特許第5933752号(P5933752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5933752周波数選択性チャネル上でダウンリンク通信のためのリソースを割り当てるための方法、処理デバイス及び情報記憶手段
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933752
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】周波数選択性チャネル上でダウンリンク通信のためのリソースを割り当てるための方法、処理デバイス及び情報記憶手段
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/08 20090101AFI20160602BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20160602BHJP
   H04W 4/04 20090101ALI20160602BHJP
【FI】
   H04W72/08
   H04W72/04 132
   H04W4/04 130
【請求項の数】15
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-550958(P2014-550958)
(86)(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公表番号】特表2015-517228(P2015-517228A)
(43)【公表日】2015年6月18日
(86)【国際出願番号】JP2013065760
(87)【国際公開番号】WO2014013811
(87)【国際公開日】20140123
【審査請求日】2014年10月16日
(31)【優先権主張番号】12177204.0
(32)【優先日】2012年7月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161115
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ブリュヌ、ロイ
(72)【発明者】
【氏名】グレッセ、ニコラ
【審査官】 篠田 享佑
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/163055(WO,A1)
【文献】 特開2007−243765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークのアクセスポイントから、或る経路において運行を行っている移動輸送機関内に位置する通信デバイスに対して、周波数選択性チャネル上でダウンリンク通信のためのリソースを割り当てる方法であって、処理デバイスが、
− 前記経路における前記移動輸送機関の位置に従って、第1の干渉プロファイルを取得するステップであって、該第1の干渉プロファイルは、前記経路に沿って位置する少なくとも1つの干渉体によってもたらされる前記ダウンリンク通信への干渉を表す、第1の干渉プロファイルを取得するステップと、
− 第2の干渉プロファイルを取得するステップであって、該第2の干渉プロファイルは、前記移動輸送機関内に位置する少なくとも1つの干渉体によってもたらされる前記ダウンリンク通信への干渉を表す、第2の干渉プロファイルを取得するステップと、
− 前記第1の干渉プロファイル及び前記第2の干渉プロファイルに基づいて、前記ダウンリンク通信のためのリソースを割り当てるステップと、
を実行することを特徴とする、無線通信ネットワークのアクセスポイントから、或る経路において運行を行っている移動輸送機関内に位置する通信デバイスに対して、周波数選択性チャネル上でダウンリンク通信のためのリソースを割り当てる方法。
【請求項2】
− 前記第1の干渉プロファイルは少なくとも、前記経路における少なくとも1つの先行する運行中に前記移動輸送機関又は別の移動輸送機関内に位置する少なくとも1つの通信デバイスに対して実行される干渉測定又は推定に依存し、
− 前記第2の干渉プロファイルは少なくとも、運行中に前記移動輸送機関内に位置する少なくとも1つの通信デバイスに対して実行される干渉測定又は推定に依存する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記移動輸送機関内に位置する前記通信デバイスは、干渉信号を受信すると、
− 前記受信された干渉信号が、前記経路に沿って位置する干渉体に対応するか否か、及び/又は前記移動輸送機関内に位置する干渉体に対応するか否かを判断するステップと、
− 前記受信された干渉信号が前記移動輸送機関内に位置する干渉体に対応する場合に、前記第2の干渉プロファイルを更新するための情報を与えるステップと、
− 前記受信された干渉信号が前記経路に沿って位置する干渉体に対応する場合に、前記経路における前記移動輸送機関又は別の移動輸送機関の少なくとも1つの次の運行のための前記第1の干渉プロファイルを規定するのに用いられるフィンガープリントマップを更新するための情報を与えるステップと、
を実行することを特徴とする、請求項1及び2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記移動輸送機関内に位置する前記通信デバイスは、前記受信された干渉信号が、前記経路に沿って位置する干渉体に対応するか、又は前記移動輸送機関内に位置する干渉体に対応するかを判断するために、
− 前記受信された干渉信号内に存在するデータパケットのヘッダ部分を復号するステップと、
− 前記復号されたヘッダ部分から、前記データパケットの送信機の識別子を求めるステップと、
− 前記経路における前記移動輸送機関の別の位置において干渉信号が受信された際に前記識別子が既に得られている場合に、前記受信された干渉信号が前記移動輸送機関内に位置する干渉体に対応すると判断するステップと、
を実行することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記移動輸送機関内に位置する前記通信デバイスは、前記受信された干渉信号が、前記経路に沿って位置する干渉体に対応するか否か、及び/又は前記移動輸送機関内に位置する干渉体に対応するか否かを判断するために、
− 前記経路における前記移動輸送機関の現在の位置についての前記第1の干渉プロファイルを取得するステップと、
− 受信された信号及び前記第1の干渉プロファイルから、第2の干渉プロファイルデータを求めるステップと、
− 前記求められた第2の干渉プロファイルデータを、前記経路における前記移動輸送機関の先行する位置について求められた他の第2の干渉プロファイルデータで平均することによって、前記第2の干渉プロファイルを求めるステップと、
を実行することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記移動輸送機関内に位置する前記通信デバイスは、前記受信された干渉信号が、前記経路に沿って位置する干渉体に対応するか否か、及び/又は前記移動輸送機関内に位置する干渉体に対応するか否かを判断するために、
− 前記第1の干渉プロファイルが無視できると予想される、前記移動輸送機関の位置を特定するステップと、
− 前記移動輸送機関が前記位置に到着した際に信号が受信される場合に、該受信された信号から前記第2の干渉プロファイルを求めるステップと、
を実行することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の干渉プロファイルは、前記移動輸送機関内に位置する前記通信デバイスによって少なくとも1つのセグメントにわたって測定された干渉から、前記経路における少なくとも1つの先行する運行中にいかなる干渉体も搬送しない前記移動輸送機関又は別の移動輸送機関内に位置する少なくとも1つの通信デバイスによって前記セグメントについて測定された平均干渉を減算して平均することによって求められることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記経路の所与のセグメントについて、前記第1の干渉プロファイルは、前記移動輸送機関内に位置する前記通信デバイスによって該セグメントにわたって測定された干渉から、前記経路における少なくとも1つの先行する運行中に前記移動輸送機関又は別の移動輸送機関によって搬送される少なくとも1つの干渉体によってもたらされる干渉を減算して平均することによって精緻化されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の干渉プロファイル及び前記第2の干渉プロファイルは、前記移動輸送機関内に位置する前記通信デバイスによって少なくとも1つのセグメントにわたって測定された干渉に対して線形フィルタを適用することによって求められ、
前記線形フィルタは偏りをもたらし、前記第1の干渉プロファイル及び前記第2の干渉プロファイルの偏った推定値を生成し、該偏りは前記第1の干渉プロファイルと前記第2の干渉プロファイルを加算する際に無視できるようになることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の干渉プロファイル及び前記第2の干渉プロファイルは、
− 運行中に前記通信デバイスによって測定されると共に前記経路における少なくとも1つの先行する運行中に前記移動輸送機関又は別の移動輸送機関内に位置する少なくとも1つの通信デバイスによって測定された干渉の確率密度関数を求めるステップと、
− 前記求められた確率密度関数の特性関数を求めるステップと、
− 前記求められた特性関数に対数を適用するステップと、
− 前記経路に沿って位置する少なくとも1つの干渉体によってもたらされる干渉の特性関数の対数、及び前記移動輸送機関内に位置する少なくとも1つの干渉体によってもたらされる干渉の特性関数の対数を特定するステップと、
によって求められることを特徴とし、
前記特定された各特性関数の対数は、それぞれ前記第1の干渉プロファイル及び前記第2の干渉プロファイルに対応することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の干渉プロファイルは、フィンガープリントマップに基づいて求められ、該フィンガープリントマップは、前記経路における前記移動輸送機関又は別の移動輸送機関の少なくとも1つの先行する運行に対して連続して求められた干渉についてのデータを、前記経路における前記移動輸送機関の位置の関数又は前記経路のセグメントの関数として記憶することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記フィンガープリントマップは、サーバによって記憶されることを特徴とし、
前記サーバは、前記アクセスポイントに部分フィンガープリントマップを与え、該部分フィンガープリントマップは、前記アクセスポイントによってカバーされるエリアに少なくとも対応する干渉データを含むことを特徴とし、
前記処理デバイスは、前記アクセスポイントによって実装されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記処理デバイスは、
− 前記リソース割当てが適用される期間中に前記移動輸送機関がそこを通って移動すると予想される経路の少なくとも1つのセグメントを、前記移動輸送機関の速さの関数として求めるステップと、
− 前記求められたセグメントに基づいて、前記ダウンリンク通信のための前記リソースを割り当てるために考慮に入れられることになる前記第1の干渉プロファイルの値及び前記第2の干渉プロファイルの値を求めるステップと、
を実行することを特徴とする、請求項6及び7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
無線通信ネットワークのアクセスポイントから、或る経路において運行を行っている移動輸送機関内に位置する通信デバイスに対して、周波数選択性チャネル上でダウンリンク通信のためのリソースを割り当てる処理デバイスであって、該処理デバイスは、
− 前記経路における前記移動輸送機関の位置に従って、第1の干渉プロファイルを取得する手段であって、該第1の干渉プロファイルは、前記経路に沿って位置する少なくとも1つの干渉体によってもたらされる前記ダウンリンク通信への干渉を表す、第1の干渉プロファイルを取得する手段と、
− 第2の干渉プロファイルを取得する手段であって、該第2の干渉プロファイルは、前記移動輸送機関内に位置する少なくとも1つの干渉体によってもたらされる前記ダウンリンク通信への干渉を表す、第2の干渉プロファイルを取得する手段と、
− 前記第1の干渉プロファイル及び前記第2の干渉プロファイルに基づいて、前記ダウンリンク通信のためのリソースを割り当てる手段と、
を備えることを特徴とする、無線通信ネットワークのアクセスポイントから、或る経路において運行を行っている移動輸送機関内に位置する通信デバイスに対して、周波数選択性チャネル上でダウンリンク通信のためのリソースを割り当てる処理デバイス。
【請求項15】
情報記憶手段であって、該情報記憶手段はプログラムコード命令を含むコンピュータプログラムを記憶し、前記プログラムコード命令が請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法を実施するプログラマブルデバイスによって実行されるときに、前記プログラムコード命令は前記プログラマブルデバイスにロード可能であることを特徴とする、情報記憶手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、無線通信ネットワークのアクセスポイントから、或る経路において移動している移動輸送機関内に位置する通信デバイスに対して、周波数選択性チャネル上でダウンリンク通信のためのリソースを割り当てることに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信において、リソースは通常、幾つかのデバイスが同一の周波数チャネル上で同一の時間フレーム内に送信できるようにする、多元接続送信技術のパラメータとして規定される。そのような送信技術では、時間領域が複数の時間フレームに順次分割される。例えば、TDMA(時分割多元接続)では、リソースは時間フレーム内の期間であり、FDMA(周波数分割多元接続)では、リソースは時間フレーム全体にわたって通信のために用いられる周波数スペクトルの一部であり、CDMA(符号分割多元接続)では、リソースは1つの時間フレーム全体の間に用いられる拡散符号である。また、幾つかの多元接続技術を同時に用いることもできる。所与の受信機デバイスにおいて受信される干渉は、或る発信元デバイスがデータをその所与の受信機デバイスに向けて送信するために使用するリソースと同じリソース上で、1つ又は幾つかの発信元デバイスによって1つ又は幾つかの他の受信機デバイスに向けて送信される信号と定義される。
【0003】
無線通信システムでは、移動輸送機関内に位置する通信デバイスに対して無線通信サービスを提供するために、移動輸送機関が移動する経路に沿ってアクセスポイント(AP)が配置される。例えば、移動輸送機関は列車であり、その経路は鉄道線路である。APは、集中型又は分散型の無線リソース管理及び/又はモビリティ管理機能をそれぞれ実施するために、コアネットワーク内に実装されるサーバに接続するか、又は互いに直接接続することができる。移動輸送機関が経路に沿って移動するとき、移動輸送機関内に位置する検討中の通信デバイスは、ハンドオーバ手順を通して最もロバストなデータリンクを与えるAPと通信すると仮定される。そのようなAPとの通信は、通常はAP又は上記のサーバによって割り当てられるリソースを使用する。一般に、そのようなリソースはISM(産業科学医療)無線帯域内のチャネルに対応し、それは他の隣接するデバイスも高い確率で同じリソースを使用していることを意味する。それゆえ、無免許のスペクトルにおいて数多くの通信が同時に行われる場合がある。
【0004】
それゆえ、移動輸送機関の経路に沿って位置するAPから移動輸送機関内に位置する少なくとも1つの通信デバイスへのダウンリンク通信上における干渉を干渉体がもたらすときに、このダウンリンク通信のためのリソース割当てを最適化することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
このため、本発明は、無線通信ネットワークのアクセスポイントから、或る経路において運行を行っている移動輸送機関内に位置する通信デバイスに対して、周波数選択性チャネル上でダウンリンク通信のためのリソースを割り当てる方法に関する。この方法は、処理デバイスが:経路における移動輸送機関の位置に従って、第1の干渉プロファイルを取得するステップであって、当該第1の干渉プロファイルは、経路に沿って位置する少なくとも1つの干渉体によってもたらされるダウンリンク通信への干渉を表す、第1の干渉プロファイルを取得するステップと;第2の干渉プロファイルを取得するステップであって、当該第2の干渉プロファイルは、移動輸送機関内に位置する少なくとも1つの干渉体によってもたらされるダウンリンク通信への干渉を表す、第2の干渉プロファイルを取得するステップと;第1の干渉プロファイル及び第2の干渉プロファイルに基づいて、ダウンリンク通信のためのリソースを割り当てるステップと;を実行することを特徴とする。
【0006】
これにより、ダウンリンク通信のためのリソース割当てを最適化することができるか、又は少なくとも改善することができる。
【0007】
特定の特徴によれば、第1の干渉プロファイルは少なくとも、経路における少なくとも1つの先行する運行中に移動輸送機関又は別の移動輸送機関内に位置する少なくとも1つの通信デバイスに対して実行される干渉測定又は推定に依存し;第2の干渉プロファイルは少なくとも、運行中に移動輸送機関内に位置する少なくとも1つの通信デバイスに対して実行される干渉測定又は推定に依存する。
【0008】
これにより、リソース割当ては、経路において運行している移動輸送機関内に位置する通信デバイスによって実行される測定を利用することができる。
【0009】
特定の特徴によれば、移動輸送機関内に位置する通信デバイスは、干渉信号を受信すると:受信された干渉信号が、経路に沿って位置する干渉体に対応するか否か、及び/又は移動輸送機関内に位置する干渉体に対応するか否かを判断するステップと;受信された干渉信号が移動輸送機関内に位置する干渉体に対応する場合に、第2の干渉プロファイルを更新するための情報を与えるステップと;受信された干渉信号が経路に沿って位置する干渉体に対応する場合に、経路における移動輸送機関又は別の移動輸送機関の少なくとも1つの次の運行のための第1の干渉プロファイルを規定するのに用いられるフィンガープリントマップを更新するための情報を与えるステップと;を実行する。
【0010】
これにより、運行中に実行される測定は、経路において後に運行する移動輸送機関内に位置する通信デバイスに対して利益をもたらすことができる。
【0011】
特定の特徴によれば、移動輸送機関内に位置する通信デバイスは、受信された干渉信号が、経路に沿って位置する干渉体に対応するか、又は移動輸送機関内に位置する干渉体に対応するかを判断するために:受信された干渉信号内に存在するデータパケットのヘッダ部分を復号するステップと;復号されたヘッダ部分から、データパケットの送信機の識別子を求めるステップと;経路における移動輸送機関の別の位置において干渉信号が受信された際に識別子が既に得られている場合に、受信された干渉信号が移動輸送機関内に位置する干渉体に対応すると判断するステップと;を実行する。
【0012】
これにより、移動輸送機関内に位置する干渉体を識別することができ、経路に沿って位置する干渉体によってもたらされる干渉と、移動輸送機関内に位置する干渉体によってもたらされる干渉とを区別することができる。
【0013】
特定の特徴によれば、移動輸送機関内に位置する通信デバイスは、受信された干渉信号が、経路に沿って位置する干渉体に対応するか否か、及び/又は移動輸送機関内に位置する干渉体に対応するか否かを判断するために:経路における移動輸送機関の現在の位置についての第1の干渉プロファイルを取得するステップと;受信された信号及び第1の干渉プロファイルから、第2の干渉プロファイルデータを求めるステップと、求められた第2の干渉プロファイルデータを、経路における移動輸送機関の先行する位置について求められた他の第2の干渉プロファイルデータで平均することによって、第2の干渉プロファイルを求めるステップと;を実行する。
【0014】
これにより、第2の干渉プロファイルを粗く推定することができ、更に精緻化することができる。
【0015】
特定の特徴によれば、移動輸送機関内に位置する通信デバイスは、受信された干渉信号が、経路に沿って位置する干渉体に対応するか否か、及び/又は移動輸送機関内に位置する干渉体に対応するか否かを判断するために:第1の干渉プロファイルが無視できると予想される、移動輸送機関の位置を特定するステップと;移動輸送機関が上記位置に到着した際に信号が受信される場合に、当該受信された信号から第2の干渉プロファイルを求めるステップと;を実行する。
【0016】
これにより、通信デバイスは、第2の干渉プロファイルを求めるために、第1の干渉プロファイルが無視できると予想される特定の位置を利用することができる。これにより、経路が、少なくとも1つのセグメントにわたって当該経路に沿って干渉体が存在しないことを暗示する既知の特性を有するときに、第2の干渉プロファイルを求めるための簡単な方法が提供される。例えば、移動輸送機関は列車であり、検討されるセグメントはトンネル又は野原に対応する。
【0017】
特定の特徴によれば、第2の干渉プロファイルは、移動輸送機関内に位置する通信デバイスによって少なくとも1つのセグメントにわたって測定された干渉から、経路における少なくとも1つの先行する運行中にいかなる干渉体も搬送しない移動輸送機関又は別の移動輸送機関内に位置する少なくとも1つの通信デバイスによって上記セグメントについて測定された平均干渉を減算して平均することによって求められる。
【0018】
これにより、少なくとも1つの調査用移動輸送機関、すなわち、いかなる干渉体も搬送しない移動輸送機関を用いることによって、第1の干渉プロファイルを容易に求めることができる。
【0019】
特定の特徴によれば、経路の所与のセグメントについて、第1の干渉プロファイルは、移動輸送機関内に位置する通信デバイスによって当該セグメントにわたって測定された干渉から、経路における少なくとも1つの先行する運行中に移動輸送機関又は別の移動輸送機関によって搬送される少なくとも1つの干渉体によってもたらされる干渉を減算して平均することによって精緻化される。
【0020】
これにより、少なくとも1つの移動輸送機関について第2の干渉プロファイルが得られると、第1の干渉プロファイルを精緻化することができる。
【0021】
特定の特徴によれば、第1の干渉プロファイル及び第2の干渉プロファイルは、移動輸送機関内に位置する通信デバイスによって少なくとも1つのセグメントにわたって測定された干渉に対して線形フィルタを適用することによって求められる。線形フィルタは偏りをもたらし、第1の干渉プロファイル及び第2の干渉プロファイルの偏った推定値を生成する。偏りは第1の干渉プロファイルと第2の干渉プロファイルを加算する際に無視できるようになる。
【0022】
これにより、干渉体を搬送する移動輸送機関についてのみ測定値が取得可能であり、かつ経路に沿って位置する干渉体からの干渉及び移動輸送機関内に位置する干渉体からの干渉を互いに無視できないときでも、処理デバイスは、第1の干渉プロファイル及び第2の干渉プロファイルの推定値を得ることができる。偏りが存在する場合であっても、リソース割当てのために移動輸送機関内に位置する通信デバイスが受ける干渉を推定する際に、そのような偏りは解消される。
【0023】
特定の特徴によれば、第1の干渉プロファイル及び第2の干渉プロファイルは:運行中に通信デバイスによって測定されると共に経路における少なくとも1つの先行する運行中に移動輸送機関又は別の移動輸送機関内に位置する少なくとも1つの通信デバイスによって測定された干渉の確率密度関数を求めるステップと;求められた確率密度関数の特性関数を求めるステップと;求められた特性関数に対数を適用するステップと;経路に沿って位置する少なくとも1つ干渉体によってもたらされる干渉の特性関数の対数、及び移動輸送機関内に位置する少なくとも1つの干渉体によってもたらされる干渉の特性関数の対数を特定するステップと;によって求められる。特定された各特性関数の対数は、それぞれ第1の干渉プロファイル及び第2の干渉プロファイルに対応する。
【0024】
これにより、処理デバイスは、第1の干渉プロファイル及び第2の干渉プロファイルに関連する干渉の独立確率変数の重ね合わせられた観測結果から、第1の干渉プロファイル及び第2の干渉プロファイルを規定するために用いられる確率密度関数を分離することができる。
【0025】
特定の特徴によれば、第1の干渉プロファイルは、フィンガープリントマップに基づいて求められ、当該フィンガープリントマップは、経路における移動輸送機関又は別の移動輸送機関の少なくとも1つの先行する運行に対して連続して求められた干渉についてのデータを、経路における移動輸送機関の位置の関数又は経路のセグメントの関数として記憶する。
【0026】
これにより、第1の干渉プロファイルを構築するためのデータ追跡及び収集を容易に実行することができる。
【0027】
特定の特徴によれば、フィンガープリントマップは、サーバによって記憶される。サーバは、アクセスポイントに部分フィンガープリントマップを与え、当該部分フィンガーマップは、アクセスポイントによってカバーされるエリアに少なくとも対応する干渉データを含む。処理デバイスは、アクセスポイントによって実装される。
【0028】
これにより、そのようなアーキテクチャは、関係するデバイス間でやりとりする際に高い融通性及び低いオーバヘッドを提供する。
【0029】
特定の特徴によれば、処理デバイスは:リソース割当てが適用される期間中に移動輸送機関がそこを通って移動すると予想される経路の少なくとも1つのセグメントを、移動輸送機関の速さの関数として求めるステップと;求められたセグメントに基づいて、ダウンリンク通信のためのリソースを割り当てるために考慮に入れられることになる第1の干渉プロファイルの値及び第2の干渉プロファイルの値を求めるステップと;を実行する。
【0030】
これにより、割り当てられたリソースがダウンリンク通信のために実効的に用いられる際に、送信条件をより厳密に一致させる干渉推定値を有することによって、リソース割当てが更に改善される。
【0031】
また、本発明は、無線通信ネットワークのアクセスポイントから、或る経路において運行を行っている移動輸送機関内に位置する通信デバイスに対して、周波数選択性チャネル上でダウンリンク通信のためのリソースを割り当てる処理デバイスに関する。この処理デバイスは:経路における移動輸送機関の位置に従って、第1の干渉プロファイルを取得する手段であって、当該第1の干渉プロファイルは、経路に沿って位置する少なくとも1つの干渉体によってもたらされるダウンリンク通信への干渉を表す、第1の干渉プロファイルを取得する手段と;第2の干渉プロファイルを取得する手段であって、当該第2の干渉プロファイルは、移動輸送機関内に位置する少なくとも1つの干渉体によってもたらされるダウンリンク通信への干渉を表す、第2の干渉プロファイルを取得する手段と;第1の干渉プロファイル及び第2の干渉プロファイルに基づいて、ダウンリンク通信のためのリソースを割り当てる手段と;を備える。
【0032】
また、本発明は、通信ネットワークからダウンロードすることができ、及び/又はプロセッサデバイスによって読み出すことができる媒体上に記憶することができるコンピュータプログラムに関する。このコンピュータプログラムは、当該プログラムがプロセッサによって実行されるときに、上述した方法を実施させるための命令を含む。また、本発明は、1組の命令を含むコンピュータプログラムを記憶する情報記憶手段に関し、この1組の命令は、記憶された情報がこの情報記憶手段によって読み出されるときに、上述した方法を実施させる。
【0033】
処理デバイス及びコンピュータプログラムに関連する特徴及び利点は、対応する上述した方法に関して既に言及されたのと同じであるので、ここでは繰り返さない。
【0034】
本発明の特性は、実施形態の一例の以下の説明を読むことから更に明らかになり、その説明は添付の図面を参照しながら行われる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明を実施することができる無線通信システムの概略図である。
図2】無線通信システムの処理デバイスのアーキテクチャの概略図である。
図3】無線通信システムのAPから移動輸送機関内に位置する通信デバイスへのダウンリンク通信のために割り当てられることになるリソースを決定するためのアルゴリズムの概略図である。
図4A】本発明を実施するための無線通信システムの構成の概略図である。
図4B】本発明を実施するための無線通信システムの構成の概略図である。
図4C】本発明を実施するための無線通信システムの構成の概略図である。
図4D】本発明を実施するための無線通信システムの構成の概略図である。
図4E】本発明を実施するための無線通信システムの構成の概略図である。
図4F】本発明を実施するための無線通信システムの構成の概略図である。
図4G】本発明を実施するための無線通信システムの構成の概略図である。
図5】移動輸送機関内に位置する通信デバイスによって実施される、干渉データを収集するためのアルゴリズムの概略図である。
図6】移動輸送機関の経路に沿った静止した干渉体が関与する干渉と、移動輸送機関内に位置する干渉体が関与する干渉とを区別するために、移動輸送機関内の通信デバイスによって実施される第1のアルゴリズムの概略図である。
図7】移動輸送機関の経路に沿った静止した干渉体が関与する干渉と、移動輸送機関内に位置する干渉体が関与する干渉とを区別するために、移動輸送機関内の通信デバイスによって実施される第2のアルゴリズムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明を実施することができる無線通信システムを概略的に表している。
【0037】
無線通信システムは、移動輸送機関130の経路170に沿って位置するAP110、111を備えている。移動輸送機関130は、例えば列車であり、経路は出発駅から到着駅まで列車を誘導する鉄道線路である。別の例によれば、移動輸送機関130はバスであり、経路はバスが従う所定の路線である。
【0038】
AP110、111は、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131のような通信デバイスに対して、無線通信システムのサービスを提供する。通信デバイス131は、例えばモバイル端末であるか、又は移動輸送機関内に位置するモバイル端末がAPを介して無線通信システムのサービスにアクセスできるようにする中継局である。
【0039】
無線通信システムは、集中型無線リソース管理及び/又はモビリティ管理機能を実施する、例えばコアネットワーク内に実装されるサーバ100を更に備えることができる。
【0040】
AP110、111を相互接続することにより、分散型無線リソース管理及び/又はモビリティ管理機能を実施することもできる。
【0041】
AP110、111から移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131へのダウンリンク通信に影響を及ぼすほど移動輸送機関130の経路170の十分近くに、静止した干渉体150、151、152、153が位置する場合がある。そのような干渉体150、151、152、153は、例えばIEEE802.11標準規格に準拠するWiFi(登録商標)アクセスポイントである。
【0042】
移動輸送機関内に位置する通信デバイス131からAP110へのアップリンク通信に影響を及ぼすほどAP110の十分近くに、他の静止した干渉体140、141が位置する場合もある。そのような干渉体140、141は、例えばIEEE802.11標準規格に準拠するWiFi(登録商標)アクセスポイントである。
【0043】
更なる干渉体160、161、162が移動輸送機関130内に位置し、移動輸送機関とともに移動する場合がある。これらの干渉体160、161、162は、AP110、111から移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131へのダウンリンク通信及びアップリンク通信に影響を及ぼす。そのような干渉体は、例えばIEEE802.15.1標準規格に準拠するBluetooth(登録商標)デバイス、又はIEEE802.15.4標準規格に準拠するZigbee(登録商標)デバイスである。
【0044】
地理的位置が静止しているか否かによって、上記の干渉体はAPから移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131へのダウンリンク通信上において異なる種類の干渉をもたらすので、この違いがあることを考慮に入れて干渉管理が行われるべきである。この態様が図3図7に関連して後に詳述される。
【0045】
処理デバイスは、AP110、111から移動輸送機関130内の通信デバイス131へのダウンリンク通信に対する、適切なリソース割当ての決定を担当する。処理デバイスは更に、移動輸送機関130内の通信デバイス131からAP110、111へのアップリンク通信に対する、適切なリソース割当ての決定を担当する場合もある。
【0046】
図4A図4Gに関連して後に詳述されるように、処理デバイスは、サーバ100、AP110、111又は通信デバイス131内に位置することができるか、又は接続することができる。
【0047】
図2は、処理デバイスのアーキテクチャを概略的に表している。図示されるアーキテクチャによれば、処理デバイスは、通信バス210によって相互接続される以下の構成要素を備えている:プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又はCPU(中央処理ユニット)200;RAM(ランダムアクセスメモリ)201;ROM(リードオンリメモリ)202;HDD(ハードディスクドライブ)若しくはSD(セキュアディジタル)カードリーダ203又は記憶手段に記憶された情報を読み出すように構成される任意の他のデバイス;通信インターフェース204。
【0048】
通信インターフェース204によって、処理デバイスは、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131、及び/又はAP110、111、及び/又はサーバ100と通信できるようになる。
【0049】
CPU200は、ROM202から又はSDカードやHDDのような外部メモリからRAM201内にロードされる命令を実行することができる。処理デバイスが起動された後、CPU200はRAM201から命令を読み出し、これらの命令を実行することができる。それらの命令は1つのコンピュータプログラムを形成し、そのプログラムによって、CPU200は、図3図5及び図6に関連して後に説明されるアルゴリズムのステップのうちの幾つか又は全てを実行する。
【0050】
図3図5及び図6に関連して後に説明されるアルゴリズムのありとあらゆるステップは、PC(パーソナルコンピュータ)、DSP(ディジタルシグナルプロセッサ)若しくはマイクロコントローラのようなプログラム可能な計算機によって1組の命令若しくはプログラムを実行することによってソフトウェアとして実装することもできるし、或いはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)若しくはASIC(特定用途向け集積回路)のような機械若しくは専用構成要素によってハードウェアとして実装することもできる。
【0051】
図3は、AP110、111のうちの少なくとも1つから移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131へのダウンリンク通信に対して割り当てられることになる、リソースを決定するためのアルゴリズムを概略的に表している。図3のアルゴリズムは、処理デバイスによって実行される。
【0052】
ステップS301において、処理デバイスは、経路170に沿った移動輸送機関130の位置を取得する。位置は、地理的座標系内の絶対値として表すこともできるし、或いはAP110、111の各位置等の固定された基準位置に対する相対値として表すこともできる。
【0053】
第1の例によれば、位置は、通信デバイス131に関連付けられるGPS(グローバルポジショニングシステム)受信機によって与えられ、通信デバイス131によって処理デバイスに送信されるGPS情報から取得される。
【0054】
第2の例によれば、位置は、AP110、111から受信される信号から通信デバイス131によって求められる受信信号電力情報から取得される。AP110、111の位置を知ること、及び移動輸送機関130が従う経路170を知ることによって、AP110、111から通信デバイス131によって受信される信号電力の測定値に基いて、通信デバイス131の位置を特定できるようになる。各受信信号電力情報は、通信デバイス131によって処理デバイスに送信される。
【0055】
第3の例によれば、位置は、通信デバイス131から受信される信号からAP110、111によって求められる受信信号電力情報に基いて取得される。AP110、111の位置を知ること、及び移動輸送機関130が従う経路170を知ることによって、通信デバイス131からAP110、111によって受信される信号電力の測定値に基いて、通信デバイス131の位置を特定できるようになる。受信信号電力情報は、AP110、111によって処理デバイスに送信される。
【0056】
第4の例によれば、位置は、移動輸送機関の経路に沿って配置されて移動輸送機関が通過するのを検出するように構成されるセンサによって取得される。そのような検出の通知が、センサによって処理デバイスに送信される。
【0057】
さらに、位置は経路170のセグメントに対応することもできる。その際、経路170における複数の連続する有効位置を、本発明のための単一の位置に関連付けることができる。
【0058】
次のステップS302において、処理デバイスは、移動輸送機関130の経路170に沿って位置する静止した干渉体150、151、152、153に関連する第1の干渉プロファイルを取得する。第1の干渉プロファイルは、経路170における移動輸送機関130の位置によって決まる。実際には、干渉体150、151、152、153は静止しているので、AP110、111から移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131へのダウンリンク通信において起こり得る干渉体の影響は、移動輸送機関130の位置とともに徐々に変化する。
【0059】
干渉プロファイルは、通信デバイス131によって感知されるような、干渉を特徴付けられるようにするデータである。例えば、干渉プロファイルは、リソース上で受信されて幾つかの時間フレームにわたって平均化された干渉レベルであるか、又はリソース上の電力分布であるか、又は現在の干渉状態が既知であるときに次の時間フレームにおいて干渉を観測する確率として定義されるリソース使用分布である。
【0060】
干渉プロファイルは、通信デバイス131において取得可能な測定値から取得することもできる。例えば、測定値は、所与のリソース上の経時的に平均化された受信信号電力であるか、又はそこから信号対干渉+雑音比(SINR)、それゆえ干渉レベルを推測することができる平均フレーム誤り率である。また、以前の情報を処理デバイスに与えることができない場合には、通信プロトコルにおいてACK/NACK機構が実施される際の確認応答信号の統計データに基づくこともできる。
【0061】
好ましい実施形態では、処理デバイスは、データベースに記憶されている干渉のフィンガープリントマップから第1の干渉プロファイルを求める。干渉のフィンガープリントマップは、予想される干渉レベルを与える。干渉のフィンガープリントマップは、経路170における移動輸送機関130の以前の運行中に観測された干渉から、経路170における位置の関数又は経路170のセグメントの関数として構築される。図4A図4Gに関連して後に詳述されるように、干渉のフィンガープリントマップを記憶するデータベースは、サーバ100、AP110、111又は通信デバイス131内に位置するか、又はそれらに接続することができる。干渉のフィンガープリントマップを記憶するデータベースは、処理デバイスとは異なる場所に実装することもでき、その場合、内部にデータベースを実装されたデバイスが、データベースの内容を処理デバイスに与える。
【0062】
次のステップS303において、処理デバイスは、移動輸送機関130内に位置する干渉体160、161、162に関連する第2の干渉プロファイルを取得する。
【0063】
次のステップS304において、処理デバイスは、少なくとも第1の干渉プロファイル及び第2の干渉プロファイルに基づいて、少なくとも1つのAP110、111から移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131へのダウンリンク通信に対するリソースを割り当てる。例えば、リソース割当ては、所与の位置において行われる通信に対して予想されるSINRを最大化するように行われる。予想されるSINRは、干渉のフィンガープリントマップ及び第2の干渉プロファイルから取得された情報から計算される。より厳密には、処理デバイスは、所与の位置において少なくとも1つのAP110、111から受信されると予想される信号電力、静止した干渉体150、151、152、153及び干渉体160、161、162からの予想される干渉レベル、及び通信デバイス131における雑音指数を取得し、結果として生じるSINRを計算する。
【0064】
後に詳述されるように、少なくとも1つの実施形態において、第1の干渉プロファイルは少なくとも、上記経路における少なくとも一度の以前の運行中にその移動輸送機関又は別の移動輸送機関内に位置する少なくとも1つの通信デバイスに対して実行された干渉測定又は推定に依存し、第2の干渉プロファイルは少なくとも、その経路における現在の移動中にその移動輸送機関内に位置する少なくとも1つの通信デバイスに対して実行される干渉測定又は推定に依存する。
【0065】
ダウンリンク及びアップリンクにおいて同じリソース割当てが使用されなければならないとき、処理デバイスは、静止した干渉体140、141に関連する第3の干渉プロファイルも更に考慮に入れる。第3の干渉プロファイルは、ステップS303に関連して既に説明された技法を用いて、少なくとも1つのAP110、111によってアップリンク通信について計算される。
【0066】
図4A図4Gは、本発明を実施するための無線通信システムの構成を概略的に表している。図4A図4Gは、サーバ100と、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131と、AP110とを示している。この構成は、無線通信システムの他のAPについても同様である。
【0067】
図4Aは、第1の構成を概略的に表している。この構成では、処理デバイス402は、サーバ100内に位置するか又はサーバ100に接続される。干渉のフィンガープリントマップ401も、サーバ100内に位置するか又はサーバ100に接続される。この構成では、サーバ100は、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131から、AP110を介して、干渉のフィンガープリントマップ401を更新するための任意のデータ及び第2の干渉プロファイルに関連する任意のデータを受信する。
【0068】
リソースを割り当てるために処理デバイス402によって第3の干渉プロファイルが用いられる場合、第3の干渉プロファイルに関連する任意のデータが、AP110によってサーバ100に与えられる。
【0069】
図4Bは、第2の構成を概略的に表している。この構成では、処理デバイス402は、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131内に位置するか又はこの通信デバイス131に接続される。干渉のフィンガープリントマップ401は、サーバ100内に位置するか又はサーバ100に接続される。この構成では、サーバ100は、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131から、AP110を介して、フィンガープリントマップ401を更新するための任意のデータを受信する。移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131は、サーバ100から、AP110を介して、第1の干渉プロファイルに関連する任意のデータを受信する。
【0070】
代替的には、干渉のフィンガープリントマップ401の更新は、USB(ユニバーサルシリアルバス)フラッシュドライブのようなデータ記憶可搬手段によって実行することもできる。この手段は、先ず経路170における移動輸送機関の運行中にデータベースに記憶されたデータをUSBフラッシュドライブに転送するために通信デバイス131に差し込まれ、次に、USBフラッシュドライブによって記憶されたデータをサーバ100に転送するためにサーバ100に差し込まれる。
【0071】
リソースを割り当てるために処理デバイス402によって第3の干渉プロファイルが用いられる場合、第3の干渉プロファイルに関連する任意のデータが、AP110によって、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131に与えられる。
【0072】
図4Cは、第3の構成を概略的に表している。この構成では、処理デバイス402は、AP110内に位置するか又はAP110に接続される。干渉のフィンガープリントマップ401も、AP110内に位置するか又はAP110に接続される。この構成では、AP110は、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131から、フィンガープリントマップ401を更新するための任意のデータ、及び第2の干渉プロファイルに関連する任意のデータを受信する。
【0073】
図4Dは、第4の構成を概略的に表している。この構成では、処理デバイス402は、AP110内に位置するか又はAP110に接続される。干渉のフィンガープリントマップ401は、サーバ100内に位置するか又はサーバ100に接続される。干渉の部分フィンガープリントマップ403が、AP110内に位置するか又はAP110に接続される。干渉の部分フィンガープリントマップ403は、AP110によって管理されるエリア内にある経路170の部分に対するフィンガープリントマップ401の部分に対応する。この構成では、サーバ100は、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131から、AP110を介して、フィンガープリントマップ401を更新するための任意のデータを受信する。AP110は、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131から、第2の干渉プロファイルに関連する任意のデータを受信する。AP110は、サーバ100から、干渉の部分フィンガープリントマップ403を更新するための任意のデータを受信する。
【0074】
図4Eは、第5の構成を概略的に表している。この構成では、処理デバイス402は、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131内に位置するか、又はこの通信デバイス131に接続される。干渉のフィンガープリントマップ401は、AP110内に位置するか又はAP110に接続される。この構成では、AP110は、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131から、フィンガープリントマップ401を更新するための任意のデータを受信する。移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131は、AP110から、第1の干渉プロファイルに関連する任意のデータを受信する。
【0075】
リソースを割り当てるために処理デバイス402によって第3の干渉プロファイルが用いられる場合、第3の干渉プロファイルに関連する任意のデータが、AP110によって、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131に与えられる。
【0076】
図4Fは、第6の構成を概略的に表している。この構成では、処理デバイス402は、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131内に位置するか、又はこの通信デバイス131に接続される。干渉のフィンガープリントマップ401は、サーバ100内に位置するか又はサーバ100に接続される。干渉の部分フィンガープリントマップ403は、AP110内に位置するか又はAP110に接続される。この構成では、サーバ100は、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131から、AP110を介して、フィンガープリントマップ401を更新するための任意のデータを受信する。AP110は、サーバ100から、干渉の部分フィンガープリントマップ403を更新するための任意のデータを受信する。移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131は、AP110から、第1の干渉プロファイルに関連する任意のデータを受信する。
【0077】
代替的には、干渉のフィンガープリントマップ401の更新は、USBフラッシュドライブのようなデータ記憶可搬手段によって実行することもできる。この手段は、先ず経路170における移動輸送機関の運行中にデータベースに記憶されたデータをUSBフラッシュドライブに転送するために通信デバイス131に差し込まれ、次に、USBフラッシュドライブによって記憶されたデータをサーバ100に転送するためにサーバ100に差し込まれる。
【0078】
リソースを割り当てるために処理デバイス402によって第3の干渉プロファイルが用いられる場合、第3の干渉プロファイルに関連する任意のデータが、AP110によって、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131に与えられる。
【0079】
図4Gは、第7の構成を概略的に表している。この構成では、処理デバイス402は、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131内に位置するか、又はこの通信デバイス131に接続される。干渉のフィンガープリントマップ401も、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131内に位置するか、又はこの通信デバイス131に接続される。
【0080】
リソースを割り当てるために処理デバイス402によって第3の干渉プロファイルが用いられる場合、第3の干渉プロファイルに関連する任意のデータが、AP110によって、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131に与えられる。
【0081】
好ましい実施形態では、図4Dに示される構成が実装される。
【0082】
図5は、移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131によって実施される、干渉データを収集するためのアルゴリズムを概略的に表している。
【0083】
ステップS501において、通信デバイス131は、通信デバイス131によって収集された干渉のフィンガープリントマップ401に関連する干渉データ及び第2の干渉プロファイルに関連する干渉データをそれぞれ記憶することを目的とするデータベースを初期化する。
【0084】
次のステップS502において、リソース上で信号が受信されたか否かを判断するために、通信デバイス131は、受信信号電力が所与の閾値より高いか否かをチェックするか、又は例えば自己相関又は相互相関検出技法等を用いて、同期系列のような所定の信号の検出を実行する。
【0085】
通信デバイス131は、AP110がアイドルモードにある、すなわち信号を送信していないときに、他の周波数をリスンすることもできる。第1の例によれば、経路170に沿って位置する静止した干渉体150、151、152、153によってもたらされる干渉の調査を実行するために、通信デバイス131は、AP110の要求に応じて、所定の期間にわたって他の周波数をリスンする。第2の例によれば、通信デバイス131が自らそれを行う。しかしながら、AP110がアイドルモードにある時にそのような他の周波数のリスンが実効的に実行されることを保証するために、通信デバイス131は、AP110との通信のスケジューリングについてのタイミング情報を取得する必要がある。
【0086】
信号が受信されるとき、通信デバイス131は、後続のステップS503において、その受信信号が干渉に対応するか又はAP110から受信された信号に対応するかを判断する。信号を復号した後に、AP110が送信を実行したことをヘッダが示している場合、通信デバイス131は、その信号がAP110から受信されたと判断する。
【0087】
信号がAP110から受信され且つその信号が通信デバイス131によって処理されるように意図されているとき、通信デバイス131は、ステップS504を実行する。信号を復号した後に、その信号が通信デバイス131に宛てられたことをヘッダが示している場合、通信デバイス131は、その信号が通信デバイス131によって処理されるように意図されていると判断する。
【0088】
ステップS504において、通信デバイス131は、AP110から受信された信号を処理する。
【0089】
信号がAP110から受信され且つその信号が通信デバイス131によって処理されるように意図されているとき、通信デバイス131は、ステップS502を繰り返す。
【0090】
信号が干渉であると判断されるとき、通信デバイス131は、ステップS505を実行する。そのステップにおいて、通信デバイス131は、その信号が移動輸送機関130内に位置する干渉体から受信されるのか、或いは移動輸送機関130の経路170に沿って位置する静止した干渉体から受信されるのかを判断する。信号が移動輸送機関130内に位置する干渉体から受信されるのか、或いは経路170に沿って位置する静止した干渉体から受信されるのかを判断することは、図6に関連して後に詳述される。
【0091】
信号が移動輸送機関130内に位置する干渉体から受信されるとき、通信デバイス131は、ステップS506を実行する。そうでない場合には、通信デバイス131は、ステップS507を実行する。
【0092】
ステップS506において、通信デバイス131は、第2の干渉プロファイルに関連するデータを収集する。換言すると、通信デバイス131は、ステップS502において受信された信号に基づいて、ステップS501において初期化されて第2の干渉プロファイルに関連付けられるデータベースを更新する。その後、通信デバイス131は、上記データベースの内容を処理デバイスに与える。その後、通信デバイス131は、ステップS502を繰り返す。
【0093】
ステップS507において、通信デバイス131は、干渉のフィンガープリントマップ403に関連するデータを収集する。通信デバイス131は、ステップS501において初期化されて干渉のフィンガープリントマップ401に関連付けられるデータを記憶するために用いられるローカルデータベースを更新する。換言すると、通信デバイス131は、ステップS502において受信された信号及び経路170における移動輸送機関130の位置を表す情報に基づいて、上記ローカルデータベースを更新する。干渉のフィンガープリントマップ401は、通信デバイス131によって経路170の少なくとも一部に沿って上記ローカルデータベースに記憶されるデータに基づいて後に更新される。干渉のフィンガープリントマップ401の更新は、どのデバイスが干渉のフィンガープリントマップ401を実装するかに従って、AP110を介する通信デバイス131からサーバ100へのアップリンク送信によって、実行することができる。代替的には、干渉のフィンガープリントマップ401の更新は、USBフラッシュドライブのようなデータ記憶可搬手段によって実行することもできる。この手段は、先ず経路170における移動輸送機関の運行中にデータベースに記憶されたデータをUSBフラッシュドライブに転送するために通信デバイス131に差し込まれ、次に、USBフラッシュドライブによって記憶されたデータをサーバ100に転送するためにサーバ100に差し込まれる。また、経路170における移動輸送機関の運行の終了時に、有線通信リンク又は無線通信リンクを用いて、そのようなデータ転送を実行することもできる。その後、通信デバイス131は、ステップS502を繰り返す。
【0094】
AP110によって送信される信号及び少なくとも1つの干渉体によって送信される信号の重ね合わせが受信され、ステップS502においてチェックされるが、通信デバイス131がAP110からの信号を予め受信しており、その結果としてステップS504を実行している場合、通信デバイス131は、受信された重ね合わせ信号から、予め受信された上記信号の寄与を除去し、その後、ステップS505、S506及びS507を実行することができる。
【0095】
図6は、移動輸送機関130の経路170に沿った静止した干渉体150、151、152、153が関与する干渉と、移動輸送機関130内に位置する干渉体160、161、162が関与する干渉とを区別するために、移動輸送機関130内の通信デバイス131によって実施される第1のアルゴリズムを概略的に表している。
【0096】
ステップS601において、通信デバイス131は、データパケットを表す信号を受信する。
【0097】
次のステップS602において、通信デバイス131は、受信データパケットのヘッダ部分を復号する。これは、通信デバイス131が、干渉体のMAC及びPHY(物理)インターフェースに準拠するMAC及びPHYインターフェースを有することを意味している。
【0098】
次のステップS603において、通信デバイス131は、復号されたヘッダ部分から、データパケット送信機の識別子を取得する。
【0099】
次のステップS604において、通信デバイス131は、経路170に沿って位置する静止した干渉体の通常の送信範囲より遠くに位置する経路170の先行する区間中にヘッダ部分を復号することによって、取得された識別子が既に取得されているか否かを判断する。取得されていた場合には、それは受信データパケットの送信機が移動輸送機関130の運行中に既に干渉体であったことを意味しており、それゆえ、この干渉体が経路170に沿って位置する静止した干渉体ではなく、移動輸送機関130内に位置する干渉体であることを意味している。この場合、ステップS606が実行される。そうでない場合には、ステップS605が実行される。
【0100】
次のステップS605において、通信デバイス131は、上記データパケットの受信によってもたらされる干渉を、第1の干渉プロファイルに関連する干渉としてマークする。その後、ステップS601が繰り返される。
【0101】
ステップS606において、通信デバイス131は、上記データパケットの受信によってもたらされる干渉を、第2の干渉プロファイルに関連する干渉としてマークする。その後、ステップS601が繰り返される。
【0102】
図7は、移動輸送機関130の経路170に沿った静止した干渉体150、151、152、153が関与する干渉と、移動輸送機関130内に位置する干渉体160、161、162が関与する干渉とを区別するために、移動輸送機関130内の通信デバイス131によって実施される第2のアルゴリズムを概略的に表している。
【0103】
上述したように、図6のアルゴリズムは、通信デバイス131が、干渉体のMAC及びPHYインターフェースに準拠するMAC及びPHYインターフェースを有することを意味している。しかしながら、無免許のスペクトルは通常、極めて異種の通信標準規格によって共用され、それは通信デバイス131が数多くの標準規格に基づくパケットを復号できることを必要とする。本発明の少なくとも1つの実施形態において、この制約を取り除ければ好都合であろう。1つの手法は、AP110、111から通信デバイス131へのダウンリンク通信が直面する干渉体によってもたらされる干渉の統計データを定義することである。
【0104】
所与の時点、所与の通信チャネル上において、通信デバイス131は、経路170に沿って位置する静止した干渉体150、151、152、153によってもたらされる干渉と、移動輸送機関130内に位置する干渉体160、161、162によってもたらされる干渉との重ね合わせを観測する。
【0105】
経路170に沿って位置する静止した干渉体150、151、152、153によってもたらされる干渉のフィンガープリントは、例えばいかなる干渉体も搬送しない少なくとも1つの移動輸送機関を用いて第1の一群の干渉測定値を取得することによって、既に利用可能であると仮定する。経路170に沿って位置する静止した干渉体150、151、152、153によってもたらされる干渉のそのようなフィンガープリントが既に利用可能であるとき、静止した干渉体によってもたらされる予想される干渉を減算することによって、第2の干渉プロファイルを取得することができる。
【0106】
したがって、ステップS701において、通信デバイス131は、ステップS502に関連して既に記述されたように、受信信号電力情報を取得する。
【0107】
次のステップS702において、通信デバイス131は、例えばいかなる干渉体も搬送しない移動輸送機関を用いて第1の一群の干渉測定値を取得することによって、経路170における移動輸送機関130の現在の位置についての第1の干渉プロファイルを取得する。
【0108】
次のステップS703において、通信デバイス131は、ステップS701において取得された受信信号電力情報、及びステップS702において取得された経路170における移動輸送機関130の現在の位置についての第1の干渉プロファイルから、第2の干渉プロファイルデータを求める。通信デバイス131は、取得された受信信号電力情報から第1の干渉プロファイルを減算する。したがって、通信デバイス131は、移動輸送機関130内に位置する干渉体160、161、162に関連する、第2の干渉プロファイルの瞬時推定値を取得する。
【0109】
次のステップS704において、通信デバイス131は、ステップS703において取得された第2の干渉プロファイルデータを、経路170における移動輸送機関130の複数の先行する位置について取得された他の第2の干渉プロファイルデータによって平均化する。その後、経路170における移動輸送機関130の次の位置について、ステップS701が繰り返される。経時的に何回か平均した後に第2の干渉プロファイルは安定化し、移動輸送機関130内に位置する干渉体160、161、162によってもたらされる干渉を効果的に表すことになる。
【0110】
言い換えると、第2の干渉プロファイルは、通信デバイス131によって測定された全干渉から、いかなる干渉体も搬送せずにその経路に沿って移動する少なくとも1つの移動輸送機関130内に位置する少なくとも1つの通信デバイスによって測定された平均干渉プロファイルを減算し、それを全ての経路セグメントにわたって平均することによって取得することができる。
これは以下の式によって表すことができる。
【数1】
ただし、
・ Eは検討中の移動輸送機関kのための第2の干渉プロファイルであり、
・ Nは経路を構成するセグメントの数量であり、
・ Mは経路に沿って移動した又は移動している移動輸送機関の数量であり、
・ Kはいかなる干渉体も搬送することなく経路に沿って移動した移動輸送機関の数量であり、
・ Xabは経路のセグメントb中に移動輸送機関a内に位置する通信デバイス131によって行われる観測結果である。
【0111】
いかなる干渉体も搬送することなく経路に沿って移動したK個の移動輸送機関のインデックスがM−K−1からMであると更に仮定する。
【0112】
特定の実施形態によれば、上記の式によって取得された第2の干渉プロファイルによって、第1の干渉プロファイルを精緻化することができる。処理デバイスは、通信デバイス131から、経路170のセグメントごとに、受信信号電力と、上記の式に関して記述された演算の結果として得られる推定された第2の干渉プロファイルとの差を受信する。その後、処理デバイスは、各位置について、全ての移動輸送機関について行われた観測結果から第2の干渉プロファイルを減算した値の平均を実行し、それに応じて第1の干渉プロファイルを更新する。これは、以下の式によって表すことができる。
【数2】
ただし、
・ Rはセグメントkに関連する第1の干渉プロファイルである。
【0113】
別の実施形態によれば、第2の干渉プロファイルは、第1の干渉プロファイルに関連する予想干渉レベルが受信信号の電力に比べて無視できるか、又は無視できると予想されるときに求められる。換言すると、通信デバイス131は、経路170における静止した干渉体が存在しない位置に移動輸送機関130が位置する状況を待つ。それゆえ、受信信号によってもたらされる干渉は、移動輸送機関130内に位置する干渉体160、161、162によってもたらされると仮定される。
【0114】
更に別の実施形態によれば、例えば上記の実施形態によって実行される処理の結果として、良好なロバスト性を有する第2の干渉プロファイルがわかると仮定される。第1の干渉プロファイルが既知であると仮定するときには、第1の干渉プロファイルと第2の干渉プロファイルの役割を入れ替えることによって、上記で言及されたのと同じ原理が適用される。
【0115】
更に別の実施形態によれば、第1の干渉プロファイル及び第2の干渉プロファイルの平均干渉レベルは、例えば図4Aに示されるように集中方式で推定され、すなわち、全ての受信信号電力が処理デバイスに与えられるか、又は同等に、1つのフィンガープリント値に対応する経路170の所与の部分における平均干渉レベルが与えられる。その後、処理デバイスは、全ての移動輸送機関及び経路の全てのセグメントについての全ての第1の干渉プロファイル及び第2の干渉プロファイルを推定するために、全てのデータをフィルタリングする。
【0116】
上記の式のために既に導入されている定義を再利用するとき、移動輸送機関i内に位置する通信デバイス131によって経路のセグメントjにわたって行われる観測結果は、経路170に沿って位置する静止した干渉体150、151、152、153によってもたらされる干渉と、移動輸送機関内に位置する干渉体160、161、162によってもたらされる干渉との和であり、すなわち、N×M個の観測結果は以下のように表される。
【数3】
観測ベクトルX=[X11...X1N21...X2N...XM1...XMN]、求められることになる変数のベクトルV=[R...R...Eを考えると、以下の線形システムが得られる。ただし、AはN.M×N+M行列である
【数4】
ただし、IはN×Nの単位行列であり、IN×Mは1で埋められたN×Mの行列である。
【0117】
このような線形システムを解く条件は、十分な数の測定値を得ることであり、それは以下の条件が満たされるべきであることを意味する。
【数5】
【0118】
ベクトルe=[I1×N−I1×M/sqrt(N+M)は零固有値の固有ベクトルであり、少なくとも1の階数の不足を伴う。AAの擬似逆行列は存在しないが、AA+eeは可逆である。
【0119】
(AA+ee−1によって観測結果をフィルタリングすることによって、変数VのバイアスされたバージョンYを、以下のように得ることができる。
【数6】
ただし、Y=[YR...YRYE...YEである。よって、以下の式が成り立つ。
【数7】
【0120】
このように、値R及び値Eの推定値にはバイアスが存在し、これは上記の階数の不足に起因する。したがって、値YR及び値YEが推定されて経時的に平均され、第1の干渉プロファイル及び第2の干渉プロファイルにそれぞれ関連付けられる値AYR及び値AYEになる。最終的な干渉プロファイルXijは、値AYRと値AYEを加算することによって、M個の移動輸送機関のうちの1つごと且つ経路のN個のセグメントのうちの1つごとに推定され、その干渉プロファイルは、上記のバイアスを除去する傾向にある。換言すると、バイアスをもたらす線形フィルタを適用し、第1の干渉プロファイル及び第2の干渉プロファイルのバイアスされた推定値を生成することによって、第1の干渉プロファイルと第2の干渉プロファイルが求められ、上記のバイアスは第1の干渉プロファイルと第2の干渉プロファイルを加算することで無視できるようになる。
【0121】
更に別の実施形態では、ランダム分布を分離するために更に進んだ確率的推定理論が用いられる。上述した結合された観測結果Xから上述した確率変数R及び確率変数Eの排反の確率密度関数を推定しようとするとき、確率変数Rと確率変数Eは独立しているので、以下の式が適用される。
【数8】
ただし、LXij(w)、LR(w)及びLE(w)は、Xij、R及びEの特性関数の対数であるか、又は等価には、X、R及びEの確率密度関数のフーリエ変換の対数であり、wは特性関数の引数である。
【0122】
特性関数の対数を用いることによって、確率密度関数の畳み込みを取り扱う代わりに、上記の式において示されるように、和を取り扱うことができるようになることに注意されたい。
【0123】
特性関数の計算は、例えばフーリエ変換及び逆フーリエ変換を用いて実施されるか、又は確率密度関数が離散的に推定され且つwが離散値をとる場合には、離散フーリエ変換(DFT)又は高速フーリエ変換(FFT)を用いて離散的に実施される。
【0124】
したがって、所与の引数wの場合に、経路170に沿って位置する静止した干渉体150、151、152、153によってもたらされる干渉と、移動輸送機関内に位置する干渉体160、161、162によってもたらされる干渉とを識別するために、先行する実施形態において説明されたように、特性関数値LRj(w)及び特性関数値LEi(w)の識別情報を取得することができる。
【0125】
換言すると、処理デバイスは、各移動輸送機関について経路の各セグメントにおいて、Xijの確率密度関数の数値計算を取得する。処理デバイスは、Xijの確率密度関数の特性関数を求め、得られた特性関数に対数を適用する。その後、処理デバイスは、独立変数R、Eの特性関数の対数を特定する。独立変数R、Eの特性関数の対数は、第1の干渉プロファイルと第2の干渉プロファイルにそれぞれ対応する。移動輸送機関130内に位置する通信デバイス131が受けることになる干渉を評価するために、処理デバイスは、第1の干渉プロファイルと第2の干渉プロファイルにそれぞれ対応する対数の逆演算を適用し、その後、干渉プロファイルごとの確率密度関数を得るために、それぞれの特性関数の逆演算を適用する。その後、ダウンリンク通信のためにどのリソースが割り当てられるべきであるかを判断するために、それらの確率密度関数が用いられる。
【0126】
特定の実施形態によれば、処理デバイスは、リソース割当てが適用される期間中に移動輸送機関がそこを通ると予想される経路のセグメントを求める。これらのセグメントは、移動輸送機関の速さの関数として求められる。その後、処理デバイスは、求められたセグメントに基づいて、リソース割当てのために考慮に入れられることになる第1の干渉プロファイルと第2の干渉プロファイルの値を求める。
【0127】
別の態様によれば、干渉プロファイルを追跡できるようにするために、列車位置に従ってフィンガープリントマップの補間を実施することができる。補間は、干渉プロファイルを滑らかに変更し、リソース割当てアルゴリズムが円滑に適応できるようにする。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
図6
図7