【課題を解決するための手段】
【0006】
真っ直ぐな側壁を有する、巻回されたガラスリボンのロールを形成するために、本発明者らは、リボン横断方向の厚さの差および/または反りの影響は、とりわけ巻回条件を適切に選択することによって弱めることができることを見出した。適切な巻回条件には、ロールが形成されるときのウェブ張力や、ロール内の層間圧力の他、層間材とガラスリボンとを巻回してロールを形成する間の張力の加え方がある。
【0007】
より具体的には、本発明者らは、典型的なウェブ巻回プロセスのパラメータである
0.18〜0.36kg/cm(1〜2ポンド/リニアインチ)のウェブ張力、および
0.1〜0.35MPa(15〜50ポンド/平方インチ)の層間圧力を、薄いガラスリボンおよび層間材で使用すると、ロールに傾斜した側壁が生成されることを見出した。さらに従来の常識(これでは、巻回製品に関して、より優れた取扱い、保管、および密度を実現するために、高い張力と層間圧力とを使用することを指示している)に反して、ウェブ張力や、ガラスリボンと層間材との層間の圧力が増加すると、実際に側壁の特性が悪化することを本発明者らは見出した。意外なことであるが本発明者らは、より低いウェブ張力と、より低い層間圧力を使用すると、ロールに真っ直ぐな側壁が生成されることを見出した。より具体的には、ウェブ張力を0
kg/cm超かつ
0.045kg/cm(0.25ポンド/リニアインチ)以下とし、さらにロール内の層間圧力を0
MPa超かつ
0.07MPa以下(10ポンド/平方インチ以下)とすると、巻回された薄いガラスに真っ直ぐな側壁が生成される。別の実施形態において、ロール内の層間圧力を0
MPa超かつ
0.05MPa以下(7ポンド/平方インチ以下)としても、ロールに真っ直ぐな側壁が生成される。さらに、ロール内の層間圧力は、ロールを通じて実質的に一定に維持することが望ましい。
【0008】
さらに本発明者らは、層間材とガラスリボンとを巻回している間の張力の加え方が、得られるロールの側壁の真直度に影響を与えることを見出した。より具体的には、張力は、ガラスリボンではなく層間材に対して加えられるべきである。すなわちガラスリボンには、ほとんど張力が加えられないようにするべきである。より具体的には、上流と巻回プロセスとを分離するために使用されるフリーループにおけるリボン自体の重さによる張力が、ガラスリボンに加えられる唯一の張力であるべきである。もしも任意の著しい張力(すなわち、自由ループを形成しているローラの範囲内における摩擦抵抗によるもの以外、および自由ループ内のリボン自体の重量以外のもの)がガラスリボン自体に加えられたら、反りおよび/または厚さ変動の影響が拡大し、得られるロールでの望ましくない、傾斜した、皿状の、および/またはテレスコープ状の側壁に繋がる。層間材に加えられる張力は、上記のように、
0.045kg/cm(0.25ポンド/リニアインチ)(幅に関して)以下であるべきである。さらに、張力は、ロール(すなわち、ガラスリボンおよび層間材を含んだロール)の直径の増加に応じて、および/または層間材供給ロールの直径の減少に応じて、減少させるべきである。張力をロールの直径に応じて減少させなければ、ロール内の層間圧力が増加し、次第にますます多くの圧力が加えられることになる。過度に高い圧力が生じると、ロールの側壁の特性は悪化する。
【0009】
さらに、層間材自体の種類を都合よく選択すると、ガラスリボンの厚さ変動の影響を低減することができる。より具体的には、層間材が厚さに柔軟に対応する(thickness compliant)ものである場合、あるいは層間材が圧縮時にいくらかの弾力性を有する場合、層間材はガラスリボンに存在し得る厚さの差を吸収することができる。層間材の適切な剛性は、約28.14N/mm以下、または約27.12N/mm以下、または約26.1N/mm以下であり、かつこのときの全ての範囲の下限は0超であることが見出された。上記の剛性を達成するために、層間材は、例えば発泡ポリエチレン(オープンセルまたはクローズドセル)、段ボール紙材料、あるいはエンボス面またはざらつき面を有する軟質ポリビニル材料のシートから形成してもよい。
【0010】
さらに、ガラスリボンを層間材と共にロールに巻回する装置が開示される。この装置は、層間材供給路と、ガラスリボン供給路と、ロール巻回機構と、さらに層間材がロールに巻回されるときにロールの層間に圧力を生じさせるよう、層間材供給路に沿って移動している層間材に張力を印加する張力印加手段とを含んでいる。層間材に適切な張力を加えることによって、真っ直ぐな側壁を有するロールを生成することができるような適切な圧力が、ロール内のガラスリボンと層間材との層の間に生じる。張力印加手段は、例えば、空気圧ブレーキ、機械的摩擦ブレーキ、磁性紛体ブレーキ、電気ブレーキ、またはサーボモータとしてもよい。さらに、張力印加手段を、層間材を供給するロールに連結させてもよいし、あるいはその供給路に沿って移動している層間材に、直接あるいはローラまたはローラ系を通じて連結させてもよい。適切なコントローラを張力印加手段に連結させ、層間材供給ロール上の層間材の量、またはガラスリボンと層間材とのロールに巻回された材料の量の、一方または両方を測定するセンサから受けた入力にしたがって、このコントローラで張力印加手段を制御するようにしてもよい。
【0011】
さらなる特徴および利点は以下の詳細な説明の中に明記され、ある程度は、その説明から当業者には容易に明らかになるであろうし、あるいは書かれた説明や添付の図面で例示したように本発明を実施することにより認識されるであろう。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、単に本発明の例示であり、請求される本発明の本質および特徴を理解するための概要または構成を提供することを意図したものであることを理解されたい。
【0012】
添付の図面は、本発明の原理のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれかつその一部を構成する。図面は1以上の実施形態を示し、そしてその記述とともに、本発明の原理および動作について例を用いて説明するのに役立つ。本書および図面において開示される本発明の種々の特徴は、任意の組合せで、また全て組み合わせて、使用することができることを理解されたい。限定しない例として、本発明の種々の特徴は、以下の態様のように互いに組み合わせてもよい。
【0013】
第1の態様によれば、ガラスリボンを巻回する方法が提供され、この方法は、
ロールを生成するよう、層間材とガラスリボンとを共に巻回するステップ、および、
層間材とガラスリボンとを巻回するときに、ロールの層間圧力を制御するよう層間材に張力を印加するステップ、
を含む。
【0014】
第2の態様によれば、ガラスリボンを巻回する方法が提供され、この方法は、
実質的に一定のロール層間圧力を有するロールを生成するよう、層間材とガラスリボンとを共に巻回するステップ、
を含む。
【0015】
第3の態様によれば、態様2の方法が提供され、ロール層間圧力が、層間材に張力を印加することにより制御されることを特徴とする。
【0016】
第4の態様によれば、態様1から3いずれか1つの方法が提供され、巻回するステップが、層間材を芯上に少なくとも1回巻き付けるように巻回して層間材のニップを形成するステップと、ガラスリボンを、このニップに挿入するステップとをさらに含むことを特徴とする。
【0017】
第5の態様によれば、態様1または態様3の方法が提供され、張力を印加するステップが、ロールの直径の増加に応じて張力を減少させるように制御されることを特徴とする。
【0018】
第6の態様によれば、態様1または態様3の方法が提供され、層間材ロールから層間材を解くステップをさらに含み、かつ張力を、層間材ロールの直径の減少に応じて減少させるように制御することを特徴とする。
【0019】
第7の態様によれば、態様6の方法が提供され、層間材ロールの直径を測定するステップをさらに含む。
【0020】
第8の態様によれば、態様1、5または6の方法が提供され、張力を印加するステップが、層間材とガラスリボンとの間でおよそ一定のロール層間圧力を生成するように制御されることを特徴とする。
【0021】
第9の態様によれば、態様2または態様8の方法が提供され、ロールの層間圧力が、
0.07MPa以下(10ポンド/平方インチ以下)であり、かつ0
MPa超であることを特徴とする。
【0022】
第10の態様によれば、態様2または態様8の方法が提供され、ロールの層間圧力が、
0.05MPa以下(7ポンド/平方インチ以下)であり、かつ0
MPa超であることを特徴とする。
【0023】
第11の態様によれば、態様1から10いずれか1つの方法が提供され、ガラスリボンの厚さが0.3mm以下であることを特徴とする。
【0024】
第12の態様によれば、態様1から11いずれか1つの方法が提供され、層間材が厚さに柔軟に対応する材料であることを特徴とする。
【0025】
第13の態様によれば、態様12の方法が提供され、層間材が、剛性が28.14N/mm以下の発泡ポリエチレンシートであることを特徴とする。
【0026】
第14の態様によれば、態様1から13いずれか1つの方法が提供され、ガラスリボンが、層間材と共に巻回される前に、自由ループを形成することを特徴とする。
【0027】
第15の態様によれば、態様14の方法が提供され、ガラスリボンが層間材と共に巻回されるときにガラスリボンを引っ張る唯一の張力は、自由ループに生成されるものであることを特徴とする。
【0028】
第16の態様によれば、態様1から15いずれか1つの方法が提供され、張力が、層間材に連結された、空気圧ブレーキまたはサーボモータにより層間材に加えられることを特徴とする。
【0029】
第17の態様によれば、態様1から16いずれか1つの方法が提供され、張力を印加するステップが、層間材がロールに巻回されるときに層間材に
0.045kg/cm(0.25ポンド/リニアインチ)以下の張力を生成するように、行われることを特徴とする。
【0030】
第18の態様によれば、ガラス物品を製造する方法が提供され、この方法は、
ガラスリボンを成形するステップ、および、
態様1から17のいずれか1つにしたがってガラスリボンを巻回するステップ、
を含む。
【0031】
第19の態様によれば、態様18の方法が提供され、ガラスリボンがダウンドロープロセスにより成形されることを特徴とする。
【0032】
第20の態様によれば、ガラスリボンを層間材と共にロールに巻回する装置が提供され、この装置は、
層間材供給路、
ガラスリボン供給路、
ロール巻回機構、および、
層間材がロールに巻回されるときにロールの層間に圧力を生成するよう、層間材供給路に沿って移動している層間材に対して張力を印加する張力印加手段、
を備えている。
【0033】
第21の態様によれば、態様20による装置が提供され、張力印加手段が、層間材に連結された、空気圧ブレーキおよびサーボモータのうちの1つであることを特徴とする。
【0034】
第22の態様によれば、態様20または態様21による装置が提供され、ロールの直径を測定するように位置付けられた測定機器をさらに備えている。
【0035】
第23の態様によれば、態様22による装置が提供され、測定機器と張力印加手段とに連結されたコントローラをさらに備え、このコントローラが、層間材に加えられる張力をロールの直径の増加に応じて減少させるように、張力印加手段を制御することを特徴とする。
【0036】
第24の態様によれば、態様20から23いずれか1つによる装置が提供され、層間材を層間材供給路に沿って供給する層間材ロールの直径を測定するように位置付けられた、測定機器をさらに備えている。
【0037】
第25の態様によれば、態様24による装置が提供され、測定機器と張力印加手段とに連結されたコントローラをさらに備え、このコントローラが、層間材に加えられる張力を層間材ロールの直径の減少に応じて減少させるように、張力印加手段を制御することを特徴とする。
【0038】
第26の態様によれば、態様20から25いずれか1つによる装置が提供され、張力印加手段が、0超かつ
0.045kg/cm(0.25ポンド/リニアインチ)以下の張力を印加することを特徴とする。