(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933855
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】搬送ライン上の圧延製品又は鋳造製品の横のガイドをするための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B21B 39/14 20060101AFI20160602BHJP
B21B 39/00 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
B21B39/14 D
B21B39/14 E
B21B39/00 J
【請求項の数】24
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-550045(P2015-550045)
(86)(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公表番号】特表2016-501728(P2016-501728A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】EP2013077679
(87)【国際公開番号】WO2014102189
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2015年7月15日
(31)【優先権主張番号】102012224505.7
(32)【優先日】2012年12月28日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】シリング・モーリッツ
(72)【発明者】
【氏名】キッピング・マティアス
(72)【発明者】
【氏名】クンツェ・フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ザイデル・ユルゲン
【審査官】
池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−189010(JP,A)
【文献】
特開平10−005842(JP,A)
【文献】
実開昭61−200604(JP,U)
【文献】
特開2013−128978(JP,A)
【文献】
特表2012−512746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 39/00
B21B 39/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のガイドルーラ(4)及び第2のガイドルーラ(5)を有し、これらガイドルーラ(4,5)が、互いに向かい合うように搬送ライン(3)の両側に配置され、搬送ライン(3)の幅の方向への移動のためにそれぞれ少なくとも1つのアクチュエータ(6)と結合され、このアクチュエータが、圧延製品又は鋳造製品(2)の搬送方向(7)に対して垂直に操作可能であり、第1のガイドルーラ(4)及び第2のガイドルーラ(5)は、それぞれ付設されたアクチュエータの操作により、互いに依存せずに、それぞれ、搬送ライン(3)の幅の方向に移動させること及び付属するその長手方向軸(4L,5L)を圧延製品又は鋳造製品(2)の搬送方向(7)に対して任意の角度(α)に調整することができる、搬送ライン(3)上のストリップ、スラブ等の形態の圧延製品又は鋳造製品(2)の横のガイドをするための装置(1)において、
第1及び第2のガイドルーラ(4,5)が、それぞれ2つのコンタクトローラ(8)を備え、これらコンタクトローラ(8)が、それぞれ、対応するガイドルーラ(4,5)の入側の終端(9)及び出側の終端(10)に取り付けられ、圧延製品又は鋳造製品(2)を案内するため及び/又はその幅の縮小のために圧縮するために、対応するガイドルーラ(4,5)の移動により圧延製品又は鋳造製品(2)の側縁と接触可能であること、
第1のガイドルーラ(4)及び第2のガイドルーラ(5)が、関節式結合部(11)を介して、それぞれ付設されたそのアクチュエータ(6)と結合されていること、
及び、
第1のガイドルーラ(4)及び第2のガイドルーラ(5)のために、それぞれ1つのアクチュエータ(6)が設けられ、このアクチュエータが、フレーム(13)に対して傾斜不能であり、圧延製品又は鋳造製品(2)の搬送方向(7)に対するガイドルーラ(4,5)の長手方向軸(4L,5L)の角度(α)を調整するために、関節式結合部(11)の領域に、ガイドルーラ(4,5)の回転運動のためのサーボモータが設けられていること、又は、第1のガイドルーラ(4)及び第2のガイドルーラ(5)のために、それぞれ2つのアクチュエータ(6)が設けられ、これらアクチュエータが、対応するガイドルーラ(4,5)と関節式(11)に結合され、互いに間隔を置いて配置され、そして互いに依存せずに制御可能であり、圧延製品又は鋳造製品(2)の搬送方向(7)に対するガイドルーラ(4,5)の長手方向軸(4L,5L)の角度(α)を調整するために、一方のアクチュエータ(6)が、フレーム(13)に対して傾斜不能であり、他方のアクチュエータ(6)が、フレーム(13)に対して傾斜可能であること、
を特徴とする装置(1)。
【請求項2】
1つの別のコンタクトローラ(8)が、第1及び第2のガイドルーラ(4,5)において、その中心領域(4M,5M)に取り付けられていること、を特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
第1のガイドルーラ(4)及び第2のガイドルーラ(5)のために、それぞれ2つのアクチュエータ(6)が設けられ、ガイドルーラ(4,5)とのこれらアクチュエータ(6)の少なくとも一方の関節式結合部(11)が、ガイドルーラ(4,5)に取り付けられたコンタクトローラ(8)の軸(12)に対して同軸に又は隣接するように配置されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
ガイドルーラとの両アクチュエータ(6)の関節式結合部(11)が、それぞれガイドルーラの入側の終端(9)に取り付けられたコンタクトローラ(8)及びガイドルーラ(4,5)の出側の終端(10)に取り付けられたコンタクトローラ(8)の軸(12)に対して同軸に又は隣接するように配置されていること、を特徴とする請求項3に記載の装置(1)。
【請求項5】
両アクチュエータ(6)の少なくとも一方が、そのガイドルーラ(4,5)とは反対側を、旋回可能な支承部(14)によってフレーム(13)と結合され、ガイドルーラ(4,5)が、圧延製品又は鋳造製品(2)の搬送方向(7)に対して垂直に移動可能なスラストガイド(15)と関節式に結合され、両アクチュエータ(6)の他方が、スラストガイド(15)と作用結合していること、を特徴とする請求項3又は4に記載の装置(1)。
【請求項6】
ガイドルーラ(4,5)とのスラストガイド(15)の関節式結合部(11)が、ガイドルーラの中心領域(4M,5M)に設けられているか、ガイドルーラ(4,5)とのスラストガイド(15)の関節式結合部(11)が、ガイドルーラの入側又は出側の終端(9,10)の領域に設けられており、この場合、ガイドルーラの同じ箇所に取り付けられたコンタクトローラ(8)の軸(12)に対して同軸に又は隣接するように配置されていること、を特徴とする請求項5に記載の装置(1)。
【請求項7】
アクチュエータ(6)が、圧力トランスデューサ(17)によって力制御されるように及び/又はストロークトランスデューサ(18)によってストローク制御されるように制御可能であること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項8】
少なくとも1つのセンサ装置(19)が設けられ、このセンサ装置により、搬送ライン(3)上の圧延製品又は鋳造製品(2)の実位置及び/又は実形状が検出可能であり、搬送ライン(3)の幅に対して圧延製品又は鋳造製品(2)を所望の基準位置もしくは基準形状に調整するために、ガイドルーラのためのアクチュエータ(6)が、制御装置(20)によって圧延製品又は鋳造製品(2)の検出された実位置もしくは実形状に依存して制御可能であること、を特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項9】
コンタクトローラ(8)が別々に駆動可能であり、コンタクトローラ(8)が、油圧式、空気圧式又は電気機械式の駆動装置を装備され、第1のガイドルーラ(4)及び/又は第2のガイドルーラ(5)に取り付けられた全てのコンタクトローラ(8)が駆動可能であること、を特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項10】
圧延製品又は鋳造製品(2)の搬送方向(7)のガイドルーラ(4,5)の長さが、10メートル未満であること、を特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項11】
サイドガイド装置(10)が、第1のガイドルーラ(4)及び第2のガイドルーラ(5)を有し、これらガイドルーラ(4,5)が、互いに向かい合うように搬送ライン(3)の両側に配置され、搬送ライン(3)の幅の方向への移動のためにそれぞれ少なくとも1つのアクチュエータ(6)と結合され、このアクチュエータが、圧延製品又は鋳造製品(2)の搬送方向(7)に対して垂直に操作可能であり、第1及び第2のガイドルーラ(4,5)は、搬送ライン(3)上の圧延製品又は鋳造製品(2)の実位置に依存して、アクチュエータ(6)により、互いに依存せずに、それぞれ、搬送ライン(3)の幅の方向に移動させること及び付属するその長手方向軸(4L,5L)を圧延製品又は鋳造製品(2)の搬送方向(7)に対して任意の角度(α)に調整することができる、請求項1〜10のいずれか1項に記載のサイドガイド装置(10)によって搬送ライン(3)上のストリップ、スラブ等の形態の圧延製品又は鋳造製品(2)の横のガイドをするための方法において、
少なくともガイドルーラ(4,5)の入側の終端(9)及び出側の終端(10)がそれぞれ1つのコンタクトローラ(8)を備え、これらコンタクトローラ(8)が、搬送ライン(3)の幅の方向へのガイドルーラ(4,5)の調整により、圧延製品又は鋳造製品(2)を案内する及び/又はその幅の縮小のために圧縮するために、圧延製品又は鋳造製品(2)の側縁と接触させられ、側縁に沿って転動すること、を特徴とする方法。
【請求項12】
搬送ライン(3)上の圧延製品又は鋳造製品(2)がサイドガイド装置(1)に達する前に、ガイドルーラ(4,5)の入側の終端(9)が、互いに相対的に、ガイドルーラ(4,5)の出側の終端(10)よりも広く間隔を置かれ、これにより、ガイドルーラ(4,5)が、その長手方向軸(4L,5L)を、圧延製品又は鋳造製品(2)の搬送方向(7)にホッパの形態で配置されていること、を特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
圧延製品又は鋳造製品(2)が、その前方の端面でもって、少なくともガイドルーラ(4,5)の入側の終端(9)を通過した後に、両ガイドルーラ(4,5)が、互いに平行に位置決めされること、を特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
搬送ライン(3)上の圧延製品又は鋳造製品(2)がサイドガイド装置(1)に達する前、又は、圧延製品又は鋳造製品(2)がガイドルーラ(4,5)の入側の終端(9)を通過した直後に、ガイドルーラ(4,5)の出側の終端(10)が、互いに相対的に、ガイドルーラ(4,5)の入側の終端(9)よりも広く間隔を置かれ、これにより、ガイドルーラ(4,5)が、その長手方向軸(4L,5L)を、圧延製品又は鋳造製品(2)の搬送方向(7)とは逆方向にホッパの形態で配置されていること、を特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
圧延製品又は鋳造製品(2)が、その前方の端面でもって、ガイドルーラ(4,5)の出側の終端(10)を通過した後に、両ガイドルーラ(4,5)が、互いに平行に位置決めされること、を特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1のガイドルーラ(4)及び第2のガイドルーラ(5)が、互いに平行に位置決めする際に、圧延製品又は鋳造製品(2)の側縁と接触するか、圧延製品又は鋳造製品(2)の側縁に対して所定の間隔で配置されること、を特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
ガイドルーラ(4,5)が、その長手方向軸(4L,5L)を、それぞれ圧延製品又は鋳造製品(2)の搬送方向(7)に対して実質的に平行に整向されるか、ガイドルーラ(4,5)が、そのそれぞれの長手方向軸(4L,5L)を、圧延製品又は鋳造製品(2)の搬送方向(7)に対してそれぞれ所定の角度(α)で整向され、これにより、圧延製品又は鋳造製品(2)が、搬送方向(7)に対して傾斜させられること、を特徴とする請求項13又は15又は16に記載の方法。
【請求項18】
アクチュエータ(6)が、ガイドルーラ(4,5)を移動させるために、制御装置(20)によってストローク制御及び/又は力制御されるように制御され、アクチュエータ(6)の制御が、制御装置(20)によって行なわれること、を特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
ガイドルーラ(4,5)の調整により、圧延製品又は鋳造製品(2)に、搬送ライン(3)上で回転させるためのトルク及び/又は搬送ライン中心(3M)に対して移動させる及び/又は幅の縮小のために圧縮するための横力が加えられること、を特徴とする請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
アクチュエータ(6)は、第1及び/又は第2のガイドルーラ(4,5)を移動させるために、ガイドルーラ(4,5)の圧延製品又は鋳造製品(2)との接触時にその側縁に加えられる力が所定の限界値を上回らないように制御されること、を特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ガイドルーラ(4,5)の位置がストロークトランスデューサ(18)によって及び/又は搬送ライン中心(3M)に対する圧延製品又は鋳造製品(2)の実位置が少なくとも1つのセンサ装置(19)によって検出され、制御装置(20)に送信され、搬送ライン(3)の横の周縁領域(3R)に対するこれらの位置に関する所定の限界値を下回った時に、ガイドルーラ(4,5)が搬送ライン中心(3M)の方向に鋳造製品(2)を戻すもしくは移動させるように、アクチュエータ(6)が制御装置(20)によって制御されること、を特徴とする請求項18〜20に記載の方法。
【請求項22】
搬送ライン(3)に対するガイドルーラ(4,5)の位置が持続的に監視され、これら位置データに基づいて、サイドガイド装置(1)の下流の搬送ライン(3)上の所定の幅及び長さにわたる圧延製品又は鋳造製品(2)の位置が決定されること、を特徴とする請求項12〜21に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの測定装置(19)が設けられ、この測定装置により、搬送ライン(3)上の圧延製品又は鋳造製品(2)の実位置もしくは実形状が決定され、この少なくとも1つの測定装置(19)が、距離計として形成され、圧延製品又は鋳造製品(2)の側縁が鋳造製品(2)の長さにわたって基準平面又は基準点に対して相対的に検出されるように備えられ、これにより、圧延製品又は鋳造製品(2)が、完全に搬送ライン(3)上で位置測定され、これに基づいて、搬送ライン(3)の幅に対する圧延製品又は鋳造製品(2)の所望の基準位置もしくは基準形状を達成するように、ガイドルーラ(4,5)のためのアクチュエータ(6)が制御されること、を特徴とする請求項11〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
圧延製品又は鋳造製品(2)に付加的な駆動力をその搬送方向(7)に加えるために、コンタクトローラ(8)が別々に駆動されること、を特徴とする請求項11〜23のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の搬送ライン上のストリップ、スラブ等の形態の圧延製品又は鋳造製品の横のガイドをするための装置と、請求項
11の上位概念に記載の相応の方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、搬送ラインもしくは圧延トレイン上のストリップもしくはスラブが横をガイドされ、搬送ラインの幅に対して整向され得る、ストリップ、スラブ等の形態の圧延製品又は鋳造製品用のサイドガイドが公知である。このようなサイドガイドは、向かい合うガイドルーラを有するローラガイド又は平行ガイドを備えることができるが、しかしながらこれには、コンセプト的な欠点が結びついている。
【0003】
国際公開第2010/149192号パンフレットから、付属するサイドガイドが、互いに向かい合うように配置された多数のガイドローラ対から成る、スラブを処理するための方法及び装置が公知である。ここのローラは、アクチュエータによりスラブの方向に移動させることができる。これにより、スラブは、異なった側で、搬送ラインもしくは圧延トレイン内で調心することができる。それぞれのガイドローラ対は、比較的広く互いに間隔を置かれ、特に処理装置の異なった側に配置されている。
【0004】
例えば国際公開第2010/149192号パンフレットから又は特開昭61−222626号公報からからも公知であるガイドローラ対は、ガイドローラ対だけがスラブもしくはスラブヘッドと係合している間は、スラブに未だ所定のトルクを作用させることができないとの欠点を有する。これは、結果として、スラブがガイドローラ対の間で圧延トレインの幅の方向に移動されるが、一定に回転させることができないことを伴う。トルクは、下流で後続のガイドローラ対がスラブと係合した時に初めて、スラブに適用することができる。ガイドローラ対が比較的広く互いに間隔を置かれている場合には、スラブは、搬送時にこれら両ガイドローラ対の間で不利なことに適切に圧延トレイン上で回転させることはできない。換言すれば、スラブへのトルクの適用は、遅れて初めて、即ちスラブヘッドが別のガイドローラ対と係合した後に初めて、可能であるということである。ガイドローラ対のこのような直列接続の更なる欠点は、スラブヘッドがガイドローラ対の間で横に延在する点にあるが、それは、スラブが、この領域で横をガイドされないからである。
【0005】
ローラガイドに対して選択的に、例えば独国特許第43 10 547号明細書、独国特許第41 29 988号明細書又は国際公開第2011/080174号パンフレットに示されているように、圧延トレイン上のスラブをガイドルーラによって整向することも公知である。スラブの側縁に向かって移動されるこのようなガイドルーラによるスラブの横のガイドは、ガイドルーラとスラブの間の力が場合によっては、スラブの搬送中断もしくは“引掛り”を生じさせることがある高い摩擦を惹起するので、不利である。しかしながら、スラブが引き続きローラテーブルローラによって駆動され、例えばドライバ又はロールスタンドによる更なる引張力を受けない場合、“サイドガイド”の工程では、言及したスラブの引掛りを防止するために、スラブに対して僅かな摩擦しか許容可能でない。
【0006】
従来のガイドルーラの別の欠点は、これらガイドルーラが通常は非常に長く形成され、これが設備長さにマイナスに作用する点にある。これに関係して、ガイドルーラが、例えば独国特許第43 10 547号明細書に示されているように供給ホッパを構成するが、この供給ホッパは、スラブヘッドがガイドホッパを既に通過しており、引き続き供給ホッパがもはや必要とされない場合には、ガイド長さとして働かないことも不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2010/149192号パンフレット
【特許文献2】特開昭61−222626号公報
【特許文献3】独国特許第43 10 547号明細書
【特許文献4】独国特許第41 29 988号明細書
【特許文献5】国際公開第2011/080174号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の根底にある課題は、搬送方向で後続の構成要素と圧延製品又は鋳造製品の衝突を防止する及び/又は搬送ライン上での中心の搬送を保証するために、圧延製品又は鋳造製品に対して、搬送ライン上での調心と、トルクの適用による適切な整向が、短時間で搬送ラインの短いルート区間を介して可能であるように、搬送ライン上の圧延製品又は鋳造製品の横のガイドをするための装置及び方法を最適化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1の特徴を有する装置及び請求項
11の特徴を有する方法によって解決される。本発明の有利な発展形は、従属請求項で定義されている。
【0010】
本発明による装置は、第1及び第2のガイドルーラを有し、これらガイドルーラは、互いに向かい合うように搬送ラインの両側に配置され、搬送ラインの幅の方向への移動のためにそれぞれ少なくとも1つのアクチュエータと結合され、このアクチュエータは、圧延製品又は鋳造製品の搬送方向に対して垂直に操作することができる。第1のガイドルーラ及び/又は第2のガイドルーラは、そのそれぞれの長手方向軸を、鋳造製品の搬送方向に対して所定の角度で位置決めもしくは配置することができる。付加的又は選択的に、第1のガイドルーラ及び/又は第2のガイドルーラは、互いに比較すれば、搬送ライン中心に対して異なった間隔で配置することができる。更に、第1のガイドルーラ及び/又は第2のガイドルーラは、少なくとも1つのコンタクトローラを備え、このコンタクトローラは、圧延製品又は鋳造製品の方向へのガイドルーラの移動時に、即ち圧延製品又は鋳造製品をガイドするため及び/又はその幅を圧縮により縮小するために、鋳造製品の側縁と接触させることができる。
【0011】
本発明による方法は、前記装置に一致するサイドガイド装置によって実施され、このサイドガイド装置は、第1のガイドルーラ及び第2のガイドルーラを有し、これらガイドルーラは、互いに向かい合うように搬送ラインの両側に配置され、搬送ラインの幅の方向への移動のためにそれぞれ少なくとも1つのアクチュエータと結合され、このアクチュエータは、鋳造製品の搬送方向に対して垂直に操作することができる。搬送ライン上の鋳造製品の実位置を検出するため、オプションで少なくとも1つのセンサ装置を設けることができる。搬送ライン上の鋳造製品の実位置に依存して、第1のガイドルーラ及び第2のガイドルーラは、互いに依存せずに、それぞれ付属するその長手方向軸を、圧延製品又は鋳造製品の搬送方向に対して所定の角度で位置決めされるように、アクチュエータによって調整される。補足的又は選択的に、ガイドルーラは、搬送ライン中心に対して異なった間隔で配置することができる。
【0012】
本発明は、鋳造製品にとっても、圧延製品にとっても、同様に適している。従って、以下ではこのために常に概念“製品”が使用される。
【0013】
本発明の根底にある重要な認識は、ガイドルーラに対して、特に搬送ライン上の製品の其々の実位置に依存して、それぞれ製品の搬送方向に対するその長手方向軸を所定の傾斜角度に調整できることにある。これにより、互いに相対的もしくは製品に対して相対的なガイドルーラの可変の構成が可能である。ガイドルーラは、鋳造製品の前方の端面がガイドルーラの入側の終端を通過した後に、互いに、例えば鋳造製品の進入用のガイドホッパ又は平行ガイドを構成することができる。
【0014】
補足的又は選択的に、ガイドルーラが、アクチュエータの操作により、互いに比較して搬送ライン中心に対して異なった間隔を備えるように配置されることが可能である。これにより、製品が、搬送ライン中心に対して非対称に搬送ライン上のガイドルーラの領域を通過することが可能である。
【0015】
合目的に、ガイドルーラの傾斜角度は、搬送ライン上の製品の搬送中でも、即ちガイドルーラの傍の製品の移動時でも、調整することができる。これにより、横力もしくはトルクを製品に適用することが可能である。これにより更に、コンパクトな寸法を備える同じ構造空間内で、供給ホッパも構成し、平行ガイド又は簡単なローラサイドガイドとしても作用し得るサイドガイドが提供される。
【0016】
ガイドルーラにおけるコンタクトローラは、製品を圧縮する、即ち幅縮小を行なう、ために使用することができる。相応に、コンタクトローラ及び付属するガイドルーラのそれぞれ付設されたアクチュエータは、所望の幅縮小を達成するために、十分高い力を製品のサイドエッジもしくは側縁に加えるように、形成されている。このため合目的に、互いに向かい合うコンタクトローラがそれぞれのガイドルーラに設けられている。これは、製品に対して均等でコントロールされた幅縮小を生じさせ、付設されたアクチュエータの調整力は、好ましくは反対方向に延在し、値が同じ時に相互に相殺される。
【0017】
対応するガイドルーラに対する所定の傾斜角度への調整は、各ガイドルーラがそれぞれ2つのアクチュエータを関節式に結合され、これら関節式結合部(玉継手)は、ガイドルーラの入側及び出側の終端に設けることができる。各ガイドルーラのための両アクチュエータが、互いに依存せずに製品の搬送方向に対して垂直に操作されることによって、製品の搬送方向に対して対応するガイドルーラの長手方向軸を所定の角度に調整することができる。これに対して選択的に、ガイドルーラ毎に1つのアクチュエータしか設けないことも可能であり、このアクチュエータは、ガイドルーラによって、例えばその中心領域で、関節式結合部と結合され、この関節式結合部は、ガイドルーラの回転運動のためのサーボモータ等を装備されている。選択的に、ガイドルーラ毎に2つのアクチュエータを、好ましくはそれぞれのガイドルーラの入側の終端及び出側の終端に設けることが可能である。サーボモータもしくは両アクチュエータの操作により、ガイドルーラは、説明したように、その長手方向軸を、製品の搬送方向に対して所定の角度で位置決めする及び/又は搬送ライン中心に対して所定の間隔で配置することができる。
【0018】
ガイドルーラに対するコンタクトローラの取付けは、これにより製品とガイドルーラの間の摩擦が更に低減されるとの利点を有する。本発明の有利な発展形では、コンタクトローラは、例えば油圧式、空気圧式又は電気機械式の駆動装置によって、別々に駆動することができる。これにより、ガイドルーラによって横力が製品の側縁に適用される場合に、ガイドルーラの間での製品の“引掛り”が生じないことが保証されている。
【0019】
ガイドルーラの間の製品の低摩擦のガイドは、コンタクトローラが、ガイドルーラの入側の終端にも出側の終端にも取り付けられていることによって、更に改善することができる。オプションで、コンタクトローラは、ガイドルーラの中心領域に配置することもできる。コンタクトローラがガイドルーラによって互いに結合されていることによって、コンタクトローラの間での製品の前方の端面の横の変化は、可能でない。
【0020】
ガイドルーラによるコンタクトローラの結合は、ガイドルーラのそれぞれの出側の終端に取り付けられたコンタクトローラの誤制御のリスクが、ガイドルーラのそれぞれの入側の終端に取り付けられたコンタクトローラへのガイドルーラによる機械的な連結のために低減もしくは排除されるとの更なる利点を有する。これは、前方のエッジがコンタクトローラの間へ達し、その間に配置されたガイドルーラとの接触が、製品の引掛り又は固着を防止することを意味する。
【0021】
ルーラガイドとローラガイドの組合せにより、ガイドルーラの全長を比較的短く形成することが可能である。ガイドルーラの長さは、製品の搬送方向に、10m未満、好ましくは6m未満、更に好ましくは4m未満とすることができる。ガイドルーラのこのような比較的短い長さは、製品のための搬送ラインもしくは圧延トレインのコンパクトな全体寸法に有利に作用する。
【0022】
本発明により、製品を搬送ライン上で個々に調心することが可能であるだけでなく、トルクの適用により搬送ラインの中心へ誘導することも可能である。このように、所定の位置決めで搬送ライン上の製品の無制限のガイドが可能である。その結果、搬送方向でガイドルーラの下流に配置された別の構成要素もしくは加工ステーションは、製品と衝突する前に適切に保護することができる。
【0023】
本発明の実施例を、以下で図式的に簡素化した図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明による製品の横のガイドをするための装置の概略平面図
【
図2】別の実施形態による本発明による装置の概略平面図
【
図3】搬送ライン上の製品の横のガイドをするための
図1の装置の運転状態
【
図4】搬送ライン上の製品の横のガイドをするための
図1の装置の運転状態
【
図5】搬送ライン上の製品の横のガイドをするための
図1の装置の運転状態
【
図6】搬送ライン上の製品の横のガイドをするための
図1の装置の運転状態
【
図7】搬送ライン上の製品の横のガイドをするための
図1の装置の運転状態
【
図8】異なった位置で搬送ラインに載っている製品の図式的に簡素化した平面図
【
図9】異なった位置で搬送ラインに載っている製品の図式的に簡素化した平面図
【
図10】異なった位置で搬送ラインに載っている製品の図式的に簡素化した平面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1には、搬送ライン3上のもしくは搬送ライン3に沿った鋳造製品2の横のガイドをすることができる本発明による装置が図式的に簡素化して示されている。搬送ライン3は、
図1では、一点鎖線によって簡素化して図示されているが、搬送ライン3は、圧延トレインの構成要素(ローラテーブル)とすることができる。この搬送ライン3の対称中心を、以下では搬送ライン中心と呼び、
図1では”3M”で示している。鋳造製品2は、ストリップ、スラブ又はそれ以外の圧延材とすることができる。ここで限定と見なすべきでないが、以下では鋳造製品2を常にスラブと呼ぶ。
【0026】
装置1は、第1のガイドルーラ4及び第2のガイドルーラ5を有する。これらガイドルーラ4,5は、搬送ライン3の両側に互いに向かい合うように配置されている。
図1では、“DS”もしくは“OS”で搬送ライン3の駆動側もしくは操作側が示されている。更にガイドルーラ4,5に関して、“A”で入側が、“B”で出側が示されている。これは、スラブ2がA側からガイドルーラ4,5の間へ搬送され、出側Bの方向にガイドルーラ4,5から再び出ることを意味する。出側Bの領域に、搬送ライン3の別の加工ステーションもしくは次の構成要素を設けることができ、“b”でこれら次の構成要素の幅が、“l”で長さが図示されている。
【0027】
ガイドルーラ4,5は、それぞれ、搬送ライン3の幅の方向へのガイドルーラ4,5の移動を保証するアクチュエータ6と接続されている。これらアクチュエータ6の形成及び対応するガイドルーラ4,5へのその接続は、搬送ライン3の両側で同じにすることができる。換言すれば、装置1は、搬送ライン中心3
Mに対して対称に構成されているということである。相応に、以下では駆動側DSのアクチュエータ6の形成だけを説明するが、これは、操作側OSに対しても同様に当て嵌まる。
【0028】
駆動側DSに配置された第1のガイドルーラ4のために、2つのアクチュエータ6が設けられ、これらアクチュエータは、互いに依存せずに操作することができる。アクチュエータ6は、例えば油圧シリンダとすることができる。両アクチュエータ6の制御が異なる場合、ガイドルーラ4の長手方向軸4Lが搬送方向と成す所定の角度α(
図3参照)に調整することができる。換言すれば、両アクチュエータ6の異なる制御により、搬送方向7に対するガイドルーラ4の傾斜角度を調整することができるということである。
【0029】
第1のガイドルーラ4には、コンタクトローラ8が、即ちその入側の終端9及びその出側の終端10に、取り付けられている。両アクチュエータ6は、それぞれ関節式結合部(玉継手)11を介して第1のガイドルーラ4と結合されている。アクチュエータ6は、そのガイドルーラ4との関節式結合部11が、間隔aを互いに備えるように配置されている。この場合、アクチュエータ6のそれぞれの操作ロッドを、第1のガイドルーラ4に枢着する関節式結合部11は、付属するコンタクトローラ8のそれぞれの軸12に対して同軸配置されている。この場合、例えば関節式結合部11と軸12は、1つの機能ユニットにまとめることができる。いずれにしても、ここで説明した実施形態のための関節式結合部11の回転軸と軸12は一致する。
【0030】
アクチュエータ6は、その第1のガイドルーラ4とは反対の側をフレーム13と関節式に、即ちそれぞれ、それぞれのアクチュエータ6のための旋回可能な支承部を構成するピボット軸受14を介して、結合されている。
【0031】
アクチュエータ6を第1のガイドルーラ4と結合する関節式結合部11とアクチュエータの反対側の前記ピボット軸受14を考慮して、ガイドルーラ4の所定の位置決めにとって、アクチュエータ6の少なくとも1つの、即ち入側の終端9と出側の終端10のどちらかにおけるアクチュエータの、操作が、搬送方向7に対して垂直な運動へ変換されることが重要である。
図1の実施形態の場合は、これが、スラブ2の搬送方向7に対して垂直な方向にスライド可能なスラストガイド15によって保証されている。ガイドルーラ4の出側の終端10に作用するアクチュエータ6は、この1つのガイド15と作用結合しており、即ち、これは、このアクチュエータのピストンロッドがスラストガイド15に適切に固定されていることによる。
【0032】
スラストガイド15は、最も簡単な方法では、適合させた滑走部内に案内された、円形の又は角のある横断面を有するロッド要素として形成することができる。選択的に、フレーム内で移動されるインサートに支承されたローラのガイドも可能である。第1のガイドルーラ4の出側の終端10におけるスラストガイドとアクチュエータ6の協働は、このアクチュエータ6がスラストガイド15のロッド要素と、例えば溶接又はネジ固定によって結合されていることによって生じさせることができる。相応に、このアクチュエータの操作は、スラスト方向16への、即ち搬送ライン3の中心の方向又はこれから離れる方向への、スラストガイド15の軸方向の移動を生じさせ、これにより、第1のガイドルーラ4の出側の終端10に取り付けられたコンタクトローラ8の搬送方向7に対して垂直な運動を生じさせる。
【0033】
説明したスラストガイド15に対して選択的に、例えばガイドルーラ
4の出側の終端10におけるアクチュエータ6をフレーム13におけるピボット軸受なしで所定の方向に固定することも可能であり、このアクチュエータ6の長手方向は、好ましくはスラブ2の搬送方向7に対して垂直に整向されている。このアクチュエータ6の操作ロッドは、この場合、前で説明したように関節式結合部11を介してガイドルーラ4の出側の終端10と関節式に結合されている。本発明にとって、フレーム13に対するアクチュエータ6の今述べた位置変更不能な固定も、搬送方向に対して垂直なガイドルーラとの付設された関節式結合部の移動を保証するスライドガイドの意味で理解すべきである。
【0034】
第1のガイドルーラ4の入側の終端9と出側の終端10におけるアクチュエータ6が、互いに異なるように操作される場合には、これから生じる、
図1の実施形態の場合はガイドルーラ4の入側の終端9と結合されたアクチュエータ6の傾斜は、関節式結合部11とピボット軸受14によって補償することができる。
【0035】
両アクチュエータ6の制御は、力制御式及び/又はストローク制御式で行なうことができる。このため、アクチュエータ6毎に圧力トランスデューサ17及びストロークトランスデューサ18が設けられている。
【0036】
搬送ライン3上のスラブ2の位置及び形状は、信号技術的に制御装置20と接続された(
図1では象徴的に簡素化して破線によって示されている)少なくとも1つの測定装置もしくはセンサ装置19によって検出することができる。このような測定装置は、好ましくは例えばレーザ距離計の形態の距離計等として形成することができる。
図1に示したような測定装置19の位置は、模範的でしかないと理解すべきである。これとは違い、測定装置19は、両ガイドルーラ4,5の間の中心でもガイドルーラ4,5の下流で出側Bの領域でも配置することができる。それぞれ制御装置20と接続された多数の測定装置19を搬送ライン3の異なった場所に設けることも可能である。少なくとも1つの測定装置19については、これが装置1のためのオプションの特徴であることがわかる。
【0037】
アクチュエータ6は、制御装置20によって適切に、即ちスラブ幅及び/又は圧力トランスデューサ17からの信号及び/又はストロークトランスデューサ18からの信号に依存して、制御される。このため、アクチュエータ6は、制御装置20と信号技術的に接続されており、これは、
図1では破線によって象徴的に簡素化して図示されている。
図1の実施形態に対してセンサ装置19も設けられている場合、アクチュエータの制御は、搬送ライン3上のスラブ2の、センサ装置19によって検出された実位置及び形状に依存しておこなうことができる。これに関係して、本発明の意味では、スラブ2の実位置及び形状が、搬送ライン3の幅と、搬送ライン3に沿った、即ち搬送方向7に沿った、位置の両方に対するものであると解されることを指摘したい。これは、結果として、搬送ライン3上のスラブ2を所望の基準位置に調整するために、ガイドルーラ4,5を移動させるためのアクチュエータ6の制御がスラブ2の検出された実位置及び実形状に依存して行なわれることを生じさせる。アクチュエータの寸法設定が十分な場合、スラブに適用される横力は、ガイドルーラ4,5もしくはこれに取り付けられたコンタクトローラ8との接触によりスラブ2が据え込まれ、従ってその幅が縮小されるほどの大きさとすることができる。
【0038】
図2には、本発明による装置1の別の実施形態が図示されている。この実施形態の構成は、
図1の実施形態と同様であり、対応する部品が同じ符号を備えている。簡素化のために、
図2の図には、センサ装置19及び制御装置20は示されていないが、これら構成要素は、
図2による実施形態の場合でも設けることができる。
【0039】
図2の実施形態は、第1のガイドルーラ4におけるスラストガイド15がその出側の終端10に枢着されているのではなく、
図2の図では更に左方へ、
入側の終端9の方向に移動されていることによって
図1の実施形態とは異なる。相応に、スラストガイド15と
第1のガイドルーラ4の間の関節式結合部11は、第1のガイドルーラ4の出側の終端10におけるコンタクトローラ8の軸12に対して同軸ではなく、第1のガイドルーラ4のほぼ中心領域4
Mに配置されている。アクチュエータ6と関係したスラストガイド15のこのような配置は、
図1の実施形態と比べて、コンパクトなデザインの利点を有する。それにもかかわらず、
図2の実施形態に対して、アクチュエータ6の異なった制御によりガイドルーラ4の旋回を可能にする機能メカニズムは、
図1の実施形態と比べて変わらずに同じであるので、繰り返しを回避するために
図1に関する説明を参照されたい。
【0040】
アクチュエータのガイドルーラとの関節式結合部の別の(示してない)形成は、
図1の両アクチュエータ6を交換することによってもたらすことができる。これは、アクチュエータ6が付設されたスラストガイド15がガイドルーラ4の入側の終端9と関節式に結合され、他方のアクチュエータが、ガイドルーラ4の出側の終端10に枢着され、ピボット軸受14を介してフレームと結合されていることを意味する。
【0041】
以下で、本発明による方法を実施するための装置1の可能な種々の運転状態を詳細に説明する。
【0042】
前で
図1に関係させて説明したように、4つのアクチュエータ6は、両ガイドルーラ4,5のために互いに依存せずに操作することができる。相応に、ガイドルーラ4,5は、搬送ライン3の幅の方向に移動させることも、その長手方向軸4
L,5
Lを搬送方向7に対して所定の角度に調整することもできる。これにより、ガイドルーラ4,5により、スラブ2を“捕獲”するためのホッパを構成することも、搬送ライン3上で個々に回転させるためにスラブ2に加えられるトルクを発生させることもできる。これは、ガイドルーラ4,5の種々の運転状態に関する
図3〜7に基づいて詳細に説明する。
【0043】
図3は、図式的に簡素化して
図1の実施形態による装置1の平面図を示す。
図3に示した運転状態では、ガイドルーラ4,5の入側の終端9が、互いに相対的に出側の終端10よりも広く互いに間隔を置いている。これは、結果として、ガイドルーラ4,5がその長手方向軸4
L,5
Lを搬送方向7に対して角度αで位置決めされていることを生じさせる。これにより、ガイドルーラ4,5によって、ホッパ長さl
tを備えるいわゆる供給ホッパが構成される。
図3の運転状態では、例えばスラブ2のヘッドを捕獲して調心することができる。ガイドルーラ4,5のその長手方向軸4
L,5
Lによる搬送方向7に対する調整された角度位置は、合目的に搬送ライン3上のスラブ2のそれぞれの幅及びその実位置に依存して選択される。
【0044】
説明した供給ホッパを有する
図3による運転状態は、好ましくはスラブ2の進入用に、即ちスラブ2の前方の端面がガイドルーラ4,5の入側の終端
9におけるコンタクトローラ8の横を進む時に、選択される。
図4は、スラブ2の前方の端面がガイドルーラ4,5の出側の終端におけるコンタクトローラ8も通過した後に、ガイドルーラ4,5のために調整することができる別の可能な運転状態を示す。その場合、アクチュエータ6は、ガイドルーラ4,5が平行に、即ち互いに相対的にも搬送方向7に対しても平行に、配置されるように操作される。この場合、ガイドルーラ4,5は、コンタクトローラ8がスラブ2の側縁と接触するまで、搬送ライン中心3Mの方向に移動されている。それ故、スラブ2は、搬送方向7への移動時にコンタクトローラ8に沿って進行することができる。
図4には、コンタクトローラ8の回転方向が、それぞれ湾曲した矢印によって図示されている。
【0045】
選択的に、ガイドルーラ4,5は、互いに平行に調整することができ、開放量、即ちガイドルーラ4,5の互いの間隔は、スラブ2の幅よりも大きく選択されている。これにより、コンタクトローラ8とスラブ2の側縁の間に間隙が生じる。
【0046】
装置1の別の可能な運転状態が、
図5の平面図に示されている。この運転状態は、
図3による運転状態に対して逆位であると理解すべきであり、両ガイドルーラ4,5は、その長手方向軸4
L,5
Lが、退出領域Bに向かって開放したホッパを構成するように、搬送方向7に対して傾けられている。この運転状態により、スラブ2がガイドルーラ4,5の入側の終端9におけるコンタクトローラ8の通過直後に直ぐに把持され、搬送ライン3の幅に対して調心されることが得られる。ガイドルーラ4,5の出側の終端10におけるコンタクトローラ8は、スラブ2の前方の端面がこのコンタクトローラ対も通過した後で引き続き、
図6の平面図によって図説されているように、接触するまでスラブの側縁に向かって移動させることができる。
【0047】
最後に、装置1のための別の可能な運転状態が、
図7の平面図に図示されている。この場合、ガイドルーラ4,5は、互いに平行に調整されて配置されてもいるが、そのそれぞれの長手方向軸4
L,5
Lを同じ角度αだけ搬送方向7に対して傾けられて配置されてもいる。搬送方向7に対して横のガイドルーラ4,5の入側の終端9もしくは出側の終端10におけるコンタクトローラ対の相対移動により、所定のトルクをスラブ2に加えることができる。これは、全てのコンタクトローラ8がスラブ2の側縁と常に転がり接触している時に、ストリップ通過中もしくは搬送ライン3に沿ったスラブ
2の搬送中のスラブ2の回転を可能にする。コンタクトローラ8の回転方向は、
図7では更にまたそれぞれ湾曲した矢印によって図示されている。これにより、スラブ2に対して、スラブ先端を所定の方向及び所定の中心位置に調整することができるので、装置1の下流の、搬送ラインの次の構成要素の中心内の中心の通過が保証されている。装置1の下流の次の構成要素からのスラブ2の十分な横の間隔は、スラブ2の両側に“x”で示された区間によって簡素化して図示されている。搬送ライン3上のスラブ2の傾斜位置は、スラブ2の長手方向軸2
Lと搬送方向7の間に挟まれた角度βによって図示されている。
【0048】
図7の図に関連して、本発明の(示されてない)運転状態に従って、ガイドルーラ4,5がこれに取り付けられたコンタクトローラ8に関係して互いに比較して駆動側“DS”もしくは操作側“OS”において搬送ライン中心3
Mに対して異なった大きさに調整されることを指摘する。これは、ガイドルーラがそれぞれ搬送ライン中心3
Mに対して異なった間隔を備えることを意味する。その結果、スラブ2は、その場合ガイドルーラ
の領域を非対称に通過する。
【0049】
図3〜7による全ての運転状態において、ガイドルーラ4,5は、スラブ2の前方の端面もしくはスラブ先端がガイドルーラ4,5の出側の終端10におけるコンタクトローラ8も通過した後、搬送ライン中心3
Mの方向に移動されるので、全てのコンタクトローラ8は、スラブ2の側縁と転がり接触する。この場合、スラブ2を搬送するための(示してない)ローラテーブルローラの駆動力が十分でない場合は、付加的な駆動力をスラブ2に加え、これにより搬送ライン3上のスラブ2の“引掛り”を防止するために、ガイドルーラ4,5に取り付けられたコンタクトローラ8を別々に駆動することができる。
【0050】
本発明の前で述べた実施形態の全てに関して、これによりスラブ2の異なった形状及び/又は位置をガイドルーラ4,5によって適切に案内することができることがわかる。
図8〜10に、スラブ2に関して異なった位置もしくは形状が、即ち、スラブ2の長手方向軸2
Lが搬送方向7と角度βを成す搬送ライン3上の傾斜位置(
図8)の、スラブ2の中心軸2
Mが搬送ライン中心3
Mから間隔を置いて偏心度e(
図9)を有する、そしてスラブ2の前方の端部がスラブ2のベース面に対して弦高さsを備えるいわゆるストリップキャンバーの形態(
図10)の位置もしくは形状が示されている。
【0051】
ガイドルーラ4,5は、スラブ2の端面もしくはスラブヘッドために適切に調整されるだけでなく、スラブ全長にわたってスラブ形状及びスラブ位置に依存して異なるように位置決めすることもできる。
【0052】
図4の図は、模範的に別の可能な実施形態を示すが、これによれば、両ガイドルーラ4,5には、付属する中心領域4
M,5
Mに、それぞれ1つの別のコンタクトローラ8が支承されて取り付けられている。従って、両ガイドルーラ4,5には、
全部でそれぞれ3つのコンタクトローラ8が設けられている。中心のコンタクトローラ8は、ガイドルーラ4,5のガイド特性を改善し、スラブヘッドが斜めにガイドルーラ4,5の中心領域にぶつかった場合にスラブ2の引掛りを防止する。付加的に、中心のコンタクトローラ8により、スラブ2の幅縮小が、改善、即ちガイドルーラが相応に大きい力でスラブ2に対して調整される場合に均等に実施される。
【0053】
図面で説明した全ての実施形態に関して、この場合少なくとも1つのガイドルーラ4,5に、
図4の図に応じて少なくとも3つのコンタクトローラ8を設けることができることがわかる。更に選択的に、少なくとも1つのガイドルーラ4,5に、2つのコンタクトローラ8を取り付けること、即ち中心領域4
M,5
M(
図4参照)とその入側の終端9の両方に取り付けること、が可能である。
【0054】
圧力トランスデューサ17の信号を考慮して、スラブ2に対するガイドルーラ4,5の調整において、コンタクトローラ8がスラブ2の側縁と接触した時に、アクチュエータ6は、コンタクトローラ8をスラブ2の側縁に押し付ける力が所定の限界値を上回らないように、力操作をして制御することができる。このように、スラブ2の損害が効果的に防止される。アクチュエータ6のこのような制御は、スラブ2に対する圧縮もしくは幅縮小が望まれない場合のために行なわれる。
【0055】
ストロークトランスデューサ18の信号を考慮して、制御装置20によって、両ガイドルーラ4,5もしくはこれに取り付けられたコンタクトローラの搬送ライン中心3
Mに対するそれぞれの位置の逆推理を達成することができる。制御装置20では、間隔もしくは位置に関して、コンタクトローラ8が搬送ライン3の側縁に対して下回ってはいけない所定の限界値が記憶されている。これら所定の限界値を下回ったことが制御装置20により検知された場合−即ちガイドルーラのコンタクトローラ8が搬送ライン3の周縁領域の非常に近くに配置されている場合−は、スラブ2を再び最適な軌道に戻す及び/又は所定の方向に誘導するために、即ち装置1の下流で搬送ライン3上のスラブ2の衝突のない中心位置を保証するために、アクチュエータ6の適切な制御により、付属するガイドルーラが、搬送ライン中心3
Mの方向に戻し移動される。このようなストロークコントロールは、搬送ライン3の、装置1の下流に配置された別の構成要素が接触もしくは損傷しないように、その時間的及び幾何学的形状を形成された軌道カーブ上をスラブ2が導かれることを生じさせる。
【0056】
それとともに、装置1が特に装置1の上流の進入領域Aを監視する
図1に示した測定装置もしくはセンサ装置19を装備している場合には、スラブ2がガイドルーラ4,5に達する前に、早期に、搬送ライン3上のスラブ2の位置及びその形状を検知することができる。特に予定してない偏心度e(
図9参照)が存在する場合には、搬送ライン3上のスラブ2の、センサ装置19によって検出された実位置及び実形状に依存して、ガイドルーラ4,5は、
図3で説明したようにスラブ2の前方の端面を“捕える”ためにホッパを形成することができる。両ガイドルーラ4,5に対して調整されるそれぞれの角度αは、搬送ライン3上のスラブ2の其々の実位置から得られる。
【0057】
本発明の発展形では、スラブ2の位置は、装置1の後で、即ち装置1の下流で、確認することもできる。これは、スラブ2の更なる搬送を装置1の後で確認するために、力制御されるガイドルーラ4,5もしくはこれに取り付けられたコンタクトローラ8の位置の永続的な監視により行なうことができる。異なった時点で測定された値から、スラブ2の位置は、装置1の下流の所定の長さl及び幅b(
図1参照)にわたって確認することができる。従って、スラブ2を相応に案内すること又は衝突が差し迫った時に停止することによって、隣接する及び後続の構成要素、例えばシャー、誘導加熱装置等との衝突を回避することができる。
【0058】
搬送ライン3上のスラブ2の軌道経過の別の有利な監視の可能性は、付加的な測定器具、例えば好ましくはレーザ技術に基づいた距離計又はカメラ(光学及び/又は熱探知カメラ)によって可能であり、これらにより、スラブエッジを、スラブの長さにわたり基準平面又は基準点に対して相対的に確定することができる。これら測定器具は、センサ装置19と同様に制御装置20と信号技術的に接続することができる。これにより、スラブ2全体を位置測定し、ガイドルーラ4,5により適切な所定の軌道カーブ上を搬送ライン3にわたって衝突なく横の限界を通り抜けて導くことが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 装置
2 鋳造製品
3 搬送ライン
4 第1のガイドルーラ
5 第2のガイドルーラ
6 アクチュエータ
7 搬送方向
8 コンタクトローラ
9 入側の終端
10 出側の終端
11 関節式結合部(玉継手)
12 軸
13 フレーム
14 ピボット軸受
15 スラストガイド
16 スラスト方向
17 圧力トランスデューサ
18 ストロークトランスデューサ
19 測定装置もしくはセンサ装置
20 制御装置