(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)前記被覆組成物が、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、トリス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート、アミノプロピルトリエトキシシラン、またはそれらの組合せから選択される接着促進剤を少なくとも1種類さらに含む、または
(b)前記被覆組成物が、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、またはグリコールエーテルエステルから選択される溶媒をさらに含む、
少なくとも一方である、請求項1記載の方法。
前記アルコキシシラン官能化イソシアヌレートまたはアルコキシシラン官能化ビウレットが、イソシアヌレートポリイソシアネートまたはビウレットポリイソシアネートと、第二級アミノアルコキシシランとの混合物を撹拌することによって形成される、請求項1記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ガラス物品は、審美的目的と機能的目的のために、装飾することができる。ガラス板を装飾する従来の方法は、スクリーン印刷プロセスを使用してガラス基板にセラミックエナメルを施すことである。このプロセスには、セラミックエナメルをガラス基板に融合させるのに必要な高温が要求される。このエナメルは、典型的に、ガラス基板に融合させるために、約500℃から700℃の焼成温度を必要とする。したがって、そのガラスは、機械的性質および/または形状を損なわずに、これらの温度に耐えなければならない。高温要件は、そのようなセラミックエナメルによる薄い化学強化ガラスの装飾が、低温方法ほど望ましくないことを意味する。高温を避けることが望ましい主な理由は、薄い化学強化ガラスは、セラミックエナメルを焼成するのに必要な高温に曝露されたときに、機械的強度を急激に失うことである。理論により拘束するものではないが、機械的強度の損失は、イオンの熱拡散の発生と、それゆえ、亀裂発生と破損に対する優れた耐性を提供する層の深さ(DOL)および圧縮応力(SC)の低下の結果であると考えられる。また、高温加工は、薄いガラスの反りなどの歪みも誘発させる。
【0009】
多相低温ガラス装飾技法は、ガラスに施用する前に、2つ以上の相、例えば、硬化触媒および樹脂を組み合わせるものであり、時間がかかり、可使時間が制限されることがある。バッチがひとたび混合されると、そのバッチは、被覆組成物が硬化する前に有限期間内に使用しなければならない。このことは単相被覆組成物とは対照的である。この単相被覆組成物は、ここでは、使用前に硬化触媒の添加を必要としない組成物と定義される。
【0010】
ここで、装飾された化学強化ガラスを製造する方法の実施の形態を詳しく参照する。本開示の概念が、特定のガラス組成物を具体的な参照して提示されているが、その概念は、装飾が望ましい多種多様なガラス基板への適用性を享受するものと考えられる。
【0011】
本開示による化学強化ガラスを装飾する検討した方法によれば、ガラス板が提供される。次いで、そのガラス板が化学強化される。さらに、そのガラス板上に約400℃未満の温度で単相被覆組成物が堆積される。この被覆組成物は、少なくとも1種類の顔料、少なくとも1種類の鉱物充填剤、および結合剤を含む。この結合剤は、アルコキシシラン官能化イソシアヌレートまたはアルコキシシラン官能化ビウレットを含んでよい。このアルコキシシランは尿素結合基によりイソシアヌレートまたはビウレットに結合している。次いで、堆積された被覆組成物は、約400℃未満の温度で硬化される。ガラス板は、堆積工程のずっと前に、堆積工程を請け負う団体とは別の異なる団体により、化学強化されてもよいと考えられる。
【0012】
ガラス板は、ソーダ石灰ガラス、アルカリ含有するアルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有アルミノホウケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸ガラス、アルカリ含有ガラスセラミック、または当業者に公知の他のガラスであってもよいと考えられる。
【0013】
ガラス板は、イオン交換プロセス、もしくは他の何らかのタイプの従来のまたはまだ開発されていない化学強化プロセスによって、化学強化されてもよいと考えられる。イオン交換プロセスは、ガラスの表面内にあるNaイオン、Liイオン、またはNaイオンとLiイオンを、大きいアルカリイオンと交換する工程を含んでよい。このイオン交換は、ガラス板の表面から少なくとも約40μmの深さまで生じることが好ましい。
【0014】
前記結合剤は、アルコキシシラン官能化イソシアヌレートまたはアルコキシシラン官能化ビウレットを含んでよい。前記方法の実施の形態によれば、アルコキシシラン官能化イソシアヌレートは、化学構造
【0016】
を有し、式中、Rはメチル基またはエチル基である。アルコキシシラン官能化イソシアヌレートは、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン(CAS登録番号82985−35−1)から調製されたメトキシシラン官能化イソシアヌレートであってよい。アルコキシシラン官能化イソシアヌレートは、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アミン(CAS登録番号13497−18−2)から調製されたエトキシシラン官能化イソシアヌレートであってもよい。
【0017】
イソシアヌレート樹脂は、モノ−、ジ−またはトリ−イソシアヌレートを含む複雑な混合物であってよい。したがって、アルコキシシラン官能化イソシアヌレートは、分子当たり10までのトリアルコキシシラン部分を有してもよい。
【0018】
前記方法の実施の形態によれば、アルコキシシラン官能化ビウレットは、化学構造
【0020】
を有し、式中、Rはメチル基またはエチル基である。アルコキシシラン官能化ビウレットは、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン(CAS登録番号82985−35−1)から調製されたメトキシシラン官能化ビウレットであってよい。アルコキシシラン官能化ビウレットは、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アミン(CAS登録番号13497−18−2)から調製されたエトキシシラン官能化ビウレットであってもよい。
【0021】
前記鉱物充填剤が、アルミナ、炭化物、またはジルコニアであってよいと考えられる。鉱物充填剤は、ケイ酸塩、タルク、粘土、または鉱物充填剤の組合せであってもよい。鉱物充填剤は、好ましくはモース硬度計で少なくとも約2の、より好ましくはモース硬度計で少なくとも約3の硬度を有する。
【0022】
前記顔料は、カーボンブラック、鉄顔料、コバルト顔料、カドミウム顔料、クロム顔料、チタン顔料、亜鉛顔料、鉛顔料、マグネシウム顔料、バナジウム顔料、銅クロムブラック、またはそれらの組合せであってよいと考えられる。当業者に公知の他の顔料も使用してよい。自動車グレージング用の好ましい顔料としては、銅クロムブラック顔料およびカーボンブラック顔料が挙げられる。
【0023】
前記被覆組成物は、前記少なくとも1種類の顔料、前記少なくとも1種類の鉱物充填剤、および前記結合剤以外に他の要素を含んでもよい。例えば、ガラス上の被覆の接着が、何らかの添加剤がなくても非常に良好であるかもしれないが、選択された実施の形態において、被覆組成物は少なくとも1つの接着促進剤をさらに含む。好ましい接着促進剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Dow Corning社からのDOW Z−6040)、トリス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−イソシアヌレート(Wacker社からのGeniosil GF 69)、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0024】
前記被覆組成物は、レオロジーの調節を可能にするレオロジー調整剤をさらに含んでもよいと考えられる。
【0025】
前記被覆組成物は、顔料の湿潤と基板の湿潤を支援するための分散剤をさらに含んでもよいと考えられる。
【0026】
前記被覆組成物は、流動特性の制御を可能にする流動助剤をさらに含んでもよいと考えられる。
【0027】
前記被覆組成物は、溶媒をさらに含んでもよいと考えられる。この溶媒は、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、またはグリコールエーテルエステルであることが好ましいが、当業者に公知のいずれの溶媒であってもよい。溶媒の選択された例には、良好な樹脂相溶性および溶解度特性並びに望ましい蒸発速度を有する、DOWANOL(商標)PMA(Dow Chemical社)、「DOWANOL」PnP(Dow Chemical社)、および酢酸Butyl CELLOSOLVE(商標)(Dow Chemical社)がある。蒸発速度を制御するために、酢酸Butyl CARBITOL(商標)(Dow Chemical社)または「DOWANOL」DPMA(Dow Chemical社)などの沸点の高い溶媒を加えてもよい。
【0028】
被覆組成物は、当業者に公知の任意の方法にしたがうガラス板に堆積されるものと想定される。堆積方法の選択された例はスクリーン印刷である。ガラス板「上(on)」の堆積は、直接ガラス板上の堆積、またはガラス板と被覆との間に介在するプライマーまたは他の材料層上の堆積を含むと考えられる。また、ガラス板の表面「上(on)」に堆積された被覆組成物を、さらに別の被覆またはガラス板で覆っても差し支えないと考えられる。
【0029】
被覆組成物の堆積および硬化は、好ましくは400℃未満、より好ましくは300℃未満、最も好ましくは200℃未満で完了される。
【0030】
アルコキシシラン官能化イソシアヌレートまたはアルコキシシラン官能化ビウレットの結合剤は、イソシアヌレートポリイソシアネートまたはビウレットポリイソシアネートと、第二級アミノアルコキシシランとの混合物を撹拌することによって製造されてもよい。この反応は、アミノ基に対するイソシアネート基の比(NCO/NH)が約1.1/1.0から約0.9/1.0の範囲にあるように行われることが想定される。アミノ基に対するイソシアネート基の比(NCO/NH)が約1.0/1.0であることが好ましい。この範囲内のNCO/NH比が、前記組成物の良好な安定性を提供するのに好ましい。結果として得られた組成物の貯蔵寿命の減少を避けるために、ポリイソシアネートと第二級アミノアルコキシシランとの間の反応は、どのような触媒も加えずに行われる。
【0031】
イソシアヌレートポリイソシアネートまたはビウレットポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)およびイソホロンジイソシアネート(IPDI)に基づく脂肪族イソシアヌレートまたはビウレットなどの、優れた耐光性および耐候性を有するものから選択してよいと考えられる。
【0032】
イソシアヌレートポリイソシアネートまたはビウレットポリイソシアネートの選択された例は、Perstorp社から入手できるTolonate(商標)HDT、「Tolonate」IDT、「Tolonate」HDB、および独国レバークーゼン所在のBayer MaterialScience AG社から入手できるDesmodur(登録商標)N 3600、「Desmodur」N 3300、「Desmodur」Z 4470の商標名で入手できるものである。
【0033】
適切な化合物の具体的な例としては、HDIに基づくイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート(「Desmodur」N 3300);HDIに基づく、低粘度のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート(「Desmodur」N 3600);イソホロンジイソシアネートに基づくイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート(「Desmodur」Z 4470 BA);HDIに基づくイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート(「Tolonate」HDT);IPDIに基づくイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート(「Tolonate」IDT);およびHDIに基づくビウレット基含有ポリイソシアネート(「Tolonate」HDB)が挙げられる。
【0034】
第二級アミノアルコキシシランは、優れた耐光性と耐候性の結果として好ましい脂肪族アミノシランであってよいと考えられる。脂肪族アミノシランである第二級アミノアルコキシシラン化合物の選択された例は、Silquest A−1170シランなどのビス)(トリメトキシプロピル)アミン(CAS番号:82985−35−1)である。
【0035】
前記被覆組成物は、硬化されると、厳しい条件下で耐久性があり、長持ちすると期待されている。装飾された化学強化ガラスは様々な用途に使用されると予測され、前記被覆組成物は、異なる用途の環境および様々な条件に適合しなければならない。装飾された化学強化ガラスは、例えば、家庭用電化製品の部品として使用されてもよい。装飾された化学強化ガラスは、合わせガラスを調製するために使用されてもよい。そのような装飾された合わせガラスは、安全性、セキュリティー、音の低減および太陽エネルギーの制御などの恩恵を提供する。合わせガラス用途としては、天窓のグレージング、自動車グレージング、ハリケーン耐性カーテンウォールおよび窓が挙げられる。
【実施例】
【0036】
性能試験のために、比較用被覆組成物1および比較用被覆組成物2と共に、本発明の被覆組成物の実施の形態による被覆組成物を作製した。本発明の被覆組成物は、均質な配合物が得られるまで、以下のように、被覆組成物の成分を高速混合することによって調製した:
実施例1
【0037】
【表1】
【0038】
アルミナ充填剤は3.4マイクロメートルの粒径であり、顔料は、Shepherd Color Company社からのBlack 1Gであり、アルコキシシラン官能化イソシアヌレート結合剤は、下記に概説したように調製し、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテルは、Dow Chemical社からの「DOWANOL」DPMAであった。
【0039】
アルコキシシラン官能化イソシアヌレート結合剤は、以下の工程にしたがって調製した。Dow Chemical社からの「DOWANOL」DPMA(30g)およびPerstorp社からの「Tolonate」HDT、HDIイソシアヌレート(61.62g、0.32当量のNCO)を、圧力補償された滴下漏斗、乾燥アルゴンパージの入口、デジタル温度計および磁気撹拌子を備えた、250mlの三口丸底フラスコに加えた。この溶液を、乾燥アルゴンを流しながら撹拌プレート上で混合して、均一な溶液を形成した。次いで、Sigma Aldrich社からの90%以上の純度の工業グレードのビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミンを滴下漏斗を通じてアルゴンパージ下でHDIイソシアヌレート/DPMA溶液に導入した。添加は、65℃を超えないような速度で行った。ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミンを全て添加した後、結果として得られた混合物を少なくとも2時間に亘り混合した。無色透明な粘性樹脂溶液が得られ、これは、表皮を形成したりゲル化したりせずに、室温で数ヶ月に亘り貯蔵できる。このアルコキシシラン官能化イソシアヌレートの溶液は、約85質量%の固形分を有する。
【0040】
アルコキシシラン官能化イソシアヌレート結合剤の代わりにトリス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレートを使用し、低すぎる粘度を避けるために酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテルを省いたことを除いて、本発明の被覆組成物について上述したように、比較用被覆組成物1を調製した。
【0041】
Ferro Corp社から入手できる有機熱硬化性ポリエステル黒インク(94−071S、UV Blocking Black RTP)である、比較用被覆組成物2を調製した。このインクの化学的性質が、米国特許出願公開第2006/0191625A1号および同第2010/0071837A1号に詳述されている。
【0042】
本発明の被覆組成物(実施例1)、比較用被覆組成物1および比較用被覆組成物2の実施の形態を使用して、性能試験検体を調製した。32 Tスクリーンおよび中硬度のスクイージを使用して、Corning社のイオン交換済みGorilla(登録商標)ガラス8インチ(20.32cm)×8インチ(20.32cm)×1mm上に被覆組成物をスクリーン印刷して、4インチ(10.16cm)×4インチ(10.16cm)の正方形パターンを形成した。本発明の被覆組成物である実施例1で装飾したガラス板について、30分間に亘り210℃に設定したオーブン内にスクリーン印刷した部品を入れることによって、硬化を行った。比較用被覆組成物1で装飾したガラス板も30分間に亘り210℃で硬化させた。比較用被覆組成物2で装飾したガラス板は、20分間に亘り400℃で硬化させた。ガラス基板上の本発明の被覆組成物である実施例1および比較用被覆組成物1のスクリーン印刷により、硬化後に約25マイクロメートルの乾燥厚が生じた。ガラス基板上の比較用被覆組成物2のスクリーン印刷により、硬化後に約15マイクロメートルの乾燥厚が生じた。
【0043】
被覆組成物の実施の形態によれば、前記被覆組成物は、硬化されると、25マイクロメートル厚の被覆について、紫外線−可視線の波長範囲における全ての波長について、0.2%より低い光透過率を提供する。前記被覆組成物は、硬化されると、25マイクロメートル厚の被覆について、紫外線−可視線の波長範囲において、0.1%より低い全体光透過率も提供する。高い不透明性は、装飾ガラスにおける望ましい特徴である。
【0044】
前記被覆組成物は、硬化されると、特に6Hを含む5H以上(5H〜9H)のグージ(gouge)硬度を有するであろうと考えられる。グージ硬度は、ASTM D−3363(鉛筆試験によるフイルム硬度の試験法)にしたがって測定される。グージ硬度は、標準等級の鉛筆の芯に関連付けられ、9Hが非常に硬く、9Bが非常に軟らかい。最高硬度から最高軟度まで等級付けられた鉛筆の芯の範囲は、9H、8H、7H、6H、5H、4H、3H、2H、H、F、HB、B、2B、3B、4B、5B、6B、7B、8Bおよび9Bである。高いグージ硬度により、装飾された部品に線を付ける著しい恐れなく、装飾ガラス板の取扱いまたは組立てが可能になる。
【0045】
被覆組成物は、硬化されると、4Bまたは5Bのクロスハッチ接着スコアを有するであろうと考えられる。クロスハッチ接着は、ASTM D−3359(クロスハッチ接着の試験法)にしたがって測定される。この試験について、1.0mmの間隔で11の歯を有する微細な刃物を備えた切削工具(Gardco社により製造されたPaint Adhesion Test Kit)を使用して、被覆サンプルに線を刻みつけた。線が刻まれた区域に加圧下で粘着テープ(Paul N. Gardner Company, Inc社)を貼り、剥がした。被覆のいずれが基板から除去されたかを見るために、被覆を目視で検査した。採点は、以下のように、ASTM D−3359分類にしたがって評価した。
【0046】
【表2】
【0047】
ガラス表面への被覆組成物の接着は、被覆物品の寿命中に、被覆組成物がチッピングやフレーキングによる審美的欠陥を防ぐのに役立つ。著しい接着は、被覆ガラスを取り扱う間、または被覆ガラスを、装飾被覆ガラスを含む完成品に組み立てる間に被覆のチッピングやフレーキングも防ぐ。装飾被覆堆積の前に、プライマーの塗布を必要とせずに、望ましい接着が達成される。
【0048】
前記被覆組成物は、硬化されると、被覆された化学強化ガラス板を少なくとも3時間に亘り90℃の水中に浸漬し、その被覆した化学強化ガラス板を室温で少なくとも2時間に亘り乾燥させた後に4Bまたは5Bのクロスハッチ接着スコアを有するであろうと考えられる。これにより、被覆組成物の熱水接着特性が確認される。乾燥した被覆された化学強化ガラス板にクロスハッチ接着試験を行う前に、被覆組成物の耐湿性を検証するために、そのガラス板を目視検査した。
【0049】
前記被覆組成物は、硬化されると、耐薬品性であると考えられる。個々の化学薬品を、硬化した被覆上に15分間に亘り配置し、蒸発を防ぐためにカバーガラスで覆った。15分後、化学薬品を水で洗い流し、被覆を検査した。被覆組成物は、37質量%のHCl、1Mの水酸化ナトリウム水溶液、エタノール、鉱油、トルエン、またはアセトンを、硬化した被覆上に15分間に亘り配置した後、影響を示さないべきである。
【0050】
本発明の被覆組成物(実施例1)および比較用被覆組成物の実施の形態の性能試験結果は以下のとおりである:
【0051】
【表3】
【0052】
被覆組成物の貯蔵性も検査して、10グラムの液体被覆組成物を数日間に亘り55℃に設定したオーブン内のガラス瓶に入れた場合、その液体被覆組成物は、ゲル化、表皮形成または粘度の著しい変化の兆候を示さなかったことを実証した。
【0053】
本発明を説明し定義する目的のために、「少なくとも1種類の」成分、要素などのここでの記述は、単数形の別の使用がただ1つの成分、要素などに制限されるべきであるという推定を作り出すために使用されるべきではないことに留意のこと。「好ましくは」、「通常」、および「典型的に」などの用語は、ここに使用された場合、請求項に記載された発明の範囲を制限するため、または特定の特徴が、請求項に記載された発明の構造または機能にとって不可欠、必須、またはさらには重要であることを暗示するために利用されないことに留意のこと。むしろ、これらの用語は、本開示の実施の形態の特定の態様を特定すること、または本開示の特定の実施の形態に使用されてもされなくてもよい代わりのまたは追加の特徴を強調することを単に意図している。
【0054】
本発明を説明し定義する目的のために、「約」という用語は、任意の量的比較、値、測定、または表示に寄与するであろう不確定さの固有の程度を表すためにここに使用されることを留意のこと。「約」という用語は、それによって量的表示が、論争中の主題の基本的機能の変化を生じずに、述べられた言及から変化するかもしれない程度を表すためにもここに使用されている。
【0055】
本開示の主題を、詳細に、またその特定の実施の形態を参照して、説明してきたが、ここに開示された様々な詳細は、これらの詳細が、ここに記載された様々な実施の形態の必須成分である要素に関することを暗示するために解釈されるべきではないことに留意のこと。むしろ、付随の特許請求の範囲が、本開示の範囲およびここに記載された様々な実施の形態の対応する範囲の唯一の表示と解釈されるべきである。さらに、付随の特許請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱せずに、改変および変更が可能であることが明白であろう。より詳しくは、本開示のいくつかの態様が、好ましいまたは特に都合よいとここに見なされているが、本開示は必ずしも、これらの態様に制限されないと考えられる。