特許第5934008号(P5934008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934008
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20160602BHJP
   G06F 3/0481 20130101ALI20160602BHJP
【FI】
   G06F3/041 520
   G06F3/0481 120
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-80025(P2012-80025)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-210801(P2013-210801A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2014年9月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 康弘
【審査官】 松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−244393(JP,A)
【文献】 特表2010−541026(JP,A)
【文献】 特開2004−227885(JP,A)
【文献】 特開2001−195170(JP,A)
【文献】 特開2008−165451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/03
G06F 3/041−3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ操作が可能とされた操作面を有し、当該操作面が実際にタッチされた位置を示すタッチ情報を生成するタッチトレーサと、当該タッチトレーサから入力される前記タッチ情報に基づきディスプレイに表示する複数の操作機能項目の選択及びその選択を確定する制御手段とを備える入力装置において、
前記制御手段は、前記タッチ情報に基づき前記ディスプレイ上のタッチ位置である実タッチ位置を求めるとともに、当該実タッチ位置よりも当該実タッチ位置が含まれる前記操作機能項目の表示範囲の中心側に補正タッチ位置を設定し、前記操作面がなぞり操作されて前記実タッチ位置が移動した場合には当該実タッチ位置が移動した分だけ補正タッチ位置を移動させ、当該補正タッチ位置に基づき前記ディスプレイに表示する前記操作機能項目の選択及びその選択を決定する入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置において、
前記制御手段は、前記実タッチ位置が前記操作機能項目の表示範囲の中心側に移動した場合には前記補正タッチ位置を維持し、前記実タッチ位置が前記操作機能項目の表示範囲の中心とは反対側に移動した場合には前記実タッチ位置が移動した分だけ前記補正タッチ位置を移動させる入力装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の入力装置において、
前記制御手段は、前記補正タッチ位置が他の操作機能項目の表示範囲に移動した場合には、前記実タッチ位置よりもその操作機能項目の表示範囲の中心側に前記補正タッチ位置を設定する入力装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の入力装置において、
前記タッチトレーサをタッチ操作する際に、当該操作する手を支持するパームレストを備える入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ操作により情報の入力を行う入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両において、エアコン、カーナビ、ラジオ、オーディオといった多機能の操作を1つのデバイスに集約させたものがある。このようなデバイスに情報を入力する入力装置としては、特許文献1に開示されるものが知られている。図1に示すように、特許文献1の入力装置100は、複数の操作機能項目が表示されるディスプレイ101と、ユーザが指先等でタッチ操作することによってディスプレイ101に表示される複数の操作機能項目を選択するタッチトレーサ102とを備えている。また、入力装置100は、タッチトレーサ102を操作する際に手を置くことができるパームレスト103を備えている。
【0003】
入力装置100は、インストルメントパネルの中央部において、手前側からパームレスト103、タッチトレーサ102、ディスプレイ101の順となるように設けられている。パームレスト103とタッチトレーサ102との間の距離は、ユーザが前腕や手のひら等をパームレスト103に置いた状態の手の指でタッチトレーサ102を操作することができる距離とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−227885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、パームレスト103に支持された部位が前腕である場合、ユーザは手首を支点としてタッチトレーサ102を操作することになる。このため、ユーザが指を横方向に移動させたつもりでも、図6に一点鎖線で示すように、実際の指の移動軌跡は、手首を支点とした円弧となる。すなわち、指の移動軌跡は、ユーザの意志とは異なり縦方向にも変位する。このため、ユーザが入力したい操作機能項目と異なる操作機能項目が選択されるおそれがある。
【0006】
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、意図する情報の入力が容易な入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、タッチ操作が可能とされた操作面を有し、当該操作面が実際にタッチされた位置を示すタッチ情報を生成するタッチトレーサと、当該タッチトレーサから入力される前記タッチ情報基づきディスプレイに表示する複数の操作機能項目の選択及びその選択を確定する制御手段とを備える入力装置において、
前記制御手段は、前記タッチ情報に基づき前記ディスプレイ上のタッチ位置である実タッチ位置を求めるとともに、当該実タッチ位置よりも当該実タッチ位置が含まれる前記操作機能項目の表示範囲の中心側に補正タッチ位置を設定し、前記操作面がなぞり操作されて前記実タッチ位置が移動した場合には当該実タッチ位置が移動した分だけ補正タッチ位置を移動させ、当該補正タッチ位置に基づき前記ディスプレイに表示する前記操作機能項目の選択及びその選択を決定することを要旨とする。
【0008】
同構成によれば、補正タッチ位置は、実タッチ位置よりも操作機能項目の表示範囲の中心側に位置している。従って、補正タッチ位置と他の操作機能項目の表示範囲までとの距離は、実タッチ位置と他の操作機能項目の表示範囲までとの距離よりも長くなる。このため、補正タッチ位置を他の操作機能項目の表示範囲に移動させるためには、実タッチ位置を補正タッチ位置と他の操作機能項目の表示範囲までとの距離よりも長く、すなわち、従来よりも実タッチ位置を長く移動させる必要がある。このため、操作面を操作する指が、想定する軌道を外れても、当該軌道は意図する操作機能項目の表示範囲内である。従って、ユーザは、意図する操作機能項目を選択することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の入力装置において、前記制御手段は、前記実タッチ位置が前記操作機能項目の表示範囲の中心側に移動した場合には前記補正タッチ位置を維持し、前記実タッチ位置が前記操作機能項目の表示範囲の中心とは反対側に移動した場合には前記実タッチ位置が移動した分だけ前記補正タッチ位置を移動させることを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、実タッチ位置が操作機能項目の表示範囲内を移動する度に、実タッチ位置と補正タッチ位置との位置ずれが小さくなる。このため、ユーザは、意図する操作機能項目を選択しやすくなる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の入力装置において、前記制御手段は、前記補正タッチ位置が他の操作機能項目の表示範囲に移動した場合には、前記実タッチ位置よりもその操作機能項目の表示範囲の中心側に前記補正タッチ位置を設定することを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、補正タッチ位置が他の操作機能項目の表示範囲に移動する度に、補正タッチ位置が再設定され、実タッチ位置と補正タッチ位置との位置ずれが小さくなる。このため、ユーザは、意図する操作機能項目を選択しやすくなる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の入力装置において、前記タッチトレーサをタッチ操作する際に、当該操作する手を支持するパームレストを備えることを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、例えば、ユーザが自身の前腕とパームレストに支持させる場合、ユーザは、手首を支点としてタッチトレーサを操作することができる。このため、タッチトレーサの操作において、腕にかかる負担が小さい。また、ユーザが指を横方向に移動させようとすると、その指の移動軌跡は、手首を中心とした円弧になりやすい。しかしながら、手首を支点としているので、横方向に対する上下方向のずれは小さい。すなわち、タッチトレーサの操作面を操作する指は、ユーザが想定する軌道をわずかしか外れない。このため、ユーザの意図する操作機能項目を容易に選択することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、意図する情報の入力が容易な入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】入力装置を中心とした車内の斜視図。
図2】入力装置の概略構成を示すブロック図。
図3】(a)〜(h)は、実タッチ位置及び補正タッチ位置の変位を示す図。
図4】(a)〜(d)は、実タッチ位置及び補正タッチ位置の変位を示す図。
図5】制御回路における処理手順を示すフローチャート。
図6】手首を支点とした指の移動軌跡を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明にかかる入力装置を具体化した一実施の形態について図1図6を参照して説明する。
図1に示すように、車両には、例えばエアコン、カーナビ、ラジオ、及びオーディオなどの各種機器が制御を行うために必要な情報を入力するための入力装置10が設けられている。図2に示すように、入力装置10は、ディスプレイ11、タッチトレーサ12、パームレスト13、及び制御回路14を備えている。ディスプレイ11は、操作機能項目を表示する。制御回路14は、ディスプレイ11の表示を制御する。タッチトレーサ12は、操作面12aを備え、当該操作面12aがタッチされた位置を示す情報を生成する。パームレスト13は、タッチトレーサ12を操作する際、ユーザが手を置くことができる。
【0018】
なお、図1に示すように、ディスプレイ11は、ダッシュボードの中央部に嵌め込まれている。タッチトレーサ12は、ダッシュボードにおいて、ディスプレイ11の手前側に設けられている。タッチトレーサ12は、操作面12aを指でタッチできるように車室内に露出させている。パームレスト13は、ダッシュボードにおいて、タッチトレーサ12の手前側に設けられている。パームレスト13とタッチトレーサ12との間の距離は、ユーザが前腕や手のひら等をパームレスト13に置いた状態の手の指でタッチトレーサ12を操作することができる距離とされている。
【0019】
制御回路14は、前述した各種機器の図示しない制御回路と接続されている。各種機器の制御回路から各種機器における制御状態を示す情報を取得し、この取得される情報に応じてディスプレイ11に表示する操作機能項目を切り替える。また、図2に示すように、制御回路14は、補正部15を備えている。補正部15は、タッチトレーサ12において生成される実際のタッチ情報に基づき求められるディスプレイ11上のタッチ位置(以下、実タッチ位置)を示す情報から、どの操作機能項目が選択されているかを判断するための補正タッチ位置を設定する。制御回路14は、補正部15が設定した補正タッチ位置がディスプレイ11に表示される操作機能項目の表示範囲に含まれる場合には、例えば当該操作機能項目の色を変える等して、どの操作機能項目が選択されているのかをユーザに報知する。なお、タッチトレーサ12の下部(紙面方向の下部)には、制御回路14と接続された図示しないプッシュスイッチが設けられている。当該プッシュスイッチは、タッチトレーサ12が紙面方向に押し込まれると、プッシュ信号を生成する。制御回路14は、プッシュ信号が入力されると、それまで補正タッチ位置が含まれていた操作機能項目の選択が確定されたものと認識する。そして、制御回路14は、選択が確定した操作機能項目を示す信号を生成する。当該信号が必要な機器の制御回路は、当該信号に基づき当該機器の制御を切り替える。
【0020】
次に、補正部15が設定する補正タッチ位置について概要を説明する。
補正部15は、実タッチ位置がディスプレイ11に表示されたある操作機能項目の表示範囲に含まれる場合には、その操作機能項目の中央座標を補正タッチ位置に設定する。そして、実タッチ位置が中央座標に近づく場合には、補正タッチ位置を中央座標に維持する。一方、実タッチ位置が中央座標から離れる場合には、当該離れた方向及び距離だけ補正タッチ位置を中央座標から移動させる。
【0021】
次に、補正部15が設定する補正タッチ位置について具体的に座標を用いて説明する。なお、ここでは、ディスプレイ11に表示される操作機能項目の横方向をX方向、縦方向をY方向とする。従って、実タッチ位置及び補正タッチ位置は、XY座標で表すことができる。
【0022】
制御回路14は、タッチトレーサ12から実タッチ位置A(x0,y0)が入力されると、当該実タッチ位置A(x0,y0)がディスプレイ11に表示される操作機能項目の表示範囲に含まれるか否かを判断する。ここでは、図3(a)に示すように、実タッチ位置A(x0,y0)は、ディスプレイ11に表示されるある操作機能項目の中央座標(m0,n0)の左上の位置とし、当該操作機能項目の表示範囲に含まれるものとする。この場合、補正部15は、図3(b)に示すように、実タッチ位置A(x0,y0)が含まれる操作機能項目の中央座標(m0,n0)に補正タッチ位置A(m0,n0)を設定する。
【0023】
図3(c)に示すように、実タッチ位置A(x0,y0)が中央座標(m0,n0)に近い実タッチ位置B(x1,y1)に移動した場合には、補正タッチ位置Bは、図3(d)に示すように、補正タッチ位置A(m0,n0)に維持される。すなわち、補正タッチ位置B(m0,n0)となる。
【0024】
図3(e)に示すように、実タッチ位置A(x0,y0)が中央座標(m0,n0)から離れた実タッチ位置C(x2,y2)に移動した場合には、補正タッチ位置Cは、図3(f)に示すように、当該実タッチ位置が移動した分だけ補正タッチ位置A(m0,n0)から移動する。すなわち、補正タッチ位置C(m0+(x2−x0),n0+(y2−y0))となる。
【0025】
ここで、例えば、図3(g)に示すように、ある操作機能項目の表示範囲内において、実タッチ位置A(x0,y0)が中央座標(m0,n0)の右上の位置である実タッチ位置D(x3,y3)に直線的に移動した場合について説明する。なお、実タッチ位置DのY座標y3は、実タッチ位置AのY座標y0よりも中央座標のY座標n0に近いものとする。また、実タッチ位置A(x0,y0)が実タッチ位置D(x3,y3)に移動する際に、実タッチ位置E(m0,y4)を通るものとする。この実タッチ位置E(m0,y4)は、図3(g)に示すように、実タッチ位置が中央座標(m0,n0)の左上から右上に変わる位置である。
【0026】
図3(g)に示すように、実タッチ位置E(m0,y4)は、実タッチ位置A(x0,y0)よりも中央座標(m0,n0)に近い。従って、実タッチ位置A(x0,y0)が実タッチ位置E(m0,y4)に移動した際、補正タッチ位置Eは、補正タッチ位置A(m0,n0)に維持される。すなわち、補正タッチ位置E(m0,n0)である。また、実タッチ位置E(m0,y4)のX座標は、実タッチ位置D(x3,y3)のX座標よりも中央座標(m0,n0)に近く、実タッチ位置E(m0,y4)のY座標は、実タッチ位置D(x3,y3)のY座標よりも中央座標(m0,n0)に遠い。従って、実タッチ位置E(m0,y4)が実タッチ位置D(x3,y3)に移動した場合、補正タッチ位置DのY座標は、補正タッチ位置E(A)(m0,n0)のY座標に維持される。一方、補正タッチ位置DのX座標は、実タッチ位置E(m0,y4)と実タッチ位置D(x3,y3)との距離(x4−m0)だけ移動する。従って、図3(h)に示すように、補正タッチ位置D(m0+(x4−m0)=x4,n0)となる。
【0027】
なお、上述したように、制御回路14は、補正タッチ位置がディスプレイ11に表示される操作機能項目の表示範囲に含まれる場合に、操作機能項目が選択された旨認識する。すなわち、図4(a)に示すように、実タッチ位置が第1の操作機能項目の表示範囲から当該第1の操作機能項目の表示範囲に隣接する第2の操作機能項目の表示範囲に移動しても、図4(b)に示すように、補正タッチ位置が第1の操作機能項目の表示範囲内にあれば、制御回路14は、第1の操作機能項目が選択されていると認識する。制御回路14に第2の操作機能項目を選択したことを認識させるためには、図4(c)に示すように、前述よりも実タッチ位置を大きく移動させて、図4(d)に示すように、補正タッチ位置を第2の操作機能項目の表示範囲内に移動させる必要がある。言い換えれば、操作機能項目の選択を変える場合、ユーザは、実タッチ位置を少なくとも一定の距離、ここでは、X方向又はY方向における機能項目の表示範囲の距離の半分だけ移動させる必要がある。なお、図4(d)に示すように、補正タッチ位置が第1の操作機能項目の表示範囲から第2の操作機能項目の表示範囲に移動した場合、補正部15は、補正タッチ位置を第2の操作機能項目の中央座標に再設定する。この再設定により実タッチ位置と補正タッチ位置とのずれが小さくなる。
【0028】
次に、制御回路14が操作機能項目を選択するときの処理について、図5に示すフローチャートに従って説明する。当該フローチャートは制御回路14の図示しない記憶領域に格納された制御プログラムに従って実行される。当該制御プログラムは、ユーザがタッチトレーサ12をタッチして、当該タッチトレーサ12において生成される実際のタッチ情報が入力されたことを契機に実行される。
【0029】
制御回路14は、タッチトレーサ12から入力される実際のタッチ情報に基づき実タッチ位置を求めるとともに、当該実タッチ位置が含まれる操作機能項目を判定する(ステップS1)。そして、実タッチ位置が含まれる操作機能項目の中心座標に補正タッチ位置を設定する(ステップS2)。
【0030】
次に、制御回路14は、実タッチ位置の入力が継続されているか否かを判断する(ステップS3)。ステップS3でYES、すなわち、実タッチ位置の入力が継続されているには、実タッチ位置が当該実タッチ位置の含まれる操作機能項目の中心側に移動したか否かを判断する(ステップS4)。ステップS4でYES、すなわち、実タッチ位置が当該実タッチ位置の含まれる操作機能項目の中心側に移動した場合には、ステップS2で設定した補正タッチ位置を維持する(ステップS5)。そして、当該処理をステップS3に移行する。
【0031】
ステップS4でNO、すなわち、実タッチ位置が当該実タッチ位置の含まれる操作機能項目の中心側に移動していない場合には、実タッチ位置が当該実タッチ位置の含まれる操作機能項目の中心から離れる方向に移動したか否かを判断する(ステップS6)。ステップS6でNO、すなわち、実タッチ位置が当該実タッチ位置の含まれる操作機能項目の中心から離れる方向に移動していない場合には、実タッチ位置が維持されているものとして、当該処理をステップS3に移行する。
【0032】
ステップS6でYES、すなわち、実タッチ位置が当該実タッチ位置の含まれる操作機能項目の中心から離れる方向に移動した場合には、当該移動した分だけステップS2で設定した補正タッチ位置を移動させる(ステップS7)。
【0033】
次に、制御回路14は、移動させた補正タッチ位置が含まれる操作機能項目を判定する(ステップS8)。そして、移動させた補正タッチ位置が含まれる操作機能項目に変更が有るか否かを判断する(ステップS9)。ステップS9でNO、すなわち、移動させた補正タッチ位置が含まれる操作機能項目に変更がない場合には、当該処理をステップS3に移行する。
【0034】
ステップS9でYES、すなわち、移動させた補正タッチ位置が含まれる操作機能項目に変更が有る場合には、新たな操作機能項目の中心座標に補正タッチ位置を設定し(ステップS10)、当該処理をステップS3に移行する。
【0035】
なお、ステップS3でNO、すなわち、実タッチ位置の入力が継続されていない、言い換えれば、ユーザがタッチトレーサ12へのタッチを解除した場合には、制御回路14は、補正タッチ位置が含まれていた操作機能項目の選択が解除されたものと認識し(ステップS11)、これら一連の処理を終了する。
【0036】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)制御回路14に補正部15を設けた。補正部15は、タッチトレーサ12から入力される実タッチ位置が含まれる操作機能項目の表示範囲の中心座標に補正タッチ位置を設定する。そして、補正部15は、タッチトレーサ12がなぞり操作される場合において、実タッチ位置が、操作機能項目の表示範囲の中心座標に近づいた場合には補正タッチ位置を維持し、操作機能項目の表示範囲の中心座標から離れた場合には当該実タッチ位置が移動した分だけ補正タッチ位置を移動させるようにした。実タッチ位置が操作機能項目の表示範囲内を移動する度に、実タッチ位置と補正タッチ位置との位置ずれが小さくなる。また、補正タッチ位置は、実タッチ位置よりも操作機能項目の表示範囲の中心側に位置している。従って、補正タッチ位置と他の操作機能項目の表示範囲までとの距離は、実タッチ位置と他の操作機能項目の表示範囲までとの距離よりも長くなる。このため、補正タッチ位置を他の操作機能項目の表示範囲に移動させるためには、実タッチ位置を補正タッチ位置と他の操作機能項目の表示範囲との距離よりも長く移動させる必要がある。このため、タッチトレーサ12の操作面12aを操作する指が、想定する軌道を外れても、当該軌道は、意図する操作機能項目の表示範囲内である。従って、ユーザは、意図する操作機能項目を選択することができる。
【0037】
(2)補正部15は、補正タッチ位置が他の操作機能項目の表示範囲に移動した場合に、当該移動した操作機能項目の表示範囲の中心座標に補正タッチ位置を設定するようにした。これにより、補正タッチ位置が他の操作機能項目の表示範囲に移動する度に、実タッチ位置と補正タッチ位置との位置ずれが小さくなる。このため、ユーザは、意図する操作機能項目を選択しやすくなる。
【0038】
(3)タッチトレーサ12の手前側にパームレスト13を設けた。これにより、ユーザは、例えば、自身の前腕をパームレスト13に支持させ、手首を支点としてタッチトレーサ12を操作することができる。このため、タッチトレーサ12の操作において、腕にかかる負担が小さい。また、ユーザが指を横方向に移動させようとすると、その指の移動軌跡は、手首を中心とした円弧になりやすい。しかしながら、手首を支点としているので、横方向に対する上下方向のずれは小さい。すなわち、タッチトレーサ12を操作する指は、ユーザが想定する軌道をわずかしか外れない。このため、ユーザの意図する操作機能項目を容易に選択することができる。
【0039】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、パームレスト13を省略してもよい。このように構成した場合であれ、上記実施形態の(1)及び(2)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
【0040】
・上記実施形態において、補正部15は、実タッチ位置が含まれる操作機能項目の表示範囲の中心座標に補正タッチ位置を設定したが、設定する補正タッチ位置は、実タッチ位置よりも操作機能項目の表示範囲の中心側に近ければよい。このように構成した場合であれ、タッチトレーサ12を操作する指が想定する軌道を外れても、当該軌道は、意図する操作機能項目の表示範囲内である。従って、ユーザは、意図する操作機能項目を選択することができる。
【0041】
・上記実施形態において、補正部15は、補正タッチ位置が他の操作機能項目の表示範囲に移動した場合に、当該移動した他の操作機能項目の表示範囲の中心座標に補正タッチ位置を設定するようにしたが、設定する補正タッチ位置は、実タッチ位置よりも操作機能項目の表示範囲の中心側に近ければよい。このように構成した場合であれ、タッチトレーサ12を操作する指が想定する軌道を外れても、当該軌道は、意図する操作機能項目の表示範囲内である。従って、ユーザは、意図する操作機能項目を選択することができる。なお、補正タッチ位置が他の操作機能項目の表示範囲に移動した場合、当該補正タッチ位置を必ずしも設定し直す必要はない。このように構成した場合であれ、上記実施形態の(1)の効果と同様の効果を得ることができる。
【0042】
・上記実施形態では、補正タッチ位置が含まれる操作機能項目の表示範囲をディスプレイ11を通じて報知するようにしたが、これ以外の方法で報知するようにしてもよい。例えば、補正タッチ位置が含まれる操作機能項目が移動した場合にはタッチトレーサ12の操作面12aを振動させて、当該振動が指に伝わることによって報知するようにする。このように構成した場合であれ、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0043】
・上記実施形態では、タッチトレーサ12が押し込まれたときに、選択している操作機能項目の入力が行われるようにしたが、入力方法はこれに限らない。例えば、タッチトレーサ12へのタッチの解除(リリース)、タップ、ダブルタップ、タッチトレーサ12とは別に設けられたエンタースイッチの操作等によって入力を行うようにしてもよい。このように構成した場合であれ、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0044】
・上記実施形態では、車両に搭載される入力装置10について説明したが、当該入力装置10は、他のものに適用してもよい。例えば、住宅用のドアの解錠や施錠を行うものに適用してもよい。このように構成した場合であれ、上記実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0045】
10…入力装置、11…ディスプレイ、12…タッチトレーサ、12a…操作面、13…パームレスト、14…制御回路(制御手段)、15…補正部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6