特許第5934042号(P5934042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934042
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】センサ制御装置及びセンサ制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/409 20060101AFI20160602BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20160602BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
   G01N27/58 B
   F02D45/00 368H
   F02D45/00 312G
   F02D29/02 321A
   F02D29/02 321C
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-155729(P2012-155729)
(22)【出願日】2012年7月11日
(65)【公開番号】特開2014-16317(P2014-16317A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2014年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】日比野 功稔
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−185345(JP,A)
【文献】 特開2003−148206(JP,A)
【文献】 特開2006−161565(JP,A)
【文献】 特開2011−102553(JP,A)
【文献】 特開2013−189865(JP,A)
【文献】 特開平09−088688(JP,A)
【文献】 特開2011−149927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/409
F02D 29/02
F02D 45/00
F02D 41/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動停止条件が成立したときに内燃機関が自動停止する車両の内燃機関の排気管に取り付けられるガスセンサと、
前記ガスセンサを加熱するヒータと、
前記ヒータへの通電制御を行うヒータ制御部と、
を備えたセンサ制御装置であって、
前記車両の走行中に、前記自動停止条件が成立することを予め推定する自動停止条件推定手段と、
前記自動停止条件推定手段によって、前記自動停止条件が成立すると予め推定された場合には、前記ヒータ制御部を駆動して前記ヒータへの印加電圧を低減、もしくは、前記ヒータへの通電を停止する制御を行う通電抑制制御手段と、
を備え
前記通電抑制制御手段によって、前記ヒータへの印加電圧を低減、もしくは、前記ヒータへの通電停止する制御が行われている際に、前記自動停止条件が不成立となる、または、前記自動停止が解除された場合には、前記ヒータ制御部を駆動して前記ヒータへの通電を通常状態に復帰させる制御を行うことを特徴とするセンサ制御装置。
【請求項2】
前記自動停止条件が成立した場合には、そのことを示す信号を設定するとともに、
前記通電抑制制御手段は、前記信号に基づいて、前記ヒータへの印加電圧を低減、もしくは、前記ヒータへの通電を停止することを特徴とする請求項1に記載のセンサ制御装置。
【請求項3】
前記自動停止条件推定手段は、前記内燃機関の回転数が所定の回転数判定値以下に低下した場合に、前記自動停止条件が成立すると予め推定することを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサ制御装置。
【請求項4】
前記自動停止条件推定手段は、前記車両の速度が所定の速度判定値以下に低下し、かつ、前記内燃機関の点火信号が停止状態であるときに、前記自動停止条件が成立すると予め推定することを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサ制御装置。
【請求項5】
自動停止条件が成立したときに内燃機関が自動停止する車両の内燃機関の排気管に取り付けられるガスセンサと、
前記ガスセンサを加熱するヒータと、
前記ヒータへの通電制御を行うヒータ制御部と、
を備えたセンサ制御装置にて、前記ヒータの動作を制御するセンサ制御方法であって、
前記車両の走行中に、前記自動停止条件が成立することを予め推定する自動停止条件推定工程と、
前記自動停止条件推定工程によって、前記自動停止条件が成立すると予め推定された場合には、前記ヒータ制御部を駆動して前記ヒータへの印加電圧を低減、もしくは、前記ヒータへの通電を停止する制御を行う通電抑制制御工程と、
前記通電抑制制御工程によって、前記ヒータへの印加電圧を低減、もしくは、前記ヒータへの通電停止する制御が行われている際に、前記自動停止条件が不成立となる、または、前記自動停止が解除された場合には、前記ヒータ制御部を駆動して前記ヒータへの通電を通常状態に復帰させる制御を行う復帰制御工程と、
を有することを特徴とするセンサ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御に用いられるガスセンサ、特に、検知対象ガスに含まれる特定ガスの濃度等を測定するガスセンサに適用することができるセンサ制御装置及びセンサ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両(自動車)のエンジン等の内燃機関の排気管には、排気管を流通するガス中の特定ガス成分の濃度等を検知するガスセンサが配置されている。
この種のガスセンサとしては、例えば排ガス中の空燃比を検出する空燃比センサが知られており、内燃機関においては、排ガスの空燃比を例えば理論空燃比となるようにフィードバック制御をすることにより排ガスを浄化する空燃比フィードバック制御が実施されている。
【0003】
上述したガスセンサとしては、固体電解質体と一対の電極とを有するセンサ素子と、センサ素子を加熱するヒータとを備えたものがあり、特定ガスの濃度に応じた電気信号を制御部に出力するように構成されている。
【0004】
また、固体電解質体を用いた酸素濃度検知セル及び酸素ポンプセルを2セル備え、酸素濃度検知セルにおいて測定室に導入されたガス中の酸素濃度を検知するための基準となる基準酸素を自己生成するセンサ素子を備えたガスセンサも広く知られている。
【0005】
前記固体電解質体には、一般に、ジルコニア系の材料、特に、強度とイオン伝導性の観点から、部分安定化ジルコニアが用いられるが、このような固体電解質体を用いたガスセンサでは、ガスセンサ(詳しくはセンサ素子)の温度が、所定温度(例えば、600℃から700℃)に達しないと、特定ガスに応じた電気信号によるガス検知精度が低下する。
【0006】
このため、センサ素子が活性しているか否かの判定の基準となる活性判定温度が予め設定され、特定ガスの検知に際して、センサ素子はヒータによって活性判定温度以上の温度に加熱される。
【0007】
ところで、従来から、信号待ち等の一時停車時にエンジンを自動停止することで、燃料の節約及び排出ガスの低減を図った自動停止制御(いわゆるアイドリングストップ制御)が実施されている。
【0008】
この自動停止制御では、内燃機関の自動停止を許可する条件(例えばブレーキが踏まれ、車速が0km/h(ゼロ)になった場合などの条件)が満たされれば、内燃機関が自動停止され、内燃機関の再始動を許可する条件が満たされれば、エンジンが自動的に再始動される。
【0009】
ところが、上述した技術においては、内燃機関の自動停止中に、センサ素子の温度を活性判定温度に維持するのに必要な電流をヒータに供給し続けると、自動停止中の電力消費量が多くなり、バッテリへの負担が大きくなるという問題があった。
【0010】
この対策として、車速がゼロの停車状態となった場合には、ヒータへの通電を停止して、電力消費量を低減する技術が知られている(特許文献1参照)。
また、近年では、内燃機関の再始動時におけるエミッションの増加を抑制するために、ヒータの目標温度として、センサ素子の活性判定温度よりも低い温度を設定し、自動停止中の電力消費量を低減する技術が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−88688号公報
【特許文献2】特開2011−149927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した従来技術では、内燃機関の自動停止中にヒータへの通電を停止する場合には、車速がゼロになってから所定時間が経過する条件が成立して停車状態となってからヒータへの通電を停止していたので、バッテリの消費電力の低減が十分ではないという問題があった。
【0013】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、内燃機関の自動停止を実施する際に、ガスセンサのヒータへの通電によるバッテリの負担を一層低減することができるセンサ制御装置及びセンサ制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)本発明は、第1態様(センサ制御装置)として、自動停止条件が成立したときに内燃機関が自動停止する車両の内燃機関の排気管に取り付けられるガスセンサと、前記ガスセンサを加熱するヒータと、前記ヒータへの通電制御を行うヒータ制御部と、を備えたセンサ制御装置であって、前記車両の走行中に、前記自動停止条件が成立することを予め推定する自動停止条件推定手段と、前記自動停止条件推定手段によって、前記自動停止条件が成立すると予め推定された場合には、前記ヒータ制御部を駆動して前記ヒータへの印加電圧を低減、もしくは、前記ヒータへの通電を停止する制御を行う通電抑制制御手段と、を備え、前記通電抑制制御手段によって、前記ヒータへの印加電圧を低減、もしくは、前記ヒータへの通電停止する制御が行われている際に、前記自動停止条件が不成立となる、または、前記自動停止が解除された場合には、前記ヒータ制御部を駆動して前記ヒータへの通電を通常状態に復帰させる制御を行うことを特徴とする。
【0015】
本第1態様では、走行中に、内燃機関を自動停止する自動停止条件が成立することを予め推定し、自動停止条件が成立すると予め推定された場合には、ヒータ制御部を駆動してヒータへの印加電圧を低減、もしくは、ヒータへの通電を停止する。つまり、停車してから制御するのではなく、自動停止条件が成立することを予め推定して、走行中にヒータを制御し始めるので、従来に比べて、バッテリの消費電力を大きく低減できるという顕著な効果を奏する。
また、本第1態様によれば、走行中に自動停止条件が成立すると推定され、ヒータへの印加電圧を低減、もしくは、ヒータへの通電停止する制御が行われている際に、自動停止条件が不成立となる、または、自動停止が解除された場合であっても、ヒータへの通電を通常状態に復帰させることができる。
したがって、一旦は自動停止条件が成立すると推定された後、最終的に内燃機関の自動停止条件が不成立になるといった状況の時に、その間にヒータへの印加電圧を低減したり、通電停止制御を行っているため、センサ素子の温度を活性判定温度に維持するのに必要な電流をヒータに供給し続ける制御に較べると、バッテリの消費電力を低減できるという顕著な効果を奏する。
【0016】
ここで、自動停止条件とは、実際に例えば一時停車中に内燃機関の動作を停止する条件(例えば車速がゼロ等の条件を含む条件)である。また、自動停止条件推定手段によって、自動停止条件が成立すると予め推定された場合とは、例えば後述する様に、車両の走行中に、内燃機関への燃料供給が停止されて内燃機関の回転数が所定の判定値以下に低下した状態や、車速が所定の判定値以下に低下した場合に、点火プラグの点火信号が所定期間にわたり出力されていない状態などである。
【0017】
(2)本発明は、第2態様として、前記自動停止条件が成立すると予め推定された場合には、そのことを示す信号を設定するとともに、前記通電抑制制御手段は、前記信号に基づいて、前記ヒータへの印加電圧を低減、もしくは、前記ヒータへの通電を停止することを特徴とする。
【0018】
本第2態様は、自動停止条件が成立すると予め推定され、そのことを示すフラグ等の信号に基づいてヒータを制御する。これにより、速やかにヒータ制御部を駆動してヒータへの印加電圧を低減、もしくは、ヒータへの通電を停止できるので、消費電力を大きく低減することができる。
【0019】
なお、自動停止条件の成立が推定された場合に、アイドルストップ推定フラグをセットし、自動停止条件が成立した場合に、アイドルストップフラグを設定することができる。
(3)本発明は、第3態様として、前記自動停止条件推定手段は、前記内燃機関の回転数が所定の回転数判定値以下に低下した場合に、前記自動停止条件が成立すると予め推定することを特徴とする。
【0020】
本第3態様は、車両の走行中に、内燃機関への燃料供給が停止されて内燃機関の回転数が所定の判定値以下に低下した場合には、車両停止後には内燃機関が自動停止すると予め推定し、ヒータへの印加電圧を低減、もしくは、ヒータへの通電を停止するので、消費電力を大きく低減できる。
【0021】
また、本第3態様によれば、自動停止条件の成立結果を外部から取得しなくても、回転数の判定結果によって推定し、ヒータへの印加電圧を低減、もしくは、ヒータへの通電を停止できるので、制御処理の負担を軽減できるという利点がある。
【0022】
更に、自動停止条件の成立の推定時の様に、内燃機関の回転数がある程度低下した場合には、再度アクセルを踏んでスピードを増加させるという可能性は低く、従ってすぐにセンサ出力の利用を再開する可能性は低い。換言すると、内燃機関の回転数がそれほど低下していない場合には、再度アクセルが踏まれ、再度センサ出力が要求される可能性が高い。よって、本第3態様の様に、内燃機関の回転数によって自動停止条件の成立を推定することにより、センサ出力の要求と消費電力の低減とを両立することができる。
【0023】
(4)本発明は、第4態様として、前記自動停止条件推定手段は、前記車両の速度が所定の速度判定値以下に低下し、かつ、前記内燃機関の点火信号が停止状態であるときに、前記自動停止条件が成立すると予め推定することを特徴とする。
【0024】
本第4態様は、車速が低く点火信号が停止状態である場合には、車両停止後には内燃機関が自動停止すると予め推定し、ヒータへの印加電圧を低減、もしくは、ヒータへの通電を停止するので、消費電力を大きく低減できる。
【0025】
また、本第4態様によれば、自動停止条件の成立結果を外部から取得しなくても、車速と点火信号の判定結果によって推定し、ヒータへの印加電圧を低減、もしくは、ヒータへの通電を停止できるので、制御処理の負担を軽減できるという利点がある。
【0026】
更に、前記第3態様と同様に、自動停止条件の成立の推定時の様に、車速が所定の速度判定値以下で、かつ、点火信号が所定期間にわたり停止状態である場合には、内燃機関が再始動される可能性は低い。よって、本第4態様の様に、車速と点火信号の停止状態によって自動停止条件の成立を推定することにより、センサ出力の要求と消費電力の低減とを両立することができる。
【0027】
(5)本発明は、第5態様(センサ制御方法)として、自動停止条件が成立したときに内燃機関が自動停止する車両の内燃機関の排気管に取り付けられるガスセンサと、前記ガスセンサを加熱するヒータと、前記ヒータへの通電制御を行うヒータ制御部と、を備えたセンサ制御装置にて、前記ヒータの動作を制御するセンサ制御方法であって、前記車両の走行中に、前記自動停止条件が成立することを予め推定する自動停止条件推定工程と、前記自動停止条件推定工程によって、前記自動停止条件が成立すると予め推定された場合には、前記ヒータ制御部を駆動して前記ヒータへの印加電圧を低減、もしくは、前記ヒータへの通電を停止する制御を行う通電抑制制御工程と、前記通電抑制制御工程によって、前記ヒータへの印加電圧を低減、もしくは、前記ヒータへの通電停止する制御が行われている際に、前記自動停止条件が不成立となる、または、前記自動停止が解除された場合には、前記ヒータ制御部を駆動して前記ヒータへの通電を通常状態に復帰させる制御を行う復帰制御工程と、を有することを特徴とする。
【0028】
本第5態様は、前記第1態様と同様な作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態のセンサ制御装置を備えた内燃機関の制御システムの全体構成を示す説明図である。
図2】制御システムの電気的構成を示すブロック図である。
図3】空燃比センサ及び空燃比センサの動作を制御するセンサ制御部の構成を示す説明図である。
図4】実施形態のメイン処理を示すフローチャートである。
図5】実施形態のメイン処理等による動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について説明する。
[実施形態]
本実施形態では、内燃機関の空燃比フィードバック制御に用いられる空燃比センサと、その空燃比センサを制御するセンサ制御装置を例に挙げて説明する。
【0033】
a)まず、内燃機関の制御システムの全体構成について説明する。
図1に示す様に、本実施形態では、車両には、例えば4気筒のガソリンエンジンである内燃機関1と、内燃機関1の制御など車両の各種の動作を制御する電子制御装置3が搭載されている。
【0034】
前記内燃機関1には、各気筒(図示せず)毎に点火プラグ5が配置されている。また、内燃機関1の上流側より、エアクリーナ7、吸気管9、インテークマニホールド11が設けられており、吸気管9には吸入空気量を調節するスロットルバルブ13が配置され、インテークマニホール11には各気筒毎に燃料を噴射する燃料噴射弁15が配置されている。
【0035】
一方、内燃機関1の下流側には、エキゾーストマニホールド17、排気管19、排ガスを浄化する三元触媒21が設けられており、排気管19には、排ガス中の空燃比を検出する空燃比センサ23が配置されている。
【0036】
また、前記ECU3は、前記燃料噴射弁15と、点火回路25及びディストリビュータ27と、センサ制御部29とに接続されている。
このうち、点火回路25は、ECU3から出力される信号に基づいて点火プラグ5を駆動する高電圧電流を発生させる電気回路であり、ディストリビュータ27は、点火回路25から出力される高電圧電流をクランク角に同期して点火プラグ5に分配するものであり、センサ制御部29は、空燃比センサ23の動作を制御する電子制御装置である。
【0037】
また、前記ディストリビュータ27には、クランク角を検出する(従ってエンジン回転数を検出する)回転数センサ31が取り付けられており、センサ制御部29は、(本発明の)ヒータ制御部としての機能を有している。
【0038】
なお、空燃比センサ23、センサ制御部29、ECU3は、本発明のセンサ制御装置としての機能を有している。
b)次に、上述したシステム構成における電気的構成について説明する。
【0039】
図2に示す様に、ECU3の入力側には、例えば、吸入空気量を検出するエアフロメータ33と、スロットルバルブ13の開度を検出するスロットル開度センサ35と、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセルセンサ37と、ブレーキペダルの踏み込みを検出するブレーキスイッチ39と、エンジン回転数を検出する回転数センサ31と、(トランスミッションの出力軸の回転数から)車速を検出する車速センサ41等が接続されている。
【0040】
また、ECU3の出力側には、燃料噴射弁15と、点火回路25と、センサ制御部29等が接続されている。
なお、点火回路25には、ディストリビュータ27が接続され、ディストリビュータ27には、点火プラグ5が接続されている。
【0041】
また、後述するように、センサ制御部29には、空燃比センサ23内に配置されたセンサ素子(検知素子)43及びヒータ素子45に接続されている。
c)次に、空燃比センサ23の構成について説明する。
【0042】
空燃比センサ23は、排気管19に流通する排ガスを検知対象ガスとする全領域空燃比センサであり、センサ制御部29によってその動作が制御されるとともに、バッテリ(図示せず)からの電力の供給を受けて駆動される。
【0043】
図3に示す様に、空燃比センサ23は、センサ素子51と、センサ素子51を加熱するヒータ素子53と、それらを収容する容器であるハウジング(図示せず)とを備える。
このうち、センサ素子51は、固体電解質体55、57と絶縁基体59、61とを積層した構造を有する。固体電解質体55、57は、イットリアを安定化剤に用いた部分安定化ジルコニア(YSZ)を主成分とする材料によって形成され、酸素イオン伝導性を有する。絶縁基体59、61は、アルミナを主成分とする材料によって形成される。
【0044】
一方、ヒータ素子53は、固体電解質体55、57の早期活性化と、固体電解質体55、57の活性の安定性維持とのために、固体電解質体57に積層されている。
詳しくは、上述したセンサ素子51は、検知室63と、拡散律速部65と、酸素ポンプセル(Ipセル)67と、酸素分圧検知セル(Vsセル)69と、絶縁基体59、61とを備える。
【0045】
前記検知室63は、排気管19内を流通する排ガスが導入される小空間であり、拡散律速部65は、多孔質状の部材(例えばアルミナ)によって形成され、検知室63内に排ガスを導入する際の流入量を規制する。
【0046】
Ipセル67は、固体電解質体55と、固体電解質体55を挟むように形成された多孔質の一対の電極71、73とを備える。この電極71、73は、例えばPtを主成分とする材料によって形成される。
【0047】
このIpセル67は、電極71、73間に電流が供給されることで、電極71が接する雰囲気(即ち排ガス)と電極73が接する雰囲気(検知室63内の雰囲気)との間で、酸素の汲み出し及び汲み入れ(いわゆる酸素ポンピング)を行う。
【0048】
絶縁基体61は、電極71の上部となる位置に開口75を有し、開口75には多孔質の例えばアルミナからなる保護層77が設けられている。
Vsセル69は、固体電解質体57と、固体電解質体57を挟むように形成された多孔質の一対の電極79、81とを備える。この電極79、81は、例えばPtを主成分とする材料によって形成される。このうち、電極79は、固体電解質体57の面のうち、検知室63側の面に設けられており、電極81は、検知室63内の酸素濃度の検知のための基準となる酸素濃度を維持する酸素基準電極として機能する。
【0049】
このVsセル69は、主として、固体電解質体57によって隔てられた雰囲気(電極79と接する検知室63内の雰囲気と、電極81と接する雰囲気)間の酸素分圧差に応じて電圧(起電力)を発生する。
【0050】
また、前記ヒータ素子53は、センサ素子51(特に、固体電解質体55、57)を加熱して活性化させる素子であり、発熱抵抗体83と、絶縁基体85、87とを備える。発熱抵抗体83は、白金を主成分とする材料によって構成され、両絶縁基体85、87の間に挟まれている。絶縁基体85、87は、アルミナを主成分とする材料によって形成される。なお、発熱抵抗体83は、本発明のヒータに相当する。
【0051】
d)次に、空燃比センサ23を制御するセンサ制御部29について説明する。
図3に示す様に、センサ制御部29は、マイクロコンピュータ(マイコン)91と、特定用途向け集積回路(ASIC)93と、ヒータ電圧供給回路95とを構成主体としている。マイコン91は、公知の構成のCPU91a、ROM91b、RAM91cを搭載したマイコンチップである。
【0052】
一方、ASIC93は、Ip検知回路101と、Ip駆動回路103と、抵抗検知回路105と、電圧出力回路107と、基準電圧比較回路109と、Icp供給回路111とを備えている。
【0053】
Ip検知回路101は、Ipセル67の電極71、73間に流れる電流Ipを電圧変換し、変換した電圧を検知信号としてマイコン91に出力する。
抵抗検知回路105は、定期的に、予め規定された値の電流をVsセル69に通電し、その通電に応答して得られる電圧変化量(電圧Vsの変化量)を検知するための回路である。この抵抗検知回路105によって検知された電圧Vsの変化量を示す値は、マイコン91に出力される。
【0054】
マイコン91では、抵抗検知回路105から出力された値と、ROM91bに記憶されている電圧Vsの変化量とVsセル69のインピーダンスRiとが予め関連付けられたテーブルとに基づいて、Vsセル69のインピーダンスRiが求められる。Vsセル69のインピーダンスRiは、Vsセル69の温度、すなわち、センサ素子51全体の温度と相関があり、マイコン91は、Vsセル69のインピーダンスRiに基づいて、空燃比センサ23(即ちセンサ素子51)の温度を検知する。
【0055】
電圧出力回路107は、Vsセル69の電極79、81間に生ずる起電力Vsを検知する。
基準電圧比較回路109は、予め定められた基準電圧と、電圧出力回路107において検知された起電力Vsとの比較を行い、比較結果をIp駆動回路103に出力する。
【0056】
Ip駆動回路103は、基準電圧比較回路109から出力された比較結果に基づき、Ipセル67の電極71、83間に供給する電流Ipの大きさ及び向きを制御する。
Icp供給回路111は、Vsセル69の電極81から電極79へ向かって流れる微小電流Icpを供給する。
【0057】
ヒータ電圧供給回路95は、CPU91aからの指示に応じて、発熱抵抗体83の両端に印加される電圧Vhを公知のPI制御のもとに生成したり、発熱抵抗体83の両端に一定の電圧(例えば、12V)を印加したりすることで、発熱抵抗体83を発熱させる。
【0058】
e)次に、空燃比センサ23の基本的な動作について、簡単に説明する。
ここでは、空燃比センサ23を用いて検知対象ガスの酸素濃度(従って排ガスの空燃比)を検知する動作について説明する。なお、排ガスの空燃比を検知する際には、基準電圧比較回路109で比較対象となる基準電圧(例えば450mV)が設定される。
【0059】
まず、Icp供給回路111は、Vsセル69の電極81から固体電解質体57を介して電極79に向けて微小電流Icpを供給する。この通電により、排ガス中の酸素は、酸素イオンとなって、固体電解質体57を介して電極79側から電極81側に移動する(汲み込まれる)。
【0060】
そして、Vsセル69に電流Icpが供給されると、酸素イオンは電極79側から電極81側に移動し、排ガス中の酸素濃度に応じた起電力Vsを発生させるための基準となる酸素濃度雰囲気が生成される。
【0061】
電圧出力回路107は、両電極79、81間の起電力Vsを検知し、検知した起電力Vsを基準電圧比較回路109に出力する。基準電圧比較回路109は、起電力Vsと基準電圧とを比較し、比較結果をIp駆動回路103に出力する。
【0062】
Ip駆動回路103は、基準電圧比較回路109による比較結果に基づいて、起電力Vsが基準電圧となるように、Ipセル67の電極71、73間に供給する電流Ipの大きさ及び向きを制御する。これにより、Ipセル67による検知室63内への酸素の汲み入れ又は検知室63からの酸素の汲み出しが行われる。
【0063】
ここで、検知室63内に流入した排ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチであった場合、Ipセル67において外部から検知室63内に酸素を汲み入れるように、電極71、73間に供給される電流Ipの大きさや向きが制御される。一方、検知室63内に流入した排ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンであった場合、Ipセル67において検知室63から外部へ酸素を汲み出すように、電極71、73間に供給される電流Ipの大きさ及び向きが制御される。
【0064】
このときの電流Ipは、Ip検知回路101において電圧変換され、電圧変換された電流Ipは、検知信号としてマイコン91に出力される。マイコン91は、検知信号に基づいて検知対象ガス中に含まれる酸素濃度対応値、ひいては排気ガスの空燃比を算出する。
【0065】
f)次に、本実施形態のセンサ制御装置において実行されるメイン処理について説明する。
なお、本メイン処理は、車両が走行中の場合に実施されるものであり、本処理とは別に、車速の判定を行って、車速がゼロの場合には、発熱抵抗体83への通電を停止する処理を行う。また、酸素濃度対応値及び空燃比を算出する処理は、本処理とは別途実行される。
【0066】
図4に示す様に、メイン処理として、まず、ステップ(S)100にて、ヒータ電圧供給回路95に指示を出力して、ヒータ素子53の発熱抵抗体83に12Vの電圧を印加する処理を開始させる。
【0067】
続くステップ110では、Icp供給回路111に指示を出力して、Vsセル69に電流Icpを供給する処理を開始させる。
続くステップ120では、電圧出力回路107によって検知される電圧Vsが、1.5Vよりも小さいか否かが判断される。ここで、電圧Vsが1.5V未満である場合には、ステップ130に進み、一方、電圧Vsが1.5V以上の場合には、1.5未満になるまで待機する。
【0068】
ステップ130では、インピーダンスRiを検知する処理(Ri検知処理)を開始させる。このRi検知処理は、上述した様に、インピーダンスRiからセンサ素子51の温度を検出するための処理であり、検出されたセンサ素子51の温度から、固体電解質体55、57の温度が素子活性化温度に達しているか否かの判定を行うことができる。なお、Ri検知処理は、メイン処理とは別のルーチンに従ってCPU91aが定期的に実行される。
【0069】
続くステップ140では、後に詳述する様に、ヒータ素子53(詳しくは発熱発熱体83)への通電を停止する条件(ヒータ通電停止条件)が満たされたか否かの判定を行う。ここで、ヒータ通電停止条件が満たされていないと判定された場合には、ステップ150に進み、一方、ヒータ通電停止条件が満たされたと判定された場合には、ステップ160に進む。
【0070】
ステップ150では、ヒータ通電停止条件が満たされていないので、通常の様に、現在のセンサ素子51の温度に基づいて、センサ素子53の温度が所定の目標温度(即ち素子活性化温度を上回る所定の範囲に設定された値)となるように、ヒータ電圧供給回路95によって印加する電圧を制御し(即ち通常のヒータの温度制御を実施し)、一旦本処理を終了する。
【0071】
一方、ステップ160では、ヒータ通電停止条件が満たされたので、発熱抵抗体83(以下単にヒータと記すこともある)への通電を停止する。
続くステップ170では、ヒータへの通電を再開する条件が満たされたか否かの判定を行う。ここで、ヒータへの通電を再開する条件が満たされと判定された場合には、前記ステップ150に進んで、通常のヒータの温度制御を実施し、一方、ヒータへの通電を再開する条件が満たされていないと判定された場合には、一旦本処理を終了する。
【0072】
ここで、ヒータ通電停止条件について説明する。
(1)ヒータ通電停止条件としては、例えば内燃機関1の自動停止条件(アイドリングストップ条件)が挙げられる。
【0073】
このアイドリングストップ条件は、車両の状態が、(例えば車両の停車状態など)アイドリングストップに適した状態を判断するためのものである。
内燃機関1がアイドリングストップ中であるか否かは、内燃機関1の運転を自動的に停止させる指示と、自動運転停止後に内燃機関1の運転を自動的に再開させる指示とによって更新されるアイドリングストップフラグ(ISF)に基づき判断される。この内燃機関1の運転を自動的に停止させる指示と、自動運転停止後に内燃機関1の運転を自動的に再開させる指示とは、例えば、公知の方法(例えば、特開2003−148206号公報に記載の方法)によって出力される。
【0074】
具体的には、例えばオートマチック車においては、ブレーキペダルを踏んだまま減速し、停車状態(例えば車速がゼロ)になったときなどに、アイドリングストップに適した状態であると判定して、アイドリングストップフラグをセット(オン)し、何からのアイドリングストップに適さない条件(例えばアクセルペダルを踏んだ時)が成立した場合には、アイドリングストップフラグをオフする。
【0075】
(2)他のヒータ通電停止条件としては、アイドリングストップフラグの有無にかかわらず、内燃機関1の回転数(エンジン回転数)が、所定の回転数判定値以下(例えばエンジン回転数がアイドリング時近傍の所定値:例えば500rpm)になった条件が挙げられる。
【0076】
従って、この場合は、(走行中に)エンジン回転数が所定の回転数判定値以下になった場合が、「自動停止条件が成立すると予め推定された場合」に該当する。なお、この条件の成立を示すために、アイドルストップ推定フラグをセットしてもよい。
【0077】
(3)更に他のヒータ通電停止条件としては、アイドリングストップフラグの有無にかかわらず、車両の速度が所定の速度判定値以下(例えば10km/h以下)に低下し、且つ、内燃機関1の点火信号が停止状態である条件が挙げられる。
【0078】
従って、この場合は、(走行中に)車速が所定の速度判定値以下になり、且つ、点火信号が停止状態になった場合が、「自動停止条件が成立すると予め推定された場合」に該当する。なお、前記(2)と同様に、この条件の成立を示すために、アイドルストップ推定フラグをセットしてもよい。
【0079】
なお、点火信号が停止状態であることは、所定期間にわたり(点火プラグからの放電を行わせるための)点火信号が出力されないことから検知することができる。詳しくは、ECU3から点火回路25に対して点火を指示する信号が出力されないことから検知することができる。
【0080】
ここで、前記(1)〜(3)のヒータ通電停止条件としては、それぞれ単独で用いることができるが、特に、自動停止条件の推定のためには、前記(2)及び(3)の少なくとも一方を用いる。
【0081】
例えば(1)のアイドリングストップ条件と(2)のエンジン回転数の条件との両方を用いる場合には、どちらかの条件が先に成立したときに、ヒータの通電制御を行ってもよい。また、(1)のアイドリングストップ条件と(3)の車速及び点火信号の条件との両方を用いる場合には、どちらかの条件が先に成立したときに、ヒータの通電制御を行ってもよい。更に、(2)のエンジン回転数の条件と(3)の車速及び点火信号の条件との両条件が成立した場合に、ヒータの通電制御を行ってもよい。
【0082】
なお、上述した処理のうち、ステップ140の条件判定の処理及びそれに伴う制御信号を(センサ制御部29に)出力する処理は、例えばECU3にて実施し、他のステップ100〜130、150〜170の処理は、センサ制御部91にて実施するように構成できる。また、ステップ110〜170の処理を全てセンサ制御部91にて実施するようにしてもよい。
【0083】
g)次に、本実施形態による作用効果を、図5を参照して説明する。
図5に示す様に、従来のヒータ制御においては、赤信号等の場合にブレーキペダルが踏まれて、車速が低減する状態では、通常、燃料噴射や点火制御が停止されるので、エンジン回転数が低下する。そして、更に、車速が低下して車速がゼロとなって停車すると(時刻t2)、発熱抵抗体83への通電が停止される。その後、アイドルストップ条件が不成立となると(時刻t3)、内燃機関1が再始動されるとともに、発熱抵抗体83への通電も再開される。そのため、発熱抵抗体83への通電の停止期間が短く、同図の斜線部分(消費電力削減効果代)で示す様に、消費電力の低減の効果も十分ではない。
【0084】
それに対して、本実施形態では、ブレーキペダルが踏まれて、車速が低減し、それによって、例えばエンジン回転数が低下して所定の回転数判定値以下となると(時刻t1)、停車前であっても、発熱抵抗体83への通電を停止する。そのため、従来に比べて、発熱抵抗体83への通電の停止期間が長いので、消費電力を大きく低減できるという顕著な効果を奏する。
【0085】
また、本実施形態では、例えばエンジン回転数が低下して回転数判定値以下となった場合に、発熱抵抗体83への通電を停止している。換言すると、エンジン回転数が回転数判定値以下ではない間は、通常のヒータ制御が行われるので、通常の様に精度良く空燃比を求めることができる。よって、本実施態様では、センサ出力の要求と消費電力の低減とを両立することができる。
【0086】
更に、本実施形態では、発熱抵抗体83への通電を再開する条件が満たされた場合(例えばアイドルストップ条件が不成立となった場合)には、ヒータ素子53の温度を目標温度に制御する通常のヒータ制御を再開する。
【0087】
つまり、ヒータへの通電を停止する制御が行われている際に、自動停止条件が不成立となる、または、(アクセルの踏み込み等によって)自動停止が解除された場合には、ヒータへの通電を通常状態に復帰させることができる。
【0088】
これにより、必要なタイミングでヒータの通電のオン・オフの制御を行うことができる。よって、消費電力の低減ができるとともに、ヒータへの通電が必要な場合には、速やかにヒータの通電を再開することができる。
【0089】
なお、本実施形態の変形例として、アイドルストップフラグを利用することなく、エンジン回転数のみで、発熱抵抗体83への通電を停止してもよい。
また、更に他の変形例として、車両の速度が所定の速度判定値(例えば10km/h)以下に低下した場合に、点火信号が(例えばエンジン回転数がゼロに低下する期間に対応する所定期間にわたり)停止状態であるときに、発熱抵抗体83への通電を停止してもよい。この場合も、アイドルストップフラグを利用しなくてもよい。これによって、センサ出力の要求と消費電力の低減とを両立することができる。
【0090】
更に、アイドルストップ推定フラグがセットされた場合に、発熱抵抗体83への通電を停止してもよい。
なお、本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。
【0091】
(1)例えば、上記実施形態では、検知対象ガス中の特定成分のガス濃度を検知するガスセンサが、全領域空燃比センサである場合を例示したが、これに限定されない。例えば、上記実施形態の酸素ポンプセル及び酸素濃度検知セルに対して、さらにNOxを分解して酸素を汲み出す第2の酸素ポンプセルを加えた構成を有する、検知対象ガス中のNOx濃度を検知するNOxセンサに本発明が適用されてもよい。
【0092】
(2)更に、本発明は、酸素ポンプセル(Ipセル)及び酸素濃度検知セル(Vsセル)の2セルタイプのガスセンサに限らず、酸素濃度検知セル(Vsセル)から構成される1セルタイプのガスセンサであって、上記実施形態と同様に、Vsセルに微小電流Icpを電極(検知電極)から電極(基準電極)に供給して、基準電極から検知電極に向けて酸素を汲み入れるタイプのガスセンサに適用することもできる。
【0093】
この1セルタイプのガスセンサは、Vsセルの一対の電極間に発生する電圧(起電力)に応じて、検知対象ガス中の酸素濃度を検出するものであり、このガスセンサに接続されるセンサ制御部は、一対の電極間に発生した電圧に基づいて、排ガスの空燃比が特定空燃比を境にしてリッチかリーンかを判断する。
【0094】
(3)センサ制御装置の構成は適宜変更可能である。例えば、マイコンとASICとヒータ電圧供給回路とを備えるセンサ制御部は、ECU3と別体であっても一体であってもよい。この場合、上述のメイン処理は、センサ制御部で実行されてもよいし、ECUで実行されてもよい。
【0095】
(4)上記メイン処理で実行される処理では、ヒータ通電停止条件が満たされた場合に、ヒータへの通電を停止したが、例えばエンジン回転数が回転数判定値以下に低下した場合には、ヒータへの印加電圧を低減してヒータの消費電力を低減してもよい。又は、車速が車速判定値以下に低下し、且つ、点火信号が停止状態の場合に、ヒータへの印加電圧を低減してヒータの消費電力を低減してもよい。
【0096】
つまり、上述したヒータへの通電の停止の処理に代えて、ヒータへの印加電圧を低減してヒータの消費電力を低減する処理を行ってもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…内燃機関(エンジン)
3…電子制御装置(ECU)
19…排気管
23…空燃比センサ
29…センサ制御部
31…回転数センサ
41…車速センサ
51…センサ素子
53…ヒータ素子
83…発熱抵抗体
図1
図2
図3
図4
図5