特許第5934212号(P5934212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5934212複数のプロスタグランジン受容体に作用し、一般的な抗炎症反応を生じる化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934212
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】複数のプロスタグランジン受容体に作用し、一般的な抗炎症反応を生じる化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/04 20060101AFI20160602BHJP
   A61K 31/422 20060101ALI20160602BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20160602BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160602BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
   C07D413/04CSP
   A61K31/422
   C07D413/14
   A61P43/00 112
   A61P29/00
【請求項の数】24
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2013-524996(P2013-524996)
(86)(22)【出願日】2011年8月19日
(65)【公表番号】特表2013-534254(P2013-534254A)
(43)【公表日】2013年9月2日
(86)【国際出願番号】US2011048361
(87)【国際公開番号】WO2012024559
(87)【国際公開日】20120223
【審査請求日】2014年8月18日
(31)【優先権主張番号】61/375,406
(32)【優先日】2010年8月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591018268
【氏名又は名称】アラーガン、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(72)【発明者】
【氏名】マルトス ホセ エル
(72)【発明者】
【氏名】カーリング ウィリアム アール
(72)【発明者】
【氏名】ウッドワード ディヴィッド エフ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジェニー ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】カンガスメトサ ユッシ イェ
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−509191(JP,A)
【文献】 特表2003−508396(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0054699(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0065200(US,A1)
【文献】 米国特許第05280034(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−アルキル−2−(1−(5−置換−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミドである化合物であって、前記5−置換基がハロおよびアルキルオキシ基から成る群から選択される化合物。
【請求項2】
前記N−アルキル部分のアルキル基がn−アルキル基である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
n−アルキル基が5から10炭素原子を含む、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
n−アルキル基がオクチルである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
前記N−アルキル部分のアルキル基がシクロアルキル基である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
シクロアルキル基がシクロヘキシル−n−アルキル基である、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
シクロヘキシル−n−アルキル基がシクロヘキシルブチルである、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
5−置換基がフルオロおよびクロロから成る群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
アルキルオキシがメチルオキシである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
N−アルキル−2−(1−(5−置換−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミド、3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸、および前記3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸のアルキルエステルから成る群から選択される化合物であって、前記置換基がハロおよびアルキルオキシ基から成る群から選択される化合物。
【請求項11】
化合物が、
(S)−N−(4−シクロヘキシルブチル)−2−(1−(5−フルオロ−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミド、
(S)−N−(4−シクロヘキシルブチル)−2−(1−(5−メトキシ−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミド、
(S)−N−(4−シクロヘキシルブチル)−2−(1−(5−クロロ−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミド、
よび
2−{1−[5−フルオロ−2−(3−オキソ−3−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}プロピル)ベンジル]ピロリジン−2−イル}−N−オクチル−1,3−オキサゾール−4−カルボキサミド
から成る群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
下記式を有する化合物であって、
【化1】
式中、R1がCO27およびCON(R7)SO27から成る群から選択され、式中、R7がH、アルキルおよびアリールから成る群から選択され、式中、前記アルキルおよびアリールがハロまたはハロアルキルで置換されてもよく、
2がH、アルキル、ハロゲン、およびOR7ら成る群から選択され、ならびに
3がHおよびアルキルから成る群から選択され、ただしR1がCO27である場合、R2がHではない化合物。
【請求項13】
2がF、Cl、およびOCH3ら成る群から選択される、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
3がアルキルである、請求項12記載の化合物。
【請求項15】
3が(CH2nCH27であり、式中、nが4から9までの整数であり、R7がHまたはシクロヘキシルである、請求項12記載の化合物。
【請求項16】
7がメチル、エチル、i−プロピル、トリフルオロメチルおよびシクロプロピルから成る群から選択される、請求項12記載の化合物。
【請求項17】
1がNHSO27である、請求項12記載の化合物。
【請求項18】
7がメチル、エチル、i−プロピル、トリフルオロメチルおよびシクロプロピルから成る群から選択される、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
がF、Cl、およびOCH3ら成る群から選択される、請求項17記載の化合物。
【請求項20】
3が(CH2nCH27であり、式中、nが4から9までの整数であり、R7がHまたはシクロヘキシルである、請求項17記載の化合物。
【請求項21】
(12d):N−(4−シクロヘキシルブチル)−2−(1−{[6−(3−オキソ{[(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル]メチル}ピロリジン−2−イル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキサミド、
(10a):3−(2−{2R−[4−(4−シクロヘキシル−ブチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−フルオロ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル、
(10b):3−(2−{2R−[4−(4−シクロヘキシル−ブチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル、
(10c):3−(2−{2R−[4−(4−シクロヘキシル−ブチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−メトキシ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル、
(10d):3−(6−{2R−[4−(4−シクロヘキシル−ブチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−プロピオン酸メチルエステル、
(10e):3−(2−{2R−[4−(オクチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−フルオロ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル、
(11a):3−(2−{2R−[4−(4−シクロヘキシル−ブチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−フルオロ−フェニル)−プロピオン酸、
(11b):3−(2−{2R−[4−(4−シクロヘキシル−ブチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸、
(11c−1):3−(2−{2R−[4−(4−シクロヘキシル−ブチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−メトキシ−フェニル)−プロピオン酸、
(11c−2):3−(6−{2R−[4−(4−シクロヘキシル−ブチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−プロピオン酸、および
(11d):3−(2−{2R−[4−(オクチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−フルオロ−フェニル)−プロピオン酸、
からなる群より選択される化合物。
【請求項22】
下記の式を有する化合物を含む医薬組成物であって、
【化2】
式中、R1がCO27およびCON(R7)SO27から成る群から選択され、式中、R7がH、アルキルおよびアリールから成る群から選択され、式中、該アルキルおよびアリールがハロまたはハロアルキルで置換されてもよく、
2がH、アルキル、ハロゲン、およびOR7ら成る群から選択され;ならびに
3がHおよびアルキルから成る群から選択され、ただし、R1がCO27である場合、R2がHではない、上記組成物。
【請求項23】
DP1、FP、EP1、EP3、TPおよび/またはEP4受容体が媒介する疾病または状態を治療するための、請求項22記載の組成物。
【請求項24】
DP1、FP、EP1、EP3、TPおよび/またはEP4受容体が媒介する疾病または状態を治療するための医薬組成物を製造するための化合物の使用であって、前記化合物が下記の式を有し、
【化3】
式中、R1がCO27およびCON(R7)SO27から成る群から選択され、式中、R7がH、アルキルおよびアリールから成る群から選択され、式中、前記アルキルおよびアリールがハロまたはハロアルキルで置換されてもよく、
2がH、アルキル、ハロゲン、およびOR7ら成る群から選択され;ならびに
3がHおよびアルキルから成る群から選択される、上記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年8月20日に出願され参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願第61/375,406号に関する。
【0002】
本発明は、化合物、その調製方法、該化合物を含む医薬組成物および医薬品での使用、特にDP1、FP、TP、EP1、EP3およびEP4プロスタグランジン(PG)受容体のリガンド作用により媒介される状態の治療における使用に関する。本化合物は、下記に示す一般構造を有し、異なるプロスタグランジン受容体に作用することにより、一般的な抗炎症反応を生じる。
【背景技術】
【0003】
EP1受容体は7回膜貫通型受容体であり、その天然リガンドはプロスタグランジンPGE2である。PGE2は他のEP受容体(EP2、EP3およびEP4型)に対しても親和性を有する。EP1受容体は、平滑筋収縮、疼痛(特に炎症性、神経障害性、および内臓性)、炎症、アレルギー活性、腎臓の調節および胃または腸の粘液分泌に関連する。
【0004】
プロスタグランジンE2(PGE2)は、マウス脊髄においてEP1受容体サブタイプを介する異痛ならびにEP2およびEP3受容体を介する痛覚過敏をもたらす。さらに、EP1ノックアウトマウスの疼痛−感覚応答は約50%まで低下することが示されている。EP1受容体アンタゴニスト(ONO−8711)は、慢性収縮傷害のラットモデルにおいて痛覚過敏および異痛を軽減し、術後疼痛の齧歯類モデルにおいて機械痛覚過敏を阻害する。過敏症のヒトモデルにおける内臓痛の治療でEP1受容体アンタゴニストの効能は証明されている。従って、選択的プロスタグランジンのリガンド、アゴニストまたはアンタゴニストは、検討中のプロスタグランジンE受容体サブタイプに応じて、従来の非ステロイド抗炎症薬に類似した抗炎症性、解熱性および鎮痛性を有し、その上、ホルモン誘発性子宮収縮を阻害し、抗癌作用を有する。これらの化合物はNSAIDの作用機序に基づく副作用の幾つかを誘発する能力が低下し、該NSAIDは無識別のシクロオキシゲナーゼ阻害剤である。特に、該化合物は、心血管系毒性の可能性が低く、出血時間を短縮する効果を有し、ならびにアスピリン感受性喘息患者の喘息発作を誘発する能力を低下させる。さらに、潜在的に有益なプロスタグランジン経路を保持する結果として、これらの剤はNSAIDおよび/またはCOX−2阻害剤より強い効能を有しうる(EP4受容体アンタゴニストにより治療されうる他の疾病については公開番号US2005/0065200を参照し、これは参照により全体として本明細書に組み込まれる)。
【0005】
EP3受容体は疼痛および痛覚過敏および超高熱症に関与している。従って、EP3アンタゴニストは、疼痛、炎症および発熱の治療に有用でありうる。さらなる用途には、早期陣痛、過活動膀胱障害、癌および心血管疾患の治療を含む。
【0006】
TP(TxA2としても知られる)受容体は、内因性メディエーターのトロンボキサンにより刺激されるプロスタノイド受容体サブタイプである。この受容体の活性化は、主として血小板凝集および平滑筋収縮効果により生じる様々な生理作用をもたらし、従って、プロスタサイクリン受容体活性化の拮抗作用である。
【0007】
TP受容体はヒトの腎臓において糸球体および糸球体外血管組織で同定された。TP受容体の活性化は糸球体毛細血管を収縮し、糸球体濾過率を抑制し、これはTP受容体アンタゴニストが糸球体腎炎の腎機能障害、糖尿病および敗血症に有用でありうることを示している。
【0008】
TP受容体の活性化は、気管支収縮、微小血管透過性の増大、粘膜浮腫の形成および粘液分泌を誘発し、これらは気管支喘息の典型的な特徴である。TPアンタゴニストは潜在的な喘息治療法として研究されており、例えば経口で有効なセラトロダスト(AA−2414)をもたらす。ラマトロバンは、抗喘息化合物として現在第III相臨床試験段階の他のTP受容体アンタゴニストである。
【0009】
DP1受容体はある個体で喘息反応を誘発しうるため、DP1アンタゴニスト特性を有する化合物は抗喘息薬として有用でありうる(DPアンタゴニストで処理されうる他の疾病および状態の開示については公開番号2004/0162323を参照)。最終的に、FP受容体は眼圧を調節し、胃腸管および子宮において括約筋の平滑筋収縮を媒介する。従って、FP受容体のアンタゴニストは生殖障害の治療に有用である(FP受容体アンタゴニストで処理されうる他の疾病および状態については米国特許第6,511,999を参照)。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、N−アルキル−2−(1−(2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミドである化合物、例えばN−アルキル−2−(1−(5−置換−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミドを提供し、前記5−置換基はハロおよびアルキルオキシ基から成る群から選択される。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態は下記の項で説明する:
1.N−アルキル−2−(1−(5−置換−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミドである化合物であって、前記5−置換基はハロおよびアルキルオキシ基から成る群から選択される。
2.1項の化合物であって、該アルキル基はアルキル基である。
3.2項の化合物であって、該n−アルキル基は5から10の炭素原子を含む。
4.1〜3項の化合物であって、該n−アルキル基はオクチルである。
5.1〜2項の化合物であって、該アルキル基はシクロアルキル基である。
6.5項の化合物であって、該シクロアルキル基はシクロヘキシル−n−アルキル基である。
7.5〜6項の化合物であって、該シクロヘキシル−n−アルキル基はシクロヘキシルブチルである。
8.1項の化合物であって、5−置換基はフルオロおよびクロロから成る群から選択される。
9.1項の化合物であって、該アルキルオキシはメチルオキシおよびジオキソールから成る群から選択される。
10.N−アルキル−2−(1−(5−置換−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミド、3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸、およびそれらのアルキルエステルから成る群から選択される化合物であって、該置換基はハロおよびアルキルオキシ基から成る群から選択される。
11.1〜10項の化合物であって、該化合物は、
(S)−N−(4−シクロヘキシルブチル)−2−(1−(5−フルオロ−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミド、
(S)−N−(4−シクロヘキシルブチル)−2−(1−(5−メトキシ−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミド、
(S)−N−(4−シクロヘキシルブチル)−2−(1−(5−クロロ−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミド、
N−(4−シクロヘキシルブチル)−2−(1−{[6−(3−オキソ{[(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)−1,3−ベンゾジオキソl−5−イル]メチル}ピロリジン−2−イル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキサミド、および
2−{1−[5−フルオロ−2−(3−オキソ−3−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}プロピル)ベンジル]ピロリジン−2−yl}−N−オクチル−1,3−オキサゾール−4−カルボキサミド
から成る群から選択される。
12.下記式を有する化合物であって、
【化1】
式中、R1はCO27およびCON(R7)SO27から成る群から選択され、式中、R7はH、アルキルおよびアリールから成る群から選択され、式中、該アルキルおよびアリールはハロまたはハロアルキルで置換されてもよく、
2はH、アルキル、ハロゲン、OR7およびOC(R72Oから成る群から選択され、ならびに
3はHおよびアルキルから成る群から選択され、ただしR1がCO27である場合、R2はHではない。
13.12項の化合物であって、式中、R2はF、Cl、OCH3およびO(CH2)Oから成る群から選択される。
14.12項の化合物であって、式中、R3はアルキルである。
15.12〜13項の化合物であって、R3は(CH2nCH27であり、式中、nは4から9までの整数であり、R7はHまたはシクロヘキシルである。
16.12項の化合物であって、R7はメチル、エチル、i−プロピル、トリフルオロメチルおよびシクロプロピルから成る群から選択される。
17.12項の化合物であって、式中、R1はNHSO27である。
18.17項の化合物であって、式中、R7はメチル、エチル、i−プロピル、トリフルオロメチルおよびシクロプロピルから成る群から選択される。
19.12および17項の化合物であって、式中、R2はF、Cl、OCH3およびO(CH2)Oから成る群から選択される。
20.12および17項の化合物であって、式中、R3は(CH2nCH27であり、式中、nは4から9までの整数であり、R7はHまたはシクロヘキシルである。
21.N−アルキル−2−(1−(5−置換−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミドを製造する方法であって、対応する3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸をシアヌル酸およびトリフルオロメタンスルホンアミドと反応させ、該N−アルキル−2−(1−(5−置換−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミドを得る工程を含む方法。
22.21項の方法であって、該3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸は、対応するプロピオン酸アルキルエステル、即ち3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸アルキルエステルを加水分解することにより製造され、該3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸を得る。
23.22項の方法であって、該3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸アルキルエステルは、対応するアルデヒドおよびプロリンを反応させることにより製造され、即ち、2R−ピロリジン−2−yl−オキサゾール−4−カルボン酸アルキルアミドは、3−(4−置換−2−ホルミル−フェニル)−プロピオン酸アルキルエステルと反応し、該3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸アルキルエステルを得る。
24.21、22または23項のいずれかの方法であって、フェニル置換基はフルオロ、クロロ、メトキシおよびジオキソールから成る群から選択される。
25.21、22または23項のいずれかの方法であって、該N−アルキルはオクチルおよびシクロヘキシルブチルから成る群から選択される。
26.21、22または23項のいずれかの方法であって、該プロピオン酸アルキルエステルはプロピオン酸メチルエステルである。
27.26項の方法であって、該3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸は、ピリジン還流下でシアヌル酸と反応させ、得られる反応混合物は室温まで冷却し、酢酸エチルおよび水で希釈し、粗有機生成物を分離し、該粗有機生成物はCH2Cl2およびDMAPに溶解し、トリフルオロメタンスルホンアミドを添加し、得られる混合物は室温で窒素下で攪拌し、該N−アルキル−2−(1−(5−置換−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミドを得る。
28.下記の式を有する化合物を投与する工程を含む方法であって:
【化2】
式中、R1はCO27およびCON(R7)SO27から成る群から選択され、R7はH、アルキルおよびアリールから成る群から選択され、該アルキルおよびアリールはハロまたはハロアルキルで置換されてもよく、
2はH、アルキル、ハロゲン、OR7およびOC(R72Oから成る群から選択され;ならびに
3はHおよびアルキルから成る群から選択され、ただし、R1がCO27である場合、R2はHではない。
29.28項の方法であって、該化合物は、DP1、FP、EP1、EP3、TPおよび/またはEP4受容体が媒介する疾病または状態を治療するために投与される。
30.DP1、FP、EP1、EP3、TPおよび/またはEP4受容体が媒介する疾病または状態を治療するために化合物を投与する工程を含む方法であって、該化合物は下記の
【化3】
式中、R1はCO27およびCON(R7)SO27から成る群から選択され、式中、R7はH、アルキルおよびアリールから成る群から選択され、式中、該アルキルおよびアリールはハロまたはハロアルキルで置換されてもよく、
2はH、アルキル、ハロゲン、OR7およびOC(R72Oから成る群から選択され;ならびに
3はHおよびアルキルから成る群から選択される
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明化合物の調製に役立つある中間体アルデヒド化合物の調製について反応スキームを示す。
図2図1のアルデヒドとプロリン化合物との反応生成物からの本発明化合物の調製について反応スキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
下記の用語は開示発明を定義するために用いられる。
【0014】
「アルキル」とは、直鎖、分枝または環状の飽和脂肪族炭化水素を指す。好ましくは、アルキル基は1から12の炭素を有する。より好ましくは、4から10炭素、最も好ましくは4から8炭素のアルキルである。典型的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、ヘキシルなどを含む。アルキル基は、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、NO2、ハロゲン、ジメチルアミノ、およびSHから成る群から選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されてもよい。
【0015】
「シクロアルキル」とは、環状の飽和脂肪族炭化水素基を指す。好ましくは、シクロアルキル基は3から12の炭素を有する。より好ましくは、4から7炭素、最も好ましくは5または6炭素を有する。
【0016】
「アリール」とは、共役パイ電子系を有する少なくとも1つの環を有し且つ炭素環アリール、複素環アリールおよびビアリール基を含む芳香族基を指す。アリール基は、アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン、COOR6、NO2、CF3、N(R62、CON(R62、SR6、スルホキシ、スルホン、CNおよびOR6から成る群から選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されてもよく、式中、R6はアルキルである。
【0017】
「炭素環アリール」とは、環原子が炭素であるアリール基を指す。
【0018】
「ヘテロアリール」とは、環原子として1から3のヘテロ原子を有するアリール基を指し、残りの環原子は炭素である。ヘテロ原子は、酸素、硫黄、および窒素を含む。従って、複素環アリール基は、フラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N−低級アルキルピロロ、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリルなどを含む。好ましくは、ヘテロアリール基は、2から10の炭素を有する。より好ましくは、3から10炭素、最も好ましくは3炭素を有する。
【0019】
本発明はさらに薬学的に許容できる賦形剤と組み合わせて上記化合物を含む医薬組成物、およびそれらの医薬品での使用、特にDP1、FP、EP1、EP3、EP4プロスタグランジン(PG)受容体のリガンド作用により媒介される状態の治療での使用に関する。本発明の化合物は、トロンボキサン(TP)受容体のリガンド作用により媒介される状態の治療にも有用である。
【0020】
本発明は、一般式:
【化4】
を有する化合物を提供し、
式中、R1はCO27およびCON(R7)SO27から成る群から選択され、
式中、R7はH、アルキルおよびアリールから成る群から選択され、
式中、該アルキルおよびアリールは、ハロまたはハロアルキル、例えばフルオロまたはフルオロアルキルで置換されてもよく、
2はH、アルキル、ハロゲン、OR7およびOC(R72Oから成る群から選択され、
3はHおよびアルキルから成る群から選択され、ただし、R1がCO27である場合、R2はHではなく、
好ましくは、R1はCO2H、CO237およびNHSO27から成る群から選択され、更に好ましくは、R1はNHSO27である。
【0021】
好ましくは、R7はメチル、エチル、i−プロピル、トリフルオロメチルおよびシクロプロピルから成る群から選択され、
好ましくは、R2はF、Cl、CH3O、OCH2OおよびHから成る群から選択され;ならびに
好ましくは、R3は(CH2nCH27であり、式中、nは4から9までの整数であり、R7はHまたはシクロヘキシルである。
【0022】
本発明の最も好ましい化合物は下記から成る群から選択される:
(S)−N−(4−シクロヘキシルブチル)−2−(1−(5−フルオロ−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミド;
(S)−N−(4−シクロヘキシルブチル)−2−(1−(5−メトキシ−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミド;
(S)−N−(4−シクロヘキシルブチル)−2−(1−(5−クロロ−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミド;
N−(4−シクロヘキシルブチル)−2−(1−{[6−(3−オキソ{[(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)−1,3−ベンゾジオキソ−5−イル]メチル}ピロリジン−2−イル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキサミド;および
2−{1−[5−フルオロ−2−(3−オキソ−3−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}プロピル)ベンジル]ピロリジン−2−イル}−N−オクチル−1,3−オキサゾール−4−カルボキサミド。
【0023】
本発明のある化合物は、トロンボキサンA2受容体アンタゴニストまたはトロンボキサンA2合成酵素阻害剤として報告される化合物であるが、参照により本明細書に組み込まれる米国特許5、280、034号に示されるように、類似化合物の調製方法に従って調製してもよい。図1および図2に示す通り、好ましくは、本発明のある好ましい化合物は、N−アルキル−2−(1−(5−置換−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミドの製造方法により調製され、該方法は対応する3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸とシアヌル酸およびトリフルオロメタンスルホンアミドとを反応させ、該N−アルキル−2−(1−(5−置換−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミドを得る工程を含む。上記方法において、該3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸は、ピリジンまたは他の適切な塩基の還流下でシアヌル酸と反応させてもよく、得られる反応混合物は室温まで冷却し、有機生成物を分離するために好ましくは酢酸エチルおよび水で希釈し、該粗有機生成物はCH2Cl2およびDMAPに溶解し、トリフルオロメタンスルホンアミドを添加し、得られる混合物は室温で窒素または他の不活性ガス下で攪拌し、該N−アルキル−2−(1−(5−置換−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミドを得る。

該3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸は、対応するプロピオン酸アルキルエステル、即ち3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸アルキルエステルを加水分解し、該3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸を得ることにより製造されてもよい。
【0024】
該3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸アルキルエステルは、対応するアルデヒドとプロリンとを反応させることにより製造され、即ち、2R−ピロリジン−2−イル−オキサゾール−4−カルボン酸アルキルアミドは、3−(4−置換−2−ホルミル−フェニル)−プロピオン酸アルキルエステルと反応させて該3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸アルキルエステルを得てもよい。
【0025】
好ましくは、フェニル置換基は、フルオロ、クロロ、メトキシおよびジオキソールから成る群から選択される。
【0026】
好ましくは、該N−アルキルは、オクチルおよびシクロヘキシルブチルから成る群から選択される。
【0027】
好ましくは、該プロピオン酸アルキルエステルはプロピオン酸メチルエステルである。
【0028】
図1および2および実施例で用いられる試薬および条件は、下記の通りに略記してもよい。
【0029】
Acはアセチルまたはアセテートであり、
DCMはジクロロメタンであり、
TFAはトリフルオロ酢酸であり、
DBUは1、8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エンであり、
DMFはジメチルホルムアミドであり、
Meはメチルであり、
Etはエチルであり、
THFはテトラヒドロフランであり、
DMAPは4−ジメチルアミノピリジンであり、
HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸、
HMTAはヘキサメチレンテトラミンであり、ならびに
HBTUは2−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)−1、1,3、3−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェートである。
【0030】
下記の実施例は本発明の説明を意図する。
実施例1
一般法1
【化5】
【0031】
N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(1.41g、3.94mmol)をフェノール(3.57mmol)およびトリエチルアミン(0.56mL、4mmol)を含むDMF(3mL)の溶液に室温で窒素雰囲気下で滴下した。得られる混合物は一晩攪拌した。反応は水(3ml)で急冷し、混合物はジエチルエーテル(2×10ml)で抽出した。有機層は乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒は真空蒸発させた。粗化合物は、20g SPEカートリッジで溶離液として20%CH2Cl2/80%イソヘキサンを用いてカラム精製し、黒色液体として所望のトリフラートを得た(98%)。
【0032】
実施例1a
トリフルオロメタンスルホン酸−4−フルオロ−2−ホルミル−フェニルエステル
【化6】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):10.26(s、1H、CHO)、7.69(m、1H、ArH)、7.45(m、2H、ArH).19F−NMR(CDCl3、300MHz)γ−73.1、−110
【0033】
実施例1b
トリフルオロメタンスルホン酸−4−クロロ−2−ホルミル
【化7】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):10.22(s、1H、CHO)、7.95(d、1H、J=2.6Hz、ArH)、7.68(dd、1H、J=2.6、8.6Hz、ArH)、7.38(d、1H、J=8.6Hz、ArH).19F−NMR(CDCl3、300MHz)−73.2
【0034】
実施例1c
トリフルオロメタンスルホン酸−4−メトキシ−2−ホルミル
【化8】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):10.26(s、1H、CHO)、7.29(m、3H、ArH)、3.90(s、3H、−OCH3).19F−NMR(CDCl3、300MHz)−73.2
【0035】
実施例2
一般法2
【化9】
トリフラート(一般法1から)(3.37mmol)、メチルアクリレート(0.70ml)、トリエチルアミン(0.9ml、6.8mmol)およびPd(dppf)2Cl2(0.026g)を含むTHF(10ml)混合物は16時間窒素雰囲気下で還流加熱した。水(10ml)を添加し、該化合物はエーテル(3x10ml)で抽出した。混合したエーテル層は塩水(10ml)で洗浄し、乾燥(MgSO4)した後、真空下で蒸発乾固させた。
【0036】
次に、粗化合物は25Gシリカカートリッジで30%ETOAC/70%イソヘキサンを溶離液として用いてカラム精製し、淡褐色の固体として共役エステルを得た(41%)。
【0037】
実施例2a
(E)−3−(4−フルオロ−2−ホルミル−フェニル)−アクリル酸メチルエステル
【化10】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):10.30(s、1H、CHO)、8.43(d、1H、J=15.9Hz、−CH=CH−CO2CH3)、7.61(m、2H、ArH)、7.34(m、1H、ArH)、6.37(d、1H、J=15.9Hz、−CH=CH−CO2CH3)、3.85(s、3H、−CO2CH3).19F−NMR(CDCl3、300MHz)δ−110
【0038】
実施例2b
(E)−3−(4−クロロ−2−ホルミル−フェニル)−アクリル酸メチルエステル
【化11】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):10.25(s、1H、CHO)、8.41(d、1H、J=15.9Hz、−CH=CH−CO2CH3)、7.84(s、1H、ArH)、7.88(s、2H、ArH)、6.37(d、1H、J=15.9Hz、−CH=CH−CO2CH3)、3.82(s、3H、−CO2CH3).
【0039】
実施例2c
(E)−3−(4−メトキシ−2−ホルミル−フェニル)−アクリル酸メチルエステル
【化12】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):10.35(s、1H、CHO)、8.47(d、1H、J=15.9Hz、−CH=CH−CO2CH3)、7.61(d、1H、J=8.6Hz、ArH)、7.39(s、1H、ArH)、7.16(m、1H、ArH)、6.33(d、1H、J=15.9Hz、−CH=CH−CO2CH3)、3.91(s、3H、−OCH3)、3.83(s、3H、−CO2CH3).
【0040】
実施例2d
(E)−3−(6−ホルミル−ベンゾ[1,3]ジオキソ−5−イル)−アクリル酸メチルエステル
【化13】
この誘導体は、一般法2に従うが市販の芳香族臭化物から開始することで調製した。
1H−NMR(CDCl3、300MHz):10.27(s、1H、CHO)、8.45(d、1H、J=15.9Hz、−CH=CH−CO2CH3)、7.37(s、1H、ArH)、7.07(s、1H、ArH)、6.33(d、1H、J=15.9Hz、−CH=CH−CO2CH3)、612(s、2H、−OCH2O−)、3.85(s、3H、−CO2CH3).
【0041】
実施例3
一般法3
【化14】
不飽和メチルエステル(一般法2から)(0.3mmol)は、THF(2mL)およびMeOH(4ml)の混合物に溶解した。アルミナ担持パラジウム触媒(35mg)を添加し、懸濁液は1.5時間室温で水素雰囲気下で攪拌した。
【0042】
触媒はHyfloにより濾過除去し、濾液は真空蒸発させて黄色固体(70%)を得た。
【0043】
実施例3a
3−(4−フルオロ−2−ホルミル−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル
【化15】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):10.30(s、1H、CHO)、7.61(m、2H、ArH)、7.34(m、1H、ArH)、3.85(s、3H、−CO2CH3)、2.88(m、2H、ArCH2CH2CO2Me)、2.63(m、2H、ArCH2CH2CO2Me).19F−NMR(CDCl3、300MHz)δ−110
【0044】
実施例3b
3−(4−クロロ−2−ホルミル−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル
【化16】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):10.25(s、1H、CHO)、7.84(s、1H、ArH)、7.88(s、2H、ArH)、3.82(s、3H、−CO2CH3)、2.87(m、2H、ArCH2CH2CO2Me)、2.59(m、2H、ArCH2CH2CO2Me).
【0045】
実施例3c
3−(4−メトキシ−2−ホルミル−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル
【化17】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):10.35(s、1H、CHO)、7.61(d、1H、J=8.6Hz、ArH)、7.39(s、1H、ArH)、7.16(m、1H、ArH)、3.91(s、3H、−OCH3)、3.83(s、3H、−CO2CH3)、2.92(m、2H、ArCH2CH2CO2Me)、2.61(m、2H、ArCH2CH2CO2Me).
【0046】
実施例3d
3−(6−ホルミル−benzo[1,3]ジオキソル−5−イル)−プロピオン酸メチルエステル
【化18】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):10.27(s、1H、CHO)、7.37(s、1H、ArH)、7.07(s、1H、ArH)、612(s、2H、−OCH2O−)、3.85(s、3H、−CO2CH3)、2.93(m、2H、ArCH2CH2CO2Me)、2.63(m、2H、ArCH2CH2CO2Me).
【0047】
実施例4
一般法4
【化19】
Z−保護化−L−セリン(5g、20.9mmol)、アミン(25、1mmol)、WSC(6g、31.4mmol)、N−メチルモルホリン(2.55ml、23mmol)を含むDMF(150ml)の溶液は、室温で16時間窒素雰囲気下で攪拌した。
反応混合物は、真空下で蒸発乾固させ、残渣はEtOAc(100ml)に再溶解した。この溶液は2M HCl飽和溶液(2×75mL)、重炭酸ナトリウム溶液(2x75mL)、塩水(2x75mL)で洗浄し、乾燥した(Na2SO4)。溶媒は蒸発させ、白色固体としてZ−保護化セリンアミドを得た(64%)。
【0048】
実施例4a
(2−ヒドロキシ−1−オクチルカルバモイル−エチル)−カルバミン酸ベンジルエステル
【化20】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):7.37(m、5H、ArH)、6.56(m、1H、NH)、5.83(m、1H、NH)、5.15(s、2H、ArCH2−)、4.16(m、2H、CH2OH)、3.67(m、1H、NHCHCO)、3.24(m、2H、CONHCH2−)、1.49(m、2H、NHCH2−CH2−)、1.27(m、10H、−CH2−CH2−)、0.89(m、3H、−CH3
【0049】
実施例5
一般法5
【化21】
Z−保護化セリンアミド(一般法4から)(0.98mmol)は、THF(25ml)およびMeOH(18ml)の混合物に溶解した。次いで、Pd(OH)2(52mg)を添加し、反応混合物は16時間室温で水素雰囲気下で攪拌した。水酸化パラジウムはHyfloによる濾過除去し、濾液は真空蒸発させて、黄色固体として遊離セリンアミドを得た(98%)。
【0050】
実施例5a
2−アミノ−3−ヒドロキシ−N−オクチル−プロピオンアミド
【化22】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):3.84−3.73(m、2H、CH2OH)、3.47(m、1H、NHCHCO)、3.26(m、2H、CONHCH2−)、2.49(bs、2H、NH2)、1.52(m、2H、NHCH2−CH2−)、1.29(m、10H、−CH2−CH2−)、0.89(m、3H、−CH3
【0051】
実施例6
一般法6
【化23】
N−ベンジルオキシカルボニル−L−プロリン(14.86mmol)および遊離セリンアミド(一般法5から)(16.35mmol)を含むジメチルホルムアミド(150ml)の溶液に、窒素雰囲気下で、N−メチルモルホリン(3.6mL、32.7mmol)、続いてHBTU(6.2g、16.35mmol)を添加した。得られる混合物は室温で16時間攪拌した。
【0052】
その後、溶液は真空濃縮し、残渣は酢酸エチル(100mL)に溶解した。溶液は、2M HCl溶液(100mL)、NaHCO3飽和溶液(100mL)で洗浄し、MgSO4で脱水した。濾液は真空濃縮し、濃油として所望の化合物を得た。
【0053】
実施例6a
2R−(2−ヒドロキシ−1−オクチルカルバモイル−エチルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
【化24】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):7.35(m、5H、ArH)、5.15(s、2H、ArCH2−)、4.48(m、1H、NCHCONH)、4.33(m、2H、CH2OH)、4.07(m、1H、NHCHCO)、3.59(m、2H、CH2NCO)、3.19(m、2H、CONHCH2−)、2.20(m、2H、−CH2−CH2−)、1.94(m、2H、−CH2−CH2−)、1.49(m、2H、NHCH2−CH2−)、1.27(m、10H、−CH2−CH2−)、0.88(m、3H、−CH3
【0054】
実施例7
一般法7
【化25】
アミド(一般法6から)(14.86mmol)を含むジクロロメタン(200ml)溶液に、−25℃で窒素雰囲気下、デオキソ−フルオル(17.09mmol)の40%溶液を添加し、得られる混合物は室温で2.5時間攪拌した。
【0055】
その後、NaHCO3(200mL)飽和溶液を添加し、混合物は追加のCH2Cl2(100mL)で希釈した。有機層は分離した後、飽和塩水(150mL)で洗浄し、MgSO4で脱水した。濾液は真空濃縮し、濃油として粗化合物を得た。
【0056】
残渣は、シリカ・カラム・クロマトグラフィーにより、酢酸メチル/イソヘキサン1:1から開始して酢酸エチル/メタノール9:1までの溶媒勾配を用いて精製し、濃油として表題化合物を単離した(72%)。
【0057】
実施例7a
2R−(4−オクチルカルバモイル−4、5−ジヒドロ−オキサゾル−2−イル)−ピロリジン−1−カルボン酸カルボン酸ベンジルエステル
【化26】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):7.37(m、5H、ArH)、5.12(s、2H、ArCH2−)、4.70−4.30(m、4H、NCHCONH+CH2O−+NHCHCO)、3.55(m、2H、CH2NCO)、3.22(m、2H、CONHCH2−)、2.22(m、1H、−CH2−CH2−)、2.05(m、3H、−CH2−CH2−)、1.53(m、2H、NHCH2−CH2−)、1.26(m、10H、−CH2−CH2−)、0.88(m、3H、−CH3
【0058】
実施例8
一般法8
【化27】
臭化銅(7.48mmol)を含む脱気ジクロロメタン(21mL)の懸濁液に、窒素雰囲気下、水浴中で、HMTA(7.48mmol)、続いてDBU(7.48mmol)を添加し、得られる混合物は15分間攪拌した。次いで、オキサゾリジン(一般法7から)(1.87mmol)を含むジクロロメタン(11ml)溶液を添加し、得られる混合物は室温で16時間攪拌した。
【0059】
その後、溶液は真空濃縮し、残渣は酢酸エチル(30mL)およびNH4ClとNH3(30mL)の1:1飽和溶液に分配した。次いで、有機層を分離し、塩水(30mL)で洗浄し、MgSO4で脱水した。濾液は真空濃縮し、濃油として粗化合物を得た。
【0060】
残渣は、酢酸エチル/イソヘキサン40%:60%を用いて、10GシリカSPEでカラムクロマトグラフィーにより精製し、黄色固体として表題化合物を単離した(80%)。
【0061】
実施例8a
2R−(4−オクチルカルバモイル−オキサゾル−2−イル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
【化28】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):8.10(s、1H、=CH)、8.01(s、1H、=CH)、7.37(m、7H、ArH)、7.13(m、3H、ArH)、6.88−6.79(m、2H、NH)、5.21−4.95(m、8H、NCHCONH+PhCH2O−+NHCHCO)、3.70(m、4H、CH2NCO)、3.59(m、4H、CONHCH2−)、2.30(m、2H、−CH2−CH2−)、2.06(m、6H、−CH2−CH2−)、1.61(m、4H、NHCH2−CH2−)、1.29(m、20H、−CH2−CH2−)、0.88(m、6H、−CH3
【0062】
実施例9
一般法9
【化29】
Z−保護化オキサゾール(一般法8から)(0.98mmol)はMeOH(25ml)に溶解した後、Pd(OH)2(52mg)を添加し、懸濁液は一晩室温で水素下攪拌した。水酸化パラジウムはHyfloにより濾過除去し、濾液は真空蒸発させ、黄色固体を得た(95%)。
【0063】
実施例9a
2R−ピロリジン−2−イル−オキサゾール−4−カルボン酸オクチルアミド
【化30】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):8.15(s、1H、=CH)、7.03(m、1H、NH)、4.46(m、1H、NCH−オキサゾール)、3.39(dd、2H、J=7、14Hz、CONHCH2−)、3.24(m、2H、−CH2N−)、2.30−1.88(m、4H、−CH2−CH2−)、1.59(m、2H、NHCH2−CH2−)、1.28(m、10H、−CH2−CH2−)、0.88(m、3H、−CH3
【0064】
一般法10
【化31】
アルデヒド(一般法3から)(1.49mmol)および遊離プロリン(一般法9から)(1.24mmol)を含むCH2Cl2(15mL)の溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.369g、1.74mmol)を添加した。混合物は窒素雰囲気下で16時間室温で攪拌した。
【0065】
混合物は15mLのCH2Cl2で希釈し、水を添加した。有機層を分離し、飽和塩水(30mL)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、溶媒は蒸発させ、黄色固体として必要な生成物を得た(85%)。
【0066】
実施例10a
3−(2−{2R−[4−(4−シクロヘキシル−ブチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−フルオロ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル
【化32】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):8.13(s、1H、=CH)、7.55(dd、1H、J=5.5、8.4Hz、ArH)、7.17(m、1H、NH)、7.05(dd、1H、J=2.6、9.5Hz、ArH)、6.96(dt、1H、J=2.6、8.4、ArH)、4.03(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.81(s、3H、−CO2CH3)、3.76(t、1H、J=7.7Hz、NCH−オキサゾール)、3.53(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.41(dd、2H、J=7、14Hz、CONHCH2−)、3.10(m、2H、ArCH2CH2CO2Me)、3.00(m、1H、−CH2N−)、2.70(m、2H、ArCH2CH2CO2Me)、2.40(m、1H、−CH2N−)、2.69−1.85(m、4H、−CH2−CH2−)、1.71−1.55(m、9H、NHCH2−CH2−)、1.36(m、2H、−CH2−CH2−)、1.25−1.19(m、6H、−CH2−CH2−).19F−NMR(CDCl3、300MHz)δ−111
【0067】
実施例10b
3−(2−{2R−[4−(4−シクロヘキシル−ブチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル
【化33】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):8.18(d、1H、J=15.9Hz、−CH=CH−CO2Me)、8.12(s、1H、=CH)、7.47(m、1H、ArH)、7.29(m、1H、ArH)、7.22(m、2H、ArH+NH)、6.31(d、1H、J=15.9Hz、−CH=CH−CO2Me)、3.97(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.80(s、3H、−CO2CH3)、3.73(t、1H、J=7.7Hz、NCH−オキサゾール)、3.52(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.40(dd、2H、J=7、14Hz、CONHCH2−)、3.05(m、2H、ArCH2CH2CO2Me)、2.99(m、1H、−CH2N−)、2.71(m、2H、ArCH2CH2CO2Me)、2.41(m、1H、−CH2N−)、2.69−1.85(m、4H、−CH2−CH2−)、1.71−1.55(m、9H、NHCH2−CH2−)、1.36(m、2H、−CH2−CH2−)、1.25−1.19(m、6H、−CH2−CH2−).
【0068】
実施例10c
3−(2−{2R−[4−(4−シクロヘキシル−ブチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−メトキシ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル
【化34】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):8.23(d、1H、J=15.9Hz、−CH=CH−CO2Me)、8.14(s、1H、=CH)、7.55(d、1H、J=8.4Hz、ArH)、7.24(m、1H、NH)、6.82(m、2H、ArH)、6.27(d、1H、J=15.9Hz、−CH=CH−CO2Me)、4.02(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.82(s、3H、Ar−OCH3)、3.80(s、3H、−CO2CH3)、3.72(t、1H、J=7.7Hz、NCH−オキサゾール)、3.50(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.41(dd、2H、J=7、14Hz、CONHCH2−)、3.15(m、2H、ArCH2CH2CO2Me)、2.99(m、1H、−CH2N−)、2.70(m、2H、ArCH2CH2CO2Me)、2.41(c、1H、J=8.6Hz、−CH2N−)、2.69−1.85(m、4H、−CH2−CH2−)、1.71−1.55(m、9H、NHCH2−CH2−)、1.36(m、2H、−CH2−CH2−)、1.25−1.19(m、6H、−CH2−CH2−).
【0069】
実施例10d
3−(6−{2R−[4−(4−シクロヘキシル−ブチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−ベンゾ[1,3]ジオキソ−5−イル)−プロピオン酸メチルエステル
【化35】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):8.18(d、1H、J=15.9Hz、−CH=CH−CO2Me)、8.16(s、1H、=CH)、7.28(m、1H、NH)、7.04(s、1H、ArH)、6.76(s、1H、ArH)、6.21(d、1H、J=15.9Hz、−CH=CH−CO2Me)、5.96(s、2H、−OCH2O−)、3.96(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.72(t、1H、J=7.7Hz、NCH−オキサゾール)、3.43(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.40(dd、2H、J=7、14Hz、CONHCH2−)、2.96(m、1H、−CH2N−)、2.85(m、2H、ArCH2CH2CO2Me)、2.69(m、2H、ArCH2CH2CO2Me)、2.37(c、1H、J=8.6Hz、−CH2N−)、2.69−1.85(m、4H、−CH2−CH2−)、1.71−1.55(m、9H、NHCH2−CH2−)、1.36(m、2H、−CH2−CH2−)、1.25−1.19(m、6H、−CH2−CH2−).
【0070】
実施例10e
3−(2−{2R−[4−(オクチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−フルオロ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル
【化36】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):8.09(s、1H、=CH)、7.08(dd、1H、J=5.5、8.4Hz、ArH)、7.01(m、1H、NH)、6.98(dd、1H、J=2.6、9.5Hz、ArH)、6.97(dt、1H、J=2.6、8.4、ArH)、3.88(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.76(t、1H、J=7.7Hz、NCH−オキサゾール)、3.68(s、3H、−CO2CH3)、3.42(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.41(dd、2H、J=7、14Hz、CONHCH2−)、3.10(m、2H、ArCH2CH2CO2Me)、3.00(m、2H、−CH2N−)、2.70(m、2H、ArCH2CH2CO2Me)、2.69−1.85(m、4H、−CH2−CH2−)、1.71−1.55(m、2H、NHCH2−CH2−)、1.36(m、2H、−CH2−CH2−)、1.25−1.19(m、8H、−CH2−CH2−)、0.89(m、3H、−CH3).
19F−NMR(CDCl3、300MHz)δ−111
【0071】
実施例11
一般法11
【化37】
エステル(一般法10から)(1.82mmol)はTHF(20mL)に溶解し、LiOH(0.302g、7.3mmol)を含む水(10mL)溶液を添加した。得られる混合物は60°Cで16時間加熱した。
【0072】
次いで、EtOAc(10ml)を添加し、溶液は2M HCl溶液で中和した。有機層は分離し、塩水(10mL)で洗浄し、乾燥した(Na2SO4)。混合物は濾過し、溶媒は蒸発させ、粗生成物を得た。
【0073】
化合物は、10gSPEカートリッジで、溶離液として2%MeOH/98%CH2Cl2を用いて、カラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体としてカルボン酸を得た(70%)。
【0074】
実施例11a
3−(2−{2R−[4−(4−シクロヘキシル−ブチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−フルオロ−フェニル)−プロピオン酸
【化38】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):8.18(s、1H、=CH)、7.10(m、2H、ArH+NH)、6.97(m、1H、ArH)、6.88(m、1H、ArH)、3.90(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.77(t、1H、J=7.7Hz、NCH−オキサゾール)、3.40(m、3H、−NCH2Ar+CONHCH2−)、2.99(m、1H、−CH2N−)、2.88(m、2H、ArCH2CH2CO2H)、2.59(m、2H、ArCH2CH2CO2H)、2.41(m、1H、−CH2N−)、2.24−1.90(m、4H、−CH2−CH2−)、1.60(m、2H、NHCH2−CH2−)、1.27(m、10H、−CH2−CH2−)、0.88(m、5H、−CH2−CH2−).19F−NMR(CDCl3、300MHz)δ−111
【0075】
実施例11b
3−(2−{2R−[4−(4−シクロヘキシル−ブチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸
【化39】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):8.16(s、1H、=CH)、7.19(m、2H、ArH)、7.09(d、1H、J=8.4Hz、ArH)、7.02(m、1H、NH)、3.91(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.76(t、1H、J=7.7Hz、NCH−オキサゾール)、3.40(m、3H、−NCH2Ar+CONHCH2−)、3.00(m、1H、−CH2N−)、2.87(m、2H、ArCH2CH2CO2H)、2.60(m、2H、ArCH2CH2CO2H)、2.41(m、1H、−CH2N−)、2.24−1.90(m、4H、−CH2−CH2−)、1.60(m、2H、NHCH2−CH2−)、1.27(m、10H、−CH2−CH2−)、0.88(m、5H、−CH2−CH2−).
【0076】
実施例11c
3−(2−{2R−[4−(4−シクロヘキシル−ブチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−メトキシ−フェニル)−プロピオン酸
【化40】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):8.18(s、1H、=CH)、7.07(m、2H、ArH+NH)、6.77(m、2H、ArH)、3.91(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.77(s、3H、ArOCH3)、3.77(t、1H、J=7.7Hz、NCH−オキサゾール)、3.38(m、3H、−NCH2Ar+CONHCH2−)、3.00(m、1H、−CH2N−)、2.85(m、2H、ArCH2CH2CO2H)、2.59(m、2H、ArCH2CH2CO2H)、2.41(m、1H、−CH2N−)、2.24−1.90(m、4H、−CH2−CH2−)、1.60(m、2H、NHCH2−CH2−)、1.27(m、10H、−CH2−CH2−)、0.88(m、5H、−CH2−CH2−).
【0077】
実施例11c
3−(6−{2R−[4−(4−シクロヘキシル−ブチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−ベンゾ[1,3]ジオキソ−5−イル)−プロピオン酸
【化41】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):8.19(s、1H、=CH)、7.11(m、1H、NH)、6.69(s、1H、ArH)、6.64(s、1H、ArH)、5.89(s、2H、−OCH2O−)、3.84(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.72(t、1H、J=7.7Hz、NCH−オキサゾール)、3.39(dd、2H、J=7、14Hz、CONHCH2−)、3.29(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.00(m、1H、−CH2N−)、2.79(m、2H、ArCH2CH2CO2H)、2.60(m、2H、ArCH2CH2CO2H)、2.38(c、1H、J=8.6Hz、−CH2N−)、2.69−1.85(m、4H、−CH2−CH2−)、1.71−1.55(m、9H、NHCH2−CH2−)、1.36(m、2H、−CH2−CH2−)、1.25−1.19(m、6H、−CH2−CH2−).
【0078】
実施例11d
3−(2−{2R−[4−(オクチルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−フルオロ−フェニル)−プロピオン酸
【化42】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):8.16(s、1H、=CH)、7.09(m、2H、ArH+NH)、6.95(dd、1H、J=2.6、9.5Hz、ArH)、6.82(dt、1H、J=2.6、8.4、ArH)、3.85(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.73(t、1H、J=7.7Hz、NCH−オキサゾール)、3.36(m、3H、−NCH2Ar+CONHCH2−)、2.86(m、3H、ArCH2CH2CO2Me+−CH2N−)、2.60(m、2H、ArCH2CH2CO2Me)、2.36(m、1H、−CH2N)、2.24−1.80(m、4H、−CH2−CH2−)、1.71−1.55(m、4H、NHCH2−CH2−)、1.25−1.19(m、8H、−CH2−CH2−)、0.89(m、3H、−CH3).
19F−NMR(CDCl3、300MHz)δ−111
【0079】
実施例12
一般法12
【化43】
飽和酸(一般法11から)(0.15mmol)を含むTHF(7mL)溶液に、窒素雰囲気下で、ピリジン(0.45mmol)およびフッ化シアヌル(1.125mmol)を添加し、得られる混合物は4時間還流した。反応混合物は室温まで冷却させた後、酢酸エチル(15mL)および水(10mL)で希釈した。有機層は分離し、NaHCO3(10mL)飽和溶液、次いで飽和塩水(10mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒は真空蒸発させた。
【0080】
原油はCH2Cl2(7mL)に再溶解し、DMAP(0.6mmol)およびトリフルオロメタンスルホンアミド(0.45mmol)を添加した。得られる混合物は室温で窒素下16時間攪拌した。
【0081】
その後、反応混合物は追加のCH2Cl2(15mL)で希釈し、水(10mL)を添加した。有機層は分離し、2M HCl溶液(5mL)、続いて飽和塩水(10mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒は真空蒸発させた。
【0082】
残渣は、10g SPEシリカカートリッジで、酢酸メチルから開始して酢酸エチル/メタノール9:1までの溶媒勾配を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、濃油として表題化合物を単離した(60%)。
【0083】
実施例12a
S)−N−(4−シクロヘキシルブチル)−2−(1−(5−フルオロ−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミド
【化44】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):8.27(s、1H、=CH)、7.24(m、1H、NH)、7.05(dd、1H、J=6、8.4Hz、ArH)、6.85(m、2H、ArH)、3.91(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.74(t、1H、J=7.7Hz、NCH−オキサゾール)、3.36(m、2H、CONHCH2−)、3.23(d、1H、−NCH2Ar)、2.99(m、1H、−CH2N−)、2.59(m、4H、ArCH2CH2CO2H)、2.49(m、1H、−CH2N−)、2.40−2.20(m、4H、−CH2−CH2−)、1.90(m、2H、NHCH2−CH2−)、1.27(m、10H、−CH2−CH2−)、0.88(m、5H、−CH2−CH2−).19F−NMR(CDCl3、300MHz)δ−79、−118
LC−MS(M++1)631
【0084】
実施例12b
(S)−N−(4−シクロヘキシルブチル)−2−(1−(5−クロロ−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミド
【化45】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):8.33(s、1H、=CH)、7.15(m、2H、ArH)、7.04(m、1H、ArH)、7.02(m、1H、NH)、4.01(m、2H、−NCH2Ar+NCH−オキサゾール)、3.39(m、3H、CONHCH2−+−NCH2Ar)、3.15(m、1H、−CH2N−)、2.70−2.46(m、5H、ArCH2CH2CONH+−CH2N−)、2.29(m、2H、−CH2−CH2−)、2.03(m、2H、−CH2−CH2−)、1.90(m、2H、NHCH2−CH2−)、1.27(m、10H、−CH2−CH2−)、0.88(m、5H、−CH2−CH2−).19F−NMR(CDCl3、300MHz)−79
LC−MS(M++1)647
【0085】
実施例12c
(S)−N−(4−シクロヘキシルブチル)−2−(1−(5−メトキシ−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミド
【化46】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):8.23(s、1H、=CH)、7.06(m、2H、ArH)、6.75(m、2H、ArH+NH)、3.95(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.77(m、4H、NCHオキサゾール+ArOCH3)、3.41(m、2H、CONHCH2)、3.25(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.01(m、1H、−CH2N−)、2.71(m、3H、ArCH2CH2CO2H)、2.71(m、3H、ArCH2CH2CO2H)、2.51(m、1H、ArCH2CH2CO2H)、2.41(m、1H、−CH2N−)、2.21(m、2H、−CH2−CH2−)、1.97(m、2H、−CH2−CH2−)、1.90(m、2H、NHCH2−CH2−)、1.27(m、10H、−CH2−CH2−)、0.88(m、5H、−CH2−CH2−).19F−NMR(CDCl3、300MHz)δ−79
LC−MS(M++1)643
【0086】
実施例12d
N−(4−シクロヘキシルブチル)−2−(1−{[6−(3−オキソ{[(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)−1,3−ベンゾジオキソ−5−イル]メチル}ピロリジン−2−イル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキサミド
【化47】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):8.34(s、1H、=CH)、7.32(m、1H、NH)、6.62(s、1H、ArH)、6.60(s、1H、ArH)、5.88(s、2H、−OCH2O−)、3.86(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.74(t、1H、J=7.7Hz、NCH−オキサゾール)、3.41(m、3H、CONHCH2−+−NCH2Ar)、3.05(m、1H、−CH2N−)、2.38(m、4H、ArCH2CH2CO2H)、2.00(c、1H、J=8.6Hz、−CH2N−)、2.69−1.85(m、4H、−CH2−CH2−)、1.71−1.55(m、9H、NHCH2−CH2−)、1.36(m、2H、−CH2−CH2−)、1.25−1.19(m、6H、−CH2−CH2−).19F−NMR(CDCl3、300MHz)δ−79.7
LC−MS(M++1)657
【0087】
実施例12e
2−{1−[5−フルオロ−2−(3−オキソ−3−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}プロピル)ベンジル]ピロリジン−2−イル}−N−オクチル−1,3−オキサゾール−4−カルボキサミド
【化48】
1H−NMR(CDCl3、300MHz):8.38(s、1H、=CH)、7.09(m、1H、NH)、7.01(m、1H、ArH)、6.84(m、2H、ArH)、3.92(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、3.76(t、1H、J=7.7Hz、NCH−オキサゾール)、3.36(m、2H、CONHCH2−)、3.17(d、1H、J=11.9Hz、−NCH2Ar)、2.98(m、1H、−CH2N−)、2.63−2.30(m、5H、ArCH2CH2CO2Me+−CH2−CH2−+−CH2N−)、2.19(m、2H、ArCH2CH2CO2Me)、1.92(m、2H、−CH2−CH2−)、1.25−1.19(m、12H、−CH2−CH2−)、0.89(m、3H、−CH3).
19F−NMR(CDCl3、300MHz)δ−79.7、−118.5
LC−MS(M++1)605
【0088】
上記化合物は、PGアンタゴニスト活性について、下記の通り、ヒト組み換えプロスタノイド受容体(DP1、EP1-4、FP、IPおよびTP)安定発現細胞株を用いて試験した。
【0089】
Ca2+シグナルとしてGsおよびGi共役プロスタノイド受容体の応答を測定するために、キメラGタンパク質cDNAsを用いた。ヒト・プロスタノイドDP1、EP1-4、FP、IP、およびTP受容体を過剰発現する安定発現細胞株は下記の通りに確立した。
【0090】
簡潔には、ヒト・プロスタノイドDP1、EP2、およびEP4受容体cDNAsは、ヘマグルチニン(HA)エピトープを含むキメラGqscDNAと同時トランスフェクションし;ヒト・プロスタノイドEP3受容体はキメラGqi−HAと同時トランスフェクションし;ヒトEP1、FP、IP、およびTP受容体cDNAsは外因性Gタンパク質なしに発現した。GqsおよびGqiキメラcDNAs(Molecular Devices,Sunnyvale,CA,U.S.A.)、およびプロスタノイド受容体のcDNAは、pCEP4ベクターにハイグロマイシンB選択マーカーとともにクローニングした。HEK−293EBNA(エプスタイン−バー・ウイルス核抗原)細胞へのトランスフェクションは、FuGENE6トランスフェクション試薬(Roche Applied Science,Indianapolis,IN,USA)により達成した。安定な形質転換体はハイグロマイシン耐性により選別した。GqsおよびGqiはHAエピトープを含むため、G−タンパク質の発現は、抗マウスHAモノクローナル抗体およびホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)と共役した二次抗体を用いたウェスタンブロッティング分析により検出され、さらにプロスタノイド受容体の機能発現がFLIPRスクリーニングにより検出された。これらの安定発現細胞株は、既に公開したアンタゴニストを基準アゴニストの段階希釈に対して10μMで用いて、FLIPR機能検定によりCa2+シグナル伝達について実証された(下述の通り)。
【0091】
Ca2+シグナル伝達の研究は、FLIPR TETRAシステム(Molecular Devices,Sunnyvale,CA,USA)を用いて384形式で実施した。これは、GPCRおよびイオンチャネルに関連するCa2+シグナル伝達を観測するために細胞系検定用のハイスループット機器である。細胞は、5x104細胞/ウェルの密度でBioCoatポリ−D−リシンで被覆され、黒壁、透明底の384ウェル・プレート(BD Biosciences,Franklin lakes,NJ,USA)に播種し、一晩37°Cのインキュベーターに置いた。細胞は次にHBSS−HEPES緩衝液(重炭酸塩およびフェノールレッドを含まないハンクス平衡塩溶液、20mMHEPES、pH7.4)でELx405 Select CW Microplate Washer (BioTek,Winooski,VT,USA)を用いて2回洗浄した。暗闇でCa2+−感受性色素のFluo−4AM(Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)を2x10-6Mの最終濃度で用いた色素ローディングの60分後、プレートはHBSS−HEPES緩衝液で4回洗浄し、過剰の色素を除去し、50μlの緩衝液を各ウェルに残した。プレートは次いでFLIPR TETRA機器に置き、37℃で平衡化させた。AGN−211377を25μl体積で各ウェルに添加し、TP受容体を過剰発現する細胞に対して0.1μM、0.3μM、1μM、3μM、10μM、および30μM;または0.067μM、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.67μM、および1μMの最終濃度を得た。
【0092】
4.5分後、対応する受容体の標準アゴニストの7点段階希釈は、25μl体積で、ヒト組み換えDP1、EP1、EP2、EP3、EP4、FP、およびIP受容体を発現する細胞に対して10-11Mから10-5Mの最終濃度で10倍段階希釈増分で投入した。ヒト組み換えTP受容体の標準アゴニストの用量範囲は、10-12Mから10-6Mであった。HBSS−HEPES緩衝液は標準アゴニストの陰性対照として使用した。細胞は470−495nmのLED(発光ダイオード)励起で励起され、発光は515−575nmの発光フィルターを通して測定した。検定プレートは3.5分間FLIPRTETRAを用いて読み取られた。蛍光強度のピーク増加は各ウェルで記録した。各プレートでは、陰性対照、陽性対照の用量反応、および各用量のアンタゴニスト−アゴニストの同時処理は3回であった。標準アゴニストは下記の通りであった:DP=BW245C、EP1−EP4=PGE2、FP=17−フェニル−PGF、IP=シカプロスト、およびTP=U−46619。薬物を含む各ウェルのピーク蛍光変化は、10-6Mで標準アゴニストを含む賦形剤対照と比べて表した(陽性対照)。濃度−反応曲線を得るために、化合物は各プレートで所望の濃度範囲にわたって3回試験した。
【0093】
ヒト組み換えプロスタノイド受容体DP2についてのCa2+シグナル研究
FLIPR機能検定は、Milliporeにより生み出されるChem−5専売宿主細胞株で安定して発現するヒトDP2受容体に対する抗喘息活性を観測するために実施した。標準アゴニストの添加前に、化合物は10μMで賦形剤対照(1%エタノールを含むHBSS−HEPES緩衝液)とともに検定ウェルにわたって見られた。検定プレートは室温で10分間暗闇でインキュベートした。次に、10-12Mから10-5Mまでの標準アゴニストPGD2の8点段階希釈用量反応を実施した。検定プレートは90秒間FLIPRTETRAを用いて読み取られた。蛍光測定結果を回収し、IC50値を算出した。検定は少なくとも3回行い、n=3を得た。
【0094】
全てのプレートは適切な基線補正にかけた。最大蛍光値をエクスポートした。n=1の原データはまずActivity Baseにより非線形回帰曲線適合を用いて処理し、陽性対照(=10-6Mの標準アゴニスト)に比べた各データ点の活性率を算出した。次いで、n=3のこのデータはGraphPad Prism4にエクスポートし、標準アゴニストの平均EC50を算出し、IC50(標準アゴニスト活性の半分を阻害するのに必要なアンタゴニスト濃度)は、非線形回帰曲線適合を用いて算出し、最小定数の制約は0に相当し、最大定数は100に相当する。Kb=[アンタゴニスト濃度]/(IC50/EC50−1)の計算。拮抗作用が検出されなかった場合またはKb≧10、000nMの場合、アンタゴニストは不活性(NA)として定義される。
【0095】
上記試験の結果は下記の表1に報告する。
【表1】
【0096】
表1に示す通り、本発明の好ましい化合物は、FP、DP、EP1、EP3、EP4およびTP受容体で特定の活性を有するpanアンタゴニストであるが、EP2およびIP受容体ではかなり低い活性である。従って、これらの化合物は生物学的選択性プロファイルを有し、FP、DP、EP1、EP3、EP4およびTP受容体により媒介される疾病および状態の治療に役立ち、IPおよびEP2受容体遮断に関連する潜在的な副作用および生物学的限界もない。従って、本発明の化合物は、DP1、FP、EP1、EP3、TPおよび/またはEP4受容体が媒介する疾病または状態を治療するために投与されてもよい。
【0097】
例えば、該状態または疾病は炎症に関し、または該DP1、FP、EP1、EP3、TPおよび/またはEP4受容体が媒介する状態または疾病は、アレルギー状態、喘息、アレルギー性喘息、無呼吸、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、ブドウ膜炎および関連障害、アテローム性動脈硬化症、血液凝固障害、骨障害、癌、細胞腫瘍性形質転換、慢性閉塞性肺疾患および肺炎症の他の形態、肺炎、鬱血性心不全、糖尿病性網膜症、抗凝固の治療を要する疾病または状態、骨形成および骨吸収の制御を要する疾病、受胎障害、早期分娩、子宮内膜症、緑内障、超高熱、免疫疾患および自己免疫疾患、炎症状態、転移性腫瘍増殖、片頭痛、粘液分泌障害、鼻閉、鼻炎、閉塞性血管疾患、高眼圧症、低眼圧症、骨粗鬆症、関節リウマチ、疼痛、通年性鼻炎、肺鬱血、肺低血圧、レイノー病、臓器移植およびバイパス手術の拒絶、呼吸状態、多毛症、鼻漏、ショック、睡眠障害、および睡眠覚醒周期障害、過活動膀胱障害から成る群から選択されてもよい。
【0098】
該化合物は、眼科における白内障摘出および人工水晶体挿入、眼球移植手術、光屈折放射状角膜切除術、および他の眼科水晶体手術用の外科補助薬として、または皮膚切開を含む手術、疼痛および炎症の緩和ならびに瘢痕形成/術後ケロイド外科補助薬として、スポーツ傷害および筋肉および関節の一般的な疼きおよび疼痛を治療するために投与されてもよい。好ましくは、該DP1、FP、EP1、EP3、TP、および/またはEP4受容体が媒介する状態または疾病は、EP1および/またはEP4受容体が媒介する状態または疾病である。
【0099】
好ましくは、該DP1、FP、EP1、EP3、TPおよび/またはEP4受容体が媒介する状態または疾病は、アレルギー状態、例えば、皮膚アレルギー、または眼アレルギー、または呼吸アレルギー、例えば鼻閉、鼻炎、および喘息である。
【0100】
該状態または疾病は疼痛に関するものでもよい。
【0101】
該状態または疾病は、関節炎、片頭痛、および頭痛から成る群から選択されてもよい。
【0102】
該状態または疾病は胃腸管に関連してもよく、該状態または疾病は、消化性潰瘍、胸焼け、逆流性食道炎、びらん性食道炎、非潰瘍性消化不良、ヘリコバクター・ピロリによる感染、アルリニティス(alrynitis)、および過敏性腸症候群であってもよい。
【0103】
該状態または疾病は痛覚過敏および異痛から成る群から選択されてもよく、または該状態または疾病は粘液分泌に関してもよく、該粘液分泌は胃腸性であり、または鼻、洞、咽喉、または肺で生じる。
【0104】
該状態または疾病は腹部けいれんに関し、例えば該状態または疾病は過敏性腸症候群であってもよい。
【0105】
該状態または疾病は、出血性障害、または睡眠障害、または肥満細胞症であってもよい。
【0106】
該状態または疾病は、体温上昇、または高眼圧症および緑内障、または低眼圧症に関連してもよい。
【0107】
該状態は、疼痛、炎症および他の望ましくない後遺症を治療するための外科手術に関してもよく、該外科手術は切開、水晶体外科手術または移植を含む。
【0108】
最後に、該状態は、疼痛および炎症および術後の傷跡およびケロイド形成に関するものでもよい。
【0109】
本発明の組成物で治療されうる種々の疾病および状態を考慮して、下記式を有する化合物を含む医薬製品が提供され、
【化49】
式中、R1はCO27およびCON(R7)SO27から成る群から選択され、式中、R7はH、アルキルおよびアリールから成る群から選択され、式中、該アルキルおよびアリールはハロまたはハロアルキル、例えばフルオロまたはフルオロアルキルで置換されてもよく;
2は、H、アルキル、ハロゲン、OR7およびOC(R72Oから成る群から選択され;ならびに
3は、Hおよびアルキル、または薬学的に許容できるそれらの塩またはプロドラッグから成る群から選択され、
該製品は、ブドウ膜炎、アレルギー状態、喘息、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アテローム性動脈硬化症、血液凝固障害、骨障害、癌、細胞腫瘍性形質転換、慢性閉塞性肺疾患および肺炎症の他の形態、鬱血性心不全、糖尿病性網膜症、抗凝固の治療を要する疾病または状態、骨形成および骨吸収の制御を要する疾病、受胎障害、超高熱、壊疽、緑内障、低体温症、免疫疾患および自己免疫疾患、炎症状態、転移性腫瘍増殖、片頭痛、粘液分泌障害、鼻閉、鼻炎、閉塞性血管疾患、高眼圧症、低眼圧症、骨粗鬆症、疼痛、通年性鼻炎、肺鬱血、肺低血圧、レイノー病、臓器移植およびバイパス手術の拒絶、呼吸状態、関節リウマチ、鼻漏、ショック、睡眠障害、睡眠覚醒周期障害、スポーツ傷害、筋肉の一般的な疼きおよび疼痛、ならびに疼痛、炎症および傷跡/ケロイド形成を最小限にするための外科的補助薬から成る群から選択される疾病または状態の治療または予防用に包装および表示される。
【0110】
当業者は、本明細書に開示される化合物が投与用に薬学的に許容できる賦形剤と混合でき、該賦形剤それ自体は当分野で周知であることを容易に理解するであろう。具体的には、全身投与される薬物、これは粉末、丸薬、錠剤等として、または経口もしくは非経口投与もしくは吸入に適した溶液、乳液、懸濁液、エアロゾル、シロップもしくはエリキシル剤として製剤されてもよい。
【0111】
固体剤形では、非毒性固体担体は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、ポリアルキレングリコール、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムを含むがこれらに限定されない。固体剤形は被覆されていなくてもよく、または胃腸管の分解および吸収を遅延させるために既知の技法により被覆されていてもよく、これにより長期にわたる持続的作用を提供する。例えば、時間遅延物質、例えばグリセロールモノステアレートまたはグリセリルジストカレート(distcarate)が使用されてもよい。これらは、米国特許第4,256,108号;第4,166,452号;および第4,265,874号に記載の技法により被覆されてもよく、制御放出用の浸透処理錠剤を形成する。医薬的に投与可能な液体剤形は、例えば、本発明の化合物の1又はそれ以上および任意の医薬アジュバントの溶液または懸濁液を担体、例えば水、塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノール等に含むことにより、溶液または懸濁液を形成し得る。所望の場合、投与される医薬組成物は、微量の非毒性補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤等も含みうる。このような補助剤の典型例は、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリエタノールアミンオレエート等である。該剤形を調製する実際的方法は既知であり、または当業者に明らかであり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,16th Edition,1980を参照のこと。投与される製剤の組成物は、いずれにしても、1又はそれ以上の現在有用な化合物の量を所望する治療効果を提供するのに有効な量で含む。
【0112】
非経口投与は、一般に、皮下、筋内または静脈内のいずれかの注射により特徴付けられる。注射製剤は、従来剤形で、液体溶液または懸濁液として、注射前の液体の溶液または懸濁液に適する固体剤形、または乳液としてのいずれかで調製できる。適切な賦形剤は、例えば水、塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等である。さらに、所望する場合、投与される注射用医薬組成物は、微量の非毒性補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤等も含んでもよい。
【0113】
本発明の現在有用な1または複数の化合物の量は、無論、所望する1または複数の治療効果、治療される特定の哺乳動物、哺乳動物の状態の重症度および性質、投与様式、使用される特定の1または複数の化合物の効能および薬力学、ならびに処方医師の判断に依存される。現在有用な1又は複数の化合物の治療に有効な用量は、好ましくは約0.5ng/kg/日から約250mg/kg/日または約1ng/kg/日から約100mg/kg/日の範囲である。
【0114】
眼科用に、溶液は生理食塩水を主賦形剤として使用して調製することが多い。眼科用溶液は好ましくは適切な緩衝系を用いて適切なpHで維持するべきである。製剤は従来の医薬的に許容される保存剤、安定剤および界面活性剤も含みうる。
【0115】
本発明の医薬組成物で使用されうる保存剤は、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀および硝酸フェニル水銀を含むがこれらに限定されない。有用な界面活性剤は、例えばTween80である。同様に、種々の有用な賦形剤を本発明の眼科用調製物に使用してもよい。これらの賦形剤は、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび精製水を含むがこれらに限定されない。
【0116】
等張化剤は必要に応じてまたは便宜的に添加してもよい。これらは、塩、特に塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトールおよびグリセリン、または任意の他の適切な眼科用に許容できる等張化剤を含むがこれらに限定されない。
【0117】
得られる調製物が眼科用に許容できる限り、pHを調整するための様々な緩衝剤および手段が用いられてもよい。従って、緩衝剤は、酢酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤およびホウ酸塩緩衝剤を含む。酸または塩基は、必要に応じて、これらの製剤のpHを調整するために使用してもよい。
【0118】
同様に、本発明で用いる眼科用に許容できる抗酸化剤は、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンを含むがこれらに限定されない。
【0119】
点眼薬に含んでもよい他の賦形剤成分はキレート剤である。有用なキレート剤はエデト酸2ナトリウムであるが、他のキレート剤を代わりにまたは併せて使用してもよい。
【0120】
局所使用には、本発明の化合物を含むクリーム、軟膏、ゲル、溶液または懸濁液等が利用される。局所製剤は一般に医薬担体、共溶媒、乳化剤、浸透促進剤、防腐系、および皮膚軟化剤を含んでもよい。
【0121】
本発明化合物の実際の用量は、具体的な化合物、治療される状態に依存し、適切な用量の選択は十分に当業者の知識の範囲内である。
【0122】
本発明は例示の実施形態により範囲が限定されず、該実施形態は本発明の特定の態様の説明として意図されるにすぎない。本明細書に開示されるものに加えて、本発明の種々の変更は、元来出願された通り、特許請求の範囲を含む明細書を熟読することにより、当業者には明白であろう。特に、本発明は本明細書で開示されるN−アルキル−2−(1−(5−置換−2−(3−オキソ−3−(トリフルオロメチルスルホンアミド)プロピル)ベンジル)ピロリジン−2−イル)オキサゾール−4−カルボキサミド化合物により説明したが、対応する3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸アルキルエステルおよび対応する3−(2−{2R−[4−(4−アルキルカルバモイル)−オキサゾル−2−イル]−ピロリジン−1−イルメチル}−4−置換−フェニル)−プロピオン酸、例えば上記一般式の化合物、ならびにこれらの非置換誘導体が本発明方法の実施に使用されてもよい。
【0123】
全てのこのような変更は、添付の治療方法の請求およびこれに関する包装の請求の範囲内にあることが意図される。
図1
図2