(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933812
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】車載アンテナ用防水構造
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/42 20060101AFI20160602BHJP
H01Q 1/32 20060101ALI20160602BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20160602BHJP
H01Q 1/02 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
H01Q1/42
H01Q1/32 Z
H01Q1/22 A
H01Q1/22 B
H01Q1/02
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-504427(P2015-504427)
(86)(22)【出願日】2014年3月7日
(86)【国際出願番号】JP2014056042
(87)【国際公開番号】WO2014136960
(87)【国際公開日】20140912
【審査請求日】2015年8月4日
(31)【優先権主張番号】特願2013-47331(P2013-47331)
(32)【優先日】2013年3月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000165848
【氏名又は名称】原田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124257
【弁理士】
【氏名又は名称】生井 和平
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀和
【審査官】
米倉 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−204996(JP,A)
【文献】
特開2013−005127(JP,A)
【文献】
特開2008−182663(JP,A)
【文献】
特開2010−259034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/42
H01Q 1/02
H01Q 1/22
H01Q 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ設置面に設置される車載アンテナに適用される防水構造であって、該車載アンテナ用防水構造は、
一方の面がアンテナ設置面に対向し、他方の面が車載アンテナの外形を画定するアンテナカバーに覆われる樹脂製の樹脂ベースと、
前記樹脂ベースに溶着され、アンテナ設置面に当接する可撓性のアンテナ設置側防水樹脂部と、
を具備することを特徴とする車載アンテナ用防水構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車載アンテナ用防水構造において、前記樹脂ベースは、アンテナカバー内部への導通を確保するための孔部を有し、
前記アンテナ設置側防水樹脂部は、孔部の周縁部にも溶着されることを特徴とする車載アンテナ用防水構造。
【請求項3】
アンテナ設置面に設置される車載アンテナに適用される防水構造であって、該車載アンテナ用防水構造は、
アンテナカバー内部への導通を確保するための孔部を有し、一方の面がアンテナ設置面に対向し、他方の面が車載アンテナの外形を画定するアンテナカバーに覆われる樹脂製の樹脂ベースと、
前記樹脂ベースの孔部の周縁部に溶着され、アンテナ設置面に当接する可撓性のアンテナ設置側防水樹脂部と、
を具備することを特徴とする車載アンテナ用防水構造。
【請求項4】
請求項3に記載の車載アンテナ用防水構造において、前記アンテナ設置側防水樹脂部は、樹脂ベースの周縁部にも溶着されることを特徴とする車載アンテナ用防水構造。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の車載アンテナ用防水構造であって、さらに、前記樹脂ベースのアンテナカバーに覆われる面側に溶着され、アンテナカバーが当接する可撓性のカバー側防水樹脂部を具備することを特徴とする車載アンテナ用防水構造。
【請求項6】
アンテナ設置面に設置される車載アンテナに適用される防水構造であって、該車載アンテナ用防水構造は、
一方の面がアンテナ設置面に対向し、他方の面が車載アンテナの外形を画定するアンテナカバーに覆われる樹脂製の樹脂ベースと、
前記樹脂ベースのアンテナカバーに覆われる面側に溶着され、アンテナカバーが当接する可撓性のカバー側防水樹脂部と、
を具備することを特徴とする車載アンテナ用防水構造。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の車載アンテナ用防水構造において、前記カバー側防水樹脂部は、アンテナカバーに覆われる内部に配置される車載アンテナ用の回路基板が当接する位置にも設けられることを特徴とする車載アンテナ用防水構造。
【請求項8】
請求項5乃至請求項7の何れかに記載の車載アンテナ用防水構造において、前記樹脂ベースは、さらに、カバー側防水樹脂部とアンテナ設置側防水樹脂部とが溶着される位置近傍を貫通する複数のトンネル部を有し、カバー側防水樹脂部とアンテナ設置側防水樹脂部とがトンネル部を介して接続されることを特徴とする車載アンテナ用防水構造。
【請求項9】
請求項8に記載の車載アンテナ用防水構造において、前記トンネル部は、アンテナカバーが当接する位置を避けて配置されることを特徴とする車載アンテナ用防水構造。
【請求項10】
請求項5乃至請求項9の何れかに記載の車載アンテナ用防水構造において、前記カバー側防水樹脂部とアンテナ設置側防水樹脂部とは、樹脂ベースの側面に溶着される側面樹脂部を介して接続されることを特徴とする車載アンテナ用防水構造。
【請求項11】
請求項5乃至請求項10の何れかに記載の車載アンテナ用防水構造において、前記樹脂ベースは、さらに、樹脂ベースの周縁部近傍に補強リブを有し、該補強リブはカバー側防水樹脂部及び/又はアンテナ設置側防水樹脂部の片側部近傍に位置することを特徴とする車載アンテナ用防水構造。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11の何れかに記載の車載アンテナ用防水構造において、前記樹脂ベースは、さらに、アンテナ設置側防水樹脂部が溶着される位置に、溶着面が増加するように凹凸部を有することを特徴とする車載アンテナ用防水構造。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12の何れかに記載の車載アンテナ用防水構造であって、さらに、車載アンテナの外形を画定するアンテナカバーが、樹脂ベースを覆うインナーカバーとインナーカバーを覆うアウターカバーとからなるとき、
インナーカバーに溶着され、アウターカバーと当接する可撓性のインナーカバー側防水樹脂部を具備することを特徴とする車載アンテナ用防水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナ設置面に設置される車載アンテナに設けられる防水構造に関し、特に、樹脂ベースに対して設けられる車載アンテナ用防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車載アンテナは、そのベースに導電性材料を用いており、これをアンテナのグラウンドとして用いると共に、車両ルーフ等に固定して車体へアースを取るために用いられている。そして、導電ベースと車両のアンテナ設置面との間を防水するために、可撓性を有する樹脂製のベースパッドが導電ベースのアンテナ設置面側の面を覆って導電ベースに被せるように設けられている。
【0003】
また、近年、電気自動車やハイブリッドカーに代表されるように、燃費を考慮して車両の軽量化が進められている。車載アンテナに対しても軽量化が求められており、導電ベースに代わって樹脂ベースの車載アンテナが開発されつつある。例えば、特許文献1には、樹脂ベースと導電ベースを組み合わせたアンテナベースが開示されている。樹脂ベースの下面には、ボス部分の周辺に環状溝が設けられており、リング状シールが嵌挿されている。また、溝部を有する紐状のスキマカバーが樹脂ベースの周側面に巻回され、スキマカバーの溝部に樹脂ベースの周側面が嵌挿されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開公報第2012/127903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
導電ベースの車載アンテナの場合、樹脂製のベースパッドが導電ベースに被せられて固定されるものであるため、手作業で組み付ける必要があり、手間がかかるものであった。また、ベースパッドが均等に導電ベースに被らずベースパッドの厚みが変わり、車両のアンテナ設置面とベースパッドの間の押圧力が均一にならない場合もあった。近年の車両軽量化による車両ルーフの鋼板の薄型化により、車両ルーフの強度が低くなっているため、強い力でベースパッドを車両ルーフに押しつけることで隙間を均一に防水することが難しくなっている。
【0006】
また、特許文献1の場合、樹脂ベースにスキマカバーが嵌挿される構造は導電ベースに被せられるベースパッドと変わらず、組み付け作業に手間がかかるだけでなく、車両のアンテナ設置面とベースパッドの間の押圧力が均一にならない点も導電ベースのものと変わらなかった。さらに、ベースの下面のボス部分の周辺の環状溝にリング状シールが嵌挿されているが、製造誤差や位置ずれ等により、設計上の防水性能を十分発揮しない場合もあった。
【0007】
本発明は、斯かる実情に鑑み、防水構造の手作業による組み付け作業が不要で取り付けミスも防げ、また、樹脂ベースに強固に溶着される防水樹脂を有する車載アンテナ用防水構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明による車載アンテナ用防水構造は、一方の面がアンテナ設置面に対向し、他方の面が車載アンテナの外形を画定するアンテナカバーに覆われる樹脂製の樹脂ベースと、樹脂ベースに溶着され、アンテナ設置面に当接する可撓性のアンテナ設置側防水樹脂部と、を具備するものである。
【0009】
ここで、樹脂ベースは、アンテナカバー内部への導通を確保するための孔部を有し、アンテナ設置側防水樹脂部は、孔部の周縁部にも溶着されるものであっても良い。
【0010】
また、本発明による車載アンテナ用防水構造は、アンテナカバー内部への導通を確保するための孔部を有し、一方の面がアンテナ設置面に対向し、他方の面が車載アンテナの外形を画定するアンテナカバーに覆われる樹脂製の樹脂ベースと、樹脂ベースの孔部の周縁部に溶着され、アンテナ設置面に当接する可撓性のアンテナ設置側防水樹脂部と、を具備するものであっても良い。
【0011】
ここで、アンテナ設置側防水樹脂部は、樹脂ベースの周縁部にも溶着されるものであっても良い。
【0012】
さらに、樹脂ベースのアンテナカバーに覆われる面側に溶着され、アンテナカバーが当接する可撓性のカバー側防水樹脂部を具備するものであっても良い。
【0013】
また、本発明による車載アンテナ用防水構造は、一方の面がアンテナ設置面に対向し、他方の面が車載アンテナの外形を画定するアンテナカバーに覆われる樹脂製の樹脂ベースと、樹脂ベースのアンテナカバーに覆われる面側に溶着され、アンテナカバーが当接する可撓性のカバー側防水樹脂部と、を具備するものであっても良い。
【0014】
ここで、カバー側防水樹脂部は、アンテナカバーに覆われる内部に配置される車載アンテナ用の回路基板が当接する位置にも設けられるものであっても良い。
【0015】
また、樹脂ベースは、さらに、カバー側防水樹脂部とアンテナ設置側防水樹脂部とが溶着される位置近傍を貫通する複数のトンネル部を有し、カバー側防水樹脂部とアンテナ設置側防水樹脂部とがトンネル部を介して接続されるものであっても良い。
【0016】
また、トンネル部は、アンテナカバーが当接する位置を避けて配置されるものであっても良い。
【0017】
また、カバー側防水樹脂部とアンテナ設置側防水樹脂部とは、樹脂ベースの側面に溶着される側面樹脂部を介して接続されるものであっても良い。
【0018】
また、樹脂ベースは、さらに、樹脂ベースの周縁部近傍に補強リブを有し、該補強リブはカバー側防水樹脂部及び/又はアンテナ設置側防水樹脂部の片側部近傍に位置するものであっても良い。
【0019】
また、樹脂ベースは、さらに、アンテナ設置側防水樹脂部が溶着される位置に、溶着面が増加するように凹凸部を有するものであっても良い。
【0020】
さらに、車載アンテナの外形を画定するアンテナカバーが、樹脂ベースを覆うインナーカバーとインナーカバーを覆うアウターカバーとからなるとき、インナーカバーに溶着され、アウターカバーと当接する可撓性のインナーカバー側防水樹脂部を具備するものであっても良い。
【発明の効果】
【0021】
本発明の車載アンテナ用防水構造には、防水構造の手作業による組み付け作業が不要で取り付けミスも防げ、また、防水樹脂が樹脂ベースに強固に溶着されるという利点がある。さらに、防水樹脂が樹脂ベースに強固に溶着されることから、防水樹脂と樹脂ベースの間への水や塵等の侵入を防ぐことが可能であるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の車載アンテナ用防水構造を説明するための概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の車載アンテナ用防水構造を拡大した一部拡大側断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の他の例の車載アンテナ用防水構造を拡大した一部拡大側断面図である。
【
図4】
図4は、本発明のさらに他の例の車載アンテナ用防水構造を拡大した一部拡大側断面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示される例の本発明の車載アンテナ用防水構造に用いられる樹脂ベースの上面図である。
【
図6】
図6は、本発明の車載アンテナ用防水構造において樹脂ベースに補強リブを設けた例を説明するための概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の車載アンテナ要望層構造をアンテナカバー側に応用した例を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態を図示例と共に説明する。
図1は、本発明の車載アンテナ用防水構造を説明するための概略図であり、
図1(a)がその斜視図、
図1(b)がその底面図である。図示の通り、本発明の車載アンテナ用防水機構は、ルーフやボンネット、トランクリッド等車両ボディのアンテナ設置面1に設置される車載アンテナ2に適用されるものである。車載アンテナ用防水構造は、樹脂製の樹脂ベース10と、可撓性のアンテナ設置側防水樹脂部20とから主に構成される。
【0024】
樹脂ベース10は樹脂製のものであり、アンテナカバー3に覆われるものである。アンテナカバー3は、一方の面がアンテナ設置面1に対向し、他方の面(部位)が車載アンテナ2の外形を画定するものである。樹脂ベース10は、例えば金型により成形され、その上面にはアンテナ素子や電気回路等を載置するためのねじ孔やリブ等が設けられている。また、樹脂ベース10の強度を高めるために、適宜補強リブ等を設けても良い。アンテナカバー3は、樹脂ベース10にねじ留めされても良いし、超音波溶着等により溶着されても良い。また、アンテナカバー3は、一体的なものだけでなく、インナーカバーとアウターカバーに分かれた構成でも良く、この場合には、インナーカバーが樹脂ベース10に固定されれば良く、また、アウターカバーが樹脂ベース10やインナーカバー等に設けられるフック等を用いて固定されても良い。さらに、樹脂ベース10には、アンテナを支持するための構造等も一体的に形成可能である。また、樹脂ベース10には、アンテナカバー3内部への導通を確保するための孔部11が設けられていても良い。例えば、この孔部11には、アンテナ設置面1に設けられる設置孔4に挿入され車載アンテナ2を固定するためのねじボス5が配置されれば良い。また、図示例のようなルーフ側に突出したねじボスの代わりに、設置孔4の車両内部側から挿通されるボルト等が螺合するねじ孔が樹脂ベースに設けられていても良い。また、孔部11からケーブルを導入する手段としては、直接ケーブルを挿通しても良いし、コネクタ等を介しても良い。ねじボス5は、樹脂ベース10にインサート成形されても良いし、孔部11に挿通され固定されても良い。さらに、ねじボス5は、樹脂で構成しても良く、その場合には樹脂ベース10と一体成形されても良い。
【0025】
アンテナ設置側防水樹脂部20は可撓性のものであり、樹脂ベース10に溶着され、アンテナ設置面1に当接するものである。アンテナ設置側防水樹脂部20は、アンテナ設置面1と樹脂ベース10の間に配置され、この隙間を埋めることで、アンテナ設置面1に設けられる設置孔4から車両内部への水や塵等の侵入を防ぐものである。アンテナ設置側防水樹脂部20は、例えばエラストマ等の合成樹脂からなるものであり、熱可塑性エラストマであることが好ましい。アンテナ設置側防水樹脂部20を成形するための金型を樹脂ベース10の所定の位置に配置し、加熱溶融された熱可撓性エラストマを金型のゲートからキャビティ内に流し込むと、高温の熱可塑性エラストマにより樹脂ベース10の表面が溶解し、熱可塑性エラストマと樹脂ベース10の界面が溶着され、アンテナ設置側防水樹脂部20が成形される。なお、防水樹脂部20の材料である熱可塑性エラストマと樹脂ベース10の材料については、これらが強固に溶着されるような組み合わせで材料を適宜選択すれば良い。
【0026】
本発明の車載アンテナ用防水構造は、このように構成することで、金型等を用いて正確に所望の位置に強固に防水樹脂部を配置可能であるため、防水構造の手作業による組み付け作業が不要で取り付けミスも防げ、確実に防水、防塵することが可能となる。
【0027】
また、アンテナ設置側防水樹脂部20は、
図1(b)の通り、樹脂ベース10の周縁部と、樹脂ベース10に設けられた孔部11の周縁部の両方に設けられている例を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、アンテナ設置側防水樹脂部20は、アンテナ設置面1と樹脂ベース10との間を防水可能な位置に設けられれば良く、その数や位置、形状については図示例のものに限定されるものではない。即ち、アンテナ設置側防水樹脂部20の設けられる位置は、樹脂ベース10の周縁部のみであっても良いし、孔部11の周縁部のみであっても良い。
【0028】
以下、アンテナ設置側防水樹脂部20を拡大した図を用いてより詳細に説明する。
図2は、本発明の車載アンテナ用防水構造を拡大した一部拡大側断面図である。図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。アンテナ設置側防水樹脂部20が溶着される樹脂ベース10の周縁部とは、例えば
図2(a)に示されるように、樹脂ベース10の端部のアンテナ設置面1側であれば良い。また、
図2(b)に示されるように、樹脂ベース10の端面に設けられても良い。このように、樹脂ベース10の周縁部がアンテナ設置側防水樹脂部20により切れ目なく環状に囲まれることでアンテナ設置面1との間が防水される位置にアンテナ設置側防水樹脂部20が配置されれば良い。アンテナ設置側防水樹脂部20は、図示の通り、樹脂ベース10の周縁方向(放射方向)に傾斜する形状を有することが好ましい。これにより、アンテナ設置側防水樹脂部20がアンテナ設置面1に押しつけられる際に変形し、適度な押圧力で防水性、防塵性が確保される。また、アンテナ設置側防水樹脂部20が溶着される樹脂ベース10の周縁部は、図示の通り段差を設けて若干薄くし、この部分に防水樹脂部20を流し込むことで樹脂ベース10のアンテナ設置面側の表面と防水樹脂部20の内側(樹脂ベース10の中心側)が面一となるように構成されても良い。これにより、溶着面積が広くなるため樹脂ベース10からアンテナ設置側防水樹脂部が剥がれ難くなる。
【0029】
また、例えば
図2(c)に示されるように、アンテナ設置側防水樹脂部20が溶着される位置に、溶着面が増加するように凹凸部12を樹脂ベース10に設けても良い。これにより溶着面積が増え、より強固にアンテナ設置側防水樹脂部20が樹脂ベース10に固着することになる。
【0030】
さらに、防水樹脂は、樹脂ベース10とアンテナカバー3との間に設けられても良い。
図3は、本発明の他の例の車載アンテナ用防水構造を拡大した一部拡大側断面図である。図中、
図1等と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
図3(a)に示される例では、樹脂ベース10のアンテナ設置面側に設けられるアンテナ設置側防水樹脂部20だけでなく、樹脂ベース10のアンテナカバー3側にも防水樹脂部が設けられている。即ち、可撓性のカバー側防水樹脂部21が、樹脂ベース10のアンテナカバー3に覆われる面側の周縁部に溶着されている。なお、本発明の車載アンテナ用防水構造は、カバー側防水樹脂部のみが設けられる構造であっても勿論良い。このカバー側防水樹脂部21には、アンテナカバー3が当接するように、より具体的には、アンテナカバー3の内部に設けられたリブが当接するように構成されている。このように構成することで、アンテナカバー3を樹脂ベース10にねじ等で留めると、アンテナカバー3に設けられたリブがカバー側防水樹脂部21に食い込み、適度な押圧力で防水性、防塵性が確保される。なお、カバー側防水樹脂部21は、アンテナカバー3が当接する位置に設けられれば良いため、樹脂ベース10とアンテナカバー3の間に挟まれる位置に設けられれば良い。
【0031】
また、例えば
図3(b)に示されるように、アンテナ設置側防水樹脂部20とカバー側防水樹脂部21とが、樹脂ベース10の側面に溶着される側面樹脂部22も介して接続されていても良い。これにより、各樹脂部が一体的に成形可能となり、より強固に樹脂ベース10に各樹脂部が溶着されることになる。
【0032】
また、上述の図示例では、カバー側防水樹脂部21は、樹脂ベース10の表面にそのまま配置される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図3(c)に示されるように、樹脂ベース10の表面に凹部13を設け、この中にカバー側防水樹脂部21を配置しても良い。この際、凹部13の幅や厚さが十分に取れない場合には、凹部13のすべてにカバー側防水樹脂部21を満たしてしまうと、アンテナカバー3内部に設けられたリブが当接する際に樹脂の移動・変形が阻害され、カバー側防水樹脂部21に十分アンテナカバー3が食い込まなくなるおそれがある。このため、カバー側防水樹脂部21は、凹部13内で片側又は両側に所定の隙間を設けて配置されれば良い。
【0033】
さらに、
図3(d)に示されるように、アンテナカバー3に覆われる内部に配置される車載アンテナ用の回路基板30が当接する位置にもカバー側防水樹脂部21が設けられても良い。即ち、図示の通り、アンテナカバー3の内部に設けられたリブが当接する位置に設けられるカバー側防水樹脂部21が、回路基板30を載置する台座17の上にまで溶着されている。このように構成することで、カバー側防水樹脂部21の一部は、樹脂ベース10の上に載置される回路基板30のクッションの機能も持つことになる。回路基板30は、別途ねじやクリップ等で固定されるが、間にカバー側防水樹脂部21が介在することにより、がたつくことなく確実に固定されるようになる。
【0034】
次に、さらに強固に均等に防水樹脂部が樹脂ベースに溶着されるように構成した例について説明する。
図4は、本発明のさらに他の例の車載アンテナ用防水構造を拡大した一部拡大側断面図である。また、
図5は、
図4に示される例の車載アンテナ用防水構造に用いられる樹脂ベースの上面図である。図中、
図1等と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
図4(a)に示される例では、
図3(a)に示されるようなアンテナ設置側防水樹脂部20とカバー側防水樹脂部21とを設けた例に対して、トンネル部14が設けられている。トンネル部14は、カバー側防水樹脂部21とアンテナ設置側防水樹脂部20とが溶着される位置近傍を貫通するように複数設けられている。これにより、カバー側防水樹脂部21とアンテナ設置側防水樹脂部20とは、トンネル部14を介して接続され一体的に成形される。防水樹脂部となる加熱溶融された熱可塑性エラストマは、金型のゲートからキャビティ内に入り、樹脂ベース10の表面が溶解しながらその界面が溶着されるが、その際、トンネル部14を設けることで、トンネル部14を介して樹脂ベース10の反対面側にも到達する。したがって、熱可塑性エラストマの温度が下がる前に溶着面に到達し、樹脂ベース10の表面が溶解しやすくなるためより強固に溶着されることになる。
【0035】
また、
図4(b)に示される例では、
図3(b)に示されるようなアンテナ設置側防水樹脂部20とカバー側防水樹脂部21とさらに側面樹脂部22とを設けた例に対して、トンネル部14が設けられている。この例では、熱可塑性エラストマがトンネル部14を介して樹脂ベース10の反対面側に到達すると共に、樹脂ベース10の側面部を通っても反対面側に到達することになる。したがって、さらに短時間に所定の溶着面へ熱可塑性エラストマを流入させることが可能となるため、熱可塑性エラストマの温度が下がる前に溶着面に到達し、より早く樹脂ベース10がより強固に溶着されるようになる。また、トンネル部14が無い場合には、樹脂ベース10の側部を通って回り込んでカバー側防水樹脂部21が形成されることになるが、末端まで十分に熱可塑性エラストマが流入しないおそれもあるが、トンネル部14を設けることで、確実に末端まで熱可塑性エラストマを流入させることが可能となる。
【0036】
図4や
図5に示されるようなトンネル部14が設けられる例においては、
図4に示されるように、アンテナカバー3内に設けられたリブが当接する位置を避けてトンネル部14が配置されることが好ましい。アンテナカバー3のリブが当接する位置にトンネル部14が設けられると、カバー側防水樹脂部21を押圧するアンテナカバー3の押圧力が不均一となり、防水性や防塵性が低下する可能性がある。したがって、図示例のように当接位置からずらしてトンネル部14を配置する。これにより、アンテナカバー3が均一にカバー側防水樹脂部21を押圧することになり、防水性や防塵性が高まる。
【0037】
次に、本発明の車載アンテナ用防水構造において樹脂ベースに補強リブを設けた例について説明する。
図6は、本発明の車載アンテナ用防水構造において樹脂ベースに補強リブを設けた例を説明するための概略図であり、
図6(a)が一部拡大側断面図、
図6(b)がその車載アンテナ用防水構造に用いられる樹脂ベースの上面図である。図中、
図1等と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。図示の通り、この例では、樹脂ベース10の強度を高めるために、樹脂ベース10の周縁部近傍に補強リブ15が設けられている。補強リブ15は、カバー側防水樹脂部21及び/又はアンテナ設置側防水樹脂部20の片側部近傍に位置する。補強リブ15を樹脂ベース10の周縁部になるべく近い側で配置することで、樹脂ベース10の強度を高められると共に、アンテナカバー3と樹脂ベース10に覆われた空間を広く取ることが可能となる。さらに、補強リブ15にカバー側防水樹脂部21が接触することで溶着面積が増え、より強固にカバー側防水樹脂部21が樹脂ベース10に固着することにもなる。ここで、カバー側防水樹脂部21及び/又はアンテナ設置側防水樹脂部20の両側を隙間無く囲むように補強リブ15を配置すると、アンテナカバー3が当接する際に樹脂の移動・変形が阻害され、カバー側防水樹脂部21に十分アンテナカバー3が食い込まなくなるおそれがある。このため、補強リブ15は、カバー側防水樹脂部21及び/又はアンテナ設置側防水樹脂部20の片側部近傍に配置されることが好ましい。なお、補強リブ15との間に隙間が設けられれば両側に補強リブが設けられても良い。また、補強リブは、上述の回路基板を載置するための台座として利用しても勿論良い。
【0038】
さらに、本発明の車載アンテナ用防水構造をアンテナカバー側に応用した例について説明する。
図7は、本発明の車載アンテナ要望層構造をアンテナカバー側に応用した例を説明するための概略断面図である。この例は、車載アンテナの外形を画定するアンテナカバー3が、インナーカバー40とアウターカバー41の2重構造となっている場合のものである。インナーカバー40は、樹脂ベース10を覆うものである。アウターカバー41は、インナーカバー40を覆うものである。例えば、インナーカバー40は樹脂ベース10に溶着等で固定され、アウターカバー41は、車種やボディカラー毎に選択可能なものである。このような構造のアンテナカバー3において、可撓性のインナーカバー側防水樹脂部42がインナーカバー40に溶着されている。インナーカバー側防水樹脂部42は、アウターカバー41と当接するように設けられている。なお、図示例では、インナーカバー側防水樹脂部42がインナーカバー40の内側で接続されている例を示した。本発明の車載アンテナ用防水構造では、このように構成することで、アウターカバーを安定的にインナーカバーに固定することが可能となる。
【0039】
なお、本発明の車載アンテナ用防水構造は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。上述した図示例は適宜組み合わせて用いることが可能であり、例えば
図3や
図4、
図6等に示される例においても、
図2(c)に示されるように、溶着面が増加するような凹凸部を樹脂ベース10に設けても良い。
【符号の説明】
【0040】
1 アンテナ設置面
2 車載アンテナ
3 アンテナカバー
4 設置孔
5 ねじボス
10 樹脂ベース
11 孔部
12 凹凸部
13 凹部
14 トンネル部
15 補強リブ
17 台座
20 アンテナ設置側防水樹脂部
21 カバー側防水樹脂部
22 側面樹脂部
30 回路基板
40 インナーカバー
41 アウターカバー
42 インナーカバー側防水樹脂部