特許第5934232号(P5934232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5934232支持レールおよび引出し底部を備えた構造物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934232
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】支持レールおよび引出し底部を備えた構造物
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/00 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
   A47B88/00 B
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-538000(P2013-538000)
(86)(22)【出願日】2011年10月4日
(65)【公表番号】特表2013-542025(P2013-542025A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】AT2011000413
(87)【国際公開番号】WO2012065198
(87)【国際公開日】20120524
【審査請求日】2014年4月11日
(31)【優先権主張番号】A1880/2010
(32)【優先日】2010年11月16日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルム ゲー エム ベー ハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショブロッチ,マックス
【審査官】 蔵野 いづみ
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3004222(JP,U)
【文献】 特開平11−056500(JP,A)
【文献】 特表平07−508442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00−88/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持レール(10)と引出し底部(8)とを備えた構造物であって、前記支持レール(10)は、前記引出し底部(8)にそれぞれ当接させるための、第1接触ウェブ(12)と、該第1接触ウェブ(12)から延び出た少なくとも1つの第2接触ウェブ(14)とを含んでおり、前記第1接触ウェブ(12)と前記第2接触ウェブ(14)とは相互に対して略直角方向に延びており、前記支持レール(10)の前記第1接触ウェブ(12)と前記第2接触ウェブ(14)は、前記引出し底部(8)に向かって折り曲げ可能な少なくとも1つのタブ(12a,14a)をそれぞれ有している、構造物において、
前記引出し底部(8)は、少なくとも1つの縁領域において略段状の接合部(9)を有しており、前記第1接触ウェブ(12)の少なくとも1つのタブ(12a)は、前記引出し底部(8)の裏面に配置され、前記第2接触ウェブ(14)の少なくとも1つのタブ(14a)は、前記引出し底部(8)の前記略段状の接合部(9)に配置されている、ことを特徴とする構造物。
【請求項2】
取り付け位置において、前記第2接触ウェブ(14)の前記タブ(14a)は、前記略段状の接合部(9)の略垂直に配置された部分(9a)に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の構造物。
【請求項3】
前記支持レール(10)は、断面が略S字状または略Z字状の部分を有している、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物。
【請求項4】
始動位置において、前記第1接触ウェブ(12)と前記第2接触ウェブ(14)の前記タブ(12a,14a)はそれぞれ、対応する接触ウェブ(12、14)とほぼ面一に設けられている、ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の構造物。
【請求項5】
前記引出し底部(8)の段状接合部(9)は、当該引出し底部(8)の長手方向のほぼ全体にわたって延びている、ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の構造物。
【請求項6】
前記支持レール(10)に接続された当接部(16)が設けられており、前記引出し底部(8)の上面は、その取り付け位置にて前記当接部(16)に当接する、ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の構造物。
【請求項7】
前記当接部(16)は引出し側壁(15)にて突出部の形態をなしている、ことを特徴とする請求項に記載の構造物。
【請求項8】
前記支持レール(10)は、引出し側壁(15)に接続されているか、解放可能な関係で引出し側壁(15)に接続可能である、ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の構造物。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載の構造物を含んだ引出し側壁(15)。
【請求項10】
請求項に記載の引出し側壁(15)を少なくとも1つ備えた引出し。
【請求項11】
請求項1からのいずれか一項に記載の構造物において、引出し底部を引出しレールに取り付ける方法であって、
第1の取り付けステップでは、前記第2接触ウェブ(14)の前記タブ(14a)を前記略段状の接合部(9)に押圧し、またはそれに押し込み、
続く取り付けステップでは、前記第1接触ウェブ(12)のタブ(12a)を前記引出し底部(8)の裏面に押圧し、またはそれに押し込む、ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持レールおよび引出し底部を含んだ構造物に関する。この支持レールは、それぞれ引出し底部に当接する第1接触ウェブ(長板部)と、第1接触ウェブから横方向に突出する少なくとも1つの第2接触ウェブとを含んでおり、支持レールのこれら第1接触ウェブ及び第2接触ウェブはそれぞれ引出し底部に向かって折り曲げ可能な少なくとも1つのタブ(突起片)を有している。
【0002】
本発明はさらに、以下で説明する構造物を含んだ引出し側壁、および、そのような側壁を含んだ引出し、並びに、以下で説明するような構造物を含んだ支持レールに引出し底部を取り付ける方法に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、引出し底部を固定するための、金属押出し形状化部材または金属形状化部分で作製される中空区画形状部材の形態である引出し側壁は、引出し底部の側縁部領域を固定あるいは支持できる支持レールを有することができる。この目的により、支持レールは、支持レールに対して引出し底部を締め固定させる打ち抜き加工されたタブの形態の固定手段を有することができる。
【0004】
DE8715166U1は、その図8図11および図12において、引出し側壁に接続されている断面加工された長形部材の側方接触ウェブで段状接合部に取り付けられる側段部を有した引出し底部を開示する。
【0005】
DE29709362U1は、その両ウェブが互いに直交して延びる支持レールを開示しており、取り付け位置にて水平である方のウェブは引出し底部の材料内に押し込み可能なタブを有する。
【0006】
DE29709362U1は支持レールに関するものであり、取り付け位置にて水平である方のウェブは、引出し底部の裏面に押し込み可能な複数のタブを有している。
【0007】
WO2010/046175A2は、その図31において固定手段を図示しており、支持レールは、一方が引出し底部の裏面内に挿入可能であり、他方が引出し底部内に側方に押し込み可能であるところの下方タブおよび側方タブを有している。この場合、板状の引出し底部は厚みが一定であり、引出し内に重量物が収納されていても引出し底部が破損しないように引出し底部は厚くなっている。この点に関する弱点は、この厚みのため、比較的に大型である引出し底部は、収納スペースの高さを小さくし、引出しの利用スペースを小さくしていることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE8715166U1
【特許文献2】DE29709362U1
【特許文献3】WO2010/046175A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って本発明の目的は、上記の弱点を回避しつつ、一般的に前述したような構造物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この目的は請求項1の特徴によって達成される。本発明の更なる有利な実施形態は従属請求項において記載されている。
【0011】
本発明によれば、引出し底部は、少なくとも1つの縁部領域に実質的に段状である接合部を有しており、第1接触ウェブ(長板部)のタブ(突起片)は引出し底部の裏面に配置され、第2接触ウェブ(長板部)のタブ(突起片)は引出し底部の段状接合部内に配置される。
【0012】
第1の取り付けステップで、引出し底部の段状接合部に押し込められる折り曲げ可能なタブの構造により、他方のタブを引出し底部の裏面に押し込む続くステップにおいては、引出し側壁の対応接合部分に対して側縁領域に当接する引出し底部が、飛び出すのを防止することが可能になる。加えて、タブを段状接合部に予め押し込むということは、その後に他のタブが引出し底部の裏面に押し込まれ、あるいは押圧されたとしても、側方接合部によって引出し底部を破損するリスクを軽減することが可能になる、ことを意味する。
【0013】
引出しの収納スペースの高さは、その側縁領域に段状接合部を有する引出し底部の提供によって増加させることができる。例として、引出し底部の側方接合部が8mmであるとすれば、引出し底部の上面は、従来の方法と比較して8mmだけ降下させることができ、よって引出しの収納スペースの高さは8mmだけ増加することになる。
【0014】
本発明の一実施形態では、取り付け位置において、第2接触ウェブのタブは、段形状接合部の略垂直に提供された部分に配置されている。従って、接合部と関係するこの第2タブは開始状態では接触ウェブの垂直部分に配置され、支持レールの垂直部分から側方に突起する位置に手により押し込まれて移動でき、引出し底部は第1の組み立てステップにおいては垂直方向に支持可能である。高さに関するその支持が提供された後には、続く組み立てステップにおいて、第1タブは引出し底部の裏面に押圧当接し、あるいは押し込まれる。この場合、予め接合部に押し込まれている第2タブは、引出し底部の裏面に押し込まれる第1タブによって発生される作用力を運搬する(支持する、引き受ける)。このようにして、取り付け位置において引出し底部の上面に当接する別体の締め付け面(クランプ面)を省略することが可能になる。
【0015】
別実施形態では、第1接触ウェブと第2接触ウェブが互いに直交して延びるように提供できる。従って、支持レールは横断面が略Z(字)形状である部分を有する。あるいは、支持レールは略S(字)形状部分を、特に接合部が凹状区画であるときに有することができる。
【0016】
本発明による引出し側壁は、このような構成を特徴とする。本発明の引出しは、この種の少なくとも1つの引出し側壁を有する。
【0017】
引出し底部を取り付ける本発明の方法に従えば、第1取り付けステップにおいて第2接触ウェブのタブは段状接合部に押圧当接され、または接合部内に押し込まれ、第1接触ウェブのタブの続く取り付けステップにおいては、第1接触タブは引出し底部の裏面に押圧当接され、または接合部内に押し込まれる。
【0018】
本発明のさらなる詳細と利点は、本発明の例示として、図面で示される実施例を利用して解説される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、引出し延出ガイドにより、家具枠体(家具カーカス)に対して移動可能に取り付けられた引出しを備えた家具の斜視図である。
図2図2は、支持レールが取り付けられている引出し側壁、引出し底部、および引出し後壁の斜視図である。
図3a図3aから図3dは、引出しが固定される支持レールの下方斜視図と、取り付けの順次ステップを示す詳細図である。
図3b図3aから図3dは、引出しが固定される支持レールの下方斜視図と、取り付けの順次ステップを示す詳細図である。
図3c図3aから図3dは、引出しが固定される支持レールの下方斜視図と、取り付けの順次ステップを示す詳細図である。
図3d図3aから図3dは、引出しが固定される支持レールの下方斜視図と、取り付けの順次ステップを示す詳細図である。
図4図4は、取り付けられた引出し底部を備えた支持レールの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は家具1の斜視図であり、そこでは引出し3が、引出し延出ガイド4によって家具枠体(家具カーカス)2に対して移動可能に取り付けられている。図示の実施例においては、引出し延出ガイド4は、3構成部材レールシステムの形態をなしており、家具枠体2に固定される枠体レール5、枠体レール5に対して移動可能な中央レール6、および、引出し3に取り付けられる支持レール10(ここでは図示せず)に接続される延出可能な引出しレール7を有している。しかし、引出し延出ガイド4が、1本の延出可能レールのみによる2構成部材レールシステムの形態であることも可能である。この場合には、引出し3に取り付けられる支持レール10は、完全な引出しの延出を提供するための引出しレール(3)としても機能できる。引出し3はそれぞれ、以下の図面で示されるように支持レール10に接続される引出し底部8を有する。
【0021】
図2は、支持レール10、引出し底部8および引出し後壁11の斜視図である。引出し底部8は、少なくとも1つの縁領域において段状の接合部9を有する。即ちそれ(9)は、引出し底部8の縁部に向かって開いており、実質的に引出し底部8の全長を(長手方向の全体に)延びる陥没部(凹部)である。その取り付け状態では、接合部9は垂直部9aと水平部9bとを提供する。引出し底部8のこのような形状によって、引出し底部8の表面(上面)はさらに下方に配置でき、引出しレール7(図1)の上縁にさらに近く(接近して)移動できる。よって引出し底部8の縁領域は、その局所虚弱部が使用する支持レール10によって補強されるので、薄くなったことで蒙る引出し底部8の安定性を損なうことなく、更に薄くすることができる。支持レール10は、引出し底部8の裏面に当接する第1水平接触ウェブ(長板部)12と、接合部9の水平部9bに当接する上方水平脚部13とを有しており、下方水平接触ウェブ12と上方水平脚部13とは、好適には略垂直または湾曲した第2接触ウェブ(長板部)14によって一体連結されている。第1水平接触ウェブ12は、支持レール10の長手方向で間隔を開けて配置され、且つ引出し底部8の裏面に押圧当接または押し込むことが可能な複数のタブ(突起片)12aを有する。第2の略垂直に提供された接触ウェブ14は、支持レール10の長手方向に間隔を開けて配置され、且つ接合部9の垂直に提供されている水平部分9aに押し込まれ又は押圧当接される複数のタブ14a(突起片)を同様な形態で有している。第1接触ウェブ12のタブ12aと第2接触ウェブ14のタブ14aとはそれぞれ、2つの接触ウェブ12と14の開口部にほぼ面一な始動位置(スタート位置)にアレンジ(配置)されている。支持レール10には引出し側壁15が接続されており、引出し底部8の縁領域の上面を支持する当接部16を提供する。引出し側壁15の当接部16は、図示の実施例では、引出しの中央に向かって突き出たノーズ部(突出部)の形態をなす。
【0022】
図3aは、引出し底部8を伴う支持レール10の斜視図であり、図3aから図3dは、連続的な取り付けステップの詳細図である。図3aに示すように、支持レール10の水平脚部13は接合部9の水平部分9b(図2)に当接する。第2の垂直に延びる接触ウェブ14は接合部9の垂直部分9a(図2)に当接し、第1水平接触ウェブ12は引出し底部8の裏面に当接する。図3bは図3aにて丸で囲まれた領域の拡大図であり、第1接触ウェブ12のタブ12aと、第2接触ウェブ14のタブ14aは、始動位置(スタート位置)で接触ウェブ12と14の開口部において面一状態にそれぞれアレンジされている。図示の実施例では、例えば、特殊工具またはスクリュードライバーによって引出し底部8の方向にそれぞれ押圧できるタブ12aと14aのそれぞれの対が存在する。第1の取り付けステップ(図3c)では、第2接触ウェブ14の第2タブ14bが接合部の垂直部分9a(図2)にまず押し込まれ、引出し底部8は垂直方向に支持レール10に対して予め固定される。続く取り付けステップ(図3d)では、第1接触ウェブ12の第1タブ12aが引出し底部8の裏面に押し込まれるか、押圧当接される。
【0023】
図4は、取り付けられた引出し底部8を伴う支持レール10の断面図である。取り付け状態にて、支持レール10は略水平脚部13と第1水平接触ウェブ12とを有する。水平脚部13と第1接触ウェブ12は、好適には略垂直に延びる第2接触ウェブ14によって連結されている。第1取り付けステップにおいて、第2接触ウェブ14のタブ14aは、接合部9の垂直に延びる部分9aに押し込まれるか、押圧当接される。このように、引出し底部8は支持レール10に対する高さに関して予め固定される。従って、そのことは、引出し側壁15の細い当接部16と関連して、下方タブ12aが押し込まれたときに引出し底部8の飛び出しを防止する。引出し底部8の上面に重なる当接部16は、2mmから6mm、好適には3mmから5mmの幅である。しかし、タブ14aが引出し底部8のために垂直支持を引き受けることもできるならば、当接部16は基本的には完全に省略することもできる。従って、タブ14aは、下方タブ12aが押し込まれるときに発生する作用力を運搬する(支える)。もし、側方タブ14aが存在しなければ、当接部16と下方タブ12aとの間の相対スペースも比較的に大きくなり、この場合には、特に接合部9を有する引出し底部8に関して、下方タブ12aがその場に押し込まれたなら、接合された引出し底部8が破損する潜在的な危険が存在するであろう。しかし本発明によれば、まず側方タブ14aが接合部9に押し込まれ、あるいは押圧当接するので、下方タブ12aが引出し底部8に当接されるか、押し込まれるのはその後であり、下方タブ12aを押し込めるときに発生する作用力は側方タブ14aによって運搬(支持、引き受け)が可能である。
【0024】
本発明は図示の実施例には限定されず、「請求の範囲」に属するものの全ての変形および技術的均等物もカバーするものである。上方、側方、等の位置関係を示す用語は図示の実施例に対して適用されており、配置全体に変更が施されれば、適宜に変更されるべきものである。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4