(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934332
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】取り外し可能かつ回動可能なジョーを備える医療装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
A61B17/12 320
【請求項の数】19
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-260350(P2014-260350)
(22)【出願日】2014年12月24日
(62)【分割の表示】特願2013-536650(P2013-536650)の分割
【原出願日】2011年10月11日
(65)【公開番号】特開2015-91352(P2015-91352A)
(43)【公開日】2015年5月14日
【審査請求日】2015年1月9日
(31)【優先権主張番号】61/391,878
(32)【優先日】2010年10月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/971,873
(32)【優先日】2010年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511193846
【氏名又は名称】クック・メディカル・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス, ミッシェル, ディー.
(72)【発明者】
【氏名】サーティ, ヴィルー, シー.
(72)【発明者】
【氏名】マクローホーン, タイラー, エバンス
【審査官】
木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−242923(JP,A)
【文献】
特表2008−526376(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0155308(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0004656(US,A1)
【文献】
国際公開第2010/078163(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 ― 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織に係合する医療システムにおいて、
近位端部と遠位端部との間に延在する内部通路および長手方向軸を画定しているハウジングであって、前記内部通路に沿ったガイド面を有し、該ガイド面が近位部分及び該近位部分よりも小さい直径部分を有する遠位部分を有するようにしたハウジングと;
近位端部および遠位端部を有する、前記ハウジングに対して回動可能な第1のジョー;
近位端部および遠位端部を有する、前記ハウジングに対して回動可能な第2のジョー;
前記第1および第2のジョーの前記近位端部に係合した駆動装置であって、前記ガイド面によってガイドされた長手方向の移動により、前記第1および第2のジョーが前記ハウジングに対して回動するようになされており、近位方向に向けて開口し弾性材料によって形成されてサイズが可変とされているソケットを有する駆動装置;
前記駆動装置に選択的に接続されて前記駆動装置と共に長手方向に移動するようにされた細長い駆動ワイヤであって、その遠位端部の近傍に拡大部分を有し、該拡大部分が前記ソケット内に選択的に収納されるようになされている、駆動ワイヤ;
を有する医療システム。
【請求項2】
前記ガイド面の遠位部分が、前記ソケットが該遠位部分内にあるときに、前記駆動ワイヤの前記拡大部分と外れない状態で係合するサイズとされている請求項1に記載の医療システム。
【請求項3】
前記ガイド面の近位部分が、前記ソケットが該近位部分内にあるときに、前記駆動ワイヤの前記拡大部分を解放可能な状態で係合するようにするサイズとされている請求項1又は2に記載の医療システム。
【請求項4】
前記駆動装置が、前記ソケットの入口部分に位置しており変位することにより前記ソケットの入口部分のサイズを変化するようにしたロックタブを有し、該ロックタブは前記駆動装置及びソケットが前記ガイド面の前記近位部分から前記遠位部分に動くときに半径方向内側に変位するようになされている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の医療システム。
【請求項5】
前記ガイド面の前記遠位部分が、前記ソケットが前記ガイド面の前記遠位部分内にあるときに、前記ロックタブを前記駆動ワイヤに押圧するようなサイズとされている請求項4に記載の医療システム。
【請求項6】
前記駆動装置が前記ソケットの前記入口部分の径方向で相互に対向する側にそれぞれロックタブを有し、それらのロックタブが前記ガイド面の前記遠位部分によって内側に変位されるようにされている請求項4に記載の医療システム。
【請求項7】
前記ハウジングが前記ガイド面の前記近位部分と遠位部分との間に肩を有し、前記ロックタブが前記肩と係合して前記駆動装置の遠位方向での動きを制限するようになされた請求項4に記載の医療システム。
【請求項8】
前記ロックタブは塑性変形可能とされている請求項4に記載の医療システム。
【請求項9】
前記駆動装置への遠位方向での力により該駆動装置及び前記第1及び第2のジョーが遠位方向で動かされるときに、前記肩が前記ロックタブを半径方向内側に変位して前記駆動ワイヤと係合させるようにされている請求項7に記載の医療システム。
【請求項10】
前記ソケットが前記ガイド面の近位部分内にあり、前記駆動ワイヤにかかる近位方向での力が所定の大きさになると、前記駆動ワイヤの前記拡大部分が前記ロックタブを半径方向外側に曲げ、前記駆動ワイヤが前記駆動装置から解放されるようになされている請求項9に記載の医療システム。
【請求項11】
前記第1及び第2のジョーが前記ハウジングに摺動可能で且つ回動可能とされており、前記ハウジングに外れないように接続されている請求項1乃至10のいずれか一項に記載の医療システム。
【請求項12】
前記ガイド面が前記内部通路の径方向で対向する側に形成された2つの溝によって画定されている請求項1乃至11のいずれか一項に記載の医療システム。
【請求項13】
当該医療システムが第1、第2及び第3の形態で作動可能とされ、第1の形態では前記駆動装置が前記駆動ワイヤに解放されないように接続され、第2の形態では前記駆動装置が前記駆動ワイヤに解放可能に接続され、第3の形態では前記駆動装置が前記駆動ワイヤから解放されているようにされている請求項1乃至12のいずれか一項に記載の医療システム。
【請求項14】
前記駆動装置が前記ソケットの入口部分にロックタブを有し、前記入口部分は前記第1の形態では最も小さいサイズとされ、前記第3の形態では最も大きなサイズとされるようになされている請求項13に記載の医療システム。
【請求項15】
前記ロックタブが前記第1の形態において前記駆動ワイヤに押圧されるようになされている請求項14に記載の医療システム。
【請求項16】
連結ブロックを摺動可能に受け入れるサイズのルーメンを画定する管状部材を更に有し、前記連結ブロックが前記駆動ワイヤを摺動可能に受け入れる孔を有し、前記駆動ワイヤの前記拡大部分は前記孔よりも大きなサイズとされ、前記連結ブロックよりも遠位側に位置し、前記連結ブロックが延出位置と格納位置との間で変位可能であり、前記延出位置では前記管状部材から延出して前記ハウジングの前記近位端部と係合するようになされ、前記格納位置では前記管状部材の前記ルーメン内に位置して前記ハウジングから外され、前記駆動ワイヤの前記拡大部分は前記駆動ワイヤの近位方向での引き込みによって前記連結ブロックに係合し該連結ブロックを前記延出位置から前記格納位置に動かして該連結ブロックを前記ハウジングから外すようになされている請求項14に記載の医療システム。
【請求項17】
前記連結ブロックが遠位フランジ及び近位フランジを有し、それらの間に縮径部分を画定し、前記管状部材が前記ルーメン内に突出して前記縮径部分内に位置して前記連結ブロックの長手方向での動きを制限するピン又はタブを有している請求項16に記載の医療システム。
【請求項18】
間にスロットを有する2つの歯によって画定されるフォーク状ストラットを有するロック部材を更に備え、前記スロットは前記駆動ワイヤを受け入れるサイズとされ、前記管状部材は前記フォーク状ストラットを受け入れて前記連結ブロックの長手方向の動きを制限するとともに前記連結ブロックが前記管状部材から延出した状態とする開口を有するようにされている請求項17に記載の医療システム。
【請求項19】
前記医療システムが、前記駆動ワイヤの前記拡大部分が前記長手方向での第1の位置から順次近位方向にずれた第2の長手方向位置、第3の長手方向位置及び第4の長手方向位置からなる4つ長手方向位置に対応する4つの状態で作動可能とされており、
前記第1の長手方向位置では、前記拡大部分が前記ガイド面の前記遠位部分内にあって前記ソケットが前記駆動ワイヤとしっかりと係合し、
前記第2の長手方向位置では、前記拡大部分が前記ガイド面の前記近位部分内にあって前記ソケットが前記駆動ワイヤに緩く解放可能に係合し、
前記第3の長手方向位置では、前記ソケットが前記拡大部分から外れ、
前記第4の長手方向位置では、前記拡大部分が前記連結ブロックに係合して該連結ブロックを前記延出位置から前記格納位置にして前記ハウジングから外すようになされている請求項16に記載の医療システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
従来、クリップは、止血、マーキング、および/または結紮の目的で体腔の生体組織を把持するために、内視鏡を介して体腔に導入することができる。このようなクリップは、多くの場合、外科用クリップ、内視鏡クリップ、止血クリップ、および血管クリップとして知られている。加えて、クリップは、現在、消化管出血、例えば、消化性潰瘍、マロリー・ワイス裂傷、デュラフォイ潰瘍、血管腫、乳頭切開後の出血(post−papillotomy bleeding)、および活動性出血を有する小静脈瘤に関連した多数の用途で使用されている。クリップはまた、胃穿孔を閉じる際にも使用が試みられてきた。
【0002】
消化管出血は、処置されずに放置されるとしばしば致命的となるやや一般的な深刻な状態である。この問題は、止血を実現するための多数の内視鏡的治療アプローチ、例えば、硬化剤の注入や接触熱凝固技術の発展を促してきた。このようなアプローチは、多くの場合有効であるが、多くの患者で出血が続くため、矯正外科手術が必要となる。外科手術は、高い死亡率および多くの他の望ましくない副作用を伴う侵襲的な技術であるため、極めて有効な低侵襲性の処置が要望されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
機械的止血装置、例えば、クリップは、消化管への適用を含め、体の様々な部位に使用されてきた。しかしながら、従来の止血装置およびクリップに関連する問題の1つは、多くの装置が、永久的に止血するのには十分な強度でないことである。さらに、クリップは、胃または消化管の穿孔を閉じる際にも使用が試みられてきたが、残念ながら、従来のクリップは、配置が困難であり、把持できる組織の量が限定されているため、不完全な閉鎖となる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下の態様の様々な組み合わせのいずれも包含し、以下の記述または添付の図面に示される態様以外の態様も包含し得る。
【0005】
第1の態様では、組織を係合する医療装置が提供され、この医療装置は、ハウジング、第1および第2のジョー、駆動装置、細長い駆動ワイヤ、ならびに細長い管状部材を備えている。ハウジングは、その近位端部と遠位端部との間に延在する内部通路および長手方向軸を画定している。第1および第2のジョーは、ハウジングに対して回動可能であり、近位端部および遠位端部を有する。駆動装置は、第1および第2のジョーの近位端部に係合し、この駆動装置の長手方向の移動により、第1および第2のジョーがハウジングに対して回動する。細長い駆動ワイヤは、駆動装置と共に長手方向に移動するようにこの駆動装置に選択的に接続され、この駆動ワイヤは、その遠位端部の近傍に拡大部分を有する。細長い管状部材は、連結ブロックを摺動可能に収容する大きさのルーメンを画定している。連結ブロックは、駆動ワイヤを摺動可能に収容する孔を画定し、駆動ワイヤの拡大部分は、この孔よりも大きく、連結ブロックの遠位側に配置される。連結ブロックは、延出位置と格納位置との間で移動可能である。連結ブロックは、延出位置では、管状部材から突き出て、ハウジングの近位端部に係合するように構成されている。連結ブロックは、格納位置では、管状部材のルーメン内に配置されて、ハウジングから取り外されている。駆動ワイヤの拡大部分は、駆動ワイヤが近位側に引き戻されると連結ブロックに係合して、管状部材がその延出位置からその格納位置に移動して、連結ブロックが、ハウジングから取り外される。
【0006】
さらに詳細な態様によると、連結ブロックは、好ましくは、ハウジングに摩擦係合する大きさである。連結ブロックは、複数のタブを有する連結リングを備えることができ、ハウジングは、複数のタブを受容する、ハウジングの近位端部まで延びた複数のスロットを備えている。複数のスロットはそれぞれ、スロットの近位部分と遠位部分に分離する狭い喉部を備えることができる。ハウジングは、そのハウジングに形成された複数のスリットをさらに備えることができ、各スリットは、ハウジングの可撓性を向上させるためにスロットの遠位部分につながっている。連結ブロックは、遠位フランジおよび近位フランジを備え、これらのフランジの間に縮径部が画定されており、管状部材が、ルーメン内に突き出て縮径部内に配置された、連結ブロックの長手方向の移動を制限するピンおよびタブの1つを備えている。連結ブロックは、この連結ブロックに取り付けられた圧縮可能な部材も備えることができ、圧縮可能な部材は、ハウジングの内面と連結ブロックの外面との間で圧縮される大きさである。
【0007】
さらに詳細な態様によると、システムは、管状部材の遠位端部取り付けられたアタッチメント部材をさらに備え、このアタッチメント部材は、管状部材のルーメンに連通した通路を備えている。アタッチメント部材は、好ましくは、通路に連通したアタッチメント部材の端部間に直径方向に対向する開口を備えている。連結ブロックは、遠位フランジおよび近位フランジを備え、これらのフランジの間に縮径部が画定されており、アタッチメント部材は、好ましくは、ルーメン内に突き出て縮径部内に配置された、連結ブロックの長手方向の移動を制限する少なくとも1つのタブを備え、このタブは、アタッチメント部材と単一かつ一体に形成されている。システムは、間にスロットを有する2つの歯によって画定されたフォーク状ストラットを有するロックピンをさらに備えることができる。スロットは、駆動ワイヤを受容する大きさであり、フォーク状ストラットは、アタッチメント部材の対向する開口を通過して連結ブロックの長手方向の移動を制限する大きさである。システムは、左側本体が右側本体に摺動可能に取り付けられたアプリケータをなおさらに備えることができ、左側および右側本体は、管状部材およびアタッチメント部材の一部を受容して、それらの位置をアプリケータに対して維持する大きさおよび形状の溝を備えている。これらの溝は、ロックピンの各部を受容する大きさおよび形状であり、左側本体と右側本体との相対的な移動により、ロックピンのフォーク状ストラットが、アタッチメント部材の対向する開口に対して進入する、または引き抜かれる。あるいは、アプリケータは、主本体およびこの主本体から突き出たフォーク状ストラットを単純に有することができ、フォーク状ストラットは、間にスロットを有する2つの歯によって画定され、このスロットは、駆動ワイヤを受容する大きさであり、フォーク状ストラットは、アタッチメント部材の対向する開口を通過して連結ブロックの長手方向の移動を制限する大きさである。
【0008】
なおさらに詳細な態様によると、駆動ワイヤの拡大部分は、拡大遠位ヘッドであり、駆動装置は、近位側に面した、この遠位ヘッドを受容するソケットを備えている。駆動装置は、曲がってソケットの大きさを調節する弾性材料から形成されている。ソケットは、駆動ワイヤの拡大遠位ヘッドを選択的に受容する大きさである。ロックタブを、ソケットの入口部に位置することができ、このロックタブの移動により、入口部の大きさが変化する。好ましくは、駆動装置は、ソケットの対向する面に2つのロックタブを備え、ハウジングは、駆動装置の長手方向の移動を案内するガイド面を備え、このガイド面は、2つのロックタブに対応するハウジングの対向する面に2つの表面を備えている。ハウジングはまた、ガイド面の近位部分と遠位部分との間の移行部に肩を画定することができ、ロックタブは、この肩に係合して駆動装置の長手方向の移動を制限するように配置されている。駆動装置に対する遠位側への長手方向の力が、駆動装置ならびに第1および第2のジョーの遠位方向における長手方向の移動を可能にする所定の力に達すると、肩は、この肩に係合する位置までタブを曲げるのが好ましい。
【0009】
本発明は、以下の態様の様々な組み合わせのいずれも包含し、以下の記述または添付の図面に示される態様以外の態様も包含し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の教示に従って構成された、組織を係合する医療装置を含む医療システムの平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に類似した平面図であるが、外部構造を点線で示し、内部のセクションを実線で示す、部分断面である。
【
図3】
図3は、
図1に示されている医療システムおよび医療装置の側面図である。
【
図4】
図4は、
図3に類似した側面図であるが、外部構造を点線で示し、内部構造を実線で示す、部分断面である。
【
図5】
図5は、
図1〜
図4に示されている医療システムの一部である医療装置の側面図である。
【
図6】
図6は、
図1〜
図5に示されている医療システムおよび医療装置の一部を構成するハウジングの正面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示されているハウジングの斜視図である。
【
図8】
図8は、
図1〜
図5に示されている医療システムおよび医療装置の動作を示す側面図である。
【
図9】
図9は、
図1〜
図5に示されている医療システムおよび医療装置の動作を示す側面図である。
【
図12】
図12は、
図1〜
図5に示されている医療システムおよび医療装置の動作を示す部分断面平面図である。
【
図13】
図13は、
図1〜
図4に示されている医療システムおよび医療装置の動作を示す部分断面平面図である。
【
図14】
図14は、
図1〜
図4に示されている医療システムおよび医療装置の動作を示す部分断面平面図である。
【
図17】
図17は、
図1の医療システムの一部を構成する連結ブロックの代替の実施形態の斜視図である。
【
図19】
図19は、
図1の医療システムおよび医療装置の一部を構成するハウジングの代替の実施形態の斜視図である。
【
図23】
図23は、
図1に示されている医療システムおよび医療装置の一部の別の代替の実施形態の斜視図である。
【
図24】
図24は、
図1に示されている医療システムの別の実施形態の斜視図である。
【
図27】
図27は、
図26に示されているロックピン用のアプリケータの操作を示す斜視図である。
【
図28】
図28は、
図26に示されているロックピン用のアプリケータの操作を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で使用される用語「近位」および「遠位」は、使用者に対する基準点を示すことを目的としている。特に、本明細書において、用語「遠位」および「遠位側に」は、使用者から通常は遠い位置、方向、または向きを指し、用語「近位」および「近位側に」は、使用者に対して通常は近い位置、方向、または向きを指すものとする。
【0012】
組織T(
図11)に係合する医療装置40を有する例示的な医療システム20が、
図1〜
図4に示されている。医療システム20および装置40は、通常は、内視鏡(不図示)または他の検査鏡のワーキングチャネルを介して動作できるような大きさおよび構造であるが、医療システム20および装置40は、単独で使用しても良いし、または他の細長い装置、例えば、カテーテル、光ファイバー可視化システム、および針などと共に使用しても良い。通常は、医療システム20は、医療装置40への選択的な接続およびその動作のために、細長いカテーテル24の遠位端部23内に摺動可能に収容された駆動ワイヤ22を含む。本明細書にさらに詳細に説明されるように、医療装置40は、通常は、組織Tに係合するように第1のジョー44および第2のジョー46が回動可能に接続されたハウジング42を備えている。通常は、ジョー44、46は、把持鉗子を形成するように示されているが、これらのジョーは、組織をクリップするため、例えば、開口を閉じるため、または止血目的で使用するためのものである。したがって、本発明の教示に従って、ジョーの形状および構造が、様々な形態をとり、多くの目的および機能に役立ち得ることを理解されたい。
【0013】
医療システム20では、駆動ワイヤ22は、カテーテル内24に摺動可能に延在する。用語「ワイヤ」は、駆動ワイヤ22を指すために使用するが、長手方向の力を一定距離(例えば、典型的な内視鏡処置、腹腔鏡処置、および同様の処置に必要とされる距離)に亘って伝達することができる任意の細長い制御部材を使用することができ、制御部材には、プラスチックロッドもしくはチューブ、および単一フィラメントワイヤもしくはマルチフィラメントワイヤなどが含まれることを理解されたい。連結ブロック26が、カテーテル24の遠位端部23内に摺動可能に収納されており、この連結ブロック26は、駆動ワイヤ22を内部に摺動可能に収納する孔28を画定している。連結ブロック26の外面は、凹部27を備えており、2つのピン30(例えば、ステンレス鋼ワイヤから形成された)が、カテーテル24に接続され、凹部27内に配置されて、連結ブロック26の長手方向の移動を制限する。
【0014】
駆動ワイヤ22の遠位端部が、駆動ワイヤ22よりも大きく、かつ連結ブロック26の孔28よりも大きい遠位ヘッド32を画定している。本明細書で後に説明するように、遠位ヘッド32は、カテーテル24内で連結ブロック26を摺動させて医療装置40を医療システム20から取り外すために使用される。また、
図1〜
図4に示されているように、医療装置40のハウジング42は、内部空間43を画定する管状部材である。ハウジング42の近位端部は、連結ブロック26と選択的に接続するために内部空間43内でこの連結ブロック26の遠位端部を摩擦保持する。
【0015】
ハウジング42の内部通路43はまた、第1および第2のジョー44、46、ならびに駆動ワイヤ22をこれらのジョー44、46に相互接続するために使用される駆動装置48も収容している。
図1、
図2、および
図5に最も良く示されているように、駆動装置48は、駆動ワイヤ22の拡大遠位ヘッド32を収容する大きさのソケット50を画定している近位部分を有する。ソケット50の近位側入口部において、2つの可撓性ロックタブ52が形成されており、これらのロックタブ52は、駆動装置48の残りの部分に対して回動してソケット50のサイズを拡大または縮小する。ロックタブ52は、別個に形成して、駆動装置48に回動可能に取り付けても良いし、または駆動装置48と一体に形成しても良く、ロックタブ52の径方向内側および径方向外側の回動を可能にするように曲がる弾性材料から形成される。好ましくは、ロックタブ52は、塑性変形可能であるため、本明細書でさらに説明されるように、駆動ワイヤ22またはハウジング42にロックすることができる。
【0016】
駆動装置48の遠位部分は、ジョー44、46に係合して作動させるためのラック54を画定している。図示されている実施形態では、ラック54は、中心棘状部(central spine)56を備え、この棘状部56の両側から歯58が突き出ている。棘状部56の一側における一組の歯58が、通常は第1のジョー44を作動させ、この棘状部56の他側における他の組の歯58が、第2のジョー46を作動させる。ラック54は、ジョー44、46と相互作用する唯一組の歯または他の歯付き構造を備えても良いことを理解されたい。
【0017】
図5に最も良く示されているように、第1および第2のジョー44、46は、組織を把持して係合するように構成された遠位端部60、62を備え、これらの遠位端部60、62は、通常は、参照によりその全容が本明細書に組み入れられる2008年12月31日出願の米国仮特許出願第61/141,934号明細書に開示されているような鉤爪形を有する。第1および第2のジョー44、46の近位端部64、66はそれぞれ、一連の歯を有するピニオン68、70を備えている。ピニオン68、70の歯は、駆動装置48のラック54の歯と噛合しているため、駆動装置48の長手方向の移動により、第1および第2のジョー44、46が互いに対して回動する。通常は、駆動装置48の遠位側への移動により、第1および第2のジョー44、46は互いに離れる外側に回動し、駆動装置48の近位側への引き戻しにより、第1および第2のジョー44、46は互いに向かって内側に回動する。ピン80が、ジョー44、46をハウジング42に回動可能に接続するためにこれらのジョーの近位端部に受容されている。回動可能な接続部を形成する他の構造も使用することもでき、好ましくは、回動可能な接続部は、ピニオン68、70に対して中心に配置される。
【0018】
ジョー44、46がハウジング42に回動可能に取り付けられているのに加えて、第1および第2のジョー44、46は、ハウジング42に摺動可能にも取り付けられている。
図6および
図7(そして
図1〜
図4と共に)に最も良く示されているように、ハウジング42は、第1のジョー44の第1のガイド面82、および第2のジョー46の第2のガイド面84を画定している。
図3に示されているように、第1および第2のガイド面82、84は、ハウジング42の対向する面に形成された細長いスロット82a、82b、84a、84bによって形成されており、これにより、ハウジング42の肉厚が露出されてガイド面として機能する。スロット82a、82bは、第1のジョー44の接続ピン80を受容するように整合しており、同様にスロット84a、84bも、第2のジョー46の接続ピン80を受容するように整合している。スロットの端部、例えば、
図7に示されている遠位端部92、94は、ジョー44、46のハウジング42に対する長手方向の移動を制限する働きをする。ジョー44、46の近位端部64、66は、第1および第2のジョー44、46をハウジング42に対して摺動可能かつ回動可能に接続するために使用されるピン80(
図1、
図2、および
図3)を受容する開口72、74を備えている。
【0019】
図6および
図7から分かるように、ハウジング42は、その内部において駆動装置48の長手方向の移動を案内する第3のガイド面86を画定している。図示されている実施形態のガイド面86は、C形の溝として形成された左ガイド面86aおよび右ガイド面86bを備えている。
図7に示されているように、第3のガイド面86は、狭い近位側の幅から広い遠位側の幅に移行して、その移行部に肩88を画定しており、これについては
図13および
図14を参照して詳細に後述する。
【0020】
また、
図6に示されているように、ハウジング42の内部通路43が、ハウジングの遠位端部を貫通しており、この内部通路内に第1および第2のジョー44、46を収容することができる。加えて、
図1および
図2に示されているように、ハウジング42は、対向するスロット45を画定しており、これらのスロット45は、第1および第2のジョー44、46が径方向外側に回動するときに、これらのジョーがこれらのスロット45を通過できる大きさである。したがって、第1および第2のジョー44、46がハウジング42の内部通路43内に完全にまたは部分的に収容されているときに、ハウジング42が、第1および第2のジョー44、46の回動を防止する役割を果たすことが
図1および
図2からも明らかである。ハウジングを形成するのに適したプラスチックには、限定されるものではないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、発泡ポリテトラフルオロエチレン(EPTFE)、ポリエチレンエーテルケトン(PEEK)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエチレン(高密度、中密度、または低密度)が含まれ、適切な金属には、ステンレス鋼、ニチノール、および同様の医療グレードの金属および合金が含まれる。
【0021】
ここで、
図8〜
図12を参照して、医療装置40の動作を説明する。
図8に示されているように、第1および第2のジョー44、46は、ハウジング42内に実質的に収容された格納位置で示されている。適用例によっては、ジョー44、46の遠位端部60、62は、その格納位置で、ハウジング42の遠位端部から僅かに突き出ても良いし、またはハウジング42内に完全に収容されても良い。駆動ワイヤ22が遠位側(
図8の頁の右側)に移動すると、遠位ヘッド32が駆動装置48に係合し、この駆動装置48のラック54が、ジョー44、46の近位端部64、66にあるピニオン68、70に噛合しているため、駆動装置48およびジョー44、46は、ハウジング42がジョー44、46の回動を防止するのでハウジング42内を遠位側に摺動する。既に述べたように、この長手方向の移動は、ジョー44、46をハウジング42に摺動可能かつ回動可能に接続するピン80を受容する第1および第2のガイド面82、84によって案内される。
【0022】
図9に示されているように、第1および第2のジョー44、46は、これらのジョーがハウジング42の遠位端部から実質的に突き出た延出位置を有し、これらの近位端部64、66は、ハウジング42の遠位端部に近接している。したがって、駆動ワイヤ22、従って駆動装置48のさらなる遠位側への前進により、ピニオン68がラック54の歯58に対して回動することが分かるであろう。
図10に最も良く示されているように、第1および第2のジョー44、46は、組織を受け取る位置まで互いに径方向外側に回動する。注目すべきは、ハウジング42の遠位端部のスロット45の存在により、ジョー44、46が、完全に90度回動することができ、従ってジョー間の角度が少なくとも180度になる。スロット45の大きさの変更ならびにラック54およびピニオン68、70の構造によって、第1および第2のジョー44、46を互いに対してさらに離れる方向に回動させることができることを理解されたい。
【0023】
図10に示されている組織を受け取る構造で、医療装置40およびそのジョー44、46を、組織Tに近接して配置することができる。
図11に示されているように、組織Tを第1および第2のジョー44、46間に配置して、これらのジョー44、46を、
図9に示されている元の位置に向かって回動させることができる。組織Tは、単層として示されているが、多層でもジョー44、46間にクリップすることができる。通常は、駆動ワイヤ22および駆動装置48の近位側への引き戻しにより、第1および第2のジョー44、46が、再び回動して組織Tをこれらの間に把持する。
図12に示されているように、駆動ワイヤ22および駆動装置48の近位側へのさらなる引き戻しにより、ジョー44、46が、近位方向(
図12の頁の左側)かつ長手方向に移動する。
【0024】
医療装置40が、クリップとして機能して組織Tに対するその把持を維持する、または2層の組織の互いに対するクリップを維持するために、ジョー44、46を所定の位置にロックして、医療システム20の駆動ワイヤ22を、医療装置40から取り外すことができる。
図13に示されているように、第3のガイド面86(駆動装置48を案内する)は、近位部分86pおよび遠位部分86dを備えている。第3のガイド面86の近位部分86pは、第3のガイド面86の遠位部分86dの幅よりも広い幅(
図13の頁において上と下との間を測定)を有する。既に述べたように、第3のガイド面86は、ハウジング42の対向する表面またはC形の溝形材86a、86bによって形成されている。近位部分86pと遠位部分86dとの間の移行部は、肩88、すなわちハウジング42の対向する側面における2つの肩88a、88bを画定している。肩88a、88bは、駆動装置48に設けられたロックタブ52に係合する大きさおよび位置にある。
【0025】
図13に示されているように、駆動装置48が、第3のガイド面86の遠位部分86d内に位置するときは、ロックタブ52が、径方向内側に押圧されて駆動ワイヤ22と強く摩擦係合している。言い換えれば、遠位ヘッド32を収容するように駆動装置48によって形成されたソケット50は、ロックタブ52の内側への湾曲によって狭くなった入口部を有する。
図13に示されているこの状態では、駆動ワイヤ22は、駆動装置48、従って第1および第2のジョー44、46に強く係合している。駆動ワイヤ22および駆動装置48が、例えば、
図12に示されているように組織を把持した状態で近位側に引き戻されると、駆動装置48の近位端部が、ロックタブ52の外側への移動を可能にする広い幅を有する第3のガイド面86の近位部分86p内に収容される。したがって、
図14に示されている状態では、ロックタブ52は、駆動ワイヤ22の遠位ヘッド32に緩く取り外し可能に結合することができる。ただし、ジョー44、46の近位側への引き戻しは、ハウジング42の遠位端部に係合する組織Tによって、または第1および第2のガイド面82、84を画定しているスロット82a、82b、84a、84bの近位端部にピン80が当接することによって制限される。したがって、ジョー44、46および駆動装置48の近位側への引き戻しがこのように制限されると、駆動ワイヤ22およびその遠位ヘッド32をさらに近位側に移動させて、遠位ヘッド32を駆動装置48のソケット50から引き抜くことができる。また、この動作を用いて、例えば、塑性変形によって、ロックタブ52を径方向外側にさらに曲げてこの外側の位置にして、ジョーの閉じた構造を維持することができる。組織Tの自然の弾性が、ジョー44、46をハウジングからその延出位置に向かって引っ張ろうとする場合、ロックタブ52が、ハウジング42の第3のガイド面の肩88a、88bに当接して、ジョー44、46のさらなる遠位側への移動を防止する。
【0026】
ここで
図15および
図16を参照すると、駆動ワイヤ22および遠位ヘッド32がなおさらに近位側に引き戻されると、拡大遠位ヘッド32が、カテーテル24の遠位端部23内に摺動可能に嵌合された連結ブロック26に当接する。駆動ワイヤ22に対する十分な近位側への力が、連結ブロック26とハウジング42の近位端部との間の摩擦嵌合に打ち勝つと、
図16に示されているように、連結ブロック26が近位側(
図15および
図16の頁の右側)に移動して、連結ブロック26が管状コネクタ24内に格納される。駆動ワイヤ22および連結ブロック26を近位側に引きながら、カテーテル24を使用してハウジング42に反対の力を加えることができる。したがって、駆動ワイヤ22、カテーテル24、および連結ブロック26を、医療装置40から完全に取り外すことができ、従って、組織Tが第1および第2のジョー44、46間にクリップされて生体内に維持された状態でこれらのジョー44、46およびハウジング42が残置される。連結ブロック26は、ピン30によってカテーテル24の遠位端部23に維持され、このピン30は、凹部27内に配置されて、連結ブロック26の近位端部および遠位端部に係合して連結ブロック26の長手方向の移動を制限する。
【0027】
細長いカテーテル24(または他の細長い管状部材、例えば、シース、チューブ、または検査鏡など)は、駆動ワイヤ22を摺動可能に収容し、システム20の近位端部まで駆動ワイヤ22に沿って近位側に延び、かつ体内の任意の所望の位置に装置40を配置するのに適した長さを有する一方、駆動ワイヤ22およびカテーテル24の近位端部は、医療従事者が使用するために体外に位置している。駆動ワイヤ22とカテーテル24の相対的な移動を制御する操作ハンドル(不図示)は、当該技術分野で周知であり、システム20の近位端部で使用することができる。
【0028】
図17〜
図22に示されている医療システム120の別の実施形態では、連結ブロック126が、カテーテル24(
図20〜
図22)の遠位端部23内に摺動可能に嵌合され、この連結ブロック126は、駆動ワイヤ22を摺動可能に収容する貫通孔128(
図18)を画定している。
図17〜
図18に最も良く示されているように、連結ブロック126の外面は、近位フランジ132および遠位フランジ134を画定している縮径部127を備えている。この実施形態では、遠位フランジ134は、近位フランジ132よりも大きく(長手方向に)、クリップ装置140の管状ハウジング142の内径よりも僅かに小さい(すなわち、摩擦嵌合しない)。この場合、連結リング136が、遠位フランジ134に取り付けられており、この連結リング136は、径方向外側に突き出た、ハウジング142に結合する複数のタブ138を備えている。
【0029】
図19に最も良く示されているように、ハウジング142の近位端部は、連結リング136のタブ138に対応する複数のスロット144を備えている。スロット144は、ハウジング142の端面から長手方向に延び、スロット144の遠位部分にタブ138を維持する大きさである狭窄部または喉部146を備えている。複数のスリット148を、スロット144の遠位端部のハウジング142に形成して、スロット144にさらなる可撓性を付与して、タブ138がスロット144の喉部146を通過するときにスロット144の僅かな拡張を可能にすることができる。ハウジング142は、タブ138がスロット144を通過するのに十分な可撓性を有し、しかも上述のようにジョーおよび駆動装置を案内するガイド面を形成するのに十分な剛性も有する適切なプラスチック又は金属(またはこれらの組み合わせ)から形成することができる。一連の
図20〜
図22に示されているように、連結ブロックは、まずハウジング142の近位端部内に配置され、タブ138がスロット144の遠位部分内にロックされ、喉部146によって所定の位置に保持される。駆動ワイヤ22およびその遠位ヘッド32が近位側に引き戻されて連結ブロック126に係合すると(例えば、
図15〜
図16を参照)、
図21に示されているように、連結ブロック126が、ハウジング142に対して近位側に移動して、タブ138が喉部146を通過してスロット144の近位部分に移動する。駆動ワイヤ22および/またはカテーテル24をさらに近位側に移動させて、
図22に示されているように、クリップ装置40を、カテーテル24および駆動ワイヤ22から取り外すことができる。
【0030】
医療システム220の連結ブロック226のなお別の実施形態では、
図23に示されているように、ブロック226は、同様に、近位フランジ232および遠位フランジ234によって画定された孔228および縮径部227を備えている。この実施形態では、遠位フランジ234は、その外面に嵌められるOリング236または他の同様のガスケットもしくは圧縮可能な部材(例えば、エラストマーまたはゴムから形成されたディスクまたは個々のタブ)を備えている。連結ブロック226は、Oリング236を受容する溝を備えても良いし、または摩擦嵌め、接着剤、結合技術、例えば、プラスチック溶接、又は他の機械的結合構造によってOリングを取り付けても良い。Oリング236は、連結ブロックとハウジング242の近位端部244との間に摩擦嵌めを実現する大きさである。近位端部244はまた、連結ブロック226とハウジング242との相互接続を案内するよう、面取り部246または他の傾斜面を備えるように形成することもできる。
【0031】
当業者であれば、駆動ワイヤ22およびその遠位ヘッド32を同様に、駆動装置48およびそのソケット50に接続することができ、従って医療装置のさらなる操作によって、クリップされた組織Tを調節可能であることを理解できよう。同様に、追加の医療装置を、留置のために医療システム20の駆動ワイヤ22および管状コネクタ24に取り付けることができ、例えば、組織Tをクリップするための複数の装置40を使用して、穿孔を閉じる、または止血を達成することができる。通常は、駆動ワイヤ22に固定される支持リング34(
図1〜
図4)を、駆動ワイヤ22の遠位側への移動を制限するために使用することができ、かつ連結ブロック26に当接する位置まで遠位側に前進させることができる。したがって、駆動ワイヤ22および支持リング34を使用して連結ブロック26を管状コネクタ24から遠位側に押し出して、連結ブロック26を、新たな医療装置(例えば、40)または既に配置されている医療装置40のハウジング(例えば、42)に取り付けることができる。あるいは、使用者は、別の医療装置に接続するために連結ブロック26を管状コネクタ24から遠位側に手動で(すなわち、指または器具を用いて)押し出すことができる。
【0032】
図24〜
図29は、上記に従った医療システム20内へのクリップ装置40の装着を容易にする様々な代替の実施形態および装置を示している。
図24では、カテーテルアタッチメント330は、貫通する内部通路332を画定している管状部材の形態をとる。カテーテルアタッチメント330の近位端部331は、
図25に示されているように、カテーテル24の遠位端部に(例えば、摩擦嵌め、接着剤、プラスチック結合または溶接、機械的コネクタなどによって)接続できる大きさである。カテーテルアタッチメント330は、
図25に最も良く示されているように、カテーテル24および通路332内に延在する制御ワイヤ22へのアクセスを可能にする一対の直径方向に対向する開口334を備えている。カテーテルアタッチメント330は、4箇所にU型のカットアウト部336を備え、これらのカットアウト部336は、タブ338を形成している。タブ338は、
図25に示されているように径方向内側に曲げることができるため、前の実施形態に示されているカテーテル24のピン30の代わりに使用することができる。すなわち、タブ338は、
図17〜
図22を参照して説明したように、通路332内に突き出て、連結プラグ126の縮径部127内に収容される。ピン30と同様に、タブ338は、連結ブロック126の長手方向の移動を制限するが、連結ブロック126および制御ワイヤ22およびカテーテル24の回動は許容する。
【0033】
カテーテルアタッチメント330の大きい開口334により、別のクリップ装置40の取り付けのために、連結ブロック126にアクセスしてこれを延出位置に保持することができる。
図26を参照すると、ロックピン350が示されており、このロックピン350は、
図25に示されている延出位置に連結ブロック126を保持するために、開口334およびカテーテルアタッチメント330を介して配置することができる。ロックピン350は、フランジ354が側方に突き出ている主本体352を備えている。フランジ354から、同様に主本体352から側方に突き出たフォーク状ストラット356が突き出ている。フォーク状ストラット356は、2つの歯358を備え、これらの歯358は、離隔して間にスロット360を画定している。スロット360は、駆動ワイヤ22を受容する大きさであり、カテーテルアタッチメント330の開口334を介して全体を配置できる間隔である。このようにして、ロックピン350は、組織をクリップする別の装置40の取り付けのために、連結ブロック126の近位側への移動を防止してこの連結ブロック126を所定の位置に保持する。
【0034】
図27および
図28は、カテーテルアタッチメント330の開口334を介してロックピン350を配置するためのアプリケータ400を示している。アプリケータ400は、通常は、左側本体402および右側本体404を備え、これらの本体はそれぞれ、医療従事者の指を受容するための開口406、408を画定している。左側および右側本体402、404は、例えば、右側本体404に形成された通路412内に摺動可能に受容される左側本体402から突き出た複数のロッド410を用いて、互いに摺動可能に接続される。左側および右側本体402、404はまた、カテーテル24およびロックピン350の配置のためのカテーテルアタッチメント330を受容するための溝も備えている。具体的には、これらの溝は、カテーテル24を受容する大きさの下側部分414、およびカテーテルアタッチメント330を受容する大きさの上側部分416を備えている。上側溝部分416はまた、ロックピン350を受容する凹部も備え、具体的には、左側本体402は、ロックピン350の主本体352およびフランジ354を受容するための凹部418aを備える一方、右側本体404は、ロックピン350の歯358の端部を受容するための凹部418bを備えている。したがって、
図28に示されているように、カテーテル24の遠位端部およびそのカテーテルアタッチメント330を、右側本体404の溝414、416に配置し、次いで左側本体402を移動させて右側本体404に係合させ、歯358が制御ワイヤ22の周りに配置されるようにロックピン350をカテーテルアタッチメント330の開口334内に配置して、連結ブロック126の近位側への移動を防止し、これによりクリップ装置40、140のハウジング42、142を連結ブロック26、126、226に押圧できるようにすることができる。
【0035】
最後に、
図29は、連結ブロック26、126、226を延出位置に維持するためのアプリケータ500の別の実施形態の斜視図を示している。
図24〜
図28の実施形態と同様に、カテーテル24は、既に説明したようにカテーテルアタッチメント330を備えている。ここで、アプリケータ500は、医療従事者の2本の指の間に把持するための凹部504を両側に備えた単一把持部材502である。凹部504は、本体502の一側で開口しているが、その反対側は、スロット560を画定する離隔した2つの歯558を有するフォーク状ストラット556を備えている。前の実施形態と同様に、歯558は、カテーテルアタッチメント330の開口334を通過する大きさであり、駆動ワイヤ22がスロット560内に受容されるため、連結ブロック126の近位側への移動が防止されて、連結ブロック126が、組織をクリップする別の装置40の取り付けのためにその延出位置に維持される。
【0036】
結合/結合解除機構および医療システム20のさらなる実施形態は、参照によりその全容が本明細書に組み入れられる同時係属の米国仮特許出願第61/391,875号明細書および同第61/391,881号明細書に開示されている。
【0037】
本発明の様々な実施形態の上記説明は、例示および説明のために示したものである。開示した正確な実施形態に本発明が網羅される、または正確な実施形態に本発明が限定されることを意図するものではない。上記の教示から、多数の変更または変形が可能である。上述の実施形態は、本発明の原理を最も良く示す例として選択し、記載したものであり、本発明を実際に適用することにより、当業者が、様々な実施形態、および特定の用途に適すると考えられる様々な変更が加えられた実施形態に本発明を利用することができる。このような変更形態および変形形態はすべては、添付の特許請求の範囲が公正に、法的に、かつ衡平的に認められる範囲に従って解釈したときに、この特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内である。