(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934315
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】水、廃水、および他の生物分解物質を処理し監視するシステムおよび装置
(51)【国際特許分類】
C02F 3/28 20060101AFI20160602BHJP
C02F 3/34 20060101ALI20160602BHJP
C02F 3/04 20060101ALI20160602BHJP
C02F 3/10 20060101ALI20160602BHJP
C02F 11/04 20060101ALI20160602BHJP
C25B 9/04 20060101ALI20160602BHJP
C25B 11/12 20060101ALI20160602BHJP
C25B 11/02 20060101ALI20160602BHJP
H01M 8/16 20060101ALI20160602BHJP
C25B 9/00 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
C02F3/28 AZAB
C02F3/28 Z
C02F3/34 101B
C02F3/34 101D
C02F3/04
C02F3/10 Z
C02F11/04 A
C02F11/04 Z
C25B9/04 302
C25B11/12
C25B11/02 302
C25B11/02 301
H01M8/16
C25B9/00 G
【請求項の数】51
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-184927(P2014-184927)
(22)【出願日】2014年9月11日
(62)【分割の表示】特願2012-516074(P2012-516074)の分割
【原出願日】2010年2月24日
(65)【公開番号】特開2015-33693(P2015-33693A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2014年10月10日
(31)【優先権主張番号】61/187,469
(32)【優先日】2009年6月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/267,594
(32)【優先日】2009年12月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/245,085
(32)【優先日】2009年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511306974
【氏名又は名称】カンブリアン イノベーションズ インコーポレイデッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一
(72)【発明者】
【氏名】シルバー、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】バック、ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】テイラー、ノア
【審査官】
富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−114191(JP,A)
【文献】
特開2006−035158(JP,A)
【文献】
特開2002−086189(JP,A)
【文献】
特開2001−145896(JP,A)
【文献】
特開2000−157995(JP,A)
【文献】
特開2000−126794(JP,A)
【文献】
特開2000−051894(JP,A)
【文献】
特開平11−253993(JP,A)
【文献】
特開平11−216496(JP,A)
【文献】
特開平10−230293(JP,A)
【文献】
特開平11−010184(JP,A)
【文献】
特開2005−125172(JP,A)
【文献】
特表2002−520032(JP,A)
【文献】
特開2007−227216(JP,A)
【文献】
特開2007−117995(JP,A)
【文献】
特表2007−528709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/00 − 3/34
C02F 11/04
C25B 9/00
C25B 9/04
C25B 11/02
C25B 11/12
H01M 8/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が少なくとも1つのアノードを備えた複数のアノードチャンバーと、各々が少なくとも1つのカソードを備えた複数のカソードチャンバーと、電子の受容の触媒となり得る少なくとも1種の微生物と、を含む反応器を備え、
前記アノードチャンバーと前記カソードチャンバーは、交互してカスケード状に配置され、
電子供与材料が前記少なくとも1つのアノードを通って流れるように構成されている、
水に対して窒素系廃棄物の脱窒処理を行う生物−電気化学システム。
【請求項2】
前記窒素系廃棄物を含む前記水が前記アノードから前記カソードに流れる、請求項1に記載の生物−電気化学システム。
【請求項3】
前記アノード及び前記カソードに電圧を印加する電源をさらに含む、請求項1に記載の生物−電気化学システム。
【請求項4】
前記電圧が、
水素イオンの水素ガスへの還元、
前記カソード上の電子を受容する二次発酵有機物によるH2形成、
前記カソードから直接に電子を受容してメタン生成微生物がメタンを生成すること、
からなる群から選択された1つ以上の反応を促進するために、前記カソードに負の電位を生成する、
請求項3に記載の生物−電気化学システム。
【請求項5】
前記水素ガスは、前記カソードにおける生物脱窒のための電子ドナーとして用いられる、請求項4に記載の生物−電気化学システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのカソード及び前記少なくとも1つのアノードは、単一のチャンバーに配置される、請求項1に記載の生物−電気化学システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのカソード及び前記少なくとも1つのアノードは、酸素を含むガスに露出される、請求項6に記載の生物−電気化学システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのカソードは、ガスに露出される、請求項1に記載の生物−電気化学システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのカソードは、生物カソードである、請求項1に記載の生物−電気化学システム。
【請求項10】
前記生物カソードは、カソードと結合した、細胞外電子伝達を行う少なくとも1種の微生物である、請求項9に記載の生物−電気化学システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのカソードは、化学的に触媒化されたカソードである、請求項1に記載の生物−電気化学システム。
【請求項12】
前記少なくとも1種の微生物は、前記カソードと結合して、脱窒、硝化、又は同時に起こる脱窒及び硝化、の触媒として作用する、請求項1に記載の生物−電気化学システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのカソードと、前記少なくとも1つのアノードとは、障壁によって分離されている、請求項1に記載の生物−電気化学システム。
【請求項14】
前記障壁は、選択的に透過可能なメンブレンである、請求項13に記載の生物−電気化学システム。
【請求項15】
前記選択的に透過可能なメンブレンは、選択的に透過可能なイオン交換メンブレンである、請求項14に記載の生物−電気化学システム。
【請求項16】
前記選択的に透過可能なメンブレンは、プロトン交換メンブレンである、請求項15に記載の生物−電気化学システム。
【請求項17】
前記アノード、前記カソード、又は前記アノードと前記カソードの両方が、実質的に平面形状である、請求項1に記載の生物−電気化学システム。
【請求項18】
処理される水が前記アノード及び前記カソードの一方を通って上方に流れ、他方を通って下方に流れるように、前記アノード及び前記カソードが配置されている、請求項1に記載の生物−電気化学システム。
【請求項19】
酸素含有ガスで満たされている、又は、酸素含有ガスに露出されている、高い比表面積の散水濾床をさらに備え、
前記アノードから流れる液体が、前記カソードにおいて処理される前に、前記散水濾床において散水(trickle)される、
請求項1に記載の生物−電気化学システム。
【請求項20】
前記アノード、前記カソード、又は前記アノードと前記カソードの両方が、実質的に管状である、請求項1に記載の生物−電気化学システム。
【請求項21】
前記アノードと前記カソードとが同心状である、請求項20に記載の生物−電気化学システム。
【請求項22】
前記少なくとも1つのカソードと、前記少なくとも1つのアノードとは、直列に配置されている、請求項1に記載の生物−電気化学システム。
【請求項23】
電圧、抵抗、電極間隔、燃料装填割合、燃料のpH、生物的酸素要求量、化学的酸素要求量、アンモニア、および他の化学種、の1つ以上のレベルを監視することによって生物−電気化学システムの運転の速度を最適化する制御工具をさらに含む、
請求項1に記載の生物−電気化学システム。
【請求項24】
前記制御工具が自動フィードバック機構をさらに含むことを特徴とする、請求項23に記載の生物−電気化学システム。
【請求項25】
処理される前記水は、水栽培、海洋養殖、農業、食品加工、飲料加工、からの廃棄物、又はその他の廃棄物を含む廃水であり、炭素、窒素、又は炭素及び窒素、の不利な濃度を有する、
請求項1に記載の生物−電気化学システム。
【請求項26】
前記窒素系廃棄物は、アンモニア、亜硝酸、硝酸塩からなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項1に記載の生物−電気化学システム。
【請求項27】
少なくとも1つのアノードと、少なくとも1つのカソードと、電子の受容の触媒となり得る少なくとも1種の微生物と、を含む反応器を備え、
酸素含有ガスで満たされている、又は、酸素含有ガスに露出されている、高い比表面積の散水濾床をさらに備え、
前記アノードから流れる液体が、前記カソードにおいて処理される前に、前記散水濾床において散水(trickle)される、
水に対して窒素系廃棄物の脱窒処理を行う生物−電気化学システム。
【請求項28】
前記窒素系廃棄物を含む前記水が前記アノードから前記カソードに流れる、請求項27に記載の生物−電気化学システム。
【請求項29】
前記アノード及び前記カソードに電圧を印加する電源をさらに含む、請求項27に記載の生物−電気化学システム。
【請求項30】
前記電圧が、
水素イオンの水素ガスへの還元、
前記カソード上の電子を受容する二次発酵有機物によるH2形成、
前記カソードから直接に電子を受容してメタン生成微生物がメタンを生成すること、
からなる群から選択された1つ以上の反応を促進するために、前記カソードに負の電位を生成する、
請求項29に記載の生物−電気化学システム。
【請求項31】
前記水素ガスは、前記カソードにおける生物脱窒のための電子ドナーとして用いられる、請求項30に記載の生物−電気化学システム。
【請求項32】
前記少なくとも1つのカソード及び前記少なくとも1つのアノードは、単一のチャンバーに配置される、請求項27に記載の生物−電気化学システム。
【請求項33】
前記少なくとも1つのカソード及び前記少なくとも1つのアノードは、酸素を含むガスに露出される、請求項32に記載の生物−電気化学システム。
【請求項34】
前記少なくとも1つのカソードは、ガスに露出される、請求項27に記載の生物−電気化学システム。
【請求項35】
前記少なくとも1つのカソードは、生物カソードである、請求項27に記載の生物−電気化学システム。
【請求項36】
前記生物カソードは、カソードと結合した、細胞外電子伝達を行う少なくとも1種の微生物である、請求項35に記載の生物−電気化学システム。
【請求項37】
前記少なくとも1つのカソードは、化学的に触媒化されたカソードである、請求項27に記載の生物−電気化学システム。
【請求項38】
前記少なくとも1種の微生物は、前記カソードと結合して、脱窒、硝化、又は同時に起こる脱窒及び硝化、の触媒として作用する、請求項27に記載の生物−電気化学システム。
【請求項39】
前記少なくとも1つのカソードと、前記少なくとも1つのアノードとは、障壁によって分離されている、請求項27に記載の生物−電気化学システム。
【請求項40】
前記障壁は、選択的に透過可能なメンブレンである、請求項39に記載の生物−電気化学システム。
【請求項41】
前記選択的に透過可能なメンブレンは、選択的に透過可能なイオン交換メンブレンである、請求項40に記載の生物−電気化学システム。
【請求項42】
前記選択的に透過可能なメンブレンは、プロトン交換メンブレンである、請求項41に記載の生物−電気化学システム。
【請求項43】
前記アノード、前記カソード、又は前記アノードと前記カソードの両方が、実質的に平面形状である、請求項27に記載の生物−電気化学システム。
【請求項44】
処理される水が前記アノード及び前記カソードの一方を通って上方に流れ、他方を通って下方に流れるように、前記アノード及び前記カソードが配置されている、請求項27に記載の生物−電気化学システム。
【請求項45】
前記アノード、前記カソード、又は前記アノードと前記カソードの両方が、実質的に管状である、請求項27に記載の生物−電気化学システム。
【請求項46】
前記アノードと前記カソードとが同心状である、請求項45に記載の生物−電気化学システム。
【請求項47】
前記少なくとも1つのカソードと、前記少なくとも1つのアノードとは、直列に配置されている、請求項27に記載の生物−電気化学システム。
【請求項48】
電圧、抵抗、電極間隔、燃料装填割合、燃料のpH、生物的酸素要求量、化学的酸素要求量、アンモニア、および他の化学種、の1つ以上のレベルを監視することによって生物−電気化学システムの運転の速度を最適化する制御工具をさらに含む、
請求項27に記載の生物−電気化学システム。
【請求項49】
前記制御工具が自動フィードバック機構をさらに含むことを特徴とする、請求項48に記載の生物−電気化学システム。
【請求項50】
処理される前記水は、水栽培、海洋養殖、農業、食品加工、飲料加工、からの廃棄物、又はその他の廃棄物を含む廃水であり、炭素、窒素、又は炭素及び窒素、の不利な濃度を有する、
請求項27に記載の生物−電気化学システム。
【請求項51】
前記窒素系廃棄物は、アンモニア、亜硝酸、硝酸塩からなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項27に記載の生物−電気化学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許出願は、2009年6月16日に米国特許商標局(USPTO)に出願された米国仮出願第61/187469号、2009年9月23日にUSPTOに出願された米国仮出願第61/245085号、2009年12月8日にUSPTOに出願された米国仮出願第61/267594号、の恩典を主張するものであり、これらの出願の各々の全内容は参照により本出願に組み込まれている。
本発明は、水、廃水、および他の生物分解物質を処理し監視して、それらの物質から付加価値製品を生成するシステムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水の処理および監視は重要な社会的要求である。米国において発電される総電力の約3パーセント(%)は廃水処理基幹施設で消費される。発電される電力の約1.5パーセント(%)は実際の廃水処理に用いられる。いくつかの既存の処理の典型は好気性分解および嫌気性分解を含むが、これらの典型にはいくつかの欠点がある。例えば、好気性分解はエネルギー集約的なプロセスであり、バイオソリッドなどの多くの副生成物を生成する。さらに、好気性分解は環境に放出するための十分低いレベルの水に処理することができない。これらの欠点は廃水処理のコストを高くし、それによって産業および自治体の範囲に影響を及ぼす。したがって、より安価でエネルギー効率の良い廃水処理技術が必要とされる。
【0003】
生物−電気化学システム(BES)は有機物質の酸化および還元から電気または他の付加価値製品を生成することが可能である。BESは、アノードおよびカソードなどの電極からなり、両方とも、または個々に、電極からの電子を送りまたは受け取る能力のある生物膜で被覆される。また、電極は、起きている反応のひとつに触媒作用のある貴金属で被覆することもできる。したがって電極はそれらの間にイオンを伝達する電解質(通常メンブレン)で分離することができる。
【0004】
電極、生物膜、電解質、および触媒は筺体の中に収容することもでき、またはしなくてもよい。筺体を含むこれらの要素の各々は、外部回路、制御システム、または組み合わされたシステムに用いるために他の反応器と接続することができる。微生物燃料セル中の要素の幾何形状形態およびそれらの材料の定義は共にシステムの「アーキテクチャー」と定義することができる。
【0005】
数年に渡って多くの異なるBSEアーキテクチャーおよび部品が開発され、異なる用途に対して試験された。アーキテクチャーの2つの主な範疇はバッチモード対貫流(またはプラグ流)モードで運転するものである。バッチモード・システムにおいて、酸化剤がバッチで反応器に配置され、次のバッチの処理の前にいくつかの終点に達するまで処理される。貫流モードにおいては、一定の容積が内部に留まるように、反応器外への流れに一致する連続的な処理すべき材料の流れが反応器に提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
貫流反応器は、側流または上方流微生物燃料セル(UMFC)などの上方流を含む。UMFCにおいて、有機物を担持する媒体が多孔質アノード材料(すなわちグラファイト粒)を通って上方に浸透する。また、多くの電極設計がUMFC設計に用いられてきた。実験室試験で用いられた元のUMFC設計は、反応器の容積あたり表面積の小さな平坦な電極表面を使用するために、大規模化できなかった。したがって、高い導電性を有し汚れに抵抗性のある(一般にチタンなどの非腐食性金属)、中心コアに結合した小さな直径のグラファイトファイバーからなる「ブラシアノード」と呼ばれる表面積の大きな材料が開発された。ブラシアノードはカーボン繊維(例えば、PANEX(登録商標)33 160K)から作られ、設定された長さに切断され、工業的ブラシ製造システムを用いて2つのチタンワイヤからなる撚り線コアに巻かれる。反応器中に配置されるとき、反応器の容積あたりの典型的なブラシ電極の総表面積は9600m2/m3である。これらのブラシを用いる反応器は所定の酢酸塩媒体を備える立方反応器中で2400mW/m2を生成した。しかし、これらの電極は使用される材料のために高価である。加えて、形状自体、被覆ブラシは製造にいくつかのステップが必要である。
【0007】
したがって、従来技術の前述の欠点に対処する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、本発明は有機材料からメタンを生成するための生物−電気化学システムに関する。システムはアノードと、カソードと、メタン生成微生物、およびアノードとカソードに電圧を加えるように構成された電源からなる。アノードとカソードは実質的に反応器内で接近している。
【0009】
本発明のこの態様による一実施形態において、電圧はセルを出る電子のアノードからカソードへの移動を促進する。本発明のこの態様による他の実施形態において、システムはさらに複数のメタン生成微生物からなる。本発明のこの態様による他の実施形態において、電圧はセルを出る電子がメタン生成微生物へ移動して水素―2酸化の還元を開始するのを促進する。本発明のこの態様によるさらに他の実施形態においては、メタンが生成され、カソードおよびアノードのいずれかまたは各々で有機材料が酸化される。メタンの生成および有機材料の酸化は反応器内の制御要素の用途として役立つ。制御要素は、pH、生物化学的酸素要求量、化学的酸素要求量、アンモニア、および他の化学種の測定の任意の1つ以上を含む。本発明のこの態様による他の実施形態において、反応器は廃水および汚泥の処理に用いられた既存の好気性分解システムである。アノードおよびカソードは、メタンの生成を促進し、または嫌気性分解プロセスの制御要素の用途で嫌気性分解システム内に配置される。
【0010】
本発明のこの態様による他の実施形態において、電源は発電機または反応器中に生成したメタンによって駆動される燃料セルによって生成される電気である。本発明のこの態様によるさらに他の実施形態において、材料をアノードからカソードへ動かしてメタン生成の速度を高める流れがシステム中に形成される。
【0011】
第2態様において、本発明は、脱窒によって化学的酸素要求量および窒素質廃棄物を低減するための生物−電気化学システムに関する。システムは、第1チャンバーと、第2チャンバーと、メタン生成微生物と、第チャンバーと第2チャンバーとの間に配設されたフィルターとからなる。第1チャンバーはアノードを含み、第2チャンバーはカソードを含む。フィルターはその中で行われる硝化を促進するように構成される。
【0012】
本発明のこの態様による一実施形態において、第1チャンバーは、アノードが微生物の酸化を促進するように、包囲された空間を画定する第1壁および第2壁を含む。本発明のこの態様による他の実施形態において、第2チャンバーは、カソードが硝酸塩、酸素または他の酸化物化学種の還元を促進するように、包囲された空間を画定する第1壁と第2壁とを含む。
【0013】
本発明のこの態様によるさらに他の実施形態において、第1チャンバーは実質的に管状の形態を有する。本発明のこの態様による他の実施形態において、システムは第1チャンバーと第2チャンバーとを分離するメンブレンをさらに含む。本発明のこの態様による他の実施形態において、第1チャンバーは第1メンブレン内に配設され、第2チャンバーは第1メンブレンの周りに配設されて管部材によって囲まれる。本発明のこの態様によるさらに他の実施形態において、フィルターはアノードの上に配置された散水濾床(trickling filter)であり、アノードを通り散水濾床の上を流れる流れを促進する。
【0014】
第3の態様において、本発明は生物−電気化学システムに用いるための電極に関する。システムは第1表面および第2表面を含む。第1表面は実質的に導電性の材料からなる。導電性材料は第2表面に織られる。
【0015】
本発明のこの態様による一実施形態において、メンブレンは第1表面と第2表面との間に配設される。本発明のこの態様による他の実施形態において、導電性材料は、カーペット製造手法および技術を用いて第2表面に織られる。本発明のこの態様によるさらに他の実施形態において、導電性材料はカーボン繊維である。本発明のこの態様による他の実施形態において、第1表面は実質的に管状の形態を有する。本発明のこの態様による他の実施形態において、第2表面は実質的に管状の形態を有する。本発明のこの態様によるさらに他の実施形態において、電極は複数の第1および第2表面をさらに含む。本発明のこの態様によるさらに他の実施形態において、電極は複数のメンブレンをさらに含む。
【0016】
第4の態様において、本発明は生物−電気化学システムの適用制御に関する。システムは燃料セルから放出される刺激を測定するように構成されたプローブと、燃料セルのレベルを監視する制御工具とを含む。また、制御工具は燃料セルのレベルを最適化するように構成される。
【0017】
本発明のこの態様による一実施形態において、制御工具は燃料セル内の複数のチャンバーを監視する。本発明のこの態様による他の実施形態において、刺激は、電圧、電流、pH、温度、内部抵抗、活性化電圧損失、濃縮電圧損失、燃料濃度、アンモニアレベル、硝酸塩レベル、酸素レベル、および酸素レベルの任意の1つ以上を含む。本発明のこの態様による他の実施形態において、レベルは、電圧、抵抗、電極間隔、燃料装填割合、および燃料のpHの任意の1つ以上を含む。
【0018】
第5の態様において、本発明は燃料セルに関する。燃料セルはカスケードアノードを含む第1室と、カスケードカソードを含む第2室と、第1チャンバーおよび第2チャンバーの各々内の複数の入力および出力とからなる。
【0019】
本発明のこの態様による一実施形態において、燃料セルは、メタン生成または電気生成微生物が配設される実質的に管状の形態を含む。本発明のこの態様による他の実施形態において、第1室は第2室内に配設される。本発明のこの態様によるさらに他の実施形態において、第1および第2室は空気カソードを含む第3室内に配設される。
【0020】
図面において、同じ参照文字は一般に異なる図を通じて同じまたは類似の部分を指す。また、図面は必ずしも尺度を持たず、一般に本発明の原理を示すために強調される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示による生物−電気化学システムの平面図である。
【
図2】本開示による生物−電気化学システムの一実施形態の平面図である。
【
図3】本開示による生物−電気化学システムの他の実施形態の平面図である。
【
図4A】本開示による生物−電気化学システムに用いられる燃料セルの透視図である。
【
図4B】本開示による生物−電気化学システムに用いられる燃料セルの一実施形態の透視図である。
【
図5A】本開示による生物−電気化学システムに用いられる燃料セルの一実施形態の平面図である。
【
図5B】本開示による生物−電気化学システムに用いられる燃料セルの一実施形態の平面図である。
【
図6】本開示による生物−電気化学システムに用いられる燃料セルの一実施形態の透視図である。
【
図7】本開示による生物−電気化学システムに用いられる燃料セルの一実施形態の透視図である。
【
図8】本開示による生物−電気化学システムに用いられる燃料セルの一実施形態の平面図である。
【
図9A】本開示による生物−電気化学システムに用いられる燃料セルの一実施形態の上部図である。
【
図9B】本開示による生物−電気化学システムに用いられる燃料セルの一実施形態の断面図である。
【
図10】本開示による生物−電気化学システムに用いられる燃料セルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
多くの付加価値最終製品を形成するために異なる生物−電気化学システム形態が考案されてきた。最も重要な2つは電気と水素ガスである。
図1を参照すれば、生物−電気化学システム100において、電子102が、端末の電子受容体、通常酸素に露出されたカソード108へ回路106を通って流れることが可能であり、かつ、アノード104で有機廃棄物の微生物分解中に放出された電子102を収穫することによって電流を生成することができる。カソードの電子受容体として水を使用し、カソードで水素の放出を可能にするので、システム100に故意に電圧を印加することによって水素を生成することができる。
【0023】
ほとんど全ての微生物燃料セルの例において、アーキテクチャーは、アノード室およびカソード室が障壁110によって分離されるものであった。しばしば、障壁110はイオンが選択的に通過することのできる導電性メンブレンである。対照的に、システム100中の液体はメンブレンのない構成における電解質として用いることができる。しかし、この後者の例においては電子受容体を提供しなければならず、したがって、カソード108を空気に露出させるか、または障壁110上に燃料/電解質を通過させて、それがカソード108に接触することができ、それを空気またはいくつかの電子受容体に露出することのできる領域が形成されなければならない。
【0024】
例えば、水素生成の全ての形態において、カソード108は水素ガスが放出されるアノード104とは異なる室に一緒に露出されることが想定される。同様に、他の形態において、電解質はカソード108中のループを通り、その前に、場合によって空気中の酸素に露出することができる。
【0025】
図2を参照すれば、有機材料からメタンを生成するための生物−電気化学システム200が示される。システム200は、アノード204と、カソード206と、メタン生成微生物208とを含む反応器202からなる。アノード204およびカソード206はシステム200内で実質的に互いに接近する。さらに、システムはアノード204とカソード206に電圧を印加するように構成された電源(図示されない)からなる。電圧はセルを出る電子がアノード204からカソード206へ移動するのを促進する。さらに、電圧は水素−2酸化の還元を促進する。
【0026】
一実施形態において、メタン生成微生物208はシステム200内で3つの主要なグループに生物分解される。例えば、微生物208は一次酵素、二次酵素、および水素利用メタン生成微生物とすることができる。微生物208の各々はシステム200中のアノード204およびカソード206で独立に生じることができるが、アノード204とカソード206の統合は、システム200内の水素生成および/または電子移動の追加の機構を提供する。この機構は、微生物208の組成物の処理および/または変化の速度を高める。
【0027】
炭素含有廃棄物からのメタン生成代謝は、その無酸素条件の要求から嫌気性分解(AD)と呼ばれ、広く用いられる有機質廃水の改善技術である。好気性廃棄物処理に勝るその顕著な利点は、メタン富裕ガス(バイオガスと呼ばれる)の生成、少ないスラッジ生成、および低い運転コストを含む。これらの利点は、自治体の廃水、農業および食物加工廃棄物、および化学工業廃棄物などの多様な有機廃棄流にその用途を導いた。
【0028】
複雑な有機廃棄物流からの微生物介在メタン生成は多段プロセスである。第1段において、多くの補酵素(subnich)を含む酸形成群(酢酸生成菌)は、廃棄物中の多糖類、砂糖、脂肪酸、アルコール、およびさらに複雑な分子を有機酸、一次酢酸塩だけでなく乳酸塩および酪酸塩に分解する化学種を含む。第2のクラスは2つの補酵母を含むメタン生成体またはメタン生成菌である。いくつかのメタン生成菌は酢酸塩を直接代謝して副生成物(酢酸利用性のメタン生成菌)としてメタンを生成するが、他のメタン生成菌はエネルギー源として水素−2(H
2)および二酸化炭素(CO
2)を用いてメタンを生成する(水素利用性メタン生成菌)。
【0029】
水素利用性メタン生成菌(HM)は、メタン生成中にCO
2を生成せずに消費し、メタンの割合が高くCO
2の割合が低いより純粋なバイオガスを得るので、反応器202内の好ましいプロセスである。CO
2および酢酸塩は一般に上流の(酢酸利用性)代謝プロセスの豊富な副生成物であり、H
2は急速に制限することのできる少量の副生成物であり、したがって、酢酸利用性のメタン生成菌(AM)は通常の嫌気性分解運転条件の下でHMの替りに用いることができる。さらに、水素利用性メタン生成菌は50℃を超える高温に抵抗性がある(好熱性条件)。以下の表1を参照すれば、HMはAM反応よりも低い自由エネルギー変化を有し、したがって、熱動力学的に好ましい。
【0030】
【表1】
システム200は、反応器202内に、電圧を送達してH
2形成の有利性を高めるアノード204およびカソード206などの電極または電極の組を含むことによってHM反応における水素制限に対処する。一実施形態において、アノード204およびカソード206は、H
2の酸化の必要性を低減しまたは省くために水素利用性メタン生成菌に直接電子を与える。システム200中の水素の生成はメタン生成有機生物フィルムが存在するアノード204およびカソード206の表面で起きるので、当該生成は、反応器202内で起きる単純な水素ガスの混合の場合よりもメタン生成微生物208が容易に入手可能な一定の規模および場所に起きる。さらに、システム200内の水素生成および急速な共同消費は本質的にバルクの水素ガスの使用よりもはるかに安全である。
【0031】
一実施形態において、メタン生成微生物208が直ちにそれをメタン生成のために利用できる場合に、カソード206で放出されるH
2が生成されるように、微生物電解質セルがシステム200内に加えられる。これは、カソード206の電位が、微生物代謝のための端末の電子受容体としてH
2の形成を可能にする負となるように、十分な電圧を加えることによって達成される。次いで、生成されるH
2は水素利用性メタン生成菌によって使用されて、より効率的にメタンガスを生成する。
【0032】
他の実施形態において、メタン生成微生物208に電子を供給しているアノード204またはカソード206などの電極は、チャンバー(図示されない)中に収容され、そこでメタン生成微生物208への電子移動が水素を必要とせずにメタン生成を可能にする正しいエネルギーであるように、カソード206の電位が提供される。この実施形態において、反応器202は、第1チャンバー中で酢酸塩を生成する一次発酵、および第2チャンバーに拘束された二次発酵ならびにメタン生成菌の2つのチャンバー反応器として構成することができる。
【0033】
さらに他の実施形態において、水素利用性メタン生成菌はカソード206からの電子を受容する二次発酵有機物によるH
2の生成によって強化される。さらに、メタン生成微生物208はカソード206からの直接電子受容を行ってメタン生成の速度を高める。
【0034】
システム200を任意の好気性分解システムに適用して、効率、処理速度、生成されるバイオガスの組成物もしくは純度、または有効な廃水生物化学的酸素要求(BOD)含有量の範囲を改善することができる。システム200は、制限されることなく、動物の堆肥または堆肥スラリー、非堆肥農業廃棄物、屠殺場廃棄物または廃水、食品加工廃水またはスラリー、醸造廃水またはスラリーを含む飲料加工廃水、自治体廃水、および浄化槽システム廃水または家庭雑排水建物廃水を含んで、広範囲の廃水および有機物流に適用することができる。また、システム200は、特注製作のシステムとして、または1つ以上のモジュール電極強化ユニットの応用として、改装設置によって既存技術に適用することができる。また、電極強化は改装システムまたは一体化システムの構成要素として新規建造ADシステムに適用することができる。
【0035】
図3を参照すれば、脱窒による化学的酸素要求量および窒素系廃棄物を低減するための生物−電気化学システム300が示される。システム300は、第1チャンバー302と、第2チャンバー304と、第1チャンバー302と第2チャンバー304との間に配設されたフィルター306とを含む。フィルター306はその中の硝化を促進するように構成される。第1チャンバー302はアノード308を含む。第2チャンバーはカソード310を含む。メタン生成微生物312は第1チャンバー302と第2チャンバー304内に配設される。第1チャンバー302はその中の微生物312の酸化を促進するように構成される。さらに、第2チャンバー304はその中の亜硝酸塩の還元を促進するように構成される。第1チャンバー302および第2チャンバー304の各々はメンブレン314で分離することができる。
【0036】
一実施形態において、システム300は、1)微生物BOD酸化のための第1チャンバー302、2)アンモニアおよび亜硝酸塩の硝化のための散水濾床306、3)硝酸塩をN
2へ微生物還元するための第2チャンバー304、4)第1チャンバー302と第2チャンバー304とを位相的に分離するが、それらを電気的およびイオン的に連絡する半透過性メンブレン314の4つの部分からなる。システム300は、連続的または間歇的な流れのいずれかで反応器を通って一方向に移動する廃水を処理するのに用いられる。
【0037】
システムの第1構成要素は、微生物312の1つ以上の種の付着点として働く電極または一連の電極を含む第1チャンバー302である。これらの電極上の微生物312は炭素系廃棄物を酸化して廃棄物の生物的酸素要求量(BOD)含有量を低減し、放出された電子をアノードに輸送する。直列または並列構成で配置された1つ以上の第1チャンバーが存在することができる。
【0038】
システムの第2構成要素は、空気または他の酸素含有ガスで満たされ、非導電性で高い表面積の基質を含み、その上に第1チャンバー302から出る廃水を散水することのできる好気性散水濾床306である。散水(Trickling)は、アンモニアおよび亜硝酸塩を亜硝酸塩に酸化する、硝化ともいわれる廃水の急速な再酸素化を可能にする。このフィルター306は酸素濃度の動的監視および酸素濃度を最適範囲内に調節するための制御システムを含むことができ、または含まなくてもよい。さらに、フィルター306は廃水がシステムを出て第3室に入る酸素除去装置を含むことができ、または含まなくてもよい。
【0039】
システムの第3構成要素は、微生物312の1つ以上の種の付着点として働く電極または一連の電極を収容する第2チャンバー304である。これらの電極上の微生物312は、電子の受容および廃水中の硝酸塩のN
2ガスへの還元に作用し、N
2ガスはシステム300から水が出ると液体の外へ拡散する。直列または並列形態に配置された1つ以上の第2チャンバー304が存在することができる。
【0040】
システムの第4構成要素は、第1チャンバー302と第2チャンバー304とを位相的に分離するメンブレン314である。メンブレン314はプロトンおよび小さな正のイオンに透過性であるが、負のイオンおよび電荷のない粒子には非透過性である。メンブレン314は回路を完結するために第1チャンバー302と第2チャンバー304との電気的な連絡を維持する働きをするが、廃水成分の通路がシステム300を迂回するのを許さない。
【0041】
多くの面で均衡を図ることはシステム300の最適性能を実行するのに有用であると考えられる。これらの面は、(1)第2チャンバー304に対する第1チャンバー302の容積の比、および並列または直列のいずれかに配置されたチャンバーの数、カソード310に対するアノード308の電極表面積の比、システム300を通る廃水の流量、ならびに連続対間歇廃棄物流、散水濾床306内の酸素の濃度およびガスの組成物、ならびにフィルター306への酸素の動的添加、散水濾床306に対する第1チャンバー302の容積比、および散水濾床306に対する第2チャンバー312の容積比、ならびに流量、酸素濃度またはシステム300への酸素添加の動的監視と調節のためのコンピュータ制御システムの使用、を含む。
【0042】
一実施形態において、システム300は、炭素:窒素が不均衡であり、したがって、他の技術によって効率的に改善するための炭素またはおそらくは窒素の追加を必要とする廃棄物の処理に用いることができる。これらの廃棄物は、水栽培廃棄物、海洋養殖場廃棄物、農業廃棄物、食品加工および飲料加工廃水、および炭素:窒素不均衡の他の廃棄物を含む。システム300は水栽培作業の再循環または貫流のいずれかに用いることができる。
【0043】
他の実施形態において、システム300内の微生物312の有機物と窒素含有廃棄物の共同除去を効率的に進めるには、炭素:窒素の比が10:1〜20:1であることが必要である。窒素富裕廃棄物の多くは容易に共同処理を行わせない。水栽培廃棄物はこの不均衡廃棄物の型の重要な例であり、その均衡処理は、養殖される動物に対するアンモニア、亜硝酸および硝酸塩の毒性効果のためさらに肝要となる。アンモニアおよび亜硝酸は1mg/L以下のレベルで十分毒性があるが、好気性細菌硝化プロセスによって容易に処理される。しかし、1000mg/Lの硝酸塩レベルは多くの種に許容できるが、それらは閉鎖系における海洋無脊椎動物に対して有害であるので、真水中の硝酸塩のレベルを1000mg/L以下、または海水中1500uM(約93mg/L)に保つことが推奨される。結果としての魚の成長速度の低下は水栽培施設に年間数百万ドルを失わせる。
【0044】
硝酸塩のレベルが許容できないほど高い場合、水は水交換または分離した処理システム中で好気性細菌によって脱窒することができる。嫌気性脱窒は、シュードモナスなどの有機栄養性細菌、および硝酸塩を亜硝酸に還元し最終的に窒素ガスにするメタノールなどの追加の炭素源を用いる。この方法は効果的であるが、効果的な硝酸塩除去のために炭素源の投入および頻繁な化学平衡監視を必要とする。同じ施設からの有機物(例えばスラッジ)はメタノールの代わりに用いることができる。しかし、スラッジはしばしば粒子形状であり、スラッジを揮発性脂肪酸および脱窒素有機物によってより容易に消費される他の分子に変換するためには、加水分解および発酵を用いなければならず、複雑さが加わり運転のコストがかかる。
【0045】
替りに、施設は生物脱窒を駆動する電子ドナーとして電気化学的に生成した水素を用いることができる。これは外部から購入した、またはエネルギー消費の高い電解質を用いて局部的に生成した水素ガスを定常的に投入することが必要である。他の立証された手法は、人工的な湿地または水栽培システムの植物を使用して過剰の硝酸塩を除去することを含む。後者は水栽培システムが複雑になり、広くは用いられない。これらの理由により、今日まで、多くの農場は処理の費用を節約するために硝酸塩の影響を無視し、または脱窒の主な形態として水交換を用いてきた。
【0046】
多くの利点は、特に水栽培廃棄物などの炭素:窒素不均衡廃棄物の処理のために、システム300を不可欠のものにする。第1に、予備研究は組み合わせられたBOD/脱窒反応器を硝化段階で一緒に運転することを示唆した。これは全て正味のカソード室で正規化して2kgCOD/m3日、0.41kg/NO3−N/m3日、電流生成34.6W/m3の高い除去収率を達成し、等しく重要なことに、それらは約4.5gCOD/gNのCOD/N比を達成した。したがって、アノードのBOD還元はスラッジ生成に対する好気性処理プロセスの割合で起きることができ、それによって全体の処理コストが大きく低減される。したがって、第1室302および第2室304の各々は栄養素と基質付着部位について激しく競合する環境を形成する。これらの条件は、それらの環境により適した生物優位(有利な)微生物312の生き残りが可能になり、システム300内の病原体レベルの顕著な低減および魚の健康を改善する。
【0047】
多くの要因は、BOD除去が水栽培廃棄物などの炭素:窒素不均衡廃棄物を用いてアノード302で達成できることを示唆する。第1に、上述のように、必要な細菌は廃棄物中に既に存在する。例えば、ひとつの研究は、牛堆肥スラリーから84%までのBOD低減を示し、他の研究は宅内廃水を用いて80%までのBOD低減を安定して達成した。さらに、他の研究は、豚の廃棄物が空気−カソードMFCシステムを用いる他の可能性のある基質と等しい電気密度で微生物燃料セルシステム(MFC)中に電気を生成できることを示した。これらのシステムは可溶性化学的酸素要求量(COD)を88%〜92%、アンモニアを83%低減しながら、261mW/m2の最大出力密度を測定した。さらに、純水および海水堆積物から単離された多くの親電子細菌は、これらの種が水栽培システム条件で繁茂することを示した。
【0048】
システム300内のBOD低減は同等の好気性プロセスに比べて顕著に少ない過剰バイオマス生成を達成する。好気性条件の下で、1gの有機基質の消費は約0.4gのバイオマスを生成し、MFCにおいて、同じ量のBOD低減は50〜80%少ないバイオマス生成が観察される。ひとつの研究はある条件下のMFCプロセスにおいてさらに低いバイオマス収率を記録した。自治体の廃棄物処理施設でのスラッジ処理は、乾燥廃棄物1トンあたり$1,000の費用がかかるとすれば、これは大きなコスト低減になり、BECプロセスについてより好ましいコスト差額になり得る。
【0049】
多くの初期のBECプロセスの研究は、従来の白金コートした開放空気カソードを用いるアノード性プロセスに焦点を合わせた。ひとつの研究は開放海洋システムにおける生物−カソード酸素還元に着目した。他の研究は、グラファイトフェルトの開放空気生物カソードを備える酢酸塩供給燃料セルを用いて、バッチ供給システムで83±11Wm−3MFC(0.183LのMFC)(20〜40%のクーロン収率)、および1.5kgCODm−3日―190±3%のクーロン収率)を備える酢酸塩充填割合連続システムで65±5W/m−3MFCの高い電流生成を示した。これらの研究は空気−カソードにマンガンを加えることによって出力が顕著に増加することを見出した。他の研究は真の酸素触媒としてのカソード細菌の役割を確認した。
【0050】
生物的カソードは以前の金属触媒を省くことによって電極コストを削減した。おそらく、水処理用途に重要なことは、生物的還元を追加の処理ステップの実行のために利用できることである。酸素の還元電位(+0.74VでNO
3−/N
2対O
2/H
2Oについて+0.82V)程度であるので、脱窒は主な目標である。ひとつの研究は生物カソードの存在で脱窒の増加(100〜200mV、40mAの電流で55.1%の増加)を示すことができたが、これは完全なMFCプロセスではなく均衡電位を用いて達成された。さらに最近、生物カソードで運転される完全な微生物燃料セルシステムにおいてBOD/脱窒の組み合わせが発表された。
【0051】
最近、他の提案された研究は、硝化ステップと一緒に運転するBOD/脱窒組み合わせ反応器を発表した。この研究は全て正味のカソード室に正規化して34.6W/m3の電流を生成し、2kgのCOD/m3日、0.41kgNO3−N/m3日の除去収率増加を達成した。同じく重要なことは、研究が典型的な要求比7に比べて、約4.5gCOD/gNのCOD/N比を達成し、値は実際に廃水処理への炭素添加の必要性を省く。システム300はこの分野で得られる他の利点と一緒に硝化のループ化概念を組み合わせて、経済的に優れた炭素−窒素処理の組み合わせを達成する。
【0052】
一実施形態において、システム300は2チャンバーシステム(第1チャンバー302および第2チャンバー304)であり、アノード308およびカソード312はイオン交換の可能なメンブレン314によって2つのチャンバーに分離される。他の実施形態において、システム300はカソード312で空気を用いる単一チャンバーシステムであり、化学的触媒または生物的に触媒化されたカソードのいずれかを用いることができる。
【0053】
単一および2チャンバーシステムの両方ともバッチまたは貫流モードで運転することができる。貫流MFCの変形は、上方流MFC(UMFC)と呼ばれ、輸送制限に対処し、それは従来のMFCよりも内部抵抗の低い運転を示した。UMFCにおいて、有機担持媒体312は多孔質アノード312材料(すなわちグラファイト粒)を通って上方に浸透する。ひとつの研究において、MFCはプロトン交換メンブレンで仕切られ、アノード308上の空気に露出されたカソードチャンバーを配置する。この研究において、UMFCを試験するために所定のスクロース媒体が用いられた。3gCOD/L/日超の比較的高い装填率でさえ、高いSCOD除去速度が観察された(最大97%)が、この大部分は電子輸送ではなくメタン生成菌が寄与したであろう。他のUMFC設計で行われた第2研究は、低い内部抵抗が容積電力生成を最大27W/m3に増加したことを示した。より最近、パイロット規模の上方流MFCが開発されて、醸造廃棄物での運転が発表された。
【0054】
ここで
図4A、4B、5A、5B、6、7、8、9A、9Bを参照すると、生物−電気化学システムに使用する電極400が示される。電極400は第1表面402、および第2表面404を含む。第1表面は第2表面404に織られた実質的に導電性の材料406からなる。メンブレン408は第1表面402と第2表面404との間に配設することができる。導電性材料406は、例えば、カーボン繊維とすることができる。
図5Aに示される一実施形態において、第1表面402は実質的に管状の形態を有する。
図5Bに示される他の実施形態において、第2表面404は実質的に管状の形態を有する。また、
図6および7に示すように、電極400は複数の第1および第2表面ならびに複数のメンブレンを含むことができる。
【0055】
電極400は適切な物理的および電気的特性を備える任意の材料406から製造することができる。これらの特性は、制限されることなく、導電性、可撓性/剛性、触媒特性、および生物適合性を含む。材料406のベース織物はそのループまたはタフトから異なる材料で作ることができる。例えば異なる材料は、それが安価および/または良好な電気導体である理由で用いることができる。さらに、ベース材料406は、電極400の性能を強化するために加えられた特別なコーティング層を備える電極400のために用いることができる。
【0056】
また、電極400はさまざまなサイズから作ることができる。電極400の形状も変化することができる。電極400は、長さ、幅、深さ、繊維織りサイズ(格子間隔)、ならびにタフト/ループ間隔および密度など、いくつかの特性寸法を含むことができる。これらの寸法は電極400の性能に直接影響を与え、電極400の特定の要求に合致するように最適化される。さらに、電極400の製造には任意の製作技術を用いることができる。これらの技術は、制限されることなく、ニードルパンチング、タフティング、アックスミンスター織り、ダーカム(durcam)、織物、編み物、リベットヘッド、溶融接合、およびフロックを含む。用いられる特定の製作技術は材料および電極400の正確な仕様に依存する。
【0057】
一実施形態において、電極400は、この電極400を異なるチャンバーに分割する誘電材料406を備えることができる。材料406は、サイズ、疎水性、電荷、および他の特性に基づいて、選択的にいくつかの溶解性化学物質を透過させる働きをすることができる。材料406は、例えば、シート状のポリマーメンブレンとすることができる。システムの空間を最小化するために、メンブレンは電極400の底部に直接接着することができる。この材料406は構造的な支持ならびに物理的な分離および選択的な輸送を提供する。
【0058】
他の実施形態において、イオン輸送が重要な燃料セルの場合、電極から選択的透過性メンブレンの距離の最小化は、距離、時間、および拡散に必要な駆動力を低減する。したがって、他の実施形態において、この構造は平面幾何形状に修正なく用いることができ、電極400の任意の他の種類と組み合わせて用いることができる。
【0059】
図5Aを参照すれば、電極400は実質的に管状の形態からなる。この形態は第2表面404を備える材料406を外部に巻き付け、それによって外部の管状電極400を形成することによって達成することができる。これは小室化を提供し、多くの反応器形態に有用である。この構造の使用は電極400の一方の側(内部または外部)をカソードとして用いるためであり、他の側を燃料セル中のアノードとして用いるためである。
【0060】
一実施形態において、電極400はバッチまたは連続のいずれかのシステムに用いることができる。メンブレンのいずれの側の仕事流体もガスまたは液体とすることができる。液体は1つの区画から他の区画へ流れることができ、または接続されなくてもよい。流れは同じ方向または反対方向とすることができ、管は任意の望ましい方向に配列することができる。外部の管状電極400と一緒に、電極400の内部に任意の他の電極を用いることができる。
【0061】
図5Bを参照すれば、
図5Aの電極と同様に、電極400は第1表面402を備える材料406を外部に巻き付けることによる内部の管状アーキテクチャーからなる。電極400は小室化を提供し、その使用は
図5Aの電極と同様である。
【0062】
図6Aを参照すれば、電極400は、第1層402の裏側に追加の電極(単数または複数)410を配置することによって、追加の電極を組み込むように修正することができる。したがって、第1層402の裏側は中間層408になる。電極材料406は
図5Aの電極と同じ機能(支持、収容、選択的輸送)を提供するが、2つの電極間の回路短絡を回避するために電極400に直接電気的絶縁も提供する。いずれの電極もやはり任意の望ましい反応のために用いることができる。電極400および電極410のアーキテクチャーはイオン輸送を加速するため2つの電極間の距離を最小化し、同時に電極の表面積を最大化する。1つの電極で電子供与が起き、他の電極で電子受容が起きる。電源が電極間に配置される場合、供与電極の電位は受容電子よりも高くする必要はないと考えられる。
【0063】
図7を参照すれば、電極400は複数の積み重ねられた電極層を含み、直列のチャンバーを形成することができる。一実施形態において、アノードおよびカソード電極400(図示されない)は電極400の表面全体を通して同じチャンバー中に存在する。詳細には、反応器の性能に応じて同じ種類の(アノードまたはカソード)が互いにまたは個別に結線され得る。電極400は任意の方向の流れを促進することができ、大きな表面積、高い出力の利益を有し、狭い電極間隔を犠牲にすることなく高い容積を達成することが可能である。
【0064】
図8を参照すれば、電極400は電極400のいずれの側もカソードまたはアノードとして使用できるように実質的に管状の形態を有する。さらに、電極400はバッチまたは連続流で運転することができ、その配列は任意の方向とすることができ、その第1層または第2層のいずれにも液体またはガスを用いることができる。複数の電極400を直列または並列に接続することができると考えられる。配線は特定の用途に応じて電極400と異なる区間を接続することができる。さらに、同心電極400は特定の用途に応じて、外部筺体と一緒にまたは外部筺体なしに用いることができる。
【0065】
他の実施形態において、複数の同心電極400を単一の反応器に組み込むことは、シェルおよび管電極反応器を製作することになる。この反応器はシェル中に収容された任意の数の電極400を収容することができる。任意のシェルおよび管反応器と同様に、流れは共流、抗流、または横断流とすることができる。さらに、管およびシェルの両側は所望の数の通路を収容することができる。2つの電極400の間に流れを接続することができ、または接続されなくてもよい。さらに、区間および異なる電極400は必要に応じて配線することができる。できる限り大きな反応性表面積を最小の容積に詰め込むことによってシェルおよび管電極反応器は空間の全てを用いる。
【0066】
電極400はさまざまな用途を見出すことができる。一実施形態において、高い比表面積により電極400は燃料セル用途に理想的である。燃料セルは、しばしば反応の触媒作用に使用可能な面積に、および効率を維持しながら用いることのできるサイズに制約を受ける。電極400は同時に表面積を最大化し電極分離を最小化し、したがって燃料セルを最適化する。電極400は全ての種類の燃料セルに用いるのに適している。電極400の材料は意図している特定の電極および用途によって選択する必要がある。
【0067】
他の実施形態において、電極400はバッテリーの生産性を増加するのに用いることができる。バッテリーが電極の割合によって制限される場合、電極400は電流を増加することができる。また、電極400は、分離された酸化および還元ステップを必要とする任意の反応に用いることもできる。酸化還元反応器を使用する任意の反応器は電極400と一緒に用いることが可能である。これは反応の半分を分離することを可能にし、エネルギー抽出、またはエネルギー投入の最小化を可能にする。さらに、これは副反応による副生成物の形成を制限することができる。さらに、電極400を用いる反応器の本質的な小室化は分離の必要性を小さくする利点を有する。電極400は電子を良好に画定された環境中に提供すること(イオンを伴い、または伴わずに)ができ、したがって生成物の化学的純度を高める。替りに、電極400はシステムから電子を除去する電子シンクとして働くことができる。
【0068】
さらに他の実施形態において、生物触媒は電極400と一緒に用いることができる。電極400は微生物の付着可能な表面を最大化する。この用途において、電極材料は特に付着特性に注目して生物適合性であるように選択される。微生物燃料セルは電極400による生物触媒のひとつの用途であるが、これは唯一のプロセスではない。生物、特に微生物は極めて広い代謝能力を有する。これらの独特で有効なプロセスは、電極400を備える反応器に用いて、エネルギーだけでなく、単純から複雑な、多肢に渡る化学品を生成し変換することができる。
【0069】
さらに、電子の輸送のための電極を用いる任意の用途は電極400を用いることができる。また、電極上に作られるさらに複雑な装置も電極400で作ることができる。
【0070】
図10を参照すれば、燃料セル500が示される。燃料セル500は第1室502と、第2室504と、第3室506と、第1室502および第2室504の各内部の複数の入力および出力とからなる。
【0071】
第1室502はカスケードアノード電極を含み、第2室504はカスケードカソード電極を含む。燃料セル500は実質的に管状の形態を有することができる。さらに、第1室502は第2室504内に配設することができる。さらに、第1室502および第2室504は空気カソードを含む第3室504内に配設することができる。
【0072】
燃料セル500は既存の嫌気性分解(AD)システムと一緒に用いるように設計することができる。例えば、燃料セル500はカスケード式直列の電気的に強化されたAD反応器を形成することができ、電極の配置、印加電圧、および燃料セル500の他の特性はメタン生成を最適化するように設計される。一実施形態において、カスケードチャンバーはアノード電極とカソード電極との間に交互するように設計される。例えば、チャンバーは生物アノードまたはカソードおよび化学アノードまたはカソードの間に交互するように設計することができる。燃料セル500の各室は異なる印加電圧を有することができ、それによって低コストでより完全な廃水処理を可能にする。
【0073】
一実施形態において、燃料セル500に2つの電極を用い、プロセスの速度および水処理可能なレベルの両方で嫌気性分解を強化する電力を発電機から得ることによって、既存の嫌気性分解器を改装することができる。電子放出細菌は廃水中の有機物をメタン生成菌よりも低いレベルに酸化するので、燃料セル500はこのプロセスを用いて標準的なADシステムよりも水を清浄化することができる。
【0074】
他の実施形態において、燃料セル500はその室内の流れのpHを制御することができる。このプロセスは、pHが嫌気性分解のための正しい範囲に維持され、したがってメタン生成を最適化するように印加電圧および燃料セル500の他の態様を調整することによって達成され得る。さらに、このpH調整は、コンピュータおよび燃料セル500の要素からの測定を用いる他の生物−電気化学システムと組み合わせて用いることができる。
【0075】
本発明の他の態様において、生物−電気化学的システムの適用制御のためのシステムが示される。システムは燃料セルに放出される刺激を測定するように構成されたプローブおよび燃料セルのレベルを監視するための制御工具からなる。刺激は、例えば、電圧、電流、pH、温度、内部抵抗、活性化電圧損失、濃縮電圧損失、燃料濃度、アンモニアレベル、硝酸塩レベル、酸素レベル、および酸素レベルの任意の1つ以上であることができる。制御工具は燃料セルのレベルを最適化するように構成される。レベルは、電圧、抵抗、電極間隔、燃料装填割合、および燃料のpHの任意の1つ以上を含むことができる。
【0076】
システムは燃料セルのさまざまなゾーンを独立に微調整するために用いることができることと考えられる。一実施形態において、システムは複数の抵抗体をさらに含む。また、システムはシステム内のさまざまなレベルを維持するために用いることのできる自動フィードバック制御を含む。例えば、自動フィードバック制御は従来の嫌気性分解器または強化された嫌気性分解器の運転における適切なpHの制御を可能にする。pH変化は生物−電気化学システムのいくつかの態様、したがって、電極間の抵抗または印加電圧などで作動する速度を変化させることによって実行することができる。他の実施形態において、生物−電気化学システムの活性度は、性能強化のための石灰などのバッファーを使用することによって、pHを検出し監視するために用いることができる。
【0077】
本明細書に開示された実施形態はさまざまに修正できることが理解されるであろう。したがって、上記説明は制限するものと解釈すべきではなく、本発明によるいくつかの実施形態の例示であると解釈すべきである。