特許第5934199号(P5934199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5934199電気絶縁特性が向上した全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934199
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】電気絶縁特性が向上した全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/03 20060101AFI20160602BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20160602BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
   C08L67/03
   C08K3/34
   C08K7/02
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-518231(P2013-518231)
(86)(22)【出願日】2011年6月14日
(65)【公表番号】特表2013-530291(P2013-530291A)
(43)【公表日】2013年7月25日
(86)【国際出願番号】KR2011004324
(87)【国際公開番号】WO2012005452
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2014年5月28日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0065456
(32)【優先日】2010年7月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514274443
【氏名又は名称】深▲せん▼市沃特新材料股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヨン・ハク
(72)【発明者】
【氏名】リー,ヨン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ミュン・セ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジン・キュ
(72)【発明者】
【氏名】キム,マン・ジョン
【審査官】 井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−037061(JP,A)
【文献】 特開2010−138228(JP,A)
【文献】 特開平10−219085(JP,A)
【文献】 特開2007−254717(JP,A)
【文献】 特開2003−171538(JP,A)
【文献】 特開平04−213354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K3/00−13/08
C08L1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全芳香族液晶ポリエステル樹脂と、
表面抵抗が1013Ω/sq以上である、雲母でない第1無機充填剤と、
表面抵抗が1013Ω/sq以上であって、前記第1無機充填剤より耐熱度(ASTM D648)及び機械的強度の高い第2無機充填剤と、を含み、
前記第1無機充填剤の含有量は、前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して、16.7ないし40重量部であり、
前記第2無機充填剤の含有量は、前記全芳香族ポリエステル樹脂100重量部に対して、16.7ないし40重量部であり、
耐アーク性等級(ASTM D495)が3等級以下であり、耐熱度(ASTM D648)が250℃以上である全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド。
【請求項2】
前記第1無機充填剤は滑石及び珪灰石からなる群から選択された少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド。
【請求項3】
前記第2無機充填剤は、ガラス長繊維、ガラス短繊維及びウィスカからなる群から選択された少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド。
【請求項4】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の樹脂コンパウンドを含む変圧器部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンドに係り、さらに詳細には、導電性の低い無機充填剤を含み、優秀な電気絶縁特性を有する全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンドに関する。
【背景技術】
【0002】
全芳香族液晶ポリエステル樹脂(wholly aromatic liquid crystalline polyester resin)は、耐熱性及び寸法安定性に優れ、溶融時の流動性に優れ、精密射出成形材料として、電子部品分野を中心に広く使われている。特に、このような全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、優秀な寸法安定性と電気絶縁性とによって、電子材料用フィルム及び基板用素材として、その用途が拡大されている。
【0003】
具体的には、前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、樹脂コンパウンド状に製造された後、高電気絶縁特性が要求される電子部品分野に広く使われている。しかし、従来の樹脂コンパウンドは、電気絶縁性が十分に高くなく、電子レンジなどの高電圧が使われる電子部品の素材として使われる場合、絶縁が破壊されて、耐アーク性(arc resistance)が低下することによって、部品破壊を招くという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、導電性が低い無機充填剤を含み、優秀な電気絶縁特性を有する全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面は、全芳香族液晶ポリエステル樹脂と、表面抵抗が1013Ω/sq以上である第1無機充填剤と、表面抵抗が1013Ω/sq以上であって、前記第1無機充填剤より耐熱度(ASTM D648)及び機械的強度の高い第2無機充填剤と、を含み、耐アーク性等級(ASTM D495)が3等級以下であり、耐熱度(ASTM D648)が250℃以上である全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンドを提供する。
【0006】
前記第1無機充填剤は、雲母、滑石及び珪灰石(wollastonite)からなる群から選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0007】
前記第1無機充填剤の含有量は、前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して、5ないし40重量部でありうる。
【0008】
前記第2無機充填剤は、ガラス長繊維、ガラス短繊維及びウィスカ(whisker)からなる群から選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0009】
前記第2無機充填剤の含有量は、前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して、5ないし40重量部でありうる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、導電性が低く、耐熱度及び機械的強度の高い無機充填剤を含むことによって、電気絶縁特性、耐熱度及び機械的強度に優れ、高電圧用電子部品の素材として使われ得る全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンドが提供され得る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態による全芳香族液晶ポリエステル樹脂(wholly aromatic liquid crystalline polyester resin)コンパウンド及びその製造方法について詳細に説明する。
【0012】
本発明の一実施形態による全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンドは、全芳香族液晶ポリエステル樹脂、表面抵抗が1013Ω/sq以上である第1無機充填剤、及び表面抵抗が1013Ω/sq以上であって、前記第1無機充填剤より耐熱度(ASTM D648)及び機械的強度の高い第2無機充填剤を含み、耐アーク性等級(ASTM D495)が3等級以下であり、耐熱度(ASTM D648)が250℃以上である。ここで、「機械的強度」とは、引っ張り強度及び曲げ強度のように、外力によって変形されない性質を意味する。
【0013】
前記第1無機充填剤及び第2無機充填剤の表面抵抗が前記範囲内であるならば、前記第1無機充填剤及び第2無機充填剤が不導体の性質を有し、これを含む全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンドに優秀な電気絶縁特性を付与することができる。また、前記第1無機充填剤より、耐熱度及び機械的強度に優れる第2無機充填剤は、これを含む全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンドに、高い耐熱度及び機械的強度を付与することができる。また、前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンドの耐アーク性等級(ASTM D495)が3等級以下であり、耐熱度(ASTM D648)が250℃以上であるならば、前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンドは、高電圧で作動する電子部品の素材として使われる場合にも絶縁が維持され、アーク放電が発生せず、部品破壊が防止され得る。
【0014】
前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、下記段階を経て製造され得る:
(a)少なくとも2種の単量体を縮重合することにより、全芳香族液晶ポリエステル・プレポリマーを合成する段階;
(b)前記プレポリマーを固相縮重合することにより、全芳香族液晶ポリエステル樹脂を合成する段階。
【0015】
前記(a)段階で使われる単量体は、芳香族ジオール、芳香族ジアミン及び芳香族ヒドロキシアミンからなる群から選択された少なくとも1種の化合物、及び芳香族ジカルボン酸を含む。また、前記単量体は、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び/または芳香族アミノカルボン酸をさらに含むことができる。
【0016】
前記(a)段階の合成方法としては、溶液縮重合法、塊状縮重合法(bulk condensation polymerization)が使われ得る。また、前記(a)段階で縮合反応を促進させるために、アシル化剤(特に、アセチル化剤)などの化学物質で前処理され、反応性が上昇した単量体(すなわち、アシル化された単量体)が使われ得る。
【0017】
前記(b)段階の固相縮重合反応のためには、前記プレポリマーに適当な熱が提供されなければならない。このような熱の提供方法としては、加熱板を利用する方法、熱風を利用する方法、高温の流体を利用する方法などがある。固相縮重合反応時に発生する副産物を除去するために、不活性ガスを利用したパージや、真空による除去を実施することができる。
【0018】
前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、それぞれ多様な反復単位を、鎖内に含み、例えば、次のような反復単位を含むことができる:
(1)芳香族ジオールから由来する反復単位:
−O−Ar−O−
(2)芳香族ジアミンから由来する反復単位:
−HN−Ar−NH−
(3)芳香族ヒドロキシアミンから由来する反復単位:
−HN−Ar−O−
(4)芳香族ジカルボン酸から由来する反復単位:
−OC−Ar−CO−
(5)芳香族ヒドロキシカルボン酸から由来する反復単位:
−O−Ar−CO−
(6)芳香族アミノカルボン酸から由来する反復単位:
−HN−Ar−CO−
【0019】
前記化学式で、Arは、フェニレン、ビフェニレン、ナフタレンまたは2個のフェニレンが、炭素または炭素ではない元素に結合された芳香族化合物;またはフェニレン、ビフェニレン、ナフタレンまたは2個のフェニレンが炭素または炭素ではない元素に結合された芳香族化合物において、1個以上の水素が他の元素で置換された芳香族化合物であり得る。
【0020】
前記第1無機充填剤は、雲母、滑石及び珪灰石(wollastonite)からなる群から選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0021】
前記第1無機充填剤の含有量は、前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して、5ないし40重量部であり得る。前記第1無機充填剤の含有量が前記範囲内であるならば、前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンドの電気絶縁特性向上の効果が顕著である。
【0022】
前記第2無機充填剤は、ガラス長繊維、ガラス短繊維及びウィスカ(whisker)からなる群から選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0023】
また、前記第2無機充填剤の含有量は、前記全芳香族ポリエステル樹脂100重量部に対して、5ないし40重量部でありうる。前記第2無機充填剤の含有量が前記範囲内であるならば、前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンドの電気絶縁特性を高く維持しつつも、第1無機充填剤が十分に提供することができない物性、例えば、耐熱性及び機械的強度を提供することができる。
【0024】
前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンドは、添加剤として、計量安定剤(stabilizer)をさらに含むことができる。前記計量安定剤は、モンタン酸カルシウム(Ca−MON)、ベヘン酸カルシウム(Ca−BEH)及びステアリン酸カルシウム(Ca−ST)からなる群から選択された少なくとも一種を含むことができる。
【0025】
前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンドは、全芳香族液晶ポリエステル樹脂100重量部、前記第1無機充填剤5ないし40重量部、及び前記第2無機充填剤5ないし40重量部を混合して樹脂組成物を製造し、前記樹脂組成物を乾燥させた後、溶融混練することによって製造されうる。
【0026】
このような溶融混練のために、二軸圧出機、回分式混練機またはミキシングロールなどが使われ得る。また、円滑な溶融混練のために、溶融混練時に、滑剤が使われ得る。
【0027】
また、前記溶融混練後、前記製造された全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンドの射出成形の安定性及び計量性を高めるために、前述の計量安定剤が前記樹脂コンパウンドに添加され得る。
【0028】
前記溶融混練後、または前記計量安定剤の添加後、前記第1無機充填剤及び第2無機充填剤並びに計量安定剤のような添加剤が、それらを含む全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンドの表面に等しく融着されるように、前記樹脂コンパウンドを十分に混合した後、前記添加剤の溶融温度以上で2時間以上乾燥させることができる。
【0029】
また、本発明の一実施形態は、前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンドを含む変圧器部品、例えば、絶縁膜を提供することができる。
【0030】
以下、実施例を挙げて、発明についてさらに詳細に説明するが、本発明がかかる実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0031】
(1)全芳香族液晶ポリエステル樹脂の選択
三星精密化学株式会社のKF grade全芳香族ポリエステル樹脂を使用した。示差走査熱量計を使用して測定した前記樹脂の溶融点は、350℃であった。
【0032】
(2)全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド(1)の製造
前記(1)で選択した全芳香族液晶ポリエステル樹脂、雲母(表面抵抗=1013Ω/sq)(東洋素材産業、Mica#400)及びガラス短繊維(表面抵抗1013Ω/sq)(ソンジンファイバ、MF150W−NT)を、重量基準で6:1:3の割合で自動混合機(第一産業機器)に投入し、20分間混合した後、四角式乾燥オーブン(第一産業機器)を使用し、130℃で2時間乾燥させた後、二軸圧出機(L/D:40、直径:25mm)(Collin社)を使用し、溶融混練して全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド(1)を製造した。また、前記溶融混練時、前記二軸圧出機に真空を加えて副産物を除去した。
【0033】
(3)全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド(1)に計量安定剤を添加
前記(2)で製造した全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド(1)に、ステアリン酸カルシウム(Ca−ST)を、前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド(1)の重量基準で100ppm添加した後、自動混合機(第一産業機器)で10分間混合し、四角式乾燥オーブン(第一産業機器)で、130℃で2時間乾燥させた。
【実施例2】
【0034】
前記実施例1の(1)で選択した全芳香族液晶ポリエステル樹脂、雲母(表面抵抗=1013Ω/sq)(東洋素材産業、Mica#400)及びガラス短繊維(表面抵抗1013Ω/sq)(ソンジンファイバ、MF150W−NT)の混合比を、重量基準で6:2:2に変更したことを除いては、前記実施例1と同じ方法で、全芳香族液晶ポリエステル樹脂のコンパウンド(2)を製造した。
【実施例3】
【0035】
前記実施例1の(1)で選択した全芳香族液晶ポリエステル樹脂、雲母(表面抵抗=1013Ω/sq)(東洋素材産業、Mica#400)及びガラス短繊維(表面抵抗1013Ω/sq)(ソンジンファイバ、MF150W−NT)の混合比を、重量基準で6:3:1に変更したことを除いては、前記実施例1と同じ方法で、全芳香族液晶ポリエステル樹脂のコンパウンド(3)を製造した。
【0036】
〔比較例1〕
前記実施例1の(1)で選択した全芳香族液晶ポリエステル樹脂、雲母(表面抵抗=1013Ω/sq)(東洋素材産業、Mica#400)及びガラス短繊維(表面抵抗1013Ω/sq)(ソンジンファイバ、MF150W−NT)の混合比を、重量基準で6:1:0に変更したことを除いては、前記実施例1と同じ方法で、全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド(4)を製造した。
【0037】
〔比較例2〕
前記実施例1の(1)で選択した全芳香族液晶ポリエステル樹脂、雲母(表面抵抗=1013Ω/sq)(東洋素材産業、Mica#400)及びガラス短繊維(表面抵抗1013Ω/sq)(ソンジンファイバ、MF150W−NT)の混合比を、重量基準で6:0:3に変更(すなわち、雲母を使用せず)したことを除いては、前記実施例1と同じ方法で、全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド(5)を製造した。
【0038】
〔評価例〕
前記実施例1ないし3及び比較例1,2で製造したそれぞれの全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド(1)ないし(5)を射出原料として、射出成形機(FANUC ROBOSHOT 2000i−50B)を使用し、シリンダ温度が380℃であり、金型温度が120℃であり、射出速度が150mm/sであり、冷却時間が10秒である条件で、横50mm×縦50mm×厚み3mmの試片をそれぞれ製造した後、前記各試片の物性を下記のような方法で測定した。
【0039】
(耐熱度の測定)
各試片の耐熱度をASTM D648によって測定した。
(耐アーク性(電気絶縁特性)の測定)
各試片の耐アーク性をASTM D495によって測定した。測定された耐アーク性等級の数字が小さいほど、耐アーク性に優れるということを意味する。
(引っ張り強度測定)
各試片の引っ張り強度をASTM D638によって測定した。
(曲げ強度測定)
各試片の曲げ強度をASTM D790によって測定した。
【0040】
【表1】
【0041】
前記表1を参照すれば、実施例1ないし3で製造された全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド(1)ないし(3)は、耐熱度、耐アーク性、引っ張り強度及び曲げ強度がいずれも高いことが分かり、優秀な耐アーク性(電気絶縁特性)と機械的特性とのいずれもが要求される高電圧用電子部品の素材に適しているという事実を確認することができる。しかし、比較例1で製造された全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド(4)は、耐熱性及び耐アーク性は高いが、引っ張り強度及び曲げ強度は低いことが分かり、機械的特性が重要である高電圧用電子部品の素材には適さないという事実が分かる。
【0042】
一方、比較例2で製造された全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド(5)は、耐熱度、引っ張り強度及び曲げ強度は高いが、耐アーク性が非常に低いことが分かり、優秀な耐アーク性が必須に要求される高電圧用電子部品の素材には適さないという事実が分かる。
【0043】
本発明は、実施形態を参考にして説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、本技術分野の当業者であるならば、それらから多様な変形及び均等な他の具現例が可能であるという点を理解することができるであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決まるものである。