特許第5933750号(P5933750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5933750熱収縮性ポリオレフィンフィルム及びそれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933750
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】熱収縮性ポリオレフィンフィルム及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20160602BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20160602BHJP
   B29C 61/06 20060101ALI20160602BHJP
   B29C 55/14 20060101ALI20160602BHJP
   B65D 71/08 20060101ALI20160602BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20160602BHJP
   B29K 23/00 20060101ALN20160602BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20160602BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20160602BHJP
【FI】
   B32B27/32 E
   B32B27/32 103
   B32B27/00 102
   B29C61/06
   B29C55/14
   B65D71/08
   B65D65/40 D
   B29K23:00
   B29L7:00
   B29L9:00
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-549326(P2014-549326)
(86)(22)【出願日】2012年11月27日
(65)【公表番号】特表2015-509861(P2015-509861A)
(43)【公表日】2015年4月2日
(86)【国際出願番号】CN2012085352
(87)【国際公開番号】WO2013097570
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2014年8月29日
(31)【優先権主張番号】201110459955.X
(32)【優先日】2011年12月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514161497
【氏名又は名称】グアンドォン デクロ フィルム ニュー マテリアルズ カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】514161501
【氏名又は名称】グアンドォン デクロ パッケージ フィルムズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フー、チュオロン
(72)【発明者】
【氏名】ズー、シャオミン
(72)【発明者】
【氏名】シュー、ウェンシュ
(72)【発明者】
【氏名】チュー、チャンミン
(72)【発明者】
【氏名】オウ、ションルイ
(72)【発明者】
【氏名】ロン、リーピン
【審査官】 岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−215044(JP,A)
【文献】 特開2009−084378(JP,A)
【文献】 特開2006−027052(JP,A)
【文献】 特開2000−159946(JP,A)
【文献】 特開2005−047182(JP,A)
【文献】 特開2004−345244(JP,A)
【文献】 実開平06−027126(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B65D 65/00−65/46、67/00−81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア層として中間層を有し、二軸延伸によって得られ、そして少なくとも3つのラミネート層を持つ熱収縮性ポリオレフィンフィルムである、多層熱収縮性フィルムであって、
コア層の両側の各々が表面層を有し、当該表面層が、138℃のガラス転移温度Tgを有するエチレン−ノルボルネンコポリマーを70〜80重量%と、140℃の融点Tmを有するエチレン−プロピレンランダムコポリマーを20〜30重量%とを含み;そして、当該コア層が、140℃の融点Tmを有するエチレン−プロピレンランダムコポリマー(A)を54重量%と、66℃の融点Tmを有するエチレン−ブチレンランダムコポリマー(B)を8重量%と、78℃のガラス転移温度Tgを有するエチレン−ノルボルネンコポリマー(C)を20重量%と、140℃の軟化点Tsを有する水素化石油樹脂(D)を18重量%とを含む、前記の多層熱収縮性フィルム。
【請求項2】
多層収縮性フィルムが前記コア層と前記表面層との間に配置された表面下層を更に有し、各々の表面下層が、78℃のガラス転移温度Tgを有するエチレン−ノルボルネンコポリマーを60〜90重量%と、140℃の軟化点を有する水素化石油樹脂を10〜40重量%とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の多層熱収縮性フィルム。
【請求項3】
エチレン−プロピレンランダムコポリマー中のエチレン含有量が6.5重量%であり、そして、エチレン−ブチレンランダムコポリマー中のブチレン含有量が25重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の多層熱収縮性フィルム。
【請求項4】
表面下層及びコア層に使用されるエチレン−ノルボルネンコポリマーが、同じものであって、78℃のガラス転移温度Tg及びノルボルネン含有量65重量%を有し、そして、表面層に使用されるエチレン−ノルボルネンコポリマーが、138℃のガラス転移温度Tg及びノルボルネン含有量76重量%を有することを特徴とする、請求項2に記載の多層熱収縮性フィルム。
【請求項5】
90℃の水中で10秒間浸す条件下で、その横熱収縮率が40%以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層熱収縮性フィルム。
【請求項6】
その縦破砕公称歪みが282〜289%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層熱収縮性フィルム。
【請求項7】
その横引張強度が115〜134MPaであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層熱収縮性フィルム。
【請求項8】
その横引張弾性率が1419〜1530MPaであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層熱収縮性フィルム。
【請求項9】
熱収縮によって容器本体に付けられた請求項1〜のいずれか1項に記載の多層熱収縮性フィルムと、当該容器本体とを含む、容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、水素化石油樹脂及び異なるノルボルネン含有量を持つエチレン−ノルボルネンコポリマー及びエチレン−プロピレンランダムコポリマーを含む熱収縮性フィルムと、それらの製造方法に主に関する。より具体的には、本発明は、熱収縮性スリーブラベルとして適切に有用な熱収縮及び耐熱性を持つ熱収縮性二軸延伸フィルムに関する。熱収縮性フィルムは、高耐熱熱収縮率、収縮後の一体となった図形、低密度、低自然収縮率、容易な回収などの特徴を維持するだけでなく、PE熱収縮性フィルムを使用する束状収縮包装中で又はホット充填ソフトドリンク用に要求される改善された耐熱性も有し、そして、高速度包装、蒸気トンネル収縮包装及びPE束状包装において広く環境に優しい熱収縮性スリーブラベルとして使用できる。
【背景技術】
【0002】
背景技術
果汁及び緑茶などの飲料は、製造及び販売ではPETボトルなどの容器中に通常充填される。製造業者は、識別可能性及び普及を改善するように又は他の商品から区別するように、容器外側上に印刷された文字及び/又は図形を持つ熱収縮性スリーブラベルを通常置く。現在は、一般に使用される熱収縮性スリーブラベルは、主にポリ塩化ビニル(PVC)材料で作られる。PVCは、高光沢、低ヘイズ、高剛性及び適度の熱収縮率、収縮後の少ない図形変形及び自然収縮率などの利点を有し、そして、熱収縮性スリーブラベル用の第一の選択としてしばしば使用されるが、PVCは、燃焼の間のダイオキシンの容易な製造、困難な回収などの環境問題を有し、そして、ラベル材料としてのPVCの使用は、ドイツ、スイス、オーストリア、韓国、台湾などの国及び地域では明確な命令によって禁止されている。現在、二軸延伸ポリエステル(BOPET)、二軸延伸ポリスチレン(BOPS)、二軸延伸ポリオレフィン(BOPO)などのいくつかの開発された材料が、PVC熱収縮性スリーブラベルの代替生産物として使用されている。
【0003】
しかし、BOPET(密度:1.28−1.32g/cm)及びBOPS(密度:1.02−1.04g/cm)の両方は、1g/cmより大きい密度を有し、それにより、これらの材料が熱収縮性スリーブラベルとして使用される時、それらは、有効で簡単な方法(例えば、密度分離又は気体分離)によって(通常は、密度1.37−1.40g/cmを有するPET材料である)清涼飲料ボトルから循環利用としてはほとんど効果的に分離できない。
【0004】
従来の二軸延伸ポリオレフィン(BOPO)材料は、容易な回収、燃焼生成物中の少ない汚染の点で都合の良い低密度(1g/cm未満)を有し、それにより、それは、環境に優しい熱収縮性フィルムのホットな調査地点である。しかし、それは、高収縮温度などの問題、特に、PE熱収縮性フィルムを使用するボトルの集まりの束状収縮包装中のPE熱収縮性フィルム及びラベル間の接着又はホット充填ドリンクの間のボトル間のラベルの相互の接着の問題、も有し、それにより、その適用は顕著に制限される。ところで、従来のポリオレフィン熱収縮性フィルムは、110℃より上で40%収縮を得ることができるにすぎず、一方そのような温度は、PETボトルの変形になり、それによりそれらは使用できない。このため、高収縮温度問題を解決するために、中国特許ZL03104526.Xは、プロピレンとC−C20α−オレフィンのランダム共重合によって得られたコポリマー、ランダムポリプロピレン樹脂及び脂環式の飽和炭化水素樹脂を含む組成物で製造された収縮性フィルムは、90℃で40%より大きい収縮率を有することを、開示する。しかし、この特許は、ボトルの実際の製造及び販売セクションでPE熱収縮性フィルムを使用するボトルの集まりの束状収縮包装のプロセス上の問題を解決せず(参照:図1)、それにより、工業生産を実行するためにスリーブラベリングのプロセスではそれはほとんど適用できない。中国特許ZL200480015992.Xに開示された多層熱収縮性フィルムには、内側及び外側の表面上にアクリル樹脂が塗布されているか又はシリコーン油、ポリエチレンワックス、フッ素化ワックスなどの粘着防止剤が更に添加されて接着問題を解決しているけれども、このプロセスは、複雑で高コストで、工業生産に適していない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の内容
本発明は、熱収縮性ポリオレフィンフィルム及びその製造方法を提供し、そして、得られるフィルムは、良好な耐熱性、高横熱収縮率を有し、ホット充填ドリンクの間にボトルの間のラベルはお互いに容易には接着せず、又は、ラベル及びPE熱収縮性フィルムの間の接着の問題は、PE熱収縮性フィルムを使用するボトルの集まりの束状収縮包装では容易には起きない。
【0006】
具体的な技術的解決法は:少なくとも3つのラミネート層を持つ多層熱収縮性フィルムである多層熱収縮性フィルムであって、当該多層熱収縮性フィルムは、138℃のガラス転移温度(Tg)及びノルボルネン含有量76重量%を有するエチレン−ノルボルネンコポリマーを70〜80重量%と、140℃の融点(Tm)を有するエチレン−プロピレンランダムコポリマーを20〜30重量%とを含む樹脂組成物の内側及び外側の表面層を含み、そして、140℃のTmを有するエチレン−プロピレンランダムコポリマー(A)を54重量%と、66℃のTmを有するエチレン−ブチレンランダムコポリマー(B)を8重量%と、78℃のTg及びノルボルネン含有量65重量%を有するエチレン−ノルボルネンコポリマー(C)を20重量%と、140℃の軟化点(Ts)を有する水素化石油樹脂(D)を18重量%とを含むコア層を含む。
【0007】
更に、当該多層熱収縮性フィルムは:コア層と内側の及び外側の表面層との間に内側の及び外側の表面下層が配置され、当該内側の及び外側の表面下層は、78℃のTg及びノルボルネン含有量65重量%を有するエチレン−ノルボルネンコポリマーを60〜90重量%と、140℃の軟化点を有する水素化石油樹脂を10〜40重量%とを含むことを特徴とする。
コア層及び内側の及び外側の表面下層は、Tg78℃及びノルボルネン含有量65重量%を有する同じエチレン−ノルボルネンコポリマーを使用し;内側の及び外側の表面層は、Tg138℃及びノルボルネン含有量76重量%を有する同じエチレン−ノルボルネンコポリマーを使用する。上記エチレン−ノルボルネンコポリマーの両方は、溶解容積速度(MVR)11cm/10分を有する。
当該エチレン−プロピレンランダムコポリマーは、エチレン含有量6.5重量%及びメルトインデックス2g/10分(2.16kg、230℃)を有する。
当該エチレン−ブチレンランダムコポリマー中は、ブチレン含有量25重量%及びメルトインデックス3.6g/10分(2.16kg、190℃)を有する。
当該水素化石油樹脂は、軟化点140℃を有するCタイプ樹脂である
【0008】
更に、多層熱収縮性フィルムは、90℃の水中で10秒間浸す条件下で、その横熱収縮率が40%以上であることを特徴とする。
【0009】
更に、多層熱収縮性フィルムは、その縦破砕公称歪みが282〜291%であることを特徴とする。
更に、多層熱収縮性フィルムは、その横引張強度が115〜134MPaであることを特徴とする。
更に、多層熱収縮性フィルムは、その横引張弾性率が1419〜1530MPaであることを特徴とする。
更に、多層熱収縮性フィルムは、ボトルの間のラベルが、ホット充填ドリンクの間にお互いに接着するのは容易ではないか、又は、PE熱収縮性フィルムを使用するボトルの集まりの束状収縮包装中でPE熱収縮性フィルムとラベルとの間の接着の問題が起きるのは容易ではないことを特徴とする。
【0010】
本発明において内側の及び外側の表面層を配置する目的は、より高い耐熱性を持つエチレン−プロピレンランダムコポリマー及びエチレン−ノルボルネンコポリマーを選択するがそれらはフィルムの熱収縮率を低減し得るように、熱収縮性フィルムの耐熱性を増加させることである。内側の又は外側の表面層の厚さ、又は、それぞれの隣接した表面下層の厚さ及び内側の又は外側の表面層の厚さの合計は、約7μmに管理すべきであり;もしそれがあまりにも薄いならば、スリーブを形成するために継目でラベルシートを重ねるシーミングプロセス後の継目での内側の及び外側の表面層の不十分な結合強さが原因で熱収縮率成形プロセス中にラベルは継目で破壊するかもしれず;一方もしそれがあまりにも厚いならば、表面層材料の耐熱性の増加が原因でフィルムの熱収縮率は減少するかもしれない。内側の及び外側の表面層は、Tg138℃及び密度1.02g/cmを有するエチレン−ノルボルネンコポリマーを70〜80重量%と、Tm140℃を有するエチレン−プロピレンランダムコポリマーを20〜30重量%とを使用する。
【0011】
内側の及び外側の表面下層を配置する目的は、シクロヘキサン溶媒を使用することによってスリーブを形成するために継目でラベルシートを重ねるシーミングプロセス後の継目での内側の及び外側の表面層の結合強さを増加させること、及び、フィルムの光沢度及び熱収縮率を増加させること、である。内側の及び外側の表面下層は、Tg78℃及びノルボルネン含有量65重量%を有するエチレン−ノルボルネンコポリマーを60〜90重量%と、軟化点140℃を有する水素化石油樹脂を10〜40重量%とを、含む。
【0012】
コア層を配置する目的は、高熱収縮率を得ることであり、コア層は、Tm140℃を有するエチレン−プロピレンランダムコポリマー(A)を54重量%と、Tm66℃を有するエチレン−ブチレンランダムコポリマー(B)を8重量%と、Tg78℃及びノルボルネン含有量65重量%を有するエチレン−ノルボルネンコポリマー(C)を20重量%と、軟化点140℃を有する水素化石油樹脂(D)を18重量%と、を有する成分を含む。成分Aの機能はフィルムの弾性率及び引張強度を高めることであり;成分Bの機能はフィルムの衝撃強さを増加させることであり;成分Cの機能はフィルムの熱収縮率を増加させることであり;そして、成分Dの機能はフィルムの延伸能力及び熱収縮率を改善することである。
【0013】
ところで、本発明は、以下の工程を含む多層熱収縮性フィルムの製造方法を更に提供する:
選択された原料を計画された配合で予備混合して均一融体を形成し;当該融体をダイを通して共押出し;そして、フラットダイプロセスによって、すなわち、押出した融体を冷却してキャストシートを形成しその後にキャストシートを二軸延伸してフィルムを形成すること、又は、バブル成形プロセスによって、すなわち、ダイを去った後の融体を冷却して初期の気泡を形成しその後に初期の気泡を横にブローして縦に延伸してフィルムを形成すること、によってフィルムを製造し;フィルムを冷却し、そして、冷却フィルムをコロナ又は火炎で処理して、フィルム生成物を得る。
【0014】
もしも横熱収縮が要求されるならば、最初に縦に延伸してその後に横に延伸するやり方のフラットダイプロセスを採用でき、その具体的な技術的プロセスは、以下のとおりである:
材料を供給→いくつかの押出機で共押出→T−ダイで混合→冷却及び成形→縦延伸(予熱、わずかに延伸、固定サイズ)→横延伸(予熱、著しい延伸、固定サイズ、冷却)→延伸及び表面処理→巻き取り→熟成処理→切込及び巻き取り→包装
【0015】
当該ポリオレフィン熱収縮性フィルムは、以下の方法に従って製造される:
3層以上を持つ共押出フィルムの構造に従った成分の原料を、計量装置に投入し、電子スケールによって計測し、そして約250℃の押出機中に送り、それらを溶解し、可塑化しそして計測し、フローブロックに入れ、その後、T−ダイを通して押出し、約25℃でチルロールを通すことによってキャストして、キャストシートを形成し、その後、縦延伸を実行し、縦延伸での予熱温度及び延伸温度は両方とも約100℃であり、アニール温度は約110℃であり、延伸比は約1.2であり;その後、横延伸を実行し、横延伸での予熱温度は約115℃であり、延伸温度は約85℃、アニール温度は約70℃、風冷却温度は約25℃、そして延伸比は約5.5であり、その後、フィルム表面が表面張力43dyne/cm以上を有するように、得られたフィルムをコロナ処理に付し、巻き取り及び切込みを入れて、最終的に包装して貯蔵される。
【0016】
当該方法では、縦延伸の延伸比は約1.2で、予熱及び延伸の温度は約100℃である。なぜなら、過度の延伸又は低い延伸温度は、スリーブラベリングの間に収縮効果に影響を与えるであろうあまりにも大きい縦延伸収縮率になり得るからである。横延伸の延伸比は約5.5で、延伸温度は85℃以下である。通常、延伸比が大きく延伸温度が低いほど、フィルム熱収縮率は高い。しかし、過度に高い延伸比又は過度に低い延伸温度の使用は、フィルム破砕になり得るのであり、したがって製造が安定ではない。
【0017】
本発明は、熱収縮によって容器本体に付けられた上記の多層熱収縮性フィルムと当該容器本体とを含む容器を更に提供する。
本発明は、ポリオレフィン熱収縮性フィルム及びその製造方法を提供する。当該フィルムは、良好な耐熱性及び高い横熱収縮率を有し、そして、ボトル間のラベルがホット充填ドリンクの間にお互いに接着するのが容易であるという問題又はPE熱収縮性フィルムを使用するボトルの集まりの束状収縮包装中でのPE熱収縮性フィルムとラベルの間の接着に関する問題を解決し、そして、保持ボトル用ラベル基体材料として適切に使用される。
【0018】
本発明で使用される物理的性質の指標は、以下の判定基準に従って測定される:
(1)厚さの測定:GB/T 6672−2001に従って実施。
(2)引張強度及び破砕公称歪みの測定:GB/T 10003−2008のセクション5.6に従って実施。
(3)熱収縮率の測定:
一定温度(23℃)及び一定湿度(湿度:55%)の環境で、10片の100mm×100mm試料を縦方向及び横方向で別々にカットし、縦方向及び横方向のそれらの長さL1を別々に測定する。(90±1)℃の水中に10秒間浸した後、それらを直ちに取り出しそして(25±1)℃の一定温度の水浴中に配置して、1分間冷却し、その後取り出して空気中で5分間乾燥し、そして、縦方向及び横方向のそれらの長さL2を測定する。
熱収縮率は式(1)に従って計算し、そして、10個の試料の相加平均値を結果として使用する:
【0019】
【数1】
【0020】
式中:
X−熱収縮率、単位はパーセント(%);
L1−熱収縮前の縦方向及び横方向の試料の長さ、単位はミリメートル(mm);
L2−熱収縮後の縦方向及び横方向の試料の長さ、単位はミリメートル(mm);
(4)摩擦係数の測定:GB/T 10006に従って実行。
(5)縦及び横延伸の弾性率の測定:試料の形状、サイズ及び製造方法はGB/T 1040.3に従う。試料の測定はGB/T 1040.1−2006の9章に従って実行。
(6)表面張力の測定:GB/T 14216に従って実行。
(7)ヘイズの測定:GB/T 2410に従って実行。
(8)光沢度の測定:GB/T 8807に従って実行、入射角は45°。
(9)PE熱収縮性フィルムを使用する束状収縮包装の接着試験:
熱収縮によってラベルされたスリーブ及びドリンクを充填したPETボトルを、PE熱収縮性フィルムを使用する束状収縮包装したグループ当り24ボトルのグループに分割し、ボトルの各グループを、180℃トンネル乾燥機中に2秒間配置し、その後に取り出して視覚的に評価し、PE熱収縮性フィルムに接着しなかったものに記号
【0021】
【数2】
【0022】
の印を付け、一方、PE熱収縮性フィルムに接着したものに記号“×”の印を付ける。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、継目で熱収縮性ラベルシートを重ねてスリーブを形成する概略図。 1−塗布ヘッド、2−プレスロール、3−重なった継目、4−マシンランの方向。
図2図2は、PE熱収縮性フィルムを使用する充填PETボトルの束状の包装の概略図。 1−熱収縮性スリーブラベル、2−PE熱収縮性フィルム。
図3図3は、本発明の好ましい例の多層熱収縮性フィルムの構造図。 1−外側の表面層、2−外側の表面下層、3−コア層、4−内側の表面下層、5−内側の表面層。
図4図4は、本発明の実施例4の多層熱収縮性フィルムの構造図。 1−外側の表面層、3−コア層、5−内側の表面層。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の実施の形態
実施例1:
ポリオレフィン熱収縮性フィルムは、内側の及び外側の表面層、内側の及び外側の表面下層及びコア層を含む、5層の共押出構造(参照:図3)を有した。内側の及び外側の表面層は、Tg138℃及びノルボルネン含有量76重量%を有するエチレン−ノルボルネンコポリマー(Treasure Plastic Co.,Ltdにより製造、TOPAS 6013F−04)を70重量%と、Tm140℃を有するエチレン−プロピレンランダムコポリマー(Lyondell Basell Companyにより製造、CLYRELL RC1890)を30重量%と、から構成された。内側の及び外側の表面下層は、Tg78℃及びノルボルネン含有量65重量%を有するエチレン−ノルボルネンコポリマー(Treasure Plastic Co.,Ltdにより製造、TOPAS 8007F−400)を90重量%と、Ts140℃を有する水素化石油樹脂(出光興産(株)により製造、P140)を10重量%と、から構成された。コア層組成物は、Tm140℃を有するエチレン−プロピレンランダムコポリマー(Lyondell Basell Companyにより製造、CLYRELL RC1890)を54重量%と、Tg78℃及びノルボルネン含有量65重量%を有するエチレン−ノルボルネンコポリマー(Treasure Plastic Co.,Ltdにより製造、TOPAS 8007F−400)を20重量%と、Tm66℃を有するエチレン−ブチレンランダムコポリマー(三井化学(株)により製造、A4085S)を8重量%と、Ts140℃を有する水素化石油樹脂(出光興産(株)により製造、P140)を18重量%と、から構成された。
【0025】
ポリオレフィン熱収縮性フィルムを、以下の方法によって製造した:
ブレンド用原料を250℃の押出機中に別々に注ぎ、5層T−ダイを通して共押出し、25℃のチルロールで冷却し、その後、縦延伸を実行し、縦延伸の予熱温度及び延伸温度は共に100℃、アニール温度は110℃、及び延伸比は1.2;その後、横延伸を実行し、横延伸の予熱温度は115℃、延伸温度は85℃、アニール温度は70℃、風冷却温度は25℃、及び延伸比は5.5、その後、得られたフィルムをコロナ処理に付し、フィルム表面は表面張力43dyne/cmを有し、巻き取り及び切込みを入れ、最終的に包装し貯蔵した。
当該フィルムは、以下の厚さを有した:外側の及び内側の表面層は別々に厚さ2μmを有し、外側の及び内側の表面下層は別々に厚さ5μmを有し、コア層は厚さ31μmを有し、そして、合計厚さは45μmであった。フィルムの、縦及び横引張強度、縦及び横破砕公称歪み、縦及び横収縮率、フラクション係数、縦及び横方向の延伸弾性率、表面張力、ヘイズ及び光沢度を表1に示した。
【0026】
実施例2:
内側の及び外側の表面層用の組成物は、Tg138℃及びノルボルネン含有量76重量%を有するエチレン−ノルボルネンコポリマー(Treasure Plastic Co.,Ltdにより製造、TOPAS 6013F−04)を80重量%と、Tm140℃を有するエチレン−プロピレンランダムコポリマー(Lyondell Basell Companyにより製造、CLYRELL RC1890)を20重量%と、から構成され;一方、内側の及び外側の表面下層、コア層及び製造方法は実施例1と同じであった。
当該フィルムは、以下の厚さを有した:外側の及び内側の表面層は別々に厚さ2μmを有し、外側の及び内側の表面下層は別々に厚さ5μmを有し、コア層は厚さ31μmを有し、そして、合計厚さは45μmであった。フィルムの、縦及び横引張強度、縦及び横破砕公称歪み、縦及び横収縮率、フラクション係数、縦及び横方向の延伸弾性率、表面張力、ヘイズ及び光沢度を表1に示した。
【0027】
実施例3:
内側の及び外側の表面下層用の組成物は、Tg78℃及びノルボルネン含有量65重量%を有するエチレン−ノルボルネンコポリマー(Treasure Plastic Co.,Ltdにより製造、TOPAS 8007F−400)を60重量%と、軟化点140℃を有する水素化石油樹脂(出光興産(株)により製造、P140)を40重量%と、から構成され;一方、内側の及び外側の表面層、コア層及び製造方法は実施例1と同じであった。
【0028】
当該フィルムは、以下の厚さを有した:外側の及び内側の表面層は別々に厚さ2μmを有し、外側の及び内側の表面下層は別々に厚さ5μmを有し、コア層は厚さ31μmを有し、そして、合計厚さは45μmであった。フィルムの、縦及び横引張強度、縦及び横破砕公称歪み、縦及び横収縮率、フラクション係数、縦及び横方向の延伸弾性率、表面張力、ヘイズ及び光沢度を表1に示した。
【0029】
実施例4:
3層共押出構造を使用し、その具体的な構造は以下のとおりであった:内側の及び外側の表面層は、Tg138℃及びノルボルネン含有量76重量%を有するエチレン−ノルボルネンコポリマー(Treasure Plastic Co.,Ltdにより製造、TOPAS 6013F−04)を70重量%と、Tm140℃を有するエチレン−プロピレンランダムコポリマー(Lyondell Basell Companyにより製造、CLYRELL RC1890)を30重量%と、から構成された。
【0030】
コア層組成物は、Tm140℃を有するエチレン−プロピレンランダムコポリマー(Lyondell Basell Companyにより製造、CLYRELL RC1890)を54重量%と、Tg78℃及びノルボルネン含有量65重量%を有するエチレン−ノルボルネンコポリマー(Treasure Plastic Co.,Ltdにより製造、TOPAS 8007F−400)を20重量%と、Tm66℃を有するエチレン−ブチレンランダムコポリマー(三井化学(株)により製造、A4085S)を8重量%と、Ts140℃を有する水素化石油樹脂(出光興産(株)により製造、P140)を18重量%と、から構成された。
【0031】
ポリオレフィン熱収縮性フィルムを、以下の方法によって製造した:
ブレンド用原料を185〜250℃の押出機中に別々に注ぎ、3層T−ダイを通して共押出し、25℃のチルロールで冷却し、その後、縦延伸を実行し、縦延伸の予熱温度及び延伸温度は共に100℃、アニール温度は110℃、及び延伸比は1.2;その後、横延伸を実行し、横延伸の予熱温度は115℃、延伸温度は85℃、アニール温度は70℃、風冷却温度は25℃、及び延伸比は5.5、その後、得られたフィルムをコロナ処理に付し、フィルム表面は表面張力43dyne/cmを有し、巻き取り及び切込みを入れ、最終的に包装し貯蔵した。
【0032】
当該フィルムは、以下の厚さを有した:外側の及び内側の表面層は別々に厚さ7μmを有し、コア層は厚さ31μmを有し、そして、合計厚さは45μmであった。フィルムの、縦及び横引張強度、縦及び横破砕公称歪み、縦及び横収縮率、フラクション係数、縦及び横方向の延伸弾性率、表面張力、ヘイズ及び光沢度を表1に示した。
【0033】
比較例1:
3層共押出構造を使用し、その具体的な構造は以下のとおりであった:内側の及び外側の表面層は、Tg78℃及びノルボルネン含有量65重量%を有するエチレン−ノルボルネンコポリマー(Treasure Plastic Co.,Ltdにより製造、TOPAS 8007F−400)を70重量%と、LLDPE(三井化学(株)により製造、SP3020)を30重量%と、から構成され、一方、コア層及び製造方法は、実施例4と同じであった。
【0034】
当該フィルムは、以下の厚さを有した:外側の及び内側の表面層は別々に厚さ7μmを有し、コア層は厚さ31μmを有し、そして、合計厚さは45μmであった。フィルムの、縦及び横引張強度、縦及び横破砕公称歪み、縦及び横収縮率、フラクション係数、縦及び横方向の延伸弾性率、表面張力、ヘイズ及び光沢度を表1に示した。
【0035】
これらの比較からわかるように、PE熱収縮性フィルムを使用する束状収縮包装において比較例1のポリオレフィン熱収縮性フィルムを使用することによって明らかな接着が存在し、それは、ドリンク缶の熱収縮性スリーブラベル用の品質要求に合致しない。
【0036】
【表1】
図1
図2
図3
図4