特許第5934013号(P5934013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934013
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】補強土壁の足場構造及びその設置治具
(51)【国際特許分類】
   E04G 3/20 20060101AFI20160602BHJP
   E04G 5/04 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
   E04G3/20 A
   E04G5/04 D
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-86428(P2012-86428)
(22)【出願日】2012年4月5日
(65)【公開番号】特開2013-217041(P2013-217041A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112093
【氏名又は名称】ヒロセ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】志村 直紀
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−058552(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3018735(JP,U)
【文献】 実開平05−057205(JP,U)
【文献】 特開平01−235773(JP,A)
【文献】 実開昭57−114043(JP,U)
【文献】 特開2004−183391(JP,A)
【文献】 特開2003−020797(JP,A)
【文献】 実開昭58−138764(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第00143035(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 3/20
E04G 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強土壁を構築する壁面材の前面に仮設足場を構築するための足場構造であって、
前記壁面材の躯体に貫通して壁面材の前背面に移動自在に設けた設置治具と、
前記壁面材の前面側で前記設置治具と掛止または掛止解除可能な仮設足場と、からなり、
前記仮設足場は足場板を載置するブラケットと、
前記ブラケットの前記壁面材の前面と対向する部位に付設した連結板とを具備し、
前記連結板はその上部に前記設置治具と係脱可能な穴を有し、
前記設置治具は前記壁面材を貫通して前背面に移動自在な摺動部と、
前記壁面材の背面側に設け、前記摺動部を背面方向へと付勢する弾性部とを有し、
前記連結板のスライドにより、壁面材の前方へ突出させた設置治具の摺動部と前記連結板の穴とを係脱可能に構成したことを特徴とする、
補強土壁の足場構造。
【請求項2】
前記仮設足場の連結板はその下部に、前記壁面材への設置時に、前記壁面との間に隙間を形成する段差面を有することを特徴とする、請求項1に記載の補強土壁の足場構造。
【請求項3】
前記段差面に緩衝材を設けたことを特徴とする、請求項に記載の補強土壁の足場構造。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載した補強土壁の足場構造に用いる設置治具であって、
前記壁面材を貫通して前背面に移動自在な摺動部と、
前記壁面材の背面側に設け、前記摺動部を背面方向へと付勢する弾性部と、を有し、
前記壁面材の前方へ突出させた設置治具の摺動部が前記連結板の穴に係脱可能であることを特徴とする、
設置治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強土壁の足場構造及びその設置治具に関する。
【背景技術】
【0002】
図6に、補強土壁に設置する仮設足場の従来例を示す。
補強土壁は、壁面材aと、該壁面材aの背面に設けた盛土bと、前記壁面材aと連結し、且つ前記盛土bの内部に配する補強材cと、を少なくとも含んで構成する土留構造物である。
【0003】
補強土壁の天端に笠コンクリートfを打設する際、補強土壁の上方前面に仮設足場dを設置して、当該仮設足場dから型枠eを配置する必要がある。
この仮設足場dは、ブラケットd1の上部に足場板d1を設けた構成であり、このブラケットd2を壁面材aにボルトgで固定することで、補強土壁に仮設足場を固定している。
そして、型枠eの撤去後には、ボルトgを外しながら仮設足場dを順次撤去していく。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記した従来例によれば、以下の様な問題のうち、少なくとも何れか一つの問題が生じうる。
(1)効率性の限界
ブラケットと壁面材とをボルト固定しているため、足場の撤去には、順次ボルトを外す作業が必要となり、効率性の向上に限界がある。
(2)安全性の限界
仮設足場の撤去には、高所作業車を用いることが一般的であるところ、補強土壁の前面に高所作業車を配置するだけの作業空間が確保できない場合には、足場そのものから別の足場を撤去したり、天端からのクレーン若しくはゴンドラなどを用いて足場を撤去する必要がある。したがって、前記したボルトの撤去作業と併せて、より安全性の高い足場の撤去方法が望まれている。
【0005】
したがって、本発明は、効率性及び安全性に優れる補強土壁の足場構造及びその設置治具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決すべくなされた本願発明は、補強土壁を構築する壁面材の前面に仮設足場を構築するための足場構造であって、前記壁面材の躯体に貫通して壁面材の前背面に移動自在に設けた設置治具と、前記壁面材の前面側で前記設置治具と掛止または掛止解除可能な仮設足場と、からなり、前記仮設足場は足場板を載置するブラケットと、前記ブラケットの前記壁面材の前面と対向する部位に付設した連結板とを具備し、前記連結板はその上部に前記設置治具と係脱可能な穴を有し、前記設置治具は前記壁面材を貫通して前背面に移動自在な摺動部と、前記壁面材の背面側に設け、前記摺動部を背面方向へと付勢する弾性部とを有し、前記連結板のスライドにより、壁面材の前方へ突出させた設置治具の摺動部と前記連結板の穴とを係脱可能に構成したことを特徴とする、補強土壁の足場構造を提供するものである
た、前記発明において、前記仮設足場の連結板はその下部に、前記壁面材への設置時に、前記壁面との間に隙間を形成する段差面を有するよう構成することができる。
また、前記発明において、前記段差面に緩衝材を設けてもよい。
また、本願発明は、既述したした何れか一つの補強土壁の足場構造に用いる設置治具であって、前記壁面材を貫通して前背面に移動自在な摺動部と、前記壁面材の背面側に設け、前記摺動部を背面方向へと付勢する弾性部と、を有し、前記壁面材の前方へ突出させた設置治具の摺動部が前記連結板の穴に係脱可能であることを特徴とする、設置治具を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下に記載する効果のうち、少なくとも何れか一つの効果を得ることができる。
(1)効率性の向上
足場を上方から引き上げるのみで掛止状態を解除することができ、足場の撤去が容易である。また設置治具が初期位置へと復帰するため、設置治具を手作業で戻す作業も必要無い。
(2)安全性の向上
足場を撤去する際には、クレーンなどのフックで足場を係止して上方に引き上げて掛止構造を解除するのみであるため、作業員が足場の撤去に直接関与する必要が無く、安全である。
(3)不陸性の確保
足場と壁面材との間に隙間を設けることにより、壁面材のデザインに起因する不陸に対する追従性を確保できる。
(4)設置性の確保
足場と壁面材との間に緩衝材を設けることにより、不陸性を確保しながら足場を壁面材に確実に固定した状態を維持できる。
(5)景観性の確保
足場の撤去後には、足場を掛け止めるフック部が壁面材へと自動的に初期位置へ復帰するため、壁面材の外観を損ねることがない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の設置治具の実施例を示す概略図。
図2】本発明の仮設足場の実施例を示す概略図。
図3】本発明の足場構造の第1実施例を示す概略図。
図4】本発明の足場構造の参考例を示す概略図。
図5】本発明の足場構造の第実施例を示す概略図。
図6】従来の仮設足場を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
<1>設置治具
本発明の足場構造に用いる設置治具について、図1を参照しながら説明する。
本発明の設置治具Aは、補強土壁を構築する壁面材aの前方に露出自在に構成する部材である。
本発明の設置治具Aは、大別して、前記壁面材aを貫通して前背面に移動(進退)自在な摺動部1と、前記壁面材aの背面側に設け、前記摺動部1を背面方向へと付勢する弾性部2と、を少なくとも有する。
【0011】
(1)摺動部
摺動部1は、該摺動部1の一部を壁面材aの前方へと露出する為の部材である。
摺動部1は、壁面材aを貫通してなる貫通孔a1に挿通するボルト11と、ボルト11の後端に取り付けたプレートからなる鍔部12で構成することができる。
上記構成により、ボルト11の頭部と鍔部12との範囲内で、ボルト11が壁面材a内の貫通孔a1を摺動することができる。
【0012】
(2)弾性部
弾性部2は、前記摺動部1を背面方向へと付勢するための部材である。
弾性部2は、壁面材aの背面側に設置する。
弾性部2は、ゴムやバネなどの弾性力を持つ部材であり、本実施例ではバネ21を用いている。
弾性部2の一端は壁面材aの背面と接触するよう構成し、他端は前記摺動部1(本例では鍔部12)と接触するよう構成する。
【0013】
(3)機能
このような構成とすることで、初期状態において、摺動部1は、弾性部の弾性力でもって、壁面材aの背面側の方向へと付勢された状態を呈する(図1(a))。
そして、鍔部12を壁面材a側に押し込んだ際には、弾性部2が壁面材aと鍔部12に挟まれて圧縮した状態となり、摺動部1の頭部が壁面材aの前面側に突出した状態となる(図1(b))。この突出部分が掛止しろ3となる。
【0014】
<2>仮設足場
本発明の足場構造に用いる仮設足場について図2を参照しながら説明する。
本発明の仮設足場Bは、前記設置治具Aと共働して連結機構を構成するための部材である。
本実施例では、仮設足場Bを、ブラケット4とブラケット4の上方に設ける足場板5と、ブラケット4の前面に設けた連結板6とで構成している(図2(a))。
ブラケット4及び足場板5は周知構造であるため、詳細な説明を省略する。
【0015】
(1)連結板
連結板6は、前記設置治具Aの摺動部1と連結するための部材である。
本実施例では、前記摺動部1に掛止側としてのボルト11を設けている為、前記連結板6に被掛止側の機構を設けている。
【0016】
前記連結板6は、前記ボルト11を差し込むための差し込み穴61と、差し込み部61の上方に連通して設けた摺動溝62と、前記ボルト11を固定するための固定穴63で構成する(図2(b))。
前記差し込み穴61は、前記ボルト11の頭部の断面形状より大きな形状とする。前記摺動溝62は、前記ボルト11のねじ部の断面形状よりやや大きな形状とする。前記固定穴63は、前記ボルト11のねじ部の断面形状より大きく、前記ボルト11の頭部の断面形状より小さな形状とする。
【0017】
(2)段差面
なお、本発明の仮設足場には、前記壁面材aとの掛止時において、前記壁面材aとの間に隙間65を設けるための段差面64を形成するようにしてもよい(図2(a))。
この段差面64を形成するにあたっては、前記連結板6の一部を仮設足場Bの後方側にオフセットする方法がある。
前記段差面64と壁面材aとの間に生じた隙間65は、壁面材a前面のデザイン(はつり、割石、ストライプなど)による不陸を吸収することができる。
【0018】
(3)緩衝材
また、前記段差面64の一部には、前記隙間65の厚さに相当する緩衝材66を適宜配置しておくこともよい(図2(a))。
緩衝材66は、木材などの周知の部材を用いることができる。
前記緩衝材66によれば、仮設足場Bの接触に起因する壁面材aの破損を防止したり、仮設足場Bと壁面材aとの接地面積の増大による、設置後の安定性の向上にも寄与することができる。
【0019】
<3>使用方法
本発明の設置治具A及び仮設足場Bの使用方法について、図3を参照しながら説明する。
(1)取付時
前提として、仮設足場Bの設置は、該仮設足場Bを設置する壁面材aを取付けた後であって、壁面材aの背面に完全に盛土bがなされるまでの間に行う必要がある。
まず、設置治具Aの摺動部1のボルト11の頭部を壁面材aの前方側へと突出させて掛止しろ3を確保する。このボルト11を突出させる方法としては、壁面材aの背面において、鍔部12を押し込む方法がある。
【0020】
なお、ボルト11を突出させた壁面材aの背面側における設置治具Aの周辺には、別途カバー7を設けておく。これは、盛土した土が摺動部1の後端と干渉して、摺動部1が初期位置へ復帰しない問題を防止するためである。
【0021】
ボルト11を突出させた状態のまま、仮設足場Bをボルト11の近辺へクレーンで吊り上げる。そして、仮設足場Bの連結板6に設けた差し込み穴61に、ボルト11を差し込む。
この状態から、仮設足場Bを下方へと押し下げると、ボルト11は摺動溝62を介して固定穴63へとスライドして掛止され、図3の状態を呈する(図3)。
【0022】
(2)取り外し時
仮設足場Bの撤去時には、仮設足場Bをクレーンで上方に引き上げ、ボルト11が差し込み穴61の位置に達してから仮設足場Bを後方へと引き戻す動作のみで、掛止構造が解除され、取り外しが可能となる。
ボルト11は、前記弾性部によって壁面材aの背面方向へと付勢されているため、初期位置まで自動的に復帰することとなる。
【0023】
足場構造の参考例について、図4を参照しながら説明する。
この足場構造では、設置治具Aと仮設足場Bの連結機構を入れ換えても良い。
すなわち、設置治具Aを被掛止側とし、仮設足場Bを掛止側とすることができる。
このとき、設置治具Aにおける摺動部1は、先端に挿通孔81を設けた平板部材8を用いることができる。
そして、仮設足場Bには、前記挿通孔81に挿通自在なフック9を設けておく。
上記構成であっても、仮設足場Bの脱着方法に大きな違いはない。
【実施例2】
【0024】
本発明の足場構造の第3実施例について、図5を参照しながら説明する。
本発明の足場構造では、壁面材aの貫通孔a1の前面側に凹部a2を設けることもできる。
上記構成によれば、初期状態において、設置治具Aを構成する摺動部1の頭部が壁面材aの前面から突出せずに凹部a2内に隠れるため、景観性に優れる。
【符号の説明】
【0025】
a 壁面材
a1 貫通孔
a2 凹部
b 盛土
c 補強材
d 仮設足場
e 型枠
f 笠コンクリート
A 設置治具
1 摺動部
11 ボルト
12 鍔部
2 弾性部
3 掛止しろ
B 仮設足場
4 ブラケット
5 足場板
6 連結板
61 差し込み穴
62 摺動溝
63 固定穴
64 段差面
65 隙間
66 緩衝材
7 カバー
8 平板部材
81 挿通孔
9 フック
図1
図2
図3
図4
図5
図6