(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
流水検知装置は、スプリンクラー設備や泡消火設備等の消火設備配管上に設置され、配管内の流水を検知して信号を出力する装置である。
【0003】
流水検知装置の内部は逆止弁構造をしており、弁により内部が一次側室と二次側室に分けられ弁体は常時閉止状態にある。一次側室および二次側室は常時充水されており、一次側室に接続された配管(以下、「一次側配管」とする)は水源と接続され、二次側室に接続された配管(以下、「二次側配管」とする)はスプリンクラーヘッドや泡ヘッド等の散布ヘッドが設置されている。
【0004】
流水検知装置は二次側配管に設置された散布ヘッドの作動を検知するために設置されており、例えばスプリンクラーヘッドが作動すると、二次側配管内に充水されている水がスプリンクラーヘッドより放出されることで二次側配管内が減圧する。それにより流水検知装置の二次側室内の圧力も減少し、弁体に作用している圧力による力のバランスが崩れて、一次側室側から弁体に作用する力が二次側室側から弁体に作用する力を上回り弁体が開放される。
【0005】
この弁体の開放を検知してスイッチ装置が作動して信号が出力される。スイッチ装置は建物の管理室等に設置されている監視装置と電気的に接続されており、監視装置からスイッチ装置の作動が出力されることによって管理人等にスプリンクラーヘッドが作動したことを知らせる。
【0006】
特許文献1に示す流水検知装置は、
図12のように弁体51の周縁から突出して設けられた係止部51Aに接触するロッド52が弁箱53の外部から挿通されており、該ロッド52は軸54によって弁体51の開放時には弁体51に係止されている側の端が二次側II方向へ回動可能に軸支されている。しかしながら閉弁状態においては前記係止部51Aにより回動動作を妨げられている。
【0007】
一方、弁箱53の外部側のロッド端52Bの近傍にはリミットスイッチ55が配置されており、弁体51の開放により係止部51Aと接触しているロッド52の端が二次側II方向へ回動すると他端側52Bがリミットスイッチ55側へ回動してリミットスイッチ55を作動する構成となっている。
【0008】
リミットスイッチ55の近傍には、ロッド52の回動からリミットスイッチ55が作動するまでの時間を遅延させるタイマー装置56が設置されている。タイマー装置56により配管内の水の振動等によって弁体51が瞬時的に開放した際にリミットスイッチ55が作動することを防止している。遅延時間としては数秒〜1分程度の時間が設定されている。
【0009】
タイマー装置56にはリミットスイッチ55を作動させるプッシュロッド57が設置されており、該プッシュロッド57は図示しない弾発体によってリミットスイッチ55側に付勢されている。しかしながら常時においてプッシュロッド57はロッド端52Bによって係止されており、リミットスイッチ55方向への移動を阻まれている。
【0010】
プッシュロッド57はタイマー装置56内の図示しないダンパーの作用によってリミットスイッチ55方向への移動動作が緩慢になるように構成されている。従って弁体51の開放によりロッド52が回動してプッシュロッド57からロッド端52Bが離れ、プッシュロッド57がリミットスイッチ55方向へゆっくりと移動してリミットスイッチ55を作動させるまでに数秒〜1分程度の時間を要するものとなる。
【0011】
また、同様のタイマー装置が設置された流水検知装置が特許文献2に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献2の流水検知装置では、
図13のようにプッシュロッド57とリミットスイッチ55の間に設置されたレバー58がプッシュロッド57を係止している。該レバー58をリミットスイッチ55側へ移動させて、プッシュロッド57とレバー58の係合を解除するとプッシュロッド57がゆっくりとリミットスイッチ55側に移動してリミットスイッチ55を作動させる。特許文献2の流水検知装置ではレバー58を移動させプッシュロッド57とレバー58の係合を解除してからリミットスイッチ55が作動するまでの時間を測定することでタイマー装置の遅延時間を確認可能であった。しかしながら特許文献1の流水検知装置ではロッド52が弁体51の係止部51Aに係止されているのでロッド52を弁開方向へ回動させなければならない。
【0014】
弁体51には弁箱53の二次側IIと一次側Iの圧力差により生じる荷重が作用しており、弁体51を回動させるためにはロッド52に弁体51の自重と前述の荷重以上のモーメントを加える必要があり、弁箱53から突出しているロッド52に荷重を印加して弁体51を開方向に回動させる際にロッド52が破損・変形するおそれがある。
【0015】
そこで本発明では、筒状の本体と、本体の内部に設ける逆止弁構造の弁体と、弁体の回動による流水を検知して所定の信号を出力するスイッチと、一端側が弁体に係止され、他端側が弁体の回動をスイッチ側に変位として伝えるロッドとを備える流水検知装置において、ロッドを弁体に係止したままリミットスイッチを作動できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成すべく本発明は、消火設備配管に接続する筒状の本体と、本体の内部に設ける逆止弁構造の弁体と、弁体の回動による流水を検知して所定の信号を出力するスイッチと、一端側が弁体に係止され、他端側が弁体の回動をスイッチ側に変位として伝えるロッドと、一端側が前記ロッドの他端側と接し、他端側がスイッチの近傍に配置され、前記ロッドに対して移動可能とする可動部を有する接触子とを備える流水検知装置を提供する。本発明によれば、弁体の回動をロッドがスイッチ側で変位として接触子に伝え、接触子の他端側が閉弁状態の位置から変位することでスイッチを作動させることができる。そしてロッドとは別にスイッチを作動させるために、可動部によって接触子を変位させることができる。
【0017】
前記本発明については、ロッドを介して弁体を開方向に付勢する付勢手段を有するものとすることができる。
【0018】
さらに上記の目的を達成する別の手段は、消火設備配管に接続する筒状の本体と、本体の内部に設ける逆止弁構造の弁体と、弁体の回動による流水を検知して所定の信号を出力するスイッチと、一端側が弁体と当接しており他端側はスイッチを作動させるスイッチ作動片を係止しているロッドとを備え、弁体の開方向への回動によりロッド両端の係止が解除されてスイッチ作動片がスイッチをオンする流水検知装置について、前記ロッドが、閉弁状態で前記他端側をスイッチ作動片から離間するように変位させて前記係止を解除する可動部を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、ロッドを回動させることでスイッチ作動片とロッドの係合を解除するにはロッドの弁体と係止している側の端を回動させて弁体を開方向へ回動させなければならないが、ロッドが破損・変形するおそれがあることから実施は困難である。そこでロッドの弁体と係止している側の端は動かさずに、弁箱外部に突出したロッド端を変位可能とすることでロッドの他端側とスイッチ作動片の係止を解除可能となる。
【0020】
具体的には、スイッチ作動片と係合しているロッドをスイッチ作動片から離すことでロッドの他端側とスイッチ作動片の係止を解除可能となる。しかしながら前述のように閉弁時においてロッドは弁体に係止されておりロッドの一端側は動かすことができない。そこでロッドの他端と係合しているスイッチ作動片を、ロッドの他端側から離れる方向へ移動可能な構成にすることで実現可能である。
前記本発明については、次のような具体的構成を備えるものとすることができる。即ち、前記ロッドの他端側に閉弁状態でスイッチ作動片と係止する接触子を有するものとして構成できる。前記可動部は、閉弁状態で前記他端側をスイッチ作動片から離間させるように回動可能に軸支する軸として構成できる。また、前記可動部は、閉弁状態で前記他端側をスイッチ作動片から離間させるようにスライド移動可能に軸支する軸として構成できる。前記接触子とともに変位する一方のバネ座と、当該バネ座の変位方向に対向して固定設置した他方のバネ座とを設け、接触子が回動する際、可動側の一方のバネ座が固定側の他方のバネ座と当接して接触子の変位を停止させるものとして構成できる。
【0021】
本発明の流水検知装置については、ロッドの他端側とスイッチ作動片を離す方向へ移動させることが可能な遅延確認レバーを設けることができる。
遅延確認レバーを設けたことで、スイッチ作動片とロッドの他端側との係合解除を遅延確認レバーの操作によって引き離す(係合解除)ことができる。例えばロッドとスイッチ作動片が作業者の指が入らないような狭い場所に設置されている場合には、遅延確認レバーによってスイッチ作動片とロッドの係合解除を行うことで容易に作業を行うことが可能となる。
【0022】
本発明の流水検知装置については、遅延確認レバーによってロッドの他端側とスイッチ作動片を離す方向へ移動させる際に移動方向・距離を規制可能なガイド部を設けることができる。
ロッドの他端側とスイッチ作動片との係止を解除する操作を確実なものにすること、及びロッドの他端側またはスイッチ作動片の位置を移動した際に他の部品との干渉を防止するために、遅延確認レバーの移動方向・距離を規制可能なガイド部を設置してロッドまたはスイッチ作動片の位置の移動方向・距離を制限した。該移動方向・距離は、タイマー装置を覆っているブラケットに形成したガイド部に遅延確認レバーを挿通させることにより移動方向・距離の規制が実現可能である。
また、上記に加えて遅延確認レバーの操作方向やタイマー装置の遅延時間確認時における保持位置を示す表示を設けると、不慣れな作業者でも容易に作業を行うことが可能となる。
【0023】
本発明の流水検知装置については、ロッドの他端側に接触子を設け、該接触子をスイッチ作動片から離れる方向へ動作可能とすることができる。
これによれば、ロッドの他端側に動作可能に設けた接触子によって、ロッド自体を動かすことなくスイッチ作動片の係止を解除可能である。接触子はロッドの他端側に回動自在に設けてもよいし、スライド移動可能に設けることも可能である。あるいは接触子を弾性材料から形成してスイッチ作動片との係合を解除する際に変形させ、タイマー装置の遅延時間の確認後には自らの弾性によって元の形状に復元可能な構成にすることもできる。
【0024】
本発明の流水検知装置については、接触子が第1の付勢手段により所定の位置にセットされている。
常時において接触子はスイッチ作動片を係止する位置にセットされているが、ロッドとスイッチ作動片との係合を解除させてタイマー装置の遅延時間を確認する際に接触子を指や遅延確認レバーでスイッチ作動片から離れる方向へ動かした状態で保持し、タイマー装置の遅延時間を確認した後、接触子の保持を解除すると第1の付勢手段によって接触子が元の位置に戻ることができる。これにより接触子の位置を元に戻すための再セット作業が不要であり、戻し忘れも防止できる。第1の付勢手段の具体例として、ゴムやバネ等の弾発体や錘、磁石による磁力を用いることが可能である。
【0025】
本発明の流水検知装置については、スイッチ作動片において接触子が動作する方向に切り欠きが形成されることができる。
接触子がスイッチ作動片から離れる方向へ移動する際に接触子がスイッチ作動片に引っ掛かったり、接触子の動作の妨げとなることを防止できる。また、切り欠きの縁には接触子が元の位置に戻る際にスイッチ作動片に引っ掛かるのを防止するためにテーパー部や面取り等のガイドを設けることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ロッドの弁体と係止している側の端は動かさずに、弁箱外部に突出したロッド端を可動部により動作可能とすることでロッドの他端側とスイッチ作動片の係止が解除可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
第1実施形態(
図1〜
図8)
以下、この発明の第1実施形態を
図1から
図8を参照して説明する。
【0029】
第1実施形態の流水検知装置は、本体1、筐体2、排水弁3から構成される。
【0030】
本体1は中空形状であり内部は隔壁4によって一次側室Iと二次側室IIに分けられている。隔壁4には連通穴5が穿設されており、該連通穴5の二次側室II側には環状の弁座6が設置されている。
【0031】
弁座6の上には弁体7が着座しており、弁体7の周縁の一部には円筒状の軸受け8が形成され、弁棒9が軸受け8を貫通して本体1内に設置されている。弁体7は弁棒9を軸として二次側II方向へ回動自在な構成となっており、弁体7が回動すると弁座6から弁体7が離れて一次側室Iの流体が環状の弁座6内を通って二次側室IIに通過可能となる。
【0032】
弁体7の周縁には縁から突出して形成された突出部10が設けられている。該突出部10の弁座6側の面には、ロッド11の端11Aが接触しており、ロッド11は中間で軸支され、ロッド11は図中において上下に回動動作可能な構成である。
【0033】
ロッド11の弁体7と接触している端と反対側の端11Bは、本体1の側面外部に突出しており、筐体2により覆われている。
図3から
図5に示すように端11Bには、図中上側に突出して設けられたバネ座12が設置されている。バネ座12は柱状であり中間部分が両端よりも大径な段部12Aが形成されており、図中の上面が後述のコイルバネ14の座部となり、該座部側の端12Bはコイルバネ14に挿通される。また、段部12Aより下側の端12Cはロッド11の端11Bに穿設された穴11Cに挿通されている。端12Cと穴11Cは遊嵌されている。
【0034】
バネ座12の軸の延長上にはベースBに設置されたバネ座13が設けられている。バネ座13の一端側は牡ネジ13Aが刻設され、ベースBの牝ネジと螺合されている。他端側は牡ネジ13Aより小径な柱部13Bが形成されており、牡ネジ13Aと柱部13Bの間の段がコイルバネ14の座部として用いられる。牡ネジ13Aを回転させることで柱部13Bの端は図中上下方向に位置調整可能である。
【0035】
上記のバネ座12、13の間に第1の付勢手段としてコイルバネ14が設けられている。コイルバネ14によりロッド11の端11Bは、常時において図中下方に付勢されている。ロッド11の中間の軸により端11Bの反対側の端11Aは図中上方つまり弁体7が開く方向に付勢されるが、コイルバネ14が作用する力は弁体7が開放しない程度の弱い力である。
【0036】
またロッド11の端11Bにはスイッチ作動片15に接触する接触子16が固定設置されている。
図4、
図5に示す接触子16にはスイッチ作動片15と接触する端部が湾曲形状に折り曲げられた湾曲部16Aが形成されている。接触子16の他端側は断面が逆U字型に形成されており、屈曲して形成した2つの側面部16Bが設けられている。側面部16Bの内部にロッド11の端11Bが挿通されている。2つの側面部16Bおよびロッド11には「可動部」としての軸16Cが貫通して設置されており接触子16は軸16Cに軸支され回動可能である。側面部16Bには湾曲部16Aの反対側に伸びた拡張部16Dを有する。拡張部16Dの上部はバネ座12の段部12Aの下面に接しており、拡張部16Dは第1の付勢手段であるコイルバネ14によって下方に付勢されている。と同時に拡張部16Dと反対側の湾曲部16Aはスイッチ作動片15が設置されている上方に付勢され、スイッチ作動片15と接触した状態となる。
【0037】
接触子16の湾曲部16Aがスイッチ作動片15を付勢する方向にはタイマー装置18が設置されている。タイマー装置18はスイッチ作動片15の動作を遅くする作用を有するものであり、エアダンパーやオイルダンパーを使用した構造のものが用いられている。タイマー装置18の内部構造については詳細な説明は省略する。タイマー装置18のダイヤル18Aには遅延時間を示す目盛や数字等の表示(図示しない)が設けられており遅延時間を調整可能である。
【0038】
スイッチ作動片15はリミットスイッチ17の方向に、弾発体15Aによって付勢されており、接触子16によりリミットスイッチ17方向への移動を阻止されている。
【0039】
上記のスイッチ作動片15、弾発体15A、リミットスイッチ17、タイマー装置18は断面コ字型のケース19内にビス19Aや嵌合等によって所定位置に配置されている。また、ケース19には接触子16が挿通可能な開口部19Bが形成されている。
【0040】
カバー19は、カバー19をベースB上に固定設置するためのブラケット20により覆われている。ブラケット20は板材を屈曲して形成されており、端部が
図6に示すビス20AによってベースBに固定されている。ブラケット20とカバー19は前述のビス19Aにより位置決めして設置されている。
【0041】
図3に示すブラケット20の正面20Bには、逆L字型の穴20Cが穿設されており、穴20Cには遅延確認レバー21が挿通されている。また、正面20Bには長穴20Dが穿設されており、長穴20Dの奥に配置されているリミットスイッチ17の作動状態を目視にて確認可能である。
【0042】
図6に示すように遅延確認レバー21は細長い板状であり、一端には図示しない穴が穿設されている。ブラケット20の正面20Bと対向して設けられた背面を屈曲して形成した支持面20E上の軸Jに遅延確認レバー21の一端側の穴が挿通されて回動可能に軸支される。
【0043】
遅延確認レバー21の中間部にはバネ係止部21Aが設けられ、バネ係止部21Aには穴21Bが穿設されている。該穴21Bには引張バネ22の一端が係止される。引張バネ22の他端側はブラケット20の上面に設けられた鉤部20Fに係止される。遅延確認レバー21は引張バネ22の作用によって図中上方へ付勢されている。
【0044】
また、遅延確認レバー21の中間部の接触子16と近接した位置に膨出部21Cが形成されている。
【0045】
遅延確認レバー21の他端はブラケット20の外部に突出しており、作業者が指で摘んで操作可能な操作部21Dが形成されている。遅延確認レバー21は前述の引張バネ22によって上方へ付勢されており、常時において穴20Cの上側に位置した状態である。
【0046】
図6の二点鎖線で示すように遅延確認レバー21を穴20Cの縦穴部分に沿って下方へ移動させると遅延確認レバー21は支持面20Eに設けた軸Jを支点として回動して膨出部21Cが接触子16を押圧する。すると
図7のように接触子16は軸16Cを支点として回動して、湾曲部16Aがリミットスイッチ17側へ移動する。
【0047】
上記において
図3、
図4に示すように穴20Cは遅延確認レバー21の移動方向をガイドしている。またタイマー装置18の遅延時間を確認している状態においても穴20Cの縦穴部分によって遅延確認レバー21がベースBのB1側やカバー19側へ動くことができないように構成されている。これによって遅延確認レバー21は接触子16の所定の位置のみを押圧可能である。
【0048】
また、ブラケット20の穴20C付近に遅延確認レバー21の動作方向や、タイマー装置18の遅延時間確認時における遅延確認レバー21の保持位置を示す表示を設けると、タイマー装置18の遅延時間確認作業に不慣れな作業者でも容易でかつ正確な作業を行うことが可能となる。
【0049】
筐体2のベースBは平板をL字状に屈曲させた形状をしており、ロッド11が貫通して本体1と接続される「第1の面」としての面B1と、面B1から屈曲して設けた「第2の面」としての面B2を有する。面B1にはリミットスイッチ17やタイマー装置18等が設置されたカバー19を支持するブラケット20の端部が接続される。面B2には外部の監視装置に続く導線を筐体2内部のリミットスイッチ17と電気的に接続している端子台23に接続するための穴24が穿設されている。ベースBは蓋Cにより覆われ、内部に設置された装置類をゴミや埃から保護している。
【0050】
排水弁3は、点検やメンテナンス時に本体1内の流体を外部に排出するバルブであり、筐体2と反対側の面に設置されている。排水弁3の内部はアングル弁構造となっており、排出口は
図1において下向きに設けられている。排水弁3の開閉操作を行なうハンドルは流水検知装置Aのカバー1Aが設けられた正面側に設置され、ハンドルの操作が行ないやすい位置に設けられている。
【0051】
続いて、第1実施形態の流水検知装置の動作について説明する。
【0052】
第1実施形態の流水検知装置は、消火設備配管に設置され、一次側室Iは図示しないポンプおよび水源に通じる配管と接続され、二次側室IIに接続された配管の末端には図示しないスプリンクラーヘッドが設置されている。
【0053】
消火設備配管内は充水された状態にあり、流水検知装置の本体1の内部も一次側室Iおよび二次側室IIは充水状態にある。常時において、弁体7は弁座6の上に着座しており、一次側室Iから二次側室IIへの通水は遮断されている。
【0054】
火災が発生して二次側室II側の配管に設置されたスプリンクラーヘッドが作動すると、二次側室II側の配管内の水はスプリンクラーヘッドから放出されるので次第に減圧してくる。弁体7を閉止していた二次側室IIの水の圧力が減少し、一次側室Iの圧力より低くなると二次側室IIと一次側室Iの圧力差により弁体7は押し上げられ、軸9を支点に回動する。
【0055】
弁体7が弁座6から離れて開放したことにより一次側室Iの水は二次側室II側に送られる。それとともに弁体7に接触していたロッド11もコイルバネ14の付勢力によって回動し、筐体2側の端11Bが下側に移動する。
【0056】
これにより端11Bの接触子16がスイッチ作動片15から離れ、スイッチ作動片15はリミットスイッチ17側へ移動を開始する。タイマー装置18により所定時間経過後にスイッチ作動片15はリミットスイッチ17を作動させる。リミットスイッチ17は端子台29を介して管理人室等に設けた図示しない監視装置に接続されており、監視装置にリミットスイッチ17の作動が出力される。
【0057】
上記リミットスイッチ17の作動による信号によって前述のポンプが起動され、水源より作動したスプリンクラーヘッドへ送水が開始してスプリンクラーヘッドからは連続して水が散布され火災を消し止める。
【0058】
次に、第1実施形態の流水検知装置におけるタイマー装置の遅延時間の確認を行う手順について説明する。
【0059】
先ず、筐体2から蓋Cを取り外すと
図3に示すように遅延確認レバー21が正面に現れる。タイマー装置18のダイヤル18Aに表示された遅延時間を確認した後、遅延確認レバー21を下方へ移動させて穴20Cの下端の位置で保持して、ストップウォッチ等で遅延時間の測定を開始する。
【0060】
遅延確認レバー21の移動により膨出部21Cが接触子16を下方へ押圧して接触子16が軸16Cを支点として回動する(
図7参照)。接触子16の湾曲部16Aがスイッチ作動片15から離れ、スイッチ作動片15は弾発体15Aによってリミットスイッチ17側に移動する。
【0061】
一方、接触子16の拡張部16Dはコイルバネ14の付勢力に抗して上方に回動する。その際、接触子16を必要以上に回動させると両バネ座12、13の端部(端12Bと柱部13B)の先端が接触してそれ以上回動できないように構成されおり、接触子16が必要以上に回動できないようにしている。
【0062】
タイマー装置18によりスイッチ作動片15の動作は緩慢となり、ゆっくりとリミットスイッチ17側へ移動する。スイッチ作動片15がリミットスイッチ17のボタン17Aを押し込むと「カチッ」と音がしてリミットスイッチ17が作動状態となる。この時点でストップウォッチを停止して遅延時間の測定を終了する。
【0063】
遅延確認レバー21を移動させてからリミットスイッチ17が作動するまでに経過した時間がタイマー装置の遅延時間であり、測定した時間とダイヤル18Aに示された時間が合っているかを確認する。
【0064】
遅延時間の測定後、遅延確認レバー21の保持状態を解除すると遅延確認レバー21は引張バネ22の作用によって元の位置(穴20Cの上側)に戻る。と同時に接触子16も段部12Aを介してコイルバネ14が拡張部16Dを下方へ付勢することから
図4に示す元の状態に戻る。
【0065】
上記に説明した第1実施形態では接触子16が「可動部」としての軸16Cにより回動支持され、回動動作によって上下方向に移動可能な構成であった。その変形例として
図8(a1):常時、(a2):遅延時間確認時、に示すように接触子16の軸16Cを、側面部16Bに設けたスリットaに沿って上下方向にスライド移動する構成や、同図(b1):常時、(b2):遅延時間確認時、のように軸16Cを側面部16Bに穿設された長穴bに沿って左右方向にスライド移動する構成にすることも可能である。さらに同図(c1):常時、(c2):遅延時間確認時、に示すように第1実施形態の軸16Cを90°回転させた位置に設置して接触子16を回動移動させることも可能である。
【0066】
上記変形例において、スイッチ作動片15は図示していないが、スイッチ作動片15には接触子16の移動方向に切り欠きを形成し、接触子16の動作を阻害しないよう構成する。また切り欠きの縁部分に面取りやテーパーを付しておくと接触子16が元の位置に戻る際に、接触子16がスイッチ作動片15に引っ掛かることなくスムーズに移動することができる。
【0067】
第2実施形態(
図9〜
図11)
以下、この発明の第2実施形態を
図9から
図11を参照して説明する。
【0068】
第2実施形態において第1実施形態と構成が同じ箇所については同符号を付して詳細な説明は省略する。第2実施形態における流水検知装置の本体1部分の構造は同じである。
図9には筐体2の蓋を外した状態の正面図を示す。
【0069】
ブラケット30内には第1実施形態と同様に、カバー19およびカバー19内に組み込まれたスイッチ作動片15、リミットスイッチ17、タイマー装置18等が収容されている。
図9に示すブラケット30の正面側には、第1実施形態と同様の長穴20Dが穿設されており、タイマー装置18の遅延時間確認時にブラケット30内部のリミットスイッチ17の状態を確認可能である。
【0070】
また、長穴20Dの斜め下方には矩形の開口30Aが穿設されている。開口30Aには遅延確認レバー31が挿通されており、遅延確認レバー31の一端側はカバー19上に配置され、カバー19とリミットスイッチ17を固定するビス19Aによって遅延確認レバー31がカバー19に固定設置されている。
【0071】
長穴20Dの上方には鉤状穴30Bが穿設されている。鉤状穴30Bにはカバー19の表面に形成された突起19Cが挿通され、該突起19Cは鉤状穴30Bに沿って図中上方へ移動可能である。常時において突起19Cは鉤状穴30Bの下側に係止されている。
【0072】
図10は
図9の左側面を表す図である。ブラケット30の左側面にはビス19Aが貫通された長穴30Cが形成されている。ビス19Aは常時において長穴30Cの下端に係止された状態にあるが、長穴30Cに沿って図中上方へ移動可能となっている。
【0073】
ブラケット30の左側面と接触するカバー19の表面にはマグネット32が埋め込まれて設置されている。常時においてマグネット32は金属製のブラケット30と磁力により吸着されており、カバー19とブラケット30を保持している。
【0074】
第2実施形態の流水検知装置の動作については、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。続いて第2実施形態の流水検知装置におけるタイマー装置の遅延時間の確認を行う手順について説明する。
【0075】
先ず、筐体2から蓋Cを取り外すと
図9に示すように遅延確認レバー31が正面に現れる。タイマー装置18のダイヤル18Aに表示された遅延時間を確認した後、遅延確認レバー31を右側へ移動させてカバー19に設置されたマグネット32をブラケット30から引き離す。その際突起19Cは鉤状穴30B下側の横穴に沿って右側へ移動する。
【0076】
次に遅延確認レバー31を上方に移動する。突起19Cを鉤状部30Bの縦穴に沿って上方に移動するとともにビス19Aの先端が長穴30Cに沿って上方へ移動する。移動後、直ちにストップウォッチ等で遅延時間の測定を開始する。このときブラケット30に対して、ブラケット30内に収容されているカバー19が上方に移動する。カバー19内に設置されているスイッチ作動片15もカバー19の移動と共に上方へ移動しており、接触子16がスイッチ作動片15から離れる。
【0077】
タイマー装置18の遅延時間の測定が終了するまで遅延確認レバー31をこの位置で保持する。スイッチ作動片15はゆっくりとリミットスイッチ17側へ移動して、スイッチ作動片15がリミットスイッチ17のボタン17Aを押し込み「カチッ」と音がした時点でストップウォッチを停止して遅延時間の測定を終了する。
【0078】
上記において、遅延時間の測定開始後にカバー19が上方に移動した状態を保持したい場合には、
図11に示すように遅延確認レバー31を左側に移動させる。すると突起19Cが鉤状穴30Bの上側の横溝に沿って左側へ移動してマグネット32とブラケット30の左側面がマグネット32の磁力によって吸着されるのでカバー19が上方に移動した位置の状態を保持することが可能となる。