【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の内容
本発明は、熱収縮性ポリオレフィンフィルム及びその製造方法を提供し、そして、得られるフィルムは、良好な耐熱性、高横熱収縮率を有し、ホット充填ドリンクの間にボトルの間のラベルはお互いに容易には接着せず、又は、ラベル及びPE熱収縮性フィルムの間の接着の問題は、PE熱収縮性フィルムを使用するボトルの集まりの束状収縮包装では容易には起きない。
【0006】
具体的な技術的解決法は:少なくとも3つのラミネート層を持つ多層熱収縮性フィルムである多層熱収縮性フィルムであって、当該多層熱収縮性フィルムは、138℃のガラス転移温度(Tg)及びノルボルネン含有量76重量%を有するエチレン−ノルボルネンコポリマーを70〜80重量%と、140℃の融点(Tm)を有するエチレン−プロピレンランダムコポリマーを20〜30重量%とを含む樹脂組成物の内側及び外側の表面層を含み、そして、140℃のTmを有するエチレン−プロピレンランダムコポリマー(A)を54重量%と、66℃のTmを有するエチレン−ブチレンランダムコポリマー(B)を8重量%と、78℃のTg及びノルボルネン含有量65重量%を有するエチレン−ノルボルネンコポリマー(C)を20重量%と、140℃の軟化点(Ts)を有する水素化石油樹脂(D)を18重量%とを含むコア層を含む。
【0007】
更に、当該多層熱収縮性フィルムは:コア層と内側の及び外側の表面層との間に内側の及び外側の表面下層が配置され、当該内側の及び外側の表面下層は、78℃のTg及びノルボルネン含有量65重量%を有するエチレン−ノルボルネンコポリマーを60〜90重量%と、140℃の軟化点を有する水素化石油樹脂を10〜40重量%とを含むことを特徴とする。
コア層及び内側の及び外側の表面下層は、Tg78℃及びノルボルネン含有量65重量%を有する同じエチレン−ノルボルネンコポリマーを使用し;内側の及び外側の表面層は、Tg138℃及びノルボルネン含有量
76重量%を有する同じエチレン−ノルボルネンコポリマーを使用する。上記エチレン−ノルボルネンコポリマーの両方は、溶解容積速度(MVR)11cm
3/10分を有する。
当該エチレン−プロピレンランダムコポリマーは、エチレン含有量6.5重量%及びメルトインデックス2g/10分(2.16kg、230℃)を有する。
当該エチレン−ブチレンランダムコポリマー中は、ブチレン含有量25重量%及びメルトインデックス3.6g/10分(2.16kg、190℃)を有する。
当該水素化石油樹脂は、軟化点140℃を有するC
9タイプ樹脂である
。
【0008】
更に、多層熱収縮性フィルムは、90℃の水中で10秒間浸す条件下で、その横熱収縮率が40%以上であることを特徴とする。
【0009】
更に、多層熱収縮性フィルムは、その縦破砕公称歪みが282〜291%であることを特徴とする。
更に、多層熱収縮性フィルムは、その横引張強度が115〜134MPaであることを特徴とする。
更に、多層熱収縮性フィルムは、その横引張弾性率が1419〜1530MPaであることを特徴とする。
更に、多層熱収縮性フィルムは、ボトルの間のラベルが、ホット充填ドリンクの間にお互いに接着するのは容易ではないか、又は、PE熱収縮性フィルムを使用するボトルの集まりの束状収縮包装中でPE熱収縮性フィルムとラベルとの間の接着の問題が起きるのは容易ではないことを特徴とする。
【0010】
本発明において内側の及び外側の表面層を配置する目的は、より高い耐熱性を持つエチレン−プロピレンランダムコポリマー及びエチレン−ノルボルネンコポリマーを選択するがそれらはフィルムの熱収縮率を低減し得るように、熱収縮性フィルムの耐熱性を増加させることである。内側の又は外側の表面層の厚さ、又は、それぞれの隣接した表面下層の厚さ及び内側の又は外側の表面層の厚さの合計は、約7μmに管理すべきであり;もしそれがあまりにも薄いならば、スリーブを形成するために継目でラベルシートを重ねるシーミングプロセス後の継目での内側の及び外側の表面層の不十分な結合強さが原因で熱収縮率成形プロセス中にラベルは継目で破壊するかもしれず;一方もしそれがあまりにも厚いならば、表面層材料の耐熱性の増加が原因でフィルムの熱収縮率は減少するかもしれない。内側の及び外側の表面層は、Tg138℃及び密度1.02g/cm
3を有するエチレン−ノルボルネンコポリマーを70〜80重量%と、Tm140℃を有するエチレン−プロピレンランダムコポリマーを20〜30重量%とを使用する。
【0011】
内側の及び外側の表面下層を配置する目的は、シクロヘキサン溶媒を使用することによってスリーブを形成するために継目でラベルシートを重ねるシーミングプロセス後の継目での内側の及び外側の表面層の結合強さを増加させること、及び、フィルムの光沢度及び熱収縮率を増加させること、である。内側の及び外側の表面下層は、Tg78℃及びノルボルネン含有量65重量%を有するエチレン−ノルボルネンコポリマーを60〜90重量%と、軟化点140℃を有する水素化石油樹脂を10〜40重量%とを、含む。
【0012】
コア層を配置する目的は、高熱収縮率を得ることであり、コア層は、Tm140℃を有するエチレン−プロピレンランダムコポリマー(A)を54重量%と、Tm66℃を有するエチレン−ブチレンランダムコポリマー(B)を8重量%と、Tg78℃及びノルボルネン含有量65重量%を有するエチレン−ノルボルネンコポリマー(C)を20重量%と、軟化点140℃を有する水素化石油樹脂(D)を18重量%と、を有する成分を含む。成分Aの機能はフィルムの弾性率及び引張強度を高めることであり;成分Bの機能はフィルムの衝撃強さを増加させることであり;成分Cの機能はフィルムの熱収縮率を増加させることであり;そして、成分Dの機能はフィルムの延伸能力及び熱収縮率を改善することである。
【0013】
ところで、本発明は、以下の工程を含む多層熱収縮性フィルムの製造方法を更に提供する:
選択された原料を計画された配合で予備混合して均一融体を形成し;当該融体をダイを通して共押出し;そして、フラットダイプロセスによって、すなわち、押出した融体を冷却してキャストシートを形成しその後にキャストシートを二軸延伸してフィルムを形成すること、又は、バブル成形プロセスによって、すなわち、ダイを去った後の融体を冷却して初期の気泡を形成しその後に初期の気泡を横にブローして縦に延伸してフィルムを形成すること、によってフィルムを製造し;フィルムを冷却し、そして、冷却フィルムをコロナ又は火炎で処理して、フィルム生成物を得る。
【0014】
もしも横熱収縮が要求されるならば、最初に縦に延伸してその後に横に延伸するやり方のフラットダイプロセスを採用でき、その具体的な技術的プロセスは、以下のとおりである:
材料を供給→いくつかの押出機で共押出→T−ダイで混合→冷却及び成形→縦延伸(予熱、わずかに延伸、固定サイズ)→横延伸(予熱、著しい延伸、固定サイズ、冷却)→延伸及び表面処理→巻き取り→熟成処理→切込及び巻き取り→包装
【0015】
当該ポリオレフィン熱収縮性フィルムは、以下の方法に従って製造される:
3層以上を持つ共押出フィルムの構造に従った成分の原料を、計量装置に投入し、電子スケールによって計測し、そして約250℃の押出機中に送り、それらを溶解し、可塑化しそして計測し、フローブロックに入れ、その後、T−ダイを通して押出し、約25℃でチルロールを通すことによってキャストして、キャストシートを形成し、その後、縦延伸を実行し、縦延伸での予熱温度及び延伸温度は両方とも約100℃であり、アニール温度は約110℃であり、延伸比は約1.2であり;その後、横延伸を実行し、横延伸での予熱温度は約115℃であり、延伸温度は約85℃、アニール温度は約70℃、風冷却温度は約25℃、そして延伸比は約5.5であり、その後、フィルム表面が表面張力43dyne/cm以上を有するように、得られたフィルムをコロナ処理に付し、巻き取り及び切込みを入れて、最終的に包装して貯蔵される。
【0016】
当該方法では、縦延伸の延伸比は約1.2で、予熱及び延伸の温度は約100℃である。なぜなら、過度の延伸又は低い延伸温度は、スリーブラベリングの間に収縮効果に影響を与えるであろうあまりにも大きい縦延伸収縮率になり得るからである。横延伸の延伸比は約5.5で、延伸温度は85℃以下である。通常、延伸比が大きく延伸温度が低いほど、フィルム熱収縮率は高い。しかし、過度に高い延伸比又は過度に低い延伸温度の使用は、フィルム破砕になり得るのであり、したがって製造が安定ではない。
【0017】
本発明は、熱収縮によって容器本体に付けられた上記の多層熱収縮性フィルムと当該容器本体とを含む容器を更に提供する。
本発明は、ポリオレフィン熱収縮性フィルム及びその製造方法を提供する。当該フィルムは、良好な耐熱性及び高い横熱収縮率を有し、そして、ボトル間のラベルがホット充填ドリンクの間にお互いに接着するのが容易であるという問題又はPE熱収縮性フィルムを使用するボトルの集まりの束状収縮包装中でのPE熱収縮性フィルムとラベルの間の接着に関する問題を解決し、そして、保持ボトル用ラベル基体材料として適切に使用される。
【0018】
本発明で使用される物理的性質の指標は、以下の判定基準に従って測定される:
(1)厚さの測定:GB/T 6672−2001に従って実施。
(2)引張強度及び破砕公称歪みの測定:GB/T 10003−2008のセクション5.6に従って実施。
(3)熱収縮率の測定:
一定温度(23℃)及び一定湿度(湿度:55%)の環境で、10片の100mm×100mm試料を縦方向及び横方向で別々にカットし、縦方向及び横方向のそれらの長さL1を別々に測定する。(90±1)℃の水中に10秒間浸した後、それらを直ちに取り出しそして(25±1)℃の一定温度の水浴中に配置して、1分間冷却し、その後取り出して空気中で5分間乾燥し、そして、縦方向及び横方向のそれらの長さL2を測定する。
熱収縮率は式(1)に従って計算し、そして、10個の試料の相加平均値を結果として使用する:
【0019】
【数1】
【0020】
式中:
X−熱収縮率、単位はパーセント(%);
L1−熱収縮前の縦方向及び横方向の試料の長さ、単位はミリメートル(mm);
L2−熱収縮後の縦方向及び横方向の試料の長さ、単位はミリメートル(mm);
(4)摩擦係数の測定:GB/T 10006に従って実行。
(5)縦及び横延伸の弾性率の測定:試料の形状、サイズ及び製造方法はGB/T 1040.3に従う。試料の測定はGB/T 1040.1−2006の9章に従って実行。
(6)表面張力の測定:GB/T 14216に従って実行。
(7)ヘイズの測定:GB/T 2410に従って実行。
(8)光沢度の測定:GB/T 8807に従って実行、入射角は45°。
(9)PE熱収縮性フィルムを使用する束状収縮包装の接着試験:
熱収縮によってラベルされたスリーブ及びドリンクを充填したPETボトルを、PE熱収縮性フィルムを使用する束状収縮包装したグループ当り24ボトルのグループに分割し、ボトルの各グループを、180℃トンネル乾燥機中に2秒間配置し、その後に取り出して視覚的に評価し、PE熱収縮性フィルムに接着しなかったものに記号
【0021】
【数2】
【0022】
の印を付け、一方、PE熱収縮性フィルムに接着したものに記号“×”の印を付ける。