(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の層状光学素子の第1のアレイは、前記共通基盤に対し配置される別個の基盤上に支持されることにより、該複数の層状光学素子のそれぞれは、前記検出器と光学的に接続される、請求項1に記載のアレイ撮像システム。
(a)前記検出器のためのカバープレート、および(b)光学帯域通過フィルタのうちの少なくとも1つを含む群から選択される構成要素をさらに含む、請求項1に記載のアレイ撮像システム。
前記複数の層状光学素子の第1のアレイと前記複数の層状光学素子の第2のアレイとの間に配置される少なくとも1つのスペーサ配列をさらに含み、該スペーサ配列は、バルク材料の層、光学素子上のスタンドオフ、パターン化された貫通孔を有するプレートのうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載のアレイ撮像システム。
前記複数の層状光学素子の第2のアレイ内の該複数の層状光学素子のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの位置の間で可動であることによって、該少なくとも2つの位置に従って、前記検出器に画像の可変倍率を提供する、請求項7に記載のアレイ撮像システム。
前記撮像システムの焦点距離を調節するための前記複数の層状光学素子のうちの少なくとも1つと協働するための可変焦点距離素子をさらに含む、請求項1に記載のアレイ撮像システム。
前記複数の層状光学素子のうちの少なくとも1つは、そこを通って伝達される電磁エネルギの波面を符号化することにより、所定の撮像効果を前記検出器における画像に導入するように構成される、請求項1に記載のアレイ撮像システム。
複数の検出器ピクセルを含む前記検出器のうちの少なくとも1つは、該検出器ピクセルのうちの少なくとも1つと一体的に形成される光学系をさらに含むことにより、該少なくとも1つの検出器ピクセル内の電磁エネルギを再分布する、請求項1に記載のアレイ撮像システム。
前記検出器のうちの少なくとも1つは、複数の検出器ピクセルと、小型レンズのアレイとを有し、該小型レンズのそれぞれは、該複数の検出器ピクセルのうちの少なくとも1つと光学的に接続される、請求項1に記載のアレイ撮像システム。
前記検出器のうちの少なくとも1つは、複数の検出器ピクセルと、フィルタのアレイとを有し、前記フィルタはそれぞれ、前記複数の検出器ピクセルのうちの少なくとも1つと光学的に接続される、請求項1に記載のアレイ撮像システム。
前記成形可能材料は、低温ガラス、アクリル、アクリルウレタン、エポキシ樹脂、シクロオレフィンコポリマー、シリコーン、および臭素化ポリマー鎖を有する材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載のアレイ撮像システム。
前記複数の層状光学素子のうちの少なくとも1つは、第1の湾曲表面と第2の湾曲表面と第3の湾曲表面とを含み、該第1の湾曲表面と該第2の湾曲表面と該第3の湾曲表面とのうちの少なくとも2つを分離するスペーサを有する、請求項1に記載のアレイ撮像システム。
前記撮像システムのうちの少なくとも1つの前記層状光学素子と前記検出器とは協働して変調伝達関数を提示し、該変調伝達関数は、事前選択された空間周波数範囲にわたって実質的に均一である、請求項1に記載のアレイ撮像システム。
前記複数の層状光学素子のうちの少なくとも1つは、該少なくとも1つの層状光学素子を通って伝搬される電磁エネルギの波面を符号化することにより、所定の撮像効果を前記検出器における画像に導入する非球面光学素子を含む、請求項1に記載のアレイ撮像システム。
前記複数の層状光学素子のうちの少なくとも1つと光学的に接続される前記検出器は、その上に入射する電磁エネルギを電気信号に変換するように構成されており、かつ、該電気信号を処理するために該検出器と電気的に接続されるプロセッサをさらに含むことにより、前記非球面光学素子によって該電磁エネルギ内に導入される撮像効果を除去する、請求項36に記載のアレイ撮像システム。
前記非球面光学素子および前記プロセッサは、非球面光学素子およびプロセッサを伴わない撮像システムと比較して、像面湾曲、層状光学素子の高さ変動、視野依存性収差、加工関連収差、温度依存性収差、前記共通基盤の厚さおよび平坦度変動のうちの少なくとも1つによって、前記電磁エネルギ内に導入されるアーチファクトを協働して低減するようにさらに構成される、請求項37に記載のアレイ撮像システム。
各検出器は、複数の検出器ピクセルを含み、さらに、少なくとも1つの検出器に隣接して直接配置され、かつ、該検出器の該検出器ピクセルにマッピングされる複数の小型レンズを含むことにより、該検出器の集光能力を向上させる、請求項1に記載のアレイ撮像システム。
前記複数の層状光学素子の前記複数の層の少なくとも一部分は、少なくとも1つの加工マスタの逐次的適用によって形成され、該加工マスタの各々は、該層状光学素子の第1のアレイを画定する特徴を有する、請求項1に記載のアレイ撮像システム。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
本開示は、アレイ撮像システムに関連する種々の側面および付随プロセスについて論じる。特に、設計プロセスおよび関連ソフトウェア、多重屈折光学素子、光学系のウエハスケール配列、複数の光学系を形成または成形するための加工マスタ、アレイ撮像システムの複製およびパッケージング、その中に形成される光学素子を有する検出器ピクセル、上述のシステムおよびプロセスの付加的実施形態が開示される。言い換えると、本開示に記載の実施形態は、設計生成および最適化から加工および種々の使用への適用まで、アレイ撮像システムの詳細を提供する。
【0069】
例えば、本開示は、大量生産スケールで光学精度を備えて製造可能な、消費者およびインテグレータ用カメラ等の撮像システムの加工について論じる。本開示によって製造されるそのようなカメラは、既存のカメラよりも優れた光学系、高品質画像処理、独自電子センサ、および精密なパッケージングを提供する。以下に詳細に論じられる製造技術は、例えば、マイクロチップ産業の現代の生産能力に匹敵する大量生産スケールでの、ナノメートルの精密加工およびアセンブリを可能にする。精密な半導体製造およびアセンブリ技術と協働して、高度な光学材料を使用することによって、大量生産撮像システムにおける最適な性能およびコストに対して、画像検出器および画像信号処理を精密な光学素子との結合を可能にする。本開示で論じられる技術は、光学系の加工を、概して、検出器加工において使用されるプロセスと適合可能にする。例えば、本開示の精密な光学素子は、例えば、検出器加工において使用されるリフロープロセスに付随する高温処理に耐えるように構成されてもよい。精密加工、および結果として生じるカメラの優れた性能によって、種々の技術分野におけるそのような撮像システムのアプリケーションを可能にする。例えば、本明細書に開示される撮像システムは、携帯型または実装式カメラおよび電話等の移動用撮像市場や、自動車および海運産業等の輸送部門における使用に好適である。加えて、本開示によって製造される撮像システムは、家庭用および専門のセキュリティアプリケーション、産業用制御およびモニタリング、玩具およびゲーム、医療装置および精密機器、趣味および専門写真撮影のために使用またはそれらに組み込まれてもよい。
【0070】
一実施形態によると、複数のカメラは、結合ユニットとして製造されてもよく、または個々のカメラユニットは、カメラのマルチビューワシステムとして、OEMインテグレータによって組み込まれることが可能である。マルチビューシステム内のすべてのカメラが同一である必要はなく、本明細書に開示される高精度加工およびアセンブリ技術は、数多くの構成の大量生産を可能にする。マルチカメラシステム内のいくつかのカメラは、低解像度であって、単純タスクを行ってもよく、直近またはいずれかの場所の他のカメラは、高品質画像を形成するように協働してもよい。
【0071】
別の実施形態では、画像信号処理、機械タスク、およびI/Oサブシステムのためのプロセッサもまた、精密加工およびアセンブリ技術を使用して、カメラと一体化されてもよく、または集積システム全体に分布されることも可能である。例えば、単一プロセッサは、プロセッサが各カメラと通信すると、任意の数のカメラに依存して、類似または異なるタスクを行ってもよい。他のアプリケーションでは、単一カメラ、または単一撮像システムに組み込まれる複数カメラは、幅広い種類の外部プロセッサおよびI/Oサブシステムに入力またはそのための処理を提供し、タスクを行い、情報または制御キューを提供してもよい。カメラの高精度加工およびアセンブリによって、高品質を備えた大量生産のために、電子的処理および光学性能を最適化させることが可能である。
【0072】
また、本開示による、カメラのためのパッケージングは、既製使用のための完全なカメラユニットを形成するために必要なすべてのパッケージングを組み込んでもよい。パッケージングは、典型的には、電子装置、半導体、およびチップセットに付随する種々の現代のアセンブリ技術を使用して、大量生産可能なようにカスタマイズされてもよい。また、パッケージングは、プロセス制御およびモニタリング、バーコードおよびラベル読み取り、セキュリティおよび監視、協働タスク等の産業および商業使用に適合するように構成されてもよい。高度な光学材料ならびに精密加工およびアセンブリは、従来技術のシステムを劣化し得る過酷な環境における使用に対して協働し、堅牢な解決策を提供するように構成されてもよい。モノリシックアセンブリと相まって、熱および機械的応力に対する増加した許容度は、広範囲の応力を通して安定した画質を提供する。
【0073】
電話、GPSユニット、および実装式カメラ等の携帯型装置における使用を含む、一実施形態による撮像システムのためのアプリケーションは、向上した画質および精密なパッケージにおける頑丈な実用性によって利益を享受する。携帯型装置のインテグレータは、柔軟性を得ることによって、精密加工を使用して、光学系、検出器、および信号処理を単一ユニット内に結合させ、「光学システム・オン・チップ」を提供する能力を利用可能となる。携帯型カメラユーザは、低出力処理によってより長いバッテリ寿命、より小さく、薄い装置、ならびに情報を管理するためのバーコード読み取りおよび光学方程式文字認識等の新しい機能の開発によって利益を享受し得る。また、カメラに内蔵またはネットワークを介して通信される身元確認および/またはセキュリティ処理を備えた携帯型装置を使用して、虹彩認証等の生体分析を通して、セキュリティが提供されてもよい。
【0074】
自動車および大型トラックを含む運送、鉄道および船舶による輸送、航空および移動のセキュリティ等の移動用市場のアプリケーションはすべて、大量生産される安価かつ高品質カメラを有することによって利益を享受し得る。例えば、自動車の運転手は、車両の後方および側面の映像化、視覚的フィードバックおよび/または警告の提供、「盲点」視覚化の補助、またはラックまたはトラックの荷台に付置された貨物のモニタリング等、車両外部の改良されたモニタリング能力によって利益を享受するであろう。さらに、自動車メーカーは、内部活動、乗員挙動、および場所のモニタリング、ならびにセーフティ配備装置への入力提供のために、カメラを使用してもよい。数多くの協働カメラによる、貨物および輸送コンテナまたは航空業務および機器のセキュリティおよびモニタリングは、本開示の撮像システムの大量生産性の結果、低コストで達成され得る。
【0075】
本開示の文脈の中では、光学素子は、何らかの方法で、そこを通って伝送される電磁エネルギに影響を及ぼす単一素子であると理解される。例えば、光学素子は、回折素子、屈折素子、反射素子、またはホログラフィック素子であってもよい。光学素子のアレイは、共通基盤上に支持される複数の光学素子であるとみなされる。層状光学素子は、異なる光学特性(例えば、屈折率)を有する2つ以上の層を含むモノリシック構造であって、複数の層状光学素子は、共通基盤上に支持され、層状光学素子のアレイを形成してもよい。そのような層状光学素子の設計および加工の詳細は、適切な時点で以下に論じられる。撮像システムは、画像を形成するように協働する光学素子および層状光学素子の組み合わせであるとみなされ、複数の撮像システムは、以下にさらに詳述されるように、共通基板上に配列され、アレイ撮像システムを形成してもよい。さらに、光学系という用語は、協働し得るようにともに組み立てられてもよい、光学素子、層状光学素子、撮像システム、検出器、カバープレート、スペーサ等のうちのいずれかを包含するものと意図される。
【0076】
例えば、携帯電話カメラ、玩具、およびゲームにおける使用のためのもの等、撮像システムに対する最近の関心は、撮像システムを構成する構成要素のさらなる小型化に拍車をかけている。この点において、整合および製造を容易にし、ミスフォーカス関連収差が低減される、低コストかつコンパクトな撮像システムが望ましいであろう。
【0077】
本明細書に記載される実施形態は、アレイ撮像システムおよびそのような撮像システムを製造するための方法を提供する。本開示は、有利には、高性能を可能にする光学系の特定の構成、歩留の増大を可能にするウエハスケール撮像システムを加工する方法、およびデジタル画像信号処理アルゴリズムと並行して使用され、所与のウエハスケール撮像システムの画質および製造可能性のうちの少なくとも1つを改善し得る組み立て構成を提供する。
【0078】
図1は、検出器16と光連通する光学系42を含む、撮像システム40のブロック図である。光学系42は、複数の光学素子44(例えば、ポリマー材料から層状光学素子として逐次的に形成される)を含み、適切な時点で以下に詳述されるように、1つ以上の位相修正素子を含み、撮像システム40内に所定の位相効果を導入してもよい。4つの光学素子が
図1において示されるが、光学系42は、異なる数の光学素子を有してもよい。また、撮像システム40は、後述されるように、検出器16内または光学系−検出器界面14の一部として組み込まれる、埋設光学素子(図示せず)を含んでもよい。光学系42は、互いに同一または異なってもよい、多くの付加的撮像システムとともに形成されてもよく、次いで、本明細書の教示に従って、個々のユニットから分離されてもよい。
【0079】
撮像システム40は、検出器16と電気的に接続されるプロセッサ46を含む。プロセッサ46は、撮像システム40に入射する電磁エネルギ18に応じて、検出器16の検出器ピクセルによって生成され、検出器ピクセルへ伝送される電子データを処理し、画像48を生成する働きをする。プロセッサ46は、プロセス、タスク、表示操作、信号処理操作、および入力/出力操作を含む、任意の数の操作47と関連付けられてもよい。一実施形態では、プロセッサ46は、復号アルゴリズム(例えば、フィルタカーネルを使用する、データのデコンボリューション)を実装し、光学系42内に含まれる位相修正素子によって符号化された画像を修正する。あるいは、プロセッサ46は、例えば、カラー処理、タスクベース処理、またはノイズ除去を実装してもよい。例示的タスクは、物体認識のタスクであってもよい。
【0080】
撮像システム40は、独立してまたは1つ以上の他の撮像システムと協働可能に動作してもよい。例えば、3つの撮像システムは、3つの異なる視点から物体の体積を視認するように動作し、物体体積内の物体を識別するタスクを遂行可能にしてもよい。各撮像システムは、
図293を参照して詳述されるように、1つ以上のアレイ撮像システムを含んでもよい。撮像システムは、その多くが1つ以上の他の撮像システムも含む、パッケージ仕分けシステムまたは自動車等のより大きなアプリケーション50内に含まれてもよい。
【0081】
図2Aは、その上に入射する電磁エネルギ18に応じて、電子画像データを生成する撮像システム10の横断面図である。したがって、撮像システム10は、対象場面から放出および/または反射される電磁エネルギ18から、対象場面の画像(電子画像データの形態で)を撮影するよう機能する。撮像システム10は、デジタルカメラ、携帯電話、玩具、および自動車用後方カメラ等の撮像システムアプリケーションにおいて使用されてもよいが、それらに限定されない。
【0082】
撮像システム10は、検出器16と、光学系−検出器界面14と、協働可能に電子画像データを生成する光学系12とを含む。検出器16は、例えば、CMOS検出器またはCCD検出器である。検出器16は、複数の検出器ピクセル(図示せず)を有する。各ピクセルは、その上に入射する電磁エネルギ18の一部に応じて、電子画像データの一部を生成するよう機能する。
図2Aに示される実施形態では、検出器16は、2.2ミクロンピクセルサイズの640×480検出器ピクセルを有するVGA検出器である。そのような検出器は、307,160素子の電子データを提供するよう機能し、電子データの各素子は、その個々の検出器ピクセル上に入射する電磁エネルギを表す。
【0083】
光学系−検出器界面14は、検出器16上に形成されてもよい。光学系−検出器界面14は、赤外線フィルタおよびカラーフィルタ等の1つ以上のフィルタを含んでもよい。また、光学系−検出器界面14は、例えば、小型レンズが検出器16の各検出器ピクセル上に配置されるように、検出器16の検出器ピクセル上に配置される小型レンズのアレイ等の光学素子を含んでもよい。これらの小型レンズは、例えば、光学系12を通過する電磁エネルギ18の一部を付随検出器ピクセル上へ誘導するよう機能する。一実施形態では、後述されるように、小型レンズは、光学系−検出器界面14内に含まれ、主光線角度補正を提供する。
【0084】
光学系12は、光学系−検出器界面14上に形成されてもよく、直接電磁エネルギ18を光学系−検出器界面14および検出器16上へ誘導するよう機能する。後述するように、光学系12は、複数の光学素子を含んでもよく、異なる構成で形成されてもよい。光学系12は、概して、硬質開口絞り(後述)を含み、迷光を軽減するために、不透明材料で巻装されてもよい。
【0085】
撮像システム10は、独立型撮像システムであるように
図2Aで示されるが、アレイ撮像システムの1つとして最初に加工される。このアレイは、共通基盤上に形成され、例えば、「ダイシング」(すなわち、物理的切削または分離)によって分離可能であって、複数の単独または集合撮像システムを生成し、その1つが
図2Aに示される。代替として、後述されるように、撮像システム10は、撮像システム10のアレイ(例えば、協働可能に配置される9つの撮像システム)の一部のままであってもよい。つまり、アレイは、そのまま維持されるか、または撮像システム10の複数のサブアレイに分離される。
【0086】
アレイ撮像システム10は、以下のように加工されてもよい。複数の検出器16は、CMOS等のプロセスを使用して、共通半導体ウエハ(例えば、シリコン)上に形成される。続いて、光学系−検出器界面14は、各検出器16の上部に形成され、次いで、光学系12は、例えば、成形プロセスを介して各光学系−検出器界面14上に形成される。故に、アレイ撮像システム10の構成要素は、並列に加工されてもよい。例えば、各検出器16は、共通の半導体ウエハ上に同時に形成されてもよく、次いで、光学系12の各光学素子は、同時に形成されてもよい。アレイ撮像システム10の構成要素を加工するための複製方法は、所望の表面の可能な限り収縮補正された陰画プロファイルを含む、加工マスタの使用を伴ってもよい。加工マスタは、加工マスタの形状を固め(例えば、重合化)、保持するために処置(例えば、UV硬化)され得る材料(例えば、液体モノマー)と係合する。成形方法は、概して、流動性材料の金型への導入、次いで、材料の冷却または凝固を伴い、それによって材料が金型の形状に保持される。エンボス加工方法は、複製方法に類似するが、加工マスタの柔軟な成形性材料との係合、次いで、任意に、表面形状を保持するための材料の処置を伴う。これらの方法のそれぞれの多くの変形例が従来技術に存在し、必要に応じて利用し、意図される光学設計の設計および品質制約に一致させてもよい。撮像システム10のそのようなアレイを形成するためのプロセスの仕様は、以下により詳細に論じられる。
【0087】
後述するように、付加的素子(図示せず)が、撮像システム10に含まれてもよい。例えば、可変光学素子が、撮像システム10に含まれてもよい。そのような可変光学素子は、撮像システム10の収差を補正および/または撮像システム10内のズーム機能性を実装する際に有用であり得る。また、光学系12は、検出器16で撮影される画像が、例えば、1つ以上の位相修正素子を有しない検出器16で撮影された対応する画像と比較して、収差に対し感度が低くなるように、そこを通って伝送される電磁エネルギ18の波面の位相を修正するために、1つ以上の位相修正素子を含んでもよい。位相修正素子のそのような使用は、例えば、撮像システム10の被写界深度を増加および/または連続的に可変ズームを実装するために使用され得る、例えば、波面符号化を含んでもよい。
【0088】
存在する場合、1つ以上の位相修正素子は、電磁エネルギ18の波面の位相を選択的に修正することによって、検出器16によって検出される前に、光学系12を通過する電磁エネルギ18の波面を符号化する。例えば、検出器16によって撮影された結果として生じる画像は、波面の符号化の結果、撮像効果を示し得る。画像が機械によって分析される場合等、そのような撮像効果に対し敏感ではないアプリケーションでは、検出器16によって撮影される画像(撮像効果を含む)は、さらなる処理を行わずに使用されてもよい。しかしながら、焦点画像が望ましい場合、撮影された画像は、復号アルゴリズム(本明細書では、「後処理」または「フィルタリング」と称される場合がある)を実行するプロセッサ(図示せず)によってさらに処理されてもよい。
【0089】
図2Bは、
図2Aにおける撮像システム10の一実施形態である、撮像システム20の横断面図である。撮像システム20は、撮像システム10の光学系12の一実施形態である、光学系22を含む。光学系22は、光学系−検出器界面14上に形成される複数の層状光学素子24を含む。したがって、光学系22は、不均質または多重屈折光学素子の実施例とみなされ得る。各層状光学素子24は、少なくとも1つの他の層状光学素子24と直接当接する。光学系22は、7つの層状光学素子24を有するように示されるが、光学系22は、異なる数量の層状光学素子24を有してもよい。具体的には、層状光学素子24(7)は、光学系−検出器界面14上に形成される。層状光学素子24(6)は、層状光学素子24(7)上に形成される。層状光学素子24(5)は、層状光学素子24(6)上に形成される。層状光学素子24(4)は、層状光学素子24(5)上に形成される。層状光学素子24(3)は、層状光学素子24(4)上に形成される。層状光学素子24(2)は、層状光学素子24(3)上に形成される。層状光学素子24(1)は、層状光学素子24(2)上に形成される。層状光学素子24は、例えば、紫外線硬化性ポリマーまたは熱硬化性ポリマー等の成形によって加工されてもよい。層状光学素子の加工は、以下により詳述される。
【0090】
隣接する層状光学素子24は、異なる屈折率を有する。例えば、層状光学素子24(1)は、層状光学素子24(2)と異なる屈折率を有する。光学系22の一実施形態では、第1の層状光学素子24(1)は、撮像システム20の色収差を低減するために、第2の層状光学素子24(2)よりも大きいアッベ数または小さい分散を有してもよい。有効屈折率層を形成するサブ波長特徴、またはサブ波長厚の複数の層から成る反射防止コーティングは、隣接する光学素子間に適用されてもよい。あるいは、第3の屈折率を含む第3の材料は、隣接する光学素子間に適用されてもよい。異なる屈折率を有する2つの異なる材料の使用は、
図2Bに示される。第1の材料は、左から右へ上方に延びる平行線模様によって示され、第2の材料は、左から右へ下方に延びる平行線模様によって示される。故に、本実施例では、層状光学素子24(1)、24(3)、24(5)、および24(7)は、第1の材料から形成され、層状光学素子24(2)、24(4)、および24(6)は、第2の材料から形成される。
【0091】
層状光学素子は、2つの材料から形成されるように
図2Bで示されるが、層状光学素子24は、3つ以上の材料から形成されてもよい。層状光学素子24を形成するために使用される材料の数が減少すると、撮像システム20の複雑性および/またはコストが低減し得る。しかしながら、層状光学素子24を形成するために使用される材料の数が増加すると、撮像システム20の性能および/または撮像システム20の設計における柔軟性が向上し得る。例えば、撮像システム20の実施形態では、軸上の色を含む収差は、層状光学素子24を形成するために使用される材料の数を増加させることによって低減され得る。
【0092】
光学系22は、1つ以上の物理的開口(図示せず)を含んでもよい。そのような開口は、例えば、光学系22の上部平面26(1)および26(2)上に配置されてもよい。任意に、開口は、1つ以上の層状光学素子24上に配置されてもよい。例えば、開口は、層状光学素子24(2)および24(3)を分離する平面28(1)および28(2)上に配置されてもよい。一例として、開口は、金属または他の不透明材料の特定の層状光学素子24上への低温蒸着によって形成されてもよい。別の実施例では、開口は、リソグラフィを使用して薄い金属シート上に形成され、次いで、その金属シートは、層状光学素子24上に配置される。
【0093】
図3は、撮像システム62のアレイ60の横断面図であって、それぞれ、例えば、
図2Aにおける撮像システム10の一実施形態である。アレイ60は、5つの撮像システム62を有するように示されるが、アレイ60は、本明細書の範囲から逸脱することなく、異なる数の撮像システム62を有することが可能である。さらに、アレイ60の各撮像システムは、同一であるように示されるが、アレイ60の各撮像システム62は、異なってもよい(または、任意の1つが異なってもよい)。アレイ60は、再び、サブアレイおよび/または1つ以上の独立型撮像システム62を生成するように分離されてもよい。アレイ60は、均一に離間した撮像システム62の群を示すが、1つ以上の撮像システム62は、形成されないまま残され、それによって、光学系を欠いた領域を残してもよいことに留意されたい。
【0094】
裁断
図64は、一撮像システム62の1つの例の拡大図を表す。撮像システム62は、検出器16上に加工される光学系12の一実施形態である、光学系66を含む。検出器16は、検出器ピクセル78を含む(正確な縮尺で描かれておらず、検出器ピクセル78のサイズは、説明の明確性のため誇張されている)。検出器78の横断面は、少なくとも数百の検出器ピクセルを有する可能性がある。
【0095】
光学系66は、
図2Bの層状光学素子24に類似し得る、複数の層状光学素子68を含む。層状光学素子68は、2つの異なるスタイルの平行線模様で示されるように、2つの異なる材料から形成されるように示される。しかしながら、層状光学素子68は、3つ以上の材料から形成されてもよい。本実施形態では、検出器16からの層状光学素子68の距離が増えると、層状光学素子68の直径が減少することに留意されたい。したがって、層状光学素子68(7)は、最大直径を有し、層状光学素子68(1)は、最小直径を有する。層状光学素子68のそのような構成は、「レイヤケーキ」構成と称される場合がある。そのような構成は、有利には、撮像システムにおいて使用され、層状光学素子と、後述されるような層状光学素子を加工するために使用される加工マスタとの間の表面積を減少させてもよい。層状光学素子を形成するために使用される材料が、加工マスタに粘着し、加工マスタが係脱される際に、共通基盤(例えば、検出器のアレイを支持する基板またはウエハ)から層状光学素子のアレイを剥離してしまう可能性があるため、層状光学素子と加工マスタとの間の広範囲の表面接触は、望ましくない場合がある。
【0096】
光学系66は、電磁エネルギが検出器16へ到達するように進行することが意図される有効口径72を含む。本実施例における有効口径は、示されるように、光学素子68(1)上に形成される物理的開口70によって形成される。有効口径72外側の光学系66の領域は、基準数74によって表され、「ヤード」と称される場合がある。電磁エネルギ(例えば、
図1の18)は、開口70のため、ヤードへの進行が妨害される。領域74は、入射電磁エネルギの撮像のために使用されず、したがって、設計の制約に適合させることが可能である。開口70のような物理的開口は、任意の1つの層状光学素子68上に配置されてもよく、
図2Bに関して上述のように、形成されてもよい。光学系62の側面は、光学系への物理的損傷または塵埃汚染を防止する不透明保護層でコーティングされてもよい。また、保護層は、迷光または周辺光(例えば、層状光学素子68(2)と68(3)との間の界面からの複数の反射による迷光、または光学系62の側面を通して漏出する周辺光)が、検出器に達するのを防止する。
【0097】
一実施形態では、撮像システム62間の空間76は、スピンオンポリマー等の充填材料で充填される。充填材料は、例えば、空間76内に載置され、次いで、アレイ60は、充填材料が空間76内で均一に分布するように、高速で回転する。充填材料は、撮像システム10い支持および剛性を提供してもよい。充填材料が不透明である場合、分離後、各撮像システム62を望ましくない(散乱または周囲の)電磁エネルギから隔離してもよい。
【0098】
図4は、検出器ピクセル78のアレイを含む(正確な縮尺ではない)、
図3における撮像システム62の例の横断面図である。
図4は、1つの検出器ピクセル78の拡大横断面図を含む。検出器ピクセル78は、埋設光学素子90および92と、感光領域94と、金属相互接続部96とを含む。感光領域94は、その上に入射する電磁エネルギに応じて、電子信号を生成する。埋設光学素子90および92は、表面98上に入射する電磁エネルギを感光領域94へ誘導する。一実施形態では、埋設光学素子90および/または92は、後述のように、主光線角度補正を実施するようにさらに構成されてもよい。電気相互接続部96は、感光領域94と電気的に接続され、検出器ピクセル78を外部サブシステム(例えば、
図1のプロセッサ46)に接続するための電気的接続点として機能する。
【0099】
撮像システム10の複数の実施形態が、本明細書において論じられる。表1および2は、記載される実施形態の種々のパラメータを要約する。各実施形態の仕様は、以下に詳述される。
【0100】
【表1】
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【0101】
【表2】
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図5は、
図2Aにおける撮像システム10の一実施形態である、撮像システム110の光学レイアウトおよび光線追跡図である。撮像システム110は、再び、アレイ撮像システムの1つである。そのようなアレイは、
図2Aおよび
図4に関して上述のように、複数のサブアレイおよび/またはダイシングされた撮像システムに分離されてもよい。撮像システム110は、以下、「VGA撮像システム」と称される場合がある。VGA撮像システムは、検出器112と光連通する光学系114を含む。また、光学系−検出器界面(図示せず)は、光学系114と検出器112との間に存在する。VGA撮像システムは、焦点距離1.50ミリメートル(「mm」)、視野角62°、F値1.3、総トラック長2.25mm、および最大主光線角度31°を有する。斜交平行線領域は、上述のように、電磁エネルギが伝搬しないヤード領域、すなわち有効口径外側の領域を示す。
【0102】
検出器112は、「VGA」形式を有し、640列と480行との検出器ピクセル(図示せず)のマトリクスを含むことを意味する。したがって、検出器112は、解像度640×480を有すると言える。入射電磁エネルギの方向から見ると、各検出器ピクセルは、各側面長さ2.2ミクロンを有する概して正方形の形状である。検出器112は、公称幅1.408mmおよび公称高1.056mmを有する。光学系114に近接する検出器112の表面を横切る対角長は、公称長1.76mmである。
【0103】
光学系114は、7つの層状光学素子116を有する。層状光学素子116は、2つの異なる材料から形成され、隣接する層状光学素子は、異なる材料から形成される。層状光学素子116(1)、116(3)、116(5)、および116(7)は、第1の屈折率を有する第1の材料で形成され、層状光学素子116(2)、116(4)、および116(6)は、第2の屈折率を有する第2の材料で形成される。光学系114の実施形態では、光学素子間に空隙は存在しない。光線118は、VGA撮像システムによって撮像される電磁エネルギを表す。光線118は、無限遠から生じるものと仮定される。サグの式は、式(1)によって求められ、光学系114の仕様は、表3および4に要約され、ここで、半径、厚さおよび直径は、ミリメートル単位で与えられる。
【0104】
【数1】
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【0105】
【表3】
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【0106】
【表4】
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層状光学素子116(1)と116(2)との間の表面113が相対的に浅い(shallow)(低光強度をもたらす)ことは、
図5から分かるだろう。そのような浅い表面は、有利には、後述されるように、STS方法を使用して生成される。反対に、層状光学素子116(5)と116(6)との間の表面124が相対的に急勾配(高光強度をもたらす)であることも分かるだろう。そのような急勾配表面は、有利には、後述されるようなXYZ粉砕方法を使用して生成される。
【0107】
図6は、類似の撮像システムのアレイを分離することによって得られる、
図5におけるVGA撮像システムの横断面図である。相対的に直線の側面146は、アレイ撮像システムから分離されたVGA撮像システムを示す。
図6は、複数の検出器ピクセル140を含むような検出器112を示す。
図3におけるように、検出器ピクセル140は、正確な縮尺で描かれておらず、そのサイズは、説明の明確性のため誇張される。さらに、説明の明確性を促進するために、3つの検出器ピクセル140のみ番号が付される。
【0108】
光学系114は、電磁エネルギが検出器112へ到達するように進行する、光学系114の部分に対応する有効口径142をとともに示される。有効口径142外側のヤード144は、
図6の陰影によって表される。説明の明確性を促進するために、層状光学素子116のうちの2つのみ、
図6において番号が付される。VGA撮像システムは、例えば、層状光学素子116(1)上に配置される物理的開口146を含んでもよい。
【0109】
図7〜10は、VGA撮像システムの性能図である。
図7は、VGA撮像システムの空間周波数の関数として、変調伝達関数(「MTF」)のプロット160を示す。MTF曲線は、470〜650ナノメートル(「nm」)の波長に平均化される。
図7は、検出器112の対角軸上の実像高(real image height)と関連付けられた3つの別個の視野ポイントに対するMTF曲線を示す。3つの視野ポイントは、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイントと、座標(0.49mm、0.37mm)を有する0.7視野ポイントと、座標(0.704mm、0.528mm)を有する全視野ポイントである。
図7では、「T」は、接線方向面を示し、「S」は、サジタル方向面を示す。
【0110】
図8A〜8Cは、VGA撮像システムの光路差、もしくは波面誤差のプロット182、184、および186をそれぞれ示す。各方向の最大目盛は、+/−5波である。実線は、波長470nm(青色光)を有する電磁エネルギを表す。短い破線は、波長550nm(緑色光)を有する電磁エネルギを表す。長い破線は、波長650nm(赤色光)を有する電磁エネルギを表す。各対のプロットは、検出器112の対角線上の異なる実像高における光路差を表す。プロット182は、座標(0mm、0mm)を有する軸上の視野ポイントに対応する。プロット184は、座標(0.49mm、0.37mm)を有する0.7視野ポイントに対応する。プロット186は、座標(0.704mm、0.528mm)を有する全視野ポイントに対応する。プロット182、184、および186では、左列は、接線方向の光束に対する波面誤差のプロットであって、右列は、サジタル方向の光束に対する波面誤差のプロットである。
【0111】
図9Aおよび9Bは、それぞれ、VGA撮像システムの歪のプロット200と、像面湾曲のプロット202とを示す。最大半画角は、31.101°である。実線は、波長470nmを有する電磁エネルギに対応する。短い破線は、波長550nmを有する電磁エネルギに対応する。長い破線は、波長650nmを有する電磁エネルギに対応する。
【0112】
図10は、光学系114の光学素子の中心合わせおよび厚さにおける公差を考慮した、VGA撮像システムの空間周波数の関数として、MTFのプロット250を示す。プロット250は、Monte Carlo法公差解析を10回以上実行して生成された、軸上視野ポイント、0.7視野ポイント、および全視野ポイントのサジタル方向および接線方向面MTF曲線を含む。光学系114の光学素子の中心合わせおよび厚さにおける公差は、+2〜−2ミクロンからサンプリングされた正規分布を有するものと仮定され、表5に記載される。故に、撮像システム110のMTFは、曲線252および254によって範囲が定められるものと予測される。
【0113】
【表5】
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図11は、
図2Aにおける撮像システム10の一実施形態である、撮像システム300の光学レイアウトおよび光線追跡である。撮像システム300は、アレイ撮像システムの1つであってもよい。そのようなアレイは、
図2Aに関して上述のように、複数のサブアレイおよび/または独立型撮像システムに分離されてもよい。撮像システム300は、以下、「3MP撮像システム」と称される場合がある。3MP撮像システムは、検出器302と光学系304とを含む。また、光学系−検出器界面(図示せず)は、光学系304と検出器302との間に存在する。3MP撮像システムは、焦点距離4.91ミリメートル、視野角60°、F値2.0、総トラック長6.3mm、および最大主光線角度28.5°を有する。斜交平行線領域は、上述のように、電磁エネルギが伝搬しないヤード領域を示す(すなわち、有効口径の外側の領域)。
【0114】
検出器302は、3メガピクセル「3MP」形式を有し、2,048列および1,536行の検出器ピクセル(図示せず)のマトリクスを含むことを意味する。したがって、検出器302は、
図5の検出器112よりも大幅に大きい、解像度2,048×1,536を有すると言える。各検出器ピクセルは、各側面長さ2.2ミクロンを有する正方形形状である。検出器112は、公称幅4.5mmおよび公称高3.38mmを有する。光学系304に近接する検出器302の表面を横切る対角長は、公称で5.62mmである。
【0115】
光学系304は、層状光学素子306における4層の光学素子と、層状光学素子309における5層の光学素子とを有する。層状光学素子306は、2つの異なる材料から形成され、隣接する光学素子は、異なる材料から形成される。具体的には、光学素子306(1)および306(3)は、第1の屈折率を有する第1の材料から形成され、光学素子306(2)および306(4)は、第2の屈折率を有する第2の材料から形成される。層状光学素子309は、2つの異なる材料から形成され、隣接する光学素子は、異なる材料から形成される。具体的には、光学素子309(1)、309(3)、および309(5)は、第1の屈折率を有する第1の材料から形成され、光学素子309(2)および309(4)は、第2の屈折率を有する第2の材料から形成される。さらに、光学系304は、光学系304内に協働可能に空隙312を形成する、中間共通基盤314(例えば、ガラスプレートから形成)を含む。1つの空隙312は、光学素子306(4)および共通基盤314によって画定され、別の空隙312は、共通基盤314および光学素子309(1)によって画定される。空隙312は、有利には、光学系304の光強度を増加させる。光線308は、3MP撮像システムによって撮像される電磁エネルギを表す。光線308は、無限遠から生じるものと仮定される。光学系304に対するサグ式は、式(1)によって求められる。光学系304の仕様は、表6および7に要約され、ここで、半径、厚さ、および直径は、ミリメートル単位で求められる。
【0116】
【表6】
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【0117】
【表7】
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図12は、類似の撮像システムのアレイを分離することによって得られた、
図11における3MP撮像システムの横断面図である(相対的に直線の側面336は、3MP撮像システムが分離された状態を示す)。
図12は、複数の検出器ピクセル330を含むように検出器302を示す。
図3におけるように、検出器ピクセル330は、正確な縮尺で描かれておらず、そのサイズは、説明の明確性のため誇張される。さらに、3つの検出器ピクセル330のみが、説明の明確性を促進するために番号が付けられている。
【0118】
説明の明確性を促進するために、
図12においては、層状光学素子306および309の各々のうちの1つの光学素子のみに番号が付されている。光学系304は、再び、電磁エネルギが検出器302へ到達するように進行する、光学系304の部分に対応する有効口径332を有する。有効口径332外側のヤード334は、
図12において陰影で表される。3MP撮像システムは、例えば、光学素子306(1)上に配置される物理的開口338を含んでもよいが、これらの開口は、いずれの場所に載置されてもよい(例えば、隣接する1つ以上の他の層状光学素子306)。開口は、
図2Bに関して上述のように、形成されてもよい。
【0119】
図13〜16は、3MP撮像システムの性能図を示す。
図13は、3MP撮像システムの空間周波数の関数として、MTFの係数のプロット350を示す。MTF曲線は、470〜650nmの波長に平均化される。
図13は、検出器302の対角軸上の実像高に関連付けられた3つの別個の視野ポイントに対するMTF曲線を示す。3つの視野ポイントは、座標(0mm、0mm)を有する軸上の視野ポイント、座標(1.58mm、1.18mm)0.7視野ポイント、および座標(2.25mm、1.69mm)を有する全視野ポイントである。
図13では、「T」は、接線方向面を示し、「S」は、サジタル方向面を示す。
【0120】
図14A、14B、および14Cは、それぞれ、3MP撮像システムの光路差のプロット362、364、および366を示す。各方向の最大目盛は、+/−5波である。実線は、波長470nmを有する電磁エネルギを表し、短い破線は、波長550nmを有する電磁エネルギを表し、長い破線は、波長650nmを有する電磁エネルギを表す。各対のプロットは、検出器302の対角線上の異なる実高における光路差を表す。プロット362は、座標(0mm、0mm)を有する軸上の視野ポイントに対応し、プロット364は、座標(1.58mm、1.18mm)を有する0.7視野ポイントに対応し、プロット366は、座標(2.25mm、1.69mm)を有する全視野ポイントに対応する。プロット362、364、および366では、左列は、接線方向の光束に対する波面誤差のプロットであって、右列は、サジタル方向の光束に対する波面誤差のプロットである。
【0121】
図15Aおよび15Bは、それぞれ、3MP撮像システムの歪のプロット380と、像面湾曲のプロット382とを示す。最大半画角は、30.063°である。実線は、波長470nmを有する電磁エネルギに対応し、短い破線は、波長550nmを有する電磁エネルギに対応し、長い破線は、波長650nmを有する電磁エネルギに対応する。
【0122】
図16は、光学系304の光学素子の中心合わせおよび厚さにおける公差を考慮した、3MP撮像システムの空間周波数の関数として、MTFのプロット400を示す。プロット400は、Monte Carlo法公差解析を10回以上実行して生成された、+2〜−2ミクロンからサンプリングされた正規分布を有する、軸上視野ポイント、0.7視野ポイント、および全視野ポイントのサジタル方向および接線方向面MTF曲線を含む。軸上視野ポイントは、座標(0mm、0mm)を有し、0.7視野ポイントは、座標(1.58mm、1.18mm)を有し、全視野ポイントは、座標(2.25mm、1.69mm)を有する。光学系304の光学素子の中心合わせおよび厚さにおける公差は、
図16のMonte Carlo法実行における正規分布を有すると仮定される。故に、撮像システム300のMTFは、曲線402および404によって境界されると予測される。
【0123】
図17は、
図2Aにおける撮像システム10の一実施形態である、撮像システム420の光学レイアウトおよび光線追跡である。撮像システム420が、波面符号化等の所定の位相修正を実装する位相修正素子を含むという点で、撮像システム420は、
図5におけるVGA撮像システムと異なる。撮像システム420は、以下、VGA_WFC撮像システムと称される場合があり、「WFC」は、波面符号化を表す。波面符号化は、所定の位相修正を撮像システム内に導入し、収差低減および拡張被写界深度等の種々の有利な効果を達成する技術を示す。例えば、Cathey,Jr.らの米国特許第5,748,371号(以下、‘371特許)は、撮像システムの被写界深度を拡張するために、撮像システムに挿入される位相修正素子を開示している。例えば、撮像システムは、撮像光学系および位相修正素子を通して、物体を検出器上に撮像するために使用されてもよい。位相修正素子は、検出器において所定の撮像効果を結果として生じる画像に導入するために、物体からの電磁エネルギの波面を符号化するように構成されてもよい。この撮像効果は、そのような位相修正素子のない従来の撮像システムと比較して、ミスフォーカス関連収差が低減および/または撮像システムの被写界深度が拡張されるように、位相修正素子によって制御される。位相修正素子は、例えば、位相修正素子表面の平面上の空間変数xおよびyの分離可能三次関数である位相変調を導入するように(‘371特許において論じられるように)構成されてもよい。所定の位相修正のそのような導入は、本開示との関連において、概して、波面符号化と称される。
【0124】
VGA_WFC撮像システムは、焦点距離1.60mm、視野角62°、F値1.3、総トラック長2.25mm、および最大主光線角度31°を有する。前述のように、斜交平行線領域は、ヤード領域、すなわち電磁エネルギが伝搬しない有効口径の外側の領域を示す。
【0125】
VGA_WFC撮像システムは、7つの素子層状光学素子117を有する光学系424を含む。光学系424は、所定の位相修正を含む光学素子116(1’)を含む。つまり、光学素子116(1’)が、所定の位相修正を実装して、VGA_WFC撮像システムにおいて被写界深度を拡張するために、位相修正素子としても付加的に機能するように、光学素子116(1’)の表面432は形成される。光線428は、VGA_WFC撮像システムによって撮像される電磁エネルギを表す。光線428は、無限遠から生じるものと仮定される。光学系424のサグは、式(2)および式(3)を使用して示されてもよい。光学系424の仕様の詳細は、表8〜11に要約され、ここで、半径、厚さ、および直径は、ミリメートル単位で求められる。
【0126】
【数2】
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および
【0127】
【数3-1】
[この文献は図面を表示できません]
【0128】
【数3-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0129】
【表8】
[この文献は図面を表示できません]
【0130】
【表9】
[この文献は図面を表示できません]
【0131】
【表10】
[この文献は図面を表示できません]
【0132】
【表11】
[この文献は図面を表示できません]
図18は、層状光学素子116(1’)のX座標およびY座標の関数として、層状光学素子116(1’)の表面432の等高線
図440を示す。等高線は、実線442によって表される。そのような等高線は、表面432の高度変動の対数を表す。したがって、表面432は、破線444によって表されるような面を有し、そのうちの1つのみが、説明の明確性を促進するために番号が付されている。
図18に示される対応するパラメータを有する表面432の例示的説明の1つは、式(3)によって求められる。
【0133】
図19は、アレイ撮像システムを分離することによって得られた、
図17におけるVGA_WFC撮像システムの斜視図である。
図19は、正確な縮尺で描かれていない。特に、光学素子116(1’)の表面432の等高線は、表面432上に実装されるように位相修正表面を示すために誇張される。層432は、撮像システムの開口を形成することに留意されたい。
【0134】
図20〜27は、VGA_WFC撮像システムと
図5におけるVGA撮像システムとの性能を比較する。上述のように、VGA_WFC撮像システムが、撮像システムの被写界深度を拡張する所定の位相修正を実装するための位相修正素子を含む点において、VGA_WFC撮像システムは、VGA撮像システムと異なる。特に、
図20Aおよび20Bは、VGA撮像システムの種々の物体共役における空間周波数の関数として、それぞれ、MTFのプロット450および452を示し、
図21は、プロット454を示す。プロット450は、VGA撮像システムから無限遠の物体共役距離に対応し、プロット452は、20センチメートル(「cm」)の物体共役距離に対応し、プロット454は、10cmの物体共役距離に対応する。物体共役距離は、撮像システムの第1の光学素子(例えば、光学素子116(1)および/または116(1’))からの物体の距離である。MTFは、470〜650nmの波長に平均化される。
図20A、20B、および21は、VGA撮像システムが無限物体共役距離用に設計されたため、無限遠に位置する物体に対し最高性能を発揮することを示す。プロット452および454のMTF曲線の減少振幅は、ボケた画像を生成することになるデフォーカスのため、物体がVGA撮像システムに近づくにつれ、VGA撮像システムの性能が劣化することを示す。さらに、プロット454から分かるように、VGA撮像システムのMTFは、特定の条件下でゼロへと低下し得る。画像情報は、MTFがゼロに達すると失われる。
【0135】
図22Aおよび22Bは、VGA_WFC撮像システムの空間周波数の関数として、それぞれ、MTFのプロット470および472を示し、
図23は、プロット474を示す。プロット470は、無限遠の物体共役距離に対応し、プロット472は、20cmの物体共役距離に対応し、プロット474は、10cmの物体共役距離に対応する。MTFは、470〜650nmの波長に平均化される。
【0136】
プロット470、472、および474はそれぞれ、VGA_WFC撮像システムによって生成される電子データの後処理を伴うおよび伴わない、VGA_WFC撮像システムのMTF曲線を含む。具体的には、プロット470は、フィルタ未処理MTF曲線476を含み、プロット472は、フィルタ未処理MTF曲線478を含み、プロット474は、フィルタ未処理MTF曲線480を含む。
図22A、22B、および23と
図20A、20B、および21との比較によって分かるように、VGA_WFC撮像システムのフィルタ未処理MTF曲線は、概して、無限遠の物体距離におけるVGA撮像システムのMTF曲線よりも小さい振幅を有する。しかしながら、VGA_WFC撮像システムのフィルタ未処理MTF曲線は、有利なことに、ゼロ振幅に達しない。故に、VGA_WFC撮像システムは、画像データを失うことなく、10cmの近さの物体共役距離において動作し得る。さらに、VGA_WFC撮像システムのフィルタ未処理MTF曲線は、物体共役距離が変更しても類似する。MTF曲線におけるそのような類似性は、適切な時点において以下に論じられるように、単一のフィルタカーネルの復号アルゴリズムを実行するプロセッサ(図示せず)による使用を可能にする。
【0137】
図2Aの撮像システム10に関して上述のように、位相修正(すなわち、光学素子116(1’))によって導入される符号化は、VGA_WFC撮像システムが、そのような後処理を伴わないものよりも鮮明な画像を生成するように、復号アルゴリズムを実行するプロセッサ(図示せず)によって処理されてもよい。フィルタ処理されたMTF曲線482、484、および486は、そのような後処理を伴うVGA_WFC撮像システムの性能を表す。
図22A、22B、および23と
図20A、20B、および21との比較によって分かるように、後処理を伴うVGA_WFC撮像システムは、一定範囲の物体共役距離において、VGA撮像システムよりも優れた性能を発揮する。したがって、VGA_WFCの被写界深度は、VGAの被写界深度よりも大きい。
【0138】
図24は、VGA撮像システムのデフォーカスの関数として、MTFのプロット500を示す。プロット500は、検出器112における実像高と関連付けられた3つの別個の視野ポイントに対するMTF曲線を含む。3つの視野ポイントは、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイント、座標(0.704mm、0mm)を有するyにおける全視野ポイント、および座標(0mm、0.528mm)を有するxにおける全視野ポイントである。
図24では、「T」は、接線方向面を示し、「S」は、サジタル方向面を示す。軸上MTF502は、約±25ミクロンでゼロになる。
【0139】
図25は、VGA_WFC撮像システムのデフォーカスの関数として、MTFのプロット520を示す。プロット520は、プロット500と同一の3つの別個の視野ポイントに対するMTF曲線を含む。軸上MTF522は、約±50ミクロンでゼロ近づく。故に、VGA_WFC撮像システムは、VGA撮像システムよりも約2倍大きい被写界深度を有する。
【0140】
図26A、26B、および26Cは、フィルタリング前のVGA_WFC撮像システムの点像分布関数のプロット(「PSF」)を示す。プロット540は、無限遠の物体共役距離に対応し、プロット542は、20cmの物体共役距離に対応し、プロット544は、10cmの物体共役距離に対応する。
【0141】
図27A、27B、および27Cは、復号アルゴリズムを実行する
図1のプロセッサ46等のプロセッサ(図示せず)によるフィルタリング後の、VGA_WFC撮像システムの軸上PSFのプロットを示す。そのようなフィルタリングは、
図28に関連して後述される。プロット560は、無限遠の物体共役距離に対応し、プロット562は、20cmの物体共役距離に対応し、プロット564は、10cmの物体共役距離に対応する。プロット560、562、および564の比較によって分かるように、フィルタリング後のPSFは、フィルタリング前よりもコンパクトである。同一フィルタカーネルが、示される物体共役に対しPSFを後処理するために使用されたので、フィルタ処理されたPSFは、互いに若干異なる。各物体共役に対するPSFを後処理するために特殊に設計されたフィルタカーネルを使用することが可能であって、その場合、各物体共役に対するPSFは、互いにより類似し得る。
【0142】
図28Aは、VGA_WFC撮像システムとともに使用され得るフィルタカーネルの図示であって、
図28Bは、表形式の表現である。そのようなフィルタカーネルは、プロセッサによって使用され、復号アルゴリズムを実行し、位相修正素子(例えば、光学素子116(1’)の位相修正表面)によって画像内に導入される撮像効果を除去してもよい。プロット580は、フィルタカーネルの3次元プロットであって、フィルタ係数値は、表12に要約される。フィルタカーネルは、大きさ9素子×9素子である。フィルタは、軸上無限物体共役距離PSF用に設計されている。
【0143】
図29は、
図2Aにおける撮像システム10の一実施形態である、撮像システム600の光学レイアウトおよび光線追跡である。撮像システム600は、後述されるように、
図5におけるVGA撮像システムに類似する。撮像システム600は、アレイ撮像システムの1つであってもよい。そのようなアレイは、
図2Aに関して上述のように、複数のサブアレイおよび/または独立型撮像システムに分離されてもよい。撮像システム600は、以下、VGA_AF撮像システムと称される場合がある。上述のように、斜交平行線領域は、ヤード領域、すなわち、電磁エネルギが伝搬しない有効口径の外側の領域を示す。光学系のサグ604は、式(1)によって求められる。光学系604の例示的仕様は、表12〜表14に要約される。半径および直径の単位は、ミリメートルである。
【0144】
【表12】
[この文献は図面を表示できません]
表面2およびA2の厚さは、表13に示されるように、物体距離に伴って変化することに留意されたい。
【0145】
【表13】
[この文献は図面を表示できません]
【0146】
【表14】
[この文献は図面を表示できません]
撮像システム600は、検出器112と、光学系604とを含む。光学系604は、共通基盤614上に形成される可変光学系616と、層状光学素子607とを含む。共通基盤614(例えば、ガラスプレート)および光学素子607(1)は、光学系604内に空隙612を形成する。
図30において図示されないスペーサは、空隙612の形成を容易にする。また、光学系−検出器界面(図示せず)は、光学系604と検出器602との間に存在する。検出器112は、VGA形式を有する。故に、VGA_AF撮像システムが、VGA撮像システムと比較して若干異なる構成を有し、VGA_AF撮像システムが、空隙612によって層状光学素子607(1)から分離された共通基盤614上に形成された可変光学系616をさらに含むという点において、VGA_AF撮像システムの構造は、
図5におけるVGA撮像システムの構造と異なる。VGA_AF撮像システムは、焦点距離1.50ミリメートル、視野角62°、F値1.3、総トラック長2.25mm、および最大主光線角度31°を有する。光線608は、VGA_AF撮像システムによって撮像される電磁エネルギを表す。光線608は、無限遠から生じるものと仮定される。
【0147】
可変光学系616の焦点距離は、VGA_AF撮像システム内のデフォーカスを部分的または完全に補正するために変化してもよい。例えば、可変光学系616の焦点距離は、異なる物体距離に対し、撮像システム600の焦点を調節するために変化してもよい。一実施形態では、VGA_AF撮像システムのユーザは、可変光学系616の焦点距離を手動で調節する。別の実施形態では、VGA_AF撮像システムは、この場合、デフォーカス等の収差を補正するために、可変光学系616の焦点距離を自動的に変化させる。
【0148】
一実施形態では、可変光学系616は、共通基盤614上に蒸着されるために十分に大きい熱膨張係数を有する材料から形成される。この可変光学系616の焦点距離は、材料の温度を変化させ、材料を膨張または収縮させることによって変化してもよい。そのような膨張または収縮は、該材料から形成される光学素子の焦点距離を変化させる。材料温度は、ヤード領域内に形成され得る発熱体を使用して変化させてもよい。発熱体は、可変光学系616の周辺を囲繞するポリシリコン材料の環帯から形成されてもよい。一実施形態では、発熱体は、直径(「ID」)1.6mm、外径(「OD」)2.6mm、および厚さ0.6435mmを有する。発熱体は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)から形成され、OD1.6mm、エッジ厚(「ET」)0.645mm、および0.645mmを上回る中心厚(「CT」)を有し、それによって、ポジティブ光学素子を形成する、可変光学系616を囲繞する。ポリシリコンは、熱容量約700J/Kg K、抵抗率約6.4e2ΩM、およびCTE約2.6×10
−6/Kを有する。PDMSは、CTE約3.1×10
−4/Kを有する。
【0149】
ポリシリコン発熱環の膨張は、PDMS可変光学系に対しごくわずかであると仮定すると、体積膨張は、ピストン状に制約される。PDMSは、裏面ガラスおよび環体のIDに粘着し、したがって、制約される。したがって、上表面の曲率は、ポリマーの膨張によって、直接制御される。サグの変化は、Δh=3αhとして定義され、ここで、hは、最初のサグ(CT)値、アルファは、線形膨張係数である。上述の寸法のPDMS光学素子に対し、温度変化10℃は、サグ変化6ミクロンを提供する。この計算は、軸方向膨張のみが仮定されているため、33%もの過大評価(例えば、球体体積0.66πr
3と比較した円柱体積πr
3)を提供し得る。しかしながら、材料の係数は、その運動を制約し、表面曲率、したがって、光強度を変更する。
【0150】
ポリシリコンから形成される例示的発熱環に対し、1秒間に電流約0.3ミリアンペアは、環体の温度を10°上昇させるのに十分である。次いで、熱の大部分がポリマー光学素子内に伝導されると仮定すると、この熱流は膨張を起こさせる。他の熱は、伝導および放射によって失われるが、環体は200ミクロンガラス基板(例えば、共通基盤614)上に搭載され、伝導を最小限にするために、さらに熱的に隔離されてもよい。他の発熱環は、厚膜または薄膜レジスタの加工において使用される材料およびプロセスから形成されてもよい。あるいは、ポリマー光学素子は、インジウムスズ酸化物(「ITO」)等の透明抵抗層を介して、上面または裏表面から加熱されてもよい。さらに、好適なポリマーに対し、電流は、ポリマー自体を通して誘導されてもよい。他の実施形態では、可変光学系616は、液体レンズまたは液晶レンズを含む。
【0151】
図30は、アレイ撮像システムを分離することによって得られた、
図29におけるVGA_AF撮像システムの横断面図である。相対的に直線の側面630は、アレイ撮像システムから分離されたVGA_AF撮像システムを示す。
図30においては、説明の明確性を促進するために、層状光学素子116の2つのみに番号が付されている。スペーサ632は、層状光学素子116(1)および共通基盤614を分離し、空隙612を形成するために使用される。
【0152】
光学系604は、電磁エネルギが検出器112へ到達するように進行する、光学系604の部分に対応する有効口径634を形成する。有効口径634外側のヤード636は、
図30において陰影によって表される。
【0153】
図31〜39は、VGA_AF撮像システムと
図5におけるVGA撮像システムとの性能を比較する。上述のように、VGA_AF撮像システムが、若干異なる仕様を有し、空隙612によって層状光学素子116から分離される光学共通基盤614上に形成される可変光学系616を含むという点において、VGA_AF撮像システムは、VGA撮像システムと異なる。特に、
図31〜33は、VGAおよびVGA_AF撮像システムの空間周波数の関数として、MTFのプロットを示す。MTFは、470〜650nmの波長に平均化される。各プロットは、検出器112の対角軸上の実像高と関連付けられた3つの別個の視野ポイントに対するMTF曲線を含む。3つの視野ポイントは、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイント、座標(0.49mm、0.37mm)を有する0.7視野ポイント、および座標(0.704mm、0.528mm)を有する全視野ポイントである。
図31A、31B、32A、32B、33Aおよび33Bでは、「T」は、接線方向面を示し、「S」は、サジタル方向面を示す。
図31Aおよび31Bは、無限遠の物体共役距離におけるMTF曲線のプロット650および652を示し、プロット650は、VGA撮像システムに対応し、プロット652は、VGA_AF撮像システムに対応する。プロット650および652の比較は、VGA撮像システムおよびVGA_AF撮像システムが、無限遠の物体共役距離において、同様の性能を発揮することを示す。
【0154】
図32Aおよび32Bは、それぞれ、物体共役距離40cmにおけるMTF曲線のプロット654および656を示す。プロット654は、VGA撮像システムに対応し、プロット656は、VGA_AF撮像システムに対応する。同様に、
図33Aおよび33Bは、それぞれ、10cmの物体共役距離におけるMTF曲線のプロット658および660を含む。プロット658は、VGA撮像システムに対応し、プロット660は、VGA_AF撮像システムに対応する。
図31Aおよび31Bと
図33Aおよび33Bとの比較は、物体共役距離が減少すると、デフォーカスのため、VGA撮像システムの性能が劣化することを示す。しかしながら、VGA_AF撮像システムの性能は、VGA_AF撮像システム内に可変光学系616を含むため、10cm〜無限遠の物体共役距離範囲において、相対的に一定のままである。さらに、プロット658から分かるように、VGA撮像システムのMTFは、VGA_AF撮像システムとは対照的に、短い物体共役距離においてゼロに低下し、画像情報を損失する結果となり得る。
【0155】
図34〜36は、VGA撮像システムの横光線の扇形図を示し、
図37〜39は、VGA_AF撮像システムの横光線の扇形図を示す。
図34〜39では、最大目盛は、+/−20ミクロンである。実線は、波長470nmに対応し、短い破線は、波長550nmに対応し、長い破線は、波長650nmに対応する。特に、
図34〜36は、無限遠(プロット682、684、および686)、40cm(プロット702、704、および706)、および10cm(プロット722、724、および726)の物体共役距離におけるVGA撮像システムに対応するプロットを含む。
図37〜39は、無限遠(プロット742、744、および746)、40cm(プロット762、764、および766)、および10cm(プロット782、784、および786)の物体共役距離におけるVGA_AF撮像システムに対応するプロットを含む。プロット682、702、722、742、762、および782は、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイントに対応し、プロット684、704、724、744、764、および784は、座標(0.49mm、0.37mm)を有する0.7視野ポイントに対応し、プロット686、706、726、746、766、および786は、座標(0.704mm、0.528mm)を有する全視野ポイントに対応する。各対のプロットでは、左列は、接線方向光線の扇形図を示し、右列は、サジタル方向光線の扇形図を示す。
【0156】
図34〜36の比較は、物体共役距離の関数として変化する光線の扇形図プロットを示す。特に、10cmの物体共役距離に対応する
図36A〜36Cの光線の扇形図プロットは、無限遠の物体共役距離に対応する
図34A〜34Cの光線の扇形図プロットと大幅に異なる。故に、VGA撮像システムの性能は、物体共役距離の関数として大幅に変化する。対照的に、
図37〜39の比較は、物体共役距離が無限遠から10cmに変化するのに伴って、ほとんど変化しないVGA_AF撮像システムの光線の扇形図プロットを示す。故に、VGA_AF撮像システムの性能は、物体共役距離が無限遠から10cmに変化するのに伴って、ほとんど変化しない。
【0157】
図40は、
図2Aの撮像システム10の一実施形態である、撮像システム800のレイアウトの横断面図である。撮像システム800は、アレイ撮像システムの1つであってもよい。
図2Aに関して上述のように、そのようなアレイは、複数のサブアレイおよび/または独立型撮像システムに分離されてもよい。撮像システム800は、VGA形式検出器112と、光学系802とを含む。撮像システム800は、以下、VGA_W撮像システムと称される場合がある。「W」は、後述されるウエハレベル光学系(「WALO」)加工技術を使用して加工され得る、VGA_W撮像システムの部分を示す。本開示との関連において、「WALO型光学系」は、共通基盤の表面上に分布させられる2つ以上の光学系(その一般的な意味では、1つ以上の光学素子、光学素子と層状光学素子と撮像システムとの組み合わせを示す)を示す。同様に、「WALO加工技術」または同等に「WALO技術」は、WALO型光学系を支持する複数の共通基盤のアセンブリによる、複数の撮像システムの同時加工を示す。VGA_W撮像システムは、焦点距離1.55ミリメートル、視野角62°、F値2.9、総トラック長2.35mm(光学素子と、光学素子カバープレートと、検出器カバープレートと、ならびに検出器カバープレートと検出器との間の空隙とを含む)、および最大主光線角度29°を有する。斜交平行線領域は、上述のように、ヤード領域、すなわち、電磁エネルギが伝搬しない有効口径の外側の領域を示す。
【0158】
光学系802は、空隙812によって検出器112の表面814から分離される検出器カバープレート810を含む。一実施形態では、空隙812は、表面814の小型レンズを収容するため、厚さ0.04mmを有する。任意の光学素子カバープレート808は、検出器カバープレート810に隣接して配置されてもよい。一実施形態では、検出器カバープレート810は、0.4mm厚である。層状光学素子804(6)は、光学素子カバープレート808上に形成される。層状光学素子804(5)は、層状光学素子804(6)上に形成される。層状光学素子804(4)は、層状光学素子804(5)上に形成される。層状光学素子804(3)は、層状光学素子804(4)上に形成される。層状光学素子804(2)は、層状光学素子804(3)上に形成される。層状光学素子804(1)は、層状光学素子804(2)上に形成される。層状光学素子804は、本実施例では、2つの異なる材料から形成され、各隣接する層状光学素子804は、異なる材料から形成される。具体的には、層状光学素子804(1)、804(3)、および804(5)は、第1の屈折率を有する第1の材料から形成され、層状光学素子804(2)、804(4)、および804(6)は、第2の屈折率を有する第2の材料から形成される。光線806は、VGA_W撮像システムによって撮像される電磁エネルギを表す。光学系802の仕様は、表15および16に要約される。光学系802のサグは、式(1)によって求められ、ここで、半径、厚さ、および直径は、ミリメートル単位で求められる。
【0159】
【表15】
[この文献は図面を表示できません]
【0160】
【表16】
[この文献は図面を表示できません]
図41〜44は、VGA_W撮像システムの性能プロットを示す。
図41は、無限物体共役に対するVGA_W撮像システムの空間周波数の関数として、MTFのプロット830を示す。MTF曲線は、470〜650nmの波長に平均化される。
図41は、検出器112の対角軸上の実像高と関連付けられた3つの別個の視野ポイントに対するMTF曲線を示す。3つの視野ポイントは、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイント、座標(0.49mm、0.37mm)を有する0.7視野ポイント、および座標(0.704mm、0.528mm)を有する全視野ポイントである。
図7では、「T」は、接線方向面を示し、「S」は、サジタル方向面を示す。
【0161】
図42A、42B、および42Cは、それぞれ、VGA_W撮像システムの光路差のプロット852、854、および856を示す。各方向の最大目盛は、+/−2波である。実線は、波長470nmを有する電磁エネルギを表す。短い破線は、波長550nmを有する電磁エネルギを表す。長い破線は、波長650nmを有する電磁エネルギを表す。各プロットは、検出器112の対角線上の異なる実像高における光路差を表す。プロット852は、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイントに対応し、プロット854は、座標(0.49mm、0.37mm)を有する0.7視野ポイントに対応し、プロット856は、座標(0.704mm、0.528mm)を有する全視野ポイントに対応する。各対のプロットでは、左列は、接線方向光束に対する波面誤差のプロットであって、右列は、サジタル方向光束に対する波面誤差のプロットである。
【0162】
図43Aは、無限物体共役に対するVGA_W撮像システムの歪のプロット880を示し、
図43Bは、像面湾曲のプロット882を示す。最大半画角は、31.062°である。実線は、波長約470nmを有する電磁エネルギに対応し、短い破線は、波長550nmを有する電磁エネルギに対応し、長い破線は、波長650nmを有する電磁エネルギに対応する。
【0163】
図44は、光学系802の光学素子の中心合わせおよび厚さにおける公差を考慮した、VGA_W撮像システムの空間周波数の関数として、MTFのプロット900を示す。プロット900は、Monte Carlo法公差解析を10回以上実行して生成された、軸上視野ポイント、0.7視野ポイント、および全視野ポイントのサジタル方向および接線方向面MTF曲線を含む。軸上視野ポイントは、座標(0mm、0mm)を有し、0.7視野ポイントは、座標(0.49mm、0.37mm)を有し、全視野ポイントは、座標(0.704mm、0.528mm)を有する。光学素子の中心合わせおよび厚さの公差は、+2〜−2ミクロンからサンプリングされる正規分布を有すると仮定される。故に、VGA_W撮像システムのMTFは、曲線902および904によって範囲が定められるものと予測される。
【0164】
図45は、
図2Aにおける撮像システム10の一実施形態である、撮像システム920の光学レイアウトおよび光線追跡である。撮像システム920は、焦点距離0.98ミリメートル、視野角80°、F値2.2、総トラック長2.1mm(検出器カバープレートを含む)、および最大主光線角度30°を有する。
【0165】
撮像システム920は、VGA形式検出器112と、光学系938とを含む。光学系938は、ガラスプレートであってもよい光学素子922と、他方の側に形成される光学素子928および930を含む光学素子924(同様に、ガラスプレートであってもよい)、検出器カバープレート926とを含む。光学素子922および924は、光学素子928における高出力光線遷移のための空隙932を形成する。光学素子924および検出器カバープレート926は、光学素子930における高出力光線遷移のための空隙934を形成し、検出器112の表面940および検出器カバープレート926は、空隙936を形成する。
【0166】
撮像システム900は、画像内に所定の撮像効果を導入するための位相修正素子を含む。そのような位相修正素子は、光学素子928および/または光学素子930の表面上に実装されてもよく、または位相修正効果は、光学素子928および930間に分布されてもよい。撮像システム920では、主要収差は、像面湾曲と非点収差とを含む。したがって、位相修正は、撮像システム920において採用され、有利なことには、そのような収差の効果を低減し得る。位相修正素子を含む撮像システム920は、以下、「VGA_S_WFC撮像システム」と称される場合がある。位相修正素子を伴わない撮像システム920は、以下、「VGA_S撮像システム」と称される場合がある。光線942は、VGA_S撮像システムによって撮像される電磁エネルギを表す。
【0167】
光学系938のサグ式は、式(4)の高次分離多項式位相関数によって求められる。
【0168】
【数4】
[この文献は図面を表示できません]
VGA_Sは、式(4)におけるサグ式のWFC部分を有さないが、VGA_S_WFCは、サグ式に付随するWFC式を含むことに留意されたい。光学系938の構成は、表17および18に要約され、ここで、半径、厚さ、および直径は、ミリメートル単位で求められる。式(4)におけるWFC項によって記述される位相修正関数は、高次分離多項式である。以前の出願(2006年5月23日出願の米国仮特許出願第60/802,724号、および2006年5月26日出願の米国仮特許出願第60/808,790号参照)に詳述されたこの特定の位相関数は、視覚化が相対的に単純であるため便利である。8角形同様に、いくつかの他の位相関数が、式(4)の高次分離多項式位相関数の代わりに使用されてもよい。
【0169】
【表17】
[この文献は図面を表示できません]
【0170】
【表18】
[この文献は図面を表示できません]
表17の表面番号3は、表19に示されるパラメータによって所定の位相修正を提供するために構成される。
【0171】
【表19】
[この文献は図面を表示できません]
図46Aおよび46Bは、それぞれ、プロット960および962を含む。プロット960は、空間周波数の関数として、VGA_S撮像システム(位相修正素子を伴わないVGA_S_WFC撮像システム)のMTFのプロットを示し、プロット962は、空間周波数の関数として、VGA_S_WFC撮像システムのMTFのプロットを示す(それぞれ、無限物体共役距離に対する)。MTF曲線は、470〜650nmの波長に平均化される。プロット960および962は、検出器112の対角軸上の実像高と関連付けられた3つの別個の視野ポイントに対するMTF曲線を示す。3つの視野ポイントは、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイント、座標(0.704mm、0mm)を有するxにおける全視野ポイント、および座標(0mm、0.528mm)を有するyにおける全視野である。プロット960では、「T」は、接線方向面を示し、「S」は、サジタル方向面を示す。
【0172】
プロット960は、相対的に低性能を呈するVGA_S撮像システムを示す。特に、MTFは、相対的に小さい値を有し、特定の条件下でゼロに達する。上述のように、画像データの損失となるため、MTFがゼロに達することは望ましくない。プロット962の曲線966は、VGA_S_WFC撮像システムによって生成される電子データの後フィルタリングを伴わない、VGA_S_WFC撮像システムのMTFを表す。プロット960と962との比較から分かるように、VGA_S_WFC撮像システムのフィルタ未処理MTF曲線966は、VGA_S撮像システムのMTF曲線の一部よりも小さい振幅を有する。しかしながら、VGA_S_WFC撮像システムのフィルタ未処理MTF曲線966は、有利なことに、ゼロに達することはなく、VGA_S_WFC撮像システムが、着目空間周波数の全範囲にわたって画像情報を保持することを意味する。さらに、VGA_S_WFC撮像システムのフィルタ未処理MTF曲線966は、すべてが非常に類似している。MTF曲線におけるそのような類似性は、次に論じられるように、単一フィルタカーネルの復号アルゴリズムを実行するプロセッサ(図示せず)によって使用されることを可能にする。
【0173】
上述のように、光学系938(例えば、光学素子928および/または930)内の位相修正素子によって導入される符号化は、VGA_S_WFC撮像システムが、そのような後処理を伴わないものよりも鮮明な画像を生成するように、復号アルゴリズムを実行するプロセッサ(例えば、
図1参照)によって、さらに処理されてもよい。プロット962のMTF曲線964は、そのような後処理を伴うVGA_S_WFC撮像システムの性能を表す。プロット960と962との比較によって分かるように、後処理を伴うVGA_S_WFC撮像システムは、VGA_S撮像システムよりも優れた性能を発揮する。
【0174】
図47A、47B、および47Cは、それぞれ、VGA_S撮像システムの横光線の扇形
図992、994、および996を示し、
図48A、48B、および48Cは、それぞれ、VGA_S_WFC撮像システムの横光線の扇形
図1012、1014、および1016を示す(それぞれ、無限物体共役距離に対する)。
図47〜48では、実線は、波長470nmに対応し、短い破線は、波長550nmに対応し、長い破線は、波長650nmに対応する。プロット992、994、および996の最大目盛は、+/−50ミクロンである。プロット1012、1014、および1016の最大目盛は、+/−50ミクロンである。
図47A、47B、および47Cにおける横光線の扇形図は、VGA_S撮像システムにおける非点収差および像面湾曲を示すことに留意されたい。各対の光線の扇形図プロットの右列は、接線方向光束を示し、左列は、サジタル方向光束を示す。
【0175】
図47〜48はそれぞれ、3つの対のプロットを含み、各対は、検出器112の表面上の実像高と関連付けられた別個の視野ポイントに対する光線の扇形図プロットを含む。プロット992および1012は、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイントに対応し、プロット994および1014は、座標(0mm、0.528mm)を有するyにおける全視野ポイントに対応し、プロット996および1016は、座標(0.704mm、0mm)を有するxにおける全視野ポイントに対応する。光線の扇形図プロットは、視野ポイントの関数として変化することが、
図47A、47B、および47Cから分かるだろう。故に、VGA_S撮像システムは、視野ポイントの関数として変化する性能を示す。対照的に、VGA_S_WFC撮像システムは、視野ポイントにおける変動に対して相対的に一定の性能を示すことが、
図48A、48B、および48Cから分かるだろう。
【0176】
図49Aおよび49Bは、それぞれ、VGA_S_WFC撮像システムの軸上PSFのプロット1030および1032を示す。プロット1030は、復号アルゴリズムを実行するプロセッサによる後処理前のPSFのプロットであって、プロット1032は、
図50Aおよび50Bのカーネルを使用して復号アルゴリズムを実行する、プロセッサによる後処理後のPSFのプロットである。特に、
図50Aは、フィルタカーネルの図示であって、
図50Bは、VGA_S_WFC撮像システムとともに使用され得るフィルタ係数表1052である。フィルタカーネルは、大きさ21素子×21素子である。そのようなフィルタカーネルは、復号アルゴリズムを実行するプロセッサによって使用され、位相修正素子によって導入される撮像効果(例えば、ボケ)を除去してもよい。
【0177】
図51Aおよび51Bは、
図2Aにおける撮像システム10の一実施形態である、ズーム撮像システム1070の2つの構成の光学レイアウトおよび光線追跡である。撮像システム1070は、2つのズーム構成を有する2つの群の個別のズーム撮像システムである。テレ構成と称される場合がある第1のズーム構成は、撮像システム1070(1)として示される。テレ構成では、撮像システム1070は、相対的に長焦点距離を有する。ワイド構成と称される場合がある第2のズーム構成は、撮像システム1070(2)として示される。ワイド構成では、撮像システム1070は、相対的に広視野を有する。撮像システム1070(1)は、焦点距離4.29ミリメートル、視野角24°、F値5.56、総トラック長6.05mm(検出器カバープレートと、検出器カバープレートと検出器との間の空隙とを含む)、および最大主光線角度12°を有する。撮像システム1070(2)は、焦点距離2.15ミリメートル、視野角50°、F値3.84、総トラック長6.05mm(検出器カバープレートを含む)、および最大主光線角度17°を有する。撮像システム1070は、Z_VGA_W撮像システムと称される場合がある。
【0178】
Z_VGA_W撮像システムは、共通基盤1080を含む第1の光学系群1072を含む。ネガティブ光学素子1082は、共通基盤1080の一方の側に形成され、ネガティブ光学素子1084は、共通基盤1080の他方の側に形成される。共通基盤1080は、例えば、ガラスプレートであってもよい。撮像システム1070内の光学系群1072の位置は、固定される。
【0179】
Z_VGA_W撮像システムは、共通基盤1086を有する第2の光学系群1074を含む。ポジティブ光学素子1088は、共通基盤1086の一方の側に形成され、平面光学素子1090は、共通基盤1086の他方の側に形成される。共通基盤1086は、例えば、ガラスプレートである。第2の光学系群1074は、2つの位置の間の線1096によって示される軸に沿って、Z_VGA_W撮像システム内を平行移動することが可能である。撮像システム1070(1)に示される光学系群1074の第1の位置では、撮像システム1070は、テレ構成を有する。撮像システム1070(2)に示される光学系群1074の第2の位置では、Z_VGA_W撮像システムは、ワイド構成を有する。テレ構成およびワイド構成の仕様は、表20〜22に要約される。光学系アセンブリ1070のサグは、式(1)によって求められ、ここで、半径、厚さ、および直径は、ミリメートル単位で求められる。
【0180】
【表20】
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【0181】
【表21】
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【0182】
【表22】
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非球面係数は、テレ構成およびワイド構成に対し同一である。
【0183】
Z_VGA_W撮像システムは、VGA形式検出器112を含む。空隙1094は、検出器カバープレート1076を検出器112から分離し、検出器カバープレート1076に近接する検出器112の表面上の小型レンズのための空間を提供する。
【0184】
光線1092は、Z_VGA_W撮像システムによって撮像される電磁エネルギを表す。光線1092は、無限遠から生じる。
【0185】
図52Aおよび52Bは、それぞれ、Z_VGA_W撮像システムの空間周波数の関数として、MTFのプロット1120および1122を示す。MTFは、470〜650nmの波長に平均化される。各プロットは、検出器112の対角軸上の実像高と関連付けられた3つの別個の視野ポイントに対するMTF曲線を含む。3つの視野ポイントは、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイント、座標(0.49mm、0.37mm)を有する0.7視野ポイント、および座標(0.704mm、0.528mm)を有する全視野ポイントである。
図52Aおよび52Bでは、「T」は、接線方向面を示し、「S」は、サジタル方向面を示す。プロット1120は、テレ構成を有する撮像システム1070を表す撮像システム1070(1)に対応し、プロット1122は、ワイド構成を有する撮像システム1070を表す撮像システム1070(2)に対応する。
【0186】
図53A、53B、および53Cは、Z_VGA_W撮像システムの光路差のプロット1142、1144、および1146を示し、
図54A、54B、および54Cは、プロット1162、1164、および1166を示す。プロット1142、1144、および1146は、テレ構成を有するZ_VGA_W撮像システムに対するものであって、プロット1162、1164、および1166は、ワイド構成を有するZ_VGA_W撮像システムに対するものである。プロット1142、1144、および1146の最大目盛は、+/−1波であって、プロット1162、1164、および1166の最大目盛は、+/−2波である。実線は、波長470nmを有する電磁エネルギを表す。短い破線は、波長550nmを有する電磁エネルギを表す。長い破線は、波長650nmを有する電磁エネルギを表す。
【0187】
図53および54における各対のプロットは、検出器112の対角線上の異なる実像高における光路差を表す。プロット1142および1162は、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイントに対応する。プロット1144および1164は、座標(0.49mm、0.37mm)を有する0.7視野ポイントに対応する。プロット1146および1166は、座標(0.704mm、0.528mm)を有する全視野ポイントに対応する。各対のプロットの左列は、接線方向光束に対する波面誤差のプロットであって、右列は、サジタル方向光束に対する波面誤差のプロットである。
【0188】
図55A、55B、55C、および55Dは、Z_VGA_W撮像システムの歪のプロット1194および1996、像面湾曲のプロット1190および1192を示す。プロット1190および1194は、テレ構成を有するZ_VGA_W撮像システムに対応し、プロット1192および1996は、ワイド構成を有するZ_VGA_W撮像システムに対応する。最大半画角は、テレ構成に対し11.744°、ワイド角度構成に対し25.568である。実線は、波長470nmを有する電磁エネルギに対応し、短い破線は、波長550nmを有する電磁エネルギに対応し、長い破線は、波長650nmを有する電磁エネルギに対応する。
【0189】
図56Aおよび56Bは、
図2Aにおける撮像システム10の一実施形態である、ズーム撮像システム1220の2つの構成の光学レイアウトおよび光線追跡を示す。撮像システム1220は、2つのズーム構成を有する3つの群の個別のズーム撮像システムである。テレ構成と称される場合がある第1のズーム構成は、撮像システム1220(1)として示される。テレ構成では、撮像システム1220は、相対的に長焦点距離を有する。ワイド構成と称される場合がある第2のズーム構成は、撮像システム1220(2)として示される。ワイド構成では、撮像システム1220は、相対的に広視野を有する。光学系群、例えば、光学系群1224の図面サイズは、テレおよびワイド構成に対し異なることを留意されたい。図面サイズのこの差異は、本設計を生成するために使用された光学ソフトウェアZEMAX(登録商標)における図面縮尺によるものである。現実には、光学系群または個々の光学素子のサイズは、異なるズーム構成に対し変化しない。また、この問題は、続くズーム設計のすべてにおいて生じることにも留意されたい。撮像システム1220(1)は、焦点距離3.36ミリメートル、視野角29°、F値1.9、総トラック長8.25mm、および最大主光線角度25°を有する。撮像システム1220(2)は、焦点距離1.68ミリメートル、視野角62°、F値1.9、総トラック長8.25mm、および最大主光線角度25°を有する。撮像システム1220は、Z_VGA_LL撮像システムと称される場合がある。
【0190】
Z_VGA_LL撮像システムは、光学素子1228を有する第1の光学系群1222を含む。ポジティブ光学素子1230は、素子1228の一方の側に形成され、ポジティブ光学素子1232は、素子1228の他方の側に形成される。素子1228は、例えば、ガラスプレートである。Z_VGA_LL撮像システムにおける第1の光学系群1222の位置は、固定される。
【0191】
Z_VGA_LL撮像システムは、光学素子1234を有する第2の光学系群1224を含む。ネガティブ光学素子1236は、素子1234の一方の側に形成され、ネガティブ光学素子1238は、素子1234の他方の側に形成される。素子1234は、例えば、ガラスプレートである。第2の光学系群1224は、線1244によって示される軸に沿って、2つの位置間を平行移動することが可能である。撮像システム1220(1)に示される光学系群1224の第1の位置では、Z_VGA_LL撮像システムは、テレ構成を有する。撮像システム1220(2)に示される光学系群1224の第2の位置では、Z_VGA_LL撮像システム撮像システムは、ワイド構成を有する。ZEMAX(登録商標)は、縮尺のため、光学素子群をワイド構成およびテレ構成において異なって見せることに留意されたい。
【0192】
Z_VGA_LL撮像システムは、VGA形式検出器112上に形成される第3の光学系群1246を含む。光学系−検出器界面(図示せず)は、第3の光学系群1246を検出器112の表面から分離する。層状光学素子1226(7)は、検出器112上に形成される。層状光学素子1226(6)は、層状光学素子1226(7)上に形成される。層状光学素子1226(5)は、層状光学素子1226(6)上に形成される。層状光学素子1226(4)は、層状光学素子1226(5)上に形成される。層状光学素子1226(3)は、層状光学素子1226(4)上に形成される。層状光学素子1226(2)は、層状光学素子1226(3)上に形成される。層状光学素子1226(1)は、層状光学素子1226(2)上に形成される。層状光学素子1226は、2つの異なる材料から形成され、隣接する層状光学素子1226は、異なる材料から形成される。具体的には、層状光学素子1226(1)、1226(3)、1226(5)、および1226(7)は、第1の屈折率を有する第1の材料から形成され、層状光学素子1226(2)、1226(4)、および1226(6)は、第2の屈折率を有する第2の材料から形成される。光線1242は、Z_VGA_LL撮像システムによって撮像される電磁エネルギを表す。光線1242は、無限遠から生じる。テレ構成およびワイド構成の仕様は、表23〜25に要約される。これらの構成のサグは、式(1)によって求められ、ここで、半径、厚さ、および直径は、ミリメートル単位で求められる。
【0193】
【表23】
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【0194】
【表24】
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非球面係数は、テレ構成およびワイド構成に対し同一であって、表25にリストアップされる。
【0195】
【表25】
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図57Aおよび57Bは、無限物体共役距離に対するZ_VGA_LL撮像システムの空間周波数の関数として、MTFのプロット1270および1272を示す。MTFは、470〜650nmの波長に平均化される。各プロットは、検出器112の対角軸上の実像高と関連付けられた3つの別個の視野ポイントに対するMTF曲線を含む。3つの視野ポイントは、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイント、座標(0.49mm、0.37mm)を有する0.7視野ポイント、および座標(0.704mm、0.528mm)を有する全視野ポイントである。
図57Aおよび57Bでは、「T」は、接線方向面を示し、「S」は、サジタル方向面を示す。プロット1270は、テレ構成を有するZ_VGA_LL撮像システムを表す撮像システム1220(1)に対応し、プロット1272は、ワイド構成を有するZ_VGA_LL撮像システムを表す撮像システム1220(2)に対応する。
【0196】
図58A、58B、および58Cは、それぞれ、無限物体共役に対するZ_VGA_LL撮像システムの光路差のプロット1292、1294、および1296を示し、
図59A、59B、および59Cは、プロット1322、1324、および1326を示す。プロット1292、1294、および1296は、テレ構成を有するZ_VGA_LL撮像システムに対するものであって、プロット1322、1324、および1326は、ワイド構成を有するZ_VGA_LL撮像システムに対するものである。プロット1292、1294、1296、1322、1324、および1326に対する最大目盛は、+/−5波である。実線は、波長470nmを有する電磁エネルギを表す。短い破線は、波長550nmを有する電磁エネルギを表す。長い破線は、波長650nmを有する電磁エネルギを表す。
【0197】
図58および59における各対のプロットは、検出器112の対角線上の異なる実高における光路差を表す。プロット1292および1322は、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイントに対応し、第2行のプロット1294および1324は、座標(0.49mm、0.37mm)を有する0.7視野ポイントに対応し、第3行のプロット1296および1326は、座標(0.704mm、0.528mm)を有する全視野ポイントに対応する。各対の左列は、接線方向光束に対する波面誤差のプロットであって、右列は、サジタル方向光束に対する波面誤差のプロットである。
【0198】
図60A、60B、60C、および60Dは、Z_VGA_LL撮像システムの歪のプロット1354および1356、像面湾曲のプロット1350および1352を示す。プロット1350および1354は、テレ構成を有するZ_VGA_LL撮像システムに対応し、プロット1352および1356は、ワイド構成を有するZ_VGA_LL撮像システムに対応する。最大半画角は、テレ構成に対し14.374°、ワイド角度構成に対し31.450°である。実線は、波長約470nmを有する電磁エネルギに対応し、短い破線は、波長550nmを有する電磁エネルギに対応し、長い破線は、波長650nmを有する電磁エネルギに対応する。
【0199】
図61A、61B、および62は、
図2Aにおける撮像システム10の一実施形態である、ズーム撮像システム1380の3つの構成の光学レイアウトおよび光線追跡を示す。撮像システム1380は、最大比1.95まで連続的可変ズーム比を有する3つの群のズーム撮像システムである。概して、連続ズーミングを有するために、ズーム撮像システム内の2つ以上の光学系群が移動しなければならない。この場合、連続ズーミングは、可変光学素子の出力の調節と並行して、第2の光学系群1384のみを移動させることによって達成される。可変光学素子は、本明細書では、
図29から詳細に記載される。テレ構成と称される場合があるズーム構成の1つは、撮像システム1380(1)として示される。テレ構成では、撮像システム1380は、相対的に長い焦点距離を有する。ワイド構成と称される場合がある別のズーム構成は、撮像システム1380(2)として示される。ワイド構成では、撮像システム1380は、相対的に広い視野を有する。ミドル構成と称される場合があるさらに別のズーム構成は、撮像システム1380(3)として示される。ミドル構成は、テレ構成とワイド構成との間の焦点距離および視野を有する。
【0200】
撮像システム1380(1)は、焦点距離3.34ミリメートル、視野角28°、F値1.9、総トラック長9.25mm、および最大主光線角度25°を有する。撮像システム1380(2)は、焦点距離1.71ミリメートル、視野角62°、F値1.9、総トラック長9.25mm、および最大主光線角度25°を有する。撮像システム1380は、Z_VGA_LL_AF撮像システムと称される場合がある。
【0201】
Z_VGA_LL_AF撮像システムは、光学素子1388を有する第1の光学系群1382を含む。ポジティブ光学素子1390は、素子1388の一方の側に形成され、ネガティブ光学素子1392は、素子1388の他方の側に形成される。素子1388は、例えば、ガラスプレートである。Z_VGA_LL_AF撮像システム内の第1の光学系群1382の位置は、固定される。
【0202】
Z_VGA_LL_AF撮像システムは、光学素子1394を有する第2の光学系群1384を含む。ネガティブ光学素子1396は、素子1394の一方の側に形成され、ネガティブ光学素子1398は、素子1394の他方の側に形成される。素子1394は、例えば、ガラスプレートである。第2の光学系群1384は、端部1410と1412との間の線1400によって示される軸にそって、連続的に平行移動することが可能である。光学系群1384が、撮像システム1380(1)に示される線1400の端部1412に配置される場合、Z_VGA_LL_AF撮像システムは、テレ構成を有する。光学系群1384が、撮像システム1380(2)に示される線1400の端部1410に配置される場合、Z_VGA_LL_AF撮像システム撮像システムは、ワイド構成を有する。光学系群1384が、撮像システム1380(3)に示される線1400の中間に配置される場合、Z_VGA_LL_AF撮像システムは、ミドル構成を有する。テレとワイドとの間の任意の他のズーム位置は、光学系群2を移動させ、可変光学素子の出力を調節することによって達成される。テレ構成、ミドル構成、およびワイド構成の仕様は、表26〜30に要約される。各構成のサグは、式(1)によって求められ、ここで、半径、厚さ、および直径は、ミリメートル単位で求められる。
【0203】
【表26】
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【0204】
【表27】
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【0205】
【表28】
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可変光学素子の表面である表面10上のA2を除き、非球面係数はすべて、テレ構成、ミドル構成、およびワイド構成(または、テレとワイド構成との間の任意の他のズーム構成)に対し同一であって、表29にリストアップされる。
【0206】
【表29】
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異なるズーム構成に対する表面10上の非球面係数A2は、表30に要約される。
【0207】
【表30】
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Z_VGA_LL_AF撮像システムは、VGA形式検出器112上に形成される第3の光学系群1246を含む。第3の光学系群1246は、
図56に関連して上述される。光学系−検出器界面(図示せず)は、第3の光学系群1246を検出器112の表面から分離する。説明の明確性を促進するために、第3の光学系群1246の層状光学素子1226の一部のみ、
図61および62において番号が付される。
【0208】
Z_VGA_LL_AF撮像システムは、層状光学素子1226(1)と接触する光学素子1406をさらに含む。可変光学系1408は、層状光学素子1226(1)の反対の素子1406の表面上に形成される。可変光学系1408の焦点距離は、撮像システム1380が、そのズーム位置の変化に伴って焦点があったままとなるように、第2の光学系群1384の位置に従って変化してもよい。1408の焦点距離(出力)は、群1384の移動によって生じるズーミングの間、デフォーカスを補正するために変動する。可変光学系1408の焦点距離変動は、上述のように、素子1384の移動によって生じるズーミングの間のデフォーカスの補正だけでなく、「VGA AF」光学素子に関して記載されたように、異なる共役距離に対する焦点を調節するためにも使用可能である。一実施形態では、可変光学系1408の焦点距離は、例えば、撮像システムのユーザによって手動で調節されてもよい。別の実施形態では、Z_VGA_LL_AF撮像システムは、第2の光学系群1384の位置に従って、可変光学系1408の焦点距離を自動的に変更する。例えば、Z_VGA_LL_AF撮像システムは、第2の光学系群1384の位置に対応する、可変光学系1408の焦点距離のルックアップテーブルを含んでもよい。Z_VGA_LL_AF撮像システムは、ルックアップテーブルから可変光学系1408の補正焦点距離を判断し、それに従って、可変光学系1408の焦点距離を調節してもよい。
【0209】
可変光学系1408は、例えば、調節可能焦点距離を伴う光学素子である。それは、素子1406上に蒸着されるために十分大きな熱膨張係数を有する材料であってもよい。可変光学系1408のそのような実施形態の焦点距離は、材料の温度を変化させ、それによって、材料を膨張または収縮させることによって変動する。そのような膨張または収縮は、可変光学素子の焦点距離を変化させる。材料の温度は、発熱体(図示せず)の使用によって変化してもよい。付加的実施例として、可変光学系1408は、液体レンズまたは液晶レンズであってもよい。
【0210】
したがって、作動中、プロセッサ(例えば、
図1のプロセッサ46参照)は、線形変換器を制御し、例えば、群1384を移動させる一方、同時に、電圧印加または加熱し、可変光学系1408の焦点距離を制御するように構成されてもよい。
【0211】
光線1402は、Z_VGA_LL_AF撮像システムによって撮像される電磁エネルギを表す。光線1402は、垂直線1404によって表される無限遠から生じるが、Z_VGA_LL_AF撮像システムは、システム1380により近接する光線を撮像してもよい。
【0212】
図63Aおよび63Bは、無限物体共役におけるZ_VGA_LL_AF撮像システムの空間周波数の関数として、MTFのプロット1440および1442を示し、
図64は、プロット1460を示す。MTFは、470〜650nmの波長に平均化される。各プロットは、検出器112の対角軸上の実像高と関連付けられた3つの別個の視野ポイントに対するMTF曲線を含む。3つの視野ポイントは、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイント、座標(0.49mm、0.37mm)を有する0.7視野ポイント、および座標(0.704mm、0.528mm)を有する全視野ポイントである。
図63A、63B、および64では、「T」は、接線方向面を示し、「S」は、サジタル方向面を示す。プロット1440は、テレ構成を有するZ_VGA_LL_AF撮像システムを表す撮像システム1380(1)に対応する。プロット1442は、ワイド構成を有するZ_VGA_LL_AF撮像システムを表す撮像システム1380(2)に対応する。プロット1460は、ミドル構成を有するZ_VGA_LL_AF撮像システムを表す撮像システム1380(3)に対応する。
【0213】
図65A、65B、および65Cは、それぞれ、Z_VGA_LL_AF撮像システムの光路差のプロット1482、1484、および1486を示し、
図66A、66B、および66Cは、プロット1512、1514、および1516を示し、
図67A、67B、および67Cは、プロット1542、1544、および1546を示す(それぞれ、無限物体共役における)。プロット1482、1484、および1486は、テレ構成を有するZ_VGA_LL_AF撮像システムに対するものである。プロット1512、1514、および1516は、ワイド構成を有するZ_VGA_LL_AF撮像システムに対するものである。プロット1542、1544、および1546は、ミドル構成を有するZ_VGA_LL_AF撮像システムに対するものである。全プロットの最大目盛は、+/−5波である。実線は、波長470nmを有する電磁エネルギを表す。短い破線は、波長550nmを有する電磁エネルギを表す。長い破線は、波長650nmを有する電磁エネルギを表す。
【0214】
図65〜67における各対のプロットは、検出器112の対角線上の異なる実高における光路差を表す。プロット1482、1512、および1542は、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイントに対応し、プロット1484、1514、および1544は、座標(0.49mm、0.37mm)を有する0.7視野ポイントに対応し、プロット1486、1516、および1546は、座標(0.704mm、0.528mm)を有する全視野ポイントに対応する。各対のプロットの左列は、接線方向光束に対する波面誤差のプロットであって、右列は、サジタル方向光束に対する波面誤差のプロットである。
【0215】
図68Aおよび68Cは、Z_VGA_LL_AF撮像システムの像面湾曲のプロット1570および1572を示し、
図69Aは、プロット1600を示す。
図68Bおよび68Dは、Z_VGA_LL_AF撮像システムの歪のプロット1574および15746を示し、
図69Bは、プロット1602を示す。プロット1570および1574は、テレ構成を有するZ_VGA_LL_AF撮像システムに対応し、プロット1572および1576は、ワイド構成を有するZ_VGA_LL_AF撮像システムに対応し、プロット1600および1602は、ミドル構成を有するZ_VGA_LL_AF撮像システムに対応する。最大半画角は、テレ構成に対し14.148°、ワイド角度構成に対し31.844°、ミドル構成に対し20.311°である。実線は、波長470nmを有する電磁エネルギに対応し、短い破線は、波長550nmを有する電磁エネルギに対応し、長い破線は、波長650nmを有する電磁エネルギに対応する。
【0216】
図70A、70B、および71は、
図2Aにおける撮像システム10の一実施形態である、ズーム撮像システム1620の3つの構成の光学レイアウトおよび光線追跡を示す。撮像システム1620は、最大比1.96までの連続的可変ズーム比を有する、3つの群のズーム撮像システムである。概して、連続ズーミングを有するために、ズーム撮像システム内の2つ以上の光学系群は、移動しなければならない。この場合、連続ズーミングは、第2の光学系群1624のみを移動させ、位相修正素子を使用して、ズーム撮像システムの焦点深度を拡張することによって達成される。テレ構成と称される場合があるズーム構成の1つは、撮像システム1620(1)として示される。テレ構成では、撮像システム1620は、相対的に長い焦点距離を有する。ワイド構成と称される場合がある別のズーム構成は、撮像システム1620(2)として示される。ワイド構成では、撮像システム1620は、相対的に広い視野を有する。ミドル構成と称される場合があるさらに別のズーム構成は、撮像システム1620(3)として示される。ミドル構成は、テレ構成とワイド構成との間の焦点距離および視野を有する。
【0217】
撮像システム1620(1)は、焦点距離3.37ミリメートル、視野角28°、F値1.7、総トラック長8.3mm、および最大主光線角度22°を有する。撮像システム1620(2)は、焦点距離1.72ミリメートル、視野角60°、F値1.7、総トラック長8.3mm、および最大主光線角度22°を有する。撮像システム1620は、Z_VGA_LL_WFC撮像システムと称される場合がある。
【0218】
Z_VGA_LL_WFC撮像システムは、光学素子1628を有する第1の光学系群1622を含む。ポジティブ光学素子1630は、素子1628の一方の側に形成され、波面符号化表面は、1646(1)の第1の表面上に形成される。素子1628は、例えば、ガラスプレートである。Z_VGA_LL_WFC撮像システムにおける第1の光学系群1622の位置は、固定される。
【0219】
Z_VGA_LL_WFC撮像システムは、光学素子1634を有する第2の光学系群1624を含む。ネガティブ光学素子1636は、素子1634の一方の側に形成され、ネガティブ光学素子1638は、反対側の素子1634上に形成される。素子1634は、例えば、ガラスプレートである。第2の光学系群1624は、端部1648と1650との間の線1640によって示される軸に沿って、連続的に平行移動可能である。第2の光学系群1624が、撮像システム1620(1)に示される線1640の端部1650に配置される場合、Z_VGA_LL_WFC撮像システムは、テレ構成を有する。光学系群1624が、撮像システム1620(2)に示される線1640の端部1648に配置される場合、Z_VGA_LL_WFC撮像システムは、ワイド構成を有する。光学系群1624が、撮像システム1620(3)に示される線1640の中間に配置される場合、Z_VGA_LL_WFC撮像システムは、ミドル構成を有する。
【0220】
Z_VGA_LL_WFC撮像システムは、VGA形式検出器112上に形成される第3の光学系群1626を含む。光学系−検出器界面(図示せず)は、第3の光学系群1626を検出器112の表面から分離する。層状光学素子1646(7)は、検出器112上に形成される。層状光学素子1646(6)は、層状光学素子1646(7)上に形成される。層状光学素子1646(5)は、層状光学素子1646(6)上に形成される。層状光学素子1646(4)は、層状光学素子1646(5)上に形成される。層状光学素子1646(3)は、層状光学素子1646(4)上に形成される。層状光学素子1646(2)は、層状光学素子1646(3)上に形成される。層状光学素子1646(1)は、層状光学素子1646(2)上に形成される。層状光学素子1646は、2つの異なる材料から形成され、隣接する層状光学素子1646は、異なる材料から形成される。具体的には、層状光学素子1646(1)、1646(3)、1646(5)、および1646(7)は、第1の屈折率を有する第1の材料から形成され、層状光学素子1646(2)、1646(4)、および1646(6)は、第2の屈折率を有する第2の材料から形成される。
【0221】
テレ構成、ミドル構成、およびワイド構成の仕様は、表31〜36に要約される。3つすべての構成のサグは、式(2)によって求められる。位相修正素子によって実装される位相関数は、8角形であって、そのパラメータは、式(3)によって求められ、
図18に示される。ここで、半径、厚さ、および直径は、ミリメートル単位で求められる。
【0222】
【表31】
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【0223】
【表32】
[この文献は図面を表示できません]
【0224】
【表33】
[この文献は図面を表示できません]
8角形の非球面係数および表面仕様は、テレ、ミドル、およびワイド構成に対し同一であって、表34〜36に要約される。
【0225】
【表34】
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【0226】
【表35】
[この文献は図面を表示できません]
【0227】
【表36】
[この文献は図面を表示できません]
Z_VGA_LL_WFC撮像システムは、所定の位相修正を実装するための位相修正素子を含む。
図70では、光学素子1646(1)の左表面は、位相修正素子である。しかしながら、Z_VGA_LL_WFC撮像システムの任意の1つの光学素子または光学素子の組み合わせが、位相修正素子として機能し、所定の位相修正を実装してもよい。所定の位相修正は、Z_VGA_LL_WFC撮像システムの焦点深度を拡張するため、所定の位相修正の使用によって、Z_VGA_LL_WFC撮像システムが連続的可変ズーム比を支持することを可能にする。光線1642は、無限遠からZ_VGA_LL_WFC撮像システムによって撮像される電磁エネルギを表す。
【0228】
Z_VGA_LL_WFC撮像システムの性能は、その性能を
図56におけるZ_VGA_LL撮像システムと比較することによって(2つの撮像システムは類似するため)、理解され得る。Z_VGA_LL_WFC撮像システムとZ_VGA_LL撮像システムとの間の主要な差異は、Z_VGA_LL_WFC撮像システムが所定の位相修正を含むが、Z_VGA_LL撮像システムは含まないことである。
図72Aおよび72Bは、無限物体共役距離におけるZ_VGA_LL撮像システムの空間周波数の関数として、MTFのプロット1670および1672を示し、
図73は、プロット1690を示す。MTFは、470〜650nmの波長に平均化される。各プロットは、検出器112の対角軸上の実像高と関連付けられた3つの別個の視野ポイントに対するMTF曲線を含む。3つの視野ポイントは、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイント、座標(0mm、0.528mm)を有するyにおける全視野ポイント、および座標(0.704mm、0mm)を有するxにおける全視野ポイントである。
図72A、72B、および73では、「T」は、接線方向面を示し、「S」は、サジタル方向面を示す。プロット1670は、テレ構成を有するZ_VGA_LL撮像システムを表す撮像システム1220(1)に対応する。プロット1672は、ワイド構成を有するZ_VGA_LL撮像システムを表す撮像システム1220(2)に対応する。プロット1690は、ミドル構成を有するZ_VGA_LL撮像システムに対応する(Z_VGA_LL撮像システムの本構成は、図示されない)。プロット1670、1672、および1690の比較によって分かるように、Z_VGA_LL撮像システムの性能は、ズーム位置の関数として変化する。さらに、Z_VGA_LL撮像システムは、プロット1690のMTFの小さい振幅およびゼロ値によって示されるように、ミドルズーム構成において、相対的に性能が低い。
【0229】
図74Aおよび74Bは、無限物体共役距離に対するZ_VGA_LL_WFC撮像システムの空間周波数の関数として、MTFのプロット1710および1716を示し、
図75は、プロット1740を示す。MTFは、470〜650nmの波長に平均化される。各プロットは、検出器112の対角軸上の実像高と関連付けられた3つの別個の視野ポイントに対するMTF曲線を含む。3つの視野ポイントは、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイント、座標(0mm、0.528mm)を有するyにおける全視野ポイント、および座標(0.704mm、0mm)を有するxにおける全視野ポイントである。
図74A、74B、および75では、「T」は、接線方向面を示し、「S」は、サジタル方向面を示す。プロット1710は、テレ構成を有するZ_VGA_LL_WFC撮像システムに対応し、プロット1716は、ワイド構成を有するZ_VGA_LL_WFC撮像システムに対応し、プロット1740は、ミドル構成を有するZ_VGA_LL_WFC撮像システムに対応する。
【0230】
破線によって示されるフィルタ未処理曲線は、Z_VGA_LL_WFC撮像システムによって生成される電子データのポストフィルタリングを伴わない、MTFを表す。プロット1710、1716、および1740から分かるように、フィルタ未処理MTF曲線1714、1720、および1744は、相対的に小さい振幅を有する。しかしながら、フィルタ未処理MTF曲線1714、1720、および1744は、有利には、ゼロ振幅に達することはなく、Z_VGA_LL_WFC撮像システムが、着目空間周波数の全範囲にわたって画像情報を保持することを意味する。さらに、フィルタ未処理MTF曲線1714、1720、および1744は、非常に類似する。MTF曲線におけるそのような類似性は、次に論じられるように、単一のフィルタカーネルの復号アルゴリズムを実行するプロセッサによる使用を可能にする。例えば、光学系(例えば、光学素子1646(1))内の位相修正素子によって導入される符号化は、Z_VGA_LL_WFC撮像システムが、そのような後処理を伴わないものよりも鮮明な画像を生成するように、例えば、復号アルゴリズムを実行する
図1のプロセッサ46によって処理される。実線によって示されるフィルタ処理されたMTF曲線は、そのような後処理を伴うZ_VGA_LL_WFC撮像システムの性能を表す。プロット1710、1716、および1740から分かるように、Z_VGA_LL_WFC撮像システムは、そのような後処理を伴うズーム比にわたって、相対的に一定の性能を示す。
【0231】
図76A、76B、および76Cは、復号アルゴリズムを実行するプロセッサによる後処理前の、Z_VGA_LL_WFC撮像システムの軸上PSFのプロット1760、1762、および1764を示す。プロット1760は、テレ構成を有するZ_VGA_LL_WFC撮像システムに対応し、プロット1762は、ワイド構成を有するZ_VGA_LL_WFC撮像システムに対応し、プロット1764は、ミドル構成を有するZ_VGA_LL_WFC撮像システムに対応する。
図76から分かるように、後処理前のPSFは、ズーム構成の関数として変化する。
【0232】
図77A、77B、および77Cは、復号アルゴリズムを実行するプロセッサによる後処理後のZ_VGA_LL_WFC撮像システムの軸上PSFのプロット1780、1782、および1784を示す。プロット1780は、テレ構成を有するZ_VGA_LL_WFC撮像システムに対応し、プロット1782は、ワイド構成を有するZ_VGA_LL_WFC撮像システムに対応し、プロット1784は、ミドル構成を有するZ_VGA_LL_WFC撮像システムに対応する。
図77から分かるように、後処理後のPSFは、相対的に、ズーム構成から独立している。同一のフィルタカーネルが、処理のために使用されるため、PSFは、異なる物体共役に対し若干異なる。
【0233】
図78Aは、プロセッサによって実装される復号アルゴリズム(例えば、畳み込み)におけるZ_VGA_LL_WFC撮像システムとともに使用され得る、フィルタカーネルの図示およびその値である。
図78Aのこのフィルタカーネルは、例えば、
図77A、77B、および77CのプロットのPSF、または
図74A、74B、および75のフィルタ処理されたMTF曲線を生成するために使用される。そのようなフィルタカーネルは、復号アルゴリズムを実行して、波面符号化素子の導入によって影響を受ける電子データを処理するためのプロセッサによって使用されてもよい。プロット1800は、フィルタカーネルの3次元プロットであって、フィルタ係数は、
図78Bにおける表1802に示される。
【0234】
図79は、
図2Aにおける撮像システム10の一実施形態である、撮像システム1820の光学レイアウトおよび光線追跡である。撮像システム1820は、アレイ撮像システムの1つであってもよい。そのようなアレイは、
図2Aに関して上述のように、複数のサブアレイおよび/または独立型撮像システムに分離されてもよい。撮像システム1820は、VGA_O撮像システムと称される場合がある。VGA_O撮像システムは、光学系1822と、湾曲表面1826によって表される湾曲像平面とを含む。VGA_O撮像システムは、焦点距離1.50mm、視野角62°、F値1.3、総トラック長2.45mm、および最大主光線角度28°を有する。
【0235】
光学系1822は、7つの層状光学素子1824を有する。層状光学素子1824は、2つの異なる材料から形成され、隣接する層状光学素子は、異なる材料から形成される。層状光学素子1824(1)、1824(3)、1824(5)、および1824(7)は、第1の屈折率を有する第1の材料から形成され、層状光学素子1824(2)、1824(4)、および1824(6)は、第2の屈折率を有する第2の材料から形成される。本文脈において有用となり得る2つの例示的ポリマー材料は、1)ChemOptics社製高屈折率材料(n=1.62)と、2)Optical Polymer Research,Inc.社製低屈折率材料(n=1.37)とを含む。光学系1822内に空隙は存在しないことに留意されたい。光線1830は、無限遠からVGA_O撮像システムによって撮像される電磁エネルギを表す。
【0236】
光学系1822の仕様の詳細は、表37および38に要約される。サグは、式(1)によって求められ、ここで、半径、厚さ、および直径は、ミリメートル単位で求められる。
【0237】
【表37】
[この文献は図面を表示できません]
【0238】
【表38】
[この文献は図面を表示できません]
検出器1832は、湾曲表面1826上に適用される。光学系1822は、検出器1832から独立して加工されてもよい。検出器1832は、有機材料から加工されてもよい。検出器1832は、例えば、インクジェットプリンタ等の使用によって、表面1826上に直接形成または適用される。代替として、検出器1832は、代わりに表面1826に接合される基板(例えば、ポリエチレンのシート)に適用されてもよい。
【0239】
一実施形態では、検出器1832は、2.2ミクロンピクセルサイズのVGA形式を有する。一実施形態では、検出器1832は、検出器の解像度に必要以上の付加的検出器ピクセルを含む。そのような付加的ピクセルは、光軸1834に対する検出器1832の中心の位置合わせ要件を緩和するために使用されてもよい。検出器1832が、光軸1834に対し正確に位置合わせされない場合、検出器1832が光軸1834に対し中心に来るように、付加的ピクセルは、検出器1832の輪郭を再画定可能にしてもよい。
【0240】
VGA_O撮像システムの湾曲像平面は、有利なことには、VGA_O撮像システムにおいて使用され得る、さらなる設計自由度を提供する。例えば、像平面は、事実上いかなる表面形状にも一致し、像面湾曲および/または非点収差等の収差を補正するように、湾曲していてもよい。その結果、光学系1822の公差を緩和し、それによって、加工コストを低減することが可能であってもよい。
【0241】
図80は、無限物体共役距離におけるVGA_O撮像システムの空間周波数の関数として、波長0.55マイクロメートルでの単色MTFのプロット1850を示す。
図80は、検出器1832の対角軸上の実像高と関連付けられた3つの別個の視野ポイントに対するMTF曲線を示す。3つの視野ポイントは、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイント、座標(0.49mm、0.37mm)を有する0.7視野ポイントおよび座標(0.704mm、0.528mm)を有する全視野ポイントである。湾曲像平面のため、非点収差および像面湾曲が適切に補正され、MTFは、ほぼ回折限界である。
図80では、「T」は、接線方向面を示し、「S」は、サジタル方向面を示す。また、
図80は、図中において「回折限界」として示される回折限界を示す。
【0242】
図81は、無限物体共役距離に対するVGA_O撮像システムの空間周波数の関数として、白色光MTFのプロット1870を示す。MTFは、470〜650nmの波長に平均化される。
図81は、検出器1832の対角軸上の実像高と関連付けられた3つの別個の視野ポイントに対するMTF曲線を示す。3つの視野ポイントは、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイント、座標(0.49mm、0.37mm)を有する0.7視野ポイント、および座標(0.704mm、0.528mm)を有する全視野ポイントである。再び、
図81では、「T」は、接線方向面を示し、「S」は、サジタル方向面を示す。また、
図81は、図中において「回折限界」として示される回折限界を示す。
【0243】
図81のカラーMTFは、概して、
図80の単色MTFよりも小さい振幅を有するということが、
図80と81との比較によって分かるだろう。そのような振幅の差異は、VGA_O撮像システムが、一般に軸上の色と称される収差を呈することを示す。軸上の色は、所定の位相修正を介して補正されてもよい。しかしながら、軸上の色を補正するための所定の位相修正の使用は、光学系1822の光学機械的公差を緩和する所定の位相修正の能力を低減し得る。光学機械的公差の緩和は、光学系1822の加工コストを低減し得る。したがって、光学機械的公差を緩和するための所定の位相修正の効果を可能な限り使用することは、この場合、有利となるであろう。その結果、後述されるように、1つ以上の層状光学素子1824内の異なるポリマー材料を使用することによって、軸上の色を補正することは有利となる場合がある。
【0244】
図82A、82B、および82Cは、それぞれ、VGA_O撮像システムの光路差のプロット1892、1894、および1896を示す。各方向の最大目盛は、+/−5波である。実線は、波長470nmを有する電磁エネルギを表す。短い破線は、波長550nmを有する電磁エネルギを表す。長い破線は、波長650nmを有する電磁エネルギを表す。各対のプロットは、検出器1832の対角線上の異なる実像高における光路差を表す。プロット1892は、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイントに対応し、プロット1894は、座標(0.49mm、0.37mm)を有する0.7視野ポイントに対応し、プロット1896は、座標(0.704mm、0.528mm)を有する全視野ポイントに対応する。各対のプロットの左列は、接線方向光束に対する波面誤差のプロットであって、右列は、サジタル方向光束に対する波面誤差のプロットである。システム内の最大収差は軸上の色であることが、プロットから分かるだろう。
【0245】
図83Aは、VGA_O撮像システムの像面湾曲のプロット1920を示し、
図83Bは、歪のプロット1922を示す。最大半画角は、31.04°である。実線は、波長470nmを有する電磁エネルギに対応し、短い破線は、波長550nmを有する電磁エネルギに対応し、長い破線は、波長650nmを有する電磁エネルギに対応する。
【0246】
図84は、軸上の色を低減するために層状光学素子1824内で使用される選択ポリマーを含む、VGA_O撮像システムの空間周波数の関数として、MTFのプロット1940を示す。選択ポリマーを含むそのような撮像システムは、VGA_O1撮像システムと称される場合がある。VGA_O1撮像システムは、焦点距離1.55mm、視野角62°、F値1.3、総トラック長2.45mm、および最大主光線角度26°を有する。選択ポリマーを使用する光学系1822の仕様の詳細は、表39および40に要約される。サグは、式(1)によって求められ、ここで、半径、厚さ、および直径は、ミリメートル単位で求められる。
【0247】
【表39】
[この文献は図面を表示できません]
【0248】
【表40】
[この文献は図面を表示できません]
図84では、MTFは、470〜650nmの波長に平均化される。
図84は、検出器1832の対角軸上の実像高と関連付けられた3つの別個の視野ポイントに対するMTF曲線を示す。3つの視野ポイントは、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイント、座標(0.49mm、0.37mm)を有する0.7視野ポイント、および座標(0.704mm、0.528mm)を有する全視野ポイントである。再び、
図84では、「T」は、接線方向面を示し、「S」は、サジタル方向面を示す。VGA_O1のカラーMTFは、概して、VGA_O撮像システムのカラーMTFよりも高いことが、
図81と84との比較によって分かるだろう。
【0249】
図85A、85B、および85Cは、それぞれ、VGA_O1撮像システムの光路差のプロット1962、1964、および1966を示す。各方向の最大目盛は、+/−2波である。実線は、波長470nmを有する電磁エネルギを表す。短い破線は、波長550nmを有する電磁エネルギを表す。長い破線は、波長650nmを有する電磁エネルギを表す。各対のプロットは、検出器1832の対角線上の異なる実高における光路差を表す。プロット1962は、座標(0mm、0mm)を有する軸上視野ポイントに対応し、プロット1964は、座標(0.49mm、0.37mm)を有する0.7視野ポイントに対応し、プロット1966は、座標(0.704mm、0.528mm)を有する全視野ポイントに対応する。VGA_O1撮像システムの第3のポリマーは、VGA_O撮像システムと比較して約1.5倍の軸上の色を低減することが、
図82と85とのプロットの比較によって分かるだろう。各対のプロットの左列は、接線方向光束に対する波面誤差のプロットであって、右列は、サジタル方向光束に対する波面誤差のプロットである。
【0250】
図86は、
図2Aの撮像システム10のWALO型実施形態である、撮像システム1990の光学レイアウトおよび光線追跡である。撮像システム1990は、アレイ撮像システムの1つであってもよい。そのようなアレイは、
図2Aに関して上述のように、複数のサブアレイおよび/または独立型撮像システムに分離されてもよい。撮像システム1990は、複数の開口1992および1994を有し、それぞれ、電磁エネルギを検出器1996上に誘導する。
【0251】
開口1992は、画像を撮影する一方、開口1994は、積分光レベルの検出のために使用される。そのような光レベルの検出は、撮像システム1990による画像の撮影前に、周辺光度に従って、撮像システム1990を調節するために使用されてもよい。撮像システム1990は、複数の光学素子を有する光学系2022を含む。光学素子1998(例えば、ガラスプレート)は、検出器1996とともに形成される。空隙等の光学系−検出器界面は、素子1998を検出器1996から分離してもよい。したがって、素子1998は、検出器1996のためのカバープレートであってもよい。
【0252】
空隙2000は、光学素子2002を素子1998から分離する。ポジティブ光学素子2002は、代わりに、検出器1996に近接する光学素子2004(例えば、ガラスプレート)の一方の側に形成され、ネガティブ光学素子2006は、素子2004の他方の側に形成される。空隙2008は、ネガティブ光学素子2006をネガティブ光学素子2010から分離する。ネガティブ光学素子2010は、検出器1996に近接する光学素子2012(例えば、ガラスプレート)の一方の側に形成され、ポジティブ光学素子2016および2014は、素子2012の他方の側に形成される。光学素子2016は、開口1992と光連通し、光学素子2014は、開口1994と光連通する。光学素子2020(例えば、ガラスプレート)は、空隙2018によって、光学素子2016および2014から分離される。
【0253】
光学系2022は、開口1992と光連通する4つの光学素子と、開口1994と光連通する1つのみの光学素子とを含むことが、
図86から分かるだろう。開口1994は、電磁エネルギ検出にのみ使用されるため、開口1994とともに使用される必要がある光学素子は少ない。
【0254】
図87は、WALO型撮像システム1990の光学レイアウトおよび光線追跡であって、ここでは、さらなる詳細または代替素子を図示するために示される。
図86に対して追加または修正された素子のみ、明確にするために番号が付される。システム1990は、開口1992と1994との間の電磁エネルギの分離を補助する素子2086、2088、2090、および2090等の物理的開口素子を含んでもよい。
【0255】
回折光学素子2076および2080は、素子2014の定位置で使用されてもよい。そのような回折素子は、相対的に広い視野を有するが、電磁エネルギの単一波長に制限されてもよい。代替として、そのような回折素子は、相対的に狭い視野を有するが、波長の相対的に大きいスペクトルにわたって撮像するよう機能してもよい。光学素子2076および2080が回折素子である場合、その特性は、所望の設計目標に従って選択されてもよい。
【0256】
前セクションのアレイ撮像システムの具現化は、アレイ撮像システムを生成する構成要素のそれぞれの設計、最適化、および加工の慎重な調整を必要とする。例えば、簡単に
図3に戻ると、アレイ撮像システム62のアレイ60の加工は、種々の側面における光学系66および検出器16の設計、最適化、および加工の間の協働を必要とする。例えば、特定の撮像および検出目標を達成する際の光学系66および検出器16の適合性は、光学系66を形成するための加工ステップを最適化する方法と同様に考慮され得る。そのような適合性および最適化は、歩留を増加させ、種々の製造プロセスの制限を除去し得る。加えて、画質を向上させるための撮影された画像データの処理の調整は、既存の製造および最適化制約の一部を軽減し得る。アレイ撮像システムの異なる構成要素が、別個に最適化可能であることが知られているが、上述のようなアレイ撮像システムの具現化に必要とされる構想から製造までのステップは、協働的方法で、最初から最後まで、具現化の全側面を制御することによって改良されてもよい。各構成要素の目標および制限を考慮した、本開示のアレイ撮像システム具現化のためのプロセスは、以下に記載される。
【0257】
図88は、
図1に示されるようなアレイ撮像システムの一実施形態を具現化するための、例示的プロセスを示す工程
図3000である。
図88に示されるように、ステップ3002では、共通基盤上に支持される検出器のアレイが加工される。また、光学系のアレイは、ステップ3004において、共通基盤上に形成され、ここで、光学系はそれぞれ、検出器のうちの少なくとも1つと光連通する。最後に、ステップ3006では、結合された検出器と光学系のアレイは、撮像システムに分離される。異なる撮像システム構成が、所与の共通基盤上に加工されてもよいことに留意されたい。
図88に示されるステップはそれぞれ、以下に論じられるように、設計、最適化、および加工制御プロセスの調整を必要とする。
【0258】
図89は、一実施形態による、アレイ撮像システムの具現化において行われる例示的プロセス3010の工程図である。上述のように、例示的プロセス3010は、アレイ撮像システムを加工する際に使用される一般的ステップを強調するが、これらの一般的ステップのそれぞれの詳細は、以下、本開示の適切な時点で論じられる。
【0259】
図89に示されるように、最初に、ステップ3011では、アレイ撮像システムの各撮像システムのための撮像システム設計が生成される。撮像システム設計生成ステップ3011内では、以下、適切な時点で詳述されるように、ソフトウェアを使用して、撮像システム設計をモデル化および最適化してもよい。次いで、撮像システム設計は、例えば、市販のソフトウェアを使用した数値モデルによって、ステップ3012において試験されてもよい。ステップ3012において試験される撮像システム設計が、所定のパラメータ内に一致しない場合、プロセス3010は、ステップ3011に戻り、ここで、撮像システム設計は、1組の潜在的な設計パラメータ修正を使用して修正される。所定のパラメータは、例えば、MTF値、シュトレール比、光路差プロットおよび光線の扇形図プロットを使用した収差解析、主光線角度値を含んでもよい。加えて、撮像される物体の種類の知識およびその典型的設定は、ステップ3011において考慮されてもよい。潜在的な設計パラメータ修正は、例えば、光学素子曲率および厚さ、光学サブシステム設計内の光学素子の数および位相修正、画像プロセッササブシステム設計内の電子データの処理の際のフィルタカーネル、検出器サブシステム設計内のサブ波長特徴の幅および高さの変更を含んでもよい。ステップ3011および3012は、撮像システム設計が、所定のパラメータ内に一致するまで繰り返される。
【0260】
依然として
図89を参照すると、ステップ3013では、撮像システムの構成要素は、撮像システム設計に従って加工される。つまり、少なくとも、光学系、画像プロセッサ、および検出器サブシステムは、個々のサブシステム設計に従って加工される。次いで、構成要素は、ステップ3014において試験される。撮像システム構成要素のいずれかが、所定のパラメータ内に一致しない場合、撮像システム設計は、再び、1組の潜在的な設計パラメータ修正を使用して修正されてもよく、さらに修正された設計を使用して、加工された撮像システム構成要素が、所定のパラメータ内に一致するまで、ステップ3012から3014まで繰り返される。
【0261】
図89を継続して参照すると、ステップ3015では、撮像システム構成要素が組み立てられ、撮像システムを形成し、次いで、組み立てられた撮像システムは、ステップ3016において試験される。組み立てられた撮像システムが、所定のパラメータ内に一致しない場合、撮像システム設計は、再び、1組の潜在的な設計パラメータ修正を使用して、修正されてもよく、さらに修正された設計を使用して、加工された撮像システムが、所定のパラメータ内に一致するまで、ステップ3012から3016まで繰り返される。各試験ステップ内では、性能指標もまた、決定されてもよい。
【0262】
図90は、撮像システム設計生成ステップ3011および撮像システム設計試験ステップ3012のさらなる詳細を示す工程
図3020を含む。
図90に示されるように、ステップ3021では、1組の標的パラメータが、最初に、撮像システム設計のために指定される。標的パラメータは、例えば、設計パラメータ、プロセスパラメータ、および指標を含んでもよい。指標は、撮像システムのMTFにおける所望の特性等、より具体的に定義すると、被写界深度、焦点深度、画質、検出可能性、低コスト、短い加工時間、または加工誤差に対する低い感度等、特異的であってもよい。次いで、設計パラメータは、ステップ3022において、撮像システム設計のために構築される。設計パラメータは、例えば、F値(F/#)、視野(FOV)、光学素子数、検出器形式(例えば、640×480検出器ピクセル)、検出器ピクセルサイズ(例えば、2.2μm)、およびフィルタサイズ(例えば、7×7または31×31の係数)を含んでもよい。他の設計パラメータは、個々の光学素子の総光学トラック長、曲率、および厚さ、ズームレンズ内のズーム比、任意の位相修正素子の表面パラメータ、検出器サブシステム設計内に一体化される光学素子のサブ波長特徴幅および厚さ、最小コマ収差、最小ノイズゲインであってもよい。
【0263】
また、ステップ3011は、撮像システムの種々の構成要素のための設計を生成するステップを含む。すなわち、ステップ3011は、光学サブシステム設計を生成するためのステップ3024と、光学機械的サブシステム設計を生成するためのステップ3026と、検出器サブシステム設計を生成するためのステップ3028と、画像プロセッササブシステム設計を生成するためのステップ3030と、試験ルーチンを生成するためのステップ3032とを含む。ステップ3024、3026、3028、3030、および3032は、撮像システム設計のための設計パラメータセットを考慮し、これらのステップは、並列に、任意の順番で順次、または結合して行われてもよい。さらに、ステップ3024、3026、3028、3030、および3032のうちの特定のステップは、任意であってもよい。例えば、ステップ3028が必要とされないように、検出器サブシステム設計は、市販の検出器が撮像システム内で使用されるという事実によって制約されてもよい。加えて、ステップ3032が余分であるように、試験ルーチンは、利用可能なリソースによって命令されてもよい。
【0264】
図90を継続して参照すると、撮像システム設計試験ステップ3012のさらなる詳細が示される。ステップ3012は、撮像システム設計が、指定の標的パラメータを充足する一方、所定の設計パラメータ内に一致するかどうか分析するためのステップ3037を含む。撮像システム設計が、所定のパラメータ内に一致しない場合、サブシステム設計のうちの少なくとも1つは、個々のセットの潜在的な設計パラメータ修正を使用して修正される。分析ステップ3037は、個々の設計パラメータ、または設計ステップ3024、3026、3028、3030、および3032のうちの1つ以上からの設計パラメータの組み合わせを対象にしてもよい。例えば、分析は、所望のMTF特性等の特定の標的パラメータに基づいて行われてもよい。別の実施例として、検出器サブシステム設計内に含まれるサブ波長光学素子の主光線角度補正特性も、また、分析されてもよい。同様に、画像プロセッサの性能は、MTF値の検査によって分析可能である。また、分析は、製造可能性に関するパラメータの評価を含んでもよい。例えば、加工マスタの機械加工時間が分析されてもよく、または光学機械的設計アセンブリの公差が評価可能である。製造可能性が、厳密な公差または増加した加工時間のため、非常にコストがかかると判断される場合、特定の光学サブシステム設計は、有用ではない場合がある。
【0265】
ステップ3012は、標的パラメータが、撮像システムによって充足されるかどうかを判断するための決定3038をさらに含む。標的パラメータが、現在の撮像システム設計によって充足されない場合、設計パラメータは、ステップ3039において、1組の潜在的な設計パラメータ修正を使用して修正されてもよい。例えば、MTF特性の数値分析は、アレイ撮像システムが、特定の仕様に合致するかどうかを判断するために使用されてもよい。MTF特性の仕様は、例えば、特定のアプリケーションの要件によって決定されてもよい。撮像システム設計が、特定の仕様に合致しない場合、個々の光学素子の曲率および厚さ等、特定の設計パラメータは変更されてもよい。別の実施例として、主光線角度補正が、仕様に合致しない場合、検出器ピクセル構造内のサブ波長光学素子の設計は、サブ波長特徴幅または厚さを変更することによって修正されてもよい。信号処理が、仕様に合致しない場合、フィルタのカーネルサイズが修正されてもよく、あるいは別の種類または指標からのフィルタが選択されてもよい。
【0266】
図89を参照して前述のように、ステップ3011および3012は、さらに修正された設計を使用して、サブシステム設計のそれぞれ(その結果、撮像システム設計)が、関連する所定のパラメータ内に一致するまで繰り返される。異なるサブシステム設計の試験は、個々に(すなわち、各サブシステムが、別個に、試験および修正される)または結合して(すなわち、2つ以上のサブシステムが、試験および修正プロセスにおいて結合される)実装されてもよい。上述の適切な設計プロセスは、さらに修正された設計を使用して、撮像システム設計が所定のパラメータ内に一致するまで、必要に応じて繰り返される。
【0267】
図91は、
図90の検出器サブシステム設計生成ステップ3028の詳細を示す工程図である。ステップ3045(以下にさらに詳述される)では、検出器ピクセル構造内および近接する光学素子が、設計、成形、および最適化される。ステップ3046では、検出器ピクセル構造が、当技術分野において周知なように、設計、成形、および最適化される。ステップ3045および3046は、別個にまたは結合して行われてもよく、検出器ピクセル構造の設計および検出器ピクセル構造に付随する光学素子の設計は、結合される。
【0268】
図92は、
図91の光学素子設計生成ステップ3045のさらなる詳細を示す工程図である。
図92に示されるように、ステップ3051では、特定の検出器ピクセルが選択される。ステップ3052では、検出器ピクセル構造に対し、検出器ピクセルに付随する光学素子の位置が指定される。ステップ3054では、現位置における光学素子の出力結合が評価される。ステップ3055では、光学素子の現位置に対する出力結合が、十分に最大化されないと判断される場合、ステップ3056において光学素子の位置が修正され、ステップ3054、3055、および3056は、最大出力結合値が得られるまで繰り返される。
【0269】
現位置に対する計算された出力結合が、最大値に十分に近接すると判断される場合、次いで、最適化される残りの検出器ピクセルが存在する場合(ステップ3057)、ステップ3051から開始して、上述のプロセスが繰り返される。他のパラメータが最適化されてもよく、例えば、出力クロストーク(近傍検出器ピクセルによって不適切に受信される出力)が、最小値へと最適化されてもよいことは理解されたい。ステップ3045のさらなる詳細は、以下、適切な時点で説明される。
【0270】
図93は、
図90の光学サブシステム設計生成ステップ3024のさらなる詳細を示す、工程図である。ステップ3061では、光学サブシステム設計のための1組の標的パラメータおよび設計パラメータが、
図90のステップ3021および3022から受信される。標的パラメータおよび設計パラメータに基づく光学サブシステム設計は、ステップ3062において指定される。ステップ3063では、光学サブシステム設計の具現化プロセス(例えば、加工および計測)は、実現可能性および光学サブシステム設計への影響を判断するためにモデル化される。ステップ3064では、光学サブシステム設計は、パラメータが充足されるかどうかを判断するために分析される。決定3065は、標的および設計パラメータが、現在の光学サブシステム設計によって充足されるか否かを判断するために行われる。
【0271】
標的および設計パラメータが、現在の光学サブシステム設計によって充足されない場合、決定3066は、具現化プロセスパラメータが、標的パラメータ内の性能を達成するために修正され得るかどうかを判断するために行われる。具現化プロセス内のプロセス修正が実行可能である場合、具現化プロセスパラメータは、ステップ3064内の分析、最適化ソフトウェア(すなわち、「オプティマイザ」)、および/またはユーザ知識に基づいて、ステップ3067において修正される。プロセスパラメータが修正可能であるかどうかの判断は、パラメータ基準または複数パラメータを使用して、パラメータに基づいて行われてもよい。モデル具現化プロセス(ステップ3063)および後続ステップは、上述のように、標的パラメータが充足されるまで、またはプロセスパラメータ修正が実行不可能と判断されるまで、繰り返されてもよい。プロセスパラメータ修正が、決定3066において、実行不可能であると判断される場合、光学サブシステム設計パラメータは、ステップ3068において修正され、修正された光学サブシステム設計は、ステップ3062において使用される。後続ステップは、上述のように、可能な場合、標的パラメータが充足されるまで繰り返される。あるいは、設計パラメータは、より堅牢な設計最適化のために、プロセスパラメータの修正(ステップ3067)と並行して、修正されてもよい(ステップ3068)。任意の所与のパラメータに対し、決定3066は、ユーザまたはオプティマイザのいずれかによって行われてもよい。実施例として、ツール半径が制約として、オプティマイザのユーザによって、固定値(すなわち、修正不可能である)に設定されてもよい。問題分析後、オプティマイザ内の特定のパラメータおよび/またはオプティマイザ内の変数に対する重み付が修正されてもよい。
【0272】
図94は、
図93のステップ3063に示される具現化プロセスのモデル化の詳細を示す工程図である。ステップ3071では、光学サブシステム設計は、アレイ光学系設計に分離される。例えば、層状光学系配列内の各アレイ光学系設計および/またはウエハレベル光学系設計は、別個に分析されてもよい。ステップ3072では、各アレイ光学系設計のための加工マスタの製造の実現可能性および付随する誤差が、モデル化される。ステップ3074では、加工マスタからのアレイ光学系設計の複製の実現可能性および付随する誤差が、モデル化される。これらのステップはそれぞれ、適切な時点でさらに詳述される。全アレイ光学系設計がモデル化された後(ステップ3076)、アレイ光学系設計は、ステップ3077において、光学サブシステム設計に再結合され、ステップ3077において、光学サブシステム設計の生成時の性能を予測するために使用される。結果として生じる光学サブシステム設計は、
図93のステップ3064に誘導される。
【0273】
図95は、所与の加工マスタの製造をモデル化するためのステップ3072(
図94)のさらなる詳細を示す工程図である。ステップ3081では、所与の加工マスタの製造可能性が評価される。決定3082では、加工マスタの製造が、現在のアレイ光学系設計によって実行可能であるかどうかが判断される。決定3082の回答が「はい」、すなわち、加工マスタが製造可能である場合、製造機械用の設計および現在のプロセスパラメータ入力のためのツール経路および付随する数値制御部プログラムが、ステップ3084において生成される。また、修正されたアレイ光学系設計は、加工マスタの製造プロセスに固有の変更および/または誤差を考慮して、ステップ3085において生成されてもよい。決定3082の結果が「いいえ」、すなわち、構築された設計制約またはプロセスパラメータの制限を考慮して、現在のアレイ光学系設計を使用する加工マスタが製造不可能である場合、ステップ3083において、ステップ3081において判断された制限を詳述するレポートが生成される。例えば、レポートは、プロセスパラメータ(例えば、機械構成およびツール)または光学サブシステム設計自体に対し修正が必要であるかどうかを示してもよい。そのようなレポートは、ユーザによって確認されてもよく、あるいはレポートを評価するように構成されるソフトウェアまたは機械に出力されてもよい。
【0274】
図96は、所与の加工マスタの製造可能性を評価するステップ3081(
図95)のさらなる詳細を示す工程図である。
図96に示されるように、ステップ3091では、アレイ光学系設計は、解析式または補間式として定義される。ステップ3092では、一次および二次導関数とローカル曲率半径とが、アレイ光学系設計のために計算される。ステップ3093では、最大勾配および勾配範囲が、アレイ光学系設計のために計算される。光学系を機械加工するために必要とされるツールおよびツール経路パラメータは、ステップ3094および3095において分析され、それぞれ、以下に詳述される。
【0275】
図97は、ツールパラメータを分析するためのステップ3094(
図96)のさらなる詳細を示す工程図である。例示的なツールパラメータは、ツール先端半径、ツール逃げ角、およびツール間隔を含む。ツールの使用のためのツールパラメータが実行可能または許容可能であるか否かの分析は、例えば、ツール先端半径が表面の加工に必要な最小ローカル曲率半径未満であるか、ツールウィンドウが充足されているか、およびツール主要部および側方間隔が充足されているかの判断を含んでもよい。
【0276】
図97に示されるように、決定3101では、特定のツールパラメータが、所与の加工マスタの製造の際の使用のために許容可能でないと判断される場合、異なるツールを使用することによって(決定3102)、ツール回転および/または傾斜等のツール位置または配向を変更することによって(決定3103)、意図された機能が行われ得るかどうか、あるいは製造プロセスにおける異常が許容され得るほど、表面劣化形成が許容できるかどうかを判断するために付加的評価が行われる(決定3104)。例えば、ダイヤモンド旋削では、動径座標において、ツールのツール先端半径が、表面設計の最小曲率半径よりも大きい場合、アレイ光学系設計の特徴は、そのツールによって忠実に加工されることはなく、余剰材料が、残留および/または除去され得る。決定3101、3102、3103、および3104のいずれも、対象ツールのツールパラメータが許容可能ではないことを示す場合、ステップ3105において、それらの前の決定において判断された関連する制限を詳述するレポートが生成されてもよい。
【0277】
図98は、ツール経路パラメータを分析するためのステップ3095のさらなる詳細を示す工程図である。
図98に示されるように、アレイ光学系設計において必要な特徴を形成する所与のツール経路のための十分な角度サンプリングが存在するかどうか、決定3111において判断される。決定3111は、例えば、周波数分析を伴ってもよい。決定3111の結果が「はい」、すなわち、角度サンプリングが十分である場合、決定3112において、予測される光学表面粗度が、所定の許容値未満であるかどうかが判断される。決定3112の結果が「はい」、すなわち、表面粗度が充足する場合、ツール経路パラメータに対する二次導関数の分析が、ステップ3113において行われる。決定3114では、加工機械加速制限が、加工マスタ製造プロセスの際に実行され得るかどうかが判断される。
【0278】
図98を継続して参照すると、決定3111の結果が「いいえ」、すなわち、ツール経路が十分な角度サンプリングを有していない場合、決定3115において、不十分な角度サンプリングによるアレイ光学系設計の劣化が、許容可能であるかどうか判断される。決定3115の結果が「はい」、すなわち、アレイ光学系設計の劣化が許容される場合、プロセスは前述の決定3112へ進む。決定3115の結果が「いいえ」、すなわち、アレイ光学系設計の劣化が許容されない場合、ステップ3116において、現在のツール経路パラメータの関連する制限を詳述するレポートが生成されてもよい。あるいは、角度サンプリングが、アレイ光学系設計の劣化を低減するように調節され得るかどうか判断するための追従決定が行われてもよく、追従決定の結果が「はい」である場合、角度サンプリングにおけるそのような調節が行われてもよい。
【0279】
依然として
図98を参照すると、決定3112の結果が「いいえ」、すなわち、表面粗度が所定の許容値よりも大きい場合、決定3117は、プロセスパラメータ(例えば、製造機械の横送り間隔)が、表面粗度を低減するために十分に調節され得るかどうかを判断する。決定3117の結果が「はい」、すなわち、プロセスパラメータが調節され得る場合、プロセスパラメータに対する調節が、ステップ3118において行われる。決定3117の結果が「いいえ」、すなわち、プロセスパラメータが調節され得ない場合、プロセスは、レポート生成ステップ3116に進んでもよい。
【0280】
さらに
図98を参照すると、決定3114の結果が「いいえ」、すなわち、機械加速制限が加工プロセスの際に実行され得る場合、決定3119は、許容制限を超えて加工マスタを劣化させずに、ツール経路の加速が低減され得るかどうか判断する。決定3119の結果が「はい」、すなわち、ツール経路加速が低減され得る場合、ツール経路パラメータは、許容制限内であるとみなされ、プロセスは、
図95の決定3082へ進む。決定3119の結果が「いいえ」、すなわち、加工マスタを劣化させずにツール経路加速が低減され得ない場合、プロセスはレポート生成ステップ3116へ進む。
【0281】
図99は、材料内の所望の表面を切削するツール先端(例えば、ダイヤモンドツール用)またはツール表面(例えば、研磨機用)となるツール補償表面に沿った、所与のツールの実際の位置決めパスである、ツール経路を生成するためのステップ3084(
図95)のさらなる詳細を示す工程図である。
図99に示されるように、ステップ3121では、表面法線が、ツール交点において計算される。ステップ3122では、位置オフセットが計算される。次いで、ツール補償表面解析式または補間式が、ステップ3123において再定義され、ステップ3124において、ツール経路ラスタが画定される。ステップ3125では、ツール補償表面が、ラスタ点においてサンプリングされる。ステップ3126では、プロセスがステップ3085(
図95)に継続するのに伴って、数値制御部プログラムが出力される。
【0282】
図100は、アレイ光学系設計を実装する加工マスタを製造するための例示的プロセス3013Aを示す工程図である。
図100に示されるように、最初に、ステップ3131では、加工マスタを製造するための機械が構成される。構成ステップの詳細は、以下、適切な時点においてさらに詳述される。ステップ3132では、数値制御部プログラム(例えば、
図99のステップ3126から)が、機械にロードされる。次いで、ステップ3133において、加工マスタが製造される。随意のステップとして、ステップ3134において、計測を加工マスタ上で行ってもよい。ステップ3131〜3133は、全ての所望の加工マスタが製造されるまで繰り返される(ステップ3135毎)。
【0283】
図101は、加工マスタの製造プロセスに固有の変更および/または誤差を考慮して、修正された光学素子設計を生成するためのステップ3085(
図95)の詳細を示す工程図である。
図101に示されるように、ステップ3141では、光学素子上の標本点((r、θ)、ここで、rは、加工マスタの中心に対する半径、θは、標本点を交差する基準点からの角度である)が選択される。次いで、ステップ3142において、各方向における有界対のラスタ点が求められる。ステップ3143では、方位角方向における補間が行われ、θに対する補正値が求められる。次いで、ステップ3144において、rの補正値が、θおよび定義ラスタ対から求められる。次いで、ステップ3145において、所与r、θおよびツール形状を考慮して、適切なZ値が計算される。次いで、ステップ3141から3145まで、サンプリングされる光学素子に関連する全点に対し行われ(ステップ3146)、加工後の光学素子設計の図面を生成する。
【0284】
図102は、撮像システム構成要素を加工するためのステップ3013Bのさらなる詳細を示す工程図である。具体的には、
図102は、アレイ光学素子を共通基盤上に複製する詳細を示す。
図102に示されるように、最初に、ステップ3151では、共通基盤が、その上にアレイ光学素子を支持するために調製される。ステップ3152において、アレイ光学素子を形成するために使用される加工マスタが調製される(例えば、上述および
図95〜101に示されるプロセスを使用して)。ステップ3153において、透明ポリマー等の好適な材料が、そこに適用される一方、加工マスタが共通基盤と係合される。次いで、好適な材料は、ステップ3154において硬化させられ、共通基盤上に光学素子のアレイのうちの1つを形成する。次いで、ステップ3152〜3154は、層状光学系のアレイが完成するまで、繰り返される(ステップ3155毎)。
【0285】
図103は、加工マスタを使用して、複製プロセスをモデル化するためのステップ3074(
図94)の付加的詳細を示す工程図である。
図103に示されるように、複製プロセス実現可能性は、ステップ3151において評価される。決定3152では、複製プロセスが実行可能であるか否かが判断される。決定3152の結果が「はい」、すなわち、加工マスタを使用する複製プロセスが実行可能である場合、修正された光学サブシステム設計が、ステップ3153において生成される。あるいは、決定3152の結果が「いいえ」、すなわち、複製プロセスが実行可能ではない場合、ステップ3154において、レポートが生成される。
図103の工程図によって定義されるプロセスと類似方法で、測定実現可能性を評価するためのプロセスが実行されてもよく、ステップ3151は、計測実現可能性の適切な評価と置き換えられる。測定実現可能性は、例えば、加工される光学素子の曲率およびそれらの曲率を特徴付ける干渉計等の機械の能力の判断または分析を含んでもよい。
【0286】
図104は、複製プロセス実現可能性を評価するためのステップ3151および3152の付加的詳細を示す工程図である。
図104に示されるように、決定3161では、光学素子を複製するために意図された材料が、撮像システムに好適であるかどうかを判断する。所与の材料の好適性は、例えば、粘度、屈折率、硬化時間、粘着および放出特性、着目波長における所与の材料の散乱、収縮、および透光性、処理および硬化の容易性、撮像システム内で使用される他の材料との適合性、結果として生じる光学素子の堅牢性等、材料特性に関して評価されてもよい。別の実施例は、ガラス転移温度と、それが複製プロセス温度と光学サブシステム設計の動作および保存温度を好適に上回るかどうかの評価である。紫外線硬化ポリマーが、例えば、ほぼ室温の転移温度を有する場合、この材料は、検出器はんだ付け加工ステップの一部として、100℃の温度に曝され得る、層状光学素子設計において使用するために実行可能ではない可能性がある。
【0287】
決定3161の結果が「はい」、すなわち、材料が、それとともに光学素子の複製に好適である場合、プロセスは、決定3162へ進み、ここで、アレイ光学系設計が、ステップ3161において選択された材料と適合するかどうか判断される。アレイ光学系設計の適合性の判断は、例えば、硬化手順、具体的には、共通基盤アレイ光学系のいずれの側面から硬化されるかの検査を含んでもよい。アレイ光学系が、先に形成された光学系から硬化される場合、硬化時間は、大幅に増大し、先に形成された光学系の劣化または変形が生じ得る。この効果は、少ない層や、過度の硬化および温度上昇に対し鈍感な材料を有する一部の設計において許容可能である場合があるが、多くの層および温度敏感材料を有する設計においては、許容不可能であり得る。決定3161または3162のいずれかが、意図された複製プロセスが許容制限外であることを示す場合、ステップ3163においてレポートが生成される。
【0288】
図105は、修正光学系設計を生成するためのステップ3153(
図103)の付加的詳細を示す工程図である。
図105に示されるように、ステップ3171では、収縮モデルが、加工される光学系に適用される。収縮は、複製光学素子の表面形状を変更し、それによって、光学サブシステム内に存在する潜在的収差に影響を及ぼし得る。これらの収差は、組み立てられたアレイ撮像システムの性能にネガティブ効果(例えば、デフォーカス)を導入し得る。次に、ステップ3172では、共通基盤に対するX、YおよびZ軸の不整合が考慮される。次いで、ステップ3173において、中間劣化および形状整合性が考慮される。次に、ステップ3174では、粘着力による変形がモデル化される。最後に、ステップ3175において、ポリマーバッチの不一致がモデル化され、ステップ3176において、修正光学系設計を生成する。本パラグラフで論じられたパラメータはすべて、アレイ撮像システムが設計よりも劣る性能を発揮し得る主要な複製問題である。これらのパラメータが最小化され、および/または光学サブシステムの設計に考慮されるほど、光学サブシステムは、その仕様に近い性能を発揮する。
【0289】
図106は、検出器を光学系上に印刷または転写する能力に基づいて、アレイ撮像システムを加工するための例示的プロセス3200を示す工程図である。
図106に示されるように、最初に、ステップ3201では、加工マスタが製造される。次に、ステップ3202において、アレイ光学系が、加工マスタを使用して共通基盤上に形成される。ステップ3203では、検出器のアレイが、アレイ光学系上に印刷または転写される(検出器印刷プロセスの詳細は、本開示の適切な時点において後述される)。最後に、ステップ3204では、アレイが、複数の撮像システムに分離されてもよい。
【0290】
図107は、撮像システム処理連鎖を示す。システム3500は、検出器3520と協働し、電子データ3525を形成する。検出器3520は、埋設光学素子と、サブ波長特徴とを含んでもよい。特に、検出器3520からの電子データ3525は、一連の処理ブロック3522、3524、3530、3540、3552、3554、および3560によって処理され、処理済み画像3570を生成する。処理ブロック3522、3524、3530、3540、3552、3554、および3560は、例えば、本明細書に記載の機能を実施する電子論理装置によって実装され得る画像処理の機能を表す。そのようなブロックは、例えば、ソフトウェア命令を実行する1つ以上のデジタル信号プロセッサによって実装されてもよい。あるいは、そのようなブロックは、個別の論理回路、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、ゲートアレイ、視野・プログラマブル・ゲート・アレイ(「FPGA」)、コンピュータメモリ、それらの一部または組み合わせを含んでもよい。
【0291】
処理ブロック3522および3524は、ノイズ低減のために、電子データ3525を前処理するように動作する。特に、固定パターンノイズ(「FPN」)ブロック3522は、検出器3520の固定パターンノイズ(例えば、ピクセルゲインおよびバイアス、応答における非線形性)を補正する。プレフィルタ3524は、電子データ3525からのノイズをさらに低減および/または後続処理ブロックのために電子データ3525を調製する。色変換ブロック3530は、色成分(電子データ3525から)を新しい色空間に変換する。色成分のそのような変換は、例えば、赤−緑−青(「RGB」)色空間の個々の赤(R)、緑(G)、および青(B)チャネルから輝度−色度(「YUV」)色空間の対応するチャネルであってもよい。任意に、シアン−マゼンタ−黄(「CMY」)等の他の色空間もまた、利用してもよい。ボケおよびフィルタリングブロック3540は、新しい色空間チャネルのうちの1つ以上をフィルタリングすることによって、新しい色空間画像からボケを除去する。ブロック3552および3554は、例えば、再び、ノイズを低減するために、ブロック3540からのデータを後処理するように動作する。特に、単一チャネル(「SC」)ブロック3552は、ブロック3540内のデジタルフィルタリングの知識を使用して、電子データの各単一チャネル内のノイズをフィルタリングする。複数チャネル(「MC」)ブロック3554は、ボケおよびフィルタリングブロック3540内のデジタルフィルタリングの知識を利用して、データの複数チャネルからのノイズをフィルタリングする。処理済み電子データ3570に先立って、別の色変換ブロック3560が、例えば、色空間画像成分をRGB色成分に戻してもよい。
【0292】
図108は、色処理を伴う撮像システム3600を図式的に示す。撮像システム3600は、カラーフィルタアレイ3602を含む、検出器3605に形成される撮影された電子データ3625から、処理済み3色画像3660を生成する。カラーフィルタアレイ3602および検出器3605は、埋設光学素子と、サブ波長特徴とを含んでもよい。システム3600は、位相修正素子を含み、光学系3601を通して伝送される電磁エネルギの波面の位相を符号化し、検出器3605において撮影された電子データ3625を生成し得る、光学系3601を採用する。撮影された電子データ3625によって表される画像は、光学系3601内の位相修正素子によってもたらされる位相修正を含む。光学系3601は、1つ以上の層状光学素子を含んでもよい。検出器3605は、ノイズ低減処理(「NRP」)および色空間変換ブロック3620によって処理される、撮影された電子データ3625を生成する。NRP機能は、例えば、検出器非線形性および付加ノイズを除去する一方、色空間変換機能は、合成画像間の空間相関を除去し、ボケ除去処理(ブロック3642および3644において後で行われる)に必要な論理および/またはメモリのリソースの量を低減する。NRPおよび色空間変換ブロック3620からの出力は、1)空間チャネル3632、および2)1つ以上の色チャネル3634の2つのチャネルに分割された電子データの形態である。チャネル3632および3634は、本明細書では、電子データの「データセット」と称される場合がある。空間チャネル3632は、色チャネル3634よりも空間詳細を有する。故に、空間チャネル3632は、ボケ除去ブロック3642内のボケ除去の大部分を必要としてもよい。色チャネル3634は、実質的に、ボケ除去ブロック3644内のボケ除去処理をほとんど必要としない場合がある。ボケ除去ブロック3642および3644による処理後、チャネル3632および3634は、NRPおよび色空間変換ブロック3650内の処理のために、再び結合される。NRPおよび色空間変換ブロック3650は、さらに、ボケ除去によって倍加された画像ノイズを除去し、結合された画像をRGB形式に戻し、処理済み3色画像3660を形成する。上述のように、処理ブロック3620、3632、3634、3642、3644、および3650は、ソフトウェア命令を実行する1つ以上のデジタル信号プロセッサ、および/または個別の論理回路、ASIC、ゲートアレイ、FPGA、コンピュータメモリ、およびそれらの一部または組み合わせを含んでもよい。
【0293】
図109は、‘371特許において開示される波面符号化等の所定の位相修正を利用する、拡張型被写界深度撮像システムを示す。撮像システム4010は、位相修正素子4014および光学素子4016を通して、検出器4018上に撮像される物体4012を含む。位相修正素子4014は、物体4012からの電磁エネルギ4020の波面を符号化し、検出器4018において、結果として生じる画像に所定の撮像効果を導入するように構成される。この撮像効果は、そのような位相修正素子を伴わない従来の撮像システムと比較して、ミスフォーカス関連収差が低減されおよび/または撮像システムの被写界深度が拡張されるように、位相修正素子4014によって制御される。位相修正素子4014は、例えば、位相修正素子表面の平面上の空間変数xおよびyの分離可能三次関数である位相変調を導入するように構成されてもよい(‘371特許において論じられるように)。
【0294】
本明細書において使用されるように、不均質または多重屈折光学素子は、その3次元体積内でカスタマイズ可能な特性を有する光学素子として理解される。不均質光学素子は、例えば、その体積全体で屈折率または吸収率の不均一プロファイルを有してもよい。あるいは、不均質光学素子は、不均一な屈折率または吸収率を有する1つ以上の塗布または埋込層を含む光学素子であってもよい。不均一屈折率プロファイルの実施例は、グレーディッドインデックス型(GRIN)レンズ、またはLightPathTechnologiesから市販のGRADIUM(登録商標)材料を含む。不均一な屈折率および/または吸収率を有する層の実施例は、例えば、フォトリソグラフィ、スタンピング、エッチング、蒸着、イオン注入、エピタキシ、または拡散を利用して、選択的に変更される塗布膜または表面を含む。
【0295】
図110は、不均質位相修正素子4104を含む撮像システム4100を示す。撮像システム4100は、位相修正素子4014(
図109)に替わって、位相修正素子4104が所定の位相変調を提供することを除き、撮像システム4014(
図109)に類似する。位相修正素子4104は、例えば、物体4012からの電磁エネルギ4020の所定の位相修正に作用するための内部屈折率プロファイル4108を含む、GRINレンズであってもよい。内部屈折率プロファイル4108は、例えば、そこを通って伝送される電磁エネルギの位相を修正し、撮像システム内のミスフォーカス関連収差を低減するように設計される。位相修正素子4104は、例えば、層状回折素子、体積ホログラム、またはマルチ開口素子等の回折構造であってもよい。また、位相修正素子4104は、空間的にランダムまたは可変屈折率プロファイルを有する3次元構造であってもよい。
図110に示される原理は、コンパクトかつ堅牢なパッケージ内への光学設計の実装を促進し得る。
【0296】
図111は、不均質位相修正素子4114の微細構造構成の実施例を示す。ここに示される微細構造構成は、
図3および6に示される構成に類似することを理解されるであろう。図示されるように、位相修正素子4114は、複数の層4118A−4118Kを含む。層4118A−4118Kは、例えば、位相修正素子4114は、異なる屈折率(したがって、位相関数)を示す材料の層であってもよく、この層は、全体として、結果として生じる画像内に所定の撮像効果を導入するように構成される。層4118A−4118Kは、それぞれ、固定屈折率または吸収率を示してもよく(例えば、薄膜のカスケードの場合)、あるいは、さらに各層の屈折率または吸収率は、例えば、リソグラフィパターニング、スタンピング、斜方蒸着、イオン注入、エッチング、エピタキシ、または拡散によって、層内に空間的に不均一であってもよい。層4118A−4118Kの組み合わせは、例えば、そこを通って伝送される電磁エネルギに所定の位相修正を実装するために、コンピュータ駆動のモデルソフトウェアを使用して構成されてもよい。そのようなモデル化ソフトウェアは、
図88〜106を参照して詳述された。
【0297】
図112は、不均質位相修正素子を実装するカメラ4120を示す。カメラ4120は、その上に一体化される屈折率プロファイルを含む、前面4128を有する不均質位相修正素子4124を含む。
図112では、前面4128は、収差を制御するおよび/またはミスフォーカス関連収差に対する撮影された画像の感度を低減するための位相修正表面を含むように示される。あるいは、前面は光強度を提供するように成形されてもよい。不均質位相修正素子4124は、複数の検出器ピクセル4132を含む検出器4130に付設される。カメラ4120では、不均質位相修正素子4124は、接合層4136によって、検出器4130上に直接搭載される。検出器4130において撮影された画像情報は、画像情報上で後処理を実施するデジタル信号プロセッサ(DSP)4138に送信されてもよい。DSP4138は、例えば、検出器4130において撮影された画像の位相修正によって生成される撮像効果をデジタル的に除去することにより、ミスフォーカス関連収差が低減された画像4140を生成してもよい。
【0298】
図112に示される例示的な不均質位相修正素子構成は、不均質位相修正素子4124が、例えば、一定範囲の入射角にわたる入力電磁エネルギを検出器4130上へ誘導する一方、検出器4130に直接付設され得る少なくとも1つの平坦な表面を有するように設計されるため、特に有利である場合がある。このように、不均質位相修正素子のための付加的取り付け金具が不必要となる一方、不均質位相修正素子が、検出器ピクセル4132に対し容易に整合され得る。例えば、直径約1ミリメートルおよび長さ約5ミリメートルのサイズの不均質位相修正素子4124を含むカメラ4120は、既存のカメラ構成と比較して、非常にコンパクトかつ堅牢(光学素子等のための取り付け金具の欠如のため)であってもよい。
【0299】
図113〜117は、本明細書に記載のような不均質位相修正素子のための可能な加工方法を示す。光ファイバまたはGRINレンズの加工と類似の方法において、
図113の束4150は、異なる屈折率を有する複数のロッド4152A−4152Gを含む。ロッド4152A−4152Gのそれぞれに対する屈折率の個々の値は、横断面において非球面位相プロファイルを提供するように構成されてもよい。次いで、束4150は、
図114に示されるように、横断面において非球面位相プロファイルを有する複合材料ロッド4150’を生成するように、加熱および引張されてもよい。次いで、
図115に示されるように、複合材料ロッド4150’は、複数のウエハ4155に分離されてもよく、それぞれ、特定のアプリケーションで必要とされる位相変調量に従って判断される各ウエハの厚さを有する横断面において非球面位相プロファイルを含む。非球面位相プロファイルは、特定のアプリケーションに対し所望の所定の位相修正を提供するように調整されてもよく、立方相プロファイル等を含むが、それらに限定されない、種々のプロファイルを含んでもよい。あるいは、構成要素4160(例えば、GRINレンズまたは別の光学構成要素、あるいは入力電磁エネルギを受波するための任意の他の好適な素子)は、
図116に示されるように、接合層4162によって、最初に複合材料ロッド4150’に付設されてもよい。所望の厚さのウエハ4165(所望の位相変調量に従って)は、
図117に示されるように、続いて、複合材料ロッド4150’の残りから分離されてもよい。
【0300】
図118〜130は、従来技術のGRINレンズに対する数値モデル構成および結果を示し、
図131〜143は、本開示によって設計される不均質位相修正素子に対する数値モデル構成および結果を示す。
【0301】
図118は、従来技術のGRINレンズ構成4800を示す。構成4800を特徴付けるスルーフォーカスPSFおよびMTFは、
図119〜130に示される。構成4800では、GRINレンズ4802は、物体4804を撮像するために、光軸4803からの半径rの関数として変化する屈折率を有する。物体4804からの電磁エネルギは、前面4810を通って伝送し、GRINレンズ4802の裏面4812で焦点を結ぶ。また、XYZ座標系は、
図118に参照として示される。市販の光学設計プログラム上で行われるような数値モデル化の詳細は、以下に詳述される。
【0302】
GRINレンズ4802は、以下の3次元屈折率プロファイルを有し、
【0303】
【数5】
[この文献は図面を表示できません]
かつ、焦点距離=1.76mm、F値=1.77、直径=1.00mm、および長さ=5.00mmを有する。
【0304】
図119〜123は、垂直入射および−50μm〜+50μmの範囲のミスフォーカス(つまり、GRINレンズ4802の最適焦点からの物体距離)の異なる値内の電磁エネルギに対するGRINレンズ4802のPSFを示す。同様に、
図124〜128は、同一範囲のミスフォーカスであるが、5°の入射角度内の電磁エネルギに対するGRINレンズ4802のPSFを示す。表41は、
図119〜128のPSF値、入射角度、および基準数値間の対応を示す。
【0305】
【表41】
[この文献は図面を表示できません]
図119〜128の比較によって分かるように、GRINレンズ4802によって生成されるPSFのサイズおよび形状は、入射角度およびミスフォーカスの異なる値に対し大幅に変化する。その結果、焦点合わせ力(focusing power)のみを有するGRINレンズ4802は、撮像レンズとしての性能の限界を有する。これらの性能の限界は、一定範囲のミスフォーカスおよび
図119〜128に示されるPSFの入射角度に対するMTFを示す
図129においてさらに示される。
図129では、破線の楕円4282は、回折限界系に対応するMTF曲線を示す。破線の楕円4284は、PSF4254および4264に相当するゼロミクロン(すなわち、焦点合わせ)撮像システムに対応するMTF曲線を示す。別の破線の楕円4286は、例えば、PSF4250、4252、4256、4258、4260、4262、4266、および4268に対するMTF曲線を示す。
図129から分かるように、GRINレンズ4802のMTFは、特定の空間周波数においてゼロを呈し、それらの特定の空間周波数における画像情報の回復不能な損失を示す。
図130は、1ミリメートル当たり120サイクルの空間周波数に対し、ミリメートルで表したフォーカスシフトの関数として、GRINレンズ4802のスルーフォーカスMTFを示す。再び、
図130のMTFにおけるゼロは、画像情報の回復不能な損失を示す。
【0306】
特定の不均質位相修正素子の屈折率プロファイルは、2つの多項式および一定指数n
0の和とみなされ得る。
【0307】
【数6】
[この文献は図面を表示できません]
したがって、変数X、Y、Z、およびrは、
図118に示されるように、同一座標系に従って定義される。結果として生じる射出瞳が、ミスフォーカスおよびミスフォーカス関連収差に対し感度が低減される特性を呈するように、rにおける多項式は、GRINレンズの焦点合わせ力を指定するために使用されてもよく、X、Y、およびZにおける3変数多項式は、所定の位相修正を指定するために使用されてもよい。言い換えると、所定の位相修正は、GRINレンズの屈折率プロファイルによって実装されてもよい。したがって、本実施例では、所定の位相修正は、GRIN焦点機能と一体化され、GRINレンズの体積全体に拡張する。
【0308】
図131は、一実施形態における不均質多重屈折光学系4200を示す。物体4204は、多重屈折光学素子4202を介して結像する。垂直入射電磁エネルギ光線4206(位相修正素子4202の前面4210での垂直入射における位相修正素子4202への入射電磁エネルギ光線)および軸外電磁エネルギ光線4208(位相修正素子4202の前面4210の垂線から5°における入射電磁エネルギ光線)は、
図131に示される。垂直入射電磁エネルギ光線4206および軸外電磁エネルギ光線4208は、位相修正素子4202を通って伝送し、それぞれ、地点4220および4222において、位相修正素子4202の裏面4212で焦点を結ぶ。
【0309】
位相修正素子4202は、以下の3次元屈折率プロファイルを有する。
【0310】
【数7】
[この文献は図面を表示できません]
ここで、GRINレンズ4802同様、rは、光軸4203からの半径、X、Y、およびZは、図示される通りである。加えて、GRINレンズ4802同様、位相修正素子4202は、焦点距離=1.76mm、F値=1.77、直径=1.00mm、および長さ=5.00mmを有する。
【0311】
図132〜141は、位相修正素子4202を特徴付けるPSFを示す。
図132〜141に示される位相修正素子4202の数値モデルでは、式(4)におけるXおよびY項によって作用される位相修正は、位相修正素子4202全体に均一に蓄積される。
図132〜136は、垂直入射および−50μm〜+50μmの範囲のミスフォーカスの異なる値(つまり、位相修正素子4202の最適焦点からの物体距離)に対する位相修正素子4202のPSFを示す。同様に、
図137〜141は、同一範囲のミスフォーカスであるが、5°の入射角度内の電磁エネルギに対する位相修正素子4202のPSFを示す。表42は、
図132〜141のPSF値、入射角度、および基準数値間の対応を示す。
【0312】
【表42】
[この文献は図面を表示できません]
図142は、素子4202を特徴付けるMTF曲線のプロット4320を示す。回折限界ケースに対応する所定の位相修正効果は、破線の楕円4322に示される。破線の楕円4326は、
図132〜141に示されるPSFに対応するミスフォーカス値に対するMTFを示す。MTF4326は、形状がすべて類似しているが、プロット4320に示される空間周波数の範囲に対しゼロを示さない。
【0313】
図132〜141の比較から分かるように、位相修正素子4202のためのPSF形は、形状が類似する。加えて、
図142は、ミスフォーカスの異なる値に対するMTFが、概して、ゼロを優に上回ることを示す。
図119〜130に示されるPSFおよびMTFと比較して、
図132〜143のPSFおよびMTFは、位相修正素子4202が、特定の利点を有することを示す。さらに、その3次元位相プロファイルは、位相修正素子4202のMTFを回折限界系のMTFと異なるものにする一方、素子4202のMTFもまた、ミスフォーカス収差および光学系4200自体に固有であり得る収差に対し、相対的に鈍感であることが理解される。
【0314】
図143は、GRINレンズ4802のMTF(
図130)と比較して、プロット4340に示されるフォーカスシフトの範囲にわたってゼロを伴わず、光学系4200の正規化スルーフォーカスMTFの形状がより広範であることをさらに示すプロット4340である。ミスフォーカス収差鈍感度の範囲を定義するために半値全幅(「FWHM」)の指標を利用すると、プロット4340は、光学系4200がミスフォーカス収差鈍感度約5mmの範囲を有することを示し、プロット4290は、GRINレンズ4802がミスフォーカス収差鈍感度わずか約1mmの範囲を有することを示す。
【0315】
図144は、不均質位相修正素子4402を含む不均質多重屈折光学系4400を示す。
図144に示されるように、物体4404は、位相修正素子4402を通して結像する。垂直入射電磁エネルギ光線4406(位相修正素子4402の前面4410での垂直入射における位相修正素子4402への入射電磁エネルギ光線)および軸外電磁エネルギ光線4408(位相修正素子4402の前面4410の垂線から20°における入射電磁エネルギ光線)は、
図144に示される。垂直入射電磁エネルギ光線4406および軸外電磁エネルギ光線4408は、位相修正素子4402を通って伝送し、それぞれ、地点4420および4422において、位相修正素子4402の裏面4412において焦点を結ぶ。
【0316】
位相修正素子4402は、位相修正素子4402の長さに沿った位置の関数として変化する屈折率変動を利用して、所定の位相修正を実装する。位相修正素子4402では、屈折率プロファイルは、位相修正素子4202におけるように、2つの多項式および一定指数n
0の和によって記載されるが、位相修正素子4402では、所定の位相修正に対応する項は、前面4410から裏面4412(例えば、
図144に示されるように、左から右)への経路に沿ってゼロに減少する因数を乗じる。
【0317】
【数8】
[この文献は図面を表示できません]
ここで、rは、式(6)において定義された通りであって、Z
maxは、位相修正素子4402の最大長(例えば、5mm)である。
【0318】
式(5)〜(8)では、rにおける多項式は、位相修正素子4402の焦点合わせ力を指定するために使用され、X、Y、およびZにおける3変数多項式は、所定の位相修正を指定するために使用される。しかしながら、位相修正素子4402では、所定の位相修正効果は、位相修正素子4402の長さにわたって振幅が減少する。その結果、
図144に示されるように、より広範な画角が捕捉される(例えば、
図144に示されるケースでは、垂線から20°離れて)一方、各画角に類似の所定位相修正を付与する。位相修正素子4402に対し、焦点距離=1.61mm、F値=1.08、直径=1.5mm、および長さ=5mmである。
【0319】
図145は、1ミリメートル当たり120サイクルの空間周波数に対し、ミリメートルで表したフォーカスシフトの関数として、GRINレンズ(位相修正素子4402に等しい外部寸法を有する)のスルーフォーカスMTFのプロット4430を示す。
図130におけるように、プロット4430におけるゼロは、画像情報の回復不能な損失を示す。
【0320】
図146は、位相修正素子4402のスルーフォーカスMTFのプロット4470を示す。
図142と
図130との比較と同様に、プロット4470のMTF曲線(
図146)は、プロット4430のMTF曲線よりも低い強度を有するが、より範囲が広い(
図145)。
【0321】
図147は、単一の光学材料内の一定範囲の屈折率を実装するための別の構成を示す。
図147では、位相修正素子4500は、例えば、感光性乳剤、または電磁エネルギと反応する別の光学材料であってもよい。一対の紫外線源4510および4512は、乳剤4502上に電磁エネルギを照射するように構成される。電磁エネルギ源は、これらの発生源から放射する電磁エネルギが乳剤内で干渉し、それによって、乳剤4502内に異なる屈折率の複数のポケットを生成するように構成される。このように、乳剤4502は、全体を通して3次元的に可変する屈折率を含む。
【0322】
図148は、ネガティブ光学素子4570と結合されたGRINレンズ4564のマルチ開口アレイ4560を含む、撮像システム4550を示す。システム4550は、GRINアレイ「魚眼」として、効果的に作用してもよい。各GRINレンズ4564の視野(視野角;FOV)は、ネガティブ光学素子4570によって、若干異なる方向に傾斜されるため、撮像システム4550は、広範かつ複合の視野を含む複眼(例えば、節足動物に一般的であるような)のように機能する。
【0323】
図149は、車両の前方近傍に搭載された撮像システム4602を有する、自動車4600を示す。撮像システム4602は、上述のような不均質位相修正素子を含む。撮像システム4602は、自動車4600が走行している場合に、例えば、別の自動車4610と衝突したときは常に、撮像システム4602が衝突の状況を記録した画像を提供するように、デジタル的に画像を記録するように構成されてもよい。あるいは、自動車4600は、上述のような不均質位相修正素子を含む第2の撮像システム4612を備えてもよい。システム4612は、自動車4600の認定ユーザの指紋または虹彩模様の画像認識を行ってもよく、さらに、自動車4600の施錠に加え、またはその代わりに利用されてもよい。不均質位相修正素子を含む撮像システムは、組み込み構造のコンパクト性および堅牢性と、上述のような、所定の位相修正によって提供される、ミスフォーカスに対する感度低減とによって、そのような自動車アプリケーションにおいて有利である場合がある。
【0324】
図150は、複数のゲーム制御ボタン4652および不均質位相修正素子を含む撮像システム4655を含む、テレビゲーム制御パッド4650を示す。撮像システム4655は、ユーザ認定のためのユーザ認識システム(例えば、指紋または虹彩模様認識を通して)の一部として機能してもよい。また、撮像システム4655は、例えば、画像データを提供することによってユーザの動きを追跡し、入力を提供またはテレビゲーム再生の外観を制御するために、テレビゲーム本体内で利用されてもよい。撮像システム4655は、組み込み構造のコンパクト性および堅牢性と、上述のような、所定の位相修正によって提供されるミスフォーカスに対する感度低減とによって、ゲームアプリケーションにおいて有利である場合がある。
【0325】
図151は、テディベアの目として変装された(すなわち、組み込まれた)撮像システム4672を含む、テディベア4670を示す。代わりに、撮像システム4672は、多重屈折光学素子を含む。上述の撮像システム4612および4655と同様、撮像システム4672は、認定ユーザが撮像システム4672によって認識されると、例えば、撮像システム4672に接続された音声録音システム4674が、カスタマイズされたユーザの挨拶に反応し得るように、ユーザ認識のために構成されてもよい。
【0326】
図152は、携帯電話4690を示す。携帯電話4690は、不均質位相修正素子を含むカメラ4692を含む。上述のアプリケーションにおけるように、コンパクトなサイズ、頑丈な構造、およびミスフォーカスに対する鈍感度は、カメラ4692の有利な属性である。
【0327】
図153は、バーコード4704の画像取り込みのための不均質位相修正素子4702を含む、バーコードリーダ4700を示す。
【0328】
図149〜153に示される実施例では、撮像システムをコンパクトかつ堅牢にするため、撮像システムにおける不均質位相修正素子の使用は有利である。つまり、構成要素のコンパクトなサイズおよびアセンブリの堅牢な性質(例えば、余剰な取り付け金具を伴わずに、平坦表面を平坦表面に固定接合する)は、上述のような、厳しく、強い衝撃を受ける可能性のあるアプリケーションにおける使用に対し、不均質位相修正素子を含む撮像システムを理想的なものとする。さらに、所定の位相修正の組み込みによって、多重屈折光学素子を含むこれらの撮像システムが、現在市販されている他のコンパクト撮像システムと比較して、ミスフォーカス関連の収差の少ない高品質画像を提供することが可能となる。さらに、デジタル信号処理が撮像システム(例えば、
図112参照)に追加される場合、さらなる画像処理が、特定のアプリケーションの要件に応じて行われてもよい。例えば、不均質位相修正素子を含む撮像システムが、携帯電話カメラとして使用される場合、その検出器において撮影された画像上で行われる後処理は、最終画像からミスフォーカス関連の収差を除去し、それによって、表示用の高品質画像を提供してもよい。別の実施例として、撮像システム4602(
図149)では、後処理は、例えば、衝突が生じる前に、潜在的な衝突の危険性を運転手に警告する物体認識を含んでもよい。
【0329】
本開示の汎用多重屈折光学素子は、実際は、
図109におけるような均質光学系および不均質な素子(すなわち、多重屈折)の両方を含むシステム内で使用されてもよい。したがって、非球面位相および/または吸収成分は、同一撮像システム内の表面および体積の集合によって実装されてもよい。非球面表面は、多重屈折光学素子の表面のうちの1つに一体化されてもよく、または均質素子上に形成されてもよい。そのような多重屈折光学素子の集合は、以下に詳述されるように、WALO型に結合されてもよい。
【0330】
WALO構造は、その上に形成される光学素子のアレイを有する、2つ以上の共通基盤(例えば、ガラスプレートまたは半導体ウエハ)を含んでもよい。共通基盤は、現在開示されている方法に従って、光軸に沿って、整合および組み立てられ、ウエハスケールアレイまたは撮像システムのまま残される、あるいは、別様に、複数の撮像システムに分離され得る、短トラック長の撮像システムを形成する。
【0331】
開示される手段は、有利なことに、チップスケールパッケージング(CSP)プロセスで利用されるアレイ撮像システム加工技術およびリフロー温度と適合する。特に、本明細書に記載されるアレイ撮像システムの光学素子は、CSP処理における温度および機械的変形の可能性(例えば、200℃を優に超える温度)に耐え得る材料から加工される。アレイ撮像システムの製造において使用される共通基盤材料は、光学素子のアレイを支持可能な幅寸法を有する平坦(または、ほぼ平坦)な薄円板に研磨または成形されてもよい。そのような材料は、特定のソリッドステート光学材料(例えば、ガラス、シリコン等)、温度安定ポリマー、セラミックポリマー(例えば、ゾルゲル)、および高温プラスチックを含む。これらの材料はそれぞれ、個々に高温に対して耐性を有し得る一方、開示されるアレイ撮像システムもまた、CSPリフロープロセスの際、材料間の熱膨張における変形に耐性を有し得る。例えば、膨張効果は、表面間の界面を接合する際に、低弾性粘着剤を使用することによって回避されてもよい。
【0332】
図156および157は、撮像システムのアレイ5100と、個々の撮像システム5101を形成するためのアレイ5100のダイシングを示す。アレイ撮像システムおよびそのダイシングは、
図3においても示されたが、アレイ5100とアレイ60との類似性は明白となるだろう。ダイシングされた撮像システム5101に関連して後述されるが、撮像システム5101の一部または全部の素子が、アレイ5100に示されるようなアレイ素子として形成されてもよいことを理解されたい。
図157に示されるように、その上に形成される2つの平凸光学素子(すなわち、それぞれ、光学素子5106および5108)を有する、共通基盤5102および5104は、屈折率整合エポキシ等の接合材料5110によって背面接合される。電磁エネルギを遮断するための開口5112は、光学素子5106の周囲の領域にパターン化される。スペーサ5114は、共通基盤5104と5116との間に搭載され、第3の光学素子5118は、共通基盤5116上に含まれる。本実施例では、共通基盤5116の平坦表面5120は、検出器5124のカバープレート5122に接合するために使用される。この配列は、検出器5124と撮像システム5101の光学系との間の接合表面積、および撮像システム5101の構造的完全性が、平面−平面配向によって増加される点において有利である。本実施例で実証される別の特徴は、ネガティブ光学曲率(例えば、光学素子5118)を有する少なくとも1つの表面を使用し、例えば、像平面における像面湾曲の補正を可能にすることである。カバープレート5122は、任意であって、アセンブリプロセスに応じて使用されなくてもよい。したがって、共通基盤5116は、光学素子5118のための支持と、検出器5124のためのカバープレートとして同時に機能してもよい。光学系−検出器界面5123は、検出器5124とカバープレート5122との間に画定されてもよい。
【0333】
撮像システム5101の例示的分析は、
図158〜162に示される。
図158〜162に示される分析は、3.6μmピクセルサイズを有する400×400ピクセル解像度の検出器5124を仮定する。この分析で使用されるすべての共通基盤厚は、標準的8インチAF45Schottガラスのリストから選択された。共通基盤5102および5104は、厚さ0.4mmと仮定され、共通基盤5116は、厚さ0.7mmと仮定された。市販の共通基盤の使用は、撮像システム5101のための製造コスト、供給リスク、および開発サイクル時間を低減し得るため、これらの厚さの選択は重要である。スペーサ5114は、各光学素子開口にパターン化された貫通孔を有する、標準的な0.400mmのガラス部品と仮定された。所望に応じて、薄膜フィルタが、近赤外線電磁エネルギを遮断するために、光学素子5106、5108、および5118のうちの1つ以上、または共通基盤5102、5104、および5116のうちの1つ以上に追加されてもよい。あるいは、赤外線遮断フィルタが、前面カバープレートまたは検出器カバープレート等の異なる共通基盤上に配置されてもよい。光学素子5106、5108、および5118は、均一非球面係数によって記述されてもよく、各光学素子の規定は、表43に求められる。本実施例では、各光学素子は、屈折率n
d=1.481053およびアッベ数(V
d)=60.131160を有する光学的透明ポリマーを仮定してモデル化された。
【0334】
【表43】
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図157〜158に示され、表43に特定されるように、例示的設計は、表44に求められる意図された最小仕様のすべてに一致する。
【0335】
【表44】
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表44からの撮像システム5101に対する重要な制約は、広範な全視野(FFOV>70°)、短い光学トラック長(TOTR<2.5mm)、および最大主光線角度制約(全像高でのCRA<30°)である。短い光学トラック長、低い主光線角度制約、および撮像システム5101が相対的に少数の光学表面を有するため、撮像システム5101の撮像特性は、大いに場依存性を有する。つまり、撮像システム5101は、画像のコーナーよりも中心において、より優れた画像を撮像する。
【0336】
図158は、撮像システム5101の光線追跡図である。光線追跡図は、共通基盤5116の平坦側面に搭載された3つの群の撮像システムを通って、カバープレート5122および検出器5124への電磁エネルギ光線の伝搬を示す。WALO構造に関連して本明細書で使用されるように、「群」とは、その上に搭載される少なくとも1つの光学素子を有する共通基盤を示す。
【0337】
図159は、軸上から全視野までの範囲の複数の視野ポイントにおける、1/2Nyquist(Bayerパターン検出器の検出器カットオフである)に対する空間周波数の関数として、撮像システム5101のMTFを示す。曲線5140は、軸上視野ポイントに対応し、曲線5142は、サジタル方向全視野ポイントに対応する。
図159から分かるように、撮像システム5101は、全視野よりも軸上において優れた性能を発揮する。
【0338】
図160は、1ミリメートル当たり70線対(line−pair)(lp/mm)、すなわち、3.6ミクロンのピクセルサイズに対する1/2Nyquist周波数の像高の関数として、撮像システム5101のMTFを示す。既存の収差のため、この空間周波数におけるMTFは、画像視野全体で6倍以上劣化することが、
図160から分かるであろう。
【0339】
図161は、いくつかの視野位置に対するスルーフォーカスMTFを示す。光学素子の複数アレイ(各アレイは、厚さ変動を伴う共通基盤上に形成され、数千の光学素子を含む可能性がある)は、組み立てられ、アレイ撮像システムを形成してもよい。このアセンブリの複雑性およびその中における変動は、ウエハスケール撮像システムにとって重要とされ、全体設計のMTFが、可能な限りデフォーカスに対し鈍感となるよう最適化される。
図162は、正規化視野高の関数として、CRAの線形性を示す。撮像システム内のCRAの線形性は、検出器レイアウトに対し補償され得る光学系−検出器界面における決定性の照明ロールオフを可能にするため、好ましい特性である。
【0340】
図163は、撮像システム5200の別の実施形態を示す。撮像システム5200の構成は、単一の共通基盤5204上にパターン化された両面光学素子5202を含む。そのような構成は、システム内の共通基盤の数が1つに減少されるため、
図157に示される構成と比較し、コストを削減し、接合の必要性を低減する。
【0341】
図164は、ウエハスケール撮像システム5300のための4つの光学素子設計を示す。本実施例では、電磁エネルギを遮断するための開口マスク5312が、撮像システムの最外面(すなわち、検出器5324から最も遠い)上に配置される。
図164に示される実施例の重要な特徴の1つは、2つの凹状光学素子(すなわち、光学素子5308および光学素子5318)が、互いに対向して配向されることである。この構成は、二重Gauss設計のウエハスケールの変形を具現化し、最小像面湾曲を有する広い視野を可能にする。
図164における実施形態の修正バージョンは、
図165に示される。
図165に示される実施形態は、凹状光学素子5408および5418が、スタンドオフ特徴を介して接合され、スペーサ5314の使用の必要性を排除するという付加的利点を提供する。
【0342】
図164および165における設計の付加的特徴は、第3および/または第4の光学素子表面(例えば、
図166の光学素子5418(2)または5430(2))の一部としての主光線角度補正器(CRAC)の使用である。CRACの使用は、短い総トラックを有する撮像システムを、許容主光線角度に制限を有し得る検出器(例えば、5324、5424)とともに使用することを可能にする。CRAC実装の特定の実施例は、
図166に示される。CRAC素子は、主光線が検出器の開口数と調和する視野の中央近傍では、ほとんど光強度を有さないように設計される。CRAが検出器の許容CRAに近接または超越する視野のエッジでは、CRACの表面勾配が増加し、光線を歪曲させ、検出器の許容円錐へ戻す。CRAC素子は、光学素子周辺の球面からの大偏差(高高次非球面多項式に反映)と相まって、大曲率半径(すなわち、光軸近傍では低光強度)によって特徴付けられ得る。そのような設計は、視野依存性感度ロールオフを最小限にし得るが、結果として生じる画像の周囲近傍に大幅な歪を追加し得る。その結果、そのようなCRACは、光学的に結合されることが意図された検出器と一致するように調整されなければならない。加えて、検出器のCRAは、撮像システムのCRACと協働するように結合して設計され得る。撮像システム5300では、光学系−検出器界面5323は、検出器5324とカバープレート5322との間に画定されてもよい。同様に、撮像システム5400に対し、光学系−検出器界面5423は、検出器5424とカバープレート5422との間に画定されてもよい。
【0343】
【表45】
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図167〜171は、
図166に示される例示的撮像システム5400(2)の分析を示す。本実施例で使用される4つの光学素子表面は、表45で求められる均一非球面多項式によって記述されてもよく、屈折率n
d=1.481053およびアッベ数(V
d)=60.131160を有する光学ポリマーを使用して設計されるが、他の材料が、光学設計に対し得られたわずかな変更と容易に置換され得る。全共通基盤に対し使用されるガラスは、標準的な8インチAF45Schottガラスであると仮定される。空隙におけるエッジ間隔(スペーサまたはスタンドオフ特徴によって提供される共通基盤間の間隔)は、本設計の光学素子5408と5418(2)との間では、175μmであって、光学素子5430(2)とカバープレート5422との間では、100μmである。必要に応じて、近赤外線電磁エネルギを遮断するための薄膜フィルタは、光学素子5406、5408、5418(2)、および5430(2)のうちのいずれか、または、例えば、前面カバープレート上に追加されてもよい。
【0344】
図166は、1.6mmの対角線画像視野を有するVGA解像度検出器を使用する、撮像システム5400(2)の光線追跡図を示す。
図167は、2.0μmピクセルを有する検出器に対し最大1/2Nyquist周波数(125lp/mm)の空間周波数の関数として、撮像システム5400(2)のOTFの率のプロット5450を示す。
図168は、像高の関数として、撮像システム5400(2)のMTF5452を示す。MTF5452は、画像視野を通して平均的にほぼ均一となるよう最適化されている。設計のこの特徴によって、画像は、画質を劇的に変化させずに、視野内の任意の場所から「ウィンドウ表示」またはサブサンプリング可能となる。
図169は、ウエハスケール製造公差のため、予測フォーカスシフトと比較して大きい、撮像システム5400(2)に対するスルーフォーカスMTF分布5454を示す。
図170は、CRACを実証するために、両方とも正規化視野の関数として、CRAの勾配(点線5457(1)によって示される)と、主光線角度(実線5457(2)によって示される)のプロット5456を示す。CRAが25°を超え始める像高の約60%まで、CRAはほぼ線形であることが、
図170から分かるだろう。CRAは、最大28°まで上昇し、次いで、全像高において25°を下回る。CRAの勾配は、必要とされる小型レンズと、各検出器の感光領域に対する金属相互接続位置シフトとに関連する。
【0345】
図171は、CRACの実装による、設計に固有の光学歪のグリッドプロット5458を示す。交点は、最適焦点を表し、Xは、グリッドによって追跡された個々の視野に対する予測実焦点を示す。本設計の歪は、標的光学仕様に一致することに留意されたい。しかしながら、歪は、ウエハスケール一体化プロセスによって低減され得、検出器5424のレイアウト内の光学設計の補償を可能にする(例えば、活性光検出領域をシフトすることによって)。設計は、検出器5424内のピクセル/マイクロレンズ/カラーフィルタアレイの空間および角度形状を調節し、光学設計の意図された歪およびCRAプロファイルに一致させることによって、さらに改良されてもよい。撮像システム5400(2)の光学性能仕様は、表46において求められる。
【0346】
【表46】
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図172は、両面ウエハスケール光学素子5502の使用によって、必要とされる共通基盤数を合計2つ(すなわち、5504、5516)に減少し、それによって、接合および組み立ての複雑性やコストを低減する例示的撮像システム5500を示す。光学系−検出器界面5523は、検出器5524とカバープレート5522との間に画定されてもよい。
【0347】
図173Aおよび173Bは、それぞれ、凸状表面5554と一体型絶縁体5552とを有する光学素子5550の横断面および上面図を示す。スタンドオフ5552は、凸状表面5554と結合する勾配壁5556を有する。素子5550は、スペーサ材料を硬化するために必要とされる時間によって実際は制限される寸法を有する、スペーサ(例えば、
図157および163のスペーサ5114。
図164のスペーサ5314および5336。
図165のスペーサ5436。
図172のスペーサ5514および5536)の使用と比較して、整合性が改良された光学的透明材料に単一ステップで複製されてもよい。光学素子5550は、同様に光学的透明材料から形成され得る共通基盤5558上に形成される。スペーサの使用の代わりに、スタンドオフ5552によって複製された光学系が上述の設計のすべてにおいて使用され、それによって製造およびアセンブリの複雑性や公差を低減してもよい。
【0348】
また、開示されるウエハスケールアレイの複製方法は、従来の円形開口形状に対しいくつかの利点を有する非円形開口光学素子の実装のために、容易に適合される。矩形の開口形状は、光学表面上の不必要な領域を排除し、代わりに、撮像システムの光学性能に影響を及ぼすことなく、所与の接合プロセスの際に、直線的形状に接触して配置され得る表面積を最大化する。加えて、ほとんどの検出器は、活性領域外側の領域(すなわち、検出器ピクセルが位置する検出器の領域)が最小限にされ、パッケージ寸法を減少させ、共通基盤(例えば、シリコンウエハ)当たりの有効ダイ数を最大化するように設計される。したがって、活性領域を囲繞する領域は、寸法が制限される。円形開口の光学素子は、撮像モジュールの光学性能に対し効果を及ぼさない活性領域を囲繞する領域内を侵食する。したがって、矩形開口モジュールの実装によって、検出器活性領域は、撮像システムの接合の際の使用に対して最大化される。
【0349】
図174Aおよび174Bは、円形および非円形開口の光学素子を有する撮像システム内の、画像領域5560(破線によって境界される)の比較を提供する。
図174Aは、
図166を参照して初めに記述された撮像システムの上面図を示し、勾配壁5556を有する円形開口5562を含む。
図174Bに示される撮像システムは、光学素子5430(2)(
図166)が矩形開口5566を有することを除き、
図174Aと同一である。
図174Bは、矩形開口光学素子5566によって増加が促進された接合領域5564の実施例を示す。システムは、最大視野ポイントが、2.0μmピクセルVGA解像度検出器の垂直、水平、および対角線範囲となるように画定されている。垂直寸法では、使用可能接合表面の500μm(光学素子の各側面で259μm)強が、直線的形状に対する修正において回復される。水平寸法では、200μm強が回復される。矩形開口5566は、画像コーナーのビネット効果を回避するために、円形開口5562よりも大きいサイズにすべきであることを留意されたい。本実施例では、コーナーの光学素子サイズの増加は、各対角線において41μmである。再び、活性領域およびチップ寸法は、典型的には、矩形であるため、パッケージサイズを考慮する際に、垂直および水平寸法の領域の減少は、対角線寸法の増加を上回る。加えて、光学素子の正方形バス形状のコーナーを丸くすることは、マスタリングおよび/または製造の容易性のために有利となる場合がある。
【0350】
図175は、
図165における例示的撮像システムの上面光線追跡
図5570を示し、ここでは、各光学素子に対し円形開口を有する設計を説明するために示される。
図175から分かるように、光学素子5430は、VGA検出器5424の活性領域5574を囲繞する領域5572内を侵食する。そのような侵食は、スペーサ5436を介して共通基盤5432をカバープレート5422に接合するために利用可能な表面積を減少させる。
【0351】
円形開口を有する光学素子の検出器5424の活性領域5574を囲繞する領域5572の侵食を低減するために、そのような光学素子は、矩形開口を有する光学素子と代替されてもよい。
図176は、
図165における例示的撮像システムの上面光線追跡
図5580を示し、光学素子5430は、VGA検出器5424の活性領域5574内に適合する矩形開口を有する光学素子5482と代替されている。垂直、水平、および対角線視野の光束によって
図176に表される、検出器の画像領域内の電磁エネルギが、口径食効果を受けないように、光学素子は、適切に大きいサイズにされるべきであることを理解されたい。故に、カバープレート5422への接合に利用可能な共通基盤5432の表面積は最大化される。
【0352】
実際のウエハスケール撮像システムに必要な種類の制御主光線角度による、短い光学トラック長を有するシステムの多数の制約は、想像も望みもしない結果を撮像システムに生じさせる。高度に正確に加工および組み立てられた場合でも、短撮像システムに不可欠な種々の収差によって、そのような短撮像システムの画質は、必ずしも所望の通りのものではない。光学系が、従来技術のウエハスケール方法に従って加工および組み立てられる場合、加工および組立における潜在的誤差が、撮像性能を低減する光学収差にさらに寄与することになる。
【0353】
例えば、
図158に示される撮像システムを検討する。この撮像システムは、すべての設計制約に一致しているが、システムの設計に固有の収差からの影響を余儀なくされ得る。実際、光学素子が少な過ぎ、撮像パラメータを適切に制御し、最高品質撮像を保証することができない。そのような回避不可能な光学収差は、
図158〜160に示されるように、画像位置または画角の関数として、MTFを低減するように作用し得る。同様に、
図165に示されるように、撮像システムは、そのような視野依存性のMTF挙動を呈し得る。つまり、軸上MTFは、視野依存性収差によって、軸外MTFよりも回折限界に対し大幅に高値となり得る。
【0354】
図177に示されるようなウエハスケールアレイが検討される場合、付加的な非理想的効果が、撮像システムの基礎的収差、その結果、画質に影響を及ぼし得る。実際は、共通基盤表面は、完璧に平坦ではない。若干の波形または反りが、常に存在する。この反りは、個々の光学素子の傾斜およびアレイ撮像システム内の各撮像システムの高さ変動を生じさせる場合がある。加えて、共通基盤は、常に均一厚ではなく、共通基盤を撮像システム内に結合する作用によって、アレイ撮像システム全体を変化し得る付加的厚さ変動が導入される場合がある。例えば、接合層(例えば、
図157の5110、
図164の5310および5334、
図165の5410および5434)、スペーサ(例えば、
図157および163のスペーサ5114、
図164のスペーサ5314および5336、
図165のスペーサ5436、
図172のスペーサ5514および5536)、およびスタンドオフは、厚さが変動し得る。実際のウエハスケール光学系のこれらの多数の変動は、
図177に示されるように、組み立てられたアレイ撮像システム内の個々の光学素子の厚さおよびXYZ位置の公差を相対的に緩くし得る。
【0355】
図177は、歪の共通基盤5616と不均一厚の共通基盤5602とを有するウエハスケールアレイ5600に存在し得る、非理想的効果の実施例を示す。共通基盤5616の反りは、光学素子5618(1)、5618(2)、および5618(3)の傾斜を生じさせる。そのような傾斜および不均一厚の共通基盤5602は、検出器5624によって検出される撮像電磁エネルギの収差を生じさせ得る。これらの公差の低減は、深刻な加工問題、かつ高額なコストへとつながり得る。設計プロセスの不可欠な構成要素として、特定の加工方法、公差、およびコストを有する撮像システム全体の公差および設計の緩和が望ましい。
【0356】
図1に示されるシステム40と類似性を有する撮像システム5700を示す、
図178における撮像システムブロック図を検討する。撮像システム5700は、検出器5724と、信号プロセッサ5740とを含む。検出器5724および信号プロセッサ5740は、低コストかつコンパクトな実装を提供するために、同一加工材料5742(例えば、シリコンウエハ)内に一体化されてもよい。特殊化された位相修正素子5706、検出器5724、および信号プロセッサ5740は、典型的には、短トラック長の撮像システムの性能を制限し、ウエハスケール光学系の加工およびアセンブリ公差の効果を制御する基本的収差の効果を制御するように調整されてもよい。
【0357】
図178の特殊化された位相修正素子5706は、射出瞳が、焦点関連収差に対し鈍感である画像を形成するように、撮像システムの同様に特殊化された射出瞳を形成する。そのような焦点関連収差の実施例は、色収差、非点収差、球面収差、像面湾曲、コマ収差、温度関連収差、およびアセンブリ関連収差を含むが、それらに限定されない。
図179は、撮像システム5700からの射出瞳5750の図を示す。
図180は、球面光学素子5106を有する
図157の撮像システム5101からの射出瞳5752の図を示す。射出瞳5752は、画像5744を形成する必要はない。代わりに、射出瞳5752は、所望に応じて、信号プロセッサ5740によって操作され得るボケた画像を形成する。撮像システム5700が、膨大な物体情報を有する画像を形成するため、低減した撮像効果の除去は、一部のアプリケーションでは必要とされない場合がある。しかしながら、バーコードの読み取り、物体の配置および/または検出、生体認証、画質および/または画像コントラストが重要ではない低コスト撮像等のアプリケーションでは、信号プロセッサ5740による後処理は、ボケた画像から物体情報を読み出すように機能をしてもよい。
【0358】
図178と
図158の例示的システムとの間の唯一の光学差異は、それぞれ、特殊化された位相修正素子5706と光学素子5106である。実際は、システム制約のため、
図157の光学素子に対する構成の選択肢は非常に少ないが、
図178の種々の光学素子のそれぞれに対し、多くの異なる選択肢が存在する。
図157の撮像システムの要件は、例えば、像平面において高品質画像を生成することであってもよいが、
図178のシステムの唯一の要件は、検出器ノイズの混入を介して情報コンテンツが損失されないよう、形成された画像が十分高MTFを有するように、射出瞳を生成することである。
図178の実施例におけるMTFは、視野全体で一定であるが、MTFは、視野、色、温度、アセンブリ変形例および/または偏光等のパラメータ全体で一定である必要はない。各光学素子は、特定のアプリケーションのための像平面におけるMTFおよび/または画像情報を達成する射出瞳を生成するために、選択された特定の構成に応じて、典型的または一意的であってもよい。
【0359】
図158〜160に記載されるシステムと比較して、
図181〜183に記載されるシステムを検討する。
図181は、異なる主光線角度に対し、
図178における撮像システムを通る光線伝搬を示す概略横断面図である。
図182〜183は、説明の目的のために、信号処理を伴わない、
図178におけるシステムの性能を示す。
図182に実証されるように、このシステムは、
図159に示されるデータと比較される画角の関数として、ほとんど変化しないMTF5750を示す。また、
図183は、70lp/mmにおける画角の関数としてのMTFが、約1/2しか変化しないことを示す。この変化は、画像全体のこの空間周波数における性能において、
図158〜160に示されるシステムの約12分の1である。
図178におけるシステムの特定の設計に応じて、MTF変化の範囲は、本実施例よりも大きくまたは小さくしてもよい。実際は、実撮像システムの設計は、所望の性能、加工の容易性、および必要とされる信号処理量の間の一連の妥協点として決定される。
【0360】
図178のシステムの開口絞り近傍の所定の位相修正に作用するための表面の追加によって、どのようにシステムに影響を及ぼすかの光線情報に基づく説明図が、
図184および185に示され、視野を通る火線の比較を示す。
図184は、検出器5124近傍における、
図156〜157の撮像システム5101の光線追跡分析である。
図184は、像平面5125を通って延在する光線を示し、電磁エネルギの最高集積(矢印5760によって示される)が達成される際の、像平面5125からの距離における変動を示す。光束の幅が最小である光軸(Z)に沿った位置は、光束に対する最適な焦点像平面の1つの指標である。光束5762は、軸上撮像条件を表し、光束5764、5766、および5768は、徐々に大きくなる軸外画角を表す。軸上束5762に対する電磁エネルギ5760の最高集積は、像平面前であることが分かる。電磁エネルギ5760の集積領域は、画角が増加するのに伴って、像平面5125に近づき、その後これを超え、像面湾曲と非点収差との典型的組み合わせを示す。この移動は、
図157〜162のシステムに対する画角の関数として、MTFの低下につながる。
図184および185は、本質的に、
図157〜162のシステムに対する最適焦点像平面が、像平面位置の関数として変化することを示す。
【0361】
比較として、
図178のシステムに対する像平面5725の近傍の光束が、
図185に示される。光束5772、5774、5776、および5778は、狭い幅に集束しない。実際、光束の最小幅は、Z軸に沿って広範にわたって存在するように見えるため、これらの光束に対する電磁エネルギの最高集積を見つけることは困難である。また、画角の関数として、光束の幅または最小幅の位置に顕著な変化はない。
図185の光束5772〜5778は、
図182および183と類似する情報を示す。すなわち、
図178のシステムの視野依存性の性能はほとんどない。言い換えると、
図178のシステムに対する最適焦点像平面は、像平面位置の関数ではない。
【0362】
特殊化された位相修正素子5706は、光学素子5106においてオリジナル光学表面と結合され得る、直角に分離可能な表面プロファイルの形態であってもよい。直角に分離可能な形態は、式(9)によって求められる。
【0363】
【数9】
[この文献は図面を表示できません]
ここで、本実施例では、p
x=p
yである。
図178に示される実施例のためのp
x(x)の式は、式(10)によって求められる。
【0364】
【数10】
[この文献は図面を表示できません]
ここで、p
x(x)の単位はミクロンであって、空間パラメータxは、mm単位で使用される場合、光学素子5106のx、y座標に関連する正規化された無次元数空間パラメータである。分離不可能および回転対称を含む、多くの他の種類の特殊化された表面形態が使用されてもよい。
【0365】
図179および180の射出瞳から分かるように、この特殊化された表面は、
図158のシステムと比較して、
図178のシステムの最高最低射出瞳光路差「OPD」に約13波を追加する。
図186および187は、それぞれ、
図158および
図178のシステムからの光学素子5106と特殊化された位相修正素子5706の2次元表面プロファイルの等高線図を示す。
図186および187に示されるケースでは、特殊化された位相修正素子5706(
図178)の表面プロファイルは、光学素子5106(
図158)と若干だけ異なる。この事実は、
図178の特殊化された位相修正素子5706のための加工マスタを形成する際の全体高および困難度が、
図158からの5106と大差ないことを含意する。回転対称射出瞳が使用される場合、
図178の特殊化された位相修正素子5706のための加工マスタの形成は、さらに容易となるであろう。使用される種類のウエハスケール加工マスタに応じて、異なる形態の射出瞳が望ましい場合がある。
【0366】
ウエハスケール光学系の実アセンブリ公差は、それらの従来の光学系アセンブリと比較して大きい場合がある。例えば、
図177に示されるような共通基盤の厚さ変動は、共通基盤のコストおよびサイズに応じて、少なくとも、5〜20ミクロンであってもよい。各接合層は、約5〜10ミクロンの厚さ変動を有してもよい。スペーサは、使用される種類のスペーサに応じて、約数十ミクロンの付加的変動を有してもよい。共通基盤の湾曲または反りは、優に数百ミクロンであってもよい。合計すると、ウエハスケール光学系上の全厚さ変動は、50〜100ミクロンに達し得る。完全な撮像システムが接合され、検出器が完成すると、各個々の撮像システムの再焦点は不可能である場合がある。再焦点ステップを伴わない場合、そのような厚さの大きな変動は、画質を大幅に劣化し得る。
【0367】
図188および189は、ミスフォーカスとなる150ミクロンのアセンブリ誤差が撮像システム5101に導入される場合の、
図157のシステム上のアセンブリ誤差による画像劣化の実施例を示す。
図188は、アセンブリ誤差が撮像システム内に存在しない場合のMTF5790および5792を示す。
図188に示されるMTFは、
図159に示されるもののサブセットである。
図189は、
図157の像平面の150ミクロンの移動としてモデル化された、150ミクロンのアセンブリ誤差が存在するMTF5794および5796を示す。そのような大きな誤差がある場合、重度のミスフォーカスが存在し、MTF5796は、無効を表示する。
図157の撮像システムに対するウエハスケールアセンブリプロセスにおけるそのような大きな誤差は、極端に低い歩留につながり得る。
【0368】
図178のシステム上のアセンブリ誤差の効果は、
図178の撮像システム5700と、
図190および191に示されるような関連する改良MTFとによって実証されるように、特殊化された位相修正素子の実装を通して低減され得る。
図190は、それぞれ、アセンブリ誤差が撮像システムに存在しない場合の、信号処理の前後におけるMTF5798および5800を示す。MTF5798は、
図182に示されるMTFのサブセットである。信号処理後、すべての画像視野からのMTF5800が高い値であることが、
図190で分かるであろう。
図191は、それぞれ、150ミクロンのアセンブリ誤差存在下の、信号処理前後におけるMTF5802および5804を示す。MTF5802および5804は、MTF5798および5800と比較して少量だけ減少することが分かるだろう。したがって、
図178の撮像システム5700からの画像5744は、ウエハスケールアセンブリに固有の大きなアセンブリ誤差によってわずかのだけ影響を受けるであろう。したがって、特殊化された位相修正素子およびウエハスケール光学系内での信号処理の使用は、重要な利点を提供し得る。大きなウエハスケールアセンブリ公差が伴う場合でも、
図178における撮像システム5700の歩留は、このシステムからの画像解像度が、加工誤差がない場合でも、概して、
図158に記載の従来のシステムよりも優れていることになることを非常によく示唆し得る。
【0369】
上述のように、撮像システム5700の信号プロセッサ5740は、信号処理を行い、特殊化された位相修正素子5706によって導入されるボケ等の撮像効果を画像から除去してもよい。信号プロセッサ5740は、2次元線形フィルタを使用して、そのような信号処理を行ってもよい。
図192は、1つの2次元線形フィルタの3次元等高線図を示す。2次元線形デジタルフィルタは、
図178に示されるように、カーネルが小さいため、検出器と同一シリコン回路上に最終画像を生成するために必要とされるすべての信号処理を実装することが可能である。この一体化の増加によって、最も低いコストおよび最もコンパクトな実装が可能となる。
【0370】
この同一フィルタは、
図190および191に示される画像システム5700の数値表現において使用された。ウエハスケールアレイ内のすべての撮像システムに対し1つのみのフィルタの使用が必要とされているわけではない。実際、アレイ内の異なる撮像システムに対し異なる組の信号処理を使用することが、特定の状況において有利である場合がある。再焦点ステップの代わりに、従来の光学系で現在行われるように、単一信号処理ステップが使用されてもよい。このステップは、例えば、特殊化された標的画像と異なる信号処理を伴ってもよい。また、本ステップは、特定のシステムの誤差に応じて、所与の撮像システムに対し特定の信号処理の選択を含んでもよい。試験画像は、再び、どの異なる信号処理パラメータまたは組を使用するかを判断するために使用されてもよい。そのシステムの特定の誤差に応じて、ダイシング後、各ウエハスケール撮像システムに対する信号処理を選択することによって、全体の収率は信号処理が共通基盤上の全システムにわたって均一である場合の可能性を超えて増加し得る。
【0371】
図178における撮像システムが、
図158の撮像システムよりもアセンブリ誤差に対し鈍感である理由は、
図193および194を参照して記述される。
図193は、
図157の撮像システム5101に対し、70lp/mmにおけるスルーフォーカスMTF5806を示す。
図194は、
図178の撮像システム5700に対する同一種類のスルーフォーカスMTF5808を示す。
図157のシステムに対するスルーフォーカスMTF5806は、50ミクロンシフトに対してでさえ狭い。加えて、スルーフォーカスMTFは、像平面位置の関数としてシフトする。
図194は、
図159および184に示される像面湾曲の別の実証である。わずか50ミクロンの像平面移動でさえ、撮像システム5101のMTFは、大幅に変化し、低品質の画像を生成する。撮像システム5101は、像平面移動およびアセンブリ誤差に対し感度の程度が大きい。
【0372】
図178のシステムからのスルーフォーカスMTF5808は、比較的非常に広範である。50、100、150ミクロンの像平面シフトに対してでさえ、またはアセンブリ誤差に対し、MTF5808は、ほとんど変化しないことを理解できるであろう。また、色収差および温度関連収差と同様に、像面湾曲は、非常に低値である(前者の2つの現象は、
図193に示されない)。広範なMTFを有することによって、アセンブリ誤差に対する感度は、大幅に減少する。
図179に示されるものに加え、種々の異なる射出瞳が、この種の鈍感性を生成してもよい。多数の特定の光学構成を使用して、これらの射出瞳を生成してもよい。
図179の射出瞳によって表される
図178における特定の撮像システムは、1つの実施例に過ぎない。所望の仕様と結果として生じる射出瞳との均衡を保ち、ウエハスケール光学系に一般的に見られる広い視野およびアセンブリ誤差に対して高画質を達成する、いくつかの構成が存在する。
【0373】
前述のセクションで論じられたように、ウエハスケールアセンブリは、複数光学素子を含有する共通基盤の層を互いの上部に載置するステップを含む。また、そのように組み立てられた撮像システムは、複数の検出器を含有する共通基盤の上部に直接載置され、それによって、分離操作の際に分離されるいくつかの完全な撮像システム(光学系および検出器)を提供してもよい。
【0374】
しかしながら、このアプローチは、個々の光学素子間(恐らく、光学アセンブリと検出器との間)の間隔を制御するように設計される素子の必要性を被る。これらの素子は、通常、スペーサと称され、通常(必ずしも、常にではない)、光学素子間に空隙を提供する。スペーサによって、コストが付加され、結果として生じる撮像システムの歩留および信頼性を低減する。以下の実施形態は、スペーサの必要性を除去し、物理的に堅牢かつ整合が容易であって、実装され得るより多くの光学表面によって、潜在的に減少された総トラック長およびより高い撮像性能を呈する、撮像システムを提供する。これらの実施形態は、光学系設計者に、正確に達成され得る光学素子間のより広範な距離を提供する。
【0375】
図195は、組み立てられたウエハスケール光学素子5810の横断面図を示し、ここで、スペーサは、アセンブリの片面(または、両面)上に位置するバルク材料5812によって代替されている。バルク材料5812は、光学素子5810を複製するために使用される材料の屈折率と実質的に異なる屈折率を有さなければならず、上述のように、ソフトウェアツールを使用して光学設計を最適化する際に、その存在は考慮されるはずである。バルク材料5812は、モノリシックスペーサとして作用し、したがって、素子間の個々のスペーサの必要性を排除する。バルク材料5812は、高均一性および低コスト製造のために、光学素子5810を含有する共通基盤5814上にスピンコーティングされてもよい。次いで、個々の共通基盤は、互いに、直接接触して載置され、整合プロセスを簡略化し、失敗および手順誤差に左右されないようにして、総製造歩留を増加させる。加えて、バルク材料5812は、空気よりも実質的に大きく、潜在的に完全撮像システムの総トラックを減少させる屈折率を有する可能性がある。一実施形態では、複製光学素子5810およびバルク材料5812は、類似の熱膨張係数、剛性、および硬度であるが、異なる屈折率のポリマーである。
【0376】
図196は、前述のウエハスケール撮像システムからのセクションの1つを示す。セクションは、バルク材料5822によって封入される複製光学素子5820を有する共通基盤5824を含む。共通基盤の表面5824の1つまたは両方は、バルク材料5822を伴うかまたは伴わない複製光学素子5820を含んでもよい。複製素子5820は、共通基盤の表面5824上または内に形成されてもよい。具体的には、表面5827が共通基盤5824の表面を画定する場合、素子は、共通基盤5824内に形成されると考えられてもよい。任意に、表面5826が共通基盤5824の表面を画定する場合、素子5820は、共通基盤5824の表面5826上に形成されていると考えられてもよい。複製光学素子は、当業者に周知の技術を使用して生成されてもよく、形状および材料間の屈折率の差異に応じて、集束または発散素子であってもよい。また、光学素子は、円錐定数、波面符号化、回転非対称であってもよく、または回折素子およびホログラフィック素子を含む、任意の形状および形態の光学素子であってもよい。また、光学素子は、隔離(例えば、5810(1))または接合(例えば、5810(2))されてもよい。また、光学素子は、
図196に示されるように、共通基盤に一体化されてもよく、および/またはバルク材料の拡張であってもよい。一実施形態では、共通基盤は、ガラスから成り、可視波長では透過性であるが、赤外線および恐らく紫外線波長では吸収性である。
【0377】
前述の実施形態は、素子間のスペーサの使用を必要としない。代わりに、間隔が、光学系を構成するいくつかの構成要素の厚さによって制御される。
図195に戻って参照すると、システムの間隔は、厚さd
s(共通基盤)、d
l(光学素子5810(2)に重層するバルク材料)、d
c(複製光学素子5810(2)の基盤)、およびd
2(光学素子5810(1)に重層するバルク材料)によって制御される。また、距離d
2は、個々の厚さd
aおよびd
b(それぞれ、光学素子上の光学素子5810(1)の厚さおよびバルク材料5812の厚さ)の和として表されてもよいことに留意されたい。さらに、ここで表される厚さは、制御され得る異なる厚さの例示的なものであって、必ずしも、総間隔制御に使用され得る可能性のあるすべての厚さの包括的リストを表すわけではない。構成素子の任意の1つは、2つの素子に分割され、例えば、設計者に、厚さに余剰的制御を提供し得る。素子間の垂直間隔における付加的正確度は、当業者には周知なように、高および低屈折率材料に埋め込まれた直径制御球面、支柱、または円柱(例えば、ファイバ)によって達成されてもよい。
【0378】
図197は、検出器5838を含むウエハスケール撮像システム5831のアレイであって、撮像システム5831から検出器5838を支持する共通基盤5834(2)に延在し得るスペーサの除去を示す。
図195では、複製光学素子5810間の間隔は、d
s(共通基盤厚)によって制御される。
図198は、光学素子5830間に生じ得る最近傍の垂直間隔が、バルク材料5832の厚さd
2によって制御される代替実施形態を示す。
図197における素子の順番に対し複数の順列が可能であること、さらに、隔離された光学素子5830が
図195および197の実施例で使用されたが、光学素子5820等の結合された素子も使用されてもよく、共通基盤5834(1)の厚さは、間隔を制御するために使用されてもよいことに留意されたい。さらに、
図166に示され、本明細書で前述されたように、撮像システム内に存在する光学素子は、主光線角度補正器(CRAC)素子を含んでもよいことを留意されたい。最後に、光学素子5830、バルク材料5832、または共通基盤5834は、必ずしも、ウエハスケール素子のいずれかにおいて存在する必要はない。これらの素子の1つ以上は、光学設計の必要性に応じて、欠損していてもよい。
【0379】
図198は、共通基盤5860上に形成される検出器5862を含む、ウエハスケール撮像システム5850のアレイを示す。ウエハスケールアレイ撮像システム5850は、スペーサの使用を必要としない。光学素子5854は、共通基盤5852上に形成され、光学素子5852間の領域は、バルク材料5856で充填される。バルク材料5856の厚さd
2は、光学素子5854の表面から検出器5860までの距離を制御する。
【0380】
複製光学ポリマーの使用によって、例えば、光学素子間に空隙が必要ではない新規の構成をさらに可能にする。
図199および200は、異なる屈折率を有する2つのポリマーが形成され、空隙を有さない撮像システムを生成する構成を示す。交互層のために使用される材料は、各界面におけるフレネル(Fresnel)ロスおよび反射を最小限にすることを考慮して、その屈折率間の差異が、各表面の必要とされる光強度を提供するために十分に大きくなるように慎重に選択されてもよい。
図199は、ウエハスケール撮像システムのアレイ5900の横断面図を示す。各撮像システムは、共通基盤5903上に形成される層状光学素子5904を含む。層状光学素子のアレイ5904は、逐次的に(すなわち、最初に層状光学素子5904(1)、最後に層状光学素子5904(7))、共通基盤5903上に形成されてもよい。次いで、層状光学素子5904および共通基盤5903は、共通基盤(図示せず)上に形成される検出器に接合されてもよい。あるいは、共通基盤5903は、検出器のアレイを含む共通基盤であってもよい。層状光学素子5904(5)は、メニスカス素子であってもよく、素子5904(1)および5904(3)は、両凸面素子であってもよく、素子5902は、回折またはフレネル素子であってもよい。加えて、素子5904(4)は、平面/平面素子であってもよく、その唯一の機能は、撮像のための適切な光路長を可能にすることである。あるいは、層状光学素子5904は、逆の順番で(すなわち、最初に光学素子5904(7)、最後に光学素子5904(1))、共通基盤5903上に直接形成されてもよい。
【0381】
図200は、アレイ撮像システムの一部として形成され得る、単一の撮像システム5910の横断面図を示す。撮像システム5910は、CMOS撮像装置等のソリッドステート画像検出器を含む、共通基盤5914上に形成される層状光学素子5912を含む。層状光学素子5912は、代替屈折率の任意の数の個々の層を含んでもよい。各層は、共通基盤5914に最近傍の光学素子から開始して、光学素子の逐次的形成によって形成されてもよい。異なる屈折率を有するポリマーがともに組み立てられる光学アセンブリの実施例は、
図1B、2、3、5、6、11、12、17、29、40、56、61、70、および79に関連して上述のものを含む、層状光学素子を含む。付加的実施例は、
図201および206に関連して後述される。
【0382】
図199および200に図示される設計概念は、
図201に示される。本実施例では、2つの材料が、屈折率n
hi=2.2およびn
lo=1.48、アッベ数V
hi=V
lo=60を有するように選択される。n
loに対する値1.48は、市販の光学品質紫外線硬化ゾルゲルに利用されており、層厚が1〜数百ミクロンの範囲であって、低吸収および高機械的完全性を有する設計内に容易に実装され得る。n
hiに対する値2.2は、TiO
2ナノ粒子をポリマーマトリクス内に埋め込むことによって達成される高屈折率ポリマーの文献報告と一致する、合理的上限として選択された。
図201に示される撮像システム5920は、層状光学素子5924の個々の層5924(1)−5924(8)の間に8つの屈折率遷移を含む。これらの遷移の非球面曲率は、表47にリストアップされる係数を使用して記述される。層状光学素子5924は、検出器5926のためのカバープレートとして利用され得る共通基盤5925上に形成される。開口絞り5922が載置される第1の表面は、曲率を有しておらず、その結果、呈される撮像システムは、完全に矩形形状を有し、パッケージングを促進し得ることに留意されたい。層5924(1)は、撮像装置内の主要焦点素子である。残りの層5924(2)−5924(7)によって、他の効果の中でも、像面湾曲補正、主光線制御、および色収差制御を有効化することによって、改良された撮像を可能にする。各層が非常に薄くなり得る制限において、そのような構造は、画像特性の非常に正確な制御、さらに、恐らく、テレセントリック撮像さえ可能にする連続的グレーデッドインデックス型に近似し得る。バルク層(層5924(2)と5924(3)との間)のための低屈折率材料の選択によって、視野内で光線扇をより迅速に拡散させ、画像検出器領域に一致させることが可能になる。この意味では、ここでの低屈折率材料の使用によって、光学トラックのより大きな圧縮率が可能になる。
【0383】
図202から205は、以下に詳述されるように、
図201に示される撮像システム5920に対する種々の光学性能指標の数値モデル化結果を示す。表48は、いくつかの重要な光学指標を強調する。具体的には、広視野(70°)、短光学トラック(2.5mm)、および低F値(f/2.6)は、例えば、携帯電話アプリケーションに使用されるカメラモジュールに対し、このシステムを理想的とする。
【0384】
【表47】
[この文献は図面を表示できません]
【0385】
【表48】
[この文献は図面を表示できません]
図202は、撮像システム5920のMTFのプロット5930を示す。空間周波数カットオフは、3.6μmピクセルサイズを使用して、Bayerカットオフ(すなわち、グレースケールNyquist周波数の半分)に一致するように選択された。プロット5930は、撮像システム5920の空間周波数応答が、
図158の撮像システム5101によって示される比較応答よりも優ることを示す。改良性能は、
図158に例示されるシステム内におけるような大直径かつ薄い共通基盤の機械的完全性によって、使用され得る最小厚の共通基盤上に基本的制約が存在する、組み立てられた共通基盤を使用する方法によって達成され得るものよりも数の多い、
図201に付随する加工方法を使用する光学表面の実装の容易性に主に割り当てられてもよい。
図203は、撮像システム5920に対するMTFスルー視野の変動のプロット5935を示す。
図204は、スルーフォーカスMTFのプロット5940を示し、
図205は、撮像システム5920のグリッド歪のマップ5945を示す。
【0386】
上述のように、屈折率に大きな差異を有するポリマーを選択する利点は、各表面に必要とされる最小曲率である。しかしながら、各界面における大きなフレネルロスおよび1.9を超える屈折率を有するポリマーに典型的な高吸収率を含み、大きいΔnを有する材料の使用には、欠点が存在する。低ロス高屈折率ポリマーは、1.4〜1.8の屈折率の値で存在する。
図206は、使用される材料が、屈折率n
lo=1.48およびn
hi=1.7を有する撮像システム5960を示す。撮像システム5960は、層状光学素子5964の層5964(1)の表面上に形成される開口5962を含む。層状光学素子5964は、検出器5968のためのカバープレートとして利用され得る、共通基盤5966上に形成される光学素子5964(1)−5964(8)の8つの個々の層を含む。これらの光学素子の非球面曲率は、表49にリストアップされる係数を使用して記述され、撮像システム5960の仕様は、表50にリストアップされる。
【0387】
遷移界面の曲率は、
図201のものと比較して非常に誇張されていることが、
図206から分かるであろう。さらに、
図202および203のものと比較して、
図207のスルー視野MTFプロット5970に示されるMTFおよび
図208のスルーフォーカスMTFプロット5975に若干の減少が存在する。しかしながら、撮像システム5960は、
図158の共通基盤組み立て撮像システム5101に対し、撮像性能における顕著な改良点を提供する。
【0388】
図201〜205および206〜208に記載の設計は、ウエハスケール複製技術と適合することを留意されたい。交互(alternating refractive)屈折率を有する層状材料の使用によって、空隙を伴わない完全撮像システムが可能になる。さらに、複製層の使用によって、ガラス共通基盤の使用によって可能となるものよりも、生成される素子のより薄くより機能的な非球面曲率が可能となる。使用される材料の数に制限はなく、ポリマーを通した分散から色収差をさらに低減する屈折率を選択することが有利である場合があることを留意されたい。
【0389】
【表49】
[この文献は図面を表示できません]
【0390】
【表50】
[この文献は図面を表示できません]
図209は、システム5960等の撮像システム内で不透明バッフルおよび/または開口として使用され、散乱電磁エネルギ、および視野外の物体から放出または反射される電磁エネルギから生じる画像内のアーチファクトを制御可能な、電磁エネルギ遮断または吸収層5980の使用を示す。これらの層の組成は、金属、ポリマー、または色素ベースであることが可能である。これらのバッフルはそれぞれ、反射を減衰する、あるいは視野外物体(例えば、太陽)からの望ましくない迷光または先行表面からの反射を吸収し得る。
【0391】
可変直径は、可変透過率材料を利用することによって、例えば、
図158、166、201、206、および209に示されるシステムのいずれかに組み入れてもよい。この構成の実施例の1つは、電場の存在下、可変透過率を有し得る開口絞り(例えば、
図206の素子5962)における、例えば、エレクトロクロミック材料(例えば、酸化タングステン(WO
3)またはプルシアンブルー(PB)の組み合わせ)の使用である。印加電場の存在下、WO
3は、例えば、赤および緑帯域の大部分を通して大量に吸収が開始され、青色材料を生成する。円形電場は、開口絞りにおいて、材料層に印加され得る。印加電場の強度は、吸収絞りの直径を決定するであろう。明光条件下では、強電場が、開口絞りを減少させ、それによって、画像解像度を増加させる効果を有する透過領域の直径を減少させるであろう。微光環境では、電場は、激減され、最大開口絞り直径を可能にし、それによって、撮像装置の集光能力を最大化し得る。そのような電場の減損は、画像鮮鋭度を低減するが、同一現象が肉眼において生じるように、そのような効果は、典型的には、微光条件下で予測される。また、ここでは、開口絞りのエッジがソフトであるため(金属または色素によって生じ得る急激な遷移とは対照的に)、虹彩は、開口絞り周囲の回折による画像アーチファクトを最小にし得るように幾分アポダイズされるだろう。
【0392】
上述のようなアレイ撮像システムの加工では、例えば、8インチまたは12インチの加工マスタ等、加工マスタの表面上のアレイとして、光学素子を形成するための複数の特徴(すなわち、テンプレート)を加工することが望ましい場合がある。加工マスタに組み込まれ得る光学素子の実施例は、屈折素子、回折素子、反射素子、回折格子、GRIN素子、サブ波長構造、反射防止コーティング、およびフィルタを含む。
【0393】
図210は、光学素子を形成するための複数の特徴(すなわち、光学素子を形成するためのテンプレート)を含む例示的な加工マスタ6000を示し、その一部は、点在する矩形6002によって識別される。
図211は、矩形6002内の光学素子を形成するための特徴に関して、付加的詳細を提供する。光学素子を形成するための複数の特徴6004は、非常に精密な行と列の関係として、加工マスタ6000上に形成されてもよい。一実施例では、行と列の素子の位置整合は、X、Yおよび/またはZ方向に数十ナノメートルを越えない範囲で理想的精度から変化してもよい。
【0394】
図212は、加工マスタ6000に対する運動軸の一般的定義を示す。所与の加工マスタ表面に対し、XおよびY軸は、加工マスタ表面6006と平行する平面における線形平行移動に対応する。Z軸は、加工マスタ表面6006に直角な方向における線形平行移動に対応する。加えて、A軸は、X軸まわりの回転に対応し、B軸は、Y軸まわりの回転に対応し、C軸は、Z軸まわりの回転に対応する。
【0395】
図213から215は、基板上に単一光学素子を形成するための特徴を機械加工するために使用され得る、従来のダイヤモンド旋削構成を示す。具体的には、
図213は、基板6016上に特徴6014を加工するために構成されたツール軸6012上のツール先端6010を含む、従来のダイヤモンド旋削構成6008を示す。破線6018は、基板6016の回転軸を示し、線6020は、特徴6014を形成する際に辿られるツール先端6010の経路を示す。
図214は、ツール先端6010のツール先端刃先6022の詳細を示す。ツール先端刃先6022に対し、主逃げ角Θ(
図215参照)は、ツール先端6010を使用して切削され得る、可能な特徴の急勾配を制限する。
図215は、ツール先端6010の側面図およびツール軸6012の一部を示す。
【0396】
図213から215に示されるような構成を利用するダイヤモンド旋削プロセスは、例えば、単一屈折素子等の単一軸上の軸対称表面の加工のために使用されてもよい。背景技術のセクションにおいて記載されたように、8インチ加工マスタの周知の実施例の1つは、1つまたはいくつかの(例えば、3つまたは4つ)のそのような光学素子を有する部分的加工マスタを形成し、次いで、部分的加工マスタを使用して、光学素子を形成するための特徴のアレイを8インチ加工マスタ全体に「スタンプ」することによって形成される。しかしながら、そのような従来技術は、約数ミクロンオーダーの加工精度および位置決め公差しかもたらさず、ウエハスケール撮像システムのための光学公差の整合を達成するためには不十分である。実際は、本プロセスを加工マスタ全体に光学素子のアレイを形成するための複数の特徴の加工に適合することは困難である場合がある。例えば、互いに対する特徴の適切な位置決め精度を達成するために、加工マスタを正確に指数化することは困難である。加工マスタの中心から離して特徴の加工を試みる場合、加工マスタは、加工マスタを保持および回転させるチャック上で均衡を保たない。このチャック上の不平衡負荷の結果は、位置決め精度の問題を悪化させ、特徴の加工精度を低減し得る。これらの技術を使用して、互いに対しおよび加工マスタ上の特徴として判断される場合、約数十ミクロンの位置決め精度のみを達成することが可能である。光学素子を形成するための特徴の製造の際に必要とされる精度は、約数十ナノメートルである(例えば、着目電磁エネルギの波長程度)。言い換えると、従来の技術を使用する加工マスタ全体にわたって、光学公差における位置決め精度および加工精度を含む、大きい(例えば、8インチ以上)加工マスタを密集させることは不可能である。しかしながら、本明細書に記載の手段に従って、製造精度を改善することが可能である。
【0397】
以下の説明は、種々の実施形態に従って、加工マスタ上に光学素子を形成するための複数の特徴を製造するための方法および構成を提供する。ウエハスケール撮像システム(例えば、
図3に示されるもの)は、概して、Z方向に重層され、XおよびY方向に加工マスタ全体に分布される複数の光学素子を必要とする(「正規アレイ」とも称される)。加工マスタに対するX、Y、およびZ方向の定義については、例えば、
図212を参照されたい。層状光学素子は、例えば、片面ガラスウエハ、両面ガラスウエハ、および/または連続層状光学素子の群上に形成されてもよい。加工マスタ上に光学素子を形成するための多数の特徴を提供する改良精度は、後述されるように、高精度加工マスタの使用によって提供されてもよい。例えば、4つの層のそれぞれにおけるZ方向の変動±4ミクロン(ゼロ平均と仮定して、4シグマ変動に対応する)は、その群に対しZ変動±16ミクロンとなり得る。小ピクセル(例えば、2.2ミクロン未満)および高速光学系(例えば、f/2.8以上)を含む撮像システムに適用される場合、そのようなZ変動は、4つの層から組み立てられたウエハスケール撮像システムの大部分に対する焦点を損失することになり得る。そのような焦点損失は、ウエハスケールカメラでは補正が困難である。歩留および画質の類似問題が、XおよびY寸法における加工公差問題から生じる。
【0398】
光学素子のウエハスケールアセンブリのための従来の加工方法は、高画質を達成するために必要とされる光学精度におけるアセンブリを可能としない。つまり、現在の加工システムは、機械的公差(複数の波長で測定)におけるアセンブリを可能にするが、ウエハスケールカメラのアレイ等のアレイ撮像システムに必要とされる光学公差(波長程度)における加工およびアセンブリは可能としない。
【0399】
複数の光学素子を形成し、例えば、加工マスタを密集させるスタンピングプロセスの必要性を排除するために、その上に特徴を含む完全密集加工マスタを直接加工することは、有利である場合がある。さらに、互いに対する特徴の位置付けが、高度(例えば、ナノメートル)に制御されるように、光学素子を形成するための特徴のすべてを1つの設定で加工することは、有利である場合がある。さらに、現在の方法を利用して可能なものよりも、より高歩留の加工マスタを短時間で生成することは、有利である場合がある。
【0400】
以下の開示では、用語「光学素子」は、加工マスタの利用を介して形成される最終素子と、加工マスタ本体上の特徴とを示すものとして同じ意味で用いられる。例えば、「加工マスタ上に形成される光学素子」とは、文字通り、光学素子本体が加工マスタ上に存在することを意味するわけではない。そのような言及は、光学素子を形成するために利用されることが意図された特徴を示す。
【0401】
従来のダイヤモンド旋削プロセスにおいて定義される軸は、例示的な多軸機械加工構成6024の
図216に示される。そのような多軸機械加工構成は、例えば、低速ツールサーボ(「STS」)方法および高速ツールサーボ(「FTS」)方法とともに使用されてもよい。低速ツールサーボまたは高速ツールサーボ(「STS/FTS」)方法は、
図216に示されるように、多軸ダイヤモンド旋削旋盤(例えば、X、Z、B、および/またはC軸方向に制御可能運動を有する旋盤)上で達成されてもよい。低速ツールサーボの実施例は、例えば、Bryanの米国特許第7,089,835号「SYSTEM AND METHOD FOR FORMING A NON−ROTATIONALLY SYMMETRIC PORTION OF A WORKPIECE」(本明細書に全体が複製される場合と同程度に、参照することによって本願に援用される)に記載されている。
【0402】
ワークピースは、C軸のまわりで回転可能である一方、スピンドル6028上のX軸方向に作動されるチャック6026上に搭載されてもよい。一方、切削ツール6030は、ツールポスト6032上に搭載され、回転する。反対に、チャック6026は、ツールポスト6032の定位置に搭載され、Z軸方向に作動されてもよく、切削ツール6030は、スピンドル6028上に載置され、回転する。加えて、チャック6026および切削ツール6030はそれぞれ、B軸のまわりで回転され、配置されてもよい。
【0403】
次に、
図217と関連して
図218を参照すると、加工マスタ6034は、光学素子を形成するための複数の特徴6038が加工される前面6036を含む。切削ツール6030は、加工マスタ6034が回転軸(破点線6040によって示される)のまわりを回転するのに伴って、各特徴6038全体を掃引および削成し、前面6036上に複数の特徴6038を加工する。加工マスタ6034の前面全体に特徴6038を加工する手順は、1つの自由形状表面としてプログラムされてもよい。あるいは、加工マスタ6034上に形成される各種の特徴6038の1つは、別個に画定されてもよく、加工マスタ6034は、形成される各特徴6038に対する座標および角度配向を指定することによって、密集させてもよい。このように、各特徴6038の位置および配向がナノメートルレベルで維持可能であるように、特徴6038はすべて、同一設定で製造される。加工マスタ6034は、特徴6038の正規アレイ(すなわち、2次元において均一に離間)を含むように示されるが、特徴6038の非正規アレイ(例えば、少なくとも1次元において不均一に離間)が、同時にまたは代替として、加工マスタ6034上に含まれてもよいことを理解されたい。
【0404】
図217における挿入物6042(破線円によって示される)の詳細は、
図218および219に示される。ツール軸6046上に支持されるツール先端6044を含む切削ツール6030は、加工マスタ6034に各特徴6038を形成するように、削溝跡6050に沿って、方向6048に繰り返し掃引されてもよい。
【0405】
一実施形態によるSTS/FTSの使用は、約3nmRa(表面粗度)の良好な表面仕上げをもたらし得る。さらに、STS/FTSのための一点ダイヤモンド旋削(SPDT)切削ツールは、安価かつ加工マスタ全体を切削するための十分なツール寿命を有し得る。例示的実施形態では、
図94〜100に示されるように、設計プロセスの際に指定されるRa要件に応じて、8インチ加工マスタ6034は、1時間〜3日かけて、2,000以上の特徴6038とともに密集させてもよい。一部のアプリケーションでは、ツール間隔は、軸外特徴の最大表面勾配に制限されてもよい。
【0406】
一実施形態では、多軸研磨/研削を使用して、
図220A〜220Cに示されるように、光学素子を形成するための複数の特徴を加工マスタ6052上に形成してもよい。
図220A〜200Cの実施例では、加工マスタ6052の表面6054は、回転切削ツール6056(例えば、ダイヤモンドボールエンドミルビットおよび/または研削ビット)を使用して機械加工される。回転切削ツール6056は、螺旋形状ツール経路のX、Y、およびZ軸方向の表面6054に対し作動され、したがって、複数の特徴6058を生成する。螺旋形状ツール経路が
図220Bおよび220Cに示される一方、一連のS形状または半径方向ツール経路等の他のツール経路形状も使用されてもよい。
【0407】
図220A〜220Cに示される多軸粉砕プロセスは、最大90°の急勾配の機械加工を可能にしてもよい。所与の形状の内側コーナーは、ツール半径に等しい半径またはフィレットを有してもよいが、多軸粉砕によって、例えば、矩形開口形状等の非円形または自由形状の生成が可能になる。STSまたはFTSの使用と同様に、特徴6058は、同一設定で加工され、したがって、多軸位置決めがナノメートルレベルで維持される。しかしながら、多軸粉砕は、概して、8インチ加工マスタ6052を密集させるために、STSまたはFTSを使用するよりも長い時間を要し得る。
【0408】
STS/FTSの使用と多軸粉砕とを比較すると、STS/FTSは、低勾配を有する浅薄表面の加工により適切であって、多軸粉砕は、深厚表面および/または高勾配を有する表面の加工により好適であり得る。表面形状は、ツール形状に直接関連するため、光学設計のガイドラインは、より効果的機械加工パラメータの仕様を促進してもよい。
【0409】
前述の実施形態はそれぞれ、特定の個々の配向を有する種々の構成要素とともに説明されたが、本開示に記載される実施形態は、種々の位置および相互配向に配置される種々の構成要素を有する種々の特定の構成をとってもよく、依然として、本開示の精神および範囲内であることを理解されたい。例えば、光学素子を形成するための実際の特徴が機械加工される前に、例えば、ダイヤモンド旋削または研削以外の従来の切削方法を使用して、特徴に類似する形状を「荒仕上げ」してもよい。さらに、ダイヤモンド切削ツール以外の切削ツール(例えば、高速度鋼、炭化ケイ素、および窒化チタン)が使用されてもよい。
【0410】
別の実施例として、回転切削ツールは、加工される光学素子を形成するための特徴の所望の形状に調整されてもよい。つまり、
図221Aおよび221Bに示されるように、特殊化された形成ツールを使用して、各特徴を加工してもよい(例えば、「プランジング」としても知られるプロセスにおいて)。
図221Aは、加工マスタ6064の前面6066上に光学素子を形成するための特徴6062の形成を図示する、構成6060を示す。特徴6062は、特殊化された形成ツール6068を使用して、加工マスタ6064の前面6066上に形成される。構成6060では、特殊化された形成ツール6068は、軸6070のまわりを回転する。
図221B(構成6060の部分的横断面の上面図)から分かるように、加工マスタ6064の前面6066上の特殊化された形成ツール6068のアプリケーションに応じて、起伏した状態で、非球面形状を有し、特徴6062がその上に形成されるように、特殊化された形成ツール6068は、ツール軸6074上に支持される非円形切削エッジ6072を含む。刃先6072を調整することによって、種々のカスタマイズされた特徴6062が、この方法で形成されてもよい。さらに、特殊化された形成ツールの使用は、他の加工方法よりも切削時間を短縮し、最大90°の勾配の切削を可能にし得る。
【0411】
上述の「荒仕上げ」手順の実施例として、適切な直径を有する市販の切削ツールを使用して、最初に、最良適合球面表面を機械加工し、次いで、特殊化された刃先(刃先6072等)を有するカスタマイズされた切削ツールを使用して、特徴6062を形成してもよい。この「荒仕上げ」プロセスは、特殊化された形成ツールによって切削されなければならない材料の量を減少させることによって、処理時間およびツールの摩耗を低減し得る。
【0412】
非球面光学素子形状は、適切な形状を有する形成ツールが使用される場合、切削ツールの単一プランジ研削によって生成されてもよい。ツール加工において現在利用可能な技術は、一連の直線および円弧状のセグメントを使用して、真非球面形状の近似を可能にする。所与の形成ツールの形状が、所望の非球面光学素子形状に正確に追随しない場合、切削特徴を測定し、次いで、偏差を考慮した後続加工マスタ上でそれを成形することが可能であってもよい。成形された光学素子の層厚等の他の光学素子アセンブリ変数が、形成ツール形状の偏差に適応しうるように変更されてもよいが、近似されていない正確な形成ツール形状を使用することが有利である場合がある。現在のダイヤモンド成形方法は、線および円弧状セグメントの数に制限がある。つまり、4つ以上の線または円弧状セグメントを有する形成ツールは、セグメントのうちの1つに誤差の可能性があるため、製造が困難である場合がある。
図222A〜222Dは、それぞれ、凸状刃先6078A−6078Dを含む、それぞれ、形成ツール6076A−6076Dの実施例を示す。
図222Eは、凹状刃先6080を含む、形成ツール6076Eの実施例を示す。ツール加工技術における現在の制限は、凹状刃先に対し最小半径約350ミクロンを強いる場合があるが、そのような制限は、加工技術の改良によって排除され得る。
図222Fは、角を成す刃先6082を含む、形成ツール6076Fを示す。また、
図222Gに示されるように、凹状および凸状刃先の組み合わせを有するツールも可能である。形成ツール6076Gは、凸状刃先6086および凹状刃先6088の組み合わせを含む、刃先6084を含む。
図222A−222Gのそれぞれにおいて、形成ツールの対応する回転軸6090Aから6090Gは、破点線および湾曲矢印によって示される。
【0413】
形成ツール6076A−6076Gはそれぞれ、ツール回転6090Aから6090Gが完全な光学素子形状を生成するのに伴って、所望の光学素子形状の一部(例えば、半分)のみ組み入れる。光学表面が、後処理および/または研磨を必要とせずに、直接切削されてもよいように、形成ツール6076A−6076Gのエッジ品質が十分に高い(例えば、750×〜1000×エッジ品質)ことが有利である場合がある。典型的には、形成ツール6076A−6076Gは、毎分約5,000〜50,000の回転数(RPM)で回転し、1ミクロン厚のチップがツールの回転毎に除去され得るような比率でプランジ研削されてもよい。このプロセスによって、光学素子を形成するための完全な特徴を数秒で、さらに完全に実装された加工マスタを2または3時間で生成可能にし得る。また、形成ツール6076A−6076Gは、表面勾配制限を有さないという利点を呈し得る。つまり、最大90°の勾配を含む光学素子形状が達成されてもよい。さらに、加工マスタのための適切な加工マスタ材料の選択によって、形成ツール6076A−6076Gのためのツール寿命は、大幅に延長され得る。例えば、ツール6076A−6076Gは、真鍮等の材料から成る加工マスタに個々の光学素子を形成するための数万〜数十万の特徴を生成してもよい。
【0414】
形成ツール6076A−6076Gは、例えば、集束イオンビーム(FIB)機械加工によって成形されてもよい。ダイヤモンド成形プロセスを使用して、形成ツール6076Gの刃先6092等、曲率に複数変化を有する真非球面形状を得てもよい(例えば、凸状/凹状)。エッジ6092上の予測される曲率は、例えば、250ナノメートル未満(最高最低)であってもよい。
【0415】
直接加工によって製造される光学素子を形成するための特徴の表面は、特徴表面上の意図的ツールマークの含有によって、増強されてもよい。例えば、C軸モード切削(例えば、低速ツールサーボ)では、反射防止(AR)回折格子が、修正された切削ツールを利用して、機械加工表面上に加工されてもよい。電磁エネルギに作用するための機械加工特徴上の意図的機械加工マークの加工のさらなる詳細は、
図223〜224を参照して記載される。
【0416】
図223は、部分的立面図における、加工マスタ6096の一部6094の拡大図を示す。加工マスタ6096は、その表面上に形成される複数の意図的機械加工マーク6100を含む、光学素子を形成するための特徴6098を含む。意図的機械加工マーク6100の寸法は、特徴6098の電磁エネルギ誘導機能に加え、意図的機械加工マーク6100が、機能性(例えば、反射防止)を提供するように設計されてもよい。反射防止層の一般的説明は、例えば、Gaylordらの米国特許第5,007,708号、Opheyらの米国特許第5,694,247号、およびHikmetらの米国特許第6,366,335号に見られるであろう(それぞれ、参照することによって本願に援用される)。光学素子を形成するための特徴の形成の際の、そのような意図的機械加工マークの一体化形成は、例えば、
図224に示されるような特殊化されたツール先端の使用によって得られる。
【0417】
図224は、刃先6108上に複数のノッチ6106を形成するように修正された、立面図における、ツール先端6104の部分
図6102を示す。ダイヤモンド切削ツールは、例えば、FIB方法または当技術分野において周知の他の適切な方法を使用する方法で成形されてもよい。実施例として、特徴6098の加工の際、切削エッジ6108が、特徴6098の全体形状を形成し、ノッチ6106が、意図的に、ツール用マーク6100を形成するように、ツール先端6104は構成される(
図223参照)。ノッチ6106の間隔(すなわち、区間6110)は、例えば、作用される電磁エネルギの波長の約半分(または、それ以下)であってもよい。ノッチ6106の深度6121は、例えば、同一波長の約4分の1であってもよい。ノッチ6106は、矩形横断面を有するように示されるが、他の形状を使用して、類似反射防止特性を提供してもよい。さらに、刃先6108の湾曲全体が修正され、ノッチ6106を提供してもよく、または代替として、機械加工構成のB軸位置決め能力が、ツールの通常機械加工のために使用されてもよく、ツール先端6104の同一部分は、常に、切削される表面と接触する。
【0418】
図225および226は、電磁エネルギに作用するための別のセットの意図的機械加工マークの加工を示す。C軸モード切削(例えば、STS方法を使用)では、AR回折格子(フレネル型表面も同様)は、一般的に「半半径ツール」と称されるツールを使用して形成されてもよい。
図225は、加工マスタ6116の部分6114の部分的立面図における拡大図を示す。加工マスタ6116は、その表面上に含まれる複数の意図的機械加工マーク6120を含む、光学素子を形成するための特徴6118を含む。意図的機械加工マーク6120は、
図226に示されるような特殊化されたツール先端によって、光学素子6118として、同時に形成されてもよい。
【0419】
図226は、切削ツール6124の立面図における部分
図6122を示す。切削ツール6124は、ツール先端6128を支持するツール軸6126を含む。ツール先端6128は、例えば、意図的機械加工マーク6120と一致する寸法を有する刃先6130を含む、半半径ダイヤモンド挿入部であってもよい。意図的機械マーク6120の間隔および深度は、例えば、作用される電磁エネルギの所与の波長に対し、区間が波長の約半分であって、高さが波長の4分の1であってもよい。
【0420】
図227〜230は、多軸粉砕およびC軸モード粉砕の両方における、他の意図的機械加工マークの加工に好適な切削ツールを示す。
図227は、回転軸6132のまわりを回転するように構成されるツール軸6130を含む、切削ツール6128を示す。ツール軸6130は、刃先6136を含むツール先端6134を支持する。切削エッジ6136は、突起6140を含むダイヤモンド挿入部6138の一部である。
図228は、ツール先端6134の一部の横断面図を示す。
【0421】
反射防止回折格子は、
図229に示されるように、多軸粉砕における切削ツール6128を使用して生成されてもよい。光学素子を形成するための特徴6144の部分6142は、切削ツール6128の回転と結合される場合、複合螺旋マーク6148を生成する螺旋ツール経路6146を含む。ツール先端6134(
図227に図示)上の1つ以上のノッチおよび/または突起6140の含有を使用して、表面上にポジティブおよび/またはネガティブマークのパターンを生成してもよい。これらの意図的機械加工マークの空間的平均区間は、作用される波長電磁エネルギの約半分であって、深度は、同一波長の約4分の1であってもよい。
【0422】
次に、
図230と関連して
図227から228を参照すると、切削ツール6128は、C軸モード粉砕または機械加工で使用されてもよい(例えば、SPDTの代わりに、回転切削ツールを含む低速ツールサーボ)。この場合、1つ以上のノッチまたは突起6140を含む修正刃先6136は、反射防止回折格子として機能し得る意図的機械加工マークを生成してもよい。光学素子を形成するための別の特徴6150の一部は、
図230に示される。特徴6150は、線形ツール経路6152と螺旋マーク6154とを含む。これらの意図的機械加工マークの空間的平均区間は、作用される電磁エネルギの波長の約半分であって、深度は、波長の約4分の1であってもよい。
【0423】
図231〜233は、一実施形態による、加工される密集加工マスタの実施例を示す。
図231に示されるように、加工マスタ6156は、その上に加工される光学素子を形成するための複数の特徴6160を含む表面6158を形成する。加工マスタ6156は、識別マーク6162と、整合マーク6164および6166とを含んでもよい。特徴6160の全部と、識別マーク6162と、整合マーク6164および6166とは、加工マスタ6156の表面6158上に直接機械加工されてもよい。例えば、整合マーク6164および6166は、特徴6160に対する整合を保持するための特徴6160の生成と同一設定の際に、機械加工されてもよい。識別マーク6162は、粉砕、彫刻、およびFTS等(それらに限定されない)の種々の方法によって追加されてもよく、日付コードまたは製造番号のような識別特徴を含んでもよい。さらに、加工マスタ6156の領域は、付加的整合特徴(例えば、運動学的取り付け具)の含有のために、密集させないまま残すことが可能である(破線楕円によって示される空洞領域6168等)。また、スクライブされた整合光6170が含まれてもよい。そのような整合特徴は、例えば、後続複製プロセスにおいて使用される他の機器に対し、密集加工マスタの整合を促進し得る。さらに、1つ以上の機械的スペーサもまた、特徴6160と同時に加工マスタ上に直接加工されてもよい。
【0424】
図232は、加工マスタ6156の挿入物6172(破線円によって示される)のさらなる詳細を示す。
図232から分かるように、加工マスタ6156は、アレイ構成において、その上に形成される複数の特徴6160を含む。
【0425】
図233は、1つの特徴6160の横断面図を示す。
図233に示されるように、一部の付加的特徴は、加工マスタ6156の「ドータ」を生成する後続複製プロセスにおいて補助となる、特徴6160の形状内に組み込まれてもよい(加工マスタの「ドータ」は、本明細書では、加工マスタの使用によって形成される対応する物品として定義される)。これらの特徴は、特徴6160と並行して、または二次的機械加工プロセス(例えば、平坦端粉砕ビット機械加工)の際に生成されてもよい。
図233に示される実施例では、特徴6160は、凹状表面6174および複製プロセスにおける使用のための円柱形特徴6176を形成する。
図233では円柱形状が示されるが、付加的特徴(例えば、リブ、ステップ等)が含まれてもよい(例えば、複製プロセスの際にシールを確立するため)。
【0426】
光学素子が非円形開口または自由形成/成形形状を含むことは、有利である場合がある。例えば、正方形開口は、検出器に対する光学素子の嵌合を促進し得る。この正方形開口を達成するための方法の1つは、凹状表面6174の生成に加え、加工マスタ上で粉砕操作を実施することである。この粉砕操作は、直径全体未満の一部の直径において生じてもよく、所望の正方形開口形状を含む突起またはアイランドを残して、一定深度の材料を除去してもよい。
図234は、加工マスタ6178を示し、正方形突起6180は、正方形突起6180間の材料を粉砕して取り除くことによって形成され、それによって、正方形突起6180と、加工マスタ6178の周囲に延在するように示される環帯6182のみ残す。
図234は、正方形突起6180を示すが、他の形状(例えば、円形、矩形、8角形、および3角形)も可能である。サブミクロンレベルの公差および光学的品質表面仕上げを有するダイヤモンド粉砕ツールによって、この粉砕を実施することが可能であってもよいが、粗悪な非透過表面が所望される場合、粉砕プロセスは、意図的に、粗機械加工マークを残してもよい。
【0427】
突起6180を生成するための粉砕操作は、光学素子を形成するための特徴の生成に先立って行われてもよいが、処理の順番は、最終加工マスタの品質に影響を及ぼさない場合がある。粉砕操作が行われた後、加工マスタ全体が面削りされ、それによって、突起上部および環帯6182を切削してもよい。加工マスタ6178の面削り後、所望の光学素子形状が、前述のプロセスのうちの1つを使用して直接加工し、環帯6182と光学素子高との間の光学精度公差を可能にしてもよい。加えて、所望に応じて、複製機器に対するZ整合を促進し得るスタンドオフ特徴が、突起6180間に生成されてもよい。
図235は、さらに処理された状態の加工マスタ6178を示す。加工マスタ6178’は、その上に形成される凸状表面6184、6186を含む、複数の修正された正方形突起6180’を含む。
【0428】
紫外線硬化ポリマー等の成形可能材料が、嵌合ドータ部分を形成するための加工マスタ6178’に適用されてもよい。
図236は、
図235の加工マスタ6178’から形成される嵌合ドータ部分6188を示す。成形されたドータ部分6188は、環帯6190と、光学素子を形成するための複数の特徴6192とを含む。特徴6192はそれぞれ、略正方形開口6196内に凹設される凹状特徴6194を含む。
【0429】
複数の特徴6192は、均一サイズおよび形状であるように示されるが、凹状特徴6194は、加工マスタ内の修正された正方形突起6178’の形状を変更することによって、変更されてもよい。例えば、サブセットの修正された正方形突起6180’は、粉砕プロセスを変更することによって、異なる厚さまたは形状に機械加工されてもよい。加えて、充填材料(例えば、流動性および硬化プラスチック)は、修正された正方形突起6180’が、修正された正方形突起6180’の高さをさらに調節するために形成された後、追加されてもよい。そのような充填材料は、例えば、スピンオンされ、許容可能平坦仕様を達成してもよい。凸状表面6184は、加えてまたは代替として、可変表面プロファイルを有してもよい。この技術は、隆起した突起6180’が拡張ツール間隔を提供するため、大きなアレイに凸状光学素子形状を直接機械加工するために、有益である場合がある。
【0430】
加工マスタの機械加工は、加工マスタの材料特性を考慮してもよい。関連材料特性は、材料硬度、脆性、密度、切削容易性、チップ形成、材料係数、および温度を含み得るが、それらに限定されない。また、機械加工ルーチンの特性は、材料特性を考慮して検討されてもよい。そのような機械加工ルーチン特性は、例えば、ツール材料、サイズおよび形状、切削速度、送り速度、ツール軌跡、FTS、STS、加工マスタRPM、およびプログラミング(例えば、G−code)機能性を含んでもよい。仕上がった加工マスタ表面の結果として生じる特性は、加工マスタ材料の特性および機械加工ルーチンの特性に依存する。表面特性は、例えば、表面Ra、カスプサイズおよび形状、バリの存在、コーナー半径、および/または光学素子を形成するための加工特徴の形状およびサイズを含んでもよい。
【0431】
非平面形状(光学素子によく見られるような)を機械加工する場合、切削ツールおよび機械ツールの力学および相互作用は、密集加工マスタの光学的品質および/または加工速度に影響を及ぼし得る問題を生じる場合がある。一般的問題の1つは、加工マスタの表面との切削ツールの衝撃は、機械的振動をもたらし、結果として生じる特徴の表面形状に誤差を生じ得る。この問題に対する解決法の1つは、一実施形態による、ネガティブ仮想データプロセスを使用して、光学素子を形成するための特徴を形成するプロセスにおける種々の状態のおける加工マスタの一部の一連の説明図を示す、
図237〜239と関連して記載される。
【0432】
図237は、加工マスタ6198の一部の横断面図を示す。加工マスタ6198は、機械加工されない材料の第1の領域6200と、機械加工されて取り除かれる材料の第2の領域6202とを含む。境界線6204の所望の形状の輪郭は、第1および第2の領域6200、6202を分離する。境界線6204は、光学素子の所望の形状の部分6208を含む。
図237に示される実施例では、仮想データ平面6206(太破線によって示される)は、線6204の一部と同一平面として画定される。仮想データ平面6206は、境界線6204を辿る切削ツールが、常に、加工マスタ6198と接触するように、加工マスタ6198内にあるように画定される。この場合、切削ツールが、加工マスタ6198に対し一定に偏向されるため、加工マスタ6198と断続的に接触するツールによる衝撃および振動は、実質的に排除される。
【0433】
図238は、部分6208を生成するが、所望に応じて、所望の最終表面6212(太破線によって示される)に対し余剰材料6210、6210’を残す、仮想データ平面6206を利用する機械加工プロセスの結果を示す。余剰材料6210、6210’は、(例えば、研削、ダイヤモンド旋削、またはラップ仕上げによって)面削りされ、所望のサグ値を達成してもよい。
【0434】
図239は、最終特徴6214を含む、加工マスタ6198の修正された第1の領域6200’の最終状態を示す。特徴6214のサグは、面削り操作の際、除去される材料の量を変更することによって、さらに調節されてもよい。この特徴は、部分6208(
図237および
図238参照)を生成するために利用される切削操作および最終表面6212を生成するために利用される面削り操作の交点に形成されるため、特徴6214の上部エッジに形成されるコーナー6216は、鋭利であってもよい。コーナー6216の鋭度は、加工マスタ6198の材料がツールと接触する度に、加工マスタ6198と繰り返し接触しなければならず、したがって、振動または「びびり」が生じ得る、単一機械ツールによって、単独で形成される対応するコーナーの鋭度を上回ってもよい。
【0435】
次に、
図240〜242を参照すると、種々のポジティブ仮想データ表面を使用する加工マスタの処理が記載される。通常操作の際に、加工マスタ6218上に光学素子を形成するための特徴の加工では、切削ツールは、加工マスタ6218の上表面6220に沿って、または平行に辿ってもよい。急激な軌跡変化(例えば、加工マスタの表面に対する、ツール軌跡の勾配の大きいまたは不連続な変化)が接近すると、加工機械は、急激な軌跡変化を予測し、回転を減速し、急激な軌跡変化(それぞれ、破線円6228、6230、および6232によって示される)から生じ得る加速を低減しようと試みるコントローラ内の「先読み」機能によって、自動的に、加工マスタのRPMを減少させてもよい。
【0436】
図240〜242を継続して参照すると、仮想データ技術(例えば、
図237〜
図239に関し記載されるような)は、急激な軌跡変化の効果を緩和するために、
図240〜242に示される実施例に適用されてもよい。
図240〜242に示される実施例では、仮想データ平面6234は、加工マスタ6218の上表面6220上方に画定される。そのような場合、仮想データは、ポジティブ仮想データとして称される場合がある。
図240は、切削ツールが、仮想データ平面6234の代わりに、上表面6220を辿る場合よりも、湾曲特徴表面6236への遷移に急激性が少ない、例示的ツール軌跡6222を含む。
図241は、仮想データ平面6234から特徴表面6236へのツール軌跡6222よりも急激に遷移する、別の例示的ツール軌跡6224を示す。
図242は、
図240に示されるツール軌跡の離散化バージョンを示す。
【0437】
図240〜242に示されるようなポジティブ仮想データの使用は、ツール衝撃力学の深刻度を低減し、機械ツールが回転加工マスタのRPMを減少することを阻害し得る。その結果、加工マスタは、ポジティブ仮想データの使用を伴わない加工と比較して、少ない時間(例えば、14時間ではなく、3時間)で機械加工されてもよい。ツール軌跡は、ポジティブ仮想データ技術で画定されるように、仮想データ平面6234から特徴表面6236に沿って、ツールの軌跡を補間してもよい。特徴表面6236の外側のツール軌跡6222、6224、および6226は、接弧、スプライン、および任意の次数の多項式を含むが、それらに限定されない、任意の適切な数学的形式で表されてもよい。ポジティブ仮想データの使用は、ネガティブ仮想データの使用の際に必要とされ得る部分の面削りの必要性を排除し得るが、
図237〜239に示されたように、依然として、特徴の所望のサグを達成する。ポジティブ仮想データの使用は、急激なツール軌跡変化の発生を低減する仮想ツール軌跡のプログラミングを可能にする。
【0438】
仮想データ技術を実装する際のツール軌跡の画定では、加速(軌跡の二次導関数)およびインパルス(軌跡の三次以上の導関数)を最小限にするために、平滑かつ小さい連続導関数を有することは、補間仮想軌跡にとって有利である場合がある。ツール軌跡におけるそのような突然の変化の最小化は、仕上げが改良され(例えば、低Ra)、所望の特徴サグにより一致する表面をもたらし得る。さらに、STSの使用に加え(または、代わりに)、FTS機械加工が採用されてもよい。FTS機械加工は、低減した最終品質の潜在的欠点(例えば、高Ra)を伴うが、Z軸に沿って非常に少ない重量(例えば、100ポンドを上回る代わりに、1ポンド未満)を振動するため、STSよりも広域な帯域幅(例えば、10倍以上)を提供し得る。しかしながら、FTS機械加工では、ツール衝撃力学は、より高速な機械加工速度のため大幅に異なり、ツールは、いともたやすく、軌跡の急激な変化に反応し得る。
【0439】
図242に示されるように、ツール軌跡6226は、一連の個々の地点(軌跡6226に沿った点によって示される)に離散化されてもよい。地点は、XYZデカルト座標三重項、あるいは類似円柱(rθz)または球面(pθφ)座標表現として表されてもよい。離散化の密度に応じて、完全自由形状加工マスタのためのツール軌跡は、その上に画定される数百万の地点を有してもよい。例えば、10×10ミクロン平方に離散化される直径8インチの加工マスタは、約3億の軌跡点を含んでもよい。より高離散化における12インチ加工マスタは、約10億の軌跡点を含んでもよい。大きなサイズのそのようなデータセットは、機械コントローラに問題を生じ得る。ある場合には、機械コントローラまたはコンピュータにメモリまたは遠隔バッファリングをさらに追加することによって、このデータセットサイズ問題を解決することが可能であってもよい。
【0440】
代替案は、離散化の解像度を低減することによって、使用される軌跡点の数を減少することである。離散化において低減した解像度は、機械ツールの軌跡補間を変更することによって、補償されてもよい。例えば、線形補間(例えば、Gコード G01)は、典型的には、一般的非球面表面を画定するために、多数の地点を必要とする。三次スプライン補間(例えば、Gコード G01.1)または円弧補間(例えば、Gコード G02/G03)等の高次パラメータ化を使用することによって、より少ない地点が、同一ツール軌跡を画定するために必要とされてもよい。第2の解決法は、加工マスタの表面を単一自由形状表面ではなく、光学素子を形成するための類似特徴のアレイまたは複数アレイに離散化された表面として、考慮することである。例えば、1種類の複数の光学素子が形成される加工マスタは、その1種類の素子のアレイとしてみなされてもよく、適切な平行移動および回転が適用される。したがって、その1種類の素子のみ、画定される必要がある。この表面離散化を使用して、データセットのサイズが縮小されてもよい。例えば、それぞれ、1,000の軌跡点を必要とする1,000の特徴を有する加工マスタ上では、データセットは、100万の地点を含むが、離散化および線形変換アプローチの利用は、同等の3,000地点のみ必要とする(例えば、特徴に対し1,000、平行移動および回転三重項に対し2,000)。
【0441】
機械加工操作は、ツールマークを機械加工部分の表面上に残してもよい。光学素子に対し、特定の種類のツール用マークは、散乱を増加させ、有害な電磁エネルギ損失をもたらす、または収差を生じさせ得る。
図243は、その上に画定される光学素子を形成するための特徴6240を有する、加工マスタ6238の一部の横断面を示す。特徴6240の表面6244は、ホタテ状のツールマークを含む。表面6244のサブセクション(破線円6246によって示される)は、
図245に拡大される。
【0442】
図244は、破線円6246内の領域の表面6244の一部の拡大図を示す。特定の近似値を利用して、この例示的ホタテ状の表面の形状は、以下のツールおよび機械の式とパラメータとによって、定義されてもよい。
【0443】
【数11】
[この文献は図面を表示できません]
ここで、:
R
l=一点ダイヤモンド旋削(SPDT)ツール先端半径=0.500mm
h=最高最低カスプ/ホタテ形状の高さ(「ツールインプリント」)=10nm
X
max=特徴6240の半径=100mm
RPM=予測スピンドル速度=150回転数/分(予測スピンドル速度)
f=mm/分で定義される、特徴全体のサジタル送り速度(STSモードで直接制御されない)
w=mmで定義される、ホタテ形状の間隔(すなわち、スピンドル回転当たりのサジタル送り)
t=分(切削時間)
図244を継続して参照すると、カスプ6248は、不規則に形成され、加工マスタ6238からの材料の除去ではなく、重複ツール経路および変形から生じる複数のバリ6250をさらに含み得る。そのようなバリおよび不規則成形カスプは、結果として生じる表面のRaを上昇させ、それとともに形成される光学素子の光学性能に否定的に影響し得る。特徴6240の表面6244は、バリ6250の除去および/またはカスプ6248の円唇化によって、より平滑にされてもよい。実施例として、種々のエッチングプロセスを使用して、バリ6250を除去してもよい。バリ6250は、表面6244の他の部分と比較して、表面積比(すなわち、封入体積によって分割される表面積)が高い特徴であって、したがって、より高速でエッチングされる。アルミニウムまたは真鍮から形成される加工マスタ6238に対し、塩化第二鉄、塩酸を含む塩化第二鉄、リン酸および硝酸を含む塩化第二鉄、過硫酸アンモニウム、硝酸、またはTransene Co.から市販されているAluminum Etchant Type A等の製品の腐食液が使用されてもよい。別の実施例として、加工マスタ6238が、ニッケルから形成またはコーティングされる場合、例えば、5重量部HNO
3+5重量部CH
3COOH+2重量部H
2SO
4+28重量部H
2O等の混合物から形成される腐食液が使用されてもよい。加えて、腐食液は、等方性エッチング作用(すなわち、エッチング速度が、全方向において等しい)を保証するために撹拌して、組み合わせて使用されてもよい。後続洗浄またはスマット除去操作は、一部の金属およびエッチングに対し必要とされる場合がある。典型的スマット除去または光沢エッチングは、例えば、水で希釈された硝酸、塩酸、およびフッ化水素酸の混合物であってもよい。プラスチックおよびガラス加工マスタに対し、バリおよびカスプは、機械的剥離、火炎研磨および/または熱リフローによって処理されてもよい。
図245は、エッチング後の
図244の横断面を示す。バリ6250が除去されていることが理解できるであろう。ウェットエッチングプロセスは、金属をエッチングするためにより一般に使用され得るが、プラズマエッチングプロセス等のドライエッチングプロセスもまた、使用されてもよい。
【0444】
光学素子を形成するために加工された特徴の性能は、特徴の特定の特性の測定によって評価されてもよい。そのような特徴のための加工ルーチンは、測定を利用して、特徴の品質および/または正確度を改良するために調整されてもよい。特徴の測定は、例えば、白色光干渉分光法を使用することによって行われてもよい。
図246は、密集加工マスタ6252の概略図であって、ここでは、特徴の測定方法および加工ルーチンに対する補正の判断方法を図示するように示される。実際に加工されたマスタのうちの選択された特徴6254、6256、6258、6260、6262、6264、6266、6268(集合的に、特徴6254−6268と称される)は、その光学的品質、その結果、採用される機械加工方法の性能を特徴付けるように測定された。
図247〜254は、個別の特徴の測定された表面誤差(すなわち、意図される表面高からの偏差)の等高線
図6270、6272、6274、6276、6278、6280、6282、および6284を示す。個々の等高線図上の太黒矢印6286、6288、6290、6292、6294、6296、6298、および6300は、加工マスタの回転中心から加工マスタ6252上の特徴位置を差すベクトルを示す。つまり、ツールは、このベクトルに直角の方向に、特徴を横断したことになる。
図247〜254から分かるように、最大表面誤差の領域は、太黒矢印によって示されるベクトルに直角の直径に対応する、ツール入口および出口においてである。各等高線は、約40nmの等高線レベルのシフトを表す。
図247〜254に示されるように、測定された特徴は、予測値から約200nmの範囲のサグ偏差を有する。各等高線図に関連付けられるのは、理想的表面に対し測定された表面のRMS値(各等高線図の上方に示される)である。RMS値は、
図247〜254に示される実施例では、約200nm〜300nmで変化する。
【0445】
図247〜254は、機械加工プロセスに関連する、少なくとも2つの系統的効果を示す。第1に、加工される特徴の偏差は、切削方向を中心に略対称である(すなわち、偏差は、「時計回り」切削方向と称される場合がある)。第2に、他の現在利用可能な加工方法によって達成可能なものよりも低いが、これらの図に示されるRMS値は、依然として、加工マスタにおいて所望され得るものよりも高い。さらに、これらの図は、RMS値および対称性の両方が、加工マスタに対し対応する特徴の半径方向かつ方位角位置に対し敏感であるように考えられることを示す。表面誤差の対称性およびRMS値は、測定され得る加工される特徴の特性の実施例であって、結果として生じる測定値は、特徴を生成する加工ルーチンを較正または補正するために利用された。これらの効果は、加工される特徴の性能を損ない、再加工(例えば、面削り)または密集加工マスタの廃棄を必要とする場合がある。再整合は非常に困難であるため、加工マスタの再加工が不可能である場合もあるが、加工マスタの廃棄は、時間およびコストの観点から無駄となり得る。
【0446】
図247〜254に示される系統的効果を緩和するために、加工およびそのような効果の較正または補正の実装の際、特徴を測定することが有利である場合がある。例えば、加工の際に特徴を測定するために(原位置)、付加的能力が機械ツールに追加されてもよい。次に、
図216と関連して
図255を参照すると、機械加工構成6024の修正が示される。多軸機械ツール6302は、計測および較正のために使用され得る、原位置測定サブシステム6304を含む。測定サブシステム6304は、例えば、ツールポスト6032上に搭載されたツール6030と協働して移動するように配置されてもよい。機械ツール6302を使用して、ツールポスト6032に対するサブシステム6304の位置の較正を行ってもよい。
【0447】
較正プロセスの実施例として、形状の照合用に切削特徴を測定するために、加工ルーチンの実行は、一時中断されてもよい。別様に、そのような測定は、加工ルーチンの継続中に行われてもよい。次いで、測定値を使用して、フィードバックプロセスを実装し、残りの特徴に対し、必要に応じて、加工ルーチンを補正してもよい。そのようなフィードバックプロセスは、例えば、切削ツール摩耗、および歩留に影響を及ぼし得る他のプロセス変数を補償してもよい。測定は、例えば、測定される表面に対し作動され、加工マスタ全体に単一または複数掃引を実施する、接触スタイラス(例えば、差動変圧器(LVDT)プローブ)によって行われてもよい。代替案として、測定は、特徴の開口全体にわたって、干渉計によって行われてもよい。測定は、切削ツールが新しい特徴を生成するのと同時に、例えば、既に生成された特徴と接触するLVDTプローブを利用することによって、切削プロセスと並行して行われてもよい。
【0448】
図256は、原位置測定システムを
図255の多軸機械ツール6302への例示的一体化を示す。
図256では、ツールポスト6032は、明確にするために図示されない。ツール6030が、加工マスタ6306上に特徴(例えば、それとともに光学素子を形成するため)を形成する一方、測定サブシステム6304(破線のボックス内に封入)は、加工マスタ6306上のツール6030によって以前に形成された他の特徴(または、その一部)を測定する。
図256に示されるように、測定サブシステム6304は、電磁エネルギ源6308と、ビームスプリッタ6310と、検出器配列6310とを含む。鏡6312は、任意に、例えば、加工マスタ6306から散乱される電磁エネルギを再誘導するために追加されてもよい。
【0449】
図256を継続して参照すると、電磁エネルギ源6308は、ビームスプリッタ6310を通して伝搬する電磁エネルギの平行ビーム6314を生成し、それによって、反射部分6316および透過部分6318として部分的に反射される。第1の方法では、反射部分6316は、基準ビームとして機能し、透過部分6318は、加工マスタ6306(または、その上の特徴)と応答する。透過部分6318は、加工マスタ6306の応答によって変更され、ビームスプリッタ6310を通して、透過部分6318の一部を鏡6312へ後方散乱させる。鏡6312は、透過部分6318のこの部分をデータビーム6320として再誘導する。次いで、反射部分6316およびデータビーム6320は、検出器配列6310によって記録されるインターフェログラムの生成を干渉する。
【0450】
依然として
図256を参照すると、第2の方法では、ビームスプリッタ6310は、基準ビームが生成されないように、時計回りまたは半時計回りに90°回転し、測定サブシステム6310は、透過部分6318からのみ情報を取得する。この第2の方法では、鏡6312は、必要とされない。第2の方法を使用して取得された情報は、振幅情報のみを含んでもよく、または加工マスタ6306が透明である場合、干渉情報を含んでもよい。
【0451】
C軸(および他の軸)が加工ルーチンに符号化されるため、度量衡システムの中心軸に対する特徴の位置は周知である、または判断され得る。測定サブシステム6304は、特定の位置において加工マスタ6306を測定するように誘発されてもよく、または加工マスタ6306を連続的にサンプリングするように設定されてもよい。例えば、加工マスタ6306の連続処理を可能にするために、測定サブシステム6304は、好適な高速パルス(例えば、せん断またはストロボ)レーザまたは数マイクロ秒間隔の閃光を使用して、効果的に、測定サブシステム6304に対する加工マスタ6306の運動を凍結させてもよい。
【0452】
加工マスタ6306の特性に関する測定システム6304によって記録された情報の分析は、例えば、既知の結果へのパターン照合によって、または加工マスタ6306上の同一種の複数の特徴間の相関によって行われもよい。情報および付随する相関の好適なパラメータ化またはパターン照合メリット関数は、フィードバックシステムを使用する機械加工操作の制御および調節を可能にし得る。第1の実施例は、金属加工マスタ内の球面凹状特徴の特性の測定を伴う。回折を無視する場合、そのような特徴から反射される電磁エネルギの画像は、均一明暗度であって、環状に境界されるはずである。特徴が、楕円状に歪曲される場合、検出器配列6310における画像は、非点収差を示し、楕円状に境界されるであろう。したがって、明暗度および非点収差、またはそれらの欠如は、加工マスタ6306の特定の特性を示し得る。第2の実施例は、表面仕上げおよび表面欠陥に関する。表面仕上げが貧弱である場合、表面欠陥からの散乱によって、画像の明暗度は低減し、検出器配列6310において記録される画像は、不均一となり得る。測定システム6304によって記録される情報から判断され、制御のために使用され得るパラメータは、例えば、撮影されたデータの明暗度、縦横比、および均一性を含む。次いで、これらのパラメータのいずれかが、2つの異なる特徴間、同一特徴上の2つの異なる測定間、または加工される特徴と所定の基準パラメータ(特徴の事前計算シミュレーションに基づいたもの等)との間で比較され、加工マスタ6306の特性を判断してもよい。
【0453】
一実施形態では、2つの異なるセンサまたは2つの異なる波長における光学系からの情報の組み合わせは、多くの関連測定値を絶対量に変換する際に役立つ。例えば、光学測定システムに関連するLVDTの使用は、撮影された画像に対する適切な縮尺を判断するために使用され得る(例えば、加工マスタから光学測定システムまでの)物理的距離を提供するのに役立つ可能性がある。
【0454】
そこから特徴を複製するための加工マスタの採用の際、密集加工マスタが、複製機器に対し正確に整合されることが重要である場合がある。例えば、層状光学素子を製造する際の加工マスタの整合は、互いおよび検出器に対する異なる特徴の整合を決定し得る。加工マスタ本体上の整合特徴の加工は、複製機器に対する加工マスタの精密な整合を促進し得る。例えば、ダイヤモンド旋削等の上述の高精度加工方法を使用して、加工マスタ上の特徴と同時に、または同一加工ルーチンの際に、これらの整合特徴を生成してもよい。本願の文脈内では、整合特徴は、別個の物体上の対応する整合特徴と協働するように構成される、加工マスタの表面上の特徴として理解され、加工マスタの表面と別個の物体との間の分離距離、平行移動、および/または回転を画定または示唆する。
【0455】
整合特徴は、例えば、加工マスタの表面と別個の物体との間の相対位置および/または配向を機械的に画定する特徴または構造を含んでもよい。運動学的整合特徴は、上述の方法を使用して加工され得る整合特徴の実施例である。真の運動学的整合は、運動軸の数および物体間に適用される物理的制約の数が合計6つ(すなわち、3つの平行移動および3つの回転)である場合、2つの物体間で充足され得る。疑似運動学的整合は、軸が6つ未満であって、したがって、整合が制約される場合に生じる。運動学的整合特徴は、光学公差(例えば、約数十ナノメートル)において、整合再現性を有するように示されている。整合特徴は、密集加工マスタ本体上であるが、光学素子を形成するための特徴によって密集される領域外に加工されてもよい。加えてまたは任意に、整合特徴は、加工マスタの表面と別個の物体との間の相対配置および配向を示す特徴または構造を含んでもよい。例えば、そのような整合特徴は、視覚システム(例えば、顕微鏡)およびモーションシステム(例えば、ロボット工学)とともに使用され、加工マスタの表面および別個の物体を相対的に位置付けし、アレイ撮像システムの自動化アセンブリを可能にしてもよい。
【0456】
図257は、その上に支持される加工マスタ6324を含む、真空チャック6322を示す。加工マスタ6324は、例えば、ガラス、または一部の着目波長において半透明である他の材料から形成されてもよい。真空チャック6322は、疑似運動学的整合特徴の組み合わせの一部として作用する円柱形素子6326、6326’、および6326”を含む。真空チャック6322は、加工マスタ6328(
図258参照)と嵌合するように構成される。加工マスタ6328は、真空チャック6322上の円柱形素子6326、6326’、および6326”と嵌合する疑似運動学的整合特徴の相補部を形成する、凸状素子6330、6330’、および6330”を含む。図示されるように、真空チャック6322と加工マスタ6328との間の回転運動は、完全に制約されないため、円柱形素子6326、6326’、および6326”と凸状素子6330、6330’、および6330”は、真の運動学的整合ではなく、疑似運動学的整合を提供する。真の運動学的配列は、真空チャック6322の円柱軸に対し、半径方向に整合される円柱形素子6326、6326’、および6326”を有し得る(すなわち、全円柱形素子が、90°回転し得る)。凸状素子6330、6330’、および6330”はそれぞれ、例えば、加工マスタ6328上に機械加工される半球、または加工穴内に正確に載置される精密ツール用ボールであってもよい。運動学的整合特徴の組み合わせの他の実施例は、円錐内にネスティングする球面および球面内にネスティングする球面を含むが、それらに限定されない。別様に、円柱形素子6326、6326’、および6326”および/または凸状素子6330、6330’、および6330”は、真空チャック6322および/または加工マスタ6328の周囲に形成される連続環体の局所近似である。これらの運動学的整合特徴は、例えば、超高精度ダイヤモンド旋削機械を使用して形成されてもよい。
【0457】
整合特徴の異なる組み合わせは、
図259〜261に示される。
図259は、チャック6322の横断面図であって、円柱形素子6326の横断面を示す。
図260および261は、円柱形素子6326および凸状素子6330の組み合わせの定位置での使用に好適であり得る、運動学的整合特徴の代替構成を示す。
図260では、真空チャック6332は、凸状素子6330と嵌合するように構成されるV型ノッチ6334を含む。
図261では、凸状素子6330は、平面表面6338において真空チャック6336と嵌合する。
図260および261に示される運動学的整合特徴の構成は両方、加工マスタ6324と加工マスタ6328との間のZ方向高(すなわち、加工マスタ6324の平面に対し垂直)の制御を可能にする。凸状素子6330は、例えば、光学素子を加工マスタ6328上に形成するための特徴のアレイと同一設定で形成されてもよく、その結果、加工マスタ6324と加工マスタ6328との間のZ方向整合は、サブミクロン公差で制御され得る。
【0458】
図257および258に戻ると、付加的整合特徴の形成が企図される。例えば、
図257および258に示される疑似運動学的整合特徴の組み合わせは、真空チャック6322に対する加工マスタ6328、その結果、Z方向平行移動に対する加工マスタ6324の整合の際に役に立ち得るが、真空チャック6322および加工マスタ6328は、互いに対し回転可能なままであってもよい。
【0459】
解決法の1つとして、回転整合は、加工マスタ6328および/または真空チャック6322上での付加的基準の使用によって達成されてもよい。本願の文脈内では、基準は、加工マスタ6324上に形成され、別個の物体に対する加工マスタ6324の整合を示する特徴であると理解される。これらの基準は、スクライブされた放射状線(例えば、
図258の線6340および6340’参照)、同心円状環体(例えば、
図258の環体6342)、バーニヤ6344、6346、6348、および6350を含んでもよいが、それらに限定されない。放射状線特徴6340は、例えば、スピンドルを固定したまま(回転なし)、深度〜0.5μmで放射状に加工マスタ6328全体にツールを牽引することによって、ダイヤモンド切削ツールで生成されてもよい。それぞれ、真空チャック6322および加工マスタ6328の外周に位置するバーニヤ6344および6348は、スピンドルを固定したまま、深度〜0.5μmで軸方向に真空チャック6322または加工マスタ6328全体にツールを繰り返し牽引し、次いで、ツールを係脱し、スピンドルを回転させることによって、ダイヤモンド切削ツールで生成されてもよい。それぞれ、真空チャック6322および加工マスタ6328の嵌合表面上に位置するバーニヤ6346および6350は、スピンドルを固定したまま、深度〜0.5μmで放射状に加工マスタ6328全体にツールを繰り返し牽引し、次いで、ツールを係脱し、スピンドルを回転させることによって、ダイヤモンド切削ツールで生成されてもよい。同心円状環体は、ごく少量(〜0.5μm)、切削ツールを加工マスタにプランジングする一方、加工マスタ6328を支持するスピンドルを回転させることによって、生成されてもよい。次いで、ツールは、加工マスタ6328から後退され、輪状の細線を残す。これらの放射状および輪状線の交点は、顕微鏡または干渉計を使用して認識され得る。基準を使用する整合は、例えば、透明チャックまたは透明加工マスタを使用することによって促進されてもよい。
【0460】
整合素子の位置および機能は、加工マスタ6324から独立しており、その結果、加工マスタ6324の特定の物理的寸法および特性(例えば、厚さ、直径、平坦性、および応力)は、整合に対し重要ではなくなるため、
図257〜261に示される整合特徴の構成は、特に有利である。加工マスタ厚の公差よりも大きい加工マスタ6324の表面と加工マスタ6328との間の空隙は、環体6342等の整合素子にさらに高さを追加することによって、意図的に形成されてもよい。次いで、加工マスタが公称厚から逸脱する場合、複製ポリマーが、この厚さに単に充填されてもよい。
【0461】
図262は、複製システム6352の例示的実施形態の横断面図を示し、ここでは、共通基盤上への光学素子の複製の際の種々の構成要素の整合を図示するように示される。加工マスタ6354、共通基盤6356、および真空チャック6358は、整合素子6360、6362、および6364の組み合わせによって、互いに対し整合される。真空チャック6358および加工マスタ6354は、例えば、力感知サーボプレス6366を使用して、ともに圧接されてもよい。クランプ力を微制御することによって、システムの再現性は、X、Y、およびZ方向においてミクロン規模となる。適切に整合および圧接されると、UV硬化ポリマー等の複製材料が、加工マスタ6354と共通基盤6356との間に画定される体積6368内に注入されてもよい。別様に、複製材料は、整合および圧接に先立って、加工マスタ6354と共通基盤6356との間に注入されてもよい。続いて、UV硬化システム6370は、ポリマーをUV電磁エネルギに暴露し、ポリマーをドータ光学素子に固体化してもよい。ポリマーの固体化後、加工マスタ6354は、プレス6366によって印加された力を解放することによって、真空チャック6358から離脱されてもよい。
【0462】
複数の異なる機械ツール構成を使用して、光学素子の形成のための加工マスタを製造してもよい。各機械ツール構成は、加工マスタ上への特定の種類の特徴の形成を促進する、特定の利点を有し得る。加えて、特定の機械ツール構成は、特定の種類の特徴の形成において使用され得る、特定の種類のツールの利用を可能にする。さらに、複数のツールおよび/または特定の機械ツール構成の使用は、機械ツールから所与の加工マスタの除去を必要とせずに、非常に高正確度かつ精度で加工マスタを形成するために要求されるすべての機械加工操作を実施する能力を促進する。
【0463】
有利には、光学精度を維持するために、多軸機械ツールを使用して、光学素子のアレイを形成するための特徴を含む加工マスタを形成するステップは、以下のステップのシーケンスを含んでもよい。1)加工マスタをホルダ(チャックまたはその適切な同等物等)に搭載するステップと、2)加工マスタ上で予備的機械加工操作を実行するステップと、3)加工マスタの表面上に、光学素子のアレイを形成するための特徴を直接加工するステップと、4)加工マスタの表面上に、少なくとも1つの整合特徴を直接加工するステップであって、実行するステップと直接加工するステップの際、加工マスタは、加工マスタホルダに搭載されたままである。加えてまたは任意に、加工マスタを支持するためのホルダの予備的機械加工操作は、その上に加工マスタを搭載するステップに先立って行われてもよい。予備的機械加工操作の実施例は、外径を旋削させ、または加工マスタを「面削り」(機械平坦化)し、チャック力(および、その部分が外れた場合に結果として生じる「跳躍」)によって誘発される偏位/変形を最小化することである。
【0464】
図263〜266は、光学素子を形成するための特徴の加工に使用され得る、例示的多軸機械加工構成を示す。
図263は、複数のツールを含む構成6372を示す。第1と第2のツール6374および6376が示されるが、各ツールのサイズおよびZ軸ステージの構成に応じて、付加的ツールが含まれてもよい。第1のツール6374は、X、Y、およびZと付票された矢印によって図示されるように、軸XYZにおける運動度を有する。
図263に示されるように、第1のツール6374は、例えば、STS方法を利用して、加工マスタ6378の表面上に特徴を形成するために配置される。第2のツール6376は、加工マスタ6378の外径(OD)を旋削させるために配置される。第1と第2のツール6374および6376は、両方SPDTツールであってもよく、または一方のツールが、
図234および235と関連して上述されたようなアイランド突起素子等、より大きく精密度の低い特徴を形成するための高速度鋼等の異なる種類であってもよい。
【0465】
図264は、ツール6382(例えば、SPDTツール)と、第2のスピンドル6384とを含む、機械ツール6380を示す。機械ツール6380は、第2のスピンドル6384用のツールのうちの1つの交換を除き、機械ツール6372と同一である。機械ツール6380は、粉砕および旋削の両方を含む機械加工操作に対し有利である。例えば、ツール6382は、表面加工マスタ6368の表面加工、あるいは意図的機械加工マークまたは整合バーニヤの切削をしてもよく、第2のスピンドル6384は、光学素子を形成するための加工マスタ6368の表面上に急勾配または深淵特徴を生成する、形成ツールまたはボールエンドミルを利用してもよい。加工マスタ6368は、第1のスピンドルまたは第2のスピンドル6384上、あるいはアングルプレート等の取り付け素子上に搭載されてもよい。第2のスピンドル6384は、50,000または100,000RPMの高速スピンドル回転であってもよい。100,000RPMスピンドルは、低正確度スピンドル運動の正確度は低いが、高速での材料除去を提供する。スピンドル6384は、例えば、自由形状急勾配を機械加工し、形成ツールを利用可能である一方、ツール6382は、例えば、整合マークおよび基準を形成するために使用され得るため、第2のスピンドル6384は、ツール6382を補完する。
【0466】
図265は、第2のスピンドル6390と、B軸回転運動とを含む、機械ツール6388を示す。機械ツール6388は、有利には、例えば、機械加工される加工マスタの表面外側の切削ツールの非移動中心を回転させるため、およびフライカッタまたは平坦エンドミルによる凸状表面の不連続刻面のために使用されてもよい。図示されるように、第2のスピンドル6390は、加工マスタの搭載に好適である低速5,000または10,000RPMスピンドルである。別様に、
図264の機械ツール6380に付設されて示されるような、高速スピンドルを使用してもよい。
【0467】
図266は、B軸運動と、複数のツールポスト6394および6396と、第2のスピンドル6398とを含む、機械ツール6392を示す。ツールポスト6394および6396は、SPDT、高速度鋼切削ツール、度量衡システム、および/またはそれらの任意の組み合わせを固定するために使用されてもよい。機械ツール6392は、例えば、旋削、粉砕、計測、SPDT、荒旋削、または粉砕を必要とするより複雑な機械加工操作のために使用されてもよい。一実施形態では、機械ツール6392は、ツールポスト6394に付設されたSPDTツール(図示せず)と、ツールポスト6396に付設された干渉計度量衡システム(図示せず)と、スピンドル6398に固定された形成ツール(図示せず)とを含む。B軸の回転は、付加的ツールポストを収容するための付加的空間、またはB軸を使用せずに提供され得るものよりも幅広いツールおよびツール位置を提供し得る。
【0468】
今日において一般的ではないが、ワークピース上に垂設する片持ちスピンドルを組み込む機械ツールが利用されてもよい。片持ち構成では、スピンドルは、アームを介して、XY軸から垂下し、ワークピースは、Z軸ステージ上に搭載される。この構成の機械ツールは、非常に大きな加工マスタを粉砕するために有利である場合がある。さらに、大きなワークピースを機械加工する際、軸摺動の真直度および偏差(真直度誤差)を測定および特徴付けることが重要である場合がある。摺動偏差は、典型的には、1ミクロン未満であり得るが、温度、ワークピース重量、ツール圧力、および他の刺激によっても影響される。これは、短距離の進行に対しては問題ではない場合がある。しかしながら、大部分を機械加工する場合、補正値のルックアップテーブルが、線形軸または回転軸用にソフトウェアまたはコントローラに組み込まれてもよい。また、ヒステリシスも、機械移動における偏差を生じさせ得る。ヒステリシスは、完全機械加工操作の際に、軸を一方向に操作することによって回避され得る。
【0469】
一連の機械加工操作および形成される特徴の測定を実施することによって、複数のツールが、位置的に関連されてもよい。例えば、各ツールに対し、1)機械座標の初期設定が設定され、2)半球等の第1の特徴が、ツールを使用して表面上に形成され、3)ツール上またはツール外干渉計等の測定配列を使用して、形成された試験表面の形状およびそこからの偏差を判断してもよい。例えば、半球が切削された場合、半球の規定(例えば、半径および/または深度の偏差)からの偏差は、機械座標の初期設定とツールの「真」の機械座標との間のオフセットに関連し得る。偏差の分析を使用して、ツールのための機械座標の補正設定が判断され、次いで、設定されてもよい。この手順は、任意の数のツールに対し行われてもよい。GコードコマンドG92(「座標系設定」)を利用して、座標系オフセットが、各ツールに対し格納およびプログラムされてもよい。また、
図255のサブシステム6304等のツール上測定サブシステムは、ツール外干渉計の代わりに、形成された試験表面の形状を判断するために、ツール上測定サブシステムを利用して、任意のツールに位置的に関連させてもよい。C軸スピンドルおよびBまたはZ軸上に搭載された第2のスピンドル等の2つ以上のスピンドルを有する機械構成に対し、その上に搭載されたスピンドルまたはワークピースは、全指示振れ(「TIR」)を測定する一方、その軸上でいずれかのスピンドルを回転させ、続いて、XYのC軸を移動させることによって、位置的に(例えば、同軸上に)関連付けられてもよい。上述の方法は、任意の方向に1ミクロンよりも細かく、機械ツールサブシステム、軸、およびツール間の位置関係を判断することになり得る。
【0470】
図267は、意図的機械加工マークを含む、1つの機械加工表面を形成するために好適な、例示的フライカッティング構成6400を示す。フライカッティング構成6400は、
図265の構成6388等の2つのスピンドル機械構成を選択することによって実現されてもよい。フライカッティングツール6402は、C軸スピンドルに付設され、加工マスタ6404に対し係合および回転する。加工マスタ6404に対するフライカッティングツール6402の回転は、加工マスタ6404の表面上に一連の溝6406をもたらす。加工マスタ6404は、1回目に120°、次いで、2回目に120°、第2のスピンドル6408上で回転されてもよく、溝彫り操作は、毎回行われてもよい。結果として生じる溝パターンは、
図268に示される。溝パターンの形成に加え、フライカッティング構成は、有利には、加工マスタ表面を平坦かつスピンドル軸に対し垂直にするために使用されてもよい。
【0471】
図268は、
図267のフライカッティング構成を使用して形成される、部分的立面図における、例示的機械加工表面6410を示す。第2のスピンドルを毎回120°達成することによって、一連の3角形または6角形の意図的機械加工マーク6412が、表面上に形成されてもよい。一実施例では、意図的マーク6412を使用して、加工マスタから形成される光学素子にARレリーフパターンを形成してもよい。例えば、半径120nmの切削先端を有するSPDTは、間隔約400nm、深さ100nmの溝を切削するために使用されてもよい。形成された溝は、ポリマー等の好適な材料に形成される場合、約400〜700nmの波長に対しAR効果を提供するであろう、ARレリーフ構造を形成する。
【0472】
加工マスタ上への光学素子の加工に有用であり得る別の加工プロセスは、QED Technologies,Inc.の磁性流体研磨法(MRF(登録商標))である。さらに、加工マスタは、例えば、STS/FTS、多軸粉砕、および多軸研削アプローチ、または全く別のアプローチのうちの1つを使用する、配向、整合、および識別のためのマーク等の光学素子以外の付加的特徴によってマークされてもよい。
【0473】
本開示の教示は、例えば、8インチ以上の加工マスタ上への複数の光学素子の直接加工を可能にする。つまり、加工マスタ上の光学素子は、例えば、完全密集加工マスタを形成するために、加工マスタの小セクションの複製を必要とせずに、直接加工によって形成されてもよい。直接加工は、例えば、機械加工、粉砕、研削、ダイヤモンド旋削、ラップ仕上げ、研磨、フライカッティング、および/または特殊化されたツールの使用によって行われてもよい。したがって、複数の光学素子が、少なくとも1次元(X、Y、およびZ方向のうちの少なくとも1つ等)においてサブミクロンの精度および互いに対するその相対位置においてサブミクロンの正確度を有し、加工マスタ上に形成され得る。種々の回転対称、回転非対称、および非球面表面を有する加工マスタが、高い位置決め正確度で加工され得るように、本開示の機械加工構成は、柔軟である。つまり、1つまたは数個の光学素子の群を形成し、ウエハ上にそれらを複製するステップを伴う、加工マスタを製造する従来技術の方法と異なり、本明細書で開示される機械加工構成は、1つの加工ステップで、加工マスタ全体に、複数の光学素子および種々の他の特徴(例えば、整合マーク、機械的スペーサ、および識別特徴)の加工を可能にする。加えて、本開示による、特定の機械加工構成は、そこを通る電磁エネルギの伝搬に作用する表面特徴を提供し、それによって、意図的機械加工マークを光学素子の設計に組み込むために、光学素子の設計者に、付加的自由度を提供する。特に、本明細書で開示される機械加工構成は、上述のように、C軸位置決めモード機械加工、多軸粉砕、および多軸研削を含む。
【0474】
図269〜272は、例示的層状光学素子の加工の3つの別個の方法を示す。説明のために使用される層状光学素子は、3層以下を含むが、これらの方法で生成され得る層の数に上限はないことに留意されたい。
【0475】
図269は、共通基盤が、共通基盤上に層状光学素子を形成するために、高および低屈折率材料の交互層でパターン化されるプロセスフローを記載する。上述のように、層状光学素子は、共通基盤の一部に光学的に接続される、少なくとも1つの光学素子を含む。
図269は、説明の明確性のために、層状光学素子の単一層の形成を示す。しかしながら、
図269のプロセスは、共通基盤上に層状光学素子のアレイを形成するために使用可能である(および、恐らく使用される)。共通基盤は、例えば、シリコンウエハ上に形成されるCMOS検出器のアレイであってもよい。この場合、層状光学素子のアレイおよび検出器のアレイの組み合わせは、アレイ撮像システムを形成し得る。工程図によって示される方法は、それぞれ、粘着剤または表面放出剤で処理可能な共通基盤および加工マスタから開始する。このプロセスでは、成形可能材料のビードが、加工マスタまたは共通基盤上に蒸着される。本明細書で開示される成形可能材料のうちの任意の1つであってもよい成形可能材料は、加工マスタを共形的に充填するために選択されるが、処理後に硬化または強固可能であるべきである。例えば、成形可能材料は、紫外線電磁エネルギまたは高温に暴露することによって硬化する、市販の光学ポリマーであってもよい。また、連行気泡によって生じ得る光学欠陥の潜在性を緩和するために、成形可能材料は、共通基盤に適用される前に、真空作用によって脱気されてもよい。
【0476】
図269は、一実施形態による、層状光学素子を加工するためのプロセス8000を示す。ステップ8002では、成形可能材料8004A(例えば、UV硬化性ポリマー)は、CMOS検出器のアレイを含むシリコンウエハであってもよい共通基盤8006と、ウエハスケール加工マスタ8008Aとの間に蒸着される。加工マスタ8008Aは、精密な公差の下機械加工され、成形可能材料の使用によって成形され得る層状光学素子のアレイを画定するための特徴を呈する。加工マスタ8008Aの共通基盤8006との係合は、加工マスタ8008Aの光学素子のアレイを画定するための内部空間または特徴の設計によって、成形可能材料8004Aを所定の形状に形成する。成形可能材料8004Aは、所望の屈折率と、材料の非硬化または硬化状態における設計配慮に関連する、粘度、接着性、およびヤング係数等の他の材料特性とを提供するように選択されてもよい。マイクロピペットアレイまたは制御体積噴射式ディスペンサ(図示せず)を使用して、必要に応じて、精密な量の成形可能材料8004を送達してもよい。成形可能材料および関連硬化ステップに関係して本明細書で記載されるが、光学素子を形成するプロセスは、成形可能材料の熱エンボス加工等の技術を利用することによって行われてもよい。
【0477】
ステップ8010は、概して本明細書に記載されるような技術を使用して、精密な整合下、共通基盤8006を係合する加工マスタ8008Aとともに成形可能材料を硬化するステップを伴う。成形可能材料8004Aは、加工マスタ8008Aによって成形されるように成形可能材料8004Aを強固にするために、光学的または熱的に硬化されてもよい。成形可能材料8004Aの反応性に応じて、紫外線灯8012等の活性剤は、例えば、半透明または透明加工マスタ8008Aを通って伝達され得る紫外線電磁エネルギ源として使用されてもよい。半透明および/または透明加工マスタは、本明細書で後述される。成形可能材料8004Aを硬化する化学反応は、体積および/または線形寸法において、成形可能材料8004Aを等方的または異方的に収縮させ得ることを理解されるであろう。例えば、多くの一般的UV硬化性ポリマーは、硬化に応じて、3%〜4%の線形収縮を呈する。故に、加工マスタ本体は、この収縮に適合する付加的体積を提供するように、設計および機械加工されてもよい。得られた硬化された成形可能材料8014Aは、加工マスタ8008Aに従って、所定の設計の形状を保持する。ステップ8016に示されるように、硬化された成形可能材料は、加工マスタが係脱され、層状光学素子8014の第1の光学素子8014Aを形成した後、共通基盤8006上に保持される。
【0478】
ステップ8018では、加工マスタ8008Aは、第2の加工マスタ8008Bと置換される。加工マスタ8008Bは、層状光学素子のアレイを画定するための特徴の所定の形状において、加工マスタ8008Aと異なってもよい。第2の成形可能材料8004Bは、層状光学素子の単一層8014Aまたは加工マスタ8008B上に蒸着される。第2の成形可能材料8004Bは、屈折率等、成形可能材料8004Aによって提供されるものと異なる材料特性を生じるように選択されてもよい。この「B」層にステップ8002、8010、8016を繰り返すことによって、硬化された成形可能材料層をもたらし、層状光学素子8014の第2の光学素子を形成する。このプロセスは、所定の設計の層状光学素子内の全光学系(光学素子、スペーサ、開口等)を画定するために必要な光学素子の層に対し繰り返してもよい。
【0479】
成形可能材料は、強固後の材料の光学特性と、強固中および後の材料の機械的特性との両方に関して選択される。一般に、光学素子のために使用される場合の材料は、着目波長帯域を通して、高透過率、低吸光度、および低分散を有するはずである。開口またはスペーサ等の他の光学系を形成するために使用される場合、材料は、高吸光度、または透過性光学素子との使用に通常好適ではない他の光学特性を有してもよい。機械的に、材料は、撮像システムの動作温度および湿度範囲を通して、材料の膨張が、許容可能指標を超えて、撮像性能を低減しないようにも選択されるべきである。材料は、硬化プロセスの際の許容可能収縮およびガス放出に対し選択されるべきである。さらに、材料は、撮像システムのパッケージングの際に使用され得る、はんだリフローおよびバンプ接合等のプロセスに対し耐性を有するべきである。
【0480】
層状光学素子の個々の層がすべてパターン化されると、必要に応じて、保護特性を有し、電磁エネルギ遮断開口をパターン化するために所望の表面であり得る上層(例えば、光学素子8014Bによって表される層)に、1つの層が適用されてもよい。この層は、ガラス、金属、またはセラミック材料等の剛性材料であってもよく、あるいは層状光学素子のより優れた構造的完全性を促進するための封入材料であることが可能である。スペーサが使用される場合、スペーサのアレイは、スペーサのアレイ内の貫通孔が、層状光学素子と適切に整合されるように考慮して、注意して、共通基盤または層状光学素子の形成層のいずれかのヤード領域と接合されてもよい。封止材が使用される場合、封止材は、層状光学素子の周囲に、液状で分注されてもよい。次いで、封止材は、必要に応じて、強固され、平坦化層によって堆積されることが可能である。
【0481】
図270Aおよび270Bは、
図269に示されるプロセス8000の変形例を提供する。プロセス8020は、非常に精密な整合で構成される加工マスタと、共通基盤と、真空チャックとともに、ステップ8022から開始する。この整合は、受動的または能動的整合特徴およびシステムによって提供されてもよい。能動的整合システムは、加工マスタと、共通基盤と、真空チャックとを位置付けるための視覚システムおよびロボット工学を含む。受動的整合システムは、運動学的取り付け具配列を含む。加工マスタと、共通基盤と、真空チャックの上に形成される整合特徴は、任意の順番で、互いに対しこれらの素子を位置付けるために使用してもよく、または外部座標系または基準に対し、これらの素子を位置付けるために使用してもよい。共通基盤および/または加工マスタは、ステップ8024において、加工マスタを表面放出剤で処理するステップ、ステップ8026において、共通基盤(または、その上に形成される任意の光学素子)上に開口または整合特徴をパターン化するステップ、ステップ8028において、共通基盤を粘着促進剤で調節するステップ等の作用を実施することによって処理されてもよい。ステップ8030は、加工マスタおよび共通基盤の一方または両方上に硬化性ポリマー材料等の成形可能材料を蒸着するステップを伴う。加工マスタおよび共通基盤は、ステップ8032において、正確に整合され、精密な位置付けを保証するシステムを使用して、ステップ8034において係合される。
【0482】
紫外線灯または熱源等の発生源は、ステップ8036において、成形可能材料を強固状態に硬化する。成形可能材料は、例えば、UV硬化性アクリルポリマーまたはコポリマーであってもよい。また、成形可能材料は、冷却によって強固になるプラスチック溶融樹脂または低温ガラスから蒸着および/または形成されてもよいことを理解されるであろう。低温ガラスの場合、ガラスは、蒸着に先立って加熱され、冷却によって強固になる。加工マスタおよび共通基盤は、ステップ8038において、係脱され、共通基盤上に成形可能材料を残す。
【0483】
ステップ8040は、層状光学素子の全層が加工されたかどうか判断するためのチェックである。そうではない場合、反射防止コーティング層、開口、または光遮断層が、任意に、ステップ8042において、最後に形成された層状光学素子の層に適用されてもよく、プロセスは、ステップ8044において、次の加工マスタまたは他のプロセスを開始する。成形可能材料が強固し、共通基盤上に接合されると、加工マスタは、共通基盤および/または真空チャックから係脱される。次の加工マスタが選択され、プロセスは、すべての意図される層が生成されるまで繰り返される。
【0484】
より詳細に後述されるように、上述の層状光学素子に加え、空隙または可動部分を有する撮像システムを生成することは有用である場合がある。そのような例では、スペーサのアレイを使用し、空隙または可動部分を収容することが可能である。ステップ8040が、全層が加工されたと判断する場合、ステップ8046において、スペーサの種類を判断することが可能である。スペーサが望ましくない場合、ステップ8048において、生成物(すなわち、層状光学素子のアレイ)が産出される。ガラススペーサが望ましい場合、ガラススペーサのアレイが、ステップ8050において、共通基盤に接合され、開口が、ステップ8052において、層状光学素子上に載置され、必要に応じて、ステップ8048において、生成物を産出してもよい。ポリマースペーサが必要とされる場合、充填ポリマーが、ステップ8054において、層状光学素子上に蒸着されてもよい。充填剤は、ステップ8056において、硬化され、ステップ8058において、平坦化されてもよい。開口は、層状光学素子上に載置8060され、必要に応じて、生成物8048を産出してもよい。
【0485】
図271A〜Cは、プロセスのための加工マスタ形状を示し、層状光学素子の連続層の外寸は、各採用加工マスタと接触するポテンシャル面を減少し、各連続層のヤード領域を利用可能にする各形成層とともに、連続的に形成され得るように設計される。加工マスタは、層状光学素子、共通基盤、および真空チャック「上」に位置するように
図271A〜Cでは示されるが、この配列を反転することが有利である場合がある。反転配列は、硬化されない場合、加工マスタの陥凹部分内に保持され得る低粘度ポリマーとの使用に特に好適である。
【0486】
図271A〜271Cは、層状光学素子のアレイの形成を表す一連の横断面を示し、各層状光学素子は、各後続形成光学素子が、先行光学素子よりも小さい外径を有する「レイヤケーキ」設計の3層の光学素子(例えば、光学素子)を含む。レイヤケーキ設計と横断面が異なる、
図273および274に示されるような構成は、レイヤケーキ構成を形成するのと同一プロセスによって形成されてもよい。構成の得られた横断面は、本明細書に記載のヤード特徴における特定の変化と関連付けられ得る。検出器のアレイであってもよい共通基盤8062は、上述のような運動学的整合特徴を含む真空チャック8064上に搭載される。加工マスタ8066と正確に整合させるために、共通基盤8062は、最初に、真空チャック8064に対して正確に整合されてもよい。続いて、個々の加工マスタ8066A、8066B、8066Cの運動学的整合特徴は、真空チャック8064の運動学的特徴と係合し、加工マスタとの精密な整合に真空チャック8064を載置する。それによって、加工マスタ8066および共通基盤8062を正確に整合する。層状光学素子8068、8070、および8072の形成後、複製層状光学素子間の領域は、平坦化、光遮断、電磁干渉(「EMI」)遮蔽、または他の用途に使用される硬化性ポリマーまたは他の材料で充填されてもよい。故に、第1の蒸着は、共通基盤8062上に光学素子8068の層を形成する。第2の蒸着は、光学素子8068上に光学素子8070の層を形成し、第3の蒸着は、光学素子8070上に光学素子の層8072を形成する。成形プロセスは、有効口径(ヤード領域内)外側の開放空間8074内に小量の余剰材料を押入し得ることを理解されるであろう。破断線8076および8078は、
図271A〜271Cに示される素子が正確な縮尺で描かれておらず、任意の寸法であってもよく、概して、光学素子8080として表される任意の数の層状光学素子のアレイを含んでもよいことを示すために図示される。
【0487】
図272Aから272Eは、層状光学素子のアレイを形成するための代替プロセスを示す。成形可能材料は、マスタ金型の空洞内に蒸着され、次いで、加工マスタは、マスタ金型と係合し、成形可能材料は空洞に形成される。それによって、層状光学素子の第1の層を形成する。加工マスタが係合されると、成形可能材料は、硬化され、加工マスタは、構造から係脱される。次いで、プロセスは、
図272Eに示されるように、第2の層に対し繰り返される。共通基盤(図示せず)は、光学素子の最終形成層に適用され、それによって、層状光学素子のアレイを形成してもよい。
図272Aから272Eは、3つの2層の層状光学素子のアレイの形成を示すが、
図272Aから272Eに示されるプロセスを使用して、任意の数の層の層状光学素子の任意の数量のアレイを形成してもよい。
【0488】
一実施形態では、マスタ金型8084は、マスタ金型8084を補強するための随意の剛性基板8086と組み合わせて使用される。例えば、PDMSから形成されるマスタ金型8084は、金属、ガラス、またはプラスチック基板8086によって支持されてもよい。
図272Aに示されるように、金属または電磁エネルギ吸収材料等の不透明材料の環状開口8088、8090および8092は、ウェル8094、8096、8098のそれぞれ内に同心円状に載置される。
図272Bのウェル8096に関し示されるように、所定の数量の成形可能材料8100が、ウェル8096内にマイクロピペットまたは制御体積を噴射分注することによって載置されてもよい。
図272Cに示されるように、加工マスタ8102は、ウェル8096と正確に配置される。加工マスタ8102のマスタ金型8084との係合は、成形可能材料8100を成形し、余剰材料8104を加工マスタ特徴8108とウェル8096との間の環状空間8106内に付勢する。例えば、マスタ金型8084からの加工マスタ8102の後続係脱を伴う、UV電磁エネルギおよび/または熱エネルギの作用による成形可能材料の硬化によって、
図272Dに示される硬化光学素子8107を残される。第2の成形可能材料8109(例えば、液体ポリマー)は、
図272Eに示されるように、光学素子8107上に蒸着され、第2の加工マスタ(図示せず)を使用して成形するために調製する。層状光学素子のアレイ内に付加的層状光学素子を形成するこのプロセスは、任意の回数繰り返されてもよい。
【0489】
例証的非制限目的のため、
図273および274に示される例示的層状光学素子構成は、
図271A〜271Cおよび
図272A〜272Eの代替方法から生じる層状光学素子構成間の比較を提供するために使用される。本明細書に記載の任意の加工方法、またはそれらの一部の組み合わせは、任意の層状光学素子構成またはその一部の加工のために使用され得ることを理解されたい。
図273は、
図271A〜271Cに示される方法に対応し、
図274は、
図272A〜272Eの方法に対応する。成形技術は、非常に異なる全体層状光学素子8110および8112を生成するが、線8116および8116’内の構造8114の同一性が存在する。線8116および8116’は、個々の層状光学素子8110および8112の透明な開放開口を画定し、線8116および8116’の半径方向外側の材料は、余剰材料またはヤードを構成する。
図273に示されるように、層8118、8120、8121、8122、8124、8126、および8128は、その形成の連続的順番で番号が付されており、共通基盤から上方に逐次的に蒸着されたことを示す。これらの層のうちの隣接するものは、例えば、1.3〜1.8の範囲の屈折率を提供されてもよい。層状光学素子8110は、
図3の「レイヤケーキ」設計と異なり、その連続的層内の271は、逐次的に小さくなる直径ではなく、交互直径で形成される。層状光学素子のヤード領域の異なる設計は、光学素子サイズおよび成形可能材料特性等の処理パラメータでの調整に有用である場合がある。対照的に、
図274に示されるように、連続的に番号が付された層8130、8132、8134、8136、8138、8140、および8142は、
図272A〜Eの方法に従って、層8130が最初に形成されたことを示す。この構成は、検出器の画像領域直近の光学素子の直径が検出器から離れたものよりも小さい場合に好ましい。加えて、
図274に示される構成は、
図272A〜272Eの方法に従って形成される場合、開口8088等の開口のパターン化のための便宜的方法を提供し得る。上述の例示的構成は、層状光学素子の層の形成の特定の順番に関連付けられるが、これらの形成の順番は、順序逆転、再番号付与、置換、および/または省略等によって、修正されてもよいことを理解されたい。
【0490】
図275は、波面符号化アプリケーションで使用され得る位相修正素子を形成するための複数の特徴8146および8148を含む、部分的立面図における、加工マスタ8144の一部を示す。図示されるように、各特徴の表面は、8倍の対称「8角形」素子8150および8152を有する。
図276は、
図275の線276−276’に沿った加工マスタ8144の横断面図であって、表面8154を形成するヤードによって外接されたファセット表面8152を含む、位相修正素子8148のさらなる詳細を示す。
【0491】
図277A〜Cは、1つまたは2つの側面の共通基盤上に層状光学素子を形成するステップに関連する、一連の横断面図を示す。そのような層状光学素子は、それぞれ、片面または両面WALOアセンブリと称される場合がある。
図277Aは、
図271Aに示される共通基盤8062に対する同様の方法で処理された共通基盤8156を示す。小型レンズを含む検出器のアレイを有するシリコンウエハであってもよい共通基盤8156は、上述の運動学的整合特徴を含む真空チャック8158上に搭載される。加工マスタ8164の運動学的整合特徴8160は、真空チャック8158の対応する特徴と係合し、加工マスタ8164との精密な整合内に共通基盤8156を位置付ける。複製層状光学素子間の領域は、硬化ポリマー、あるいは平坦化、光遮断、EMI遮蔽、または他の用途のために使用される他の材料で充填されてもよい。故に、第1の蒸着は、共通基盤8156の片面8174上に光学素子8166の層を形成する。
図277Bは、真空チャック8158が係脱された共通基盤8156を示し、ここで、共通基盤8156もまた、加工マスタ8164内に保持される。
図277Cでは、第2の蒸着は、加工マスタ8168を使用して、共通基盤8156の第2の側面8172上に光学素子8170の層を形成する。この第2の蒸着は、運動学的整合特徴8176の使用によって促進される。また、運動学的整合特徴8176は、層8166と8170との表面間の距離を画定し、したがって、共通基盤8156の厚さ変動または厚さ公差は、運動学的整合特徴8176によって補償されてもよい。
図277Dは、加工マスタ8164が係脱された共通基盤8156上に得られた構造8178を示す。光学素子8166の層は、光学素子8180、8182、および8190を含む。付加的層が、光学素子8166および/または8170の一方または両方の上部に形成されてもよい。アセンブリは、真空チャック8158または加工マスタ8164の一方に搭載されたままであるため、共通基盤8156の整合は、運動学的整合特徴8176に対し維持されてもよい。
【0492】
図278は、複数の円柱形貫通孔8194、8196、および8198を含む、スペーサの事前形成アレイ8192を示す。スペーサ8192のアレイは、ガラス、プラスチック、または他の好適な材料で形成されてもよく、厚さ約100ミクロン〜1mm以上を有してもよい。
図279Aに示されるように、スペーサ8192のアレイは、共通基盤8156に付着するために、光学系8178のアレイ(
図277D参照)上に整合および配置されてもよい。
図279Bは、スペーサ8192のアレイの上部に付着された第2の共通基盤8156’を示す。光学素子のアレイは、加工マスタ8200を使用して、共通基盤8156’上に前もって形成され、その上に保持されてもよい。次いで、加工マスタ8200は、運動学的整合特徴8202の使用によって、加工マスタ8168と正確に整合されてもよい。
【0493】
図280は、スペーサ8192と接続された共通基盤8156および8156’を含む、層状光学素子の得られたアレイ撮像システム8204を示す。層状光学素子8206、8208、および8210はそれぞれ、光学素子および空隙から形成される。例えば、層状光学素子8206は、空隙8212を提供するように構成および配列される光学素子8166、8166’、8170、8170’から形成される。空隙を使用して、その個々の撮像システムの光強度を改良してもよい。
【0494】
図281から283は、スペーサ素子の使用によって、光学系の集合体から形成され、1つ以上の光学系の移動のための余地を提供し得る、ウエハスケールズーム撮像システムの横断面を示す。撮像システムの各セットの光学系は、共通基盤の片面または両面上に1つ以上の光学素子を有してもよい。
【0495】
図281A〜281Bは、2つの可動両面WALOアセンブリ8216および8218を有する、撮像システム8214を示す。WALOアセンブリ8216および8218は、ズーム構成の中心および第1の可動群として利用される。中心および第1の群の移動は、運動が、定数であるΔ(xl)/Δ(x2)に比例するように、比例スプリング8220および8222の利用によって支配される。ズーム移動は、WALOアセンブリ8218上の力Fの作用によって生じる距離X1、X2を調節する相対移動によって達成される。
【0496】
図282および283は、両面WALOアセンブリから形成される中心群を利用する、ウエハスケールズーム撮像システムの横断面図を示す。
図282A〜282Bでは、WALOアセンブリ8226は、ソレノイド8228からの起電力が、
図282Aに示される位置8230と、
図282Bに示される位置8232との間でWALOアセンブリ8226を移動可能なように、強磁性材料で含浸される。
図283A〜283Bでは、WALOアセンブリ8236は、必要に応じて、流入8246および8248と流出8250および8252とを可能にし、水圧または空気圧の作用によって、中心群8236を再位置付けする、個々のオリフィス8242および8244と結合されるリザーバ8238および8240を分離する。
【0497】
図284は、真空チャック8256と、加工マスタ8258と、視覚システム8260とを含む、整合システム8254の立面図を示す。ボールおよび円柱形特徴8262は、真空チャック8256に付設される取り付けブロック8264内の円柱形ボア内に搭載されるスプリング偏向式ボールを含む。制御係合の一方法では、加工マスタ8258および真空チャック8256は、加工マスタ8258と真空チャック8256との間の係合前に、θ方向に互いに対し配置されるため、ボールおよび円柱形特徴8262は、加工マスタに付設された当接ブロック8266と接触する。この係合は、視覚システム8260が、加工マスタ8258上の指標マーク8268と真空チャック上の指標マーク8270との間の相対位置整合を判断すると、電子的に感知されてもよい。また、これらの指標マーク8268および8270は、バーニヤまたは基準であってもよい。視覚システム8260は、ロボット位置制御を提供するための信号を解釈する、コンピュータ処理システム(図示せず)に送信される信号を生成する。解釈結果は、疑似運動学的整合をZおよびθ方向に駆動する(本明細書に記載されるように、半径方向R整合は、真空チャック8256および加工マスタ8258上に形成される環状疑似運動学的整合特徴によって制御されてもよい)。上述の実施例では、受動的機械的整合特徴および視覚システムは、加工マスタおよび真空チャックを位置付けるために、協働可能に使用される。別様に、受動的機械的整合特徴および視覚システムは、位置付けのために個々に使用されてもよい。
図285は、加工マスタ8258と真空チャック8256との間に形成される層状光学素子のアレイ8274を有する共通基盤8272を示す、横断面図である。
【0498】
図286は、
図284における整合システムの上面図を示し、透明または半透明システム構成要素の使用を図示する。非透明または非半透明加工マスタの場合に、通常隠れる特定の特徴は、破線として示される。円形破線は、指標マーク8278および層状光学素子8274との外周を含む、共通基盤8272の特徴を示す。加工マスタ8258は、少なくとも1つの円形特徴8276を有し、整合のために使用され得る指標マーク8268を呈する。真空チャック8256は、指標マーク8270を呈する。共通基盤8272が真空チャック8256内に配置されるため、指標マーク8278は、指標マーク8270と整合される。視覚システム8260は、ナノメートルスケールの精密度で指標マーク8268および8270の整合を感知し、θ回転によって整合を駆動する。共通基盤8272の表面の垂線に対し垂直な平面に配向されるように
図286では示されるが、視覚システム8260は、任意の必要な整合または指標マークを観察可能な他の方法で配向されてもよい。
【0499】
図287は、その上に搭載された共通基盤8292を有する真空チャック8290の立面図を示す。共通基盤8292は、層状光学素子のアレイ8294、8296、および8298を含む(説明の明確性を促進するために、層状光学素子のすべてが、付票されているわけではない)。層状光学素子8294、8296、および8298は、3層を有するように示されるが、実際の共通基盤は、より多くの層を有する層状光学素子を保持してもよいことを理解されたい。VGA解像度CMOS検出器に好適な約2,000の層状光学素子は、直径8インチの共通基盤上に形成されてもよい。真空チャック8290は、運動学的取り付け具の一部を形成する円錐台形特徴8300、8302、および8304を有する。
図288は、それぞれ、真空チャック8290および加工マスタ8313上に配置される円錐台形特徴8304と8310との間の整合を提供する、ボール8306および8308を有する真空チャック8290内に搭載される共通基盤8292の横断面図である。
【0500】
図289は、
図286に示されるシステム8254と関連して使用するために、透明、半透明、または熱伝導性領域を含み得る、加工マスタの構造の2つの代替方法を示す。
図289は、その表面運動学的特徴8326上に画定される異なる包囲特徴8324に付設される透明、半透明、または熱伝導性材料8322を含む、加工マスタ8320の横断面図である。材料8322は、アレイ光学素子を形成するための特徴8334を含む。材料8322は、ガラス、プラスチック、あるいは他の透明または半透明材料であってもよい。別様に、材料8322は、高熱伝導性金属であってもよい。包囲特徴8326は、真鍮等の金属またはセラミックから形成されてもよい。
図290は、3部構造から形成される加工マスタ8328の横断面図である。包囲特徴8326は、
図289と同様のままであってもよい。円柱形挿入物8330は、アレイ光学素子を形成するための特徴8334を組み込む、PDMS等の低弾性材料8332を支持するガラスであってもよい。
【0501】
材料8332は、機械加工、成形、または鋳造されてもよい。一実施例では、パターン化材料8332は、ダイヤモンド機械加工マスタを使用して、ポリマーに成形される。
図291Aは、ダイヤモンド機械加工マスタ8336と、3部構成マスタ8338の第3の部分8332を挿入および成形前の3部構成マスタ8338との横断面を示す。包囲特徴8340は、円柱形挿入物8342を囲繞する。成形可能材料8343は、体積8346に追加され、ダイヤモンド機械加工マスタ8336は、
図291Bに示されるように、運動学的整合特徴8348を利用して、成形可能材料8343および3部構成マスタ8338と係合される。ダイヤモンドマスタ8336の係脱によって、
図291Cに示されるように、ダイヤモンドマスタ8336のドータ複製パターン8350が残される。
【0502】
図292は、上面斜視図における加工マスタ8360を示す。加工マスタ8360は、光学素子を形成するための特徴の複数の組織的アレイを含む。そのようなアレイ8361の1つが、破線アウトラインによって選択される。多くの例において、アレイ撮像システムは、個々の撮像システムにダイシングされ得るが、撮像システムの特定の配列は、一緒に群化され、ダイシングされなくてもよい。故に、加工マスタを適合し、ダイシングされない撮像システムを支持してもよい。
【0503】
図293は、
図292における加工マスタ8360の光学素子を形成するための特徴のアレイ8361と関連して形成された層状光学素子8364、8366、および8368の3X3アレイを含む、分離アレイ8362を示す。分離アレイ8362の各層状光学素子は、個々の検出器に付随してもよく、または別様に、各層状光学素子は、共通検出器の一部に付随してもよい。個々の光学素子間の空間8370は、したがって、切断または分断することによって、より大きな層状光学素子のアレイ(図示せず)から分離された分離アレイ8362に力を付与することによって充填されている。アレイは、光学素子8364、8366、8368等の光学素子のうちの任意の1つが、互いに異なってもよく、または同一構造を有してもよい、「スーパーカメラ」構造を形成する。これらの差異は、横断面
図294に示され、層状光学素子8366は、層状光学素子8364および8368と異なる。層状光学素子8364、8366、および8368は、本明細書に記載される光学素子のいずれかを含んでもよい。そのようなスーパーカメラモジュールは、光学系の機械的移動を伴わずに、複数のズーム構成を有し、それによって、撮像システム設計を簡素化するために有用である場合がある。別様に、スーパーカメラモジュールは、立体撮像および/または測距のために有用である場合がある。
【0504】
本明細書に記載される実施形態は、検出器の検出器ピクセル内に埋設される光学素子の製造のための既存の加工プロセス(例えば、CMOSプロセス)と適合する材料および方法を使用することによって、既存の電磁検出システムおよびその加工の方法に優る利点を提供する。つまり、本開示の文脈では、「埋設光学素子」は、所定の方法で検出器ピクセル内に電磁エネルギを再分布するために、検出器ピクセル構造内に一体化され、検出器ピクセル自体の加工に使用され得る材料および使用手順から形成される特徴であると理解される。結果として生じる検出器は、潜在的に、より低いコスト、より高い歩留、およびより優れた性能の利点を有する。特に、光学素子は、ピクセル構造の知識(例えば、金属層の位置および感光領域)を有して設計されるため、性能における改良は可能であり得る。この知識によって、検出器ピクセル設計者は、特に所与の検出器ピクセルに対し、光学素子を最適化することが可能になり、それによって、例えば、異なる色(例えば、赤、緑、および青)を検出するためのピクセルを各特定の色に対しカスタマイズすることができる。加えて、埋設光学素子加工の検出器加工プロセスとの一体化は、より優れたプロセス制御、汚染の減少、プロセスの中断の低減、および加工コストの削減等の付加的利点を提供し得るが、それらに限定されない。
【0505】
図295に注意を向けると、
図4を参照しても論じられたように、複数の検出器ピクセル10001を含む検出器10000が示される。通例、複数の検出器ピクセル10001は、CMOSプロセス等の周知の半導体加工プロセスによって、検出器10000を形成するように同時に生成される。
図295における検出器ピクセル10001のうちの1つの詳細は、
図296に示される。
図296から分かるように、検出器ピクセル10001は、共通基盤10004(例えば、結晶シリコン層)と一体的に形成される感光領域10002を含む。プラズマ蒸着酸化物(PEOX)等の半導体製造において使用される従来の材料から形成される支持層10006は、その中で複数の金属層10008および埋設光学素子を支持する。
図296に示されるように、検出器ピクセル10001内の埋設光学素子は、メタレンズ10010と、回折素子10012とを含む。本開示の文脈では、メタレンズは、そこを通って伝送される電磁エネルギの伝搬に作用するために構成される構造の集合体であると理解され、その構造は、特定の着目波長よりも少なくとも1次元において小さい。回折素子10012は、検出器ピクセル10001の上部に蒸着される保護層10014と一体的に形成されるように示される。保護層10014と、その結果、回折素子10012とは、例えば、窒化シリコン(Si
3N
4)またはプラズマ蒸着窒化シリコン(PESiN)等、半導体製造に一般的に使用される従来の材料から形成されてもよい。他の好適な材料は、炭化ケイ素(SiC)、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、ホスホシリケイトガラス(PSG)、ボロホスホシリケイトガラス(BPSG)、フッ素ドープケイ酸塩ガラス(FSG)、およびBLACK DIAMOND(登録商標)(BD)を含むが、それらに限定されない。
【0506】
図295を継続して参照すると、埋設光学素子は、例えば、感光領域10002、支持層10006、金属層10008、および保護層10014を形成するために使用される同一加工プロセス(例えば、フォトリソグラフィ)を使用して、検出器ピクセル製造の際に形成される。また、埋設光学素子は、炭化ケイ素等の別の材料を支持層10006内に成形することによって、検出器ピクセル10001内に一体化されてもよい。例えば、埋設光学素子は、検出器ピクセル加工プロセスの際にリソグラフィによって形成され、それによって、検出器ピクセルが形成された後に、光学素子を追加するために必要とされる付加的加工プロセスを排除してもよい。別様に、埋設光学素子は、層構造のブランケット蒸着によって形成されてもよい。メタレンズ10010および回折素子10012は、例えば、その上に入射する電磁エネルギの主光線角度補正を実施するように協働してもよい。PESiNおよびPEOXの組み合わせは、
図303を参照して、適切な時点で以下に詳述されるように、例えば、薄膜フィルタの加工において有利である、屈折率の大きな差異を呈するため、本状況では特に魅力的であり得る。
【0507】
図297は、
図295および296の検出器ピクセル10001とともに使用される、メタレンズ10010のさらなる詳細を示す。メタレンズ10010は、複数のサブ波長構造10040によって形成されてもよい。所与の標的波長λの一実施例として、サブ波長構造10040はそれぞれ、1辺がλ/4の長さを有し、λ/2ずつ離間する立方体であってもよい。また、メタレンズ10010は、集合的に光結晶を形成する誘電体周期構造を含んでもよい。サブ波長構造10040は、例えば、PESiN、SiC、または2つの材料の組み合わせから形成されてもよい。
【0508】
図298〜304は、本開示による、埋設光学素子として検出器ピクセル10001内への含有に好適な付加的光学素子を示す。
図298は、台形素子10045を示す。
図299は、屈折素子10050を示す。
図300は、ブレーズド回折格子10052を示す。
図301は、共振空洞10054を示す。
図302は、サブ波長チャープ回折格子10056を示す。
図303は、例えば、波長選択フィルタリング用に構成される複数の層10060、10062、および10064を含む、薄膜フィルタ10058を示す。
図304は、電磁エネルギ拘束空洞10070を示す。
【0509】
図305は、流入電磁エネルギ10112を感光領域10002へ誘導するための導波管10110を含む、検出器ピクセル10100の一実施形態を示す。導波管10110は、導波管10110を形成する材料の屈折率が、中心線10115から方向rに半径方向外側に変化するように構成される。つまり、導波管10110の屈折率nは、屈折率n=n(r)となるように、rに依存する。屈折率の変動は、例えば、導波管10110を形成する材料の注入および熱処理によって、または、例えば、不均質光学素子(
図113〜115、131、および144)の製造のための上述の方法によって生じ得る。導波管10110は、電磁エネルギが電子信号に変換される感光領域10002へ電磁エネルギ10112がより効率的に誘導され得るという利点を呈する。さらに、導波管10110によって、感光領域10002は、検出器ピクセル10001内に深く載置されることが可能になり、例えば、金属層10008のより大きな数の使用が可能になる。
【0510】
図306は、導波管10122を含む、検出器ピクセル10120の別の実施形態を示す。導波管10122は、光ファイバ内のコアおよびクラッド配列と同様に、流入電磁エネルギ10112を感光領域10002へ誘導するように、互いに協働するように構成される低屈折率材料10126によって囲繞される、高屈折率材料10124を含む。空隙空間は、低屈折率材料10126の代わりに使用されてもよい。上述のような本実施形態は、感光領域が、検出器ピクセル10001内に深く埋設される場合でも、電磁エネルギ10112が感光領域10002へ効率的に誘導されるという利点を呈する。
【0511】
図307は、ここでは、それぞれ、リレー構成を形成するように協働する第1および第2のセットのメタレンズ10152および10154を含む、検出器ピクセル10150のさらに別の実施形態を示す。メタレンズは、波長依存性挙動を強く呈し得るため、第1および第2のセットのメタレンズ10152および10154の組み合わせは、効果的波長依存性フィルタリングのために構成されてもよい。メタレンズ10152および10154は、個々の素子のアレイとして示されるが、これらの素子は、単一統一素子から形成されてもよい。例えば、
図308は、
図307において破線両方向矢印として示される空間s軸に沿った、感光領域10002における波長0.5μmの電場振幅の横断面を示す。
図308で証明されるように、電場振幅は、この波長では、感光領域10002の中心に集中する。対照的に、
図309は、s軸に沿った、感光領域10002における波長0.25μmの電場振幅の横断面を示す。ここでは、第1および第2のセットのメタレンズ10152および10154の波長依存性によって、このリレー構成を通して伝達される電磁エネルギの電場振幅は、感光領域10002中心の周囲で空値を呈する。故に、リレー内でメタレンズを形成するサブ波長構造のサイズおよび間隔を調整することによって、リレーは、カラーフィルタリングを実施するように構成されてもよい。さらに、複数光学素子は、リレーされてもよく、その結合された効果を使用して、フィルタリング操作を改良またはその機能性を向上してもよい。例えば、複数の通過帯域を有するフィルタは、補完フィルタリング通過帯域を有するリレー光学素子を結合することによって構成されてもよい。
【0512】
図310は、本開示による、埋設光学素子(例えば、
図295および296の回折素子10012)として使用するための二重スラブ近似構成10200を示す。二重スラブ構成は、それぞれ、第1および第2のスラブ10220および10230の組み合わせを使用することによって、高さhと、それぞれ、上下幅b
1およびb
2とを有する台形光学素子10210に近似する。二重スラブ形状を最適化するために、スラブ高は、出力結合を最適化するために変化してもよい。それぞれ、幅W
1=(3b
1+b
2)/4およびW
2=(3b
2+b
1)/4と、高さh
1=h
2=h/2を有する二重スラブ構成は、出力結合の観点から数値的に評価される。
【0513】
図311は、525nm〜575nmの波長に対する高さhおよび上幅b
2の関数として、台形光学素子の出力結合の解析的結果を示す。全光学素子は、底幅2.2μmを有する。上幅b
2=1600nmを有する台形光学素子は、上幅1400nmおよび1700nmを有する台形光学素子よりも、感光領域(素子10002)により多く電磁エネルギを送達することが、
図311から分かるであろう。このデータは、これらの2つの値の間の上幅を有する台形光学素子が、結合効率の極大値を提供し得ることを示す。
【0514】
さらにマルチスラブ構成をとり、例えば、従来の小型レンズを二重スラブと置換することが可能である。複数の検出器ピクセルのそれぞれが、ピクセル感度によって特徴付けられるため、マルチスラブ構成は、所与の検出器ピクセルの動作波長において感度を向上させるために、さらに最適化されてもよい。一定範囲の波長の小型レンズと二重スラブ構成との出力結合効率の比較は、
図312に示される。種々の色に対する二重スラブ形状は、表51に要約される。各波長帯域に対する最適台形光学素子を使用して、上述のW
1およびW
2の式に従って、スラブ幅を判断してもよい。二重スラブ光学素子は、出力結合を最大化するために、高さを変更することによって、さらに最適化されてもよい。例えば、緑色波長に対し計算されたW
1およびW
2は、
図311に示されるような形状に対応してもよいが、高さは、必ずしも理想的ではない場合がある。
【0515】
【表51】
[この文献は図面を表示できません]
図313は、シフトされた埋込光学素子およびリレーメタレンズを使用する、主光線角度補正の実施例を示す。システム10300は、検出器ピクセル10302(ボックス境界線によって示される)と、金属層10308と、それぞれ、検出器ピクセル10302の中心線10314に対しオフセットされる第1および第2の埋設光学素子10310および10312とを含む。
図313内の第1の埋設光学素子10310は、
図296の回折素子10012または
図298に示されるような回折素子10045のオフセット変動である。第2の埋設光学素子10312は、メタレンズとして示される。矢印10317によって示される方向に進行する電磁エネルギ10315は、メタレンズから生じると、方向10317’に進行する電磁エネルギ10315’が、今度は、検出器ピクセル10302の裏面表面10320(感光領域が配置され得る)上に垂直に入射するように、第1の埋設光学素子10310と、その結果、金属層10308と、第2の埋設光学素子10312とに遭遇する。このように、第1および第2の埋設光学素子の組み合わせは、その結果、埋設光学素子を伴わない類似ピクセルの感度よりも、検出器ピクセルの感度を向上させる。
【0516】
検出器システムの実施形態は、
図314に示されるように、異なる着色ピクセルに特有の波長選択フィルタリングのために構成される、付加的薄膜層を含んでもよい。これらの付加的層は、例えば、ウエハ全体へのブランケット蒸着によって形成されてもよい。リソグラフィマスクを使用して、上層(すなわち、カスタマイズされた波長選択層)を画定してもよく、メタレンズ等の付加的波長選択構造は、付加的に、埋設光学素子として含められてもよい。
【0517】
図315は、異なる波長範囲に対し最適化された、波長選択薄膜フィルタ層の数値モデル化結果を示す。
図315のプロット10355に示される結果は、色に応じて、3つまたは4波長選択層によって覆われる7つの共通層(部分的反射鏡を構成する)を仮定する。プロット10355は、検出器ピクセルの上部に形成される層状構造の効果のみを含む。つまり、埋設されたメタレンズの効果は、計算に含まれない。実線10360は、赤色波長範囲において伝達するために構成される層状構造に対する波長の関数としての透過率を表す。破線10365は、緑色波長範囲において伝達するために構成される層状構造に対する波長の関数としての透過率を表す。最後に、点線10370は、青色波長範囲において伝達するために構成される層状構造に対する波長の関数としての透過率を表す。
【0518】
ここに表される実施形態は、個々にまたは組み合わせて使用されてもよい。例えば、埋込小型レンズを使用して、向上したピクセル感度の効果を享受する一方、依然として、従来のカラーフィルタを使用してもよく、または従来の小型レンズによって重層されるIRカットフィルタリングのための薄膜フィルタを使用してもよい。しかしながら、従来のカラーフィルタおよび小型レンズが、埋設光学素子によって置換される場合、潜在的に、検出器加工の全ステップを単一加工設備に一体化する付加的利点が実現され、それによって、検出器の処理および可能性のある粒子汚染を低減し、その結果、潜在的に、加工歩留が増加する。
【0519】
また、本開示の実施形態は、外部光学素子がないことによって、検出器の最終パッケージングが簡素化されるという利点を呈する。これに関して、
図316は、複数の検出器10380を含む、例示的ウエハ10375を示し、また、ウエハが複数の検出器10380を個々の装置に分離するために切削され得る複数の分離レーン10385を示す。つまり、複数の検出器10380はそれぞれ、検出器が、分離レーンに沿って容易に分離され、付加的パッケージングを必要とせずに、完全な検出器を産出し得るように、既に、小型レンズおよび波長選択フィルタ等の埋設光学素子を含む。
図317は、複数の接合パッド10390が見られ得る、裏面からの検出器10380のうちの1つを示す。言い換えると、接合パッド10390は、電気的接続を提供するための付加的パッケージングステップが必要とされないように、各検出器10380の裏面に調製され、それによって、潜在的に、生産コストを削減してもよい。
図318は、検出器10380の一部10400の概略図を示す。
図318に示される実施形態では、部分10400は、複数の検出器ピクセル10405を含み、それぞれ、少なくとも1つの埋設光学素子10410と、薄膜フィルタ10415(検出器ピクセル10405の加工と適合する材料から形成される)とを含む。各検出器ピクセル10405は、保護層10420で覆われ、次いで、検出器全体が、平坦化層10425およびカバープレート10430でコーティングされる。本実施形態の一実施例では、保護層10420は、PESiNから形成されてもよい。保護層10420、平坦化層10425、およびカバープレート10430の組み合わせは、例えば、さらに検出器を環境の影響から保護し、検出器を分離し、付加的パッケージングステップを伴わずに、直接使用可能なように行われる。平坦化層10425は、例えば、検出器の上表面が、平坦ではない場合のみ必要とされてもよい。加えて、保護層は、カバープレートが使用される場合、必要とされなくてもよい。
【0520】
図319は、メタレンズとして作用する1組の埋設光学素子を含む、検出器ピクセル10450の横断面図を示す。感光領域10455は、半導体共通基盤10460内または上に加工される。半導体共通基盤10460は、例えば、結晶シリコン、ガリウムヒ素、ゲルマニウム、または有機半導体から形成されてもよい。複数の金属層10465は、感光領域10455と読み出し回路(図示せず)との間等、検出器ピクセルの素子間の電気接触を提供する。検出器ピクセル10450は、外側、中間、および内側素子10472、10476、および10478を含む、メタレンズ10470を含む。
図319に示される実施例では、外側、中間、および内側素子10472、10476、および10478は、対称的に配列される。特に、外側、中間、および内側素子10472、10476、および10478はすべて、同一高さを有し、メタレンズ10470内に同一材料から形成される。外側、中間、および内側素子10472、10476、および10478は、PESiN等のCMOS処理適合性材料から作製されてもよい。外側、中間、および内側素子10472、10476、および10478は、例えば、単一マスクステップを使用して、その後、エッチング、次いで、所望の材料の蒸着によって画定されてもよい。加えて、化学機械的研磨が、蒸着後に適用されてもよい。メタレンズ10470は、特定の位置に示されるが、メタレンズは、類似性能を達成するために修正され、例えば、
図296内のメタレンズ10010と同様に配置されてもよい。メタレンズ10470の全素子10472、10476、および10478は、同一高さであるため、すべて、層群10480の界面に同時に当接する。したがって、層群10480は、平坦化ステップ等の追加処理ステップを伴わずに、さらなる処理の際に、直接追加されてもよい。層群10480は、外部構成要素の金属化、不動態化、フィルタリング、または搭載を提供する部分または層を含んでもよい。メタレンズ10470の対称は、偏光にかかわらず、電磁エネルギの方位角的均一方向を提供する。
図319に照らして、方位角は、検出器ピクセル10450の感光領域10455に垂直な軸のまわりの角度配向として定義される。電磁エネルギは、概して、矢印10490によって示される方向に、検出器ピクセル上に入射する。加えて、メタレンズ10470によって誘導される、電磁力密度10475のシミュレーション結果(破線楕円によって示される陰影領域)が示される。
図319から分かるように、電磁力密度10475は、金属層10465から感光領域10455の中心へメタレンズ10470によって誘導される。
【0521】
図320は、
図319Eに示されるように、検出器ピクセル10450として使用するための一実施形態10500の上面図を示す。実施形態10500は、それぞれ、実施形態10500の中心のまわりに対称的に組織化される外側、中間、および内側素子10505、10510、および10515を含む。外側、中間、および内側素子10505、10510、および10515は、それぞれ、
図319の素子10472、10476、および10478に対応する。
図320に示される実施例では、外側、中間、および内側素子10505、10510、および10515は、PESiNから作製され、共通高さ360nmを有する。内側素子10515は、幅490nmであって、中間素子10510は、内側素子10515の各エッジに近接して、かつそれと同一平面に、対称的に配置される。中間素子10510の直線セグメントは、幅220nmである。外側素子10505の直線セグメントは、幅150nmである。
【0522】
図321は、
図319からの検出器ピクセル10450の別の実施形態10520の上面図を示す。
図320の素子10505、10510、および10515と対照的に、素子10525、10530、および10535は、アレイ構造である。しかしながら、
図320および321に示される構成は、そこを通って伝達される電磁エネルギ上のその効果と略同等であることを留意されたい。これらの素子の特徴サイズは、着目電磁エネルギの波長の割には小さいため、回折効果(素子の最小特徴サイズが着目波長の半分よりも小さい場合、生じ得る)は、ごくわずかである。
図320および321内の素子の相対サイズおよび位置は、例えば、逆放物線の数学的関係によって定義されてもよい。例えば、素子10525の寸法は、素子10535の中心から素子10525の中心までの距離の二乗に反比例してもよい。
【0523】
図322は、メタレンズとして作用する多層状セットの埋設光学素子を含む、検出器ピクセル10540の横断面10540を示す。メタレンズ10545は、2つの列の素子を含む。第1の列は、素子10555および10553を含む。第2の列は、素子10550、10560、および10565を含む。
図322に示される実施例では、これらの列の素子はそれぞれ、メタレンズ10470として
図319に示される同等構造の半分の厚さである。2層のメタレンズ10545は、メタレンズ10470と同等の電磁エネルギ誘導性能を呈する。メタレンズ10470は、構築がより単純であり得るため、メタレンズ10470は、多くの状況においてよりコスト効果的であり得る。しかしながら、そのより高い複雑性を有するメタレンズ10545は、特定の用途に適合するためのより多くのパラメータを有し、したがって、特定のアプリケーションでの使用のための自由度をより提供する。メタレンズ10545は、例えば、特定の波長依存性挙動、主光線角度補正、偏光多様性、または他の効果を提供するために適合されてもよい。
【0524】
図323は、メタレンズ10575として作用する非対称セットの埋設光学素子10580、10585、10590、10595、および10600を含む、検出器ピクセル10570の横断面を示す。メタレンズ10575等の非対称セットの素子を使用するメタレンズ設計は、対称設計よりも非常に大きな設計パラメータ空間を有する。検出器ピクセルアレイ内のその位置と関連付けながらメタレンズの特性を変化させることによって、アレイは、主光線角度変動、または検出器ピクセルアレイとともに使用され得る撮像システムの他の空間的(例えば、アレイ全体の)可変側面に対して補正されてもよい。メタレンズ10575の各素子10580、10585、10590、10595、および10600は、その空間、形状、材料、および光屈折率パラメータの規定によって記載されてもよい。
【0525】
【表52】
[この文献は図面を表示できません]
図324および325は、1組の埋設光学素子10605の上面図および横断面図を示す。1組の軸(線10610および10615によって示される)は、埋設光学素子10605上に重畳される。それぞれ、左、中央、および右の素子10625、10630、および10635の規定は、表52(位置、長さ、幅、および高さは、正規化単位で示される)に示されるように、基点10620に対し画定されてもよい。本実施例は、直交デカルト軸系を使用するが、円柱または球面等の他の軸系を使用してもよい。軸10610および10615は、中心素子10630の中心に位置する基点10620で交差するように示されるが、基点は、埋設光学素子10605のエッジまたはコーナー等の他の相対位置に載置されてもよい。
【0526】
埋設光学素子10605の一部の横断面
図10640は、
図325に示される。矢印10645および10650は、左、中央、および右の素子10625、10630、および10635間の高さの差異を示す。留意されたい、それぞれ、左、中央、および右の素子10625、10630、および10635は、正方形であって、軸に対し整合されるように示されるが、任意の形状(円形、三角形等)をとってもよく、軸に対し任意の角度で配向されてもよい。
【0527】
図326〜330は、
図320に類似の埋設光学素子の代替2次元投影を示す。埋設光学素子10655は、円形対称を有する素子10665、10675、10680、および10685を含む。これらの素子は、同軸対称であるように示される。また、領域10670は、メタレンズの境界10660内に画定されてもよい。本実施例では、素子10670、10675、および10685は、TEOSから作製されてもよく、素子10665および10680は、PESiNから作製されてもよい。
図327では、埋設光学素子10690は、同軸対称セットの正方形素子を使用する埋設光学素子10655と同等のメタレンズ構成を含む。
図328では、埋設光学素子10695は、特定の種類の電磁エネルギの誘導を実施する、または付随検出器ピクセルの感光領域の不整形境界を一致するように非対称的に修正される、メタレンズの境界10700を含む。
【0528】
図329は、混合対称を有する一般化メタレンズ構成を含む、埋設光学素子10705を示す。素子10710、10715、10720、および10725はすべて、正方形横断面を有するが、
図327に示される埋設光学素子10690におけるように、完全に同軸対称ではない。素子10710および10720は、整合され、同軸であるが、素子10715および10725は、少なくとも1つの方向に非対称である。非対称または混合対称メタレンズは、
図314に示されるような波長選択フィルタリングの使用によって生じ得る、主光線角度変動または角度依存性色変動等の設計パラメータを補正するために、特定の波長、方向、または角度に電磁エネルギを誘導するために有用である。付加的配慮として、
図327に示されるように、実際の製造プロセスの実用性のため、メタレンズの所望の構成は、鋭角を有する正方形形状であってもよいが、コーナーは、丸くてもよい。丸いコーナーを有するそのような埋設光学素子10730の実施例は、
図330に示される。この場合、境界10735は、検出器ピクセルの感光領域の境界と正確に一致しなくてもよいが、その上に入射する電磁エネルギ上の全体効果は、埋設光学素子10690と略同等である。
【0529】
図331は、効果的主光線角度補正およびフィルタリングのための付加的特徴を有する、
図307に類似する検出器ピクセル10740の横断面を示す。
図307に関連して上述の素子に加え、または組み合わせて、検出器ピクセル10740は、主光線角度補正器(CRAC)10745と、フィルタリング層群10750と、フィルタリング層群10755とを含んでもよい。主光線角度補正器10745を使用して、入射電磁エネルギの主光線10760の入射角度配向を補正してもよい。感光領域10002の入射表面に対し、その非垂直入射を補正しない場合、主光線10760および付随光線(図示せず)は、感光領域10002に入射せず、検出されない。また、主光線10760および付随光線の非垂直入射は、フィルタリング層群10750および10755の波長依存性フィルタリングを変更する。当技術分野において一般的に周知のように、非垂直入射電磁エネルギは、「青方偏移」(すなわち、フィルタの中心動作波長の減少)を生じさせ、フィルタを入射電磁エネルギの偏光状態に対し敏感にし得る。主光線角度補正器10745の追加は、これらの効果を緩和し得る。
【0530】
フィルタ層群10750または10755は、
図341に示されるように、赤−緑−青(RGB)種類のカラーフィルタであってもよく、または
図342に示されるように、シアン−マゼンタ−黄(CMY)フィルタであってもよい。別様に、フィルタ層群10750または10755は、
図340に示されるように、透過性能を有するIRカットフィルタを含んでもよい。また、フィルタ層群10755は、
図339に関連して後述されるように、反射防止コーティングフィルタを含んでもよい。フィルタ層群10750および10755は、上述の種類のフィルタのうちの1つ以上の効果および特徴を、例えば、IRカットおよびRGBカラーフィルタリング等の多機能フィルタに結合されてもよい。フィルタ層群10750および10755は、検出器ピクセル内の一部または全部の他の電磁エネルギ誘導、フィルタリング、または検出素子に対するそのフィルタリング機能に関して、結合して最適化されてもよい。層群10755は、電子、空孔、および/またはイオンドナー移動から感光領域10002を単離する際の補助となる緩衝または停止層を含んでもよい。緩衝層は、層群10755と感光領域10002との間の界面10770に配置されてもよい。
【0531】
層群10750等の薄膜波長選択フィルタが、サブ波長CRAC10745によって重畳される場合、CRACは、入射ビームのCRAを修正し、概して、垂直入射により近接させる。この場合、薄膜フィルタ(層群10750)は、各検出器ピクセル(または、薄膜フィルタが色選択フィルタとして使用される場合、同一色の各検出器ピクセル)に対し略同一であってもよく、CRACのみ、空間的に、検出器ピクセルのアレイ全体に変化する。このようにCRA変動を補正することによって、以下の利点を呈する。1)検出された電磁エネルギは、垂直入射により近接する角度で感光領域10002へ進行するため、検出器ピクセル感度が向上し、したがって、ほとんど導電性金属層10008によって遮断されない。2)電磁エネルギの入射角が垂直により近接するため、検出器ピクセルは、電磁エネルギの偏光状態に対する感度が低くなる。
【0532】
別様に、フィルタリング層群10750および10755の波長依存性フィルタリングにおけるCRA変動は、各検出器ピクセルに対するカラーフィルタ応答に基づいて、色補正を空間的に変化させることによって緩和されてもよい。Limらは、HP LaboratoriesのImaging System Laboratoryによる「Spatially Varying Color Correction Matrices for Reduced Noise」において、種々の要因に基づいて、色補正を可能にするための補正マトリックスを空間的に変化させるアプリケーションについて詳述している。CRAを空間的に変化させることによって、色混合を空間的に変化させることにつながる。この色混合を空間的に変化させることは、任意の1つの検出器ピクセルに対し静的であり得るため、その検出器ピクセルに対し設計された静的色補正マトリクスは、空間的に協調した信号処理を使用して適用されてもよい。
【0533】
図332〜335は、CRACとして使用され得る複数の異なる光学素子を示す。
図332の光学素子10310は、
図313からのオフセットまたは非対称回折種類の光学素子である。
図333の光学素子10775は、その空間的に可変ピッチのため、入射角度依存性主光線角度補正を提供し得る、サブ波長チャープ回折格子構造である。光学素子10780は、光学素子10310および10775の一部の特徴を、着目波長および角度に対する回折および屈折効果の組み合わせを提供し得る複合素子に結合する。CRA補正器10780は、プリズムを有するサブ波長光学素子の組み合わせとして記載され得る。プリズムは、サブ波長柱の空間的可変高から生じ、Snellの法則に従って、流入電磁エネルギの伝搬方向を修正する傾斜実効屈折率を呈することによって、CRA補正を実施する。同様に、サブ波長光学素子は、流入電磁エネルギにピクセルの感光領域へ焦点させる、有効屈折率プロファイルによって形成される。
図335では、層または複数の層の光屈折率を修正するように構築され得る、埋設光学素子10785が示される。埋設光学素子10785は、フィルタ10750の代わりに、またはそれと組み合わせて、
図331に示される検出器ピクセル内に設計されてもよい。埋設光学素子10785は、複合構造内に一体化され、修正された光屈折率を生成し得る、2つの種類の材料10790および10795を含む。材料10795は、二酸化シリコン等の材料であってもよく、材料10790は、窒化シリコン等の高光屈折率材料またはBLACK DIAMOND(登録商標)等の低屈折率材料、あるいは物理的空隙または孔隙であってもよい。材料層10795は、ブランケット層として蒸着され、次いで、マスクおよびエッチングされ、その後、材料10790で充填される1組のサブ特徴を生成してもよい。Bruggemanの有効媒質近似は、2つの異なる材料が混合される場合、得られた誘電関数ε
effが、以下によって定義されることを示す。
【0534】
【数12】
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ここで、ε
1は、第1の材料の誘電関数であって、ε
2は、第2の材料の誘電関数である。新しい実効屈折率は、正の平方根ε
effによって求められる。変数fは、誘電関数ε
2によって特徴付けられる第2の材料である混合材料の端数部分である。材料の混合比は、比率(1−f)/fによって求められる。サブ波長混合複合材料層または構造の使用は、リソグラフィ技術を使用して、所与の層または構造における実効屈折率を空間的に変化させることが可能であって、混合比は、サブ特徴のピッチによって判断される。空間的可変実効屈折率を判断するためのリソグラフィ技術の使用は、単一リソグラフィマスクでさえ、以下を可能にする空間的可変平面における十分な自由度を提供するため、非常に強力である。1)検出器ピクセルから検出器ピクセルへの波長選択性(カラーフィルタ応答)を変化させる。2)中心検出器ピクセル(例えば、CRA=0°)からエッジ検出器ピクセル(例えば、CRA=25°)に主光線角度変動を空間的に補正する。さらに、実効屈折率のこの空間変動は、層毎に単一のリソグラフィマスクのみで行われ得る。単一層の修正に関して本明細書で論じられたが、複数の層が、一連の層を通してエッチング後、複数の蒸着によって、同時に修正されてもよい。
【0535】
次に
図336を参照すると、主光線角度補正のために使用され得る非対称特徴を含む、2つの検出器ピクセル10835および10835’の横断面10800が示される。検出器ピクセル10835上に入射する主光線10820(その方向は、矢印および角度10825の配向によって表される)は、個々にまたはメタレンズ10810と協働して、主光線角度補正器10805の作用によって、垂直または略垂直入射に補正されてもよい。主光線角度補正器10805は、検出器ピクセル10835の感光領域10002の中心垂直軸10830に対し、非対称的に位置付け(オフセット)られてもよい。検出器ピクセル10835’に付随する第2の主光線角度補正器10805’を使用して、主光線10820’の方向を補正してもよい(その方向は、矢印および角度10825’の配向によって表される)。主光線角度補正器10805’は、検出器ピクセル10835’の感光領域10002’の中心垂直軸10830’に対し、非対称的に位置付け(オフセット)られてもよい。
【0536】
軸10830(10830’)に対する主光線角度補正器10805(10805’)、メタレンズ10810(10810’)、および金属トレース10815(10815’)の相対位置は、独立して、検出器ピクセルのアレイセット内で空間的に変化してもよい。例えば、アレイ内の各検出器ピクセルに対し、これらの相対位置は、検出器ピクセルアレイの中心に関して、回転対称および半径方向可変値を有してもよい。
【0537】
図337は、検出器ピクセルのコーティングされていないものと、反射防止(AR)コーティングされたシリコン感光領域との反射率を比較したプロット10840を示す。プロット10840は、横座標にナノメートルで波長と、縦座標にパーセントで反射率とを有する。実線10845は、電磁エネルギが、プラズマ蒸着酸化物(PEOX)からの感光領域に入射する場合のコーティングされていないシリコン感光領域の反射率を表す。破線10850は、
図331の層群10755によって示されるように、反射防止コーティング層群の追加によって向上したシリコン感光領域の反射率を表す。線10850によって表されるフィルタの設計情報は、表53に詳述される。感光領域からの低反射率は、より多くの電磁エネルギをその感光領域によって検出可能とさせ、それによって、その感光領域に付随する検出器ピクセルの感度を向上させる。
【0538】
表53は、本開示による、ARコーティングの層設計情報を示す。表53は、層番号と、層材料と、材料屈折率と、材料吸光係数と、層全波光学膜厚(FWOT)と、層物理膜厚とを含む。これらの値は、設計波長範囲400〜900nmに対するものである。表53は、6層において使用される特定の材料を記載するが、それよりも多いまたは少ない数の層が使用されてもよく、材料は代用されてもよく、例えば、BLACK DIAMOND(登録商標)をPEOXの代用としてもよく、故に、厚さは変更される。
【0539】
【表53】
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図338は、本開示によって設計される、IRカットフィルタの透過特性のプロットを示す。プロット10855は、横座標にナノメートルで波長と、縦座標にパーセントで透過率とを有する。実線10860は、表53に示されるフィルタ設計情報の数値シミュレーションの結果を示す。線10860は、高透過率400〜700nmおよび低透過率700〜1100nmの所望の結果を示す。IRカット設計は、長波長におけるシリコンベース光検出器の低反応のため、1100nmを下回る波長に制限され得る。白色(グレースケール)検出器ピクセルは、RGBまたはCMYカラーフィルタを伴わずに、IRカットフィルタのみを使用して生成されてもよい。グレースケール検出器ピクセルは、RGBまたはCMYカラーフィルタ検出器ピクセルと結合し、赤−緑−青−白色(RGBW)またはシアン−マゼンタ−黄−白色(CMYW)系を生成してもよい。
【0540】
表54は、本開示による、IRカットフィルタの層設計情報を示す。表54は、層番号と、層材料と、材料屈折率と、材料吸光係数と、層全波光学膜厚(FWOT)と、層物理膜厚とを含む。IRカットフィルタは、層群10750として
図331に示されるような検出器ピクセルに組み込まれてもよい。
【0541】
【表54】
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図339は、本開示によって設計される、赤−緑−青(RGB)カラーフィルタの透過特性のプロット10865を示す。プロット10865では、実線は、垂直入射(すなわち、0°入射角度)におけるフィルタ性能を表し、点線は、入射角度25°におけるフィルタ性能(平均偏光と仮定)を表す。線10890および10895は、青色波長選択フィルタの透過率を示す。線10880および10885は、緑色波長選択フィルタの透過率を示す。線10870および10875は、赤色波長選択フィルタの透過率を示す。プロット10865によって表されるようなRGBフィルタ(または、後述されるCMYフィルタ)は、主光線入射角変動に対し最小依存性を有するように最適化されてもよい。この最適化は、例えば、主光線角度変動に対する限度の中間である入射角値を使用するフィルタ設計を反復し、最適化することによって達成されてもよい。例えば、主光線角度が、0〜20°変化する場合、初期設計角度10°が使用されてもよい。
図336に関連して上述の主光線角度補正器10805の類似方法では、RGBフィルタ(プロット10865によって表され、
図331の層群10750として示されるような)は、付随する感光領域に対し、非対称的に配置されてもよい。
【0542】
表55−57は、本開示による、RGBフィルタの層設計情報を示す。表55−57は、層番号と、層材料と、材料屈折率と、材料吸光係数と、層全波光学膜厚(FWOT)と、層物理膜厚とを含む。個々の赤(表56)、緑(表55)、および青(表57)カラーフィルタは、結合して設計され、非共通層の数を制限することによって、効率的かつコスト効果的製造を提供するように最適化されてもよい。例えば、表55では、層1−5は、緑カラーフィルタに特に最適化され得る層である。これらの層は、「いいえ」の表記によって、表55の「ロック」欄に示される。設計および最適化プロセスの際、これらの層は、厚さ変動が可能である。層6−19は、RGBフィルタの全3つの個々のフィルタに共通する層である。これらの層は、「はい」の表記によって、表55の「ロック」欄に示される。本実施例では、層19は、PEOXの10nm緩衝または絶縁層を表す。表55の層14−18は、検出器ピクセルの感光領域に対するARコーティングとして使用される共通層を表す。
【0543】
【表55】
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【0544】
【表56】
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【0545】
【表57】
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図340は、本開示によって設計される、シアン−マゼンタ−黄(CMY)カラーフィルタの反射率特性のプロット10900を示す。プロット10900は、横座標にナノメートルで波長と、縦座標にパーセントで反射率とを有する。実線10905は、黄色波長のために設計されるフィルタの反射率特性を表す。破線10910は、マゼンタ色波長のために設計されるフィルタの反射率特性を表す。破線10915は、シアン色波長のために設計されるフィルタの反射率特性を表す。表58〜60は、本開示による、CMYフィルタの層設計情報を示す。表58〜60は、層番号と、層材料と、材料屈折率と、材料吸光係数と、層全波光学膜厚(FWOT)と、層物理膜厚とを含む。個々のシアン(表58)、マゼンタ(表59)、および黄(表60)カラーフィルタは、結合して設計され、非共通層の数を制限することによって、効率的かつコスト効果的製造を提供するように最適化されてもよい。
【0546】
【表58】
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【0547】
【表59】
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【0548】
【表60】
[この文献は図面を表示できません]
図341は、層光屈折率のカスタマイズが可能な特徴を有する、2つの検出器ピクセル10935および10935’の横断面10920を示す。検出器ピクセル10935(10935’)は、修正されたその光屈折率を有する層10930(10930’)と、修正の補助となる層10925(10925’)とを含む。層10930および10930’は、上述のフィルタまたは埋設光学素子のうちのいずれかの1つ以上の層を含んでもよい。層10925および10925’は、フォトレジスト(PR)および二酸化シリコン等の材料の単一または複数の層を含んでもよいが、それらに限定されない。層10925および10925’は、検出器ピクセルの最終構造の一部となってもよく、または修正が層10930および10930’に行われた後に除去されてもよい。層10925および10925’は、それぞれ、層10930および10930’に対し同一または異なる修正を提供してもよい。一実施例では、層10925および10925’は、フォトレジストから形成されてもよい。層10930および10930’は、二酸化シリコンまたはPEOXから作製されてもよい。層10930および10930’は、検出器ピクセル10935および10935’を含むウエハをイオン注入プロセスに曝すことによって修正されてもよい。当技術分野において周知のように、イオン注入は、半導体製造プロセスであるであって、窒素、ホウ素、およびリン等(それらに限定されない)のイオンが、特定のエネルギ、イオン変化、および投与量条件下で材料に注入される。このプロセスからのイオンは、層10925および10925’を通過し、それによって部分的に遮断および減速され得る。
【0549】
層10925および10925’の厚さ、密度、または材料組成における変動は、層10930および10930’内へのイオン注入量および深度の変動となり得る。可変注入は、修正材料層の光屈折率の変化をもたらす。例えば、二酸化シリコンから成る層10930および10930’内への窒素の注入は、酸窒化ケイ素(SiO
xN
y)に変換される二酸化シリコン(SiO
2)を生じる。
図341に示される実施例では、層10925’が、層10925よりも薄い場合、層10930’の光屈折率は、層10930の光屈折率よりも修正されることになる。注入される窒素の量に応じて、光屈折率は、増加し得る。ある場合には、光屈折率8%以上(〜1.45〜〜1.6)の増加が達成され得る。連続的および/または平滑に、10930および10930’等の層の屈折率を修正する能力は、ラメラ設計ではなく、ルゲート設計に従って、上述のフィルタを加工可能にする。ルゲートフィルタ設計は、材料の個別の変化ではなく、連続的可変光屈折率を有する。ルゲート設計は、製造するためによりコスト効果的であって、改良されたフィルタ設計を提供し得る。
【0550】
図342〜344は、光学素子の一部として組み込まれ得る非平面(先細)表面をもたらす、半導体処理ステップに関連する一連の横断面を示す。従来技術の現在の半導体加工するプロセスでは、これらの種類の非平面特徴は、問題として見られる。しかしながら、本開示による光学素子設計と関連して、これらの非平面特徴を使用して、有利には、所望の素子を生成してもよい。
図342に示されるように、初期層10860は、平面上表面10940で形成される。初期層10860は、
図343に示されるように、エッチング領域10950を含む修正層10955として再成形されるように、リソグラフィによってマスクされ、エッチングされる。次いで、エッチング領域10950は、
図344に示されるように、非平坦化共形材料層10960の蒸着によって、少なくとも部分的に充填される。初期層10860、修正層10955、および共形材料層10960は、同一または異なる材料から作製されてもよい。記載される実施例は、対称先細特徴を示すが、周知の半導体材料処理方法を使用して、非対称、勾配、および他の一般化先細または非平面特徴を生成するために、付加的マスキング、エッチング、および蒸着ステップを使用してもよい。上述のような非平面特徴を使用して、主光線角度補正器を生成してもよい。特殊化された波長依存性を有するフィルタは、これらの非平面特徴からまたはその上部に形成されてもよい。
【0551】
図345は、本開示による埋設光学素子の設計を最適化するために、メリット関数等の所与のパラメータを使用し得る最適化方法を図示する、ブロック
図10965を示す。
図345は、E.R.Dowski,Jr.らの同時係属および共同所有米国特許出願第11/000,819号の
図1と略同一であって、ここでは、埋設光学素子設計のために適合されるような、光学およびデジタルシステム設計最適化に対するアプローチを図示するように示される。設計最適化システム10970を使用して、光学系設計10975を最適化してもよい。一例として、光学系設計10975は、
図295〜307、313〜314、318〜338、および341に示されるもの等、検出器ピクセル設計に関連する埋設光学素子の初期画定であってもよい。
【0552】
図345を継続して参照すると、光学系設計10975およびユーザ定義目標10980が、設計最適化システム10970内に供給される。設計最適化システム10970は、光学系設計10975およびその中に提供される他の入力に従って、計算モデルを提供するための光学系モデル10985を含む。光学系モデル10985は、設計最適化システム10970内の分析器10995に供給される第1のデータ10990を生成する。第1のデータ10990は、例えば、光学系設計10975の種々の構成要素の光学素子、材料、および関連形状の記述と、検出器ピクセル等の以前に画定された体積内の電磁場のエネルギ密度のマトリクス等の計算結果とを含んでもよい。分析器10995は、例えば、1つ以上の指標11000を評価し、第2のデータ11005を生成するために、第1のデータ10990を使用する。指標の一実施例は、既定値に対し、電磁エネルギの感光領域内への結合を比較するメリット関数計算である。第2のデータ11005は、例えば、メリット関数に対し、光学系設計10975の性能を特徴付けるパーセント結合値またはスコアを含んでもよい。
【0553】
第2のデータ11005は、設計最適化システム10970内の最適化モジュール11010内に供給される。最適化モジュール11010は、第2のデータ11005と、ユーザ定義目標10980を含み得る目標11015とを比較し、第3のデータ11020を光学系モデル10985に提供する。例えば、最適化モジュール11010が、第2のデータ11005は目標11015に一致しないと結論付ける場合、第3のデータ11020は、光学系モデル10985における改善を促す。つまり、第3のデータ11020は、光学系モデル10985における特定のパラメータの調節を促し、第1のデータ10990および第2のデータ11005の変更を生じさせてもよい。設計最適化システム10970は、修正された光学系モデル10985を評価し、新しい第2のデータ11005を生成する。設計最適化システム10970は、設計最適化システム10970が、最適化モジュール11010からの第3のデータ11020に従って修正された光学系設計10975に基づく、最適化された光学系設計11025を生成する時点で、目標11015が一致するまで反復して、光学系モデル10985の修正を継続する。目標11015の1つは、例えば、所与の光学系への入射電磁エネルギの特定の結合値を達成することであってもよい。また、設計最適化システム10970は、例えば、最適化された光学系設計11025の計算された性能能力を要約する予測性能11030を生成してもよい。
【0554】
図346は、システム全体の同時最適化を実施するための例示的最適化プロセス11035を示す、工程図である。最適化プロセス11035は、示される実施例では、物体データ11045と、電磁エネルギ伝搬データ11050と、光学系データ11055と、検出器データ11060と、信号処理データ11065と、出力データ11070とを含む、種々の要因を考慮して、トレード空間11040を検討する。トレード空間11040内で検討される種々の要因における設計上の制約は、トレードオフが、全体として、システムの設計を最適化するための複数のフィードバックルート11075内の種々の要因に課されるように、全体として結合して検討される。
【0555】
例えば、前述の埋設光学素子を含む検出器システムでは、特定のセットの撮像光学系の画角およびF値(光学系データ11055に寄与)は、その特定のセットの撮像光学系とともに使用するためのCRACおよびカラーフィルタ(検出器データ11060に寄与)を設計する際に考慮されてもよく、さらに、検出器で得られた情報の処理(信号処理データ11065に寄与)は、撮像光学系および検出器設計の結果として生じる組み合わせを補完するために修正されてもよい。光学系を通る物体からの電磁エネルギ伝搬等の設計の他の側面も、同様に考慮されてもよい。例えば、着目ワイド視野(物体データ11045に寄与)および低F値(光学系データ11055の一部)の要件は、高入射角度で入射電磁エネルギ光線を処理する必要性へとつながる。その結果、最適化プロセス11035は、入射電磁エネルギの最悪の場合または確率的分布と一致するCRACの構成を必要とし得る。他の場合、一部の撮像システムは、一意のCRAC要件を呈するように、視野ポイントを意図的に歪曲または「再マッピング」する光学系(光学系データ11055に寄与)を含んでもよい(従来の魚眼レンズまたは360度パノラマレンズ等)。そのような歪曲されたシステムのためのCRAC(対応する検出器データ11060)は、光学系データ11055によって表される歪に対応する、予測された再マッピング関数と協働して設計されてもよい。加えて、異なる波長の電磁エネルギは、光学系によって、異なって歪曲され、それによって、波長依存性構成要素を光学系データ11055に追加してもよい。故に、カラーフィルタ、およびCRACまたは検出器のエネルギ誘導特徴(検出器データ11060の一部)は、波長に関する種々のシステム特性を考慮するために、トレード空間11040内に考慮されてもよい。カラーフィルタ、ならびにCRACおよびエネルギ誘導特徴は、サンプリングされた撮像画像の利用可能な処理(すなわち、信号処理データ11065)に基づいて、ピクセル設計(したがって、検出器データ11060)内で結合されてもよい。例えば、信号処理データ11065は、空間的に変化する色補正を含んでもよい。色補正および歪補正(信号処理データ11065の一部)を含む空間的可変処理は、撮像光学系の設計(光学系データ11055の一部)、強度およびCRA変動(電磁エネルギ伝搬データの一部)はすべて、最適化された設計11080をもたらすように、最適化プロセス11035のトレード空間11040内で結合して最適化されてもよい。
【0556】
図347は、本開示による埋設光学素子を含む、検出器システムとともに使用するために好適な薄膜フィルタセット設計を、生成および最適化するためのプロセス11085の工程図を示す。特定のフィルタセットは、2つ以上の別個のフィルタを含んでもよいため、フィルタセット設計の最適化は、2つ以上の別個のフィルタ設計の同時最適化を必要とし得る。例えば、赤−緑−青(RGB)およびシアン−マゼンタ−黄(CMY)フィルタセット設計は、それぞれ3つのフィルタ設計の最適化を必要とし、赤−緑−青−白色(RGBW)フィルタセット設計は、4つのフィルタ設計の最適化を必要とする。
【0557】
図347を継続して参照すると、プロセス11085は、調製ステップ11090から開始し、任意の必要な設定およびプロセス11085を含む計算システムの構成が行われ得る。加えて、ステップ11090では、プロセス11085の際に、種々の要件11095が考慮されるように定義されてもよい。要件11095は、例えば、フィルタ設計のうちの1つ以上に関連する制約11100と、性能目標11105と、メリット関数11110と、オプティマイザデータ11115と、設計制限11120とを含んでもよい。加えて、要件11095は、プロセス11085の際に修正可能な1つ以上のパラメータ11125を含んでもよい。要件11095の一部として指定され得る制約11100の実施例は、製造プロセスによって、最終フィルタ設計の加工で採用され得る材料の種類、材料厚の範囲、材料屈折率、共通層の数、処理ステップの数、マスキング操作の数、およびエッチングステップの数に課される制約を含む。性能目標11105は、例えば、透過率、吸収率、および反射率のパーセント目標と、吸収率、透過率、および反射率の公差目標とを含んでもよい。メリット機能11110は、カイ二乗の和と、加重カイ二乗の和と、絶対差の和とを含んでもよい。要件11095内に指定され得るオプティマイザデータ11115の実施例は、シミュレーションアニーリング最適化ルーチンと、シンプレックス最適化ルーチンと、共役勾配最適化ルーチンと、群最適化ルーチンとを含む。要件の一部として指定され得る設計制限11120は、例えば、利用可能な製造プロセスと、許容材料と、薄膜層シークエンシングとを含む。パラメータ11125は、例えば、層厚と、種々の層を成す材料と、層屈折率と、層透過率と、光路差と、層光学膜厚と、層数と、層順番とを含んでもよい。
【0558】
要件11095は、ユーザ入力によって定義される、または1組のルールに基づいて、計算システムによって、データベースから自動的に選択されてもよい。ある場合には、種々の要件は、相関してもよい。例えば、層厚は、一定範囲の最大および最小厚の製造制限およびユーザ定義厚範囲の制約を受け得る一方、最適化プロセスの際に使用される層厚値は、性能目標を最適化するためのメリット関数を使用するオプティマイザによって、修正されてもよい。
【0559】
ステップ11090後、プロセス11085は、ステップ11130へ進み、ここで、非制約薄膜フィルタ設計11135が生成される。本開示の文脈内では、非制約薄膜フィルタ設計は、制限条件11095に指定されるような制約11100を考慮しないが、ステップ11090で定義される少なくとも一部の設計制限11120を検討する薄膜フィルタ設計であると理解される。例えば、二酸化シリコン層等の設計制限11120は、非制約薄膜フィルタ設計11135の生成に含まれ得るが、二酸化シリコン層の実際の厚さは、ステップ11130において自由変数パラメータのままであってもよい。非制約薄膜フィルタ設計11135は、ESSENTIAL MACLEOD(登録商標)等の薄膜設計プログラムの補助によって生成されてもよい。例えば、薄膜フィルタ設計を生成する1組の材料および定義数の層(すなわち、設計制限11120)は、薄膜設計プログラムで指定されてもよい。次いで、薄膜設計プログラムは、フィルタ設計の計算された透過性能が、そのフィルタ設計のために以前に定義された性能目標(すなわち、性能目標11105)に近づくように、各定義層内の選択材料の厚さ等の選択されたパラメータ(すなわち、パラメータ11125から)を最適化する。非制約薄膜フィルタ設計11135は、例えば、利用可能材料に付随する制限、薄膜層シークエンシング(例えば、薄膜フィルタ内の高屈折率および低屈折率材料のシークエンシング)、および1組の薄膜フィルタ間の共通数の層の共有等、種々の要因を考慮している場合がある。材料選択および層番号定義操作は、フィードバックループ11140を介して反復され、代替非制約薄膜フィルタ設計を提供してもよい。加えて、薄膜設計プログラムは、代替非制約薄膜フィルタ設計のうちの少なくとも一部を独立して最適化するように設定されてもよい。用語「非制約設計」は、概して、層の厚さ、屈折率、または透過率等の薄膜層のパラメータが、設計の性能を最適化するために必要とされる任意の値に設定され得る設計を示す。ステップ11130で生成される非制約設計11135はそれぞれ、適切な時点で以下に詳述されるように、非制約設計内の材料の順序付きリストおよびその付随厚によって表され得る。
【0560】
依然として
図347を参照すると、ステップ11145では、制約薄膜フィルタ設計11150は、制約11100を非制約薄膜フィルタ設計11135に適用することによって生成される。制約は、薄膜設計ソフトウェアによって自動的に、またはユーザによって選択的に指定されてもよい。制約11100は、漸進的制約設計が、設計のための要件11095のうちの少なくとも一部に継続して一致するように、反復的に、逐次的に、または無作為に適用されてもよい。
【0561】
次に、ステップ11155では、制約薄膜フィルタ設計11150の1つ以上が最適化され、非制約薄膜フィルタ設計11135および制約薄膜フィルタ設計11150と比較して、より要件11095に一致する、最適化された薄膜フィルタ設計11160を生成する。
【0562】
実施例として、プロセス11085を使用して、種々の構成における2つ以上の薄膜フィルタを同時に最適化してもよい。例えば、複数の薄膜フィルタ設計が最適化され、異なる薄膜フィルタが異なる色に対しフィルタリングを提供するCMY検出器内の色選択フィルタリング等、集合的機能を行ってもよい。最適化された薄膜フィルタ設計11160が生成されると、プロセスは、ステップ11165で終了する。プロセス11085は、帯域通過フィルタリング、エッジフィルタリング、カラーフィルタリング、高域フィルタリング、低域フィルタリング、反射防止、ノッチフィルタリング、遮断フィルタリング、および他の波長選択フィルタリング等を含むが、それらに限定されない、種々の機能のための薄膜フィルタ設計の生成および最適化に適用されてもよい。
【0563】
図348は、例示的薄膜フィルタセット設計システム11170のブロック図を示す。薄膜フィルタセット設計システム11170は、計算システム11175を含み、したがって、ソフトウェアまたはファームウェアプログラム11185を含有するプロセッサ11180を含む。薄膜フィルタセット設計システム11170での使用に好適なプログラム11185は、ZEMAX(登録商標)、MATLAB(登録商標)、ESSENTIAL MACLEOD(登録商標)等のソフトウェアツール、他の光学設計、および数学的分析プログラムを含んでもよいが、それらに限定されない。計算システム11175は、プロセス11085の要件11095等の入力11190を受信し、
図347の非制約薄膜フィルタ設計11135、制約薄膜フィルタ設計11150、および最適化された薄膜フィルタ設計11160等の出力11195を生成するように構成される。計算システム11175は、層の選択、層順序の定義、層厚の最適化、および層の対化等を含むが、それらに限定されない操作を実施する。
【0564】
図349は、例示的検出器ピクセルアレイの一部11200の横断面図を示す。部分11200は、それぞれ、第1と、第2と、第3の検出器ピクセル11205、11220、および11235(両方向矢印によって示される)を含む。第1と、第2と、第3の検出器ピクセル11205、11220および11235は、それぞれ、第1と、第2と、第3の支持層11215、11230、および11245と一体的に形成される、それぞれ、第1と、第2と、第3の感光領域11210、11225、および11240を含む。第1と、第2と、第3の支持層11215、11230、および11245は、別個の材料または単一材料の連続層から形成されてもよい。第1と、第2と、第3の感光領域11210、11225、および11240は、同一材料および寸法から形成されてもよく、または、別様に、それぞれ、特定の波長範囲の検出のために構成されてもよい。さらに、それぞれ、第1と、第2と、第3の検出器ピクセルは、一緒にフィルタセット11265(破線矩形によって囲まれている)を形成する第1と、第2と、第3の薄膜フィルタ11250、11255、および11260(破線楕円によって示されるそれぞれを形成する層)を含む。第1と、第2と、第3の薄膜フィルタはそれぞれ、特定の波長範囲に対するカラーフィルタとして作用する複数の層を含む。
図349に示される例示的検出器ピクセルアレイでは、フィルタセット11265が、CMYフィルタとして作用するように、第1の薄膜フィルタ11250は、シアンフィルタとして作用するように構成され、第2の薄膜フィルタ11255は、黄フィルタとして作用するように設計され、第3の薄膜フィルタ11260は、マゼンタフィルタとして作用するように設計される。
図349に示されるように、第1と、第2と、第3の薄膜フィルタ11250、11255、および11260は、交互高屈折率層(平行線模様によって示される)および低屈折率層(すなわち、平行線模様のない層)の11層の組み合わせから形成される。低屈折率層での使用に好適な材料は、例えば、既存のCMOSシリコンプロセスと適合する、Black Diamond(登録商標)等の低損失材料である。同様に、高屈折率層は、SiN等の既存のCMOSシリコンプロセスと適合する、別の低損失高屈折率材料から形成されてもよい。
【0565】
図350は、
図349の領域11270(破線矩形によって示される)のさらなる詳細を示す。領域11270は、第1と第2の薄膜フィルタ11250および11255(再び、破線楕円によって示される)の一部を含む。
図350に示されるように、それぞれ、第1と第2の薄膜フィルタ11250および11255の2つの最下層から成る第1の層対11275および第2の層対11276は、共通層である。つまり、層11277および11289の対は、同一厚を有する共通材料から作製され、同様に、層11278および11290の対は、同一厚を有する別の共通材料から形成される。第1の層群11279(すなわち、層11280−11288)および第2の層群11300(すなわち、層11291−11299)は、指標付き層内の共通厚の対応する層(例えば、層11281および11292)および異なる厚さの対応する層(例えば、層11282および11293)を、相応して有してもよい。第1と第2の層群11279および11300のそれぞれ内の層の組み合わせは、それぞれ、シアンおよび黄フィルタリングに対し最適化されている一方、第1と第2の層対11275および11276は、
図349のプロセス11200に関して記載されるように、フィルタ設計の最適化の際に余剰設計柔軟性を提供する。
【0566】
薄膜フィルタ設計は、例えば、使用される材料、フィルタ内の材料の順番、およびフィルタの各層厚をリストアップする設計表によって記載されてもよい。最適化された薄膜フィルタのための設計表は、例えば、所与の薄膜フィルタ内の材料の順番および各層厚を最適化することによって生成されてもよい。そのような設計表は、例えば、
図349の第1と、第2と、第3の薄膜フィルタ11250、11255、および11260のそれぞれに対し生成されてもよい。
【0567】
【表61】
[この文献は図面を表示できません]
表61は、例示的CMYフィルタセット設計のための設計表であって、第1と、第2と、第3の薄膜フィルタ11250、11255、および11260のための設計は、個々に最適化されている(すなわち、フィルタセット内の異なるフィルタ間の同時最適化を伴わずに)。3つの個々のフィルタ設計のシミュレーション性能プロット11305は、
図351に示される。破線11310は、個々に最適化されているシアンフィルタとして作用する、第1の薄膜フィルタ11250による透過率を表す。破線11315は、個々に最適化されたマゼンタフィルタとして作用する、第2の薄膜フィルタ11255による透過率を表す。実線11320は、個々に最適化されている黄フィルタとして作用する、第3の薄膜フィルタ11260による透過率を表す。プロット11305を生成する際に使用される設計の仕様は、表61に示される情報から求めた。全3色CMYがその個々の設計波長範囲に対し十分な性能を生成することが、
図351から分かるだろう。つまり、全通過帯域は、約90%の透過率、全阻止帯域は、約10%の透過率、全帯域エッジは、波長約500nm〜600nmである。
【0568】
当技術分野において周知の薄膜フィルタ設計原理を使用することによって、交互高(H)および低(L)屈折率層(HLHLHLHLH)を有する9層の薄膜フィルタは、個々に要件11095を満たす十分な1組のCMYフィルタを生成することが判断された。また、任意の数の層内で2つ以上の材料を利用する層シークエンシングのための他の構成も可能である。例えば、Fabry−Perot状構造は、HLHL−M−LHLH(Mは、中間屈折率材料)等のシーケンスを有する、3つの異なる材料から形成されてもよい。いくつかの異なる材料およびシークエンシングの種類の選択は、フィルタの要件または設計者の経験に依存し得る。表61に示される実施例に対し、材料の利用可能な製造パレットから選択された好適な材料は、高屈折率PESiN材料(n≒2.0)および低屈折率BLACK DIAMOND(登録商標)材料(n≒1.4)である。各薄膜フィルタは、同一数の層を有するため、層は、相応して、指標が付されてもよい。例えば、表61では、指標付き層1は、それぞれ、シアン、マゼンタ、および黄フィルタに対し、232.78、198.97、および162.958nmの対応するPESiN薄膜層厚をリストアップする。
【0569】
所与の薄膜フィルタセット内の異なる薄膜フィルタの同時最適化のための例示的プロセスと、それによって、要件11095に一致する一方、異なる薄膜フィルタ間の特定の相関を提供する最適化された設計表の生成とが、以下に詳述される。
【0570】
図347および349と関連して
図352を参照すると、プロセス11085を使用する薄膜フィルタセット設計の設計は、1組の要件11095の仕様を必要とする。例示的マゼンタフィルタのためのそのような要件のいくつかの特定の実施例は、
図352を参照して論じられる。
図352は、
図349の薄膜フィルタ11260等、例示的マゼンタカラーフィルタを最適化するための性能目標および公差のプロット11325を示す。点線曲線11330は、第3の検出器ピクセル11235の代表的波長依存性感度を示す。検出器ピクセルの感度は、例えば、検出器ピクセル内に組み込まれる任意の埋設光学素子およびフィルタ(IRカットフィルタおよびARフィルタ等)およびそれに付随する感光領域の構成の関数であってもよい。そのような検出器ピクセル感度を仮定すると、効果的マゼンタフィルタは、電磁スペクトルの赤色および青色領域内の電磁エネルギを通過する一方、緑色波長近傍の電磁エネルギを遮断するはずである。性能目標(例えば、性能目標11105のうちの1つ)の一例示的定義は、400〜490および610〜700nmの波長帯域(すなわち、通過帯域)内の電磁エネルギの90%以上を通過する薄膜フィルタに対するものである。
図352では、実線11335および11340は、フィルタの通過帯域に対する90%の閾値透過率目標(例えば、赤色および青色波長範囲内)を表す。相応して、500および600nmでは、例示的性能目標は、帯域エッジにおいて25〜65%の透過率であるフィルタに対するものであってもよい。垂直線11345は、プロット11325内の帯域エッジの対応する性能目標を示す。最後に、別の性能目標は、阻止帯域領域において10%未満の透過率(例えば、波長510〜590nm)を有することであってもよい。線11350は、
図352の例示的プロットにおける阻止帯域性能目標を示す。
【0571】
図349および352を継続して参照すると、細実線11355は、上述の例示的性能目標を満たす理想的マゼンタフィルタ応答を示す。相応して、これらの性能目標を満たすためのフィルタ設計の最適化の際に使用され得るメリット関数は、感光領域の量子効率、肉眼の明所視応答、三刺激応答曲線、および検出器ピクセル感度のスペクトル依存性等を含むが、それらに限定されない、波長依存性関数を組み込んでもよい。さらに、要件11095の一部として指定される例示的製造制約は、薄膜フィルタの加工の際に、マスキング操作が5つ以下でなければならないことであってもよい。
【0572】
図347のプロセス11085を使用するフィルタセットを設計する際に、ESSENTIAL MACLEOD(登録商標)等の薄膜設計プログラムは、選択された材料、各薄膜フィルタ内の層数、層材料(すなわち、高および低屈折率)の順番、および各パラメータに対する初期値等、要件11095に基づいて種々の薄膜フィルタ設計を計算する際のツールとして利用されてもよい。薄膜フィルタ設計プログラムは、例えば、少なくとも一部の薄膜層厚を変化させることによって、各薄膜フィルタを最適化するように命令されてもよい。ESSENTIAL MACLEOD(登録商標)および当技術分野において周知の他の類似プログラムは、単一目標に対し単一薄膜フィルタを最適化することに優れているが、そのようなプログラムは、単に計算ツールであることに留意されたい。特に、これらのプログラムは、異なる要件に対し複数の薄膜フィルタを同時に最適化するように設計されておらず、また、複合制約、制約の逐次的追加、または設計内または全体の層対化に適合するようにも設計されていない。本開示は、そのような同時最適化を可能にし、相関する薄膜フィルタセット設計を生成する。
【0573】
図353は、
図347のステップ11145のさらなる詳細を示す、工程図である。
図353に示されるように、階層的に制約を適用するための例示的な逐次的プロセスは、例示的CMYフィルタセット設計に照らして論じられる。ステップ11145は、
図347のステップ11130から、非制約薄膜フィルタ設計11135を受信することから開始する。ステップ11365では、共通性は、低屈折率層(すなわち、
図349および350内の平行線模様を有さない層)に付与される。つまり、非制約設計内のうちの少なくとも一部の対応する層(例えば、層11278および11290、層11281および11292等)の厚さおよび/または材料組成が、共通値に設定される。例えば、
図349に示される例示的CMYフィルタセットを最適化する際に、第1と第2の薄膜フィルタ11250および11255の低屈折率層の材料の種類および厚さは、第3の薄膜フィルタ11260の対応する材料および対応する層の厚さの値と等しく設定される(例えば、表61に示されるように)。マゼンタフィルタ設計は、シアンおよび黄フィルタ設計と比較して、その複雑性のため、基準として選択される(すなわち、低屈折率層材料および他のフィルタ設計厚が適合されるフィルタ設計)。つまり、
図352に示されるように、マゼンタフィルタは、2つのセットの境界条件を有するノッチフィルタとして設計される(垂直線11345によって示される各帯域エッジに対するもの)。対照的に、シアンおよび黄フィルタ設計はそれぞれ、1つのみの帯域エッジを必要とし、したがって、その薄膜フィルタ構造のための複雑性の低い要件を有する。また、マゼンタフィルタ設計は、フィルタセット設計のための中波長における要件を表し、マゼンタフィルタに対する薄膜フィルタセットに一致する場合、最終フィルタセット設計において、対称が達成され得る。基準としてのマゼンタフィルタのこの選択は、上述の制約の階層的適用の一実施例である。例示的フィルタセット設計プロセスでは、基準としてのマゼンタフィルタの選択は、制約の最高位の適用として適用されてもよい。
【0574】
【表62】
[この文献は図面を表示できません]
図353を継続して参照すると、ステップ11370では、高屈折率層は、要件11095により一致させる一方、低屈折率層の共通性を保持するために、ステップ11370において、独立して再最適化される。例えば、第1と、第2と、第3の薄膜フィルタ11250、11255、および11260内の高屈折率層はすべて、個々のフィルタ設計に付随する要件11095に従って、独立して再最適化されてもよい。表62は、
図353のステップ11370の際に再最適化後の、例示的CMYフィルタセット設計のための付随する設計厚値を示す。低屈折率層(すなわち、Black Diamond(登録商標)層2、4、6、および8)は、全3つの薄膜フィルタに対する共通値に設定されることに、特に留意されたい。表62のフィルタセット設計のシミュレーション性能は、
図354のプロット11400に示される。
図351におけるように、シアンフィルタ性能は、破線11405によって表され、マゼンタフィルタ性能は、破線11410によって示され、黄フィルタ性能は、実線11415によって表される。
図354と
図351との比較から分かるように、個々に最適化されたフィルタセットと比較して、性能の若干の低減が、透過率の減少および阻止帯域透過率の上昇によって証明される。しかしながら、プロット11400における設計シミュレーションは、低屈折率層に対し確立された共通性による、フィルタセット設計全体の簡素化を表す。
【0575】
図353に戻ると、対化手順が、ステップ11375において、少なくとも一部の層で行われてもよい。
図353に示される実施例では、対化手順は、高屈折率層の対で行われる。ステップ11375における対化手順は、対応する高屈折率層対のフィルタ間の厚さの差異の計算を含む(例えば、シアンおよびマゼンタフィルタ内の対応する層間の厚さの差異は、表62の「CM」と付票された見出し下に示され、マゼンタおよび黄フィルタ内の対応する層間の厚さの差異は、「MY」と付票された欄内に示され、シアンおよび黄フィルタ内の対応する高屈折率層間の厚さの差異は、見出し「CY」下に示される)。最小差異が、各層に対し選択される(例えば、層1に対するCM値33.81nmは、同一層1に対する対応するMYおよびCY値よりも小さい)。このように、異なる高屈折率層に対する1組の厚さの差異が、まとめられる(すなわち、層1に対し33.81nm、層3に対し32.77nm、層5に対し29.21nm、層7に対し24.02nm、および層9に対し24.08nm)。
【0576】
次いで、ステップ11375で求められた選択された厚さの最小差異のこのセットから、最大「最小際」対およびその付随層が、ステップ11380において選択される(すなわち、表62に示される実施例では、層1に対し33.81nm)。本実施例では、層1に対する厚さの差異値33.81nmの選択は、1対のセットの層として固定されるシアンおよびマゼンタフィルタ設計から、層1をさらに制限する。ステップ11375および11380で行われるこの対化手順は、階層的に順序付けられた手順ステップの別の実施例である。最大差異の対化ではなく、最小差異の対化が、フィルタ設計セットの最適化された性能に及ぼす影響が小さいと判断される。
【0577】
依然として
図353を参照すると、さらなる独立最適化プロセスが、すべての他のパラメータは固定されたまま、付随するシアンおよびマゼンタフィルタ設計の要件に従って、対層厚を同時最適化するために、ステップ11385において行われる。上述のように、対層厚は、オプティマイザプログラムによって修正され、要件11095に一緒に、かつ最も一致する性能を有する、シアンおよびマゼンタフィルタ設計を生成してもよい。
【0578】
【表63】
[この文献は図面を表示できません]
次に、ステップ11390では、残りの高屈折率層の厚さが、フィルタ設計の性能目標をより達成する一方、ステップ11385で求められた最適化された対層厚を保持するように、各フィルタ設計に対し最適化される。表63は、ステップ11390の完了後の、例示的CMYフィルタセット設計に対する設計厚情報を示す。シアンおよびマゼンタフィルタ設計の層1に対する対層厚は、214nmであると判断されていることが、表63から分かるだろう。
図355は、ステップ11390後の、共通低屈折率層および対高屈折率層(例えば、表63の層1)を有する例示的CMYフィルタセット設計のシミュレーション性能のプロット11420を示す。破線11425は、表63からのシアンフィルタの透過性能を表す。破線11430は、表63に指定されるマゼンタフィルタの透過性能を表す。実線11435は、表63からの黄フィルタの透過性能を表す。プロット11420と
図354のプロット11400とを比較することによって分かるように、シアンおよび黄フィルタの性能は、
図353のステップ11390におけるさらなる制約の適用によって、さらに変更されている。
【0579】
図353に戻ると、ステップ11390後、対化および最適化される層がさらに残っているかどうか、決定11395が行われる。決定11395の回答が「はい」である場合、対化される層がさらに存在し、プロセス11145は、ステップ11375へ戻る。決定11395の回答が「いいえ」である場合、対化される層が存在せず、プロセス11145は、制約設計11150を生成し、
図347のステップ11155へ進む。表63に示されるように、例示的CMYフィルタセット設計は、対応する高屈折率層の5つの三重項を含む。ステップ11375から11390まで行われる度、三重項のうちの1つが、1組の対層および一重項に低減する。つまり、例えば、ステップ11375から11390までの第1の終了後、4つの層の三重項は、対化および適化されたままである。
【0580】
【表64】
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表64は、ステップ11375から11390の5つの対化および最適化サイクルの完了後の、例示的CMYフィルタセット設計に対する設計厚情報を示す。
図356は、表64に定義される共通低屈折率層および複数の対高屈折率層を有する、例示的セットのシアン、マゼンタ、および黄(CMY)カラーフィルタの透過特性のプロット11440を示す。破線11445は、シアンフィルタの透過性能を表す。破線11450は、マゼンタフィルタの透過性能を表す。実線11455は、黄フィルタの透過性能を表す。再び、シアンおよび黄フィルタの性能は、
図354および355に示されるものから若干変更されている。
【0581】
【表65】
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図353と関連して
図347に簡単に戻ると、制約設計11150(
図347に示されるように、ステップ11145で生成される)は、次いで、ステップ11155で最適化され、最適化された薄膜フィルタ設計11160を生成する。任意に、ステップ11155における最終最適化の一部として、1)フィルタリングコントラストを改良するための付加的層、2)ゼロを上回るCRAを考慮した補正等の補正または修正もまた、考慮されてもよい。例えば、入射電磁エネルギのCRAがゼロを上回る場合、フィルタ性能は、垂直入射で予測されるものとは異なることは知られている。当業者には周知のように、非垂直入射角度は、フィルタ透過スペクトルの青色シフトをもたらす。したがって、この効果を補償するために、最終フィルタ設計は、適切に赤色シフトされてもよく、各層厚を若干増加することによって達成され得る。結果として生じる赤色シフトが十分に小さい場合、フィルタスペクトル全体が、フィルタセット性能に悪影響を及ぼすことなくシフトされ得る。
【0582】
本開示の
図347および353に示されるプロセスに従って生成される、例示的最適化CMYフィルタセット設計は、表65に示される。
図357は、表65に記載される共通低屈折率層および複数の対高屈折率層を有する、シアン、マゼンタ、および黄(CMY)カラーフィルタの透過特性のプロット11460を示す。表65および
図357に示されるような最適化されたCMYフィルタセット設計は、層毎に1%厚さを増加させることによって、非垂直CRAを考慮しない。破線11465は、シアンフィルタの透過性能を表す。破線11470は、マゼンタフィルタの透過性能を表す。実線11475は、黄フィルタの透過性能を表す。個々のシアン、マゼンタ、および黄フィルタの性能は、性能目標と適用された制約との間の最適化されたトレードオフを表す。プロット11460と
図351および354〜356に示されるプロットとを比較する際に、プロット11460は、
図351で実証された個々に最適化されたフィルタセットと同一性能を達成しないが、薄膜フィルタを形成するいくつかの層の対化のため、改良された製造可能性の付加的利点と匹敵する性能を実証することを留意されたい。
【0583】
プロセス11085は、ステップ11165で終了するように示されるが、設計の複雑性、制約数、および設計セット内のフィルタ数等の要因に応じて、プロセス11085は、付加的ルーピング経路、付加的プロセスステップ、および/または修正されたプロセスステップを含んでもよいことを理解されたい。例えば、3つを超えるフィルタを含むフィルタセットを同時最適化する場合、
図353の対化操作または対層に付随する任意のステップの変更を必要とし得る。対化操作または対層の参照は、類似「n組」の操作または参照によって代替されてもよい。「n組」は、整数n個の群として定義されてもよい(例えば、三重項、六重項)。実施例として、4つを超えるフィルタを含むフィルタセットを同時に最適化する場合、4つの相応して指標された層が、CMYフィルタの例示的プロセスにおいて行われたように、1つの対および一重項ではなく、2つの対に分割されるように、全対化操作が重複され得る。
【0584】
さらに、
図353に示される例示的プロセスでは、ステップ11365から11395の順番は、専門知識と、各ステップに従うフィルタセット設計の処理の影響を判断および順位付けする実験とを考慮して判断されている。
図353のステップ11365から11395は、一実施例に照らして説明されるが、そのようなステップは、
図353に示されるものと種類、反復、および順番が異なる場合があることを理解されたい。例えば、ステップ11365において、低屈折率層に共通性を付与する代わりに、高屈折率層が選択されてもよい。ステップ11385におけるように、対層厚の独立最適化は、独立層の代わりに、対層に対し行われてもよい。別様に、ステップ11380に示されるように、最大「最小差異」対に基づいて対層を選択するのではなく、他の基準が使用されてもよい。加えて、
図353に示されるように、例示的CMYフィルタセット設計最適化プロセスは、フィルタ内の薄膜層の物理膜厚の最適化を目指すが、最適化は、例えば、代わりに、光学膜厚を変化し得ることを当業者は理解するであろう。当技術分野において周知のように、光学膜厚は、特定の波長における所与の材料の物理膜厚および屈折率の生成物として定義される。光学膜厚を最適化するために、最適化プロセスは、オプティマイザが、層の物理膜厚のみ変更する場合と同一または類似結果を達成するように、材料または材料の屈折率を変更してもよい。
【0585】
次に
図358を参照すると、薄膜フィルタのための製造プロセス11480の工程図が示される。プロセス11480は、調製ステップ11485から開始し、材料調製、機器の慣らしおよび検証等を含むが、それらに限定されない、任意の設定および初期化プロセスが行われる。また、ステップ11485は、薄膜フィルタの追加に先立って、検出器ピクセルアレイの任意の処理を含んでもよい。ステップ11490では、材料の1つ以上の層が蒸着される。次に、ステップ11500では、ステップ11490の際に蒸着された層は、リソグラフィによって、または別様に、パターン化され、次いで、エッチングされ、それによって、選択的に、蒸着された層を修正する。ステップ11505では、さらなる層が、蒸着および/または修正されるべきかの決定が行われる。決定11505の回答が「はい」である場合、さらなる層が蒸着および/または修正され、プロセス11480は、ステップ11490に戻る。決定11505の回答が「いいえ」である場合、蒸着および/または修正される層はなく、プロセス11480は、ステップ11510で終了する。
【0586】
【表66】
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【0587】
【表67】
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表66および67は、表64に記載される例示的CMYフィルタセット等、薄膜カラーフィルタを製造するための2つの例示的方法のプロセスシーケンスをリストアップする。表66および67にリストアップされた個々の半導体プロセスステップは、半導体処理の当技術分野において周知である。SiNおよびBLACK DIAMOND(登録商標)等の誘電材料は、例えば、プラズマ化学気相成長法(PECVD)等の周知のプロセスを使用して蒸着されてもよい。フォトレジストは、これらの機能のために設計される機器上にスピンコーティングされてもよい。フォトレジストのマスキング露光は、市販のリソグラフィ機器で行われてもよい。「フォトレジスト剥離」または「灰化」としても知られるフォトレジスト除去は、市販の機器で行われてもよい。プラズマエッチングは、周知のウェットまたはドライ化学プロセスを使用して行われてもよい。
【0588】
表66および67に定義される2つのプロセスシーケンスは、プラズマエッチングが各シーケンス内で利用される方法と異なる。表66にリストアップされたシーケンスでは、対厚を含む個々のカラーフィルタの高屈折率層は、介在マスキングおよびエッチング操作の2つのステップで蒸着される。材料は、対層厚と非対層厚との間の差異に等しい厚さに蒸着される。次いで、蒸着された層は、選択的にマスキングされる。選択された薄膜層が、エッチングから保護されない場合、膜は、選択された層を下層の層よりも大きくエッチングする選択エッチングプロセスを使用して、下層の層とのその界面下まで除去されてもよい。膜が、下層の層とのその界面下まで除去される場合、エッチングプロセスの選択性によって、下層の層は、実質的にエッチングされないままである。実質的にエッチングされないとは、ごく少量の所与の層のみ、エッチングプロセスで除去されることを意味する。このごく少量は、絶対厚または層厚の相対パーセントの観点から測定されてもよい。フィルタの許容可能性能を維持するために、余剰エッチングの標準値は、数ナノメートルまたは10%、ある場合には、はるかに少ない値であってもよい。次いで、第2の蒸着が行われ、対応する層の三重項の最大厚層の厚さを確立するために十分な材料を追加してもよい。例示的CMYフィルタセット設計に付随するプロセスでは、SiNは、エッチングされる材料であって、Black Diamond(登録商標)は、停止層として作用している。この「エッチング停止」プロセスは、例えば、周知のCF
4/O
2プラズマエッチングプロセスを使用して、または、例えば、Padmapaniらの米国特許第5,877,090号「Selective plasma etching of silicon nitrogen in presence of silicon or silicon oxides using mixture of NH
3 or SF
6 and HBr and N
2」に記載の方法および器具によって行われてもよい。任意に、SiNを選択的にエッチングするために、熱燐酸(H
3PO
4)を組み込んだウェット化学エッチング、あるいはBlack Diamond(登録商標)/SiO
2を選択的にエッチングするために、HFまたはバッファ酸化物エッチャント(BOE)もまた、使用されてもよい。
【0589】
表67にリストアップされるプロセスシーケンスは、対応する層の三重項の最大厚が蒸着され、次いで、制御エッチングによって薄化するが、三重項内の特定の層は完全に除去され得ない、プロセスを示す。
【0590】
【表68】
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表68は、マスキング操作のシーケンスと、表66および67に記載のプロセスの各シーケンスステップにおいて、各マスクによって保護される特定のフィルタとをリストアップする。例示的CMY設計では、例えば、シアンフィルタは、常に、マスクによって保護され、黄フィルタは、決して、マスクによって保護されず、マゼンタフィルタは、交互マスキング操作の際に保護される。
【0591】
図359は、非平面光学素子を形成するための製造プロセス11515の工程図である。製造プロセス11515は、調製ステップ11520から開始し、材料調製、機器の慣らしおよび検証等を含むが、それらに限定されない、任意の設定および初期化プロセスが行われる。また、ステップ11520は、非平面光学素子の追加に先立って、検出器ピクセルアレイの任意の処理を含んでもよい。ステップ11525では、例えば、共通基盤上に、材料の1つ以上の層が蒸着される。ステップ11530では、ステップ11525の際に蒸着された層は、リソグラフィによって、または別様に、パターン化され、次いで、エッチングされ、それによって、選択的に、蒸着された層を修正する。ステップ11535では、材料の1つ以上の層が、さらに蒸着される。随意のステップ11540では、蒸着およびエッチングされた層の最上表面は、化学機械的研磨プロセスによって、平面化されてもよい。1組のルーピング経路11545を利用して、製造プロセス11515を形成するステップは、必要に応じて、再順序化または反復されてもよい。プロセス11515は、ステップ11550で終了する。プロセス11515は、他の特徴と組み合わせて、非平面光学素子を実装するために、他のプロセスに先行または後続してもよいことを理解されたい。
【0592】
図360〜364は、非平面光学素子の一連の横断面図を示し、ここでは、
図359の製造プロセス11515を図示するように示される。
図359と関連して
図360〜364を参照すると、第1の材料は、ステップ11525で蒸着され、第1の層11555を形成する。次いで、第1の層11555は、ステップ11530でエッチングされ、例えば、略平面表面11565を含む解放領域11560を形成する。本開示の文脈では、解放領域は、第1の層11555等の所与の層の最上表面下に延在する領域であると理解される。加えて、略平面表面は、その表面の寸法よりも大きい曲率半径を有する表面であると理解される。解放領域11560は、例えば、等方性エッチングによって形成されてもよい。ステップ11535では、第2の材料は、第1の層11555上および解放領域11560内に共形的に蒸着され、第2の層11570を形成する。本開示の文脈内では、共形蒸着は、表面の配向にかかわらず、類似厚の材料が、蒸着を受ける全表面上に蒸着され得る蒸着プロセスであると理解される。第2の層11570は、解放領域11560に対し形成される少なくとも1つの非平面特徴11575を含む。非平面特徴は、特徴の寸法と類似サイズの曲率半径を有する、少なくとも1つの表面を有する特徴であってもよい。また、非平面特徴11575は、平面領域11580を含んでもよい。非平面特徴11575の曲率半径、幅、深度、および他の形状特性は、解放領域11560の縦横比(深度対幅比)を修正することによって、および/または第2の層11570を形成するために蒸着される材料の化学的、物理的、または比率的蒸着特性を修正することによって、修正されてもよい。第3の材料は、第3の層11585を形成するために、非平面特徴11575を少なくとも部分的に充填する層11570上に共形的に蒸着される。つまり、非平面特徴11575は、第3の層11585の上表面11595の最下領域が、第2の層11570の平面領域11580と整合される基準面11605(破線によって示される)以上にある場合、完全に充填される。非平面特徴11590が基準面11605を下回る場合、非平面特徴11575は、部分的に充填されているとみなされる。第3の層11585は、非平面特徴11575に対し形成される、少なくとも1つの非平面特徴11590を含む。第3の層11585の上表面の他の領域(例えば、領域11600)は、略平面であってもよい。任意に、第3の層11585は、
図364に示されるように、充填された非平面特徴11610を画定するように平面化されてもよい。層11555、11570、および11585を形成する第1と、第2と、第3の材料は、同一または異なる材料であってもよい。光学素子は、非平面特徴を形成する材料のうちの少なくとも1つの屈折率が、(電磁エネルギのうちの少なくとも1波長に対し)他の材料と異なる場合に形成される。任意に、平坦化によって除去されない場合、非平面特徴11590、およびエッチング等のプロセスによるそこへの修正は、付加的非平面特徴を形成するために利用されてもよい。
【0593】
図365は、第3の層の材料を蒸着するための代替プロセスを示す。充填された非平面特徴11630は、第3の層11615の蒸着の際に形成される。第3の層11615は、非平面表面11620および略平面表面11625を含む。第3の層11615は、例えば、非共形蒸着によって形成されてもよい(例えば、スピンオンプロセスを使用して、液体またはスラリー材料を蒸着し、その後、固体または半固体になるように、材料を硬化することによって)。第3の層を形成する材料が、(電磁エネルギのうちの少なくとも1波長に対し)第2の層の材料と異なる場合、充填された非平面特徴11630は、光学素子を形成する。
【0594】
図366〜368は、
図359に示される代替製造プロセスを示す。第1の材料が蒸着され、層11635を形成し、次いで、エッチングして、略平面表面を有し得る解放領域11640および突起11650を形成する。突起は、エッチング後の層11635等の、層の局所表面11645上に延在する領域として画定されてもよい。解放領域11640および突起11650は、等方性エッチングによって形成されてもよい。第2の材料は、層11635上および解放領域11640内に共形的に蒸着され、層11655を形成する。層11655の表面の一部11665は、非平面であって、光学素子を形成する。表面の他の部分11660は、略平面である。
【0595】
図369〜372は、
図359のプロセス11515による、別の代替製造プロセスのステップを示す。第1の材料が蒸着され、層11670を形成し、次いで、エッチングし、略非平面表面を有し得る解放領域11675を形成する。解放領域11675は、例えば、等方性エッチングによって形成されてもよい。第2の材料は、層11670上および解放領域11675内に共形的に蒸着され、層11680を形成する。層11680は、付加的非平面素子を生成するために使用され得る非平面領域11685を画定してもよい。別様に、層11680は、その上表面が、層11670の上表面と略同一平面上にある非平面素子11690を生成するように平面化されてもよい。層11680を形成するための代替プロセスは、
図363の第3の層11585を形成するために使用されるものと類似する非共形蒸着を含んでもよい。
【0596】
図373は、非平面光学素子11700と、素子アレイ11705とを含む、単一検出器ピクセル11695を示す。非平面光学素子11700、11710、および11715は、検出器ピクセル11695内の電磁エネルギを感光領域11720へ誘導するために使用されてもよい。非平面光学素子を検出器ピクセル設計内に含む能力は、平面素子だけでは不可能であり得る、余剰設計自由度を追加する。一重項または複数の光学素子は、光学素子群の複合表面が、球面または非球面光学素子等の湾曲プロファイル、あるいは台形または円錐曲線等の勾配プロファイルに近似し得るように、他の一重項または複数の光学素子に直接隣接するように配置されてもよい。
【0597】
例えば、上述のように、記載された二重スラブ構成によって近似され得る
図310の台形光学素子10200は、別様に、記載された平面光学素子ではなく、1つ以上の非平面光学素子を使用することによって、近似されてもよい。また、非平面光学素子を使用して、例えば、メタレンズ、主光線角度補正器、回折素子、屈折素子、および/または
図297〜304に関連して上述のものに類似する他の構造を形成してもよい。
【0598】
【表69】
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図374は、銀および二酸化シリコンの層を使用して形成される、マゼンタカラーフィルタのシミュレーション透過特性のプロット11725を示す。プロット11725は、横座標として、ナノメートルで波長と、縦座標として、パーセントで透過率とを有する。実線11730は、マゼンタフィルタの透過性能を表す(その設計表は、表69によって示される)。銀は、検出器ピクセルアレイを作製するために使用されるプロセスに通例付随する材料とみなされない場合があるが、特定の条件が満たされる場合、検出器ピクセルと一体的に形成され得るフィルタを形成するために採用されてもよい。これらの条件は、1)銀の蒸着のための低温プロセスおよび検出器ピクセルの任意の後続処理の使用、2)好適な不動態化および検出器ピクセルのための保護層の使用を含んでもよいが、それらに限定されない。高温および不適な保護層が使用される場合、銀は、検出器ピクセルの感光領域内に遷移または分散し、損傷を及ぼし得る。
【0599】
【表70】
[この文献は図面を表示できません]
図375は、そこを通る電磁力密度のシミュレーション結果と重ね合わせた、従来技術の検出器ピクセル11735の部分的横断面における概略図を示す。従来技術の検出器ピクセル11735の種々の仕様は、表70に要約される。電磁エネルギ11740(大きい矢印で示される)は、垂直入射における検出器ピクセル11735上の入射を仮定する。
図375に示されるように、検出器ピクセル11735は、市販の検出器内に存在する層に対応する複数の層を含む。電磁エネルギ11740は、等高線アウトラインによって示される電磁力密度を有する、検出器ピクセルアレイ11735を通って伝搬される。
図375から分かるように、ピクセル内の金属トレース11745は、検出器ピクセル11735を通る電磁エネルギ11740の伝搬を妨害する。つまり、小型レンズを伴わない感光領域11790における出力密度は、非常に拡散する。
【0600】
図376は、別の従来技術の検出器ピクセル11795の一実施形態を示し、ここでは、小型レンズ11800を含む。小型レンズ11800は、電磁エネルギ11740が、検出器ピクセル11795を通って進行する際に、金属トレース11745を回避し、感光領域11790においてより大きな出力密度で焦点されるように、そこを通る電磁エネルギ11740を焦点に集めるために構成される。しかしながら、従来技術の検出器ピクセル11795は、検出器ピクセル11795の他の構成要素の加工後に、検出器ピクセル11795の表面上への小型レンズ11800の別個の加工および整合を必要とする。
【0601】
図377は、感光領域11790内の電磁エネルギを焦点に集めるためのメタレンズ11810として機能する埋設光学素子を含む、検出器ピクセル11805の例示的実施形態を示す。
図377に示される実施例では、メタレンズ11810は、残りの検出器ピクセル11805を形成する際に使用される既存のプロセスと適合する、不動態化窒化物のパターン化層として形成される。メタレンズ11810は、両側に2つの小さい柱が配置された幅広の中央柱の対称設計を含む。
【0602】
小型レンズ11800と類似の焦点効果を提供する一方、メタレンズ11810は、埋設光学素子に固有の付加的利点を含むことが、
図377から分かるだろう。特に、メタレンズ11810は、検出器ピクセル加工プロセスと適合する材料から形成されるため、検出器ピクセルの加工後に小型レンズに追加することが必要な付加的加工ステップを必要とせずに、検出器ピクセル本体の設計内に一体化されてもよい。
【0603】
図378は、従来技術の検出器ピクセル11815と、そこを通る非垂直電磁エネルギの伝搬11820とを示す。金属トレース11841は、非垂直電磁エネルギ11820の非垂直入射角度に適合するように、感光領域11790に対し中央に合わせられた金属トレース11745と比較してシフトされていることに留意されたい。
図378に示されるように、非垂直電磁エネルギ11820は、金属トレース11845によって部分的に遮断され、ほとんどが感光領域11790を外れる。
【0604】
図379は、別の従来技術の検出器ピクセル11825を示し、ここでは、小型レンズ11830を含む。小型レンズ11830および金属トレース11841の両方が、非垂直電磁エネルギ11820の非垂直入射角度に適合するように、感光領域11790に対しシフトされていることに留意されたい。
図379に示されるように、小型レンズ11830の存在を伴わないものよりも集中される一方、非垂直電磁エネルギは、感光領域11790のエッジにおいて、依然として集中される。さらに、従来技術の検出器ピクセル11825は、感光領域11790からオフセットされる位置に小型レンズ11830を位置付ける必要性によって課される、アセンブリの複雑性の付加的検討を必要とする。
【0605】
図380は、感光領域11790において、非垂直電磁エネルギ11820を誘導するためのメタレンズ11840として機能する埋設光学素子を含む、検出器ピクセル11835の例示的実施形態を示す。メタレンズ11840は、単一の幅広の柱と、感光領域11790に対し若干オフセットされる一対の小さい柱とを有する、非対称の3本柱設計を有する。しかしながら、
図379の小型レンズ11830と異なり、メタレンズ11840は、感光領域11790および金属トレース11845に対するメタレンズ11840の位置が、リソグラフィプロセスに付随する高精度で判断され得るように、感光領域11790および金属トレース11841に沿って、検出器ピクセル11835と一体的に形成される。つまり、メタレンズ11840は、小型レンズ11830を含む従来技術の検出器ピクセル11825よりも高精度を有する、より優れていないまでも、匹敵する電磁エネルギ誘導性能を提供する。
【0606】
図381は、
図377および380に示されるもの等、メタレンズを設計および最適化するための設計プロセス11845の工程図を示す。設計プロセス11845は、開始ステップ11850から開始し、ソフトウェアの初期化等の種々の調製ステップが含まれ得る。次いで、ステップ11855では、検出器ピクセルの一般的形状が定義される。例えば、検出器ピクセルの種々の構成要素の屈折率および厚さ、感光領域の位置および形状、検出器ピクセルを形成する種々の層の順番は、ステップ11855において指定される。
【0607】
検出器ピクセル形状の例示的定義は、表71に要約される(記載がない限り、寸法はメートルで表される)。
【0608】
【表71-1】
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【0609】
【表71-2】
[この文献は図面を表示できません]
ステップ11860では、電磁エネルギ入射角度、プロセスランタイム、および設計制約等の入力パラメータおよび設計目標が指定される。例示的セットの入力パラメータおよび設計目標は、表72に要約される。
【0610】
【表72】
[この文献は図面を表示できません]
ステップ11865では、メタレンズ形状の最初の推測が指定される。例示的形状は、表73に要約される。
【0611】
【表73】
[この文献は図面を表示できません]
ステップ11870では、オプティマイザルーチンは、検出器ピクセルから感光領域に送達される出力を増加させるために、メタレンズ設計の修正を開始する。ステップ11875では、ステップ11860で指定された設計目標が満たされているかどうか判断するために、修正されたメタレンズ設計の性能が評価される。決定11880では、設計目標が満たされているかどうか判断される。決定11880の回答が「はい」、すなわち、設計目標が満たされている場合、設計プロセス11845は、ステップ11883で終了する。決定11880の回答が「いいえ」、すなわち、設計目標が満たされていない場合、ステップ11870および11875は、繰り返される。主光線角度(度)の関数としての結合出力(任意の単位)の例示的評価は、
図382に示され、
図376および379に示されるような小型レンズを含む検出器ピクセルの出力結合性能と、
図377および380に示されるようなその中に一体化される3本柱メタレンズを含む検出器ピクセルとを比較するプロット11885を示す。
図382から分かるように、設計プロセス11845を使用して最適化された3本柱メタレンズ設計は、常に、一定範囲のCRA値にわたって、小型レンズを含む検出器ピクセルシステムとして、感光領域において匹敵する、またはより優れた出力結合性能を提供する。
【0612】
埋設光学素子として、検出器ピクセル構造内に一体化されるCRA補正を提供するための別のアプローチは、サブ波長プリズム格子(SPG)の使用である。本開示の文脈では、サブ波長回折格子は、波長、すなわち、
【0613】
【数13】
[この文献は図面を表示できません]
(ここで、Δは格子周期、λは設計波長、およびn
1は、サブ波長回折格子を形成する材料の屈折率である)よりも小さい格子周期を有する回折格子であると理解される。概して、サブ波長回折格子は、ゼロ次回折のみ透過する一方、他のすべての次数は、効果的に一過性である。サブ波長回折格子全体の負荷サイクル(W/Δとして定義され、ここで、Wは、回折格子内の柱幅である)を修正することによって、有効媒質理論は、レンズ、プリズム、偏光子等として機能するサブ波長回折格子を設計するために使用されてもよい。検出器ピクセル内のCRA補正の目的のため、サブ波長プリズム格子(SPG)は、特に有利な場合がある。
【0614】
図383は、埋設光学素子として、検出器ピクセル構成内での使用に好適な例示的SPG11890を示す。SPG11890は、屈折率n
1を有する材料から形成される。SPG11890は、負荷サイクル(すなわち、W
1/Δ
1、W
2/Δ
2等)が、SPG11890全体で変化するように、異なる柱幅W
1、W
2等と、格子周期Δ
1、Δ
2等とを有する一連の柱11895を含む。そのようなSPGの性能は、例えば、Farnの「Binary gratings with increased efficiency」(Appl.Opt.,vol.31,no.22,pp.4453−4458)、およびPratherの「Design and application of subwavelength diffractive elements for integration with infrared photodetectors」(Opt.Eng.,vol.38,no.5,pp.870−878)に記載の方法を使用して特徴付けられ得る。本開示では、特定の製造制限を有する、検出器ピクセル内のCRA補正専用のSPGの設計が、検討される。
【0615】
図384は、検出器ピクセルアレイ11905内に一体化されるSPG11900のアレイを示す。検出器ピクセルアレイ11905は、複数の検出器ピクセル11910(それぞれ、破線矩形によって示される)を含む。検出器ピクセル11910はそれぞれ、共通基盤11920上または内に形成される感光領域11915と、隣接する検出器ピクセル間に共有され得る複数の金属トレース11925とを含む。検出器ピクセル11910のうちの1つに入射する電磁エネルギ11930(矢印によって示される)は、その上の検出のために、電磁エネルギ11930を感光領域11915へ誘導するSPG11900のアレイを通して伝搬される。
図384では、金属トレース11925は、検出器ピクセル11910内のθ
out値16°未満に適合するようにシフトされていることに留意されたい。
【0616】
図384に示される実施例では、特定の製造制約が考慮されている。特に、電磁エネルギ11930は、SPG11900のアレイ(屈折率n
1=2.0を有するSi
3N
4から形成される)上への空気中の入射(屈折率n
air=1.0を有する)であると仮定され、支持材料11935(屈折率n
0=1.45を有するSiO
2から形成される)を通して伝搬される。加えて、最小柱幅および柱間の最小距離は、65nmであって、最大縦横比(すなわち、柱高対柱幅の比)は、10であると仮定される。これらの材料および形状は、現在、CMOSリソグラフィプロセスにおいて容易に利用可能である。
【0617】
図385は、検出器ピクセル内の埋設光学素子としての使用に好適なSPGを設計するための、設計プロセス11940を要約する工程図を示す。設計プロセス11940は、ステップ11942から開始する。ステップ11944では、種々の設計目標が指定される。設計目標は、例えば、所望の範囲の入力および出力角度値(すなわち、SPGから要求されるCRA補正性能)と、検出器ピクセルの感光領域における出力とを含んでもよい。ステップ11946では、幾何学的光学系分析が行われ、幾何学的光学系設計を生成する。つまり、幾何学的光学系アプローチを使用して、CRA補正性能(ステップ11944で指定されるように)を提供可能な同等の従来のプリズム性能が判断される。ステップ11948では、結合波解析に基づくアプローチを使用して、幾何学的光学系設計が、初期SPG設計に変換される。初期SPG設計は、理想的SPGの特性を提供するが、そのような設計は、現在利用可能な製造技術を使用して、製造可能ではない場合がある。したがって、ステップ11950では、種々の製造制約が、指定される。関連製造制約は、例えば、最小柱幅、最大柱高、最大縦横比(すなわち、柱高対柱幅の比)、およびSPGを形成するために使用される材料を含んでもよい。次いで、ステップ11952では、ステップ11950で指定される製造制約に従って、初期SPG設計が修正され、製造可能SPG設計を生成する。ステップ11954では、ステップ11944で指定の設計目標に対し、製造可能SPG設計の性能が評価される。ステップ11954は、例えば、FEMLAB(登録商標)等の市販のソフトウェアで製造可能SPG設計の性能をシミュレーションするステップを含んでもよい。次いで、製造可能SPG設計がステップ11944の設計目標を満たすかどうか、決定11956が行われる。決定11956の結果が「いいえ」、すなわち、製造可能SPG設計が設計目標を満たさない場合、設計プロセス11940は、ステップ11952へ戻り、再び、SPG設計を修正する。決定11956の結果が「はい」、すなわち、製造可能SPG設計が設計目標を満たす場合、製造可能SPG設計は、最終SPG設計として指定され、設計プロセス11940は、ステップ11958で終了する。設計プロセス11940内のステップはそれぞれ、以下に詳述される。
【0618】
図386は、
図385に示される設計プロセス11940のステップ11944および11946におけるSPGの設計に使用される、幾何学的作図の概略図を示す。ステップ11944および11946では、所望の量のCRA補正を実施する、従来のプリズム11960の特性を識別することから開始してもよい。プリズム11960によって定義されるパラメータは、以下の通りである。
【0619】
θ
in=プリズムの第1の表面内の電磁エネルギの入射角度
θ
out=虚のSPG表面内の電磁エネルギの出力角度
θ’
out=プリズムの第2の表面から射出する電磁エネルギの出力角度
θ
A=プリズムの頂角
n
1=プリズム材料の屈折率
n
0=支持材料の屈折率
α=第1の中間角度
β=第2の中間角度
図386を継続して参照すると、式(16)に示されるように、出力角度θ
outは、θ
in、θ
A、n
1、およびθ
0の関数として表され得ることを、Snellの法則および三角関係を使用することによって示され得る。
【0620】
【数14】
[この文献は図面を表示できません]
例えば、出力角度θ
out=16°を達成するために、屈折率n
1=2.0を有する材料から形成されるプリズムを使用して、入力角度θ
in=35°を仮定すると、プリズムの頂角は、式(16)に従って、θ
A=18.3°となるはずである。つまり、種々のパラメータに対しこれらの値を仮定すると、従来のプリズム11960は、プリズムからの出力角度が、例えば、CMOS検出器の感光領域の許容円錐内であるθ
out=16°となるように、入力角度θ
in=35°を有する入射電磁エネルギの伝搬を補正するであろう。必要CRA補正を達成するめに要求される従来のプリズムの頂角と仮定すると、所与のプリズム基盤寸法に対する従来のプリズムのプリズム高は、形状によって容易に計算される。
【0621】
次に
図387を参照すると、SPG設計が基礎とされるモデルプリズム11962が示される。モデルプリズム11962は、屈折率n
1を有する材料から形成される。モデルプリズム11962は、共通検出器のピクセル幅に対応するプリズム基盤幅2.2ミクロンを含む。また、モデルプリズム11962は、プリズム高Hおよび頂角θ
Aを含み、この場合、18.3°に等しい式(16)を使用して計算され得る。
図387から分かるように、プリズム高Hは、式(17)によって、幾何学的にプリズム基盤幅および頂角θ
Aに関連付けられる。
【0622】
【数15】
[この文献は図面を表示できません]
図387と関連して
図388を参照すると、計算される寸法を含む、SPG11964の概略図が示される。SPG11964の特性は、
図385に示される設計プロセス11940のステップ11948の結果である。すなわち、SPG11964は、幾何学的光学系設計(モデルプリズム11962によって表されるように)を初期SPG設計の変換結果を表す。SPG11964の幅(すなわち、S
W)は、モデルプリズム11962のプリズム基盤幅(すなわち、2.2ミクロン)であると仮定され、プリズム高Hを上回る計算値は、SPG柱の高さ(すなわち、P
H)として考慮される。SPG11964のための設計計算では、SPG11964はSi
3N
4から形成され、電磁エネルギ(波長0.45ミクロンを有する)は、空気中のSPG11964への入射であって、SPG11964からSiO
2内へ射出するものと仮定する。便宜上、SPG11964内の分散および損失は、ごくわずかであるとみなされる。その結果、SPG11964の関連パラメータは、式(18)を使用して、容易に計算され得る。
【0623】
【数16】
[この文献は図面を表示できません]
【0624】
【表74】
[この文献は図面を表示できません]
本実施例における値i=1、2、3、...、19に対する柱幅W
1の計算値は、表74に要約される。つまり、関連SPGパラメータの上述のリストおよび表74は、
図385に示される設計プロセス11940におけるステップ11948の結果を要約する。
【0625】
上述の計算値は、理想的SPGの特性を表すが、一部の柱幅W
1は小さ過ぎて、現在利用可能な製造技術を使用して、実際に製造することは不可能であることが理解される。SPGの最終設計の製造可能性を考慮して、最小柱幅は、65nmに設定され、柱高P
Hは、650nmに設定される(最大縦横比(すなわち、柱高P
H対柱幅P
wの比)が約10であると仮定する場合、この高さの値は、現在利用可能な製造プロセスの上限を表すため)。故に、柱数Nおよび周期は、SPG構造を簡素化する一方、製造制約に適合するように修正される。これらの制限の付加は、
図385に示される設計プロセス11940のステップ11950に含まれる。
【0626】
次いで、初期SPG構造設計は、設計プロセス11940のステップ11952において、製造制約に従って修正される。
【0627】
【表75】
[この文献は図面を表示できません]
表75は、簡素化プロセスで使用されるパラメータを要約する。次いで、これらのパラメータは、製造可能SPG内の適切な柱幅を判断するために使用される。
【0628】
【表76】
[この文献は図面を表示できません]
製造可能SPGにおいて修正された柱幅は、表76に要約される。
【0629】
設計プロセス11940のステップ11954は、製造可能SPG設計(例えば、表75および76に要約されるような)の性能の評価を伴う。
図389は、
図388に示されるように、製造可能SPG設計の0°〜35°の範囲の入力角度に対する入力角度θ
inの関数として、出力角度θ
outの数値計算結果のプロット11966を示し、波長535nmにおいて、s偏光を有する入射電磁エネルギを受ける。プロット11966は、表76に記載される製造可能SPGを通る電磁エネルギ伝搬を考慮して、FEMLAB(登録商標)を使用して生成された。30°を超える入力角度においても、結果として生じる出力角度は、約16°であることが
図389から分かり、それによって、製造可能SPGは、依然として、十分なCRA補正を提供し、30°を超える入射電磁エネルギを付随検出器ピクセルの感光領域に対する許容角度円錐内にもたらすことが示される。
【0630】
図390は、0°〜35°の範囲の入力角度に対する入力角度θ
in(再び、
図386に示されるような)の関数として、出力角度θ
out(すなわち、
図386に示されるような)の数値計算結果を示すが、ここでは、計算は、
図386に示される設定内の幾何学的光学系に基づく、プロット11968である。プロット11968と
図389のプロット11966との比較によって、幾何学的光学系は、製造可能SPGよりも全体的に大きいCRA補正を予測するが、
図389および390に示される線の勾配は、非常に類似することが分かるであろう。したがって、
図389および390の数値計算結果は、概して、製造可能SPGが十分なCRA補正を提供する一方、実際の製造制約は、その時間調和形式におけるMaxwellの式を解くシミュレーションモデルを考慮するため、プロット11966は、予測される装置性能のより信頼性のある推定を提供し得ると認める。言い換えると、
図389と
図390との比較は、
図385の設計プロセス(すなわち、SPGの仕様を生成するための幾何学的光学系設計から開始する)が、好適なSPG設計を生成する実行可能方法を提供することを示す。
【0631】
図391および392は、それぞれ、sおよびp偏光に対する入力角度θ
inおよび波長の関数として、製造可能SPG上への入射電磁エネルギの数値計算結果のプロット11970および11972を示す。プロット11970および11972は、FEMLAB(登録商標)を使用して生成されたが、他の好適なソフトウェアを同様に使用して、プロットを生成してもよい。プロット11970および11972を比較する際に、表76の製造可能SPGは、一定範囲の着目波長および異なる偏光に対する類似CRA補正性能を提供することを理解できるであろう。加えて、出力角度θ
outは、30°を超える入力角度に対しても約16°である。つまり、本開示によって設計される製造可能SPGは、一定範囲の波長および偏光に対し製造可能性ならびに均一CRA補正性能を提供する。言い換えると、
図389〜392の検査(すなわち、設計プロセス11940の決定11956を実施するステップ)は、この製造可能SPG設計が、設計目標を十分満たすことを示す。
【0632】
図383〜392は、CRA補正を実施するためのSPGの設計に関係しているが、
図380に示されるように、メタレンズを含む検出器ピクセル構成によって提供されるような、入射電磁エネルギを焦点に集める一方、CRA補正を実施することが可能なSPGを設計することも可能である。
図393および394は、それぞれ、同時にCRA補正を提供し、その上に入射する電磁エネルギを焦点に集めるための例示的位相プロファイル11976および対応するSPG11979のプロット11974を示す。位相プロファイル11974は、空間距離(任意の単位)の関数としての位相(ラジアン単位)のプロットとして示され、放物線位相表面と傾斜位相表面との組み合わせとしてみなされ得る。
図393では、空間距離ゼロは、例示的光学素子の中心に対応する。
【0633】
図394は、位相プロファイル11976と同等の位相プロファイルを提供する、例示的SPG11979を示す。SPG11979は、複数の柱11980を含み、SPG11979によって影響を受ける位相プロファイルは、柱の集中およびサイズに比例する。つまり、
図393に示されるように、柱の低集中は、低位相に対応する。言い換えると、低位相領域では、柱は少なく、したがって、そこを通って伝達される電磁エネルギの波面を修正可能な材料の量が低減される。反対に、高位相領域は、波面位相に作用するより多くの材料を提供する柱の高集中を含む。SPG11979の設計は、柱11980が周囲媒質よりも高屈折率の材料から形成されると仮定する。さらに、SPG11979では、柱幅およびピッチは、λ/(2n)(ここで、nは、柱11980を形成する材料の屈折率である)未満であると仮定される。
【0634】
前述の実施形態はそれぞれ、CMOS検出器ピクセルアレイの形成と関連する特定のセットのCMOS適合プロセスに関して記載され、カラーフィルタを含む素子と一体的に形成されたが、上述の方法、システム、および素子は、BICMOS処理、GaAs処理、およびCCD処理等の他の種類の半導体処理と置換することによって簡単に適合され得ることを、当業者には容易に明白であろう。同様に、上述の方法、システム、および素子は、検出器の代わりに、電磁エネルギのエミッタに簡単に適合され得、依然として、本開示の精神および範囲内であることを、容易に理解されるであろう。さらに、好適な同等物が、種々の構成要素、そのような代替物の機能および使用、または当業者に周知の付加的構成要素の代わりに、あるいはそれに加えて使用されてもよく、したがって、本開示の範囲内であるとみなされる。
【0635】
異なる屈折率を有する2つの媒質から形成される表面は、その上に入射する電磁エネルギを部分的に反射する。例えば、異なる屈折率を有する2つの隣接光学素子から形成される表面(例えば、層状光学素子)は、表面上に入射する電磁エネルギを部分的に反射するであろう。
【0636】
電磁エネルギが、2つの媒質から形成される表面によって反射される程度は、表面の反射率(「R」)に比例する。反射率は、式(19)によって定義される。
【0637】
【数17】
[この文献は図面を表示できません]
したがって、n
1とn
2との間の差異が大きいほど、表面の反射率は大きくなる。
【0638】
撮像システムでは、表面内の電磁エネルギの反射は、望ましくない場合が多い。例えば、撮像システム内の2つ以上の表面による電磁エネルギの反射は、撮像システムの検出器において、望ましくないゴースト像を生成し得る。また、反射は、検出器に到達する電磁エネルギの量を低減する。上述の撮像システム内の電磁エネルギの望ましくない反射を防止するために、反射防止層が、上述のアレイ撮像システム内の任意の光学系の表面(例えば、層状光学素子)の一点またはその上に加工されてもよい。例えば、上述の
図2Bでは、反射防止層は、層状光学素子24(1)および24(2)によって画定される表面等、層状光学素子24の1つ以上の表面上に加工されてもよい。
【0639】
反射防止層は、表面の一点またはその上に屈折率一致材料の層を適用することによって、光学素子の表面の一点またはその上に加工されてもよい。理想的には、屈折率一致材料(垂直入射単色電磁エネルギを考慮)は、式(20)によって定義される屈折率に等しい屈折率(「n
matched」)を有する。
【0640】
【数18】
[この文献は図面を表示できません]
ここで、n
1は、表面を形成する第1の媒質の屈折率、n
2は、表面を形成する第2の媒質の屈折率である。例えば、n
1=1.37およびn
2=1.60の場合、n
matchedは、1.48に等しくなり、表面に配置される反射防止層は、理想的には、屈折率1.48を有することになる。
【0641】
理想的には、屈折率一致材料の層は、屈折率一致材料内の着目電磁エネルギの波長の4分の1の厚さを有する。そのような厚さは、一致材料の表面から反射する着目電磁エネルギの相殺的干渉を生じ、それによって、表面における反射を防止するため望ましい。一致材料(「λ
matched」)内の電磁エネルギの波長は、以下の式(21)によって定義される。
【0642】
【数19】
[この文献は図面を表示できません]
ここで、λ
0は、真空内の電磁エネルギの波長である。例えば、着目電磁エネルギは、真空において波長550nmを有する緑色光であって、一致材料の屈折率は、1.26であると仮定する。次いで、緑色光は、一致材料において波長437nmを有し、一致材料は、理想的には、この波長の4分の1の厚さ、すなわち109nmを有する。
【0643】
可能な一致材料の1つは、低温蒸着二酸化シリコンである。そのような場合、蒸気またはプラズマ二酸化シリコン蒸着システムを使用して、一致材料を表面に適用してもよい。二酸化シリコンは、有利には、反射防止層としての機能に加え、機械的および/または化学的外部からの影響から表面を保護し得る。
【0644】
別の可能な一致材料は、ポリマー材料である。そのような材料は、表面上にスピンコーティングされてもよく、または加工マスタを使用して成形することによって、光学素子(例えば、層状光学素子)の表面に適用されてもよい。例えば、一致材料の層は、層状光学素子の特定の層を形成するために使用される同一加工マスタを使用する、層状光学素子の表面に適用されてもよい。すなわち、加工マスタは、そのZ軸に沿って(すなわち、光軸に沿って)、適切な距離(例えば、一致材料における着目波長の4分の1)平行移動され、層状光学素子上に一致材料の層を形成する。光学素子の曲率は、不均一厚を有するプロセスによって適用される一致材料の層となるため、そのようなプロセスは、相対的に高曲率半径を有する光学素子と比較して、相対的に低曲率半径を有する光学素子により容易に適用される。代替として、層状光学素子の特定の層を形成するために使用されるもの以外の加工マスタを使用して、一致材料の層を層状光学素子に適用されてもよい。そのような加工マスタは、その表面特徴または外部整合特徴内に設計されるZ軸に沿って(すなわち、光軸に沿って、一致材料における着目波長の4分の1)、必要平行移動を有する。
【0645】
反射防止層として一致材料を使用する実施例は、共通基盤12008上の光学素子層12004および12006から形成される層状光学素子の横断面
図12000である、
図395に示される。反射防止層12002は、層12004と12006との間に配置される。反射防止層12002は、一致材料であって、理想的には、式(21)に定義される屈折率n
matched(n
1は、層12004の屈折率、n
2は、層12006の屈折率である)を有することを意図する。反射防止層12002の厚さ12014は、反射防止層12002内の着目電磁エネルギの波長の4分の1に等しい。共通基盤12008は、WALO型光学系のために使用されるような検出器(例えば、
図2Aの検出器16)またはガラスプレートであってもよい。また、説明
図12000の2つの裁断
図12010は、
図395に示される。裁断
図12010(1)は、式(20)によって定義される反射率を有する、屈折率一致材料から形成される反射防止層12002を示す。裁断
図12010(2)は、以下に論じられるように、2つのサブ層から形成される反射防止層12002を示す。
【0646】
また、反射防止層は、複数のサブ層から加工されてもよく、複数のサブ層は、理想的には、式(21)によって定義されるn
matchedに等しい有効屈折率(「n
eff」)を集合的に有する。加えて、反射防止層は、有利には、表面を形成する2つの光学素子を加工するために使用される同一材料を使用して、2つのサブ層から加工されてもよい。裁断
図12010(2)は、素子12004および12006と、反射防止層12003との詳細を示す。それぞれ、第1と第2のサブ層12003(1)および12003(2)は、サブ層内の着目電磁エネルギの波長の1/16に略等しい厚さを有する。
【0647】
表77は、
図395の裁断
図12010(2)に示されるような層状光学素子の2つの層(以下、「LL1」および「LL2」と称される)によって画定される表面に配置される、2層の反射防止層の例示的設計を要約する。本実施例では、反射防止層は、層LL1およびLL2を加工するために使用される同一材料から加工される、層「ARl」および「AR2」と称される2つのサブ層を含む。表77に記載されるように、第1のサブ層は、層LL2と同一材料から加工され、第2のサブ層は、層LL1同一材料から加工される。表77の目的のため、着目電磁エネルギの波長は、505nmである。
【0648】
【表77】
[この文献は図面を表示できません]
図396は、表77に指定される反射防止層を伴うおよび伴わない、表77の層LL1およびLL2によって画定される表面の波長の関数として、反射率のプロット12040を示す。曲線12042は、表77に指定される反射防止層を伴わない、層LL1とLL2との間の表面における反射率を表す。曲線12044は、表77に指定される反射防止層を伴う、反射率を表す。プロット12040から分かるように、反射防止層は、層LL1およびLL2によって画定される表面の反射率を低減する。
【0649】
反射防止層は、光学素子の表面上のサブ波長特徴を加工することによって(例えば、成形またはエッチングによって)、光学素子の表面上またはその一点に形成されてもよい。例えば、そのようなサブ波長特徴は、光学素子の表面内に陥凹を含み、陥凹のうちの少なくとも1つのサイズ(例えば、長さ、幅、または深度)は、反射防止層内の着目電磁エネルギの波長よりも小さい。陥凹は、例えば、光学素子を加工するために使用される材料と異なる屈折率を有する充填材料で充填される。そのような充填材料は、既存の光学素子上に別の光学素子を直接形成するために使用されるポリマー等の材料であってもよい。例えば、サブ波長特徴が、第1の層状光学素子上に形成され、第2の層状光学素子が、第1の層状光学素子に直接適用される場合、充填材料は、第2の層状光学素子を加工するために使用される材料であるだろう。代替として、光学素子の表面が、別の光学素子と接触しない場合、充填材料は、空気(または、光学素子の環境内の別の気体)であってもよい。いずれの場合も、充填材料(例えば、ポリマーまたは空気)は、光学素子を加工するために使用される材料と異なる屈折率を有する。故に、サブ波長特徴、充填材料、および光学素子の非修正表面(サブ波長特徴を含まない光学素子の表面の一部)は、有効屈折率n
effを有する有効媒質層を形成する。そのような有効媒質層は、n
effが、式(20)で定義されるn
matchedと略等しい場合、反射防止層として機能する。2つの異なる材料の組み合わせから有効屈折率を定義するための関係の1つは、式(21)によって与えられる、Bruggeman方程式によって求められる。
【0650】
【数20】
[この文献は図面を表示できません]
ここで、pは、第1の構成材料Aの体積分率、ε
Aは、第1の構成材料Aの複素誘電関数、ε
Bは、第2の構成材料Bの複素誘電関数、ε
eは、有効媒質の得られた複素誘電関数である。複素誘電関数εは、式(22)によって、屈折率nおよび吸収定数kに関連付けられる。
【0651】
【数21】
[この文献は図面を表示できません]
有効屈折率は、サブ波長特徴のサイズおよび形状、ならびに光学素子の表面の充填率の関数であって、充填率は、非修正表面(すなわち、サブ波長特徴を有さない)の一部対表面全体の比として定義される。サブ波長特徴が、着目電磁エネルギの波長に対し十分小さく、光学素子の表面に沿って、十分均等に分布される場合、有効媒質層の有効屈折率は、光学素子を加工するために使用される充填材料および材料の屈折率の略唯一の関数である。
【0652】
サブ波長特徴は、周期的(例えば、正弦波)または非周期的(例えば、無作為)であってもよい。サブ波長特徴は、平行または非平行であってもよい。平行サブ波長特徴は、有効媒質層を通過する電磁エネルギの偏光状態の選択をもたらし得る。そのような偏光は、アプリケーションに応じて、望ましいまたは望ましくない場合がある。
【0653】
上述のように、サブ波長特徴が、有効媒質層内の着目電磁エネルギの波長よりも小さい少なくとも1次元を有することは重要である。一実施形態では、サブ波長特徴は、式(23)によって定義されるサイズD
max以下のうちの少なくとも1次元を有する。
【0654】
【数22】
[この文献は図面を表示できません]
ここで、λ
0は、真空内の着目電磁エネルギの波長、n
effは、有効媒質層の有効屈折率である。
【0655】
サブ波長特徴は、サブ波長特徴のネガティブを画定する表面を有する加工マスタを使用して、光学素子の表面内に成形されてもよい。そのようなネガティブは、サブ波長特徴の逆であって、ネガティブ上の隆起表面は、光学素子上に形成されるサブ波長特徴の陥凹に対応する。例えば、
図397は、共通基盤12080上に光学素子を加工するために使用されるであろう成形可能材料12078の表面12086に適用されるサブ波長特徴のネガティブ12076を含む、表面12072を有する加工マスタ12070を示す。加工マスタ12070は、得られた光学素子の表面12086上にサブ波長特徴を成形するために、矢印12084によって示される成形可能材料12078と係合する。
【0656】
ネガティブ12076は、小さ過ぎるため、裸眼によって表面12072上で確認することはできない。表面12072の裁断
図12074は、ネガティブ12076の例示的詳細を示す。ネガティブ12076は、
図397内で正弦波として示されるが、ネガティブ12076は、任意の周期的または非周期的構造であってもよい。ネガティブ12076は、サブ波長特徴成形表面12086によって生成される有効媒質層内の着目電磁エネルギの波長よりも小さい、最大「深度」12082を有する。
【0657】
別の光学素子が、表面12086に近接して形成される場合、表面12086内に成形されるサブ波長特徴は、光学系12078を加工するために使用されるものと異なる屈折率を有する充填材料で充填される。充填材料は、表面12086上に付加的光学素子を加工するために使用される材料であってもよい。別様に、充填材料は、空気または表面12086の環境内の別の気体である。第2の材料で充填される場合、成形可能材料12078内に形成されるサブ波長特徴は、反射防止層として作用する有効媒質層を集合的に形成する。
【0658】
図398は、
図268における機械加工表面6410のサブセクション12110の数値グリッドモデルを示す。数値モデルは、フライカット機械加工表面6410に近似することに留意されたい。サブセクション12110は、電磁モデリングを可能にするように離散化されている。したがって、離散化モデルに基づく、以下に示される得られた性能プロットもまた、近似値である。機械加工表面6410は、加工マスタの表面上に含まれ、ネガティブを形成してもよい。例えば、機械加工表面6410は、
図397の加工マスタ12070のネガティブ12076を形成してもよい。ツールが加工マスタの表面から除去された材料を有するサブセクション12110の領域は、黒色ブロック12112によって表される。そのような領域は、陥凹と称される場合がある。表面の原材料が残っているサブセクション12110の領域は、白色ブロック12114によって表される。そのような領域は、支柱と称される場合がある。説明の明確性のため、1つの陥凹および支柱のみ、
図398において番号が付される。
【0659】
サブセクション12110は、機械加工表面6410の表面全体に繰り返され、周期的構造を有するネガティブを形成する、4つの単位セルのアレイを含む。サブセクション12110の左下コーナー内の単位セルは、周期12116(「W」)および高さ12118(「H」)を有する。WとHとの間の比、すなわち、単位セルの縦横比は、式(24)によって定義される。
【0660】
【数23】
[この文献は図面を表示できません]
機械加工表面6410によって画定されるネガティブは、Wに等しい周期を有するとみなされ得る。単位セルのうちの少なくとも1つの特徴または寸法(例えば、
図398に示されるW)が、機械加工表面6410を有する加工マスタによって生成される有効媒質層内の着目電磁エネルギの波長よりも小さいことは重要である。機械加工表面6410の各単位セルは、以下の特性を有する。(1)支柱充填率(「f
H」)0.444、(2)陥凹充填率(「f
L」)0.556、(3)周期(W)200nm、(4)陥凹12112の深度104.5nmに等しい厚さ。
【0661】
図399は、機械加工表面6410を有する加工マスタを使用して生成されるサブ波長特徴を有する、平面表面上に垂直入射する電磁エネルギの波長の関数として、反射率のプロット12140を示す。曲線12146は、周期400nmを有する単位セルに対応し、曲線12144は、周期200nmを有する単位セルに対応し、曲線12142は、周期600nmを有する単位セルに対応する。単位セルの周期が200nmまたは400nmである場合、表面は、波長約0.5ミクロンにおいてほぼゼロの反射率を有することが、
図399から分かるだろう。しかしながら、これらの寸法の周期では、表面レリーフは、メタ材料として挙動することを停止し、代わりに、回折構造となるため、単位セルが周期600nmを有する場合、表面の反射率は、約0.525ミクロンを下回る波長に対し大幅に増加する。したがって、
図399は、単位セルの周期が十分に小さいことを保証する重要性を示す。
【0662】
図400は、機械加工表面6410を有する加工マスタを使用して生成されるサブ波長特徴を有する、平面表面上に入射する電磁エネルギの入射角の関数として、反射率のプロット12170を示す。プロット12170は、周期200nmを有する単位セルを仮定する。曲線12174は、波長500nmを有する電磁エネルギに対応し、曲線12172は、波長700nmを有する電磁エネルギに対応する。曲線12172および12174の比較は、サブ波長特徴が、角度および波長の両方に依存していることを示す。
【0663】
図401は、曲率半径500ミクロンを有する例示的半球光学素子上に入射する電磁エネルギの入射角の関数として、反射率のプロット12200を示す。曲線12204は、機械加工表面6410を有する加工マスタを使用して生成される、サブ波長特徴を有する光学素子に対応し、曲線12202は、サブ波長特徴を有さない光学素子に対応する。サブ波長特徴を有する光学素子は、サブ波長特徴を有さない光学素子と比較して、低反射率を有することが分かるだろう。
【0664】
上述のように、反射防止層として機能する有効媒質層は、光学素子の表面内にサブ波長特徴を成形することによって、光学素子の表面上に形成されてもよく、そのようなサブ波長特徴は、サブ波長特徴のネガティブを含む表面を有する加工マスタを使用して、成形されてもよい。そのようなネガティブは、種々のプロセスを使用して、加工マスタの表面上に形成されてもよい。そのようなプロセスの実施例は、後述される。
【0665】
ネガティブは、
図267〜268に関して上述されたもの等のフライカッティングプロセスを使用することによって、加工マスタの表面上に形成されてもよい。フライカッティングプロセスを使用して生成されるネガティブは、周期的であってもよい。例えば、機械加工表面6410のサブセクション12110(
図398)は、単位セルの幅のサイズであるツールを使用して、フライカットされてもよい。
図398の場合、単位セルが、幅200nmおよび高さ340nmを有する場合、ツールは、幅約60nmを有し得る。
【0666】
加工マスタの表面上にネガティブを形成する別の方法は、
図224に示されるツール等の特殊化されたダイヤモンドツールの使用である。ダイヤモンドツールは、
図223に示されるような表面(例えば、加工マスタの表面)内に溝を切削する。しかしながら、ダイヤモンドツールは、平行および周期的サブ波長特徴に対応するネガティブを形成するためにのみ使用され得る。ネガティブは、ラスタライズされたナノインデンテーションパターニングを使用して、加工マスタの表面上に形成されてもよい。スタンピングプロセスであるそのようなパターニングを使用して、周期的または非周期的ネガティブを生成してもよい。
【0667】
加工マスタの表面上にネガティブを形成するさらに別の方法は、レーザ切断の使用である。レーザ切断を使用して、周期的または非周期的ネガティブを形成してもよい。KrFレーザ等の高出力パルスエキシマレーザは、モードロックされ、数マイクロジュールのパルスエネルギを生成する、または248nmで1ジュールを超える生成パルスエネルギにQスイッチされ、加工マスタの表面上でそのようなレーザ切断を実施することが可能である。例えば、300nmより小さい特徴サイズを有するネガティブの表面レリーフ構造は、以下のように、KrFレーザを使用するエキシマレーザ切断を利用して生成可能である。レーザは、CaF2光学系を使用して、回折限界点に焦点され、加工マスタの表面全体にラスタされる。レーザパルスエネルギまたはパルス数は、所望の深度に特徴(例えば、ピット)を切断するように調節されてもよい。特徴間隔は、ネガティブ設計に対応する充填率を達成するように調節される。レーザ切断に好適であり得る他のレーザは、ArFレーザおよびCO2レーザを含む。
【0668】
ネガティブは、エッチングプロセスを使用して、加工マスタの表面上にさらに形成されてもよい。そのようなプロセスでは、腐食液が、加工マスタの表面内のピットをエッチングするために使用される。ピットは、加工マスタの表面の材料の粒度および構成と関連付けられる。そのような粒度および構成は、加工マスタ表面の材料(例えば、金属合金)、材料の温度、および材料の機械的処理の関数である。材料の格子平面および欠陥(例えば、粒界および結晶転位)は、ピットが形成される速度に影響を及ぼす。粒界および結晶転位は、無作為に配向される場合が多く、または低コヒーレンスを有する。故に、ピットの空間分布およびサイズもまた、無作為であり得る。ピットのサイズは、エッチング化学反応、加工マスタおよび腐食液の温度、粒度、エッチングプロセスの時間等の特性に依存する。可能な腐食液は、塩および酸等の腐食性物質を含む。実施例として、真鍮表面を有する加工マスタを検討する。二クロム酸ナトリウム二水和物および硫酸等の溶液から成る腐食液を使用して、真鍮表面をエッチングし、立方および正方形状を含む形状を有するピットを生じさせてもよい。
【0669】
反射防止層が、光学素子の表面上またはその一点に形成される場合、反射防止層または複数の層は、光学素子の中心よりも、光学素子エッジ近傍で厚くなる必要があり得る。そのような要件は、光学素子の曲率による、そのエッジ近傍の光学素子の表面上への電磁エネルギの入射角の増加のためである。
【0670】
共通基盤上に加工される単一光学素子または層状光学素子(例えば、上述の
図2Bの層状光学素子24)等、成形によって形成される光学系は、概して、硬化の際に収縮する。
図402は、そのような収縮の実施例を示す、プロット12230である。プロット12230は、金型(すなわち、加工マスタの一部)および硬化光学素子の横断面を示す。垂直軸は、金型および硬化光学素子のプロファイル寸法を表し、水平軸は、金型および硬化光学素子の半径方向寸法を表す。曲線12232は、金型の横断面を表し、曲線12234は、硬化光学素子の横断面を表す。硬化による光学素子の収縮は、曲線12234が、概して、曲線12232よりも小さいことに留意することによって分かるであろう。そのような収縮は、焦点誤差等の収差を生じ得る、光学素子の高さ、幅、および曲率の変化をもたらす。
【0671】
光学素子収縮によって生じる収差を回避するために、光学素子を形成するために使用される金型は、その硬化の際の光学素子の収縮を補償するように、光学素子の所望のサイズよりも大きく作製されてもよい。
図403は、金型(すなわち、加工マスタの一部)および硬化光学素子の横断面であるプロット12260を示す。曲線12262は、金型の横断面を表し、曲線12264は、光学素子の横断面を表す。
図403の金型は、硬化の際の光学素子の収縮を補償するようにサイズ化されている点において、プロット12260(
図403)は、プロット12230(
図402)と異なる。故に、
図403の曲線12264は、
図402の曲線12232に対応する。したがって、
図403の光学素子の横断面は、
図402の金型によって表される光学素子の意図された横断面に対応する。
【0672】
図403のコーナー12266および12268等、光学素子の急激な湾曲表面における収縮は、光学素子を形成する材料の粘度および係数によって制御される。コーナー12266および12268は、光学素子の有効口径上を侵食しないことが望ましい。故に、コーナー12266および12268の曲率半径は、光学素子金型内で相対的に小さく作製され、光学素子の有効口径上を侵食するコーナー12266および12268の可能性を低減し得る。
【0673】
図4の検出器ピクセル78等の検出器ピクセルは、一般に、「前面照明」のために構成される。前面照明検出器ピクセルでは、電磁エネルギは、検出器ピクセルの前面(例えば、検出器ピクセル78の表面98)から入射し、金属相互接続部(例えば、検出器ピクセル78の金属相互接続部96)を通過し、感光領域(例えば、検出器ピクセル78の感光領域94)へと一連の層内を進行する。撮像システムは、一般に、前面照明検出器ピクセルの前面上に加工される。加えて、埋設された光学系は、上述のように、前面照明ピクセルの支持層に近接して加工されてもよい。
【0674】
しかしながら、本明細書の特定の実施形態では、検出器ピクセルは、「背面照明」のために構成されてもよく、上述の撮像システムは、そのような背面照明検出器ピクセルとともに使用するように構成されてもよい。背面照明検出器ピクセルでは、電磁エネルギは、検出器ピクセルの背面から入射し、感光領域に直接作用する。故に、電磁エネルギは、有利には、一連の層を通って進行せず、感光領域に到達する。層内の金属相互接続部は、望ましくないことに、電磁エネルギが感光領域に到達するのを妨害し得る。上述のような撮像システムは、背面照明検出器ピクセルの背面に適用されてもよい。
【0675】
検出器ピクセルの背面は、概して、製造の際に、厚いシリコンウエハによって被覆される。そのようなシリコンウエハは、電磁エネルギがウエハを貫通し、感光領域に到達可能なように、ウエハをエッチングまたは研削することによって、薄化されなければならない。
図404は、個々のシリコンウエハ12308および12310を含む、検出器ピクセル12290および12292の横断面図を示す。シリコンウエハ12308および12310はそれぞれ、感光領域12298を含む、領域12306を含む。また、概して、シリコン・オン・インシュレータ(「SOI」)ウエハとして称される種類のシリコンウエハ12308は、余剰シリコンセクション12294および埋設された酸化物層12304を含む。また、シリコンウエハ12310は、余剰シリコン層12296を含む。余剰シリコン層12294および12296は、電磁エネルギ18が、感光領域12298に到達し得るように、除去されなければならない。検出器ピクセル12290は、余剰シリコン層12294が除去された後、裏面12300を有し、検出器ピクセル12292は、余剰シリコン層12296が除去された後、裏面12302を有することになる。
【0676】
二酸化シリコンから加工される埋設された酸化物層12304は、余剰シリコン層12294の除去の際に、領域12306に損傷されるのを防止する補助をし得る。シリコンのエッチングおよび研削を正確に制御することは、難しい場合が多い。したがって、領域12306が、余剰シリコン層12294から分離されない場合、シリコンウエハ12308のエッチングまたは研削を正確に停止することが不能なため、領域12306が損傷を受ける危険がある。埋設された酸化物層12304は、そのような分離を提供し、それによって、余剰シリコン層12294の除去の際に、領域12306の偶発的除去を防止する補助をする。また、埋設された酸化物層12304は、有利には、後述のように、検出器ピクセル12290の表面12300に近接する埋設光学素子の形成のために使用されてもよい。
【0677】
図405は、背面照明のために構成される検出器ピクセル12330、ならびに検出器ピクセル12330とともに使用され得る層構造12338および3本柱メタレンズ12340の横断面図を示す。モデル化の目的のため、感光領域12336は、領域12342の中心内の矩形体積として近似されてもよい。層(例えば、フィルタ)を検出器ピクセル12330に追加し、その電磁エネルギ収集性能を向上させてもよい。加えて、検出器ピクセル12330の既存層を修正し、その性能を向上させてもよい。例えば、後述のように、層12332および/または層12234を修正し、検出器ピクセル12330の性能を向上させてもよい。
【0678】
層12332および/または12334を修正し、カラーフィルタおよび/または赤外線カットオフフィルタ等の1つ以上のフィルタを形成してもよい。一実施例では、層12334は、カラーフィルタとして作用する層状構造12238および/または赤外線カットオフフィルタ内に修正される。また、層12332および/または12334は、電磁エネルギ18の感光領域12336上への誘導を補助するように、修正されてもよい。例えば、層12334は、電磁エネルギ18を感光領域12336上へ誘導するメタレンズ内に形成されてもよい。メタレンズの実施例は、
図405に示される3本柱メタレンズ12340である。別の実施例として、層12332および12334の材料は、層12332および12334が、感光領域12336による電磁エネルギの吸収を増加させる共振器を集合的に形成するように、薄膜層と代替されてもよい。
【0679】
図406は、混合色の波長と、背面照明のために構成される検出器ピクセル内に加工され得る赤外線遮断フィルタの関数として、透過率のプロット12370を示す。例えば、フィルタは、
図405の検出器ピクセル12330の層12334内に加工されてもよい。破線によって表される曲線12374は、シアン着色光の透過率を表し、点線によって表される曲線12376は、黄色光の透過率を表し、実線によって表される曲線12372は、マゼンタ着色光の透過率を表す。基準波長550nmおよび垂直入射に対するIRカットCMYフィルタの例示的設計は、表78に要約される。
【0680】
【表78-1】
[この文献は図面を表示できません]
【0681】
【表78-2】
[この文献は図面を表示できません]
図407は、背面照明のために構成される、検出器ピクセル12400の横断面図を示す。検出器ピクセル12400は、長さ1ミクロンの側面の正方形横断面を有する、感光領域12402を含む。感光領域12402は、500nmの距離12408だけ反射防止層12420から分離される。反射防止層12420は、30nmの厚さ12404を有する二酸化シリコンサブ層と、40nmの厚さ12406を有する窒化シリコンサブ層とから成る。
【0682】
電磁エネルギ18を感光領域12402上に誘導するためのメタレンズ12422は、反射防止層12420に近接して配置される。メタレンズ12422は、それぞれ、窒化シリコンから加工される大柱12410および小柱12412を除き、二酸化シリコンから加工される。大柱12410は、1ミクロンの幅12416を有し、小柱12412は、120nmの幅12428を有する。大柱12416および小柱12412は、300nmの深度12418を有する。小柱12412は、90nmの距離だけ大柱12410から分離される。メタレンズ12422を含む検出器ピクセル12400は、メタレンズ12422を含まない検出器ピクセル12400の一実施形態よりも約33%上回る量子効率を有してもよい。等高線12426は、検出器ピクセル12400内の電磁エネルギ密度を表す。
図407から分かるように、等高線は、垂直入射電磁エネルギ18が、メタレンズ12422によって、感光領域12402に誘導されることを示す。
【0683】
反射防止層12420およびメタレンズ12422は、検出器ピクセル12400の背面から余剰シリコン層を除去した後、検出器ピクセル12400内または上に加工されてもよい。例えば、検出器ピクセル12400が、
図405の検出器ピクセル12330の一実施形態である場合、反射防止層12400およびメタレンズ12422は、検出器ピクセル12330の層12334内に形成されてもよい。
【0684】
図408は、背面照明のために構成される、検出器ピクセル12450の横断面図である。検出器ピクセル12450は、感光領域12452および2本柱メタレンズ12454を含む。メタレンズ12454は、表面12470に至るまで、検出器ピクセル12450の背面上の余剰シリコンを研削またはエッチングすることによって加工される。次いで、エッチングされた領域12456は、検出器ピクセル12450のシリコン内にさらにエッチングされる。各エッチングされた領域12456は、600nmの幅12472および200nmの厚さ12460を有する。各エッチングされた領域12456は、感光領域12452の中心線から1.1ミクロンの距離12464に求心される。エッチングされた領域12456は、二酸化シリコン等の充填材料で充填される。また、充填材料は、600nmの厚さ12468を有する保護層として機能し得る、層12458を生成してもよい。したがって、メタレンズ12454は、シリコン非エッチング領域12474および充填エッチング領域12456を含む。等高線12466は、検出器ピクセル12450内の電磁エネルギ密度を表す。
図408から分かるように、等高線は、垂直入射電磁エネルギ18が、メタレンズ12454によって、感光領域12452に誘導されることを示す。
図409は、
図408の検出器ピクセル12450に対する波長の関数として、量子効率のプロット12490を示す。曲線12492は、メタレンズ12454を伴う検出器ピクセル12450を表し、曲線12494は、メタレンズ12454を伴わない検出器ピクセル12450を表す。
図409から分かるように、メタレンズ12454は、検出器ピクセル12450の量子効率を約15%増加させる。
【0685】
上述および他の変更は、その範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の撮像システムになされてもよい。したがって、上述の説明に含まれるまたは付随の図面に示される事項は、例示として解釈され、制限するものではないものと解釈されることに留意されたい。以下の請求項は、本明細書に記載のすべての一般的および特定の特徴、ならびに、言語上、その範囲内であり得る、本方法およびシステムの範囲におけるすべての記述を網羅するものと意図される。