【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、請求項1の特徴を有する研究室試料配送システムおよび請求項
15の特徴を有する方法を提供することによって、この問題を解決する。実施形態は、従属請求項の主題である。
【0006】
研究室試料または検体配送システムは、いくつかの容器キャリア、たとえば50〜500の容器キャリアを備える。容器キャリアは自蔵動力式ではない。容器キャリアは、少なくとも1つの磁気的に活性な、すなわち磁気吸引性の、デバイスを備え、単一の試料容器を運ぶように適合される。
【0007】
さらに、システムは、二次元の搬送平面または支持表面を含む搬送デバイスを備え、この搬送平面または支持表面は、完全に平面であってよく、容器キャリアの少なくとも一部を運ぶように適合される。この搬送デバイスは、搬送平面の下方に静止してまたは固定して配置された、いくつかの電磁アクチュエータ、たとえば50〜5000の電磁アクチュエータをさらに備える。電磁アクチュエータは、容器キャリアに、すなわち容器キャリアの磁気的活性デバイスに、磁力を印加または引き起こすことによって、搬送平面の上で少なくとも2つの異なる方向に容器キャリアを移動させるように適合される。搬送デバイスは、たとえば対応する駆動電流で、前記電磁アクチュエータを駆動することによって前記搬送平面の上での前記容器キャリアの移動を制御するように適合された制御デバイスをさらに含む。この制御デバイスは、3つ以上の容器キャリアが同時にかつ互いから独立して移動可能であるように移動を制御するように適合される。同時に、とは、特定の時間間隔中に少なくとも2つの容器キャリアが移動することを示す。独立して、とは、複数の容器キャリアがたとえば異なる方向に異なる速度で異なる経路に沿って移動され、異なる時点で移動を開始することができることを示す。制御デバイスは、制御ソフトウェアを実行するパーソナルコンピュータとして組み込まれることができる。このパーソナルコンピュータは、電磁アクチュエータを物理的に駆動する専用駆動ハードウェアと相互作用することができる。
【0008】
搬送平面は、磁力によってガイドされる方向に沿った移動を可能にする方法で容器キャリアを支持する。したがって、搬送平面は、容器キャリアのスムーズな運動を可能にするように、少なくともこれらの移動方向で連続的である。多数の横方向に沿ったキャリアの柔軟な移送を可能にするために、平坦な搬送平面が有利である。顕微鏡的レベルでは、搬送平面と容器キャリアの底部表面との間の摩擦を軽減するために、多数の小さな突起を持つ表面を用いることが有利な場合がある。
【0009】
搬送平面はさらに、電磁アクチュエータの磁界を透過する必要がある。したがって、搬送平面は、たとえばガラスまたはプラスチックのような磁気透過性材料から作製される。さらに、搬送平面の厚さは、機械的安定性と磁気遮蔽の最適な折り合いによる。2〜10mmの厚さを有する搬送平面が好適であることが示されている。
【0010】
磁気的活性デバイスは、磁力を対応する磁界と相互作用させるように適合されたデバイスであり、磁気的活性デバイスは、少なくとも1つの永久磁石を備えることができる。複数の電磁アクチュエータが対応する容器キャリアと個々に相互作用することによって、高い搬送柔軟性を提供する搬送平面上で所与の格子に沿って複数の個々の試料容器を独立してかつ同時に移動させることが可能であり、これは、単一の容器が互いから独立して搬送平面上の所望の場所に搬送できることを意味する。
【0011】
移動は、異なる経路に沿って同時にかつ互いから独立して移動する容器キャリア同士の衝突が回避されるように制御されることができる。複数の容器キャリアが同じ位置または場所に移動しようとする場合に、衝突が生じることがある。衝突は、容器キャリアのあるルートまたは経路上の次の位置が、異なるルートに沿って移動する別の容器キャリアによってブロックまたは占有されているかどうか、チェックすることによって回避されることができる。次の位置がブロックされている場合、容器キャリアは実際の位置に留められる。次の位置に容器キャリアがないとき、留められていた容器キャリアは移動を継続する。さらに、衝突は、たとえば衝突を回避するルートを演繹的に最適化することによって、論理的に回避されることができる。
【0012】
移動は、少なくとも1つの搬送セクションが前記搬送平面上で論理的に定義または形成されように制御されることができ、所与の搬送セクション内で移動する容器キャリアは同じ搬送方向を有する。搬送セクションは、論理セクション内で搬送平面を覆う。各々の搬送セクションの中では、容器キャリアは一方向に移動される。したがって、各々の搬送セクションは、1つまたは複数のトラックを有する道を論理的に定義する。容器キャリアは、所与のトラックに沿って移動する。異なる論理セクション内で搬送平面を覆うことによって、異なる容器キャリアルート同士の交差の数が減少するまたはなくなる。したがって、複数の容器キャリアが搬送平面の上で同時に移動されるルートを見つける際の複雑さが軽減される。
【0013】
搬送セクションの外側で、容器キャリアは、技術的に可能なあらゆる方向に移動することができる。搬送セクションは、搬送平面上で目視によりマークされることができる。
移動は、開始場所および宛先場所によって定義されたルートが所与の基準によって最適化されるように制御されることができる。この所与の基準は、開始場所と宛先場所の間の最短距離、開始場所と宛先場所の間の搬送時間、他のルートとの交差点の数、容器キャリアに割り当てられた優先順位、および不良な電磁アクチュエータからなるグループのうちの少なくとも1つである。基準が他のルートとの交差点の数である場合、交差点をできるだけ回避するルートが計画されることができる。これによって、搬送平面にわたる異なるルートに沿って移動する容器キャリア間の依存性が減少する。基準が容器キャリアに割り当てられた優先順位である場合、2つ以上の異なる優先順位が割り当てられることができ、より高い優先順位を有する容器キャリアの搬送を高速化することが可能である。したがって、緊急試料は最も高い優先順位を有する容器キャリアによって移動され、それによって、そのような緊急試料の全体的な処理時間を最小にすることができる。基準が、不良な電磁アクチュエータを反映する場合、電磁アクチュエータのいくつかが不良である場合でも、搬送板を動作させることが可能である。ルートは、それらの不良な電磁アクチュエータが迂回されるように計画されることができる。不良な電磁アクチュエータの位置は、自動的に検出されるおよび/またはオペレータによって入力されることができる。
【0014】
搬送平面は、搬送平面上に容器キャリアおよび/または試料容器を手動および/または自動的に配設する/挿入するための挿入領域を備えることができる。
バーコードリーダおよび/またはRFIDリーダが、挿入領域に隣接してまたはその中に配設されることができ、したがって、挿入領域上に実際に配設された試料/試料容器を識別するバーコード情報および/またはRFIDタグ情報が読み取られ、制御デバイスによってさらに処理されることができる。
【0015】
したがって、搬送平面は、搬送平面から容器キャリアおよび/または試料容器を手動でおよび/または自動的に除去するための除去領域を備えることができる。
搬送平面は、望ましくない操作を防止するために挿入領域および除去領域のみが使用者によってアクセス可能であるように覆われることができる。
【0016】
短時間で分析されることが必要な、試料容器内に含まれる試料(STAT試料または優先試料)のために、専用の優先挿入領域および除去領域が搬送平面上に設けられてよい。
そのような優先試料を運ぶ容器キャリアは、手動で、またはデバイスを用いて、優先挿入領域上に配設される。
【0017】
容器キャリアは、優先挿入領域上に配設された後、制御デバイスの制御下で高優先順位で搬送平面上で移動される。
試料容器への、および対応する容器キャリアへの優先順位の割り当ては、優先挿入領域上に優先試料を運ぶ容器キャリアを配設するだけで実行されることができる。センサデバイス、たとえばバーコードリーダおよび/またはRFIDリーダは、容器キャリアの存在を検出することができ、さらに処理するためのあらゆる必要な情報を決定し、この情報を制御デバイスに伝達することができる。
【0018】
それに加えて、または代替として、優先順位の割り当ては、優先順位を持つ処理/移動されるべき試料容器を知っている制御デバイスによって実行されることができる。優先順位を有する試料容器が容器キャリア内に配設される場合、制御デバイスは、搬送平面上での容器キャリアの優先順位の付けられた移動を制御することができる。
【0019】
システムは、搬送平面上に位置する容器キャリアの存在および/または位置を検知するように適合された容器キャリア検知デバイスをさらに備えることができる。容器キャリアのスケジュール位置、すなわちシステムが制御デバイスによるスケジュールに従って故障なく機能する場合に容器が有するはずの位置と、容器キャリアの検知された位置が比較される。スケジュール位置が検知された位置と一致しない場合、エラーメッセージが生成されることができる。
【0020】
あるいは、搬送デバイスは、すべての容器キャリアが移動を停止するように、停止されることができる。これによって、故障状態が安全に検出および扱われることができるので、システムの安全な動作が可能になる。
【0021】
スケジュール位置と検知された位置を比較することによって、たとえば摩擦の増加をもたらす搬送平面の汚れによって引き起こされる、たとえば搬送速度の緩やかな低下を検出することがさらに可能になる。搬送速度のそのような緩やかな低下が判断される場合、したがって、制御デバイスは、電磁アクチュエータによって生成される磁力を増加させるおよび/または搬送速度が所与の閾値を下回る場合エラーメッセージを表示することができる。
【0022】
電圧低下のとき、たとえば停電の場合、実際に検知された位置/ステータスは、制御デバイスによって記憶されることができる。この記憶された位置/ステータスは、電源再投入時に制御デバイスによって使用されることができる。制御デバイスは、記憶された位置を実際に検知された位置と比較することができる。不一致の場合、制御デバイスは、エラーメッセージを生成するおよび/またはエラー処理手続きを実行することができる。
【0023】
中断のない電力供給は、停電の場合に安全に電圧を降下させるために十分な電力を提供するために使用されることができることは、自明である。
搬送平面は、搬送平面のステータスを示す1つまたは複数の表示部たとえばLEDを備えることができる。LEDは、たとえば、搬送平面の半透明領域の下方に配置されることができ、LEDは、たとえば点滅により対応する電磁アクチュエータのステータス、特定の容器キャリアの位置、清掃されるべき領域、挿入/除去領域、不良領域などを示す。
【0024】
搬送平面は、研究室ステーション(研究室デバイスとも呼ばれる)および/または自動移送デバイスに隣接して位置する少なくとも1つの移送領域を備えることができる。移送領域は、研究室ステーションまたは自動移送デバイスによって順次処理するために、いくつかの容器キャリアを収容するように適合させることができる。移送領域は引き渡し位置を備えることができ、容器キャリアは、前記引き渡し位置を通過することによって前記移送領域に排他的に入る。移送領域は、対応する研究室ステーションのための動的な処理待ち行列を提供し、それによって、柔軟な負荷の平衡を可能にする。この動的な処理待ち行列は、限られた処理能力を有する対応する研究室ステーションによって多数の試料が処理されなければならない場合、より長くなることがある。未処理の試料キャリアまたは試料は、移送領域の中の場所で待ち行列に入れられ、この場所の数は固定であってもよいし、可変であってもよい。数が可変の場合、移送領域の大きさは、処理を待つ容器キャリアの数に応じて、動的に増加されてもよい。固定の引き渡し位置は、あらゆる場合において宛先すなわち引き渡し位置が知られているので、研究室ステーションへのルーティングを簡略化する。
【0025】
システムは、搬送平面上に位置する容器キャリアの存在および位置、ならびに/または好ましくは対応する試料に関する情報を含む、搬送平面上に位置する試料容器の存在および位置、ならびに/または試料配送システムのエラー状態を視覚化するように適合された視覚化デバイスを備えることができる。エラー状態は、たとえば、不良な電磁アクチュエータであってよい。視覚化デバイスは、たとえば、LCDモニタであってよい。視覚化デバイスを使用すると、システムの動作を視覚的に監視すること、および視覚的に誘導される手動の相互作用によって複雑なエラー状態を扱うことが可能である。
【0026】
試料容器の用途の広い(versatile)搬送のための方法は、上記で説明したいくつかの容器キャリアを備える研究室試料配送システムを用いて達成されることができる。このシステムは、容器キャリアを移動させるための搬送デバイスを備える。この搬送デバイスは、前記複数の容器キャリアを運ぶように適合された搬送平面と、この搬送平面の下方に配置されたいくつかの電磁アクチュエータであって、容器キャリアに磁力を印加することによって搬送平面の上に配設された容器キャリアを移動させるように適合された電磁アクチュエータと、前記搬送平面の上の前記容器キャリアの移動を制御するように適合された制御デバイスとを備える。前記搬送平面の上の容器キャリアの移動は、2つ以上の容器キャリアが同時にかつ互いから独立して移動可能であるように前記電磁アクチュエータを駆動することによって制御される。「同時に」という用語は、本明細書において、少なくとも特定の時間間隔で2つの容器キャリアが両方とも動いていることを意味する。
【0027】
少なくとも1つの永久磁石は球形であってよく、球形の永久磁石のN極またはS極は搬送平面に向けられる。言い換えれば、球形の永久磁石の両極を通って延在する軸は、搬送平面に垂直である。球形の永久磁石の直径は、約12mmとすることができる。球形の永久磁石によって、たとえば棒磁石と比較して最適化された磁界が電磁アクチュエータと相互作用し、その結果、側方移動方向における磁気成分がより大きくなる。
【0028】
永久磁石は、現在隣接する起動されていない電磁アクチュエータの強磁性コアと共に、望ましくない磁気保持力を起こす。この保持力によって、現在隣接する起動されていない電磁アクチュエータから起動されている電磁アクチュエータの方へ離れる容器キャリアの所望の移動が妨害される。永久磁石と搬送平面の間の距離を増加させる、すなわち永久磁石と電磁アクチュエータの間の距離も増加させることによって、この磁気保持力が減少する。好ましくないことに、距離を増加させると、側方移動方向への所望の磁気搬送力も低下する。したがって、少なくとも1つの永久磁石の中心と容器キャリアの底部表面の間の距離は、5mm〜50mmの範囲内にあるように選択されることができ、この底部表面は、搬送平面と接触するように適合される。所与の距離範囲は、移動方向における所望の磁気搬送力と望ましくない磁気保持力との間の最適な折り合いを提供する。
【0029】
容器キャリアは、容器キャリアの台(stand)の中央に配置された第1の永久磁石と、この第1の永久磁石を囲む台の中に配置された環状形状を有する第2の永久磁石とを備えることができる。この配置は、特に複数の電磁アクチュエータが所与の時刻に起動される場合に、押す磁力および引っ張る磁力を引き起こす際の高い柔軟性を提供する。第1の永久磁石と第2の永久磁石は逆の極性を有することができ、すなわち第1の永久磁石のS極と第2の永久のN極は搬送平面を指すことができ、または第1の永久磁石のN極と第2の永久のS極は搬送平面を指すことができる。環状形状の第2の永久磁石は、搬送平面の電磁アクチュエータの軸間の距離よりも小さい直径を有する円形領域を配置することができる。
【0030】
容器キャリアは、一意のIDを格納するRFIDタグを備えることができる。これによって、試料容器IDたとえばバーコードと、対応する容器キャリアの間の合致が可能になる。一意のキャリアIDは、任意選択のRFIDリーダによって読み取られることができる、RFIDリーダはシステムの一部であり、システム内の1つまたは複数の特定の場所に配設される。
【0031】
RFIDタグは、容器キャリアの台の中に配置された環状形状のアンテナを備えることができる。このアンテナ配置によって、搬送平面の下方にあるRFIDリーダアンテナによってRFIDタグを読み取ることが可能になる。したがって、邪魔になるRFIDリーダアンテナのない搬送平面そのものおよび/または搬送平面より上方の領域が設計されることができる。
【0032】
容器キャリアの台は、約3.5cm〜4.5cmの直径を有する円形断面を有する。台の断面が円形であることによって、異なる方向に隣接して移動する容器キャリアの台が衝突する可能性が低下する。これによって、たとえば方形の台と比較して、位置に隣接する必要な安全距離および位置決め精度に関する要件が減少する。さらに、円形の台は、容器キャリアの自立性を改善し、たとえば容器キャリアが通常の動作条件下で傾くことを防止する。
【0033】
電磁アクチュエータは、磁界を誘導および増幅する強磁性コアを備えることができる。電磁アクチュエータは、中央の指部と4つの側方指部とを有することができ、指部の各々は、搬送平面に垂直に延在する。中央の指部のみは、動作電流によって駆動されるコイルによって囲まれることができる。この配置は、電磁アクチュエータを起動するために必要なコイルの数を減少させ、中央の指部と側方の指部は、有利には、特に容器キャリアが、台の中央に配置された第1の永久磁石と、第1の永久磁石を囲む台の中に配置された環状形状を有する第2の永久磁石を備える場合、それぞれ押す力および引っ張る力を提供することによって相互作用する。
【0034】
電磁アクチュエータは、アクティブな搬送フィールドの格子またはマトリックスを形成する行と列の形で配置されることができる。この行および列は、第1の格子寸法g1または第2の格子寸法g2のどちらかを有し、g2=2×g1である。隣接する行と隣接する列は、異なる格子寸法を有する。格子寸法は、所与の行または列における隣接するまたは連続的な電磁アクチュエータ距離を指定する。言い換えれば、電磁アクチュエータは、格子またはマトリックスの形で配置され、この格子またはマトリックスは、電磁アクチュエータの省略を表すブランク位置を有する。この配置では、特定の宛先は前記行および列に沿った移動に基づいて到達できるので、搬送平面上の特定の宛先に到達するためには、容器キャリアの対角移動は必要ではないと考える。電磁アクチュエータの前述の配置によって、必要とされる電磁アクチュエータの数が、一定の格子寸法を有する解決策と比較して、著しく(たとえば33%)減少する。それにもかかわらず、対角移動が必要とされる場合、たとえば等しい寸法を持つアクティブな搬送フィールドに分割される搬送平面を形成する一定の格子寸法を有する行および列が設けることができることは自明である。
【0035】
搬送平面は、複数の下位平面(sub plane)に分割されることができ、各々の下位平面は、第1の外面と、第2の外面と、第3の外面と、第4の外面とを有し、搬送平面を形成するように、さらなる平面が敷き詰められた形で配置されることができる。したがって、この手法は、所望の形状の搬送平面を提供する能力を提供する。これは、現在の研究室ステーションにより、または空間的な制約により、個々の研究室が持ちうるニーズに対応する大きな利点である。
【0036】
下位平面から搬送平面を構築する手法は、異なる格子寸法を有する行という概念と組み合わせて、必要な電磁アクチュエータの数を減少させることができる。下位平面は、第1の外面および第2の外面に沿って電磁アクチュエータが第1の格子寸法g1に配置され、第3の外面および第4の外面に沿って電磁アクチュエータが第2の格子寸法g2に配置される場合に、用いられることができ、g2=2×g1である。複数の下位平面は、敷き詰められた形で隣接して配置されることができ、異なる下位平面の隣接する外面は異なる格子寸法を有する。
【0037】
システムは、隣接する電磁アクチュエータ間の磁気結合を提供するように適合された磁化可能な結合要素を備えることができる。この結合要素により、起動された電磁アクチュエータは、逆の極性を有する隣接するアクチュエータ内で磁界を自動的に発生させる。これは、単一の電磁アクチュエータのみがたとえば対応する励磁電流によって起動される場合ですら、それぞれの引っ張る力および押す力を自動的に提供する。
【0038】
容器キャリアの表面および搬送平面の表面は、たとえば容器キャリアおよび/または搬送平面をコーティングすることによって、表面間の摩擦を減少させるように構成することができる。
【0039】
システムは、搬送平面を覆う、特に搬送平面を形成する複数の下位平面を覆うカバープロファイルを備えることができ、このカバー平面は液密である。カバー平面は搬送平面の清掃を簡略化し、複数の隣接する下位平面搬送平面から形成されるとき、隣接する下位平面間の間隙の邪魔となることを回避する。さらに、カバープロファイルは、隣接する下位平面間の高低差を軽減する。カバープロファイルは、搬送平面の上に重なるだけでもよいし、配置を安定させ、磁力を減少させる離間を防止するように、下位平面の上部表面に接着されてもよい。
【0040】
試料容器の用途の広い(versatile)搬送のための方法は、上記で説明したいくつかの容器キャリアを備える研究室試料配送システムを用いて達成することができる。この容器キャリアは、少なくとも1つの磁気的活性デバイスを備え、試料容器を運ぶように適合される。研究室試料配送システムは、前記容器キャリアを運ぶように適合された搬送平面と、前記搬送平面の下方に静止して配置されたいくつかの電磁アクチュエータとをさらに備える。この電磁アクチュエータは、前記容器キャリアに磁力を印加することによって前記搬送平面の上で容器キャリアを移動させるように適合される。この方法は、前記電磁アクチュエータのうち少なくとも1つを起動して、前記少なくとも1つの起動された電磁アクチュエータの動作距離内の容器キャリアに磁力を印加するステップを含む。電磁アクチュエータを起動することは、磁界が電磁アクチュエータによって生成されることを意味する。起動は、強磁性コアを囲むコイルに印加される駆動電流を生成するによって行われることができる。
【0041】
搬送平面上で移動する容器キャリアの速度は、隣接する電磁アクチュエータの連続した起動の間の時間を設定することによって設定されることができる。この持続時間が、より短く設定される場合、速度は増加し、この持続時間が、より長く設定される場合、速度は減少する。持続時間を動的に変更することによって、容器キャリアは加速または減速されることができる。
【0042】
電磁アクチュエータは、前記磁力を用いて印加されるべき前記容器キャリアの検知された位置に応じて起動されることができる。電磁アクチュエータは、生成された磁界の極性が電磁アクチュエータに対する容器キャリアの位置によって決まるように起動されることができる。これによって、位置に依存した引っ張る力と押す力が生じる。第1の位置範囲では、容器キャリアが、起動された電磁アクチュエータの方へ移動しているとき、引っ張る力が、起動された電磁アクチュエータの方へ容器キャリアを引きつけることができる。第2の位置範囲では、容器キャリアが電磁アクチュエータを横断すると、今度は押す力が、反対の極性を有する磁界を生成する起動された電磁アクチュエータから離れるように容器キャリアを押す。さらに、磁界強度は、容器キャリアの安定した移動を提供するように、検知された位置に応じて変更されてよい。電磁アクチュエータは、単一の極性のみを有する磁界を生成してシステムを簡略化するように適合させることができる。この場合、容器キャリアが、起動された電磁アクチュエータの方へ移動しているとき、起動された電磁アクチュエータは、第1の位置範囲で引っ張る力を生成することができる。第2の位置範囲では、容器キャリアが電磁アクチュエータを横断したとき、電磁アクチュエータは停止されることができる。
【0043】
第1の搬送経路に沿って第1の容器キャリアを移動させるため、電磁アクチュエータの第1のグループが、第1の搬送経路に沿って起動されることができる。第2の搬送経路に沿って第2の容器キャリアを独立して、かつ少なくとも部分的に同時に移動させるため、複数の電磁アクチュエータからなる第2のグループが、第2の搬送経路に沿って起動されることができる。「同時に」は、特定の時間間隔中に第1の容器キャリアと第2の容器キャリアの両方が移動することを示す。第1のグループまたは第2のグループの電磁アクチュエータは、それぞれの搬送経路に沿って次々と起動されてよい。あるいは、それぞれの搬送経路に沿った2つ以上の隣接する電磁アクチュエータが、少なくとも部分的に時間的に重複して起動されてもよい。
【0044】
第1の電磁アクチュエータの上のフィールド上に配設された容器キャリアの、第2の電磁アクチュエータの上の隣接するフィールドへの移動は、第1のアクチュエータと、第2の電磁アクチュエータと、ならびに第1の電磁アクチュエータに隣接し、第2の電磁アクチュエータの反対側にあり、第1の電磁アクチュエータおよび第2の電磁アクチュエータと同じ行または列の一部である第3の電磁アクチュエータを所定の順序で起動することを含むことができる。
【0045】
容器キャリアが、容器キャリアの台の中央に配置された第1の永久磁石と、この第1の永久磁石を囲む台内に配置された環状形状を有する第2の永久磁石とを備える場合、方法は、結果として生成される、環状形状を有する前記第2の永久磁石に関する引っ張る力が生成されるように前記第2の電磁アクチュエータを起動し、結果として生成される、前記第2の永久磁石に関する押す力が生成されるように前記第3の電磁アクチュエータを起動するステップと、所定の時間間隔の後で、または容器キャリアの所定の位置で、結果として生成される、前記第2の永久磁石に関する引っ張る力が生成され、結果として生成される、前記第1の永久磁石に関する押す力が生成されるように、前記第1の電磁アクチュエータを起動するステップと、第2の所定の時間間隔の後で、または容器キャリアの第2の所定の位置で、結果として生成される、前記第2の永久磁石に関する引っ張る力が生成されるように前記第2の電磁アクチュエータを起動するステップとをさらに含むことができる。隣接する電磁アクチュエータ間の移動は、3つの隣接する電磁アクチュエータに関する一連の3つの起動パターンで行われる。これにより、高い位置決め精度を持つ連続した一様な移動が行われる。第1の時間間隔および第2の時間間隔または第1の位置および第2の位置は、容器キャリア検知デバイスによって提供される容器キャリアの検知された位置に基づいて決定されることができる。
【0046】
本発明の実施形態は略図に示されている。