特許第5934059号(P5934059)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934059
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】ユニット式建物の設置方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/348 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
   E04B1/348 E
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-188178(P2012-188178)
(22)【出願日】2012年8月29日
(65)【公開番号】特開2014-43753(P2014-43753A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2014年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】中井 郁夫
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−136341(JP,A)
【文献】 特開平11−172770(JP,A)
【文献】 特開平09−021183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/348
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の柱と上下の梁とを接合することによって直方体形状に形成された建物ユニットを一対備え、当該一対の建物ユニットの少なくとも1つの互いの上側の梁が直線状に配置されるように、前記一対の建物ユニットが隣接配置されたユニット式建物の設置方法は、
前記一対の建物ユニットにおける直線状に配置された前記互いの上側の梁に対して、当該梁に沿って延在する補強梁を設け、
前記建物ユニットにおける前記複数本の柱のうち、前記補強梁の端部以外の部分に対向する柱を取り外し、
前記一対の建物ユニットにおける前記直線状に配置された前記互いの上側の梁を備える外壁部に、前記取り外された柱の領域を含むように開口部を形成するとともに、この開口部の機能的構造と前記一対の建物ユニットにおける前記補強梁の端部に対応する柱に対向する柱とを備えた外壁パネルユニットを取り付けるものであり、
前記補強梁を、前記互いの上側の梁に対して設ける際には、前記一対の建物ユニットの柱と前記外壁パネルユニットの柱とに跨って設け、中央を前記互いの上側の梁同士に結合するとともに、端部を前記一対の建物ユニットの柱と前記外壁パネルユニットの柱に結合することを特徴とするユニット式建物の設置方法。
【請求項2】
請求項記載のユニット式建物の設置方法において、
前記建物ユニットにおける前記開口部を遮らない位置には追加柱を設けることを特徴とするユニット式建物の設置方法。
【請求項3】
請求項又は記載のユニット式建物の設置方法において、
前記開口部の機能的構造を備えた外壁パネルユニットを、前記一対の建物ユニットにおける前記直線状に配置された前記互いの上側の梁を備える外壁部に取り付けることを特徴とするユニット式建物の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット式建物の設置方法に係り、特に複数の建物ユニットを備えるユニット式建物の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユニット式建物においては、箱状に形成された建物ユニットを複数並べて組み合わせすることで施工される。建物ユニットは、複数本の柱と、これらの柱の上端間同士を結合する複数本の天井梁と、柱の下端間同士を結合する複数本の床梁とによって略直方体状の骨組みが形成されるとともに、必要に応じて骨組みに外壁材を取り付けられているものである(例えば特許文献1参照)。
そして、玄関やバルコニー等の開口部を設ける場合には、例えば図9に示すように、建物ユニット100の一対の柱101間の外壁材102に開口部103形成するのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−26105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、顧客によっては、一対の柱101間よりも大きく開口部103を設けたいという要望もあるが、この場合一対の柱101の一方を取り外さなければならず建物ユニット100の剛性が低下してしまうのが懸念される。
このため、本発明の課題は、建物ユニットの剛性の低下を押さえつつも開口部の拡大化を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項記載の発明は、例えば図1に示すように、
複数本の柱21と上下の梁22,23とを接合することによって直方体形状に形成された建物ユニット2を一対備え、当該一対の建物ユニット2の少なくとも1つの互いの上側の梁22aが直線状に配置されるように、前記一対の建物ユニット2が隣接配置されたユニット式建物1の設置方法は、
前記一対の建物ユニット2における直線状に配置された前記互いの上側の梁22aに対して、当該梁22aに沿って延在する補強梁3を設け、
前記建物ユニット2における前記複数本の柱21のうち、前記補強梁3の端部以外の部分に対向する柱21を取り外し、
前記一対の建物ユニット2における前記直線状に配置された前記互いの上側の梁22aを備える外壁部5に、前記取り外された柱21の領域を含むように開口部43を形成するとともに、この開口部43の機能的構造と前記一対の建物ユニット2における前記補強梁3の端部に対応する柱21に対向する柱45とを備えた外壁パネルユニット4を取り付けるものであり、
前記補強梁3を、前記互いの上側の梁22(22a)に対して設ける際には、前記一対の建物ユニット2の柱21と前記外壁パネルユニット4の柱45とに跨って設け、中央を前記互いの上側の梁22(22a)同士に結合するとともに、端部を前記一対の建物ユニット2の柱21と前記外壁パネルユニット4の柱45に結合することを特徴としている。
【0012】
請求項記載の発明によれば、一対の建物ユニット2における直線状に配置された互いの上側の梁22aを備える外壁部5に、取り外された柱21の領域を含むように開口部43が形成されているので、1つの建物ユニットの柱間に開口部を設ける場合よりも大きな開口部43を形成することができる。
そして、隣接する一対の建物ユニット2における直線状に配置された互いの上側の梁22aに、当該梁22aに沿って延在する補強梁3が、前記互いの上側の梁22a同士に結合されているので、柱21が取り除かれたとしても建物ユニット2の剛性を維持することができる。
したがって、建物ユニット2の剛性の低下を押さえつつも開口部43の拡大化が可能となる。
【0013】
請求項記載の発明は、請求項記載のユニット式建物の設置方法において、例えば図2に示すように、
前記建物ユニット2における前記開口部43を遮らない位置には追加柱6を設けることを特徴としている。
【0014】
請求項記載の発明によれば、開口部43を遮らない位置に追加柱6が設けられているので、追加柱6によって補強されることとなり、開口部43の大きさを確保しつつも、建物ユニット2の剛性を高めることができる。
【0015】
請求項記載の発明は、請求項又は記載のユニット式建物の設置方法において、例えば図1に示すように、
前記開口部43の機能的構造を備えた外壁パネルユニット4を、一対の建物ユニット2における前記直線状に配置された前記互いの上側の梁22aを備える外壁部5に取り付けることを特徴としている。
【0016】
請求項記載の発明によれば、開口部43の機能的構造を備えた外壁パネルユニット4が、一対の建物ユニット2における直線状に配置された互いの上側の梁22aを備える外壁部5に取り付けられているので、外壁パネルユニット4を工場で製作し、現場で一対の建物ユニット2に取り付けることが可能となる。これにより、現場での作業性を高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、建物ユニットの剛性の低下を押さえつつも開口部の拡大化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係るユニット式建物の設置構造の概略構成を示す斜視図である。
図2図1のユニット式建物の断面構成を部分的に示す断面図である。
図3】本実施形態に係るユニット式建物に備わる補強梁の要部構成を示す斜視図である。
図4】本実施形態に係るユニット式建物の設置方法の一工程を示す斜視図である。
図5】本実施形態に係るユニット式建物の設置方法の一工程を示す斜視図である。
図6】本実施形態に係るユニット式建物の設置方法の一工程を示す斜視図である。
図7】本実施形態に係るユニット式建物の設置方法の一工程を示す斜視図である。
図8】本実施形態に係るユニット式建物の設置方法の一工程を示す斜視図である。
図9】従来のユニット式建物の断面構成を部分的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るユニット式建物の設置構造の概略構成を示す斜視図である。図2は、ユニット式建物の断面構成を部分的に示す断面図である。
図1及び図2に示すように、ユニット式建物1には、少なくとも一対の建物ユニット2が設けられている。
建物ユニット2は、複数本の柱21と、これらの柱21の上端間同士を結合する複数本の梁22と、柱21の下端間同士を結合する複数本の梁23とを備え、略直方体状に形成された骨組みを有するものである。これら複数本の柱21と、上下の梁22,23との結合箇所は接合部材24を介して剛接合されている。そして一対の建物ユニット2の少なくとも1つの互いの上側の梁22aが直線状に配置されるように、一対の建物ユニット2が隣接配置されている。この一対の建物ユニットにおける直線状に配置された互いの上側の梁22aを備える側面は、外部に面する外壁部5となる。
【0020】
一対の建物ユニット2における直線状に配置された互いの上側の梁22aには、梁22aに沿って延在し、上側の梁22a同士に結合される補強梁3が設けられている。この補強梁3の端部以外の部分に対向する柱21は取り外されている(図8参照)。
【0021】
図3は補強梁3の概略構成を示す斜視図である。補強梁3は、断面縦長の長方形であって、継目なく一体成形された直線状の筒状部材である梁本体31と、この梁本体31の高さ方向中間の所定位置に設けられた平板状の接続部32とを備えている。接続部32は、梁本体31の中央に設けられた中央接続部33と、梁本体31の端部に設けられた端部接続部34とを含んで構成されている。中央接続部33及び端部接続部34は、梁本体31を挟んで外側に延在している。
外壁部5をなす一対の柱21の上端部に取り付けられた接合部材24に対しては、補強梁3の端部接続部34が接合されている。また、直線状に配置された上側の梁22aの内側端部に取り付けられた接合部材24に対しては、補強梁3の中央接続部33が接合されている。これらの接合部材24には、直線状に配置された上側の梁22aが接合されているので、当該梁22aに対して間接的に補強梁3が結合されることになる。
【0022】
また、図1又は図2に示すようにユニット式建物1には、補強梁3に対向するように外壁部5に取り付けられた外壁パネルユニット4が設けられている。外壁パネルユニット4には、玄関部41と、玄関部41の両側方に配置された外壁パネル部42とが設けられている。
玄関部41は、開口部43と、開口部43を開閉する扉44とが設けられている。開口部43は、外壁部5をなす一対の柱21のうち、一方の柱21の内側から、一対の建物ユニット2のうち取り外された柱21の領域を含むように形成されている。
一対の建物ユニット2における直線状に配置された互いの上側の梁22aのうち、開口部43から離れた箇所には、下側の梁23まで延在する追加柱6が設けられている。
外壁パネル部42には、外壁部5をなす一対の柱21に対向するように、一対の柱45が設けられている。この一対の柱45の上端部には補強梁3の端部接続部3が接合されている。また、外壁パネル部42の上端部の所定位置には補強梁3の中央接続部33が接合されている。そして外壁パネル部42の外周部には壁パネル46が貼り付けられている。
【0023】
次に、ユニット式建物1の組立方法について説明する。
まず、直方体形状に形成された建物ユニット2を一対、少なくとも1つの互いの上側の梁22aが直線状に配置されるように隣接配置する(図4参照)。ここで、一対の建物ユニット2のうち、1つの建物ユニット2には予め追加柱6が設けられている。この追加柱6は開口部43から離れた箇所に配置されていて、上側の梁22aから下側の梁23まで延在するように工場で予め取り付けられている。
そして、一対の建物ユニット2の外壁部5に外壁パネルユニット4を対峙させ(図5参照)、外壁部5を覆うように外壁パネルユニット4を取り付ける(図6参照)。これにより、外壁部5に玄関部41が形成される。
その後、外壁部5をなす一対の柱21の上端部に取り付けられた接合部材24に対しては、補強梁3の端部接続部34を接合する。一方、直線状に配置された上側の梁22aの内側端部に取り付けられた接合部材24に対しては、補強梁3の中央接続部33を接合する。これにより、直線状に配置された上側の梁22aに間接的に補強梁3が結合される(図7参照)。
【0024】
次に、建物ユニット2における複数本の柱21のうち、補強梁3の端部以外の部分に対向する柱21を取り外す(図8参照。なお図8においては便宜上壁パネルユニット4を省略している。)。これにより、図1に示すユニット式建物1が組み立てられる。
【0025】
以上のように、本実施形態によれば、一対の建物ユニット2における直線状に配置された互いの上側の梁22aを備える外壁部5に、取り外された柱21の領域を含むように開口部43が形成されているので、1つの建物ユニットの柱間に開口部を設ける場合よりも大きな開口部43を形成することができる。
そして、隣接する一対の建物ユニット2における直線状に配置された互いの上側の梁22aに、当該梁22aに沿って延在する補強梁3が、前記互いの上側の梁22a同士に結合されているので、柱21が取り除かれたとしても建物ユニット2の剛性を維持することができる。
したがって、建物ユニット2の剛性の低下を押さえつつも開口部43の拡大化が可能となる。
【0026】
また、開口部43を遮らない位置に追加柱6が設けられているので、追加柱6によって補強されることとなり、開口部43の大きさを確保しつつも、建物ユニット2の剛性を高めることができる。
また、開口部43の機能的構造を備えた外壁パネルユニット4が、一対の建物ユニット2における外壁部5に取り付けられているので、外壁パネルユニット4を工場で製作し、現場で一対の建物ユニット2に取り付けることが可能となる。これにより、現場での作業性を高めることができる。
さらに、補強梁3が外壁パネルユニット4にも連結されているので、外壁パネルユニット4の剛性も高めることができる。
【0027】
なお、上記実施形態では、開口部43の機能的構造として玄関部41を例示して説明したが、開口部43の機能的構造としてはこれ以外でもよく、例えば窓部やバルコニー部などが挙げられる。
また、上記実施形態では一対の建物ユニット2に対して外壁部5を覆うように外壁パネルユニット4を取り付けることで開口部43を形成する場合を例示して説明したが、一対の建物ユニット2に壁パネルが貼り付けられる場合には、壁パネルを切り出すことで直接開口部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 ユニット式建物
2 建物ユニット
3 補強梁
4 外壁パネルユニット
5 外壁部
6 追加柱
21 柱
22 梁
23 梁
41 玄関部
42 外壁パネル部
43 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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