特許第5934279号(P5934279)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5934279タワー構造の円筒状ツールマガジンシェルフ、および、ツールのリロード方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934279
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】タワー構造の円筒状ツールマガジンシェルフ、および、ツールのリロード方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/157 20060101AFI20160602BHJP
   B23Q 3/155 20060101ALI20160602BHJP
   B23Q 1/00 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
   B23Q3/157 J
   B23Q3/155 F
   B23Q1/00 S
   B23Q1/00 U
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-82177(P2014-82177)
(22)【出願日】2014年4月11日
(65)【公開番号】特開2015-472(P2015-472A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2014年8月11日
(31)【優先権主張番号】13003014.1
(32)【優先日】2013年6月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509124032
【氏名又は名称】マシーネンファブリーク ベルトホルト ヘルムレ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100193116
【弁理士】
【氏名又は名称】守田 敏宏
(72)【発明者】
【氏名】フランツ−クサファー ベルンハルド
(72)【発明者】
【氏名】トビアス シュヴェーレル
(72)【発明者】
【氏名】ディーテル ウッテンヴァイラー
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03339273(US,A)
【文献】 特開昭60−046829(JP,A)
【文献】 特開2010−184346(JP,A)
【文献】 米国特許第05281194(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0277529(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0145498(US,A1)
【文献】 特開2010−133563(JP,A)
【文献】 特開昭61−192432(JP,A)
【文献】 特開2003−340662(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0040792(US,A1)
【文献】 特開平01−193136(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0087924(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/155−3/157,1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タワー構造の円筒状ツールマガジンシェルフ(1)であって、
ベースフレームであって、
−垂直方向に連なって、かつ円環状に配置された複数の固定式ツール載置プレート(4)を有するマシニングツール(6)用のツールシェルフ(3)、および
−前記ツールマガジンシェルフ(1)とマシン側ピックアップツールマガジンストア(37)との間でツールを双方向に運搬するための動力駆動型ツールハンドリングシステム(5)を支持するベースフレームと、
前記ツール載置プレート(4)の円心点に配置された垂直回転軸(7)を中心に回転可能に設けられたスピンドルタワー(8)と、を備え、
前記ベースフレームは、前記回転軸(7)が、突出部が固定されないようなタワー型のマウント形式により設けられているモノリシック構造の平板状基礎(2)から構成され、
前記タワー型のマウントは、一列または二列の四点接触軸受形式であって、
前記四点接触軸受は、外部歯部を備えると共に前記基礎(2)にねじ込まれたアウターリング(28)と、前記スピンドルタワー(8)にねじ込まれたインナーリング(29)と、を備え、
ドライブピニオン(26)を備える駆動モータ(9)が、前記スピンドルタワー(8)の回転駆動のために設けられており、かつ、前記駆動モータ(9)は、前記スピンドルタワー(8)が回転した場合に前記ドライブピニオン(26)が前記タワー型のマウントの前記アウターリング(28)の外部歯部上の前記駆動モータ(9)と一緒に回転するよう、前記スピンドルタワー(8)に強固に取り付けてられていると共に前記アウターリング(28)の前記外部歯部に作動的に接続されている、
ことを特徴とするツールマガジンシェルフ(1)。
【請求項2】
前記基礎(2)は、機能面および機能空間のすべてが、ポリマーコンクリート、反応レジンコンクリート等から一体的に形成されることにより形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のツールマガジンシェルフ。
【請求項3】
前記基礎(2)は、高さ調節可能であるマシン脚部(14)に設けられると共に、防滑性および防振性のマシンシュー(15)に設けられる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のツールマガジンシェルフ。
【請求項4】
前記スピンドルタワー(8)は、機能面および機能空間のすべてを、ポリマーコンクリート、反応樹脂コンクリート等で製造されるモノリシック構造の一体型スピンドルタワー(8)として形成することにより形成される、
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のツールマガジンシェルフ。
【請求項5】
前記動力駆動型ツールハンドリングシステム(5)は、前記スピンドルタワー(8)に設けられた垂直スライド(10)を介して前記スピンドルタワー(8)に接続されており、
前記垂直スライド(10)は、前記スピンドルタワー(8)に配置されたボールねじによって縦軸に沿って直線的に変位可能である、
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のツールマガジンシェルフ。
【請求項6】
前記ボールねじは、非回転ボールナットおよび回転ボールねじスピンドル(16)を備える、
ことを特徴とする請求項に記載のツールマガジンシェルフ。
【請求項7】
前記スピンドルタワー(8)は、機能面および機能空間のすべてを、ポリマーコンクリート、反応樹脂コンクリート等で製造されるモノリシック構造の一体型スピンドルタワー(8)として形成することにより形成され、
前記動力駆動型ツールハンドリングシステム(5)は、前記スピンドルタワー(8)に設けられた垂直スライド(10)を介して前記スピンドルタワー(8)に接続されており、
前記垂直スライド(10)は、前記スピンドルタワー(8)に配置されたボールねじによって縦軸に沿って直線的に変位可能であり、
前記ボールねじは、非回転ボールナットおよび回転ボールねじスピンドル(16)を備え、
前記ボールねじスピンドル(16)は、前記駆動モータ()に作動的に接続されている、
ことを特徴とする請求項に記載のツールマガジンシェルフ。
【請求項8】
前記垂直スライド(10)は、前記スピンドルタワー(8)に配置された2つのリニアローラガイド(19,20)によって、トルクがかからず、傾きが生じないようにガイドされる、
ことを特徴とする請求項のいずれか一項に記載のツールマガジンシェルフ。
【請求項9】
前記2つのリニアローラガイド(19,20)は、1つの機能平面内に配置される、
ことを特徴とする請求項に記載のツールマガジンシェルフ。
【請求項10】
前記動力駆動型ツールハンドリングシステム(5)は、
前記垂直スライド(10)に配置された水平軸に沿って直線的に変位可能な水平スライド(12)を備え、
前記水平スライド(12)は、電気機械式シリンダによって駆動可能である、
ことを特徴とする請求項のいずれか一項に記載のツールマガジンシェルフ。
【請求項11】
ツール把持部(13)は、前記水平スライド(12)に配置されており、かつ、前記マシニングツール(6)用の2つの水平方向に直線的に変位可能な把持顎部(21,22)を有する、
ことを特徴とする請求項10に記載のツールマガジンシェルフ。
【請求項12】
前記把持顎部(21,22)は、空圧、油圧または電気により可動である、
ことを特徴とする、請求項11に記載のツールマガジンシェルフ。
【請求項13】
それぞれの前記ツール載置箇所(4)上の基準計測表面を用いて、前記ツール把持部(13)を基準として前記ツール載置箇所(4)の空間位置を判定するキャリパーが前記水平スライド(12)に配置されている、
ことを特徴とする請求項1012のいずれか一項に記載のツールマガジンシェルフ。
【請求項14】
請求項1〜1のいずれか一項に記載のツールマガジンシェルフ(1)にツールを自動的にリロードする方法であって、
前記ツールマガジンシェルフ(1)は、立形マシニングセンタ(36)のマシン制御システムにおいて実装されたツール管理システムを介して前記立形マシニングセンタ(36)におけるマシン側ピックアップツールマガジンストア(37)とつながり、
前記ツール管理システムは、前記マシニングツール(6)の幾何学的寸法が異なる場合に、前記マシニングリストのツール径に基づいて、前記マシニングツール(6)が可能な限り最大の数で前記マシン側ピックアップツールマガジンストア(37)に配置されるように分類された前記マシニングツールのリロードリストを特定するマシニングプログラムを含み、
前記マシニングツール(6)は、前記ツールマガジンシェルフ(1)の動力駆動型ツールハンドリングシステム(5)による前記マシニングプログラムに基づく制御下で、前記ピックアップツールマガジンストア(37)におけるツール装填レベルが満足されるように前記マシン側ピックアップツールマガジンストア(37)に配置された状態で、前記ツールマガジンシェルフ(1)から前記マシン側ピックアップツールマガジンストア(37)に、リロードされる
ことを特徴とするツールマガジンシェルフ(1)にツールを自動的にリロードする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マシニングツール用の、垂直方向に連なって円環状に配置された複数の固定式ツール載置プレートを有するツールシェルフ、および、ツールマガジンシェルフとマシン側ピックアップツールマガジンストアとの間でツールを双方向に運搬するための動力駆動型ツールハンドリングシステムを支持するベースフレームと、ツール載置プレートの円心点に位置された垂直回転軸について回転可能に設けられたスピンドルタワーとを備えるタワー構造の円筒状ツールマガジンシェルフに関する。
【背景技術】
【0002】
タワー構造の円筒状ツールマガジンシェルフは技術分野において公知である(例えば、特許文献1および特許文献2)。
【0003】
本発明は、さらに、ツールマガジンシェルフにツールを自動的にリロードする方法に関する。
【0004】
従来技術に係るマシン側に組み込まれた可動式ピックアップツールマガジンストアにツールを自動的にリロードする方法が、(特許文献3)に開示および示されている。
【0005】
一体型ツールマガジンストアを備えるマシニングセンタにおいて、マシニングツールに係るツール収容容量は、一般的にマシニングセンタの寸法および空間特性によって決定される。従って、顧客の用途に応じて、ツールの収容容量を増大させるために追加のマガジンが頻繁に用いられる。この種の追加のマガジンでは、その中に設けられたマシニングツールがマシンに組み込まれたツールマガジンストアに送り出される。垂直方向に連なって配置された複数の載置面を備えるタワー構造の追加のマガジンが、小さいアセンブリ面積でツール収容容量を可能な限り拡大するために特に好適である。ツール載置箇所を円筒状の配置とすることにより、載置箇所のすべてにおいて、2種の並進動作および1種の回転動作のみを利用するツール把持部による出し入れが可能である。
【0006】
マシニングツール用のこの種の追加のマガジンは技術分野において公知である。従って、例えば、(特許文献1)にこの種の追加のマガジンが開示されており、ここでは、マシンに組み込まれたツールマガジンストアが複数のツール載置箇所で拡張される。本文脈において、マシニングツールは、画定された受け渡し位置において、マシン側マガジンと追加のマガジンとの間で交換される。円環状に配置された追加のマガジンにおける載置箇所へのアプローチはハンドリングシステムが用いられる。この目的のために要求される回転動作を行うために、動力化された回転駆動部が昇降用支柱の頂部に設けられる。この構造上の配置における欠点は、昇降用支柱が両側(上部および下部)でマウントされており、これは経済的ではないということである。
【0007】
同様に、(特許文献2)には、タワー構造の円筒状ツールマガジンシェルフが開示および例示されている。これは、垂直方向に配向されたマシニングツールを交換アームによってマシニングセンタのツールスピンドルに交換するためのものであり、ピックアップツールマガジンストアに関連する操作のために提供されているものではない。ツールハンドリングシステムは回転可能にマウントされたガイドに取り付けられており、垂直方向に上下動可能である。このガイドの回転可能なマウントは、ガイドの2つの端部(上部および下部)に位置されている。従って、このツールマガジンシェルフの支持構造全体が、高い精度要求を満たすよう製造される必要があり、結果としてコスト高となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国実用新案第20 2011 001 493 U1号明細書
【特許文献2】欧州特許第1 604 775 B1号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第43 04 361 A1号明細書
【特許文献4】欧州特許第1 870 200 B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術を発端として、本発明は、従来技術において見出される問題を解決し、欠点を克服することが可能である、マシンに組み込まれた垂直方向に配向されたピックアップツールマガジンストアのための追加のマガジンとしてのツールマガジンシェルフを創出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
垂直方向に連なって円環状に配置された複数の固定式ツール載置プレートを有するマシニングツール用のツールシェルフ、および、ツールマガジンシェルフとマシン側ピックアップツールマガジンストアとの間でツールを双方向に運搬するための動力駆動型ツールハンドリングシステムを支持するベースフレームと、ツール載置プレートの円心点に位置された垂直回転軸について回転可能に設けられたスピンドルタワーとを備えるタワー構造の円筒状ツールマガジンシェルフにおいて、本発明のこの目的は、回転軸が自由度を有して突出して設けられているモノリシック構造の平板状基礎から構成されるベースフレームに係る本発明によって達成される。
【0011】
本発明に係る意味において、「タワー構造」という用語は、1つ以上のツール載置面から構成されるツールマガジンシェルフを指し、前記面は、個々の面の載置容量を増大させるよう垂直方向に連なって配置される。本文脈において、外部筐体の幾何学的配置がタワーの構造に典型的に反映され得る。
【0012】
本発明に係る意味において、「立形マシニングセンタ」という用語は、垂直に配向されたツールスピンドルによってワークピースが加工されるマシニングセンタを指す。
【0013】
本発明に係る意味において、「ピックアップツールマガジンストア」という用語は、ピックアップツールの交換に好適であるマシニングセンタ中のツールマガジンストアを指す。いわゆるピックアップツール交換の間、マシニングツールは、外部ツール交換装置の補助を伴わずに垂直方向に配向されたツールスピンドルによってピックアップツールマガジンストアから直接取り出され、使用後には再度戻されるものである。
【0014】
本発明に係る意味において、「モノリシック構造の基礎」という用語は、円筒状ツールマガジンシェルフに対して一体的に構成されている基礎を指す。
【0015】
本発明に係る意味において、「片持ちマウント」という用語は、垂直方向に突出するスピンドルタワーの片側のマウントを指し、これにより、スピンドルタワーの台座が基礎に連結され、モータによるスピンドルタワーの回転動作が可能である。片持ちマウントは、ツールマガジンシェルフの定置式のアセンブリと回転可能なスピンドルタワーの定置式のアセンブリとの間を接続する唯一の要素である。
【0016】
本発明においては、スピンドルタワーの両端マウントはもはや不要であり、従って、スピンドルタワーが上側で追加的に反対側からマウントされている支持構造がもはや不要である点で公知の従来技術を改善するものである。これにより、両端マウントについて必要とされることとなる高い精度に対する要求が不必要であるために、よりコスト効果の高い生産が可能となる。上側の反対側のマウントへのアクセスの困難性が解消されるというさらなる利点も存在する。ベースフレームがモノリシック構造であるために、片持ちマウントに対する精度要求を満たすことは容易であり、さらには、システムは自立式となり、さらには、ベースフレームの複数の個々の部品の組み立てに係る組み立て費用が不要である点で、とりわけ組み立てが容易な構造が本システムにおいて達成されている。
【0017】
有利な展開は、従属請求項から得られる。
【0018】
好ましい展開において、マウント態様はタワー型のマウント形式である。
【0019】
好ましい展開において、タワー型のマウントは一列または二列の四点接触軸受形式である。
【0020】
好ましい展開において、四点接触軸受は、外部歯部を備えると共に基礎にねじ込まれたアウターリングと、スピンドルタワーにねじ込まれたインナーリングとを備える。
【0021】
好ましい展開においては、ドライブピニオンを備える駆動モータがスピンドルタワーの回転駆動のために設けられており、かつ、駆動モータは、スピンドルタワーが回転した場合にドライブピニオンがタワー型のマウントの定置式外部歯部上の駆動モータと一緒に回転するよう、スピンドルタワーに強固に取り付けてられていると共にアウターリングの外部歯部に作動的に接続されている。
【0022】
好ましい展開において、基礎は、機能面および機能空間のすべてが、ポリマーコンクリート、反応レジンコンクリート等から一体的に形成されることにより形成される。従って、機能面および機能空間は後切削加工を必要としない。
【0023】
好ましい展開において、基礎は、高さ調節可能なマシン脚部に設けられると共に、防滑性および防振性のマシンシューに設けられる。
【0024】
好ましい展開において、スピンドルタワーは、機能面および機能空間のすべてを、ポリマーコンクリート、反応樹脂コンクリート等で製造されるモノリシック構造の一体型スピンドルタワーとして形成することにより形成される。従って、この場合においても、機能面および機能空間は後切削加工を必要としない。
【0025】
好ましい展開においては、垂直スライドが、スピンドルタワーに設けられて、スピンドルタワーに配置されたボールねじによって縦軸に沿って直線的に変位可能である。
【0026】
好ましい展開において、ボールねじは、非回転ボールナットおよび回転ボールねじスピンドルを備える。
【0027】
好ましい展開において、ボールねじスピンドルは、ギヤベルトステージを介して駆動モータに作動的に接続されている。
【0028】
好ましい展開において、垂直スライドは、スピンドルタワーに配置された2つのリニアローラガイドによって、トルクがかからず、傾きが生じないようにガイドされる。
【0029】
好ましい展開において、2つのリニアローラガイドは1つの機能平面内に配置される。
【0030】
好ましい展開においては、水平軸に沿って直線的に変位可能である水平スライドが、垂直スライドに配置されており、かつ、電気機械式シリンダによって駆動可能である。
【0031】
好ましい展開においては、ツール把持部は、水平スライドに配置されており、かつ、マシニングツール用の2つの水平方向に直線的に変位可能な把持顎部を有する。把持顎部によって、マシニングツールを、ツール把持部における規格化されたツール受入コーンに側方から挟持することが可能である。
【0032】
好ましい展開において、把持顎部は、空圧、油圧または電気により可動する。
【0033】
好ましい展開においては、それぞれのツール載置箇所上の基準計測表面を用いて、ツール把持部を基準としてツール載置箇所の空間位置を度量衡的に判定するキャリパーが水平スライドに配置されている。従って、ツール把持部との関係におけるツール載置箇所の教示は、単純、かつ、自動的に、マシンプログラムにおいて実行される計測サイクルによって進行可能である。
【0034】
好ましい展開において、ツール載置箇所の空間位置は、定義された停止点に向かうハンドリングシステム軸の動作から得られる特徴的な力曲線を評価することにより度量衡的に判定が可能である。従って、この方法によっても、ツール把持部との関係におけるツール載置箇所の教示は、単純、かつ、自動的に、マシンプログラムにおいて実行される計測サイクルによって進行可能である。
【0035】
さらに、本発明は、マシン側ピックアップツールマガジンストアと追加のマガジンにおけるツールマガジンシェルフとの間でツールを自動的にリロードする方法を提供することを目的とする。これにより、最適なツール装填レベルがマシン側ピックアップツールマガジンストアにおいてもたらされる。
【0036】
この目的は、ツールマガジンシェルフが、マシニングセンタのマシン制御システムにおいて実装されたツール管理システムを介して立形マシニングセンタにおけるマシン側ピックアップツールマガジンストアとつながり、現在実装されるべきマシニングプログラムによって特定されるリロードリスト、および、ピックアップツールマガジンストアにおけるツール装填レベルが最適な方法で満足されることで、場合により幾何学的寸法が大きく異なるマシニングツールが可能な限り最大の数でマシン側ピックアップツールマガジンストアに配置されるような高度空間最適化載置基準に従って、ツールマガジンシェルフのツールハンドリングシステムによる制御方法下で、マシニングツールを、ツールマガジンシェルフからマシン側ピックアップツールマガジンストアに、リロードまたは戻すことが可能であることにより、ピックアップツールマガジンストア(37)から前記立形マシニングセンタ(36)のツールスピンドルに比較的迅速に交換することもできる方法によって達成される。
【0037】
本発明に係る意味において、「ツール装填レベル」という用語は、マシン側ピックアップツールマガジンストアにおける収容されるマシニングツールの充填密度を指す。
【0038】
本発明に係る方法によれば、特に本発明に係るツールマガジンシェルフに関連して、マシン側ピックアップツールマガジンストアに装備させる場合において、高いツール装填レベルまたは高い充填密度を達成することが可能である。本文脈において、収容されるマシニングツールは、予測的に算出された分類または再分類スキームに従って、マシン側ピックアップツールマガジンストアへ分類または再分類される。本文脈においては、マシニングツールのツール径が分類に係る重要な主たる判断基準である。換言すると、可能な限り最大の数のマシニングツールを載置可能であるよう、マシニングツールがマシン側ピックアップツールマガジンストアに載置される際には、常に、大型、小型が混在するマシニングツールタイプについて判定が試みられる。マシン側ピックアップツールマガジンストア中のツール載置箇所の数は、一般的には構造上の構成によって厳格に規定されるが、ツールマガジンストアにおける充填密度はきわめて広範に変更可能である。従って、例えば、ピックアップツールマガジンストアにおける載置箇所の分布が均一(ツールの中心間の分布間隔が常に90mm)である例示の実施形態のピックアップツールマガジンストアにおいては、最大で80mmのツール径を有するツールを最大で42本、収容部に配置することが可能である。一般的には、80mmを超えるツール径を有するツールもピックアップツールマガジンストア中の収容部に配置する必要があるため、好ましくない載置場所の選択が行われてしまった場合には、例えば120mmのツール径を有するマシニングツールといった大きなツール径に隣接する2つの載置箇所には、より大きなツール径を有するツールが程度の差はあれど隣接する2つの載置箇所に干渉してしまうために、同様の大径ツールを配置することができない状況が生じてしまうことがある。従って、例えば、例示の実施形態においては、120mmのツール径を有するマシニングツールは、最大で40mmのツール径を有する隣接する2つのマシニングツールに載置することが可能である。この制限によって、ツールマガジンストアにおける載置がさらに複雑化してしまう。ツールマガジンストアにおける選択が単に時間の最適化のみに基づいている場合には、換言すると、ツールの選択が厳密にマシニングプログラムにおける使用順に対応している場合には、一般的には、ツールマガジンストアにおける最適なツール装填レベルは達成されない。(特許文献4)には、時間最適化ツール選択に関する従来技術に係る方法が例示および開示されている。しかしながら、この事例においてはマシンに近接したピックアップツールマガジンにおけるツール収容容量のすべてを活用することは不可能であり、マシニングツールをマガジンストアから用意する必要があって、時間が浪費される可能性があり、結果的に、ツール装填レベルが最適化されず、ツール交換時間に悪影響が及んでしまう。さらに、時間最適化選択による利点は、ツールマガジンストアの動作が比較的遅い場合にのみ、最大限発揮される。例えば、例示の実施形態に示されているピックアップマガジンストアが必要とするのは、1秒未満または180°の回転であり、従って、この事例においては、時間最適化選択は実際の利点をまったく伴わないものであり、本発明に係る空間最適化ツール選択または場所最適化ツールリロードとはかなり異なる。
【0039】
本発明のさらなる詳細、特徴および利点は、図面を参照することにより以下の記載から理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、本発明に係るツールマガジンシェルフの斜視図である。
図2図2は、ベースフレーム領域における本発明に係るツールマガジンシェルフの部分斜視図である。
図3図3は、ベースフレームの断面図である。
図4図4は、付随するマシニングセンタを伴う、本発明に係るツールマガジンシェルフの平面図である。
【0041】
図1および4は、立形マシニングセンタに設けられたマシン側ピックアップツールマガジンストア37に対する追加のマガジンとしての、モジュール式構造を有すると共に自立操作式のタワー構造型円筒状ツールマガジンシェルフ1の平面図である。
【0042】
図1は、ツールマガジン1の斜視図である。ツールマガジン1は、モノリシック構造の平板状基礎2から構成されるベースフレームを備える。基礎2は、本事例においては5つのシェルフ領域を備えるツールシェルフ3を支持するものである。さらに、基礎2は、追加のマガジン1とマシン側ピックアップツールマガジンストア37との間でツールを双方向に運搬するための動力駆動型ツールハンドリングシステム5、および、ツールマガジンシェルフ1へのアクセスを保護するための保護筐体35を支持する。
【0043】
操作盤38が保護筐体35に配設されていてもよい。
【0044】
ツールマガジンシェルフ1は、垂直方向に連なって円環状に配置された、複数の同一または異なるマシニングツール6を収容する複数の固定式ツール載置プレートを備える。ツール載置箇所4の円心点には、駆動モータ9によって回転軸7について回転可能な、基礎2から自由度を有して上方に突出して伸長するスピンドルタワー8を支持する、垂直回転軸7に係る台座11が設けられている。
【0045】
回転軸7は、一列または二列の四点接触軸受形式あるタワー型のマウントに設けられている。
【0046】
直線的に変位可能な垂直スライド10がスピンドルタワー8の縦軸に沿って設けられており、電気機械式シリンダによって水平軸に沿って直線的に変位可能である水平スライド12が備えられている。マシニングツール6を保持および放すツール把持部13が水平スライド12に配設される。
【0047】
基礎2は、基礎2の機能面および機能空間が、後の切削加工を必要としないよう、機能面および機能空間のすべてをポリマーコンクリート、反応樹脂コンクリート等で形成することにより形成される。
【0048】
同様に、スピンドルタワー8は、スピンドルタワー8の機能面および機能空間が、後の切削加工を必要としないよう、機能面および機能空間のすべてをポリマーコンクリート、反応レジンコンクリート等で形成することにより形成される。
【0049】
基礎2は、高さ調節可能であると共に防滑性および防振性を有するマシンシューに置かれたマシン脚部14に設けられている。
【0050】
スピンドルタワー8の縦軸に沿って直線的に変位可能な垂直スライド10は、スピンドルタワー8に配設されたボールねじによって変位可能である。ボールねじは、非回転ボールナットと、ギヤベルトステージ18を介して駆動モータ17に作動的に接続されている回転ボールねじスピンドル16とを備える。ボールねじスピンドル16は、浮動ベアリング31を介して台座11に設けられている。トルクがかからず、傾きが生じないように垂直スライド10をガイドするために、垂直スライド10は、スピンドルタワー8に配設されており、共に同一の機能平面に配置された2つのリニアローラガイド19,20によって保持される。
【0051】
ツール把持部13は、2つの水平方向に直線的に変位可能な把持顎部21,22を有し、これにより、マシニングツール6をツール把持部13における規格化されたツール受入コーン23に側方から挟持可能である。把持顎部21,22の把持動作は空圧、油圧または電気を利用して行う。
【0052】
エンドストップ24が台座11に設けられ、垂直スライド10の垂直方向の動作が規定される。
【0053】
フランジ面34を介してスピンドルタワー8に強固に取り付けられたスピンドルタワー8用の駆動モータ9には、そのモータシャフト25にドライブピニオン26が設けられている。さらに、回転軸7が設けられた四点接触軸受は、外部歯部を備えると共に基礎2にねじ込まれたアウターリング28と、スピンドルタワー8にねじ込まれたインナーリング29とを備える。配置は、スピンドルタワー8が回転する場合に、ドライブピニオン26がタワー型のマウントの駆動定置式外部歯部28のモータ9と一緒に回転するように選択される。
【0054】
駆動モータ9にエネルギーを供給するためにドラッグチェーンガイド27が設けられている。
【0055】
スピンドルタワー8に係る片持ちマウント30を形成する台座11は、軸受座32,33によって基礎2に支持されている。
【0056】
それぞれのツール載置箇所4上の基準計測表面を用いて、ツール把持部13を基準としてツール載置箇所4の空間位置が度量衡的に判定されるキャリパーが、水平スライド12に配設されている。従って、ツール把持部13との関係におけるツール載置箇所4の教示は、マシンプログラムにおいて実行される計測サイクルによって単純、かつ、自動的に進行可能である。
【0057】
ツール載置箇所4の空間位置は、定義された停止点に向かうハンドリングシステム軸の動作から得られる特徴的な力曲線を評価することにより度量衡的に判定が可能である。従って、この方法によっても、ツール把持部13との関係におけるツール載置箇所4の教示は、マシンプログラムにおいて実行される計測サイクルによって単純、かつ、自動的に進行可能である。
【0058】
上記のツールマガジンシェルフ1は、マシニングセンタ36のマシン制御システムにおいて実装されたツール管理システムを介して立形マシニングセンタ36におけるマシン側ピックアップツールマガジンストア37とつながり、現在実装されるべきマシニングプログラムによって特定されるリロードリスト、および、ピックアップツールマガジンストア37におけるツール装填レベルが最適な方法で満足されることで、場合により幾何学的寸法が大きく異なるマシニングツール6が可能な限り最大の数でマシン側ピックアップツールマガジンストア37に配置されるような高度空間最適化載置基準に従って、ツールマガジンシェルフ1のツールハンドリングシステムによる制御方法下で、マシニングツール6を、ツールマガジンシェルフ1からマシン側ピックアップツールマガジンストア37に、リロードまたは戻すことが可能であることにより、ピックアップツールマガジンストア37から前記立形マシニングセンタ36のツールスピンドルに比較的迅速に交換することもできる方法によって有利に操作される。
【0059】
本発明に係る上記の記載は単なる例示を目的とし、本発明を限定するものではない。本発明の文脈の範囲内において様々な変更および修正を行うことが可能であり、これらは本発明の範囲およびその均等物から逸脱するものではない。
【符号の説明】
【0060】
1 ツールマガジンシェルフ
2 基礎
3 ツールシェルフ
4 ツール載置箇所
5 ツールハンドリングシステム
6 マシニングツール
7 回転軸
8 スピンドルタワー
9 駆動モータ
10 垂直スライド
11 台座
12 水平スライド
13 ツール把持部
14 マシン脚部
15 マシンシュー
16 ボールねじスピンドル
17 駆動モータ
18 ギヤベルトステージ
19 リニアローラガイド
20 リニアローラガイド
21 把持顎部
22 把持顎部
23 ツール受入コーン
24 エンドストップ
25 モータシャフト
26 ドライブピニオン
27 ドラッグチェーンガイド
28 アウターリング
29 インナーリング
30 片持ちマウント
31 浮動ベアリング
32 軸受座
33 軸受座
34 フランジ面
35 保護筐体
36 マシニングセンタ
37 ピックアップツールマガジンストア
38 操作盤
図1
図2
図3
図4