(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記部分的移動範囲を特定することは、前記部分的移動範囲のユーザ選択を受信すること、あるいは、前記治療計画に特定された追跡モードまたは治療モードのうちの少なくとも1つに基づいて、前記部分的移動範囲を自動的に計算することのうちの少なくとも1つを、治療計画システムの処理装置に、実行させることを含む、請求項3に記載のプログラム。
第1の画像検出器および第2の画像検出器によって画像を取得することによって、3次元(3D)で治療システムの治療中心に対して基準構造を整合させ、前記画像を術前3D画像と位置合わせすることと、
前記基準構造と前記部分的ITVの重心との間の既知のオフセットに基づいて、前記治療中心に前記部分的ITVの前記重心を整合させることと、
前記第1の画像検出器または前記第2の画像検出器のうちの1つを使用して、前記治療中心に交差する治療面に平行である撮像面において標的位置を追跡することと、
前記画像データにおいて特定された2D標的位置を前記治療面上に投影することによって、前記第1の画像検出器または前記第2の画像検出器からの画像データを3D位置データへ変換することと、を治療計画システムの処理装置に、実行させることをさらに含む、請求項1に記載のプログラム。
前記患者の3D画像を取得することによって、3次元(3D)で治療システムの治療中心に前記標的を整合させ、前記患者の前記3D画像と以前の3D画像との間の位置合わせを実施することと、
第1の画像検出器を使用して、前記撮像面における標的位置を追跡することと、を治療計画システムの処理装置に、実行させることをさらに含む、請求項1に記載のプログラム。
前記部分的移動範囲を特定することは、前記部分的移動範囲のユーザ選択を受信すること、あるいは、前記治療計画に特定された追跡モードまたは治療モードのうちの少なくとも1つに基づいて、前記部分的移動範囲を自動的に計算することのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のシステム。
外部マーカに基づいて患者の呼吸サイクルを監視するための移動追跡システムをさらに備え、前記標的が前記患者の前記呼吸サイクル中に前記完全な移動範囲を通って移動し、
前記処理装置が、前記外部マーカの位置を前記呼吸サイクルの段階および標的位置に相関付ける、呼吸モデルを生成するようにさらに構成され、
前記治療計画が、ゲート放射線治療のためであり、放射線治療ビームが、前記標的が前記部分的ITV内にある間は作動し、前記標的が前記部分的ITVの外側にある間は作動停止する、請求項11に記載のシステム。
前記治療送達システムは、ゲート治療送達を実施するように構成されたガントリ型システムであり、前記プロセッサは、前記標的が前記部分的ITV内部にあるときに前記線源を作動させ、前記標的が前記部分的ITVの外側にある時に前記線源を作動停止させるように構成される、請求項15に記載の治療送達システム。
【発明を実施するための形態】
【0004】
標的の部分的移動範囲を治療するための方法および装置を本明細書に記載する。一実施形態において、方法または装置は、標的の完全な移動範囲を判定し、標的がその完全な移動範囲を通って移動する際に標的によって定義される体積である、内部標的体積(ITV)を生成する。ITVは、移動サイクル(例えば、呼吸および/または心臓サイクル)中に標的によって占有される全体積の和集合であると考えられてもよい。方法または装置は、次いで、追跡されなくてもよい、部分的移動範囲を特定し、部分的移動範囲は、完全な移動範囲のサブセットである。方法または装置は、次いで、標的が部分的移動範囲を通って移動する際に標的によって占められる体積である、部分的ITVを生成する。次いで、部分的ITVによって占められる場所へ治療が送達されてもよい。
【0005】
部分的ITVが使用されてもよい治療の1つのタイプは、放射線治療である。放射線治療は、放射線手術および放射線療法の両方を含む。放射線療法および放射線手術は、治療セッションにおいて患者に送達される放射線量が異なる。放射線療法の治療セッションにおいて利用される個別のセッションの放射線量または画分は典型的に、放射線手術セッションにおいて使用される量に比較すると、約1桁小さい。便宜を図るため、本明細書において、「放射線治療」という用語は、放射線の大きさによって注記されない限り、放射線手術および/または放射線療法を意味するために使用される。
【0006】
いくつかの病理組織(例えば、腫瘍および病変部)は、治療中に位置が変化する場合がある。例えば、人体内の腫瘍は、呼吸および/または心拍とともに移動する場合がある。放射線手術において、放射線ビームが、患者の組織を通って、治療されている病変部または腫瘍へ至るまでの軌跡の正確な知識は、治療計画時に計算された線量分布を達成するために、重要不可欠であり得る。例えば、呼吸または心拍に起因して移動する治療標的に対しては、治療計画および送達中に、そのような移動を考慮することが重要である。
【0007】
システムは、上記のように、標的の移動によって定義された体積全体を照射または治療することによって、標的の移動を考慮することができる(視野なし追跡モードと呼ぶ)。代替として、標的の場所は、1つ以上の追跡モードを使用して、治療中に高精度に追跡されてもよく、システムは、Accuray(登録商標)社によるCyberKnife(登録商標)放射線手術システム等を用いて、標的の移動を追うように、治療ビームを位置付けることによって治療を送達することができる。標的の場所を追跡するために使用されてもよい追跡モードの例として、1視野追跡モードおよび2視野追跡モードが挙げられる。いくつかの状況において、システムは、全方向で移動を検出または補正することができない。そのような環境では、部分的ITVは、追跡できない方向における標的の移動範囲によって定義されてもよい。部分的ITVは、標的の完全な移動範囲の一部分だけによって定義されるという理由から、ITVよりも小さく、したがって、ITV全体を治療する従来のシステムを用いるよりも、不要な治療を受ける組織が少ない。
【0008】
システムは、多様な追跡モードを使用することに加えて、多様な治療モードを使用して、標的の移動を考慮することができる。一実施形態において、システムは、ゲート治療モードを使用する。ゲート治療モードにおいて、システムは、患者の呼吸サイクル(または他の移動サイクル)の特定段階に相関するように、放射線治療ビームの送達の時期を測る。標準の治療モードでは、ゲート開閉は全く使用されない。
【0009】
図1〜4Eは、本発明の実施形態に従い、腫瘍を治療するために使用されてもよい、1視野追跡方法(1視野追跡モード)を例示する。1視野追跡モードは、単一撮像面において標的(例えば、腫瘍)を追跡する。1視野追跡方法は、単一撮像面においてのみ視認可能である腫瘍の追跡を可能にするように、実時間追跡および患者の脊椎(または他の基準構造)からの固定オフセットの組み合わせを使用してもよい。1視野追跡が使用される間、単一撮像面内で発生する全ての移動を追跡し、補正することができる。しかしながら、画像の軸内の移動(例えば、撮像面に垂直な移動)を追跡することはできない。したがって、位置および移動は、面内の位置および移動(画像を取得するために使用される源−検出器軸に垂直な面のスタックにおけるこれらの数量の構成要素を基準とする)と、面外の位置および移動(源−検出器軸に沿って対応する構成要素を基準とする)との2つの部分に分けられてもよい。1視野追跡の場合、面外移動範囲を考慮する、部分的ITVが生成されてもよい。
【0010】
図1は、治療送達システムの構成要素であってもよい、画像診断システム100を示す。画像診断システム100において、x線源103Aおよび103Bは、治療カウチ106上の患者108内の関心体積(VOI)の立体撮像に対する角度分離によって分離される。x線源103Aおよび103Bは、それぞれ、x線ビーム107Aおよび107Bを、患者108を通って、それぞれの画像検出器104Aおよび104B上に投影する。各検出器は、撮像面および撮像軸によって特徴付けられる。撮像軸が交差する点は、撮像アイソセンタ105(本明細書において治療中心とも呼ばれる)を定義する。
【0011】
図1を参照すると、x線検出器104Aおよび104Bは、患者108においてVOIの2次元(2D)射影像を定期的に捕獲する。最適条件下では、システムは、立体画像データを提供するように、2D射影像の両方の標的VOIを「確認」することができる。代替として、非立体画像データを捕獲するように単一のx線検出器(例えば、検出器104Aまたは104B)が使用されてもよい。システムは、当業者によって知られているように、標的VOIの場所を高精度に判定および/または追跡するために、両方の視野でステレオ画像データを使用してもよい。幾人かの患者にとっては、システムは、1つの検出器または画像においてのみ標的VOIを確認することができる。そのような状況において、システムは、本発明の実施形態に従い、治療中に標的VOIの位置を追跡するために、1視野追跡モードを使用する。この状況は、例えば、標的VOIが特定の視野の心臓または脊椎等の他のx線減衰構造上に重ね合わされる場合に発生する場合がある。代替として、標的VOIが両方の視野で視認可能である場合であっても単一の視野が使用されてもよい(例えば、視野のうちの1つにより高い相関信頼度が存在する場合、またはユーザが使用する特定の視野を選択する場合)。本検討の目的のために、腫瘍は検出器104Bによって撮像された画像でのみ視認可能である(または検出器104Bによって撮像された画像がより高い相関信頼度を有する)と想定され、このため、検出器104Bによって撮像された画像上に基づいた1視野追跡モード(本明細書で1視野B追跡モードと称される)が標的追跡のために使用される。
【0012】
図2Aは、
図1の画像診断システム100の簡略
図200であり、患者108内部の体内構造を含む。
図2Aは、脊椎205を特定する記号解説202、腫瘍210、および内部標的体積(ITV)215を含む。内部標的体積は、標的がその完全な移動範囲を通って移動する際に標的によって定義される体積である。本実施形態に示されるように、患者の脊椎205が最初に治療中心(すなわち、撮像軸の交差点)に整合される。これは、患者108を保持する治療カウチ106を位置付けることによって実施されてもよい。システムは、検出器104Aおよび104Bの両方で脊椎205を確認する。したがって、当業者によって理解されるように、システムは、検出器104A、104Bによって撮像された最新の立体x線画像を位置合わせすることによって、3次元空間の脊椎205を術前CTスキャンから生成されたDRRへ整合させる。
【0013】
治療面220は、脊椎205と交差して示される。治療面220は、追跡のために使用される検出器(例えば、検出器104B)の撮像面に平行であり、かつ治療中心を貫通する面である。1視野追跡モードを使用して標的を追跡する場合、システムは、利用可能な1つの視野から、追跡のために使用される検出器(例えば、検出器104B)の撮像面の2次元で標的VOIの場所を判定する。2D位置データは、2D位置データから3次元の座標位置を提供するように、治療面上に投影されてもよい。
【0014】
一実施形態において、システムが脊椎(または他の基準構造)を治療中心に整合させた後、システムは、治療中心がITV215の中心を貫通するように、患者を保持する治療カウチの位置を変更する。通常、治療カウチ106は、治療計画によって提供されるように、脊椎205とITV215の中心との間の事前に決定されたオフセットに基づいて移動させる。
図2Bは、治療中心がITV215の中心を貫通するように治療カウチ106の位置が変更された後であって、治療が開始する前の、
図1の画像診断システム100の簡略
図250を示す。
【0015】
治療カウチ106が事前に決定されたオフセットに基づいて移動させた後、ユーザ(例えば、医師または技師)は、整合を修正するために、治療カウチ106の位置を調整してもよい。一実施形態において、初期オフセット移動の後、治療カウチ106の位置は厳密に制御される。一実施形態において、治療面220から外れる整合移動は許可されない。例えば、
図2Bは、x軸およびy軸を示す。ユーザは、治療面220の外側に移動させることになるため、y軸のみ、またはx軸のみに沿って調整を行うことは許可されない。このため、x軸のあらゆる調整は、y軸の対応する調整を伴うことが必要になる。同様に、y軸のあらゆる調整は、x軸の対応する調整を伴うことが必要になる。これによって、治療面220に直交する軸内で脊椎206とITV215の中心との間のオフセットが変化しないことを確実にする。
【0016】
図3Aは、本発明の一実施形態に従い、ITV215の拡大
図300を示し、治療面220内部の移動が追跡される一方、治療面220に垂直な移動は追跡されないことを示す。
図3Bは、ITV215の別の拡大
図350を示し、部分的ITV305を示す。一実施形態において、部分的ITV305は、治療面220に垂直な軸上にITV215を投影することによって生成される。これは、例えば、ITVを3次元ベクトルとして表現し、3次元ベクトルを治療面に垂直な軸上に投影することによって実施されてもよい。これは、治療面220に垂直な軸に沿った腫瘍210の移動の構成要素を提供する。腫瘍210および部分的ITV305は、第1の位置(位置I)および第5の位置(位置V)に示される。示されるように、部分的ITV305は、主要210の位置が変化するにつれて、治療面220内部で移動する。しかしながら、部分的ITV305は、治療面220に垂直な軸に沿っては移動しない。
【0017】
図4A〜4Eは、患者の呼吸サイクル中の腫瘍210の異なる位置(例えば、位置I〜V)を示す。治療面220内部の腫瘍の移動は、検出器104Bを使用して追跡することができる。しかしながら、治療面の外側、または治療面に垂直な移動は、他の検出器が主要を確認できないために、追跡することができない。システムは、部分的ITV305を治療することによって、治療面220の外側の標的VOI移動を考慮し、システムは、治療面内部の移動を追跡し、考慮する。
【0018】
一実施形態において、システムは、診断画像を生成するために、放射線治療ビームを使用する。この実施形態において、システムは電気泳動表示装置(EPID)と呼ばれる装置を含む。EPIDは、患者を貫通した放射線治療源によって生成される放射線ビームを受容するように位置付けられる。EPIDは、標的VOIの場所を判定するために使用することができる、泳動画像を作成するために、放射線治療ビームそれ自体を使用する。一実施形態において、EPIDは、2次元領域検出器を含み、このために、撮像面内部の標的VOI位置を検出することができる。そのようなEPIDに対して、標的VOI場所を追跡するために、上記の1視野追跡モードを使用することができる。例えば、システムは、上記のように、EPIDの撮像面に垂直な軸上にITVを投影することによって、部分的ITVを生成する場合がある。
【0019】
一実施形態において、EPIDは、1次元スキャン検出器を含む。1次元スキャン検出器は、撮像軸内部の標的VOI位置を検出する。1次元スキャン検出器を含むEPIDを使用するとき、システムは、撮像軸に垂直な面上にITVを投影することによって、部分的ITVを生成してもよい。このように、部分的ITVは、撮像軸外部の標的VOI移動を考慮してもよい。
【0020】
一実施形態において、システムは、ゲート開閉(本明細書において、ゲート治療モードとも呼ばれる)と呼ばれる技法を実施する。ゲート治療モードにおいて、治療ビームは、推定された標的場所が既定範囲内にあるとき作動し、推定された標的位置がこの範囲外側にあるとき作動停止する。標的位置の推定は、直接測定によって(例えば、1つ以上のx線画像内の標的を特定することによって)実施してもよく、または代理測定によって(例えば、患者の胸の外側に付けられた光学マーカを追跡することによって)実施してもよい。ゲート治療モードに対して、部分的ITVによって占められる移動範囲は、治療ビームが作動する、これらの位置に及んでもよい。例えば、治療ビームは、腫瘍が完全に息を吐いた腫瘍位置の5mm以内であると推定される間、作動してもよい。部分的ITVは、その5mm以内の腫瘍の移動範囲を含んでもよい。ゲート開閉は、呼吸移動または心臓移動等の定期的な患者の移動に対応するように使用されてもよい。一実施形態において、ゲート開閉は、1視野追跡またはEPIDを使用する追跡と組み合わされる。そのような実施形態において、部分的ITVは、(例えば、患者の呼吸サイクルの特定の段階中)既定の治療ゾーン内部で発生する未追跡面または軸内の標的VOIの移動を占めてもよい。部分的ITVをゲート開閉システムと併用し、部分的ITVを定義するためにゲート開閉システムの可能な移動範囲を使用する利点は、治療計画ステップで示された線量の分散が、治療送達中の放射線に暴露される組織の量を正確に反映することである。
【0021】
図5は、病理組織の部分的移動範囲を治療する方法500のための流れ図を示す。一実施形態において、方法500は、画像取得システム、治療計画システム、および/または治療送達システム等の1つ以上のシステムによって実施される。いくつかのブロックの動作は、便宜上、特定のシステムによって実施されると説明される場合がある。しかしながら、これらの動作は、代替として、本明細書で具体的に記載される以外のシステムによって実施されてもよいことを理解されたい。
【0022】
方法500のブロック505で、1つ以上の画像が取得される。一実施形態において、画像は、コンピュータ断層撮像(CT)スキャン画像である。代替として、画像は、磁気共鳴画像(MRI)スキャンまたは陽電子断層撮像(PET)スキャンであってもよい。本検討の目的として、画像はCT画像として説明する。
【0023】
一実施形態において、治療される組織の少なくとも2つの3D CT画像は、1つの画像取得システムによって取得される。2つのCT画像は、組織の移動極限それぞれで取得されてもよい。例えば、第1のCT画像は、患者が息を吐いた位置にある間に取得されてもよく、第2のCT画像は患者が息を完全に吸込んだ位置にある間に取得されてもよい。これは、高品質の画像、ならびに呼吸中に腫瘍の期待される移動の完全な範囲を提供する。代替として、例えば、腫瘍が呼吸サイクル全体でわずかしか移動しない場合、単一のCT画像が取得されてもよい。
【0024】
別の実施形態において、4D CT検査が取得される。4D CT検査は、当業者によって理解されるように、一定期間にわたって撮像された、その拡張期間にわたって移動体積の位置の全てを記録するCTスキャンである。4D CT検査は、ヒステリシスの効果を含めて、腫瘍の移動範囲全体を定義してもよい。しかしながら、呼吸中の移動の完全な視野を与える4D CT検査の能力は、3D CT画像に比較して、4D CT検査によって典型的に提供される低下した画像の品質とバランスされなければならないことに注意されたい。一実施形態において、4D CT検査は、3D CT画像(例えば、ユーザが息を完全に吸った、または息を完全に吐いた位置にある間に撮像されたCT画像)に加えて取得される。
【0025】
画像を取得した後、医師は、Accuray社によって製造されるMultiPlan(登録商標)等の治療計画システムを使用して、治療計画を作成する(または、既存の治療計画をロードする)。ユーザは、インポートしたCT画像のうちの1つを治療計画の主要CTに指定するかどうかを問われてもよい。計画システムはまた、治療テンプレートの選択を受信し、治療テンプレートをロードしてもよい。治療テンプレートは、対象となる解剖学的治療領域に該当する1つ以上の事前に定義された治療計画パラメータおよび設定を提供する。例えば、肺腫瘍テンプレートは、呼吸サイクルのモデルを生成するための指示を含んでもよい。
【0026】
ブロック508において、治療計画が開始またはロードされる。ブロック510で、ユーザには、追跡する際に使用されてもよい標的体積および基準構造等、関心体積(VOI)を描画するようにプロンプトが表示される。治療計画システムは、ユーザがこれらの体積を描画するためのツールを提供する。一実施形態において、治療計画システムは、脊椎または他の基準構造(例えば、別の骨格構造)の描画および各インポートされたCT画像に対する追跡標的体積(TTV)を受信する。TTVは、治療送達中に治療される腫瘍のCT画像の可視質量の表現であってよい。
【0027】
ブロック515で、治療計画システムは、TTVから内部標的体積(ITV)を作成する。ITVは、TTVの完全な3D移動範囲によって定義される3D体積である(3つの軸全てに沿って腫瘍のあらゆる位置に及ぶ)。一実施形態において、ITVはさらに、治療中の設置誤差を補正するマージン拡張、巨視的患者の移動、および計画と治療との間の呼吸パターンの変化を含む、PTV(計画標的体積)に拡張されてもよい。脊椎または他の骨格構造等の基準構造の位置に基づいて腫瘍の位置を追跡する追跡方法の場合、ITVおよび/またはPTVが治療されてもよい(腫瘍の場所を追跡するために腫瘍自体の画像が全く使用されないため、本明細書では0視野追跡と呼ぶ)。しかしながら、0視野追跡方法は、特に腫瘍が呼吸中に大きく偏位する場合、大量の正常な組織が処方線量に暴露されるという欠点がある。別の実施形態において、ITVおよび/またはPTVは治療され、ITVは、放射線送達が開始する前に、治療室で撮像された円錐ビームCTまたは4D CTの手段によって、治療ビームと整合される。
【0028】
ブロック520で、治療計画システムは、追跡されない、または追跡できない標的の完全な移動範囲のサブセットである、部分的移動範囲を判定する。標的移動のサブセットは、未追跡軸に沿った標的の移動、未追跡面内部の標的の移動、および/または追跡範囲の外側で発生する3Dの標的の移動に対応してもよい。一実施形態において、ユーザは、(例えば、VOI描画を実施するために提供されたツールを使用して)部分的移動範囲を選択する。別の実施形態において、ユーザは追跡モードを選択して、予め設定された部分的移動範囲が選択されるようになる。例えば、ユーザが、単一の撮像軸または撮像面に沿って標的の移動を追跡することを選択した場合、部分的移動範囲は、それぞれ、未追跡面または軸に対して自動的に選択されてもよい。
【0029】
ブロック525で、治療計画システムは、選択された部分的移動範囲にわたる標的の移動によって定義される部分的ITVを作成する。部分的ITVの寸法、形状、および位置は、治療中に使用される治療技法、および/または治療中に使用される追跡方法の種類に基づいて判定されてもよい。
【0030】
一実施形態において、腫瘍を治療するために、ゲート放射線治療技法が使用される。そのようなゲート放射線治療技法において、治療送達中、呼吸サイクルが監視される。患者が呼吸サイクルの特定の段階にあるとき、放射線治療ビームが作動してもよく、患者が呼吸サイクルの他の段階にあるとき、放射線治療ビームは作動停止する。ゲート治療技法に対して、部分的ITVによって占められる部分的移動範囲は、治療ビームが作動することになる、これらの位置に及んでもよい。例えば、治療ビームは、呼吸段階が完全に息を吐いた腫瘍位置の20%以内にある間、作動してもよい。部分的ITVは、5mm以内の主要の移動範囲を含んでもよく、5mmは、例えば、4D CT手段によって、ビームが作動する呼吸段階の20%以内に予想される呼吸変位であると、治療計画時に判定された。
【0031】
別の実施形態において、腫瘍を治療するために、別の種類のゲート放射線治療技法が使用される。この種類のゲート放射線技法において、標的の位置は、直接的(例えば、x線画像における標的の直接視認によって、または標的内または標的周辺にインプラントされた1つ以上の金属製マーカのx線画像における直接視認によって、または標的内にインプラントされた1つ以上のマーカによって発せられる、無線周波信号等の信号によって)または間接的(例えば、標的位置を予測することを可能にするように、胸壁の位置等、外部信号を可能にする相関モデルの手動によって)のいずれかで監視される。治療ビームは、標的が事前に決定された範囲の外側へ移動するときに作動停止してもよく、したがって、部分的ITVは、ビームが作動する、これらの位置だけに及ぶ。
【0032】
一実施形態において、治療中、単一軸に沿って標的の移動を追跡する追跡モードが実施される。この軸は、例えば、治療ビームと整合された軸であってもよい。そのような実施形態において、追跡軸に垂直な面内の腫瘍の場所は未判定である。したがって、部分的ITVは、追跡軸に垂直な面上へ移動を投影し、標的の形状および投影された移動を使用して、部分的ITVを作成することによって、生成される。部分的ITVは、未追跡面内の腫瘍の移動範囲を占める。
【0033】
一実施形態において、上記のように、治療中、1視野追跡が実施される。1視野追跡の場合、追跡された撮像面は、治療中に標的の近傍を貫通したx線を受信したx線撮像装置の撮像面に対応してもよい。そのような実施形態において、追跡面に垂直な軸内の腫瘍の場所は未判定である。したがって、部分的ITVは、追跡撮像面に垂直な軸上に移動を投影することによって生成される、投影ITVである。部分的ITVは、未追跡軸内の腫瘍の移動範囲を占める。1視野追跡方法は、例えば、腫瘍が1つの撮像面内でのみ追跡可能な場合(例えば、腫瘍が他の撮像面内の別の解剖学的構造によって閉塞されている、またはx線検出器が1台しかない場合)、使用されてもよい。1視野追跡方法が使用されるとき、標的の場所は2Dで検出される。2D追跡は、治療中心を交差する面に平行な面である面上へ2D位置を投影することによって、3Dに変換されてもよい。この面は、治療面と呼ばれる。一実施形態において、この面は、脊椎(または他の基準構造)とITVの重心との間のオフセットを特定する、オフセット情報に基づいて判定される。別の実施形態において、円錐ビームCTまたは4D CT等の画像は、治療送達前に処置室で撮像され、この画像の中のITVの位置は、放射線ビームに治療面を整合させるために使用される。
【0034】
ブロック530で、治療計画は完了する。治療計画を完了することは、体内基準構造および/または腫瘍の予測される呼吸移動を判定する呼吸モデルを生成することを含んでもよい。一実施形態において、この呼吸モデルは後で、治療送達前および/または治療送達中に更新される。代替として、呼吸モデルは更新されなくてもよい。また、治療計画を完了することは、基準構造(例えば、脊椎)と部分的ITVおよび/またはITVの重心との間のオフセットを判定することを含んでもよい。さらに、治療計画を完了することは、治療ビームの送達元の1つ以上の位置、および各位置から送達する線量を決定することを含んでもよい。
【0035】
放射線治療計画は、いくつかの方向から患者の病理組織に対する放射線治療ビームの送達のための計画であり、1つ以上のビーム(1つ以上の形状、角度または配向、エネルギー等を有する)が各方向に適用される。放射線治療計画は、選択された追跡方法を含んでもよく、これは、標的の場所を追跡するために使用される、いくつかの体内治療診断x線画像、および/または体内治療診断x線画像のタイミングを取得することを求めてもよく、診断x線画像は、標的の位置を追跡するために収集される体内治療データの1例である。例えば、そして制限なく、診断x線画像は、治療前または治療中の3D画像データと(当業者によって知られるように)位置合わせされる。その上、追跡方法は、例えば、使用する画像診断法(例えば、単一x線投影、マルチx線投影等)、使用する画像アルゴリズム、基準または患者組織を追跡するか等を特定する画像プロトコルを含んでもよい。本明細書で使用される「x線画像」という用語は、可視x線画像(例えば、ビデオ画面上に表示される)またはx線画像のデジタル表現(例えば、x線検出器のピクセル出力に対応するファイル)を意味してもよい。
【0036】
図6は、本発明の一実施形態に従い、少なくとも1つの軸において標的位置を追跡する治療送達システムによって放射線治療を実施する方法600を示す。方法600のブロック602で、治療送達システムは治療計画(例えば、方法500に従って生成されていてもよい)をロードする。次いで、患者が治療カウチに配置され、患者のx線画像が撮像される。治療カウチは、6つの自由度の位置を有するので、3つの軸を中心に回転し、3つの軸に沿って移動することができる。
【0037】
ブロック605で、基準構造(例えば、脊椎)が、治療送達システムの治療中心に整合される。治療送達システムは、患者の脊椎(または他の基準構造)を治療中心に整合させるようにカウチの位置を調整するユーザ入力を受信してもよい。整合は、CT画像から生成されたDRRを現在のx線画像に整合(位置合わせ)させることによって実施される。整合は、立体画像データを使用して、6つの自由度(3つの平行移動および3つの回転)に沿って実施される。カウチは複数回位置を変更してもよく、各位置変更後に、新しい組のx線画像が撮像されてもよい。整合は、治療送達システムが整合にわずかな未処理修正だけがあると判定すると、完了する。一実施形態において、整合が各軸に沿った平行移動が+/−10mm以内、ピッチが+/−1〜+/−1.5度以内、回転が+/−1〜+/−1.5度以内、および偏角が+/−1〜+/−3度以内に修正されると、整合は完了する。
【0038】
ブロック610で、ITVまたは部分的ITVの重心は、治療送達システムの治療中心に整合される。一実施形態において、カウチは、ITVの重心(または部分的ITVの重心)が治療中心に位置付けられるように、治療計画に含まれたオフセット情報に基づいて移動される。整合が完了すると、腫瘍の移動範囲の中心は、治療中心にあるはずである。移動する腫瘍に対する整合は、標的腫瘍の移動範囲を理解すること、および移動範囲の中心が治療中心と整合するように患者を位置付けることが関与することに注意されたい。一実施形態において、システムはこの整合を実施する上で、ユーザが移動極限(例えば、息を吸った点および息を吐いた点)でx線画像を取得することを可能にすることによって、ユーザを支援する。
【0039】
方法は、カウチ位置の最後の変更が実施されてから、x線が取得された場合、次いで、ブロック615に続く。一実施形態において、外部マーカ(例えば、発光ダイオード(LED))は、方法がブロック615へ続く前に、患者に付着されなければならない。一実施形態において、方法は、少なくとも1つの外部マーカが3つ以上の連続呼吸サイクルで連続的に視認可能になるまで、ブロック615へ続かない。外部マーカは、患者の呼吸サイクル、および/または胸の位置を追跡するために使用される。外部マーカの位置を患者の呼吸サイクルの段階、そして最終的に腫瘍の場所および/または形状に相関付ける、呼吸モデルが生成されてもよい。呼吸モデルは、呼吸サイクルの瞬間に応じて、または外部マーカ移動に応じて、組織領域が(例えば、呼吸に起因して)その周期的動作を経る際の解剖学的領域の非剛体移動および変形を記述する。呼吸モデルは、呼吸サイクル内の時間における相対的位置に応じて、標的の場所を外部マーカの場所に関連付ける。呼吸モデルは、CT画像から、および外部マーカを追跡するセンサから取得された移動サイクル情報から、構築されてもよい。呼吸モデルは、治療計画の生成中、および/または治療中に作成されてもよい。
【0040】
ブロック615で、治療送達システムは治療を開始する。これは、線形加速器(LINAC)を第1の位置へ移動させることと、その第1の位置から放射線を送達することを含んでもよい。治療中、標的の位置は、使用されている追跡方法に依存して、単一撮像面または単一軸内で追跡される(ブロック620)。ブロック625で、LINACの位置および/または治療カウチの位置は、撮像面または軸内に発生する移動を補正するために、治療中に時々調整されてもよい。調整は、追跡された標的の位置に基づいて行われる。これによって、治療ビームが部分的ITV、したがって標的に放射線を送達することを確実にする。
【0041】
一実施形態において、腫瘍を追跡するために使用されていない撮像面を使用して、照合確認が実施される。照合確認を実施するために、部分的ITVはまず最初にx軸上に投影される。これによって、x軸内の可能な標的移動範囲を定義する。次いで、追跡のために使用されている撮像面内の腫瘍の位置もx軸上に投影される。次いで、x軸内の腫瘍の位置が、x軸内の部分的ITVの投影と比較される。腫瘍がx軸内の部分的ITVの範囲内にある場合、照合確認は、腫瘍の位置が有効であることを示す。腫瘍がx軸内の部分的ITVの範囲外にある場合、照合確認は、腫瘍の位置が無効であることを示す。これによって、治療を一時停止させてもよい。
【0042】
図7は、本発明の一実施形態に従い、ゲート治療送達を実施する治療送達システムによって放射線治療を実施する方法700を示す。方法700のブロック702で、治療送達システムは治療計画(例えば、方法500に従って生成されていてもよい)をロードする。次いで、患者が治療カウチに配置され、患者のx線画像が撮像される。
【0043】
ブロック705で、基準構造(例えば、脊椎)は、治療送達システムの治療中心に整合される。ブロック710で、ITVまたは部分的ITVの重心は、治療送達システムの治療中心に整合される。ブロック715で、治療送達システムは治療を開始する。これは、線形加速器(LINAC)を第1の位置へ移動させることと、その第1の位置から放射線を送達することを含んでもよい。ブロック720で、治療送達システムは、標的が治療ゾーン内にあるかどうかを判定する。治療ゾーンは、治療計画に含まれた部分的ITVによって定義されてもよい。治療送達システムは、標的の位置を追跡することによって、標的が治療ゾーン内にあるかどうかを判定してもよい。代替として、治療送達システムは、そのような判定を行うために(例えば、呼吸モデルに基づいて)1つ以上の基準構造および/または外部マーカを監視してもよい。標的が治療ゾーン内にある場合、方法はブロック730に進み、治療ビームが作動する(または作動したままである)。標的が治療ゾーン内にない場合、方法はブロック725に進み、治療ビームは作動停止する(または作動停止したままである)。このプロセスは、処方された線量が部分的ITV(従って、標的腫瘍)に送達されるまで続く。
【0044】
図8は、シミュレーション計画の生成、シミュレーションの実施、および/または放射線治療の実施において使用されてもよいシステムの一実施形態を示す。これらのシステムは、例えば、上記の方法を実施するために使用されてもよい。以下に記載し、
図8に例示するように、システム800は、画像診断システム805と、治療計画システム810と、治療送達システム815と、移動検出システム(図示せず)とを含んでもよい。一実施形態において、画像診断システム805および移動検出システムは、単一のユニットに組み合わされる。
【0045】
画像診断システム805は、その後の医学的診断、治療計画、治療シミュレーションおよび/または治療送達のために使用されてもよい、患者の医学的診断画像を生成することが可能である、任意のシステムであってもよい。例えば、画像診断システム805は、コンピュータ断層撮像(CT)システム、磁気共鳴画像(MRI)システム、陽電子断層撮像(PET)システム等であってもよい。説明を簡単にするために、画像診断システム805は、以下では、x線画像診断法に関して記載される場合がある。しかしながら、上記のような他の画像診断法も使用されてもよい。
【0046】
一実施形態において、画像診断システム805は、画像ビーム(例えば、x線)を生成するための撮像源820と、画像源820によって生成されたビーム、または(MRIまたはPETスキャンにおける)画像源からのビームによってシミュレーションされた二次ビームまたは発光を検出し、受信するための画像検出器830とを含む。
【0047】
撮像源820および画像検出器830は、画像化動作を制御し、画像データを処理するためのデジタル処理システム825に連結されてもよい。一実施形態において、画像診断システム805。別の実施形態において、画像診断システム805は、治療送達システム815から画像化コマンドを受信してもよい。
【0048】
画像診断システム805は、デジタル処理システム825の間でデータおよびコマンドを転送するためのバスまたは他の手段880と、撮像源820と、画像検出器830とを含む。デジタル処理システム825は、1つ以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、デジタル信号プロセッサ(DSP)等の専用プロセッサ、あるいはコントローラまたはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の他の種類の装置を含んでもよい。また、デジタル処理システム825は、メモリ、記憶装置、ネットワークアダプタ等の他の構成要素(図示せず)を含んでもよい。デジタル処理システム825は、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)フォーマット等の標準フォーマットにデジタル診断画像を生成するように構成されてもよい。他の実施形態において、デジタル処理システム825は、他の標準または非標準デジタル画像形式を生成してもよい。デジタル処理システム825は、例えば、直接リンク、ローカルエリアネットワーク(LAN)リンク、またはインターネット等のワイドエリアネットワーク(WAN)リンクであってもよい、データリンク883上から、治療送達システム815へ診断画像ファイル(例えば、前述のDICOM形式のファイル)を伝送してもよい。加えて、システムの間を転送される情報は、リモートの診断または治療計画構成等で、システムを接続する通信媒体にわたってプルまたはプッシュのいずれかが実施されてもよい。リモートの診断または治療計画において、ユーザは、システムのユーザと患者との間の物理的な分離が存在するにも関わらず、患者を診断または治療するために、本発明の実施形態を利用してもよい。
【0049】
治療送達システム815は、治療計画に従って標的体積へ処方された線量を投与するために、治療および/または外科的線源860を含む。治療送達システム815はまた、線源860を制御し、画像診断システム805および/または移動検出システム806からのデータを受信して処理し、治療カウチ875等の患者支持装置を制御するために、デジタル処理システム870を含んでもよい。デジタル処理システム870は、画像診断システム805から受信された2Dのx線画像を、2つ以上の立体投影から、画像診断システム805のデジタル処理システム825によって生成されたデジタル再構成x線像(DRR)および/または治療計画システム810の処理装置840によって生成されたDRRと位置合わせて、登録する様に構成されてもよい。デジタル処理システム870は、1つ以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、デジタル信号プロセッサ(DSP)等の専用プロセッサ、あるいはコントローラまたはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の他の種類の装置を含んでもよい。また、デジタル処理システム870は、メモリ、記憶装置、ネットワークアダプタ等の他の構成要素(図示せず)を含んでもよい。
【0050】
一実施形態において、デジタル処理システム870は、処理装置によって実行される情報および命令を記憶するために、処理装置に連結される、ランダムアクセスメモリ(RAM)、または他の動的記憶装置を含んでもよい、システムメモリを含む。システムメモリはまた、処理装置によって命令の実行中に一時的変数または他の中間情報を記憶するために使用されてもよい。システムメモリはまた、処理装置のための静的情報および命令を記憶するために、読み取り専用メモリ(ROM)および/または他の静的記憶装置を含んでもよい。
【0051】
デジタル処理システム870はまた、情報および命令を記憶するために、1つ以上の記憶装置(例えば、磁気式ディスクドライブまたは光学式ディスクドライブ)を代表する、記憶装置を含んでもよい。記憶装置は、本明細書に記載する治療送達ステップを実施するための命令を記憶するために使用されてもよい。デジタル処理システム870は、バス892または他の種類の制御および通信インターフェースによって、線源860および治療カウチ875に連結されてもよい。
【0052】
デジタル処理システム870は、線源860によって送達される放射線治療ビームと標的の整合を維持するために、診断x線撮像のタイミングを管理するように方法を実装してもよい。
【0053】
治療送達システム815は、標的を撮像するための撮像システム865を含むことができる。一実施形態において、治療送達システム815は、バス892を介してデジタル処理システム870と接続された入力装置878とディスプレイ877を含む。ディスプレイ877は、標的移動の速度(例えば、治療対象である標的体積の移動の速度)を特定する傾向データを表示することができる。ディスプレイはまた、患者の現在の放射線暴露および患者に対して投影された放射線暴露も表示することができる。入力装置878は、医師が治療中に治療送達計画のパラメータを調整することを可能にすることができる。
【0054】
治療計画システム810は、治療計画および/またはシミュレーション計画を生成し、変更するために、処理装置840を含む。処理装置840は、1つ以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、デジタル信号プロセッサ(DSP)等の特殊目的プロセッサ、あるいはコントローラまたはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の他の種類の装置を代表してもよい。処理装置840は、本明細書に記載のシミュレーション生成動作および/または治療計画動作を実施するための命令を実行するように構成されてもよい。
【0055】
治療計画システム810はまた、処理装置840によって実行される情報および命令を記憶するために、バス886によって処理装置840に連結される、ランダムアクセスメモリ(RAM)、または他の動的記憶装置を含んでもよい、システムメモリ835を含んでもよい。システムメモリ835はまた、処理装置840によって命令の実行中に一時的変数または他の中間情報を記憶するために使用されてもよい。システムメモリ835はまた、処理装置840のための静的情報および命令を記憶するために、バス886に連結された読み取り専用メモリ(ROM)および/または他の静的記憶装置を含んでもよい。
【0056】
治療計画システム810はまた、情報および命令を記憶するために、バス886荷連結された1つ以上の記憶装置(例えば、磁気式ディスクドライブまたは光学式ディスクドライブ)を代表する、記憶装置845を含んでもよい。記憶装置845は、本明細書に記載する治療計画ステップを実施するための命令を記憶するために使用されてもよい。
【0057】
処理装置840はまた、ユーザに対して情報(例えば、VOIの2Dまたは3D表現)を表示するために、ブラウン管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイ装置850に連結されてもよい。キーボード等の入力装置855は、処理装置840に対して情報および/またはコマンド選択を伝達するために、処理装置840に連結されてもよい。1つ以上の他のユーザ入力装置(例えば、マウス、トラックボール、またはカーソル方向キー)もまた、指示情報を伝達し、処理装置840に対するコマンドを選択し、ディスプレイ850上のカーソルの移動を制御するために使用されてもよい。
【0058】
治療計画システム810は、治療送達前に治療計画システムからエクスポートする必要がなくてもよいように、治療送達システム815等の治療送達システムとそのデータベース(例えば、記憶装置845に記憶されたデータ)を共有してもよい。治療計画システム810は、直接リンク、LANリンクまたはWANリンクであってもよい、データリンク890を介して、治療送達システム815へリンクされてもよい。
【0059】
データリンク88
3および890がLANまたはWAN接続として実装されるとき、画像診断システム805、治療計画システム810および/または治療送達システム815のいずれも、システムが物理的に相互にリモートであってもよいように、分散した場所にあってもよい。代替として、画像診断システム805、治療計画システム810、および/または治療送達システム815のいずれも1つ以上のシステム内に相互に統合されてもよい。
【0060】
図9および10は、本発明の実施形態に従い、画像誘導放射線治療システム900および1000の構成を示す。例示の実施形態において、放射線治療システム900および1000は、放射線治療源として機能する、線形加速器(LINAC)901を含む。LINAC901は、患者の周囲で手術体積において、多数の面で、多数の角度から送達されるビームを用いて、病理組織(例えば、標的920)を照射するようにLINAC901を位置付けるために、複数(例えば5以上)の自由度を有するロボットアーム902の終端に取り付けられる。治療は、単一のアイソセンタ、複数のアイソセンタ、またはアイソセントリック型以外の手法を用いるビーム経路が関与してもよい。代替として、他の種類の画像誘導放射線治療(IGRT)システムが使用されてもよい。一代替実施形態において、LINAC1001は、アイソセントリック型ビーム経路を提供するようにガントリ型システム上に取り付けられてもよい。特定の一実施形態において、IGRTシステムは、剛性Oリング型ガントリを利用する、日本の東京の三菱重工株式会社およびドイツのBrainLAB AGの共同製品である、Vero SBRTシステム(日本ではTM200と呼ばれる)である。このようなOリング型ガントリシステムは、
図11を参照して以下に詳細を記載する。別の実施形態において、Varian(登録商標)のガントリシステム等のCアーム型ガントリシステムが使用される。
【0061】
LINAC901は、ロボットアーム902を移動されることによって、治療中に複数の異なるノード(ロボットが停止し、放射線が送達されてもよい、既定の位置)に位置付けられてもよい。ノードで、LINAC901は、標的に対して1つ以上の放射線治療ビームを送達することができる。ノードは、患者の周囲にほぼ球状分布に配置されてもよい。ノードの特定数および各ノードで適用される治療ビームの数は、治療される場所および病理組織の種類に応じて異なってもよい。例えば、ノードの数は、50〜300、またはより好ましくは、15〜100のノードで異なってもよく、ビームの数は、1100〜3200、またはより好ましくは50〜300で異なってもよい。
【0062】
図9を参照すると、本発明の一実施形態に従い、放射線治療システム900は、x線源903Aおよび903Bおよび固定x線検出器904Aおよび904Bに接続されたプロセッサ930を有する画像診断システム910を含む。代替として、x線源903A、903Bおよび/またはx線検出器904A、904Bは、移動可能であってもよく、その場合、標的920との整合を維持するように、あるいは代替として、異なる配向から標的を撮像するように、または多数のx線画像を取得し、3次元(3D)円錐ビームCTを再構成するように、位置を変更してもよい。一実施形態において、x線源は点源ではなく、代わりに、当業者が理解するように、x線源配列である。一実施形態において、LINAC901は、(ガントリまたはロボット取付に関わらず)撮像線源として機能し、LINAC出力レベルは画像化のための許容レベルに削減される。
【0063】
撮像システム910は、円錐ビームCT等のコンピュータ断層撮像(CT)を実施してもよく、撮像システム901によって生成された画像は、2次元(2D)または3次元(3D)であってもよい。2つのx線源903Aおよび903Bは、手術室の天井の固定位置に取り付けられてもよく、機械のアイソセンタ(本明細書において、治療中心と呼ばれ、治療中に治療カウチ906上に患者を位置付けるための基準点を提供する)で交差し、患者を貫通した後、それぞれの検出器904Aおよび904Bの撮像面を照射するように、2つの異なる角度の位置(例えば、90度分離された)から、x線撮像ビームを投影するように整合されてもよい。
一実施態様においては、ロボットアーム935は、患者を設置するために使用することができる。したがって、撮像システム910は、標的920および周囲の関心体積(VOI)の立体撮像を提供する。他の実施形態において、撮像システム910は、2つを超える、または2つ未満のx線源、および2つを超える、または2つ未満の検出器とを含んでもよく、検出器のうちのいずれかは、固定ではなく移動可能であってもよい。また他の実施形態において、x線源および検出器の位置は、置換されてもよい。検出器904Aおよび904Bは、当業者には周知であるように、x線を可視光(例えば、アモルファスシリコン)に変換する発光物質、およびデジタル画像の座標系を基準画像の座標系に変換する画像位置合わせプロセス中に基準画像と比較することができるデジタル画像へ光を変換するCMOS(相補型金属酸化膜半導体)またはCCD(電荷結合素子)イメージングセルの配列の配列から製造されてもよい。基準画像は、例えば、CT画像を通して光線を投じることによって、x線画像形成プロセスをシミュレーションすることに基づいて、3DのCT画像から生成される仮想x線画像である、デジタル再構成x線像(DRR)であってもよい。
【0064】
図10を参照すると、代替の実施形態において、撮像システム1010は、標的移動を判定するために、移動検出装置1012
に接続されたプロセッサ1020を含み、移動検出装置1012は、検出視野1040を有する。移動検出装置1012は、
プロセッサ1020にも接続されることができるx線撮像装置1011の撮像視野1050内で発生する外部の患者の移動(呼吸中の胸の動き等)を検出してもよい。移動検出装置1012は、標的移動を特定することが可能である、任意のセンサまたは他の装置にすることができる。移動検出装置1012は、例えば、カメラ等の光学式センサ、圧力センサ、電磁気センサ、またはユーザにイオン放射線を送達することなく移動検出を提供することができる何らかのその他のセンサ(例えば、x線撮像システム以外のセンサ)であってもよい。一実施形態において、移動検出装置1012は、実時間に標的移動を示す測定データを取得する。代替として、測定データは、(各x線画像で患者に送達されるイオン放射線に起因して)x線撮像で達成することが可能または所望されるよりも高い(可能性として実質的により高い)頻度で取得されてもよい。一実施形態において、移動検出装置1012は、高解像度の位置の精度を提供しない。その代わり、移動検出装置1012は、患者の移動および/または標的の移動を検出するに十分な相対的位置の精度を提供してもよい。
【0065】
一実施形態において、移動検出装置1012は、カメラ等の光学システムである。光学システムは、患者925上に位置する発光ダイオード(LED)の位置を追跡してもよい。代替として、光学システムは、患者のLEDを追跡することから区別されるように、患者925の表面領域を直接追跡してもよい。標的の移動と、LEDおよび/または患者925の表面領域の移動との間に相関関係が存在してもよい。相関関係に基づいて、LEDおよび/または表面領域の移動が検出されると、標的
920もまた、標的の場所を正確に判定するために、別の診断x線画像を要求するに十分移動したと判定することができる。
【0066】
図11は、ガントリ(アイソセントリック)型強度変調放射線治療(IMRT)システム1100の一実施形態を示す。ガントリ型システム1100において、線源(例えば、LINAC)1102は、患者の軸方向のスライスに対応する面内で回転する方式で、ガントリ上に取り付けられる。次いで、放射線は、回転の特定の面上のいくつかの位置から送達される。IMRTにおいて、放射線ビームの形状は、ビームの部分がブロックされることを可能にし、患者の残りのビーム入射が既定の形状を有する、マルチリーフコリメータ(MLC)によって定義される。加えて、IMRTにおいて、各放射線ビームの形状は、線量が標的に最大に適合し、可能な限り重要な構造を保護することを可能にするために、ビームが送達されている間に変更することができる。得られるシステムは、標的に対する線量分布を達成するように、アイソセンタで相互に交差する、任意の形状の放射線ビームを生成する。
【0067】
一実施形態において、ガントリ型システム1100は、ジンバル型線源ヘッドアセンブリ1101を有するOリング型システムである。Oリングは、その縦軸周囲に変位することができ、ジンバルは、線形加速器1102を位置付けるために、パンおよびティルト方向に回転するように駆動することができる。一実施形態において、ガントリは、水平軸周囲に360度回転し、加えて、縦軸の周囲で+/−60度回転(いわゆる歪曲)することを可能にする。直交ギンバルは、LINAC1102を支え、LINACのパンおよびティルト運動を可能にする。このシステムは、x線画像の取得を可能にするように、治療ビームから45度に二重の直交撮像システムを含んでもよい。
【0068】
一実施形態において、ガントリ型システム1100は、EPID(図示せず)を含む。EPIDは、標的領域の1Dまたは2D画像を生成するために、治療ビームを使用する。
【0069】
前述の記載から、本発明の態様は、少なくとも部分的に、ソフトウェアに具現化されてもよいことが明らかであろう。すなわち、技法は、メモリに含まれる命令のシークエンスを実行する、例えば、デジタル処理システム
870等、そのプロセッサに応答して、コンピュータシステムまたは他のデータ処理システム内で実行されてもよい。多様な実施形態において、本発明を実装するために、ハードウェア回路はソフトウェア命令と組み合わせて使用されてもよい。このため、本技法は、ハードウェア回路およびソフトウェアのどの特定の組み合わせにも、またはデータ処理システムによって実行される命令のどの特定のソースにも限定されない。加えて、本記載全体で、多様な機能および動作は、説明を簡単にするために、ソフトウェアコードによって実施される、または生じるとして説明されてもよい。しかしながら、当業者は、このような表現によって意味されるものは、デジタル処理システム
870等のプロセッサまたはコントローラによるコードの実行から得られる機能であることを認識するであろう。
【0070】
機械可読媒体は、汎用または専用の処理システムによって実行されると、システムに本発明の多様な方法を実行させる、ソフトウェアおよびデータを記憶するために使用することができる。この実行可能なソフトウェアおよびデータは、例えば、システムメモリおよび記憶装置あるいはソフトウェアプログラムおよび/またはデータを記憶することが可能である任意の他の装置を含む、多様な場所に記憶されてもよい。このため、機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ、ネットワークデバイス、パーソナルデジタルアシスタント、製造ツール、1組の1つ以上のプロセッサを装備する任意のデバイス等)によってアクセス可能である形式に情報を提供する(すなわち、記憶する)任意の機構を含む。例えば、機械可読媒体として、記録可能/読み取り専用メモリ(ROM)等の記録不可能な媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気式ディスク記憶媒体、光学式記憶媒体、フラッシュメモリデバイス等が挙げられる。
【0071】
その他特に記載のない限り、前述の記載から明らかであるように、「処理する」、「計算する」、「生成する」、「処置する」、「判定する」、「設定する」、「調整する」等の用語は、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内の物理的(例えば、電子的)数量として表現されるデータを操作し、コンピュータシステムメモリまたはレジスタ、あるいは他のそのような情報記憶装置またはディスプレイ装置内部に物理的に同様に表現される他のデータに変換する、コンピュータシステム、または類似の電子演算装置の動作およびプロセスを指してもよいことが理解されるであろう。本明細書に記載の方法の実施形態は、コンピュータソフトウェアを使用して実装されてもよい。認識される標準に準じたプログラミング言語で作成された場合、方法を実装するように設計された命令のシーケンスは、多様なハードウェアプラットフォーム上での実行、および多様なオペレーティングシステムとインターフェースするためにコンパイルすることができる。加えて、本発明の実施形態は、任意の特定のプログラミング言語を参照して記載されない。本発明の実施形態を実装するために、多種多様なプログラミング言語が使用されても良いことが理解されるであろう。
【0072】
本明細書に記載される方法および装置は、医学的画像診断および治療との使用だけに制限されないことに注意されたい。代替の実施形態において、本明細書の方法および装置は、材料の工業画像および非破壊的試験等、医学技術分野以外の応用分野で使用されてもよい。そのような応用において、例えば、「治療(処置)」は、ビーム(例えば、放射線、音響等)の応用等の治療(処置)計画システムによって制御される動作の達成を概して指してもよく、「標的」は、非解剖学的物体または領域を指してもよい。
【0073】
前述の明細書において、本発明は、その特定の例示的な実施形態を参照して記載した。しかしながら、請求項に記載の本発明の広義の精神および範囲から逸脱することなく、そこに多様な変形および変更が行われてもよいことは自明である。したがって、明細書および図面は、制限の意味ではなく、説明として解釈されるべきである。