特許第5934191号(P5934191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5934191可動支持家具部品を引き戻す引き戻し装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934191
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】可動支持家具部品を引き戻す引き戻し装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/00 20060101AFI20160602BHJP
   A47B 88/04 20060101ALI20160602BHJP
   A47B 88/14 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
   A47B88/00 H
   A47B88/04 E
   A47B88/14 Z
【請求項の数】19
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-512695(P2013-512695)
(86)(22)【出願日】2011年4月19日
(65)【公表番号】特表2013-526984(P2013-526984A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】AT2011000189
(87)【国際公開番号】WO2011150432
(87)【国際公開日】20111208
【審査請求日】2014年2月13日
(31)【優先権主張番号】A886/2010
(32)【優先日】2010年6月1日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルム ゲー エム ベー ハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンマーレ,ヘルマン
【審査官】 蔵野 いづみ
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/056792(WO,A1)
【文献】 特表2013−509953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00−88/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動家具部品(3)に対して解放可能に連結され且つ少なくとも部分的に直線移動経路(10)に沿って可動に支持された引っ張り部材(12)と、前記引っ張り部材(12)に力を加える少なくとも1つのバネ装置(17)とを備え、前記バネ装置(17)が、前記引っ張り部材(12)から離れたバネホルダ(18)を介して圧力印加されることができる、可動に支持された前記可動家具部品(3)を家具カーカス(2)に対して閉塞端部位置へと引き戻す引き戻し装置(8)であって、
前記バネホルダ(18)が、前記引っ張り部材(12)に又は前記引っ張り部材(12)上に可動に支持されており、
前記引っ張り部材(12)と前記バネホルダ(18)との間を連結する連結装置が設けられており、
前記連結装置によって、前記引っ張り部材(12)が引き出されたときに、前記バネホルダ(18)における前記バネ装置(17)の関節取り付け点(18c)が、動いている前記引っ張り部材(12)の位置に対して後退し、前記バネホルダ(18)における前記バネ装置(17)の前記関節取り付け点(18c)の動作が、前記引っ張り部材(12)の動作よりも遅く、
前記連結装置が少なくとも1つの制御曲線(21)と協働し、前記バネ装置(17)の前記バネホルダ(18)が前記制御曲線(21)に沿ってガイドされることを特徴とする引き戻し装置。
【請求項2】
前記連結装置によって、前記引っ張り部材(12)が前記可動家具部品(3)に対して接続された連結要素(14)を解放する停止位置に入る前に、前記引っ張り部材(12)が引き出されたときに、前記バネホルダ(18)における前記バネ装置(17)の前記関節取り付け点(18c)が、動いている前記引っ張り部材(12)の位置に対して後退することを特徴とする請求項1記載の引き戻し装置。
【請求項3】
前記制御曲線(21)が、前記引っ張り部材(12)の移動経路(10)から少なくとも部分的に離れて形成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の引き戻し装置。
【請求項4】
前記バネホルダ(18)の前記制御曲線(21)が少なくとも部分的に直線状であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項記載の引き戻し装置。
【請求項5】
前記バネホルダ(18)の前記制御曲線(21)が、少なくとも部分的に曲線形状を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項記載の引き戻し装置。
【請求項6】
前記制御曲線(21)の曲線形状が、前記制御曲線(21)の長さの少なくとも3分の1にわたって延びていることを特徴とする、請求項5項記載の引き戻し装置。
【請求項7】
前記引っ張り部材(12)が、前記バネ装置(17)が圧力印加される停止位置と、前記バネ装置(17)が少なくとも部分的に圧力から解放される端部位置との間において可動に支持されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項記載の引き戻し装置。
【請求項8】
前記引っ張り部材(12)が、それを介して前記引っ張り部材(12)が直線移動経路(10)に沿ってガイドされることができ、且つ、停止位置へと移動可能な少なくとも1つのガイド要素(13)を有することを特徴とする、請求項7記載の引き戻し装置。
【請求項9】
前記引っ張り部材(12)が移動可能なスライダ(16)に配置されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項記載の引き戻し装置。
【請求項10】
前記引っ張り部材(12)が、前記スライダ(16)に対して、可動に接続されていることを特徴とする、請求項9記載の引き戻し装置。
【請求項11】
前記引っ張り部材(12)が、前記スライダ(16)に対して、角度調整可能に接続されていることを特徴とする、請求項10記載の引き戻し装置。
【請求項12】
前記連結装置が前記スライダ(16)及び前記バネホルダ(18)を含み、前記スライダ(16)及び前記バネホルダ(18)が、相互に係合する歯構造(22a、22b)を有することを特徴とする、請求項9から11のいずれか一項記載の引き戻し装置。
【請求項13】
前記バネホルダ(18)が2部品又は多部品構造を有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項記載の引き戻し装置。
【請求項14】
前記バネホルダ(18)は、一体に回動可能に接続されたバネ接続部(18a)及び傾斜部(18b)を含み、前記傾斜部(18b)は、少なくとも1つのガイド部(20)を有し、該ガイド部(20)によって前記傾斜部(18)が前記制御曲線(21)に沿ってガイドされることを特徴とする、請求項13記載の引き戻し装置。
【請求項15】
前記バネ装置(17)の前記関節取り付け点(18c)は、前記スライダ(16)のガイド(19)内に制限的移動可能に支持されていることを特徴とする、請求項9から12のいずれか一項記載の引き戻し装置。
【請求項16】
前記スライダ(16)の前記ガイド(19)が溝状であることを特徴とする、請求項15記載の引き戻し装置。
【請求項17】
前記引っ張り部材(12)の動作を減衰することができる減衰装置(23)が設けられていることを特徴とする、請求項1から16のいずれか1項記載の引き戻し装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項記載の引き戻し装置を備える引き出し延伸ガイド。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか1項記載の引き戻し装置又は請求項18記載の引き出し延伸ガイドを備える家具品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動家具部品に対して解放可能に連結されることができ、且つ少なくとも部分的に直線移動経路に沿って可動に支持される引っ張り部材と、引っ張り部材に力を加える少なくとも1つのバネ装置とを備え、バネ装置に、引っ張り部材から分離したバネホルダを介して圧力を加えることができる、家具カーカスに対して閉塞端部位置に可動支持家具部品を引き戻す引き戻し装置に関する。
【0002】
さらに、本発明は、後述する種類の引き戻し装置を有する引き出し延伸ガイド及び家具品に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば本特許出願人による特許文献1にて知られているその種の引き戻し装置は、特に、延伸領域の大部分にわたって自由に動かすことができ且つ閉塞動作の端部に向かってのみ引き戻し装置の引っ張り部材によって係合される引き出し又は引き戸とともに使用され、バネ力によって閉塞端部位置へとしっかりと且つ確実に引っ張られる。
【0004】
それゆえに、可動家具部品は、ユーザによるさらなる力の印加なしに自動的に家具カーカス内に引っ張られ、所定の閉塞力によってそこに保持される。その閉塞動作の最後の部分は、悩ましい衝撃音なしに穏やかな閉塞プロセスが達成されることができるように、追加の減衰装置によって減衰されることができる。
【0005】
可動家具部品の開放の際に、ユーザは、最初に、次の閉塞プロセスにおいて可動家具部品が再度引っ張られることができるように、引っ張り部材が可動家具部品から離れ且つ圧力が加えられた準備位置にバネがとどまるプレストレスが加えられた停止位置へと移動される所定距離まで引っ張ることによって、引き戻し装置のバネ抵抗に抗して力を印加する必要がある。
【0006】
ユーザにとって、引き出しについての開放動作における引っ張り部材の分離は、頻繁に、それ自体のギクシャクした動作を目立つものとし、唐突なバネ分離力の結果として、引き出しは、ここで自由に動かすことができ、以前に与えられた引っ張り力のためにユーザに向かって過度に加速される。
【0007】
請求項1の前提部にかかる引き戻し装置は、例えば特許文献2及び特許文献3において記載されている。それらの構造において、引っ張り部材及びそこから分離したバネホルダが設けられている。
【0008】
しかしながら、その場合、バネ装置の力は、引き出しが開放方向に加速されるとすぐに、プレストレスが加えられた停止位置に引っ張り部材が停止されたときに不意に終わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第0391221B1号明細書
【特許文献2】国際公開第2009/132626A1号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1,470,769A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、特に開放プロセスにおいて可動家具部品の調和動作もまた許容する、本明細書の冒頭部分に記載された汎用種類の引き戻し装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば上記課題は、請求項1の特徴によって達成される。本発明のさらなる有利な構造は、添付された特許請求の範囲において記載されている。
【0012】
それゆえに、したがって、バネホルダが引っ張り部材に又は引っ張り部材上に可動に支持されている場合、引っ張り部材とバネホルダとの間を動作的に連結する連結装置が設けられており、連結装置によって、引っ張り部材が引き出されたときに、バネホルダにおけるバネ装置の関節取り付け点が、動いている引っ張り部材の位置に対して後退し、バネホルダにおけるバネ装置の関節取り付け点の動作が、引っ張り部材の動作よりも遅い。連結装置によって、引っ張り部材が可動家具部品に対して接続された連結要素を解放する停止位置に入る前に、引っ張り部材が引き出されたときに、バネホルダにおけるバネ装置の関節取り付け点が、動いている引っ張り部材の位置に対して後退する。バネホルダは、引っ張り部材に対して連続して且つ可動に接続されている。
【0013】
そのようにして、バネ装置は、停止位置に到達する前に引っ張り部材が穏やか且つなめらかにその内部に移動することができるように、引っ張り部材の移動に対応するものよりも少なく圧力が印加される。その点において、ユーザの観点からすれば、一方では可動家具部品を開放するのにより少ない力が印加される必要があるとともに、他方ではそれほど急でない引っ張りによって引っ張り部材の離脱による遷移が生じる。
【0014】
ある実施形態において、バネホルダに利用される移動距離が引っ張り部材の有効移動距離よりも大きく、それにより、(物理的公式 仕事=力×距離 によれば)より少ない手動力がまた、バネ装置に圧力印加するのに必要とされうる。バネ装置についてより長い圧力印加移動を設けることは、摩擦もまた低減されることができ、したがって、より少ない手動力がまた、可動家具部品を開放するために必要である、ということを意味する。
【0015】
連結装置によって、可動家具部品の動作により、引っ張り部材とバネホルダにおけるバネ装置の関節取り付け点との間の相対位置は変化しうる。
【0016】
連結装置は、例えば、引っ張り部材の直線運動をバネホルダの回動運動に変換することができ、その逆もまたしかりである。その場合、連結装置は、スライダ及びバネホルダを含むことができ、スライダ及びバネホルダは、相互に係合する歯構造を有することができる。可能な実施形態において、歯構造は、バネホルダの転がり領域に配置されることができる一方で、スライダは、真っ直ぐな歯構造を有する。
【0017】
連結装置は、例えば、逓減機構又は逓減伝動装置を有することができ、それにより、引っ張り部材の速度は、少なくとも圧力印加移動の領域にわたってバネホルダのより低い速度まで逓減されることができ、その場合、したがって、バネ装置は、引っ張り部材によってカバーされる各移動単位についてより少なく圧力印加される。そのようにして、引っ張り部材に圧力印加するのに必要とされる力は低減されることができる。その目的のために、連結装置は、少なくとも1つのラック−ギア構造及び/又は(特に異なる長さのレバーアームを持つ)レバー機構を含むことができる。連結装置はまた、ケーブル又はベルトを持つ歯車伝動装置又は逓減構造を有することができる。
【0018】
本発明の実施形態において、連結装置が少なくとも1つの制御曲線と協働し、バネ装置のバネホルダが制御曲線に沿ってガイドされうる。バネ装置のバネホルダが進むことができる制御曲線の存在は、引っ張り部材に作用するバネ力の開始、構成及び終了が、最も多種多様な設計形態において自由に選択されることができる、ということを意味する。
【0019】
制御曲線は、引っ張り部材の移動経路から少なくとも部分的に離れて設けられることができ、又は、(特に引っ張り部材の最後の引き戻し領域において)それと部分的に重なり合うことができる。
【0020】
本発明の実施形態において、バネホルダの制御曲線が、(特に最後の圧力印加移動の領域において圧力印加移動の端部まで)曲線状であり、それにより、プレストレスが加えられた停止位置へと引っ張り部材が動かされたときにおけるバネ力の唐突な停止が軽減されることができる。
【0021】
バネホルダの制御曲線は、引っ張り部材の直線移動経路と少なくとも部分的に非平行関係で延伸することができ、少なくとも部分的に直線状である、又は、実質的に完全に直線構造である。したがって、引っ張り部材の直線移動経路及びバネホルダの制御曲線が、互いに横断して延在する2つの直線を形成することが可能である。代わりに又はさらに、バネホルダの制御曲線が、好ましくはその長さの少なくとも3分の1にわたって且つ好ましくは最後の圧力印加移動の領域において少なくとも部分的に曲線状であることが可能であり、それにより、バネ装置の力の終結が不意に起こるのを少なくする。
【0022】
引っ張り部材は、それ自体公知であるように、バネが圧力印加される停止位置と、バネが少なくとも部分的に圧力から解放される端部位置との間において可動に取り付けられている。引っ張り部材の停止位置は、力ロック及び/又はポジティブロック関係で固定されることができ、停止位置への引っ張り部材の移動はまた、引っ張り部材の直線移動経路から離れている、曲げられた又は角度付けられたガイド部にわたって起こることができる。
【0023】
バネ装置の偏心連結によって引っ張り部材の停止をもたらすこともまた可能であり、それにより、引っ張り部材は、バネ力の作用によって停止位置へと付勢されることができる。
【0024】
他の選択肢は、引っ張り部材が、それを介して引っ張り部材が直線移動経路に沿ってガイドされることができ且つ(好ましくは直線移動経路から離れている、曲げられた又は角度付けられたガイド部に渡って)停止位置へと移動可能な少なくとも1つのガイド要素を有することである。
【0025】
本発明の実施形態において、引っ張り部材はまた、移動可能なスライダに配置されることもできる。その場合、引っ張り部材は、スライダに対して堅く接続されることができ、特にスライダと一体的に形成されることもできる。引っ張り部材が、スライダに対して、可動に、好ましくは角度調整可能に接続されることも可能である。引き出し又は引き出し延伸ガイドの延伸可能レールに対して解放可能に連結されることができる、弾性のある捕捉部の形態でのスライダにおける引っ張り部材の一体構成もまた可能である。
【0026】
バネホルダは、引っ張り部材自体に又は引っ張り部材自体上に(好ましくは引っ張り部材上のガイドに沿って)可動に取り付けられている。バネホルダは、2部品から構成されることができ、又は、多部品構造から構成されることもできる。バネホルダは、少なくとも部分的に直線状に可動に支持されることができ、及び/又は、少なくとも部分的に回動動作を行うことができ、例えば適切な制御曲線の設置によるいかなる問題も有さずに可能とされる。
【0027】
引き戻し動作を減衰するために、引っ張り部材の動作を減衰することができる減衰装置が設けられることができる。その点に関して、減衰装置は、流体ダンパの形態とすることができる。その点に関して、例えば(好ましくは油圧式の)ピストン−シリンダユニットや、減衰ストローク動作において互いに対して回転可能であり且つその間に2つの減衰要素の相対運動を遅らせる流体減衰媒体が配置された少なくとも2つの減衰要素を持つ回転ダンパもまた同様に、多数の変形例が当業者にとって利用可能である。
【0028】
バネ装置は、バネ(特にコイルバネ)を有することができ、又は、引っ張り部材が引き出されたときに全て等しく遠くに動かされる平行バネを備えるバネ束によって形成されることができる。
【0029】
本発明に係る引き出し延伸ガイドは、記載された種類の引き戻し装置によって特徴付けられる。その場合、引き出し延伸ガイドは、家具カーカスに固定されるカーカスレールと、それに対して移動可能とされ且つ閉塞動作の端部に向かって引き戻し装置の引っ張り部材によって係合され且つそれによって完全な閉塞位置へと引っ張られることができる少なくとも1つの引き出しレールとを有する。
【0030】
本発明に係る家具品は、上述した種類の引き出し延伸ガイドによって、及び/又は、本発明に係る引き戻し装置によって家具カーカスに対して閉塞端部位置へと引き戻されることができる可動家具部品によって特徴付けられる。
【0031】
本発明のさらなる詳細及び利点は、以下の具体的な説明によって説明される。図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1a】家具品の斜視図を示しており、引き戻し装置が、一方では引き出し延伸ガイドの一部であり、他方では別個の部品として家具カーカスに固定されている。
図1b】家具品の斜視図を示しており、引き戻し装置が、一方では引き出し延伸ガイドの一部であり、他方では別個の部品として家具カーカスに固定されている。
図2】引き戻し装置の分解図を示している。
図3】組み立てられた状態における引き戻し装置を示しており、引っ張り部材が引き出しの連結要素と係合している。
図4a】引っ張り部材の閉塞位置に完全に引き戻された引き戻し装置の側面図を示している。
図4b】引っ張り部材の閉塞位置に完全に引き戻された引き戻し装置に関する拡大詳細図を示している。
図5a】さらに図5a及び図5bに関して延伸された引っ張り部材の位置を示している。
図5b】さらに図5a及び図5bに関して延伸された引っ張り部材の拡大詳細図を示している。
図6a】引っ張り部材のさらなる開放位置を示しており、その時点からバネホルダの動作が異なる動作特性を続けている。
図6b】引っ張り部材に関する拡大詳細図を示しており、その時点からバネホルダの動作が異なる動作特性を続けている。
図7a図6a及び図6bに関して続けられる開放動作を示しており、引っ張り部材が停止位置の近くにある。
図7b図6a及び図6bに関して続けられる開放動作の拡大詳細図を示しており、引っ張り部材が停止位置の近くにある。
図8a】停止位置に停止された引っ張り部材を備える引き戻し装置を示している。
図8b】連結要素が引っ張り部材から完全に離された図を示している。
図9a】引き戻し装置の代替実施形態を示しており、バネホルダが直線制御曲線に沿ってガイドされている。
図9b】引き戻し装置の代替実施形態を示しており、バネホルダが直線制御曲線に沿ってガイドされている。
図9c】引き戻し装置の代替実施形態を示しており、バネホルダが直線制御曲線に沿ってガイドされている。
図9d】引き戻し装置の代替実施形態を示しており、バネホルダが直線制御曲線に沿ってガイドされている。
図9e】引き戻し装置の代替実施形態を示しており、バネホルダが直線制御曲線に沿ってガイドされている。
図10】他の実施形態にかかる引き戻し装置の分解図を示している。
図11a図10の引き戻し装置の斜視図を示している。
図11b図10の引き戻し装置の拡大詳細図を示している。
図12a図10図11a及び図11bの引き戻し装置の様々な図を示している。
図12b図10図11a及び図11bの引き戻し装置の様々な図を示している。
図12c図10図11a及び図11bの引き戻し装置の様々な図を示している。
図13a図10から図12に示された引き戻し装置の実施形態におけるバネ装置についての圧力印加プロセスの時系列を示している。
図13b図10から図12に示された引き戻し装置の実施形態におけるバネ装置についての圧力印加プロセスの時系列を示している。
図13c図10から図12に示された引き戻し装置の実施形態におけるバネ装置についての圧力印加プロセスの時系列を示している。
図13d図10から図12に示された引き戻し装置の実施形態におけるバネ装置についての圧力印加プロセスの時系列を示している。
図13e図10から図12に示された引き戻し装置の実施形態におけるバネ装置についての圧力印加プロセスの時系列を示している。
図14】可動家具部品の延伸移動に対して描かれた、従来技術にかかる引き戻し装置における開放力の構成と、本発明に係る開放力の可能な構成とのグラフ比較を示している。
図15a】従来技術にかかる2つの概略的に図示された引き戻し装置を示している。
図15b】従来技術にかかる2つの概略的に図示された引き戻し装置を示している。
図16a図15a及び図15bからさらに進歩した本発明に係る引き戻し装置の延伸プロセスの概略図を示している。
図16b図15a及び図15bからさらに進歩した本発明に係る引き戻し装置の延伸プロセスの概略図を示している。
図16c図15a及び図15bからさらに進歩した本発明に係る引き戻し装置の延伸プロセスの概略図を示している。
図17】従来技術にかかる引き戻し装置の他の概略的に図示された実施形態を示している。
図18a図17からさらに進歩した本発明に係る引き戻し装置の延伸プロセスの概略図を示している。
図18b図17からさらに進歩した本発明に係る引き戻し装置の延伸プロセスの概略図を示している。
図18c図17からさらに進歩した本発明に係る引き戻し装置の延伸プロセスの概略図を示している。
図19】動いている引っ張り部材の位置に対して、後退しているバネ関節取り付け点位置の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1aは、家具品1の実施形態の斜視図を示しており、引き出し3aの形態の可動家具部品3は、引き出し延伸ガイド4を介して家具カーカス2に対して動かすことができるように支持されている。
【0034】
引き出し延伸ガイド4は、公知の方法で、家具カーカス2に固定されるカーカスレール5と、カーカスレール5に対して動かすことができる少なくとも1つの引き出しレール7とを有し、可動中央レール6は、順次家具カーカス2に対して引き出し3aの完全な延伸を許容するようにカーカスレール5と引き出しレール7との間に支持されている。
【0035】
引き出し延伸ガイド4は、それによって中央レール6又は引き出しレール7(及びそれとともに引き出し3a)が閉塞動作の端部に向かって係合され且つその後に完全な閉塞位置へと引っ張られることができる引き戻し装置8を有する。
【0036】
図1aにおいて、引き戻し装置8は、延伸ガイド4から解放された状態で家具品1の家具カーカス2に予め嵌合されている。図示された実施形態における延伸ガイド4は、それ自体がバネで補助された引き戻し装置を有しない、いわゆる回転押圧ガイドの形態とすることができる。したがって、引き戻し装置8はまた、組み込まれる自己完結型ユニットの形態で家具カーカス2に嵌合されることができる。
【0037】
図2は、引き戻し装置8の可能な実施形態の分解図を示している。引き戻し装置8は、家具カーカス2か引き出し延伸ガイド4、又は同様に引き出し3aのいずれかに固定されることができる本体9を有する。本体9は、直線移動経路10と、引っ張り部材12をガイドするためにそこから角度付けられた又は曲げられたガイド部11とを有する。
【0038】
引っ張り部材12は、圧力印加プロセスにおいて最初に直線移動経路10に沿って通過し且つその後に曲げられた又は角度付けられたガイド部11へと入るガイド要素13を有することができ、その場合、引っ張り部材12は、プレストレスが加えられた停止位置に解放可能に停止されることができる。引っ張り部材12は、引き出し3a、中央レール8、引き出しレール7、又は、延伸ガイド4のカーカスレール5のいずれかに対して接続された連結要素14に対して解放可能に連結されることができる。
【0039】
連結要素14は、例としてのみ示されており、引っ張り部材12に対して解放可能に連結されることができる突出した突起の形態とすることができる。
【0040】
図示された実施形態において、引っ張り部材12は、本体9に対して直線移動可能に支持されたスライダ16に対して回転軸15(好ましくは水平軸)まわりに角度調整可能に接続されている。引っ張り部材12に力を加えるために、本構造は、それによって引っ張り部材12がその停止位置(及びそれゆえに引き出し3a)を発端として完全な閉塞位置に引っ張られることができるバネ装置17を有する。バネ装置17に圧力印加するための又は引っ張り部材18において引っ張るためのバネホルダ18は、図示された実施形態において多部品構造を有し、バネ接続部18aとともに、関節取り付け点18cを介して一体に回動可能に接続された傾斜部18bを含む。
【0041】
バネ装置17の関節取り付け点18cは、スライダ16の(例えば溝状の)ガイド19内に制限的移動可能に支持されている。傾斜部18bは、本体9の制御曲線21に沿って移動可能に取り付けられた、すなわち直線移動経路10から離れているガイド部20を有する。図示された実施形態において、制御曲線21は、直線部と曲線部とを有し、バネ装置17は、制御曲線21の曲線部にわたって圧力印加移動の端部に向かって圧力印加されることができる。2つの協働する歯構造22a及び22bを有する連結装置もまた図示されており、それにより、バネホルダ18の相対位置は、直線移動可能なスライダ16に対して可変とされる。
【0042】
図において、傾斜部18bは、スライダ16の歯構造22bに対して転がることができる歯構造22aを有する。スライダ16の歯構造22bは、真っ直ぐな又は直線状の歯構造の形態とすることができる。引っ張り部材12の閉塞動作を減衰するために(及びそれゆえに引き出し3aの最後の閉塞動作を減衰するために)、図示された実施形態においてはピストン−シリンダユニットの形態である減衰装置23が設けられることができ、ピストンロッド25を持つピストンは、シリンダ24内で動かすことができるように配置されている。シリンダ24は、スライダ16に固定されることになり、ピストンロッド25は、組み立てられた状態で本体9の対応する当接部26に接触して支持されている。
【0043】
引っ張り部材12のバネで補助された引き戻し動作において、シリンダ24は、固定ピストンロッド25に対して移動され、その引き戻し動作は、流体減衰及び/又は摩擦減衰によって減衰されることができる。
【0044】
図3は、組み立てられた状態における引き戻し装置8の斜視図を示しており、引き戻し装置8を覆うカバーは、図の明瞭さのために示されていない。回転軸15まわりに角度調整可能に取り付けられた引き戻し装置8の引っ張り部材12は、完全に引き戻された位置にあり、その場合、引き出し3aの連結要素14と係合している。引き出し3aを引っ張ることにより、引っ張り部材12は、延伸方向(A)において直線移動経路10に沿ってガイド要素13を介して引っ張られる一方で、バネホルダ18の傾斜部18bは、別個の制御曲線21に沿ってガイド部20を介して動かされ、それにより、バネ装置17に圧力印加される。歯構造22aを有し且つ関節取り付け点18cを介してバネ接続部18aに対して回動可能に接続された傾斜部18bが図示されている。
【0045】
減衰装置23のシリンダ24はまた、延伸動作において直線移動可能なスライダ16と共に動かされ、ピストンロッド25は、本体9の対応する当接部26に常に接触して支持されている。
【0046】
図4aは、引き戻し装置8の側面図を示しており、引っ張り部材12は、引き出し3aの連結要素14に対して連結されており、完全に引き戻された閉塞位置にある。
【0047】
図4bは、図4aにおいて丸が付けられた領域の拡大スケールの図を示している。ここで引き出し3aが完全な閉塞位置から引っ張られた場合、引っ張り部材12はまた、バネ装置17の力に抗して延伸方向Aに動かされる。引っ張り部材12は、図2に示されるガイド要素13を介して直線移動経路10に沿って動かされることができる一方で、バネホルダ18の傾斜部18bは、好ましくは曲げられた制御曲線21に沿ってガイド部20を介してガイドされることができる。
【0048】
図5aは、さらに図4a及び図4bに関して引き出された引っ張り部材12の開放位置を示している。図5bは、図5aにおいて丸が付けられた領域の拡大詳細図を示している。その延伸方向(A)における延伸動作の開始時に、傾斜部18bの歯構造22aは、スライダ16の歯構造22bに対して転がらず、したがって、スライダ16によってカバーされる移動距離は、それによってバネホルダ18によってカバーされる移動距離と略一致している。
【0049】
したがって、当初、これは、スライダ16とバネホルダ18との間で同じ動作関係を含む。このプロセスにおいて、減衰装置23のシリンダ24はまた、ピストンロッド25がシリンダ24から引っ張られるように動かされる。ピストンロッド25は、例えばシリンダ24内に支持された戻りバネの力により、本体9の対応する当接部26に接触して支持されることができる。当然のことながら、ピストンロッド25はまた、対応する当接部26に対して固定的に接続されることができる。
【0050】
図6aは、さらに図5a及び図5bに関して延伸されている引っ張り部材12の開放位置を示しており、連結装置の機能(図示された実施形態においては、その歯構造22bを持つスライダ16と、その歯構造22aを持つ傾斜部18bとを含む)が説明されている。スライダ16に対する傾斜部18bの所定の相対位置より、転がり領域に配置されている傾斜部18bの歯構造22aは、スライダ16の真っ直ぐな歯構造22bに接触して転がることができ、それにより、傾斜部18bは、スライダ16に対して、すなわち、制御曲線21内に支持され且つその場合回転軸を形成する連結要素20まわりに回動可能とされる。ここで引き出し3aがさらに引っ張られた場合、その動作は、バネ接続部18aに対して異なる動作関係で続けられ、したがって、バネ装置17には、それによって引っ張り部材12によってカバーされる移動の単位あたりに少ない圧力が印加される。そのように、バネ装置17に圧力印加するのに必要とされる力は低減されることができる。
【0051】
図6bは、図6aにおいて丸が付けられた領域の拡大図を示している。
【0052】
図7aは、圧力印加動作において直線移動経路10の端部にここで到達している引っ張り部材12の位置を示している。図示された実施形態において、引っ張り部材12は、その先端において、ガイド要素13(図3)を有し、それにより、続く開放動作において、スライダ16に対して回転軸15まわりに傾けられることができる。その構造において、引っ張り部材12のガイド要素13は、曲げられた又は角度付けられたガイド位置11に入ることができ、それにより、ここで圧力印加されている引っ張り部材12及びバネ装置17は、停止位置に停止されることができる。ここで明確に留意すべきは、当業者はまた、その点に関して独創性がある活動を有しない引っ張り部材12の傾斜動作について、例としてさらなる実施形態を見出すことができるということである。
【0053】
図7bは、図7aにおいて丸が付けられた領域の拡大図を示している。
【0054】
ここで図8aは、停止位置へと傾けられて停止された引っ張り部材12を示しており、連結要素14は、引っ張り部材12の傾斜動作によって解放され、その後すぐに、引き出し3aは、残りの延伸移動経路にわたって自由に移動可能とされる。引っ張り部材12から完全に離された連結要素14が図8bに示されている。
【0055】
引っ張り部材12は、引き出し3aが再度押圧され且つそれゆえに連結要素14が再度引っ張り部材12に接近するまで、ここでその停止位置にとどまっている。閉塞動作の端部に向かって、連結要素14は、引っ張り部材12の切り込みに入ることができ、それにより、引っ張り部材12は、再度、停止された停止位置から傾き、以前にかけられたバネ装置11の力によって直線移動経路10に沿って完全な閉塞位置に入る。その引き戻し動作は、減衰装置23によって減衰されることができる。
【0056】
図示された実施形態において、スライダ16に支持されたシリンダ24は、固定ピストンロッド25に対して押圧され、その場合、制動効果が特にシリンダ24内の流体によって生成されることができる。そして、引き出し3aの開放による圧力印加プロセスは、図4aから図8bに示されたように、再度改めて開始することができる。
【0057】
図9a−図9eは、圧力印加プロセスの時系列において、直線状に延在している制御曲線21を持つ代替実施形態を示している。図9aは、引き戻し装置8の側面図を示しており、引き戻し装置8はまた、同じ部品を示す同じ参照符号を持つ先の図の全ての構成要素を有することができる。したがって、先の図に対する差異は、バネホルダ18(軸ピンの形態である関節取り付け点18cを介して一体に回動可能に接続されたバネ接続部18a及び傾斜部18b)をガイドする制御曲線21が、(好ましくは排他的に)直線状に延在しているということである。傾斜部18bは、少なくとも1つのガイド部20を有し、それによって傾斜部18bが制御曲線21に沿ってガイドされる。
【0058】
図9aは、閉塞位置における引き戻し装置8を示している。引っ張り動作は、引き出し3a(図1a)を手で引っ張ることによって連結要素14を介して引っ張り部材12に加えられる。その場合、傾斜部18bの歯構造22aは、スライダ16の歯構造22bにぶつかる(図9b)。
【0059】
さらなる引っ張り動作が引き出し3aに加えられたとき、ガイド部20は、制御曲線21の端部に移動し(図9c)、ガイド部20は、その位置から、傾斜部18bについての回動軸を形成する。引っ張り部材に配置されたガイド要素13(例えば図3)を介して、引っ張り部材12が曲げられた又は角度付けられた部分11に入ることができることが、図9dからわかるであろう。その場合、引っ張り部材12は、回動軸15を介してスライダ16に対して角度調整可能とされ、引き出し3aが残りの延伸移動にわたって自由に動かされることができるように、引き出し3に対して接続された連結要素14を解放する。
【0060】
したがって、図9d及び図9eにおいて、引っ張り部材12は、(好ましくは図3に示されたガイド要素13を介して)プレストレスが加えられた停止位置に停止される。引き出し3aの次の閉塞動作において、連結要素14は、引っ張り部材12のより近くに移動し、それをプレストレスが加えられた停止位置からガイドし、それにより、連結要素14(及びそれとともに引き出し3a)は、以前に圧力印加されたバネ装置17によって閉塞端部位置に入ることができ、その引き戻し動作は、図9aに示された減衰装置23によって減衰されることができる。バネホルダ18は、制御曲線21を介してより長い圧力印加移動にわたってガイドされることができ、それにより、より少ない手動力がまた、バネ装置17を圧力印加するのに必要とされる。
【0061】
図10は、他の実施形態の引き戻し装置8の分解図を示している。
【0062】
本体9上に又は本体9内に設けられているものは、傾斜部18bをガイドする及び/又は引っ張り部材12をロックする2つのガイド部21a及び21bを有する制御曲線21である。さらに本体9上に配置されているものは、直線移動経路10と、引っ張り部材12をガイドする、それに隣接した、曲げられた又は角度付けられた部分11である。引っ張り部材12は、移動経路10に沿って且つ角度付けられた又は曲げられた部分11に沿ってガイド要素13を介してガイドされることができる。バネ装置17は、一方では本体9の取り付け点17aに固定的に固定されることができるとともに、他方ではバネ接続部18aに対して連結されている。
【0063】
バネ接続部18aは、関節取り付け点18cを介して傾斜部18bに対して移動可能に接続されている。傾斜部18bは、取り付け位置においてスライダ16の対応する歯構造22bと係合する弧状の歯構造22aを有する。傾斜部18bに配置されているものは、(制御曲線21のガイド部21bには入らないが)制御曲線21のガイド部21aに入ることができる第1のガイド部20aである。さらに、傾斜部18bは、制御曲線21のガイド部21aには入らないがガイド部21bに入ることができる第2のガイド部20bを有する。その種のガイドは、異なる径及び/又は異なる長さを有することができるピン状のガイド部20a及び20bによって可能とされる。さらに、制御曲線21のガイド部21a及び21bはまた、異なる通路幅及び/又は異なる通路深さを有することができる。引っ張り部材12は、スライダ16に対して(好ましくは回転水平軸15を介して)回動可能に接続されている。スライダ16に支持されているものは、引っ張り部材12(及びそれとともに引き出し3a)の引き戻し動作を減衰することができる、ピストン−シリンダユニット24、25を有する減衰装置23である。
【0064】
図11aは、図10に示される引き戻し装置8の斜視図を示している。図11aにおいて丸が付けられた領域と対照的に、図11bには、拡大図として示されている。図示された図において、引き戻し装置8は、完全に引き戻された閉塞位置にある。ここで引っ張り力が閉塞位置における引き出し3aに加えられた場合、引っ張り部材12は、直線移動経路10に沿って動かされることができる。その延伸動作の開始時に、傾斜部18の歯構造22aは、スライダの歯構造22bに対するその相対位置になおもとどまることができる。
【0065】
図12aは、引き戻し装置8の後側の斜視図を示している。(図12bにおける拡大詳細図から明らかにわかるように)傾斜部18bの2つのガイド部20a及び20bが異なる径及び異なる長さを有することができることが図示されている。本体9の一部が、制御曲線21と、そこから分岐した2つのガイド部21a及び21bとを有することが、図12cに示されている。ガイド部21a及び21bは、異なる通路幅を有し、各ガイド部20a及び20bを受け入れるように設けられている。その構成により、バネ装置17の圧力印加によってガイド部20aのみがガイド部21aに入ることができる一方で、それとは対照的に、ガイド部20bのみが制御曲線21のガイド部21bに入ることができる。
【0066】
図13a−13eは、バネ装置17についての圧力印加プロセスの時系列を示している。図13aにおいて、引き出し3aは、完全な閉塞位置にある。引き出し3aを引っ張ることにより、連結要素14もまた動かされ、それにより、引っ張り部材12もまた、直線移動経路10に沿って延伸方向(A)に引っ張られ、バネ装置17には圧力が印加される。傾斜部18bの2つのガイド部20a及び20bは、制御曲線21の直線部内に配設されるとともに、傾斜部18bの歯構造22aは、スライダ16の歯構造22bに対して接続される。ここで引き出し3aがさらに引っ張られた場合、ガイド部20aは、ガイド部21aに入り(図13b)、その後すぐに、傾斜部18bは回動され、ガイド部20aは、ガイド部21aの端部に突き当たる。より大きい径を有するガイド部20bは、ここで、制御曲線21のより広いガイド部21bに入ることができ(図13c)、傾斜部18bの歯構造22a及びスライダ16の歯構造22bは、互いに対して動かされることができ、それにより、傾斜部18は、反時計回り方向に回動される(図13d)。
【0067】
図13eにおいて、引っ張り部材12は、曲げられた又は角度付けられた部分11へと動かされ、引き出し3aの連結要素14が解放され且つ引き出し3aが残りの延伸移動にわたって自由に動かされることができるように、引っ張り部材12は、スライダ16に対して回動される。したがって、引っ張り部材12の傾斜動作の直前に、力が傾斜部18aに伝えられ、傾斜部18bを介して、且つ、ガイド部21a及び21bに配設されたガイド部20a、20bを介して、引っ張り部材12が準備位置に停止されることができるため、引っ張り部材12は、それ自体、もはやそれ以上、引っ張り力に実質的にさらされない。
【0068】
図14は、引き出し3aの延伸移動Sに関して描かれた、従来技術にかかる引き戻し装置の場合における開放力変動X1と、本発明に係る例としての開放力変動X2とのグラフ比較を概略的に示している。従来技術における開放力変動X1の場合、閉塞位置にある引き出し3aは引っ張られ、その場合、引き出し3aを開放するのに必要とされる力は、まず、引っ張り部材12の停止が力Fの急激な落ち込みを生じさせるまで線形的に上昇する。その力Fの落ち込みは、(望ましくない)開放方向への引き出し3aの加速により、ユーザにとって明らかとなる。
【0069】
本発明に係る開放力変動X2の場合、引き出し3aを開放するのに必要とされる力もまた、最初に上昇するが、その力は、その後に連続的に落ち込み、それにより、開放プロセスについての調和動作特性をもたらすことができる。引き出し3aを開放するのに必要とされる力が開放力変動X1に関連して低減されるということもまた、開放力変動X2から明らかである。
【0070】
図15a及び図15bは、従来技術にかかる2つの異なる引き戻し装置8を概略的に示している。
【0071】
図15aは、引っ張り部材12が回転軸15まわりに角度調整可能に支持された直線状に移動可能なスライダ16を示している。角度調整可能な部分の形態である引っ張り部材12は、2つのガイド要素13を介して直線移動経路10に沿って移動可能に支持されており、引き出し3aの連結要素14が離されることができるように、曲げられた又は角度付けられた部分11へと延伸動作の端部に向かって傾斜位置に動かされることができる。
【0072】
図15aにおいて、バネ装置は、直線状に移動可能なスライダ16に関節接合されている一方で、図15bにおいて、バネ装置17は、角度調整可能に取り付けられた引っ張り部材12に直接係合している。
【0073】
図16a−図16cは、図15及び図15bに示されたような既に公知である引き戻し装置8の進歩を示す、引き戻し装置8の延伸プロセスの時系列を概略的に示している。
【0074】
引っ張り部材12が回転軸15まわりに取り付けられる直線状に移動可能なスライダ16が図示されている。スライダ16に取り付けられるものは、図16aにおいて引っ張り部材12の近くにあるバネ装置17の関節取り付け点18cである。引き出し3aの延伸動作において、バネ装置17の関節取り付け点18cは、図16bに示されるように、引っ張り部材12の移動経路10に対して後退する。
【0075】
図16cは、引き出し3aの連結要素14を既に解放した引っ張り部材12の傾斜位置を示している。バネ装置17の圧力印加移動が、関節取り付け点18cの図示された位置によって、低減した引張荷重のもとに引っ張り部材12が傾斜した停止位置へと移動されることができるように、引っ張り部材12の移動経路10未満であるということがわかるであろう。
【0076】
図17は、従来技術に係る引き戻し装置8の他の実施形態を示しており、バネ装置17は、角度調整可能に取り付けられた引っ張り部材12に直接係合している。
【0077】
図18a−図18cは、この従来技術にかかる構成の進歩を参照した延伸プロセスの時系列を示している。図18aにおいて、バネ装置17は、バネホルダ18を介して引っ張り部材12に対して連結される。ここで引き出し3aが引っ張られたとき、関節取り付け点18cは、引っ張り部材12に対して後退する(図18b)。
【0078】
図18cは、引っ張り部材12の傾斜位置を示しており、連結要素14は、既に解放されている。その場合、バネ装置17の関節取り付け点18cは、引っ張り部材12における最大圧力を低減し且つそれゆえに引っ張り部材12がより穏やかに停止位置に移動するのを許容するように、順次低減された速度で引っ張り部材12に対して動かされた。
【0079】
図19は、動いている引っ張り部材12の位置に対して後退するときのバネ関節取り付け点18cの概略図を示している。バネ装置17が実質的に圧力から解放されている閉塞位置を発端として、バネ関節取り付け点18cは、引っ張り部材12が引き出されたとき、引っ張り部材12と実質的に同じ速度で第1の移動S1に沿って動かされる。第1の移動S1に隣接する第2の移動S2に沿って、バネ装置17の関節取り付け点18cは、増え続ける引っ張り部材12とバネ関節取り付け点18cとの間の移動間隔ΔX1、ΔX2、ΔX3、ΔX4から明らかなように、動いている引っ張り部材12の位置に対してますます後退する。
【0080】
本発明は、図示された実施形態に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲内に含まれることができる全ての変形例及び技術的均等物を包含する又はそれに及ぶ。例えば、「上」、「下」、「横」等の説明において採用された位置の言及はまた、使用される構成要素の取り付けの通常の位置及び図示された図面に関連しており、位置の変化に応じて新たな位置に適切に移動されることになる。
【0081】
制御曲線21は、実質的に線状動作を許容するのみであるいかなる装置によっても形成されることができる。制御曲線21は、真っ直ぐとする若しくは曲げられることができ、又は、部分的に真っ直ぐとする及び/又は部分的に曲げられることもできる。ここでもまた留意すべきは、引っ張り部材12を駆動するために電気モータが設けられることもできるということである。
【0082】
さらに、記載された引き戻し装置8は、引き出し3a又は引き出し延伸ガイド4についてのみならず、一般に、引き戸、回動扉、フラップ等の可動家具部品3にも使用されることができる。引き出し延伸ガイド4とともに引き戻し装置8を使用するとき、引き戻し装置8がカーカスレール5上に配置され、且つ、連結要素14が、中央レール6、引き出しレール7又は引き出し3a上に配置されることができる。機械的な反転において、当然のことながら、引き戻し装置8が、中央レール6、引き出しレール7又は引き出し3a上に取り付けられる一方で、連結要素14が、カーカスレール5又は家具カーカスに対して固定される他の構成要素上に配置されるということもまた可能である。
図1a
図1b
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図9c
図9d
図9e
図10
図11a
図11b
図12a
図12b
図12c
図13a
図13b
図13c
図13d
図13e
図14
図15a
図15b
図16a
図16b
図16c
図17
図18a
図18b
図18c
図19