【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載の発明は、例えば
図1〜
図6に示すように、複数の建物ユニットを組み合わせて構築された建物本体と、当該建物本体の外部に配設されるバルコニーと、を備え、前記建物本体が、その内部に配置される部屋部と、当該部屋部から前記バルコニーへと連続して当該バルコニーのインナー部分となるインナー部と、を有するインナー付き建物ユニットを含んで構築されるユニット式建物において、
前記インナー付き建物ユニットは、
四隅に立設される柱と、これら柱の上端部同士および下端部同士をそれぞれ連結する天井梁および床梁と、を有してなる略直方体状の骨組みと、
前記骨組みの対向する前記床梁間に配設される床パネルと、を備えており、
前記床パネル上に配設される前記インナー部が、
当該インナー部の四隅に配置され、前記床パネル上に立設される複数の柱と、
前記床パネル上に配設され、前記複数の柱の下端部間を連結する立ち上がり下地と、
前記立ち上がり下地と前記床パネルとの間に敷設される防水部材と、を有しており、
前記バルコニーは、複数本の梁により枠組みされるバルコニー床フレームと、前記バルコニー床フレームの上側に固定されるバルコニー床パネルと、を備えており、
前記バルコニー床パネルは、前記インナー部側から前記バルコニー側へ向けて下るように水勾配を有する勾配床面を備え、
前記勾配床面は、前記床パネルの床面よりも上方に位置し、
前記インナー部に位置する前記床パネル上には、前記
バルコニー床パネルと接続され、当該インナー部の床面を形成する連結部材が配設されており、
前記連結部材は、前記インナー部の前記床パネル上に取り付けられる調整材と、前記バルコニー床パネルの前記勾配床面における前記インナー部側端部に取り付けられる調整材と、に跨がって敷設されており、
前記連結部材の上面は、2つの前記調整材の高さ調整により、前記勾配床面と略同じ勾配で、かつ、略面一にされ、
前記バルコニー
床パネルの
前記勾配床面から
前記連結部材の上面へと連続して防水層が敷設されていることを特徴とする。
【0016】
請求項1に記載のユニット式建物によれば、建物本体を形成する複数の建物ユニットに含まれ、当該建物本体の外部のバルコニーへと連続する部位に配設されるインナー付き建物ユニットを、簡易な構成で容易に形成することができる。すなわち、このインナー付き建物ユニットは、四隅に立設される柱の上端部同士および下端部同士を、それぞれ天井梁および床梁で連結してなる略直方体状の骨組みを有し、この骨組みの対向する床梁間に床パネルを配設している。つまり、このインナー付き建物ユニットは、建物本体を形成する複数の建物ユニットと、骨組みおよび床パネルを備えてなる構成において共通しており、換言すれば、所謂通常の建物ユニットを流用することができる。そして、この床パネル上においてインナー部となる四隅に複数の柱を配置し、これら複数の柱の下端部間を立ち上がり下地によって連結し、これら立ち上がり下地と床パネルとに亙って防水部材を敷設するという簡易な構成で容易に形成することができる。
このように、インナー部の構成を簡易化できるので、建物本体を形成する複数の建物ユニットのうちのいずれかの床パネル上に形成することで、インナー付き建物ユニットを容易に形成することができる。そして、このインナー部に位置する床パネル上に、バルコニーの床面と接続され、当該インナー部の床面を形成する連結部材を配設し、これらバルコニーの床面からインナー部の床面へと連続して防水層を配設することでバルコニーとインナー付き建物ユニットとの連結構造を簡略化でき、インナー部分を備えたバルコニー(換言すれば、インナーバルコニー)を容易に形成することができる。
よって、従来のように、中間梁を用いてインナー部の床と室内床とを区画するなどのインナー部構築の手間を省くことができるので、インナーバルコニー構築における作業工数を大幅に低減することができる。このとき、インナー付き建物ユニットは、予め工場にて建物ユニットの製造ライン(ユニット組立ライン)で形成することもできるし、建築現場にて建物ユニットにインナー部を配設することで容易に形成することもできる。但し、予め工場のユニット組立ラインにて生産しておけば、その分、当該現場での作業工数を減らすことができて当該作業をさらに簡略化でき、より一段と短期間での施工が可能となるため、建築現場における工期を大幅に短縮することが可能となる。従って、このインナー付き建物ユニットを用いれば、インナーバルコニーを構築するためのコストダウンを図ることができる。
かくして、請求項1に記載のユニット式建物によれば、現場作業を大幅に簡略化し、施工期間を短縮化できると共に、ユニット製造が容易でコストダウンを図ることができる。
また、バルコニーの床面と接続され、インナー部の床面を形成する連結部材が、インナー部の床パネル上に取り付けられる調整材と、バルコニーの床面におけるインナー部側端部に取り付けられる調整材と、に跨がって敷設されている。そして、これら調整材の高さ調整に応じて、インナー部側からバルコニー側へ向けて下るように傾斜する勾配を設けている。これにより、建物本体の外部側に配置されるインナー部において、雨などの自然環境や、ガーデニングまたは清掃等に関わる水が溜るのを未然に回避でき、排水対策を講じることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、例えば
図1および
図6に示すように、請求項1に記載のユニット式建物において、
前記床パネルは、
前記骨組みの対向する前記床梁間に架設される複数の床根太の上面に敷設されており、
当該床パネル上に配設される前記連結部材によって形成される前記インナー部の床面と、前記バルコニーの床面と、が面一であることを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、インナー部が配設される床パネルは、骨組みの対向する床梁間に架設される複数の床根太の上面に敷設されており、当該床パネル上に配設される連結部材によって形成されるインナー部の床面と、バルコニーの床面とが面一であるので、インナー部からバルコニーへと床面を段差なく連続して形成することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、例えば
図2〜4に示すように、請求項1または2に記載のユニット式建物において、
前記インナー部の四隅に配置される複数の柱には、前記骨組みの柱のうちの少なくとも一つが含まれていることを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、インナー部の四隅に立設される柱のうち、少なくとも一つの柱として骨組みの柱を流用することで、インナー部に使用する柱の数を削減、すなわち部品点数を削減してコストを抑えることができると共に、インナー付き建物ユニットの隅部を利用してインナー部を設けることができる分、剛性を確保することが容易になる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、例えば
図1および
図6に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載のユニット式建物において、
前記インナー部と前記部屋部との境界には建具が配設されており、
前記建具は、前記境界に位置する前記床パネル上に配置され、前記複数の柱に固定されることを特徴とする。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、インナー部と部屋部との境界に配設される建具が、当該境界に位置する床パネル上に配置され、インナー部の複数の柱に固定されるので、従来に比して、インナー付き建物ユニットを形成するための手間を省き、ユニット製造が格段と容易でコストダウンを図ることができる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、例えば
図6に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載のユニット式建物において、
前記連結部材の下面には、2つの前記調整材の間に亙って軟質耐火材が配設されることを特徴とする。
【0025】
請求項6に記載の発明は、複数の建物ユニットを組み合わせてなる建物本体の外部に、バルコニーを配設して構築するユニット式建物を、前記建物本体の内部に配置される部屋部と、当該部屋部から前記バルコニーへと連続して当該バルコニーのインナー部分となるインナー部と、を有するインナー付き建物ユニットを含んで構築するバルコニーを備えたユニット式建物の構築方法であって、
複数本の梁により枠組みするバルコニー床フレームと、前記バルコニー床フレームの上側に固定するバルコニー床パネルと、から前記バルコニーを形成し、
前記バルコニー床パネルの前記インナー部側の端部から張り出すように前記バルコニー床パネルの床面に防水層を敷設し、
四隅に立設する柱の上端部同士および下端部同士を、それぞれ天井梁および床梁で連結して略直方体状からなる前記インナー付き建物ユニットの骨組みを形成し、
前記骨組みの対向する前記床梁間に床パネルを配設し、
前記床パネル上の前記インナー部となる四隅の位置に複数の柱を立設し、
前記床パネル上に立ち上がり下地を配設して、前記複数の柱の下端部間を連結し、
前記立ち上がり下地と前記床パネルとに亙って防水部材を敷設して、前記バルコニーに隣接して配置する前記インナー付き建物ユニットに前記インナー部を形成し、
前記インナー部に位置する前記床パネル上に、前記バルコニー
床パネルの床面と接続される連結部材を配設して当該インナー部の床面を形成し、
前記バルコニー
床パネルの
端部から張り出した前記防水層を前記インナー部の床面へと連続して敷設することを特徴とする。
【0026】
請求項6に記載のユニット式建物の構築方法によれば、建物本体を形成する複数の建物ユニットに含まれ、当該建物本体の外部のバルコニーへと連続する部位に配設されるインナー付き建物ユニットを、簡易な構成で容易に形成することができる。すなわち、このインナー付き建物ユニットは、四隅に立設される柱の上端部同士および下端部同士を、それぞれ天井梁および床梁で連結してなる略直方体状の骨組みを有し、この骨組みの対向する床梁間に床パネルを配設している。つまり、このインナー付き建物ユニットは、建物本体を形成する複数の建物ユニットと、骨組みおよび床パネルを備えてなる構成において共通しており、換言すれば、所謂通常の建物ユニットを流用することができる。そして、この床パネル上においてインナー部となる四隅に複数の柱を配置し、これら複数の柱の下端部間を立ち上がり下地によって連結し、これら立ち上がり下地と床パネルとに亙って防水部材を敷設するという簡易な構成で容易に形成することができる。
このように、インナー部の構成を簡易化できるので、建物本体を形成する複数の建物ユニットのうちのいずれかの床パネル上に形成することで、インナー付き建物ユニットを容易に形成することができる。そして、このインナー部に位置する床パネル上に、バルコニーの床面と接続され、当該インナー部の床面を形成する連結部材を配設し、これらバルコニーの床面からインナー部の床面へと連続して防水層を配設することでインナーバルコニーを形成することができる。
よって、従来のように、中間梁を用いてインナー部の床と室内床とを区画したりするインナー部構築の手間を省くことができるので、インナーバルコニー構築における作業工数を大幅に低減することができる。このとき、インナー付き建物ユニットは、予め工場にて建物ユニットの製造ライン(ユニット組立ライン)で形成することもできるし、建築現場にて建物ユニットにインナー部を配設することで容易に形成することもできる。但し、予め工場のユニット組立ラインにて生産しておけば、その分、当該現場での作業工数を減らすことができて当該作業をさらに簡略化でき、より一段と短期間での施工が可能となるため、建築現場における工期を大幅に短縮することが可能となる。従って、このインナー付き建物ユニットを用いれば、インナーバルコニーを構築するためのコストダウンを図ることができる。
かくして、請求項6に記載のユニット式建物の構築方法によれば、現場作業を大幅に簡略化し、施工期間を短縮化できると共に、ユニット製造が容易でコストダウンを図ることができる。