(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934387
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】スライス食品を分離して積み重ねるための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B65G 57/04 20060101AFI20160602BHJP
A23C 19/068 20060101ALI20160602BHJP
B65G 47/86 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
B65G57/04
A23C19/068
B65G47/86 H
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-555207(P2014-555207)
(86)(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公表番号】特表2015-508741(P2015-508741A)
(43)【公表日】2015年3月23日
(86)【国際出願番号】EP2013051929
(87)【国際公開番号】WO2013113828
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2014年10月8日
(31)【優先権主張番号】102012001831.2
(32)【優先日】2012年2月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511148743
【氏名又は名称】ホッホラント ソシエタス エウロペア
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ビゲル
(72)【発明者】
【氏名】トビアス シェルハイマー
【審査官】
加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−087526(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0158658(US,A1)
【文献】
特開2009−143677(JP,A)
【文献】
米国特許第5149554(US,A)
【文献】
米国特許第7540369(US,B2)
【文献】
米国特許第4523671(US,A)
【文献】
特開昭60−015347(JP,A)
【文献】
米国特許第6170636(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/00−57/32
B65G 47/80
B65G 47/84−47/86
B65G 47/90−47/96
A23C 19/068
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライスチーズ(2)を分離して積み重ねるための方法であって、複数のスライスチーズ(2)が搬入コンベヤベルト(3)によって列を成して、既に切断されているが互いに密接して連続的に搬送され、スライスチーズ(2)が回転する移し替えローラ(5)により搬入コンベヤベルト(3)から取り去られて積み重ね領域(4)において上下に重ねられるようにした方法において、
前記移し替えローラ(5)は、スライスチーズ(2)の列を、対応する複数の受容ユニット(6)により一緒に受容し、個々のスライスチーズ(2)は、回転する間に前記受容ユニット(6)の相対運動により軸方向に互いに分離され、そして、分離された個々のスライスチーズ(2)は、前記受容ユニット(6)から引き離されて積み重ね領域(4)においてスタック状に積み重ねられることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記スライスチーズ(2)は、回転する間は負圧によって受容ユニット(6)に保持されており、受容ユニットからのスライスチーズの分離は負圧の停止により実現され、正圧の発生により助長されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
スライスチーズ(2)を分離して、積み重ね領域(4)において積み重ねるための装置(1)であって、前記装置(1)は、
既に切断されているが列状に隣接して互いに隣接して配置されたスライスチーズ(2)を連続的に搬送するための搬入コンベヤベルト(3)と、
前記搬入コンベヤベルト(3)の終端に横断方向に配置された回転する移し替えローラ(5)と、
前記移し替えローラ(5)が前記スライスチーズ(2)をスタック状に積み重ねる積み重ね領域(4)と、を備え、
前記移し替えローラ(5)の表面に、それぞれ1枚のスライスチーズ(2)を密着作用により保持するための、列状に隣接して配置された複数の受容ユニット(6)が設けられており、回転する間に前記受容ユニットを軸方向に摺動させてスライスチーズ(2)を分離させる手段が設けられており、前記受容ユニット(6)はスライスチーズ(2)を引き離して積み重ね領域において積み重ねることを特徴とする、装置(1)。
【請求項4】
密着作用により保持するための前記受容ユニット(6)は、貫通孔(8)を有する当接面(7)を備え、前記貫通孔(8)を介して負圧を発生するための排気及び/又は正圧を発生するための給気が可能であることを特徴とする、請求項3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記積み重ね領域(4)は横方向に可動であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記積み重ね領域は搬出コンベヤベルト(4)により形成されており、コンベヤベルト方向(F)に対して横断方向にも可動であることを特徴とする、請求項3から5の何れか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
隣接する前記受容ユニット(6)の間隔は、移し替えローラ(5)の回転の実行量に依存することを特徴とする、請求項3から6の何れか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記移し替えローラ(5)は、1個の制御ガイド(11)と、前記制御ガイド(11)に案内された複数の制御スライド(12)とを有しており、可動の前記受容ユニット(6)はそれぞれ1個の制御スライド(12)と駆動結合していることを特徴とする、請求項3から7の何れか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記移し替えローラ(5)の共通の円周位置に配置された複数の受容ユニット(6)は、共通の1個の制御スライドと駆動結合していることを特徴とする、請求項8に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記制御スライド(12)と可動の前記受容ユニットの1個(62)との駆動結合は、クリアランス(16)を含んでいることを特徴とする、請求項8又は9に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライス食品、特にスライスチーズを分離して積み重ねるための方法及び装置であって、スライス食品が搬入コンベヤベルトによって列を成して互いに密接して連続的に搬送され、回転する移し替えローラによって搬入コンベヤベルトから取り去られて積み重ね領域において上下に重ねて置かれるものに関する。
【背景技術】
【0002】
優先日以後に公開された欧州特許出願公開第2478771(A1)号明細書は、食品を製造するための生産ラインを開示する。生成物を成形して直接待機している包装内に降ろす成形装置としてのドラムが設けられている。食品を成形するために若干のキャビティが設けられ、ドラムに動かないように取り付けられている。
【0003】
前提部に記載の方法は、例えば国際公開第2007/122311(A1)号パンフレットに記述されている。個々のスライスチーズを積み重ねるために、スライスチーズは最初に成形ローラからコンベヤベルト上にリリースされ、次に−重力に従って−コンベヤベルトから待機しているシャーレ内に落下して既にそこにあるスライスチーズの上に載る。スライスチーズがシャーレ内に落下することにより、上下に重なるスライスの制御可能な積み重ねには至らない。また、この種類の積み重ねは特に軟らかくクリーム状のチーズ種には適していない。なぜならスライスチーズの堅さが充分な形状安定性を保証しないからである。
【0004】
独国実用新案第29713690(U1)号明細書も、裁断された食品を移し替えするための装置を示している。ベルト上でスライス食品が運ばれて転向される。転向動作の間、固持するためにクランプ、スパイク又は同種のものが設けられているが、これらはスライスチーズを破損する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の方法は、スライス食品、ここではスライスチーズが幅広の長尺生成物から裁断される方法から出発する。長尺生成物が長手方向切断によって個々の条片に切断され、次にこれらの条片が横断方向切断によって個々のスライスに切断された後、スライスは列を成して互いに密接して、搬入コンベヤベルト上で列毎に順次搬送される。後続の加工のためにこれらの互いに密接したスライスの列は、分離によってばらばらにされる。ばらばらにされたスライスは、次いでスタック状に積み重ねられて包装される。
【0006】
この種類のスライス製造から出発して、本発明の課題は、容易に実現できる構造において、−相当数のスライスチーズのように−特に軟らかくクリーム状ないし粘着性の堅さのものであっても、スライス食品の確実な取り扱いと正確な位置決めを保証する、分離して積み重ねるための方法形態及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は請求項1に記載の方法、及び請求項3に記載の装置によって解決される。好ましい実施形態は、各従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明の基本思想は、搬入コンベヤベルトの終端に配置され、軸がコンベヤベルトの終端でコンベヤベルトに対して横断方向に配置されている回転する移し替えローラを使用することにある。コンベヤベルトは表面に摺動可能な受容ユニットを備えており、受容ユニットの数及び配置は、到着するスライス食品の全列を受け取り、回転する間は密着作用により保持しながら互いに分離し、そして積み重ね領域で定義された通りにスタック状に置くことを可能にする。
【0009】
請求された方法に従い、移し替えローラはスライス食品の列を複数の受容ユニットを一緒に補助する。個々のスライス食品は回転する間に受容ユニットの相対運動により軸方向で互いに分離される。積み重ね領域に到着すると受容ユニットは分離された個別スライスを定義された通りにリリースし、個別スライスは積み重ね領域においてスタック状に積み重ねられる(「移し替えられる」)。ここでシャーレ、トレー又は皿等、スライス食品のスタック状に支承面を提供するものはすべて積み重ね領域として適している。しかしながら相応に配置されたコンベヤベルトが積み重ね領域を形成することが好ましい。
【0010】
スライスと受容ユニットとの間の密着作用は、回転する間はスライス食品を受容ユニットに保持している負圧によって行われることが好ましい。これに対応して保持されたスライス食品の分離は負圧の停止によって実現され、正圧の発生によって助長され得る。空気圧によるスライスの取り扱いは、スライスを機械的に損傷することなく、とりわけ衛生的に行われるという理由だけでも非常に有利である。その上、相応の空気流の案内と取り扱いは容易に実現される。
【0011】
本発明による装置は、移し替えローラの表面に、それぞれ1枚のスライス食品を密着作用により保持するための、列状に隣接して配置された受容ユニットが設けられていることを特徴とする。更に、回転する間に受容ユニットを軸方向に摺動させて受容ユニットに付着しているスライス食品を分離させる手段が設けられている。受容ユニットは更にスライス食品を引き離して積み重ね領域において積み重ねるための分離手段を有しており、上述したように−保持手段と分離手段は空気圧を利用することが好ましい。
【0012】
受容ユニットは、ほぼスライス食品の寸法を有してスライスを相応に載せることができる当接面を提供することが好ましい。特にスライス食品毎にそれぞれ1個の別個の受容ユニットが設けられていて、回転動作中に正確に1枚のスライス食品(以下「スライスチーズ」とも呼ぶ)に対するキャリアを成す。圧力差を用いた、また日常語的には負圧又は真空を用いた密着作用で保持することにより、スライスチーズに一様な力を加えることができる。それにより、特に軟らかくクリーム状のスライスチーズで損傷を招く恐れのある点状負荷を避けることが可能となる。それにもかかわらず、損傷を回避しながら受容ユニット上に、ひいては移し替えローラ上に信頼性をもって保持することが保証されている。
【0013】
そして、軟らかくクリーム状のスライスチーズの移し替えと正確な積み重ねは、本発明に従って装備された移し替え装置によって初めて可能である。隣接した受容ユニットの可動性により、多かれ少なかれ互いに付着しているスライス食品は互いから分離され得る。従って搬入コンベヤベルトで互いに隣接して運ばれて来て、既に切断されているがまだ互いに付着しているスライスチーズを後続加工に供給できる。スライス食品は受容ユニットに載せられると、受容ユニットの相対運動によって互いに分離される。このために隣接した受容ユニットは軸方向で相対して可動であるようになっている。基本的に互いから分離されるスライス食品はそれぞれ1片のキャリアフォイル上に配置されてもよい。
【0014】
スライスチーズを保持するために空気の負圧を使用することにより、受容ユニットにおける保持力は様々に制御できる。従って、スライス食品はいつ受容ユニットに保持されるべきか、及びスライス食品はいつ再びリリースされるべきかを明確に指定できる。このリリースは圧力反転により助長され得るが、このことは粘着性の食品生成物の場合に特に有利である。この場合、スライス食品と当接するためのそれぞれ1つの当接面を有する受容ユニットが設けられており、当接面はポンプと接続された貫通孔を備えている。ポンプとの接続は少なくとも下側載置領域で制御できるため、貫通孔で作用する空気圧は両方向で投入及び遮断できる。受容ユニットが空になって再び上昇する後ろ側の領域でも、省エネの目的で負圧を遮断できる。
【0015】
ばらばらにされて積み重ねられるスライス食品はローラ運動の上方死点の領域で移し替えローラに引き渡され、引き渡されたスライス食品はローラ運動の下方死点の領域で移し替えローラからリリースされるようになっていることが好ましい。このようにする利点は、スライス食品を載せる際に最初は重力を利用でき、それから貫通孔を覆うすべてのスライスが吸引によって保持され得ることである。下方死点の近傍では再び重力を利用してリリースと正確な積み重ねを助長する。好ましくはこれに圧力反転が加わり、スライスを受容ユニットから突き放すことができる。
【0016】
特定の実施形態において、積み重ね領域は横方向に、好ましくは平面の両方向に可動である。このようにすると積み重ね領域の定義された運動により、発生するスタックの形状に意図的に影響を与えることができる。特に僅かな送り運動により扇構造を達成でき、後でスタックから個々のスライスを手で簡単に取り出すことができる。扇構造は2次元的に形成されてもよく、積み重ね領域は互いに直交する2方向で可動である。コンベヤベルト方向での運動方向は、その上にスタックが形成される搬出コンベヤベルトにより実現できる。扇構造の他方の変位方向は先行する個別スライスに対して個別スライスを移し替えローラから定義された通りにより早く又はより遅くリリースすることによって達成できる。これらの両運動成分で平面における横方向の可動性が形成される。
【0017】
隣接する受容ユニットの間隔は、移し替えローラの回転の実行量に依存することが好ましい。移し替えローラが回転するに連れて、それぞれ隣接する受容ユニットに対する受容ユニットの間隔は増大する。搬入ベルトの終端における引き渡し点では受容ユニットはスライス食品と同様に互いに密接しており、互いに密接するスライス食品は隙間なく相並んで移し替えローラに載せることができる。次に回転すると隣接する受容ユニットが互いに離れる方向に動くことによりばらばらになる。スライス食品が移し替えローラからリリースされると、間隔の増大は終了する。
【0018】
移し替えローラが、移し替えローラと一緒に回転しない制御ガイドを含んでいることが好ましい。制御ガイドに沿って複数の制御スライドが案内されており、軸方向に可動な受容ユニットはそれぞれ1個の制御スライドと駆動結合されている。この関連において駆動結合とは、制御スライドの軸方向運動が駆動結合された受容ユニットの軸方向運動を引き起こし得ることを意味し、この運動は直接伝達される必要はない。特に、移し替えローラの共通の円周位置に配置された複数の受容ユニットが共通の制御スライドと駆動結合されるようになっている。このようにすることにより制御スライドの位置が共通の円周位置配置された、軸方向に隣接するすべての受容ユニットの間隔に影響を与える。そのため受容ユニットの動きは制御ガイドの形状と関係付けられる。制御ガイドは移し替えローラと一緒に回転しないので、受容ユニットの動きも受容ユニットの円運動に連結される。受容ユニットの動きを制御する別個のアクチュエータは省くことができる。この制御ガイド又は別の制御ガイドを用いて、当接面の貫通孔への負圧又は正圧の接続を制御できる。
【0019】
制御スライドと1個の可動受容ユニットとの駆動結合は、クリアランスを含んでいることが好ましい。クリアランスによって最初に受容ユニットと制御スライドとの直接連結が中断され得る。このことは、クリアランスが乗り越えられない限り、制御スライドの運動はまだ強制的に受容ユニットの動きを引き起こさないことを意味する。従ってそのようなクリアランスによって個々の受容ユニット運動を別個に制御できるだけでなく、むしろ共通の制御スライドに付属された受容ユニット間の相対運動が調整できる。言い換えれば、クリアランスが大きければ大きいほど、受容ユニットの動きは小さい。制御スライドは特に軸方向に可動である。
【0020】
更に、受容ユニット、制御スライド及び制御ロッドを含む機構は、相応に差し込み可能に形成することにより工具なしでも手で取り外すことができる。このために制御ガイドは制御スライドを引き抜くための適合した凹所を備えている。このような形成により移し替えローラの衛生と清掃可能性が保証されている。
【0021】
以下に本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、スライス食品をばらばらにして積み重ねるための本発明による装置の斜視図を示す。
【
図2】
図2は、個々の受容ユニットの相対運動を制御するための制御配置の詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、スライスチーズ2をばらばらにして積み重ねるための本発明による装置1が示されている。スライスチーズ2は搬入コンベヤベルトにより移し替えローラ5の方へ搬送される。次にスライスチーズ2は移し替えローラ5によって、積み重ね領域を成す搬出コンベヤベルト4に搬送される。移し替えローラ5は概ね円筒形に形成され、回転軸心Aを中心に回転可能に保持されている。ローラ運動の上方死点9でスライスチーズ2は移し替えローラに載せられる。次にスライスチーズ2は移し替えローラ5と一緒に回転軸心Aを中心に約180度回動し、それからスライスチーズは転向されて搬出コンベヤベルト4上にリリースされ、そこで積み重ねられる。スライスチーズ2を移し替えローラ5上に受容するために、移し替えローラ5は受容ユニットとして、移し替えローラ5の表面に配置された多数の受容プレート6を有する。各受容プレート6は、それぞれ正確に1枚のスライスチーズ2を受容する働きをする。この場合、受容プレート6の各々は外方に向いた面に当接面7を有しており、これにそれぞれ1枚のスライスチーズ2が当接される。当接面7はその全面にそれぞれ図示されないポンプと接続された複数の通気孔8を備えている。 この実施例では、より小さいスライスチーズによっても覆われる受容プレートの内側領域の通気孔のみが負圧で操作される。受容プレートの寸法は100mmx100mmであるのに対し、「真空領域」は単に60mmx60mmを占めればよい。次にポンプと接続すると、通気孔8に負圧がもたらされる。これによりスライスチーズ2は密着作用により当接面7に保持される。同様に必要に応じて通気孔に正圧を送る圧縮空気管を接続して、スライスチーズを当接面7から容易に引き離すことができる。
【0024】
受容プレート6は移し替えローラ5の表面に可動に保持されている。
図1から見て取れるように、軸方向に隣接した受容プレート6、即ち一緒に水平1列に移し替えローラ5に配置された受容プレート6は、相対して可動に保持されている。従って受容プレート6は上方死点9の領域ではまだ互いに密接して配置されているのに対し、軸方向に隣接した受容プレート6は下方死点10の領域では軸方向に互いに間隔を置いて整えられている。これに関連して言及すると、「軸方向」という言葉は、常に移し替えローラ5の回転軸心Aを基準に理解されるべきである。スライスチーズ2は搬入コンベヤベルト3によって運ばれて来るときは既に切断されているが、それにもかかわらずスライスがなおも個々の小さい接続片によって互いに結合される仕方で互いに密接している。特に長手方向で切断されたスライスチーズの領域で2〜10mm重なるキャリアフォイルを使用する場合、それによってなおも個別スライスの付着結合が存在する。次に軸方向に隣接した2個の受容プレートが互いに離れる方向に動くことにより、軸方向に隣接したスライスチーズ2の最終的な分離が引き起こされる。
【0025】
軸方向に隣接した受容プレート6の運動の制御の機能形態を、
図2に基づいて詳細に説明する。制御溝15を備えた制御ガイド11が設けられており、その展開図が
図2aに示されている。制御ガイド11は移し替えローラ5の端面側に固定して配置されており、それゆえローラ5の回転運動を行わない。制御溝15は湾曲して延びているため、制御溝15の個々の領域は回転軸心Aを基準にして種々異なる軸方向位置を有する。制御スライド12は移し替えローラ5と一緒に回転し、移し替えローラ5に軸方向に可動に保持されている。制御スライド12は固着された制御ピン14で制御溝15内に突入する。制御ピン14が制御溝15内に突入する領域における制御溝15の形状と軸方向位置により、制御スライド12の軸方向位置も画定される。
【0026】
図2bと
図2cに基づいて認識されるように、ここでは制御スライド12の軸方向運動が個々の受容プレート6に伝達される。制御スライド12は接続ピン17を介して第1の受容プレート6
1と軸方向に動かないように接続されている。軸方向に隣接した第2の受容プレート6
2との駆動結合は、制御スライド12と軸方向に動かないように接続されている制御ロッド13を介して行われる。しかし制御ロッド13は第2の受容プレート6
2とは軸方向に動かないように接続されておらず、受容部18で一部自由に動けるようになっている。このようにして受容部18はクリアランス16を提供し、このクリアランスに沿って制御ロッド13は第2の受容プレート6を動かすことができない。クリアランス16が乗り越えられて初めて制御ロッド13は第2の受容プレート6と当接して、第2の受容プレート6
2を軸方向に駆動できる。第3の隣接した受容プレート6
3は移し替えローラ5に軸方向で動かないように保持されている。
【0027】
制御溝15が軸方向変位区間Dを実行すると、制御ピン14も、ひいては制御スライド12も周回運動時に制御溝15に沿って変位区間Dだけ軸方向に変位する。第1の受容プレート6
1と直接固着されていることにより、第1の受容プレート6
1も同様に変位区間Dだけ軸方向に変位する。確かに制御ロッド13も軸方向変位区間Dだけ制御スライド12と一緒に軸方向に変位する。しかしクリアランス16が設けられていることにより、第2の受容プレート6
2は変位区間Dからクリアランス16の軸方向クリアランス長さ(この場合はD/2)だけ軸方向に変位する。もちろん構成及び寸法設定に応じて全軸方向変位区間Dを基準として第2の受容プレート6
2の別の変位区間も実現できる。このような配置構成により個々の受容プレート6
1、6
2及び6
3は互いに相対的に軸方向に動かされ、その際に受容プレート6の間隔はそれぞれ互いに、この場合は半分の変位区間D/2だけ拡大される。これにより軸方向に隣接したスライスチーズは最終的に互いから分離される。
【0028】
図1には、個々のスライスチーズ2を搬出コンベヤベルト4上で積み重ねられる状態が図示されている。搬出コンベヤベルト4は一方ではコンベヤベルト方向Fで可動であり、他方ではしかし全搬出コンベヤベルト4はコンベヤローラと一緒にコンベヤベルト方向Fに対して垂直の方向で可動なので、搬出コンベヤベルト4の個々の領域は移し替えローラ5に対して横方向で種々異なる位置関係にもたらすことができる。下方死点10の領域で正圧によって移し替えローラ5からリリースされるスライスチーズ2は、コンベヤベルトの可動性に基づいてコンベヤベルト4の箇所がどこに配置されているかに応じて、極めて多様な箇所でコンベヤベルト4上に置かれ得る。従ってある軸方向位置で相前後して案内されて来る複数のスライスチーズ2が、1個の共通のスタックに置かれてよい。次に搬送方向Fに対して横断方向に僅かに送ることにより、一種の扇構造を形成できる。
図1に示されているような一種の傾斜扇構造は、送りが搬送方向Fに対して横断方向にも、搬送方向Fに対して長手方向にも設けられている場合に形成され得る。搬出コンベヤベルト4が互いに直交する両方向に可動であることにより、多数の積み重ねパターンを作り出すことができる。
【符号の説明】
【0029】
1 ばらばらにして積み重ねるための装置
2 スライスチーズ
3 搬入コンベヤベルト
4 搬出コンベヤベルト
5 移し替えローラ
6 受容プレート
7 当接面
8 通気孔
9 上方死点
10 下方死点
11 制御ガイド
12 制御スライド
13 制御ロッド
14 制御ピン
15 制御溝
16 クリアランス
17 接続ピン
18 受容部
F コンベヤベルト方向
A 回転軸心
D 変位区間