特許第5934295号(P5934295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5934295インバータシステムにおける電力ケーブルの状態検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934295
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】インバータシステムにおける電力ケーブルの状態検出方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 23/00 20160101AFI20160602BHJP
   H02P 21/00 20160101ALI20160602BHJP
   H02P 27/04 20160101ALI20160602BHJP
【FI】
   H02P7/36 302S
   H02P5/408 A
   H02P7/36 303S
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-131310(P2014-131310)
(22)【出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2015-50924(P2015-50924A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2014年6月26日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0104839
(32)【優先日】2013年9月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】カン ヨン チン
【審査官】 上野 力
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−025526(JP,A)
【文献】 特開2002−112580(JP,A)
【文献】 特開2012−257360(JP,A)
【文献】 特開2013−078213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 23/00
H02P 21/00
H02P 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相電力ケーブルを利用してインバータで発生した電力をモータに供給するインバータシステムにおける電力ケーブルの状態検出方法において、
第1周期が到来すると前記第1周期での電流空間ベクトルの位置を計算するステップと、
前記計算された第1周期の電流空間ベクトルの位置を利用して次の第2周期での電流空間ベクトルの予想位置を計算するステップと、
前記第2周期が到来すると前記第2周期での電流空間ベクトルの実際位置を計算するステップと、
前記計算された予想位置と実際位置を比較するステップと、
前記比較結果に応じて前記3相電力ケーブルの状態を検出するステップと、を含
前記比較するステップは、前記予想位置と実際位置との差が予め設定された基準値より大きいのか否かを判断するステップを含み、
前記3相電力ケーブルの状態を検出するステップは、
前記予想位置と実際位置との差が予め設定された基準値より大きければ前記第2周期での電流空間ベクトルの実際位置を確認するステップと、
前記確認した電流空間ベクトルの実際位置に応じて前記3相電力ケーブルのうち断線が発生した特定の電力ケーブルを判別するステップと、を含む、インバータシステムにおける電力ケーブルの状態検出方法。
【請求項2】
前記第1周期での電流空間ベクトルの位置又は前記第2周期での電流空間ベクトルの実際位置を計算するステップは、
該当周期で前記モータに供給される相電流値を獲得するステップと、
前記獲得した3相電流値を利用して固定子座標系のd軸電流及びq軸電流を計算するステップと、
前記計算されたd軸電流とq軸電流の比と、アークタンジェント関数を利用して電流空間ベクトルの位置を計算するステップと、を含む、請求項1に記載のインバータシステムにおける電力ケーブルの状態検出方法。
【請求項3】
前記第2周期での電流空間ベクトルの予想位置を計算するステップは、
前記モータの回転速度を獲得するステップと、
前記モータの回転速度との関係性を利用して前記電流空間ベクトルの回転速度を計算するステップと、
前記第1周期及び第2周期のサンプリング時間と、前記計算された電流空間ベクトルの回転速度を利用して前記第2周期での電流空間ベクトルの予想位置を計算するステップと、を含む、請求項1又は2に記載のインバータシステムにおける電力ケーブルの状態検出方法。
【請求項4】
前記3相電力ケーブルの状態を検出するステップは、
前記予想位置と実際位置との差が予め設定された基準値より大きければ前記第2周期で獲得した3相電流値を確認するステップと、
前記確認した3相電流値が全て0であれば前記3相電力ケーブルのうち2つ以上のケーブルに断線が発生したと検出するステップと、を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインバータシステムにおける電力ケーブルの状態検出方法。
【請求項5】
前記判別するステップは、
前記第2周期での電流空間ベクトルの実際位置が90°又は−90°であれば、前記3相電力ケーブルのうちu相電力ケーブルが断線したと検出するステップと、
前記第2周期での電流空間ベクトルの実際位置が−30°又は150°であれば、前記3相電力ケーブルのうちv相電力ケーブルが断線したと検出するステップと、
前記第2周期での電流空間ベクトルの実際位置が30°又は−150°であれば、前記3相電力ケーブルのうちw相電力ケーブルが断線したと検出するステップと、を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインバータシステムにおける電力ケーブルの状態検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインバータシステムに関するものであり、特にインバータと電送機との間を連結する高電圧ケーブルの断線を検出するインバータシステムにおける電力ケーブルの状態検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
環境にやさしい自動車などに利用されるモータ制御機であるインバータシステムは、高電圧の直流電源をモータを制御するための交流又は直流電源に変換する役割をするESA(Electric/Electronic Sub Assembly,電気/電子部品)であって、車両の電動器具に属する主要部品である。
【0003】
前記のように、環境にやさしい自動車には駆動手段として永久磁石型モータが適用される。上述した環境にやさしい自動車に駆動手段として適用されるモータは制御機のPWM(Pulse Width Modulation)信号によって直流電圧を3相電圧に変換するインバータから第1高電圧電力ケーブルを介して伝達される相電流によって駆動される。
【0004】
また、インバータはメインリレーの開閉によって第2高電圧電力ケーブルを介して伝達されるDCリンク電圧を3相電圧に変換する。
【0005】
よって、インバータとモータを連結する第1電極ケーブルや、高電圧バッテリとインバータを連結する第2電力ケーブルのうちいずれか一つの電力ケーブルが分離されるとモータの駆動が円滑に行われないだけでなく、高圧/高電流がシステムに誘起されてインバータの全体システムを破損する致命的な問題点が発生する。
【0006】
図1は、従来技術によるインバータシステムにおける電力ケーブルの分離検出装置を示す図である。
【0007】
図1を参照すると、従来の電力ケーブルの分離検出装置は、電力ケーブル10、コネクタ20及び電力ケーブル10とコネクタ20との間に形成されて電力ケーブル10とコネクタ20間の分離可否による信号を伝送するセンサ30を含む。
【0008】
センサ30は電力ケーブル10とコネクタ20との間(接触部分)に連結され、コネクタ20に電力ケーブル10が連結されているのか否かによるデジタル信号を制御機に伝達する。
【0009】
即ち、従来は電力ケーブル10やコネクタ20にハードウェア的に別途に電力ケーブル10の分離可否を確認するセンサが設置されており、センサから出力されるデジタル信号を利用して電力ケーブル10の分離可否をリアルタイムで確認していた。
【0010】
しかし、前記のような電力ケーブルの分離検出装置は電力ケーブルの分離可否をハードウェア的に検出するため、価格の側面だけでなく空間的な制約が伴う問題がある。
【0011】
また、前記のような電力ケーブルの分離検出装置は振動などの外部要因によって誤動作する可能性が高く、これは運転者の安全を脅かす要因と作用する。
【0012】
一方、最近ではソフトウェア的に電力ケーブルの断線を検出する方法を提供している。
【0013】
図2は、一般的な電力ケーブルで断線が発生した場合の電流変化を示す図である。
【0014】
図2を参照すると、電力ケーブルが断線する場合に電流の流れが変わるが、この際、2相以上が断線すると3相電流が全て0になり、1相のみ断線すると断線した相(図2ではV相)の電流のみ0になり、それによって一定時間の間に電流の大きさが指令値と大きい差を示すか、0であるのか否かに応じて断線可否を判断する。
【0015】
しかし、前記のような方法は電流の大きさのみを検出するため電動機の速度とサンプリング周期によって誤作動する確率が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明による実施例では、電流の大きさだけでなく電流の空間ベクトルの大きさを利用して電力ケーブルの状態を検出するインバータシステムにおける電力ケーブルの状態検出方法を提供する。
【0017】
提案される実施例で解決しようとする技術的課題は上述した技術的課題に限られず、言及されていない他の技術的課題は、以下の記載から提案される実施例が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
実施例は3相電力ケーブルを利用してインバータで発生した電力をモータに供給するインバータシステムにおける電力ケーブルの状態検出方法において、第1周期が到来すると前記第1周期での電流空間ベクトルの位置を計算するステップと、前記計算された第1周期の電流空間ベクトルの位置を利用して次の第2周期での電流空間ベクトルの予想位置を計算するステップと、前記第2周期が到来すると前記第2周期での電流空間ベクトルの実際位置を計算するステップと、前記計算された予想位置と実際位置を比較するステップと、前記比較結果に応じて前記3相電力ケーブルの状態を検出するステップと、を含むインバータシステムにおける電力ケーブルの状態検出方法を提供する。
【0019】
また、第1周期での電流空間ベクトルの位置又は前記第2周期での電流空間ベクトルの実際位置を計算するステップは、該当周期で前記モータに供給される3相電流値を獲得するステップと、前記獲得した3相電流値を利用して固定子座標系のd軸電流及びq軸電流を計算するステップと、前記計算されたd軸電流とq軸電流の比と、アークタンジェント関数を利用して電流空間ベクトルの位置を計算するステップと、を含む。
【0020】
また、第2周期での電流空間ベクトルの予想位置を計算するステップは、前記モータの回転速度を獲得するステップと、前記モータの回転速度との関係性を利用して前記電流空間ベクトルの回転速度を計算するステップと、前記第1及び第2周期の間のサンプリング時間と、前記計算された電流空間ベクトルの回転速度を利用して前記第2周期での電流空間ベクトルの予想位置を計算するステップと、を含む。
【0021】
また、前記比較するステップは、前記予想位置と実際位置との差が予め設定された基準値より大きいのか否かを判断するステップを含む。
【0022】
また、前記3相電力ケーブルの状態を検出するステップは、前記予想位置と実際位置との差が予め設定された基準値より大きければ前記第2周期で獲得した3相電流値を確認するステップと、前記確認した3相電流値が全て0であれば前記3相電力ケーブルのうち2つ以上のケーブルに断線が発生したと検出するステップと、を含む。
【0023】
また、前記3相電力ケーブルの状態を検出するステップは、前記予想位置と実際位置との差が予め設定された基準値より大きければ前記第2周期での電流空間ベクトルの実際位置を確認するステップと、前記確認した電流空間ベクトルの実際位置に応じて前記3相電力ケーブルのうち断線が発生した特定の電力ケーブルを判別するステップと、を含む。
【0024】
また、前記判別するステップは、前記第2周期での電流空間ベクトルの実際位置が90°又は−90°であれば前記3相電力ケーブルでu相電力ケーブルが断線したと検出するステップと、前記第2周期での電流空間ベクトルの実際位置が−30°又は150°であれば前記3相電力ケーブルでv相電力ケーブルが断線したと検出するステップと、前記第2周期での電流空間ベクトルの実際位置が30°又は−150°であれば前記3相電力ケーブルでw相電力ケーブルが断線したと検出するステップと、を含む。
【0025】
本発明の実施例によると、電流の大きさではなく電流の空間ベクトルの大きさを利用して電動機と連結された電力ケーブルの状態を検出することで多数回のサンプリングの間に大きさを検出することによる検出エラーの発生確率を著しく減少させることができ、前記電力ケーブルの断線可否を素早く検出してより大きい事故に繋がることを事前に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来技術によるインバータシステムにおける電力ケーブルの分離検出装置を示す図である。
図2】一般的な電力ケーブルで断線が発生した場合の電流変化を示す図である。
図3】本発明の実施例によるインバータシステムの構成を示す図である。
図4】本発明の実施例による3相電流の空間ベクトルを示す図である。
図5】本発明の実施例による電力ケーブルのうちu相ケーブルに断線が発生した場合に変化する3相電流の空間ベクトルを示す図である。
図6】本発明の実施例による電力ケーブルのうちv相ケーブルに断線が発生した場合に変化する3相電流の空間ベクトルを示す図である。
図7】本発明の実施例による電力ケーブルのうちw相ケーブルに断線が発生した場合に変化する3相電流の空間ベクトルを示す図である。
図8】本発明の実施例によるインバータシステムにおける電力ケーブルの状態検出方法を段階別に説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の内容は、単に本発明の原理を例示する。よって、当業者はたとえ本明細書に明確に説明されているか、図示されていなくても本発明の原理を具現し本発明の概念と範囲に含まれる多様な装置を発明することができる。また、本明細書に列挙された全ての条件付用語及び実施例は、原則的に本発明の概念を理解させるための目的にのみ明白に意図され、このように特別に列挙された実施例及び状態に制限的ではないと理解されるべきである。
【0028】
また、本発明の原理、観点及び実施例のみならず特定実施例を列挙する全ての詳細な説明は、このような事項の構造的及び機能的均等物を含むように意図されると理解されるべきである。また、このような均等物は現在公知の均等物のみならず将来に開発される均等物、即ち、構造とは関係なく同じ機能を行うように発明された全ての素子を含むと理解されるべきである。
【0029】
図3は、本発明の実施例によるインバータシステムの構成を示す図である。
【0030】
図3を参照すると、インバータシステムはインバータ110、インバータ110を介して出力される電力をモータに供給する3相電力ケーブル120及びモータの駆動状態に対する情報を獲得するセンサ130と、インバータ110の動作を制御しながら3相電力ケーブル120の分離可否を検出してインバータ110の動作を中止する制御部130を含む。
【0031】
インバータ110は電気自動車内に構成され、それによって電気自動車内に構成されたバッテリ(battery、図示せず)から発生した直流電源を3相交流電力に変換する。
【0032】
この際、バッテリは高電圧バッテリであって、複数個の単位セルの集合で形成される。
【0033】
複数の単位セルは一定な電圧を維持するためにバッテリ管理システム(図示せず)によって管理され、バッテリはバッテリ管理システムの制御によって一定な電圧を放出する。
【0034】
また、バッテリの放電によって出力される電力はインバータ110内に構成されたキャパシタに伝達される。
【0035】
この際、バッテリとインバータ110との間にはリレーが形成されており、リレーの動作によってインバータ110に供給される電力の管理が行われる。
【0036】
即ち、リレーがオン動作をする場合にはバッテリの電力がインバータ110に供給され、リレーがオフ動作をする場合にはインバータ110に供給される電力が遮断される。
【0037】
インバータ110は、バッテリ110に供給される直流電力を交流電力に変換してモータに供給する。
【0038】
この際、インバータ110によって変換される交流電力は3相交流電力であることが好ましい。
【0039】
インバータ110は上述したキャパシタと多数のIGBT(Insulated Gate Bipolar Trasistor)で形成され、IGBTは後述するインバータ制御部130から印加される制御信号に応じてPWM(Pulse Width Modulation)スイッチングを実行し、バッテリから供給される直流電力を相変換してモータを駆動する。
【0040】
モータは、回転せずに固定される固定子と回転する回転子を含む。モータはインバータ110を介して供給される交流電力を印加される。
【0041】
モータは、例えば3相モータであってもよく、各相の固定子のコイルに電圧可変/周波数可変の各相交流電源が印加される場合、印加される周波数に応じて回転子の回転速度が可変する。
【0042】
モータは誘導モータ(induction motor)、BLDCモータ(blushless DC motor)、リラクタンスモータ(reluctance motor)など多様な形態であってもよい。
【0043】
一方、モータの一側には駆動ギア(図示せず)が具備される。駆動ギアはモータの回転エネルギーをギア比に応じて変換させる。駆動ギアから出力される回転エネルギーは前輪及び/又は後輪に伝達されて電気自動車を動かす。
【0044】
インバータ110とモータとの間には電力ケーブル120が形成される。電力ケーブル120は3相電力ケーブルであることが好ましく、それによってu相ケーブル、v相ケーブル及びw相ケーブルで構成される。
【0045】
センサ130はモータの駆動状態に対応する情報を獲得する。この際、図面上にはセンサ130が速度センサであると図示している。即ち、センサ130はモータの一側に配置されてモータの回転による回転速度を検出する。
【0046】
そして、センサ130はモータの回転速度が検出されると検出した回転速度を制御部140に伝達する。
【0047】
また、センサ130は電流センサを含む。
【0048】
即ち、センサ130はインバータ110とモータとの間に形成された3相電力ケーブル120の各出力ラインに配置され、3相に対する電流を獲得する電流センサを更に含む。
【0049】
それによって、センサ130はモータに供給される3相電流値(u相電流値、v相電流値、w相電流値)とモータの回転速度を検出して制御部140に伝達する。
【0050】
制御部140はインバータ110の全般的な動作を制御する。
【0051】
例えば、制御部140はモータに供給される電流(3相電流)を利用してモータを駆動させる駆動値を計算し、計算した駆動値に応じてインバータを制御するための(好ましくは、インバータを構成するIGBTのスイッチングを制御するための)スイッチング信号を発生する。
【0052】
それによって、インバータ110は制御部140を介して発生するスイッチング信号に応じて選択的にオン・オフ動作を行い、バッテリから供給される直流電力を交流電力に変換する。
【0053】
一方、制御部140はセンサ130を介して伝達される3相電流値と回転速度を利用して電力ケーブル120の状態を検出する。
【0054】
そして、制御部140は電力ケーブル120の状態に問題が発生すると(例えば、断線、分離及び未締結など)、インバータ110を介して変換された交流電力がモータに供給されないため電気自動車の運行に大きな影響を及ぼす恐れがある。
【0055】
それによって、制御部140は電力ケーブル120の断線可否を検出し、それによって電力ケーブル120が断線していると検出されるとモータに供給される交流電力を遮断する。
【0056】
以下、制御部140で行われる電力ケーブル120の断線検出動作についてより詳しく説明する。
【0057】
図4は本発明の実施例による3相電流の空間ベクトルを示す図であり、図5は本発明の実施例による電力ケーブルのうちu相ケーブルに断線が発生した場合に変化する3相電流の空間ベクトルを示す図であり、図6は本発明の実施例による電力ケーブルのうちv相ケーブルに断線が発生した場合に変化する3相電流の空間ベクトルを示す図であり、図7は本発明の実施例による電力ケーブルのうちw相ケーブルに断線が発生した場合に変化する3相電流の空間ベクトルを示す図である。
【0058】
図4乃至図7を参照して制御部140によって行われる電力ケーブル120の断線検出動作について説明する。
【0059】
まず、モータの速度と電流の空間ベクトルの速度との関係について説明する。
【0060】
電力ケーブル120を介して3相電流がモータに供給されると、モータにはトルクが発生してモータの回転が行われる。
【0061】
この際、モータが同期モータ(Synchronous Motor)であれば電流の空間ベクトルの回転速度とモータの回転速度が同じであり、モータが非同期モータ(Ansynchronous Motor)であれば電流の空間ベクトルの回転速度がモータの回転速度と一定な差を有する。
【0062】
よって、モータの回転速度を知っていれば電流の空間ベクトルの速度を得ることもできる。
【0063】
ここで、空間ベクトルとは3次元座標における電流空間ベクトルを意味する。
【0064】
即ち、図4を参照すると、モータは3相の巻線が機械的に120°の差をおいて作られ、この3相の巻線に電気的に120°の位相差がある3相電流が流れるようになる。すると、流れる3相電流によって磁界が形成されるが、この磁界を空間ベクトルという。
【0065】
この際、正常の3相電流が流れ続ける場合、電流の空間ベクトルが回転する。
【0066】
しかし、3相電流が異常に流れる場合、電流の空間ベクトルは回転せずに特定位置(角度ともいえる)が交番する形態で現れる。
【0067】
言い換えると、N番目のサンプリングの際に獲得した電流空間ベクトルの位置が図4のようであれば、正常の3相電流が流れる場合にN+1番目の電流空間ベクトルの位置は図4の矢印の方向に回転する。この際、電流空間ベクトルの回転速度はモータの回転速度から影響を受ける。例えば、N番目の電流空間ベクトルの位置が20°でモータの回転速度がAであれば、N+1番目の電流空間ベクトルの位置は矢印の方向にNとN+1の時間差にモータの回転速度を演算した分だけ回転する。
【0068】
しかし、3相電流が異常に流れる場合(即ち、電力ケーブルに断線が発生した場合)には、演算した角度だけ電流空間ベクトルの回転が行われない。よって、正常の場合には現在周期での電流空間ベクトルの位置と次の周期での電流空間ベクトルの位置はモータの速度とサンプリング時間に応じて一定間隔を有するが、前記のように異常な場合には現在周期での電流空間ベクトルの位置と次の周期での電流空間ベクトルの位置にいかなる関連性も存在しなくなる。
【0069】
よって、制御部140は現在周期での電流空間ベクトルの位置を計算し、計算した現在周期での電流空間ベクトルの位置に応じて次の周期での電流空間ベクトルが形成される位置を予測する。予測する方法はサンプリング時間とモータの速度によって行われる。
【0070】
それについて詳細に説明すると以下のようである。
【0071】
まず、制御部140はセンサ130を介して獲得した3相電流値を利用して固定子座標系のd軸電流及びq軸電流を計算する。
【0072】
d軸電流(id)とq軸電流(iq)を計算する方法は以下のようである。
【0073】
まず、d軸電流とq軸電流を計算するために先にidqベクトルを求める。
【0074】
idqベクトルは以下のような数式1によって計算される。
【数1】
【0075】
よって、前記のようなidqにおいて、d軸電流(id)とq軸電流(iq)は以下のような数式2によって求められる。
【数2】
【0076】
即ち、数式1及び2によって獲得した3相電流(Ia,Ib,Ic)から固定子座標系のd軸電流とq軸電流をそれぞれ計算する。
【0077】
また、d軸電流とq軸電流が計算されると計算したd軸電流とq軸電流を利用して電流空間ベクトルの位置を計算する。
【0078】
言い換えると、電流空間ベクトルの位置は、固定子座標系のd軸電流とq軸電流値の比とアークタンジェント(arctangent)関数を利用して電流空間ベクトルの位置を計算する。
【0079】
電流空間ベクトルの位置は以下のような数式3によって計算される。
【数3】
【0080】
前記のような数式1,2及び3を基準に、制御部140は一定周期(N,N+1,N+2…)ごとに電流空間ベクトルの位置を計算する。
【0081】
ここで、N周期における電流空間ベクトルの位置は以下のようである。
【数4】
【0082】
ここで、N+1周期における電流空間ベクトルの位置は以下のようである。
【数5】
【0083】
この際、電流空間ベクトルの位置はモータの回転速度に応じて回転する。
【0084】
それによって、現在周期の電流空間ベクトルの位置を知っていれば、モータの速度とサンプリング時間(N+1とNの時間差)を基準に次の周期の電流空間ベクトルの位置を予測することができる。
【0085】
即ち、制御部140はモータの速度に応じて電流空間ベクトルの回転速度を計算する。電流空間ベクトルの回転速度はモータの種類に応じて計算されるが、上述したようにモータが同期モータであれば電流空間ベクトルの回転速度はモータの速度と同じであり、モータが非同期モータであれば電流空間ベクトルの回転速度はモータの速度と一定の差を有する。
【0086】
よって、制御部140はモータの種類及びモータの速度を利用して電流空間ベクトルの回転速度を計算する。
【0087】
それによって、制御部140は現在周期(N)での電流空間ベクトルの位置と、回転子速度(モータの速度)から得られた現在周期(N)での電流空間ベクトルの回転速度を利用して次の周期(N+1)での電流空間ベクトルが形成する位置を予測することができる。
【0088】
次の周期の電流空間ベクトルの位置は以下のような数式4によって予測される。
【表1】
【0089】
次に、制御部140は次の周期(N+1)が到来すると到来した周期による電流空間ベクトルの位置を計算する。
【0090】
到来した周期(N+1)の電流空間ベクトルの位置は、上述した数式1乃至3によって計算される。
【0091】
また、次の周期に対する電流空間ベクトルの実際位置が計算されると、制御部140は次の周期に対して予測した電流空間ベクトルの位置と計算した次の周期に対する電流空間ベクトルの実際位置を比較して予測位置と実際位置に差があるのかを確認する。
【0092】
この際、予測位置と実際位置が互いに同じであれば3相電流が正常に流れる状態であることを示すため、制御部140は電力ケーブル120が正常に連結されたことを確認する。
【0093】
しかし、予測位置と実際位置に差があれば、制御部140は発生した差が誤差範囲以内にあるのか又は誤差範囲を逸脱しているのかを確認する。誤差範囲は多様な実験を介して発生し得る位置差を計算し、それを基準値として指定する。例えば、誤差範囲は10°に設定されてもよい。
【0094】
次に、予測位置と実際位置との差が誤差範囲以内に属すれば制御部140は電力ケーブル120が正常に連結されたと判断する。
【0095】
しかし、予測位置と実際位置との差が誤差範囲を逸脱していれば制御部140は電力ケーブル120が異常に連結された(例えば、断線)と判断する。
【0096】
次に、制御部140は電力ケーブル120に異常が発生したことを知らせ、それによってインバータ110に供給される電力やインバータ110から出力される電力を遮断する。
【0097】
この際、制御部140は計算した実際位置を利用して電力ケーブル120のうちどのケーブルに異常が発生したのかを確認する。
【0098】
そのために、制御部140はセンサ130を介して獲得した3相電流値を確認する。そして、確認した3相電流値が全て0であれば、制御部140は3相ケーブルのうち2相以上のケーブルに異常が発生したと判断する。即ち、3相ケーブルのうち2相以上のケーブルが断線状態である場合には3相電流値が全て0になり、それに基づいて制御部140は3相電流値を利用して2つ以上のケーブルに以上が発生したのかを確認する。
【0099】
また、制御部140は確認した3相電流値が全て0ではなければ、電流空間ベクトルの実際位置の変化状態に応じて電力ケーブルのうちどの1相に異常が発生したのかを確認する。
【0100】
この際、いずれか一つの特定電力ケーブルに断線が発生すれば断線が発生した相の電流値のみ0になるが、この際、電流空間ベクトルの位置に規則的な変化が発生する。
【0101】
即ち、正常の3相電流が流れる状態であれば図4に示したように電流空間ベクトルはモータの回転速度に対応して回転する。
【0102】
しかし、3相電流のうちいずれか1相の電流が流れなくなれば電流空間ベクトルは回転せずに2つの位置が交番する形態に変化する。
【0103】
言い換えると、図5に示したように電力ケーブルのうちu相ケーブルが断線した場合、電流空間ベクトルは90°と−90°の面が交番する形態に変化する。
【0104】
それによって、制御部140は電力空間ベクトルの位置を確認し、電流空間ベクトルの位置が図5のように90°と−90°が交番する形態に変化すれば電力ケーブルのうちu相ケーブルが断線したと判断する。
【0105】
また、図6に示したように電力ケーブルのうちv相ケーブルが断線した場合、電流空間ベクトルは−30°と150°の面が交番する形態に変化する。
【0106】
それによって、制御部140は電力空間ベクトルの位置を確認し、電流空間ベクトルの位置が図6のように−30°と150°が交番する形態に変化すれば電力ケーブルのうちv相ケーブルが断線したと判断する。
【0107】
また、図7に示したように電力ケーブルのうちw相ケーブルが断線した場合、電流空間ベクトルは−150°と30°の面が交番する形態に変化する。
【0108】
それによって、制御部140は電力空間ベクトルの位置を確認し、電流空間ベクトルの位置が図7のように−150°と30°が交番する形態に変化すれば電力ケーブルのうちw相ケーブルが断線したと判断する。
【0109】
上述したように、本発明の実施例によると、電流の大きさではなく電流の空間ベクトルの大きさを利用して電動機と連結された電力ケーブルの状態を検出することで多数回のサンプリングの間に大きさを検出することによる検出エラーの発生確率を著しく減少させることができ、電力ケーブルの断線可否を素早く検出してより大きい事故に繋がることを事前に防止することができる。
【0110】
図8は、本発明の実施例によるインバータシステムにおける電力ケーブルの状態検出方法を段階別に説明するためのフローチャートである。
【0111】
図8を参照すると、まず制御部140は現在周期(N周期、以下、現在周期を「第1周期」と称する)での電流空間ベクトルの位置を計算する(ステップ101)。
【0112】
電流空間ベクトルは上述した数式1乃至数式3によって計算される。
【0113】
第1周期での電流空間ベクトルの位置が計算されると、制御部140は次の周期(N+1周期、以下、次の周期を「第2周期」と称する)での電流空間ベクトルの予想位置を計算する(ステップ102)。
【0114】
即ち、制御部140はモータの速度を利用して電流空間ベクトルの回転速度を計算し、それに応じてサンプリング時間(第1周期と第2周期の時間差)と電流空間ベクトルの回転速度を利用して第2周期で現れる電流空間ベクトルの予想位置を計算する。
【0115】
次に、第2周期が到来すると制御部140は第2周期での実際の電流空間ベクトルの位置を計算する(ステップ103)。
【0116】
第2周期での実際の電流空間ベクトルの位置が計算されると、制御部140は予想位置と実際位置の位置との差が予め設定された基準値より大きいのか否かを判断する(ステップ104)。即ち、制御部140は予想位置と実際位置との差が多様な実験を介して獲得した誤差範囲を逸脱するのか否かを判断する。
【0117】
判断結果(ステップ104)、予想位置と実際位置との差が予め設定された基準値より小さければ制御部140は電力ケーブルが正常に連結されたとみなし、それに応じてステップ102に復帰する。
【0118】
しかし、判断結果(ステップ104)、予想位置と実際位置との差が予め設定された基準値より大きければ制御部140は電力ケーブルに異常が発生したことを感知し、それに応じて電力ケーブルのどの相に異常が発生したのかを確認する過程に進む(ステップ105〜ステップ112)。
【0119】
そのために、まず制御部140は電流空間ベクトルの位置を計算するために獲得した3相電流値が全て0であるのか否かを判断する(ステップ105)。
【0120】
次に、判断結果(ステップ105)、3相電流値が全て0であれば電力ケーブルのうち少なくとも2つ以上のケーブルが断線したと判断する(ステップ106)。
【0121】
しかし、判断結果(ステップ105)、3相電流値が全て0ではなければ制御部140は第2周期で現れた電流空間ベクトルの位置が90°又は−90°であるのか否かを判断する(ステップ107)。
【0122】
次に、判断結果(ステップ107)、第2周期で現れた電流空間ベクトルの位置が90°又は−90°であれば制御部140は電力ケーブルのうちu相ケーブルに断線が発生したと検出する(ステップ108)。
【0123】
また、判断結果(ステップ107)、第2周期で現れた電流空間ベクトルの位置が90°又は−90°ではなければ第2周期で現れた電流空間ベクトルの位置が−30°又は150°であるのか否かを判断する(ステップ109)。
【0124】
次に、判断結果(ステップ109)、第2周期で現れた電流空間ベクトルの位置が−30°又は150°であれば、制御部140は電力ケーブルのうちv相ケーブルに断線が発生したと検出する(ステップ110)。
【0125】
また、判断結果(ステップ109)、第2周期で現れた電流空間ベクトルの位置が−30°又は150°ではなければ第2周期で現れた電流空間ベクトルの位置が30°又は−150°であるのか否かを判断する(ステップ111)。
【0126】
次に、判断結果(ステップ111)、第2周期で現れた電流空間ベクトルの位置が30°又は−150°であれば、制御部140は電力ケーブルのうちw相ケーブルに断線が発生したと検出する(ステップ112)。
【0127】
本発明の実施例によると、電流の大きさではなく電流の空間ベクトルの大きさを利用して電動機と連結された電力ケーブルの状態を検出することで多数回のサンプリングの間に大きさを検出することによる検出エラーの発生確率を著しく減少させることができ、電力ケーブルの断線可否を素早く検出してより大きい事故に繋がることを事前に防止することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8