特許第5933809号(P5933809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5933809複数グループトランスミッションを備える自動車ドライブトレイン装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933809
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】複数グループトランスミッションを備える自動車ドライブトレイン装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/04 20060101AFI20160602BHJP
   F16H 61/682 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
   F16H61/04
   F16H61/682
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-500782(P2015-500782)
(86)(22)【出願日】2013年1月30日
(65)【公表番号】特表2015-510995(P2015-510995A)
(43)【公表日】2015年4月13日
(86)【国際出願番号】EP2013000273
(87)【国際公開番号】WO2013139416
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2014年9月18日
(31)【優先権主張番号】102012005675.3
(32)【優先日】2012年3月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】ヘルトライン,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ウルマー,デビット
【審査官】 中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−219001(JP,A)
【文献】 実開平05−012250(JP,U)
【文献】 実開平06−022658(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0071274(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/04
F16H 61/682
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイングループ(11)、前記メイングループ(11)に前段接続された前段接続グループ(12)及び前記メイングループ(11)に後段接続された後段接続グループ(13)を有する複数グループトランスミッション(10)と、少なくともトランスミッションギチェンジ工程(15)において前記メイングループ(11)で目標ギに入れる前に前記前段接続グループ(12)及び/又は前記後段接続グループ(13)をニュートラルに切替えるように、且つ、前記トランスミッションギチェンジ工程(15)において前記前段接続グループ(12)及び/又は前記後段接続グループ(13)を前記メイングループ(11)の少なくとも部分的同期後に初めてニュートラルに切替えるように、設けられている制御及び/又は調整ユニット(14)と、を備える自動車ドライブトレイン装置であって、
前記トランスミッションギチェンジ工程(15)において前記前段接続グループ(12)がニュートラルに切り替えられた場合に前記後段接続グループ(13)を切替えるように、前記制御及び/又は調整ユニット(14)が設けられていることを特徴とする、自動車ドライブトレイン装置。
【請求項2】
前記トランスミッションギヤチェンジ工程(15)において前記前段接続グループ(12)及び/又は前記後段接続グループ(13)を、目標ギヤに入れる直前に初めてニュートラルに切替えるように、前記制御及び調整ユニット(14)が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の自動車ドライブトレイン装置。
【請求項3】
目標ギヤが、現在の走行方向とは逆向きのトランスミッションギヤであることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の自動車ドライブトレイン装置。
【請求項4】
前記トランスミッションギヤチェンジ工程(15)において前記前段接続グループ(12)及び/又は前記後段接続グループ(13)を前記メイングループ(11)の同期段階(17)の間にニュートラルに切替えるように、前記制御及び/又は調整ユニット(14)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の自動車ドライブトレイン装置。
【請求項5】
前記トランスミッションギヤチェンジ工程(15)において目標ギヤに入れた後にまず前記後段接続グループ(13)を、次いで前記前段接続グループ(12)を、目標ポジションへ切替えるように、前記制御及び/又は調整ユニット(14)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の自動車ドライブトレイン装置。
【請求項6】
前記トランスミッションギヤチェンジ工程(15)において前記メイングループ(11)がニュートラルに切替えられた場合に前記前段接続グループ(12)及び/又は前記後段接続グループ(13)をニュートラルに切替えるように、前記制御及び/又は調整ユニット(14)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の自動車ドライブトレイン装置。
【請求項7】
前記メイングループ(11)の同期のためにブレーキ−及び/又は駆動トルクを提供するように設けられている、同期ユニット(18)を更に備えることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の自動車ドライブトレイン装置。
【請求項8】
前記メイングループ(11)が非同期噛合クラッチトランスミッショングループとして構成されていることを特徴とする、請求項7記載の自動車ドライブトレイン装置。
【請求項9】
前記前段接続グループ(12)及び/又は前記後段接続グループ(13)が同期式に構成されていることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の自動車ドライブトレイン装置。
【請求項10】
少なくともトランスミッションギヤチェンジ工程(15)において、メイングループ(11)で目標ギヤに入れる前に前段接続グループ(12)及び/又は後段接続グループ(13)をニュートラルに切替える、自動車ドライブトレイン装置、特に請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の自動車ドライブトレイン装置の複数グループトランスミッション(10)のための切替方法であって、
前記トランスミッションギヤチェンジ工程(15)において前記メイングループ(11)の少なくとも部分的同期後に初めて前記前段接続グループ(12)及び/又は前記後段接続グループ(13)をニュートラルに切替えることを特徴とする、複数グループトランスミッション(10)のための切替方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載の自動車ドライブトレイン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、メイングループ、メイングループに前段接続された前段接続グループ及びメイングループに後段接続された後段接続グループを有する複数グループトランスミッションと、少なくともトランスミッションギヤチェンジ工程においてメイングループで目標ギヤに入れる前に前段接続グループ及び後段接続グループをニュートラルに切替えるように設けられている制御及び/又は調整ユニットと、を備える自動車ドライブトレイン装置は既に公知である。
当該分野の特許文献2から、同様に、メイングループ、メイングループに前段接続された前段接続グループ及びメイングループに後段接続された後段接続グループを有する複数グループトランスミッションと、少なくともトランスミッションギアチェンジ工程においてメイングループで目標ギアに入れる前に前段接続グループ及び後段接続グループをニュートラルに切替えるように設けられている制御及び/又は調整ユニットと、を備える自動車ドライブトレイン装置が公知である。更に、この文献には、トランスミッションギアチェンジ工程において前段接続グループ及び/又は後段接続グループをメイングループの少なくとも部分的同期後に初めてニュートラルに切替えるように、制御及び/又は調整ユニットが設けられていることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第1438525号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2037159号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、特に快適なシフト動作を高めることにある。この目的は、本発明により請求項1の特徴により達成される。他の実施形態は従属請求項より明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、メイングループ、メイングループに前段接続された前段接続グループ及び/又はメイングループに後段接続された後段接続グループを有する複数グループトランスミッションと、少なくともトランスミッションギヤチェンジ工程においてメイングループで目標ギヤに入れる前に前段接続グループ及び/又は後段接続グループをニュートラルに切替えるように設けられている制御及び/又は調整ユニットと、を備える自動車ドライブトレイン装置に関する。
【0006】
更に、トランスミッションギヤチェンジ工程において前段接続グループ及び/又は後段接続グループをメイングループの少なくとも部分的同期後に初めてニュートラルに切替えるように、制御及び/又は調整ユニットが設けられていることが提案される。このことにより、前段接続グループ及び/又は後段接続グループをニュートラルに切替えるための有利な時点が見出されえ、それによって目標ギヤに入れるための作用質量慣性モーメントを、特に有利に減少することができる。目標ギヤ、特に現在の走行方向とは逆向きのトランスミッションギヤに入れる際に少なくとも著しい快適さの損失なしに、同期すべきシャフト及び/又は構成部品の間の回転数差、特にメイングループのメインシャフトとカウンタシャフトとの間の回転数差が高められえ、このことにより、目標ギヤ、特に現在の走行方向とは逆向きのトランスミッションギヤに入れるための複数グループトランスミッションの同期が改善され、かつノッキング音及び/又はギヤ入れ衝撃が少なくとも減少されうる。このことにより、特に、現在の走行方向とは逆向きのトランスミッションギヤに入れること及び/又は現在の走行方向とは逆向きのトランスミッションギヤに切替えることが改善されうる。更に、歯対歯ポジションの確率が減少されうる。このことにより目標ギヤの快適なシフト動作及び顧客満足度が高められうる。
【0007】
「複数グループトランスミッション」とは、特に、1段、2段又は多段の個別トランスミッションの組合せから構成されているトランスミッションと解釈すべきである。「メイングループ」とは、特に、少なくとも1つの前進トランスミッションギヤ及び少なくとも1つの後進トランスミッションギヤの提供及び/又は調節のために設けられており、かつ/又は、互いに逆を向き、従って符号が異なっている少なくとも2つの調節可能な変速比を有する、個別トランスミッションと解釈すべきである。「後段接続グループ」とは、特に、ギヤ数を増加させるために少なくとも2つの異なる変速比を提供し、かつ/又はメイングループによって提供された高速及び低速トランスミッションギヤを提供するために設けられている、メイングループに後段接続されている個別トランスミッションと解釈すべきである。「前段接続グループ」とは、特に、ギヤ数を増加させるために少なくとも2つの異なる変速比を提供する、メイングループに前段接続されている個別トランスミッションと解釈すべきである。変速比は、好ましくは1であってもよい。「前段接続される」及び「後段接続される」とは、特に、動力伝達に関するものと解釈すべきであり、この動力伝達は、駆動装置によって駆動された駆動輪において、及び/又は、アクティブな駆動装置すなわち、好ましくは、複数グループトランスミッションに駆動技術的に連結され、駆動トルクを提供する駆動装置において、存在する。「制御及び/又は調整ユニット」とは、特に、少なくとも1つの制御装置を備える特定のユニットと解釈すべきである。「制御装置」とは、特に、プロセッサユニット、記憶ユニット、及び記憶ユニットに記憶されるオペレーションプログラムを備える、特定のユニットと解釈すべきである。原則的に、制御及び/又は調整ユニットは、好ましくは、特にCAN−BusシステムのようなBusシステムを介して互いに連絡するよう設けられている、互いに連結された複数の制御装置を有していてよい。「トランスミッションギヤチェンジ工程」とは、特に、現在入れられているトランスミッションギヤ、すなわち、好ましくは現状ギヤから始まり、走行する間に目標ギヤに切替えられる工程と解釈すべきであり、その際この工程は、有利には、自動車ドライブトレイン装置を有する自動車の運転手により及び/又は制御及び/又は調整ユニットにより発動される切替命令により、引き起こされる。「目標ギヤに入れる」とは、特に、メイングループ内での相応する目標ギヤに割り当てられた変速比を調節すること、及び/又は相応する目標ギヤのために設けられた、メイングループの全ての連結ユニット間に回転トルク伝達接続を確立すること、と解釈すべきである。好ましくは、目標ギヤに入れることは、メイングループによって行なわれる。「目標ギヤの切替」とは、特に、目標ギヤが入れられた場合の、自動車の駆動装置と駆動輪との間の回転トルク伝達接続を調節すること、と解釈すべきである。好ましくは、目標ギヤが切替えられる工程は、目標ギヤが入れられる工程を含む。目標ギヤの切替は、好ましくは現状ギヤを外すこと、相応する目標ギヤに入れること、及び引き続き駆動装置と駆動輪との間の回転トルク伝達接続を確立するためにスターティングクラッチを閉じることを含む。
【0008】
「ニュートラルに切替えられた前段接続グループ」とは、特に、トルク伝達が前段接続グループにより妨げられている前段接続グループの作動状態と解釈すべきであり、その際、前段接続グループは、そのために好ましくは、定められたニュートラルポジションを有するか又はトルク伝達が妨げられているポジションへと運ばれうる。ニュートラルに切替えられた前段接続グループにおいて、メイングループは、好ましくは、トランスミッションインプットシャフトから駆動技術的に連結解除されている。「ニュートラルに切替えられた後段接続グループ」とは、特に、トルク伝達が後段接続グループにより妨げられている後段接続グループの作動状態と解釈すべきであり、その際、後段接続グループは、そのために好ましくは、定められたニュートラルポジションを有するか又はトルク伝達が妨げられているポジションへと運ばれうる。ニュートラルに切替えられた後段接続グループにおいて、メイングループは、好ましくは、トランスミッションアウトプットシャフトから駆動技術的に連結解除されている。「メイングループの少なくとも部分的同期後に切替える」とは、特に、メイングループが少なくとも部分的に同期された場合の、及び/又はメイングループの同期段階の開始後の、切替と解釈すべきであり、その際、同期及び/又は同期段階は、好ましくは、既に完了していてもよい。「メイングループの同期」とは、特に、メイングループの少なくとも2つの同期すべきシャフト、好ましくはメインシャフトとカウンタシャフト、及び/又は構成部品、好ましくは噛合部との間の回転数適合と解釈すべきである。好ましくは、制御及び/又は調整ユニットは、前段接続グループ及び/又は後段接続グループのニュートラル切替を、メイングループが少なくとも部分的に同期される時点まで遅らせる。「現在の進行方向とは逆向きのトランスミッションギヤ」とは、特に、目標ギヤを要求する際に切替えられる現状ギヤが設けられている進行方向とは逆方向を向いている進行方向のために設けられている、目標ギヤと解釈すべきである。好ましくは、現在の進行方向とは逆向きのトランスミッションギヤとして構成された目標ギヤは、前進トランスミッションギヤが入れられている場合、従って前進走行の際には後進トランスミッションギヤとして、かつ後進トランスミッションギヤに入れられている場合、従って後進走行の際には前進トランスミッションギヤとして構成されている。「前進トランスミッションギヤ」という概念は、原則的に、複数グループトランスミッションにより切替えることが可能な全ての前進トランスミッションギヤ、特に前進走行のために設けられた発進トランスミッションギヤ、従っていわゆる1速前進トランスミッションギヤを含む。「後進トランスミッションギヤ」という概念は、原則的に、複数グループトランスミッションにより切替えることが可能な全ての後進トランスミッションギヤ、特に後進走行のために設けられた発進トランスミッションギヤを含む。「現在の進行方向」とは、特に、トランスミッションギヤチェンジ工程を開始する際に、従って目標ギヤの切替命令及び/又は要求の際に、自動車が動く進行方向と解釈すべきである。「設けられている」とは、特に、特別にプログラムされ、設計され、装備され、構成されかつ/又は配置されていることと解釈すべきである。
【0009】
本発明により、トランスミッションギヤチェンジ工程において前段接続グループがニュートラルに切替えられた場合に後段接続グループをニュートラルに切替えるように、制御及び/又は調整ユニットが設けられていることが提案される。これにより、後段接続グループを切替える際の質量慣性モーメントが減少されえ、その際、同時にメイントランスミッションまたはメイングループが切替えられる。好ましくは、制御及び/又は調整ユニットは、前段接続グループがニュートラルに切替えられた場合に目標ギヤに入れた後、後段接続グループをその目標ポジションへと切替える
【0010】
更に提案されるのは、制御及び/又は調整ユニットが、トランスミッションギヤチェンジ工程において目標ギヤに入れる直前に初めて前段接続グループ及び/又は後段接続グループを切替えるように、設けられていることである。このことにより、前段接続グループ及び/又は後段接続グループを特に有利な時点でニュートラルに切替えることができる。好ましくは、制御及び/又は調整ユニットは、前段接続グループ及び/又は後段接続グループのニュートラル切替を、目標ギヤに入れる直前まで遅らせる。「目標ギヤに入れる直前」とは、目標ギヤに入れる前の、特に、最大0.5秒、有利には最大0.2秒及び特に有利には最大0.1秒と解釈すべきである。メイングループで目標ギヤに入れること及び前段接続グループ及び/又は後段接続グループのニュートラル切替は、好ましくは、最大0.5秒、有利には最大0.2秒及び特に有利には最大0.1秒の時間枠内にある
【0011】
更に提案されるのは、トランスミッションギヤチェンジ工程において前段接続グループ及び/又は後段接続グループをメイングループの同期段階の間にニュートラルに切替えるように、制御及び/又は調整ユニットが設けられていることであり、このことにより、目標ギヤは特に迅速に切替えられうる。「同期段階」とは、特に、目標ギヤに入れるためにメイングループが同期されるトランスミッションギヤチェンジ工程における段階と解釈すべきである。制御及び/又は調整ユニットは、同期段階の終了直前又は終了時に前段接続グループ及び/又は後段接続グループをニュートラルに切替えることが好ましい。原則的に、制御及び/又は調整ユニットは、同期段階の直後に初めて、前段接続グループ及び/又は後段接続グループをニュートラルに切替えることができる
【0012】
更に有利であるのは、トランスミッションギヤチェンジ工程において目標ギヤに入れた後に、まず後段接続グループを、次いで前段接続グループを、目標ポジションへ切替えるように、制御及び/又は調整ユニットが設けられている場合である。このことにより、特に有利なトランスミッションギヤチェンジ工程が提供されうる。「後段接続グループの目標ポジション」とは、特に、後段接続グループによってトルクが伝達される後段接続グループの切替ポジションと解釈すべきである。「前段接続グループの目標ポジション」とは、特に、前段接続グループによってトルクが伝達される前段接続グループの切替ポジションと解釈すべきである。
【0013】
更に有利であるのは、トランスミッションギヤチェンジ工程においてメイングループがニュートラルに切替えられた場合に前段接続グループ及び/又は後段接続グループをニュートラルに切替えるように、制御及び/又は調整ユニットが設けられている場合である。このことによって、トランスミッションギヤチェンジ工程は更に改善されうる。「ニュートラルに切替えられたメイングループ」とは、特に、メイングループ内に入れられたトランスミッションギヤが無いことと解釈すべきである。制御及び/又は調整ユニットは、有利には、トランスミッションギヤが外された時に及び/又は現状ギヤを外した後に、前段接続グループ及び/又は後段接続グループをニュートラルに切替える。
【0014】
更に有利であるのは、メイングループの同期のためにブレーキ及び/又は駆動トルクを提供するように設けられている同期ユニットを自動車ドライブトレイン装置が有する場合であり、このことにより、メイングループは特に有利に同期されうる。有利には、制御及び/又は調整ユニットは、メイングループの同期のために同期ユニットを制御する。好ましくは、制御及び/又は調整ユニットは、同期ユニットの制御中に前段接続グループ及び/又は後段接続グループをニュートラルに切替える。「同期ユニットの制御」とは、特に、ゼロより大きいブレーキ及び/又は駆動トルクを調節することと解釈すべきである。
【0015】
特に好ましくは、メイングループは非同期噛合クラッチトランスミッショングループとして構成されている。このことにより、低コストな複数グループトランスミッションが提供されうる。「噛合クラッチトランスミッショングループ」とは、特に、相応する変速比を調節するために、噛合クラッチ及び/又は噛合ブレーキとして構成された連結ユニットを有する個別トランスミッションと解釈すべきである。メイングループは、有利には、トランスミッションギヤに入れるために、好ましくはスライドスリーブによって開閉される非同期式の、すなわち同期要素の無い、形状結合性の噛合クラッチを有する。
【0016】
更に有利であるのは、前段接続グループ及び/又は後段接続グループが同期式に構成されている場合であり、このことにより、快適なシフト動作が更に高められうる。「同期式に構成された前段接続グループ」とは、特に、相応する変速比の調節のために、好ましくはスライドスリーブによって開閉される同期式の、すなわち同期要素を有する、形状結合性の連結ユニット、好ましくは噛合クラッチを有する前段接続グループと解釈すべきである。「同期式に構成された後段接続グループ」とは、特に、相応する変速比の調節のために、好ましくはスライドスリーブによって開閉される同期式の、すなわち同期要素を有する、形状結合性の連結ユニット、好ましくは噛合クラッチを有する後段接続グループと解釈すべきである。
【0017】
更に、自動車ドライブトレイン装置、特に本発明に係る自動車ドライブトレイン装置の複数グループトランスミッションのための切替方法が提案され、この方法において、少なくともトランスミッションギヤチェンジ工程においてメイングループで目標ギヤに入れる前に前段接続グループ及び/又は後段接続グループをニュートラルに切替え、その際、トランスミッションギヤチェンジ工程においてメイングループの少なくとも部分的同期後に初めて前段接続グループ及び/又は後段接続グループをニュートラルに切替える。このことにより、慣性質量モーメントは目標ギヤに入れるために有利に減少されうる。
【0018】
更なる利点は、以下の図面の説明から明らかになる。図中には、本発明の一実施形態が示されている。図、明細書及び特許請求の範囲は、多くの特徴を組み合わせて有している。当業者は、有利に個々の特徴を考慮し、意義のある更なる組み合わせへとまとめるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】複数グループトランスミッションを備える自動車ドライブトレイン装置を模式的に示す図である。
図2】走行時に前進ギヤから後進ギヤへギヤチェンジする際の、測定された切替曲線を示す図である。
図3図2によるトランスミッションギヤチェンジの際の、基本的な切替曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、自動車ドライブトレイン装置を備える図示しない自動車の、自動車ドライブトレインを示す。より複数のトランスミッションギヤを調節するために、自動車ドライブトレイン装置は複数グループトランスミッション10を有する。複数グループトランスミッション10は、16トランスミッションギヤを提供する。駆動トルクを提供するために、自動車ドライブトレインは駆動装置19を有する。駆動装置19は、自動車ドライブトレイン装置に前段接続されている。更に、自動車ドライブトレインは、図示しない駆動輪を有する。駆動装置19は、内燃機関として構成されている。自動車は、貨物自動車として構成されている。複数グループトランスミッション10は、貨物自動車トランスミッションとして構成されている。複数グループトランスミッション10は、オートマチックトランスミッションとして構成されている。原則的に、複数グループトランスミッション10は、当業者に有効と認められている異なる数のトランスミッションギヤを提供することもできる。
【0021】
複数グループトランスミッション10へ駆動トルクを入力するために、自動車ドライブトレイン装置は駆動シャフト20を有する。駆動シャフト20は、複数グループトランスミッション10と駆動装置19とを連結する。トランスミッション総変速比により変速された駆動トルクを出力するために、自動車ドライブトレイン装置はトランスミッションアウトプットシャフト21を有する。トランスミッションアウトプットシャフト21は、図示しないアスクルトランスミッションを介して、複数グループトランスミッション10と駆動輪とを連結する。現在の走行方向を識別し所望の走行方向に合わせるために、自動車ドライブトレイン装置は、回転方向検出を伴う回転速度センサ22を有する。回転数センサ22は、トランスミッションアウトプットシャフト21に配置されている。回転数センサ22は、トランスミッションアウトプットシャフト21の回転数及び回転方向を検出する。
【0022】
駆動装置19と複数グループトランスミッション10との間の駆動連結を確立および解除するために、自動車ドライブトレイン装置はスターティングクラッチ23を有する。スターティングクラッチ23は多板クラッチとして構成されている。スターティングクラッチ23は、解放状態と閉鎖状態とを有する。解放状態で、スターティングクラッチ23には圧力がかかっていない。スターティングクラッチ23の解放状態で、駆動装置19と複数グループトランスミッション10との間の駆動連結は解除されている。このことにより駆動装置19から複数グループトランスミッション10へ駆動トルクは伝達されえない。閉鎖状態で、スターティングクラッチ23には圧力がかけられている。スターティングクラッチ23の閉鎖状態で、駆動装置19と複数グループトランスミッション10との間の駆動連結は確立されている。駆動トルクは、駆動装置19により複数グループトランスミッション10へと入力されうる。駆動装置19は、スターティングクラッチ23に前段接続されている。
【0023】
複数グループトランスミッション10は、メイングループ11、前段接続グループ12、及び後段接続グループ13を有する。前段接続グループ12はメイングループ11に前段接続されている。後段接続グループ13は、メイングループ11に後段接続されている。メイングループ11は、4つの異なる前進トランスミッションギヤと1つの後進トランスミッションギヤを提供する。メイングループ11は、カウンタシャフト24を包含する。カウンタシャフト24は、駆動シャフト20と平行に配置されている。メイングループ11は、駆動シャフト20と同軸に配置されているメインシャフト25を有する。メイングループ11は、メイントランスミッションとして構成されている。メインシャフト25は、トランスミッションアウトプットシャフト21と同軸に配置されている。メイングループ11は、駆動輪に前段接続されている。メイングループ11はカウンタシャフト構造で実施されている。
【0024】
前段接続グループ12は、駆動シャフト20と同軸に配置されているトランスミッションインプットシャフト26を有する。トランスミッションインプットシャフト26は、複数グループトランスミッション10をスターティングクラッチ23に連結する。前段接続グループ12は、カウンタシャフト24を介してメイングループ11に連結可能である。前段接続グループ12は、スターティングクラッチ23に後段接続されている。トランスミッションインプットシャフト26とカウンタシャフト24との協動をもたらすために、前段接続グループ12は、2つの異なった歯車ペア27、28を含む。歯車ペア27、28は、異なる変速比を有する。歯車ペア27は、トランスミッションインプットシャフト26上に回転可能に配置された中間歯車29及びカウンタシャフト24上に回転不能に配置された固定歯車30を有する。歯車ペア28は、メインシャフト25上に回転可能に配置された中間歯車31及びカウンタシャフト24上に回転不能に配置された固定歯車32を有する。前段接続グループ12は、2つの前段接続グループ変速比を提供する。前段接続グループ12は、駆動装置19の回転数を変速する。前段接続グループ12は、駆動装置19の回転数を選択的に高速又は低速へと変速する。前段接続グループ12はスプリッタグループとして構成されている。
【0025】
前段接続グループ12は3つの切替ポジションを有する。前段接続グループ12は、ハイポジション、ローポジション及びニュートラルポジションを有する。ハイポジションにおいて、前段接続グループ12は、2つの前段接続グループ変速比のうち小さい方を調節する。ハイポジションにおいて、前段接続グループ12は駆動装置19の回転数を高速へと変速する。ローポジションにおいて、前段接続グループ12は、2つの前段接続グループ変速比のうち大きい方を調節する。ローポジションにおいて、前段接続グループ12は駆動装置19の回転数を低速へと変速する。ニュートラルポジションにおいて、前段接続グループ12は、メイングループ11への駆動トルクの伝達を妨げる。ニュートラルポジションにおいて、前段接続グループ12は、メイングループ11とトランスミッションインプットシャフト26とを駆動技術的に互いに分離する。ニュートラルポジションにおいて、前段接続グループ12は、トランスミッションインプットシャフト26をカウンタシャフト24から駆動技術的に分離する。ニュートラルポジションにおいて、前段接続グループ12は、トランスミッションインプットシャフト26をカウンタシャフト24から連結解除する。
【0026】
前段接続グループ変速比の調節及び変更、従って前段接続グループ12の切替えのために、前段接続グループ12は前段接続グループ−切替ユニット33を有する。前段接続グループ−切替ユニット33は連結ユニットを有し、この連結ユニットは、相応する歯車ペア27、28を介するトランスミッションインプットシャフト26とカウンタシャフト24との間の回転トルク伝達接続を確立するために設けられている。前段接続グループ12は、同期式に構成されている。前段接続グループ12は、同期式に切替え可能である。このために、前段接続グループ−切替ユニット33は、ここでは図示しない同期要素を有する。連結ユニットは同期噛合クラッチとして構成されている。
【0027】
ハイポジション、ローポジション及びニュートラルポジションそれぞれに切替えるために、前段接続グループ−切替ユニット33は、第1切替ポジション、第2切替ポジション及びニュートラルポジションを有する。第1切替ポジションにおいて、前段接続グループ−切替ユニット33は、中間歯車29とトランスミッションインプットシャフト26とを回転不能に連結する。第1切替ポジションにおいて、前段接続グループ−切替ユニット33は、歯車ペア27を介して、トランスミッションインプットシャフト26とカウンタシャフト24とを回転トルク伝達的に連結する。第2切替ポジションにおいて、前段接続グループ−切替ユニット33は、中間歯車31とトランスミッションインプットシャフト26とを回転不能に連結する。第2切替ポジションにおいて、前段接続グループ−切替ユニット33は、トランスミッションインプットシャフト26とカウンタシャフト24とを歯車ペア28を介して回転トルク伝達的に連結する。ニュートラルポジションにおいて、中間歯車29、31のどちらもトランスミッションインプットシャフト26と連結されておらず、それにより前段接続グループ12のトルクはカウンタシャフト24に伝達されえない。前段接続グループ12を切替えるために、前段接続グループ−切替ユニット33は、切替スリーブ34を有する。切替スリーブ34は、トランスミッションインプットシャフト26に関して軸方向にスライド可能である。前段接続グループ−切替ユニット33は、圧力制御されている。前段接続グループ12は、ニューマチック式に切替可能である。原則的に、前段接続グループ12は、油圧又は電気機械的に切替可能に構成されていてもよい。
【0028】
メインシャフト25とカウンタシャフト24との協動をもたらすために、メイングループ11は4つの異なった歯車ペア35、36、37、38を含む。歯車ペア35、36、37、38は、異なる変速比を有する。歯車ペア35は、メインシャフト25上に回転可能に配置された中間歯車39とカウンタシャフト24上に回転不能に配置された固定歯車40とを有する。歯車ペア36は、メインシャフト25上に回転可能に配置された中間歯車41とカウンタシャフト24上に回転不能に配置された固定歯車42とを有する。歯車ペア37は、メインシャフト25上に回転可能に配置された中間歯車43とカウンタシャフト24上に回転不能に配置された固定歯車44とを有する。歯車ペア38は、メインシャフト25上に回転可能に配置された中間歯車45、カウンタシャフト24上に回転不能に配置された固定歯車46及び反転歯車47を有し、後進トランスミッションギヤの形成のために設けられている。
【0029】
メイングループ変速比の調節及び変更、従ってメイングループ11の切替のために、メイングループ11は、3つのメイングループ−切替ユニット48、49、50を有する。2つのメイングループ−切替ユニット48、49は前進トランスミッションギヤに入れるために設けられており、メイングループ−切替ユニット50は後進トランスミッションギヤに入れるために設けられている。メイングループ−切替ユニット48、49は、それぞれ2つの切替ポジション及び1つのニュートラルポジションを有する。メイングループ−切替ユニット50は、1つの切替ポジションと1つのニュートラルポジションを有する。
【0030】
メイングループ−切替ユニット48、49、50はそれぞれ連結ユニットを有し、この連結ユニットは、相応する歯車ペア35、36、37、38を介してメインシャフト25とカウンタシャフト24との間の回転トルク伝達接続を確立するために設けられている。メイングループ−切替ユニット48、49、50はそれぞれ非同期式である。連結ユニットは、非同期噛合クラッチとして構成されている。メイングループ11は、非同期噛合クラッチトランスミッショングループとして構成されている。メイングループ11を切替えるために、メイングループ−切替ユニット48、49、50のそれぞれは、切替スリーブ51、52、53のそれぞれを有する。その際、切替スリーブ51はメイングループ−切替ユニット48に、切替スリーブ52はメイングループ−切替ユニット49に、切替スリーブ53はメイングループ−切替ユニット50に割り当てられている。切替スリーブ51、52、53は、それぞれ、メインシャフト25に関して軸方向にスライド可能である。メイングループ−切替ユニット48、49、50は、それぞれ、圧力制御されている。メイングループ11は、ニューマチック式に切替可能である。原則的に、メイングループ11は、油圧又は電気機械的に切替可能に構成されていてもよい。
【0031】
後段接続グループ13は遊星歯車構造で実施されている。後段接続グループ13は、太陽歯車54、遊星歯車支持体55及びリング歯車56を有する。遊星歯車支持体55上には、回転可能に設置された遊星歯車57、58が配置されており、これらの遊星歯車57、58は太陽歯車54ともリング歯車56とも噛合う。後段接続グループ13の駆動のために、太陽歯車54は、メイングループ11のメインシャフト25と回転不能に連結されている。駆動は、遊星歯車支持体55を介して行われる。遊星歯車支持体55はトランスミッションアウトプットシャフト21と回転不能に連結されている。リング歯車56は、後段接続グループ変速比の提供のために設けられている。後段接続グループ13は、2つの後段接続グループ変速比を提供する。後段接続グループ13は、メイングループ11内で入れられたトランスミッションギヤを変速する。後段接続グループ13は、メイングループ11内で入れられたトランスミッションギヤを選択的に高速又は低速へと変速する。後段接続グループ13は、レンジグループとして構成されている。後段接続グループ13は、領域グループとして構成されている。
【0032】
後段接続グループ13は3つの切替ポジションを有する。後段接続グループ13は、ハイポジション、ローポジション及びニュートラルポジションを有する。ハイポジションにおいて、後段接続グループ13は、2つの後段接続グループ変速比のうち小さい方を調節する。ハイポジションにおいて、後段接続グループ13は、メイングループ11内で入れられたトランスミッションギヤを高速へと変速する。ローポジションにおいて、後段接続グループ13は、2つの後段接続グループのうち大きい方を調節する。ローポジションにおいて、後段接続グループ13は、メイングループ11内で入れられたトランスミッションギヤを低速へと変速する。ニュートラルポジションにおいて、後段接続グループ13は、トランスミッションアウトプットシャフト21への駆動トルクの伝達を妨げる。ニュートラルポジションにおいて、後段接続グループ13は、メインクループ11とトランスミッションアウトプットシャフト21とを駆動技術的に分離する。ニュートラルポジションにおいて、後段接続グループ13は、メインシャフト25をトランスミッションアウトプットシャフト21から駆動技術的に分離する。ニュートラルポジションにおいて、後段接続グループ13は、メインシャフト25をトランスミッションアウトプットシャフト21から連結解除する。ハイポジションにおいて、後段接続グループ13は1の後段接続グループ変速比を有する。ローポジションにおいて、後段接続グループ13は4.4の後段接続グループ変速比を有する。
【0033】
後段接続グループ変速比の調節及び変更、従って後段接続グループ13の切替えのために、後段接続グループ13は、後段接続グループ−切替ユニット59を有する。ハイポジション、ローポジション及びニュートラルポジションの切替えのために、後段接続グループ−切替ユニット59は、第1切替ポジション、第2切替ポジション及びニュートラルポジションを有する。第1切替ポジションにおいて、後段接続グループ−切替ユニット59は、リング歯車56とトランスミッションケース60とを回転不能に連結する。第2切替ポジションにおいて、後段接続グループ−切替ユニット59は、リング歯車56とトランスミッションアウトプットシャフト21とを回転不能に連結する。第2切替ポジションにおいて、太陽歯車54は、遊星歯車支持体55と同じ速度で回転する。第2切替ポジションにおいて、後段接続グループ13はハイポジションに切替えられている。したがって、トランスミッションアウトプットシャフト21はメインシャフト25と同じ回転数を有する。ニュートラルポジションにおいて、リング歯車56は自由に回転可能であり、後段接続グループ13のトルクはトランスミッションアウトプットシャフト21に伝達されえない。
【0034】
後段接続グループ13は、同期式に構成されている。後段接続グループ13は、同期式に切替え可能である。後段接続グループ−切替ユニット59は、図示しない同期要素を有する。後段接続グループ13の切替えのために、後段接続グループ−切替ユニット59は切替エレメント61を有する。切替エレメント61は、トランスミッションアウトプットシャフト21に関して軸方向にスライド可能である。後段接続グループ−切替ユニット59は、圧力制御されている。後段接続グループ13は、ニューマチック式に切替可能である。原則的に、後段接続グループ13は、油圧又は電気機械的に切替可能に構成されていてもよい。原則的に、後段接続グループ13はカウンタシャフト構造でも実施可能である。
【0035】
切替スリーブ34、51、52、53及び切替エレメント61を軸方向へ動かし、それによってメイングループ11、前段接続グループ12及び後段接続グループ13を切替えるために、自動車ドライブトレイン装置は、作動ユニット62を有する。作動ユニット62は、圧力制御されている。作動ユニット62は、5つの切替ロッド63、64、65、66、67を有する。切替ロッド63は切替スリーブ34を、切替ロッド64は切替スリーブ51を、切替ロッド65は切替スリーブ52を、切替ロッド66は切替スリーブ53を、切替ロッド67は切替エレメント61を動かす。切替ロッド63、64、65、66、67を圧力制御により動かすために、作動ユニット62は、図示しない5つの作動アクチュエータを有し、それぞれの作動アクチュエータは、切替ロッド63、64、65、66、67のそれぞれを動かすために設けられている。作動アクチュエータは、ニューマチック式作動アクチュエータとして構成されている。原則的に、作動ユニット62は、当業者に有効と認められている異なる数の作動アクチュエータを有していてもよい。
【0036】
前段接続グループ12、メイングループ11及び後段接続グループ13を用いて、異なる変速比を有する16種類の異なる前進トランスミッションギヤが切替可能である。メイングループ11内で4つの異なる前進トランスミッションギヤに入れかつ前段接続グループ12内で駆動装置19の回転数を変速することにより、8つの前進トランスミッションギヤが提供される。後段接続される後段接続グループ13により、使用できる前進トランスミッションギヤの数は二倍にされる。後段接続グループ13をハイポジションへ切替えることにより、第1の8つの前進トランスミッションギヤが提供される。後段接続グループ13をローポジションへ切替えることにより、「9」〜「16」の前進トランスミッションギヤが生じる。前段接続グループ12、メイングループ11及び後段接続グループ13によって、更に、異なる変速比を備える2つの異なる後進トランスミッションギヤが切替可能である。メイングループ11内で後進トランスミッションギヤに入れかつ前段接続グループ12内で駆動装置19の回転数を変速することにより、2つの後進トランスミッションギヤが提供される。後進トランスミッションギヤは、後段接続グループ13がハイポジションに切替えられている場合にのみ有効である。
【0037】
複数グループトランスミッション10は、更に同期ユニット18を有し、この同期ユニット18はメイングループ11の同期のためにブレーキトルクを提供する。この同期ユニット18はカウンタシャフト24の同期のために設けられている。同期ユニット18は、カウンタシャフト24の回転数をメインシャフト25の回転数に適合させるために、ブレーキトルクを調節する。同期ユニット18は、カウンタシャフト24に配置されている。同期ユニット18は、カウンタシャフト24に制動をかけるために設けられている。同期ユニット18は、カウンタシャフト24に作用するブレーキトルクを生成させるために設けられている。同期ユニット18は、ニューマチック式に作動可能である。同期ユニット18は、機械的シャフトブレーキとして構成されている。同期ユニット18は、カウンタシャフトブレーキとして構成されている。原則的に、同期ユニット18は、メイングループ11を同期するために、二者選択的に又は付加的に駆動トルクも提供するようにしてもよい。更に原則的に、同期ユニット18は、油圧又は電気機械的にも作動可能である。
【0038】
トランスミッション総変速比の調節及び変更、従って前段接続グループ12、メイングループ11及び後段接続グループ13の切替えのために、自動車ドライブトレイン装置は制御及び調整ユニット14を有する。制御及び調整ユニット14は、駆動装置19、作動ユニット62、スターティングクラッチ23、同期ユニット18及び回転数センサ22と通信可能に連結している。トランスミッションギヤを切替えるために、制御及び調整ユニット14は、トランスミッションギヤチェンジ工程15において前段接続グループ12、メイングループ11及び/又は後段接続グループ13を相応して切替え、かつメイングループ11の同期のために同期ユニット18を制御する。
【0039】
走行中に自動車の運転手が、現在の切替えられたトランスミッションギヤ、すなわち現状ギヤから始めて目標ギヤを要求する際に、制御及び調整ユニット14が切替命令68を発動し、そのことにより目標ギヤが切替えられるトランスミッションギヤチェンジ工程15が引き起こされる(図2及び図3参照)。その際、制御及び調整ユニット14は、トランスミッションギヤチェンジ工程15においてメイングループ11で要求された目標ギヤに入れる前に前段接続グループ12をニュートラルに切替える。制御及び調整ユニット14は、要求された目標ギヤに入れる前に前段接続グループ12をニュートラルポジションに切替える。制御及び調整ユニット14は、メイングループ11において要求された目標ギヤに入れる前に前段接続グループ12をニュートラルポジションに切替える。制御及び調整ユニット14は、メイングループ11において要求された目標ギヤに入れる前に、前段接続グループ12によって、トランスミッションインプットシャフト26とカウンタシャフト24との間の回転トルク伝達接続を解除する。更に、制御及び調整ユニット14は、前段接続グループ−切替ユニット33を作動するために、相応する作動アクチュエータを制御する。原則的に、定められたニュートラルポジションが前段接続グループ12に無いことが考えられ、その場合、前段接続グループ12を、ローポジションでもハイポジションでもなく、従って中立に切替えられているポジションへと切替えることができる。
【0040】
制御及び調整ユニット14は、切替命令68に関して、前段接続グループ12のニュートラル切替を時間的にずらす。切替命令68と、前段接続グループ12がニュートラルに切替えられる時点とは、時間的に互いにずれている。制御及び調整ユニット14は、トランスミッションギヤチェンジ工程15において、メイングループ11が少なくとも部分的に同期されるまで前段グループ12のニュートラル切替を遅らせる。制御及び調整ユニット14は、メイングループ11の部分的同期後に初めて前段接続グループ12をニュートラルに切替える。制御及び調整ユニット14は、メイングループ11が部分的に同期されている場合に初めて前段接続グループ12をニュートラルポジションに切替える。制御及び調整ユニット14は、トランスミッションギヤチェンジ工程15において、メイングループ11の同期段階17の間に前段接続グループ12をニュートラルに切替える。制御及び調整ユニット14は、同期ユニット18の制御によってメイングループ11を同期する間に、前段接続グループ12をニュートラルに切替える。制御及び調整ユニット14は、同期段階17内で前段接続グループ12をニュートラルポジションに切替える。同期段階17において、カウンタシャフト24とメインシャフト25とが互いに同期される。
【0041】
制御及び調整ユニット14は、トランスミッションギヤチェンジ工程15において、要求された目標ギヤに入れる直前まで、前段接続グループ12のニュートラル切替を遅らせる。制御及び調整ユニット14は、要求された目標ギヤに入れる直前に初めて、前段接続グループ12をニュートラルポジションに切替える。制御及び調整ユニット14は、トランスミッションギヤチェンジ工程15において前段接続グループ12を、目標ギヤに入れる直前に初めてニュートラルに切替える。制御及び調整ユニット14は、同期段階17の終了時に、前段接続グループ12をニュートラルに切替える。この実施形態において、制御及び調整ユニット14は、目標ギヤに入れる約0.1秒前に前段接続グループ12をニュートラルポジションに切替える。
【0042】
制御及び調整ユニット14は、メイングループ11がニュートラルに切替えられた場合にトランスミッションギヤチェンジ工程15において前段接続グループ12をニュートラルに切替える。制御及び調整ユニット14は、現状ギヤを外した場合に前段接続グループ12をニュートラルに切替える。制御及び調整ユニット14は、現状ギヤを外した後かつ目標ギヤに入れる前に、前段接続グループ12をニュートラルに切替える。全てのメイングループ−切替ユニット48、49、50がニュートラルポジションに切替えられている場合に初めて、制御及び調整ユニット14は、前段接続グループ12をニュートラルポジションに切替える。
【0043】
後段接続グループ13の切替えの際の質量慣性モーメントを減少するために、制御及び調整ユニット14は、前段接続グループ12がニュートラルに切替えられた場合に後段接続グループ13を目標ポジションへと切替える。制御及び調整ユニット14は、トランスミッションギヤチェンジ工程15において、前段接続グループ12をニュートラルに切替えた後に、後段接続グループ13をその目標ポジションへ切替える。制御及び調整ユニット14は、前段接続グループ12がニュートラルポジションに切替えられた場合に、後段接続グループ13をその目標ポジションへ切替える。制御及び調整ユニット14は、要求された目標ギヤに入れた後に、後段接続グループ13をその目標ポジションへ切替える。トランスミッションギヤチェンジ工程15において、制御及び調整ユニット14は、目標ギヤが入れられた場合及び前段接続グループ12がニュートラルに切替えられた場合に、後段接続グループ13をその目標ポジションへと切替える。
【0044】
後段接続グループ13をその目標ポジションへ切替えた後に、制御及び調整ユニット14は、トランスミッションギヤチェンジ工程15において、前段接続グループ12を目標ポジションへ切替える。制御及び調整ユニット14は、トランスミッションギヤチェンジ工程15において、要求された目標ギヤが入れられかつ後段接続グループ13がその目標ポジションに切替えられた後に初めて、ニュートラルに切替えられた前段接続グループ12をその目標ポジションへと切替える。制御及び調整ユニット14は、トランスミッションギヤチェンジ工程15において、目標ギヤに入れた後に、まず後段接続グループ13を、次いでニュートラルに切替えられた前段接続グループ12を、それらの目標ポジションへと切替える。
【0045】
図2及び図3には、トランスミッションギヤチェンジ工程15が示されている。トランスミッションギヤチェンジ工程15において、現在の走行方向とは逆向きにトランスミッションギヤが切替えられる。目標ギヤは、現在の走行方向とは逆向きのトランスミッションギヤとして構成されている。図2及び図3には、前進走行時の、前進トランスミッションギヤから後進トランスミッションギヤへのトランスミッションギヤチェンジが示されている。図2及び図3において示されたトランスミッションギヤチェンジ工程15において、現在の走行方向は前進走行方向として構成されていて、現在入れられているトランスミッションギヤ、従って現状ギヤは前進トランスミッションギヤとして構成されており、かつ現在の走行方向とは逆向きのトランスミッションギヤ、従って走行時につまり直接切替えられる目標ギヤは、後進トランスミッションギヤとして構成されている。
【0046】
図2には、トランスミッションギヤチェンジ工程15の間の測定された切替曲線が示されている。図2には、トランスミッションギヤチェンジ工程15の間の、カウンタシャフト24の回転数曲線69と、メインシャフト25の回転数曲線70とがプロットされている。更に、図2では、メイングループ11の切替状態72、73、74を説明する曲線71がプロットされており、切替状態72はメイングループ11内で入れられた現状ギヤに相応し、切替状態73はメイングループ11内で入れられた目標ギヤに相応し、切替状態74はメイングループ11がニュートラルに切替えられているメイングループ11のニュートラルポジションに相応する。図2でプロットされた曲線75は前段接続グループ12の切替状態76、77を説明しており、切替状態76は前段接続グループ12のニュートラルポジションに相応し、切替状態77は前段接続グループ12のローポジションに相応する。更に、図2には、後段接続グループ13の切替状態79、80を説明する曲線78がプロットされており、切替状態79は後段接続グループ13のハイポジションに相応し、切替状態80は後段接続グループ13のローポジションに相応する。
【0047】
図3には、トランスミッションギヤチェンジ工程15の基本的な切替曲線が示されている。図3には、トランスミッションギヤチェンジ工程15の間のカウンタシャフト24の回転数曲線81及びメインシャフト25の回転数予定曲線82がプロットされている。回転数予定曲線82は、メイングループ11の予定変速比で変速されたメインシャフト25の回転数曲線を示しており、予定変速比は、目標ギヤに割り当てられかつ従って切替わるべき変速比を示す。更に、図3には、メイングループ11の切替状態84、85を説明する曲線83がプロットされており、切替状態84はメイングループ11内で入れられたトランスミッションギヤに相応し、切替状態85はメイングループ11がニュートラルに切替えられているメイングループ11のニュートラルポジションに相応する。図3にプロットされた曲線86は、前段接続グループ12の切替状態87、88を説明しており、切替状態87は前段接続グループ12のニュートラルポジションに相応し、切替状態88は前段接続グループ12のローポジションに相応する。更に、図3には、後段接続グループ13の切替状態90、91を説明する曲線89がプロットされており、切替状態90は後段接続グループ13のローポジションに相応し、切替状態91は後段接続グループ13のハイポジションに相応する。
【0048】
次に、トランスミッションギヤチェンジ工程15を、図2及び図3を参照して説明する。前進トランスミッションギヤが切替えられている前進回転する自動車から開始して、自動車の運転手は、セレクタレバーを用いて、後進トランスミッションギヤ、従って現在の進行方向とは逆向きのトランスミッションギヤとして構成された目標ギヤを要求する。運転手は、走行時にセレクタレバーを前進走行シフト「D」から開始して後進走行シフト「R」へと操作する。運転手は進行方向転換を要求する。それにより、制御及び調整ユニット14が切替命令68を発動し、そのことにより目標ギヤを切替えるトランスミッションギヤチェンジ工程15が引き起こされる。図3によれば、切替命令68の前には、カウンタシャフト24の回転数曲線81及びメインシャフト25の回転数予定曲線82は同じ符号を示しており、これは、カウンタシャフト24とメインシャフト25とが現状ギヤ、従って前進トランスミッションギヤに適切な回転方向を有するからである。切替命令68によって、メインシャフト25の予定回転方向が変わるが、これは、後進トランスミッションギヤが要求されたからである。このことにより、回転数予定曲線82の符号が変わるが、これは、メインシャフト25が後進トランスミッションギヤとはまだ異なる回転方向を有するからである。
【0049】
切替命令68の後に、制御及び調整ユニット14は、スターティングクラッチ23を開き、かつ前進トランスミッションギヤとして構成された現状ギヤから外すためにメイングループ11を切替える。曲線71、83から明白なように、制御及び調整ユニット14は、外し段階92において現状ギヤを外し、かつそれによりメイングループ11をニュートラルに切替える。外し段階92は、トランスミッションギヤチェンジ工程15内に配置されている。引き続き、制御及び調整ユニット14はメイングループ11の同期のために後段接続グループ13を切替える。制御及び調整ユニット14は、メインシャフト25の回転数減少のために後段接続グループ13を切替える。曲線78、89から明白なように、制御及び調整ユニット14は、後段接続グループ13をローポジションからハイポジションへと切替える。制御及び調整ユニット14は、メイングループ11の同期のために、現状ギヤから外したのちに後段接続グループ13をハイポジションへと切替える。制御及び調整ユニット14は、同期段階17で、後段接続グループ13を切替える。同期段階17は、トランスミッションギヤチェンジ工程15内に含まれている。同期段階17内で、メイングループ11はニュートラルに切替えられる。同期段階17の間、メイングループ11内のトランスミッションギヤは入れられていない。後段接続グループ13のハイポジションへの切替えによって、メインシャフト25は、後段接続グループ13によって制動され、それによってカウンタシャフト24と同期する。
【0050】
付加的に、カウンタシャフト24は、同期段階17の間、同期ユニット18によってゼロに制動される。このために、制御及び調整ユニット14は、同期ユニット18を同期段階17内で制御する。メイングループ11は、同期段階17の間に、後段接続グループ13及び同期ユニット18によって同期される。同期段階17の間、制御及び調整ユニット14は前段接続グループ12を制御する。後進トランスミッションギヤとして構成された目標ギヤに入れる前に、制御及び調整ユニット14は、同期段階17の間に前段接続グループ12をニュートラルに切替える。前段接続グループ12は、目標ギヤに入れる前の同期段階17の間にニュートラルに切替えられる。制御及び調整ユニット14は、メイングループ11が部分的に同期された際に初めて前段接続グループ12を切替える。制御及び調整ユニット14は、同期段階17の終了の前に、従って目標ギヤに入れる前に、前段接続グループ12をニュートラルに、従ってニュートラルポジションへと切替える。前段接続グループ12は、メイングループ11の部分的同期後に初めてニュートラルに切替えられる。前段接続グループ12は、目標ギヤに入れる直前に初めてニュートラルに切替えられる。カウンタシャフト24のゼロへの制動及び後段接続グループ13のハイポジションへの完全な切替えにより、同期段階17は終了する。
【0051】
同期段階17の後に、制御及び調整ユニット14は、目標ギヤに入れるために、メイングループ11を切替える。前段接続グループ12をニュートラルに切替えた後に初めて、目標ギヤが入れられる。曲線71、83から明白なように、制御及び調整ユニット14は、入れ段階93において目標ギヤに入れる。入れ段階93は、トランスミッションギヤチェンジ工程15内に含まれている。同期段階17は、トランスミッションギヤチェンジ工程15に沿って、外し段階92と入れ段階93との間に配置されている。制御及び調整ユニット14は、前段接続グループ12がニュートラルに切替えられた場合かつ後段接続グループ13がハイポジションに切替えられた場合に、目標ギヤに入れる。入れ段階93の間、前段接続グループ12はニュートラルポジションに、後段接続グループ13はハイポジションに、切替えられている。後進トランスミッションギヤとして構成されている目標ギヤに入れた後に、カウンタシャフト24は回転方向反転を受け、このことにより回転数曲線81の符号は変わる。
【0052】
入れ段階93後に、従って目標ギヤに入れた後に、制御及び調整ユニット14は後段接続グループ13をその目標ポジションへ切替える。制御及び調整ユニット14は、目標ギヤに入れた後に後段接続グループ13を元へ切替える。曲線75、89から明白なように、制御及び調整ユニット14は、切替段階94において、後段接続グループ13をハイポジションから再びローポジションへと切替える。制御及び調整ユニット14は、目標ギヤの切替えのために、後段接続グループ13をその目標ポジションへと切替える。切替段階94は、トランスミッションギヤチェンジ工程15内に含まれている。切替段階94の間、前段接続グループ12はニュートラルに切替えられており、目標ギヤはメイングループ11内で入れられている。後段接続グループ13は、前段接続グループ12がニュートラルに切替えられかつ目標ギヤが入れられた際に、目標ポジションへと切替えられる。
【0053】
後段接続グループ13の目標ポジションへの切替後に、制御及び調整ユニット14は、前段接続グループ12をその目標ポジションへと切替える。制御及び調整ユニット14は、後段接続グループ13の切替後に前段接続グループ12を元へ切替える。制御及び調整ユニット14は、後段接続グループ13が目標ポジションへ切替えられた切替段階94後に、前段接続グループ12をニュートラルポジションからローポジションへと切替える。後段接続グループ13が切替えられた後に初めて前段接続グループ12はその目標ポジションへ切替えられる。目標ギヤに入れた後に、まず後段接続グループ13が、次いでニュートラルに切替えられた前段接続グループ12が、それぞれの目標ポジションへと切替えられる。後段接続グループ13のその目標ポジションへの切替え及び前段接続グループ12のその目標ポジションへの切替え後に、制御及び調整ユニット14は、閉鎖点95でスターティングクラッチ23を閉鎖し、このことにより、後進トランスミッションギヤとして構成された目標ギヤは切替えられ、かつ進行方向転換が達成される。閉鎖点95後に、回転数曲線81及び回転数予定曲線82は正符号を有するが、これは、回転数曲線81及び回転数予定曲線82が、目標ギヤ、従って後進トランスミッションギヤにとってそれぞれ適切な回転方向を有するからである。スターティングクラッチ23の閉鎖により、従って閉鎖点95後に、トランスミッションギヤチェンジ工程15は終了する。閉鎖点95は図2には示されていない。原則的に、メイングループ11の同期のための後段接続グループ13の切替えを省略することもできる。原則的に、トランスミッションギヤチェンジ工程15は、例えば3速前進トランスミッションギヤから4速前進トランスミッションギヤへ切替えられるトランスミッションギヤチェンジ工程のような通常トランスミッションギヤチェンジとして、すなわち前進トランスミッションギヤ又は後進トランスミッションギヤの間で切替えられる走行方向工程としてではなく、構成されていてもよい。通常トランスミッションギヤチェンジの間の切替曲線は上記に沿って構成され、その際、後切替グループ13のハイポジションへの切替えは省略される。この場合、後段接続グループ13は、同様に、目標ギヤに入れる前にニュートラルへ切替えられうる。
【0054】
この実施形態において、前段接続グループ12のニュートラル切替えが、ニュートラルポジションへの前段接続グループ12の切替えによって実現されることが明確に示される。しかしニュートラル切替えは、ニュートラルポジションが前段接続グループ12に無くても実現可能であり、その場合前段接続グループ12は、ローポジションにもハイポジションにも切替えられていないポジションへと切替えられている。
【0055】
この実施形態において、制御及び調整ユニット14は、目標ギヤに入れる前にのみ、前段接続グループ12をニュートラルに切替える。目標ギヤに入れる前に付加的に又は二者選択的に、後段接続グループ13がニュートラルに切替えられうることを、もう一度明確に示す。この後段接続グループ13のニュートラル切替は、前段接続グループ12のニュートラル切替と同様に行われる。更に、原則的に、制御及び調整ユニット14が、前段接続グループ12のみがニュートラルに切替えられる切替プログラミング及び前段接続グループ12と後段接続グループ13とがニュートラルに切替えられる切替プログラミングを有することが考えられる。目標ギヤが入れられる前に、制御及び調整ユニット14が前段接続グループ12のみを切替えるか又は前段接続グループ12と付加的に後段接続グループ13とをニュートラルに切替えるかは、例えば要求される目標ギヤに左右される。目標ギヤが例えば現在の走行方向と同じ向きのトランスミッションギヤとして構成されている場合、すなわち例えば3速前進トランスミッションギヤから4速前進トランスミッションギヤへのように前進トランスミッションギヤ間又は後進トランスミッションギヤ間で切替えられる場合、制御及び調整ユニット14は前段接続グループ12と後段接続グループ13とをニュートラルに切替える。目標ギヤが現在の走行方向と逆向きのトランスミッションギヤとして構成されている場合、これにより走行時に前進トランスミッションギヤから後進トランスミッションギヤへ又は後進トランスミッションギヤから前進トランスミッションギヤへ切替えられる場合、制御及び調整ユニット14は、目標ギヤに入れる前に前段接続グループ12のみをニュートラルに切替え、かつ後段接続グループ13をメイングループ11の同期のために使用する。
図1
図2
図3