(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933829
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】プラグインコネクタの接点室内におけるロックのための、抵抗可能な一次ランスを備えた接点
(51)【国際特許分類】
H01R 13/42 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
H01R13/42 H
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-515428(P2015-515428)
(86)(22)【出願日】2013年4月4日
(65)【公表番号】特表2015-519709(P2015-519709A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】EP2013057068
(87)【国際公開番号】WO2013182333
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2015年2月4日
(31)【優先権主張番号】102012209423.7
(32)【優先日】2012年6月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ シュマッツ
(72)【発明者】
【氏名】ヂェンユー フー
【審査官】
石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2005/0118884(US,A1)
【文献】
特開平10−326638(JP,A)
【文献】
特開2002−134206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグインコネクタ用の接点(10)であって、
縦長のハウジング(12)と縦長の一次ランス(14)とを有しており、
前記ハウジング(12)は、ハウジング内部(16)を取り囲んでいて、押込み方向(18)において前記プラグインコネクタの接点室(20)内に押し込まれるように構成されており、
前記一次ランス(14)は、前記ハウジング(12)の長手方向軸線(22)に対して直交する方向で前記一次ランス(14)に力が作用しない第1の状態において、該一次ランス(14)のロック部分領域(24)が、少なくとも部分的に側部において前記ハウジング(12)を越えて突出しており、
このとき、前記一次ランス(14)の第1の端部(26)が、前記ハウジング内部(16)において前記ハウジング(12)に結合されており、
前記ハウジング(12)は、側部の開口(28)を有しており、
前記一次ランス(14)の前記ロック部分領域(24)は、第1の状態において前記側部の開口(28)を貫いて突出している、接点(10)において、
前記ハウジング(12)は前記開口(28)に接触面(30)を有しており、前記一次ランス(14)の前記ロック部分領域(24)と前記接触面(30)とは、前記ロック部分領域(24)に対して第2の状態において前記押込み方向(18)に力が作用した場合に、前記ロック部分領域(24)が前記接触面(30)に接触して、前記押込み方向(18)とは逆向きに作用する力の少なくとも一部が前記接触面(30)に伝達されるように、構成されかつ相対的に配置されており、
前記一次ランス(14)は、第2の状態において前記ハウジング(12)を越えて側方に突出する前記ロック部分領域(24)の一部と、前記一次ランス(14)の、前記ハウジング内部(16)内に配置された部分とが、前記押込み方向(18)において接触面(30)を越えて突出するように構成されていることを特徴とする、プラグインコネクタ用の接点(10)。
【請求項2】
前記ロック部分領域(24)は、前記ハウジング(12)の長手方向軸線(22)に沿った切断平面においてΩ形状をしている、請求項1記載の接点(10)。
【請求項3】
前記ロック部分領域(24)は、前記ハウジング(12)の長手方向軸線(22)に対して直交する方向における切断平面においてU字形をしている、請求項1記載の接点(10)。
【請求項4】
プラグインコネクタ用の接点(10)であって、
縦長のハウジング(12)と縦長の一次ランス(14)とを有しており、
前記ハウジング(12)は、ハウジング内部(16)を取り囲んでいて、押込み方向(18)において前記プラグインコネクタの接点室(20)内に押し込まれるように構成されており、
前記一次ランス(14)は、前記ハウジング(12)の長手方向軸線(22)に対して直交する方向で前記一次ランス(14)に力が作用しない第1の状態において、該一次ランス(14)のロック部分領域(24)が、少なくとも部分的に側部において前記ハウジング(12)を越えて突出しており、
このとき、前記一次ランス(14)の第1の端部(26)が、前記ハウジング内部(16)において前記ハウジング(12)に結合されており、
前記ハウジング(12)は、側部の開口(28)を有しており、
前記一次ランス(14)の前記ロック部分領域(24)は、第1の状態において前記側部の開口(28)を貫いて突出している、接点(10)において、
前記ハウジング(12)は前記開口(28)に接触面(30)を有しており、前記一次ランス(14)の前記ロック部分領域(24)と前記接触面(30)とは、前記ロック部分領域(24)に対して第2の状態において前記押込み方向(18)に力が作用した場合に、前記ロック部分領域(24)が前記接触面(30)に接触して、前記押込み方向(18)とは逆向きに作用する力の少なくとも一部が前記接触面(30)に伝達されるように、構成されかつ相対的に配置されており、
前記ロック部分領域(24)は、前記ハウジング(12)の長手方向軸線(22)に沿った切断平面においてΩ形状をしていることを特徴とする、プラグインコネクタ用の接点(10)。
【請求項5】
前記ハウジング(12)は、前記接触面(30)の領域に肉厚部(32)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の接点(10)。
【請求項6】
前記ロック部分領域(24)は、前記ハウジング(12)を越えて側方に最大に突出している領域に滑走面(36)を有しており、該滑走面(36)は押込み方向(18)において、前記ハウジング(12)の表面に対して斜めに下降するように配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の接点(10)。
【請求項7】
前記一次ランス(14)は、該一次ランス(14)の第1の端部(26)とロック部分領域(24)との間の弾性部分領域(38)に、前記ロック部分領域(24)におけるよりも、前記ハウジング(12)の長手方向軸線(22)に対して直交する方向に大きな弾性を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載の接点(10)。
【請求項8】
前記弾性部分領域(38)及び前記ロック部分領域(24)は、曲げられていて、該ロック部分領域(24)は、前記弾性部分領域(38)よりも小さな曲率半径を有している、請求項7記載の接点(10)。
【請求項9】
一次ランス(14)は、前記ハウジング内部(16)に配置された第2の端部(40)を有していて、該第2の端部(40)は押込み方向(18)とは逆向きに前記ハウジング(12)の側部の開口(28)の縁部を越えて延びている、請求項1から8までのいずれか1項記載の接点(10)。
【請求項10】
前記一次ランス(14)及び前記ハウジング(12)は、1つの共通の金属薄板から一体に形成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の接点(10)。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の接点(10)を備えたプラグインコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグインコネクタ用の接点、並びに特にこのような接点を備えたプラグインコネクタに関する。
【0002】
従来の技術
特に車両構造においては、導電体を互いに接続することがしばしば必要である。例えばケーブルを互いに接続すること、又はケーブルを電気機器に接続することが必要である。そのためにしばしば例えばコネクタとして形成されたプラグインコネクタが使用され、このようなプラグインコネクタでは、コネクタハウジング内に、単数又は複数の接点室が設けられている。接点室それぞれの中には、導電体に接続された各1つの接点が配置され、かつ接点室においてロックされている。このとき接点は、コネクタが対応接点もしくはブシュに差し合わされるや否や、対応コネクタもしくはブシュの相応に形成された対応接点と共に導電接続部を形成する。
【0003】
このようなコネクタの形成時に、後端部に所属のケーブルが圧着結合されている接点は、個々の接点室内に押し込まれる。例えばケーブルへの引張り力作用時に、接点が接点室から滑り抜けることを阻止するために、接点は多くの場合形状結合式(formschluessig)に接点室内においてロックされる。接点のしばしば用いられる構成では、そのために外方に向かって突出しかつ内方に向かって変位可能な一次ランスが、接点のハウジングに設けられている。この一次ランスは、接点がプラグインコネクタの組合せ時に接点室内に押し込まれる差込み方向とは逆向きに、斜め外方に向かって、接点のハウジングを越えて突出している。接点室内への接点の押込み時に、一次ランスは、まず内方に向かって弾性的に変形され、次いで一次ランスはその目的位置到達時に接点室における凹部内に押し戻されることができ、これによって接点を接点室内においてロックすることができる。
【0004】
独国特許出願公開第102009054705号明細書には、外方に向かって突出していてかつ内方に向かって変位可能な一次ランスを備えた、プラグインコネクタ用の電気的な接点が開示されている。
【0005】
特に自動車における使用のために、プラグインコネクタ及びその内部に挿入された接点には、大きな機械的な要求が課せられる。一方では、一次ランスは、接点室への接点の簡単な装着のために可能な限り僅かな力でばね弾性的に内方に変位し、その後で再び出発位置に戻り、これによって接点室内における接点の簡単かつ確実なロックが可能になることが望まれている。また他方において、例えば接点に圧着結合されているケーブルに対して引張り力が作用した場合に、接点の不都合な引き抜けを回避するために、プラグインコネクタの接点室の内部における接点のロックは可能な限り確実であることが望ましい。
【0006】
特に、小さな構造寸法及び僅かな材料強度にも拘わらず、高い機械的な要求が課せられる、小型化された接点では、これら互いに正反対の要求を満たすことは困難なことがある。
【0007】
発明の開示
本発明の態様によれば、接点室における装着動作のためもしくは保持動作のために必要な機能が分離され、接点もしくは接点の一次ランスの異なった領域によって実現することができる、プラグインコネクタ用の接点を提供することである。このような機能の分離は、接点室内への接点の押込み特性と、接点室における接点の保持とに関して、一次ランスを別個に最適化することを可能にする。一方において、例えば装着動作中に、外方に向かって突出する一次ランスは、弾性部分領域におけるばね弾性特性に基づいて、僅かな力で内方に向かって変位することができ、かつ接点室における接点のロックのために再び出発位置に弾発して戻ることができる。また他方において、一次ランスは、該一次ランスのロック部分領域が押込み方向とは逆向きの引出し力に抵抗できるように構成されている。
【0008】
本発明に係る接点は、縦長のハウジングを有していて、該ハウジングは、ハウジング内部を取り囲んでいて、押込み方向においてプラグインコネクタの接点室内に押し込むことができるように構成されている。さらに接点は、縦長の一次ランスを有していて、該一次ランスは、ハウジングの長手方向軸線に対して直交する方向で一次ランスに力が作用しない第1の状態において、該一次ランスのロック部分領域が、少なくとも部分的に側部においてハウジングを越えて突出している。このとき一次ランスの第1の端部が、ハウジング内部においてハウジングに結合されている。ハウジングは、側部の開口を有しており、一次ランスのロック部分領域は、第1の状態において側部の開口を貫いて突出している。そしてハウジングは開口に接触面を有している。一次ランスのロック部分領域と接触面とは、ロック部分領域に対して第2の状態において押込み方向に力が作用した場合に、ロック部分領域が接触面に接触するように、構成されかつ相対的に配置されている。押込み方向において作用するこのような力は、例えば、接点に圧着結合されているケーブルに対して押し込み方向とは逆向きに引張り力が加えられ、これにより接点室内においてロックされたロック部分領域が押込み方向における力を被った場合に、発生することがある。このときハウジング開口における接触面及びロック部分領域は、押込み方向に作用する力の少なくとも一部が接触面に伝達されるように構成されていることが望ましい。
【0009】
このように構成された接点に対する思想は、一次ランスの特殊な構成によって、ハウジング内部への一次ランスのばね弾性的な進入のための機能領域と、引出し力の受け止めによる接点室における接点の保持のための機能領域とを、機能的及び場所的に分離することができる、ということに見いだすことができる。ハウジング開口における接触面は、該ハウジング開口と該ハウジング開口を貫いて突出するロック部分領域との共働によって、力全体を面状に分配すること、ひいては大きな引出し力を面状に分配することができる。このような引張り力は、汎用の接点におけるように主として、部分的に変形可能な一次ランス自体と接点のハウジングにおける一次ランスの固定部に対して作用するのではなく、開口における剛性のハウジング縁部によって受け止めることができる。このことには、ハウジング内部において一次ランスの残っている領域には、極めて小さな力しか作用せず、ひいては大きな引出し力作用時におけるランスの塑性変形又はそれどころか破損を阻止することができる、という利点がある。このように構成されていると、さらに、特に、小型の構造形態において、極めて大きな引出し力をも受け止めることができる。
【0010】
開口の縁部に設けられた接触面を、一次ランスのロック部分領域に効果的に係合させることができるようにするために、一次ランスは、押込み方向に力が加えられる第2の状態においてハウジングを越えて側方に突出するロック部分領域の一部と、一次ランスの、ハウジング内部内に配置された部分とが、押込み方向において接触面を越えて突出するように構成されていてよい。
【0011】
言い換えれば、一次ランスは、押込み方向に例えば湾曲部を有することができ、この湾曲部の内部領域は、力が押込み方向において作用した場合に、ハウジングの開口の縁部における接触面を受け止める。このとき力によって一次ランスのロック部分領域は、押込み方向において押し込まれて、開口の縁部に押圧され、その結果、力は少なくとも部分的に接触面に作用し、ハウジング縁部に伝達される。このことは、一次ランス自体が僅かなシフト又は変形時に、ハウジングとの十分に大きな接触面を形成し、ハウジング内部へのロック部分領域の不都合な滑り込み又は内方への屈曲が阻止される、という利点を有することができる。このようにして、引出し力をほぼ完全にハウジングに導くことができ、ひいては一次ランスの負荷を軽減するために寄与することができる。別の可能な利点としては、これによって、機械的な特性を劣化させることなしに、一次ランスの材料及びスペースを大幅に節減して設計することができるということがある。
【0012】
ハウジングは、接触面の領域に肉厚部を有していてよく、この肉厚部は、有効接触面を増大させる。この大きな接触面によって、作用する引出し力をより良好に面状に分配することができ、接触面の変形、シフト又は摩耗の蓋然性を減じることができる。これによって増大された接触面は、より大きな引出し力を受け止めることができる。
【0013】
ロック部分領域は、ハウジングを越えて側方に最大に突出している領域に滑走面を有しており、該滑走面は押込み方向において、ハウジングの表面に対して斜めに下降するように配置されていてよい。このように構成されていると、接点室への接点の押込み時に、押込み方向とは逆向きに滑走面に沿って一次ランスに対して接点室の壁が滑走することによって、僅かな力しか必要でなくなる。これによって一次ランスに対してハウジング内部に向かっての力、つまり一次ランスをハウジング内部に変向する力が生ぜしめられる。
【0014】
本発明の好適な態様では、一次ランスは、該一次ランスの固定された第1の端部とロック部分領域との間の弾性部分領域に、ロック部分領域におけるよりも、ハウジングの長手方向軸線に対して直交する方向に大きな弾性を有している。このように構成されていると、接点の押込み時に一次ランスを、小さな力による弾性部分領域の変形により、内方に向かって変位させることができ、かつ同時に高められた引出し力のためにロック部分領域を剛性に設計することができる。
【0015】
弾性部分領域及びロック部分領域は、曲げられていてよく、該ロック部分領域は、好ましくは弾性部分領域よりも小さな曲率半径を有している。この異なった曲率半径によって、一次ランスの領域において異なった剛性を得ることができる。屈曲部の幾何学的及び材料技術的な構成が異なっていることによって、特に、接点室内への押込み及び係止時に、一次ランスの滑走特性及びばね弾性特性に影響を及ぼすことができる。
【0016】
別の好適な態様では、ロック部分領域は、前記ハウジングの長手方向軸線に沿った切断平面においてΩ形状をしている。この形状は、上に述べた機能の転換を効果的にかつスペースを節減して可能にすることができる。このときΩ形状のロック部分領域の前側領域は、押込み方向における押圧時に、ハウジング開口における接触面と共働することができる。Ω形状のロック部分領域の後ろ側領域は、ロック部分領域が押込み方向における押圧時に強く変形してハウジング開口から外に滑り出て、これによって押込み方向に作用する力を受け止める能力が減じられることを阻止することができる。
【0017】
さらに、ロック部分領域は、ハウジングの長手方向軸線に対して直交する方向における切断平面においてU字形をしていてよい。このように構成されていると、極めて剛性の成形部を、ロック部分領域の領域において形成することができ、このとき一次ランスのばね弾発特性には、例えば、好ましくは平らな弾性部分領域とU字形のロック部分領域との間における移行部の形式及び構成と、弾性部分領域の長さとによって、影響を及ぼすことができる。
【0018】
さらに別の態様では、一次ランスは、ハウジング内部に配置された第2の端部を有していて、該第2の端部は押込み方向とは逆向きにハウジングの内部において、ハウジングの側部の開口の縁部を越えて延びている。この第2の端部の利点は、一次ランスが開口から滑り出る又は曲がって出ることを追加的に阻止すること、及び極めて大きな引出し力発生時に一次ランスのロック部分領域が屈曲によって塑性変形することを阻止できることにある。このとき第2の端部は、力が押込み方向においてロック部分領域に作用した場合に、ハウジング凹部の内側において後縁部に支持されることができ、ひいては一次ランスが片持ち式に突出した第2の端部において、ハウジングの内部から滑り出すこと、さらには最悪の場合、一次ランスが強く変形されてしまうことを阻止する。これにより、この第2の端部を用いて、受け止めることができる最大引出し力をさらに増大させることができる。
【0019】
さらに付言すれば、本発明に係る接点もしくはコネクタの実施形態の種々様々な特徴及び利点がここに記載されている。当業者は、これらの特徴を適宜互いに組み合わせて、さらなる有利な構成、作用及び相乗効果が得られることを認識する。
【0020】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。なお以下の説明及び図面は、本発明を制限するものと見なすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】プラグインコネクタ用の本発明に係る接点の第1実施形態を示す斜視図である。
【
図3】プラグインコネクタ用の本発明に係る接点の別の実施形態を長手方向において断面して示す断面図である。
【
図4】U字形のロック部分領域を備えた、プラグインコネクタ用の本発明に係る接点の別の実施形態を示す斜視図である。
【
図5】U字形のロック部分領域を備えた、プラグインコネクタ用の本発明に係る接点の別の実施形態を長手方向において断面して示す断面図である。
【0022】
本発明の実施の形態
図1には、コネクタ1の1実施例が示されており、このコネクタ1は、機械的及び電気的に対応する対応コネクタ(
図1には図示せず)との組合せのために設計されていてよい。コネクタ1は、例えば、複数のケーブルを互いに又は1つのワイヤハーネスを自動車における制御装置に、機械的及び電気的に接続するために使用することができる。コネクタ1は、各接点及び接点室を備えた個々のプラグインコネクタを多数有しており、これらのプラグインコネクタはそれぞれ導電体のための接続部を形成している。
【0023】
コネクタ1は、ハウジング上側部分3とハウジング下側部分4とを有しており、このハウジング上側部分3とハウジング下側部分4とは、係止舌片5を介して互いに機械的に結合することができる。ハウジング上側部分3とハウジング下側部分4との間には、マットシール8が配置されている。ハウジング上側部分3には、各導電体を機械的に安定させるための貫通孔6が設けられており、ハウジング下側部分4には、所属の接点室7が設けられている。ケーブル及びケーブル端部に固定された接点(
図1には図示せず)は、ハウジング上側部分3における貫通孔6とマットシール8とを貫いてハウジング下側部分4に導入され、接点室7において係止固定される。
【0024】
図2には、本発明の1実施形態による、ハウジング12と圧着領域(Crimpbereich)42とから成る接点10が斜視図で示されている。圧着領域42は、導電体を機械的及び電気的に圧着固定(Crimpen)によって接点10に接続するのに役立つ。ハウジング12は、横断面で見て、角張った形状、円形形状又は面取りされた形状を有することができる。ハウジング12は、押込み方向18において縦長の形状を有している。ハウジング12は、ハウジング内部16を取り囲んでいる。図面を見易くするために、ハウジング12の一部は、側部を開放して示されている。
【0025】
一次ランス14が、ハウジング12にハウジング内部16において取り付けられていて、部分的にいわゆるロック部分領域24によって、開口28を貫いてハウジング12から側方に突出している。このとき突出している部分の前側接触領域29は、ハウジング12の開口28に形成された肉厚部32の近傍に位置している。
【0026】
図3には、本発明の1実施形態による接点10の詳細な構造が長手方向における断面図で示されており、
図3に示した状態において接点10は、プラグインコネクタの接点室20に押し込まれてロックされている。このときハウジング12が有する開口28を貫いて、一次ランス14が案内されており、この一次ランス14はその第1の端部26でハウジング12の内部において固定されている。ハウジング12と一次ランス14とは一体に形成されていてよく、例えば同一の金属薄板から打ち抜かれ、かつ/又は曲げられていてよい。一次ランス14は、ハウジング内部16における種々異なった箇所において、ハウジング12に、例えば内側の側壁又は端壁に結合されていてよい。一次ランス14は、弾性部分領域38とロック部分領域24とに分けられている。ここではΩ形状に形成されたロック部分領域24は、片持ち式の自由端部である第2の端部40と、差込み方向において接触領域29とを有しており、この接触領域29は、ハウジング12の肉厚部32の近傍に位置している。
【0027】
接点室20内への接点10の押込み時に、接点室20の縁部は一次ランス14の滑走面36に沿って滑り、押込み方向18に対して横方向の力を生ぜしめ、この力は、一次ランス14をハウジング12の内部16へと変位させる。接点10が接点室20の内部においてその最終ポジションに達すると、一次ランス14のロック部分領域24は、ばね弾性的に弾発して接点室20における凹部35内に係止する。
【0028】
押込み方向18とは逆向きに接点10に対して引出し力が作用すると、ロック部分領域24は係止された状態において、接点室20の凹部35の壁に押し付けられる。押込み方向18において発生する反力は、ロック部分領域24を介して少なくとも部分的に、ハウジング12の開口28における接触面30に導かれる。これによって、引出し力が一次ランス14を、特にその容易に屈曲可能な弾性部分領域38において又はハウジング12への接続部において、過度に屈曲すること又は損傷することを、回避することができる。
【0029】
ロック部分領域24は、例えば高い引出し力振幅を回避するための「軟らかい」ストッパを得るために、引出し力の作用時に押込み方向18とは逆向きに接点10の制限された弾性的なばね弾発作用が得られるように、構成されてよい。
【0030】
ハウジング12の肉厚部32は、この力を大きな接触面30に分配することを可能にする。開口28におけるハウジング壁の肉厚部は、例えばハウジング壁の折り曲げ又は縁曲げ(Krempen)によって得ることができる。このとき例えば、開口28のために打ち抜かれた材料を使用することも可能である。
【0031】
一次ランス14のロック部分領域24は、別の実施形態によれば、最大の引出し力を上回った場合、ロック部分領域24が、ひいては一次ランス14がハウジング内部16に押し込まれるように構成することができる。このことは、接点室20からの接点10の解除又はロック解除を可能にし、これによって、極めて大きな引出し力によって接点が機械的に損傷することを回避することができる。同様に、この変化形態は、保守又は修理のため、例えば損傷したケーブル又は接点10の交換のために好適である。
【0032】
一次ランス14が肉厚部32及び接触面30の領域において押込み方向18に湾曲していることによって、開口28の縁部及び肉厚部32における一次ランス14の確実なセットが可能になり、これによって、場合によっては生じるロック部分領域24のシフト又は回動時にも、接触面30の領域における一次ランス14の可能な限り最高の接触、ひいては可能な限り大きな接触面30を可能にすることができる。弾性部分領域38における一次ランス14の大きな半径によって、接点室20内への接点10の差込み又は装着時に、弾性的な変化範囲内における比較的小さな力が可能になる。
【0033】
一次ランス14を、ハウジング内部16への一次ランス14の軽い緊縮動作のための弾性部分領域38と、引出し力を受け止めるためのロック部分領域24とに分割することによって、両方の領域38,24は機能及び力技術的に分けられ、別個に相応の機械的な要求に適合させることができる。
【0034】
図4には、本発明の別の実施形態が斜視図で示されており、この実施形態では、ロック部分領域24はU字形に形成されている。一次ランス14の特性、特に、ハウジング内部16に向けられた力が作用した場合における一次ランス14の弾性には、ロック部分領域24と弾性部分領域38との間における移行部の構成、並びに弾性部分領域38の長さによって、影響を与えることができる。ロック部分領域24を備えた一次ランス14は、例えば、打ち抜かれかつ曲げられた金属薄板から製造することができる。ロック部分領域24のU字形の成形部は、極めて高い剛性の成形部を形成しており、このような成形部は、例えば極めて大きな引出し力を受け止めるのに適することができる。
【0035】
図5には、
図4に示した接点10の実施形態が、長手方向における二次元の断面図で示されている。ロック部分領域24はU字形成形部として設計されている。図示の状態において接点10のハウジング12は、接点室20においてロックされている。一次ランス14は、端部26でハウジング12の内部において固定されている。接点室20内への接点の押込み時に、一次ランス14は、接点室20の内壁が滑走面36に沿って滑ることによって、ハウジング内部16に向かって変位させられる。引出し力の作用時に、一次ランス14はそのロック部分領域24の接触領域29で、ハウジング12の接触面30に支持され、これによって引出し力を受け止めることができる。