特許第5933995号(P5933995)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5933995-挿入形状検出機能を備えた軟性内視鏡 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933995
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】挿入形状検出機能を備えた軟性内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
   A61B1/00 320Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-52443(P2012-52443)
(22)【出願日】2012年3月9日
(65)【公開番号】特開2013-183960(P2013-183960A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(72)【発明者】
【氏名】片山 暁元
【審査官】 田邉 英治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−354582(JP,A)
【文献】 特開2004−167278(JP,A)
【文献】 特開平07−111968(JP,A)
【文献】 特開2013−085744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00− 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界発生用又は磁界検出用の複数の導電コイルを長手方向に互いの間に間隔をあけて可撓性線材に一体に組み付けて構成されたコイルユニットが、可撓性の挿入部内に保護チューブで囲まれた状態配置された、挿入形状検出機能を備えた軟性内視鏡において、
上記コイルユニットの先端近傍位置には、上記可撓性線材及び上記導電コイルの外径より大きな外径を有する抜け止め部材が固着されて、
上記保護チューブの先端には、段付き筒状のコイルユニット先端保持筒が上記保護チューブと軸線位置を合わせて固着され、
上記コイルユニット先端保持筒の内側空間領域は、前側部分の内径が大きくて後側部分の内径が小さな3段の段付き形状に形成され、そのうちの上記後側部分の内径は、上記導電コイルと上記可撓性線材が通過して上記抜け止め部材が通過しない径に形成されて、中間部分の内部空間には上記抜け止め部材が軸線方向に遊動可能に緩く内挿され、上記前側部分には、上記導電コイルと上記可撓性線材が通過して上記抜け止め部材が通過しない径の筒状栓体が嵌め込まれ、
上記挿入部の最先端部分を構成する先端部本体に後方から穿設されたコイルアセンブリ固定孔に、上記コイルユニット先端保持筒と上記保護チューブの先端部分とが差し込まれた状態で固定されていることを特徴とする挿入形状検出機能を備えた軟性内視鏡
【請求項2】
上記コイルユニット先端保持筒の外周面が、前側部分の内径が大きくて後側部分の内径が小さな2段の段付き形状に形成され、その前側部分が上記コイルアセンブリ固定孔に嵌挿されて、上記コイルユニット先端保持筒が固定ねじで上記コイルアセンブリ固定孔に固定されている請求項1記載の形状検出機能を備えた軟性内視鏡。
【請求項3】
上記コイルユニット先端保持筒の外周面が、前側部分の内径が大きくて後側部分の内径が小さな2段の段付き形状に形成されていて、上記コイルユニット先端保持筒の外周面の前側部分と上記保護チューブの先端部分とが上記コイルアセンブリ固定孔に嵌挿されて、上記保護チューブの先端部分が上記コイルアセンブリ固定孔に接着固定されている請求項1記載の形状検出機能を備えた軟性内視鏡。
【請求項4】
上記コイルユニット先端保持筒の外周面の後側部分が、上記保護チューブの先端に差し込まれた状態でそこに固着されている請求項2又は3記載の形状検出機能を備えた軟性内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、挿入形状検出機能を備えた軟性内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
挿入部が可撓性を備えたいわゆる軟性内視鏡を使用する際に、挿入部が体内でどのように屈曲しているかを、その内視鏡を操作している術者がリアルタイムで把握することができるようにすると非常に使い易いものになる。
【0003】
そこで、複数の磁界発生用又は磁界検出用の導電コイルを、挿入部の外周近くの内側領域に長手方向に適宜の間隔で内挿させて、体外に配置された外部コイル装置等から得られる検出信号値等に基づいて挿入部の屈曲状態を導出、表示するようにしたものが実用化されている(例えば、特許文献1、2、3)。
【0004】
そのような挿入形状検出機能を備えた軟性内視鏡においては、挿入部内に適宜の間隔で配置された複数の導電コイルが他の各種内蔵物や湾曲部の関節駒等と直接干渉しないように、保護チューブの内周部に各導電コイルを固定して挿入部内に配置している。
【0005】
したがって、保護チューブは各導電コイルの配置を所定の位置に規制するための機能と、各導電コイルを他の内蔵物等との直接の干渉から守る保護機能とを備えており、そのような保護チューブの先端は、内視鏡の挿入部先端を構成する先端部本体の後端部分に対して固定されている。
【0006】
内視鏡の挿入部(特に、遠隔操作により小さな曲率半径で屈曲する湾曲部)は、内視鏡検査に使用される際に不規則な向きに不規則な曲率半径で屈曲され、それに対応して導電コイルに異常な捩れ力が作用する場合がある。
【0007】
すると、特許文献1、2、3等に記載された発明においては、導電コイルが保護チューブと共に軸線周り方向に回転不能な状態で挿入部内に配置されていることにより、導電コイルに過大な捩れ力が作用して、導電コイルが劣化、破損し、正確な形状検出ができなくなる場合がある。
【0008】
そこで、導電コイルが固定的に取り付けられている保護チューブが軸線周り方向に回転自在になるように、保護チューブの先端部分を軸線周り方向に回転自在に先端部本体の後端部分に係合させたものがある(例えば、特許文献4)。
【0009】
そのようなものでは、保護チューブと導電コイルに大きな捩れ力が作用し始めると、保護チューブが導電コイルと共に軸線周り方向に回転するので、導電コイルに過大な捩れ力が作用するのを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−111968
【特許文献2】特開平8−542
【特許文献3】特開2002−159437
【特許文献4】特開2003−52611
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、引用文献4等に記載された発明は、組み立てや分解がし易いとは言えず、また、保護チューブの先端が固定される先端部本体の後端部付近に保護チューブの断面積より相当に大きなデッドスペ−ス(即ち、他の内蔵物を配置させることができないスペース)が発生するので、例えば洗浄水噴射用チューブ等のような追加的な内蔵物を内挿する構成にしようとしても、それが困難になってしまう場合がある。
【0012】
そこで、本件の発明者は、内視鏡検査において挿入部が不規則な向きに不規則な曲率半径で屈曲されても、挿入部の屈曲状態の検出のための導電コイルに不規則な捩れ力が作用し難く、しかも、導電コイルを囲む保護チューブの先端部分を、大きなデッドスペースが生じることなく挿入部内に配置することができる挿入形状検出機能を備えた軟性内視鏡を発明して、先に特許出願した(特願2011−229511)。
【0013】
ただし、その発明では、導電コイルの先端部分の軸線方向移動が規制されている。そのため、内視鏡の挿入部先端に設けられている湾曲部が遠隔操作により屈曲操作されて内蔵物が大きく軸線方向に移動したような場合に、導電コイルが無理な力のかからない状態に軸線方向移動できないため破損してしまうおそれがあった。
【0014】
本発明は、挿入部の屈曲状態の検出のための導電コイルに異常な捩れ力が作用し難くて正確な形状検出を行うことができ、かつ、保護チューブ先端の固定部周辺に大きなデッドスペースができず、しかも、組み立てや分解が容易であって、湾曲部の屈曲動作等の際に導電コイルが破損するおそれのない耐久性の優れた形状検出機能を備えた軟性内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明の形状検出機能を備えた軟性内視鏡は、磁界発生用又は磁界検出用の複数の導電コイルを長手方向に互いの間に間隔をあけて可撓性線材に一体に組み付けて構成されたコイルユニットが、可撓性の挿入部内に共通の保護チューブで囲まれた状態に配置された、挿入形状検出機能を備えた軟性内視鏡において、コイルユニットの先端近傍位置には、可撓性線材及び導電コイルの外径より大きな外径を有する抜け止め部材が固着されて、保護チューブの先端には、段付き筒状のコイルユニット先端保持筒が保護チューブと軸線位置を合わせて固着され、コイルユニット先端保持筒の内側空間領域は、前側部分の内径が大きくて後側部分の内径が小さな3段の段付き形状に形成され、そのうちの後側部分の内径は、導電コイルと可撓性線材が通過して抜け止め部材が通過しない径に形成されて、中間部分の内部空間には抜け止め部材が軸線方向に遊動可能に緩く内挿され、前側部分には、導電コイルと可撓性線材が通過して抜け止め部材が通過しない径の筒状栓体が嵌め込まれ、挿入部の最先端部分を構成する先端部本体に後方から穿設されたコイルアセンブリ固定孔に、コイルユニット先端保持筒と保護チューブの先端部分とが差し込まれた状態で固定されているものである。
【0016】
なお、コイルユニット先端保持筒の外周面が、前側部分の内径が大きくて後側部分の内径が小さな2段の段付き形状に形成され、その前側部分がコイルアセンブリ固定孔に嵌挿されて、コイルユニット先端保持筒が固定ねじでコイルアセンブリ固定孔に固定されていて、保護チューブコイルアセンブリ固定孔とが直接には固定されていなくてもよい。
【0017】
また、コイルユニット先端保持筒の外周面が、前側部分の内径が大きくて後側部分の内径が小さな2段の段付き形状に形成されていて、コイルユニット先端保持筒の外周面の前側部分と保護チューブの先端部分とがコイルアセンブリ固定孔に嵌挿されて、保護チューブの先端部分がコイルアセンブリ固定孔に接着固定されていて、コイルユニット先端保持筒とコイルアセンブリ固定孔とが直接には固定されていなくてもよい。
【0018】
そして、コイルユニット先端保持筒の外周面の後側部分が、保護チューブの先端に差し込まれた状態でそこに固着されていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コイルユニットの先端近傍位置に大きな外径の抜け止め部材が固着されて、保護チューブの先端に取り付けられたコイルユニット先端保持筒の中間部分の内部空間に抜け止め部材が軸線方向に遊動可能に緩く内挿され、コイルユニット先端保持筒の前側部分に嵌め込まれた筒状栓体とコイルユニット先端保持筒の後側部分とが抜け止め部材の軸線方向移動のストッパになり、先端部本体に後方から穿設されたコイルアセンブリ固定孔に、コイルユニット先端保持筒と保護チューブの先端部分とが差し込まれた状態で固定されていることにより、挿入部の屈曲状態の検出のための導電コイルに異常な捩れ力が作用し難くて正確な形状検出を行うことができ、かつ、保護チューブ先端の固定部周辺に大きなデッドスペースができず、しかも、組み立てや分解が容易であって、湾曲部の屈曲動作等の際に導電コイルが破損するおそれのない優れた耐久性を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施例に係る形状検出機能を備えた軟性内視鏡の全体構成図である。
図2】本発明の第1の実施例に係る形状検出機能を備えた軟性内視鏡の挿入部の先端部分の側面断面図である。
図3】本発明の第1の実施例に係る形状検出機能を備えた軟性内視鏡の挿入部の先端部分の一部を抜き出して示す側面断面図である。
図4】本発明の第1の実施例に係る形状検出機能を備えた軟性内視鏡の図2におけるIV−IV断面図である。
図5】本発明の第2の実施例に係る形状検出機能を備えた軟性内視鏡の挿入部の先端部分の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施例を説明する。
図1は、挿入形状検出機能を備えた軟性内視鏡装置の全体構成を略示している。
10は、挿入形状検出機能を備えた軟性内視鏡である。操作部11の下端に連結された挿入部12は、操作部11からの遠隔操作により任意の方向に任意の角度だけ屈曲させることができる湾曲部12aが、軟性の可撓管で外装された可撓管部12bの先端に連結されて構成されている。15は、湾曲部12aの屈曲操作を行うための湾曲操作ノブである。
【0022】
この実施例の内視鏡はいわゆる前方視型であり、挿入部12の最先端部分を構成する先端部本体14の先端面に、観察窓13や照明窓等が配置されている。ただし、側方視型又は斜視型等であっても差し支えない。
【0023】
挿入部12内には、撮像信号ケーブル、照明用ライトガイドファイババンドル、処置具挿通チャンネル、各種チューブ類等のような内蔵物と並んで、磁界発生用の複数の導電コイル20aが挿入部12の長手方向に互いの間に間隔をあけて配置されている。
【0024】
軟性内視鏡10から出力される内視鏡観察像の撮像信号はビデオプロセッサ1に送られ、観察画像表示モニタ2に内視鏡観察像が表示される。また、挿入形状検出のための制御装置3から挿入部12内の導電コイル20aに交流信号が印加されて磁界を発生させ、別設された外部コイル装置4で検出された磁界が制御装置3に送られる。
【0025】
制御装置3では、外部コイル装置4から入力された信号から挿入部12の屈曲形状が演算により導かれ、挿入部形状表示モニタ5に挿入部12の屈曲形状がリアルタイムで表示される。なお、外部コイル装置4で発生させた磁界を挿入部12内の導電コイル20aで検出するようにしてもよい。これらのような挿入形状検出のためのシステムは、特許文献1〜4等により周知なので、その詳細な説明は省略する。
【0026】
図2は挿入部12の先端部分を示している。先端部本体14の先端面に配置された観察窓13を通して固体撮像素子16で撮像された内視鏡観察像の撮像信号は、挿入部12内に挿通配置された撮像信号ケーブル17により伝送される。
【0027】
導電コイル20aは、その長手方向に連なる導電線20bと共に一本の絶縁チューブ20c(可撓性線材)で被覆されていて、それら導電コイル20a、導電線20b、絶縁チューブ20cにより長尺で可撓性のあるコイルユニット20が構成されている。絶縁チューブ20cの外径サイズは導電コイル20aの外径サイズと略一致している。
【0028】
そのようなコイルユニット20は、例えば一本のフッ素樹脂チューブ等のような電気絶縁性の可撓性チューブからなる保護チューブ21の軸線位置に配置されて、全長において保護チューブ21で囲まれた状態で挿入部12内に配置されている。
【0029】
ただしコイルユニット20は、保護チューブ21の内周面に対し間隔をあけて配置されていればよく、先端部分付近を除けば必ずしも保護チューブ21の軸線位置に位置していなくてもよい。
【0030】
先端部本体14には、保護チューブ21の先端部分が嵌挿された状態に固定される丸孔状のコイルアセンブリ固定孔14aが、先端部本体14の後端面に開口する状態に先端部本体14の軸線と平行方向に真っ直ぐに形成されている。
【0031】
さらに、コイルユニット20の最先端部分付近が、図示されているように十分な隙間をあけて納まる余裕空間用孔14bが、コイルアセンブリ固定孔14aと連続してその前方位置に穿設されている。
【0032】
余裕空間用孔14bは、保護チューブ21や後述する抜け止め部材22が入るだけの径が必要ではなく、コイルユニット20の最先端部分が緩く納まればよいので、コイルアセンブリ固定孔14aより小さな内径に形成されていて、余裕空間用孔14bとコイルアセンブリ固定孔14aとの境界部は段になっている。そして、その段部を形成する壁面に、後述するコイルユニット先端保持筒30の先端面が当て付けられている。
【0033】
コイルユニット20、保護チューブ21及びコイルユニット先端保持筒30とその先端に取り付けられた筒状栓体31等によりコイルアセンブリが構成されている。図3は、そのようなアセンブリ部分だけを抜き出して示している。
【0034】
コイルユニット20の先端近傍位置には、導電コイル20aと導電線20bに被覆されている絶縁チューブ20cの外径サイズより大きな外径サイズを有する、例えば短円筒状の抜け止め部材22が固着されている。
【0035】
抜け止め部材22は、例えばステンレス材又は硬質のプラスチック材等で形成されていて、この実施例では、複数の導電コイル20aのうち一番前にある導電コイル20aの後端部分と導電線20bとにまたがる位置で絶縁チューブ20cの外周面に接着固定されている。ただし、固定位置が必ずしもその位置でなくてもよい。
【0036】
保護チューブ21の先端には、段付き筒状のコイルユニット先端保持筒30が、保護チューブ21と軸線位置を合わせて固着されている。コイルユニット先端保持筒30の内側空間領域は、前側部分の内径が大きくて後側部分の内径が小さな3段の段付き形状に形成されている。
【0037】
そのうちの後側部分30aの内径は、絶縁チューブ20cが通過して抜け止め部材22が通過できない径に形成されていて、中間部分30bの内部空間には抜け止め部材22が軸線方向に遊動可能に緩く内挿されている。
【0038】
コイルユニット先端保持筒30の内部空間の前側部分30cにぴったりと嵌め込まれた剛体からなる円筒形状の筒状栓体31には、絶縁チューブ20cが通過して抜け止め部材22が通過できない径のコイル通過孔31aが、軸線位置に貫通形成されている。
【0039】
コイルユニット先端保持筒30の外周面は、前側部分の内径が大きくて後側部分の内径が小さな2段の段付き形状に形成されている。そして、コイルユニット先端保持筒30の後側部分の外周面に保護チューブ21の先端内周面が接着固定され、保護チューブ21の先端部分の外周面の外径とそれより先側に露出するコイルユニット先端保持筒30の外周面の外径とが略同一寸法に形成されている
【0040】
図2に戻って、先端部本体14には、前述のように、後端面から前方に向けて真っ直ぐに先端部本体14の途中位置までコイルアセンブリ固定孔14aが穿設され、その中に、コイルユニット先端保持筒30と保護チューブ21の先端部分とが後方から嵌挿されて(即ち、差し込まれて)、コイルユニット先端保持筒30が固定ねじ33で先端部本体14のコイルアセンブリ固定孔14aに固定されている。
【0041】
固定ねじ33は、先端部本体14に形成されたねじ孔34に螺合している。図4は、その部分が明示されたIV−IV断面図であり、コイルユニット20の配置を先端部本体14の中心位置にできるだけ近づけることにより、湾曲部12aが動作した際のコイルユニット20の軸線方向移動長を小さくすることができる。
【0042】
図2にも示されるように、この実施例の固定ねじ33は、先端が尖った尖り先ねじである。そして、そのネジ先が係合するV状の断面形状の円周溝が、コイルユニット先端保持筒30の外周面の全周にわたって形成されている。
【0043】
組立作業時には、固定ねじ33をねじ孔34にきつく締め込むことにより、コイルユニット先端保持筒30がコイルアセンブリ固定孔14aにしっかりと固定され、先端部本体14に対するコイルアセンブリの着脱作業を容易に行うことができる。
【0044】
このような構成においては、保護チューブ21は、コイルアセンブリ固定孔14aに直接的に固定されていないものの、コイルユニット先端保持筒30を介して先端部本体14に安定的に固定された状態になる。
【0045】
コイルアセンブリがそのように構成された本実施例装置においては、コイルユニット20が、コイルユニット先端保持筒30の後側部分30a内と筒状栓体31のコイル通過孔31a内を緩く通過し、コイルユニット20の最先端近傍に固着された抜け止め部材22が、コイルユニット先端保持筒30の中間部分30b内から出られないように配置されている。
【0046】
ただし、抜け止め部材22はコイルユニット先端保持筒30の中間部分30b内において、前方の筒状栓体31の後端壁面(前側ストッパ面28)にぶつかる位置と後方のコイルユニット先端保持筒30の後側部分30aの前側壁面(後側ストッパ面29)にぶつかる位置との間で軸線方向に遊動することができる。
【0047】
したがって、湾曲部12aが屈曲操作されてコイルユニット20に軸線方向移動の大きな力が作用した場合には、それに伴ってコイルユニット20が余裕を持って軸線方向に遊動することができ、コイルユニット20が破損することなく挿入部12の屈曲形状をコイルユニット20で正確に検出することができる。そして、修理等の際には、固定ねじ33を緩めればコイルアセンブリの交換を容易に行うことができ、構成上においてデッドスペースをさほど生じさせることもない。
【0048】
図5は、本発明の第2の実施例を示しており、保護チューブ21を先端部本体14に固定する手段として、第1の実施例のように固定ねじ33を用いるのに代えて、保護チューブ21の外周面をコイルアセンブリ固定孔14aの内周面に接着剤40で固定したものである。その他の構成は第1の実施例と同じなので、その説明は省略する。
【0049】
なお、コイルユニット先端保持筒30には接着剤を塗布せず、保護チューブ21のみに塗布することにより、コイルユニット先端保持筒30がコイルアセンブリ固定孔14aに直接固定されず、修理交換が容易になる。
【0050】
このように構成すると、固定ねじ33が不要なので、第1の実施例と比較して構成上のデッドスペースをさらに小さくすることができ、例えば洗浄水噴射用管路等のような追加的な内蔵物を通すための孔を、先端部本体14に容易に穿設して設けることができるメリットがある。
【0051】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、上記の他の各種の実施態様を含み得るものである。
【符号の説明】
【0052】
10 軟性内視鏡
12 挿入部
12a 湾曲部
14 先端部本体
14a コイルアセンブリ固定孔
20 コイルユニット
20a 導電コイル
20b 導電線
20c 絶縁チューブ
21 保護チューブ
30 コイルユニット先端保持筒
30a 後側部分
30b 中間部分
30c 前側部分
31 筒状栓体
31a コイル通過孔
40 接着剤
図1
図2
図3
図4
図5