特許第5933981号(P5933981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933981
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】筐体
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
   H05K5/02 Q
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-11945(P2012-11945)
(22)【出願日】2012年1月24日
(65)【公開番号】特開2013-152997(P2013-152997A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】舘野 好一
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−235228(JP,A)
【文献】 実開昭57−197677(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 8/00
H05K 5/00−5/06
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケースと第2ケースの組み合わせにより形成される筐体において、
前記第1ケースは、平板の状態から4つの片部を折り曲げることにより箱形に形成され、かつ、一方の対向する片部が外側方に開かないように、当該一方の対向する片部を係止する第1係止部を備え、前記第2ケースは、前記第1ケースと組み合わせるときに、前記第1ケースにおける他方の対向する片部が外側方に開かないように、当該他方の対向する片部を係止する第2係止部を備え、
前記第1係止部は隣り合う片部のうち、一方の片部の側縁に形成される第1の爪と、この第1の爪が引き掛けられる、他方の片部の側縁に形成される第2の爪と、を備え、
前記第1の爪、及び、前記第2の爪は、隣り合う片部の内側面に沿って配置されていることを特徴とする筐体。
【請求項2】
前記第1の爪は、先端が上方を向く略L字形状の鉤型に形成され、前記先端と、前記一方の片部の側縁との間には、レール溝が設けられ、
前記第2の爪は、前記第1の爪が係止される板状の係止部と、前記係止部から下方に鉤型に延びる爪部と、を有し、前記爪部の先端がR形状に形成されていることを特徴とする請求項に記載の筐体。
【請求項3】
前記第2ケースに備えられた前記第2係止部は、前記第1ケースと前記第2ケースを組み合わせるときに、前記第2の爪が引き掛けられる第3の爪を備えることを特徴とする請求項に記載の筐体。
【請求項4】
前記第2の爪、及び、前記第3の爪は、前記第1ケースと前記第2ケースを組み合わせるときに対応する位置に、互いに噛み合う方向に切り欠かれたテーパーを備えることを特徴とする請求項3に記載の筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのケースの組み合わせにより形成される箱形の筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器を収容するために、ロワーケースとアッパーケースとを有して構成される電子機器用の外筺体が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の筐体は、金属板材をプレスによって折り曲げて、底板部、及び、この底板部の側部より立設され側壁となる片部を有するロワーケースと、天板部、及び、この天板部の側部より垂下され側壁となる片部を有するアッパーケースとを備え、これらロワーケースとアッパーケースを各側壁部が互いに重なり合う状態でねじ止め等の手段により接合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3243806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両に搭載される電子機器用の筐体では、車両走行時の振動や、外的な過負荷によってガタが生じないように、ロワーケースとアッパーケースの被せ合せ部位にほとんど隙間の無い作りとする必要がある。しかしながら、金属板材をプレス等によって折り曲げて形成されたロワーケース及びアッパーケースの片部には、スプリングバックによって外側方へ開こうとする継続的な力がかかる。これにより、特に外側のケースの片部が外側方へ開き易くなり、組み立ての仕上がりに影響を与えていた。
ケースの片部が外側方へ開くのを防止するためには、止め点を追加する、つまり、片部の側縁同士をねじ止め固定、溶接、或いは、かしめ固定することが考えられる。しかしながら、止め点を追加するために、部品点数の増加や作業工数の増加につながり、必要以上のコスト増に繋がっていた。
本発明は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、簡単な構造で片部が側方へ開かないように形状を保持することができる筐体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、第1ケースと第2ケースの組み合わせにより形成される筐体において、前記第1ケースは、平板の状態から4つの片部を折り曲げることにより箱形に形成され、かつ、一方の対向する片部が外側方に開かないように、当該一方の対向する片部を係止する第1係止部を備え、前記第2ケースは、前記第1ケースと組み合わせるときに、前記第1ケースにおける他方の対向する片部が外側方に開かないように、当該他方の対向する片部を係止する第2係止部を備え、前記第1係止部は隣り合う片部のうち、一方の片部の側縁に形成される第1の爪と、この第1の爪が引き掛けられる、他方の片部の側縁に形成される第2の爪と、を備え、前記第1の爪、及び、前記第2の爪は、隣り合う片部の内側面に沿って配置されていることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記筐体において、前記第1の爪は、先端が上方を向く略L字形状の鉤型に形成され、前記先端と、前記一方の片部の側縁との間には、レール溝が設けられ、前記第2の爪は、前記第1の爪が係止される板状の係止部と、前記係止部から下方に鉤型に延びる爪部と、を有し、前記爪部の先端がR形状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記筐体において、前記第2ケースに備えられた前記第2係止部は、前記第1ケースと前記第2ケースを組み合わせるときに、前記第2の爪が引き掛けられる第3の爪を備えることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記筐体において、前記第2の爪、及び、前記第3の爪は、前記第1ケースと前記第2ケースを組み合わせるときに対応する位置に、互いに噛み合う方向に切り欠かれたテーパーを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1ケースと第2ケースの組み合わせにより形成される箱形の筐体において、前記第1ケースは、平板の状態から4つの片部を折り曲げることにより箱形に形成され、かつ、一方の対向する片部が外側方に開かないように、隣り合う片部を係止する第1係止部を備え、前記第2ケースは、前記第1ケースと組み合わせるときに、前記第1ケースにおける他方の対向する片部が外側方に開かないように、当該他方の対向する片部を係止する第2係止部を備えたため、簡単な構造でケースの片部が側方に開かないように片部を係止して筐体の形状を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る筐体を示す斜視図である。
図2】筺体の分解斜視図である。
図3】第1ケースの展開図である。
図4】片部を折り曲げる工程における片部の拡大図である。
図5】第1係止部を示す部分拡大図である。
図6】第2係止部を示す部分拡大図である。
図7】第1係止部と第2係止部の係止構造を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明を適用した実施形態に係る筐体1を示す図である。図2は、図1に示す筐体1を分解した構成を示す斜視図である。
筐体1は、図1に示すように、第1ケース(アッパーケース)10と第2ケース(ロワーケース)20の組み合わせにより形成される箱形の筐体である。筐体1は、図2に示すように、第1ケース10を第2ケース20に覆い被せて用いられ、内部に電子制御基板(基板)2等の電子機器が収容される。このように、筐体1は、電子機器用の筺体であり、内部に電子機器を収容しユニット化されて、例えば車両等に取り付けられる。第1ケース10と第2ケース20は、組み合わせたときのクリアランスにより車両の走行に伴う振動等でガタが発生しないように、予め相互間にほとんど隙間のない形状、及び、大きさに形成されている。
【0015】
第1ケース10は、金属の板材をプレス加工により折り曲げて所定の形状に形成される。第1ケース10は、略矩形の天板部14と、この天板部14の各辺から垂下し、第1ケース10の側壁を構成する片部16,17と、を備える。片部16,17は、一方の対向する片部16と、他方の対向する片部17と、から構成される。一方の対向する片部16は、ねじ13によって第2ケース20にねじ止めされる。また、一方の対向する片部16には、筐体1を任意の取付箇所に取り付けるための不図示のブラケットが固定される固定孔15が形成される。ねじ13が挿入されるねじ孔34A(図3参照)は、片部16の一部をプレス加工により内側に押し込んで形成した固定部34に設けられる。固定部34は、ねじ13の頭部が片部16より外側に突出しない深さに形成される。これにより、筐体1にブラケットを固定する際に、ねじ13がブラケットと干渉するのを防止することができる。
【0016】
片部17には、筐体1の内部に収容される基板2のコネクタ3を筐体1の外部に臨ませる切欠き11が設けられる。また、詳細については後述するが、片部17には、第1ケース10と第2ケース20を組み合わせるときに、第2ケース20に設けられる係止凹部23に圧入される係止凸部12が設けられる。天板部14には、開口部18が形成され(図3参照)、この開口部18を塞ぐ蓋体40がねじ止めされて設けられる構成であっても良い。
第1ケース10は、天板部14、及び、片部16,17に複数の通気孔19を備える。筐体1の内部に収容された基板2が発する熱は、この通気孔19を介して筐体1の外部に放熱される。
【0017】
第2ケース20は、金属の板材をプレス加工により折り曲げて所定の形状に形成される。第2ケース20は、略矩形の底板部28と、この底板部28の縁から立設された側壁部21,22と、を備える。なお、第2ケース20は、箱状に形成されている構成の他に、平板状の底板部28の縁から側壁や後述する第3の爪24,25が立設されている構成のものも含み、側壁は、複数に分割されている構成であっても良い。
底板部28には、基板2が載置される台座部29が複数設けられる。台座部29は、プレス加工によって底板部28から筐体1の内側に張り出すように、底板部28と一体に形成される。台座部29には、基板2を固定するためのねじが挿入されるねじ孔が形成される。基板2は、台座部29に載置されるため、基板2と底板部28の間には、基板2の裏面に取り付けられたチップ部品や、配線用等の半田が金属の底板部28に接触するのを防止する隙間が形成される。
【0018】
側壁部21,22は、一方の対向する側壁部21と、他方の対向する側壁部22と、から構成される。筐体1は、第1ケース10と第2ケース20を組み合わせるときに、第1ケース10の片部16と第2ケース20の側壁部21が、第1ケース10の片部17と第2ケース20の側壁部22が、互いに重なり合うように構成されている。
一方の対向する側壁部21には、第1ケース10の固定部34に対応する位置に、固定部34に挿し込まれるねじ13がねじ止めされるねじ孔27が設けられる。また、側壁部21には、筐体1を任意の取付箇所に取り付けるための不図示のブラケットが固定される固定孔26が、第1ケース10の固定孔15に対応する位置に形成されている。
【0019】
側壁部22には、筐体1の内部に収容される基板2のコネクタ3を筐体1の外部に臨ませる切欠き31が設けられる。また、側壁部22には、第1ケース10と第2ケース20を組み合わせるときに、第1ケース10に設けられた係止凸部12が圧入される係止凹部23が設けられる。係止凹部23は、プレス加工により側壁部22より外側に張り出された張出部32に設けられる。張出部32は、第1ケース10と第2ケース20を組み合わせるときに、片部17と略面一となるように形成される。係止凹部23は、張出部32の内側から外側に向かって形成された凹み、或いは、張出部32の表裏に貫通する孔である。張出部32、及び、係止凹部23は、対向する側壁部22の各々にそれぞれ少なくとも1つ設けられ、複数設けられる構成であっても良い。
【0020】
第1ケース10の片部17には、第2ケース20の張出部32に対応する位置に、張出部32に差し込まれる挿入部33が設けられる。挿入部33は、片部17の一部をプレス加工により略Z字型に筐体1の内側方向に折り曲げて形成される。挿入部33は、第1ケース10と第2ケース20を組み合わせるときに、張出部32の内側に挿し込まれて、側壁部22と略面一に配置される。そして、張出部32に設けられた係止凹部23に、挿入部35に設けられた係止凸部12が嵌り込み、第1ケース10と第2ケース20が係止される。
【0021】
このように、第1ケース10と第2ケース20は、組み合わせるときに、係止凸部12と係止凹部23によって係止されると共に、互いに位置決めされる。本実施形態では、第1ケース10と第2ケース20は、ねじ13によって互いに固定される構成としたが、係止凸部12と係止凹部23によって所定の位置で互いに係止されるため、ねじ13を省略する構成とすることもでき、部品点数の削減、及び、組み立て作業効率の向上を図ることもできる。また、ねじ13で第1ケース10と第2ケース20を固定する場合には、係止凸部12と係止凹部23が係止されるため、第1ケース10と第2ケース20が所定の位置で互いに係止され位置決めされた状態でねじ止めすることができる。これにより、ねじ止めをする際の作業効率を向上することができる。
【0022】
第1ケース10は、図3に示すように、予め所定の形状に形成された平板状の金属部材(平板部材)101を折り曲げることにより箱形に形成される。
ところで、第1ケース10と第2ケース20は、組み合わせたときのクリアランスにより車両の走行に伴う振動等でガタが発生しないように、予め相互間にほとんど隙間が形成されない形状、及び、大きさに設定されている。しかしながら、第1ケース10は、金属の平板部材101を折り曲げることにより箱形に形成されるため、スプリングバックにより折り曲げられた片部16,17には外側方に開こうとする継続的な力が加わる。また、このように折り曲げて形成された片部16,17は、外的負荷などによってめくれ方向での変更を起こしやすい。このように、片部16,17が外側方に開いた場合には、第1ケース10と第2ケース20との間に想定以上のクリアランスが生じ、筐体1は、搭載された車両の走行等による振動を受けた際にガタが生じる。そこで、本実施形態は、簡単な構造で部品点数や製造工程を増やすことなく片部16,17を外側方に開かないように係止する構造を備えた筐体1を提供するものであり、以下にこの係止構造について詳述する。
【0023】
第1ケース10を構成する平板部材101は、一方の対向する片部16の各側縁16Aに第1の爪51を備える。第1の爪51は、片部16の端縁16Bに近い位置に設けられる。第1の爪51は、略L字形状の鉤型に形成され、先端部51Aと、側縁16Aとの間には、レール溝51Bが設けられる。第1の爪51の先端部51Aは天板部14に向かって延びる。つまり、第1の爪51は、第1ケース10を第2ケース20に上から被せて組み合わせる際に、先端部51Aが上方を向くように構成されている。第1の爪51は、片部16,17を折り曲げる工程より前の工程で、側縁16Aに沿って筐体1の内側となる方向に向かって略90度曲げ起こされる。
【0024】
平板部材101は、他方の対向する片部17の各側縁17Aに第2の爪52を備える。第2の爪52は、平板状の係止部53と、係止部53の外縁53Aに沿って端縁17Bに向かって延びる爪部54とを備える。第1ケース10を第2ケース20に上から被せて組み合わせる際に、爪部54が下方を向くように構成されている。第2の爪52は、片部16,17を折り曲げる工程より前の工程で、側縁17Aに沿って筐体1の内側となる方向に向かって略90度曲げ起こされる。
【0025】
第1の爪51と、第2の爪52は、図4に示すように、片部16,17を折り曲げた際には、第1の爪51が片部17と平行に片部17の内側面に沿って配置されるとともに、第2の爪52が片部16と平行に片部16の内側面に沿って配置されるように構成されている。
第2の爪52は、爪部54の先端55がR形状に形成されている。平板部材101から4つの片部16,17を折り曲げるときには、まず、一方の対向する片部16が天板部14に対して略直角に折り曲げられる。他方の対向する片部17は、片部16を折り曲げた後に、天板部14に対して略直角に折り曲げられる。
【0026】
他方の対向する片部17を折り曲げるときには、第2の爪52は、先端55が、第1の爪51と片部16の側縁16Aとの間のレール溝51Bを図4中Xで示すように通過し、係止部53がレール溝51Bに介装される。爪部54の先端55は、他方の対向する片部17を折り曲げるときに、先端55が第1の爪51と干渉することなく、第2の爪52がレール溝51Bにスムーズに介装されるように、予め所定の大きさのR形状に形成されている。これにより、第2の爪52が、第2の爪52に干渉することなく、他方の対向する片部17を折り曲げることができる。
【0027】
このようにして、一方の対向する片部16を折り曲げた後に、他方の対向する片部17を折り曲げることで、図5に示すように、第1の爪51が第2の爪52に引き掛けられる。これにより、一方の対向する片部16は、外側方に開かないように隣り合う他方の片部17に係止されて動きが規制される。また、第1の爪51は、片部16の端縁16Bに近い位置、つまり、片部16が天板部14から折り曲げられる折り曲げ位置から遠い位置に設けられているため、片部16がスプリングバックによって外側方へ開こうとする継続的な力に対して、片部16が側方に開くのを効率よく防ぐことができる。
【0028】
このように、第1ケース10は、第1の爪51と第2の爪52によって構成され、一方の対向する片部16を外側方に開かないように係止する第1係止部60を備える。第1係止部60には、第2の爪52の爪部54と第1の爪51の間に、後述する第2係止部61が係合される係合部62が設けられる。
第2係止部61は、図2に示すように、第2ケース20の底板部28の4隅にそれぞれ設けられ、第2ケース20を構成する不図示の平板上の部材を形成する際に、予め底板部28と一体に形成される。第2係止部61は、平板の状態から、側壁部21,22等を折り曲げて第2ケース20を形成する工程において、曲げ起こされて形成される。
【0029】
第2係止部61は、一方の対向する側壁部21と平行に形成された第3の爪24,25を備える。第2係止部61は、図6(A)に示されるように、単独で曲げ起こされて、爪状に形成された第3の爪24を備える構成であっても良い。第2係止部61は、或いは、図6(B)に示すように、一方の側壁部21の一部として形成された爪状の第3の爪25を備える構成であっても良い。第3の爪24,25は、内側辺24A,25Aが所定角度(概ね45°)に切り欠かれ、テーパー24B,25Bが備えられる。また、第3の爪24,25は、第1ケース10と第2ケース20を組み合わせるときに、第1ケース10の一方の片部16の内面に沿って配置されるように構成される。
【0030】
第2係止部61は、第1ケース10と第2ケース20を組み合わせるときに、図7(A)および図7(B)に示すように、第1係止部60の係合部62に係合される。第2の爪52の爪部54は、係合部62側に所定角度(概ね45°)のテーパー56を備える。テーパー56は、第3の爪24,25のテーパー24B,25Bと噛み合う方向に切り欠かれ、爪部54のテーパー56と、第3の爪24,25のテーパー24B,25Bとは、互いに噛み合う方向に形成されている。この構成によれば、第1ケース10と第2ケース20を組み合わせるときには、第3の爪24,25のテーパー24B,25Bが、爪部54のテーパー56に沿ってスライドし、第2係止部61が係合部62に案内される。これにより、爪部54のテーパー56と、第3の爪24,25のテーパー24B,25Bとは、第1ケース10と第2ケース20を組み合わせるときに、第2ケース20が第1ケース10に対して所定の位置に位置決めされるように組み立てを補助するため、微細な組み合わせ調整をすることなく、安定した組み立てを行うことができる。
そして、第1ケース10と第2ケース20が組み合わせられると、他方の片部17に設けられた第2の爪52は、爪部54が第2ケース20に設けられた第3の爪24,25に引き掛けられる。これにより、他方の片部17は、外側方に開かないように、第2ケース20に設けられた第2係止部61に係止されて動きが規制される。
【0031】
これらの構成によれば、第1係止部60は、第1の爪51を第2の爪52に引き掛けて、第1ケース10の一方の対向する片部16を外側方に開かないように係止し、片部16の動きを規制する。そして第2係止部61は、第2の爪52を、第2ケース20に設けられた第3の爪24,25に引き掛けて、第1ケース10の他方の対向する片部17を外側方に開かないように係止し、片部17の動きを規制する。これにより、筐体1は、第1ケース10の隣り合う片部16,17をねじ止め固定、溶接、或いは、かしめ固定により固定することなく、第1ケース10及び第2ケース20に一体に設けられた簡単な係止構造60,61によって、スプリングバックや外的負荷による力を受けても外側方に開かないように形状を保持することができる。また、筐体1を構成する第1ケース10、及び、第2ケース20の構造、及び、平板状の部材の形状を複雑化させることなく、簡単な係止構造60,61によって、片部16,17を折り曲げるだけで片部16,17が開かないように係止することができ、筐体1の形状を保持することができる。また、筐体1は、この第1ケース10及び第2ケース20に一体に設けられた簡単な係止構造60,61によって、第1ケース10と第2ケース20をプレス加工により成形する工程、及び、組み合わせる工程を通して、微細な調整をすることなく、第1ケース10の各片部16,17を外側方に開かないように係止させるように、安定して組み立てることができる。
【0032】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態によれば、第1ケース10と第2ケース20の組み合わせにより形成される箱形の筐体1において、第1ケース10は、平板の状態から4つの片部16,17を折り曲げることにより箱形に形成され、かつ、一方の対向する片部16が外側方に開かないように、当該一方の対向する片部16を係止する第1係止部60を備え、第2ケース20は、第1ケース10と組み合わせるときに、第1ケース10における他方の対向する片部17が外側方に開かないように、当該他方の対向する片部17を係止する第2係止部61を備えた。この構成によれば、第1ケース10の一方の対向する片部16が側方に開かないように当該片部16を係止する第1係止部60を第1ケース10に、第1ケース10の他方の対向する片部17が側方に開かないように当該片部17を係止する第2係止部61を第2ケース20に、それぞれ備えた。これにより、筐体1は、第1ケース10の隣り合う片部16,17をねじ止め固定、溶接、或いは、かしめ固定等で互いに固定することなく、簡単な係止構造60,61で片部16,17が側方へ開かないように係止することができる。よって、筐体1は、スプリングバックや外的負荷による力に対して、形状が保持されるため、筐体1の搬送、及び、取扱いのし易さを向上することができる。
【0033】
また、本発明を適用した実施形態によれば、第1係止部60は隣り合う片部16,17のうち、一方の片部16の側縁16Aに形成される第1の爪51と、この第1の爪51が引き掛けられる、他方の片部17の側縁17Aに形成される第2の爪52と、を備えた。この構成によれば、片部16,17の側縁16A,17Aに、第1の爪51と第2の爪52をそれぞれ形成し、第1の爪51を第2の爪52に引き掛けるという簡単な構造で、一方の片部16を側方に開かないように係止することができる。よって、部品の構造を複雑化させることなく、かつ、ねじ止め固定、溶接、或いは、かしめ固定等の2次的固定をすることなく、片部16が側方へ開かないように係止することができる。
【0034】
また、本発明を適用した実施形態によれば、第1の爪51は、前記4つの片部16,17を折り曲げる工程で第2の爪52に引き掛けられる。これにより、第1ケース10は、隣り合う片部16,17を固定するための工程を別途設けることなく、片部16,17を折り曲げるだけで一方の片部16を側方に開かないように係止することができ、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0035】
また、本発明を適用した実施形態によれば、第1の爪51、及び、第2の爪52は、隣り合う片部16,17の内側面に沿うように、4つの片部16,17を折り曲げる工程の前に、各片部16,17の側縁16A,17Aから略90度曲げ起こされる。この構成によれば、第1の爪51、及び、第2の爪52は、箱状に形成された第1ケース10の4隅に内側面に沿って設けられるため、筐体1の大きさ及び外観への影響を最小限に抑えて、一方の片部16を側方に開かないように係止することができる。
【0036】
また、本発明を適用した実施形態によれば、第1の爪51は、先端部51Aと、片部16の側縁16Aとの間にレール溝51Bが設けられた略L字形状の鉤型に形成され、第2の爪52は、第1の爪51が係止される平板状の係止部53と、係止部53から鉤型に延びる爪部54と、を有し、爪部54の先端55がR形状に形成され、一方の対向する片部16を折り曲げた後、他方の対向する片部17を折り曲げるときに、第2の爪52の先端55をレール溝51Bを通して第2の爪52に第1の爪51を係止させた。これにより、第2の爪52を第1の爪51に干渉させることなく他方の対向する片部17を折り曲げることができ、他方の対向する片部17を折り曲げることで、前に折り曲げられている第1の爪51を第2の爪52に引き掛けられる。よって、第1の爪51を第2の爪52に引き掛ける工程を別途に設けることなく、一方の対向する片部16を外側方に開かないように係止することができるため、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0037】
また、本発明を適用した実施形態によれば、第2ケース20に備えられた第2係止部61は、第1ケース10と第2ケース20を組み合わせるときに、第2の爪52が引き掛けられる第3の爪24,25を備える。この構成によれば、第1ケース10と第2ケース20を組み合わせることで、他方の対向する片部17が開かないように、第2の爪52を第3の爪24,25に係止することができる。これにより、第1ケース10は、第2ケース20と組み合わせることで片部16,17が側方へ開かないように係止される。よって、簡単な構造で、部品点数を増加させることなく、外観形状への影響を最小限に抑えて、第1ケース10の一方の対向する片部16と他方の対向する片部17を外力等による変形を防いで安定して保持することができ、筐体1の形状を保持することができる。また、筐体1の外側ケースとなる第1ケース10の片部16,17の外側方への広がりを抑えることができるため、結果的に、第1ケース10の内側に組み合わされる第2ケース20の外側方への広がりを抑えることができる。
【0038】
また、本発明を適用した実施形態によれば、第2の爪52、及び、第3の爪24,25は、第1ケース10と第2ケース20を組み合わせるときに対応する位置に、互いに噛み合う方向に切り欠かれたテーパー56,24B,25Bを備える。この構成によれば、第1ケース10と第2ケース20を組み合わせるときに、第3の爪24,25のテーパー24B,25Bが、爪部54のテーパー56に沿ってスライドし、第1ケース10と第2ケース20の組み立てを補助する。これにより、第1ケース10と第2ケース20を組み合わせるときに、微細な組み合わせ調整をすることなく、第2係止部61を第1係止部60の係合部62に案内することができるため、安定した組み立てを行うことができる。
【符号の説明】
【0039】
1 筐体
10 第1ケース
16 一方の片部(片部)
16A 側縁
17 他方の片部(片部)
17A 側縁
20 第2ケース
24、25 第3の爪
24B、25B、56 テーパー
51 第1の爪
51A 先端部
51B レール溝
52 第2の爪
53 係止部
54 爪部
55 先端
60 第1係止部(係止構造)
61 第2係止部(係止構造)
62 係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7