特許第5934243号(P5934243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5934243酸化染料前駆体、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの重縮合物およびポリオキシアルキレン化脂肪酸を含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934243
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】酸化染料前駆体、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの重縮合物およびポリオキシアルキレン化脂肪酸を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/39 20060101AFI20160602BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20160602BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20160602BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20160602BHJP
   A61K 8/22 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
   A61K8/39
   A61Q5/10
   A61K8/41
   A61K8/34
   A61K8/22
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-542513(P2013-542513)
(86)(22)【出願日】2011年12月7日
(65)【公表番号】特表2013-544864(P2013-544864A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】EP2011071984
(87)【国際公開番号】WO2012076558
(87)【国際公開日】20120614
【審査請求日】2014年11月19日
(31)【優先権主張番号】1060197
(32)【優先日】2010年12月7日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】61/425,503
(32)【優先日】2010年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】カロリーヌ・ゴジェ
(72)【発明者】
【氏名】カティア・デュタル−グレ
(72)【発明者】
【氏名】ルディヴィーヌ・マスラン
【審査官】 井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−206829(JP,A)
【文献】 特開2003−192551(JP,A)
【文献】 特開2010−143911(JP,A)
【文献】 特開2006−282670(JP,A)
【文献】 特開2003−192552(JP,A)
【文献】 特開昭55−049308(JP,A)
【文献】 特開平10−237484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00〜 8/99
A61Q 1/00〜 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の酸化染料前駆体;
以下の構造
H-(O-CH2-CH2)a-(O-CH(CH3)-CH2)b-(O-CH2-CH2)a'-OH
(式中、aおよびa'は、2から150までの範囲であり、bは、1から100までの範囲である)を有する少なくとも1種のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの重縮合物;および
少なくとも1種のポリオキシアルキレン化脂肪酸アニオン性界面活性剤として含み、前記重縮合物/ポリオキシアルキレン化脂肪酸の間の重量比が、0.05から1までの範囲である、染料組成物。
【請求項2】
前記重縮合物/ポリオキシアルキレン化脂肪酸の間の重量比が、0.1から0.8までの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
酸化染料前駆体として、パラ-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルト-アミノフェノールおよび複素環式塩基ならびにそれらの付加塩から選ばれる1種または複数の酸化ベースと、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフタレンベースのカップラーおよび複素環式カップラーおよびさらにそれらの付加塩から選ばれる1種または複数のカップラーとを含むことを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
エチレンオキシドとプロピレンオキシドの重縮合物が、aおよびa'が、10から130までの範囲であり、bが、20から80までの範囲であるものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
エチレンオキシドとプロピレンオキシドの重縮合物が、aおよびa'が、50から130までの範囲であり、bが、30から80までの範囲であるものである、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
エチレンオキシドとプロピレンオキシドの重縮合物が、aおよびa'が同一であるものである、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
エチレンオキシドとプロピレンオキシドの重縮合物の量が、組成物の総重量に対して、0.1重量%から20重量%までの範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
アニオン性界面活性剤としてのポリオキシアルキレン化脂肪酸が、下記式(1)に対応する:
R1-(OC2H4)n-OCH2COOA (1)
(式中、
R1は、直鎖状または分岐状C8〜C22アルキルまたはアルケニル基、アルキル(C8〜C9)フェニル基、基R2CONH-CH2-CH2-を表し、R2は、直鎖状または分岐状C9〜C21アルキルまたはアルケニル基を意味し、
nは、2から50までの範囲であってよい整数または小数(平均値)であり、アルキル基は、約6から20個の間の炭素原子を含有し、
Aは、H、アンモニウム、Na、K、LiもしくはMgまたはモノエタノールアミンもしくはトリエタノールアミン残基を意味する)、
請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
式(1)の脂肪酸タイプのアニオン性界面活性剤が、R1が、(C8〜C18)アルキル基または基の混合物を意味し、Aが、水素またはナトリウム原子を意味し、nが、2から10までの範囲であるものである、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ポリオキシアルキレン化脂肪酸タイプのアニオン性界面活性剤が、組成物の総重量に対して、0.1重量%から40重量%までの範囲の濃度で存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
25℃で大気圧(760mmHg)下で液体であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
8%を超えるイオン性または非イオン性界面活性剤の総量を含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1種の酸化剤を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物が酸化剤と混合され、混合後の前記組成物が毛髪に適用されることを特徴とする、毛髪染色プロセス。
【請求項15】
一方の区画において、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物を含む第1の組成物を、他方の区画において、1種または複数の酸化剤を含む第2の組成物を含有する、2区画デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトケラチン繊維、特に毛髪を染色するための組成物に関する。本発明はまた、この組成物を使用した染色プロセス、およびそれを含有する多区画デバイスにも関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪などのヒトケラチン繊維を染色するための方法のうち、酸化染色または永久染色を挙げることができる。より特定すれば、この染色方法は、1種または複数の酸化染料前駆体および通常、1種または複数のカップラーと任意選択で組み合わせた1種または複数の酸化ベースを使用する。
【0003】
一般に、酸化ベースは、オルト-またはパラ-フェニレンジアミン、オルト-またはパラ-アミノフェノールおよび複素環式化合物から選ばれる。これらの酸化ベースは、酸化製品と組み合わせた場合に着色された種を得ることができる、無色のまたは薄く着色された化合物である。
【0004】
これらの酸化ベースを用いて得られる色調は、それらを1種または複数のカップラーと組み合わせることによって変化させることが多く、これらのカップラーは、特に、芳香族メタ-ジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノールおよびインドール化合物などのある特定の複素環式化合物から選ばれる。
【0005】
酸化ベースおよびカップラーとして使用される分子の多様性により、広範囲の色を得ることができる。
【0006】
これらの組成物に、着色された、繊維に親和性を有する着色分子である直接染料を添加することもまた可能である。一般に使用される直接染料は、ニトロベンゼン、アントラキノン、ニトロピリジン、アゾ、メチン、アゾメチン、キサンテン、アクリジン、アジンおよびトリアリールメタン直接染料から選ばれる。そのような化合物の存在により、得られた着色を毛髪染料でさらに濃くすることが可能であり、または得られた着色の色度を増強することが可能である。
【0007】
したがって酸化染色プロセスは、大半の場合アルカリ性pH条件下で、これらの染料組成物とともに、少なくとも1種の酸化剤、一般に過酸化水素を含む組成物を使用するものである。この酸化剤の役割は、酸化染料間の酸化的縮合反応を介して着色を明らかにすることである。
【0008】
酸化染色はさらに、若干数の要件を満たさなければならない。したがって、酸化染料は、毒物学的欠点を含んではならず、所望の強度の色調を得ることが可能でなければならず、光、悪天候、洗浄、パーマネントウェーブ形成、またはアスピレーションなどの外部の攻撃因子および摩擦に対する耐性を示さなければならない。
【0009】
染料はまた、白髪を隠すことができなければならず、最後に、染料は、可能な限り非選択的でなければならず、すなわち、染料は、その末端からその根元まで異なる程度で感受性になっている(すなわち傷んだ)部分を一般に含む同じケラチン繊維に沿って、起こり得る色の差異を最小にしなければならない。
【0010】
ケラチン繊維中への染料の反応/浸透時間中に、染料組成物を毛髪上に保つため、および顔に垂れる危険性を制限するために、組成物を安定化させ、その粘度を維持することが目的である特定のポリマーを含有する染料組成物を使用することはごく一般的なことである。
【0011】
酸化染色において、特に、酸化組成物と混合される酸化染料前駆体を含有する液体の形態である染色製品において、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤を使用することがさらに勧告されており、液体組成物では、これらの界面活性剤の比率が大きいことが多い。これらの液体組成物を酸化組成物と混合した後に、特に垂れることを防止するために十分な粘度で、満足のいく適用状態を得るために、ほとんどの場合、前記液体組成物をわずかに増粘することが必要であることが分かっている。残念ながら、増粘ポリマーの大部分は、組成物の急速な偏析をもたらす。そのうえ、非常に多くの場合、ポリマーの粘度増強力は、それらを比較的多量の界面活性剤と組み合わせた場合、非常に大きく低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】GB1026978
【特許文献2】GB1153196
【特許文献3】FR2 801 308
【特許文献4】DE 2359399
【特許文献5】JP 88-169571
【特許文献6】JP 05-63124
【特許文献7】EP 0770375
【特許文献8】WO 96/15765
【特許文献9】DE 3843892
【特許文献10】DE 4133957
【特許文献11】WO 94/08969
【特許文献12】WO 94/08970
【特許文献13】FR-A-2 733 749
【特許文献14】DE 195 43 988
【特許文献15】FR-A-2886 136
【特許文献16】仏国特許第2080759号
【特許文献17】EP-A-122 324
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的の1つは、長時間安定であり、適用中、垂れることなく、同時に毛髪上に得られた染色特性を保存しながら、特に同じ繊維の末端と根元の間の、および1つの繊維から別の繊維までの、強力な有彩色の均一な着色を保存しながら、毛髪上に残存する、毛髪を染色するための組成物を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、本発明によって達成され、その1つの主題は、少なくとも1種の酸化染料前駆体、以下の式:
H-(O-CH2-CH2)a-(O-CH(CH3)-CH2)b-(O-CH2-CH2)a'-OH、
(式中、aおよびa'は、2から150までの範囲であり、bは、1から100までの範囲である)を有する少なくとも1種のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの重縮合物;および
少なくとも1種のポリオキシアルキレン化脂肪酸タイプのアニオン性界面活性剤を含み、前記重縮合物/ポリオキシアルキレン化脂肪酸の間の重量比が、0.05から1まで、さらに良いのは0.1から0.8まで、優先的には0.3から0.5までの範囲である、染料組成物である。
【0015】
本発明はまた、酸化剤の存在下において繊維に本発明の組成物を適用するものである、毛髪染色プロセスにも関する。
【0016】
本発明の1つの主題はまた、区画の一方において、上記に定義された通りの本発明の組成物を、他方の区画において、少なくとも1種の酸化剤を含む組成物を含有する2区画デバイスである。
【0017】
したがって、本発明は、垂れる危険性なく、毛髪上への適用後にその場に残存する、長時間安定である増粘された組成物を得ることを可能にする。加えて、この組成物は、改善された染色特性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書において、「少なくとも1種の」という用語は、「1種または複数の」と等価である。
【0019】
本発明による組成物は、少なくとも1種のポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合物を含む。上記の化学構造において、好ましくは、aおよびa'は、10から130までの範囲であり、bは、20から80までの範囲であり、さらに良いのはaおよびa'は、50から130までの範囲であり、bは、30から80までの範囲であり、さらになお良いのはaおよびa'は、80から130までの範囲であり、bは、40から80までの範囲である。1つの特定の実施態様によれば、aおよびa'は同一である。
【0020】
本発明の組成物において有用であるエチレンオキシドとプロピレンオキシドの重縮合物は、好ましくは、250から19000の範囲の、さらに良いのは1200から15000の範囲の、特に1500から10000の範囲の、さらになお良いのは1500から5000の範囲の重量平均分子量を有する。
【0021】
有利には、前記エチレンオキシドとプロピレンオキシドの重縮合物は、蒸留水中10g/lで、20℃以上の、好ましくは60℃以上の曇点を有する。曇点は、規格ISO1065に従って測定される。
【0022】
本発明によって使用されてもよいエチレンオキシドとプロピレンオキシドの重縮合物として、Croda社からSynperonic、例えばSynperonic(登録商標)PE/F32(INCI名:ポロキサマー108)、Synperonic(登録商標)PE/F108(INCI名:ポロキサマー338)、Synperonic(登録商標)PE/L44(INCI名:ポロキサマー124)、Synperonic(登録商標)PE/L42(INCI名:ポロキサマー122)、Synperonic(登録商標)PE/F127(INCI名:ポロキサマー407)、Synperonic(登録商標)PE/F88(INCI名:ポロキサマー238)、Synperonic(登録商標)PE/L64(INCI名:ポロキサマー184)、Synperonic(登録商標)PE/F88(INCI名:ポロキサマー238)、Synperonic(登録商標)PE/F87(INCI名:ポロキサマー237)、またはBASF社からLutrol(登録商標)F68(INCI名:ポロキサマー188)という名称で販売されているポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合物を挙げることができる。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの重縮合物の量は、好ましくは、組成物の総重量に対して、0.1重量%から20重量%まで、さらにより優先的には0.5重量%から10重量%まで、さらに良いのは1重量%から5重量%までの範囲である。
【0024】
本発明の組成物において有用である酸化染料は、一般に、酸化ベースおよびカップラーから選ばれる。
【0025】
挙げることができる酸化ベースの例は、パラ-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルト-アミノフェノールおよび複素環塩基、およびそれらの付加塩を含む。
【0026】
挙げることができるパラ-フェニレンジアミンは、例えば、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルエンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-(エチル-β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4'-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノフェニルピロリジン、2-チエニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-アミノトルエンおよび3-ヒドロキシ-1-(4'-アミノフェニル)ピロリジン、およびそれらの酸との付加塩である。
【0027】
上記に挙げたパラ-フェニレンジアミンのうち、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルエンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミンおよび2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、およびそれらの酸との付加塩が特に好ましい。
【0028】
挙げることができるビス(フェニル)アルキレンジアミンは、例えば、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(エチル)-N,N'-ビス(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)エチレンジアミンおよび1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン、およびそれらの付加塩である。
【0029】
挙げることができるパラ-アミノフェノールは、例えば、パラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-クロロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノールおよび4-アミノ-2-フルオロフェノール、およびそれらの酸との付加塩である。
【0030】
挙げることができるオルト-アミノフェノールは、例えば、2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノールおよび5-アセトアミド-2-アミノフェノール、およびそれらの付加塩である。
【0031】
挙げることができる複素環塩基は、例えば、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体およびピラゾール誘導体である。
【0032】
挙げることができるピリジン誘導体は、例えば、特許GB1026978およびGB1153196において記載されている化合物、例えば、2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジンおよび3,4-ジアミノピリジンならびにそれらの付加塩である。
【0033】
本発明において有用である他のピリジン酸化ベースは、例えば、特許出願FR2 801 308において記載されている3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン酸化ベースまたはそれらの付加塩である。挙げることができる例は、ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-アセチルアミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-モルホリン-4-イルピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボン酸、2-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)メタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)エタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)エタノール、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-2-イル)メタノール、3,6-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、3,4-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,7-ジアミン、7-モルホリン-4-イルピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,5-ジアミン、5-モルホリン-4-イルピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-オールおよび3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オール、およびそれらの付加塩を含む。
【0034】
挙げることができるピリミジン誘導体は、例えば、特許DE 2359399;JP 88-169571;JP 05-63124;EP 0770375または特許出願WO 96/15765において記載されている化合物、例えば、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノピリミジンなど、およびそれらの付加塩、ならびに互変異性平衡が存在する場合はそれらの互変異性型である。
【0035】
挙げることができるピラゾール誘導体は、特許DE 3843892、DE 4133957および特許出願WO 94/08969、WO 94/08970、FR-A-2 733 749およびDE 195 43 988において記載されている化合物、例えば、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4'-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tert-ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4'-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾール、4-アミノ-5-(2'-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メチルピラゾール、など、およびそれらの付加塩である。4,5-ジアミノ-1-(β-メトキシエチル)ピラゾールもまた使用されてもよい。4,5-ジアミノピラゾール、さらにより優先的には4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾールおよび/またはその塩が、好ましくは使用される。
【0036】
また挙げることができるピラゾール誘導体は、ジアミノ-N,N-ジヒドロ-ピラゾロピラゾロン、特に、特許出願FR-A-2886 136において記載されているもの、例えば、以下の化合物: 2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-エチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-イソプロピルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-(ピロリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジメチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジ-(2-ヒドロキシエチル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、2-アミノ-3-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-ジメチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2,3-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H,6H-ピリダジノ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4-アミノ-1,2-ジエチル-5-(ピロリジン-1-イル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4-アミノ-5-(3-ジメチルアミノピロリジン-1-イル)-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、2,3-ジアミノ-6-ヒドロキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オンなど、およびそれらの付加塩を含む。2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オンおよび/またはその塩が、好ましくは使用される。
【0037】
4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾールおよび/または2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オンおよび/またはその塩が、複素環塩基として優先的に使用される。
【0038】
これらのカップラーのうち、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフタレンベースのカップラーおよび複素環式カップラー、およびさらにそれらの付加塩を特に挙げることができる。
【0039】
例えば、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、3-ウレイドアニリン、3-ウレイド-1-ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ) トルエン、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1-H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチル[3,2-c]-1,2,4-トリアゾールおよび6-メチル-ピラゾロ[1,5-a]-ベンゾイミダゾール、それらの酸との付加塩、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0040】
一般に、本発明の状況において使用されてもよい酸化ベースおよびカップラーの付加塩は、特に、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩および酢酸塩などの酸との付加塩から選択される。
【0041】
一実施形態によれば、組成物は、少なくとも1種の酸化ベースおよび任意選択でカップラーを含む。
【0042】
酸化ベースはそれぞれ有利には、組成物の総重量に対して0.0001重量%から10重量%まで、好ましくは組成物の総重量に対して0.005重量%から5重量%までに相当する。
【0043】
カップラーの含有量は、それ(それら)が存在する場合、それぞれ有利には、組成物の総重量に対して0.0001重量%から10重量%まで、好ましくは組成物の総重量に対して0.005重量%から5重量%までに相当する。
【0044】
本発明の組成物は、ポリオキシアルキレン化脂肪酸タイプの少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含有する。このアニオン性界面活性剤は、特に、下記式(1)に対応する:
R1-(OC2H4)n-OCH2COOA (1)
(式中、
R1は、直鎖状または分岐状C8〜C22アルキルまたはアルケニル基または基の混合物、アルキル(C8〜C9)フェニル基、基R2CONH-CH2-CH2-を表し、R2は、直鎖状または分岐状C9〜C21アルキルまたはアルケニル基を意味し、
nは、2から50まで、好ましくは2から10までの範囲であってよい整数または小数(平均値)であり、アルキル基は、約6から20個の間の炭素原子、好ましくは8から18個までの炭素原子を含有し、アリールは好ましくはフェニルを意味し、
Aは、H、アンモニウム、Na、K、Li、Mgまたはモノエタノールアミンもしくはトリエタノールアミン残基を意味する)。式(1)の化合物の混合物、特に基R1が異なる混合物を使用することもまた可能である。
【0045】
好ましくは、ポリオキシアルキレン化(C6〜C24)アルキルエーテルカルボン酸およびそれらの塩、ポリオキシアルキレン化(C6〜C24)アルキルアミドエーテルカルボン酸、特に、2から15個までのアルキレンオキシド基を含むもの、それらの塩、ならびにそれらの混合物が使用される。
【0046】
本発明によって好ましくは使用されるオキシアルキレン化エーテルカルボン酸またはそれらの塩は、R1が、(C8〜C18)アルキル、ココイルもしくはオレイル基もしくは基の混合物;ノニルフェニルまたはオクチルフェニル基を意味し、Aが、水素またはナトリウム原子を意味し、nが、2から50まで、好ましくは2から20までの範囲である、式(I)のものから選ばれる。
【0047】
さらにより優先的には、Rが、(C12)アルキル基を意味し、Aが、水素またはナトリウム原子を意味し、nが、2から10までの範囲である、式(I)の化合物が使用される。
【0048】
市販の製品のうち、好ましくは、Chem Y社によって、
Akypo(登録商標) NP 70(R=ノニルフェニル、n=7、p=0、A=H)
Akypo(登録商標) NP 40(R=ノニルフェニル、n=4、p=0、A=H)
Akypo(登録商標) OP 40(R=オクチルフェニル、n=4、p=0、A=H)
Akypo(登録商標) OP 80(R=オクチルフェニル、n=8、p=0、A=H)
Akypo(登録商標) OP 190(R=オクチルフェニル、n=19、p=0、A=H)
Akypo(登録商標) RLM 38(R=(C12-C14)アルキル、n=3.8、p=0、A=H)
Akypo(登録商標) RLM 38 NV(R=(C12-C14)アルキル、n=4、p=0、A=Na)
Akypo(登録商標) RLM 45(R=(C12-C14)アルキル、=4.5、p=0、A=H)
Akypo(登録商標) RLM 45 NV(R=(C12-C14)アルキル、n=4.5、p=0、A=Na)
Akypo(登録商標) RLM 100(R=(C12-C14)アルキル、n=10、p=0、A=H)
Akypo(登録商標) RLM 100 NV(R=(C12-C14)アルキル、n=10、p=0、A=Na)
Akypo(登録商標) RLM 130(R=(C12-C14)アルキル、n=13、p=0、A=H)
Akypo(登録商標) RLM 160 NV(R=(C12-C14)アルキル、n=16、p=0、A=Na)
という名称で、またはSandoz社によって、
Sandopan DTC-酸(R=(C13)アルキル、n=6、p=0、A=H)
Sandopan DTC(R=アルキル(C13)、n=6、p=0、A=Na)
Sandopan LS 24(R=(C12-C14)アルキル、n=12、p=0、A=Na)
Sandopan JA 36(R=(C13)アルキル、n=18、p=0、A=H)、
という名称で販売されている製品、より特定すれば、以下の:
Akypo(登録商標)RLM45
Akypo(登録商標)RLM100
Akypo(登録商標)RLM38
という名称で販売されている製品が使用されてもよい。
【0049】
ポリオキシアルキレン化(C6〜C24)アルキルエーテルカルボン酸およびそれらの塩が、好ましくは使用される。
【0050】
ポリオキシアルキレン化脂肪酸タイプのアニオン性界面活性剤は、一般に、組成物の総重量に対して、0.1重量%から40重量%まで、好ましくは0.5重量%から25重量%まで、さらに良いのは0.5重量%から20重量%まで、優先的には1重量%から15重量%までの範囲の濃度で存在する。
【0051】
本発明による組成物は、イオン性または非イオン性種、好ましくはカチオン性または非イオン性種から選ばれる合成または天然の直接染料を任意選択で含んでいてもよい。
【0052】
挙げることができる適した直接染料の例は、単独でまたは混合物としての、アゾ染料;メチン染料;カルボニル染料;アジン染料;ニトロ(ヘテロ)アリール染料;トリ(ヘテロ)アリールメタン染料;ポルフィリン染料;フタロシアニン染料および天然の直接染料を含む。
【0053】
本発明によって使用されてもよい天然の直接染料のうち、ローソン、ジュグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン、アピゲニジンおよびオルセインを挙げることができる。これらの天然の染料を含有する抽出物または煎出物、特に、ヘンナベースの湿布または抽出物もまた使用されてもよい。
【0054】
それらが存在する場合、直接染料は、より特定すれば、組成物の総重量の0.0001重量%から10重量%まで、好ましくは0.005重量%から5重量%までに相当する。
【0055】
染料担体としても知られている染色に適した媒体は、一般に、水、または水と、以前に記載された芳香族アルコール以外の1種もしくは複数の溶媒、例えば、C1〜C4低級アルカノール、例えば、エタノールおよびイソプロパノールなど、ポリオール、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールまたはグリセロールなど、およびポリオールエーテル、例えばジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどとの混合物を含む。
【0056】
特定の一実施態様によれば、本発明の組成物は、C1〜C4脂肪族アルコール、特に、エタノールまたはイソプロパノールを含む。
【0057】
これらの溶媒は、一般に、染料組成物の総重量に対して、約1重量%から40重量%の間、さらにより優先的には約3重量%から30重量%の間であってもよい比率で存在する。
【0058】
本発明による染料組成物はまた、毛髪染料組成物において従来から使用されている様々な補助剤、例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性(本発明において有用であるもの以外の)、両性または双性イオン性界面活性剤またはそれらの混合物、アニオン性、カチオン性、非イオン性(本発明の組成物において有用であるもの以外の)、両性または双性イオン性ポリマーまたはそれらの混合物、無機増粘剤、例えばシリケートなど、または有機増粘剤、特に、アニオン性、カチオン性、非イオン性および両性会合性ポリマー増粘剤、酸化防止剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、芳香剤、緩衝剤、分散剤、コンディショニング剤、例えば、揮発性または不揮発性の変性または非変性シリコーン、フィルム形成剤、セラミド、防腐剤ならびに乳白剤などを含有してもよい。
【0059】
上記の補助剤は、一般に、それらのそれぞれについて、組成物の重量に対して0.01重量%から20重量%の間の量で存在する。
【0060】
言うまでもなく、当業者は、本発明による酸化染料組成物と本質的に関連する有利な特性が想定される添加によって悪影響を受けないまたは実質的に受けないように、このまたはこれらの任意選択のさらなる化合物を注意深く選択するはずである。
【0061】
本発明による染料組成物のpHは、一般に、約5から14の間であり、好ましくは5を超える。特定の一実施態様によれば、pHは、約6から11の間である。pHは、ケラチン繊維の染色において通常使用される酸性化剤または塩基性化剤によって、または代替として標準的な緩衝系を使用して、所望の値まで調整してもよい。
【0062】
挙げることができる酸性化剤は、例えば、無機または有機酸、例えば、塩酸、オルトリン酸または硫酸、カルボン酸、例えば、酢酸、酒石酸、クエン酸および乳酸、ならびにスルホン酸である。
【0063】
塩基性化剤のうち、挙げることができる例は、アンモニア水、アルカリ金属炭酸塩、アルカノールアミン、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンなど、ならびにそれらの誘導体、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムならびに以下の式の化合物:
【0064】
【化1】
【0065】
(式中、Wは、ヒドロキシル基またはC1〜C4アルキル基で任意選択で置換されているプロピレン残基である;Ra、Rb、RcおよびRdは、同一であってもまたは異なっていてもよく、水素原子またはC1〜C4アルキルもしくはC1〜C4ヒドロキシアルキル基を表す)を含む。
【0066】
有利には、本発明による組成物は、組成物の重量に対して、0.01重量%から30重量%まで、好ましくは0.1重量%から20重量%までの範囲の塩基性化剤の含有量を有する。
【0067】
一実施形態によれば、組成物は、少なくとも1種のアルカリ剤を含む。
【0068】
本発明による組成物は、1種または複数の酸化剤を含んでいてもよい。通常では、酸化剤は、使用時に組成物に添加される。
【0069】
より特定すれば、酸化剤は、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩またはフェリシアン化物、過酸化塩、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属過硫酸塩、過ホウ酸塩および過炭酸塩、およびさらに過酸ならびにそれらの前駆体から選ばれる。
【0070】
有利には、酸化剤は過酸化水素である。
【0071】
酸化剤の含有量は、より特定すれば、組成物の重量に対して、0.1重量%から20重量%まで、好ましくは0.5重量%から10重量%までに相当する。
【0072】
好ましくは、酸化剤は、水性溶液中の過酸化水素であり、その濃度は、より特定すれば、酸化組成物の重量に対して、0.1重量%から50重量%まで、より特定すれば0.5重量%から20重量%の間、さらにより優先的には1重量%から15重量%の間の範囲である。
【0073】
好ましくは、酸化剤と混合する前の本発明の組成物は、25℃の温度および大気圧(760mmHg)で液体形態であり、すなわち、その自身の重量の作用下で流動することができる。
【0074】
好ましくは、酸化剤と混合する前の本発明の組成物の、25℃の温度における1s-1のせん断速度での粘度は、10-2Pa.sから5Pa.sの間、好ましくは10-1Pa.sから2Pa.sの間である。粘度は、コーン-プレート形状を有するThermo Haake RS600レオメーターまたは等価な装置を使用して測定することができる。
【0075】
好ましくは、酸化剤と混合する前の本発明の組成物は、8%を超える、さらにより優先的には10%を超える、イオン性または非イオン性界面活性剤の総量を含有する。
【0076】
したがって、本発明による染色プロセスは、少なくとも1種の染料前駆体、以前に定義された通りの少なくとも1種のポリエチレンとポリプロピレンの重縮合物、前記重縮合物/ポリオキシアルキレン化脂肪酸の間の重量比が、0.05から1までの範囲である、少なくとも1種のポリオキシエチレン化脂肪族アルコール、および任意選択でアルカリ剤を含む、酸化剤を含まない組成物を、酸化剤を含む組成物と混合し、この組成物を、濡れたまたは乾いたヒトケラチン繊維に適用するものである。
【0077】
次いで、組成物を、通常1分から1時間までの、好ましくは5分から30分までの範囲の時間、その場に放置する。
【0078】
プロセス中の温度は、通常では、室温(15℃から25℃の間)から80℃の間、好ましくは室温から60℃の間である。
【0079】
処置の後、ヒトケラチン繊維は、乾燥する、または放置して乾燥させる前に、任意選択で水ですすぎ、任意選択でシャンプーで洗浄し、次いで、水ですすぐ。
【0080】
(実施例)
以下の組成物を調製した:
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
組成物A、BおよびCは、長時間安定である。それらのそれぞれを、それ自体の重量の1.5倍の、pH2の7.5%過酸化水素を含む酸化組成物と混合する。
【0085】
得られる混合物は、垂れることなく、暗い栗色の毛髪に容易に適用される。25℃で30分のリーブオン時間に続いてすすいだ後、毛髪を洗浄し、乾燥する。次いで頭髪を、組成物A、BおよびCから得られる2つの混合物で、濃い金色の明るい栗色に均一に染色する。