第1電圧を前記第2電圧より低くなるように制御することを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
前記駆動トランジスタのしきい値電圧が前記下限値より小さい場合、前記第1電圧を前記第2電圧より高くなるように制御することを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
前記ポジティブストレスを印加するステップは、前記駆動トランジスタのしきい値電圧が上昇するように、前記駆動トランジスタのノードに電圧を印加するステップを含み、
前記ネガティブストレスを印加するステップは、前記駆動トランジスタのしきい値電圧が低下するように、前記駆動トランジスタのノードに電圧を印加するステップを含むことを特徴とする、請求項10に記載の有機発光表示装置の駆動方法。
前記ステップ(a)は、前記ステップ(b)の前に実行され、前記ステップ(b)は前記ステップ(c)の前に実行され、前記ステップ(c)は前記ステップ(d)の前に実行されることを特徴とする、請求項13に記載の有機発光表示装置の駆動方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一部の実施形態を例示的な図面を参照しつつ詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するに当たって、同一な構成要素に対してはたとえ他の図面上に表示されても、できる限り同一な符号を有することができる。また、本発明を説明するに当たって、関連した公知構成または機能に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすることがあると判断される場合にはその詳細な説明は省略する。
【0018】
また、本発明の構成要素を説明するに当たって、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語により当該構成要素の本質、順番、順序または個数などが限定されない。ある構成要素が他の構成要素に“連結”、“結合”、または“接続”されると記載された場合、その構成要素は該他の構成要素に直接的に連結、または接続できるが、各構成要素の間に他の構成要素が介されるか、各構成要素が他の構成要素を通じて“連結”、“結合”、または“接続”されることもできると理解されるべきである。
【0019】
図1は、一実施形態による有機発光表示装置100の概略図である。
【0020】
図1を参照すると、一実施形態による有機発光表示装置100は、表示パネル110、データ駆動部120、第1ゲート駆動部130、第2ゲート駆動部140、タイミングコントローラ150などを含む。
【0021】
表示パネル110にはデータライン(DL(1)〜DL(n))とゲートライン(GL1(1)〜GL1(m)、GL2(1)〜GL2(m))が形成され、形成されたデータライン(DL(1)〜DL(n))とゲートライン(GL1(1)〜GL1(m)、GL2(1)〜GL2(m))との交差によって多数の画素(P:Pixel)が定義される。
【0022】
データ駆動部120は、データライン(DL(1)〜DL(n))にデータ電圧を供給する。
【0023】
第1ゲート駆動部130は、ゲートライン(GL1(1)〜GL1(m)、GL2(1)〜GL2(m))のうち、第1ゲートライン(GL1(1)〜GL1(m))にスキャン信号を順次的に供給する。
【0024】
第2ゲート駆動部140は、ゲートライン(GL1(1)〜GL1(m)、GL2(1)〜GL2(m))のうち、第2ゲートライン(GL2(1)〜GL2(m))にセンサ信号を順次的に供給する。
【0025】
タイミングコントローラ150は、データ駆動部120、第1ゲート駆動部130、及び第2ゲート駆動部140の駆動タイミングを制御し、このために各種制御信号を出力する。
【0026】
第1ゲート駆動部130及び第2ゲート駆動部140は、それぞれ別途に具現されることもでき、場合によっては、1つのゲート駆動部に含まれて具現されることもできる。
【0027】
また、第1ゲート駆動部130は、駆動方式によって
図1のように表示パネル110の一側のみに位置することもでき、2つに分かれて表示パネル110の両側に位置することもできる。第2ゲート駆動部140も同様である。
【0028】
また、第1ゲート駆動部130及び第2ゲート駆動部140は、多数のゲート駆動集積回路を含むことができるが、このような多数のゲート駆動集積回路は、テープオートメイテッドボンディング(TAB:Tape Automated Bonding)方式、またはチップオンガラス(COG)方式により表示パネル110のボンディングパッド(Bonding Pad)に連結されるか、またはGIP(Gate In Panel)タイプで具現されて表示パネル110に直接形成されることもできる。
【0029】
また、データ駆動部120は多数のデータ駆動集積回路(ソース駆動集積回路ともいう)を含むことができるが、このような多数のデータ駆動集積回路は、テープオートメイテッドボンディング(TAB:Tape Automated Bonding)方式、またはチップオンガラス(COG)方式により表示パネル110のボンディングパッド(Bonding Pad)に連結されるか、またはGIP(Gate In Panel)タイプで具現されて表示パネル110に直接形成されることもできる。
【0030】
各画素Pは、1つのデータライン(DL)、2つのゲートライン(GL1、GL2)、基準電圧(RVL)などと連結され、このような各画素Pの画素構造を、
図2を参照してより詳細に説明する。
【0031】
図2は、一実施形態による有機発光表示装置100の画素Pに対する等価回路図である。
【0032】
図2を参照すると、一実施形態による有機発光表示装置100の各画素Pは有機発光ダイオード(OLED)と、このような有機発光ダイオード(OLED)を駆動するための駆動回路部などを含む。
【0033】
図2を参照すると、各画素Pで有機発光ダイオード(OLED)を駆動するための駆動回路部は、有機発光ダイオード(OLED)に電流を供給するための駆動トランジスタ(DT)と、スキャン信号によって制御され、データ電圧が駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)に印加されることを制御することによって、駆動トランジスタ(DT)のターンオン(Turn On)またはターンオフ(Turn Off)を制御するスイッチングトランジスタの役割をする第1トランジスタ(T1)と、一定電圧を一フレームの間維持させる役割を有するストレージキャパシタ(Cstg)などを基本的に含み、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧(Vth:Threshold Voltage)をセンシングするためのセンシングトランジスタとして第2トランジスタ(DT2)をさらに含むことができる。
【0034】
図2を参照して3個のトランジスタ(DT、T1、T2)と1つのキャパシタ(Cstg)の接続関係について説明する。
【0035】
図2を参照すると、駆動トランジスタ(DT)は有機発光ダイオード(OLED)を駆動するためのトランジスタとして3個のノード(N1、N2、N3)を有する。駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)は第1トランジスタ(T1)と電気的に連結され、第2ノード(N2)は有機発光ダイオード(OLED)のアノード(または、カソード)と電気的に連結され、第3ノード(N3)は駆動電圧(VDD)が供給される駆動電圧ライン(DVL:Driving Voltage Line)と電気的に連結される。
【0036】
第1トランジスタ(T1)は、第1ゲートライン(GL1)から供給されたスキャン信号(SCAN)により制御され、データライン(DL)と駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)との間に電気的に連結されて、データライン(DL)から供給されたデータ電圧(Vdata)を駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)に印加させる。
【0037】
第2トランジスタ(T2)は、第2ゲートライン(GL2)から供給されるセンス信号(SENSE)により制御され、基準電圧(Vref:Reference Voltage)が供給される基準電圧ライン(RVL:Reference Voltage Line)と上記駆動トランジスタ(DT)の第2ノード(N2)との間に電気的に連結される。
【0038】
ストレージキャパシタ(Cstg)は、駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)と第2ノード(N2)との間に電気的に連結される。
【0039】
一実施形態で言及される駆動トランジスタ(DT)は、Nタイプのトランジスタであるか、またはPタイプのトランジスタでありうる。仮に、駆動トランジスタ(DT)がNタイプのトランジスタの場合、第1ノード(N1)はゲートノード(Gate Node)であり、第2ノード(N2)はソースノード(Source Node)であり、第3ノード(N3)はドレインノード(Drain Node)でありうる。駆動トランジスタ(DT)1がPタイプのトランジスタの場合、第1ノード(N1)はゲートノード(Gate Node)であり、第2ノード(N2)はドレインノード(Drain Node)であり、第3ノード(N3)はソースノード(Source Node)でありうる。但し、一実施形態による図面と説明では、説明の便宜のために、駆動トランジスタ(DT)だけでなく、これと連結される第1トランジスタ(T1)及び第2トランジスタ(T2)をNタイプのトランジスタとして例示し、これによって、駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)はゲートノード(Gate Node)であり、第2ノード(N2)はソースノード(Source Node)であり、第3ノード(N3)はドレインノード(Drain Node)であると説明する。
【0040】
一方、各画素の駆動トランジスタ(DT)は固有特性値としてしきい値電圧を有するが、このような駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧は駆動時間が増加するにつれて変化することがある。この変化により、対応する画素の輝度が所望の水準にならなくなり、または各画素間の輝度差を発生させて画質を低下させ、結果として、有機発光表示装置の寿命を低下させることになる。
【0041】
したがって、各画素の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧をセンシングして、各画素間のしきい値電圧に偏差があるか、または各画素のしきい値電圧と基準しきい値電圧との間に差がある場合、対応する画素の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧を補償し、輝度を所望の水準に維持させる。
【0042】
しかしながら、このような駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧補償は一定範囲内のみで可能であり、補償できる範囲には限界がある。即ち、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が特定値以上に大きくなったり、特定値以下に小さくなったりすれば、このように変化したしきい値電圧を補償することができなくなる。
【0043】
したがって、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が定まった範囲から外れて変化すれば、即ち、しきい値電圧が移動して補償可能なある一定範囲を外れれば、しきい値電圧の補償が不可能となるので、画質が低下し、当該駆動トランジスタ(DT)が正常に駆動できなくなり、その寿命が短縮される。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、しきい値電圧が補償可能な範囲から外れて移動(Shift)した場合、これを確認して、補償可能な範囲から外れたしきい値電圧を補償可能な範囲内に回復(Recovery)させることができる。
【0045】
以下、しきい値電圧が補償可能な範囲から外れて移動(Shift)した場合、これを確認して、補償可能な範囲から外れたしきい値電圧を補償可能な範囲内に回復(Recovery)させる回復駆動に対し、
図3から
図12を参照して説明する。
【0046】
図3及び
図4は、一実施形態による有機発光表示装置100の画素内の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧(Vth)が駆動時間によって大きくなったり小さくなったりするしきい値電圧移動現象を示す図である。
【0047】
以下、
図3を参照して、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が駆動時間によって大きくなる、正側(+)方向へのしきい値電圧移動現象について説明し、
図4を参照して、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が駆動時間によって小さくなる、負側(−)方向へのしきい値電圧移動現象を説明する。
【0048】
以下の説明の前に、まず幾つかの用語を整理する。
【0049】
しきい値電圧が変わる方向と関連して、“正側((+))方向”はしきい値電圧が大きくなる方向を意味し、“負側((−))方向”はしきい値電圧が小さくなる方向を意味する。
【0050】
また、“しきい値電圧移動(Vth Shift)”はしきい値電圧が大きくなったり小さくなったりすることを意味する。また、しきい値電圧移動が(+)方向になされる現象を(+)しきい値電圧移動といい、しきい値電圧移動が(−)方向になされる現象を(−)しきい値電圧移動という。
【0051】
また、しきい値電圧を補償することができるしきい値電圧の範囲を“しきい値電圧補償可能範囲”という。このようなしきい値電圧補償可能範囲は上限値と下限値のうちの少なくとも1つを有するが、しきい値電圧補償可能範囲の上限値を“しきい値電圧補償限界値(+)”といい、しきい値電圧補償可能範囲の下限値を“しきい値電圧補償限界値(−)”という。
【0052】
このようなしきい値電圧補償可能範囲は、有機発光表示装置100がしきい値電圧を補償することができる実質的な範囲であるか、または効率的な回復駆動のために実質的な範囲より広く、又は狭く予め設定された範囲でありうる。
【0053】
図3は、一実施形態による有機発光表示装置100の画素内の駆動トランジスタ(DT)の(+)しきい値電圧移動現象と、それに伴う輝度品質低下を示す図である。
【0054】
図3(A)は駆動トランジスタ(DT)の駆動時間が増加するにつれて駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が変化することを示すグラフであって、これを参照すると、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧は駆動時間が増加するにつれて大きくなる。
【0055】
即ち、駆動トランジスタ(DT)の駆動時間が長くなるにつれて駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が大きくなる“(+)しきい値電圧移動現象”を示す。
【0056】
また、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧は、駆動時間が増加する一定区間(0〜T1)の間は“しきい値電圧補償可能範囲”内で大きくなる。したがって、この区間(0〜T1)の間は、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧を所望の水準(他の画素の駆動トランジスタのしきい値電圧との偏差がなくなるか減る水準、または基準しきい値電圧になる水準)に補償することができる。
【0057】
しかしながら、この区間(0〜T1)を経過すれば、即ち、T1時点になれば、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲から外れて大きくなり始め、この時から、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧を所望の水準に補償することができなくなる。
【0058】
図3(B)は、駆動トランジスタ(DT)の駆動時間が増加するにつれて、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が
図3(A)のように変わる時、対応する画素での輝度がどのように変わるかを示すグラフである。
【0059】
図3(B)を参照すると、駆動トランジスタ(DT)の駆動時間がT1時点になる前までは駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲内で大きくなるので、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧を補償できる。これによって、駆動トランジスタ(DT)の駆動時間がT1時点になる前までは対応する画素の輝度を所望の水準(L1)に維持できる。
【0060】
しかしながら、駆動トランジスタ(DT)の駆動時間がT1時点を経過し、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲から外れて大きくなり始める。即ち、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲の上限値であるしきい値電圧補償限界値(+)より大きくなり始める。
【0061】
この時からは、即ちT1時点の以後からは、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧を所望の水準に補償できない。これによって、駆動トランジスタ(DT)が有機発光ダイオード(OLED)に供給する電流量が所望の電流量より徐々に減少するようになり、対応する画素の輝度が所望の水準(L1)を維持できない異常状態で徐々に低下するようになる。
【0062】
図4は、一実施形態による有機発光表示装置100の画素内の駆動トランジスタ(DT)の(−)しきい値電圧移動現象と、それに伴う輝度品質低下を示す図である。
【0063】
図4(A)は、駆動トランジスタ(DT)の駆動時間が増加するにつれて駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が変化することを示すグラフであって、これを参照すると、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧は、駆動時間が増加するにつれて小さくなる。
【0064】
即ち、駆動トランジスタ(DT)の駆動時間が長くなるにつれて駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が小さくなる“(−)しきい値電圧移動現象”を示す。
【0065】
また、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧は駆動時間が増加する一定区間(0〜T2)の間は“しきい値電圧補償可能範囲”内で小さくなる。したがって、この区間(0〜T2)の間は、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧を所望の水準(他の画素の駆動トランジスタのしきい値電圧との偏差がなくなるか減る水準、または基準しきい値電圧になる水準)に補償することができる。
【0066】
しかしながら、この区間(0〜T2)を経過すれば、即ちT2時点になれば、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲から外れて小さくなり始め、この時から、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧を所望の水準に補償することができなくなる。
【0067】
図4(B)は、駆動トランジスタ(DT)の駆動時間が増加するにつれて、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が
図4(A)のように変わる時、対応する画素での輝度がどのように変わるかを示すグラフである。
【0068】
図4(B)を参照すると、駆動トランジスタ(DT)の駆動時間がT2時点になる前までは駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲内で小さくなったので、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧を補償できる。これによって、駆動トランジスタ(DT)の駆動時間がT2時点になる前までは対応する画素の輝度を所望の水準(L2)に維持できる。
【0069】
しかしながら、駆動トランジスタ(DT)の駆動時間がT2時点を経過すると、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲から外れて小さくなり始める。即ち、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲の下限値であるしきい値電圧補償限界値(−)より小さくなり始める。
【0070】
この時、即ちT2時点の以後からは、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧を所望の水準に補償できない。これによって、駆動トランジスタ(DT)が有機発光ダイオード(OLED)に供給する電流量が所望の電流量より徐々に増加するようになり、対応する画素の輝度を所望の水準(L2)に維持できない異常状態で徐々に高くなる。
【0071】
図3及び
図4を参照して説明したように、各画素では、画素の駆動トランジスタ(DT)の駆動時間が長くなるにつれて駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲から外れて大きくなるか小さくなる現象が発生い得る。
【0072】
即ち、各画素では、補償限界(しきい値電圧補償可能範囲)を外れたしきい値電圧移動((+)しきい値電圧移動または(−)しきい値電圧移動)が発生し得る。
【0073】
したがって、一実施形態は、表示パネル110の全ての画素のうち、補償限界(しきい値電圧補償可能範囲)を外れたしきい値電圧移動((+)しきい値電圧移動または(−)しきい値電圧移動)が発生した画素に対し、しきい値電圧補償可能範囲から外れたしきい値電圧移動をしきい値電圧補償可能範囲内に回復(Recovery)させる回復駆動を提供する。
【0074】
しきい値電圧補償可能範囲から外れたしきい値電圧移動を回復させるための回復駆動は、各画素の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧センシング結果を用いてなされる。
【0075】
したがって、以下では
図5を参照して、各画素の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧をセンシングする方式を簡単に説明し、次に、
図6を参照して、しきい値電圧補償可能範囲から外れたしきい値電圧移動を回復させるための回復駆動について説明する。
【0076】
図5は、一実施形態による有機発光表示装置100の画素内の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧に対するセンシング及び補償処理を説明するための図である。
【0077】
図5に示すように、各画素には、有機発光ダイオード(OLED)と、このような有機発光ダイオード(OLED)を駆動するために有機発光ダイオード(OLED)に電流を供給する駆動トランジスタ(DT)と、スキャン信号(SCAN)によって制御され、データ電圧(Vdata)が駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)に印加されるように制御することによって、駆動トランジスタ(DT)のターンオン(Turn On)またはターンオフ(Turn Off)を制御するスイッチングトランジスタの役割をする第1トランジスタ(T1)と、一定電圧を一フレームの間維持させる役割を有するストレージキャパシタ(Cstg)と、センサ信号(SENSE)により制御され、駆動トランジスタ(DT)の第2ノードに基準電圧(Vref)を印加し、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧をセンシングするためのセンシングトランジスタとして第2トランジスタ(DT2)と、が含まれる。
【0078】
図5に示すような画素構造において、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧をセンシングするために、スキャン信号(SCAN)により第1トランジスタ(T1)がターンオンされて対応する画素のデータ集積回路510(D−IC)から供給されたデータ電圧(Vdata)がデータライン(DL)を通じて駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)に印加される。
【0079】
この際、センサ信号(SENSE)により第2トランジスタ(T2)がターンオンされて電圧供給源から供給された基準電圧(Vref)が、基準電圧ライン(RVL)を通じて駆動トランジスタ(DT)の第2ノード(N2)に印加される。
【0080】
即ち、駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)と第2ノード(N2)の各々には定電圧が印加され、これによって、ストレージキャパシタ(Cstg)の両端(N1、N2)に一定電位差(Vdata-Vref)が発生して、ストレージキャパシタ(Cstg)に一定電位差(Vdata-Vref)に対応する電荷が充電される。
【0081】
以後、基準電圧ライン(RVL)と連結されたスイッチ(図示せず)がオフ(off)にされ、しきい値電圧センシングのためのADC(Analog Digital Converter)520と連結されれば、駆動トランジスタ(DT)の第2ノード(N2)に印加されていた定電圧(Vref)がなくなり、駆動トランジスタ(DT)の第2ノード(N2)の電圧がフローティング(Floating)される。
【0082】
これによって、駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)には定電圧(Vdata)が印加されているが、第2ノード(N2)には定電圧が印加されなくなり、駆動トランジスタ(DT)の第2ノード(N2)の電圧が上がるようになる。
【0083】
このような駆動トランジスタ(DT)の第2ノード(N2)の電圧は、第1ノード(N1)と第2ノード(N2)との間の電位差が駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧になるまで上がる。
【0084】
この際、ADC520は駆動トランジスタ(DT)の第2ノード(N2)の電圧(Vdata-Vth)を測定して駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧をセンシングする。ここで、データ電圧(Vdata)は予め知られた値であるので、既に知っているデータ電圧(Vdata)から測定された電圧(Vdata-Vth)を引けば、しきい値電圧(Vth)を知ることができる。
【0085】
このようなしきい値電圧センシング方式によりセンシングされたしきい値電圧はメモリ(図示せず)に格納されることができ、しきい値電圧補償に利用できる。
【0086】
しきい値電圧補償と関連して、タイミングコントローラ150はADC520からのしきい値電圧(Vth)のディジタル値の伝達を受けて、これを用いてしきい値電圧補償のための補償値を演算して、演算された補償値またはこれによって変更された変更データ電圧(Vdata'=Vdata+Vth)を対応する画素のデータ集積回路510に伝達する。
【0087】
これによって、データ集積回路510は、タイミングコントローラ150で演算されて伝達された補償値によって、データ電圧(Vdata)を変更データ電圧(Vdata'=Vdata+Vth)に変換してアナログ形態にデータライン(DL)に出力するか、またはタイミングコントローラ150から伝達された変更データ電圧(Vdata'=Vdata+Vth)を、アナログ形態でデータライン(DL)に出力する。これによって、対応する画素の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が補償される。
【0088】
前述したしきい値電圧センシング及び補償処理は、表示パネル110内の全ての画素の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧、またはこれを知ることができる変換値をメモリに格納し、その次のセンシング時、メモリに格納されたしきい値電圧や変換値を更新する処理を含むことができる。
【0089】
一方、一実施形態は、前述したようなしきい値電圧センシング及び補償処理によって、全ての画素の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧がセンシングされれば、これに基づいて、全ての画素のうち、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲から外れた画素を確認して、即ちしきい値電圧補償可能範囲から外れてしきい値電圧が移動した画素を確認して、確認された画素に対し、しきい値電圧補償可能範囲から外れたしきい値電圧の移動をしきい値電圧補償可能範囲内に回復させる、回復駆動を提供することができる。
【0090】
しきい値電圧補償可能範囲から外れたしきい値電圧移動をしきい値電圧補償可能範囲内に回復させる回復駆動に関し、
図6から
図12を参照して説明する。
【0091】
図6は、一実施形態による有機発光表示装置100の画素内の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧の移動を回復させるための回復駆動を概略的に説明するための図である。
【0092】
図6を参照すると、一実施形態による有機発光表示装置100は、多数の画素Pのうち、有機発光ダイオード(OLED)を駆動する駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が駆動時間増加によって予め設定された“しきい値電圧補償可能範囲”から外れて移動(Shift)した特定画素がある場合、このような特定画素の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲内となるように、特定画素の駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)及び第2ノード(N2)に第1電圧及び第2電圧が調整されて印加されるように制御することによって、特定画素に対する回復駆動を実行する回復駆動部600をさらに含むことができる。
【0093】
ここで、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が駆動時間増加によって予め設定された“しきい値電圧補償可能範囲”から外れて移動(Shift)した特定画素は、しきい値電圧が大きくなるにつれてしきい値電圧補償可能範囲(補償限界)から外れた(+)しきい値電圧移動が発生した画素と、しきい値電圧が小さくなるにつれてしきい値電圧補償可能範囲(補償限界)から外れた(−)しきい値電圧移動が発生した画素を含む。
【0094】
このような回復駆動部600は、電源供給部610を通じて駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲内になるように調整された第1電圧及び第2電圧を、駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)及び第2ノード(N2)に印加させる。
【0095】
このような回復駆動部600により、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が駆動時間増加によって予め設定されたしきい値電圧補償可能範囲から外れて移動した画素が存在する場合、この画素に対し、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲内になるように調整された第1電圧及び第2電圧が、駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)及び第2ノード(N2)に各々印加される。
【0096】
一方、回復駆動部600は、電源供給部610を通じて駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲内となるように調整された第3電圧を駆動トランジスタ(DT)の第3ノード(N3)にさらに印加させることもできる。
【0097】
一方、回復駆動部600は、しきい値電圧補償可能範囲から外れた駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧をしきい値電圧補償可能範囲内に回復させるしきい値電圧移動を回復させるための回復駆動を表示パネル110のパワーオフ信号入力時に実行することができる。
【0098】
即ち、回復駆動部600は、表示パネル110の多数の画素のうち、有機発光ダイオード(OLED)を駆動する駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が駆動時間増加によって予め設定されたしきい値電圧補償可能範囲から外れて移動した特定画素が存在するか否かを確認して、特定画素が存在することを確認した場合、パワーオフ信号入力時に、特定画素のしきい値電圧移動を回復させるための回復駆動を実行する。これによって、特定画素の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲内に回復すれば、回復駆動を中止し、電源供給部610を通じて、特定画素の駆動トランジスタ(DT)の全てのノードにグラウンド電圧(Ground Voltage)が全て印加されるように制御することができる。
【0099】
前述した回復駆動部600は、タイミングコントローラ150の内部に含まれるか、またはデータ駆動部120内のデータドライバー集積回路(Data Driver IC)の内部に含まれることができる。場合によっては、回復駆動部600は、タイミングコントローラ150及びデータ駆動部120の外部に含まれることもできる。
【0100】
以下、
図7を参照して(+)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動をより詳細に説明し、
図8を参照して(−)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動をより詳細に説明する。
【0101】
図7は、一実施形態による有機発光表示装置100の画素内の駆動トランジスタ(DT)の(+)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動を説明するための図である。
【0102】
図7を参照すると、回復駆動部600は、しきい値電圧補償可能範囲から外れてしきい値電圧移動が発生した特定画素が、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が駆動時間増加によって増加しながら予め設定されたしきい値電圧補償可能範囲を正(+)の方向に外れて移動した第1特定画素の場合、第1特定画素の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が上昇してしきい値電圧補償可能範囲を正(+)の方向に外れて移動すれば、即ち、しきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲の上限値(しきい値電圧補償限界値(+))より大きくなれば、(+)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動を実行し(S)、回復駆動が実行され、第1特定画素の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が低下することにより、しきい値電圧補償可能範囲内に戻り、予め設定された第1基準値になれば、(+)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動を中止する(E)。
【0103】
ここで、(+)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動の中止と関連して予め設定して置いた第1基準値は、予め設定された値(Default Value)または多数の画素の各々に対してセンシングされたしきい値電圧の平均値(Average Sensing Value)から設定される値でありうる。
【0104】
一方、回復駆動部600は、しきい値電圧補償可能範囲から外れてしきい値電圧移動が発生した特定画素が、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が駆動時間増加によって増加しながら予め設定されたしきい値電圧補償可能範囲を正(+)の方向に外れて移動した第1特定画素の場合、即ち、補償限界を外れた(+)しきい値電圧移動画素の場合、第1特定画素の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が低下してしきい値電圧補償可能範囲内になるように、即ち、しきい値電圧補償可能範囲から外れた(+)しきい値電圧移動が回復するように、第1特定画素の駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)及び第2ノード(N2)に“ネガティブストレス(Negative Stress)”条件の第1電圧(V1)及び第2電圧(V2)が印加されるように制御することによって、(+)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動を実行する。
【0105】
また、回復駆動部600は、第1特定画素の駆動トランジスタ(DT)がネガティブストレス条件になるように、第1特定画素の駆動トランジスタ(DT)の第3ノード(N3)に第3電圧(V3)がさらに印加されるように制御することができる。
【0106】
ここで、“ネガティブストレス(Negative Stress)”は、当該駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が小さくなるように駆動トランジスタ(DT)のノードに電圧を印加することを意味する。ここで、駆動トランジスタ(DT)のノードに印加される電圧(V1、V2、V3)は駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が小さくなるように調整された電圧である。
【0107】
ネガティブストレスを駆動トランジスタ(DT)に加えるために、回復駆動部600は、第1特定画素の駆動トランジスタ(DT)がネガティブストレス条件になるように、第1特定画素の駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)に印加される第1電圧(V1)が第1特定画素の駆動トランジスタ(DT)の第2ノード(N2)に印加される第2電圧(V2)より低くなるように電圧調整(V1<V2)を実行することができる。
【0108】
また、回復駆動部600は、第1特定画素の駆動トランジスタ(DT)がネガティブストレス条件になるように、第1特定画素の駆動トランジスタ(DT)の第3ノード(N3)に第3電圧がさらに印加されるように制御し、かつ第1特定画素の駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)に印加される第1電圧(V1)が第1特定画素の駆動トランジスタ(DT)の第3ノード(N3)に印加される第3電圧(V3)より低くなるように、電圧調整(V1<V3)を実行することができる。
【0109】
図8は、一実施形態による有機発光表示装置100の画素内の駆動トランジスタ(DT)の(−)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動を説明するための図である。
【0110】
図8を参照すると、回復駆動部600は、特定画素が有機発光ダイオード(OLED)を駆動する駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が駆動時間増加によって低下しながら予め設定されたしきい値電圧補償可能範囲を負(−)の方向に外れて移動した第2特定画素の場合、即ち、補償限界を外れた(−)しきい値電圧移動画素の場合、第2特定画素の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が低下してしきい値電圧補償可能範囲を負(−)の方向に外れて移動すれば、即ち、しきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲の下限値(しきい値電圧補償限界値(−))より小さくなれば、(−)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動を実行し(S)、このような(−)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動が実行され、第2特定画素の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が上昇することにより、しきい値電圧補償可能範囲内に戻り、予め設定された第2基準値になれば(−)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動を中止する(E)。
【0111】
ここで、(−)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動の中止と関連して予め設定して置いた第2基準値は、予め設定された値(Default Value)または多数の画素の各々に対してセンシングされたしきい値電圧の平均値(Average Sensing Value)から設定される値でありうる。
【0112】
一方、回復駆動部600は、特定画素が有機発光ダイオード(OLED)を駆動する駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が駆動時間増加によって低下しながら予め設定されたしきい値電圧補償可能範囲から負(−)の方向に外れて移動した第2特定画素の場合、即ち、補償限界を外れた(−)しきい値電圧移動画素の場合、第2特定画素の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が上昇してしきい値電圧補償可能範囲内になるように、即ち、しきい値電圧補償可能範囲から外れた(−)しきい値電圧移動が回復するように、第2特定画素の駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)及び第2ノード(N2)に“ポジティブストレス(Positive Stress)”条件の第1電圧(V1)及び第2電圧(V2)が印加されるように制御することによって、(−)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動を実行することができる。
【0113】
また、回復駆動部600は、第2特定画素の駆動トランジスタ(DT)がポジティブストレス条件になるように、第2特定画素の駆動トランジスタ(DT)の第3ノード(N3)に第3電圧(V3)がさらに印加されるように制御することができる。
【0114】
ここで、“ポジティブストレス(Positive Stress)”は、当該駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が大きくなるように駆動トランジスタ(DT)のノードに電圧を印加することを意味する。ここで、駆動トランジスタ(DT)のノードに印加される電圧(V1、V2、V3)は駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が大きくなるように調整された電圧である。
【0115】
ポジティブストレスを駆動トランジスタ(DT)に加えるために、回復駆動部600は、第2特定画素の駆動トランジスタ(DT)がポジティブストレス条件になるように、特定画素の駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)に印加される第1電圧(V1)が第2特定画素の駆動トランジスタ(DT)の第2ノード(N2)に印加される第2電圧(V2)より高くなるように電圧調整を実行することができる(V1>V2)。
【0116】
また、回復駆動部600は、ポジティブストレスを駆動トランジスタ(DT)に加えるために、第2特定画素の駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)に印加される第1電圧(V1)が第2特定画素の駆動トランジスタ(DT)の第3ノード(N3)に印加される第3電圧より高くなるように電圧調整を実行することができる(V1>V3)。
【0117】
一方、回復駆動部600は、しきい値電圧補償可能範囲から外れた(+)しきい値電圧移動画素(第1特定画素)の駆動トランジスタ(DT)にネガティブストレスが加えられるか、またはしきい値電圧補償可能範囲から外れた(−)しきい値電圧移動画素(第2特定画素)の駆動トランジスタ(DT)にポジティブストレスが加えられる間、特定画素(第1特定画素及び/または第2特定画素)に対するしきい値電圧移動を回復させるための回復駆動時に、回復駆動が必要でない画素の駆動トランジスタ(DT)の全てのノードにノンストレス(Non-Stress)条件の電圧が印加されるように制御することができる。
【0118】
ここで、“ノンストレス(Non-Stress)条件”は、ネガティブストレス条件でない場合、またはポジティブストレス条件でない場合、またはネガティブストレス条件でもポジティブストレス条件でもない場合でありうる。
【0119】
一方、以下では、表示パネル110での多数の画素に、しきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲から外れた(+)しきい値電圧移動画素(第1特定画素)と、しきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲から外れた(−)しきい値電圧移動画素(第2特定画素)と、しきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲から外れない正常画素が全て含まれている場合、(+)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動と(−)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動をどのように実行すべきかに関する実施形態を、
図9から
図11を参照して説明する。
【0120】
図9は、一実施形態による有機発光表示装置100の画素に対し、回復駆動以前、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧移動状態を例示的に示す図である。
【0121】
図9の例示によれば、回復駆動部600がしきい値電圧移動を回復させるための回復駆動を実行する以前に、表示パネル110に形成された20個の画素のうち、“(+)”が表示された2つの画素は、しきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲(補償限界)を外れた(+)しきい値電圧移動画素(第1特定画素)であり、“(−)”が表示された2つの画素は、しきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲(補償限界)を外れた(−)しきい値電圧移動画素(第2特定画素)であり、“P”が表示された16個の画素は、しきい値電圧補償可能範囲(補償限界)から外れた(+)しきい値電圧移動としきい値電圧補償可能範囲(補償限界)から外れた(−)しきい値電圧移動がない正常画素である。
【0122】
回復駆動部600がしきい値電圧移動を回復させるための回復駆動を実行する以前に、
図9のようなしきい値電圧移動状態を有する時、回復駆動部600がしきい値電圧移動を回復させるための回復駆動を実行する方法の2つの実施形態を、
図10及び
図11を参照して各々説明する。
【0123】
図10は、
図9のしきい値電圧移動状態で、(+)しきい値電圧移動の回復、及び(−)しきい値電圧移動の回復のための順次的な回復駆動を示す図である。
【0124】
図10を参照すると、回復駆動部600は、多数の画素のうち、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が駆動時間増加によって上昇しながら予め設定されたしきい値電圧補償可能範囲を正(+)の方向に外れて移動した第1特定画素(しきい値電圧補償可能範囲(補償限界)から外れた(+)しきい値電圧移動画素)に対する回復駆動と、多数の画素のうち、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が駆動時間増加によって低下しながら予め設定されたしきい値電圧補償可能範囲を負(−)の方向に外れて移動した第2特定画素(しきい値電圧補償可能範囲(補償限界)から外れた(−)しきい値電圧移動画素)に対する回復駆動を順次的に実行することができる。
【0126】
図10(A)は、しきい値電圧がセンシングされる以前の20個の画素状態を示す図である。しきい値電圧センシング以前では、
図9のように、20個の画素のうち、センシング以前状態の時、しきい値電圧補償可能範囲から外れた画素が存在すること自体を知ることができない。
【0127】
図10(B)は、しきい値電圧センシング後、20個の画素のうち、2つの画素がしきい値電圧可能範囲から外れた(+)しきい値電圧移動画素であることを知るようになったことを示す図である。
【0128】
図10(B)を参照すると、しきい値電圧補償可能範囲(補償限界)から外れた(+)しきい値電圧移動画素は“(+)”で表示されており、“A”が表示された画素はしきい値電圧可能範囲(補償限界)から外れた(+)しきい値電圧移動画素でない画素である。
【0129】
“A”が表示された画素の各々は、正常画素であるか、またはしきい値電圧補償可能範囲(補償限界)から外れた(−)しきい値電圧移動画素でありうる。
【0130】
図10(C)を参照すると、回復駆動部600は、しきい値電圧補償可能範囲(補償限界)を外れた(+)しきい値電圧移動画素に対し、前述したように、ネガティブストレスが当該駆動トランジスタ(DT)に加えられるように電圧を印加して、(+)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動を実行する。
【0131】
これと関連して、回復駆動部600は、しきい値電圧補償可能範囲(補償限界)から外れた(+)しきい値電圧移動画素である2つの第1特定画素(“+”で表示されている)に対する回復駆動を実行する時、第1特定画素を除外した残りの画素の駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)には、第1特定画素の駆動トランジスタ(DT)の第1ノードに印加される第1電圧より高い電圧が印加されるように制御することができる。
【0132】
これによって、
図10(C)に示すように、20個の全ての画素は、しきい値電圧可能範囲(補償限界)から外れた(+)しきい値電圧移動がない画素となる。このような意味で、全ての画素に“A”が表示される。
【0133】
図10(C)で、“A”が表示された20個の画素は、正常画素であり得、しきい値電圧補償可能範囲(補償限界)を外れた(−)しきい値電圧移動画素でもあり得る。
【0134】
図10(D)は、(+)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動によってしきい値電圧可能範囲(補償限界)を外れた(+)しきい値電圧移動がない画素になった20個の全ての画素に対するしきい値電圧センシング結果(
図10(A)段階の以後での最初のセンシング結果、または
図10(C)段階の以後に新しくセンシングした結果)によって、2つの画素がしきい値電圧可能範囲(補償限界)から外れた(−)しきい値電圧移動画素(“−”で表示された画素)として確認され、残りの画素は正常画素(“B”で表示された画素)として確認された場合を示す図である。
【0135】
このような画素のしきい値電圧移動状態において、回復駆動部600は、しきい値電圧補償可能範囲(補償限界)から外れた(−)しきい値電圧移動画素に対し、前述したように、ポジティブストレスが当該駆動トランジスタ(DT)に加えられるように電圧を印加して、(−)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動を実行する。
【0136】
このような(−)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動によって、
図10の(E)に示すように、20個の全ての画素は、しきい値電圧可能範囲(補償限界)から外れた(−)しきい値電圧移動がない画素となる。このような意味で、全ての画素に“B”が表示される。
【0137】
回復駆動部600は、しきい値電圧補償可能範囲(補償限界)から外れた(−)しきい値電圧移動画素である第2特定画素に対する回復駆動を実行する時、第2特定画素を除外した残りの画素の駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)には、第2特定画素の駆動トランジスタ(DT)の第1ノードに印加される第1電圧より低い電圧が印加されるように制御する。
【0138】
前述したように、しきい値電圧補償可能範囲(補償限界)から外れた(+)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動と、しきい値電圧補償可能範囲(補償限界)を外れた(−)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動とが順次的になされた以後、20個の全ての画素は、
図10の(F)に示すように、(+)しきい値電圧移動もなく、(+)しきい値電圧移動もない正常画素(“P”で表示された画素)となる。
【0139】
一方、回復駆動部600は、
図10を参照して前述したように、しきい値電圧補償可能範囲(補償限界)から外れた(+)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動と、しきい値電圧補償可能範囲(補償限界)から外れた(−)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動とを順次的に実行することもできるが、同時に実行することもできる。これは、
図11を参照して説明する。
【0140】
図11は、
図9のしきい値電圧移動状態で、(+)しきい値電圧移動の回復、及び(−)しきい値電圧移動の回復のための同時回復駆動に関する例示図である。
【0141】
図11(A)は、しきい値電圧がセンシングされる以前の20個の画素状態を表現した図である。しきい値電圧センシング以前では、
図11(A)に示すように、20個の画素のうち、センシング以前状態の時、しきい値電圧補償可能範囲から外れた画素の存在すること自体を知ることができない。
【0142】
図11(B)は、しきい値電圧センシング後、20個の画素のうち、“(+)”で表示された2つの画素はしきい値電圧可能範囲から外れた(+)しきい値電圧移動画素であり、“(−)”が表示された2つの画素はしきい値電圧可能範囲から外れた(−)しきい値電圧移動画素であると確認されたことを示す図である。
【0143】
図11(B)で、“P”で表示された画素は、しきい値電圧可能範囲から外れた(+)しきい値電圧移動画素でもなく、しきい値電圧可能範囲から外れた(−)しきい値電圧移動画素でもない正常画素である。
【0144】
回復駆動部600は、20個の画素のうち、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が駆動時間増加によって上昇しながら予め設定されたしきい値電圧補償可能範囲(補償限界)から正(+)の方向に外れて移動した第1特定画素(しきい値電圧補償可能範囲(補償限界)から外れた(+)しきい値電圧移動画素)に対する回復駆動と、20個の画素のうち、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が駆動時間増加によって低下しながら予め設定されたしきい値電圧補償可能範囲から負(−)の方向に外れて移動した第2特定画素(しきい値電圧補償可能範囲(補償限界)から外れた(−)しきい値電圧移動画素)に対する回復駆動を同時に実行する。
【0145】
言い換えると、回復駆動部600は、しきい値電圧補償可能範囲(補償限界)から外れた(+)しきい値電圧移動画素に対し、ネガティブストレスが当該駆動トランジスタ(DT)に加えられるように電圧を印加して、(+)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動を実行し、これと同時に、しきい値電圧補償可能範囲(補償限界)を外れた(−)しきい値電圧移動画素に対し、ポジティブストレスが当該駆動トランジスタ(DT)に加えられるように電圧を印加して、(−)しきい値電圧移動回復のための回復駆動を同時に実行する。
【0146】
この際、回復駆動部600は、しきい値電圧可能範囲から外れた(+)しきい値電圧移動画素(第1特定画素)としきい値電圧可能範囲から外れた(−)しきい値電圧移動画素(第2特定画素)を除外した残りの画素(正常画素)の駆動トランジスタ(DT)の第1ノード(N1)には、第1特定画素の駆動トランジスタ(DT)の第1ノードに印加される第1電圧と第2特定画素の駆動トランジスタ(DT)の第1ノードに印加される第1電圧との間の電圧が印加されるように制御することができる。
【0147】
一方、以上で説明したように、1つの画素がしきい値電圧補償可能範囲から(+)方向に外れてしきい値電圧移動が発生した場合、回復駆動により、しきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲内に回復した後に、回復したしきい値電圧が再びしきい値電圧補償可能範囲から(+)方向または(−)方向に外れてしきい値電圧移動が発生することがあり、この場合、再び回復駆動を実行しなければならない。これによって、1つの画素の駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧をしきい値電圧補償可能範囲内に維持することができる。これによって、正常な駆動時間を増やし、寿命も長くすることができる。このような連続したしきい値電圧移動を回復させるための回復駆動について、
図12を参照して説明する。
【0148】
図12は、一実施形態による有機発光表示装置100の画素内の駆動トランジスタ(DT)の連続的なしきい値電圧移動を回復させるための回復駆動を説明するための図である。
【0149】
図12を参照すると、一例に、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が上昇し、しきい値電圧補償可能範囲の上限値(しきい値電圧補償限界値(+))より大きくなれば、(+)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動(第1の回復駆動)が始まり(S1)、このように始まった第1の回復駆動によりしきい値電圧が小さくなることにより、しきい値電圧補償可能範囲の上限値(しきい値電圧補償限界値(+))より小さくなり、しきい値電圧補償可能範囲内に戻る。このような第1の回復駆動は、低下したしきい値電圧が予め設定された第1基準値になるまで実行される(E1)。
【0150】
このような閾値電圧補償により、しきい値電圧補償可能範囲から(+)方向に外れたしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲に回復し、よって、輝度が低下する画質低下問題を解決できる。
【0151】
一例として、同一な駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が低下し、しきい値電圧補償可能範囲の下限値(しきい値電圧補償限界値(−))より小さくなれば、(−)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動(第2の回復駆動)が実行され(S2)、このようにして実行された第2の回復駆動により、しきい値電圧が大きくなることにより、しきい値電圧補償可能範囲の下限値(しきい値電圧補償限界値(−))より大きくなり、しきい値電圧補償可能範囲内に戻る。このような第2の回復駆動は、上昇したしきい値電圧が予め設定された第2基準値になるまで実行される(E2)。
【0152】
このような閾値電圧補償により、しきい値電圧補償可能範囲から(−)方向に外れたしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲に回復し、よって、輝度が正常水準を外れて上昇する画質低下問題を解決できる。
【0153】
一例として、同一な駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が上昇し、しきい値電圧補償可能範囲の上限値(しきい値電圧補償限界値(+))より大きくなれば、(+)しきい値電圧移動を回復させるための回復駆動(第3の回復駆動)が実行され(S3)、このようにして実行された第3の回復駆動により、しきい値電圧が小さくなることにより、しきい値電圧補償可能範囲の上限値(しきい値電圧補償限界値(+))より小さくなり、しきい値電圧補償可能範囲内に戻る。このような第3の回復駆動は、低下したしきい値電圧が予め設定された第1基準値になるまで実行される(E3)。
【0154】
このような閾値電圧補償により、しきい値電圧補償可能範囲から(+)方向に外れたしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲に回復し、よって、輝度が低下する画質低下問題を解決できる。
【0155】
図12を参照して前述したように、一実施形態によれば、1つの駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧が駆動時間によってしきい値電圧補償可能範囲からいずれの方向へ外れてたとしても、しきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲内で持続的に維持されるようにすることができる。
【0156】
以上、説明したように、本発明によれば、駆動トランジスタ(DT)の駆動時間が増加するにつれて、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲から外れて移動する場合、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧をしきい値電圧補償可能範囲内に回復させることができるしきい値電圧移動を回復させるための回復駆動が可能な有機発光表示装置100、及びその表示パネル110を提供する効果がある。
【0157】
本発明によれば、駆動トランジスタ(DT)の駆動時間が増加しても、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧がしきい値電圧補償可能範囲内で持続的に維持されるようにする有機発光表示装置100、及びその表示パネル110を提供する効果がある。
【0158】
以上の説明及び添付の図面は、本発明の技術思想を例示的に説明したことに過ぎないものであって、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で構成の結合、分離、置換、及び変更などの多様な修正及び変形が可能である。したがって、本発明に開示された実施形態は本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は請求範囲により解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。