【実施例】
【0076】
実施例1
(Bi,Pb)−2223の出発粉末は、Bi
1.84Pb
0.35Sr
1.91Ca
2.05Cu
3.05Ag
1.2系の焼成した噴霧乾燥粉末の冷間静水圧プレス(300MPaの圧力)によって作製した焼結(835℃の温度、空気中、80時間)管(長さ=430mm、外径=50mm、および内径=47mm)を粉砕することで得た。
【0077】
次に、この出発粉末の一部について、400MPaで冷間静水圧プレスを行って、長さ(L)=122mm、外径(OD)=12.4mm、および内径(ID)=10.1mmの管を得た。その後、この方法で得た端面を有するこれらの(Bi,Pb)−2223管を、それらの間の接合部の形成に使用した。
【0078】
この粉末の別の部分は(Bi,Pb)−2223超伝導ペーストの作製に使用した。これらの超伝導管(1)の両方の末端部分において、長さ15mmの外面(2)を研磨し、続いて金属銀層(3)を溶射堆積した。電流接点(I)を形成するために、管の一方の端部の銀層に有孔銀シートを巻き付け、続いてもう1つの銀層を堆積した。これらの超伝導管(1)の端面(4)および長さ15mmの内面(5)を研磨して、新しい表面を露出させた。
【0079】
図1に示されるように超伝導体(1)の研磨された端面がある間隙で密接に接触し、電流接点(I)が外側になるように、L=15mm、O.D.=10.0mm、およびI.D.=6.0mmの大きさの銀ブッシュ(6)を、末端部分の内側に挿入することによって、1組のこのような管をまとめた。電流接点は
図2に示している。
【0080】
0.003gのリグニン粉末および0.06ml(0.9gに相当)のボイル有機アマニ油中の5gの(Bi,Pb)−2223粉末からなる改良(Bi,Pb)−2223ペースト(7)を、前記研磨された端面(4)、および端部内面(5)の上に塗装用ブラシを用いて直ちに塗布した。この改良ペーストがコーティングされた前記端面を互いに物理的に接触させて、それらのコーティングされた端面が互いに触れ合うようにした。
【0081】
次に、
図1に示されるように、改良ペーストを銀層(3)および物理的に接合した部分の上にも塗布し、続いて有孔銀シート(8)を巻き付け、続いて、金属銀噴霧堆積層(
図1には示さず)を形成した。
【0082】
最後に、長さ244mmの物理的に接合させた1組の管と、接合部分との組立体を、電気マッフル炉中、835℃において100時間空気中で焼結させて、接合させた管の組を得た。接合部分の超伝導性を調べると、この管の組の接合部は311Aの輸送電流を示すことが分かり、これは77K、0Tにおける構成要素/個別の構成管自体の値(330A)よりも低く、接合させた管の組のパーセント臨界電流(I
c)保持率は94%であった。この輸送電流の減少は、塗装用ブラシで超伝導ペーストを塗布した結果、接合部分に細孔/空隙が存在したためと思われる。
【0083】
しかし、改良超伝導ペーストを使用してこの実施例により得られた接合の組は、従来技術の方法よりも約3%向上した伝送性能を示している。
【0084】
得られた結果を表1に示す。
【0085】
実施例2
互いに接合させるための
図1に示されるような長さ(L)=122mm、外径(OD)=12.4mmおよび内径(ID)=10.1mmの(Bi,Pb)−2223管(1)を実施例1で説明した方法と同じ方法で作製した。
【0086】
改良(Bi,Pb)−2223超伝導ペーストを実施例1で説明した方法と同じ方法で作製した。
【0087】
実施例1において使用されるような塗装用ブラシを用いて改良超伝導ペーストを塗布するときの空隙、細孔などの形成を最小限にするために、別の方法を使用した。すなわち、周知の押出成形方法を使用して改良超伝導ペーストを塗布した。
【0088】
これらの超伝導管(1)の両方の末端部分において、長さ15mmの外面(2)を研磨し、続いて金属銀層(3)を溶射堆積した。電流接点(I)を形成するために、管の一方の端部の銀層に有孔銀シートを巻き付け、続いてもう1つの銀層を堆積した。これらの超伝導管(1)の端面(4)および長さ15mmの内面(5)を研磨して、新しい表面を露出させた。
【0089】
図1に示されるように超伝導体(1)の研磨された端面がある間隙で密接に接触し、電流接点(I)が外側になるように、L=15mm、O.D.=10.0mm、およびI.D.=6.0mmの大きさの銀ブッシュ(6)を、末端部分の内側に挿入することによって、1組のこのような管をまとめた。電流接点は
図2に示している。
【0090】
0.003gのリグニン粉末および0.06ml(0.9gに相当)のボイル有機アマニ油中の5gの(Bi,Pb)−2223粉末からなる改良(Bi,Pb)−2223ペースト(7)を、前記研磨された端面(4)、および端部内面(5)の上に、押出成形方法によって直ちに塗布した。この改良ペーストがコーティングされた前記端面を互いに物理的に接触させて、それらのコーティングされた端面が互いに触れ合うようにした。
【0091】
次に、改良ペーストを銀層(3)および物理的に接合した部分の上にも塗布し、続いて有孔銀シート(8)を巻き付け、続いて、金属銀噴霧堆積層を形成した。
【0092】
最後に、長さ244mmの物理的に接合させた1組の管と、接合部分との組立体を、電気マッフル炉中、835℃において100時間空気中で焼結させて、接合させた管の組を得た。2つの中空管の間の接合部分の超伝導性を調べると、この管の組の接合部は317Aの輸送電流を示すことが分かり、これは77K、0Tにおける個別の構成管自体の値(330A)よりも低く、接合させた管の組のパーセント臨界電流保持率は96%であった。
【0093】
この実施例により得られた接合の組は、前の実施例1よりも約2%向上した伝送性能を示している。このパーセント臨界電流保持率の向上は、超伝導ペーストの塗布に使用した押出成形方法によって、接合部における細孔/空隙などが減少したことを示唆している。
【0094】
得られた結果を表1に示す。
【0095】
実施例3
互いに接合させるための
図1に示されるような(Bi,Pb)−2223管(1)を実施例1で説明した方法と同じ方法で作製した。
【0096】
改良(Bi,Pb)−2223ペーストを実施例1で説明した方法と同じ方法で作製した。
【0097】
改良(Bi,Pb)−2223ペーストを実施例2で説明した方法と同じ押出成形方法で塗布した。
【0098】
接合部が擾乱されるのを防止するために、有孔銀シートが巻き付けられた物理的接合部分への金属銀噴霧堆積ステップを省略した。
【0099】
これらの超伝導管(1)の両方の末端部分において、長さ15mmの外面(2)を研磨し、続いて銀層(3)を堆積した。電流接点(I)を形成するために、管の一方の端部の銀層に有孔銀シートを巻き付け、続いてもう1つの銀層を堆積した。これらの超伝導管(1)の端面(4)および長さ15mmの内面(5)を研磨して、新しい表面を露出させた。
【0100】
図1に示されるように超伝導体(1)の研磨された端面がある間隙で密接に接触し、電流接点(I)が外側になるように、L=15mm、O.D.=10.0mm、およびI.D.=6.0mmの大きさの銀ブッシュ(6)を、末端部分の内側に挿入することによって、1組のこのような管をまとめた。電流接点は
図2に示している。
【0101】
0.003gのリグニン粉末および0.06ml(0.9gに相当)のボイル有機アマニ油中の5gの(Bi,Pb)−2223粉末からなる改良(Bi,Pb)−2223ペースト(7)を、前記研磨された端面(4)、および端部内面(5)の上に押出成形方法によって直ちに塗布した。この改良ペーストがコーティングされた前記端面を互いに物理的に接触させて、それらのコーティングされた端面が互いに触れ合うようにした。
【0102】
次に、
図1に示されるように、改良ペーストを銀層(3)および物理的に接合した部分の上にも塗布し、続いて有孔銀シート(8)を巻き付けた。
【0103】
最後に、長さ244mmの物理的に接合させた1組の超伝導管と、接合部分との組立体を、電気マッフル炉中、835℃において100時間空気中で焼結させて、接合させた管の組を得た。2つの中空管の間の接合部分の超伝導性を調べると、この管の組の接合部は324Aの輸送電流を示すことが分かり、これは77K、0Tにおける個別の構成要素自体の値(330A)よりもわずかに低く、接合させた管の組のパーセント臨界電流保持率は98%であった。
【0104】
この実施例により得られた接合の組は、前の実施例2よりも約2%向上した伝送性能を示している。このパーセント臨界電流保持率の向上は、有孔銀シートが巻き付けられた物理的接合部分に銀層を堆積するステップを省略することで、おそらくは接合部の擾乱が防止されたことを示唆している。
【0105】
得られた結果を表1に示す。
【0106】
実施例4
互いに接合させるための
図1に示されるような(Bi,Pb)−2223管(1)を実施例1で説明した方法と同じ方法で作製した。
【0107】
改良(Bi,Pb)−2223ペーストを実施例1で説明した方法と同じ方法で作製した。
【0108】
改良(Bi,Pb)−2223ペーストを実施例2で説明した方法と同じ押出成形方法で塗布した。
【0109】
実施例3と同じ方法で、有孔シートが巻き付けられた物理的接合部分への金属銀噴霧堆積層のステップを省略した。
【0110】
接合部を通る超伝導路をさらに改善させるために、別の方法を使用した。すなわち、銀ブッシュではなく(Bi,Pb)−2223(6)の超伝導ブッシュを使用した。接合部が接合部が弱い場合でさえも、電流が(Bi,Pb)−2223ブッシュを流れることができるように、(Bi,Pb)−2223ブッシュを作製した。このブッシュは、(Bi,Pb)−2223粉末を400MPaの圧力で冷間静水圧プレスすることによって作製した。次に、このブッシュの表面を研磨し、続いて、0.003gのリグニン粉末および0.06ml(0.9gに相当)のボイル有機アマニ油中の5gの同じ(Bi,Pb)−2223粉末からなる改良(Bi,Pb)−2223ペースト(7)の層をコーティングした。
【0111】
これらの超伝導管(1)の両方の末端部分において、長さ15mmの外面(2)を研磨し、続いて銀層(3)を堆積した。電流接点(I)を形成するために、管の一方の端部の銀層に有孔銀シートを巻き付け、続いてもう1つの銀層を堆積した。これらの超伝導管(1)の端面(4)および長さ15mmの内面(5)を研磨して、新しい表面を露出させた。
【0112】
図1に示されるように超伝導体(1)の研磨された端面がある間隙で密接に接触し、電流接点(I)が外側になるように、L=15mm、O.D.=10.0mm、およびI.D.=6.0mmの大きさの(Bi,Pb)−2223ブッシュ(6)を、末端部分の内側に挿入することによって、1組のこのような管をまとめた。電流接点は
図2に示している。
【0113】
0.003gのリグニン粉末および0.06ml(0.9gに相当)のボイル有機アマニ油中の5gの(Bi,Pb)−2223粉末からなる改良(Bi,Pb)−2223ペースト(7)を、前記研磨された端面(4)、および端部内面(5)の上に押出成形方法によって直ちに塗布した。この改良ペーストがコーティングされた前記端面を互いに物理的に接触させて、それらのコーティングされた端面が互いに触れ合うようにした。
【0114】
次に、
図1に示されるように、改良ペーストを銀層(3)および物理的に接合した部分の上にも塗布し、続いて有孔銀シート(8)を巻き付けた。
【0115】
最後に、長さ244mmの物理的に接合させた1組の超伝導管と、接合部分との組立体を、電気マッフル炉中、835℃において100時間空気中で焼結させて、接合させた管の組を得た。2つの中空管の間の接合部分の超伝導性を調べると、この管の組の接合部は330Aの輸送電流を示すことが分かり、これは77K、0Tにおける個別の構成要素自体の値(330A)と同じであり、接合させた管の組のパーセント臨界電流保持率は100%であった。
【0116】
この実施例により得られた接合の組は、前の実施例3よりも約2%向上した伝送性能を示している。このパーセント臨界電流保持率の向上は、金属銀ブッシュの代わりに超伝導ブッシュを使用したことで超伝導路が改善されたことを示唆している。
【0117】
得られた結果を表1に示す。
【0118】
実施例5
より長い管の間で接合部を形成するために、互いに接合させるための
図1に示されるような長さ(L)=320mm(前述のすべての実施例よりも長い)、外径(OD)=12.4mm、および内径(ID)=10.1mmの(Bi,Pb)−2223管(1)を実施例1で説明した方法と同じ方法で作製した。
【0119】
改良(Bi,Pb)−2223ペーストを実施例1で説明した方法と同じ方法で作製した。
【0120】
改良(Bi,Pb)−2223ペーストを実施例2で説明した方法と同じ押出成形方法で塗布した。
【0121】
実施例3と同じ方法で、有孔銀シート上への金属銀噴霧堆積層のステップを省略した。
【0122】
実施例4で説明した方法と同じ方法で、(Bi,Pb)−2223ブッシュを作製し、(Bi,Pb)−2223超伝導ペーストの層をコーティングした。
【0123】
これらの超伝導管(1)の両方の末端部分において、長さ20mmの外面(2)を研磨し、続いて銀層(3)を堆積した。電流接点(I)を形成するために、管の一方の端部の銀層に有孔銀シートを巻き付け、続いてもう1つの銀層を堆積した。これらの超伝導管(1)の端面(4)および長さ20mmの内面(5)を研磨して、新しい表面を露出させた。
【0124】
図1に示されるように超伝導体(1)の研磨された端面がある間隙で密接に接触し、電流接点(I)が外側になるように、L=30mm、O.D.=10.0mm、およびI.D.=6.0mmの大きさの(Bi,Pb)−2223ブッシュ(6)を、末端部分の内側に挿入することによって、1組のこのような管をまとめた。電流接点は
図2に示している。
【0125】
0.003gのリグニン粉末および0.06ml(0.9gに相当)のボイル有機アマニ油中の5gの(Bi,Pb)−2223粉末からなる改良(Bi,Pb)−2223ペースト(7)を、前記研磨された端面(4)、および端部内面(5)の上に押出成形方法によって直ちに塗布した。この改良ペーストがコーティングされた前記端面を互いに物理的に接触させて、それらのコーティングされた端面が互いに触れ合うようにした。
【0126】
次に、
図1に示されるように、改良ペーストを銀層(3)および物理的に接合した部分の上にも塗布し、続いて有孔銀シート(8)を巻き付けた。
【0127】
最後に、長さ640mmの物理的に接合させた1組の超伝導管と、接合部分との組立体を、電気マッフル炉中、835℃において100時間空気中で焼結させて、接合させた管の組を得た。2つの中空管の間の接合部分の超伝導性を調べると、この管の組の接合部は330Aの輸送電流を示すことが分かり、これは77K、0Tにおける個別の構成要素自体の値(330A)と同じであり、接合させた管の組のパーセント臨界電流保持率は100%であった。
【0128】
この実施例により得られた接合の組は、前の実施例4と同じ伝送性能を示している。
【0129】
得られた結果を表1に示す。
【0130】
実施例6
3つ以上の管を接合するために、互いに接合させるための
図1に示されるような長さ(L)=320mm、外径(OD)=12.4mm、および内径(ID)=10.1mmを有する(Bi,Pb)−2223管(1)を実施例1で説明した方法と同じ方法で作製した。
【0131】
改良(Bi,Pb)−2223ペースト(7)を実施例1で説明した方法と同じ方法で作製した。
【0132】
改良(Bi,Pb)−2223ペーストを実施例2で説明した方法と同じ押出成形方法で塗布した。
【0133】
実施例2で説明した方法と同じ方法、金属銀噴霧堆積層のステップを省略した。
【0134】
実施例4で説明した方法と同じ方法で、(Bi,Pb)−2223ブッシュを作製し、(Bi,Pb)−2223超伝導ペーストの層をコーティングした。
【0135】
3つの(Bi,Pb)−2223管を使用した。最初に、このような管の両方の端部外面部分の長さ20mm(2)を研磨し、続いて銀層(3)を堆積した。次に、
図2に示されるように電流接点(I)を形成するために、このような2つの管を使用して、これらの管の一方の端部の銀(3)に有孔銀シートを巻き付け、続いてもう1つの銀層を堆積した。電流接点を有するこれら2つの管の他方の末端部分の端面(4)および長さ20mmの内面(5)と、電流接点を有さない第3の管の両方の端面とを研磨して、新しい表面を露出させた。
【0136】
図1aに示されるように超伝導体(1)の研磨された端面(4)がある間隙で密接に接触し、電流接点(I)が外側になるように、L=30mm、O.D.=10.0mm、およびI.D.=6.0mmの大きさの(Bi,Pb)−2223ブッシュ(6)を、中央の管の両方の末端部分の内側に挿入することによって、中央の電流分(current content)を有さない管と、いずれかの側に電流分を有する管とで、前記3つの管を互いに長手方向にまとめた。
【0137】
電流接点は
図2に示している。
【0138】
0.003gのリグニン粉末および0.06ml(0.9gに相当)のボイル有機アマニ油中の5gの(Bi,Pb)−2223粉末からなる改良(Bi,Pb)−2223ペースト(7)を、前記研磨された端面(4)に直ちに塗布し、次に、それらを物理的に接触させて、コーティングされた端面が互いに触れ合うようにした。
【0139】
次に、
図1aに示されるように改良ペーストを、銀層(3)と、AおよびBで示される物理的に接合した部分との上にも塗布し、続いて有孔銀シート(8)を巻き付けた。
【0140】
最後に、得られた長さ960mmの接合管と、接合部分AおよびBの両方とを、電気マッフル炉中、835℃において100時間空気中で焼結させて、接合管組立体を得た。3つの中空管の間のいずれの接合部が超伝導性であるかを調べるために、この三重接合管の両方の接合部AおよびBの超伝導性を調べると、この三重管の接合部Aおよび接合部Bの両方が330Aの輸送電流を示すことが分かり、これらは77K、0Tにおける個別の構成要素自体の値(330A)と同じであり、接合三重管のパーセント臨界電流保持率は100%であった。
【0141】
得られた結果を表1に示す。
【0142】
以下の表1は、前述の実施例から集めたデータを示している。比較データは、構成管の臨界電流、接合管の臨界電流、および種々の(Bi,Pb)−2223管の自己磁界中77kにおけるパーセント保持率を示しており、密接に接触する管の端部に、銀ブッシュの代わりに(Bi,Pb)−2223超伝導ブッシュを配置して使用し、まだ使用されていない天然のバインダーであるリグニンを使用した改良(Bi,Pb)−2223ペーストを用いて接合部を形成する自明ではない本発明のステップにより、第2の焼結中空管の間の超伝導接合部に結果として得られる新規性も明らかに示している。
【0143】
【表1】
【0144】
本発明の利点
i.個別の管と同じ臨界電流が流れることができる超伝導接合部が形成され、すなわち接合した管のパーセント臨界電流保持率は71〜91%から94〜100%に改善される。
ii.金属銀ブッシュの代わりに超伝導のキャリアブッシュを使用することで、接合部を通る超伝導路が改善され、(i)数桁の熱伝導率の低下[すなわち銀の5110W/mKから(Bi,Pb)−2223の0.8W/mK]および(ii)材料コスト(約半分に減少)減少のために全コストが減少することで、この方法がはるかに経済的となり、改善された超伝導接合部が得られる。
iii.まだ使用されていない傑出したバインダーのリグニン粉末をボイル有機アマニ油と組み合わせて使用して、細孔/空隙の内部に深く浸透して超伝導粒子を均一かつ緻密に結合させる改良超伝導ペーストを作製することで、拡散接合が促進される。
iv.他のバインダーよりもはるかに安価であるリグニンをバインダーとして使用することでも、この方法はより経済的になる。
v.端面から離れて、改良超伝導ペーストの端面への塗布で、(i)管の端部内面、ブッシュの外面、および管の端部外面の間の間隙が満たされ、界面の拡散接合領域が増えることで、接合部全体が強く超伝導性になる。
vi. 超伝導ペーストの塗布に押出成形方法を使用することで、物理的接合部分の細孔/空隙などが最小限になる。
vii.物理的に接合した部分に巻き付けられる有孔銀シートの上に銀層を堆積するさらなるステップが不要であり、それによって、本発明の方法がより経済的になる(すなわち、ステップ数が減少し、銀のコストが削減されることによる)。
viii.(i)銀ブッシュの代わりに超伝導ブッシュを使用し、(ii)接着剤/分散剤/溶媒の汎用性を単独で有するリグニンを使用した改良された接合用超伝導ペーストを使用し、(iii)接合部分に巻き付けられる有孔銀シートの上の銀層の熱堆積を省略することによって、中空酸化物管超伝導体の間の超伝導接合部の品質が改善される。