【実施例】
【0067】
以下の実施例は、本発明を説明する。実施例の結果は添付の図面4乃至20に示されている。実施例では、6個のヒスチジン残基のポリヒスチジンタグを含有するタンパク質pro−BNP、及び8個のヒスチジン残基のポリヒスチジンタグを含有するベータシヌクレインを使用した。心臓組織では、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を134個のアミノ酸前駆物質(prepro−BNP)として合成し、そして108個のアミノ酸pro−BNPを形成するため、プロテアーゼにより開裂した。ベータシヌクレインは小さく、可溶性タンパク質は、主として心臓組織で見つかり、そしてシャペロン様活性を有する。使用された他のタンパク質は、インターフェロン α−2b、エンドスタチン、抗THF−アルファ―ドメイン抗体フラグメントである。
【0068】
実施例1:His
6−proBNPの12kDa PEG化
【化17】
12kDa PEGモノ−スルホン(構造(2))を5時間、pH7.8、50mMリ
ン酸ナトリウム緩衝液(10mg/mL)において、PEGビス−スルホン(構造(1))のインキュベーションにより調整した。pH7.8、50mMリン酸ナトリウム(10μL、0.5mg/mL)において、C末端の6個のヒスチジンタグProBNP(アブカム(Abcam)、ab41402、13kDa)の2つのアリコートを氷上で冷やし、その後12kDa PEGモノ−スルホンを(タンパク質濃度に対して)1モル当量又は3モル当量のいずれかを加えた(各々1.6μL又は4.8μL)。その後、この反応混合物を冷蔵庫に入れ、16時間放置した。
得られた反応混合物を構成物質のサイズ依存分離のためにSDS−PAGEを用いて分析し、そしてインスタントブルーステイン(ノベクサン(Novexin))で染色後得られたゲルを
図4に示す。
図4では、レーンMは校正として用いられるノヴェックス シャープ タンパク質 マーカー(Novex Sharp protein markers)(インビトロジェン(Invitrogen))を示す。レーン1において標識Bが付されたバンドは、供給されたHis
6−proBNPのサンプル(アブカム(Abc
am)、1mg/mL)である。バンドAは不純物である。レーン2は、1当量の12kDa PEG反応混合物から得られ、そしてモノ−PEG化生成物、ジ−PEG化生成物及びトリ−PEG化生成物にそれぞれ相当する標識C、D及びEが付されたバンドを示す。標識A及びBが付された下側のバンドは提供されたサンプルにおいて、未反応のHis
6−proBNP及び不純物にそれぞれ相当する。レーン3は、3当量の12kDa P
EG反応混合物から得られ、そしてモノ−PEG化生成物、ジ−PEG化生成物及びトリ−PEG化生成物にそれぞれ相当する標識C、D及びEが付されたバンドを示す。標識B及びAが付された下側のバンドは提供されたサンプルにおいて、未反応のHis
6−pr
oBNP及び不純物にそれぞれ相当する。
その後、ゲルもまた
図5に示される結果と共にPEGを可視化するためにヨウ化バリウムで染色した。レーン1におけるバンドは標識Cが付された未反応のPEG試薬、そしてモノ−PEG化生成物、ジ−PEG化生成物及びトリ−PEG化生成物にそれぞれ相当する標識D、E及びFが付されたバンドに相当する。標識B及びAが付された下側のバンドは提供されたサンプルにおいて、それぞれ未反応のHis
6−proBNP及び不純物に
相当する。12kDa PEG反応混合物の3当量から得られたレーン3は、未反応のPEG試薬に相当する標識Cが付されたバンドとモノ−PEG化生成物、ジ−PEG化生成物及びトリ−PEG化生成物にそれぞれ相当する標識D、E及びFが付されたバンドを示す。標識B及びAが付された下側のバンドは提供されたサンプルにおいて、未反応のHis
6−proBNP及び不純物にそれぞれ相当する。
【0069】
実施例2:His
6−proBNPの30kDa PEG化
30kDa PEGモノ−スルホン(実施例1における構造(2))を5時間、pH7.8、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(10mg/mL)において、PEGビス−スルホン(実施例1における構造(1))のインキュベーションにより調整した。pH7.8、50mMリン酸ナトリウム(10μL、0.5mg/mL)において、C末端の6個のヒスチジンタグProBNP(アブカム(Abcam)、ab51402)の2つのアリコートを氷上で冷やし、その後30kDa PEGモノ−スルホンを(タンパク質濃度に対して)1モル当量又は3モル当量のいずれかを加えた(各々2.0μL又は6.0μL)。その後、この反応混合物を冷蔵庫に入れ、16時間放置した。
得られた反応混合物を構成物質のサイズ依存分離のためにSDS−PAGEを用いて分析し、そしてインスタントブルーステイン(ノベクサン(Novexin))で染色後得られたゲルを
図6に示す。レーンMは校正として用いられるノヴェックス シャープ タンパク質 マーカー(Novex Sharp protein markers)(インビトロジェン(Invitrogen))を示す。レーン1において標識Bが付されたバンドは、供給されたHis
6−proBNPのサンプル(アブカム(Abcam)、1
mg/mL)である。バンドAは不純物である。レーン2は、1当量の30kDa PE
G
反応混合物から得られ、そしてモノ−PEG化生成物に相当する標識Cが付されたバンド並びに、提供されたサンプルにおいて、未反応のHis
6−proBNP及び不純物にそ
れぞれ相当する標識A及びBが付された下側のバンドを示す。レーン3は、3当量の30kDa PEG反応混合物から得られ、そしてモノ−PEG化生成物及びジ−PEG化生成物にそれぞれ相当する標識C及びD及が付されたバンド並びに提供されたサンプルにおいて、未反応のHis
6−proBNP及び不純物に相当する標識A及びBが付された下
側のバンドを示す。
その後、ゲルもまたPEGを可視化するためにヨウ化バリウムで染色し、結果として生じたゲルを
図7に示す。レーンMは校正として用いられるノヴェックス シャープ タンパク質 マーカー(Novex Sharp protein markers)(インビトロジェン(Invitrogen))を示す。レーン1において標識Bが付されたバンドは、提供されたHis
6−proBNPのサンプル(アブカム(Abcam)、1m
g/mL)である。バンドAは不純物である。レーン2は、1当量の30kDa PEG反応混合物から得られ、そして未反応のPEG試薬に相当する標識Cが付されたバンド、P
EG不純物に相当する標識Fが付されたバンド、モノ−PEG化生成物及びジ−PEG化生成物にそれぞれ相当する標識D及びEが付されたバンド、そして提供されたサンプルにおいて、未反応のHis
6−proBNP及び不純物にそれぞれ相当する標識B及びAが
付された下側のバンドを示す。レーン3は3当量の30kDa PEG反応混合物から得られ、未反応のPEG試薬に相当する標識Cが付されたバンド、PEG不純物に相当する標識Fが付されたバンド、モノ−PEG化及びジ−PEG化生成物にそれぞれ相当する標識D及びEが付されたバンド、提供されたサンプルにおいて未反応のHis
6−p
roBNP及び不純物にそれぞれ相当する標識B及びAが付された下側のバンドを示す。
【0070】
実施例3:His
8−ベータシヌクレインの12kDa PEG化及び非ヒスチジンタグ
ベータシヌクレインとの比較反応
12kDa PEGモノ−スルホン(実施例1における構造(2))を5時間、pH7.8、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(10mg/mL)において、PEGビス−スルホン(実施例1における構造(1))のインキュベーションにより調整した。pH7.8、50mMリン酸ナトリウム(10μL、0.39mg/mL)において、N末端の8個のヒスチジンベータシヌクレイン(アブカム(Abcam)、ab40545、15kDa)の2つのアリコートを氷上で冷やし、その後12kDa PEGモノ−スルホンを(タンパク質濃度に対して)1モル当量又は3モル当量のいずれかを加えた(各々1.6μL又は4.8μL)。その後、この反応混合物を冷蔵庫に入れ、16時間放置した。
得られた反応混合物を構成物質のサイズ依存分離のためにSDS−PAGEを用いて分析し、そしてインスタントブルー(ノベクサン(Novexin))で染色後得られたゲルを
図8に示す。レーンMは校正として用いられるノヴェックス シャープ タンパク質
マーカー(Novex Sharp protein markers)(インビトロジェン(Invitrogen))を示す。レーン1において標識Bが付されたバンドは、アブカム(Abcam)により、提供されたHis
8−ベータシヌクレインのサンプル
(0.8mg/mL)である。バンドAは不純物である。レーン2は、1当量の12kDa PEG反応混合物から得られ、そしてモノ−PEG化生成物及びジ−PEG化生成物にそれぞれ相当する標識C及びDが付されたバンド並びに提供されたサンプルにおいて、未反応のHis
8−ベータシヌクレイン及び不純物にそれぞれ相当する標識A及びBが付
された下側のバンドを示す。レーン3は、3当量の12kDa PEG反応混合物から得られ、そしてモノ−PEG化生成物、ジ−PEG化生成物、トリ−PEG化生成物及びテトラ−PEG化生成物にそれぞれ相当する標識C、D、E及びFが付されたバンド並びに提供されたサンプルにおいて、未反応のHis
8−ベータシヌクレイン及び不純物にそれ
ぞれ相当する標識A及びBが付された下側のバンドを示す。
その後、ゲルもまたPEGを可視化するためにヨウ化バリウムで染色し、結果として生じたゲルを
図9に示す。
図9において、レーンMは校正として用いられるノヴェックス シャープ タンパク質 マーカー(Novex Sharp protein markers)(インビトロジェン(Invitrogen)を示す。レーン1は、アブカム(Abcam)により提供されたHis
8−ベータシヌクレインから得られる。レーン2は
、1当量の12kDa PEG反応混合物から得られ、そしてモノ−PEG化生成物、ジ−PEG化生成物及びトリ−PEG化生成物にそれぞれ相当する標識C、D及びEが付されたバンド並びに提供されたサンプルにおいて、未反応のHis
8−ベータシヌクレイン
及び不純物にそれぞれ相当する標識B及びAが付された下側のバンドを示す。レーン3は3当量の12kDa PEG反応混合物から得られ、そしてモノ−PEG化生成物、ジ−PEG化生成物、トリ−PEG化生成物、及びテトラ−PEG化生成物にそれぞれ相当する標識D、E及びFが付されたバンド並びに提供されたサンプルにおいて、未反応のHis
8−ベータシヌクレイン及び不純物にそれぞれ相当する標識B及びAが付された下側の
バンドを示す。バンドCはPEG不純物である。
比較の12kDa PEG化の研究は、pH7.0において1当量のPEG試薬(2)を使用してHis
8−ベータシヌクレインと非ヒスチジンタグベータシヌクレイン(アブ
カム(Abcam)、cat.no.ab48853)との間で行い、SDS−PAGEの結果を
図10に示す。レーンMは校正として用いられるノヴェックス シャープ タンパク質 マーカー(NovexSharp protein markers)(インビトロジェン(Invitrogen))を示す。His
8−ベータシヌクレインの結果を
標識レーン1に示す。レーン1において、標識Bが付されたバンドは未反応のHis
8−
ベータシヌクレインであり、標識Cが付されたバンドはモノ−PEG化His
8−ベータ
シヌクレインである。標識2が付されたレーンは非ヒスチジンタグベータシヌクレイン反応を示し、そして可視バンドのみ標識Aが付され、非ヒスチジンタグベータシヌクレインである。レーン2にはPEG化タンパク質バンドはなかった。
【0071】
実施例4:His
8−ベータシヌクレインの30kDa PEG化
30kDa PEGモノ−スルホン(実施例1における構造(2))を5時間、pH7.8、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(10mg/mL)において、PEGビス−スルホン(実施例1における構造(1))のインキュベーションにより調整した。pH7.8、50mMリン酸ナトリウム(10μL、0.39mg/mL)において、N末端の8個のヒスチジンベータシヌクレイン(アブカム(Abcam)、cat.no.ab40545、15kDa)の2つのアリコートを氷上で冷やし、その後30kDa PEGモノ−スルホンを(タンパク質濃度に対して)1モル当量加えた(1.6μL)。その後、この反応混合物を冷蔵庫に入れ、16時間放置した。
得られた反応混合物を構成物質のサイズ依存分離のためにSDS−PAGEを用いて分析し、そしてインスタントブルー(ノベクサン(Novexin))で染色後得られたゲルを
図11に示す。
図11において、レーンMは校正として用いられるノヴェックス シャープ タンパク質 マーカー(Novex Sharp protein markers)(インビトロジェン(Invitrogen))を示す。レーン1は、アブカム(Abcam)より提供されたHis
8−ベータシヌクレインのサンプル(0.8mg/m
L)から得られ、標識Bが付されたバンドはポリヒスチジンタグタンパク質である、しかし一方、標識Aが付されたバンドは不純物である。レーン2は1当量の30kDa PEG反応混合物から得られ、モノ−PEG化生成物に相当する標識Cが付されたバンド及び提供されたサンプルにおいて、未反応のHis
8−ベータシヌクレイン及び不純物にそれ
ぞれ相当する標識A及びBが付された下側のバンドを示す。
その後、ゲルもまたPEGを可視化するためにヨウ化バリウムで染色し、結果として生じたゲルを
図12に示す。
図12において、レーンMは校正として用いられるノヴェック
ス シャープ タンパク質 マーカー(Novex Sharp protein markers)(インビトロジェン(Invitrogen))を示す。レーン1は、アブカム(Abcam)より提供されたHis
8−ベータシヌクレインから得られる。レーン
2は、1当量の30kDa PEG反応混合物から得られ、そして未反応のPEG試薬に相当する標識Cが付されたバンド、PEG不純物に相当する標識E及びGが付されたバンド、モノ−PEG化生成物及びジ−PEG化生成物にそれぞれ相当する標識D及びFが付されたバンド、提供されたサンプルにおいて、未反応のHis
8−ベータシヌクレイン及
び不純物にそれぞれ相当する標識B及びAが付された下側のバンドを示す。
【0072】
実施例5:10kDa及び20kDa PEG試薬3とC末端上の8個のヒスチジン配列とインターフェロン(IFN) α−2bにおけるヒスチジン上のPEG化
【化18】
【0073】
第1段階:p−カルボキシ−3−ピペリジノプロプリオフェノンヒドロクロライド 3(2)の合成
【化19】
250mLの丸底フラスコをp−アセチル安息香酸(15.0g、3(1))、塩酸ピペリジン 11.11g及びp−ホルムアルデヒド 8.23gで充填した。その後、無水エタノール(90mL)及び濃塩酸(1mL)を加え、アルゴン下で撹拌させがら、得られた懸濁液を10時間加熱還流した。還流を止めた後、アセトン(150mL)を加え、この反応混合物を室温まで冷却した。得られた白色の沈殿物をガラスフィルター(G3)で単離し、冷やしたアセトンで2回洗浄した。その後、固形物を真空下で乾燥し、白色の結晶粉末(3(2)、9.72g)を得た。
1H NMR(400 MHz、DMSO−d
6)
δ 1.79,2.96,3.45(br m,ピペリジン部位のCH
2),3.36(
t,2H,COCH
2),3.74(t,2H,NCH
2),8.09(m,4H,ArH)
【0074】
第2段階:4−(3−(p−トリルチオ)プロパノイル)安息香酸 3(5)の合成
p−カルボキシ−3−ピペリジノプロプリオフェノンヒドロクロライド 3(2)(1.0g)及び4−メチルベンゼンチオール(417mg、3(3))を無水エタノール(7.5mL)及びメタノール(5mL)の混合物中で懸濁した。その後、ピペリジン(50μL)を加え、この懸濁液をアルゴン雰囲気下6時間撹拌させながら加熱還流した。室温まで冷却後、得られた白色の沈殿物をガラスフィルター(G3)で濾過し、冷やしたアセトンで注意い深く洗浄し、固形物を真空下で乾燥し、3(3)(614mg)を得た。
1H NMR(400 MHz、DMSO−d
6)
δ 2.27(s,3H,フェニル−CH
3),3.24,3.39(t,2H×2,C
H
2),7.14,7.26(d,2H×2,トリル基部位のArH),8.03(m,
4H,カルボン酸部位のArH)
【0075】
第3段階:4−(3―トシルプロパノイル)安息香酸 3(4)の合成
4−(3―(p−トシルチオ)プロパノイル)安息香酸 3(4)(160mg)を水(10mL)及びエタノール(10mL)の混合物中で懸濁した。氷浴で冷却後、オキソン(720mg、アルドリッチ社製)を加え、一晩中(15時間)撹拌させながら、この反応混合物を室温まで温めた。得られた懸濁液がほぼ均一になり、その後混合物をクロロホルム(合計100mL)で3回抽出できるように、得られた懸濁液を追加の水で希釈した。溜まったクロロホルム抽出物を食塩水で洗浄し、その後硫酸マグネシウム(MgSO
4)で乾燥させた。30℃での真空下、揮発性物質の蒸発により、白色の固形物を得た3
(4)(149mg)。
1H NMR(400 MHz、DMSO−d
6)
δ 2.41(s,3H,フェニル−CH
3),3.42(t,2H,CO−CH
2),3.64(t,2H,SO
2−CH
2),7.46,7.82(d,2H×2,トリル基部位のArH),8.03(m,4H,カルボン酸部位のArH)
【0076】
第4段階:PEG化4−(3―トシルプロパノイル)安息香酸、PEG試薬3の合成
4−(3―トシルプロパノイル)安息香酸3(4)(133mg)及びo−2−アミノエチル)−o’−メチル−PEG(MW 10kDa、502mg、バイオ べクトラ社製(BioVectra))を乾燥したトルエン(5mL)に溶解させた。加熱しないで真空下で溶媒を除去し、乾燥した固形残渣をアルゴン下で乾燥したジクロロメタン(15mL)に再溶解させた。得られた溶液を氷浴で冷やし、アルゴン下でジイソプロピルカルボジイミド(DIPC、60mg)をゆっくりと加えた。その後、この反応混合物を一晩(15時間)室温で撹拌させた。それから、揮発性物質を真空下(30℃、水浴)で除去し、アセトン中(20mL)微温(35℃)で再溶解させた固形残渣を得た。不溶性物質を除去するため、溶液を非吸収性コットンウールで濾過した。その後、溶液をドライアイス浴で冷却し、遠心分離(4600rpm、30分間)により分離された白色の沈殿物を得た。液相をデカントし、この沈殿操作を3回繰り返した。その後、得られた純白でない固体を真空下で乾燥し、PEG試薬 3(437mg)を得た。
1H NMR(400 MHz、CDCl
3)
δ 2.46(s,3H,フェニル−CH
3),3.38(s,3H,PEG−OCH
3),3.44−3.82(br m,PEG),7.38,7.83(d,2H×2,トリル基部位のArH),7.95(m,4H,カルボン酸部位のArH)
【0077】
第5段階:C末端のhis
8タグIFN α―2bのヒスチジン上のPEG化
IFN α―2b(pH7.5、2mM EDTA及び150mM NaClを含有する10mM リン酸ナトリウム緩衝液において1.13mg/mL)の20μL溶液に1モル当量の10kDa PEG試薬3(脱イオン水中6mg/mL溶液の1.8μL)を加え、得られた溶液を室温で一晩、インキュベートした。1モル当量の20kDa PEG試薬でも繰り返し行い、再び前述した(脱イオン水中6.6mg/mL溶液の3.3μL)ような類似の方法により調製した。その後、両サンプルをSDS−PAGE(ニューページ ノーべックス 4−12% ビス−トリスゲル、MES ランニングバッファー(NuPAGE(登録商標) Novex 4−12% Bis−Trisgels、MES running buffer)、全てインビトロジェン(Invitrogen
)、及びインスタントブルーステイン(イクスペデオン(Expedeon) cat.No.ISB1L))により分析した。その結果を
図13に示す。レーン1はタンパク質マーカーである。レーン2は出発IFNのみである。レーン3は10kDa PEG試薬反応の結果を示す。複合された1乃至5個のPEG鎖と共にIFNに相当する30と160kDa タンパク質マーカーとの間に5つのはっきりと区別できるバンドがある。レーン4は20kDa PEG試薬反応の結果を示す。複合された1乃至3つのPEG鎖と共にIFNに相当する60と110kDa タンパク質マーカーとの間に3つのはっきりと区別できるバンドがある。レーン5は染色していない20kDa PEG試薬であり、そのためバンドは可視的ではない。レーン6は染色していない10kDa PEG試薬であり、そのためバンドは可視的ではない。
【0078】
実施例6:His
8−ベータシヌクレインの5kDa PEG化
【化20】
5kDa PEGモノ−スルホン(構造(5))を3時間、pH7.8、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(5mg/mL)において、PEGビス−スルホン(構造(4))のインキュベーションにより調整した。pH7.4、50mMリン酸ナトリウム(10μL、0.38mg/mL)において、N末端の8個のヒスチジンタグベータシヌクレイン(アブカム(Abcam)、cat.no.ab40545、15.4kDa)の2つのアリコートを氷上で冷やし、その後5kDa PEGモノ−スルホン(5)を(タンパク質濃度に対して)1モル当量又は3モル当量のいずれかを加えた(各々0.25μL又は0.74μL)。対照として、ベータシヌクレイン(アブカム(Abcam)、cat.no.ab48853、14.3kDa)の2つのアリコートを同じように扱い、5kDa
PEGモノ−スルホンの1モル当量(0.18μL)又は3モル当量(0.52μL)のいずれかを加えた。その後反応は室温で6時間インキュベートした。得られた反応溶液をSDS−PAGEを用いて分析し、
図14に示すようにインスタントブルー(エクスペデオン(expedeon))で染色した。レーンMは校正として用いられるノヴェックス シャープ タンパク質 マーカー(Novex Sharp protein markers)(インビトロジェン(Invitrogen))を示す。レーン1及び2はそれぞれ1当量の5kDa PEG反応混合物及び3当量のPEG反応混合物から得られる。標識Aが付されたバンドはHis
8−ベータシヌクレインである。標識Aより下のか
すかなバンドはアブカム(Abcam)より提供されたタンパク質からの不純物である。B、C、D及びEを標識化したバンドは、モノ−PEG化、ジ−PEG化、トリ−PEG化、及びテトラ−PEG化タンパク質生成物にそれぞれ相当する。
【0079】
実施例7:異なったpHでのHis
6−抗TNF−α ドメイン抗体フラグメントの10
kDa PEG化
10kDa PEGモノ−スルホン(実施例1における構造(2))を3時間、pH7.8、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(5mg/mL)において、PEGビス−スルホ
ン(実施例1における構造(1)、10mg/mL)のインキュベーションにより調整した。50mMリン酸ナトリウム、150mM塩酸ナトリウム及び2mM EDTAにおいて、C末端の6個のヒスチジンタグ抗TNFアルファドメイン抗体フラグメント(12.7kDa)溶液(0.6mg/mL)を4つの異なるpH(pH6.2、pH6.7、pH7.0及びpH7.4)で調製した。3モル当量の10kDa PEGモノ−スルホン(構造(2)、1.41μL)を4つの異なったpHそれぞれにおいてHis
6−ドメイ
ン溶液に加えた(10μL、0.6mg/mL)。その後、反応を室温で3時間インキュベーションした。
得られた反応溶液をSDS−PAGEを用いて分析し、
図15に示すようにインスタントブルー(エクスペデオン(expedeon))で染色した。レーンMはノヴェックス
シャープ タンパク質 マーカー(Novex Sharp protein markers)(インビトロジェン(Invitrogen))を示す。レーン1乃至4はそれぞれpH6.2、pH6.7、pH7.0及びpH7.4において、3当量の10kDa PEGを用いて反応混合物から得られる。標識Aが付されたバンドは未反応のHis
6−抗TNFアルファドメイン抗体フラグメントである。標識Bが付されたバンドは、モ
ノ−PEG化ドメイン生成物である。標識C及びDが付されたバンドは、ジ−PEG化及びトリ−PEG化ドメインフラグメントにそれぞれ相当する。PEG化は4つのpHごとに見られ、pHが増加するにつれてPEG化の大きさも増加する。
【0080】
実施例8:10kDa、20kDa、30kDa及び40kDaを用いたHis
6−抗T
NF−α ドメイン抗体フラグメントのPEG化
10kDa、20kDa、30kDa及び40kDa PEGビス−スルホン(実施例1における構造(1))を室温において3時間、pH7.8、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(5mg/mL)で、別々にインキュベーションし、対応するPEGモノ−スルホン(実施例1における構造(2))を得た。PEGの濃度は10kDa、20kDa、30kDa及び40kDa PEGそれぞれに対して、10mg/mL、20mg/mL、30mg/mL及び40mg/mLである。50mMリン酸ナトリウム、150mM塩酸ナトリウム及び2mM EDTAにおいて、C末端の6個のヒスチジンタグ抗TNFドメイン抗体(12.7kDa)溶液(1.25mg/mL、5μL)の4つのアリコートに、その後10kDa、20kDa、30kDa及び40kDa PEGモノ−スルホン(0.74μL、1.5モル当量)を加えた。それから、反応を4℃で8時間インキュベーションした。その後、反応溶液を
図16に示すようにSDS−PAGEにより分析した。レーンMは校正として用いられるノヴェックス シャープ タンパク質 マーカー(Novex Sharpprotein markers)(インビトロジェン(Invitrogen))を示す。レーン1は参照用にHis
6−抗TNFドメイン抗体フラグメン
トである。レーン2乃至5は10kDa、20kDa、30kDa及び40kDa PEGの反応からそれぞれ得られる。標識Aが付されたバンドは未反応のHis
6−抗TNF
ドメインである。標識B(B10、B20、B30及びB40)が付されたバンドは、10、20、30及び40kDa PEGに対するモノ−PEG化ドメインフラグメントにそれぞれ相当する。標識C10が付されたバンドは10kDa PEG反応に対するジ−PEG化生成物に相当し、C20バンドは20kDa PEG反応に対するジ−PEG化生成物に相当する。
【0081】
実施例9:His
6−エンドスタチンの2kDa PEG化及びポリヒスチジンタグを有
さないエンドスタチンとの比較反応
2kDa PEGモノ−スルホン(実施例1における構造(2))を4時間、pH7.8、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(1mg/mL)において、PEGビス−スルホン(実施例1における構造(1))のインキュベーションにより調整した。pH6.2、5
0mMリン酸ナトリウム(30μL、0.5mg/mL)において、C末端の6個のヒスチジンタグエンドスタチン(カルバイオケム(Calbiochem)cat.no.324743)の2つのアリコートを氷上で冷やし、その後2kDa PEGモノ−スルホンを(タンパク質濃度に対して)1モル当量又は3モル当量のいずれかを加えた(各々1.4μL又は4.2μL)。その後、この反応混合物を冷蔵庫に入れ、16時間放置した。
pH6.2、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(10μL、0.2mg/mL)において、非タグエンドスタチン(カルバイオケム(Calbiochem)cat.no.324769)の2つのアリコートもまた氷上で冷やし、その後2kDa PEGモノ−スルホン(0.1mg/mL)を(タンパク質濃度に対して)1モル当量又は3モル当量のいずれかを加えた(各々2.0μL又は6.0μL)。その後、この反応混合物を冷蔵庫に入れ、16時間放置した。
得られた反応混合物を構成物質のサイズ依存分離のためにSDS−PAGEを用いて分析し、そしてインスタントブルー(エクスペデオン(Expedeon))で染色後得られたゲルを
図17に示す。
図17では、標識Mが付されたスポットの左側のカラムはノヴェックス シャープ タンパク質 マーカー(Novex Sharp protein
markers)(インビトロジェン(Invitrogen))を示す。レーン1はHis
6−エンドスタチン反応と共に1当量の2kDa PEGのサンプルから得られ、
未反応のタンパク質及びモノ−PEG化生成物にそれぞれ相当する標識B及びCが付されたバンドを示す。レーン2はHis
6−エンドスタチン反応と共に3当量の2kDa P
EGのサンプルから得られ、未反応のタンパク質及びモノ−PEG化生成物にそれぞれ相当する標識B及びCが付されたバンドを示す。レーン3及び4はそれぞれ、エンドスタチン反応と共に1当量の2kDa PEG及びエンドスタチン反応と共に3当量の2kDa
PEGから得られる。未反応のタンパク質に相当する標識A及びBがそれぞれ付された1個のバンドにのみ、2kDa PEGだけがHis
6−エンドスタチンと反応すること
を示す両反応に存在する。
【0082】
実施例10:His
8−インターフェロン アルファの10、20kDa及び30kDa
PEG化及び非ヒスチジンタグインターフェロン アルファとの比較反応
N末端の8個のヒスチジンタグインターフェロン α−2bの溶液(2.63mL/、1.14mg/mL)を150mM塩酸ナトリウム(PBS)を含有する、pH7.4、50mMリン酸ナトリウム緩衝液で調製し、その後(タンパク質濃度に対して)1.7モル当量の20kDa PEGビス−スルホン(実施例1における構造(1))を加えた(脱イオン水において11.5mg/mL 20kDa PEGビス−スルホン溶液の420μL)。その後、この反応混合物を冷蔵庫に入れ、18時間放置した。得られた反応混合物をSDS−PAGEにより分析し、その結果を
図18に示す。
図18において、レーンMは校正として用いられるノヴェックス シャープ タンパク質 マーカー(Novex Sharp protein markers)(インビトロジェン(Invitrogen))を示す。レーン1は、標識Aが付されたバンドが未反応のIFNに、標識Bが付されたバンドがモノ−PEG化IFNに、標識Cが付されたバンドがジ−PEG化IFNに及び標識Dが付されたバンドがトリ−PEG化IFNに相当する反応溶液を示す。
0.5mg/mLにおける1当量の30kDa PEGとの二次反応及びN末端の8個のヒスチジン溶液は、pH7.5においてインターフェロン α−2b(3.2mL、0.793mg/mL)をタグ付けした。その結果は、60と80kDa タンパク質マーカー間の可視的なモノ−PEG化IFNバンドとの20kDa反応、ジ−PEG化IFNに相当する110と160kDa間のバンド及びトリ−PEG化IFNに相当する160と260kDa タンパク質マーカー間の第三のバンドと似ている。非ヒスチジンタグIFN α−2bとの対比は、
図18のレーン2に示される結果と共に、18時間後及び同じ条件下、1当量のPEG試薬(1)との反応を示さなかった。
【0083】
実施例11:N末端の8個のヒスチジンタグインターフェロン アルファへの複合に対するポリ(ビニルピロリジン)(PVP ビス−スルホン)の使用
<末端アミノ基を有するPVPの調製>
圧力管にシステアミン(0.042g)、ジオキサン(8mL)及びマグネチックスターバーを充填した。溶液を形成するために穏やかな加熱後、溶液を室温で5分間アルゴンでパージした。パージしながら、1−ビニル−2−ピロリドン(2.0g)をその後加え、さらに5分後、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(0.089g)を加えた。さらに2分後、アルゴン下で圧力管をねじぶたで封し、撹拌しながら23時間オイルバスの中に置いた。チューブと内容物を室温まで冷ました後、ポリマー生成物の沈殿物を得るため、ジエチルエーテル(15mL)を加えた。液相をデカントし固体残渣をアセトン(3mL)に再溶解した。その後、得られたアセトン溶液を迅速に撹拌されているジエチルエーテル(25mL)に一滴ずつ加え、沈殿物を真空のほんの僅かなバーストと共にno.2 焼結ガラス漏斗で単離した。固形物を未乾燥のジエチルエーテル(10mL)で洗浄し、その後室温で真空下乾燥させた(質量=1.24g、白色の固体)。
<PVP−アミンへのタンパク質反応末端基の複合>
PVP−アミン(500mg)、4−[2,2−ビス[(p−トリルスルホニル)メチル]アセチル]−安息香酸(125mg)、及び4−ジメチルアミノピリジン(6mg)をアルゴン下、無水ジクロロメタン(10ml)で混合し、その後撹拌しながら、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(80μL)を加えた。得られた混合物を室温で20時間撹拌し、その後非吸収性コットン−ウールを通して濾過した。それから濾液にジエチルエーテル(20mL)を加え、得られた沈殿物を遠心分離(2,000rpm、2分間、2℃)により単離した。液相をデカントし、残りの残渣を数分間、酢酸エチル(5mL)でボルテックス(vortex)した。酢酸エチル層をデカント後、固形残渣をジクロロメタン(5mL)に再溶解し、その後酢酸エチル(15mL)を加えた。溶液を15分間ドライアイス内に置き、その後遠心分離(2,000rpm、2分間、2℃)により単離された固形物の沈殿物を得た。得られた粘着性の残渣を未乾燥の酢酸エチル(5mL)でボルテックスし、その後室温で真空下乾燥した(質量=0.118g)。
<PVP ビス−スルホンの分別>
上述の段階で得られた固形物をpH 4.0、水性の20mM酢酸ナトリウム緩衝液、150mM NaClで混合し、その後澄明な液が可視的になるまで13,000rpmで遠心分離機にかけた。液相を固形残渣から除去し、その後溶出ピークの間1分ごとに留分を集めることにより1mL/minにおいて20mM酢酸ナトリウム緩衝液、150mM、pH4.0を稼動させながら、HiLoad 16/60 Superdex(登録商標) 200 prep grade size exclusion column(GEヘルスケア(GE Healthcare))で分別した。72〜80分の間で溶出した留分はタンパク質複合に使用される。
<N末端の8個のヒスチジンタグIFN アルファへのPVP複合化>
IFN(0.025mg、0.5mg/mL)を150mM塩酸ナトリウム(PBS)を含有するpH7.5、50mMリン酸ナトリウム緩衝液で調製した。IFN(25μg、0.5mg/mL)の50μLに分別PVP ビス−スルホン(留分72分、74分、78分及び80分)を50μL加えた。得られた溶液を静かに混合し、4℃で一晩放置した。結果として得られた反応溶液をSDS−PAGEにより分析し、その結果を
図19に示す。
図19において、レーンMは校正として用いられるノヴェックス シャープ タンパク質 マーカー(Novex Sharp protein markers)(インビトロジェン(Invitrogen))を示す。レーン2乃至5は使用された異なった
サイズのPVP試薬留分からの反応溶液を示す(2〜5それぞれからの72〜80分のPVP留分)。標識Bが付されたバンドは得られたモノ−及び多量PVP化IFNを示す。
【0084】
実施例12:N末端の8個のヒスチジンタグインターフェロン アルファを用いてインターフェロン アルファとインターフェロン アルファの多量複合
【化21】
N末端の8個のヒスチジンタグインターフェロン α−2b(50μL、1.14mg/mL)の溶液を150mM塩酸ナトリウム(PBS)を含有するpH7.5、50mMリン酸ナトリウム緩衝液で調製し、その後(タンパク質濃度に対して)0.125モル当量の10kDa PEG二官能性のPEG試薬(6)を加えた(水において(6)の8mg/mL溶液の0.47μL)。反応を室温で18時間放置した。得られた反応混合物をSDS−PAGEにより分析した。IFN−PEG−IFN融合複合体に相当するインスタントブルー(エクスペデオン(Expedeon))で撹拌後、得られたゲルは50kDaと60kDa ノヴェックス シャープ タンパク質 マーカー(Novex Sharp protein markers)(インビトロジェン(Invitrogen))の間のバンドを示した。
【0085】
実施例13:遊離システインを含有するヒト血清アルブミン(HSA)とN末端の8個のヒスチジンタグインターフェロン アルファの多量複合
150mM塩酸ナトリウム(PBS)を含有するpH7.5、50mMリン酸ナトリウム緩衝液で調製したN末端の8つのヒスチジンタグインターフェロン α−2b(1mL、1.14mg/mL)の溶液にヒト血清アルブミン(IFNに対して3モル当量、10.77mg)を加え、溶解させた。この溶液に10kDa PEGビス(ビス−スルホン)(実施例12における構造(6))(IFNに対して1モル当量、水において8mg/mL 10kDa PEGビス(ビス−スルホン)(6)溶液の75μL)を加えた。この反応混合物を室温で18時間放置した。得られた反応混合物をイオン交換クロマトグラフィー、続いて金属イオンアフィニティークロマトグラフィーにより精製し、その後SDS−PAGEにより分析し、その結果を
図20に示す。
図20において、レーンMは校正として用いられるノヴェックス シャープ タンパク質 マーカー(Novex Sharp protein markers)(インビトロジェン(Invitrogen))を示す。レーン1は、標識Aが付されたバンドは未反応のIFNであり、標識Bが付されたバンドはモノ−PEG化IFNであり、標識Cが付されたバンドはIFN−PEG−IFNであり、そして標識Dが付されたバンドはIFN−PEG−アルブミンである精製された反応溶液を示す。