特許第5933982号(P5933982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933982
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】空気処理システムを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/04 20060101AFI20160602BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
   F24F11/04 F
   F24F7/007 B
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-15099(P2012-15099)
(22)【出願日】2012年1月27日
(62)【分割の表示】特願2006-194582(P2006-194582)の分割
【原出願日】2006年7月14日
(65)【公開番号】特開2012-88052(P2012-88052A)
(43)【公開日】2012年5月10日
【審査請求日】2012年2月6日
【審判番号】不服2014-25859(P2014-25859/J1)
【審判請求日】2014年12月18日
(31)【優先権主張番号】60/699,163
(32)【優先日】2005年7月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】302070822
【氏名又は名称】アクセス ビジネス グループ インターナショナル リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100081330
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 外治
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(72)【発明者】
【氏名】トーマス エー.ニーズゴダ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ジェイ レピエン
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ケー.エバンス
【合議体】
【審判長】 鳥居 稔
【審判官】 窪田 治彦
【審判官】 山崎 勝司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−33925(JP,A)
【文献】 特開2000−262827(JP,A)
【文献】 特開平7−220201(JP,A)
【文献】 特開平8−238410(JP,A)
【文献】 特開平8−318117(JP,A)
【文献】 特開2002−119890(JP,A)
【文献】 特開平5−277204(JP,A)
【文献】 特開平8−43306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F7/007
F24F11/02-11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気処理システムを制御する方法であって、
ブロワモータを複数段のブロワ速度の中のいずれか一つで操作可能となるように設定する段階と、
光センサを微粒子濃度に応じた出力を有するように設定する段階と、
光センサのための基準電圧を、コンピュータ内の読み取り可能なメモリに設定する段階とを含み
前記光センサのための基準電圧を、コンピュータ内の読み取り可能なメモリに設定する段階は、
前記光センサの出力から複数のサンプル測定値を取得する段階と、
基準電圧を前記光センサの出力からの前記複数のサンプル測定値の平均値の関数として前記光センサのための前記基準電圧を再設定する段階と、
前記再設定した基準電圧と比較しながら前記光センサの出力からのさらなる測定値に応じて前記ブロワモータを複数段のブロワ速度のうちの1つで操作する段階と、
を含み、前記複数段のブロワ速度のそれぞれは、可能な光センサの出力値の部分範囲に対応するとともに、各部分範囲は再設定された基準電圧に基づいて計算される可変の大きさを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
微粒子濃度を検出するための光センサと、複数段のブロワ速度の中のいずれか一つで操作可能なブロワモータとを有する空気処理システムを制御する方法であって、前記方法は、
光センサのための基準電圧を用意する段階を含み
前記光センサのための基準電圧を用意する段階は、
前記光センサから第1のサンプル測定値を取得する段階と、
前記第1のサンプル測定値を局所変数の中に記憶する段階と、
前記光センサから追加のサンプル測定値を取得する段階と、
前記第1のサンプル測定値に前記追加のサンプル測定値を加算し合計値とする段階であって、前記合計値を前記局所変数の中に記憶する段階と、
前記合計値をサンプル測定値の取得回数で除算することによりサンプル測定値の平均値を決定する段階と、
前記サンプル測定値の平均値を光センサの前記基準電圧を再設定するために使用する段階と、
前記再設定した基準電圧と比較しながら前記光センサからのさらなる測定値に応じて前記複数段のブロワ速度のいずれか一つでブロワモータを操作する段階と、を含み、
前記複数段のブロワ速度のそれぞれは、可能な光センサの出力値の部分範囲に対応するとともに、各部分範囲は再設定された基準電圧に基づいて計算される可変の大きさを含む方法。
【請求項3】
前記追加のサンプル測定値を取得する段階と前記加算する段階とを予め決められた回数繰り返す段階を含んでいる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記追加のサンプル測定値を取得する段階と前記加算する段階が18個で、全部で20個のサンプルが取得されるまで繰り返す段階を含んでいる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記追加の測定値を取得する段階を100msの間隔で実行する段階を含んでいる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
さらに、前記間隔を5〜10msのセグメントの固定されたセグメントに調整する段階を含んでいる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
部分範囲のサイズは、再設定された基準電圧に基づいて決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
部分範囲のサイズは、コンピュータ内の読み取り可能なメモリに蓄積されたルックアップテーブルに基づいて決定される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
部分範囲のサイズは、入力値としての再設定された基準電圧を有する式に基づいて決定される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
部分範囲のサイズは、再設定された基準電圧に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
部分範囲のサイズは、コンピュータ内の読み取り可能なメモリに蓄積されたルックアップテーブルに基づいて決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
部分範囲のサイズは、入力値としての再設定された基準電圧を有する式に基づいて決定される、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システムおよび制御方法に関し、特に、空気処理システムのための制御システムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気処理システムは様々な制御システムと共に使用可能である。幾つかの空気処理システムが、モータ速度と動作時間とのような空気処理システムの動作の様々な側面をユーザが手動で制御することを可能にする手動制御システムを含む。これは、例えば紙巻き煙草の煙が室内に入る時に、環境条件に応答して、ユーザがモータ速度を手動で増大させることを可能にする。より複雑な制御システムの中には、モータ速度と動作時間とを含む選択動作の自動化を可能にするものがある。例えば、制御システムの中には、空気中の煙および微粒子の濃度に応答してモータ速度を調整する能力を有するシステムがある。これは、環境条件に合致するようにユーザが空気処理システムを連続的に調整することを不要にする。
【0003】
時間の経過に応じて、従来のフィルタは、空気からフィルタされた汚染物質によって次第に埋め尽くされていく。汚染物質の蓄積は空気処理システムの性能に対して次第に大きな悪影響を与えていく。何らかの時点において、そのフィルタは、そのフィルタが交換されなければならない状態に達する。空気処理システムの中には、ユーザが適切なフィルタ交換時点を判定することを補助するために、使用状態を追跡しかつフィルタが交換されなければならない時点の概算を計算する能力を有する空気処理システムが存在する。典型的には、このタイプのシステムは、フィルタを交換しなければならない時に、点灯されたLEDのような視覚表示を提供する。フィルタ寿命を追跡する能力を持たないシステムよりは改良されてはいるが、このタイプの従来の制御システムは、フィルタ寿命に関連する要因を過剰に簡略化し、したがって、フィルタ寿命の特に正確な概算を実現しないだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存の制御システムが空気処理システムの動作を自動化するのに役立つが、様々な環境条件を考慮することが可能なより効率的で効果的な制御システムが依然として必要とされている。この要求は、さらに、より正確で効果的なフィルタ寿命の追跡方法を有する制御システムにも及ぶ。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一側面において、別々に測定された煙濃度と埃濃度とに応答して空気処理システムのブロワ速度を自動的に制御するためのシステムを提供する。
【0006】
本発明は、別の側面において、自動動作モード中におけるモータ速度に対する可変的な遅延制御を実現するシステムを提供する。
【0007】
本発明は、さらに別の側面において、空気処理システムの中に組み込まれている微粒子センサまたは化学センサを較正するためのシステムを提供する。
【0008】
本発明は、さらに別の側面において、ブロワモータ速度を較正するためのシステムを提供する。
【0009】
本発明は、さらに別の側面において、時間、ブロワ速度、および/または、微粒子濃度またはフィルタ中に蓄積された微粒子総量のような検出された変数の関数として、フィルタ寿命を追跡するシステムを提供する。
【0010】
本発明のこれらの目的と利点と特徴とその他の目的と利点と特徴とが、現在の実施形態の詳細な説明を参照することによって容易に理解され認識されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、自動モータ速度制御アルゴリズムの一実施形態の概略的な諸段階を示す流れ図である。
図2図2は、埃アルゴリズムの一実施形態の概略的な諸段階を示す流れ図である。
図3図3は、煙アルゴリズムの一実施形態の概略的な諸段階を示す流れ図である。
図4図4は、微粒子レベル測定アルゴリズムの一実施形態の概略的な諸段階を示す流れ図である。
図5図5は、センサ較正アルゴリズムの一実施形態の概略的な諸段階を示す流れ図である。
図6図6は、モータ速度較正アルゴリズムの一実施形態の概略的な諸段階を示す流れ図である。
図7図7は、フィルタ寿命アルゴリズムの一実施形態の概略的な諸段階を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を、プレフィルタと微粒子フィルタと臭気フィルタとを通過させて空気を移動させるブロワを有する空気処理システムに関連して説明する。この空気処理システムは、このシステムの動作を監視および制御する制御システムを含む。この制御システムは、一般的に、プログラム可能マイクロコントローラと1つまたは複数のセンサとのような従来通りの構成要素を含む。一実施形態では、この制御システムは、空気中の微粒子物質の量に関する情報を提供する微粒子センサと、ブロワモータの速度に関する情報を提供するRPMセンサとを含む。
【0013】
このマイクロコントローラは、複数の制御アルゴリズムを実行するように、および、センサからの入力を受け取るように構成されている。概略的に述べると、この制御システムは、微粒子センサの出力の関数としてブロワモータ速度を自動的に調整する自動動作アルゴリズムを含むだろう。この自動制御アルゴリズムは、ブロワモータ速度を決定するために別々の煙レベルアルゴリズムと埃レベルアルゴリズムとを使用するだろう。この制御システムは、さらに、異なる速度への調整を可能にする前にブロワが特定の速度の状態のままである最小時間量をユーザが制御することを可能にするための可変遅延アルゴリズムを含むだろう。この制御システムは、さらに、この制御システムの性能を向上させる較正アルゴリズムも含むだろう。一実施形態では、この較正アルゴリズムは、製造中における微粒子センサの較正と動作中の定期的な微粒子センサの較正とのためにに実行されることが可能な微粒子センサ較正アルゴリズムを含む。この較正アルゴリズムは、さらに、ブロワモータ速度の進行中の較正を実現するために実行されることが可能なモータ較正アルゴリズムを含むだろう。この制御システムは、さらに、プレフィルタと臭気フィルタと微粒子フィルタとの寿命を追跡するためのアルゴリズムを含んでもよい。この制御フィルタ寿命アルゴリズムは、時間、ブロワ速度、そのシステムの中に入る微粒子の合計量、および/または、微粒子濃度とに基づいてフィルタ寿命を追跡し、および、フィルタをクリーニングまたは交換することが必要である時に、インジケータを点灯するといった適切な動作を行うだろう。
【0014】
次のセクションが、上述の制御アルゴリズムを詳細に説明する。
【0015】
I. 自動モータ速度制御
本発明は、その一側面において、検出された変数の関数として空気処理システム内のブロワモータの速度を自動的に制御するためのアルゴリズムを提供する。例えば、一実施形態では、このシステムは、微粒子センサによって検出された微粒子の量の関数としてブロワモータ速度を自動的に増減する。この実施形態では、ブロワモータは、5つの別々のモータ速度の間で移行させられることが可能である。異なるモータ速度の数は、必要に応じて用途毎に変化させられてよい。一実施形態では、ブロワモータ速度は、従来の技術および装置を使用して、ブロワモータに供給される速度制御信号のパーセントデューティサイクルを変化させることによって調整される。
【0016】
この実施形態では、空気処理システムは、空気中の微粒子物質の量に応じて変化する出力電圧を有する概ね従来通りの微粒子センサを含む。1つの適切な微粒子センサが、Sharpから部品番号GP2Y1010AUとして入手可能である。この微粒子センサは、光センサから間隔を置かれているLEDを含む。光センサは、そのセンサに到達するLEDによって放出される光の量に比例している電圧を有する信号を供給するように構成されている。このセンサは、LEDによって放出される光がその光センサに対する直通路を持たないように構成されている。むしろ、LED光は、その光センサに向かって反射される場合にだけ、その光センサに到達する。空気中の微粒子は、LED光の一部を光センサに向けて方向付けるのに必要な反射を生じさせる。空気中の微粒子のサイズおよび/または数が大きければ大きいほど、光センサに反射される光の量が多くなり、および、したがって、出力電圧が大きくなる。この微粒子センサはアナログ信号を提供し、および、マイクロコントローラ上のアナログ入力に接続されてよい。このマイクロコントローラは、処理のための対応するディジタル信号にアナログ信号を変換するだろう。
【0017】
上述したように、この制御システムは、5つの異なるブロワモータ速度の中の1つの速度でブロワモータを動作させるように構成されている。微粒子センサの測定値と異なるブロワモータ速度との間の直接的な相関を実現するために、測定可能なセンサの測定値の範囲が5つの部分範囲に分割される。この部分範囲の数は、所望のブロワ速度の数に応じて変化することが可能である。例えば、3つのブロワ速度が必要とされている場合には、測定可能なセンサ測定値は3つの別々の部分範囲に分割されるだろう。部分範囲を決定するための方法は用途毎に異なるだろう。これに加えて、部分範囲に対する速度の相関が変化するだろう。例えば、各々の部分範囲に関して2つの速度が存在することが可能である。
しかし、この実施形態では、部分範囲は、測定可能なセンサ測定値の範囲を5つの互いに同等の部分範囲に単純に分割することによって決定される。代替案として、この部分範囲は重み付けられてもよく、または、そうでない場合には、範囲全体の互いに不等の分割部分であってもよい。部分範囲を決定する別の方法の例を後述する。
【0018】
一実施形態では、制御アルゴリズム10が、特定の割合で微粒子センサから周期的な測定値を受け取る(図1を参照されたい)(12)。例えば、一実施形態では、制御ソフトウェアは、50ミリ秒毎に1回ずつ微粒子センサから測定値を取得する。この測定値の頻度は用途毎に異なってよい。実際には、より詳細に後述するように、この頻度は、センサ出力を較正するための機構として変化させられることが可能である。
【0019】
一実施形態では、本発明は、一方のアルゴリズムが空気中の煙のレベルを測定する(16)ように構成されており、他方のアルゴリズムが空気中の埃のレベルを測定する(18)ように構成されている、2つの異なるアルゴリズムを使用して、周期的なセンサ測定値から微粒子レベルを求める(20)。この微粒子レベルは、ブロワモータ速度を設定するために使用されることが可能であり(22)、および、さらには、ユーザに対して表示されてもよい。煙が微粒子センサの出力に対してより穏やかではあるが一貫した影響を与えるということが判明している。一方、埃のような微粒子は、微粒子センサの出力におけるより多くのピークの原因となる。煙レベルと埃レベルとの両方の関数として、微粒子レベルを測定することと、したがってブロワモータ速度を決定することによって、向上した性能が実現される。
【0020】
一般的に、埃アルゴリズム100は、複数の連続した時間期間の全体にわたってピークセンサ測定値の集まりを考慮することによって動作する(102)(図2を参照されたい)。このアルゴリズムは、微粒子レベル出力を求めるために、これらのピークセンサ測定値をルックアップテーブルに対して比較する。この実施形態では、この埃アルゴリズムは、別々の時間セグメントに各々が関連付けられている、変数の循環先入れ先出し(FIFO)待ち行列を維持する(102)。これらの時間セグメントの各々は「バケット(bucket)」と呼ばれている。この実施形態では6つのバケットが存在するが、バケットの数は用途毎に異なってよい。各バケットは、固定された時間期間に関連付けられており、この時間期間は一実施形態では10秒の間隔である。しかし、この間隔の長さは用途毎に異なってよい。このアルゴリズムは、各バケット(すなわち、10秒の間隔)に関する別々のピーク値を維持するために、上述のFIFO変数待ち行列を使用する。したがって、6つのバケットは最後の60秒に集合的に関連付けられており、および、各バケットに関するピーク値変数が、対応するバケット(すなわち、10秒の時間間隔)中に取得された最大のセンサ測定値を含む。
【0021】
次に、埃アルゴリズムの動作を更に詳細に説明する。上述したように、制御システムは50ミリ秒ごとにセンサ測定値を取得する。各々の測定値が取得された後に、このアルゴリズムは、クロックを維持するための割込みの使用のような従来のタイミング技術を使用して適切なバケットを決定する(106)。このセンサ測定値は、適切なバケットに関するピーク値変数に含まれている現在値に対して比較される(108)。センサ測定値がピーク値変数の現在値よりも大きい(110)場合には、このセンサ測定値がピーク値変数に格納されて、既存の値を上書きする(112)。そうでない場合には、センサ測定値は無視され、既存の値が保持される。このプロセスは、各々のセンサ測定値に関して反復する(114)。各々の10秒の間隔の終了後に、関連したバケットに関するピーク値変数が、その10秒の間隔に関するピーク値を保持し、および、その次のバケットに関して処理が継続する。各々の新たなバケットに移行する時に、センサ測定値が、その新たなバケットに関するピーク値変数に対する書込みに関して考慮される。6つのバケットが完了する(すなわち、FIFO待ち行列が満杯である)時に、そのアルゴリズムはその6つのバケットの中の最も古いバケットに関するピーク値変数を上書きする。このプロセスは、残っている最も古いバケットに関するピーク値変数を使用して、各々の新たなバケットに対して継続される。この結果として、埃アルゴリズムは、直前の6つの10秒間隔の各々に関する最大のセンサ測定値を含む6つのピーク値変数の待ち行列を形成して維持する。
【0022】
煙アルゴリズム150が同じ50ミリ秒のセンサ測定値を別個に評価するが、この煙アルゴリズムは異なる仕方でこれを行う(図3を参照されたい)。煙アルゴリズムは、固定数の測定値に関する測定値のローリングアベレージ(rolling average)を維持する。例えば、一実施形態では、煙アルゴリズム150は、最後の100個のセンサ測定値のローリングアベレージを維持する。この100個の測定値は、回転先入れ先出し(FIFO)バッファ154内に維持される(160)。これと同時に、バッファ内に含まれている測定値のランニングトータル(running total)が維持される(152)。新たな測定値が取得される毎に(162)、そのバッファ内の最も古い値が合計から減算され(156)、および、その新たな測定値が加算される(160)。したがって、そのバッファ内の100個のセンサ測定値の平均が、ランニングトータルを100で除算することによって容易に計算されることが可能である。
【0023】
この実施形態では、煙アルゴリズムと埃アルゴリズムとによって維持されるデータが、総合的な「微粒子レベル」を計算するために使用される。その次に、この微粒子レベルはブロワモータ速度を制御するために使用される。この実施形態の自動制御アルゴリズムは、微粒子レベルを求めるために、埃アルゴリズムと煙アルゴリズムとによって維持されたデータを周期的に処理する。この実施形態では、データは5秒毎に処理される。微粒子レベルを求めるためのアルゴリズム200の一実施形態が図4に示されている。各々の5秒間隔で、自動制御アルゴリズムは、最後の100個のサンプルのランニングトータルを取り出すことと、平均センサ測定値を得るために100でその数を除算することとによって、煙アルゴリズムデータを処理する(208)。その次に、煙レベルを得るために、この平均センサ測定値は、(この実施形態では、埃レベルの部分範囲と同じである)5つの微粒子レベルの部分範囲に対して比較される(210)。この自動制御アルゴリズムは、埃レベルを求めるために、埃アルゴリズムによって維持された6つのピーク埃レベル変数に対して操作することによって埃アルゴリズムデータを処理する。この実施形態では、6つのピーク埃レベル変数の各々に含まれている値は、各々の特定のバケットに関する対応する埃レベルを求めるために5つの埃レベルの部分範囲に対して別々に比較される(206)。各々の埃レベルに関して、そのアルゴリズムは、対応する埃レベルを有する6つの現在のバケットの数を含むカウンタを維持する。例えば、6つのバケットが、埃レベル4の範囲内のピーク値を有する3つのバケットを含む場合には、埃レベル4のカウンタの値は3であるだろう。同様に、バケットの2つが埃レベル3の範囲内のピーク値を含んだ場合には、埃レベル3のカウンタの値は2であるだろう。最後に、最後のバケットが埃レベル5の範囲内のピーク値を含んだ場合には、埃レベル5のカウンタの値は1であるだろう。
ゼロではない各々の埃レベルカウンタに関して、このカウンタは、対応する「一時的微粒子レベル(temporary particle level)」を求めるために、ルックアップテーブルと比較される。その次に、自動制御アルゴリズムは、そのルックアップテーブルから戻された一時的値の関数として微粒子レベルを求める。例えば、微粒子レベルは、単純に、各バケットに関して戻された埃レベルの最大のものであってよい。あるいは、微粒子レベルは、戻された埃レベルの単純平均または加重平均として求められることが可能である。次に示すものが、一実施形態の一時的微粒子レベルのルックアップテーブルである。
【表1】
【0024】
上述の例では、ルックアップテーブルから得られた一時的微粒子レベルは「埃レベル4」と、「埃レベル2」と、「埃レベル3」である。このアルゴリズムは、実際微粒子レベルとして、これらの一時的微粒子レベルの中の最高のものを戻す。この場合には、このアルゴリズムは、4の微粒子レベルを戻すだろう。
【0025】
その次に、自動制御アルゴリズムは、煙レベルと埃レベルとの関数として実際微粒子レベル(および、したがって、モータブロワ速度)を求める(212)。一実施形態では、このアルゴリズムは、埃レベルと煙レベルとのどちらか大きい方を単純に取得し、および、実際ブロワ速度を設定するための微粒子レベルとしてこの値を使用する。他の実施形態では、実際ブロワ速度は、埃レベルと煙レベルの何らかの他の関数であってよい。例えば、実際ブロワ速度は、埃レベルと煙レベルとの単純平均または加重平均であってもよい。
【0026】
代案の実施形態では、制御システムは、埃アルゴリズムとの関係において使用するための複数の異なるルックアップテーブルを含んでよく、これらのルックアップテーブルは、異なる感度レベルを反映するように構成されている。この代案の実施形態では、所望の感度レベルに対応するルックアップテーブルを選択する機構がユーザに提供される。例えば、この代案の実施形態の一例では、制御システムは、5つの選択可能な一時的微粒子レベルのルックアップテーブルを含むだろう。この代案の実施形態の典型的な一例に関する5つの選択可能な一時的微粒子レベルのルックアップテーブルは次の通りである。理解できるように、これらの選択可能なルックアップテーブルは、連続したテーブルの各々が検出値に対して次第に大きくなる総合的な応答を提供するように構成されている。ユーザが所望のテーブルを選択することを可能にすることによって、このシステムは、異なるレベルの感度をユーザに提供することが可能である。
【表2】
【表3】
【0027】
上述したように、この制御システムは、さらに、様々な選択可能なルックアップテーブルの1つをユーザが選択することを可能にするための機構も備えている。一実施形態では、この制御システムは、制御パネル上でのユーザの入力に応答して別のルックアップテーブルを循環するように構成されている。例えば、例示されている実施形態では、ユーザは、制御システムが感度選択アルゴリズムを開始させるためにプラグインされる時に、ユーザは制御パネル上の「自動」ボタンと「タイマ」ボタンの両方を押し下げて保持するだろう。このアルゴリズムは、「自動」ボタンが押される毎に、その次の選択可能なルックアップに循環する。最も高感度のルックアップテーブルが選択されている時にこのボタンが押される場合には、このシステムは、最も低感度のルックアップテーブルに循環して戻る。この制御システムは、「自動」ボタンが特定の時間期間の間にわたって押されない場合に、感度選択アルゴリズムを抜け出るだろう。例えば、制御アルゴリズムは、「自動」ボタンが5秒間にわたって押されない場合に、感度選択アルゴリズムを抜け出るだろう。制御パネルは、現在の感度設定の視覚的表示を含むだろう。例えば、制御パネルは、各々の設定に関する別々のLEDを含むだろうし、および、適切なLEDが現在の感度を示すために点灯されるだろう。
【0028】
II. 変数遅延
自動動作モードでは、求められた実際ブロワ速度がブロワ速度毎に比較的急激に変化する可能性がある。ブロワ速度が常にまたは急激に変化することによってユーザが注意散漫になる可能性がある。したがって、自動制御アルゴリズムは、最小限の時間期間にわたって特定のブロワ速度にブロワを維持する遅延アルゴリズムを含む。例えば、ブロワが少なくとも30秒間にわたって特定の速度のままであるように、遅延期間が30秒に設定されるだろう。煙アルゴリズムと埃アルゴリズムとが、ブロワ速度がこの最初の30秒間の遅延の間に変化させられるべきであるということを決定する場合に、それにも係わらず、この自動制御アルゴリズムは、30秒間の終了時点まで現在のブロワ速度を維持するだろう。30秒間の終了時には、その自動制御アルゴリズムは、煙アルゴリズムと埃アルゴリズムとの関数としてブロワ速度が調整されることを再び許可するだろう。この遅延機能を実現するために、制御ソフトウェアは、最後のブロワ速度が変化して以来経過した時間のカウンタを維持する。ブロワ速度が変更される毎に、このカウンタはゼロにリセットされる。自動制御アルゴリズムは、ブロワ速度の変更を実行する前にこのカウンタを調べる。このカウンタが30秒未満である場合には、自動制御アルゴリズムは、煙アルゴリズムと埃アルゴリズムとによって決定された新たなブロワ速度設定を単純に無視する。このカウンタが30秒以上である場合には、自動制御アルゴリズムはブロワ速度の変更を実行して、カウンタをゼロにリセットする。
【0029】
特定の用途では、ブロワ速度制御アルゴリズムに含まれている遅延の量を変化させることが望ましいことがある。例えば、空気処理システムの実演を行う時に、室内の微粒子濃度の変化に応答してブロワ速度の迅速な変化を実演することが望ましいことがある。別の例では、ユーザがより長いかまたはより短い遅延を好むことがある。遅延の長さが変化させられることを可能にするために、制御ソフトウェアは可変遅延アルゴリズムを含む。この可変遅延アルゴリズムは、ブロワが特定の速度のままである時間期間をユーザが設定することを可能にする。一実施形態では、可変遅延アルゴリズムは、例えば10秒の間隔で5秒から55秒の範囲内の様々なプリセットされた時間遅延の1つをユーザが選択することを可能にする。この実施形態では、遅延の変更が、対応する「可変遅延」制御ボタンの起動によって生じさせられてよい。あるいは、この代わりに、遅延の変更は、例えば「ブロワ速度」制御ボタンと「自動」制御ボタンの同時押しに応答した様々な遅延値の循環によって、他の制御ボタンの組合せを押すことによって生じさせられてもよい。
【0030】
特定の状況では、埃レベルが2つの範囲の間の境界線の辺りを推移することがある。この境界線の上下の埃レベルの動揺が、可変遅延アルゴリズムによって可能にされる最速の速度にブロワモータ速度を連続的に増減することを制御アルゴリズムに生じさせるだろう。特定の用途では、ブロワモータ速度にこうした急激で反復的な変化があることは望ましくないだろう。したがって、制御アルゴリズムは、センサ測定値が実質的に1つ下のより低い範囲内にある時にだけ、1つのレベルからその次のレベルにモータ速度が減速されることを可能にする追加の遅延アルゴリズムを含んでよい。一実施形態では、そのシステムは、微粒子センサ測定値が少なくとも100ミリボルトだけ1つ下のより低い範囲の中にある場合にだけ、ブロワモータ速度を減少させる。しかし、1つ下のより低いブロワモータ速度への移行を可能にするのに必要とされる特定のオフセットが、用途毎に異なるだろう。このアルゴリズムの上述の実施形態は、ブロワ速度の下向きの移行だけに影響するが、この代わりに、このアルゴリズムは、ブロワモータ速度の上向きの移行だけに、または、上向きの変化と下向きの移行の両方に影響を与えることも可能である。
【0031】
III. センサ較正アルゴリズム
すべての微粒子センサが空気中の同一の微粒子濃度に応答して必ずしも同一の出力電圧を提供するわけではないということが、経験によって明らかになっている。これらの変動は、LEDによって放出される光の変動と、光センサの不完全性とのような様々な要因の結果であるだろう。さらに、このセンサの出力は、構成要素のライフサイクルの経過に応じて自然に生じるLEDまたは光センサの動作の変化の結果として、時間の経過に応じて変化する可能性がある。
【0032】
性能を改善するために、本発明は、微粒子センサを較正するためのアルゴリズムを提供する。このアルゴリズムは、センサの製造によって結果的に生じる変動を吸収するために生産中にそのセンサが較正されることを可能にし、かつ、構成要素のライフサイクルの経過に応じて生じる変動を吸収するために空気処理システムの寿命全体にわたってそのセンサが定期的に較正されることを可能にする。実際には、このアルゴリズムは、所望のブロワ速度と相関させるためにセンサの出力電圧をシフトおよび/または基準化するだろう。
センサ較正データは、計算され終わると、そのシステムが電力を失う場合にさえそのセンサ較正データが取り出されることが可能であるように、EEPROM内に格納されるだろう。本発明が微粒子センサの較正に関連付けて説明されているが、この較正アルゴリズムは、化学センサのような他のタイプのセンサの較正での使用にも十分に適している。
【0033】
一実施形態では、較正アルゴリズムは、基準電圧(または、ベースライン電圧)の調整を可能にするように較正されている(図5を参照されたい)。この基準電圧は、微粒子濃度がゼロであるかゼロに相当に近い時にセンサからの予測される出力電圧である。この基準電圧を較正するために、この較正アルゴリズム250は、(i)センサから第1のサンプル測定値を取得する段階(252)と、(ii)局所変数の中にこの第1のサンプル測定値を格納する段階(254)と、(iii)センサからサンプル測定値を取得する段階(256)と、(iv)この測定値を局所変数の値と比較する段階(258)と、(v)この測定値が局所変数よりも低い場合に、そのサンプル測定値を局所変数の中に格納する段階(262)と、(vi)合計20個のサンプル測定値が収集され終わるまで100ミリ秒の間隔で段階(iii)と段階(iv)とを繰り返す段階264と、(iv)局所変数の中に格納されている値を基準電圧として使用する段階とを含む。別の実施形態では、基準電圧が、予め決められた数の測定値の平均を計算することによって求められてもよい。例えば、制御アルゴリズムは、(i)センサから第1のサンプル測定値を取得する段階と、(ii)この第1のサンプル測定値を局所変数の中に格納する段階と、(iii)センサからサンプル測定値を取得する段階と、(iv)そのサンプル測定値を局所変数の値に加算する段階と、(v)合計20個のサンプル測定値が取得され終わり、かつ、その20個のサンプル測定値の合計が局所変数の中に格納されるまで、段階(iii)から段階(iv)までを繰り返す段階と、(vi)局所変数の中に格納されている値を20で除算することによって平均サンプル測定値を求める段階と、(vii)基準電圧として平均サンプル測定値を使用する段階とを含んでよい。
【0034】
基準電圧が得られると、制御ソフトウェアは、採用可能なブロワ速度に一致するセンサ測定値範囲を計算することが可能である。この実施形態では、制御システムは、5つの異なる速度でブロワモータを動作させるように構成されている。したがって、センサ測定値範囲は、5つの対応する部分範囲に分割されることになっている。一実施形態では、これら5つの部分範囲が、求められた基準電圧に基づいて5つの連続した250ミリボルト窓を計算することによって決定される。例えば、基準電圧が1.235ボルトであると決定されている場合には、これら5つの部分範囲は、(1)1.235ミリボルトから1.485ミリボルト、(2)1.486ミリボルトから1.736ミリボルト、(3)1.737ミリボルトから1.987ミリボルト、(4)1.988ミリボルトから2.238ミリボルト、(5)2.239ミリボルトから2.489ミリボルトであるだろう。1.235ミリボルト未満の値が、第1の部分範囲に関連付けられてもよい。同様に、2.489ミリボルトより大きい値が第5の部分範囲に関連付けられてもよい。
【0035】
別の実施形態では、部分範囲の大きさを変更することが望ましいことがある。例えば、センサの出力電圧が空気中の微粒子濃度に直線的に比例しない用途では、出力電圧の曲線に追従するように部分範囲の大きさを変化させることが望ましいことがある。特定のセンサに関する出力電圧の曲線が、センサが実質的に清浄な空気を検出している時のセンサの出力電圧(すなわち、基準電圧)に大きく基づいて変化することがすでに判明している。
実際には、上述されておりかつ本発明の一実施形態で使用されている微粒子センサの製造業者が、センサの基準電圧に基づいたそのセンサに関する出力電圧曲線に関する情報を提供する。特定のセンサに関する部分範囲を調整するために、そのアルゴリズムは、上述の方法を使用してセンサに関する基準電圧を計算する。基準電圧が得られると、その部分範囲アルゴリズムは、部分範囲を求めるためにその基準電圧を使用する。一実施形態では、その部分範囲アルゴリズムは、基準電圧を、そのシステム内に格納されているルックアップテーブルに対して比較する。このルックアップテーブルは、各々の個別の基準電圧に対応する部分範囲を定義する。例えば、このルックアップテーブルは、各々の部分範囲の境界を表す値を含んでよい。別の実施形態では、ルックアップテーブルは、各々の部分範囲の適切な境界を概算する式によって置き換えられてもよい。
【0036】
センサを較正するための別の方法が存在する。別の実施形態では、較正アルゴリズムは、通常動作中にセンサからサンプルが取得される頻度を変化させてもよい。サンプリング頻度が、センサから得られる出力電圧に影響を与えるということが明らかになっている。
このことは、少なくとも上述の微粒子センサに当てはまる。このことの明確な理由は判明していないが、センサの固有の特徴が原因であるように思われる。例えば、サンプリング頻度を増大させることによって、同一の空気条件に関してセンサの出力電圧の減少が生じることがすでに判明している。同様に、サンプリング頻度を低減させることによって、同一の空気条件に関してセンサの出力電圧の増大が生じるだろう。したがって、この実施形態では、較正アルゴリズムは、(i)固定された頻度で固定された数のサンプル測定値を取得する段階と、(ii)最低の測定値を所望の基準電圧と比較する段階と、(iii)この最低の測定値が基準電圧の許容範囲内にある場合には、停止して、サンプリング頻度をその現在値のままにする段階と、(iv)最低の測定値が許容可能範囲よりも大きい場合には、サンプリング頻度を増大させて、段階(i)から段階(iii)までを繰り返す段階と、(v)最低の測定値が許容可能範囲よりも小さい場合には、サンプリング頻度を減少させて、段階(i)から段階(iii)までを繰り返す段階とを含む。一実施形態では、初期頻度は、センサ測定値に関して50ミリ秒の間隔を実現するように設定され、および、サンプリング頻度が5ミリ秒セグメントから10ミリ秒セグメントの固定されたセグメントにおいて調整されてよい。あるいは、この頻度は、最低のサンプル測定値と許容可能な範囲との間の差の関数として調整されてもよい。例えば、このサンプリング頻度は、最低のサンプル測定値が許容可能範囲から大きく離れていればいるほど、より大きい量だけ調整されるだろう。
【0037】
IV. モータ速度の較正
むらのないブロワの動作を実現するために、本発明は、モータ速度を較正するためのアルゴリズムを提供する。一実施形態では、モータ速度較正アルゴリズムは、このシステムの寿命全体にわたってむらのないブロワ動作を連続的に維持するために動作している。この実施形態では、モータ速度較正アルゴリズムは、モータ速度が変化する都度に実行される。あるいは、この代わりに、このモータ速度較正アルゴリズムは、連続的に、または、様々な時間期間において実行されてもよい。
【0038】
一実施形態では、モータは、モータのRPMを表している周波数でのパルス信号を提供するRPMセンサを含む。このRPMセンサは、マイクロコントローラ上のディジタル入力に接続されるだろう。このマイクロコントローラはPWM信号の周波数を求めるだろう。
【0039】
一実施形態では、モータ速度較正アルゴリズムは、モータ速度が変更される毎に実行される。この実施形態(図6を参照されたい)では、モータ速度較正アルゴリズム300は、次の概略的な諸段階を含み、すなわち、(i)変更がブロワモータ速度であった後に30秒間待機し(302)、(ii)1秒間の間隔でRPMセンサから30個の測定値を取得し(304)、(iii)これらの30個の測定値の平均を計算し(306)、(iv)この平均値を、許容可能なRPMの予め決められた範囲と比較し(308)、(v)この平均値がそのモータ速度に関する許容可能範囲内にある場合に、停止し、(vi)この平均値が高である場合に(310)、モータに与えられる速度制御信号のパーセントデューティサイクル(percent duty cycle)が1パーセントだけ低減させられ(312)、(vi)平均測定値が低である場合に(314)、モータに与えられる速度制御信号のパーセントデューティサイクルが1パーセントだけ増加させられ(316)、(vii)平均測定値が許容可能範囲内に収まるまで、段階(ii)から段階(vii)までを繰り返す。必要に応じて、パーセントデューティサイクルの変化がある毎に、その特定のブロワモータ速度に関する新たな値が、電源故障からそのシステムが回復した後にその値が取り出されることが可能であるように、EEPROM内に格納されることが可能である。
【0040】
上述したように、一実施形態のモータ較正アルゴリズムは、ブロワモータ速度が変化する毎に実行される。必要に応じて、そのシステムは、初期起動時に5つのブロワ速度すべての較正を実現するように構成されてもよい。例えば、その制御システムは、初期起動時に各々のブロワ速度を1つずつ実行し、および、したがって各々のブロワ速度における較正を生じさせるだろう。
【0041】
V. フィルタ寿命
本発明は、1つまたは複数のフィルタの寿命を追跡するためのアルゴリズムを含む。このアルゴリズムの目的は、フィルタをクリーニングまたは交換することが必要である時点の表示をユーザに提供することである。一実施形態では、本発明は、プレフィルタと、微粒子フィルタ(例えば、HEPAフィルタ)と、臭気フィルタ(例えば、活性炭フィルタ)を有する空気処理システムで使用されるようになっている。本発明は、これらのフィルタの各々の寿命を監視するためのアルゴリズムを含む。プレフィルタの寿命と臭気フィルタの寿命は、時間とモータ速度との関数として計算される。微粒子の寿命は、時間とモータ速度と微粒子センサの出力との関数として計算される。一実施形態では、制御システムが各フィルタに関する個別のフィルタ寿命変数を維持する。動作中には、この変数が、関連した係数(例えば、時間、ブロワ速度、および/または、微粒子センサ出力)の関数として求められる値だけ増分される。
【0042】
一実施形態では、プレフィルタに関するフィルタ寿命アルゴリズムは、次の概略的な諸段階を含み、すなわち、(i)モータ速度値を得て、(ii)プレフィルタのルックアップテーブルから対応するモータ速度係数を取り出し、(iii)時間間隔を得て、(iv)この時間間隔にモータ速度係数を乗算し、(v)時間間隔とモータ速度係数との積だけプレフィルタ寿命カウンタを増分する。
【0043】
一実施形態では、臭気フィルタに関するフィルタ寿命アルゴリズムは、異なるルックアップテーブルを使用するということを除いて、プレフィルタアルゴリズムと実質的に同一である。この臭気フィルタアルゴリズムは、次の概略的な諸段階を含み、すなわち、(i)モータ速度値を得て、(ii)臭気フィルタのルックアップテーブルから対応するモータ速度係数を取り出し、(iii)時間間隔を得て、(iv)モータ速度係数を時間間隔に乗算し、(v)時間間隔とモータ速度係数の積だけ臭気フィルタ寿命カウンタを増分する。
【0044】
一実施形態では、微粒子フィルタに関するフィルタ寿命アルゴリズムは、微粒子センサ測定値を考慮することがあるので、その他のフィルタ寿命アルゴリズムよりも幾分か複雑である。図7に示されている微粒子フィルタ寿命アルゴリズム400は、次の概略的な諸段階を含み、(i)モータ速度値を得て(408)、(ii)微粒子フィルタのルックアップテーブルから対応するモータ速度係数を取り出し(410)、(iii)現在の微粒子レベル値を得て(412)、(iv)ルックアップテーブルから対応する微粒子レベル係数を取り出し(414)、(v)時間間隔を得て(416)、(vi)モータ速度係数と微粒子レベル係数と時間間隔とを乗算し(418)、(vii)モータ速度係数と微粒子レベル係数と時間間隔との積だけフィルタ寿命カウンタを増分する(420)。
【0045】
別の実施形態では、微粒子フィルタに関するフィルタ寿命アルゴリズムは、そのフィルタの中にすでに入り込んでいる微粒子の合計量を求め、および、予め決められた限界に対してその合計量を比較する。使用されている現行のフィルタでは、この限界は160グラムである。この限界は、フィルタの設計と用途とに応じて変化することが可能である。この場合の微粒子フィルタ寿命アルゴリズムは、次の概略的な諸段階を含み、すなわち、(i)モータ速度値を得て、(ii)現在微粒子レベル値を得て、(iii)微粒子密度(グラム/立方フィート)を計算するために、または、ルックアップテーブルから微粒子密度を取り出すために、その微粒子レベル値を使用し、(iv)最後の計算以来の時間間隔を得て、(v)モータ速度と微粒子密度と時間間隔とを乗算し、(vi)モータ速度と微粒子密度と時間間隔との積だけフィルタ寿命累算器を増分する。
【0046】
このフィルタ寿命アルゴリズムは、特定のフィルタに関するフィルタ寿命が予め決められた値を超えると、様々な予め決められた作用のいずれかを行うことができる。例えば、フィルタ寿命アルゴリズムは、フィルタの交換が必要であることをユーザに通知するためにLEDまたは他の表示器を点灯してもよい。ユーザが特定の時間期間内にフィルタを交換しそびれた場合には、フィルタ寿命アルゴリズムがそのシステムの動作を中止させることもできる。
【0047】
フィルタ寿命アルゴリズムを、微粒子センサを有する空気処理システムに関連して説明している。したがって、微粒子フィルタ寿命アルゴリズムは微粒子センサの出力を考慮する。さらに、これらのアルゴリズムは、他のタイプの関連した入力を考慮する場合の使用にも十分に適している。例えば、空気処理システムが化学センサを含む場合には、臭気フィルタ寿命アルゴリズムが、微粒子フィルタ寿命アルゴリズムが微粒子センサ出力を考慮するのと本質的に同じ仕方で化学センサの出力を考慮するだろう。
【0048】
上述の説明は、本発明の現行の実施形態の説明である。同等物の原則を含む特許法の原則に基づいて解釈されるべきである、添付されている特許請求項に定義されている本発明の着想とより広範な側面とから逸脱することなしに、様々な変更と改変とが加えられることが可能である。例えば冠詞「a」、「an」、「the」、または、「said」を使用した特許請求項要素の単数形でのあらゆる言及は、この要素を単数に限定するものと解釈されてはならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7