(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933963
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】対象物質を含有する光導波管及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C03B 37/012 20060101AFI20160602BHJP
G02B 6/04 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
C03B37/012 A
G02B6/04 D
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-268740(P2011-268740)
(22)【出願日】2011年12月8日
(65)【公開番号】特開2012-126638(P2012-126638A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2014年12月8日
(31)【優先権主張番号】61/459,324
(32)【優先日】2010年12月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/308,600
(32)【優先日】2011年12月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507359579
【氏名又は名称】ショット コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン エフ.テイバー
(72)【発明者】
【氏名】ペイジ エル.ヒグビー
【審査官】
増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−128558(JP,A)
【文献】
特表2002−519284(JP,A)
【文献】
特表2007−534972(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0251771(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 37/00 − 37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象特性を有する対象物質をガラス光導波管内に含有させる方法であって、前記対象特性は、前記対象物質が溶融ガラスに曝されることにより無効化され得るものであり、
光透過性の第1ガラスの粒子を前記対象物質の粒子に組み合わせて粒子混合物を形成するステップと、
容器内に前記第1ガラスの粒子と前記対象物質の粒子の混合物を導入するステップと、
光透過コアロッドを形成するために前記第1ガラス及び前記対象物質の粒子を互いに融合させるには十分に高いが、前記第1ガラスが融解して前記対象特性を無効化するほど高くない温度に、前記粒子混合物を加熱するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記第1ガラス及び前記対象物質がガラス閉じ込めチューブ内に前記粒子混合物として組み合わされ、前記ガラス閉じ込めチューブ及び前記粒子混合物が一緒に加熱及び延伸されて、前記第1ガラス及び前記対象物質を前記コアロッドに形成し、前記コアロッドの周りに前記閉じ込めチューブが潰れて融合することで、融合モノロッドを形成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象物質が、
(i)シンチレーター物質、
(ii)金属、
(iii)難燃性物質、及び
(iv)所定波長範囲内の電磁気エネルギーを吸収するように構成された吸収物質、
の少なくとも1つであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記コアロッドが第1屈折率を有し、前記閉じ込めチューブが第2屈折率を有し、前記モノロッドが内部反射により電磁気エネルギーを伝送する光導波管であるように、前記第2屈折率が前記第1屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
対象特性を有する対象物質をガラス光導波管内に含有させる方法であって、前記対象特性は、前記対象物質が溶融ガラスに曝されることにより無効化され得るものであり、
光透過性の第1ガラスのフィラメントを前記対象物質の粒子でコーティングするステップと、
光透過コアロッドを形成するために前記第1ガラス及び前記対象物質を互いに融合させるには十分に高いが、前記第1ガラスが融解して前記対象特性を無効化するほど高くない温度に、前記組み合わされた第1ガラス及び対象物質を加熱するステップと、を含み、
前記第1ガラス及び前記対象物質がガラス閉じ込めチューブ内に組み合わされ、前記ガラス閉じ込めチューブ、前記第1ガラス及び前記対象物質が一緒に加熱及び延伸されて、前記第1ガラス及び前記対象物質を前記コアロッドに形成し、前記コアロッドの周りに前記閉じ込めチューブが潰れて融合することで、融合モノロッドを形成し、
前記コーティングされたフィラメントが並列関係で隣接して束ねられ、加熱及び延伸された時にコアロッドを形成するフィラメント束を形成することを特徴とする方法。
【請求項6】
前記コアロッドが第1屈折率を有し、前記閉じ込めチューブが第2屈折率を有し、前記モノロッドが内部反射により電磁気エネルギーを伝送する光導波管であるように、前記第2屈折率が前記第1屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1ガラス及び前記対象物質が組み合わされた前記容器がモールドであり、
粒子混合物を構成する混合した粒子の形態で前記第1ガラス及び前記対象物質の各々が前記モールド内に導入されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記モールドでは、前記粒子混合物が焼結及び熱間静水圧プレスの1つを経て、前記粒子混合体を前記コアロッドに形成することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記コアロッドを閉じ込めチューブ内に導入するステップと、
前記閉じ込めチューブが前記コアロッドの周りに潰れて融合し、融合モノロッドを形成するように、前記閉じ込めチューブ及び前記コアロッドを加熱及び延伸するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コアロッドが第1屈折率を有し、前記閉じ込めチューブが第2屈折率を有し、前記モノロッドが内部反射により電磁気エネルギーを伝送する光導波管であるように、前記第2屈折率が前記第1屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記対象物質が、
(i)シンチレーター物質、
(ii)金属、
(iii)難燃性物質、及び、
(iv)所定波長範囲内の電磁気エネルギーを吸収するように構成された吸収物質、
の少なくとも1つであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記対象物質が、
(i)シンチレーター物質、
(ii)金属、
(iii)難燃性物質、及び
(iv)所定波長範囲内の電磁気エネルギーを吸収するように構成された吸収物質、
の少なくとも1つであることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記対象物質が、
(i)シンチレーター物質、
(ii)金属、
(iii)難燃性物質、及び、
(iv)所定波長範囲内の電磁気エネルギーを吸収するように構成された吸収物質、
の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
溶融ガラスへの溶解性を有する非溶解の対象物質をガラス光導波管に含有させる方法であって、
複数のガラスフィラメントを提供するステップであって、前記各フィラメントが両側に第1端及び第2端を有すると共に前記第1端と前記第2端との間に側面が延びている、ステップと、
前記各フィラメントの前記側面の少なくとも一部を、対象特性を有する前記対象物質でコーティングするステップであって、前記対象特性は、前記対象物質が溶融ガラスに溶解したときに失われ得るものである、ステップ、と、
フィラメント束を形成するように前記コーティングされたフィラメントを並列関係に束ねるステップと、
非溶解状態の前記対象物質分布を含む融合モノロッドを形成するように前記フィラメント束を加熱及び延伸するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
前記融合モノロッドが形成されるときに前記閉じ込めチューブが前記フィラメント束の周りに潰れるように、前記フィラメント束及び前記閉じ込めチューブの加熱及び延伸の前に前記フィラメントが閉じ込めチューブ内に束ねられていることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(i)前記フィラメントが第1屈折率を有する第1ガラスから製造され、(ii)前記閉じ込めチューブが第2屈折率を有する第2ガラスから製造され、前記閉じ込めチューブと前記フィラメントとを加熱及び延伸することによって形成された前記モノロッドが内部反射により電磁気エネルギーを伝送する光導波管であるように、前記第2屈折率が前記第1屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記対象物質が、
(i)シンチレーター物質、
(ii)金属、
(iii)難燃性物質、及び、
(iv)所定波長範囲内の電磁気エネルギーを吸収するように構成された吸収物質、
の少なくとも1つであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第1波長範囲内の電磁放射線で作用されたとき、第2波長範囲内の電磁放射線を放出するシンチレーター物質であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
溶融ガラスへの溶解性を有する非溶解の対象物質をガラス光導波管に含有させる方法であって、
光透過性の第1ガラスの粒子と、対象特性を有する前記対象物質の粒子とを組み合わせて粒子混合物を形成するステップであって、前記対象特性は、前記対象物質が溶融ガラスに溶解したときに失われ得るものである、ステップ、と、
容器内に前記第1ガラスの粒子と前記対象物質の粒子の混合物を導入するステップと、
光透過コアロッドを形成するために前記第1ガラス及び前記対象物質の粒子を互いに融合させるには十分に高いが、前記第1ガラスが融解して前記対象物質がそこに溶解するほど高くない温度に、前記粒子混合物を加熱するステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
2010年12月10日に出願の米国仮出願第61/459,324号、発明の名称「非溶解物質を含むガラス光導波管及びその製造方法」に基づく優先権を主張する。図面を含む仮出願の開示全体の内容をここに援用する。
【0002】
本発明の実施形態及び実施方法は、光ファイバーのような内部反射導波管、及び、複数の導波管を隣接結合することにより製造された導波管アレイ(配列)に関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバーフェースプレート(面板)のような導波管アレイは、非限定的な例としてX線画像装置等の画像分野で広く実施されている。このような種々の装置では、X線によって作用されたときに、電磁スペクトルの別領域(例えば可視領域)で放射線を放出するシンチレーター(発光)物質によってフェースプレート一面がコーティングされている。この場合、最終的に融合導波管アレイを形成するように束ねられ加熱され延伸されて融合導波管アレイを形成する「モノロッド」を形成するために、これらの構成要素を加熱及び延伸する前に、コアバー(又はロッド、芯棒)のうちの少なくとも1つ、及び、クラッディング(被覆)チューブ内部をシンチレーター物質でコーティングすることによって、シンチレーター物質が導波管アレイの構成光ファイバー内に包含される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の方法が、シンチレーター物質又は他の対象物質を導波管アレイの構成導波要素内に包含させることに利用可能であることが証明されているが、これら方法は、構成導波要素(例えば光ファイバー)の端面及び/又は相互結合したコアとクラッディングとの間の界面で対象物質の限定的な内包物を生成する。個別導波要素(例えば光ファイバー)のコア内の選択された対象物質のより均一な断面分布を有する含有物が、これら構成要素が内包される特定の導波管アレイの性能を実質的に強化する。しかしながら、光ファイバー製造に付随するコアバーを形成するのに使用される溶融ガラスバッチ内に、複数の選択された対象物質を含有させることは、しばしば結晶構造であるこれら物質が溶融ガラスに容易に溶解するという事実によって、実用的ではない。対象物質が溶解することで、当該物質が含む特定の性質が失われる。
【0005】
したがって、溶融ガラスによって損失し得る対象特性を有する、対象物質の断面分布を有する光伝送コアを備えるガラスベースの内部反射する光導波管の製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例をガラス光導波管の製造に利用可能である。当該ガラス光導波管は、溶融ガラスに溶解可能な対象物質を非溶解状態で含有する。発明的プロセスの種々の実施例は、非溶解の対象物質の比較的に均一な断面分布を有するコアを含む光導波管の形成を示す。発明的なプロセスの複数の実施形態を通して製造可能である光導波管の例が柔軟な融合光ファイバーであり、種々の光伝送及び画像伝送マトリックス(又はアレイ)が複数の個々の光ファイバー(モノファイバー)から形成される。より具体的には、種々の実施例を特定の光ファイバー画像伝送装置の製造に利用可能である。例えば非限定的な例として(i)「直線状」画像回転束状体(例えばインバーター)を有する長手状の融合した画像束状構造(イメージバンドル)及び拡大鏡/レデューサーのような融合テーパー、(ii)光ファイバーフェイスプレートのような非長手画像伝送器が挙げられる。前述の装置の製造に共通点は、モノファイバーの形成であり、該モノファイバーの各々が、公知のロッドインチューブ法に従って、クラッディングチューブをコアロッドの周りに加熱及び圧潰することにより形成される。複数のモノファイバーが続いて束ねられ、加熱され、延伸されることで、「マルチ」と一般的に呼ばれるものを形成する。続いて複数の「マルチ」が束ねられ、加熱され、延伸されることで「マルチ−マルチ」を形成する。
【0007】
本明細書に亘って、個々の導波管及びアレイの製造に採用された光学要素が、例えば、「ロッド」「フィラメント」又は「ファイバー」と種々に呼ばれることを定めることは重要である。用語「フィラメント」、「ファイバー」、「棒」、「バー」等が読者に何か異なる意味とみなされるかもしれないが、これら用語は明細書及びクレームの目的にとって相互変換可能な意味で使用される。したがって、例えば、「ロッド」の製造の説明が、非限定的な例示により、「フィラメント」及び「ファイバー」の製造の説明を開示していると見なされる。さらに、不特定の断面形状が、例えばロッド及びチューブを説明することに暗示される。したがって、ここに説明する実施例及び実施形態によってモノファイバーロッドを形成することに使用されたチューブ及びロッドが、例えば円形、正方形、正多角形(例えば五角形、六角形、八角形等)及び非対称の多角形を含む任意の断面形状を有してもよいことを理解すべきである。これら用語及び類似用語の各々に起因する広く解釈可能な技術範囲は、本発明及びクレームに同様に適用される。
【0008】
第1実施例に従って、複数のガラス長手ファイバーが提供される。各フィラメントは、両側の第1端及び第2端、並びに、当該第1及び第2端の間に延びる側面を有する。対象物質が各フィラメントの側面に固着される。1つの例示のバージョンでは、対象物質のフィラメントへの固着が、フィラメントに接着バインダ(すなわち結合材)をコーティングすると共にそこに対象物質を接着することによって達成される。そして、対象物質が固着される少なくとも2つのフィラメントが並列関係に束ねられてフィラメント束を形成する。当該フィラメント束は、例えば光ファイバー延伸タワーを通して加熱及び延伸されて、対象物質の断面分布を含むロッドを形成する。
【0009】
ガラスベースの光導波管、及び、同じものから製造されたガラスマトリックス又はアレイに所定の対象物質を含有させることに関する前の方法に関連した前述の限定を踏まえると、非限定的な例によって、本発明の種々の実施例が溶融ガラスへの溶解し易い結晶物質をガラス光導波管へ内包させることに適している。より一般的には、対象物質がそれ自体溶解するかどうかに拘わらず、標準的な「ロッドインチューブ」光ファイバー製造法の初期段階で使用するために構成された「コアバー」「コアロッド」の形成の間に溶融ガラスに導入された場合、必要な対象特性が対象物質から失われうる。現プロセスのバージョンは、対象物質でコーティングされた束状のガラスフィラメントを所定温度に加熱することにより、対象物質が溶融ガラスに曝されることを除外する。所定温度は、フィラメントを融合させる(例えば相互融合)させるほど十分に高温であるが、ガラスが融解し、対象物質がそこに溶解する又はその対象特性が無効か又は失われるほど高温でない。
【0010】
別実施例では、選択した対象物質でコーティングされたフィラメントが、内外面を有する壁部で区画された閉じ込めチューブ内に束ねられる。そして、フィラメント束及び閉じ込めチューブが加熱及び延伸される。閉じ込めチューブ及びフィラメント束が加熱及び延伸されると、コーティングされたフィラメントが相互に融合してコアロッドを形成する。当該コアロッドの周囲に閉じ込めチューブが圧潰及び融合する。少なくとも1つのバージョンでは、対象物質が加熱及び延伸前に閉じ込めチューブ内面にも固着される。
【0011】
閉じ込めチューブの使用を含む方法の、あるバージョンでは、フィラメントが第1屈折率を有する第1ガラスから製造され、閉じ込めチューブが第2屈折率を有する第2ガラスから製造され、閉じ込めチューブ及びフィラメントの加熱、延伸及び融合から生成された導波管が内部反射で電磁気エネルギーを伝送するように、第2屈折率が第1屈折率よりも小さい。このような場合、閉じ込めチューブは、(i)フィラメントが加熱及び延伸前に束ねられる容器又はスリーブ、及び、(ii)加熱及び延伸後に電磁気エネルギーの内部反射を促進する光学クラッディング材料の両方として機能する。したがって、文中で示されたとおり、利用可能且つ適切であるところで、用語「閉じ込めチューブ」及び「クラッディングチューブ」がサマリー、明細書及びクレームのいずれかに入れ替え可能に使用され得る。閉じ込めチューブ内のコーティングされたフィラメント束に替えて、束ねられたフィラメントのセットを加熱及び延伸して融合コアロッドを形成し、続いて、1以上の融合コアロッドを加熱及び延伸のためにクラッディングチューブ内に導入して内部反射する光導波管を形成する。
【0012】
異なる特性を表す別の物質を含む光導波管は、種々の研究、科学及び医療分野に従事する人にとって興味深い。したがって、ガラス光導波管内に、(限定されないが)(i)シンチレーター物質、(ii)金属、(iii)難燃性物質及び(iv)所定波長範囲内の電磁気エネルギーを吸収するように構成された吸収体物質のうちの少なくとも1つを含む対象物質を含有させるように発明的な方法の他のバージョンを使用可能である。主波長範囲内のエネルギーがシンチレーター物質に作用したときにシンチレーター物質から代わりに放出された対象の第2波長範囲内のエネルギーを検知することにより、対象の第1又は主波長範囲内のエネルギーの存在を間接的に検知することに使用されるディテクタの製造において、シンチレーター物質の使用が特に興味深い。特定のシンチレーター物質がX線フォトンで作用されたときに人間の目に可視的なフォトンを放出する。このため、非限定的な例として、医療産業に使用されるX線ディテクタの製造にこのような物質を使用可能である。X線で作用されたときに発光する物質の例には、(i)エルビウム(Er)、(ii)セシウム(Ce)、(iii)ルテチウム(Lu)及び(iv)ガドリニウム(Gd)の少なくとも1つを含有する化合物又は混合物が挙げられる。実例であるルテチウム含有物質は、Lu
xSi
yO
z及びLu
xO
yの化合物を含み、「x」及び「y」は変数である。ガドリニウムを含有するシンチレーター物質の例は、Gd
2O
2Sである。また、BGO(ゲルマニウム酸ビスマスのBi
4Ge
3O
12)及びLYSO(セシウムドープのオルトケイ酸ルテチウムイットリウム)を対象のシンチレーター物質として使用可能である。一群の非限定例の対象物質が提供されたが、本発明の実施形態が光導波管内に対象物質を含む方法論により一般的に関係していることを理解すべきであり、特定の対象物質に限定されない。
【0013】
一般的に知られているとおり、コアロッド及びクラッディングの相対的な反射率が、内部反射する導波管を形成するのに重要な因子である。すなわち、種々のバージョンでは、例えば、フィラメント又は破片をコーティングする際、又はパウダー状のガラスに混合する際に使用される対象物質がコアガラスへの屈折率整合性を有する。つまり、対象物質の屈折率をコアガラスの屈折率に実施可能な限り綿密に整合させるように注意される。同様に、ある状況では、クラッディングチューブの内面が対象物質でコーティングされているとき、対象物質の屈折率がクラッディングチューブを形成するガラスの屈折率に整合されうる。
【0014】
種々の画像伝送導波管アレイ製品の製造に従って、複数のモノロッド導波管が「マルチ延伸」ステップにおける加熱及び延伸のために束ねられる。加熱及び延伸されると、複数のモノロッド導波管が、光ファイバー産業で一般的に「マルチ」と呼ばれる製品に隣接して融合される。ある別のバージョンに従って、複数の「マルチ」が加熱及び延伸のために束ねられて「マルチ−マルチ」アレイを形成する。本発明の種々の実施例に従って形成されたマルチアレイ及びマルチマルチアレイを加工、機械加工、研磨及び処理して、光ファイバー産業では既に知られる融合アレイ製品を形成可能である。
【0015】
対象物質でコーティングされたフィラメントからの光学コアロッドの形成が本発明の特に効果的な実施例に導かれるが、他のバージョンは、対象物質を他の形状のガラスピースに組み合わせることによってコアロッドを形成する。一バージョンでは、粗いフラグメント、破片又は細かいパウダーのような粒子に粉砕されたガラスが対象物質でコーティングされ、そして、コーティングされたガラス粒子が加熱及び延伸されて光学コアロッドを形成する。このようなガラス粒子が、加熱及び延伸のためにガラスクラッディングチューブ内に導入されて、粒子がクラッディングチューブ(内)で相互融合した融合モノロッドになる。
【0016】
コーティングしたガラスフィラメントを使用する以外の第2のバージョンでは、閉じ込めチューブが少なくとも部分的に複数のプレート状のガラスピースで満たされている。各ガラスプレートは、両側の第1面及び第2面を有し、少なくとも一方が対象物質でコーティングされている。ガラスプレートは、それらの面がクラッディングチューブの長手軸に直交する平面に沿って延在するように、クラッディングチューブ内に堆積されている。例示のために、クラッディングチューブが円筒形である場合、ガラスプレートがディスク形状であり、筒状に巻かれたコインが紙又は収縮包装プラスチックシース内に包含されているのと同じようにチューブ内に積み重ねられる。プレートが相互融合して光学コアロッドを形成し、且つ、クラッディングチューブがコアロッドの周りに圧潰及び融合するように、ガラスプレートがチューブ内に堆積された状態でプレート及びクラッディングチューブが加熱及び延伸される。
【0017】
コーティングしたガラスフィラメントを使用する代わりに第3バージョンでは、光学コアロッド又は光学コアロッドの連続形成に使用される構成フィラメントが、粉砕(例えばパウダー状)ガラスを粉砕した対象物質に混合させて、当該粉砕混合物を焼結することによって製造される。一例のバージョンに関して前述したとおり、混合粒子が閉じ込めチューブ内に引かれたときに焼結が起こりうる。別バージョンでは、ガラス及び対象物質の混合粒子がモールド内に結合してロッド又はフィラメントを形成する。後者のバージョンの一具体例では、ロッド又はフィラメントが熱間静水圧プレスを使用して形成される。なお、このようなロッド又はフィラメントの少なくとも1つは、ここに説明した一般の方法で加熱及び延伸のために閉じ込めチューブ内に配置される。
【0018】
当業者にとって明らかであるが、加熱及び延伸時にモノロッド内にガス(例えば空気)を捕捉することを防止することに注意しなければならない。フィラメントがコアロッドを形成することに使用される実施形態では、フィラメント内包チューブ構造体が延伸されるとき、ガスがフィラメント間から閉じ込めチューブ端部の外に追い出される。フィラメント間からのガス追い出しは、フィラメント及びチューブが加熱及び延伸される方向に沿って(すなわち、「延伸軸」に沿って)フィラメントが相互整列しているという事実によって補助される。しかしながら、ガラス粒子又は堆積ガラスプレートが使用される場合、捕捉ガスを延伸軸に対して横方向に追い出し、次に縦方向に追い出す必要がある。したがって、コアロッドがフィラメントから形成されていない実施例では、より高い延伸温度及び高いバキュームが必要である。
【0019】
代表的な実施例及び実施形態を以下の詳細な説明及び図面によってより完全に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】対象物質でコーティングされた
図1のフィラメントを示す図。
【
図3A】閉じ込めチューブ内に配置された
図2のフィラメントのような、複数のコーティングされたフィラメントを示す図。
【
図3B】
図3Aの束ねられたフィラメント及び閉じ込めチューブを加熱及び延伸することによって形成された融合モノロッドを示す図。
【
図4A】隣接して束ねられた対象物質でコーティングされた複数のフィラメントを示す図。
【
図4B】束ねられたフィラメントを加熱することで製造されたコアロッドを示す図。
【
図4C】
図4Bのコアロッドのクラッディングチューブ内への導入を示す図。
【
図4D】
図4Cのコアロッド及びクラッディングチューブを加熱及び延伸することによって形成された融合モノロッドを示す図。
【
図5】ファイバー延伸タワーにおいて加熱及び延伸するために束ねられた複数のロッド状光導波管を示す図。
【
図5A】
図5の束ねられた光導波管を加熱及び延伸することによって製造されたマルチアレイの断面図。
【
図5B】加熱及び延伸のために束ねられた複数のマルチアレイを示す図。
【
図5C】
図5A及び5Bのマルチアレイのように、複数のマルチアレイを加熱及び延伸することによって製造された融合マルチマルチアレイを示す断面図。
【
図6A】各々が対象物質で少なくとも部分的にコーティングされた、複数のプレート状ガラスピースを示す図。
【
図6B】ガラス閉じ込めチューブ内に堆積された、
図6Aに示したような複数のプレート状ガラスピースを示す図。
【
図6C】
図6Bの堆積ガラスピース及び閉じ込めチューブを加熱及び延伸することにより形成された融合モノロッドを示す図。
【
図7A】ガラス粒子及び対象物質粒子を含む粒子混合物をモールドに導入することを示す図。
【
図7C】ガラス粒子及び対象物質が相互融合するように
図7A及び7Bのモールド内の
図7Aの粒子混合物を加熱することによって形成されたコアロッドを示す図。
【
図8A】ガラス粒子及び対象物質粒子を含む粒子混合物を閉じ込めチューブ内に導入することを示す図。
【
図8B】
図8Aの粒子混合物及び閉じ込めチューブを加熱及び延伸することによって形成した融合モノロッドを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ガラスベースの光導波管、導波管アレイ及びその製造方法の実施形態の以下の記載は、事実上説明するためのものであり、発明又はその使用用途の限定を意図するものではない。サマリー及び詳細な説明で説明される様々な実施法、実施例、バージョン、及び実施形態は、添付したクレームの非限定的な例であり、クレームの最大範囲を定めるものではない。
【0022】
図1から8Bを併せて、溶融ガラスへの溶解性を有する、あるいは、対象物質がそこに溶解するかどうかには拘わらず、対象物質が溶融ガラスに曝露されたときに損失され得る対象特性を有する対象物質を、非溶解状態で内部に含有するガラスベースの光導波管を製造する複数の方法を説明する。
図1は、複数のガラスフィラメント110を示し、当該フィラメント110の各々は、長手方向両端の第1端114及び第2端116、及び、第1端114及び第2端116間に延びる側面118を有する。
図2に示すとおり、各フィラメント110の側面118は、少なくとも1つの対象特性P
OIを有する対象物質M
OIで処理(例えばコーティング)される。別実施例では、対象物質M
OIが適用される少なくとも2つのフィラメント110が、並列関係で隣接して束ねられて、フィラメント束140を形成する。一バージョンでは、例えば
図3Aに示すように、コーティングされたフィラメント110が閉じ込めチューブ160内に束ねられる。閉じ込めチューブ160は、両側の第1端164及び第2端166を有し、内側面169
i及び外側面169
oを有する側壁168で定められる。任意に、フィラメント110に加えて、対象物質M
OIが閉じ込めチューブ160の内側面169
iに適用される。
図3A及び3Bに示すとおり、フィラメント束140及び閉じ込めチューブ160は、例えば、図示しない光ファイバー延伸タワー(関連技術においてこのようなタワーが普遍的に使用される)を通して加熱されて延伸される。閉じ込めチューブ160及びフィラメント束140が加熱及び延伸されると、コーティングされたフィラメント110が互いに融合して、コアロッド150を形成する。そして、当該コアロッド150の周りに閉じ込めチューブ160が潰れて融合して、
図3Bに示す融合モノロッド180を形成する。
【0023】
図4Aから4Dに示した別の同様のバージョンでは、
図4Aに一般的に示すように、ガラスフィラメント110が対象物質M
OIでコーティングされてフィラメント束140を形成するように束ねられている。そして、束ねられたフィラメント110は、
図4Bに示すように、加熱及び延伸されて溶解コアロッド150を形成する。
図4に示すとおり、ロッドインチューブ法に類似の手順において、コアロッド150がクラッディングチューブ160内に軸方向に導入され、
図4Dに示すとおり、クラッディングチューブ160がコアロッド150の周りに潰れて融合して融合モノロッド180を形成するように、クラッディングチューブ160及びコアロッド150が加熱及び延伸される。
図3A及び3Bのバージョンのように、コアロッド150及び閉じ込めチューブ160を加熱及び延伸する前に、閉じ込めチューブの内面169
iを対象物質M
OIでコーティング可能である。
【0024】
別実施形態では、
図3Aから3B及び4Aから4Dで説明したものを含み、束ねられたフィラメント110、及び、その結果物であるコアロッド150が、第1屈折率n
1を有する光透過第1ガラスG
1から製造され、閉じ込めチューブ160が第2屈折率n
2を有する光透過第2ガラスG
2から製造される。閉じ込めチューブ160及びフィラメント110の加熱、延伸及び相互融合で形成された融合モノロッド180が内部反射により電磁気エネルギーを伝送する光導波管190となるように、第2屈折率n
2は第1屈折率n
1よりも小さい。
【0025】
画像伝送導波アレイ(例えば光ファイバーアレイ)を形成するために、
図5に示すとおり、「マルチ延伸」ステップで加熱及び延伸するために、対象物質M
OIを含有する導波管190の形の複数のモノロッド180が束ねられる。加熱及び延伸後、複数の導波管190が、
図5Aの断面図に示された「マルチ」又はマルチアレイ200と示される製品に隣接融合される。従来のファイバー延伸法に関連したマルチ延伸ステップに従って、
図5の束のクラッディングチューブ160が、
図5Aの製品において、光学コアロッド150がその中に相互に固定位置に保持される隣接ガラスマトリックスに融合される。
図5B及び5Cに示された別バージョンに従って、「マルチ−マルチ」アレイ300を形成するように加熱及び延伸のために複数のマルチアレイ200が束ねられる。
【0026】
サマリーで示したとおり、本発明の技術範囲及び思想内に、対象物質M
OIで前処理された構成フィラメントを束ね、加熱し、延伸すること以外の方法によってコアロッド及びモノロッドが形成された実施形態が含まれる。別実施形態に従って、
図6Aに最初に示すが、複数のプレート状のガラス片410(あるいは「ガラスプレート410」)が提供される。各ガラスプレート410は、両側の第1面412a及び第2面412bを有し、少なくとも一方が対象物質M
OIでコーティングされている。
図6Bが示すとおり、コーティングされたガラスプレート410が、閉じ込めチューブ460内に対面関係で隣接して堆積され、これら面412a及び412bが、閉じ込めチューブ460の長さ方向の閉じ込めチューブ軸A
CTに直交する(図示しないが暗黙の)平面に沿って延びる。
図6Bの例では、閉じ込めチューブ460が円筒形状である。したがって、ガラスプレート410がディスク形状であり、筒状に巻かれたコインが紙又は収縮包装プラスチックシース内に包含されているのと同様にチューブ460内に積み重ねられる。
【0027】
図6B及び6Cに示したとおり、堆積したガラスプレート410及び閉じ込めチューブ460が、例えば光ファイバー延伸タワー(前述したので説明しない)を通して加熱及び延伸される。閉じ込めチューブ460及びガラスプレート410が加熱及び延伸されると、ガラスプレート410が互いに融合してコアロッド450を形成する。当該コアロッド450の周りに、閉じ込めチューブ460が圧潰及び融合して
図6Cに示すように融合モノロッド480を形成する。一実施例では、堆積したガラスプレート410及びその結果物であるコアロッド450が第1屈折率n
1を有する光透過第1ガラスG
1から製造され、閉じ込めチューブ460が第2屈折率n
2を有する光透過第2ガラスG
2から製造される。生成した融合モノロッド480が内部反射により電磁気エネルギーを伝送する光導波管490となるように、第2屈折率n
2は第1屈折率n
1よりも小さい。
【0028】
別実施形態は、モールド(鋳型)のような容器内における光学コアロッドの形成、又は、後の光学コアロッドの形成に使用される構成フィラメントの形成を含む。説明の目的のため、コアロッド550の製造が
図7Aから7Cを参照して説明される。
図7Aに示すとおり、ガラス粒子510及び対象物質M
OIの粒子が混合されて粒子混合物540を形成する。粒子混合物540がモールド570内に導入される。一バージョンでは、粒子混合物540が所定温度でモールド570内に焼結される。当該所定温度は、ガラス粒子510及び対象物質M
OIの粒子が相互に融合するのに十分に高温であるが、ガラス粒子510が溶解して、対象物質M
OIが有する対象特性P
OIを無効にするほど高温でない。別実施形態では、粒子混合物540が熱間静水圧プレス(hot isostatic pressing)を受ける。静水圧プレスは、形成される物体が液体で囲まれるチャンバ内でしばしば実行されるが、説明の目的のために、これを「成形」プロセスの一種としてみなす。すなわち、
図7Aに示したモールド570を参照することで、焼結と同様に熱間静水圧プレスの説明を十分にサポートしている。
【0029】
図7B及び7Cを参照して、粒子混合物540が自立コアロッド550を定めるように十分に融合すると、モールド570が開かれてコアロッド550が除去される。そして、コアロッド550は、例えば、融合モノロッド180を形成するように
図4Bから4Dのコアロッド150が処理された方法と類似の方法で続いて処理される。
【0030】
図8Aで説明するさらなるバージョンでは、ガラス粒子610が、対象特性P
OIを有する対象物質M
OIの粒子に結合されて、粒子混合物640を形成する。粒子混合物640が閉じ込めチューブ660に導入される。
図8A及び8Bに示すとおり、粒子混合物640及び閉じ込めチューブ660が加熱及び延伸される。閉じ込めチューブ660及び粒子混合物640が加熱及び延伸されると、粒子混合物640が融合してコアロッド650を形成する。当該コアロッド650の周りに、閉じ込めチューブ660が、
図8Bに示すように、融合モノロッド680を形成するように潰れて融合する。説明の一実施形態では、生成されたコアロッド650が、第1屈折率n
1を有する光透過第1ガラスG
1を備え、閉じ込めチューブ660が第2屈折率n
2を有する光透過第2ガラスG
2から製造される。生成した融合モノロッド680が内部反射により電磁気エネルギーを伝送する光導波管690であるように、第2屈折率n
2は第1屈折率n
1よりも小さい。
【0031】
本発明の原理について上に説明した。さらに、当業者は、多くの改変及び変更を容易に行うことができるので、上述した形態に本発明が限定されることはない。したがって、全ての適切な改変及び均等物が、特許請求の範囲で表された本発明の技術的範囲に含まれている。