(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934189
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】サンスクリーン組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/35 20060101AFI20160602BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20160602BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20160602BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20160602BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
A61K8/35
A61K8/86
A61K8/81
A61K8/36
A61Q17/04
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-511619(P2013-511619)
(86)(22)【出願日】2011年5月19日
(65)【公表番号】特表2013-528168(P2013-528168A)
(43)【公表日】2013年7月8日
(86)【国際出願番号】EP2011058176
(87)【国際公開番号】WO2011147738
(87)【国際公開日】20111201
【審査請求日】2014年3月19日
(31)【優先権主張番号】2062/MUM/2010
(32)【優先日】2010年7月20日
(33)【優先権主張国】IN
(31)【優先権主張番号】1610/MUM/2010
(32)【優先日】2010年5月25日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】590003065
【氏名又は名称】ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】チャル・ドゥガル
(72)【発明者】
【氏名】クマール・ガウラヴ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンハヴィ・サンジャイ・ラウト
(72)【発明者】
【氏名】モハン・ヴィジャイクマール・チャヴァン
(72)【発明者】
【氏名】アシッシュ・アナント・ヴァイディヤ
(72)【発明者】
【氏名】ムリドゥラ・キニ
【審査官】
松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2004/0228888(US,A1)
【文献】
特表2005−526781(JP,A)
【文献】
特表2005−520849(JP,A)
【文献】
特表2010−501515(JP,A)
【文献】
特開2006−016400(JP,A)
【文献】
特表2011−515424(JP,A)
【文献】
特開2011−207826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
8重量%未満の総有機サンスクリーンを含む高いSPFおよび/またはUVAPFの固形サンスクリーン組成物であって、
a)ジベンゾイルメタンまたはその誘導体0.1から5重量%;
b)HLBが15.5を超える、飽和炭素鎖を有する脂肪アルコールのエトキシレートのクラスから、またはHLBが12を超える、不飽和炭素鎖を有する脂肪アルコールのエトキシレートのクラスから選択される非イオン性界面活性剤0.1から5重量%;
d) (i)アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー、(ii)アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー、(iii)アクリレート/ステアレス-20メタクリレートクロスポリマー、および(iv)アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーから選択されるポリマー0.1から0.5重量%;またはアクリロイルジメチルタウレートとビニルピロリドンとのコポリマー、および(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸べヘネス−25)クロスポリマーから選択されるポリマー0.2〜0.5重量%、および
e)化粧品として許容されるベース
を含み、
前記化粧品として許容されるベースが、15から25重量%の脂肪酸を含み、
前記ジベンゾイルメタンまたはその誘導体が、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチル-ジベンゾイル-エタン、4-イソプロピルジベンゾイル-メタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4'-ジイソプロピル-ジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4'-メトキシ-ジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4'-メトキシジベンゾイルメタンまたは2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4'-メトキシ-ジベンゾイルメタンから選択され、
前記化粧品として許容されるベースが、0.1から10重量%の石鹸を含み、
15以上のSPF値または4以上のUVAPF値を有する、組成物。
【請求項2】
前記化粧品として許容されるベースがクリームである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
8重量%未満の総有機サンスクリーンを含む高いSPFおよび/またはUVAPFの非固形サンスクリーン組成物であって、
a)ジベンゾイルメタンまたはその誘導体0.1から5重量%;
b)HLBが15.5を超える、飽和炭素鎖を有する脂肪アルコールのエトキシレートのクラスから、またはHLBが12を超える、不飽和炭素鎖を有する脂肪アルコールのエトキシレートのクラスから選択される非イオン性界面活性剤0.1から5重量%;
c)脂肪酸15から25重量%;および
d) (i)アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー、(ii)アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー、(iii)アクリレート/ステアレス-20メタクリレートクロスポリマー、および(iv)アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーから選択されるポリマー0.1から0.5重量%;またはアクリロイルジメチルタウレートとビニルピロリドンとのコポリマー、および(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸べヘネス−25)クロスポリマーから選択されるポリマー0.2〜0.5重量%、および
e)化粧品として許容されるベース
を含み、
前記ジベンゾイルメタンまたはその誘導体が、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチル-ジベンゾイル-エタン、4-イソプロピルジベンゾイル-メタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4'-ジイソプロピル-ジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4'-メトキシ-ジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4'-メトキシジベンゾイルメタンまたは2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4'-メトキシ-ジベンゾイルメタンから選択され、
15以上のSPF値または4以上のUVAPF値を有する、組成物。
【請求項4】
前記化粧品として許容されるベースがローションである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン10オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル、およびポリオキシエチレン(20)オレイルエーテルからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
油溶性UV-Bサンスクリーン0.1から7重量%をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記油溶性UV-B有機サンスクリーンが、ケイ皮酸、サリチル酸、ジフェニルアクリル酸およびこれらの誘導体からなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
油溶性有機サンスクリーンが、サリチル酸オクチル、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル2-ヒドロキシベンゾエート、メトキシケイ酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペノエート、および2-エチルヘキシル-4-メトキシシンナメートから選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記ジベンゾイルメタン誘導体が、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタンである、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い紫外線防御指数(SPF)/UV-A防御指数(UVAPF)のサンスクリーン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽放射線は、波長が200nmから400nmの間である約5%の紫外(UV)線を含む。紫外線は、さらに3つの領域:320から400nm(UV-A)、290から320nm(UV-B)および200から290nm(UV-C)に分類される。UV-C線の大部分は、オゾン層によって吸収される。科学的研究によって、UV-AおよびUV-B線への短時間の曝露は、皮膚の発赤および局所的な刺激の原因となるのに対して、継続的および持続的な曝露は、日焼け、メラノーマおよびしわの形成を引き起こし得ることが示された。UV線が毛髪への著しい損傷の原因となることも報告されている。したがって、人体の皮膚およびその他のケラチン性基質をUV-AおよびUV-B線の両方の悪影響から保護することが望ましい。
【0003】
紫外線の悪影響を防ぐおよび/または皮膚をその悪影響から保護するための、様々な化粧料が報告されている。UV-A線を吸収できる多数の有機サンスクリーン剤が化粧品の分野において報告されており、これらの中でも、特に有用なサンスクリーンは、ジベンゾイルメタンのクラスのものである。多くのUV-Bサンスクリーンも知られており、UV-B線からの保護のためのパーソナルケア組成物における安全な使用が認可されている。多くの化粧品製造業者は、UV線の全範囲にわたって保護するために、光保護組成物がUV-AおよびUV-Bサンスクリーンの両方を含むことを好む。紫外線防御指数(SPF)およびUV-A防御指数(UVAPF)は、通常、UV-BおよびUV-A線の両方への曝露からの皮膚が得る保護を示す光保護組成物の測定された属性である。
【0004】
したがって、化粧品製造業者は、さらに高いSPF/UVAPFを有する製品を消費者に提供しようと試みている。このことを達成する方法の1つは、高いレベルのUV-AおよびUV-Bサンスクリーンを組み込むことである。この手法の1つの不利点は、高いレベルの高価なサンスクリーンの組込みに伴う高い費用である。さらに、これらのサンスクリーンの組込みの上限に対する安全および規制上の制限がある。高いレベルのサンスクリーンを組み込むと、知覚特性が影響を受けることも報告されている。したがって、課題は、組成物中のサンスクリーンの総量を比較的低く抑えながら高いSPF/UVAPFを達成することである。
【0005】
より有効なサンスクリーン組成物についての様々な文献が報告されている。このような特許公報の1つは、US 2005/0063925であり、ジェミニ型界面活性剤および会合性ポリマーを含有する水中油光保護エマルションを開示している。ジェミニ型界面活性剤は、乳化剤として使用され、2つの界面活性剤単位を含む少なくとも1つの二量体界面活性剤を有し、2つの界面活性剤単位は同一または異なってもよく、それぞれが親水性の頭部および疎水性の尾部からなり、親水性の頭部を介してスペーサー基によって互いに結合している。さらに、この組成物は、金属酸化物をベースとする少なくとも1つの無機ナノ顔料、ならびに任意選択で少なくとも1つの、有機、好ましくは水溶性または脂溶性UV-Aおよび/またはUV-Bスクリーニング剤、ならびに少なくとも1つのC
8〜C
40脂肪鎖を含む少なくとも1つの会合性ポリマーを含有する、UV線を排除できる少なくとも1つの光保護系を含む。
【0006】
JP 2008 162 930(Shiseido)は、(a)油溶性紫外線吸収剤、(b)水溶性増粘剤(例えば水溶性アクリルポリマー)、(c)水溶性紫外線吸収剤および(d)脂肪酸PEGグリセリル系界面活性剤、水添ヒマシ油系界面活性剤およびPEG-PPGアルキルエーテル系界面活性剤からなる群から選択される1種または複数種の親水性非イオン性界面活性剤を含む水中油型乳化日焼け止め化粧料を開示している。
【0007】
WO 2008/022946(Unilever)は、ジベンゾイルメタンまたはその誘導体およびp-メトキシケイ皮酸またはその誘導体を含む化粧品組成物が、脂肪アルコールエトキシレートとポリアルキレングリコールとの組合せを組み込むことによって安定化し得ることを開示している。
【0008】
これらの公報は、所望の光保護を有しながら配合物の安定性を確実にすることを対象としており、SPF/UVAPFを強化することは報告していない。SPF/UVAPFを増加させるいかなる試みも、多量のサンスクリーン化合物の使用を伴っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US 2005/0063925
【特許文献2】JP 2008 162 930
【特許文献3】WO 2008/022946
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】H A Barnes(Handbook of Elementary Rheology、University of Wales Aberystwyth、71〜73(2000))
【非特許文献2】Brummer(Rheology Essentials of Cosmetic and Food Emulsions、Springer-Verlag Berline Heidelberg、81〜83(2006))
【非特許文献3】CTFA Cosmetic Ingredient Handbook、Second Edition、1992
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、低いレベルのサンスクリーン剤を含む既知のサンスクリーン組成物と比較して、はるかにより高いSPF/UVAPF値を提供することができるサンスクリーン剤を好ましくは低濃度で含むパーソナルケア組成物の必要性が存在する。強化されたSPF/UVAPF有益性が、通常使用される成分の相乗的相互作用によって達成され、それによって所望の光保護有益性を大幅に低い費用で得ることができれば望ましい。
【0012】
本発明者らは、この課題の解決に取り組み、ジベンゾイルメタンまたはその誘導体および任意選択で油溶性UV-Bサンスクリーンを含む化粧品組成物は、選択されたクラスの非イオン性界面活性剤および選択されたクラスのポリマーまたは選択された脂肪酸と一緒にサンスクリーン組成物に組み込まれると、対象の基質に適用される際に所望の知覚的特性を保持しながら、強化されたSPF/UVAPF有益性をもたらすことを、驚くべきことに発見した。
【0013】
したがって、本発明の目的は、従来技術の少なくともいくつかの欠点を取り除き、高いSPF/UVAPFの光保護サンスクリーン組成物を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、所望の皮膚知覚的特性を損なうことのない高いSPF/UVAPFのサンスクリーン組成物を提供することである。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、比較的少量のサンスクリーン剤を使用して上記の目的を達成し、それによって費用を低く抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、8%未満の総有機サンスクリーンを含み、
a)ジベンゾイルメタンまたはその誘導体0.1から5重量%;
b)HLBが15.5を超える、飽和炭素鎖を有する脂肪アルコール/脂肪酸のエトキシレートのクラスから、またはHLBが12を超える、不飽和炭素鎖を有し脂肪アルコール/脂肪酸のエトキシレートのクラスから選択される非イオン性界面活性剤0.1から5重量%の;
d)アクリレート/R-メタクリレートのコポリマーもしくはクロスポリマー、またはアクリレート/R-アルキルアクリレートのクロスポリマーのクラスから選択される、0.1から0.5重量%のポリマー;またはアクリロイルジメチルタウレートとビニルピロリドン、メタクリレートもしくはR-アルキルアクリレートとのコポリマーのクラスから選択されるポリマー0.2〜0.5重量%、および
e)化粧品として許容されるベース
(式中、RはC
10〜30のアルキル基である)
を含む、高いSPFおよび/またはUVAPFの固形サンスクリーン組成物が提供される。
【0017】
本発明の第1の態様の組成物は、好ましくはクリームである。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、8%未満の総有機サンスクリーンを含む高いSPFおよび/またはUVAPFの非固形サンスクリーン組成物であって、
a)ジベンゾイルメタンまたはその誘導体0.1から5重量%;
b) HLBが15.5を超える、飽和炭素鎖を有する脂肪アルコール/脂肪酸のエトキシレートのクラスから、またはHLBが12を超える、不飽和炭素鎖を有する脂肪アルコール/脂肪酸のエトキシレートのクラスから選択される非イオン性界面活性剤0.1から5重量%;
c)脂肪酸3から25重量%;および
d)化粧品として許容されるベース
を含む組成物が提供される。
【0019】
本発明の第2の態様の組成物は、好ましくはローションである。
【0020】
これらのおよびその他の態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を読めば、当業者に明らかになるであろう。誤解を避けるために、本発明の一態様のいかなる特徴も、本発明の任意のその他の態様において利用することができる。語「含む(comprising)」は、「含む(including)」を意味することを意図するが、必ずしも「からなる(consisting of)」または「構成される(composed of)」を意味することを意図していない。換言すれば、列挙したステップまたは選択肢は、網羅的である必要なはい。以下の説明において表した実施例は、本発明を明確にすることを意図し、それ自体で本発明をそれらの実施例に限定することを意図していないことに留意されたい。同様に、すべての百分率は、別段の指示がない限り、重量/重量の百分率である。実施例および比較例の場合を除いて、または明確な指示がない場合は、この説明および特許請求の範囲における物質の量もしくは反応の条件、物質の物性および/または使用を示すすべての数字は、語「約(about)」によって修飾されることが理解されるべきである。形式「xからy」で表される数字の範囲は、xおよびyを含むことが理解される。特定の特徴に対して、複数の好ましい範囲が形式「xからy」で記載される場合、異なる端点を組み合わせたすべての範囲も考慮されることが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書で使用する「サンスクリーン組成物」は、哺乳類、とりわけヒトの皮膚および/または毛髪の日光に曝露される領域に局所適用するための組成物を含むことを意味する。このような組成物は、一般にリーブオンまたはリンスオフとして分類することができ、外観の改善、クレンジング、臭気の抑制または一般的な美容のためにも人体に適用される任意の製品を含む。本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ、ジェル、固形石鹸もしくは化粧水の形態とすることができる、または器具を用いて、もしくはフェイスマスク、パッドもしくはパッチを介して適用することができる。このようなサンスクリーン組成物の非限定的な例として、リーブオンのスキンローション、クリーム、制汗剤、デオドラント、リップスティック、ファンデーション、マスカラ、サンレスタナーおよびサンスクリーンローション、ならびに洗い流すシャンプー、コンディショナー、シャワージェル、化粧石鹸が挙げられる。本明細書で使用する「皮膚」とは、顔および体(例えば、首、胸部、背中、腕、脇の下、手、脚、臀部および頭皮)の皮膚、とりわけそれらの日光に曝露される部分を含むことを意味する。本発明の組成物は、皮膚以外の人体の任意のその他のケラチン性基質、例えば毛髪への適用にも適切であり、その場合、製品は、光保護をもたらすという特定の目的で配合され得る。
【0022】
本発明の第1の態様は、固形サンスクリーン組成物を提供する。固形サンスクリーン組成物とは、H A Barnes(Handbook of Elementary Rheology、University of Wales Aberystwyth、71〜73(2000))によって定義された、25℃で20Paより高い、好ましくは50Paより高い臨界せん断応力(見かけの降伏応力)を有する組成物を意味する。固形組成物は、25℃で10000Pa未満の見かけの降伏応力を有することが好ましい。臨界せん断応力での本発明の固形組成物の粘度は、25℃で1000から500000Pa.s、好ましくは1000から100000Pa.sの範囲であることが好ましい。好ましい固形組成物は、クリームである。クリームは、通常、軟らかい固体として知られている。したがって、本発明において固形組成物という用語の使用は、軟らかい固形組成物を含む。
【0023】
本発明の第2の態様は、非固形サンスクリーン組成物を提供する。非固形サンスクリーン組成物とは、25℃で100Pa未満、好ましくは20Pa未満の臨界せん断応力(見かけの降伏応力)を有する組成物を意味する。見かけの降伏応力は、25℃で少なくとも5Paであることが好ましい。非固形組成物は、25℃で1000Pa.s未満の臨界せん断応力での粘度を有することが好ましい。好ましい非固形組成物は、ローションである。
【0024】
ローションおよびクリームの定義は、Brummer (Rheology Essentials of Cosmetic and Food Emulsions、Springer-Verlag Berline Heidelberg、81〜83(2006))によって与えられている。そこでは、クリームは、容器を逆さにしても25℃で容器から流れ出ないような組成物として定義される。ローションは、容器を逆さにすると25℃で容器から流れ出るような組成物である。
【0025】
「高いSPFのサンスクリーン組成物」とは、15以上の、好ましくは20を超える、より好ましくは25を超えるSPFを有する組成物を意味する。「高いUVAPFのサンスクリーン組成物」とは、4以上、好ましくは8を超えるUVAPFを有する組成物を意味する。
【0026】
SPFおよびUVAPFは、それぞれ標準プロトコルのISO/WD 4445およびISO/CD 24443を使用して測定される。
【0027】
高いSPF/UVAPFは、組成物の重量で、0.1から6%、好ましくは0.5から6%の範囲の総UV-Bサンスクリーンを使用して達成されることが好ましい。高いSPF/UVAPF値が、少量の総有機サンスクリーンを使用することによって達成されることが、本発明の利点である。少量の総有機サンスクリーンとは、有機サンスクリーンの総量が、組成物の重量で、8%未満、好ましくは7%未満、さらにより好ましくは6%未満であることを意味する。
【0028】
本発明の組成物は、0.1から5%のジベンゾイルメタンまたはその誘導体を含む。好ましいジベンゾイルメタン誘導体は、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチル-ジベンゾイル-エタン、4-イソプロピルジベンゾイル-メタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4'-ジイソプロピル-ジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4'-メトキシ-ジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4'-メトキシジベンゾイルメタンまたは2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4'-メトキシ-ジベンゾイルメタンから選択される。最も好ましいジベンゾイルメタン誘導体は、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタンである。ジベンゾイルメタンまたはその誘導体は、組成物の重量で0.2から5%、より好ましくは0.4から4%で存在することが好ましい。
【0029】
本発明の組成物は、組成物の重量で0.1から7%、好ましくは0.5から6%の油溶性UV-B有機サンスクリーンを含むことが好ましい。油溶性UV-B有機サンスクリーンは、ケイ皮酸、サリチル酸、ジフェニルアクリル酸またはこれらの誘導体のクラスから選択されることが好ましい。本発明の組成物中に含ませるのに有用である、市販のいくつかの好ましい油溶性UV-Bサンスクリーンは、Octisalate(商標)(サリチル酸オクチル)、Homosalate(商標)(3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(trimethyleyclohexyl)2-ヒドロキシベンゾエート)、Neo Heliopan(商標)(メトキシケイ酸エチルヘキシル(Neo Heliopan AV)およびサリチル酸エチルヘキシル(Neo Heliopan OS)を含む一連の有機UVフィルター)、Octocrylene(商標)(2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペノエート)またはParsol MCX(商標)(2-エチルヘキシル-4-メトキシシンナメート)である。本発明の特に好ましい態様によれば、油溶性UVBサンスクリーンは、2-エチルヘキシル-4-メトキシシンナメートである。本発明の特に好ましい別の態様によれば、油溶性UVBサンスクリーンは、2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペノエートである。本発明の組成物に油溶性UV-Bサンスクリーンのみを使用した場合には、本発明の強化されたSPF/UVAPF有益性が得られるが、水溶性UV-Bサンスクリーンは所望の有益性をもたらさないことは興味深い。本発明の組成物は、水溶性有機サンスクリーンを実質的に含まないことが好ましい。しかし、水溶性サンスクリーンは、好ましくは2%未満、さらにより好ましくは1%未満のわずかな量で組み込むことができ、最適には本発明の組成物に存在しなくてもよい。
【0030】
とりわけ好ましい油溶性UVBサンスクリーンは、Octocrylene(商標)として市販されている2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペノエートである。
【0031】
本発明のサンスクリーン組成物のSPF/UVAPFの強化に寄与する重要な成分は、選択されたクラスの非イオン性界面活性剤である。非イオン性界面活性剤は、HLBが15.5を超える、飽和炭素鎖を有する脂肪アルコール/脂肪酸のエトキシレートのクラスから、またはHLBが12を超える、不飽和炭素鎖を有する脂肪アルコール/脂肪酸のエトキシレートのクラスから選択される。特許請求されている基準を満たさない脂肪アルコール/脂肪酸エトキシレートのクラスのイオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の使用は、所望のSPF/UVAPFの強化をもたらさないことが観察されている。HLBは、0〜20の任意のスケールで結果を示すHLB=20×Mh/M[Mhが分子の親水性部分の分子量であり、Mが全分子の分子量である]のグリフィン法を使用して計算される。様々な界面活性剤に対する典型的な値を、以下に表す:
-値<10:脂溶性(非水溶性)
-値>10:水溶性
-4から8の値は、消泡剤を示す
-7から11の値は、W/O(油中水)乳化剤を示す
-12から16の値は、水中油エマルションを示す
-11から14の値は、湿潤剤を示す
-12から15の値は、洗浄剤に特有の値である
-16から20の値は、可溶化剤またはヒドロトロープを示す。
【0032】
脂肪アルコールのエトキシレート(通常、Brijクラスで入手可能である)は、以下の構造:
【0034】
(式中、Rは、2から24の炭素鎖からなる基であり;R1は、アルキルまたはHである)
を有する。
【0035】
脂肪酸のエトキシレート(通常、Myrjクラスで入手可能である)は、以下の構造:
【0037】
(式中、Rは、2から24の炭素鎖からなる基である)
を有する。
【0038】
本発明の組成物において使用するのに適した市販の非イオン性界面活性剤の例は、Brij 35(ラウレス-23またはHO-(C
2H
4O)
23C
12H
25またはポリオキシエチレンラウリルエーテル(C12EO23化合物)としても知られる)、Brij 97(オレス-10またはHO-(C
2H
4O)
10C
18H
35またはポリオキシエチレン10オレイルエーテル(不飽和C18EO10)としても知られる)、Brij 700(ステアレス-100またはポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル(C18EO100)としても知られる)、Brij 99(ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル(不飽和C18EO20))、Myrj S40(PEG-40ステアレート)、Myrj S50(PEG-50ステアレート)、またはMyrj 59(PEG-100ステアレート)である。非イオン性界面活性剤は、組成物の重量で、0.1から5%、好ましくは0.5から4%で含まれる。
【0039】
RおよびアルキルがC
10〜30のアルキル基である、アクリレート/R-メタクリレートのコポリマーもしくはクロスポリマー、またはアクリレート/R-アルキルアクリレートのクロスポリマーのクラスの適したポリマーとして:(i)アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー、(ii)アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー、(iii)アクリレート/ステアレス-20メタクリレートクロスポリマーまたは(iv)アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーが挙げられる。
【0040】
R-メタクリレートのコポリマーまたはクロスポリマーは、以下の一般構造:
-(CH
2-CMeCO
2H)m-(CH
2-CO
2R)
n-
を有し、
R-アルキルアクリレートのクロスポリマーは、以下の一般構造:
-(CH
2-CアルキルCO
2H)
m-(CH
2-CO
2R)
n-
を有し、
式中、mおよびnは、500〜10000000、好ましくは500〜1000000、最も好ましくは500〜500000の範囲の任意のすべての整数である。
【0041】
本発明の組成物中に含ませるのに有用な市販のポリマーは、Rohm and Haasから入手可能なAculyn(商標)22、Aculyn(商標)28、もしくはAculyn(商標)88、またはLubrizolから入手可能なPemulen TR-2である。
【0042】
アクリロイルジメチルタウレートとビニルピロリドン、メタクリレートまたはR-アルキルアクリレートとのコポリマーのクラスの市販のポリマーとして、Clariantから入手可能なAristoflex AVC(商標)、Aristoflex HMB(商標)、Aristoflex BLV(商標)、Aristoflex AVS(商標)が挙げられる。上記のクラスからのポリマーは、含ませる場合には、組成物の重量で0.2%超から最大0.5%で本発明の有益性をもたらす。
【0043】
理論に束縛されるものではないが、本発明の固形組成物が上記の基準を満たす特定の非イオン性界面活性剤を含ませると、所望のSPF/UVAPFの強化が得られるが、皮膚に適用される際に、固形製品の知覚特性に悪影響があることが観察されている。高いSPF/UVAPF値を保持しながら知覚特性が実現されるのは、上記の基準を満たすポリマーを含ませる場合のみである。上記の基準を満たさないポリマーが使用される場合、所望の知覚特性が達成されない、またはSPF/UVAPFの強化が実現されない。
【0044】
本発明の組成物は、化粧品として許容されるベースを含む。化粧品として許容されるベースは、好ましくはクリーム、ローション、ジェルまたはエマルションの形式の製品を得るようなものである。組成物の固形形態に好ましい形式はクリームであり、さらにより好ましくは、バニシングクリームベースを有するものである。バニシングクリームベースは、3から25重量%の脂肪酸を含むものである。任意選択で、組成物は、0.1から10%の石鹸を含むことができる。
【0045】
脂肪酸を含ませる場合、脂肪酸は、好ましくはC10からC22の脂肪酸であり、より好ましくはC16からC18の脂肪酸である。最も好ましくは、脂肪酸は、ステアリン酸もしくはパルミチン酸またはこれらの混合物であり、石鹸は、好ましくは脂肪酸混合物のカリウム塩である。脂肪酸は、実質的に(一般に、約90から95%の)ステアリン酸45%とパルミチン酸55%との混合物であるヒストリック酸であることが多い。したがって、本発明の組成物を調製するためにヒストリック酸およびその石鹸を含ませることは、本発明の範囲内である。組成物は、5%を超える、好ましくは7%を超える、より好ましくは10%を超える脂肪酸を含むことが特に好ましい。このような高いレベルの脂肪酸の使用も、高いSPF/UVAPFに寄与することが観察されている。化粧品として許容されるベースは、通常、組成物の重量で、10から99.9%、好ましくは50から99%である。化粧品として許容されるベースは、好ましくは水を含む。水は、組成物の重量で、35から90%、より好ましくは50から85%、さらにより好ましくは50から80%で含まれる。
【0046】
その他の有用な日焼け防止剤、例えば無機日焼け止めが、好ましくは本発明において使用されてもよい。これらとして、例えば酸化亜鉛、酸化鉄、ヒュームドシリカなどのシリカ、または二酸化チタンが挙げられる。本発明による組成物に組み込まれることが好ましい日焼け止めの総量は、組成物の重量で、0.1から10%である。
【0047】
本発明の組成物は、美白剤を追加的に含むことができる。美白剤は、ビタミンB3化合物またはその誘導体、例えばナイアシン、ニコチン酸、ナイアシンアミドまたはその他のよく知られている美白剤、例えばアロエ抽出物、乳酸アンモニウム、アゼライン酸、コウジ酸、クエン酸エステル、エラグ酸、グリコール酸、緑茶抽出物、ハイドロキノン、レモン抽出物、リノール酸、リン酸アスコルビルマグネシウム、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンAなどのビタミン、ジカルボン酸、レゾルシノール誘導体、乳酸などのヒドロキシカルボン酸およびそれらの塩、例えば乳酸ナトリウム、ならびにこれらの混合物から選ばれることが好ましい。ビタミンB3化合物またはその誘導体、例えばナイアシン、ニコチン酸、ナイアシンアミドは、本発明によれば、より好ましい美白剤であり、最も好ましくはナイアシンアミドである。ナイアシンアミドは、使用される場合、組成物の重量で、0.1から10%、より好ましくは0.2から5%の範囲の量で存在することが好ましい。
【0048】
本発明による組成物は、その他の希釈剤も含むことができる。希釈剤は、組成物中に存在するその他の物質の分散剤または担体として作用して、組成物が皮膚に適用される際のそれらの分布を促進する。水以外の希釈剤として、液体または固形の軟化剤、溶媒、保湿剤、増粘剤および散剤を挙げることができる。
【0049】
本発明の組成物は、化粧品として許容される担体として、従来のデオドラントベースを含むことができる。デオドラントとは、パーソナルデオドラント有益性のために、例えば脇の下または任意のその他の領域での適用に使用される、制汗活性物質を含有してもしなくてもよいスティック、ロールオンまたは噴射媒体の製品を意味する。
【0050】
デオドラント組成物は、一般に、硬い固体、軟らかい固体、ジェル、クリームおよび液体の形態とすることができ、組成物の物理的特性に適合する塗布器を使用して分注される。
【0051】
本発明の組成物は、広範なその他の任意選択の構成要素を含むことができる。参照によりその全体が本明細書に組み込まれているCTFA Cosmetic Ingredient Handbook、Second Edition、1992は、通常スキンケア業界において使用される多種多様な非限定的な化粧用のおよび医薬品の成分を記載しており、これらは本発明の組成物において使用するのに適している。例として、抗酸化剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、着色料、増粘剤、ポリマー、収斂剤、芳香剤、保湿剤、乳白剤、コンディショナー、剥離剤、pH調整剤、防腐剤、天然抽出物、精油、皮膚感触改善剤、皮膚鎮静剤および皮膚治癒剤が挙げられる。
【0052】
本発明の別の態様によれば、15以上のSPFまたは4以上のUVAPFを得るための、本発明の第1の態様の組成物の使用が提供される。SPFは、好ましくは20より高く、より好ましくは25より高い。UVAPFは、8より高いことが好ましい。非治療的な有益性のための使用が好ましい。
【0053】
ここで、本発明は、以下の非限定的な実施例によって、さらに記載される。
【0054】
(実施例)
(実施例1から11)
脂肪アルコールエトキシレートのクラスの様々な非イオン性界面活性剤の効果
table 1(表1)で示した通りの様々な組成物(クリームの形式)を、異なる非イオン性界面活性剤を使用して調製した。様々な組成物の違いは、使用した非イオン性界面活性剤の種類であった。これらをtable 2(表2)に詳述する。様々な組成物(実施例1〜11)のSPFを測定した。その結果を、table 2(表2)で示す。インビトロのSPFを、Optometrics 290S機器モデルを使用して測定した。使用した基質は、3M Companyから調達した7.6cmのTransporeテープであった。試料を、2mg/cm
2で適用した。
【0057】
皮膚への適用時の皮膚感触に関する知覚特性を実施例1、2、4および5について判定し、これを、実施例3の皮膚感触と比較した。研究は、本発明外の試料(実施例3)と比較して同等の皮膚感触が実施例1、2、4および5について得られることを示した。
【0058】
table 2(表2)のデータは、非イオン性界面活性剤の選択基準を満たす本発明による組成物(実施例1、2、4および5)が、非イオン性界面活性剤およびポリマーを含まない組成物(実施例3)および選択基準を満たさない非イオン性界面活性剤を含む組成物(実施例6から11)と比較して、皮膚感触を損なうことなく、大きく改善されたSPFをもたらすことを示す。
【0059】
(実施例12から26)
異なるポリマーの効果
table 3(表3)で示した通りの様々な組成物(クリーム形式)を、異なるポリマーを使用して調製した。これらの組成物の違いは、ポリマーの種類および/または濃度であった。これらをtable 4(表4)で示す。これらの組成物は、専門家の一団によって皮膚に適用された。知覚認知の概要を、table 4(表4)に表す。
【0062】
table 4(表4)のポリマーのいくつかは、水中分散液として市販されており、table 4(表4)で示した濃度は、乾燥重量に基づく。
【0063】
使用したポリマーの種類は、以下の通りであった:
HASE-アクリレート/R-メタクリレートのコポリマーまたはクロスポリマーである疎水性修飾アルカリ可溶性エマルション。
ASE-アルカリ可溶性エマルション
HEUR-疎水性修飾エチレンオキシドウレタン
HMHEC-疎水性修飾ヒドロキシエチルセルロース
@-アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/VPコポリマー
@@-アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ベヘネス-25メタクリレートクロスポリマー
#-天然由来の多糖
##-天然由来のセルロースから作製
&&-Induchemから入手可能なポリビニルピロリドンコポリマーであるU-15。
^^-Pemulen TR-2は、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーである。
table 4(表4)のデータによって、選択された非イオン性界面活性剤と一緒に本発明によるポリマーを使用すると(実施例1、14〜16、21、22および26)、所望の知覚特性が得られるが、ポリマーのみ単独の、もしくは界面活性剤のみ単独の使用、または本発明外のポリマーの使用は、許容できない知覚特性をもたらす(実施例12、13、17から20および23から25)ことが示されている。
【0064】
(実施例27から29)
脂肪酸の量の効果
様々な組成物(ローションの形式)を、table 5(表5)で示した通り調製した。次いで、これらを、実施例1のSPFを測定するために使用した方法と同様に、SPFについて試験した。データを、table 5(表5)にまとめる。
【0066】
table 5(表5)のデータは、より高いレベルのヒストリック酸の使用が、SPFの望ましい高い値をもたらすことを示している。
【0067】
(実施例30から34)
脂肪酸エトキシレートのクラスの様々な非イオン性界面活性剤の効果
異なる非イオン性界面活性剤を使用して、table 1(表1)で示した通りの様々な組成物を調製した。様々な組成物の間の違いは、使用した非イオン性界面活性剤の種類であった。これらをtable 6(表6)に詳述する。様々な組成物(実施例30〜34)のSPFを測定した。結果を、table 6(表6)で示す。インビトロのSPFを、Optometrics 290S機器モデルを使用して測定した。使用した基質は、7.6 cmのTransporeテープ(3M Company)であった。試料を、2mg/cm
2で適用した。
【0069】
table 6(表6)のデータは、非イオン性界面活性剤の選択基準を満たす本発明による組成物(実施例32から34)が、非イオン性界面活性剤およびポリマーを含まない組成物(実施例3)ならびに選択基準を満たさない非イオン性界面活性剤を含む組成物(実施例30および31)と比較して、大きく改善されたSPFをもたらすことを示している。
【0070】
(実施例35から36)
UVAPF有益性のための本発明によるさらなるクリーム組成物
table 7(表7)で示した通りのクリーム形式の組成物を調製し、インビトロのUVAPF値を測定した。データを、table 7(表7)にまとめる。
【0072】
table 7(表7)で提供したデータは、本発明による組成物(実施例36)が、本発明外の組成物(実施例35)と比較して、強化されたUVAPF値を提供することを示している。
【0073】
したがって、本発明は、許容できる知覚的特性を有しながら、比較的少量のサンスクリーン化合物を含む高いSPF/UVAPFのサンスクリーン組成物を提供する。