(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
投与部材(12)のねじ山(15)は、 ボディ(1)に対する投与部材の螺旋運動が、投与部材が近位端(2)に向かって移動するときの第1の回転の向きを有する回転と、投与部材が遠位端(3)に向かって移動するときの第2の回転の向きを有する回転とを含んでなるように、配置される、
請求項1に記載の駆動機構。
ピストンロッド(7)は、それがボディに対して第2の回転の向きに回転するときピストンロッドが遠位端(3)に向かって進むようにボディ(1)内でピストンロッドを案内するねじ山(13)を有する、
請求項1または2に記載の駆動機構。
さらに、クラッチスリーブ(18)および投与部材(12)に作用し、クラッチ(19)を係合させる傾向のある弾性エレメント(29)を含んでなり、この弾性エレメントは、投与部材(12)を遠位方向へ動かすことがクラッチの係合を減らすかまたは除去するように配置される、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の駆動機構。
投薬操作が、ボディ(1)に対して遠位方向への投与部材(12)の螺旋運動により行なわれ、この螺旋運動が、投与部材のねじ山(15)により案内されそして駆動スリーブ(11)が同時に回転する、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の駆動機構。
設定修正操作が、ボディ(1)に対して遠位方向への投与部材(12)の螺旋運動により行なわれ、この螺旋運動が、投与部材のねじ山(15)により案内され、そして駆動スリーブがボディに対して静止している、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の駆動機構。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】駆動機構の一実施形態を含んでなるインジェクション・ペンの概略横断面を示す。
【
図2】投与量を設定した後の
図1に記載の横断面を示す。
【
図3】何回かの投与量の送達後の
図1に記載の横断面を示す。
【
図5】止め部材、駆動部材および駆動スリーブを含んでなる駆動機構の一実施形態の一部の詳細図を示す。
【
図6】ボディ、ピストンロッドおよびピストンロッドを螺旋運動時に案内する手段を含んでなる駆動機構の一実施形態の一部の横断面を示す。
【
図7】投与スリーブ、駆動スリーブ、駆動部材およびピストンロッドを含んでなる駆動機構の一実施形態の一部の透視図を示す。
【0026】
異なった実施形態の同様のまたは対応するエレメントは、図において同一参照数字を持つ。
【0027】
図1は、駆動機構の一実施形態を含んでなる注射ペンの概略横断面を示す。代わりに、薬剤送達デバイスは、他の適当な形を有し得る。デバイスは、ハウジングまたはボディ1を含んでなる。「ボディ」という用語は、主ハウジングまたはシェルのような任意の外部ハウジングならびに外部ハウジング内に配置されたインサートまたは内側ボディのような内部ハウジングを含む。ボディ1は、デバイスの再充填を可能にする少なくとも2つの取り付け可能および分離可能な部分から成り得る。
図1に示す実施形態において、ボディ1は、細長く延びた形である。ボディは、近位端2および遠位端3を有する。遠位端3は、ニードル(
図1に示さず)、または、たとえば、ニードル・ユニットを備え得る。代わりに、デバイスは、ニードルなしであってもよい。駆動機構は、近位端2にある投与ボタン26によって作動させられ得る。デバイスは、使い捨てであっても再使用可能であってもよく、薬剤の複数回分の一定投与量または可変投与量を投薬するように構成されてもよい。
【0028】
ボディ1は、薬剤のために提供される受け部4を含んでなる。薬剤は、液体、たとえば、特にインスリン、ヘパリンまたは成長ホルモン類であってもよい。ここに使われる「薬剤」という用語は、好ましくは、少なくとも1つの薬学的に活性がある化合物を含有している医薬製剤を意味する。
【0029】
ここで、一実施形態において、薬学的に活性がある化合物は、1500Daまでの分子量を有するか、および/または、ペプチド、プロテイン、ポリサッカリド、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチドまたは上述の薬学的に活性がある化合物の混合物である。
【0030】
さらに別の実施形態においては、薬学的に活性がある化合物は、糖尿病性網膜症のような糖尿病と関連した糖尿病または併発症、深静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症のような血栓塞栓症疾患、急性冠動脈症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、花粉症、アテローム性動脈硬化症および/または慢性関節リウマチの治療および/または予防のために有用である。
【0031】
さらなる実施形態においては、薬学的に活性がある化合物は、真性糖尿病または糖尿病性網膜症のような真性糖尿病と関連した併発症の治療および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含んでなる。
【0032】
さらに別の実施形態においては、薬学的に活性がある化合物は、少なくとも1つのヒト・インスリンまたはヒト・インスリン類似物またはその派生物、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)またはその類似物または派生物またはエキセンジン−3またはエキセンジン−4またはエキセンジン−3またはエキセンジン−4の類似物または派生物を含んでなる。
【0033】
インスリン類似化合物は、たとえば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒト・インスリン、Lys(B3)、Glu(B29)ヒト・インスリン、Lys(B28)、Pro(B29)ヒト・インスリン、Asp(B28)ヒト・インスリン、位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaと置き換えられ、位置B29において、LysがProと置き換えられている可能性のあるヒト・インスリン、Ala(B26)ヒト・インスリン、Des(B28−B30)ヒト・インスリン、Des(B27)ヒト・インスリンおよびDes(B30)ヒト・インスリンである。
【0034】
インスリン派生物は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒト・インスリン、B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒト・インスリン、B29−N−ミリストイル・ヒト・インスリン、B29−N−パルミトイル・ヒト・インスリン、B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒト・インスリン、B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒト・インスリン、B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒト・インスリン、B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒト・インスリン、B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒト・インスリン、B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒト・インスリン、B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒト・インスリンおよびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒト・インスリンである。
【0035】
エキセンジン−4は、たとえば、エキセンジン−4(1−39)、次のシーケンス
H−His−GlyGlu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−AIa−Val−Arg−Leu−Phelle−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−AIa−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2のペプチドを意味する。
【0036】
エキセンジン−4派生物は、たとえば、以下の化合物リストから選ばれる。すなわち、
H−(Lys)4−des Pro36, des Pro37 エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)5−des Pro36, des Pro37 エキセンジン−4(1−39)−NH2,
des Pro36 エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Asp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [IsoAsp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Met(0)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Met(0)14, IsoAsp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Trp(02)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Trp(02)25, IsoAsp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Met(0)14 Trp(02)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Met(0)14 Trp(02)25, IsoAsp28] エキセンジン−4(1−39);または
des Pro36 [Asp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [IsoAsp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Met(0)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Met(0)14, IsoAsp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Trp(02)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Trp(02)25, lsoAsp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Met(O)14 Trp(02)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Met(0)14 Trp(02)25, IsoAsp28] エキセンジン−4(1−39)
(ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4派生物のC末端に結びつけられてもよい);
【0037】
またはシーケンス
des Pro36 エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2 (AVE0010),
H−(Lys)6−des Pro36 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2,
des Asp28 Pro36, Pro37, Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−Asn−(Glu)5des Pro36, Pro37, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
des Pro36, Pro37, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36 [Trp(02)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2,
H−des Asp28 Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(02)25] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(02)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(02)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36 [Met(O),14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2,
des Met(O)14 Asp28 Pro36, Pro37, Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)6−desPro36, Pro37, Pro38 [Met(0)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(0)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(0)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(0)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−Asn−(Glu)5 des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(0)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6NH2,
H−Lys6−des Pro36 [Met(0)14, Trp(02)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2,
H−des Asp28 Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Trp(02)25] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(0)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(0)14, Trp(02)25, Asp28] エキセンジン−4(139)−NH2,
des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(0)14, Trp(02)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(0)14, Trp(02)25, Asp28] エキセンジン−4(S1−39)(Lys)6−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(0)14, Trp(02)25, Asp28] エキセンジン−4(139)−(Lys)6−NH2
のエキセンジン−4派生物;
または前述のエキセンジン−4派生物のうちの任意一つの薬理学的に許容される塩または溶媒和化合物。
【0038】
ホルモン類は、たとえば、下垂体ホルモン類または視床下部ホルモン類または調節性活性ペプチドおよびゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンのような、Rote Liste、編集2008、第50章に挙げられるそれらの拮抗剤である。
【0039】
ポリサッカリドは、たとえば、グルコサミノグルカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンまたはその派生物、または、硫酸処理形態、たとえば、ポリ硫酸処理形態の上述ポリサッカリドおよび/またはその薬理学的に許容される塩である。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬理学的に許容される塩の例としてはエノキサパリンナトリウムがある。
【0040】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状プラズマ・タンパク質(〜150kDa)である。抗体は、アミノ酸残基に加えられる砂糖連鎖を有するので、グリコプロテインである。各抗体の基本的な機能ユニットは、免疫グロブリン(Ig)モノマー(1つのIgユニットのみを含有する)である。分泌された抗体は、IgAとして2つのIgユニットを備える二量体であってもよいし、硬骨類魚IgMのような4つのIgユニットを備えた四量体であってもよいし、哺乳類IgMのような5つのIgユニットを備えた五量体であってもよい。
【0041】
Igモノマーは、4つのポリペプチド鎖からなる『Y』形の分子である。2つの同一の重鎖および2つの同一の軽連鎖は、ジスルフィド結合によってシステイン残基の間に連結される。各重鎖は、長さ約440のアミノ酸であり、各軽鎖は、長さ約220のアミノ酸である。重鎖および軽鎖は、各々、それらの折りたたみを安定させる鎖内ジスルフィド結合を含有する。各鎖は、Ig領域と呼ばれる構造領域から成る。これらの領域は、約70〜110のアミノ酸を含有し、それらのサイズおよび機能に従って異なったカテゴリ(たとえば、変数またはV、そして、定数またはC)に分類される。これらの領域は、2つのRシートが保存されたシステインと他の帯電したアミノ酸の間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を創作する特性免疫グロブリン層を有する。
【0042】
α、δ、ε、γおよびμによって表される5タイプの哺乳類Ig重鎖がある。このタイプの重鎖は、抗体のアイソタイプを定義する。これらの鎖は、それぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMの抗体に見いだされる。
【0043】
個々の重鎖は、サイズおよび組成物で異なっており、αおよびγは、ほぼ450のアミノ酸を含有し、δは、ほぼ500のアミノ酸を含有し、一方、μおよびεは、ほぼ550のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち、一定領域(CH)および可変領域(VH)を有する。1つの種においては、一定領域は、同じアイソタイプのすべての抗体においてほぼ同一であるが、異なったアイソタイプの抗体においては異なる。重鎖γ、αおよびδは、3つの直列型Ig領域および可撓性を加えるためのヒンジ領域とから成る一定の領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン領域から成る一定領域を有する。重鎖の可変領域は、異なったB細胞により生成される抗体において異なるが、単一のB細胞またはB細胞クローンにより生成されるすべての抗体については同じである。各重鎖の可変領域は、単一のIg領域から成る長さほぼ110のアミノ酸である。
【0044】
哺乳類においては、λおよびκによって表される2タイプの免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は、2つの連続した領域、すなわち、1つの一定領域(Cl)および1つの可変領域(VL)を有する。近似長さの軽鎖は、211〜217のアミノ酸である。各抗体は、常に同じである2つの軽鎖を含有する。1つのタイプの軽鎖のみ、κまたはλが哺乳類では1抗体あたり存在する。
【0045】
すべての抗体の全体的な構造はまったく同じであるが、所与の抗体の固有特性は、上述したように、可変(V)領域によって決まる。より詳しくは、可変ループ(各軽鎖(VL)で3つ、重鎖(VH)で3つ)は、抗原に結びつける原因であり、すなわち、その抗原特異性の原因となる。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VH、VL両領域からのCDRが抗原結合部位に関与しているので、抗原結合部位は、最終的抗原特異性を決定する重鎖と軽鎖の組み合わせであり、どちらも単独であることはない。
【0046】
「抗体フラグメント」は、上述したように少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含有し、フラグメントが導き出される完全な抗体としてほぼ同じ機能および特異性を呈する。パパインを備える限られたタンパク質分解消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。2つの同じアミノ末端フラグメント(各々1つの完全L鎖と約半分のH鎖を含有する)は、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズで同じであるが、鎖間ジスルフィド結合を備える両重鎖の半分がカルボキシル末端を含有する第3のフラグメントは、結晶化可能フラグメント(Fc)である。Fcは、補完結合部位およびFcR結合性部位に炭水化物を含有する。限られたペプシン消化は、H−H鎖間ジスルフィド接合材を含む、Fab片およびヒンジ領域の両方を含有する単一のF(ab’)2フラグメントを産する。F(ab’)2は、抗原結合について二価である。Fab’を得るためにF(ab’)2のジスルフィド結合が切断されてもよい。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、単一の鎖可変フラグメント(scFv)を形成するために一緒に融合させることができる。
【0047】
薬理学的に許容される塩類は、たとえば、酸添加塩類および塩基性塩である。酸添加塩類は、たとえば、HCIまたはHBr塩類である。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ性から選定される陽イオン、たとえば、Na+またはK+またはCa2+を有する塩類、またはアンモニウム・イオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)、(ここで、R1〜R4は、互いに独立して、以下を意味する:すなわち、水素、随意に置換されたC1〜C6−アルキル基、随意に置換されたC2〜C6−アルケニル基、随意に置換されたC6〜C10−アリール基または随意に置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)である。薬理学的に許容される塩類のさらなる例は、「Remingtonの薬学」17版、Alfonso R. Gennaro(編集)、Mark出版社、Easton、Pa.、U.S.A.、1985年および医薬技術の百科事典に記載されている。
【0048】
薬理学的に許容される溶媒和化合物は、たとえば、水和物である。
【0049】
受け部4は、薬剤を収容し、受け部4に挿入されているカートリッジ5により充填されるように設計されてもよい。いっぱいになったカートリッジ5は、好ましくは、薬剤の複数回分の投与量を収容する。カートリッジ5が空になったならば、それを取り外し、新しいカートリッジと交換できる。薬剤は、ピストン6によって、受け部の開口を通して投薬され、このとき、ピストンは、ピストンロッド7によって、受け部4内、特にカートリッジ5内で遠位端3に向かって前進させられる。ピストンロッド7がピストン6に対して動かされるようになっている場合、ベアリング(
図1に概略的に示す)がピストン6とピストンロッド7の間に配置されて摩擦によって生じ得る損害を減らし得る。
【0050】
ピストンロッド7は、ボディ1内に、好ましくは近位端2の近くに置かれた駆動機構内に配置される。ピストンロッド7は、駆動スリーブ11、クラッチスリーブ18および投与部材12によって、部分的に取り囲まれる。投与部材12は、円筒形であり、ねじ山15を備え、このねじ山は、ボディ1の内面にある対応するねじ山と係合する。投与部材12は、ユーザが投与部材12を回転させることができるようにボディ1外側にグリップ30を有する。投与部材12が回転させられると、ねじ山15は、ボディ1に対する投与部材12の螺旋運動を発生させる。以下、本明細書では、ボディ1に対する第1の回転の向きおよび第2の回転の向きは、ボディ1に対する投与部材12の螺旋運動が、投与部材12が近位方向へ動かされるときの第1の回転の向きを有する回転と、投与部材12が遠位方向へ動かされるときの第2の回転の向きを有する回転と含んでなるとして定義される。
【0051】
投与部材12は、クラッチ19によって、解放可能にクラッチスリーブ18に結合させられる。クラッチ19は、クラッチスリーブ18および投与部材12の近位端の近くに提供され得る。クラッチ19は、クラッチスリーブ18の表面領域および投与部材12の対応する表面領域により形成される。これらの表面領域は、互いに接触し、摩擦によってクラッチスリーブ18および投与部材12を回転可能に結合する。代わりに、クラッチ19は、クラッチスリーブ18の構造化された表面領域(たとえば、ラチェット歯を備えた環状表面領域でもよい)と、投与部材12の対応する構造化された表面領域とによって形成されてもよい。クラッチ19が係合すると、クラッチスリーブ18および投与部材12は一緒に回転できるように互いに錠止される。投与部材12になんら力が加えられていないときにクラッチ19を係合状態に保持するためにスプリング29が提供され得る。
【0052】
クラッチスリーブ18は、それがボディ1に関して軸方向に駆動スリーブ11に相対的にシフトされ得るように駆動スリーブ11に一緒に回転錠止される。これは、クラッチスリーブ18および駆動スリーブ11の相対的な動きを案内する溝またはトラックによって達成され得る。駆動スリーブ11は、ボディ1に対して回転させられ得るが、遠位方向または近位方向における駆動スリーブ11の動きは阻止されるかまたは少なくとも制限される。このために、ボディ1が止め手段を備えてもよい。この止め手段は、遠位方向および近位方向における駆動スリーブ11のシフトを止める、たとえば、インタフェースまたはウェブ14、16であり得る。
【0053】
図1に記載の実施形態は、さらに、スプリング8、止め部材9および駆動部材10を含んでなる。駆動機構のこれらのコンポーネントは、ピストンロッド7を駆動スリーブ11に結合させるが、他の実施形態においてはピストンロッド7を駆動スリーブ11に結合させるために他の手段に換えてもよい。止め部材9および駆動部材10は、好ましくは一方向ギアであり、ラチェットでもよい第1のギアによって回転連結される。駆動部材10および駆動スリーブ11は、好ましくは一方向ギアであり、ラチェットでもよい第2のギアによって回転連結される。この呼び方の範囲を制限することを意味するわけではないが、「ラチェット」という用語は、以下において、駆動機構において使用され得る一方向ギアを示すのに使われることになる。止め部材9は、ボディ1に一緒に回転錠止されるが、許された方向における回転の間、ラチェットが係合、分離するのを可能にする往復運動を実施するのは可能である。止め部材9、駆動部材10および駆動スリーブ11は、ボディ1のウェブ14により支持されるスプリング8の作用によって接触状態に保持される。
【0054】
ラチェットは、止め部材9に対する、そして、駆動スリーブ11に対する駆動部材10の一方向回転を可能にする。これらの相対的な動きの両方において、駆動部材10は、近位方向に対して同じ回転の向きに回転する。これは、ボディ1に対する駆動スリーブ11の回転の向きに依存してボディ1および止め部材9に対して駆動スリーブ11と一緒に回転する駆動部材10に駆動スリーブ11が一緒に回転錠止されるか、または、駆動スリーブ11がボディ1および止め部材9に一緒に回転錠止される駆動部材10に対して回転することを意味する。上記の定義によれば、駆動スリーブ11が第1の回転の向きにおいて、ボディ1に対して回転するとき駆動部材10は止め部材9に一緒に回転錠止され、そして、駆動スリーブ11が第2の回転の向きにおいて、ボディ1に対して回転するとき駆動部材10は駆動スリーブ11に一緒に回転錠止される。
【0055】
駆動部材10は、ボディ1内のその位置にほぼ留まり、一方、ピストンロッド7は、遠位方向または近位方向において、ボディ1に対して軸方向へ動くことが可能である。
図6に関連して後に説明するようにピストンロッド7の動きがボディ1に対して案内されるので、駆動部材10によるピストンロッド7の回転は、ボディ1に対するピストンロッド7の螺旋運動を発生させる。したがって、止め部材9によって可能とされる駆動部材10の回転は、遠位方向へピストンロッド7をシフトするピストンロッド7の螺旋運動に変換される。
【0056】
投与部材12がボディ1に対する第1の回転の向きにおいてねじ山15に従う近位方向へ螺旋状に動かされるとき、クラッチスリーブ18および投与部材12は、係合したクラッチ19によって一緒に回転錠止される。クラッチスリーブ18が駆動スリーブ11に一緒に回転錠止されるので、駆動スリーブ11も第1の回転の向きに回転する。したがって、駆動部材10は、止め部材9に一緒に回転錠止され、そして、駆動スリーブ11の回転は、駆動スリーブ11および駆動部材10を結合させているラチェットを乗り越える。その結果、ピストンロッド7は回転しない。
【0057】
図2は、投与量を設定した後の
図1に記載の駆動機構の横断面を示す。グリップ30に加えて、今や、投与部材12の一部がボディ1から突出する。クラッチスリーブ18は、投与部材12と一緒に動かされたが、クラッチ19はまだ係合している。設定された投与量の修正は、投与部材12をボディ1に対して遠位方向において、戻すように、すなわち、第2の回転の向きに動かすことによって容易に可能となる。この動きは、ここでも螺旋状であり、ねじ山15によって案内される。これは、反対方向にグリップ30を回すことによって達成され得る。スプリング29の作用に抗して遠位方向において投与部材12に加えられる軽微な圧力がクラッチ19を分離させ、その結果、投与部材12が回転すると共に、クラッチスリーブ18がボディ1に対して回転することなく軸方向にのみ動かされる。投与部材12が遠位方向へ動かされるときにクラッチ 19を分離させるために、クラッチスリーブ18の動きが摩擦により阻止される場合有利あるかも知れない。これは、スプリング29を支持している、たとえば、ボディ1の内壁上を摺動するリムのようにクラッチスリーブ18の部分を突出させることにより達成され得る。その結果、駆動部材11は、設定修正操作中に回転せず、そして、ピストンロッド7は動かされない。したがって、投与部材12の所望の位置が得られるまで投与部材12は動かされる。設定された投与量の正しい値は、投与部材12に適用されるスケールまたは番号付けにより示され得る。可聴手段および/または触覚手段も、投与量を設定するときにユーザを案内するために提供され得る。
【0058】
選定された投与量は、遠位方向へ投与ボタン26をプレスすることによって送達される。投与ボタン26は、クラッチスリーブ18に作用するが、遠位方向におけるクラッチスリーブ18のシフトが投与部材12を同時にシフトするように配置される。クラッチ19は、係合状態に留まり、クラッチスリーブ18は、ボディ1に対する投与部材12の螺旋運動に続く。投与ボタン26は、好ましくはクラッチスリーブ18に対して回転可能であり、その結果、投与ボタン26の回転なしにクラッチスリーブ18の回転が可能となる。駆動スリーブ11に一緒に回転錠止されたクラッチスリーブ18は、第2の回転の向きにおける駆動スリーブ11の回転を発生させ、これは駆動部材10に、したがって、ピストンロッド7に伝えられる。ピストンロッド7は、遠位端3に向かって螺旋状に進み、選定された投与量が放出されるまでピストン6をシフトする。
【0059】
図3は、何回分かの投与量の送達の後の駆動機構の横断面を示す。ここでは、投与部材12は、再び、デバイスが
図1に示される初期状態にあるときに占有する位置にある。今や、ピストンロッド7が送達操作の過程で数回遠位方向にシフとされているので、ピストンロッド7の位置は変えられている。駆動機構の他のコンポーネントは、
図1に示す状態に従って配置され、そして、投与部材12を回すことによって、さらなる設定操作が実施され得る。
【0060】
投与部材12が、投与量の設定中に第1の回転の向きに回転させられるのに対して、送達操作中の駆動スリーブ11の回転は、ボディ1に対して第2の回転の向きにおいて起こり、そして、駆動部材10ならびにピストンロッド7が回転させられる。設定修正操作中、クラッチ19が分離されて第2の回転の向きにおける駆動スリーブ11の回転を避ける。ピストンロッド7は、遠位方向へ投与ボタンをプレスすることによってクラッチ19が係合状態に保持されるとき、送達操作においてのみ動かされる。
【0061】
図4は、駆動機構の一実施形態の一部の透視図を示す。止め部材9、駆動部材10および駆動スリーブ11は、駆動部材10および止め部材9を結合させるラチェットによって、そして、駆動部材10および駆動スリーブ11を結合させるラチェットによって係合させられる。ラチェットおよびそれらの機能を以下により詳しく説明する。駆動スリーブ11は、ねじ山15を備える投与部材12内に配置される。駆動スリーブ11および投与部材12は一緒に回転錠止されるが、これは、たとえば、駆動スリーブ11の軸方向溝25によって達成され得る。駆動スリーブ11は、投与部材12に対して軸方向に動かされ得るが、投与部材12に対して回転させられ得ない。投与部材12は、投与ボタン26を備える。
図4に記載の実施形態においては、クラッチスリーブ18はなく、投与部材12が駆動スリーブ11と直接係合させられる。
【0062】
投与部材12を近位方向へ動かすことは、送達されるべき投与量を設定し、そして、投与部材12を遠位方向へ動かすことは設定された投与量の送達を遂行する。投与部材12は、ボディ1に対する螺旋運動の際にねじ山15によって案内される。投与部材12の動きの近位端位置および遠位端位置は、ボディ1のところで提供されるそれぞれの止め特徴によって決定され得る。
【0063】
図5は、止め部材9、駆動部材10、駆動スリーブ11間の一方向ギアを示す。駆動スリーブ11は、駆動部材10にラチェットによって結合されるが、このラチェットは、駆動スリーブ11が第1の回転の向きにおいてボディ1に対して回転するときに駆動部材10に対する駆動スリーブ11の回転を可能にする。ラチェットは、駆動スリーブ11が第2の回転の向きにおいて、ボディ1に対して回転するときに駆動部材10に対する駆動スリーブ11の回転を阻止する。したがって、駆動部材10は、送達操作中の、第2の回転の向きにおける駆動スリーブ11の回転に追従する。
【0064】
駆動部材10は、コンポーネントの周縁に沿って方位角的に配列されており、駆動部材10および止め部材9を結合させる第1のギア21および駆動部材10および駆動スリーブ11を結合させる第2のギア22を形成する歯を含んでなる。第1ギア21のランプ23および第2ギア22のランプは、ギアの1つによって、直接結合される2つのコンポーネントの相対的な回転が1つの回転の向きにおいて、可能となると共に、これら2つのコンポーネントの相対的な回転が逆の回転の向きにおいて、阻止されるように配列される。したがって、上述した回転連結が達成される。止め部材9は、ボディ1との止め部材9の回転錠止を可能にするための
図5に示す歯28のような突出部分を備え得る。歯28がボディ1の軸方向溝内で案内される場合、止め部材9は軸方向に動かされ得るが、ボディ1に対して回転させることはできない。これは、駆動部材10が回転に対して固定された止め部材9と係合しているので、第1の回転の向きにおける駆動スリーブ11の回転が、駆動部材10の回転なしに起こり、そして、第2の回転の向きにおける駆動スリーブ11の回転が、駆動部材10を止め部材9に対して同時に回転させるということを明瞭に示す。投与量の設定中、駆動部材10は、回転せず、そして、投与量の送達中、駆動部材10は、回転して、
図6、7に関連して以下に説明するさらなる機構に従ってピストンロッド7の同時回転を発生させる。
【0065】
図6は、ボディ1に対して螺旋運動でピストンロッド7を案内する手段を有する駆動機構の一実施形態の一部の横断面を示す。この駆動機構は、駆動部材10との接触状態に止め部材9を保持するために提供されるスプリング8を含んでなる。
図6は、ボディ1の内部インタフェースまたはウェブ14で支えられているスプリング8の可能な配置を示す。ウェブ14は、ピストンロッド7の動きを案内するガイド手段を備える開口を有する。このために、ピストンロッド7は、ピストンロッド7がウェブ14の開口を通して動かされるときにボディ1に対するピストンロッド7の螺旋運動を発生させるねじ山13を備える。
【0066】
止め部材9は、ボディ1の内面に形成された軸方向ガイド20内を案内される歯28を有するものとして示されている。これは、軸方向の相対的な動きを可能にする、止め部材9とボディ1との回転連結の一例である。
【0067】
止め部材9が遠位方向へシフトされる場合、スプリング8は圧縮される。スプリング力は近位方向へ止め部材9を駆動し、その結果、止め部材9が、駆動スリーブ11との接触状態に留まる隣接する駆動部材10との接触状態に保持される。したがって、スプリング8は、駆動スリーブ11に対する止め部材9および駆動部材10の小さな軸方向の動きを可能にしてランプ23、24上の摺動運動を伴う相対的な回転を促進する。
【0068】
図7は、ピストンロッド7がどのように駆動部材10に回転連結され得るのかを示す。このために、ピストンロッド7は、
図5からわかるように、ピストンロッド7のねじ山を軸方向に切断する少なくとも1つの軸方向溝17または係合トラックを含んでなる。駆動部材10の軸方向ねじ山27は、ピストンロッド7の軸方向溝17と係合し、したがって、駆動部材10に対するピストンロッド7の相対的な軸方向の動きを可能にすると共に、駆動部材10およびピストンロッド7を回転連結させる。
図7は、駆動部材10および駆動スリーブ11を結合する第2のギア22を示す。この実施形態において、駆動スリーブ11は、
図4にも示す軸方向溝25を備える。
【0069】
本発明およびその利点を詳細に説明してきたが、種々の修正、代替および変更が、以下の特許請求の範囲により定義されるような発明の精神および範囲から逸脱することなくここでなされ得ることは了解されるべきである。
【0070】
参照数字
1 ボディ
2 近位端
3 遠位端
4 受け部
5 カートリッジ
6 ピストン
7 ピストンロッド
8 スプリング
9 止め部材
10 駆動部材
11 駆動スリーブ
12 投与部材
13 ピストンロッドのねじ山
14 ウェブ
15 ねじ山
16 ウェブ
17 ピストンロッドの軸方向溝
18 クラッチスリーブ
19 クラッチ
20 ボディにおける軸方向ガイド
21 駆動部材および止め部材を結合させるラチェット
22 駆動部材および駆動スリーブを結合させるラチェット
23 ラチェットのランプ
24 ラチェットのランプ
25 駆動スリーブの軸方向溝
26 投与ボタン
27 駆動部材の軸方向ねじ山
28 止め部材の歯
29 スプリング
30 グリップ