特許第5934240号(P5934240)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5934240層間材に張力を印加したガラスリボンを巻回する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934240
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】層間材に張力を印加したガラスリボンを巻回する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 18/26 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
   B65H18/26
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-542095(P2013-542095)
(86)(22)【出願日】2011年11月29日
(65)【公表番号】特表2014-501676(P2014-501676A)
(43)【公表日】2014年1月23日
(86)【国際出願番号】US2011062349
(87)【国際公開番号】WO2012074979
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2014年11月25日
(31)【優先権主張番号】61/417,908
(32)【優先日】2010年11月30日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】マーツ,ガリー エドワード
(72)【発明者】
【氏名】トシュ,ジョン アール
(72)【発明者】
【氏名】トレゼクラック,タッデウス フランシス
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 特表平01−500990(JP,A)
【文献】 特開2001−097733(JP,A)
【文献】 特開2011−201765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 18/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスリボンを巻回する方法において、
ロールを生成するよう、層間材とガラスリボンとを共に巻回するステップ、および、
前記層間材と前記ガラスリボンとを巻回するときに、前記ロールの層間圧力を0.07MPa(10ポンド/平方インチ)以下かつ0MPa超に制御するよう前記層間材に張力を印加するステップ、
を含み、
前記張力を印加するステップが、前記ロールの直径の増加に応じて前記張力を減少させるように制御されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記層間材が、厚さに柔軟に対応する材料であることを特徴とする請求項記載の方法。
【請求項3】
前記層間材が、剛性が28.14N/mm以下の発泡ポリエチレンシートであることを特徴とする請求項記載の方法。
【請求項4】
前記張力を印加するステップが、前記層間材が前記ロールに巻回されるときに該層間材に0.045kg/cm(0.25ポンド/リニアインチ)以下の張力を生成するように、行われることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ガラス物品を製造する方法であって、
ガラスリボンを成形するステップ、および、
請求項1から4のいずれか1項記載の方法にしたがって前記ガラスリボンを巻回するステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
ガラスリボンを層間材と共にロールに巻回する装置において、
層間材供給路、
ガラスリボン供給路、
ロール巻回機構、
前記層間材が前記ロールに巻回されるときに前記ロールの層間に、0.07MPa(10ポンド/平方インチ)以下かつ0MPa超である圧力を生成するよう、前記層間材供給路に沿って移動している層間材に対して張力を印加する張力印加手段、
前記ロールの直径を測定するように位置付けられた測定機器、および
前記測定機器と前記張力印加手段とに連結されたコントローラであって、前記層間材に加えられる前記張力を前記ロールの直径の増加に応じて減少させるように、前記張力印加手段を制御するコントローラ、
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項7】
前記張力印加手段が、0超かつ0.045kg/cm(0.25ポンド/リニアインチ)以下の張力を印加することを特徴とする請求項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が引用されその全体が参照することにより本書に組み込まれる、2010年11月30日に出願された米国仮特許出願第61/417,908号の優先権の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ガラスリボンを巻回する方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、ガラスリボンを層間材と共に巻回してロールを形成する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
連続したリボンとして成形されたガラスは、冷えて固化するとすぐに、典型的には板ガラスに分割される。近年の製品動向−例えば、電子ペーパー(ePaper)の前面基板、光起電モジュールの保護カバーシート、タッチセンサ、固体照明、および電子機器−から、より一層薄いガラスが求められてきた。しかしながら、ガラスの厚さが減少し続けるにつれて、こういったシートはより柔軟になる。このため、特に厚さ0.3mm以下のガラスでは、取扱いの観点から難題が生じている。したがって、取扱いを容易にする手法として、薄いガラスをロールに巻回することが試みられてきた。ただし、ガラスには、巻回プロセスの実行の成功に課題を与える、いくつかの特有な特徴が存在している。
【0004】
第1に、ガラスにエッジ「ビード」が形成されると、このビードはエッジ間の一定厚さのエリアよりも大幅に厚いものとなる。第2にガラスは表面欠陥に極めて敏感である。こういった欠陥は、亀裂を生成したりまた破損に繋がったりする、応力点を生成する。すなわち、材料を巻いたローラにおいては典型的であるが、ガラス自体の表面と表面とが直接接触することは薦められない。これら最初の2つの特性による課題は、ガラスリボンの巻回時に層の間に種々の間紙材料を使用することによって既に対処されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第3に、本開示における主題の発明者らが気付き、未だ対処されていないままであること−薄いガラスリボン、すなわち0.3mm以下のリボンの巻回への影響に関して−は、成形プロセスが、ガラスリボンの幅に亘る厚さの差、および/または反り(2つのエッジビード間の冷却の差により生じる、一方向への連続的な湾曲)を生じさせる可能性があるということである。リボン横断方向の厚さの差、および/または反りを有するガラスリボンを巻回すると、巻回されるロールに横方向の力が生まれ、これにより巻回されるロールに真っ直ぐではなく傾斜した側壁が生じる。いくつかの事例では、側壁の角度によって、ガラスリボンを巻回しているスプールのフランジにガラスリボンが接触することになり得、それによりガラスリボンを損傷する危険がある。さらに、連続した製造プロセスにおいてガラスリボンを使用するためにロールを解く場合、ロールの傾斜した側壁によって処理が困難なものとなる。したがって、ロールが真っ直ぐな側壁を有するようにガラスリボンを層間材と共に巻回する、方法および装置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
真っ直ぐな側壁を有する、巻回されたガラスリボンのロールを形成するために、本発明者らは、リボン横断方向の厚さの差および/または反りの影響は、とりわけ巻回条件を適切に選択することによって弱めることができることを見出した。適切な巻回条件には、ロールが形成されるときのウェブ張力や、ロール内の層間圧力の他、層間材とガラスリボンとを巻回してロールを形成する間の張力の加え方がある。
【0007】
より具体的には、本発明者らは、典型的なウェブ巻回プロセスのパラメータである0.18〜0.36kg/cm(1〜2ポンド/リニアインチ)のウェブ張力、および0.1〜0.35MPa(15〜50ポンド/平方インチ)の層間圧力を、薄いガラスリボンおよび層間材で使用すると、ロールに傾斜した側壁が生成されることを見出した。さらに従来の常識(これでは、巻回製品に関して、より優れた取扱い、保管、および密度を実現するために、高い張力と層間圧力とを使用することを指示している)に反して、ウェブ張力や、ガラスリボンと層間材との層間の圧力が増加すると、実際に側壁の特性が悪化することを本発明者らは見出した。意外なことであるが本発明者らは、より低いウェブ張力と、より低い層間圧力を使用すると、ロールに真っ直ぐな側壁が生成されることを見出した。より具体的には、ウェブ張力を0kg/cm超かつ0.045kg/cm(0.25ポンド/リニアインチ)以下とし、さらにロール内の層間圧力を0MPa超かつ0.07MPa以下(10ポンド/平方インチ以下)とすると、巻回された薄いガラスに真っ直ぐな側壁が生成される。別の実施形態において、ロール内の層間圧力を0MPa超かつ0.05MPa以下(7ポンド/平方インチ以下)としても、ロールに真っ直ぐな側壁が生成される。さらに、ロール内の層間圧力は、ロールを通じて実質的に一定に維持することが望ましい。
【0008】
さらに本発明者らは、層間材とガラスリボンとを巻回している間の張力の加え方が、得られるロールの側壁の真直度に影響を与えることを見出した。より具体的には、張力は、ガラスリボンではなく層間材に対して加えられるべきである。すなわちガラスリボンには、ほとんど張力が加えられないようにするべきである。より具体的には、上流と巻回プロセスとを分離するために使用されるフリーループにおけるリボン自体の重さによる張力が、ガラスリボンに加えられる唯一の張力であるべきである。もしも任意の著しい張力(すなわち、自由ループを形成しているローラの範囲内における摩擦抵抗によるもの以外、および自由ループ内のリボン自体の重量以外のもの)がガラスリボン自体に加えられたら、反りおよび/または厚さ変動の影響が拡大し、得られるロールでの望ましくない、傾斜した、皿状の、および/またはテレスコープ状の側壁に繋がる。層間材に加えられる張力は、上記のように、0.045kg/cm(0.25ポンド/リニアインチ)(幅に関して)以下であるべきである。さらに、張力は、ロール(すなわち、ガラスリボンおよび層間材を含んだロール)の直径の増加に応じて、および/または層間材供給ロールの直径の減少に応じて、減少させるべきである。張力をロールの直径に応じて減少させなければ、ロール内の層間圧力が増加し、次第にますます多くの圧力が加えられることになる。過度に高い圧力が生じると、ロールの側壁の特性は悪化する。
【0009】
さらに、層間材自体の種類を都合よく選択すると、ガラスリボンの厚さ変動の影響を低減することができる。より具体的には、層間材が厚さに柔軟に対応する(thickness compliant)ものである場合、あるいは層間材が圧縮時にいくらかの弾力性を有する場合、層間材はガラスリボンに存在し得る厚さの差を吸収することができる。層間材の適切な剛性は、約28.14N/mm以下、または約27.12N/mm以下、または約26.1N/mm以下であり、かつこのときの全ての範囲の下限は0超であることが見出された。上記の剛性を達成するために、層間材は、例えば発泡ポリエチレン(オープンセルまたはクローズドセル)、段ボール紙材料、あるいはエンボス面またはざらつき面を有する軟質ポリビニル材料のシートから形成してもよい。
【0010】
さらに、ガラスリボンを層間材と共にロールに巻回する装置が開示される。この装置は、層間材供給路と、ガラスリボン供給路と、ロール巻回機構と、さらに層間材がロールに巻回されるときにロールの層間に圧力を生じさせるよう、層間材供給路に沿って移動している層間材に張力を印加する張力印加手段とを含んでいる。層間材に適切な張力を加えることによって、真っ直ぐな側壁を有するロールを生成することができるような適切な圧力が、ロール内のガラスリボンと層間材との層の間に生じる。張力印加手段は、例えば、空気圧ブレーキ、機械的摩擦ブレーキ、磁性紛体ブレーキ、電気ブレーキ、またはサーボモータとしてもよい。さらに、張力印加手段を、層間材を供給するロールに連結させてもよいし、あるいはその供給路に沿って移動している層間材に、直接あるいはローラまたはローラ系を通じて連結させてもよい。適切なコントローラを張力印加手段に連結させ、層間材供給ロール上の層間材の量、またはガラスリボンと層間材とのロールに巻回された材料の量の、一方または両方を測定するセンサから受けた入力にしたがって、このコントローラで張力印加手段を制御するようにしてもよい。
【0011】
さらなる特徴および利点は以下の詳細な説明の中に明記され、ある程度は、その説明から当業者には容易に明らかになるであろうし、あるいは書かれた説明や添付の図面で例示したように本発明を実施することにより認識されるであろう。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、単に本発明の例示であり、請求される本発明の本質および特徴を理解するための概要または構成を提供することを意図したものであることを理解されたい。
【0012】
添付の図面は、本発明の原理のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれかつその一部を構成する。図面は1以上の実施形態を示し、そしてその記述とともに、本発明の原理および動作について例を用いて説明するのに役立つ。本書および図面において開示される本発明の種々の特徴は、任意の組合せで、また全て組み合わせて、使用することができることを理解されたい。限定しない例として、本発明の種々の特徴は、以下の態様のように互いに組み合わせてもよい。
【0013】
第1の態様によれば、ガラスリボンを巻回する方法が提供され、この方法は、
ロールを生成するよう、層間材とガラスリボンとを共に巻回するステップ、および、
層間材とガラスリボンとを巻回するときに、ロールの層間圧力を制御するよう層間材に張力を印加するステップ、
を含む。
【0014】
第2の態様によれば、ガラスリボンを巻回する方法が提供され、この方法は、
実質的に一定のロール層間圧力を有するロールを生成するよう、層間材とガラスリボンとを共に巻回するステップ、
を含む。
【0015】
第3の態様によれば、態様2の方法が提供され、ロール層間圧力が、層間材に張力を印加することにより制御されることを特徴とする。
【0016】
第4の態様によれば、態様1から3いずれか1つの方法が提供され、巻回するステップが、層間材を芯上に少なくとも1回巻き付けるように巻回して層間材のニップを形成するステップと、ガラスリボンを、このニップに挿入するステップとをさらに含むことを特徴とする。
【0017】
第5の態様によれば、態様1または態様3の方法が提供され、張力を印加するステップが、ロールの直径の増加に応じて張力を減少させるように制御されることを特徴とする。
【0018】
第6の態様によれば、態様1または態様3の方法が提供され、層間材ロールから層間材を解くステップをさらに含み、かつ張力を、層間材ロールの直径の減少に応じて減少させるように制御することを特徴とする。
【0019】
第7の態様によれば、態様6の方法が提供され、層間材ロールの直径を測定するステップをさらに含む。
【0020】
第8の態様によれば、態様1、5または6の方法が提供され、張力を印加するステップが、層間材とガラスリボンとの間でおよそ一定のロール層間圧力を生成するように制御されることを特徴とする。
【0021】
第9の態様によれば、態様2または態様8の方法が提供され、ロールの層間圧力が、0.07MPa以下(10ポンド/平方インチ以下)であり、かつ0MPa超であることを特徴とする。
【0022】
第10の態様によれば、態様2または態様8の方法が提供され、ロールの層間圧力が、0.05MPa以下(7ポンド/平方インチ以下)であり、かつ0MPa超であることを特徴とする。
【0023】
第11の態様によれば、態様1から10いずれか1つの方法が提供され、ガラスリボンの厚さが0.3mm以下であることを特徴とする。
【0024】
第12の態様によれば、態様1から11いずれか1つの方法が提供され、層間材が厚さに柔軟に対応する材料であることを特徴とする。
【0025】
第13の態様によれば、態様12の方法が提供され、層間材が、剛性が28.14N/mm以下の発泡ポリエチレンシートであることを特徴とする。
【0026】
第14の態様によれば、態様1から13いずれか1つの方法が提供され、ガラスリボンが、層間材と共に巻回される前に、自由ループを形成することを特徴とする。
【0027】
第15の態様によれば、態様14の方法が提供され、ガラスリボンが層間材と共に巻回されるときにガラスリボンを引っ張る唯一の張力は、自由ループに生成されるものであることを特徴とする。
【0028】
第16の態様によれば、態様1から15いずれか1つの方法が提供され、張力が、層間材に連結された、空気圧ブレーキまたはサーボモータにより層間材に加えられることを特徴とする。
【0029】
第17の態様によれば、態様1から16いずれか1つの方法が提供され、張力を印加するステップが、層間材がロールに巻回されるときに層間材に0.045kg/cm(0.25ポンド/リニアインチ)以下の張力を生成するように、行われることを特徴とする。
【0030】
第18の態様によれば、ガラス物品を製造する方法が提供され、この方法は、
ガラスリボンを成形するステップ、および、
態様1から17のいずれか1つにしたがってガラスリボンを巻回するステップ、
を含む。
【0031】
第19の態様によれば、態様18の方法が提供され、ガラスリボンがダウンドロープロセスにより成形されることを特徴とする。
【0032】
第20の態様によれば、ガラスリボンを層間材と共にロールに巻回する装置が提供され、この装置は、
層間材供給路、
ガラスリボン供給路、
ロール巻回機構、および、
層間材がロールに巻回されるときにロールの層間に圧力を生成するよう、層間材供給路に沿って移動している層間材に対して張力を印加する張力印加手段、
を備えている。
【0033】
第21の態様によれば、態様20による装置が提供され、張力印加手段が、層間材に連結された、空気圧ブレーキおよびサーボモータのうちの1つであることを特徴とする。
【0034】
第22の態様によれば、態様20または態様21による装置が提供され、ロールの直径を測定するように位置付けられた測定機器をさらに備えている。
【0035】
第23の態様によれば、態様22による装置が提供され、測定機器と張力印加手段とに連結されたコントローラをさらに備え、このコントローラが、層間材に加えられる張力をロールの直径の増加に応じて減少させるように、張力印加手段を制御することを特徴とする。
【0036】
第24の態様によれば、態様20から23いずれか1つによる装置が提供され、層間材を層間材供給路に沿って供給する層間材ロールの直径を測定するように位置付けられた、測定機器をさらに備えている。
【0037】
第25の態様によれば、態様24による装置が提供され、測定機器と張力印加手段とに連結されたコントローラをさらに備え、このコントローラが、層間材に加えられる張力を層間材ロールの直径の減少に応じて減少させるように、張力印加手段を制御することを特徴とする。
【0038】
第26の態様によれば、態様20から25いずれか1つによる装置が提供され、張力印加手段が、0超かつ0.045kg/cm(0.25ポンド/リニアインチ)以下の張力を印加することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】ガラスリボンを層間材と共にロールに巻回する装置の概略側面図
図2図1の線2−2に沿った、ロールの断面図
図3図1に示した装置の平面図
図4】ガラスリボンの平面図
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の詳細な説明においては、説明のためであって限定するものではないが、具体的詳細を開示する実施形態例を明記して本発明の種々の原理の完全な理解を提供する。しかしながら、本開示の利益を得たことのある通常の当業者には、本発明をここで開示される具体的詳細とは異なる他の実施形態で実施し得ることは明らかであろう。さらに、周知の装置、方法、および材料に関する説明は、本発明の種々の原理の説明を不明瞭にしないよう省略することがある。最後に、適用できる限り、同じ参照番号は類似の要素を示す。
【0041】
本書では、範囲を、「約」ある特定の値から、および/または「約」別の特定の値までと表現することがある。範囲がこのように表現されるとき、別の実施形態が、そのある特定の値から、および/または他方の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞「約」を用いて近似値で表されるとき、その特定の値は別の実施形態を形成することを理解されたい。各範囲の端点は、他方の端点との関連でも重要であるし、また他方の端点と無関係に重要でもあることをさらに理解されたい。
【0042】
本書で使われる、例えば、上、下、右、左、前、後、上部、下部などの方向を示す用語は、単に描かれている図を基準にしたものであって、絶対的な向きの意味を含むと意図されたものではない。
【0043】
他に明確に述べられていなければ、本書に明記されるいずれの方法も、そのステップを特定の順序で実行する必要があると解釈されることを全く意図していない。したがって、方法の請求項においてそのステップが続いていく順序を実際に説明していない場合、あるいは請求項または説明の中でステップが特定の順序に限定されると具体的に述べられていない場合には、順序が推測されることはどの点においても全く意図されていない。これは、ステップまたは動作フローの配置に関する論理の問題、文法構成または句読点から導かれる明白な意味、本明細書内で説明される実施形態の数または種類を含めた、全ての可能性のある明示されていない解釈の原則として適用される。
【0044】
本書では、文脈が明らかに他に指示していなければ、単数形は複数の指示対象を含むものとする。すなわち、例えばある「構成要素」に言及したときには、文脈が明らかに他に指示していなければ、2以上のこの構成要素を有する態様を含む。
【0045】
ここで、ガラスリボンを層間材と共にロールに巻回する装置を説明する。この装置は、層間材供給路と、ガラスリボン供給路と、ロール巻回機構と、さらに層間材がロールに巻回されるときにロールの層間に圧力を生じさせるよう、層間材供給路に沿って移動している層間材に張力を印加する張力印加手段とを含んでいる。層間材に適切な張力を加えることによって、真っ直ぐな側壁を有するロールを生成することができるような適切な圧力が、ロール内のガラスリボンと層間材との層の間に生じる。さらに、張力印加手段を、層間材を供給するロールに連結させてもよいし、あるいはその供給路に沿って移動している層間材に、直接あるいはローラまたはローラ系を通じて連結させてもよい。適切なコントローラを張力印加手段に連結させ、層間材供給ロール上の層間材の量、またはガラスリボンと層間材とのロールに巻回された材料の量の、一方または両方を測定するセンサから受けた入力にしたがって、このコントローラで張力印加手段を制御するようにしてもよい。
【0046】
ここで、ガラスリボンを層間材と共にロールに巻回する装置の一実施の形態を図1〜3に関連して説明する。
【0047】
図1は、ガラスリボン10を層間材20と共に巻回する装置の概略図である。この装置は、ガラスリボン10を誘導するローラ18と、層間材20を誘導するローラ30を含んでいる。ローラ18および30は夫々ガラスリボン10および層間材20を、これらを共にロール40へと巻回し得る位置に向かって、夫々の供給路に沿って誘導する。
【0048】
図1〜2に示したように、ロール40は中心縦軸43を有する芯42を含み得、この中心縦軸43に関して芯42は矢印44の方向に回転する。ロール40の断面が図2に示されており、これは図1の線2−2に沿ったものであるが、図をより明瞭にするために層間材の最上層を省いている。図2に示されているようにロール40は、ガラスリボン10と、層間材20と、さらに随意的に、ガラスリボン10および層間材20が交互の層の状態で周りに巻回される芯42とを含んでいる。ロール40には、ガラスリボン10と層間材20が夫々3層配置されているように図示されているが、ロール内の各層の数は任意の適切な数とすることができる。
【0049】
図1に戻ると、ロール40上に配置されたガラスリボン10および層間材20の量を測定するために、センサ48が配置されている。この測定は、ロール40上の材料の直径または半径を測定することによって行ってもよい。例えば、センサ48は、超音波センサ、レーザセンサ、または接触センサでもよい。ロール巻回機構46(図3参照)が、芯42を軸43に関して回転させるために、矢印47によって芯42に連結されているように概略的に示されている。巻回機構46は、例えば、サーボモータ、ステッピングモータ、またはクラッチ駆動モータなどの、モータでもよく、また巻回機構46は当産業で周知の任意の適切なコントローラで制御することができる。
【0050】
層間材20は、幅21を有し、かつ層間材供給ロール22から矢印25の方向に供給される。ロール22は中心縦軸23を有し、かつ層間材20がロール40へと引っ張られるようにロール22は矢印24の方向に回転する。図3に示したように、空気圧ブレーキ26が層間材供給ロール22の回転を制御するために層間材供給ロール22に連結され、すなわち、層間材20がロール40に巻回されるときに層間材20に張力を印加する。適切な空気圧ブレーキは、ミネソタ州ヴァドナイス(Vadnais, MN)に本部を置くNexenから入手可能である。センサ28は、ロール22上に配置されている層間材20の量を測定するために配置されている。センサ48と同様にセンサ28は、例えば超音波センサ、レーザセンサ、または接触センサでもよく、このセンサでロール22の材料の直径または半径を測定する。上記のように、層間材自体を都合よく選択すると、ガラスリボンの厚さ変動の影響を低減することができる。より具体的には、層間材20が厚さに柔軟に対応するものである場合、あるいは層間材20が圧縮時にいくらかの弾力性を有する場合、層間材20はガラスリボン10に存在し得る厚さの差を吸収することができる。層間材20の適切な剛性は、約28.14N/mm以下、または約27.12N/mm以下、または約26.1N/mm以下であり、かつこのときの全ての範囲の下限は0超であることが見出された。上記の剛性を達成するために、層間材20は、例えば発泡ポリエチレン(オープンセルまたはクローズドセル)、段ボール紙材料、あるいはエンボス面またはざらつき面を有する軟質ポリビニル材料のシートから形成してもよい。
【0051】
コントローラ50は、経路52でセンサ48に連結され、また経路54でセンサ28に連結されている。さらにコントローラは、経路56で制御弁60に連結されている。コントローラ50は、例えば、プログラマブルロジックコントローラでもよいし、あるいは汎用コンピュータまたは専用コンピュータでもよい。適切なプログラマブルロジックコントローラは、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee, WI)に本部を置くロックウェル・オートメーション(Rockwell Automation)の部門であるアレン・ブラドリー(Allan Bradley)から入手可能である。コントローラ50が汎用コンピュータまたは専用コンピュータである場合には、これを巻回機構46にさらに連結させて、その機器を制御してもよい。経路52、54、および56は、電気信号を伝えるワイヤでもよいし、あるいは流体を導く導管でもよい(例えば、空気圧式または水圧式)。制御弁60は、例えば、空気圧比例弁でもよいし、または電気的に制御された比例弁でもよい。適切な制御弁は、インディアナ州ノーブルズビル(Noblesville, IN)に本部を置くSMCから入手可能である。
【0052】
制御弁60は、経路62で流体源に、そして経路64で空気圧ブレーキ26に連結される。制御弁60は、流体を経路62に沿って一定の圧力で受け入れて、経路56に沿ってコントローラ50から受けた信号に応えて、経路64に沿って出ていく流体の圧力を可変にすることができる。
【0053】
真っ直ぐな側壁を有する、ガラスリボンおよび層間材のロールを形成する方法を、さらに説明する。この方法は、張力を、巻回される材料に加えられる量の観点と、巻回される材料への加え方という観点で、制御するステップを含む。より具体的には、比較的低い量の張力(0超かつ0.045kg/cm(0.25ポンド/リニアインチ)幅以下)が材料の巻回時に加えられ、さらにこの張力は、ガラスリボンではなく層間材に加えられる。巻回材料に張力を印加する際の量とやり方とを制御することによって、ロールに真っ直ぐな側壁を実現させる適切な圧力をロールの層間に生じさせることができる。
【0054】
真っ直ぐな側壁を有する、ガラスリボンおよび層間材のロールを形成する方法の一実施の形態を、図1〜4に関連してここで説明する。
【0055】
ガラスリボン10は上流のプロセス、例えば成形プロセス−例えば、ダウンドロー、スロットドロー、フュージョンドロー、アップドロー、またはフロートの各プロセス−から直接供給されるか、あるいはガラスリボンを使用中に搬送するプロセスを含む任意の種類の搬送プロセスから供給される。いずれの事例においても、ガラスリボン10は上流プロセスから、方向44に回転しているロール40に向かって方向15に沿って供給される。ロール40に到達する前にガラスリボン10は、ガイドローラ18間に形成された自由ループ19に入る。自由ループ19は上流プロセスを巻回プロセスから分離させ、すなわち上流プロセスと巻回プロセスとの間のガラスリボンの移動速度の差を補償する。ガラスリボン10をロール40に向かって供給するのと略同時に、方向24に回転しているロール22から層間材20を解いて方向25に沿って供給する。層間材20は、ガイドローラ30を用いてロール40に対して位置付けられる。一態様によれば、層間材20を芯42(図2参照)の周りに1回以上巻回してから、層間材20の連続した層の間のニップ45にガラスリボン10を供給する。別の態様によれば、ガラスリボン10を最初に芯42の周りに巻回した後に、ガラスリボン10の連続した層の間のニップに層間材20を供給してもよい。いずれの事例でも、ガラスリボン10および層間材20は交互の層の状態で共に巻回されて、芯42の周りにロール40を形成する。芯42はロール40内に残してもよいし、あるいはロール40から取り除いてもよい。芯42をロール40内に残す場合には、最も内側の層(層間材またはガラスリボンのいずれか)を芯42に付着させてもよい。芯42をロール40内で保持し、かつ層間材20を芯42に付着させると、続くプロセスステップにおいてロールを解く間に、巻回されたガラス/層間材パック全体が横にずれるのを防ぐ助けとなる。
【0056】
図4は、上記のように、例えばダウンドロー、フュージョンドロー、アップドロー、スロットドロー、またはフロートなどの任意の適切な方法により生成し得る、ガラスリボン10の上面図である。ガラスリボン10の厚さ4(図2参照)は、約50μmから約300μmまでとしてもよく、またそのエッジ3a、3bは、形成されたままのエッジ(図2に示したようにビードを含んでいるもの)でもよいし、あるいは切断されたエッジ(図示していないが、ビードが除去されたもの)でもよい。リボン成形プロセスは、リボンの幅を横断する厚さの変動をリボンに生じさせ得る他、リボンの運動において「反り」を生じさせることがある。図4は、反り5を呈しているガラスリボン10を示している(この図では説明のため大きく誇張している)。図から分かるように、反り5は一方向への(すなわち、図4では左側への)リボンの連続的な湾曲である。この湾曲は、例えば、リボンのエッジビードの冷却速度の差によって生じることがある。ガラスリボンの、反り、厚さ変動、および残留応力によって、リボンは直線状に搬送されずに、横方向にずれてしまうことがある。さらにガラスリボンをロールに巻回するように試みると、この横方向のずれによってロールの側面が「皿状」、「テレスコープ状」、またはこれら以外の真っ直ぐでない形状となり、すなわち真っ直ぐな側壁とは、エッジ3a、3bの夫々を、実質的に1つの平面内に位置付けて概して含むことになる。
【0057】
反りおよび/または厚さ変動の影響を克服するためには、以下に明記するようにロール40作製用の巻回パラメータを選択する。この巻回パラメータは、巻回されている材料への張力の加え方、その張力の量、およびロールの層間で得られる圧力を含む。これらのパラメータは互いに単独で有用であろうし、あるいは様々な状況に基づいて、任意の組合せで、また全て組み合わせて、有用となり得る。
【0058】
第1に、張力はガラスリボン10ではなく、層間材20に加えられる。ガラスリボン10が巻回されるときにガラスリボン10に任意のかなりの量の張力をかけるように試みると、ガラスリボン10の反りおよび/または厚さ変動のために、ロール40の側壁が「皿状」、「テレスコープ状」、またはこれら以外の真っ直ぐでない形状となることを本発明者らは見出した。したがって、ガラスリボン10が巻回されるときにガラスリボン10に加えられる唯一の張力は、自由ループ19におけるそれ自体の重量からもたらされるものである。しかしながら一方で、層間材20をガラスリボン10と共に巻回するとき、実質的に真っ直ぐな側壁を有するロール40を生成するためには、層間材20に張力を印加することが望ましいことを本発明者らは見出した。
【0059】
層間材20に加えられる張力は空気圧ブレーキ26によって確立される。空気圧ブレーキ26はロール22に連結され、層間材20がガラスリボン10と共に巻回されるとき、ロール40による層間材20への牽引力に抵抗する力をこの空気圧ブレーキ26が提供する。したがって張力は、空気圧ブレーキ26を制御することによって層間材20に加えることができる。図示の実施形態において、空気圧ブレーキ26は制御弁60を介してコントローラ50により制御される。例えば空気圧系において、制御弁60は経路62で一定圧力の空気源に連結された比例制御弁である。制御弁60は、コントローラ50から経路56を介して入力信号をさらに受信する。コントローラ50からの信号は、センサ28からの入力に基づくものでもよいし、あるいはセンサ48からの入力に基づくものでもよい。制御弁60はその後、コントローラ50から入力した信号に基づいた量だけ圧力を低下させた空気を、経路64に沿って出力する。コントローラ50がセンサ48からの測定結果を使用して制御弁60への出力信号を生成するとき、制御弁60はロール40の直径が増加するのにしたがって経路64に沿って圧力を低下させる。一方、コントローラ50がセンサ28からの測定結果を使用して制御弁60への出力信号を生成するとき、制御弁60はロール22の直径が減少するのにしたがって経路64に沿って圧力を低下させる。いずれの事例でも、経路64に沿った圧力は減少する。経路64の低下した圧力に応えて、空気圧ブレーキ26はロール22に加える制動力を減少させる。したがって層間材20の張力は、ロール40の直径の増加またはロール22の直径の減少のいずれかに応じて減少され得、これはロール40の層間において適切な圧力を維持することを含め、上記理由により有益である。
【0060】
層間材20のロール22を最初に装填した後の巻回運転の開始時点で、空気圧ブレーキ26により確立される張力の量を調節するために、センサ28からの信号をさらに使用してもよい。例えば、ロール22が巻回装置に最初に装填されるとき、常に完全に最大の状態であるとは限らないであろう。したがって、ロール22装填後のロール22の巻回運転開始前にセンサ28でロール22のサイズを測定することにより、空気圧ブレーキ26により確立される張力を、ロール22のサイズに適した値に(コントローラ50によって)調節することができる。ロール22のサイズが分かると、適切な制動の量をコントローラ50が選択して、層間材20が解かれるときに層間材20に所望の量の張力を生じさせることができる。同様に、センサ48からの信号を使用して、ロール40の巻回を開始する時点での張力の量を調節してもよい。すなわち、新たなロール40を示すロール40の直径をセンサ48が検出すると、ロール40の開始に適した張力を生じさせるように、コントローラ50は空気圧ブレーキ26によって加える力を調節することができる。この場合も上記のように、ロール40上の材料がその後増加するにつれて、層間材20に加えられる張力の量を減少させてもよい。
【0061】
第2に、層間材20に加えられる張力の量は、層間材20の幅21に関して、0.045kg/cm(0.25ポンド/リニアインチ)以下となるように選択される。より具体的には、典型的なウェブ巻回プロセスのパラメータである0.18〜0.36kg/cm(1〜2ポンド/リニアインチ)のウェブ張力、および0.1〜0.35MPa(15〜50ポンド/平方インチ)の層間圧力を、薄いガラスリボン10および層間材20で使用すると、ロールに傾斜した側壁が生成されることを本発明者らは見出した。さらに、従来の常識に反して、ウェブ張力や層間圧力が増加すると、実際に側壁の特性が悪化することを本発明者らは見出した。意外なことであるが本発明者らは、より低いウェブ張力を使用し(かつ、その張力を層間材20に加え)、さらにより低い(ガラスリボン10および層間材20の)層間圧力を使用すると、ロール40に真っ直ぐな側壁が生成されることを見出した。より具体的には、層間材20に加えられる張力を0kg/cm超かつ0.045kg/cm(0.25ポンド/リニアインチ)以下とすると、ロール40に真っ直ぐな側壁が生成される。
【0062】
上記のように、とりわけロール40において適切な層間圧力を維持するためには、ロール40のサイズが増加するにつれて層間材20に加えられる張力の量を減少させると有利である。上記の張力範囲は単位幅当りの力で与えられているため、張力の総量は層間材20の幅21に直接依存する。すなわち、張力の総量は単純に、インチ毎のポンドに、層間材20の幅21のインチを乗じたものである。一方、層間材20に加えられる張力は、ロール40が回転する速度とは概ね無関係である。
【0063】
第3に、上述した巻回条件の結果としてのロール40内のガラスリボン10および層間材20の層間圧力も、真っ直ぐな側壁を有するロール40の生成において役割を果たす。上述の巻回条件を制御することで、得られるロール40内の層間圧力を0超かつ0.07MPa以下(10ポンド/平方インチ以下)に保つことができる。別の態様によれば、ロール40内の層間圧力を、0超かつ0.05MPa以下(7ポンド/平方インチ以下)に保つことができる。上記のように、ロール40の層(ガラスリボン10および層間材20)の間の圧力を、記した範囲内で維持すると、真っ直ぐな側壁を有したロール40を都合よく生成することができる。さらに、ロール40を通じて実質的に一定の層間圧力を維持することが望ましい。
【実施例1】
【0064】
厚さ150μmのガラスリボンを層間材と共にロールに巻回した。層間材は、厚さ0.079cm(1/32インチ)、幅280mm(11インチ)、そして密度0.1グラム/立方センチメートル(6ポンド/立方フィート)の照射架橋エチレン酢酸ビニル(EVA)共重合体フォーム(マサチューセッツ州スペンサー(Spencer, MA)のFLEXconからFLEXcon P.E.F. 32 white no PSとして入手可能)であった。層間材をロールの芯(公称直径508mm(20インチ)、最小直径457mm(18インチ)、最大直径610mm(24インチ))の周りに巻回させてロールを開始し、その後層間材で形成されたニップにガラスリボンを供給した。ロール巻回パラメータは以下のようであった。
【0065】
●ロール巻回速度が381〜853.4cm/分(12.5〜28フィート/分)
●完成したロールの直径(ガラスリボンおよび層間材の最外層まで測定したとき)が73.66cm(29インチ)未満
●層間材ロールに加えられる制動トルクが、巻回開始時点で0.56Nm(5in−lbs)であり、かつ巻回終了時点で0.11Nm(1in−lb)に減少した。
【0066】
●層間材ロールの直径の範囲は、559mm(22インチ)(ロール上に320m(1050フィート))から470mm(18.5インチ)(ロール上に213m(700フィート)
●層間材に加えられる張力が、およそ0.011から0.022kg/cm(0.06から0.12ポンド/リニアインチ)
●得られたロール内の層間圧力の測定値が0.05MPa(7ポンド/平方インチ)未満−ガラスリボンの層と層間材の層との間に置かれた圧力表示センサフィルム(富士フイルム(FujiFilm)、日本、Sensor Products Inc.から流通)の検出下限
●コントローラ50は、米国ウィスコンシン州ミルウォーキーのロックウェル・オートメーションによる、アレン・ブラドリーのモデルRS Logix 500
●空気圧ブレーキ26は、Nexenのモデル800113
●制御弁60は、SMCの電子レギュレータ(electronic regulator)
上記のパラメータおよび設備を使用してガラスリボンおよび層間材のロールを巻回すると、ロールは真っ直ぐな側壁を有するものとなった。
【実施例2】
【0067】
ガラスリボンおよび層間材を共にロールに巻回するが、このとき空気圧ブレーキを巻回開始時点で層間材におよそ0.013kg/cm(0.07ポンド/リニアインチ)の張力を印加する0.62Nm(5.5in−lbs)のトルク、0.084MPa(12psi)に、全巻回プロセスにおいて設定することを除いて、実施例1に明記したものと同じやり方および同じ設備とした。これにより張力は、巻回の終了時点までに0.09kg/cm(0.5ポンド/リニアインチ)に直線的に増加した。ガラスリボンおよび層間材のロールの側壁は、真っ直ぐではないものとなった。
【0068】
上述した本発明の実施形態、特に任意の「好ましい」実施形態は、単に実施可能な例であって、本発明の種々の原理を明確に理解するための単なる説明であることを強調したい。本発明の精神および種々の原理から実質的に逸脱することなく、上述の本発明の実施形態に対して多くの変形および改変を作製することができる。全てのこのような改変および変形は、本書において本開示および本発明の範囲内に含まれ、かつ以下の請求項によって保護されると意図されている。
【0069】
例えば、図示の芯42は、その端部にフランジを有していないが、フランジが存在しているものでもよい。さらに、フランジは恒久的に芯42に取り付けられたものでもよいし、あるいは取外し可能なものでもよい。
【0070】
さらに、3層の層間材20と3層のガラスリボン10とがロール40に巻回されているように図示されているが、いずれも任意の適切な数の層を存在させることができる。
【0071】
さらに、説明のために空気圧式の例を挙げたが、他の方法および機器を使用してもよい。例えば、空気圧ブレーキを使用する代わりに、トルクモードで動作するサーボモータを使用し、これを入力電流を変化させることによって制御してもよい。サーボモータを使用するとき、比例制御弁は空気圧式ではないものとなり、コントローラ50が汎用コンピュータまたは専用コンピュータであるときなど、コントローラ50が適切な制御を行なうことができる場合には比例制御弁を省くことができる。さらに、空気圧ブレーキを任意の他の適切な種類の張力印加装置、例えば、機械的摩擦ブレーキ、磁性紛体ブレーキ、電気ブレーキ、またはサーボモータなどに置き換えることも可能である。層間材がロール40に巻回されるときにロールの層間に圧力を生じさせるよう、層間材供給路に沿って移動している層間材に張力を印加するこれらの装置のうちのいずれもが、層間材への張力印加手段としての役割を果たす。
【0072】
さらに、図示の空気圧ブレーキは層間材のロールに直接連結されているが、代わりに空気圧ブレーキ、サーボモータ、または他の張力印加装置のいずれかを、別のローラまたはローラ系を用いて層間材に連結させてもよい。このようなローラ系を、供給路に沿って矢印25の方向に層間材20を導くガイドローラ30と一体化させてもよい。層間材のウェブを、ベアリングマウントに組み込まれたロードセルで、ローラの周りにさらに巻き付けてもよい。これらのロードセルを較正して層間材の張力を直接測定してもよく、そしてこの情報を制御システムでその後使用して、上述したような適切な張力を維持することも可能であろう。1つの考慮すべきことは、張力印加手段は、層間材がガラスリボンと共に巻回されるときに層間材およびガラスリボンの層間に圧力を生み出すようにその層間材に張力を印加するということである。ロール内で適切な層間圧力を維持することによって、真っ直ぐな側壁を有するロールが生成される。
【符号の説明】
【0073】
10 ガラスリボン
18、30 ガイドローラ
20 層間材
22 層間材供給ロール
26 空気圧ブレーキ
28、48 センサ
40 ロール
42 芯
45 ニップ
46 巻回機構
50 コントローラ
60 制御弁
図1
図2
図3
図4