特許第5933780号(P5933780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933780
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】圧力センサモジュール
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/00 20060101AFI20160602BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
   G01L9/00 303P
   H01L29/84 B
   H01L29/84 A
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-46488(P2015-46488)
(22)【出願日】2015年3月9日
(62)【分割の表示】特願2014-502276(P2014-502276)の分割
【原出願日】2013年2月27日
(65)【公開番号】特開2015-135339(P2015-135339A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2015年4月8日
(31)【優先権主張番号】特願2012-40167(P2012-40167)
(32)【優先日】2012年2月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】冨田 道和
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−065663(JP,A)
【文献】 特開2011−254267(JP,A)
【文献】 実開昭57−173077(JP,U)
【文献】 特開2004−219402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 9/00
G01L 19/14
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力センサモジュールであって、
パッケージ基板と、
前記パッケージ基板に接合された蓋体と、
前記パッケージ基板及び前記蓋体により囲まれてなる内部空間に収容された、半導体圧力センサ素子及び前記半導体圧力センサ素子と機能的に接続された集積回路素子と、
前記内部空間と外部空間とを連通させる圧力導入孔と、
前記外部空間と前記内部空間との間に設けられ、前記圧力導入孔の孔軸が変曲して形成された光遮断部と、
を有し、
前記半導体圧力センサ素子及び前記集積回路素子は前記パッケージ基板上に設けられ、前記圧力導入孔は前記パッケージ基板の周縁部に設けられた凹部と前記蓋体の開口部に近い底部とによって形成され、
前記外部空間に連接した第一開口部の孔軸と前記内部空間に連接した第二開口部の孔軸とが変曲することによって、前記光遮断部が前記圧力導入孔に配置されている
ことを特徴とする圧力センサモジュール。
【請求項2】
請求項に記載の圧力センサモジュールであって、
前記パッケージ基板の前記周縁部に設けられた前記凹部は、平面視において、かぎ型形状に形成されている
ことを特徴とする圧力センサモジュール。
【請求項3】
請求項に記載の圧力センサモジュールであって、
前記圧力導入孔の内壁面が、黒色である
ことを特徴とする圧力センサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサモジュールに係る。より詳細には、半導体圧力センサ素子と、半導体圧力センサ素子と機能的に接続された集積回路素子とを実装してなる圧力センサモジュールに関する。
本願は、2012年2月27日に出願された特願2012−040167号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
半導体圧力センサ素子(以下、圧力センサ素子と記す)は、半導体基板に形成されたダ
イアフラムおよびピエゾ抵抗を利用して、シリコンなどの半導体基板上に生ずる圧力変化
を電圧信号に変換する機能を有するセンサ素子である。
圧力センサモジュールにおいては、圧力センサ素子又は圧力センサ素子と接続された駆
動回路素子等の半導体素子がパッケージ基板に搭載されて、これらの半導体素子が蓋体で
覆われている。蓋体には、外部の圧力変化をモジュールの内部へ導入するための圧力導入
孔が設けられている。
【0003】
携帯電話などの小型情報端末は、小さな筐体の限られた空間に多数のデバイスを高密度
に配置する必要がある。このような小型情報端末に搭載される圧力センサモジュールとし
て、振動特性の変化を抑制しながら薄型化を図った圧力センサモジュールが知られている
(特許文献1)。
【0004】
一方、携帯電話などの小型情報端末の筐体の内部には、液晶ディスプレイのバックライ
トとして、発光デバイス(LEDランプ等)が搭載されている。筐体内部の空間の制約か
ら、発光デバイスと圧力センサモジュールとを近接して筐体内部に配置する必要がある。
しかるに、圧力センサモジュールに近接配置された発光デバイスから出射された光が、
圧力導入孔を通じて圧力センサモジュールの内部空間に照射される場合がある。この発光
デバイスから出射された光が、圧力センサモジュール内に搭載された圧力センサ素子又は
駆動回路素子に照射された場合、これら素子の内部で光起電力が発生し、圧力センサ素子
の出力特性が変化したり、駆動回路素子が誤動作したりする虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−178133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述した事実に鑑みてなされたものであって、圧力センサモジュール内部への光の進入を抑制し、出力特性の変化又は誤動作を防止することができる圧力センサモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の第一態様の圧力センサモジュールは、基板と、前記基板に接合された蓋体と、前記基板及び前記蓋体により囲まれてなる内部空間に収容された、半導体圧力センサ素子及び前記半導体圧力センサ素子と機能的に接続された集積回路素子と、前記内部空間と外部空間とを連通させる圧力導入孔と、前記外部空間と前記内部空間との間に設けられ、前記圧力導入孔の孔軸が変曲して形成された光遮断部とを有する。前記半導体圧力センサ素子及び前記集積回路素子は、前記パッケージ基板上に設けられている。前記圧力導入孔は、前記パッケージ基板の周縁部に設けられた凹部と前記蓋体の開口部に近い底部とによって形成されている。前記外部空間に連接した第一開口部の孔軸と前記内部空間に連接した第二開口部の孔軸とが変曲することによって、前記光遮断部が前記圧力導入孔に配置されている。
【0008】
本発明の第一態様によれば、圧力導入孔が、前記外部空間と前記内間空間との間におい
て、前記圧力導入孔の孔軸が変曲して形成された光遮断部を有しているので、たとえ、圧
力導入孔の外部空間に連接した開口部に外部空間から開口を通して圧力センサモジュール
内への光の進入が抑制される。従って、圧力センサモジュール内に配置された圧力センサ
素子の出力特性が変化したり、集積回路素子が誤動作したりする不具合を抑制することが
できる。
【0009】
本発明の第一態様の圧力センサモジュールにおいては、前記パッケージ基板の前記周縁部に設けられた前記凹部が、平面視において、かぎ型形状に形成されていることが好ましい。
本発明の第一態様によれば、圧力導入孔をかぎ型形状に形成することにより、外部空間から内部空間内に異物が侵入しても、直接パッケージ基板上の半導体圧力センサ素子及び集積回路素子等に異物が到達しにくくなる。
【0015】
本発明の第一態様の圧力センサモジュールにおいては、前記圧力導入孔の内壁面が、黒
色であることが好ましい。
【0016】
本発明の第一態様によれば、圧力導入孔の内壁面が黒色であるために、たとえ、外部空
間から光が圧力センサモジュールの内部に入射したとしても内壁面における入射光の散乱
が抑制される。ゆえに、圧力センサモジュール内の圧力センサ素子の出力特性が変化した
り、集積回路素子が誤動作したりすることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第一態様に係る圧力センサモジュールによれば、圧力導入孔が圧力センサモジュールの内部空間に照射される光を遮断する構成として光遮断部を備えているので、圧力センサ素子の出力特性が変化したり、集積回路素子が誤動作したりすることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】本発明の第1実施形態に係る圧力センサモジュールの構成例1を模式的に示す縦断面図である。
図1B】本発明の第1実施形態に係る圧力センサモジュールの構成例1を模式的に示す横断面図である。
図2】ゲージ抵抗体の電気的な配置図である。
図3A】本発明の第1実施形態に係る圧力センサモジュールの構成例2を模式的に示す縦断面図である。
図3B】本発明の第1実施形態に係る圧力センサモジュールの構成例2を模式的に示す横断面図である。
図4A】本発明の第1実施形態に係る圧力センサモジュールの構成例3を模式的に示す縦断面図である。
図4B】本発明の第1実施形態に係る圧力センサモジュールの構成例3を模式的に示す横断面図である。
図5A】本発明の第2実施形態に係る圧力センサモジュールの構成例1を模式的に示す縦断面図である。
図5B】本発明の第2実施形態に係る圧力センサモジュールの構成例1を模式的に示す横断面図である。
図6A】本発明の第2実施形態に係る圧力センサモジュールの構成例2を模式的に示す縦断面図である。
図6B】本発明の第2実施形態に係る圧力センサモジュールの構成例2を模式的に示す横断面図である。
図7A】本発明の第1実施形態に係る圧力センサモジュールの構成例4を模式的に示す縦断面図である。
図7B】本発明の第1実施形態に係る圧力センサモジュールの構成例4を模式的に示すとともに、図7Aの符号Zの箇所を示す線分A−A'に沿う拡大断面図である。
図7C】本発明の第1実施形態に係る圧力センサモジュールの構成例4を模式的に示す横断面図である。
図8A】本発明の第3実施形態に係る圧力センサモジュールを構成する蓋体の内部を示す平面図である。
図8B】本発明の第3実施形態に係る圧力センサモジュールを構成する蓋体の内部を示すとともに図8Aの線分B−B'に沿う断面図である。
図8C】本発明の第3実施形態に係る圧力センサモジュールを構成する蓋体の外部を示す平面図である。
図9A】本発明の第3実施形態に係る圧力センサモジュールを構成する蓋体の内部の隅部を示す拡大平面図である。
図9B】本発明の第3実施形態に係る圧力センサモジュールを示す断面図である。
図10A】本発明の第3実施形態に係る圧力センサモジュールを構成する蓋体の変形例1の内部を示す拡大平面図である。
図10B】本発明の第3実施形態に係る圧力センサモジュールを構成する蓋体の変形例2の内部を示す拡大平面図である。
図10C】本発明の第3実施形態に係る圧力センサモジュールを構成する蓋体の変形例3の内部を示す拡大平面図である。
図10D】本発明の第3実施形態に係る圧力センサモジュールを構成する蓋体の変形例4の内部を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本
発明はこれらの実施形態に限定されない。
以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺
を適宜変更している。
【0021】
<第1実施形態>
(1)圧力センサモジュールの構成
以下、本発明に係る第1実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1A及び図1Bは、本実施形態に係る圧力センサモジュールの一構成例を示す模式図
であり、図1Aは縦断面図、図1Bは横断面図である。
圧力センサモジュール1Aは、パッケージ基板2と蓋体3とによって画成された内部空
間Cを有する。内部空間Cにおけるパッケージ基板2上に、圧力センサ素子10と、圧力
センサ素子10を駆動制御するための集積回路素子(信号処理IC)20とが配置されて
いる。内部空間Cは、圧力センサモジュール1Aの外部空間と圧力導入孔S1(S2)を
介して連通している。圧力導入孔S1(S2)は、パッケージ基板2の圧力センサ素子1
0及び圧力センサ素子10の駆動制御用の集積回路素子(信号処理IC)20が配置され
た領域を除いた領域に対向して配置されている。圧力導入孔S1(S2)は、前記外部空
間と前記内部空間との間において、前記圧力導入孔(連通孔、通気口)の孔軸が変曲して
形成された光遮断部R1(R2)を有している。
ここで、「圧力導入孔の孔軸が変曲」とは、圧力導入孔の延伸方向において、その方向
が直進以外の向きに変化することを意味する。言い換えれば、少なくとも2つの孔(第一
孔、第二孔)の接続によって圧力導入孔が構成されていると考えた場合、第一孔が延在す
る方向に延びる第一孔軸に対して第二孔が延在する方向に延びる第二孔軸が傾いているこ
とを意味する。すなわち、本発明における「変曲」には、屈曲又は湾曲する形態の他に、
蛇行又は逆行する形態も含まれる。
【0022】
(1.1)圧力センサ素子の構成
圧力センサモジュール1Aを構成する圧力センサ素子10は、平板状の半導体基板11
を基材とし、この半導体基板11の一面11aに圧力を検出する圧力検出部が形成されて
いる。半導体基板11の一面11aの中央域αにおいて、その板厚方向の内部に一面11
aと略平行して広がる空間12(圧力基準室)と、空間12の上部に位置する薄板化され
たダイアフラム13と、を備えている。
また、ダイアフラム13の外縁には複数のゲージ抵抗14が配置されている。圧力検出
部は、空間12(圧力基準室)、ダイアフラム13、ゲージ抵抗14によって構成されて
いる。
半導体基板11の一面11aにおいて、前記ダイアフラム13を除いた外縁域βには、
ゲージ抵抗14と電気的に接続された第1接続パッド16が配置されている。
【0023】
第1接続パッド16は複数配置されており、第1接続パッド16同士は、パッド間接続
線17を介して互いに接続されている。そのため、第1接続パッド同士は、ゲージ抵抗体
14及びパッド間接続線17を介して互いに接続された構造を有する。また、半導体基板
11の一面11aの第1接続パッド16を除いた領域には、絶縁層15が設けられ、ゲー
ジ抵抗体14の外気との接触を遮断し、ゲージ抵抗体14を汚染物質から保護している。
【0024】
半導体基板11の一面11aには、感圧素子である4つのゲージ抵抗体14(R1〜R
4)が配置されている。各ゲージ抵抗体14は、リード配線等(不図示)を介して、いわ
ゆるホイートストンブリッジ回路を構成するように互いが電気的に接続されている(図2
参照)。
【0025】
(1.2)パッケージ基板の構成
パッケージ基板2は、例えば、アルミナ(Al)等のセラミック材料、エポキシ
樹脂、又はポリイミド樹脂等の合成樹脂で形成されている。圧力センサ素子10とパッケ
ージ基板2とを電気的に接続する接続線19が固定される複数のボンディングパッド40
と、これらボンディングパッド40と電気的に接続されてパッケージ基板2を実装する際
に使用される外部接続電極45とが、パッケージ基板2に配置されている。なお、ボンデ
ィングパッド40と外部接続電極45は、例えば、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、
銅(Cu)、金(Au)等の金属材料を組み合わせた積層体として構成されている。
【0026】
パッケージ基板2の一面2aには、圧力センサ素子10と、圧力センサ素子10の駆動
制御用の集積回路素子(信号処理IC)20と、が接着剤からなる接着層30を介して配
置されている。接着剤には、例えば、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂等からなる接着剤
、又は銀(Ag)等の金属材料を用いることができる。
また、圧力センサ素子10の第1接続パッド16は、接続線18を介して圧力センサ素
子10の駆動制御用の集積回路素子(信号処理IC)20と電気的に接続されている。更
に、圧力センサ素子10の駆動制御用の集積回路素子(信号処理IC)20は、接続線1
9を介してボンディングパッド40と電気的に接続されている。接続は、例えば、金(A
u)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の金属配線を用いたワイヤボンディングで行
われるが、金(Au)又ははんだ材料等のバンプを用いたフリップチップ接続を用いるこ
ともできる。
【0027】
(1.3)蓋体の構成
蓋体3は、一端に位置する開口部と、他の一端に位置するとともに閉塞された上端壁部
3a及び側壁部3bと、開口部の周囲に位置する底部3cとを有する。底部3cは、パッ
ケージ基板2の一面2aと接着剤からなる接着層を介して貼り合わされている。すなわち
、蓋体3は、内部空間Cを介して圧力センサ素子10及び圧力センサ素子10の駆動制御
用の集積回路素子(信号処理IC)20を覆うように構成されている。接着剤には、例え
ば、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂等からなる接着剤、又は金属材料を用いることがで
きる。
蓋体3は、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイト(PPS)等の合成樹脂材料を
用いて、射出成形で形成することができる。また、蓋体3は、光不透過性材料を含有し、
しかも黒色の樹脂材料で形成されるのが望ましい。
【0028】
(1.4)圧力導入孔の構成
蓋体3の上端壁部3aには、圧力導入孔S1が形成され、内部空間Cは外部空間と連通
している。また、圧力導入孔S1は、図1Aに示すように、外部空間に連接した開口部S
1aの孔軸と、内部空間Cに連接した開口部S1bの孔軸とが変曲するように配置されて
いる。変曲された孔軸を有する圧力導入孔S1は、互いに断面L字状に向き合った形状を
有し、外部空間から入射する光を遮光する光遮断部R1を有して形成されている。また、
圧力導入孔S1の外部空間に連接した開口部S1aと内部空間Cに連接した開口部S1b
とは、それらを平面視した際に互いに重ならない位置に配置されている。更に、圧力導入
孔S1の内部空間Cに面した位置(開口部S1b)は、基板2の圧力センサ素子10及び
圧力センサ素子10の駆動制御用の集積回路素子(信号処理IC)20が配置された領域
を除いた領域に対向して配置されている。具体的には、内部空間Cに連接した開口部S1
bは、パッケージ基板2上に配置された圧力センサ素子10と、圧力センサ素子10の駆
動制御用の集積回路素子(信号処理IC)20とが配置された領域以外の領域に面して形
成されている。更に、開口部S1bは、ボンディングパッド40が配置された領域以外の
領域に面して配置されることが望ましい。このように開口部S1bを配置することにより
、たとえ圧力導入孔を通して内部空間C内に光が入射しても、圧力センサ素子10、集積
回路素子20、又はボンディングパッド40に照射されることがない。このため、圧力セ
ンサ素子の出力特性が変化したり、集積回路素子が誤動作したりすることを抑制すること
ができる。
【0029】
なお、圧力導入孔S1は、蓋体3の上端壁部3aに限られず、外部空間に連接した開口
部S1aの孔軸と、内部空間Cに連接した開口部S1bの孔軸とが変曲するように蓋体3
に配置されていればよい。例えば、図4A及び図4Bに示すように、圧力導入孔S1が、
圧力センサモジュールの側方部を構成する蓋体3の側壁部3bに形成される構成が採用さ
れてもよい。圧力導入孔S1が蓋体3の側壁部3bに形成されていれば、蓋体3の上端壁
部3a又はパッケージ基板2に圧力導入孔S1を形成する領域を設ける必要がない。その
ため、蓋体3又はパッケージ基板の平面方向のサイズを小さくし、その結果、圧力センサ
モジュール全体の小型化が実現し易くなる。また、圧力センサモジュールの側方部(蓋体
の側壁部)に形成された圧力導入孔S1を通して内部空間に光が入射したとしても、入射
した光によって主に照射される箇所は圧力センサ素子10又は集積回路素子20の側面で
あって、ダイアフラム又は感圧素子が形成された面には直接的に光は照射され難い。これ
により、圧力センサ素子10の特性変化又は集積回路素子20の誤動作を抑制することが
できる。
【0030】
図4A及び図4Bに示すように、圧力センサモジュールの側方部に配置された圧力導入
孔S1、すなわち、蓋体3の側壁部3bに配置される圧力導入孔S1においては、内部空
間Cに連接した開口部S1bが、内部空間Cに配置された圧力センサ素子10又は集積回
路素子20の機能面の位置よりも低い位置に形成されていることが好ましい(圧力センサ
モジュールの鉛直方向における位置関係)。これにより、たとえ圧力導入孔S1を通して
内部空間に光が入射したとしても、入射した光が直接に、圧力センサ素子10又は集積回
路素子20の機能面を照射する可能性が無くなる。
【0031】
特に、圧力センサモジュールの側方部に配置する圧力導入孔S1の構成例のうちでも、
図7A図7B,及び図7Cに示すように、蓋体3の側壁部3bの下端にのみ圧力導入孔
S1が形成された構成を採用することが好ましい。この構成では、側壁部3bの下端に対
向する位置に配置されたパッケージ基板2の上面は平坦であることがより好ましい。つま
り、図7Aの符号Zで示された部位であって線分A−A'における拡大断面図(点線で示
した円内に表示)である図7Bに示すように、蓋体3の下端に形成された圧力導入孔S1
の内壁が蓋体3(上面、側面)とパッケージ基板2(下面)とにより構成される。図7A
図7B,及び図7Cに示すような構成、すなわち、蓋体3の側壁部3bの下端に配置さ
れた圧力導入孔S1を有する構成を用いることにより、容易に蓋体3を射出成型法などで
形成することが可能なので、設計自由度に優れ、かつ、安価に製造できる圧力センサモジ
ュールを提供することができる。
【0032】
図1Aは、光遮断部R1の両端が変曲点となり、各変曲点から2つの開口部S1aとS
1bに向けて直線状に圧力導入孔S1が延設される構成例を示しているが、本発明はこの
構成例に限定されない。たとえば、孔軸が変曲すれば(変曲点を有していれば)、変曲点
が光遮断部を構成してもよい。この構成例としては、直線状に延設される圧力導入孔が所
望の角度で逆行する変曲点を成すような構成が挙げられる。また、1つの光遮断部が3箇
所以上の変曲点を備えて成る構成が採用されてもよい。この構成例としては、光遮断部が
蛇行することにより、複数の変曲点を含む構成例が挙げられる。
圧力導入孔S1は、射出成形等によって蓋体3と一体的に形成されている。特に、光不
透過性材料を含有する樹脂材料、例えば、黒色樹脂材料を用いることで、圧力導入孔S1
は黒色の光遮光部R1を有する蓋体3一部として形成されている。また、圧力導入孔S1
の内壁部は、例えば、黒色塗料を用いて塗装することによって、黒色とすることもできる
【0033】
また、圧力導入孔S2は、図3A及び図3Bに示すように、パッケージ基板2に設ける
こともできる。具体的には、圧力導入孔S2は、蓋体3に圧力導入孔を形成した場合と同
様に、パッケージ基板2の外部空間に連接した開口部S2aの孔軸と、内部空間Cに連接
した開口部S2bの孔軸とが変曲するように配置されている。変曲された孔軸を有する圧
力導入孔S2は、互いに断面L字状に向き合った形状を有し、外部空間から入射する光を
遮光する光遮断部R2を有して形成されている。更に、圧力導入孔S2の内部空間Cに連
接した開口部S2bは、パッケージ基板2の圧力センサ素子10及び圧力センサ素子10
の駆動制御用の集積回路素子(信号処理IC)20が配置された領域を除いた領域に配置
されている。
なお、圧力導入孔S2の内壁面は、例えば、黒色塗料を用いて、黒色とすることが望ま
しい。
【0034】
(2)作用・効果
本実施形態に係る圧力センサモジュール1Aにおいては、パッケージ基板2と、パッケ
ージ基板2と接合された蓋体3とで囲まれた内部空間Cに、圧力センサ素子10及び圧力
センサ素子10の駆動制御用の集積回路素子(信号処理IC)20が配置されている。内
部空間Cは、圧力センサモジュール1Aの外部空間と圧力導入孔S1(S2)を介して連
通している。圧力導入孔S1(S2)は、パッケージ基板2の圧力センサ素子10及び圧
力センサ素子10の駆動制御用の集積回路素子(信号処理IC)20が配置された領域を
除いた領域に対向して配置されている。また、外部空間と内部空間Cとの間に、外部空間
に連接した開口部S1a(S2a)の孔軸と、内部空間Cに連接した開口部S1b(S2
b)の孔軸とが変曲するように光遮断部R1(R2)が配置されている。光遮断部R1(
R2)は、外部空間から内部空間Cに圧力導入孔S1(S2)を通じて、光の到達が困難
なように形成されている。
【0035】
互いに断面L字状に向き合って形成された光遮断部R1(R2)が設けられているため
、圧力センサモジュール1Aに近接配置された発光デバイス(例えば、LED)から出射
された光が、圧力導入孔S1(S2)の外部空間に連接した開口部S1a(S2a)に入
射しても、内部空間Cに連接した開口部S1b(S2b)を通じて内部空間Cへの光の入
射は抑制される。
従って、圧力センサモジュール1A内の基板2に配置された圧力センサ素子10及び圧
力センサ素子10の駆動制御用の集積回路素子(信号処理IC)20に光が照射される虞
がない。また、外部空間から異物が侵入しても、直接パッケージ基板2上の圧力センサ素
子10及び圧力センサ素子10の駆動制御用の集積回路素子(信号処理IC)20等に異
物が到達しにくくなる。
また、圧力導入孔S1(S2)は、内壁面が黒であるために、外部空間から入射した光
の内壁面における入射光の散乱が抑制されるため、圧力センサ素子10及び圧力センサ素
子10の駆動制御用の集積回路素子(ASIC)20に光が照射される虞がない。
従って、圧力センサ素子10の出力特性が変化したり、圧力センサ素子10の駆動制御
用の集積回路素子(ASIC)20が誤動作したりする問題を解消することができる。
【0036】
<第2実施形態>
以下、本発明に係る第2実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、第2実施形
態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し
、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0037】
(1)圧力センサモジュールの構成
図5A及び図5Bは、本実施形態に係る圧力センサモジュール1Bの一構成例を示す模
式図であり、図5Aは縦断面図、図5Bは横断面図である。
圧力センサモジュール1Bは、パッケージ基板2と、蓋体3と、によって画成された内
部空間Cを有する。内部空間Cにおけるパッケージ基板2上に、圧力センサ素子10と、
圧力センサ素子10の駆動制御用の集積回路素子(信号処理IC)20とが配置されてい
る。内部空間Cは、圧力センサモジュール1Bの外部空間と圧力導入孔S3を介して連通
しているが、圧力導入孔S3が、パッケージ基板2と、蓋体3と、によって構成されてい
る点で第1実施形態と異なっている。
【0038】
(1.1)パッケージ基板の構成
パッケージ基板2は、第1実施形態と同様に、例えば、アルミナ(Al)等のセ
ラミック材料、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂等の合成樹脂で形成されている。圧力
センサ素子10とパッケージ基板2とを電気的に接続する金属線19の端部が固定される
複数のボンディングパッド40と、ボンディングパッド40と電気的に接続されてパッケ
ージ基板2を実装する際に使用される外部接続電極45とが、パッケージ基板2に配置さ
れている。なお、ボンディングパッド40と外部接続電極45は、例えば、ニッケル(N
i)、クロム(Cr)、銅(Cu)、金(Au)等の金属材料を組み合わせた積層体とし
て構成されている。
【0039】
パッケージ基板2の一面2aには、第1実施形態と同様に、圧力センサ素子10と、圧
力センサ素子10の駆動制御用の集積回路素子(信号処理IC)20と、が接着剤からな
る接着層30を介して配置されている。
パッケージ基板2の一面2aは、蓋体3の開口部に近い位置に設けられた底部3cと、
接着剤からなる接着層を介して貼り合わされている。一面2aの周縁部の一部において、
一面2a上に凹部2bが設けられている。凹部2bと蓋体3の開口部に近い底部3cとが
対向して配置され、圧力導入孔S3が形成されている。
圧力導入孔S3は、パッケージ基板2の周縁部に設けられた凹部2bと、蓋体3の開口
部に近い底部3cとで、外部空間に連接した開口部S3aの孔軸と、内部空間C側に連接
した開口部S3bの孔軸とが変曲して配置され、外部空間から内部空間が視認できないよ
うに形成された光遮断部R3を有している。
【0040】
(1.2)圧力導入孔の構成
本実施形態に係る圧力センサモジュール1Bの圧力導入孔S3は、圧力センサモジュー
ル1Bの上方および下方を除いた側方部に開口するように形成されている。具体的には、
パッケージ基板2の一面2aの周縁部の一部において、凹部2bが設けられ、蓋体3の開
口部に近い底部3cと対向するように凹部2bが形成されている。圧力導入孔S3の位置
は、パッケージ基板2の一面2aの周縁部で、蓋体3の開口部に近い底部3cと対向する
位置であれば、特に限定されない。また、圧力導入孔S3が複数設けられても良い。
なお、凹部2bの内壁面及び蓋体3の底部3cにおいて凹部2bと対向する面は、例え
ば、黒色塗料などを用いて塗装し、黒色とすることが望ましい。
【0041】
また、図6A及び図6Bは、圧力センサモジュールの側方部に形成された、上述した形
状とは異なる形状を有する圧力導入孔S3の例を示す。圧力導入孔S3を構成するパッケ
ージ基板2の凹部2bは、図6Bに示すように、平面視において、かぎ型形状に形成する
こともできる。圧力導入孔をかぎ型形状に形成することにより、外部空間から内部空間C
内に異物が侵入しても、直接パッケージ基板2上の圧力センサ素子10及び圧力センサ素
子10の駆動制御用の集積回路素子(信号処理IC)20等に異物が到達しにくくなる。
【0042】
(2)作用・効果
本実施形態に係る圧力センサモジュール1Bにおいては、パッケージ基板2と、パッケ
ージ基板2と接合された蓋体3とで囲まれた内部空間Cに、圧力センサ素子10及び圧力
センサ素子10の駆動制御用の集積回路素子(信号処理IC)20が配置されている。内
部空間Cは、圧力センサモジュール1Bの外部空間と、圧力センサモジュールの側方部に
形成された圧力導入孔S3を介して連通している。圧力導入孔S3は、パッケージ基板2
の一面2aの周縁部の一部において設けられた凹部2bと、蓋体3の開口部側の底部3c
と、で構成されている。
【0043】
圧力センサモジュール1Bに近接配置された発光デバイス(例えば、LED)から出射
された光が、圧力導入孔S3の外部空間に連接した開口部S3aに入射した場合、パッケ
ージ基板2の一面2aの周縁部の一部において設けられた凹部2bと、蓋体3の開口部に
近い底部3cと、で形成された光遮断部R3で入射光が遮断され、内部空間Cに連接した
開口部S3bを通じて内部空間Cへの光の入射が遮断される。
従って、圧力センサモジュール1B内の基板2に配置された圧力センサ素子10及び圧
力センサ素子10の駆動制御用の集積回路素子(信号処理IC)20に光が照射される虞
がない。また、外部空間から異物が侵入しても、直接パッケージ基板2上の圧力センサ素
子10及び圧力センサ素子10の駆動制御用の集積回路素子(信号処理IC)20等に異
物が到達しにくくなる。
【0044】
また、圧力導入孔S3の内壁面が黒色であるために、外部空間から入射した光の内壁面
における入射光の散乱が抑制される。このため、圧力センサ素子10及び圧力センサ素子
10の駆動制御用の集積回路素子(信号処理IC)20に光が照射される虞がない。
従って、圧力センサ素子10の出力特性が変化したり、圧力センサ素子10の駆動制御
用の集積回路素子(信号処理IC)20が誤動作したりする問題を解消することができる
【0045】
例えば、仕様によりゲージ抵抗体14の配置が変わっても良く、同様に、ボンディング
パッド40と外部接続電極45の配置に関しても、種々の変形例が考えられる。
【0046】
<第3実施形態>
上述した第1実施形態では、側壁部3bの内部に圧力導入孔が形成され、圧力導入孔の
孔軸が変曲され、互いに断面L字状に向き合った形状を有する光遮断部が設けられた構成
について説明した。
以下に、第3実施形態として、第1実施形態で説明した圧力導入孔及び光遮断部とは異
なる実施形態について説明する。第3実施形態においては、上述した第1実施形態及び第
2実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
【0047】
図8Aは、第3実施形態に係る圧力センサモジュールを構成する蓋体3の内部を示す平
面図である。
図8Aに示すように、圧力センサモジュールを構成する蓋体3においては、側壁部3b
の内部に圧力導入孔及び光遮断部が形成されておらず、側壁部に設けられた貫通孔及び突
起部によって圧力導入孔S4及び光遮断部R4が形成されている。具体的に、図8Aに示
すように、側壁部3bは、X方向に延在する側壁部3bx(第1側壁部)とY方向に延在
する側壁部3by(第2側壁部)とによって構成されている。
側壁部3bxには、パッケージ基板2と蓋体3とによって画成される内部空間Cと蓋体
3の外部空間とを連通する貫通孔50が設けられている。貫通孔50は、外部空間に連接
した貫通孔50の開口部50aと、内部空間Cに連接した貫通孔50の開口部50bとを
有する。また、側壁部3bxは、貫通孔50に露出している先端面3baと、先端面3b
aに隣接するとともにX方向に延在する側壁内面3bbとを有する。このため、貫通孔5
0は、側壁部3byの先端内面3bcと先端面3baとによって挟まれた空間であって、
Y方向に延在している。貫通孔50の幅は約200μmであることが好ましい。
【0048】
内部空間C内における側壁部3byには、側壁部3bxの延在方向に平行に延在する突
起部51(遮光壁部)が設けられている。突起部51は、側壁部3byから突出しており
、壁面51aを有する。壁面51aが開口部50b(貫通孔50)と側壁内面3bbとに
対向するように、突起部51は側壁部3byから突出している。即ち、突起部51は、貫
通孔50に対向する位置に設けられている。壁面51aと側壁内面3bbとで挟まれた空
間は、X方向に延在している。これにより、内部空間Cの内部のY方向において、貫通孔
50を覆うように突起部51が設けられ、かつ、壁面51aと側壁内面3bbとが重なる
ように、突起部51が側壁部3bから内部空間Cの内部に向けて突出している。側壁内面
3bb(開口部50b)と壁面51aとの距離Lは約200μmであることが好ましい。
また、突起部51の幅は、約200μmであることが好ましい。
【0049】
このような突起部51及び貫通孔50は、図8Aに示す蓋体3の隅部の近くに設けられ
ている。換言すると、突起部51及び貫通孔50は、側壁部3bが延長するようにX方向
に延在するX仮想線と、側壁部3byが延長するようにY方向に延在するY仮想線とが互
いに交差する位置の近くに設けられている。
隅部は、圧力センサ素子10及び集積回路素子20が配置される領域から離れた位置に
設けられているため、圧力導入孔S4及び光遮断部R4が設けられる位置としては好まし
い部位である。
【0050】
このように形成された壁面51aと側壁内面3bbとで挟まれた空間と、貫通孔50と
によって、圧力導入孔S4が構成されている。また、壁面51aと側壁内面3bbとで挟
まれた空間はX方向に延在し、貫通孔50はY方向に延在していることから、圧力導入孔
S4の孔軸は変曲しており、光遮断部R4が形成されている。
【0051】
上記のように、貫通孔50の幅、距離L、突起部51の幅を約200μmにすることで
、射出成型によって蓋体3を形成する際に加熱溶融された樹脂を容易に金型に流動させる
ことを可能にしつつ、所望形状を有する蓋体3を確実に形成することが可能となる。また
、突起部51の幅が200μm以上となるように突起部51を形成してもよいが、この幅
が大きすぎると、パッケージ基板2と蓋体3とによって画成された内部空間Cに配置され
る圧力センサ素子10及び集積回路素子20に干渉する恐れがある。このため、突起部5
1の幅は、圧力センサ素子10及び集積回路素子20の大きさや配置(レイアウト)に応
じて、内部空間Cに所望のスペースが形成されるように適宜決定される。
また、貫通孔50の幅及び距離Lを約200μm以上となるように蓋体3を形成しても
よいが、蓋体3の外部から内部に入射される光の光路の幅を小さくするために貫通孔50
の幅及び距離Lは、約200μmであることが好ましい。
なお、貫通孔50及び突起部51を含む蓋体3に設けられた部位は、蓋体3を形成する
際の射出成形によって一体に形成される。このため、複数の工程によって貫通孔50及び
突起部51を形成することなく、上記構成を有する蓋体3を容易に製造することができる
【0052】
図8Bは、第3実施形態の蓋体3の内部を示すとともに図8Aの線分B−B'に沿う断
面図である。図8Bに示すように、蓋体3の鉛直方向(Z方向)において、圧力導入孔S
4及び光遮断部R4が形成されている孔形成面60の位置P1と、底部3cの位置P2と
は異なっている。換言すると、上端壁部3aの位置P3と孔形成面60の位置P1との間
に、段差部61が設けられている。
このように孔形成面60と上端壁部3aとの間に段差部61を蓋体3内に形成すること
によって、図9Bで具体的に説明するように、貫通孔50の開口部50aに光が入射して
も、内部空間Cに配置された素子に光が到達しにくくなる。
なお、Z方向において、位置P1と位置P2との距離は、例えば、200μmである。
位置P2と位置P3との距離は、例えば、450μmである。
【0053】
図8Cは、第3実施形態に係る圧力センサモジュールを構成する蓋体3の外部を示す平
面図である。蓋体3の外面には、パッケージ基板2に対する相対的な蓋体3の配置方向を
容易に認識するために、アライメントマークAMが設けられている。アライメントマーク
AMは、蓋体3の外面に凹むように形成されている。
【0054】
次に、図9Aを参照し、図8Aに示された蓋体3の隅部の構造について、具体的に説明
する。
外部空間に連接した貫通孔50の開口部50a(外開口部)は、側壁部3byの先端内
面3bcと側壁部3byの先端外面3bdとが交差する点Wと、側壁部3bxの先端面3
baとの間に形成された、X方向に延在する領域である。圧力導入孔S4(内部空間)に
連接した貫通孔50の開口部50b(内開口部)は、側壁部3bxの先端面3baと側壁
部3bxの側壁内面3bbとが交差する点Vと、側壁部3byの先端内面3bcとの間に
形成された、X方向に延在する領域である。符号IMは、点Vと点Wを結ぶとともに、蓋
体3の外部空間から内部空間Cに向けて延在する仮想線である。仮想線は、貫通孔50の
中心線CLに交差し、かつ、貫通孔50の対角線(点Vと点Wを結ぶ線)に一致している
。特に、遮光壁部として機能する突起部51(壁面51a)を仮想線IMが横切るように
、即ち、壁面51aと仮想線IMとが交差するように、突起部51が側壁部3byから突
出している。
【0055】
このように仮想線IMが突起部51を横切るように、蓋体3の突起部51及び貫通孔5
0が構成されているので、仮想線IMに沿って貫通孔50を通じて外部空間から内部空間
C内に光が入射しても、突起部51の壁面51aによって光は遮蔽され、内部空間Cに配
置された素子に光が到達しにくくなる。
本実施形態では、側壁部3byから突起部51の先端までの長さが約450μmである
。また、貫通孔50の幅、側壁内面3bbと壁面51aとの距離Lは、上述したように約
200μmである。突起部51の壁面51aによって光を遮蔽できれば、これら幅及び距
離は、特に限定されない。
また、図9Aにおいては、先端外面3bd(点W)、先端面3ba(点V)、及び突起
部51の先端に略直角の角部が形成されているが、射出成形によって得られる角部の形状
は、必ずしも直角ではなく、丸みを有する角部が形成される場合もある。このため、射出
成形によって得られる寸法の誤差や形状のばらつきを考慮して、上述した幅及び距離は適
切に決定される。
【0056】
次に、上述した圧力導入孔S4及び光遮断部R4を備えた蓋体3が圧力センサモジュー
ルに接続された構造について説明する。
図9Bは、圧力導入孔S4及び光遮断部R4を備えた蓋体3と圧力センサモジュールと
を示す断面図である。
図9Bに示すように、圧力センサモジュール1Cは、パッケージ基板2と蓋体3とによ
って画成された内部空間Cを有する。蓋体3には、圧力導入孔S4及び光遮断部R4が形
成されている。内部空間Cにおけるパッケージ基板2上に、構造体Qが設けられている。
構造体Qとは、内部空間C内におけるパッケージ基板2上に配置されるセンサ、回路、パ
ッド等を含み、例えば、上述した実施形態の圧力センサ素子10、集積回路素子(信号処
理IC)20、ボンディングパッド40等を含む構造体である。構造体Qの上面(機能面
)Q1の位置P4は、パッケージ基板2から高さH2だけ離れている。ここで、上面Q1
の位置P4とは、内部空間Cに配置される圧力センサ素子10、集積回路素子(信号処理
IC)20、ボンディングパッド40等の中でも最も大きな高さを有する素子の上面の位
置を意味する。
図8Cを用いて述べたように、蓋体3には段差部61が設けられている。段差部61の
位置P1は、パッケージ基板2から高さH1だけ離れており、高さH1は高さH2より小
さい。即ち、段差部61は、上面Q1の位置P4よりも低い位置に形成されている。換言
すると、Z方向において、圧力導入孔S4と上面Q1とが離間している。
【0057】
このように段差部61を設けたことによって、貫通孔50の開口部50aに光が入射し
ても、圧力導入孔S4及び光遮断部R4によって光が遮断されるだけでなく、内部空間C
に配置された構造体Qの上面Q1に光が到達しにくくなる。このため、圧力センサモジュ
ール1Cの内部への光の進入が抑制され、圧力センサ素子の出力特性が変化したり、集積
回路素子が誤動作したりすることが抑制される。また、貫通孔50の開口部50aに光が
照射され、圧力導入孔S4及び光遮断部R4において入射光の散乱が生じても、散乱され
た光が到達する照射領域が狭くなり、上述した効果を相乗的に得ることができる。また、
圧力導入孔S4の内壁面を黒色にすることによって、光の散乱を抑制することができる。
【0058】
上述した第3実施形態においては、X方向に延在する側壁部3bxに貫通孔50が形成
され、Y方向に延在する側壁部3byに突起部51が形成された構成について説明したが
、側壁部3by(第1側壁部)に貫通孔50が形成され、側壁部3bx(第2側壁部)に
突起部51が形成された構成が採用されてもよい。
【0059】
次に、図10A図10Dの拡大平面図を参照し、第3実施形態に係る圧力センサモジ
ュールを構成する蓋体の変形例1〜4について述べる。変形例1〜4においては、上述し
た第3実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
【0060】
図10Aに示す変形例1では、側壁部3bxの先端面3baから側壁部3byの延在方
向に平行に延在する突起部51x(遮光壁部)が設けられている。また、側壁部3byに
は、突起部51xの先端に対向する壁面51aを有する突起部51y(遮光壁部)が設け
られている。突起部51yの構成は、上述した第3実施形態の突起部51と同じである。
即ち、変形例1では、側壁部3bx及び側壁部3byの両方に突起部が設けられている。
変形例1では、突起部51xと突起部51yとの間にY方向に延在する貫通孔50が設け
られている。壁面51aと側壁部3bxの先端とで挟まれた空間はX方向に延在している
。貫通孔50及びこの空間は、圧力導入孔S4であり、圧力導入孔S4の孔軸は変曲して
おり、即ち、光遮断部R4が形成されている。
また、貫通孔50及び突起部51yによって圧力導入孔S4が構成されている場合であ
っても、貫通孔50の対角線に一致する仮想線(図9A参照)は、突起部51yを横切っ
ている。
また、圧力導入孔S4は、孔形成面60上に形成されており、即ち、孔形成面60と上
端壁部3aとの間に段差部61が設けられている。
このような変形例1においても、上述した第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0061】
図10Bに示す変形例2では、第3実施形態の突起部51の長さよりも長い突起部51
y(遮光壁部)が設けられている。貫通孔50の構成は、第3実施形態と同様である。壁
面51aと側壁内面3bbとで挟まれた空間はX方向に延在している。貫通孔50及びこ
の空間は、圧力導入孔S4であり、圧力導入孔S4の孔軸は変曲しており、即ち、光遮断
部R4が形成されている。
また、貫通孔50及び突起部51yによって圧力導入孔S4が構成されている場合であ
っても、貫通孔50の対角線に一致する仮想線(図9A参照)は、突起部51yを横切っ
ている。
また、圧力導入孔S4は、孔形成面60上に形成されており、即ち、孔形成面60と上
端壁部3aとの間に段差部61が設けられている。
このような変形例2においても、上述した第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0062】
図10Cに示す変形例3では、側壁部3bxの先端面3baから離れた位置における側
壁内面3bbから突出し、側壁部3byの延在方向に平行に延在する突起部51x(遮光
壁部)が設けられている。また、側壁部3byには、突起部51xの先端に対向する壁面
51aを有する突起部51y(遮光壁部)が設けられている。突起部51yの構成は、上
述した第3実施形態の突起部51と同じである。即ち、変形例3では、側壁部3bx及び
側壁部3byの両方に突起部が設けられている。また、変形例3では、先端面3baと突
起部51yとの間にY方向に延在する貫通孔50が設けられている。壁面51aと側壁内
面3bbとで挟まれた第1空間はX方向に延在している。更に、突起部51yの先端51
cと、突起部51xの壁面51dとは対向しており、第2空間が形成されている。貫通孔
50,第1空間,及び第2空間は、圧力導入孔S4を構成している。圧力導入孔S4の孔
軸は変曲しており、即ち、光遮断部R4が形成されている。即ち、圧力導入孔S4及び光
遮断部R4は、逆S字状に形成されている。
また、貫通孔50及び突起部51y、51xによって圧力導入孔S4が構成されている
場合であっても、貫通孔50の対角線に一致する仮想線(図9A参照)は、突起部51y
、51xを横切っている。
また、圧力導入孔S4及び光遮断部R4は、孔形成面60上に形成されており、即ち、
孔形成面60と上端壁部3aとの間に段差部61が設けられている。
このような変形例3においても、上述した第3実施形態と同様の効果が得られる。上述
した変形例3では、逆S字状の平面パターンを有する圧力導入孔S4及び光遮断部R4に
ついて説明したが、S字又はL字のパターンが繰り返されたラビリンス構造によって圧力
導入孔S4及び光遮断部R4が構成されていてもよい。
【0063】
上述した第3実施形態及び変形例1〜3においては、蓋体3の隅部に圧力導入孔S4が
形成された構造を説明した。変形例4では、蓋体3の側壁部3に圧力導入孔S4が設けら
れた構成について説明する。
図10Dに示す変形例4では、側壁部3byの略中央部に、貫通孔50が形成されてい
る。また、内部空間C内において、貫通孔50に対向する位置であって、側壁部3byか
ら離れた位置に離間壁部70(遮光壁部)が設けられている。特に、離間壁部70は、貫
通孔50の開口部50bに対向する位置に、Y方向に延在するように直線状に形成されて
いる。離間壁部70は、上端壁部3aから突出するように(Z方向)蓋体3に設けられて
いる。また、変形例4では、貫通孔50は、X方向に延在するように設けられている。離
間壁部70の壁面70aと側壁部3byの側壁内面3bbとで挟まれた2つの空間はY方
向に延在している。貫通孔50及び2つの空間は、圧力導入孔S4を構成している。圧力
導入孔S4の孔軸は変曲しており、即ち、光遮断部R4が形成されている。即ち、圧力導
入孔S4及び光遮断部R4は、T字状に形成されている。
また、貫通孔50及び離間壁部70によって圧力導入孔S4が構成されている場合であ
っても、貫通孔50の対角線に一致する仮想線(図9A参照)は、離間壁部70を横切っ
ている。
また、圧力導入孔S4及び光遮断部R4は、孔形成面60上に形成されており、即ち、
孔形成面60と上端壁部3aとの間に段差部61が設けられている。
このような変形例4においても、上述した第3実施形態と同様の効果が得られる。なお
、変形例4では、貫通孔50が側壁部3byに設けられ、離間壁部70がY方向に延在し
ている構造について説明したが、貫通孔50が側壁部3bxに設けられ、離間壁部70が
X方向に延在している構造が採用されてもよい。
【0064】
また、変形例4では、側壁部3byの中央部に圧力導入孔S4及び光遮断部R4を設け
た場合について説明したが、内部空間Cの内部に配置される圧力センサ素子10及び集積
回路素子(信号処理IC)20がパッケージ基板2上に配置されるレイアウトに応じて、
4つの側壁部3bのいずれかの位置に貫通孔50が設けられる。
また、側壁部3bに圧力導入孔S4及び光遮断部R4を設けるスペースがない場合には
、第3実施形態又は変形例1〜3に述べた構造を採用することが好ましい。また、隅部に
貫通孔が形成され、隅部に形成された貫通孔に対応する位置に離間壁部が設けられてもよ
い。
即ち、圧力センサ素子10及び集積回路素子20の大きさや配置(レイアウト)に応じ
て、内部空間Cに所望のスペースが形成されるように、遮光壁部及び貫通孔の位置が適宜
決定される。
【0065】
本発明の好ましい実施形態を説明し、上記で説明してきたが、これらは本発明の例示的
なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追
加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことが
できる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではな
く、特許請求の範囲によって制限されている。
例えば、パッケージ基板2に圧力導入孔を設けた構造(例えば、図3A)と、遮光壁部
及び貫通孔を備えた蓋体構造とを組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、各種用途の圧力センサとして機能する圧力センサモジュール、及びそのよう
な圧力センサモジュールを搭載した電子デバイス及び電子機器に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1A、1B 圧力センサモジュール、2 基板(パッケージ基板)、3 蓋体、3b
側壁部、3bx 側壁部(第1側壁部)、3by 側壁部(第2側壁部)、10 半導体
圧力センサ素子、11 半導体基板、12 空間(圧力基準室)、13 ダイアフラム、
14 ゲージ抵抗体、15 絶縁層、16 第1接続パッド、17 パッド間接続線、2
0 集積回路素子(信号処理IC)、30 接着層、40 ボンディングパッド、45
外部接続電極、50 貫通孔、51、51x、51y 突起部(遮光壁部)、60 孔形
成面、61 段差部、70 離間壁部(遮光壁部)、C 内部空間、S1、S2、S3、
S4 圧力導入孔、S1a、S2b、S3c 開口部(圧力導入孔)、R1、R2、R3
、R4 光遮断部(圧力導入孔)。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D