(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933767
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】排気ガス再循環系を備えたガスタービンパワープラント
(51)【国際特許分類】
F02C 3/30 20060101AFI20160602BHJP
F23R 3/00 20060101ALI20160602BHJP
F23R 3/34 20060101ALI20160602BHJP
F02C 6/18 20060101ALI20160602BHJP
F01K 23/10 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
F02C3/30 D
F23R3/00 B
F23R3/34
F02C6/18 A
F01K23/10 T
F01K23/10 U
F01K23/10 B
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-559207(P2014-559207)
(86)(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公表番号】特表2015-513031(P2015-513031A)
(43)【公表日】2015年4月30日
(86)【国際出願番号】EP2013053999
(87)【国際公開番号】WO2013127901
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2014年8月29日
(31)【優先権主張番号】00272/12
(32)【優先日】2012年2月29日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】エリベアト ベンツ
(72)【発明者】
【氏名】ヤーン ヘラート
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ヴェットシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】ロビン パイン
【審査官】
齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−247264(JP,A)
【文献】
米国特許第04133171(US,A)
【文献】
国際公開第2010/142573(WO,A2)
【文献】
特開2010−101319(JP,A)
【文献】
特開2009−197797(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0227118(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0034704(US,A1)
【文献】
米国特許第3703807(US,A)
【文献】
特開2000−303854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 3/00− 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス再循環系を含むガスタービンパワープラントの駆動方法であって、
前記ガスタービンパワープラントは、圧縮器流入口(3)を含むガスタービン(6)と、廃熱回収ボイラ(9)と、排気ガス分流器(29)と、再循環路と、排気ガス再冷器(27)とを備え、
前記排気ガス分流器(29)は、排気ガス(19)を、前記ガスタービン(6)の吸気流へ再循環される第1の排気ガス分流(21)と、周囲へ放出される第2の排気ガス分流(20)とに分流し、
新鮮空気(2)を、前記圧縮器流入口(3)へ供給して、前記圧縮器流入口(3)において加速する、方法において、
前記再循環される第1の排気ガス分流(21)を、前記新鮮空気(2)と別に前記圧縮器流入口(3)内に前記新鮮空気(2)と同軸的に供給し、かつ、半径方向において前記新鮮空気(2)と別に前記圧縮器流入口(3)の所定の領域へ導く、なお、当該所定の領域では、全体圧と前記新鮮空気(2)の静圧との差が前記再循環される第1の排気ガス分流(21)の目標質量流量を前記圧縮器流入口(3)へ吸引するのに必要な圧力差以上となる程度に前記新鮮空気(2)を加速する
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記再循環される第1の排気ガス分流(21)と前記新鮮空気(2)とを同軸の環状ダクトを介して供給し、前記再循環される第1の排気ガス分流(21)を前記圧縮器流入口(3)のうち半径方向で内側の領域を介して供給する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記再循環される第1の排気ガス分流(21)が前記圧縮器流入口(3)へ供給される位置を変化させることにより、前記再循環される第1の排気ガス分流(21)の量を開ループ制御又は閉ループ制御する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記再循環される第1の排気ガス分流(21)を前記圧縮器流入口(3)へ供給する出口の断面積を変化させることにより、前記再循環される第1の排気ガス分流(21)の量を開ループ制御又は閉ループ制御する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記新鮮空気(2)のフローダクトを前記再循環される第1の排気ガス分流(21)のフローダクトから分離する、前記圧縮器流入口(3)に配置された可変分離要素(49)を調整することにより、前記再循環される第1の排気ガス分流(21)の量を開ループ制御又は閉ループ制御する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記可変分離要素(49)を軸方向で変位させるか又は半径方向で変位させることにより、前記再循環される第1の排気ガス分流(21)の量を開ループ制御又は閉ループ制御する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記再循環される第1の排気ガス分流(21)を複数のフィーダ(39)を介して導入し、
前記複数のフィーダ(39)は、圧縮器入力側の上流において、周方向で分散されて、前記ガスタービン(6)の軸(37)に対して同心的に前記吸気ダクトの径に沿って配置されており、
前記圧縮器流入口(3)での前記複数のフィーダ(39)の各出口オリフィスの軸方向位置を変化させることにより、前記再循環される第1の排気ガス分流(21)の量を開ループ制御又は閉ループ制御する、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記ガスタービンが部分負荷で動作する場合、及び/又は、前記ガスタービンの始動時には、制御調整要素(42)を介して、前記再循環される第1の排気ガス分流(21)のフローダクトへ新鮮空気を導く、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
ガスタービン(6)と、廃熱回収ボイラ(9)と、圧縮器流入口(3)と、排気ガス分流器(29)とを備えたガスタービンパワープラントであって、
前記排気ガス分流器(29)は、動作中に、排気ガス(19)を、前記ガスタービン(6)の吸気流へ再循環される第1の排気ガス分流(21)と、周囲へ放出される第2の排気ガス分流(20)とに分流する、
ガスタービンパワープラントにおいて、
前記圧縮器流入口(3)は、前記圧縮器のフローダクトに隣接する、第1のセクタ(3’)と第2のセクタ(3”)とに分割されており、
前記第1のセクタ(3’)と前記第2のセクタ(3”)とはそれぞれの出口で相互に同軸的に半径方向に別に配置されており、
新鮮空気に対するフィーダが前記第1のセクタ(3’)に接続されており、
前記排気ガス分流器(29)からの前記再循環される第1の排気ガス分流(21)のための再循環路が、前記第2のセクタ(3”)に接続されており、
前記第2のセクタ(3”)は、前記ガスタービンの動作中、前記第2のセクタ(3”)の出口での静圧が低く、全体圧と静圧との差が前記再循環される第1の排気ガス分流(21)の目標質量流量を前記圧縮器流入口(3)へ吸引するのに必要な圧力差以上となるように、前記圧縮器(1)の近傍に配置されている、
ことを特徴とするガスタービンパワープラント。
【請求項10】
新鮮空気(2)を供給するための前記第1のセクタ(3’)と、前記再循環される第1の排気ガス分流(21)を供給するための前記第2のセクタ(3”)とは、それぞれの出口が同心の円形リングとなるように構成されている、請求項9記載のガスタービンパワープラント。
【請求項11】
前記第2のセクタ(3”)の出口の幾何学形状は可変である、請求項9又は10記載のガスタービンパワープラント。
【請求項12】
前記新鮮空気(2)を供給するための前記第1のセクタ(3’)と前記再循環される第1の排気ガス分流(21)を供給するための前記第2のセクタ(3”)とは、それぞれの出口で、可変分離要素(49)によって分離されている、請求項9から11までのいずれか1項記載のガスタービンパワープラント。
【請求項13】
前記可変分離要素(49)は、軸方向で変位可能に配置されているか、又は、半径方向で変位可能に配置されている、請求項12記載のガスタービンパワープラント。
【請求項14】
前記再循環される第1の排気ガス分流(21)を導入するための複数のフィーダ(39)が、圧縮器入力側の上流の前記圧縮器流入口(3)内で、周方向に分散されて、前記ガスタービン(6)の軸(37)に対して同心的に配置されており、
前記複数のフィーダ(39)の各出口オリフィスから前記圧縮器入力側までの軸方向距離は、前記再循環される第1の排気ガス分流(21)を制御もしくは調整するために調整可能である、
請求項12記載のガスタービンパワープラント。
【請求項15】
圧縮器入力側の前記第2のセクタ(3”)は、制御調整要素(42)を介して、新鮮空気(2)に対するフィーダに接続されている、請求項9から14までのいずれか1項記載のガスタービンパワープラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ異なるガス成分を有する2種の入力流によるガスタービンの駆動方法、及び、分割された圧縮器入力側を有するガスタービンに関する。
【0002】
従来技術
再循環系は、基本的にきわめて多様な目的に対してガスタービンで利用可能な技術である。例えば、放出量を制御するため、排気ガスボリュームから二酸化炭素を分離するため、などに用いられる。ガスタービンにおける排気ガスの再循環系では、排気ガス流の全体から排気ガス物質成分が分岐され、通常は、冷却及び浄化の後に、タービンもしくはタービン圧縮器の入力マスフローへ再供給される。排気ガス成分は周囲空気の新鮮空気成分と大きく異なる。このため、従来は、再循環排気ガス分流は周囲からの新鮮空気と混合され、この混合気が圧縮器へ供給されている。
【0003】
有利には、排気ガス再循環系によって、二酸化炭素の分離による出力損失及びパワープラントの効率低下を回避するために、排気ガス中の二酸化炭素分圧を増大させることができる。また、排気ガス再循環系は、ガスタービンの吸気ガス中の酸素量を低減し、ひいてはNO
x放出量を低減するためにも提案されてきた。
【0004】
排気ガス再循環系として、例えば、US7536252B1には、排気ガス再循環系を介してターボ機械の流入口へ戻される排気ガス再循環流の制御方法が示されている。この方法では、所望の排気ガス再循環成分のうちターボ機械の入力流へ加えられる排気ガス分流成分が求められ、その実際値が所望の値となるように制御される。
【0005】
EP2248999には、排気ガス再循環系を含むパワープラント、及び、こうしたパワープラントの駆動方法が示されている。ここでは、再循環率と再循環排気ガスの再冷温度とが負荷の関数として制御される。
【0006】
排気ガスの再循環を可能にするために、従来技術では、排気ガス再循環路乃至再冷器等での圧力損失を克服するためのブロワを設けることが提案されている。これに代えて、排気ガス再循環路乃至再冷器等を、流速ひいては圧力損失が低下し、これにより、排気ガス路の過圧が充分に排気ガスを戻せる大きさとなるように設計する変形形態も行われている。しかし、これらの手段は双方とも大規模かつコスト高であり、また、パワープラントに付加的なスペースを要する。特に、ブロワを用いると、パワープラントの出力及び効率にとってさらに不利となる。
【0007】
発明の開示
したがって、本発明の課題は、再循環路での圧力損失を克服するためのブロワなしで、排気ガス再循環系を含むタービンを高い信頼性で駆動できるようにすることである。さらに、本発明は、上記方法を実行するのに適したガスタービンパワープラントを提供することも課題とする。
【0008】
排気ガス再循環系を含むガスタービンパワープラントは、ガスタービンと廃熱回収ボイラと排気ガス分流器と再循環路とを備える。排気ガス分流器は、排気ガスを、ガスタービンの吸気流へ再循環される第1の排気ガス分流と、周囲へ放出される第2の排気ガス分流とに分流する。典型的には、少なくとも1つの排気ガス再冷器が再循環路に配置されている。
【0009】
ガスタービンは、流入交差領域を有する圧縮器と、圧縮器に後続し、圧縮されたガスを燃料によって燃焼させる燃焼室と、高温燃焼ガスを膨張させるタービンと、シャフト(軸)とを含む。
【0010】
本発明の方法は、第1の再循環排気ガス流に対する目標質量流量が定められることを特徴とする。つまり、本発明では、再循環される第1の排気ガス分流が、圧縮器流入口へ向かって、新鮮空気と別に、ただし新鮮空気と同軸的に供給されつつ、圧縮器流入口の所定の領域へ導かれる。なお、当該所定の領域では、全体圧と新鮮空気の静圧との差が再循環される第1の排気ガス分流の目標質量流量を圧縮器流入口へ吸引するのに必要な圧力差以上となる程度に新鮮空気が加速される。
【0011】
圧縮器の吸気流の静圧が低減されることにより、再循環排気ガスの圧力差が増大するので、排気ガスブロワを省略できるようになる。
【0012】
目標質量流量は、わかりやすくするために、固定値もしくはガスタービンの動作状態の関数として定められる値とする。目標質量流量は、絶対値、又は、現在状態に対する相対値のいずれに定義されてもよい。例えば、目標質量流量は、濃度もしくは温度もしくは燃焼室脈流もしくは他のパラメータの所望値と実際値との差に比例するように定められる。
【0013】
典型的には、第1の排気ガス分流が供給される圧縮器流入口の所定の領域は、全体圧と静圧との差が全体圧の1%よりも大きくなる程度に新規吸気流が加速される領域である。
【0014】
本発明の有利な実施形態によれば、第1の排気ガス分流が供給される圧縮器流入口の所定の領域は、周囲圧と静圧との差が、再循環路及びその全ての付属要素における圧力損失の合計と周囲圧に対する排気ガス分流器での過圧との差よりも大きくなる程度に新鮮空気吸気流が加速される領域である。
【0015】
典型的には、後続の排気ガス路及び排気ガス処理装置(例えば煙突前方のCO
2分離装置)での圧力損失を克服できるようにするために、排気ガス分流器の静圧は周囲圧よりも大きくされる。よって、全体では、再循環排気ガスを圧縮器流入口へ供給するための圧力が増大する。
【0016】
圧縮器への入力前、特に、入力ノズル(ベルマウスとも称される)又は流入ノズルの直接上流において圧縮器吸気流が大きく加速されるため、圧縮器入力側前方の圧縮器流入口で、設定圧力勾配が得られる。再循環される第1の排気ガス分流が圧縮器流入口へ供給される位置を変更することにより、駆動圧力勾配ひいては再循環される第1の排気ガス分流の量を、開ループ制御又は閉ループ制御することができる。再循環される第1の排気ガス分流の供給位置が圧縮器入力側に近づくにつれて駆動圧力勾配が大きくなるので、再循環される第1の排気ガス分流の量も増大する。
【0017】
再循環される第1の排気ガス分流の圧縮器流入口への供給位置の変更に加え、再循環路の出口面積、又は、再循環される第1の排気ガス分流が圧縮器流入口へ戻されるセクタの面積を変化させることにより、再循環される第1の排気ガス分流の量を定めることができる。この場合、出口面積が大きくなると、再循環される第1の排気ガス分流の量も大きくなる。本発明の方法の別の実施形態によれば、第1の排気ガス分流が圧縮器流入口へ供給される出口の断面積を変化させることにより、再循環される第1の排気ガス分流の量を開ループ制御又は閉ループ制御することもできる。
【0018】
本発明の別の有利な実施形態によれば、新鮮空気と再循環される第1の排気ガス分流とは、相互に同軸的に圧縮器流入口を通過して、圧縮器へ供給される。
【0019】
本発明の別の有利な実施形態によれば、新鮮空気と再循環される第1の排気ガス分流とは、それぞれの同心の円形リングを介して圧縮器流入口を通過して、圧縮器へ供給される。
【0020】
本発明の別の有利な実施形態によれば、再循環される第1の排気ガス分流は、半径方向で見て内側の円形リングを介して圧縮器流入口を通過する。
【0021】
本発明の別の有利な実施形態によれば、再循環される第1の排気ガス分流の量を設定するために、圧縮器流入口内に配置された、新鮮空気のフローダクトを第1の排気ガス分流のフローダクトから分離する可変分離要素により、制御もしくは調整が行われる。制御もしくは調整のために、可変分離要素の出口の幾何学形状は可変に構成される。ここでの調整はいずれかの方向への運動もしくは変位として行うことができ、その結果、可変分離要素の出口での圧力及び流れ条件が変化される。
【0022】
有利な実施形態によれば、可変分離要素は軸方向に変位可能である。可変分離要素、特にその出口端部の軸方向位置を変更することにより、再循環される第1の排気ガス分流の量を開ループ制御又は閉ループ制御することができる。
【0023】
有利な別の実施形態によれば、再循環される第1の排気ガス分流の量を開ループ制御又は閉ループ制御するために、可変分離要素を半径方向で変位させることもできる。可変分離要素を半径方向で変位させることにより、再循環される第1の排気ガス分流を圧縮器入力側へ供給する出口の面積が開ループ制御又は閉ループ制御され、ひいては、再循環される第1の排気ガス分流が制御もしくは調整される。
【0024】
第1の排気ガス分流の圧縮器流入口への供給は、1つのフローダクトのコヒーレントな出口領域を介しても、1つもしくは複数のフローダクトの複数の出口領域を介しても行うことができる。有利な実施形態によれば、再循環される第1の排気ガス分流は複数のフィーダを介して導入される。当該複数のフィーダは、周方向で分散されて、圧縮器流入口の上流で、ガスタービン軸に関して同軸的に配置されている。この場合には、圧縮器流入口の複数のフィーダの各出口オリフィスの軸方向位置を変化させることにより、再循環される第1の排気ガス分流の量を開ループ制御又は閉ループ制御することができる。
【0025】
動作コンセプト及びガスタービンの構成に応じて、ガスタービンが部分負荷で動作する場合、又は、ガスタービンの始動時に、排気ガス再循環が遮断されるか又は再循環量が低減される。このことは、例えば、安定した低CO燃焼(低一酸化炭素燃焼)を保証するため、又は、点火過程中に未燃焼の燃料がガスタービンの吸気流へ再循環されることを回避するために必要である。流入交差領域が、新鮮空気供給のためのセクタと、再循環排気ガスを戻すためのセクタとに分割されることにより、再循環量が低減される際に不適切な圧縮器へのアプローチ流が発生することがある。こうした不適切なアプローチ流を回避するために、本発明の方法の有利な実施形態によれば、ガスタービンの始動時、及び/又は、ガスタービンが部分負荷で動作する場合、第1の排気ガス分流が圧縮器へ導入される前に、新鮮空気が再循環される第1の排気ガス分流に混合される。当該新鮮空気の混合は、制御調整要素、例えばバルブまたはフラップにより、制御もしくは調整することができる。排気ガス再循環が遮断されると、当該制御調整要素を介して純粋な新鮮空気が流入交差領域の第2のセクタへ供給されるので、排気ガス再循環なしでも、均質なアプローチ流が得られることが保証される。
【0026】
別の有利な実施形態によれば、第1の再循環排気ガス流と新鮮空気とは、半径方向の段階方式で、圧縮器入力側へ供給される。つまり、流入交差領域において、新鮮空気が圧縮器の回転軸に関して外側セクタを通り、再循環される第1の排気ガス分流が内側セクタを通る方式で、供給が行われる。この手法により、冷却空気への酸素低減ガスの混合を回避できるか又は少なくとも低減できる。よって、新鮮空気がまず酸素低減ガスに混合され、その後で圧縮器へ供給される従来の方法に比べ、燃焼室に達するガス中の酸素濃度が低減される。これにより、従来技術よりも酸素成分が少なくかつ全体に少量のガス流を利用でき、特に効率の良い燃焼を形成することができる。
【0027】
代替的な実施形態によれば、第1の再循環排気ガス流と新鮮空気とが半径方向の段階方式で圧縮器入力側へ供給される際に、流入交差領域において、新鮮空気が圧縮器の回転軸に関して内側セクタを通り、再循環される第1の排気ガス分流が外側セクタを通るように構成することができる。
【0028】
これにより、従来技術に比べて増大された再循環排気ガスと新鮮空気との比を用いることができる。よって、全体として、排気ガス中の酸素量が低減され、CO
2量を増大させることができるので、CO
2の分離後にパワープラントから排出される排気ガス流を低減できる。排気ガス流量が低減されれば、プラントの規模を低減できる。また、CO
2量が大きくなれば、CO
2分離のための補助エネルギ消費量も低減されるため、パワープラントの純出力ひいては純効率が高まる。
【0029】
さらに、本発明は、上述した方法に加え、この方法を実行する排気ガス再循環系を備えたガスタービンパワープラントに関する。この種のガスタービンパワープラントは、ガスタービンと、廃熱回収ボイラと、ガスタービンの圧縮器への吸気流が通過する圧縮器流入口と、排気ガス分流器とを備えている。排気ガス分流器は、動作中に、ガスタービンの排気ガスを、ガスタービンの吸気流へ再循環される第1の排気ガス分流と、周囲へ放出される第2の排気ガス分流とに分流する。本発明によれば、圧縮器流入口は第1のセクタと第2のセクタとに分割されており、圧縮器流入口を始点とする圧縮器のフローダクトが2つのセクタに続いている。さらに、新鮮空気に対するフィーダが第1のセクタに設けられており、排気ガス分流器からの第1の排気ガス分流に対する再循環路が、第2のセクタへ設けられている。この場合、ガスタービンの動作中、第2のセクタの出口での静圧が低く、全体圧と静圧との差が、目標質量流量を圧縮器流入口へ吸引するのに必要な圧力差以上となるように、第2のセクタが圧縮器の近傍に配置されている。
【0030】
目標質量流量は、わかりやすくするために、固定値もしくはガスタービンの動作条件の関数として定められる値とする。典型的には、第2のセクタは、動作中、全体圧と静圧との差が全体圧の1%より大きくなる程度に吸気流が加速されるよう、圧縮器の近傍に配置される。
【0031】
ガスタービンパワープラントの有利な実施形態によれば、ガスタービンの動作中、第2のセクタの出口での静圧は、当該出口での静圧と周囲圧との差が、再循環路及びその全ての付属要素における圧力損失の合計と周囲圧に対する排気ガス分流器での過圧との差よりも大きくなるよう、低く選定される。
【0032】
別の有利な実施形態によれば、新鮮空気を供給するための第1のセクタと、再循環される第1の排気ガス分流を供給するための第2のセクタとは、圧縮器入力側の上流のそれぞれの出口の箇所で、相互に同軸的に配置されている。
【0033】
さらに別の有利な実施形態によれば、新鮮空気を供給するための第1のセクタと、再循環される第1の排気ガス分流を供給するための第2のセクタとは、それぞれの出口が同心の円形リングとなるように設けられている。
【0034】
ガスタービンパワープラントの別の有利な実施形態によれば、再循環排気ガス分流を制御もしくは調整するために、圧縮器流入口の第2のセクタの出口の幾何学形状は可変に構成される。
【0035】
有利な実施形態によれば、新鮮空気を導入するための第1のセクタと、再循環される第1の排気ガス分流を導入するための第2のセクタとは、それぞれの出口の箇所で、可変分離要素によって分離されている。可変分離要素は、少なくとも1つの可動壁又は少なくとも1つの可動壁部分を含む。ただし、可変分離要素を、フレキシブルな材料から成る拡張可能要素としてもよいし、可動壁要素と拡張可能要素との組み合わせから形成してもよい。
【0036】
例えば、可変分離要素は、ガスタービン軸の軸方向で変位可能なように配置される。このタイプの構成では、再循環される第1の排気ガス分流の量は、主として分離要素の軸方向終端位置における負圧によって、開ループ制御又は閉ループ制御される。
【0037】
別の実施形態では、可変分離要素は半径方向で変位可能なように配置される。半径方向での変位により、再循環される第1の排気ガス分流の量は、主として第2のセクタの出口面積によって、開ループ制御又は閉ループ制御される。
【0038】
また、軸方向可変分離要素と半径方向可変分離要素とを組み合わせた装置を利用することもできる。
【0039】
別の実施形態によれば、再循環される第1の排気ガス分流を導入するための複数のフィーダが、圧縮器入力側の上流で、周方向で分散されて、ガスタービン軸に関して同軸的に配置されている。この場合、各フィーダの各出口オリフィスから圧縮器入力側までの軸方向距離を設定することにより、再循環される第1の排気ガス分流を制御もしくは調整することができる。
【0040】
さらに別の実施形態によれば、圧縮器入力側の圧縮器流入口の第2のセクタは、制御調整要素を介して、新鮮空気もしくは新鮮空気に対するフィーダに接続される。制御調整要素により、制御された方式で新鮮空気を第1の排気ガス分流に混合することができる。よって、ガスタービンが部分負荷で動作する場合、及び/又は、ガスタービンの始動時には、新鮮空気が圧縮器流入口の第2のセクタへ吸引される。
【0041】
管路もしくはエアダクトを介して供給される新鮮空気(周囲空気)を制御する制御調整要素は、例えば、フラップ又はバルブである。制御調整要素での圧力損失、乃至、供給時及び混合時の圧力損失を補償するために、フィーダ内にブロワを設けることができる。なお、フィーダは、直接に圧縮器流入口の第2のセクタ内に設けられる必要はないが、再循環される第1の排気ガス分流が戻される再循環路内に設けられてもよい。例えば、上流に、ガス洗浄部を有する排気ガス再冷器、例えば(直接接触式冷却器として構成された)噴霧冷却器を設けることもできる。この場合、付加的なフィルタリング無しで、又は、1回の僅かなフィルタリングのみで、新鮮空気を供給することができる。
【0042】
本発明の別の実施形態によれば、圧縮器流入口が内側セクタ及び外側セクタとして構成され、再循環される第1の排気ガス分流に対するフィーダが内側セクタに接続され、新鮮空気に対するフィーダが外側セクタに接続される。
【0043】
当該配置により、冷却空気への酸素低減ガスの混合を回避できるか又は少なくとも低減できる。したがって、新鮮空気と酸素低減ガスとがまず混合されてから圧縮器へ供給される従来の手法に比べて、燃焼室に達するガス中の酸素濃度が低減される。これにより、従来技術よりも全体に少量であって酸素成分の低減されたガス流を利用でき、動作中に特に高効率の燃焼を形成できる。
【0044】
これに代わる実施形態として、圧縮器流入口が内側セクタ及び外側セクタとして構成される場合に、再循環される第1の排気ガス分流に対するフィーダを外側セクタに接続し、新鮮空気に対するフィーダを内側セクタに接続してもよい。
【0045】
これにより、再循環排気ガスと新鮮空気との比を従来技術よりも高めることができる。よって、全体としては、排気ガス中の酸素量を低減でき、CO
2量を増大して、例えば、CO
2の分離後にパワープラントから排出される排気ガス流量を低減できる。排気ガス流量を低減できるのであれば、プラントの規模を低減できる。また、動作中、CO
2量が増大するにつれて分離の効率が高まり、CO
2分離に必要な補助エネルギの消費量が低減されるので、パワープラントの純出力ひいては純効率が高まる。
【0046】
上述した全ての利点は、本発明の範囲から離れることなく、本発明の各特徴を単独で又は任意に組み合わせて達成することができる。本発明は、燃焼室を有するガスタービンにもシーケンシャル燃焼部を有するガスタービンにも制限なく適用できる。なお、シーケンシャル燃焼部を有するガスタービンは、例えばEP0718470から公知である。
【0047】
本発明の有利な実施形態を以下に図に即して説明する。ただし、図示の実施例は説明のためのものであって、本発明を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】従来技術による排気ガス再循環系を含むガスタービンパワープラントの概略図である。
【
図2】排気ガスを圧縮器流入口の静圧低減領域へ導入する排気ガス再循環系を含むガスタービンパワープラントの概略図である。
【
図3】排気ガスを圧縮器流入口の静圧低減領域へ導入するために分割された圧縮器流入口の斜視図である。
【
図4】圧縮器入力側上流の圧縮器流入口での圧力特性の詳細図である。
【
図5】分離要素を備えた圧縮器流入口の詳細図である。
【
図6】半径方向可変分離要素を備えた圧縮器流入口の詳細図である。
【
図7】軸方向可変分離要素を備えた圧縮器流入口の詳細図である。
【
図8】ガスタービン軸を中心として円形に配置された複数の送気ダクトを介して排気ガスを再循環させる圧縮器流入口を示す図である。
【0049】
図1には、排気ガス再循環系を含むガスタービンパワープラントの主要な要素の概略図が示されている。ガスタービン6は圧縮器1を含み、圧縮器1で圧縮された燃焼用空気が燃焼室4へ供給され、燃料5によって燃焼される。続いて、高温燃焼ガスがタービン7で膨張される。ついで、タービン7で形成された有効エネルギが、例えば同じ軸に配置された第1の発電機25によって、電気エネルギへ変換される。
【0050】
タービン7から出た高温排気ガス8は、残っているエネルギを最適に利用するために、廃熱回収ボイラHRSG9において、蒸気タービン13又は他のプラントに対する新蒸気30を形成するために用いられる。ついで、蒸気タービン13で形成された有効エネルギが、例えば同じ軸に配置された第2の発電機26によって、電気エネルギへ変換される。蒸気回路は説明のための簡略化した形態で示されている。種々の圧力段、送水ポンプ等は本発明の主題にとってはさほど重要ではないので、図示していない。
【0051】
廃熱回収ボイラ9からの排気ガス19は、プラント内の廃熱回収ボイラ9の下流で、排気ガス分流器29により、第1の排気ガス分流21と第2の排気ガス分流20とへ分流され、開ループ制御又は閉ループ制御可能となる。第1の排気ガス分流21はガスタービン6の吸気路へ戻され、そこで新鮮空気2と混合される。戻されなかった第2の排気ガス分流20は、周囲へ放出されるか、又は、この実施例でのように、排気ガス再冷器23を介して再冷却され、CO
2分離装置18へ供給される。CO
2分離装置18からの低CO
2排気ガス22は煙突32を介して周囲へ放出される。CO
2分離装置18及び排気ガス路での圧力損失を克服するために、排気ガスブロワ10を設けることもできる。CO
2分離装置18で分離されたCO
231は典型的には圧縮され、蓄積又は他の処理のために転流される。CO
2分離装置18には、蒸気タービン13から分岐している蒸気抽出路を介して、蒸気が供給される。
【0052】
また、第2の排気ガス分流20は、バイパスフラップ12を備えた排気ガスバイパス24を介して直接に煙突32へ導かれてもよい。
【0053】
戻された第1の排気ガス分流21は、コンデンサを含む排気ガス再冷器27において、周期温度を僅かに上回る程度まで冷却される。再循環流21に対するブースタ又は排気ガスブロワ11を排気ガス再冷器27の下流に配置することできる。戻された第1の排気ガス分流21は新鮮空気2と混合され、その後、当該混合気が吸気流として圧縮器流入口3を介してガスタービン6へ供給される。
【0054】
図2には、
図1と異なる、シーケンシャル燃焼部を有するガスタービンが示されている。本発明の方法は、燃焼室を有するガスタービンにもシーケンシャル燃焼部を有するガスタービンにも適用できる。相応に、本発明の方法の種々の実施形態も、燃焼室を有するガスタービン及びシーケンシャル燃焼部を有するガスタービンの双方に適用可能である。
【0055】
図2には、2つのセクタに分割された圧縮器流入口を含むガスタービンパワープラントの実施例が概略的に示されている。圧縮器流入口3の第1のセクタ3’には新鮮空気2に対するフィーダが設けられており、第2のセクタ3”には再循環される第1の排気ガス分流21に対するフィーダが設けられている。2つの流入口セクタ3’,3”は、圧縮器流入口3の圧縮器1に近い側で、圧縮器1のフローダクトに続いている。第2のセクタ3”は、圧縮器流入口3の所定の領域に達し、その領域では、ガスタービンの動作中に、流れが大きく加速されて、静圧が低減される。つまり、第1の排気ガス分流21によって再循環路及び排気ガス再冷器27での圧力損失が克服される程度に静圧が低減されるのである。
【0056】
低圧冷却ガス33及び中間圧冷却ガス34は圧縮器1から分岐されて、冷却のためにガスタービンの高温ガス部へ供給される。さらに、高圧冷却ガス28は、圧縮器の端部もしくは後続のディフューザの端部で分岐されて、冷却のためにガスタービンの高温ガス部へ供給される。
図2では、わかりやすくするために、高圧タービン16への高圧冷却ガス28の供給、並びに、低圧タービン17への低圧冷却ガス33及び中間圧冷却ガス34の供給のみが示されている。簡単化のために、燃焼室14,15への冷却ガスの供給は図示していない。典型的には、高圧燃焼室14は高圧冷却ガス28によって冷却され、低圧燃焼室15は中間圧冷却ガス34によって冷却される。
【0057】
ガスタービンの種々の動作状態において、再循環排気ガス21の成分が変化し、これに関連して圧縮器吸気量が変化する場合、圧縮器への流れの均等な速度特性を実現するために、
図2の実施例では、圧縮器流入口3の第2のセクタ3”を介して新鮮空気2を圧縮器1へ導入する前に、新鮮空気2と第1の排気ガス分流21とを混合する制御調整要素42が設けられている。
【0058】
図3には、排気ガスを圧縮器流入口の静圧低減領域へ導入するための、分割された圧縮器流入口3の概略図が示されている。新鮮空気2は、一方側から圧縮器3の第1のセクタ3’へ導入され、内部で所定方向に偏向され、さらなる偏向の後に、ガスタービン軸の方向で環状の出口領域を介して圧縮器1へ供給される。
【0059】
再循環される第1の排気ガス分流21は、圧縮器流入口3の所定平面まで、軸方向で、ただしガスタービンの主流方向に対して反対向きに導かれ、圧縮器流入口3の第2のセクタ3”内で偏向され、そして、ガスタービン軸の上方、ガスタービンへの入力側の上流の箇所から導入される。偏向の結果、再循環される第1の排気ガス分流21は、ガスタービン軸の高さ方向へ導かれ、さらなる偏向後に、環状の出口領域を介して圧縮器1へ供給される。2つのセクタ3’,3”は、低い静圧を有する領域に達する仕切り壁45によって区分されており、これにより再循環される第1の排気ガス分流21は圧縮器1へ吸引される。
【0060】
圧縮器流入口3における圧力特性が
図4に概略的に示されている。ここには、圧縮器入力側の上流の圧縮器流入口3の詳細が示されており、流れの加速により、流入圧p
1から圧縮器入力側圧p
3まで圧力が大幅に低下している。この実施例では、90%等圧線47が示されている。静圧は、流れの加速のために、当該90%等圧線47から全体圧の90%まで低下している。再循環される第1の排気ガス分流が当該等圧線より下流の圧縮器流入口3の領域へ導入される場合、周囲全体圧の10%を第1の排気ガス分流の輸送に利用できる。典型的には、圧縮器流入口へ排気ガスを戻すに当たって、5%の静圧低減を行えば充分である。圧力損失の小さい、大きな再循環路では、再循環される第1の排気ガス分流が分岐される際に排気系で生じうる過圧を考慮して、より小さな幅での静圧低減を行えば充分である。つまり、ガス導入は、静圧が全体圧の1%又は2%だけ低減された領域へ行えばよい。ただし、再循環される第1の排気ガス分流を圧縮器流入口の第2のセクタから流出させる際の所望の出口速度に応じて、静圧の大幅な低減、例えば全体圧の20%又は30%までの低減が必要となることもある。
【0061】
図5には、圧縮器の直接上流の圧縮器流入口3の詳細図が示されている。この図は、ガスタービン軸へ向かっては軸カバー38によって、外側へ向かっては圧縮器ハウジング40によって、区切られている。分離要素45は、新鮮空気を導入するための第1のセクタ3’と、再循環される第1の排気ガス分流を導入するための第2のセクタ3”とを分離している。図の流入部の第1のセクタ3’での新鮮空気圧p
2は、第2のセクタ3”での第1の排気ガス分流圧p
21よりも大きい。なお、これらの圧力p
2,p
21は双方とも圧縮器入力側の静圧p
3よりも著しく大きい。大きな初期圧力によって、新鮮空気は第1のセクタ3’において大きく加速されるので、分離要素45の端部での新鮮空気速度v
2は、第1の排気ガス分流速度v
21よりも大きくなる。これにより、せん断層50で分離されるせん断流が生じる。
【0062】
図6,
図7には、第1の再循環排気ガス流21を制御もしくは調整できるようにする可変分離要素49の実施例が示されている。典型的には、可変分離要素49を設ける実施形態では、圧縮器流入口3を2つのセクタ3’,3”へ分割する固定の仕切り壁45の一部のみが2つのセクタ3’,3”の出口領域において可変分離要素49によって置換もしくは補充される。
【0063】
図6には、半径方向可変分離要素49を有する圧縮器流入口3の概略図が示されている。当該可変分離要素49は固定の仕切り壁45に付属している。出口端部は半径方向で拡大又は縮小される。
【0064】
第1の再循環排気ガス流21を増大するには、可変分離要素49をガスタービン軸から半径方向で流れにしたがって押し広げて、第2のセクタ3”の出口面積を増大する。これにより、等しい流速に対して、第1の再循環排気ガス流21の大きな吸入流量を得ることができる。
【0065】
再循環される第1の排気ガス分流21を低減するには、可変分離要素49をガスタービン軸へ向かって半径方向で押し狭めることにより、第2のセクタ3”の出口面積を低減する。よって、等しい流速に対して、第1の再循環排気ガス流21の吸入流量を低減することができる。
【0066】
代替的な実施例として、
図7には、軸方向可変分離要素49を備えた圧縮器流入口3の概略図が示されている。
【0067】
再循環される第1の排気ガス分流21を増大するには、可変分離要素49を軸方向で流れにしたがう向きに(右方へ向かって)ずらす。これにより、第2のセクタ3”の出口は、高い流速と相応に低い静圧とを有する領域に位置することになる。
【0068】
再循環される第1の排気ガス分流21を低減するには、可変分離要素49を軸方向で流れと反対向きに(左方へ向かって)ずらす。これにより、第2のセクタ3”の出口は、低い流速と相応に高い静圧とを有する領域に位置する。
【0069】
図8には、再循環排気ガス21を別様に供給する代替実施例が示されている。第2のセクタ3”を介した別個の供給、すなわち、圧縮器流入口の金属プレートによって再循環排気ガス21が分離供給される形態に代えて、ここでは、分割されていない圧縮器流入口3が使用され、圧縮器流入口3の内壁に軸方向でリング状に配置された複数の送気ダクト39を介して、再循環排気ガス21が導入される。適切な送気ダクト39は、例えばパイプ及びパイプ接続部品から成り、その出口端部は圧縮器入力側へ向かう主流に対して平行に配向されている。図示の実施例では、パイプ接続部品は圧縮器1の流入ノズル(ベルマウス)へ達している。図示の実施例では、各パイプの各出口オリフィスの軸方向位置は調整可能である。この調整は、例えば、パイプをテレスコープ式に延長及び短縮することによって、又は、フレキシブルなパイプ接続部品を用いてパイプを変位させることによって、行われる。
【0070】
複数の送気ダクト39を有する形態は、圧縮器流入口3の分離要素である仕切り壁45が必要なくなるという利点を有する。これにより、動作中に新鮮空気2と再循環排気ガス流21との比を流入口の各セクタの面積比から独立に変更できるので、有利である。また、個々のパイプの変位は、可変の仕切り壁の変位に比べ、機械的に簡単に実現可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 圧縮器、 2 新鮮空気、 3 圧縮器流入口、 3’ 第1のセクタ:新鮮空気に対する流入領域、 3” 第2のセクタ:酸素低減ガスに対する流入領域、 4 燃焼室、 5 燃料、 6 ガスタービン、 7 タービン、 8 ガスタービンからの高温排気ガス、 9 廃熱回収ボイラHRSG、 10 第2の排気ガス分流に対する排気ガスブロワ(CO
2分離装置へ)、 11 第1の排気ガス分流に対する排気ガスブロワ(再循環路へ)、 12 バイパスフラップ又はバルブ、 13 蒸気タービン、 14 高圧燃焼室、 15 低圧燃焼室、 16 高圧タービン、 17 低圧タービン、 18 CO
2分離装置、 19 廃熱回収ボイラからの排気ガス、 20 第2の排気ガス分流(CO
2分離装置への排気ガス路)、 21 第1の排気ガス分流(再循環路)、 22 低CO
2排気ガス、 23 第2の排気ガス分流に対する排気ガス再冷器、 24 煙突への排気ガス、 25 第1の発電機、 26 第2の発電機、 27 第1の排気ガス分流に対する排気ガス再冷器、 28 高圧冷却ガス、 29 排気ガス分流器、 30 新蒸気、 31 分離されたCO
2、 32 煙突、 33 低圧冷却ガス、 34 中間圧冷却ガス、 35 ロータ冷却ガス、 36 圧縮器プレナム、 37 軸(ロータシャフト)、 38,46 軸カバー、 39 送気ダクト、 40 圧縮器ハウジング、 41 圧縮器抽出点、 42 制御調整要素、 43 圧縮器ガイドベーン、 44 圧縮器可動ブレード、 45 仕切り壁(流入ガイドプレート)、 47 90%等圧線、 48 ベアリング支持部、 49 可変分離要素、 50 せん断層、 p
1 流入圧、 p
2 新鮮空気圧、 p
21 第1の排気ガス分流圧、 p
3 圧縮器入力側圧、 v
2 新鮮空気速度、 v
21 第1の排気ガス分流速度